説明

車両用バッテリユニット装着装置

【課題】車体に対するバッテリユニットの装着を確実に行い得る車両用バッテリユニット装着装置を提供する。
【解決手段】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置におけるストライカ装置9は、ベースプレート90とストライカ91とを有している。ベースプレート90は、ベースプレート下壁90aと、ベースプレート側壁90bと、凹部90cとを有している。ストライカ91は、フレーム下壁20cと略平行な状態で延びる支持部91aを有している。また、ストライカ91の一端91bは、支持部91aから略垂直方向で上方に延びた後にベースプレート下壁90aと平行に延び、ベースプレート下壁90aの凹部90c内において支持された状態で溶接されている。一方、ストライカ91の他端91cは、支持部91aから略垂直方向で上方に延び、ベースプレート側壁90bに溶接されている。また、支持部91aはフレーム下壁20cの下方に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリユニットを脱着可能な電気自動車等に用いられる車両用バッテリユニット装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
普及が検討されている電気自動車等においては、走行用のモータに対する電力の供給源としてバッテリが装着されている。このバッテリはケース内に収納されてバッテリユニットとされ、バッテリユニットが車体に装着される。このような電気自動車等では、車体に装着されたバッテリユニットに蓄えられた電力が放電された場合には、バッテリユニットを充電したり、放電されたバッテリユニットと充電済みのバッテリユニットとを交換したりする必要がある。そして、バッテリユニットの交換を行う電気自動車等では、車体の底部にバッテリユニットを装着可能とし、車体の下方からバッテリユニット装着装置によってバッテリユニットを交換可能とするタイプがある。このようなバッテリユニットの交換方法に対しては、車体に対してバッテリユニットを効率的に装着する必要性から、種々の車両用バッテリユニット装着装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された車両用バッテリユニット装着装置は、車体の下方で上下方向に設けられたボルトと、このボルトに固定されるナットとを備えている。この車両用バッテリユニット装着装置では、ボルトとナットとによって車体の下方に対してバッテリユニットの装着を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−184621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の車両用バッテリユニット装着装置では、バッテリユニットが車体に装着された際、ボルトの軸方向にバッテリユニットの荷重が作用する。このため、ボルトがその荷重を支持し難く、バッテリユニットを強固に車体に装着できないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、車体に対するバッテリユニットの装着を確実に行い得る車両用バッテリユニット装着装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用バッテリユニット装着装置は、車体の下方に対してバッテリユニットの装着を行うための車両用バッテリユニット装着装置であって、
前記車体に固定され、ベースプレートと、該ベースプレートに固定され、荷重を支持可能な支持部を一部にもつストライカとを有するストライカ装置と、
前記バッテリユニットに固定され、該支持部を固定可能なロック装置とを備え、
前記車体には、前記バッテリユニットが装着されない状態において該車体の下面の一部を構成するフレームが設けられ、
前記ベースプレートは該フレームに固定され、前記ストライカは、前記支持部を該フレームの下方に位置させて該ベースプレートに両端が固定されていることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
本発明の車両用バッテリユニット装着装置では、バッテリユニットに固定されたロック装置に対し、車体に固定されたストライカ装置の支持部を固定させることで、車体の下方に対してバッテリユニットの装着を行うことができる。ここで、ストライカ装置は、ベースプレートと、ベースプレートに固定されたストライカとを有している。ベースプレートは、車体の下面の一部を構成するフレームに固定されている。また、自己の一部に支持部をもつストライカは、その支持部をフレームの下方に位置させてベースプレートに両端が固定されている。このため、バッテリユニットの荷重は支持部の両端に分担されてベースプレートに伝達され、フレームによって支持される。このため、バッテリユニットを強固に車体に装着できる。
【0009】
したがって、本発明の車両用バッテリユニット装着装置では、車体に対するバッテリユニットの装着を確実に行うことができる。
【0010】
また、本発明の車両用バッテリユニット装着装置では、支持部がフレームの下方に位置することになる。このため、支持部がフレームの側方に位置する場合と比較して、バッテリユニットをフレームにより近接させることが可能であり、車体に対して可及的に大型のバッテリユニットを装着することができる。
【0011】
本発明の車両用バッテリユニット装着装置は、バッテリに蓄電された電力によって走行する車両において、車体にバッテリユニットを装着する装置として主に採用され得る。また、ガソリンや軽油等の燃料によって走行する車両において、車体にバッテリユニットを装着する装置としても採用することができる。なお、本発明において、車体の概念には、乗用自動車の車体だけでなく、フォークリフト等の産業車両や、自動搬送車等の車体も含まれる。
【0012】
また、本発明の車両用バッテリユニット装着装置において、ストライカ装置及びロック装置の個数に制限はなく、バッテリユニットの荷重に応じて、それらの個数を設計することが可能である。
【0013】
さらに、車体に設けられるフレームについても、その形状に限定はなく、車体やバッテリユニットの形状等に応じて種々に設計することが可能である。この際、車体の下方にバッテリユニットを搭載可能な空間を設け、その空間内にフレームを設けても良く、車体の下方にフレームを突出させても良い。また、車体とフレームとが一体であっても良く、車体とフレームとが別体であっても良い。
【0014】
特に、フレームは、一対のフレーム側壁と、両フレーム側壁の下端で接続されるフレーム下壁とを有し得る。また、ベースプレートは、フレーム下壁と略平行に延び、フレーム下壁に固定されるベースプレート下壁を有し得る。そして、ストライカの少なくとも一端は、支持部から上方に延びた後にベースプレート下壁と平行に延び、ベースプレート下壁の上面に溶接されていることが好ましい(請求項2)。
【0015】
この場合、フレーム下壁とベースプレート下壁とが略平行であることから、フレーム下壁に対してベースプレート下壁を好適に固定させることが可能となる。これにより、ストライカ装置がフレームに強固に固定され、フレームに対して、ストライカ装置における上記の荷重を好適に分担させることが可能となる。また、ストライカの一端がベースプレート下壁の上面に載置された状態でベースプレート下壁に固定されるため、支持部の一端がベースプレート下壁の上面で確実に支持される。これらのため、ストライカ装置の耐久性が向上し、車体に対するバッテリユニットの装着における信頼性が向上する。
【0016】
ベースプレートは、ベースプレート下壁の一端がフレーム側壁に沿って屈曲して延びるベースプレート側壁を有し得る。そして、ストライカの他端は、支持部から上方に延びてベースプレート側壁に溶接されていることが好ましい(請求項3)。
【0017】
この場合、ストライカの両端がベースプレート下壁とベースプレート側壁とにそれぞれ固定されるため、支持部の両端が確実にベースプレートに支持される。このため、ストライカ装置の耐久性がより向上する。
【0018】
ベースプレートは、複数のボルトによってフレームに固定され得る。そして、フレームには、各ボルトによってベースプレートに接合されるバックプレートが設けられていることが好ましい(請求項4)。
【0019】
この場合、フレームに対してストライカ装置を容易に固定することが可能となる。また、バックプレートによってフレームの必要部位が補強されるため、フレームの補強を効率よく行うことができる。
【0020】
本発明の車両用バッテリユニット装着装置は、車体の下方においてバッテリユニットの取り外しを行い得る。ここで、ロック装置は、支持部を進入させる進入口が形成されたハウジングと、ハウジングに対して第1揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、進入口内で支持部を係止する係止状態と進入口内で支持部を開放する解放状態とを切り替え可能なラッチと、ラッチの揺動を固定可能なポールとを有し得る。そして、車体に対してバッテリユニットが装着された状態において、ラッチがフレームの断面における図心を通る鉛直線上に位置することが好ましい(請求項5)。
【0021】
この場合、係止状態にあるラッチによって支持部を係止することで、ロック装置に支持部を固定することが可能となる。一方、係止状態にあるラッチを解放状態に揺動させることで、ラッチに係止されている支持部を解放できるため、ロック装置による係止部の固定を解除することが可能となる。これらのため、この車両用バッテリユニット装着装置では、車体とバッテリユニットとの固定及びその解除を容易に行うことが可能となる。また、この車両用バッテリユニット装着装置では、係止状態にあるラッチの揺動がポールによって固定されるため、ロック装置による支持部の固定が確実に行われる。
【0022】
また、車体に対してバッテリユニットが装着された状態において、ラッチがフレーム断面における図心を通る鉛直線上に位置するため、バッテリユニットの荷重がフレーム断面の強度上の中心軸に作用する。これにより、この車両用バッテリユニット装着装置では、フレームに対し、そのフレームをねじる方向に荷重が作用せず、バッテリユニットをより確実に車体に装着できる。
【0023】
ここで、図心の鉛直線上とは、車体を水平に位置させた状態におけるフレーム断面の図心を通る鉛直線の上を意味する。また、フレーム断面における図心とは、フレーム単体、または、フレーム及びその他の車両骨格を形成する部位との共同によって形成される閉断面における図心を意味する。
【0024】
フレームは、車体の前後方向に延びる複数のサイドメンバであり得る。また、ベースプレートは各サイドメンバに固定され得る。そして、ロック装置は、バッテリユニットの側面に設けられていることが好ましい(請求項6)。この場合、バッテリユニットの荷重を各サイドメンバによって好適に支持することができる。
【0025】
ポールは、ラッチの揺動を固定可能な第1位置と、ラッチの揺動を開放可能な第2位置との間で、ハウジングに対して第2揺動軸芯周りに揺動可能に支持され得る。そして、ポールを第1位置から第2位置へ揺動させるロック解除手段を備えていることが好ましい(請求項7)。
【0026】
この場合、ロック解除手段によって第1位置から第2位置へポールを揺動させれば、ロック装置による支持部の固定を解除することが可能となる。このため、この車両用バッテリユニット装着装置では、車体からバッテリユニットを容易に取り外すことが可能となる。なお、ロック解除手段としては、例えば、鍵やピン等を採用することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車両用バッテリユニット装着装置によれば、車体に対するバッテリユニットの装着を容易かつ確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】車体とバッテリユニットとの装着及び取り外しの状態を示す側面図である。
【図2】車体とバッテリユニットとの装着及び取り外しの状態を示す側面図である。
【図3】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニット、ロック装置、ピン及び載置台における各位置関係を示す斜視図である。
【図4】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、車体に対してバッテリユニットが装着された状態を示す断面図である。
【図5】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、ストライカ装置を示す斜視図である。図(A)は、サイドメンバに固定された状態におけるストライカ装置の背面方向からの斜視図を示している。また、図(B)は、ストライカ装置の正面方向からの斜視図を示している。
【図6】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、ストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図7】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、ピンを示す側面図である。図(A)は第1長さにあるピンを示し、図(B)は第2長さにあるピンを示している。
【図8】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニットの上昇中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図9】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニットの上昇中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図10】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニットの上昇中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図11】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、車体に対するバッテリユニットの装着完了時におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図12】比較例の車両用バッテリユニット装着装置に係り、車体に対してバッテリユニットが装着された状態を示す断面図である。
【図13】実施例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、車体とバッテリユニットとの取り外し時におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図14】実施例の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニットの下降中におけるストライカ装置、ロック装置及び載置台を示す断面図である。
【図15】実施例2の車両用バッテリユニット装着装置に係り、車体に対してバッテリユニットが装着された状態を示す断面図である。
【図16】変形例1の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニット及びロック装置を示す斜視図である。
【図17】変形例2の車両用バッテリユニット装着装置に係り、バッテリユニット及びロック装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例1、2及び参考例1、2を図面を参照しつつ説明する。図1、2に示すように、実施例1、2及び参考例1、2の車両用バッテリユニット装着装置は、バッテリ搭載ステーション10(以下、ステーション10という。)において、電気自動車1における車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行うとともに、車体1aに対してバッテリユニット3の取り外しを行う。
【0030】
ステーション10は、上床10aと下床10bとを有している。また、ステーション10には、上床10aと下床10bとを連通する連通口10cが形成されている。上床10aには電気自動車1を配置可能になっている。また、下床10bには移載装置7が配置されている。
【0031】
電気自動車1には、車体1aの下方にバッテリユニット3を搭載可能な搭載スペース1bが形成されている。また、車体1aには、車体1aの前後方向に延びる一対のフレームとしてのサイドメンバ20が設けられている。サイドメンバ20の構成については後述する。
【0032】
(実施例1)
実施例1の車両用バッテリユニット装着装置は、ストライカ装置9と、ロック装置5と、ロック解除手段としてのピン11及び第1ソレノイド27b(図7参照)とを備えている。この車両用バッテリユニット装着装置では、ストライカ装置9、ロック装置5、ピン11及び第1ソレノイド27bがそれぞれ4つずつ設けられている。また、図1に示すように、各ストライカ装置9は車体1aに設けられており、各ロック装置5はバッテリユニット3に設けられている。
【0033】
上記のサイドメンバ20は、図4に示すように、一対のフレーム側壁20a、20bと、両フレーム側壁20a、20bの下端で接続し、略水平方向に延びるフレーム下壁20cとを有しており、垂直方向の断面が矩形の略コ字状を呈している。また、このサイドメンバ20の内側には、垂直方向の断面が略L字状に形成されたバックプレート20dが設けられている。
【0034】
図5の(A)に示すように、各ストライカ装置9は、ベースプレート90と、ストライカ91とを有している。ベースプレート90は、上記のフレーム下壁20cと略平行に延びるベースプレート下壁90aと、ベースプレート下壁90aの一端がフレーム側壁20aに沿って屈曲して延びるベースプレート側壁90bとを有しており、垂直方向の断面が略L字状を呈している。また、図5の(B)に示すように、ベースプレート下壁90aの略中央には凹部90cが形成されている。さらに、ベースプレート下壁90a及びベースプレート側壁90bには、それぞれ複数のボルト孔90dが形成されている。
【0035】
ストライカ91は、鋼材で得られており、図4に示すように、フレーム下壁20cと略平行な状態で延びる支持部91aを有している。また、図4に示すように、ストライカ91は、一端91b及び他端91cの両側に曲げ加工が施されており、一端91bは、支持部91aから略垂直方向で上方に延びた後にベースプレート下壁20cと平行に延びてベースプレート下壁90aの凹部90c内に位置している。一方、ストライカ91の他端91cは、支持部91aからベースプレート側壁90bに沿いつつ、略垂直方向で上方に延びている。
【0036】
図5の(B)に示すように、ストライカ91の一端91bは、ベースプレート下壁90aの上面、すなわち、凹部90c内において、ベースプレート下壁90aと溶接されている。また、ストライカ91の他端91cは、ベースプレート側壁90bと溶接されている。これらにより、図4に示すように、ストライカ91は、支持部91aをサイドメンバ20の下方に位置させつつ、ベースプレート90に両端が固定された状態となっている。
【0037】
また、ベースプレート90は、図5の(A)に示すように、各ボルト孔90dに挿通されたボルト90eにより、サイドメンバ20を介し、図4に示すバックプレート20dに固定されている。これにより、ベースプレート下壁90a及びベースプレート側壁90bがそれぞれフレーム下壁20c及びフレーム側壁20aに当接した状態で、ストライカ装置9はサイドメンバ20に固定されている。
【0038】
これらのストライカ装置9は、図1に示す搭載スペース1b内に位置するように、各サイドメンバ20に対して2個ずつ取り付けられている。各サイドメンバ20に取り付けられたストライカ装置9同士は、ストライカ91が互いに対面している。このため、この支持部91aは、図2に示すように、車体1aに装着されたバッテリユニット3の荷重を支持可能になっている。なお、各サイドメンバ20に取り付けられるストライカ装置9の個数は、バッテリユニット3の大きさや荷重に応じて適宜変更が可能である。また、図1、2では、他方のサイドメンバ20及びこのサイドメンバ20に取り付けられた各ストライカ装置9の図示を省略している。
【0039】
図3に示すように、バッテリユニット3は、矩形の箱形状のケース3aと、このケース3a内に収納された詳細を図示しない複数個のバッテリとからなる。また、ケース3aには、図1に示す車体1aと各バッテリとを電気的に接続可能な図示しない接続端子が設けられている。なお、ケース3aの形状は、後述する変形例1、2を含め、図1に示す搭載スペース1bの形状に応じて適宜変更が可能である。
【0040】
各ロック装置5は、上記の各ストライカ装置9と対応可能なように、ケース3aにおける長辺側の側面に各々2個ずつ取り付けられている。各ロック装置5は、図6に示すように、ハウジング13と、ラッチ15と、ポール17と、第2ソレノイド19とを有している。この第2ソレノイド19には、ロックピン25が固定されている。
【0041】
ハウジング13は、図3に示すように、バッテリユニット3のケース3aに固定されている。ハウジング13には、図6に示すように、上端が開き、下方に延びてストライカ91の支持部91aを進入させる進入口13bが形成されている。また、ハウジング13には、下端からハウジング13内に向かって開けられ、ピン11を挿通させる挿通孔13cが形成されている。挿通孔13cの周囲には、ハウジング13が曲げ加工されることにより、ピン11を案内するガイド部13dが形成されている。さらに、ハウジング13には、三箇所にボルト孔13eが形成されている。ハウジング13は、各ボルト孔13eにそれぞれ挿通された図示しないボルトによりケース3aに固定されている。
【0042】
ハウジング13内には、第1揺動軸21、第2揺動軸23がそれぞれ水平方向に突出して設けられている。第1揺動軸21の軸芯が第1揺動軸芯O1であり、第2揺動軸23の軸芯が第2揺動軸芯O2である。
【0043】
ラッチ15は、一部に凹部15cが形成されて略U字形状を呈している。そして、凹部15cの上方側が上側爪部15aとされ、凹部15cの下方側が下側爪部15bとされている。凹部15cには、ハウジング13の進入口13b内に進入した支持部91aが収まるようになっている。さらに、上側爪部15aの近傍には、凹部15cとは逆側に係合面15dが形成されている。
【0044】
ラッチ15は、第1揺動軸21に対して揺動可能に軸支されており、A1方向及びA2方向に揺動することが可能となっている。このラッチ15は、図示しないコイルばねにより、A2方向に付勢されている。ラッチ15はA1方向に揺動することにより、進入口13b内で支持部91aを係止する係止状態となる。また、ラッチ15はA2方向に揺動することにより、進入口13b内で支持部91aを解放する解放状態となる。このように、ラッチ15は、第1揺動軸芯O1回りで揺動することにより、係止状態と解放状態とを切り替えることが可能になっている。
【0045】
さらに、このラッチ15は、図4に示すように、車体1aに対してバッテリユニット3が装着された状態において、サイドメンバ20の断面における図心Gを通る鉛直線CL上に位置するように、ハウジング13内に配置されている。なお、図4では、第1揺動軸21等の図示を省略している。後述の図12及び図15も同様である。
【0046】
図6に示すように、ポール17には互いに略直交した係止片17aと操作片17bとが形成され、ポール17は略L字形状を呈している。ポール17は、第2揺動軸23に対して揺動可能に軸支されており、B1方向及びB2方向に揺動することが可能となっている。このポール17は、図示しないコイルばねにより、B1方向に付勢されている。ポール17がB1方向に揺動することにより、係止片17aはラッチ15の揺動を固定可能な第1位置に移動する。また、ポール17がB2方向に揺動することにより、係止片17aはラッチ15の揺動を解放可能な第2位置に移動する。このように、ポール17は第2揺動軸芯O2回りで揺動することにより、係止片17aの位置を第1位置と第2位置とに切り替えることが可能になっている。
【0047】
第2ソレノイド19は、載置台27上にバッテリユニット3が載せられた状態では、ケース3a及び載置台27の接触面に配置される図示しない接続端子によって後述する制御装置7aに電気的に接続されている。この第2ソレノイド19と制御装置7aとの間の電気的な接続は、載置台27とバッテリユニット3とが離間することで解除される。第2ソレノイド19は、制御装置7aによって駆動されることにより、ハウジング13内にロックピン25を水平に突出させた状態と、第2ソレノイド19内にロックピン25が収納された状態とを切り替えることが可能なっている。そして、ハウジング13内に水平に突出することで、ロックピン25はポール17の揺動を固定することが可能になっている。また、第2ソレノイド19内に収納されることで、ロックピン25はポール17の揺動の固定を開放することが可能になっている。なお、第2ソレノイド19の他の構成は公知のソレノイドと同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0048】
図1に示すように、移載装置7は、下床10b上に固定された基部33と、載置台27と、基部33と載置台27との間に設けられた昇降機構36とからなる。また、移載装置7の近傍には制御装置7aが配置されている。
【0049】
昇降機構36は、下部保持部材31と、一対の第1リンク部材35及び第2リンク部材37と、上部保持部材29とからなる。下部保持部材31は基部33上に固定されている。下部保持部材31には水平方向に延びる一対の長孔31aが形成されている。また、上部保持部材29にも水平方向に延びる一対の長孔29aが形成されている。第1、2リンク部材35、37は、互いに同じ長さに形成され、互いの中央部で連結ピン39によって揺動可能に連結されている。第1リンク部材35の下端は、連結軸41bによって下部保持部材31と揺動可能に連結されている。一方、第2リンク部材37の下端は、連結軸41dによって下部保持部材31と揺動可能かつ長孔31a内を摺動可能となっている。また、第2リンク部材37の上端は、連結軸41cによって上部保持部材29と揺動可能に連結されている。一方、第1リンク部材35の上端は、連結軸41aによって上部保持部材29と揺動可能かつ長孔29a内を摺動可能となっている。載置台27は上部保持部材29に固定されている。
【0050】
基部33内には、図示しないモータと、モータによって連結軸41dに動力を伝達可能な図示しないギヤ列とが設けられている。また、モータは制御装置7aと電気的に接続されている。なお、モータに替えて電動直動シリンダや油圧シリンダ等を採用することも可能である。
【0051】
図3に示すように、載置台27の表面27aにおいて、各ロック装置5におけるハウジング13と当接可能となる位置には、リミットスイッチ28が取り付けられている。この載置台27には、4つのリミットスイッチ28が取り付けられている。各リミットスイッチ28は、図1に示す制御装置7aとそれぞれ電気的に接続されている。各リミットスイッチ28は、各ロック装置5のハウジング13によって押下されることにより、バッテリユニット3と載置台27とが当接したことを検知して、検知信号を発信することが可能となっている。なお、リミットスイッチ28に替えて、載置台27上に位置するバッテリユニット3の圧力を検知可能な圧力センサ等を採用しても良い。
【0052】
各ピン11は、載置台27上において、バッテリユニット3のケース3aに固定された各ロック装置5における各挿通孔13cに挿通可能となる位置にそれぞれ固定されている。
【0053】
図7に示すように、各ピン11は、載置台27の表面27aから上方向へ垂直に延在している。各ピン11は、各ピン11に対応して載置台27内に設けられた各第1ソレノイド27bとそれぞれ接続されている。これらの各第1ソレノイド27bは、図1に示す制御装置7aに電気的に接続されている。
【0054】
各第1ソレノイド27bは、バッテリユニット3の取り外し時における、上記の各リミットスイッチ28の検知信号に基づいて駆動され、図7の(A)に示す第1長さαと、同図の(B)に示す第2長さβとの間で各ピン11を変動させることが可能となっている。なお、第1ソレノイド27bに替えて、電動直動シリンダや油圧シリンダ等を採用することも可能である。
【0055】
各ピン11は、図7の(A)に示す第1長さαとなることで、各ピン11を各挿通孔13c(図6参照)に挿通させた状態で、載置台27上におけるバッテリユニット3の位置決めが可能となっている。また、各ピン11は、図7の(B)に示す第2長さβとなることで、図6に示すポール17と当接してポール17をB1方向からB2方向へ揺動、すなわち、係止片17aの位置を第1位置から第2位置へ揺動させることが可能となっている。
【0056】
以上のように構成された車両用バッテリユニット装着装置では、以下のようにして、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行うとともに、車体1aに対してバッテリユニット3の取り外しを行う。
【0057】
(バッテリユニット3の装着)
図1に示すように、ステーション10の上床10aの所定の位置に電気自動車1を配置する。この際、搭載スペース1bが連通口10cの直上、すなわち、移載装置7の直上に位置するよう電気自動車1の位置を調整する。この電気自動車1は、搭載スペース1bにバッテリユニット3が搭載されていない。
【0058】
一方、移載装置7の載置台27上には、バッテリユニット3が設けられている。また、各ピン11はそれぞれ第1長さαとなっている。この状態において、バッテリユニット3は、図8に示すように、各ピン11が各ガイド部13dを介して各挿通孔13cにそれぞれ挿通されている。このため、バッテリユニット3は載置台27上において位置決めされている。また、各ロックピン25は、各第2ソレノイド19内に収納されており、ポール17は揺動の固定が解放されている。
【0059】
この状態において、制御装置7aにより載置台27を上昇させて、バッテリユニット3を搭載スペース1bに近接させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、相対的にストライカ91の支持部91aが進入口13b内へ進入する。
【0060】
そして、図9に示すように、ラッチ15の下側爪部15bと支持部91aとが当接し、支持部91aによってラッチ15が押圧される。これにより、コイルばねの付勢力に抗してラッチ15はA1方向に揺動される(同図中の破線矢印参照。)。また、ラッチ15の下側爪部15bにより、ポール17の係止片17aが押圧される。これにより、コイルばねの付勢力に抗してポール17はB2方向に揺動され、係止片17aは第1位置から第2位置へ移動する(同図中の破線矢印参照。)。
【0061】
図2に示すように、バッテリユニット3が搭載スペース1b内に位置すれば、図10に示すように、ポール17はコイルばねの付勢力によりB1方向へ揺動し、係止片17aが第2位置から第1位置へ移動する(同図中の破線矢印参照。)。このため、係止片17aはラッチ15の係合面15dと係合する。こうして、ラッチ15は係止状態となり、凹部15c内において支持部91aを係止した状態となる。この際、図4に示すように、ラッチ15は、サイドメンバ20の断面における図心Gを通る鉛直線CL上、すなわち、フレーム下壁20cの直下となる位置で支持部91aを係止する。また同時に、バッテリユニット3内のバッテリと電気自動車1との間における電気的な接続も同時に行われる。
【0062】
この状態において、制御装置7aは、図10に示すように、第2ソレノイド19を駆動させて、ハウジング13内にロックピン25を突出させる。これにより、ポール17の操作片17bとロックピン25とが当接し、ロックピン25によって、ポール17におけるB1方向からB2方向への揺動が固定される。つまり、係止片17aが第2位置に移動することが規制される。こうして、ロックピン25によるポール17の固定が完了し、ポール17によるラッチ15の固定が完了する。
【0063】
この後、図11に示すように、制御装置7aにより載置台27を下降させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、挿通孔13c内からピン11が抜かれる。これにより、ロック装置5による支持部91aの固定が完了し、搭載スペース1b内へのバッテリユニット3の装着が完了する。
【0064】
これらのように、この車両用バッテリユニット装着装置では、搭載スペース1bまで移載装置7によってバッテリユニット3を上昇させることで、車体1aに対してバッテリユニット3の装着を行うことができる。この際、この車両用バッテリユニット装着装置では、係止状態にあるラッチ15の揺動がポール17によって固定されるため、各ロック装置5による各支持部91aの固定が確実に行われる。
【0065】
そして、車体1aに対してバッテリユニット3が装着された状態において、図4に示すように、この車両用バッテリユニット装着装置では、ラッチ15がサイドメンバ20の下方に位置する。このため、この車両用バッテリユニット装着装置では、車体1aに対してバッテリユニット3が装着される際、バッテリユニット3の荷重(同図中の白色矢印参照。)がサイドメンバ20に対してのみに作用する。さらに、ラッチ15がサイドメンバ20の断面における図心Gを通る鉛直線CL上に位置することで、サイドメンバ20の強度上の中心である図心Gには、鉛直下方のみにバッテリユニット3の荷重が作用する。これにより、この車両用バッテリユニット装着装置では、サイドメンバ20に対し、そのサイドメンバ20をねじる方向に荷重が作用しない。このため、この車両用バッテリユニット装着装置では、バッテリユニット3を確実に車体1aに装着できる。以下、比較例の車両用バッテリ搭載装置との対比を基に説明する。
【0066】
(比較例)
図12に示すように、比較例の車両用バッテリユニット搭載装置は、バッテリユニット3にストライカ装置9aが取り付けられており、サイドメンバ20にロック装置5が取り付けられている。ストライカ装置9aは、ベースプレート92とストライカ93とを有している。ストライカ93は、フレーム下壁20cと略平行な支持部93aを有している。このストライカ93は、支持部93aから一端93bに向かって略直角に2回の曲げ加工が施されており、略コ字状を呈している。ストライカ93は、一端93b及び他端93cがそれぞれベースプレート92に溶接されることで、ベースプレート92と固定されている。ベースプレート92は、ボルト90eを介してケース3aに固定されている。また、ロック装置5も、ボルト90eによりバックプレート20dと固定されており、フレーム側壁20bに当接した状態となっている。
【0067】
このような比較例の車両用バッテリユニット装着装置では、上記のように移載装置7によってバッテリユニット3を搭載スペース1bまで上昇させ、車体1aに対してバッテリユニット3を装着すると、ラッチ15には、バッテリユニット3の荷重(同図中の白色矢印参照。)が鉛直方向に作用する。比較例の車両用バッテリユニット装着装置では、サイドメンバ20の強度上の中心である図心Gと、バッテリユニット3の荷重が作用するラッチ15とが水平方向で離間している。このため、比較例の車両用バッテリユニット装着装置では、ラッチ15に作用する鉛直方向の荷重によって、サイドメンバ20には図心Gを中心にC1方向へのねじり力が発生し、バッテリユニット3を十分に車体に装着できない。
【0068】
そこで、比較例の車両用バッテリユニット装着装置において、上記実施例1の車両用バッテリユニット搭載装置と同等の信頼性を得るためには、サイドメンバ20の板厚を厚くしたり、サイドメンバ20に対して更なる補強手段を設けたりして、その強度を上げる必要がある。しかし、この場合、比較例の車両用バッテリユニット装着装置は、実施例1の車両用バッテリユニット搭載装置に比べ、車重が重くなってしまうこととなる。
【0069】
(バッテリユニット3の取り外し)
図2に示すように、ステーション10の上床10aの所定の位置に電気自動車1を配置する。この際も、搭載スペース1bが連通口10cの直上、すなわち、移載装置7の直上に位置するように電気自動車1の位置を調整する。この電気自動車1は、搭載スペース1bにバッテリユニット3が搭載されている。
【0070】
一方、移載装置7の載置台27上には、バッテリユニット3が設けられていない。また、各ピン11はそれぞれ第1長さαとなっている。
【0071】
この状態において、図13に示すように、制御装置7aにより載置台27を上昇させる。そして、載置台27上の各ピン11aを各挿通孔13cにそれぞれ挿通させつつ、載置台27とバッテリユニット3及び各ロック装置5とを当接させる。この際、各ピン11が各ガイド部13dによって案内されながら各挿通孔13c内に挿通されるため、バッテリユニット3に対して載置台27の位置決めが行われる。また、バッテリユニット3と載置台27とが接触することで、第2ソレノイド19と制御装置7aとが電気的に接続される。
【0072】
さらに、載置台27とバッテリユニット3及び各ロック装置5とが当接することによって、各リミットスイッチ28が押下され、検知信号が発信される。この検知信号により、第2ソレノイド19が駆動され、ロックピン25が第2ソレノイド19内に収納された状態となる。こうして、ポール17の揺動の固定が解放される。次に、制御装置7aは各第1ソレノイド27bを駆動させる。これにより、ピン11が第2長さβとなる。この第2長さβとなったピン11により、ポール17の操作片17bが押圧され、コイルばねの付勢力に抗してポール17がB2方向に揺動される(同図中の破線矢印参照。)。このため、係止片17aは第1位置から第2位置へ移動する。このため、ラッチ15の係合面15dと係止片17aとの係合が解除され、ポール17によるラッチ15の固定が解除される。
【0073】
そして、図14に示すように、載置台27を下降させてバッテリユニット3を搭載スペース1b内から下方に移動させる(同図中の実線矢印参照。)。これにより、ラッチ15の上側爪部15aが支持部91aに押圧されるとともに、コイルばねの付勢力によってA2方向に揺動され、ラッチ15が解放状態となる。このため、相対的に支持部91aが進入口13bから離脱する方向に移動する。こうして、ロック装置5による支持部91aの固定が解除され、車体1aからのバッテリユニット3の取り外しが完了する。この際、バッテリユニット3内のバッテリと電気自動車1との間における電気的な接続の解除も同時に行われる。
【0074】
バッテリユニット3の取り外しが完了した後、制御装置7aは第1ソレノイド27bを駆動させ、ピン11を第1長さαに変動させる。これにより、ピン11による操作片17bへの押圧が解除される。このため、コイルばねの付勢力により、ポール17はB1方向に揺動され、係止片17aは第2位置から第1位置へ移動される。この後、取り外しが完了したバッテリユニット3を載置台27から移動させる。なお、バッテリユニット3を載置台27から移動させる前にピン11を第2長さβから第1長さαに変動させることで、ピン11の損傷を未然に防止することができる。
【0075】
したがって、実施例1の車両用バッテリユニット装着装置では、車体1aに対するバッテリユニット3の装着を確実に行うことができるとともに、車体1aに装着されたバッテリユニット3の取り外しを容易に行うことができる。
【0076】
特に、この車両用バッテリユニット装着装置では、フレーム下壁20cとベースプレート下壁90aとが略平行であることから、フレーム下壁20cに対してベースプレート下壁90aを好適に固定させることが可能となっている。これにより、この車両用バッテリユニット装着装置では、各ストライカ装置9が各サイドメンバ20に強固に固定され、サイドメンバ20に対して、ストライカ装置9における上記の荷重を好適に分担させることが可能となっている。
【0077】
また、ストライカ91の両端がベースプレート下壁90aとベースプレート側壁90bとにそれぞれ固定されるため、この車両用バッテリユニット装着装置では、支持部91aの両端が確実にベースプレート90に支持される。この際、ストライカ91の一端91bがベースプレート下壁90aの上面の凹部90c内に載置された状態でベースプレート下壁90aに固定されるため、支持部91aの一端がベースプレート下壁90aの上面の凹部90c内で確実に支持される。これらのため、この車両用バッテリユニット装着装置では、各ストライカ装置9の耐久性が向上し、車体1aに対するバッテリユニット3の装着における信頼性が向上している。
【0078】
さらに、ベースプレート90は、複数のボルト90eによってサイドメンバ20に固定されている。そして、サイドメンバ20には、各ボルト90eによってベースプレート90に接合されるバックプレート20dが設けられている。このため、この車両用バッテリユニット装着装置では、サイドメンバ20に対してストライカ装置9を容易に固定することが可能となっている。また、バックプレート20dによってサイドメンバ20の必要部位が補強されるため、サイドメンバ20の補強を効率よく行うことが可能となっている。
【0079】
(実施例2)
図15に示すように、実施例2車両用バッテリユニット装着装置におけるストライカ装置9は、ベースプレート94と、ストライカ95とを有している。ベースプレート94は、フレーム下壁20cと略平行に延びるベースプレート下壁94aと、ベースプレート下壁94aの一端がフレーム側壁20aに沿って屈曲して延びるベースプレート側壁94bとを有している。また、ベースプレート下壁94aの先端は曲げ加工が施されているとともに、嵌合孔94cが形成されている。ベースプレート94の他の構成は、ベースプレート90と同様である。
【0080】
ストライカ95は、フレーム下壁20cと略平行な状態で延びる支持部95aを有している。また、ストライカ95は、一端95b及び他端95cの両側がそれぞれ、支持部95aから略垂直方向で上方に延びている。そして、ストライカ95の一端95bは、嵌合孔94cに挿通された後、その端面95dが押し潰されることで、ベースプレート下壁94aと固定されている。一方、ストライカ95の他端95cは、ベースプレート側壁94bに溶接されている。これらにより、ストライカ95は、支持部95aをサイドメンバ20の下方に位置させつつ、ベースプレート94に両端が固定された状態となっている。この車両用バッテリユニット装着装置における他の構成は、実施例1の車両用バッテリユニット装着装置と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0081】
この車両用バッテリユニット装着装置では、装着時におけるバッテリユニット3の荷重が支持部95aの両端に分担されてベースプレート94に伝達され、サイドメンバ20によって支持される。このため、この車両用バッテリユニット装着装置でも、バッテリユニット3を強固に車体1aに装着できる。他の作用効果は実施例1の車両用バッテリユニット装着装置と同様である。
【0082】
(変形例1)
変形例1の車両用バッテリユニット装着装置では、上記のバッテリユニット3のケース3aの構成を変形させている。図16に示すように、このバッテリユニット3は、ケース30aを有している。このケース30aには、4箇所に凹部30bが形成されている。そして、各ロック装置5は、各凹部30b内に配置された状態でケース30aと固定されている。
【0083】
このバッテリユニット3のケース30aによれば、バッテリユニット3から各ロック装置5が突出せず、搭載スペース1bを小型化することが可能となる。他の作用効果は実施例1の車両用バッテリユニット装着装置と同様である。
【0084】
(変形例2)
変形例2の車両用バッテリユニット装着装置では、変形例1におけるバッテリユニット3の構成を更に変形させている。図17に示すように、このバッテリユニット3は、ケース300aを有している。このケース300aには、4箇所に凹部300bが形成されているとともに、ケース300aが高さ方向に突出するように形成されている。また、各ロック装置5は、各凹部300b内に配置された状態でケース300aと固定されている。
【0085】
このバッテリユニット3のケース300aによれば、上記のケース3aやケース30aと比較して、より多くのバッテリを収納することが可能となる。このため、このケース300を有するバッテリユニット3では、電気自動車1をより長く走行させることが可能となる。また、このケース300aでは、その長手方向や幅方向を小さく形成することで、収納されるバッテリの数等を減少させること無くバッテリユニット3の長手方向や幅方向をより小さく形成することも可能となる。このため、このケース300aによれば、車体1aにおける設計の自由度を高くすることも可能となる。他の作用効果は実施例1及び変形例1の車両用バッテリユニット装着装置と同様である。
【0086】
以上において、本発明を実施例1、2及び変形例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2及び変形例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0087】
例えば、ラッチ15における係止状態及び解放状態を検知し、検知信号を送信可能な検知手段を設けることができる。そして、制御装置7aは、この検知信号に基づいて、第2ソレノイド19を駆動させて、ロックピン25を突出又は収納させても良い。この場合、バッテリユニット3の固定及び取り外しにおいて、誤操作が未然に防止されるようになる。
【0088】
また、実施例1、2において、電気自動車1にはバッテリユニット3を搭載可能な搭載スペース1bが形成されている。しかし、このような形状に限らず、車体1aの下面にバッテリユニットを装着可能な電気自動車であれば良い。
【0089】
さらに、実施例1、2では、サイドメンバ20において、フレーム下壁20cが水平方向に延びる矩形としている。しかし、これに限らず、フレーム下壁20cが車体1aの幅方向に対して傾斜するように形成されていても良く、また、多角形であっても良い。さらに、フレーム下壁20cと、各フレーム側壁20a、20bとの接続部分が面取りされていても良い。なお、そのように面取りがされている場合、ベースプレート90においても、同様の形態を採用することができる。
【0090】
また、実施例1、2では、バックプレート20dをサイドメンバ20の内側に配置させているが、これに限らず、サイドメンバ20の外側にバックプレート20dを配置させても良い。この場合、ベースプレート90とサイドメンバ20とをバックプレート20dを介してボルト90eで固定する。
【0091】
また、実施例1では、ストライカ91の一端91bのみをベースプレート下壁90aの上面へ溶接しているが、これに限らず、ストライカ91の一端91b及び他端91cをベースプレート下壁90aの上面に溶接しても良い。この場合、ベースプレート側壁90bに切欠き等を設けたり、ベースプレート90をベースプレート下壁90aのみとしたりすることで、ストライカ91の他端91cをベースプレート下壁90aの上面に位置させることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、バッテリ搭載ステーションとして利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1a…車体
3…バッテリユニット
5…ロック装置
9、9a…ストライカ装置
13…ハウジング
13b…進入口
13c…挿通孔
13d…ガイド部
15…ラッチ
17…ポール
20…サイドメンバ(フレーム)
20a、20b…フレーム側壁
20c…フレーム下壁
20d…バックプレート
25…ロックピン(ポール固定手段)
27b…第1ソレノイド(ロック解除手段)
90、92、94…ベースプレート
90a、92a、94a…ベースプレート下壁
90b、92b、94b…ベースプレート側壁
90e…ボルト
91、93、95…ストライカ
91a、93a、95a…支持部
91b、93b、95b…一端
91c、93c、95c…他端
CL…鉛直線
G…図心
O1…第1揺動軸芯
O2…第2揺動軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の下方に対してバッテリユニットの装着を行うための車両用バッテリユニット装着装置であって、
前記車体に固定され、ベースプレートと、該ベースプレートに固定され、荷重を支持可能な支持部を一部にもつストライカとを有するストライカ装置と、
前記バッテリユニットに固定され、該支持部を固定可能なロック装置とを備え、
前記車体には、前記バッテリユニットが装着されない状態において該車体の下面の一部を構成するフレームが設けられ、
前記ベースプレートは該フレームに固定され、前記ストライカは、前記支持部を該フレームの下方に位置させて該ベースプレートに両端が固定されていることを特徴とする車両用バッテリユニット装着装置。
【請求項2】
前記フレームは、一対のフレーム側壁と、両該フレーム側壁の下端で接続されるフレーム下壁とを有し、
前記ベースプレートは、前記フレーム下壁と略平行に延び、該フレーム下壁に固定されるベースプレート下壁を有し、
前記ストライカの少なくとも一端は、前記支持部から上方に延びた後に該ベースプレート下壁と平行に延び、該ベースプレート下壁の上面に溶接されている請求項1記載の車両用バッテリユニット装着装置。
【請求項3】
前記ベースプレートは、前記ベースプレート下壁の一端が前記フレーム側壁に沿って屈曲して延びるベースプレート側壁を有し、
前記ストライカの他端は、前記支持部から上方に延びて該ベースプレート側壁に溶接されている請求項2記載の車両用バッテリユニット装着装置。
【請求項4】
前記ベースプレートは、複数のボルトによって前記フレームに固定され、
該フレームには、各該ボルトによって該ベースプレートに接合されるバックプレートが設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載の車両用バッテリユニット装着装置。
【請求項5】
前記車体の下方において前記バッテリユニットの取り外しを行うための車両用バッテリユニット装着装置であって、
前記ロック装置は、前記支持部を進入させる進入口が形成されたハウジングと、該ハウジングに対して第1揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、該進入口内で該支持部を係止する係止状態と該進入口内で該支持部を開放する解放状態とを切り替え可能なラッチと、該ラッチの揺動を固定可能なポールとを有し、
前記車体に対して前記バッテリユニットが装着された状態において、前記ラッチが前記フレームの断面における図心を通る鉛直線上に位置する請求項2乃至4のいずれか1項記載の車両用バッテリユニット装着装置。
【請求項6】
前記フレームは、前記車体の前後方向に延びる複数のサイドメンバであり、
前記ベースプレートは各該サイドメンバに固定され、
前記ロック装置は、前記バッテリユニットの側面に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項記載の車両用バッテリユニット装着装置。
【請求項7】
前記ポールは、前記ラッチの揺動を固定可能な第1位置と、該ラッチの揺動を開放可能な第2位置との間で、前記ハウジングに対して第2揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、
該ポールを該第1位置から該第2位置へ揺動させるロック解除手段を備えている請求項1乃至6のいずれか1項記載の車両用バッテリユニット装着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−1336(P2013−1336A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136803(P2011−136803)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】