説明

蓄電装置

【課題】単電池の放熱性と体積効率とを両立させることができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】蓄電装置は、複数の単電池22と、複数の単電池22を内部に収容し、密閉可能な密閉容器24とを備える。単電池22は、面積が最大になる面積最大面23aを有するケース23を含む。密閉容器24は、内部が密閉された状態で加圧された流体が充填されている。複数の単電池22は、密閉容器24の内部において、ケース23の面積最大面23aが同一平面状に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術においては、単電池を容器に収容した蓄電装置が知られている。蓄電装置が複数の単電池を有する場合には、複数の単電池を並べて容器の内部に収容することが知られている。複数の板状の単電池を備える蓄電装置では、複数の単電池を積層した積層体の両側に拘束板を配置し、両側の拘束板同士を連結する連結棒で固定することが知られている。このように形成した単電池の積層体は容器の内部に配置される。また、単電池の積層体の両側の拘束板同士を連結棒にて固定することにより、積層体に含まれる単電池に対して圧力を加えることが知られている。
【0003】
特開2010−40345号公報においては、複数の単電池により組電池が構成され、組電池が2枚の板状の側面ベースにて加圧されるバッテリーシステムが開示されている。このバッテリーシステムでは、各単電池を加圧する加圧板、および加圧板同士の間に配置され、内部を冷媒が通るとともに圧力によって変形可能な冷却用管路からなる加圧冷却手段を備えることが開示されている。
【0004】
また、特開2005−302698号公報においては、二次電池を10段積層してそれぞれ構成されている8組の電池積層体を備え、電池積層体の二次電池同士の間にはヒートシンクが配置されている組電池が開示されている。8組の電池積層体は同一平面状に配置して筐体に収容されている。この組電池においては、筐体の出口ダクト内にファンが配設されており、筐体の入口ダクトから筐体の内部に取り入れられた冷却風がヒートシンクに形成された各通路に進入して二次電池を間接的に冷却するとともに、各電池積層体の間に形成された流路に進入して二次電池を直接的に冷却することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−40345号公報
【特許文献2】特開2005−302698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
充電および放電の可能な二次電池においては、充電および放電の電気的動作に伴って、徐々に電気的特性が悪化するものがある。例えば、正極活物質および負極活物質を含むリチウムイオン電池の場合には、活物質がリチウムイオンの吸蔵または放出に伴って膨張したり収縮したりする。たとえば、多くの活物質においては、リチウムイオンが吸蔵されると膨張し、リチウムイオンが放出されると収縮するという特性を有する。
【0007】
充電と放電を繰り返して活物質が膨張および収縮を繰り返すことにより、活物質を含む正極または負極で亀裂が生じたり、正極または負極が隣接する集電体から剥離したりするという問題が生じる。また、正極と負極との間に配置されている電解質層が固体である全固体電池においては、正極または負極と電解質層との境界面における接触抵抗が増加するという問題が生じる。この結果、サイクル特性などの電気的特性が悪化する。たとえば、充電および放電を繰り返したときの電池容量が減少するという問題が生じる。
【0008】
そこで、単電池を外部から加圧することにより充電と放電とを繰り返して膨張および収縮の作用が生じた場合においても、単電池を拘束することができて、サイクル特性などの電気特性の悪化を抑制することができる。
【0009】
上記の特開2010−40345号公報に開示されているバッテリーシステムにおいては、単電池の積層体の両側から側面ベースにより複数の単電池を押圧している。このような構成の場合、複数の単電池を一度に加圧することができるために、加圧するための部材を少なくすることができる。すなわち、複数の単電池を加圧する面積が小さいために蓄電装置を小型にすることができて体積効率が向上する。ところが、隣り合う単電池同士において、単電池の面積の大きな面同士が互いに接触するために、単電池の放熱性が悪くなるという問題がある。すなわち、複数の単電池の表面の大部分が隣り合う単電池に接触するために、放熱面積が小さくなるという問題がある。
【0010】
上記の特開2010−40345号公報に開示されているバッテリーシステムにおいては、単電池同士の間に冷却用管路を含む加圧冷却手段が配置されているが、単電池同士の間に加圧冷却手段を配置すると蓄電装置が大きくなってしまうという問題がある。すなわち単電池同士の間に冷却用部材を配置する空間が必要になり、体積効率が悪くなるという問題がある。上記の特開2005−302698号公報に開示されている組電池においても同様に、電池積層体の二次電池同士の間には二次電池を冷却するためのヒートシンクが配置されており、体積効率が悪いという問題がある。
【0011】
また、上記の特開2005−302698号公報には、8組の電池積層体が同一平面状に配置されることが開示されている。複数の単電池を同一平面状に配置すると単電池を加圧する面積が大きくなる。すなわち、より大きな面積に対して圧力を印加しなくてはならなくなる。このために、単電池を加圧するための全体の力が大きくなるという問題がある。または、単電池を加圧するための装置が大きくなり、蓄電装置の体積効率が悪くなるという問題がある。
【0012】
本発明は、複数の単電池を含み、単電池の放熱性と体積効率とを両立させる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の蓄電装置は、複数の単電池と、複数の単電池を内部に収容し、密閉可能な密閉容器とを備える。単電池は、面積が最大になる面積最大面を有するケースを含む。密閉容器は、内部が密閉された状態で加圧された流体が充填されている。複数の単電池は、密閉容器の内部において、ケースの面積最大面が同一平面状に配置されている。
【0014】
上記発明においては、ケースの面積最大面と密閉容器の壁面との間には隙間が形成されていることが好ましい。
【0015】
上記発明においては、ケースの面積最大面が同一平面状に配置されている単電池が第1の単電池を構成し、密閉容器の内部において、ケースの面積最大面が第1の単電池の面積最大面に対してほぼ垂直になるように配置されている複数の第2の単電池を備え、第2の単電池が連続して並ぶ個数よりも第1の単電池が連続して並ぶ個数の方が多くなるように配置されていることが好ましい。
【0016】
上記発明においては、単電池は、固体の正極層、固体の電解質層および固体の負極層を有する全固体電池を含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の単電池を含み、単電池の放熱性と体積効率とを両立させる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態における第1の蓄電装置の概略分解斜視図である。
【図2】実施の形態における単電池の概略斜視図である。
【図3】実施の形態における単電池の内部の拡大概略断面図である。
【図4】実施の形態における第1の蓄電装置を単電池が並ぶ方向に切断したときの概略断面図である。
【図5】実施の形態における第2の蓄電装置の概略分解斜視図である。
【図6】実施の形態における第3の蓄電装置の概略分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図6を参照して、実施の形態における蓄電装置について説明する。本実施の形態における蓄電装置は、ハイブリッド車両や電気車両等の駆動装置に配置されている。
【0020】
図1に、本実施の形態における第1の蓄電装置の概略分解斜視図を示す。本実施の形態における蓄電装置は、電池セルとしての単電池22を含む。本実施の形態においては、複数の単電池22が並んで配置されている。本実施の形態における蓄電装置は、単電池22を内部に収容する容器としての密閉容器24を含む。密閉容器24には、複数の単電池22が収容されている。密閉容器24は、内部の空間が密閉可能に形成されている。
【0021】
本実施の形態における密閉容器24は、箱部材24aと蓋部材24bとを含む。箱部材24aは、断面形状がコの字型に形成されており、内部に単電池22を収容可能に形成されている。蓋部材24bは、箱部材24aの頂部を覆うように形成されている。箱部材24aと蓋部材24bとの接触部分には、気体の漏洩を抑制するためのシール部材が配置されている。矢印51に示すように、箱部材24aに対して蓋部材24bを固定することにより、密閉容器24の内部が密閉される。密閉容器24は、たとえば、アルミニウムやステンレス鋼にて形成することができる。密閉容器24としては、この形態に限られず、内部を密閉可能な容器を採用することができる。
【0022】
密閉容器24の内部には加圧された流体が充填されている。本実施の形態においては、大気圧よりも大きな圧力にて気体が充填されている。密閉容器24の内部に充填される気体としては、アルゴンや窒素等の不活性ガスを採用することができる。または、密閉容器24の内部に充填される気体は、不活性ガス以外の気体であっても構わない。
【0023】
図2に、本実施の形態における単電池の概略斜視図を示す。本実施の形態における単電池22は、直方体状に形成されている。単電池22は、ケース23と、ケース23から突出する端子22a,22bを有する。端子22a,22bは、電気の導通を行う部分である。図2に示す例では、端子22aが正極であり、端子22bが負極である。図2に示す単電池22の端子22a,22bは、一つの方向に向かって突出するように形成されている。
【0024】
本実施の形態における単電池22のケース23は、板状に形成されており、面積が最大になる面積最大面23aを有する。また、ケース23は、面積最大面23aに隣接し、面積最大面23aよりも面積の小さな側面23bを有する。本実施の形態における単電池22は直方体であるが、この形態に限られず、面積が最大になる面積最大面を有する任意の形状を採用することができる。
【0025】
本実施の形態における単電池22のケース23は、気体を密閉する機能を有し、外部から圧力が加わることにより変形可能な材質で形成されている。単電池22のケース23としては、柔軟性を有する材質にて形成されていることが好ましい。ケース23が柔軟性を有する材質にて形成されることにより、内部を効率良く加圧することができる。ケース23は、ラミネートフィルム等の薄い樹脂で形成することできる。例えば、アルミニウムラミネート材等を採用することができる。アルミニウムラミネート材は、ガスの遮断性と柔軟性とを有する部材であるために好適である。
【0026】
図3に、本実施の形態における単電池の内部の拡大概略断面図を示す。本実施の形態における単電池22はリチウムイオン電池である。また、本実施の形態における単電池22は、全固体型電池である。本実施の形態における単電池22は、正極層30と、負極層31と、正極層30および負極層31の間に介在する電解質層32とを有する。正極層30、負極層31および電解質層32の積層体が集電体33を介して積層されている。図3に示す積層体は、単電池22のケース23の内部に配置される。所定の位置の集電体33が端子22aまたは端子22bに接続される。
【0027】
本実施の形態における単電池の内部構造は、直方体状に形成されている。単電池の内部構造としては、直方体状の積層体に限られず、任意の形状のものを採用することができる。たとえば、正極層、負極層および電解質層の積層体が帯状に形成され、この帯状の積層体が巻回されたものがケースの内部に配置されていても構わない。
【0028】
本実施の形態における正極層30、負極層31および電解質層32は、それぞれの層が固体であり、粉体により形成されている。本実施の形態における正極層、負極層および電解質層は、例えば、材料となる粉末をプレス機により圧縮することにより形成することができる。
【0029】
正極層30は、粒子状の正極活物質を有する。正極活物質としては、全固体電池に採用可能な任意の物質を採用することができる。正極活物質としては、例えば、LiCoOまたはLiNiOなどのリチウムおよび遷移金属の層状複合酸化物の粉末、LiMnなどのスピネル型の粉末、またはLiFePOなどのオリビン型の粉末等を用いることができる。負極層31は、粒子状の負極活物質を有する。負極活物質としては、全固体電池に採用可能な任意の物質を採用することができる。負極活物質としては、例えば、In粉末、Al粉末などの金属系の活物質や、メソカーボンマイクロビーズ粉末などの炭素系の活物質を用いることができる。
【0030】
電解質層は、イオン導電性を有する粒子状の固体電解質を有する。固体電解質としては、全固体電池に採用可能な任意の物質を採用することができる。固体電解質としては、たとえば、硫化物系の固体電解質または酸化物系の固体電解質等を用いることができる。硫化物系の固体電解質としては、LiS−P粉末、70LiS−30P粉末、またはLiS−SiS粉末等を用いるができる。酸化物系の固体電解質としては、LiS−P粉末等を用いることができる。
【0031】
正極層30および負極層31の外側には、集電するための集電体33が配置されている。本実施の形態における集電体33は、金属箔により形成されている。集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス、または銅などの材質を用いることができる。
【0032】
本実施の形態の全固体電池においては、正極層、負極層および電解質層の全てが粉体により形成されているが、この形態に限られず、たとえば金属電極層を含んでいても構わない。
【0033】
本実施の形態の単電池22は、ケース23の内部の圧力は大気圧である。単電池22としては、この形態に限られず、ケース23の内部を大気圧未満に減圧することができる。本実施の形態における全固体電池は溶媒等が充填されておらず、溶媒の揮発等が生じないために、ケースの内部を減圧することができる。この結果、ケース23の内部とケース23の外部との圧力差を大きくすることができて、単電池22を加圧する圧力を大きくすることができる。この結果、例えば、蓄電装置の高出力化を図ることができる。
【0034】
図4に、本実施の形態における第1の蓄電装置を単電池が並ぶ方向に沿って切断したときの概略断面図を示す。図4は、図1におけるA−A線に関する矢視断面図である。図1、図2および図4を参照して、本実施の形態における複数の単電池22は、一つの方向に並んで配置されている。
【0035】
本実施の形態における単電池22の端子22a,22bは、導電性部材としてのバスバー27を介して、隣り合う単電池の端子22a,22bに電気的に接続されている。一つの単電池22の正極の端子22aは、隣り合う他の単電池22の負極の端子22bに接続されている。本実施の形態の蓄電装置においては、複数の単電池22が直列に電気的に接続されている。複数の単電池22の接続方法については直列に限られず、全ての単電池または一部の単電池が並列に接続されていても構わない。
【0036】
複数の単電池22が並ぶ方向の一方の端部の単電池22の端子22aには、外部接続端子28aが接続されている。また、複数の単電池22が並ぶ方向の他方の端部の単電池22の端子22bには、外部接続端子28bが接続されている。外部接続端子28a,28bは、密閉容器24を貫通し、密閉容器24の外側に突出するように形成されている。外部接続端子28a,28bは、外部の装置に電気を供給したり、充電のために外部の装置から電気を受けたりするための端子である。たとえば、外部接続端子28a,28bには、充放電を行うための装置が接続される。
【0037】
本実施の形態における単電池22は、支持部材としての位置決め部材41を介して、密閉容器24に支持されている。本実施の形態の第1の蓄電装置において、位置決め部材41は、ケース23の端子22a,22bが配置されている端面と、ケース23の端子22a,22bが配置されている側と反対側の端面とを支持するように配置されている。単電池22のケース23の面積最大面23aのほぼ全てが露出する。面積最大面23aは、密閉容器24の内部に充填される気体に接触する。単電池を支持する支持部材としては、この形態に限られず、任意の位置決めを行なうための支持部材を採用することができる。
【0038】
図4には、本実施の形態における基準となる平面45が記載されている。本実施の形態における複数の単電池22は、面積最大面23aが平面45に沿って配置されている。すなわち、本実施の形態における複数の単電池22は、横置きに並んで配置されている。複数の単電池22は、面積最大面23aが同一平面状になるように配置されている。本実施の形態の第1の蓄電装置においては、単電池22の面積最大面23aが密閉容器24の底面または天面に対して、ほぼ平行になるように配置されている。
【0039】
複数の単電池22は、互いに離れて配置されている。また、単電池22の面積最大面23aと密閉容器24の壁面との間には隙間が形成されている。本実施の形態における蓄電装置は、単電池22の外周面と密閉容器24との間に隙間が形成され、密閉容器24に充填されている気体が流れる様に配置されている。
【0040】
本実施の形態における密閉容器24の内部には加圧された気体が充填されて密閉されている。単電池22は、周りの気体により加圧される。充電および放電に伴って正極活物質または負極活物質の膨張や収縮が生じるが、この膨張や収縮に起因する正極層30や負極層31の亀裂の発生を抑制することができる。また、正極層30および負極層31の体積変化を抑制することができるために、正極層30または負極層31が集電体33から剥離すること抑制できる。また、本実施の形態における蓄電装置は、気体により単電池22を加圧しているために、単電池22の全体を均一に加圧することができる。
【0041】
更に、本実施の形態における単電池は、全固体電池を含む。全固体電池は、固体の正極層、固体の電解質層および固体の負極層を有する。このために、単電池22の内部において、電解質層32と正極層30または負極層31との固体層同士の界面が存在する。単電池を加圧することにより、固体層同士の界面に生じる抵抗を低減することができる。さらに、固体層同士の界面において剥離等が生じて内部抵抗が増加することを抑制できる。このため、蓄電装置の容量の減少等の電気的特性の悪化を抑制できる。
【0042】
また、本実施の形態の蓄電装置は、単電池22と密閉容器24の壁面との間に隙間が形成されている。密閉容器24に対して外力が加わって密閉容器24が変形した場合においても、単電池22は内部の気体により加圧されるため、外力の影響を抑制することができる。密閉容器24に外力が加わってもほぼ一定の圧力にて単電池22を加圧することができる。なお、本実施の形態においては、単電池のほぼ全ての外周面の周りに隙間が形成されているが、この形態に限られず、単電池の一部の外周面が密閉容器に接触していても構わない。
【0043】
ところで、単電池を加圧する方法としては、たとえば、拘束板により単電池の面積最大面を挟んで、拘束板同士を互いに固定棒等にて固定することができる。拘束板および固定棒等により機械的に単電池を押圧した場合には、拘束板同士の距離が一定に保たれる。このために、単電池が変形すると単電池を押圧する圧力が変化する場合がある。たとえば、長期間の使用により単電池が徐々に変形したときには、押圧する圧力が変化する場合がある。これに対して、本実施の形態においては、気体により単電池を加圧するために、単電池に変形が生じてもほぼ一定の圧力で加圧を継続することができる。
【0044】
さらに、単電池22を面積最大面23aが同一平面状になるように配置した場合には、単電池22を加圧するための加圧面積が大きくなり、拘束板等により単電池を加圧する場合には、拘束板等の拘束部材の体積も大きくなる。本実施の形態においては、密閉容器24の内部の気体により単電池22が加圧されるために、単電池22を加圧するための拘束部材を排除することができる。このため、蓄電装置を小型にすることができて体積効率が向上する。
【0045】
本実施の形態における密閉容器は内部が密閉される。このために、単電池22は、密閉容器24の内部に封入された気体により冷却される。単電池22にて生じる熱は、密閉容器24の内部に充填された気体および密閉容器24を介して、蓄電装置の外部に放出される。例えば、蓄電装置の密閉容器24の周りに冷却流体を流すことにより冷却することができる。
【0046】
本実施の形態における第1の蓄電装置は、単電池22のケース23の面積最大面23aが同一平面状に配置されているために、単電池22の面積最大面23a同士が接触して放熱性が悪化することを回避することができる。それぞれの単電池22の面積最大面23aを密閉容器24に密閉されている気体に接触させることができて、単電池22の放熱性を向上させることができる。すなわち、効率良く単電池22を冷却することができる。
【0047】
このように、本実施の形態の蓄電装置は、単電池の放熱性と蓄電装置の体積効率とを両立させることができる。
【0048】
本実施の形態の第1の蓄電装置は、複数の単電池22が一つの方向に沿って一列に並ぶように配置されているが、この形態に限られず、複数の単電池は面積最大面が同一平面状に配置されていれば構わない。
【0049】
図5に、本実施の形態における第2の蓄電装置の概略分解斜視図を示す。第2の蓄電装置における単電池22は、端子22a,22bが面積最大面23aに隣接する表面のうち、互いに反対側になる表面に配置されている。端子22a,22bは、互いに反対向きにケース23から突出するように形成されている。正極の端子22aは、ケース23の一方の側の表面から突出し、負極の端子22bは、一方の側と反対側の表面から突出している。
【0050】
複数の単電池22は、密閉容器24の内部において、互いに隣り合う単電池22の端子22a,22b同士が対向するように配置されている。一つの単電池22の正極の端子22aと、他の単電池22の負極の端子22bとが互いに接続されている。正極の外部接続端子28aは、密閉容器24の一方の側から突出している。負極の外部接続端子28bは、密閉容器24の他方の側から突出している。また、それぞれの単電池22は、支持部材41を介して密閉容器24に支持されている。
【0051】
第2の蓄電装置においては、端子同士を直接的に接続することができる。第2の蓄電装置においても、単電池22の面積最大面23aが同一平面状に配置されているために、単電池の放熱性に優れ、蓄電装置の体積効率を向上させることができる。
【0052】
図6に、本実施の形態における第3の蓄電装置の概略分解斜視図を示す。第3の蓄電装置においては、面積最大面23aが同一平面状になるように配置されている単電池を第1の単電池22と称する。第3の蓄電装置は、ケース23の面積最大面23aが第1の単電池22の面積最大面23aに対して、ほぼ垂直になるように配置されている第2の単電池25を備える。第2の単電池25は、面積最大面23aが基準となる一つの平面に対してほぼ垂直になるように配置されている。このように、第3の蓄電装置では、第1の単電池22が横置きに配置されているのに対して、第2の単電池25は縦置きに配置されている。
【0053】
第3の蓄電装置は、複数の第2の単電池25を備える。複数の第2の単電池25は並んで配置されている。第2の単電池は、面積最大面23aが互いに接触するように配置されている。それぞれの第2の単電池25は、支持部材41を介して密閉容器24に支持されている。第1の単電池22および第2の単電池25は、バスバー27を介して互いに直列に電気的に接続されている。また、複数の第2の単電池25同士においてもバスバー27を介して互いに直列に電気的に接続されている。
【0054】
密閉容器24の箱部材24aおよび蓋部材24bは、複数の第1の単電池22および複数の第2の単電池25を内部に収容するように、それぞれの単電池の配置に合わせて形成されている。
【0055】
本実施の形態の第3の蓄電装置においては、複数の単電池22,25のうち少なくとも一部の単電池22がケース23の面積最大面23aが同一平面状になる様に配置されている。この構成を採用することにより、複数の単電池の面積最大面が互いに接触して積層されている蓄電装置よりも放熱性を向上させることができる。第2の単電池25が連続して並ぶ部分においては単電池の放熱性が劣るが、第1の単電池22が連続して並ぶ部分においては単電池の放熱性が優れるために、全体的な放熱性を向上させることができる。このように、少なくとも一部の単電池を横置きに配置して単電池の放熱性を高めることができる。
【0056】
第2の単電池25が連続して並ぶ個数については、第2の単電池25の放熱性が大きく悪化しない個数であることが好ましい。例えば、第2の単電池25が連続して並ぶ個数よりも、第1の単電池22が連続して並ぶ個数の方が多くなることが好ましい。すなわち、複数の単電池のケース23の側面23b同士の対向数が、複数の単電池のケース23の面積最大面23a同士の対向数よりも大きくなることが好ましい。このように、連続して並ぶ横置きの単電池の個数が連続して並ぶ縦置きの単電池の個数よりも多くなるように形成することにより、複数の単電池の全体的な放熱性を向上させることができる。図6に示す実施例においては、第2の単電池25が2個連続して並んでいるが、面積最大面23a同士が互いに接触している面数が少ないために、第2の単電池25の放熱性も確保することができる。
【0057】
本実施の形態の第3の蓄電装置においては、第2の単電池25の面積最大面23aが第1の単電池22の面積最大面23aに対して略垂直になる様に形成されているが、この形態に限られず、第2の単電池25の面積最大面23aが第1の単電池22の面積最大面23aに対して傾斜するように配置されていても構わない。すなわち、第1の単電池22は、面積最大面23aが基準となる平面にほぼ平行になるように配置され、第2の単電池25は、面積最大面23aが基準となる平面に対して交差するように配置されていても構わない。
【0058】
本実施の形態における単電池は、リチウムイオン電池のうち全固体電池を例示して説明したが、この形態に限られず、発熱する任意の単電池を含む蓄電装置に本発明を適用することができる。たとえば、電解質層が液体により形成されているリチウムイオン電池等に本発明を適用することができる。
【0059】
本実施の形態の蓄電装置においては、密閉容器が常に密閉されているが、この形態に限られず、密閉容器は密閉可能に形成されていれば構わない。たとえば、密閉容器に内部の圧力を調整する圧力調整装置が接続され、蓄電装置の使用時に内部の圧力が調整されても構わない。
【0060】
また、本実施の形態においては、密閉容器の内部に充填される流体として気体が採用されているが、この形態に限られず、密閉容器の内部には、任意の流体を充填することができる。たとえば、密閉容器の内部に液体が充填されていても構わない。
【0061】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。
【符号の説明】
【0062】
22,25 単電池
23 ケース
23a 面積最大面
24 密閉容器
30 正極層
31 負極層
32 電解質層
33 集電体
41 位置決め部材
45 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池と、
複数の単電池を内部に収容し、密閉可能な密閉容器とを備え、
単電池は、面積が最大になる面積最大面を有するケースを含み、
密閉容器は、内部が密閉された状態で加圧された流体が充填されており、
複数の単電池は、密閉容器の内部において、ケースの面積最大面が同一平面状に配置されていることを特徴とする、蓄電装置。
【請求項2】
ケースの面積最大面と密閉容器の壁面との間には隙間が形成されている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
ケースの面積最大面が同一平面状に配置されている単電池が第1の単電池を構成し、
密閉容器の内部において、ケースの面積最大面が第1の単電池の面積最大面に対して、ほぼ垂直になるように配置されている複数の第2の単電池を備え、
第2の単電池が連続して並ぶ個数よりも第1の単電池が連続して並ぶ個数の方が多くなるように配置されている、請求項1または2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
単電池は、固体の正極層、固体の電解質層および固体の負極層を有する全固体電池を含む、請求項1または2に記載の蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−84459(P2013−84459A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223933(P2011−223933)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】