説明

車載用電子機器の前面パネルの開閉装置

【課題】前面パネルのラトルノイズを抑制する。
【解決手段】スライダ4がシャーシ3に対して前後に移動可能に設けられ、スライダ4の前端部に揺動桿6の中間部が回転可能に連結され、揺動桿6の前端部に表示パネル2の下端部が回転可能に連結され、表示パネル2の上端部が縦ガイド部72によって上下に案内されている。ねじりバネ92によって揺動桿6が反時計回りに付勢され、揺動桿6の前端部の下面がA点においてスライダ4の前端部に当接することによって揺動桿6の回転が抑止されている。スライダ5がスライダ4に対して前後に移動可能に設けられ、揺動桿6に設けられたロックピン62がスライダ5のロック突起53に当接し、揺動桿6の時計回りの回転が抑止されている。スライダ4が後方に移動し、スライダ5の爪52がストッパ84に当たり、ロックピン62がロック突起53から離れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子機器の前面パネルの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションシステム、カーオーディオ、車載テレビといった車載用電子機器においては、表示パネルが電子機器本体の前面に設けられ、表示パネルが前に倒伏することによって電子機器本体の前面が露出し、表示パネルが起立することで電子機器本体の前面が表示パネルに隠れるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、表示パネルが前に倒伏すると、表示パネルの表示面が下を向き、ユーザが表示パネルの表示面を視認することができないという問題があった。
【0003】
そこで、本出願人は、表示パネルの下端部を前後に移動可能に設け、表示パネルの上端部を上下に移動可能に設け、表示パネルの表示面が上に向くように表示パネルを後倒させる技術を開発している(例えば、特願2004−303775、特願2004−315204)。
【0004】
具体的には、図6に示すように、スライダ204がシャーシ203に対して前後に移動可能に設けられ、スライダ204の前端部に揺動桿206の中間部が回転可能に連結され、ねじりバネ205によって揺動桿206が反時計回りに付勢され、揺動桿206の前端部がスライダ204の前端部に当接することによって揺動桿206の回転が抑止されている。また、揺動桿206の前端部に表示パネル202の下端部が回転可能に連結され、シャーシ203の前端部にガイド溝207が設けられ、表示パネル202の上端部がガイド溝207によって上下に案内される。この装置においては、スライダ204が前に移動することで、表示パネル202の表示面が上に向くように後ろに倒れ、スライダ204が後ろに移動することで、表示パネル202の表示面が前に向くように起立する。
【特許文献1】特開平7−285390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、車両が走行している場合には、車載用電子機器に振動が伝わり、表示パネル202にラトルノイズが発生してしまう。特に、表示パネル202に振動が伝わると、表示パネル202の重さにより揺動桿206が上下に揺動し、これにより表示パネル202の下端部も上下に振動してしまい、表示パネル2の視認性を損なうことがある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決しようとしてなされたものであり、本発明の目的は表示パネル202のような前面パネルのラトルノイズを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明においては、車載用電子機器の前面パネルの開閉装置が、シャーシと、車載用電子機器の前面パネルの下部に回転可能に連結された揺動部材と、前記シャーシに対して前後に移動可能に設けられ、前記揺動部材と前記前面パネルの連結部よりも後方において前記揺動部材に回転可能に連結された第1の移動部材と、前記シャーシに固定され、前記前面パネルの上部を上下に案内する縦ガイド部と、前記第1の移動部材に対して前後移動可能に設けられた第2の移動部材と、を備え、前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも前方において前記揺動部材の下面が前記第1の移動部材に当接し、前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも後方において前記揺動部材の下面が前記第2の移動部材に当接するという構成を採った。
【0008】
また、前記開閉装置が、前記第2の移動部材と前記第1の移動部材との間に介在した弾性部材と、前記前面パネルの上部を前記縦ガイド部の上端から前後に案内する横ガイド部と、前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも後方において前記揺動部材に取り付けられた摺動子と、前記第2の移動部材に形成された爪と、前記摺動子の後方に配置され、前方斜め下を向いた傾斜面と、前記爪の後方に配置されたストッパと、を更に備え、前記前面パネルの上部が前記縦ガイド部によって案内される場合に、前記摺動子が傾斜面から前方に離れているとともに前記爪がストッパから前方に離れ、前記弾性部材によって前記第1の移動部材と前記第2の移動部材が一体となって前後に移動し、前記前面パネルの上部が前記横ガイド部によって案内される場合に、前記爪が前記ストッパに当接することによって前記第2の移動部材の後方への移動が抑止されて前記第1の移動部材が前後に移動し、前記揺動部材が前記第2の移動部材から離れ且つ前記摺動子が前記傾斜面を摺動することによって前記揺動部材が前記第1の移動部材との連結部回りに回転するという構成を採った。
【0009】
また、前記開閉装置が、前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも前方において前記揺動部材の下面が前記第1の移動部材に当接するように前記揺動部材を付勢する付勢手段を更に備えるという構成を採った。
【0010】
また、前記前面パネルがその前面を表示面とする表示パネルであるという構成を採った。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、揺動部材と第1の移動部材の連結部よりも前方において揺動部材の下面が第1の移動部材に当接することによって、揺動部材の回転が抑止され、揺動部材と第1の移動部材の連結部よりも後方において揺動部材の下面が第2の移動部材に当接することによって、揺動部材の反対への回転が抑止される。そのため、振動により揺動部材が連結部を中心にして回転せず、前面パネルのラトルノイズを防止することができる。前面パネルが表示パネルであると、その視認性が良くなる。
また、第2の移動部材が第1の移動部材に対して前後に移動可能とされているので、第1の移動部材とともに揺動部材が前後に動くことによって、第2の移動部材と揺動部材との当接が解除される。このときには、揺動部材が第1の移動部材との連結部を中心にして回転可能となり、揺動部材の回転によって前面パネルの下部を上下に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
図1〜図4は、車載用電子機器の表示パネル2を開閉する開閉装置1の側面図である。図1では、表示パネル2の表示面22が上方を向いた状態であり、図2では、表示パネル2の表示面22が斜め上前方を向いた状態であり、図2では、表示パネル2の表示面22が前方を向いた状態であり、図4では、表示パネル2の表示面22が前方斜め下を向いた状態である。
【0014】
シャーシ3は、底板31と、底板31の左右両端部において垂直に立設された左右の側板32とからなり、正面視してU字状に成している。このシャーシ3に車載用電子機器の本体が取り付けられ、電子機器本体の前面に表示部、ディスク挿入口、ボタン等が設けられている。また、表示パネル2は、液晶ディスプレイ又はエレクトロルミネッセンスディスプレイであり、電子機器本体の信号によって表示を行う。なお、表示パネル2の表示面22にタッチパネルが張り付けられていても良いし、表示パネル2にボタン等の操作スイッチが設けられていても良い。
【0015】
シャーシ3の底板31上には第1のスライダ4(第1の移動部材)が配設され、シャーシ3に設けられたガイドによってこの第1のスライダ4がシャーシ3に対して前後にスライド可能に設けられている。第1のスライダ4は、モータ、ラックアンドピニオン、ギア、クラッチ等から構成された駆動機構によって前後に移動される。
【0016】
第1のスライダ4には第2のスライダ5(第2の移動部材)が配設され、第2のスライダ5に形成された長溝が第1のスライダ4に形成されたピンに挿入されることによって、第2のスライダ5が第1のスライダ4に対して前後にスライド可能となっている。
【0017】
第2のスライダ5の後端部には、バネ掛け部51が一体形成され、一方、第1のスライダ4の後端部には、バネ掛け部41が一体形成されている。バネ掛け部51に弾性部材としての引張バネ91の前端部が掛けられ、バネ掛け部41に引張バネ91の後端部が掛けられ、バネ掛け部41とバネ掛け部51との間に引張バネ91が介在している。
【0018】
第2のスライダ5の前端部には、上方に突出した爪52が一体形成されている。爪52よりも後方において、ロック突起53が第2のスライダ5と一体となって形成されている。ロック突起53は側面視して楔状に形成され、ロック突起53の上縁が後方に向かって下るように傾斜している。
【0019】
第1のスライダ4の前端部には、揺動桿6がその中間部において連結され、第1のスライダ4に対して揺動桿6がその連結部において左右方向の連結軸63の回りに回転可能となっている。揺動桿6の連結軸63には、付勢手段としてのねじりバネ92が設けられ、このねじりバネ92によって揺動桿6が図1の反時計回りに付勢され、揺動桿6の前端部の下面が第1のスライダ4の前端部に当接することによってねじりバネ92による揺動桿6の回転が抑止されている。
【0020】
揺動桿6の連結軸63よりも後ろ側には、左右方向の軸回りに回転可能な摺動ローラ61が側方に突出するよう取り付けられている。摺動ローラ61よりも後方であって揺動桿6の後端部には、ロックピン62が側方に突出するよう設けられている。
【0021】
揺動桿6の前端部が表示パネル2の側面であってその下端部に連結され、表示パネル2に対して揺動桿6がその連結部において左右方向の軸回りに回転可能となっている。表示パネル2の側面であってその上端部には、ピン21が凸設されている。一方、シャーシ3の側板32の前端部には、ガイド板7が固定され、ガイド板7にガイド71が溝状に凹設され、ピン21がこのガイド71に挿入されている。ガイド71は、上下方向に延在するとともに後ろに凸となるよう緩やかに湾曲した縦ガイド部72と、縦ガイド部72の上端部に連続しているとともに縦ガイド部72の上端部から前方斜め上に延び出た横ガイド部73とからなる。
【0022】
シャーシ3の側板32には、ローラガイド8が固定されている。図5は、ローラガイド8の拡大図である。このローラガイド8には、前方斜め下を指向した第1傾斜面81と、第1傾斜面の後端から連続して形成されて前方斜め下を指向した第2傾斜面82と、第2傾斜面82の後端から連続して形成された水平保持面83とが形成されている。第1傾斜面81は、後方に向かって下るように傾斜している。第2傾斜面82も、後方に向かって下るように傾斜し、第1傾斜面81よりも大きく傾斜している。また、ローラガイド8の下端部には、下方に突出したストッパ84が形成されている。このストッパ84は、第2のスライダ5の爪52よりも後方にある。
【0023】
図1に示すように、表示パネル2のピン21が縦ガイド部72によって上下に案内される場合には、摺動ローラ61が第1傾斜面81及び第2傾斜面82から前方に離れて、爪52がストッパ84から前方に離れ、第2のスライダ5は引張バネ91によって第1のスライダ4と一体となって前後に移動可能となり、第2のスライダ5のロック突起53の上縁がロックピン62の下面に当接し、揺動桿6の前端部の下面がA点において第1のスライダ4の前端部に当接している。
【0024】
図2に示すように、表示パネル2のピン21が縦ガイド部72の上端部では、爪52がストッパ84に当接することで第2のスライダ5の後方への移動が抑止され、第1のスライダ4が第2のスライダ5とは別体で後方へ移動可能となっている。
【0025】
図3に示すように、表示パネル2のピン21が横ガイド部73によって前後に案内される場合には、爪52によって第1のスライダ4が第2のスライダ5とは別体で後方へ移動可能とされ、ロックピン62が第2のスライダ5のロック突起53から後ろに離れ、ねじりバネ92により揺動桿6が反時計回りに付勢されることで摺動ローラ61が第1傾斜面81又は第2傾斜面82に接し、摺動ローラ61が第1傾斜面81又は第2傾斜面82を摺動することによって、揺動桿6が連結軸63の回りに回転可能となっている。
【0026】
図4に示すように、表示パネル2のピン21が横ガイド部73の前端に位置する場合には、摺動ローラ61が水平保持面83に当接している。
【0027】
なお、ピン21、第1のスライダ4、第2のスライダ5、揺動桿6、摺動ローラ61、ロックピン62、ガイド板7、ローラガイド8、引張バネ91及びねじりバネ92等は、表示パネル2の左右両側部に対称に設けられている。そして、両側の第1のスライダ4は一体構造となっている。
【0028】
次に、開閉装置1の動作について説明する。
図1に示すように、第1のスライダ4がシャーシ3から前方に延び出た状態では、表示パネル2のピン21がガイド71の下端に位置し、表示パネル2が後ろに倒伏して、表示パネル2の表示面22が上に向いている。また、第2のスライダ5の爪52がローラガイド8のストッパ84よりも前方に離れた位置にあり、揺動桿6の摺動ローラ61がローラガイド8の第1傾斜面81、第2傾斜面82及び水平保持面83から離れてローラガイド8よりも前に位置している。また、揺動桿6の前端部の下面がA点において第1のスライダ4の前端部に当接し、これにより揺動桿6が反時計回りに回転することが抑止され、揺動桿6のロックピン62がロック突起53の上縁に当接し、これにより揺動桿6が時計回りに回転することが抑止されている。このように揺動桿6がどちら向きにも回転しないようになっているので、表示パネル2がシャーシ3、ガイド板7に対して振動しない。
【0029】
そして、駆動機構によって第1のスライダ4が後方にスライド移動すると、揺動桿6も第1のスライダ4とともに後方に移動し、表示パネル2のピン21がガイド71の縦ガイド部72に沿って上に移動し、これにより表示パネル2が起立し、表示パネル2の表示面22が前に向いていく。この時、第2のスライダ5も引張バネ91によって後方に引かれることで第1のスライダ4とともに後方に移動し、揺動桿6のロックピン62がロック突起53の上縁に当接した状態が保たれ、揺動桿6の前端部が第1のスライダ4の前端に当接した状態が保たれる。
【0030】
そして、図2に示すように、ピン21が縦ガイド部72の上端部に位置したら、摺動ローラ61が第1傾斜面81の前端部に当接し、第2のスライダ5の爪52がローラガイド8のストッパ84に当接して係止する。そのため、駆動機構によって第1のスライダ4が更に後方にスライド移動すると、第2のスライダ5の後方への移動が抑止され、ロックピン62がロック突起53の上縁から離れ、揺動桿6が時計回りに回転可能となる。
【0031】
駆動機構によって第1のスライダ4が更に後方に移動すると、摺動ローラ61が第1傾斜面81を摺動し、揺動桿6がねじりバネ92に抗して時計回りに回転し、表示パネル2の下端部が後方及び上方に移動しながら、表示パネル2の表示面22が前方を向くように表示パネル2が起立していく。そして、図3に示すように、摺動ローラ61が第1傾斜面81の第2傾斜面82寄りに位置したら、表示パネル2の表示面22が前方を向く。
【0032】
駆動機構によって第1のスライダ4が更に後方に移動すると、摺動ローラ61が第2傾斜面82を摺動し、揺動桿6がねじりバネ92に抗して時計回りに回転する。これにより、表示パネル2の下端部が後方及び上方に移動し、ピン21が横ガイド部73に沿って前方に移動し、表示パネル2が前に倒伏していく。
【0033】
そして、駆動機構によって第1のスライダ4が更に後方に移動すると、図4に示すように、摺動ローラ61が水平保持面83に位置し、ピン21が横ガイド部73の前端部に位置し、表示パネル2の表示面22が前方斜め下を向く。摺動ローラ61が水平保持面83に位置した状態では、摺動ローラ61と連結軸63を結ぶ線分が水平保持面83と平行となる。
【0034】
図4の状態から第1のスライダ4が駆動機構によって前方に移動すると、摺動ローラ61が水平保持面83から第2傾斜面82に移って、ねじりバネ92によって摺動ローラ61が第2傾斜面82に押し当てられた状態で第2傾斜面82を摺動する。これにより、揺動桿6が反時計回りに回転し、表示パネル2の下端部が前方及び下方に移動し、ピン21が横ガイド部73に沿って後方に移動し、表示パネル2が起立する。この時、第2のスライダ5が引張バネ91によって後方に引張られているので、第1のスライダ4が前方に移動しても、第2のスライダ5が前方に移動しない。
【0035】
図3の状態から第1のスライダ4が駆動機構によって前方に移動すると、摺動ローラ61がねじりバネ92によって第1傾斜面81に押し当てられた状態で第1傾斜面81を摺動し、揺動桿6が反時計回りに回転し、表示パネル2の表示面22が上を向くように表示パネル2が後倒する。
【0036】
更に第1のスライダ4が駆動機構によって前方に移動すると、図2に示すように、ロックピン62がロック突起53の上縁に当接し、揺動桿6の前端部が第1のスライダ4の前端に当接する。また、図2の状態で引張バネ91が自然長であるので、図2の状態から第1のスライダ4が駆動機構によって前方に移動すると、第2のスライダ5が第1のスライダ4と一体となって前方に移動する。この時、表示パネル2の下端部が前方に移動し、ピン21が縦ガイド部72に沿って下方に移動し、表示パネル2が後倒していく。そして、第1のスライダ4が前の限界位置まで移動したら、表示パネル2のピン21がガイド71の下端に位置し、表示パネル2の表示面22が上を向く(図1参照)。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、図1のように第1のスライダ4が最も前に延び出た状態から図2のように第2のスライダ5の爪52がストッパ84に当接した状態まででは、揺動桿6の回転が第2のスライダ5のロック突起53及び第1のスライダ4によって抑止されているから、連結軸63を中心にした表示パネル2の下端部の上下振動が起きない。そのため、表示パネル2のラトルノイズを防止することができ、表示パネル2の視認性が向上する。なお、ねじりバネ92の付勢力を大きくすれば、仮に第2のスライダ5のロック突起53がロックピン62に接しなくても、揺動桿6の回転を抑えられ、表示パネル2のラトルノイズを防止することができる。しかしながら、第1傾斜面81や第2傾斜面82によって揺動桿6を回転させるとき、ねじりバネ92の付勢力が大きいために、非常に大きな負荷が必要となる。本実施形態では、ねじりバネ92の付勢力を大きくしなくても済むので、大きな負荷を必要としない。
【0038】
また、図3、図4に示すように摺動ローラ61が第1傾斜面81、第2傾斜面82又は水平保持面に当接した状態では、ロックピン62が第2のスライダ4のロック突起53から離れるので、揺動桿6が連結軸63を中心にして回転可能となる。そのため、摺動ローラ61が第1傾斜面81又は第2傾斜面82に接した状態で第1のスライダ4が前後動すると、揺動桿6が回転する。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0040】
上記実施形態では、前面パネルとして表示パネル2を例に挙げて説明したが、電子機器本体の前面を覆う蓋パネルを前面パネルとしても良い。
【0041】
また、ねじりバネ92の代わりに板バネを用いて揺動桿6を反時計回りに付勢しても良い。引張バネ91の代わりに圧縮バネを用いても良いが、圧縮バネの場合には第1のスライダ4のバネ掛け部41が第2のスライダ5のバネ掛け部51よりも前にある。
【0042】
また、ストッパ84がローラガイド8に形成されているが、爪52と係止可能であれば、シャーシ3の側板32に形成されていても良い。また、ガイド71は、シャーシ3に固定されたガイド板7に形成されているが、シャーシ3に直接形成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】表示パネルの表示面が上に向いた状態においる開閉装置の側面図である。
【図2】表示パネルの表示面が斜め上前方に向いた状態における開閉装置の側面図である。
【図3】表示パネルの表示面が前に向いた状態における開閉装置の側面図である。
【図4】表示パネルの表示面が斜め下前方に向いた状態における開閉装置の側面図である。
【図5】ローラガイドの拡大図である。
【図6】従来の表示パネルの開閉装置の側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 開閉装置
2 表示パネル
3 シャーシ
4 第1のスライダ
5 第2のスライダ
6 揺動桿
22 表示面
52 爪
53 ロック突起
61 摺動ローラ
62 ロックピン
72 縦ガイド部
73 横ガイド部
81 第1傾斜面
82 第2傾斜面
84 ストッパ
91 引張バネ
92 ねじりバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、
車載用電子機器の前面パネルの下部に回転可能に連結された揺動部材と、
前記シャーシに対して前後に移動可能に設けられ、前記揺動部材と前記前面パネルの連結部よりも後方において前記揺動部材に回転可能に連結された第1の移動部材と、
前記シャーシに固定され、前記前面パネルの上部を上下に案内する縦ガイド部と、
前記第1の移動部材に対して前後移動可能に設けられた第2の移動部材と、を備え、
前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも前方において前記揺動部材の下面が前記第1の移動部材に当接し、前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも後方において前記揺動部材の下面が前記第2の移動部材に当接することを特徴とする車載用電子機器の前面パネルの開閉装置。
【請求項2】
前記第2の移動部材と前記第1の移動部材との間に介在した弾性部材と、
前記前面パネルの上部を前記縦ガイド部の上端から前後に案内する横ガイド部と、
前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも後方において前記揺動部材に取り付けられた摺動子と、
前記第2の移動部材に形成された爪と、
前記摺動子の後方に配置され、前方斜め下を向いた傾斜面と、
前記爪の後方に配置されたストッパと、を更に備え、
前記前面パネルの上部が前記縦ガイド部によって案内される場合に、前記摺動子が傾斜面から前方に離れているとともに前記爪がストッパから前方に離れ、前記弾性部材によって前記第1の移動部材と前記第2の移動部材が一体となって前後に移動し、
前記前面パネルの上部が前記横ガイド部によって案内される場合に、前記爪が前記ストッパに当接することによって前記第2の移動部材の後方への移動が抑止されて前記第1の移動部材が前後に移動し、前記揺動部材が前記第2の移動部材から離れ且つ前記摺動子が前記傾斜面を摺動することによって前記揺動部材が前記第1の移動部材との連結部回りに回転することを特徴とする車載用電子機器の前面パネルの開閉装置。
【請求項3】
前記揺動部材と前記第1の移動部材の連結部よりも前方において前記揺動部材の下面が前記第1の移動部材に当接するように前記揺動部材を付勢する付勢手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用電子機器の前面パネルの開閉装置。
【請求項4】
前記前面パネルがその前面を表示面とする表示パネルであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の車載用電子機器の前面パネルの開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−106294(P2007−106294A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300001(P2005−300001)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】