説明

装置の筐体構造およびサブカバー開閉構造

【課題】 装置本体に対するサブカバーの開放、閉塞時の固定を、ネジや支え棒等の別パーツを使わずに実現すること。
【解決手段】 装置本体(11)をメインカバー(13)及びサブカバー(15)を備えた装置(10)の筐体構造において、開閉機構(35,36,51,52)はサブカバーを装置本体に対して開閉するのを可能とする。第1のロック手段(31,41a)は装置本体に対してサブカバーを閉塞した状態でその閉塞状態をロックする。第2のロック手段(31,45)は装置本体に対してサブカバーを開放した状態でその開放状態をロックする。閉塞維持手段(32,42)は第1のロック手段と協働して、サブカバーの閉塞状態を維持する。開放維持手段(33,46,47,48)は第2のロック手段と協働して、サブカバーの開放状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の装置の筐体構造に関し、特に、主装置の配線部など、内部に工事部を有する箇所を覆うサブカバーの開閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々の装置の筐体構造が提案されている。例えば、電子機器のカバーの着脱が容易となり、電子機器の設置工事及び保守点検作業が安全かつ迅速に行えるようにした電子機器筐体構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示された電子機器筐体構造では、電子機器筐体のカバーをメインカバーとサブカバーとに分割し、サブカバーのベースへの取付け構造として、サブカバーに設けた突起片とベースに設けたスリットとの係合構造を採用している。詳述すると、カバーを、原則として取り外されることのないメインカバーと、取り外されることのあるサブカバーとで構成する。サブカバーのベースへの装着は、サブカバーの両側面に設けた突起片と、ベースの両側面に設けたスリットとの係合及びサブカバーの前面に設けた孔と、ベースの前面に設けた孔を通してのねじの締付けにより行う。
【0003】
また、止ねじを使用せずにケースにカバーを固定できるようにした電子機器の筐体構造も知られている(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に開示された電子機器の筐体構造では、電子部品ユニットを収容する筐体を、片面が開口するケースと、このケースの開口部を覆う主カバー及び電池収容部を覆うサブカバーとより構成している。ケースに対して主カバーをスライドさせて、ケースに設けた凹溝に主カバーの突条を係合することにより主カバーの一端側を係止している。また主カバーの他端側に設けた係止部をケース側の切欠に圧入することにより主ケースのスライドを係止している。ケースに対してサブカバーをスライドさせてケースの凹溝にサブカバーの突条を係合させることにより、ケースに対してサブカバーを係止している。と同時に、主カバーサブカバーを係止することにより、サブカバーのスライドを係止している。
【0004】
更に、台座部分と外装カバーとから構成されるラインプリンタの筐体において、台座部分と外装カバーとの係合部分の防音効果を高めながら、且つ一体化された比較的大型のカバーでも容易に取付け・取外しが容易なカバーの取付け方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この特許文献3では、台座部分の上部の左右にガイドレールを設け、外装カバーはガイドレールに沿ってスライド可能な2つの長手係合部を備えている。台座部分の左右に設けたガイドレールと外装カバー取付け時のスライドによる係合部分の気密性によって防音効果を高めている。また、係合部分と外装カバーの固定ネジによって取付け時の位置決めを不要にし、ガイドレールと合わせて外装カバーの取扱いを容易にしている。
【0005】
また、押圧操作によりロック部材本体に被ロック部材を固定できるロック機構が知られている(例えば、特許文献4参照)。この特許文献4に開示されたロック機構は、ロック部材本体に設けられた係合手段と、ロック手段とを有する。係合手段は、被ロック部材の被係合部を所定位置にセットすると被係合部と係合可能な姿勢となり、押圧操作により被係合部と係合する。ロック手段は、係合手段が被係合手段に係合した状態で係合手段をロックする。
【0006】
【特許文献1】特開平8−78861号公報
【特許文献2】特開平4−177796号公報
【特許文献3】特開2003−326805号公報
【特許文献4】特開平11−172991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子機器は、ボタン電話装置等の主装置であって良い。主装置は、床に設置して使用されたり、室内の高所に設置して使用される。主装置を床へ設置した場合には、サブカバーを取り外した方が、作業者は工事がし易い。一方、主装置を高所へ設置する場合には、サブカバーを開放状態で固定できる方が、作業者は工事がし易い。
【0008】
しかしながら、従来においては、前述した特許文献1に開示されているように、主装置の工事部を覆うサブカバーは閉塞状態ではネジにて装置本体に固定されている。
【0009】
その為、工事の際にサブカバーを開放する為には工具が必要となる。また、工事終了までその取り外した固定用ネジを保管することが必要である。さらに、工事中に取り外したサブカバーも工事終了まで保管する必要がある。その為、高所等で工事する際にはサブカバーを工事の邪魔にならない場所(低所)へ一旦置きに行くなどの余計な動作を行う必要があり、工事性が悪くなる。
【0010】
また、サブカバーを開放状態で装置本体に固定できる場合も、支え棒などの別パーツによる固定が一般的である。その為、工事性、製造性、コスト的にも不利となる。
【0011】
尚、特許文献2では、ケースに対して止ねじを使用せずに主カバー及びサブカバーを取り付けることができるようにしている。しかしながら、特許文献2の構造では、サブカバーはケースに対して取付け・取外しができるだけであって、サブカバーを開放状態でケースに対して固定することはできない。
【0012】
引用文献3は、外装カバーを台座部分に対してスライド可能にしたラインプリンタの筐体を開示しているに過ぎず、外装カバーは固定ネジによって台座部分に取り付けられる。したがって、前述した特許文献1と同様の問題点を有している。
【0013】
引用文献4は、ロック部材本体に対して被ロック部材を固定することができるロック機構を開示しているに過ぎない。換言すれば、引用文献4は、ロック部材本体に対して被ロック部材を閉塞した状態でその閉塞状態をロックするロック機構を開示しているだけであって、ロック部材本体に対して被ロック部材を開放した状態でその開放状態をロックするロック機構については何ら開示せず、示唆する記載もない。
【0014】
したがって、本発明の課題は、サブカバーを閉塞状態でロックできるだけなく、サブカバーを開放状態でもロックすることができる、装置の筐体構造を提供することにある。
【0015】
本発明の他の課題は、サブカバーを取り外すこともできる、装置の筐体構造を提供することにある。
【0016】
本発明のもっと別の課題は、上述したサブカバーのロック動作や取り外し動作を、ネジや支え棒等の別パーツを使わずに実現できる、装置の筐体構造を提供することにある。
【0017】
本発明の具体的な目的は、工事部を覆うサブカバーの開放状態での主装置への固定が単一部品のみで、かつ簡単な構造で実現することができる、サブカバー開閉構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、装置本体を覆うメインカバー及びサブカバーを備えた装置の筐体構造であって、サブカバーを装置本体に対して開閉するのを可能とする開閉機構と、装置本体に対してサブカバーを閉塞した状態でその閉塞状態をロックする第1のロック手段と、装置本体に対してサブカバーを開放した状態でその開放状態をロックする第2のロック手段と、を備えた装置の筐体構造が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の装置の筐体構造は、装置本体に対してサブカバーを閉塞した状態でその閉塞状態をロックする第1のロック手段と、装置本体に対してサブカバーを開放した状態でその開放状態をロックする第2のロック手段とを備えた構成を採用することにより、閉じた状態ではネジを使わずにサブカバーを装置本体に固定でき、また開放時にもネジを使わずに装置本体にサブカバーを開放状態で固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1、図2、図3を参照すると、本発明が適用される装置10は、ボタン電話装置等の主装置である。この主装置10は、床に設置して使用したり、室内の高所に設置して使用される。
【0022】
装置10は、装置本体11と、装置本体11の前面を覆うカバーとから構成されている。カバーは、装置本体11の前面上方を塞ぐメインカバー13と、装置本体11の前面下方を塞ぐサブカバー15とから構成されている。
【0023】
メインカバー13は、原則として取り外されることがないものである。サブカバー15は、装置本体11に対して開閉可能であり、装置本体11から取り外しも可能である。
【0024】
図1は装置本体11に対してサブカバー15を閉塞した状態を示し、図2及び図3は装置本体11に対してサブカバー15を開放した状態を示している。
【0025】
サブカバー15は、装置本体11の下方に設けられた工事部17を覆っている。工事部17は主装置10の配線部などである。主装置10を床へ設置した場合には、サブカバー15を装置本体11から取り外した方が、作業者は工事部17の工事がし易い。これに対して、主装置10を高所に設置した場合には、図3に示されるように、サブカバー15を開放状態で装置本体11に固定できる方が、作業者は工事部17の工事がし易い。
【0026】
図4、図5を参照すると、サブカバー15は、前方(正面)に設けられた前板(正面板)21と、前板21の右側端から後方へ延在する右側板22と、前板21の左側端から後方へ延在する左側板23と、前板21の下端から後方へ延在する底板24とから構成されている。
【0027】
前板21は、前面21aと背面21bとを持つ。前板21の背面21bには、その上端中央で上方に突出した主ツメ31が設けられている。底板24には、その奥行き端(後端)の2箇所で上方に突出した2つの第1の副ツメ32が設けられている。この第1の副ツメ32は、サブカバー15の閉塞時に使用されるものである。尚、本実施の形態では、第1の副ツメ32を2つ設けているが、1つでも良く、3つ以上あっても良い。
【0028】
また、前板21の背面21bには、その上端の両側面側近傍で上方へ突出する一対の第2の副ツメ33が設けられている。この一対の第2の副ツメ33は、サブカバー15の開放時に使用されるものである。さらに、前板21の背面21bには、右側の第2の副ツメ33より内側に右側レール35が設けられ、左側の第2の副ツメ33より内側に左側レール36が設けられている。
【0029】
図6は主ツメ31を正面側から見た拡大斜視図であり、図7は主ツメ31を背面側からみた拡大斜視図である。主ツメ31は、前方へ突出した突起部311を持つ。図8は第2の副ツメ33を正面側から見た拡大斜視図である。
【0030】
図9は右側レール35を背面側から見た拡大斜視図であり、図10は左側レール36を背面側から見た拡大斜視図である。
【0031】
図9に示されるように、右側レール35は、前板21の背面21bから後方へ離間しかつ背面21bと平行に上下方向に延在するレール部351を有する。レール部351は、その途中で左右両側から内側に切り欠かれた一対の切り欠き部351aを持つ。レール部351の上端部は逆J字形をしており、レール部351の下端部はJ字形をしている。
【0032】
図10に示されるように、同様に、左側レール36は、前板21の背面21bから後方へ離間しかつ背面21bと平行に上下方向に延在するレール部361を有する。レール部361は、その途中で左右両側から内側に切り欠かれた一対の切り欠き部361aを持つ。レール部351と同様に、レール部361の上端部は逆J字形をしており、レール部361の下端部はJ字形をしている。
【0033】
これら切り欠き部351a、361aは、後述する動作軸をレール部351、361に対して挿抜するためのものである。また、レール部351、361の上端部の湾曲部分は、サブカバー15を動作軸の回りに回転可能に支持するためのものである。
【0034】
図11を参照すると、メインカバー13には、その下端中央に、サブカバー15の閉塞時に主ツメ31が挿入される主ツメ挿入穴41が空けられている。メインカバー13は、この主ツメ挿入穴41内に、主ツメ31の突起部311が引っ掛かる主リブ41a(図1)を有する。
【0035】
装置本体11には、その後方下端の2箇所に、サブカバー15の閉塞時に一対の第1の副ツメ32が挿入される一対の第1の副ツメ挿入穴42が空けられている。また、メインカバー13には、その下端の両側近傍に、サブカバー15の閉塞時に一対の第2の副ツメ33が挿入される一対の第2の副ツメ挿入穴43が空けられている。
【0036】
一方、装置本体11には、上記主ツメ挿入穴41の下方に、サブカバー15の開放時に主ツメ31が挿入される主ツメ挿入穴45が空けられている。装置本体11には、右側の第2の副ツメ挿入穴43の下方に、サブカバー15の開放時に右側の第2の副ツメ33を係止するための右側副リブ46が設けられている。また、装置本体11には、左側の第2の副ツメ挿入穴43の下方に、サブカバー15の開放時に、左側の第2の副ツメ33を係止するための左側副リブ47が設けられると共に左側の第2の副ツメ33が挿入される第2の副ツメ挿入穴48が空けられている。すなわち、左側副リブ47の下端に第2の副ツメ挿入穴48が設けられている。
【0037】
また、装置本体11には、右側副リブ46の内側近傍に、右側レール35に挿入される右側動作軸51が設けられている。同様に、装置本体11には、左側副リブ47の内側近傍に、左側レール36に挿入される左側動作軸52が設けられている。
【0038】
メインカバー13には、右側の第2の副ツメ挿入穴43の近傍内側に、右側レール35が挿入される右側レール挿入穴56が空けられている。同様に、メインカバー13には、左側の第2の副ツメ挿入穴43の近傍内側に、左側レール36が挿入される左側レール挿入穴57が空けられている。
【0039】
図12は右側動作軸51の近傍を正面側から見た拡大斜視図である。図13は左側動作軸52の近傍を正面側から見た拡大斜視図である。図12に示されるように、右側動作軸51は、真ん中に空隙51aがある左右一対の軸511から構成されている。図13に示されるように、左側動作軸52も同様に、真ん中に空隙52aがある左右一対の軸521から構成されている。
【0040】
上述した構成において、右側レール35、左側レール36、右側動作軸51、および左側動作軸52との組み合わせは、サブカバー15を装置本体11に対して開閉するのを可能とする開閉機構として動作する。本実施の形態では、この開閉機構は、サブカバー15を上下方向にスライド可能で、かつサブカバー15の上端の回りで回転可能なスライド・回転機構で構成されている。
【0041】
主ツメ31と、主ツメ挿入穴41内に設けられた主リブ41aとの組み合わせは、装置本体11に対してサブカバー15を閉塞した状態でその閉塞状態をロックする第1のロック手段として働く。一方、主ツメ31と、装置本体11に空けられた主ツメ挿入穴45との組み合わせは、装置本体11に対してサブカバー15を開放した状態でその開放状態をロックする第2のロック手段として働く。
【0042】
装置本体11に対してサブカバー15を閉塞した状態でその閉塞状態をロックする第1のロック手段を備えているので、閉じた状態でネジを使わずにサブカバー15を装置本体11に固定できる。また、装置本体11に対してサブカバー15を開放した状態でその開放状態をロックする第2のロック手段を備えているので、開放時にもネジや支え棒などの別パーツを使わずに装置本体11にサブカバー15を固定することができる。
【0043】
また、第1の副ツメ32と、第1の副ツメ挿入穴42との組み合わせは、上記第1のロック手段と協働して、サブカバー15の閉塞状態を維持する閉塞維持手段として働く。また、第2の副ツメ33と、副リブ46および47と、挿入穴48との組み合わせは、上記第2のロック手段と協働して、サブカバー15の開放状態を維持する開放維持手段として働く。
【0044】
第1のロック手段と協働して、サブカバー15の閉塞状態を維持する閉塞維持手段を備えているので、サブカバー15の閉塞状態において、ネジを使わずに、サブカバー15を装置本体11に対して確実に固定することができる。第2のロック手段と協働して、サブカバー15の開放状態を維持する開放維持手段を備えているので、サブカバー15の開放状態において、ネジや支え棒などの別パーツを使わずに、サブカバー15を装置本体11に対して確実に固定することができる。尚、図示の実施の形態における開放維持手段では、第2の副ツメ33を係止する係止手段として、副リブ46,47、挿入穴48を用いているが、係止手段は、この実施の形態に限定されず、装置本体11の構成に応じて種々のものを採用できる。例えば、係止手段としては、副リブだけを用いても良いし、挿入穴だけで構成しても良い。
【0045】
さらに、右側レール35の切り欠き部351a、左側レール36の切り欠き部361a、右側動作軸51の空隙51a、および左側動作軸52の空隙52aの組み合わせは、サブカバー15を装置本体11に対して着脱するのを可能とする着脱手段として働く。
【0046】
サブカバー15を装置本体11に対して着脱するのを可能とする着脱手段を備えているので、サブカバー15を装置本体11から取り外すこともできる。
【0047】
図1を参照して、サブカバー15の閉塞状態について説明する。この状態では、サブカバー15は、主ツメ31および第1の副ツメ32によって装置本体11に固定される。詳述すると、主ツメ31は、メインカバー13に空けられた主ツメ挿入穴41に挿入された状態で、主リブ41aに引っ掛けられて、サブカバー15を閉塞状態にロックしている。一方、第1の副ツメ32は、第1の副ツメ挿入穴42に挿入されて、サブカバー15の閉塞状態が維持されている。尚、第2の副ツメ33は、メインカバー13に空けられた第2の副ツメ挿入穴43に挿入されている。また、右側動作軸51および左側動作軸52は、それぞれ、右側レール35および左側レール36に挿入されている。
【0048】
このように、本実施の形態では、主ツメ31、主リブ41a、第1の副ツメ32、および第1の副ツメ挿入穴41を備えているので、サブカバー15の閉塞状態において、ネジを使用せずに、サブカバー15を装置本体11に対して確実に固定することができる。
【0049】
次に、図3を参照して、サブカバー15の開放状態について説明する。この状態では、サブカバー15は、主ツメ31および第2の副ツメ33によって装置本体11に固定される。詳述すると、主ツメ31は、装置本体11に空けられた主ツメ挿入穴45に挿入されて、サブカバー15を開放状態にロックしている。一方、右側の第2の副ツメ33は右側副リブ46で係止され、左側の第2の副ツメ33は左側副リブ47で係止され、かつ、第2の副ツメ挿入穴48に挿入されて、サブカバー15の開放状態が維持されている。なお、この状態でも、右側動作軸51および左側動作軸52は、それぞれ、右側レール35および左側レール36に挿入されている。
【0050】
このように、本実施の形態では、主ツメ31、主ツメ挿入穴45、第2の副ツメ33、右側副リブ46、左側副リブ47、および第2の副ツメ挿入穴48を備えているので、サブカバー15の開放状態において、ネジや支え棒などの別パーツを使用せずに、サブカバー15を装置本体11に対して確実に固定することができる。
【0051】
次に、図14乃至図19を参照して、本装置の筐体構造の動作について説明する。
【0052】
最初に、図14乃至図16および図19を参照して、サブカバー15が装置本体11に閉塞状態で固定されている状態から、サブカバー15を装置本体11から取り外す場合の動作について説明する。
【0053】
図14は、図1と同様に、サブカバー15の閉塞状態を示している。この状態から主ツメ13の上をメインカバー13の表面から押して、主ツメ31の主リブ41aへの引っ掛かりを解除し、主ツメ13によるサブカバー15の閉塞状態のロックを解除する。
【0054】
次に、図15において、右側レール35および左側レール36に沿ってサブカバー15を、矢印Aで示されるように、下方にスライドさせる。
【0055】
次に、図19に示されるように、サブカバー15を若干上方へスライドさせて、右側動作軸51および左側動作軸52がそれぞれ右側レール35および左側レール36の切り欠き部35a、36aに位置するようにする。
【0056】
最後に、図16に示されるように、右側レール35および左側レール36の切り欠き部35a、36aより、右側動作軸51および左側動作軸52を抜き取る。これによって、サブカバー15が装置本体11から取り外される。
【0057】
このように、本実施の形態では、右側レール35に切り欠き部35aを、左側レール36に切り欠き部36aを、右側動作軸51に空隙51aを、左側動作軸52に空隙52aを、それぞれ、設けることにより、サブカバー15を装置本体11から取り外すことができる。これにより、主装置10を床へ設置して使用している場合には、作業者は、サブカバー15を装置本体11から取り外した状態で、工事部17の工事をすることができる。
【0058】
尚、サブカバー15が装置本体11から取り外されている状態から、サブカバー15を装置本体11に閉塞状態で固定する場合には、上述した動作と逆の動作を行えば良い。
【0059】
次に、図14、図15、図17および図18を参照して、サブカバー15が装置本体11に閉塞状態で固定されている状態から、サブカバー15を装置本体11に開放状態で固定する場合の動作について説明する。
【0060】
先ず、図14のサブカバー15の閉塞状態から、主ツメ13の上を押して、サブカバー15の閉塞状態のロックを解除する。次に、図15において、右側レール35および左側レール36に沿ってサブカバー15を、矢印Aで示されるように、下方にスライドさせる。
【0061】
次に、図17において、右側動作軸51および左側動作軸52を中心にして、矢印Bで示されるように、サブカバー15を手前上方に90度回転させて、サブカバー15を引き上げる。
【0062】
次に、図18において、矢印Cで示されるように、サブカバー15を装置本体11へ押し込み、主ツメ31を主ツメ挿入穴45に挿入する。と同時に、第2の副ツメ33を副リブ46および47に係止させる。尚、このとき、左側の第2の副ツメ33は、第2の副ツメ挿入穴48に挿入される。これにより、サブカバー15は装置本体11に開放状態で固定される。
【0063】
このように、本実施の形態では、ネジや支え棒などの別パーツを使用せずに、サブカバー15の開放状態において、サブカバー15を装置本体11に確実に固定することができる。これにより、主装置10が室内の高所に設置して使用している場合には、作業者は、サブカバー15を開放状態で装置本体11に固定した状態で、工事部17の工事をすることができる。従って、工事性および製造性の向上と、コストの低減とを図ることができる。
【0064】
尚、サブカバー15が装置本体11に開放状態で固定されている状態から、サブカバー15を装置本体11に閉塞状態で固定する場合には、上述した動作と逆の動作を行えば良い。
【0065】
以上、本発明について好ましい実施の形態について説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨(主題)を逸脱しない範囲内で種々の変形・変更が可能なのは勿論である。例えば、装置の形状によっては、サブカバーの横(側端)に主ツメを設け、装置本体側壁に主ツメを差し込む穴(例えば、十字穴)を設け、横方向スライドでサブカバーの開放・閉塞状態を実現しても良い。また、上述した実施の形態では、装置がボタン電話装置等の主装置である場合を例に挙げて説明したが、装置としては、通信機主装置やたとえばクーラーなどの家庭用電気製品の工事、メンテナンス時に作業者がサブカバーを開けて作業する電子機器に適用可能である。装置は電子機器に限定されないのは勿論である。また、本発明は、家庭用電気製品などの電池部の蓋などにも応用が可能である。また、本発明の必須の構成要件は、開閉機構、第1のロック手段、および第2のロック手段であるので、着脱手段や閉塞維持手段、開放維持手段は、必要に応じて選択的に備えるようにすれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の好ましい実施の形態による装置の筐体構造を、サブカバーの閉塞状態で示す斜視図である。
【図2】図1に示した装置の筐体構造を、サブカバーの開放状態で示す斜視図である。
【図3】図1に示した装置の筐体構造を、サブカバーの開放状態で示す斜視図である。
【図4】図1に示した装置の筐体構造に使用されるサブカバーを、正面側から見た斜視図である。
【図5】図1に示した装置の筐体構造に使用されるサブカバーを、背面側から見た斜視図である。
【図6】図4および図5に示したサブカバーに設けられた主ツメを正面側から見た拡大斜視図である。
【図7】図4および図5に示したサブカバーに設けられた主ツメを背面側からみた拡大斜視図である。
【図8】図4および図5に示したサブカバーに設けられた第2の副ツメを正面側から見た拡大斜視図である。
【図9】図4および図5に示したサブカバーに設けられた右側レールを背面側から見た拡大斜視図である。
【図10】図4および図5に示したサブカバーに設けられた左側レールを背面側から見た拡大斜視図である。
【図11】図1に示した装置の筐体構造に使用される装置本体およびメインカバーを、正面側から見た斜視図である。
【図12】図11に示した装置本体に取付けられる右側動作軸の近傍を正面側から見た拡大斜視図である。
【図13】図11に示した装置本体に取付けられる左側動作軸の近傍を正面側から見た拡大斜視図である。
【図14】本発明に係る装置の筐体構造の動作を説明するための図で、主ツメの上を押している状態を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る装置の筐体構造の動作を説明するための図で、サブカバーをレールに沿って引き下ろしている状態を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る装置の筐体構造の動作を説明するための図で、サブカバーを装置本体から取り外した状態を示す斜視図である。
【図17】本発明に係る装置の筐体構造の動作を説明するための図で、装置本体の動作軸を中心にサブカバーを手前上方を回転させて引き上げている状態を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る装置の筐体構造の動作を説明するための図で、サブカバーを装置本体へ押し込み、主ツメを挿入穴に挿入すると同時に副ツメを副リブへ係止している状態を示す斜視図である。
【図19】本発明に係る装置の筐体構造の動作を説明するための図で、装置本体からサブカバーを取り外す際の、右側動作軸と右側レールとの配置関係を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 装置
11 装置本体
13 メインカバー
15 サブカバー
21 前板
24 底板
31 主ツメ
32 第1の副ツメ
33 第2の副ツメ
35 右側レール
351a 切り欠き部
36 左側レール
361a 切り欠き部
41 主ツメ挿入穴
41a 主リブ
45 主ツメ挿入穴
46 右側副リブ
47 左側副リブ
48 第2の副ツメ挿入穴
51 右側動作軸
51a 空隙
52 左側動作軸
52a 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体(11)を覆うメインカバー(13)及びサブカバー(15)を備えた装置(10)の筐体構造であって、
前記サブカバーを前記装置本体に対して開閉するのを可能とする開閉機構と、
前記装置本体に対して前記サブカバーを閉塞した状態でその閉塞状態をロックする第1のロック手段と、
前記装置本体に対して前記サブカバーを開放した状態でその開放状態をロックする第2のロック手段と、
を備えた装置の筐体構造。
【請求項2】
前記サブカバーを前記装置本体に対して着脱するのを可能とする着脱手段を更に有する、請求項1に記載の装置の筐体構造。
【請求項3】
前記第1のロック手段と協働して、前記サブカバーの閉塞状態を維持する閉塞維持手段を更に有する、請求項1又は2に記載の装置の筐体構造。
【請求項4】
前記第2のロック手段と協働して、前記サブカバーの開放状態を維持する開放維持手段を更に有する、請求項1又は2に記載の装置の筐体構造。
【請求項5】
前記装置が電子機器である、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の装置の筐体構造。
【請求項6】
前記電子機器がボタン電話装置の主装置であり、前記サブカバーは前記主装置の工事部を覆うものである、請求項5に記載の装置の筐体構造。
【請求項7】
装置本体(11)を覆うメインカバー(13)及びサブカバー(15)を備えた装置(10)の筐体構造であって、
前記メインカバーは前記装置本体の前面上方を塞ぐ形状をしており、前記サブカバーは前記装置本体の前面下方を塞ぐ形状をしており、
前記サブカバーを前記装置本体に対して開閉するのを可能とする開閉機構と、
前記装置本体に対して前記サブカバーを閉塞した状態でその閉塞状態をロックする第1のロック手段と、
前記装置本体に対して前記サブカバーを開放した状態でその開放状態をロックする第2のロック手段と、
を備えた装置の筐体構造。
【請求項8】
前記サブカバーを前記装置本体に対して着脱するのを可能とする着脱手段を更に有する、請求項7に記載の装置の筐体構造。
【請求項9】
前記第1のロック手段と協働して、前記サブカバーの閉塞状態を維持する閉塞維持手段を更に有する、請求項7又は8に記載の装置の筐体構造。
【請求項10】
前記第2のロック手段と協働して、前記サブカバーの開放状態を維持する開放維持手段を更に有する、請求項7又は8に記載の装置の筐体構造。
【請求項11】
前記第1のロック手段は、前記サブカバー(15)の上端から上方へ延在する主ツメ(31)と、前記メインカバー(13)の下端に空けられかつ前記主ツメが挿入される挿入穴(41)内に設けられ、前記主ツメが引っ掛けられる主リブ(41a)と、から構成される請求項7に記載の装置の筐体構造。
【請求項12】
前記第2のロック手段は、前記サブカバー(15)の上端から上方へ延在する主ツメ(31)と、前記装置本体(11)に設けられて、前記主ツメが挿入される挿入穴(45)と、から構成される請求項7に記載の装置の筐体構造。
【請求項13】
前記サブカバー(15)は、前板(21)と、該前板の下端から後方へ延在する底板(24)とを有し、
前記閉塞維持手段は、前記底板の後端から上方へ延在する少なくとも1個の副ツメ(32)と、前記装置本体の下端に設けられて、前記副ツメが挿入される挿入穴(42)と、から構成される請求項9に記載の装置の筐体構造。
【請求項14】
前記開放維持手段は、前記サブカバー(15)の上端の両側端側で上方へ延在する一対の副ツメ(33)と、前記装置本体(11)から前方へ延在して、前記一対の副ツメを係止する一対の副リブ(46,47)と、から構成される請求項10に記載の装置の筐体構造。
【請求項15】
前記開放維持手段は、前記装置本体(11)の前記一対の副リブの一方の下端に形成されて、前記一対の副ツメの一方が挿入される挿入穴(48)を更に有する、請求項14に記載の装置の筐体構造。
【請求項16】
前記開閉機構は、前記サブカバーを上下方向にスライド可能で、かつ前記サブカバーの上端の回りで回転可能なスライド・回転機構である、請求項7に記載の装置の筐体構造。
【請求項17】
前記スライド・回転機構は、前記サブカバー(15)の上端の両側端側に設けられ、前記サブカバーから後方へ離間して上下方向に延在する一対のレール(35,36)と、前記装置本体(11)に取り付けられ、前記一対のレールに挿入される一対の動作軸(51,52)と、から構成される請求項16に記載の装置の筐体構造。
【請求項18】
前記開閉機構は、前記サブカバーを上下方向にスライド可能で、かつ前記サブカバーの上端の回りで回転可能なスライド・回転機構である、請求項8に記載の装置の筐体構造。
【請求項19】
前記スライド・回転機構は、前記サブカバー(15)の上端の両側端側に設けられ、前記サブカバーから後方へ離間して上下方向に延在する一対のレール(35,36)と、前記装置本体(11)に取り付けられ、前記一対のレールに挿入される一対の動作軸(51,52)と、から構成され、
前記着脱手段は、前記一対のレールの各々に設けられた切り欠き部(351a,361a)と、前記一対の動作軸の真ん中に空けられた空隙(51a,52a)と、から構成される請求項18に記載の装置の筐体構造。
【請求項20】
前記装置が電子機器である、請求項7乃至請求項19のいずれか1つに記載の装置の筐体構造。
【請求項21】
前記電子機器がボタン電話装置の主装置であり、前記サブカバーは前記主装置の工事部を覆うものである、請求項20に記載の装置の筐体構造。
【請求項22】
装置本体(11)に対して開閉可能なサブカバー(15)を備えたサブカバー開閉構造に於いて、
前記装置本体(11)に対して前記サブカバー(15)を閉じた状態でネジを使用せずにその状態をロックでき、前記装置本体(11)に対して前記サブカバー(15)を開いた状態でも別パーツを使用せずにその状態をロックできるサブカバー開閉構造。
【請求項23】
前記サブカバー開閉構造は、
前記サブカバー(15)を閉じた状態でロックする場合は、前記サブカバーを閉じた状態にしたとき主ツメ(31)を主リブ(41a)に引っ掛けてロックし、
前記サブカバー(15)を閉じた状態から開いた状態にロックする場合は、前記主ツメ(31)の上を装置表面より指で押して前記主リブ(41a)から前記主ツメ(31)を外してロックを解除し、レール(35,36)に沿って前記サブカバー(15)を下方にスライドさせ、前記サブカバー(15)を上方へ回転させながら引き上げて、前記サブカバー(15)を前記装置本体の中に押し込んで前記主ツメを前記装置本体の挿入穴(45)内に押し込み、かつ、第2のツメ(33)を前記装置本体の第2のリブ(46,47)に係止させてロックするように構成したことを特徴とする請求項22に記載のサブカバー開閉構造。
【請求項24】
装置本体(11)に対して開閉可能なサブカバー(15)を備えたサブカバー開閉構造に於いて、
前記装置本体(11)に対して前記サブカバー(15)を閉じた状態でネジを使用せずにその状態をロックでき、前記装置本体(11)に対して前記サブカバー(15)を開いた状態でも別パーツを使用せずにその状態をロックでき、前記サブカバー(15)を前記装置本体(11)から取り外しも可能なサブカバー開閉構造。
【請求項25】
前記サブカバー開閉構造は、
前記サブカバー(15)を閉じた状態でロックする場合は、前記サブカバーを閉じた状態にしたとき主ツメ(31)を主リブ(41a)に引っ掛けてロックし、
前記サブカバー(15)を閉じた状態から開いた状態にロックする場合は、前記主ツメ(31)の上を装置表面より指で押して前記主リブ(41a)から前記主ツメ(31)を外してロックを解除し、レール(35,36)に沿って前記サブカバー(15)を下方にスライドさせ、前記サブカバー(15)を上方へ回転させながら引き上げて、前記サブカバー(15)を前記装置本体の中に押し込んで前記主ツメを前記装置本体の挿入穴(45)内に押し込み、かつ、第2のツメを(33)前記装置本体の第2のリブ(46,47)に係止させてロックし、
前記サブカバー(15)を前記装置本体(11)から取り外す場合は、前記レール(35,36)に沿って前記サブカバーをスライドさせたとき、前記レールの切り欠き部(351a,361a)より前記サブカバーを取り外すように構成したことを特徴とする請求項24に記載のサブカバー開閉構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−147678(P2006−147678A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332717(P2004−332717)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】