説明

車両用前照灯および車両用前照灯装置

【課題】従来の車両用前照灯システムにおいては、部品点数が多く、その分、大型化し、かつ、製造コストが高くなる。
【解決手段】この発明は、右側半導体型光源5Rの点灯消灯の制御と、左側半導体型光源5Lの点灯消灯の制御と、移動機構70の駆動停止の制御を介して可動シェード7の第1位置第2位置の移動の制御と、を組み合わせることにより、第1機能のハイビーム用配光パターンHP1の光度および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2の光度および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3を車両3の前方にそれぞれ照射することができる。この結果、この発明は、1組のランプユニットからなるものであるから、従来の車両用前照灯システムと比較して、部品点数が少なく、その分、小型化し、かつ、製造コストを安価にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射する車両用前照灯に関するものである。また、この発明は、複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射する車両用前照灯を備える車両用前照灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯および車両用前照灯装置(以下、「車両用前照灯システム」と称する)は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用前照灯システムについて説明する。従来の車両用前照灯システムは、灯具ユニット(1個の投影レンズと、左右に配置された1対の発光素子および1対のリフレクタと、鉛直に配置された両面ミラーと、を備えてなる灯具ユニット)と、その灯具ユニットを水平方向に旋回させるスイブル機構と、をそれぞれ2組ずつ備えるものである。従来の車両用前照灯システムは、1対の発光素子の点灯消灯の制御と2組のスイブル機構の駆動停止の制御とを組み合わせて、複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射するものである。
【0003】
ところが、前記の従来の車両用前照灯システムは、2組の灯具ユニットと2組のスイブル機構とを必要とするので、部品点数が多く、その分、大型化し、かつ、製造コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−140661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用前照灯システムにおいては、部品点数が多く、その分、大型化し、かつ、製造コストが高くなる、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、垂直壁の光源ホルダと、光源ホルダの左右両側面にそれぞれ配置されている右側半導体型光源および左側半導体型光源と、焦点が右側半導体型光源の発光中心もしくは発光中心近傍に位置するパラボラ系の自由曲面からなる右側反射面と、焦点が左側半導体型光源の発光中心もしくは発光中心近傍に位置するパラボラ系の自由曲面からなる左側反射面と、第1位置と第2位置との間を移動可能に配置されていて右側半導体型光源からの放射光の一部および左側半導体型光源からの放射光の一部を遮蔽したり通したりする可動シェードと、可動シェードを第1位置と第2位置との間を移動させる移動機構と、を備え、右側反射面が、右側半導体型光源からの放射光を第1ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第1右側反射面と、右側半導体型光源からの放射光を第2ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第2右側反射面と、から構成されていて、左側反射面が、左側半導体型光源からの放射光を第3ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第1左側反射面と、左側半導体型光源からの放射光を第4ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第2左側反射面と、から構成されていて、可動シェードが第1位置するときには、右側半導体型光源から第2右側反射面に入射する放射光および左側半導体型光源から第2左側反射面に入射する放射光が可動シェードによりそれぞれ遮蔽され、可動シェードが第2位置するときには、右側半導体型光源からの放射光が第2右側反射面に入射しかつ左側半導体型光源からの放射光が第2左側反射面に入射する、ことを特徴とする。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、光源ホルダおよび右側半導体型光源および左側半導体型光源および右側反射面および左側反射面および可動シェードおよび移動機構を垂直軸回りに回転させるスイブル装置を備える、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、各ハイビーム用配光パターンの光度(輝度、照度、光量など)を徐々に増加させたり徐々に減少させたりするために、右側半導体型光源および左側半導体型光源を調光制御する調光制御部を備える、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、前記の請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯と、前方に先行車や対向車の有無を検出する検出部と、検出部からの検出信号に基づいて車両用灯具に制御信号を出力する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、右側半導体型光源の点灯消灯の制御と、左側半導体型光源の点灯消灯の制御と、移動機構の駆動停止の制御を介して可動シェードの第1位置第2位置の移動の制御と、を組み合わせることにより、複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射することができる。
【0011】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、1組の灯具ユニット(ランプユニット)、すなわち、光源ホルダおよび右側半導体型光源および左側半導体型光源および右側反射面および左側反射面および可動シェードおよび移動機構を備える1組の灯具ユニットからなるものであるから、2組の灯具ユニットと2組のスイブル機構とを必要とする従来の車両用前照灯システムと比較して、部品点数が少なく、その分、小型化し、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0012】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、スイブル装置を備えるので、複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の左右旋回に伴って左右にそれぞれ旋回させることができ、その結果、車両の前方の曲路および交差点を確実に照明することができ、交通安全に貢献することができる。
【0013】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、調光制御部を備えるので、複数機能のハイビーム用配光パターンの光度を徐々に増加させたり徐々に減少させたりすることができ、その結果、複数機能のハイビーム用配光パターンを切り替えたり点灯消灯したりする際に、ドライバーや周囲の人に対して違和感を与えるようなことがなく、人に対して優しい照明が得られる。
【0014】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯装置は、前記の課題を解決するための手段により、前記の請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯と同様の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯システムの実施例を示す要部の斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部の正面図である。
【図3】図3は、同じく、図1におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、同じく、図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、同じく、車両用前照灯システムを装備している自動車の正面図である。
【図6】図6は、同じく、車両用前照灯装置の構成部品を示すブロック図である。
【図7】図7は、同じく、第1制御状態を示す説明図である。
【図8】図8は、同じく、第2制御状態を示す説明図である。
【図9】図9は、同じく、第3制御状態を示す説明図である。
【図10】図10は、同じく、第4制御状態を示す説明図である。
【図11】図11は、同じく、右側半導体型光源および左側半導体型光源からの放射光を第2右側反射面および第2左側反射面で反射させた場合と、その場合において得られる配光パターンと、を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明にかかる車両用前照灯システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。なお、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用前照灯を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。また、図7〜図11において、(A)は、反射面の正面図であり、(B)は、半導体型光源からの放射光を反射面で反射させたときに得られるハイビーム用配光パターンを示す説明図であり、(C)は、(B)で得られるはビーム用配光パターンとロービーム用配光パターンとを合成(重畳)した状態を示す説明図である。
【実施例】
【0017】
(構成の説明)
以下、この実施例における車両用前照灯システムの構成について説明する。図1〜図5において、符号1は、この実施例における車両用前照灯システムの車両用前照灯であって、ハイビーム用の車両用前照灯である。符号2は、ロービーム用の車両用前照灯である。前記ハイビーム用の車両用前照灯1と前記ロービーム用の車両用前照灯2とは、図5に示すように、車両3の前部の左右両側にそれぞれ装備されている4灯式の車両用前照灯である。
【0018】
前記ロービーム用の車両用前照灯2は、図7〜図10に示すロービーム用配光パターンLPを車両の前方に照射するものである。また、前記ハイビーム用の車両用前照灯1は、複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射するものである。すなわち、前記ハイビーム用の車両用前照灯1は、図8に示す第1機能のハイビーム用配光パターンHP1と、図9に示す第2機能のハイビーム用配光パターンHP2と、図11に示す第3機能のハイビーム用配光パターンHP3とを、前記ロービーム用の車両用前照灯2から照射されるロービーム用配光パターンLPと共に車両の前方にそれぞれ照射するものである。
【0019】
前記ロービーム用配光パターンLPは、図7〜図10に示すように、走行車線35側の上水平カットオフラインCL1と、対向車線36側の下水平カットオフラインCL2と、中央の(上水平カットオフラインCL1と下水平カットオフラインCL2との間の)斜めカットオフラインCL3と、下水平カットオフラインCL2と斜めカットオフラインCL3との交点のエルボー点Eと、を備える。
【0020】
前記第1機能のハイビーム用配光パターンHP1は、図8(B)、(C)に示すように、上下の垂直線VU−VDに対して若干右側から右側までの広い範囲、および、左右水平線HL−HRに対して上側から若干下側までの範囲を照明するものである。前記第1機能のハイビーム用配光パターンHP1は、図8(B)、(C)に示すように、上下の垂直線VU−VDに対して若干右側に左側垂直カットオフラインCL4を有し、かつ、上下の垂直線VU−VD寄りにホットゾーンHZ1(ホットスポット、高光度帯)を有する。前記第1機能のハイビーム用配光パターンHP1は、図8(C)に示すように、対向車線側の路肩33まで広い範囲を照明することができ、また、左側垂直カットオフラインCL4により先行車30に迷惑光を与えることがなく、さらに、ホットゾーンHZ1により対向車線36を遠方まで照明することができる。
【0021】
前記第2機能のハイビーム用配光パターンHP2は、図9(B)、(C)に示すように、上下の垂直線VU−VDから左側までの広い範囲、および、左右水平線HL−HRに対して上側から若干下側までの範囲を照明するものである。前記第2機能のハイビーム用配光パターンHP2は、図9(B)、(C)に示すように、上下の垂直線VU−VDに右側垂直カットオフラインCL5を有し、かつ、上下の垂直線VU−VD寄りにホットゾーンHZ2(ホットスポット、高光度帯)を有する。前記第2機能のハイビーム用配光パターンHP2は、図9(C)に示すように、走行車線側の路肩32まで広い範囲を照明することができ、また、右側垂直カットオフラインCL5により対向車31に迷惑光を与えることがなく、さらに、ホットゾーンHZ2により走行車線35を遠方まで照明することができる。
【0022】
前記第3機能のハイビーム用配光パターンHP3は、図11(B)に示すように、上下の垂直線VU−VDから左右両側までの狭い範囲、および、左右水平線HL−HRに対して上側から若干下側までの範囲を照明するものである。前記第3機能のハイビーム用配光パターンHP3は、図11(B)に示すように、上下の垂直線VU−VD寄りにホットゾーンHZ3(ホットスポット、高光度帯)を有する。前記第3機能のハイビーム用配光パターンHP3は、図10(B)、(C)に示すように、走行車線35および対向車線36を遠方まで照明することができる。
【0023】
図7〜図11において、符号「32」は、走行車線側(左側)の路肩である。符号「33」は、対向車線側(右側)の路肩である。符号「34」は、センターラインである。図7〜図11の配光パターンは、左側通行の場合である。このために、右側通行の場合は、配光パターンは、左右反転する。
【0024】
前記ハイビーム用の車両用前照灯1は、光源ホルダ4およびヒートシンク部材40と、右側半導体型光源5Rおよび左側半導体型光源5Lと、右側反射面61R、62Rおよび左側反射面61L、62Lを有するリフレクタ6と、可動シェード7および移動機構70と、スイブル装置8と、調光制御部(図8中の制御部90参照)と、図示しないランプハウジングおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)と、を備えるものである。
【0025】
前記光源ホルダ4および前記ヒートシンク部材40および前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lおよび前記右側反射面61R、62Rおよび前記左側反射面61L、62Lおよび前記リフレクタ6および前記可動シェード7および前記移動機構70および前記スイブル装置8および前記調光制御部は、ランプユニットを構成する。前記ランプユニットは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室内に、たとえば光軸調整機構を介して配置されている。なお、前記灯室内には、前記ランプユニット以外に、前記ロービーム用の車両用前照灯2のランプユニット、あるいは、フォグランプ、コーナリングランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプなどの他のランプユニットが配置されている場合がある。また、前記調光制御部は、前記灯室外に配置されている場合がある。
【0026】
前記光源ホルダ4は、左右両側面および後面を有する垂直壁形状をなす。前記光源ホルダ4は、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記ヒートシンク部材40は、前面(正面)を有する直方体形状をなし、かつ、前部から後部にかけてフィン形状をなす。前記ヒートシンク部材40は、前記光源ホルダ4と同様に、たとえば、熱伝導率が高い樹脂部材もしくは金属部材から構成されている。前記光源ホルダ4の後面は、前記ヒートシンク部材40の前面に固定されている。
【0027】
前記光源ホルダ4の右側面には、前記右側半導体型光源5Rが配置されていて、一方、前記光源ホルダ4の左側面には、前記左側半導体型光源5Lが配置されている。前記半導体型光源5R、5Lは、前記光源ホルダ4に固定されている基板50と、前記基板50に設けられている発光チップ(図示せず)と、前記発光チップを封止する光透過性の封止部材51と、から構成されている。なお、前記発光チップは、複数個(この例では、2個)あるいは1個である。
【0028】
前記封止部材51は、前記半導体型光源5R、5Lの発光部を形成する。前記封止部材51は、直方体形状をなす。前記封止部材51の中心Oは、前記半導体型光源5R、5Lの発光中心Oである。前記半導体型光源5R、5Lの発光中心Oを通る水平軸Xと、垂直軸(鉛直軸)Yと、基準光軸Z(前記右側反射面61R、62Rおよび前記左側反射面61L、62Lの基準光軸)とは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。
【0029】
前記リフレクタ6は、たとえば、光不透過性の樹脂部材などから構成されている。前記リフレクタ6は、点O1を通る軸(前記基準光軸Zと平行な軸)を回転軸とする回転放物面形状をなす。前記リフレクタ6の前側は、円形に開口されている。前記リフレクタ6の後側は、閉塞されている。前記リフレクタ6の閉塞部の中間部には、縦長の長方形の窓部63が設けられている。前記リフレクタ6の前記窓部63には、前記光源ホルダ4が挿入されている。前記リフレクタ6は、閉塞部の外側(後側)において、前記ヒートシンク部材40に固定保持されている。
【0030】
前記リフレクタ6の閉塞部の内側(前側)のうち前記窓部63の右側および左側には、前記右側反射面61R、62Rおよび前記左側反射面61L、62Lがそれぞれ設けられている。パラボラ系の自由曲面(NURBS曲面)からなる前記右側反射面61R、62Rおよび前記左側反射面61L、62Lは、基準焦点(擬似焦点)Fおよび前記基準光軸(擬似光軸)Zを有する。前記基準焦点Fは、前記半導体型光源5R、5Lの発光中心Oもしくは発光中心O近傍に位置する。前記右側反射面61R、62Rと前記左側反射面61L、62Lとの間であって、前記リフレクタ6の閉塞部の内側(前側)のうち前記窓部63の上下両側には、無反射面64が設けられている。
【0031】
前記右側反射面61R、62Rは、第1右側反射面61Rと、第2右側反射面62Rと、から構成されている。前記第1右側反射面61Rは、前記右側半導体型光源5Rからの放射光を第1ハイビーム用配光パターンHP1、すなわち、図8に示す第1機能のハイビーム用配光パターンHP1として車両3の前方に反射させるものである。前記第2右側反射面62Rは、前記右側半導体型光源5Rからの放射光を第2ハイビーム用配光パターンHP3、すなわち、図11に示す第3機能のハイビーム用配光パターンHP3として車両の前方に反射させるものである。
【0032】
前記左側反射面61L、62Lは、第1左側反射面61Lと、第2左側反射面62Lと、から構成されている。前記第1左側反射面61Lは、前記左側半導体型光源5Lからの放射光を第3ハイビーム用配光パターンHP2、すなわち、図9に示す第2機能のハイビーム用配光パターンHP2として車両3の前方に反射させるものである。前記第2左側反射面62Lは、前記左側半導体型光源5Lからの放射光を第4ハイビーム用配光パターンHP3、すなわち、図11に示す第3機能のハイビーム用配光パターンHP3として車両の前方に反射させるものである。
【0033】
前記第1右側反射面61R、前記第2右側反射面62R、前記第1左側反射面61L、前記第2左側反射面62Lは、複数個のブロック(セグメント)に分割されている。各ブロックは、前記半導体型光源5R、5Lの発光部の反射像を制御して、前記第1機能のハイビーム用配光パターンHP1、前記第2機能のハイビーム用配光パターンHP2、前記第3機能のハイビーム用配光パターンHP3を成形して前記車両3の前方に照射するものである。
【0034】
符号「60R」は、前記右側反射面61R、62Rの前記第1右側反射面61Rと前記第2右側反射面62Rとの境界線である。符号「60L」は、前記左側反射面61L、62Lの前記第1左側反射面61Lと前記第2左側反射面62Lとの境界線である。
【0035】
前記可動シェード7は、前記移動機構70を介して第1位置(図3および図4中の実線で示す位置)と第2位置(図3および図4中の二点鎖線で示す位置)との間を移動可能に配置されている。前記可動シェード7は、光不透過性の部材からなり、製造コストが安価である板構造(この例では、平板の薄鋼板構造)からなる。前記可動シェード7は、正面板部と、前記正面板部の左右両側から直角に折り曲げてなる左右両側面板部と、から構成されている。前記左右両側面板部の上縁部が前記半導体型光源5R、5Lの発光部(封止部材51)の下縁部に対向する。
【0036】
前記可動シェード7は、前記右側半導体型光源5Rからの放射光の一部および前記左側半導体型光源5Lからの放射光の一部を遮蔽したり通したりするものである。すなわち、前記可動シェード7は、前記第1位置するとき、前記右側半導体型光源5Rから前記第2右側反射面62Rに入射する放射光、および、前記左側半導体型光源5Lから前記第2左側反射面62Lに入射する放射光をそれぞれ遮蔽する。また、前記可動シェード7は、前記第2位置するとき、前記右側半導体型光源5Rからの放射光を前記第2右側反射面62Rに入射させ、かつ、前記左側半導体型光源5Lからの放射光を前記第2左側反射面62Lに入射させる。
【0037】
前記移動機構70は、前記可動シェード7を前記第1位置と前記第2位置との間を移動させるものである。前記移動機構70は、この例では、ソレノイドである。前記移動機構70は、前記ヒートシンク部材40に固定されている。前記移動機構70の移動軸(プランジャー)71の前端(先端)は、前記可動シェード7の正面板部に固定されている。前記移動機構70が停止状態(無通電状態)のときには、復帰スプリング(図示せず)により、前記第2位置に位置する前記可動シェード7が図3、図4中の実線矢印方向に移動して前記第1位置に位置する。また、前記移動機構70が駆動状態(通電状態)のときには、復帰スプリングのスプリング力に抗して、前記第2位置に位置する前記可動シェード7が図3、図4中の二点鎖線矢印方向に移動して前記第2位置に位置する。
【0038】
前記スイブル装置8は、前記光源ホルダ4および前記ヒートシンク部材40および前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lおよび前記右側反射面61R、62Rおよび前記左側反射面61L、62Lおよび前記リフレクタ6および前記可動シェード7および前記移動機構70(以下、「サブランプユニット」と称する)を垂直軸Y1回りに回転させるものである。前記スイブル装置8の垂直軸すなわちスイブル回転軸線は、前記直交座標の垂直軸Yと平行である。
【0039】
前記スイブル装置8は、たとえば、ステッピングモータと、回転力伝達機構と、スイブル軸80と、から構成されている。前記スイブル装置8は、前記光軸調整機構を介して前記ランプハウジングに固定されている。前記スイブル軸80の上端(先端)は、前記ヒートシンク部材40に固定されている。
【0040】
前記スイブル装置8は、たとえば、操舵角センサ(図示せず)を介して制御装置(図示せず)と接続されている。前記操舵角センサの検出信号が前記制御装置に入力されると、前記制御装置が前記スイブル装置8に制御信号を出力する。この結果、前記スイブル装置8は、駆動して、前記サブランプユニットを前記車両3の左右旋回に合わせて前記垂直軸Y1回りに回転させる。
【0041】
前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lには、前記調光制御部が接続されている。前記調光制御部は、前記各ハイビーム用配光パターンHP1、HP2、HP3の光度を徐々に増加させたり徐々に減少させたりするために、前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lを調光制御するものである。前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lの調光制御は、たとえば、2進法パルス幅変調であって、ONのパルス幅のデュティ比あるいはOFFのパルス幅のデュティ比を減少またはおよび増加させることにより行われる。
【0042】
車両用前照灯システムは、前記ハイビーム用の車両用前照灯1と、前方に先行車30や対向車31の有無を検出する検出部9と、前記検出部9からの検出信号に基づいて前記ハイビーム用の車両用前照灯1に制御信号を出力する制御部90と、を備える。前記制御部90は、前記スイブル装置8の前記制御装置を兼用しても良い。
【0043】
前記検出部9は、前方に先行車30および対向車31が有ると第1検出信号を前記制御部90に出力し、前方に先行車30が有りかつ対向車31が無いと第2検出信号を前記制御部90に出力し、前方に先行車30が無くかつ対向車31が有ると第3検出信号を前記制御部90に出力し、前方に先行車30および対向車31が無いと第4検出信号を前記制御部90に出力するものである。
【0044】
前記制御部90は、前記調光制御部を備える。前記制御部90は、前記検出部9からの第1検出信号により第1制御信号を前記ハイビーム用の車両用前照灯1に出力し、前記検出部9からの第2検出信号により第2制御信号を前記ハイビーム用の車両用前照灯1に出力し、前記検出部9からの第3検出信号により第3制御信号を前記ハイビーム用の車両用前照灯1に出力し、前記検出部9からの第4検出信号により第4制御信号を前記ハイビーム用の車両用前照灯1に出力するものである。
【0045】
前記ハイビーム用の車両用前照灯1は、前記検出部9からの検出信号に基づいた前記制御部90からの制御信号により、前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lの点灯消灯の制御、および、前記移動機構70の駆動停止の制御が行われる。すなわち、前記制御部90からの第1制御信号により、前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lが消灯状態に制御され、かつ、前記移動機構70が停止状態に制御される。前記制御部90からの第2制御信号により、前記右側半導体型光源5Rが点灯状態に制御され、前記左側半導体型光源5Lが消灯状態に制御され、かつ、前記移動機構70が停止状態に制御される。前記制御部90からの第3制御信号により、前記右側半導体型光源5Rが消灯状態に制御され、前記左側半導体型光源5Lが消灯状態に制御され、かつ、前記移動機構70が停止状態に制御される。前記制御部90からの第4制御信号により、前記右側半導体型光源5Rおよび前記左側半導体型光源5Lが点灯状態に制御され、かつ、前記移動機構70が駆動状態に制御される。
【0046】
(作用の説明)
この実施例にかかる車両用前照灯システムは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0047】
まず、図7〜図10に示すように、ロービーム用の車両用前照灯2からロービーム用配光パターンLPが車両3の前方に照射されている。
【0048】
ここで、図7(C)に示すように、車両3の前方に先行車30および対向車31が有る場合。この場合には、検出部9が第1検出信号を制御部90に出力し、制御部90は、第1制御信号をハイビーム用の車両用前照灯1に出力する。すると、ハイビーム用の車両用前照灯1の右側半導体型光源5Rおよび左側半導体型光源5Lが消灯状態にあり、かつ、移動機構70が停止状態にある。これにより、図7(A)に示すように、右側反射面61R、62Rおよび左側反射面61L、62Lから光が反射されない。このために、図7(B)に示すように、ハイビーム用配光パターンは車両3の前方に照射されない。この結果、図7(C)に示すように、ロービーム用の車両用前照灯2からロービーム用配光パターンLPのみが車両3の前方に照射されることとなる。すなわち、車両3の前方の先行車30および対向車31に対して、迷惑光を与えるようなことがなく、交通安全に貢献することができる。
【0049】
つぎに、図8(C)に示すように、車両3の前方に先行車30が有り対向車31が無い場合。この場合には、検出部9が第2検出信号を制御部90に出力し、制御部90は、第2制御信号をハイビーム用の車両用前照灯1に出力する。すると、ハイビーム用の車両用前照灯1の右側半導体型光源5Rが点灯状態に制御され、左側半導体型光源5Lが消灯状態に制御され、かつ、移動機構70が停止状態に制御される。これにより、図8(A)に示すように、右側半導体型光源5Rからの放射光の一部が第1右側反射面61R(図8(A)中の斜線が施されている反射面)で反射されるので、第1右側反射面61Rから光が反射される。一方、右側半導体型光源5Rから第2右側反射面62Rに入射しようとする放射光は第1位置に位置する可動シェード7により遮蔽されるので、第2右側反射面62Rから光が反射されない。また、左側半導体型光源5Lが消灯状態にあるので、左側反射面61L、62Lからも光が反射されない。このために、図8(B)に示すように、左側垂直カットオフラインCL4および第1ホットゾーンHZ1を有する第1機能のハイビーム用配光パターンHP1が車両3の前方に照射される。この結果、図8(C)に示すように、ハイビーム用の車両用前照灯1から第1機能のハイビーム用配光パターンHP1と、ロービーム用の車両用前照灯2からロービーム用配光パターンLPとが、車両3の前方にそれぞれ照射されることとなる。すなわち、第1機能のハイビーム用配光パターンHP1により対向車線側の路肩33まで広い範囲を照明することができ、また、左側垂直カットオフラインCL4により先行車30に迷惑光を与えることがなく、さらに、ホットゾーンHZ1により対向車線36を遠方まで照明することができ、交通安全に貢献することができる。
【0050】
それから、図9(C)に示すように、車両3の前方に先行車30が無く対向車31が有る場合。この場合には、検出部9が第3検出信号を制御部90に出力し、制御部90は、第3制御信号をハイビーム用の車両用前照灯1に出力する。すると、ハイビーム用の車両用前照灯1の左側半導体型光源5Lが点灯状態に制御され、右側半導体型光源5Rが消灯状態に制御され、かつ、移動機構70が停止状態に制御される。これにより、図9(A)に示すように、左側半導体型光源5Lからの放射光の一部が第1左側反射面61L(図9(A)中の斜線が施されている反射面)で反射されるので、第1左側反射面61Lから光が反射される。一方、左側半導体型光源5Lから第2左側反射面62Lに入射しようとする放射光は第1位置に位置する可動シェード7により遮蔽されるので、第2左側反射面62Lから光が反射されない。また、右側半導体型光源5Rが消灯状態にあるので、右側反射面61R、62Rからも光が反射されない。このために、図9(B)に示すように、右側垂直カットオフラインCL5および第2ホットゾーンHZ2を有する第2機能のハイビーム用配光パターンHP2が車両3の前方に照射される。この結果、図9(C)に示すように、ハイビーム用の車両用前照灯1から第2機能のハイビーム用配光パターンHP2と、ロービーム用の車両用前照灯2からロービーム用配光パターンLPとが、車両3の前方にそれぞれ照射されることとなる。すなわち、第2機能のハイビーム用配光パターンHP2により走行車線側の路肩32まで広い範囲を照明することができ、また、右側垂直カットオフラインCL5により対向車31に迷惑光を与えることがなく、さらに、ホットゾーンHZ2により走行車線35を遠方まで照明することができ、交通安全に貢献することができる。
【0051】
そして、図10(C)に示すように、車両3の前方に先行車30および対向車31が無い場合。この場合には、検出部9が第4検出信号を制御部90に出力し、制御部90は、第4制御信号をハイビーム用の車両用前照灯1に出力する。すると、ハイビーム用の車両用前照灯1の右側半導体型光源5Rおよび左側半導体型光源5Lが点灯状態に制御され、かつ、移動機構70が駆動状態に制御される。これにより、図10(A)に示すように、右側半導体型光源5Rからの放射光および左側半導体型光源5Lからの放射光が右側反射面61R、62Rおよび左側反射面61L、62L(図10(A)中の斜線が施されている反射面)で反射されるので、右側反射面61R、62Rおよび左側反射面61L、62Lから光が反射される。すなわち、右側半導体型光源5Rからの放射光の一部および左側半導体型光源5Lからの放射光の一部が第1右側反射面61Rおよび第1左側反射面61Lでそれぞれ反射される。このために、図8(B)に示す第1機能のハイビーム用配光パターンHP1および図9(B)に示す第2機能のハイビーム用配光パターンHP2が車両3の前方に照射される。一方、可動シェード7が第2位置に位置するので、右側半導体型光源5Rからの放射光の残りおよび左側半導体型光源5Lからの放射光の残りが第2右側反射面62Rおよび第2左側反射面62L(図11(A)中の斜線が施されている反射面)にそれぞれ入射して第2右側反射面62Rおよび第2左側反射面62Lでそれぞれ反射される。このために、図11(B)に示す第3機能のハイビーム用配光パターンHP3がそれぞれ車両3の前方に照射される。
【0052】
このように、図10(B)に示すように、左側垂直カットオフラインCL4および第1ホットゾーンHZ1を有する第1機能のハイビーム用配光パターンHP1(図8参照)、および、右側垂直カットオフラインCL5および第2ホットゾーンHZ2を有する第2機能のハイビーム用配光パターンHP2(図9参照)、および、第3ホットゾーンHZ3を有する第3機能のハイビーム用配光パターンHP3(図3参照)がそれぞれ車両3の前方に照射される。この結果、図10(C)に示すように、ハイビーム用の車両用前照灯1から第1機能のハイビーム用配光パターンHP1および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3と、ロービーム用の車両用前照灯2からロービーム用配光パターンLPとが、車両3の前方にそれぞれ照射されることとなる。これにより、走行車線35および対向車線36を遠方まで照明することができ、かつ、走行車線側の路肩32および対向車線側の路肩33まで広い範囲をも照明することができ、交通安全に貢献することができる。
【0053】
ここで、操舵角センサは、車両3の左右旋回を検出すると、検出信号を制御装置に出力する。制御装置は、操舵角センサからの検出信号を入力すると、制御信号をスイブル装置8に出力する。スイブル装置8は、制御信号に基づいて、サブランプユニットを車両3の左右旋回に合わせて垂直軸Y1回りに回転させる。これにより、ハイビーム用の車両用前照灯1から車両3の前方に照射される第1機能のハイビーム用配光パターンHP1および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3は、車両3の左右旋回に合わせて左右に旋回する。
【0054】
また、制御部90の調光制御部により、ハイビーム用の車両用前照灯1から車両3の前方に照射される第1機能のハイビーム用配光パターンHP1の光度および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2の光度および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3の光度は、徐々に増加されかつ徐々に減少される。
【0055】
(効果の説明)
この実施例にかかる車両用前照灯システムは、以上のごとき構成作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0056】
この実施例における車両用前照灯システムは、右側半導体型光源5Rの点灯消灯の制御と、左側半導体型光源5Lの点灯消灯の制御と、移動機構70の駆動停止の制御を介して可動シェード7の第1位置第2位置の移動の制御と、を組み合わせることにより、第1機能のハイビーム用配光パターンHP1の光度および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2の光度および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3を車両3の前方にそれぞれ照射することができる。
【0057】
特に、この実施例における車両用前照灯システムは、1組のランプユニット、すなわち、光源ホルダ4および右側半導体型光源5Rおよび左側半導体型光源5Lおよび右側反射面61R、62Rおよび左側反射面61L、62Lおよび可動シェード7および移動機構70を備える1組のランプユニットからなるものであるから、2組の灯具ユニットと2組のスイブル機構とを必要とする従来の車両用前照灯システムと比較して、部品点数が少なく、その分、小型化し、かつ、製造コストを安価にすることができる。
【0058】
また、この実施例における車両用前照灯システムは、スイブル装置8を備えるので、第1機能のハイビーム用配光パターンHP1の光度および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2の光度および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3を車両3の左右旋回に伴って左右にそれぞれ旋回させることができ、その結果、車両3の前方の曲路および交差点を確実に照明することができ、交通安全に貢献することができる。
【0059】
さらに、この実施例における車両用前照灯システムは、調光制御部(制御部90)を備えるので、第1機能のハイビーム用配光パターンHP1の光度および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2の光度および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3の光度を徐々に増加させたり徐々に減少させたりすることができ、その結果、第1機能のハイビーム用配光パターンHP1の光度および第2機能のハイビーム用配光パターンHP2の光度および第3機能のハイビーム用配光パターンHP3を切り替えたり点灯消灯したりする際に、ドライバーや周囲の人に対して違和感を与えるようなことがなく、人に対して優しい照明が得られる。
【0060】
以下、上記の実施例以外の例について説明する。上記の実施例においては、リフレクタ6、すなわち、反射面61R、62R、61L、62Lが正面視円形をなすものである。ところが、この発明においては、リフレクタすなわち反射面が正面視円形以外の形状、たとえば、正方形、長方形、ひし形、三角形、その他の形状であっても良い。
【0061】
また、上記の実施例においては、ソレノイドの移動機構70を使用して可動シェード7を基準光軸Z方向に前後に移動させるものである。ところが、この発明においては、移動機構としてソレノイド以外の機構、たとえば、モータを使用しても良い。また、可動シェードを基準光軸方向に前後移動させる以外に、可動シェードを、水平軸回りに回転移動させたり、あるいは、基準光軸回りに回転移動させたりしても良い。
【0062】
さらに、上記の実施例においては、スイブル装置8を備えるものである。ところが、この発明においては、スイブル装置8を使用しなくても良い。
【0063】
さらにまた、上記の実施例においては、半導体型光源5R、5Lを調光制御部により調光制御するものである。ところが、この発明においては、半導体型光源を調光制御しなくても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 ハイビーム用の車両用前照灯
2 ロービーム用の車両用前照灯
3 車両
30 先行車
31 対向車
32 走行車線側(左側)の路肩
33 対向車線側(右側)の路肩
34 センターライン
35 走行車線
36 対向車線
4 光源ホルダ
40 ヒートシンク部材
5R 右側半導体型光源
5L 左側半導体型光源
50 基板
51 封止部材
6 リフレクタ
60R 右側反射面の境界線
61R 第1右側反射面
62R 第2右側反射面
60L 左側反射面の境界線
61L 第1左側反射面
62L 第2左側反射面
63 窓部
64 無反射面
7 可動シェード
70 移動機構(ソレノイド)
71 移動軸(プランジャー)
8 スイブル装置
80 スイブル軸
9 検出部
90 制御部(調光制御部)
HP1 第1機能のハイビーム用配光パターン
HP2 第2機能のハイビーム用配光パターン
HP3 第3機能のハイビーム用配光パターン
HZ1 第1機能のハイビーム用配光パターンのホットゾーン
HZ2 第2機能のハイビーム用配光パターンのホットゾーン
HZ3 第3機能のハイビーム用配光パターンのホットゾーン
LP ロービーム用配光パターン
CL1 上水平カットオフライン
CL2 下水平カットオフライン
CL3 斜めカットオフライン
CL4 左側垂直カットオフライン
CL5 右側垂直カットオフライン
E エルボー点
F 基準焦点
O 発光部の中心
O1 リフレクタの中心
X 水平軸
Y 垂直軸(鉛直軸)
Y1 垂直軸(スイブル軸)
Z 基準光軸
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU―VD スクリーンの上下の垂直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数機能のハイビーム用配光パターンを車両の前方にそれぞれ照射する車両用前照灯において、
垂直壁の光源ホルダと、
前記光源ホルダの左右両側面にそれぞれ配置されている右側半導体型光源および左側半導体型光源と、
焦点が前記右側半導体型光源の発光中心もしくは発光中心近傍に位置するパラボラ系の自由曲面からなる右側反射面と、
焦点が前記左側半導体型光源の発光中心もしくは発光中心近傍に位置するパラボラ系の自由曲面からなる左側反射面と、
第1位置と第2位置との間を移動可能に配置されていて、前記右側半導体型光源からの放射光の一部および前記左側半導体型光源からの放射光の一部を遮蔽したり通したりする可動シェードと、
前記可動シェードを前記第1位置と前記第2位置との間を移動させる移動機構と、
を備え、
前記右側反射面は、前記右側半導体型光源からの放射光を第1ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第1右側反射面と、前記右側半導体型光源からの放射光を第2ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第2右側反射面と、から構成されていて、
前記左側反射面は、前記左側半導体型光源からの放射光を第3ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第1左側反射面と、前記左側半導体型光源からの放射光を第4ハイビーム用配光パターンとして車両の前方に反射させる第2左側反射面と、から構成されていて、
前記可動シェードが前記第1位置するときには、前記右側半導体型光源から前記第2右側反射面に入射する放射光、および、前記左側半導体型光源から前記第2左側反射面に入射する放射光が前記可動シェードによりそれぞれ遮蔽され、
前記可動シェードが前記第2位置するときには、前記右側半導体型光源からの放射光が前記第2右側反射面に入射し、かつ、前記左側半導体型光源からの放射光が前記第2左側反射面に入射する、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記光源ホルダおよび前記右側半導体型光源および前記左側半導体型光源および前記右側反射面および前記左側反射面および前記可動シェードおよび前記移動機構を垂直軸回りに回転させるスイブル装置を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記各ハイビーム用配光パターンの光度を徐々に増加させたり徐々に減少させたりするために、前記右側半導体型光源および前記左側半導体型光源を調光制御する調光制御部を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記の請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯と、
前方に先行車や対向車の有無を検出する検出部と、
前記検出部からの検出信号に基づいて前記車両用灯具に制御信号を出力する制御部と、
を備える、ことを特徴とする車両用前照灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−48960(P2012−48960A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189790(P2010−189790)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】