説明

配線基板

【課題】配線基板本体と捨板部との間にスリットが非直線で間歇的に配されている配線基板において、スリット間の非スリット部をスリットと直線的に破断できるようにする。
【解決手段】捨板部2が連設される配線基板本体1の一側に沿って直線的に配してある第1のスリット11a〜11fと、第1のスリット11f側から第1のスリットと交差して配線基板本体側へ配してある第2のスリット12と、第2のスリット12に連なり、第1のスリットが延長される方向に配してある第3のスリット13a〜13cとを有し、夫々のスリット間の非スリット部14a〜14gを破断可能とし、捨板部2に、第1及び第2のスリットが交差する位置から第1のスリットの延長上に配してある第4のスリット15及び第4のスリット15の端から第2のスリット12側へ屈曲する第5のスリット16を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は捨板部を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板には図4に示すように捨板部を有する配線基板と、特許文献1に記載されているように捨板部を有しない配線基板とが知られている。
【0003】
図4は従来の配線基板の構成を示す正面図である。この配線基板は、プリント配線部を有し、四角形をなす配線基板本体100及び該配線基板本体100の両側に連設される細幅の捨板部200を有し、該配線基板本体100と捨板部200との間に、前記両側に沿って一端から他端の近くにかけて直線的に配してある複数の第1のスリット110a〜110fと、一方の端の第1のスリット110f側から第1のスリット110a〜110fと直交する方向へ配してある第2のスリット120と、該第2のスリット120に連なり、前記第1のスリット110a〜110fと平行的に配してある複数の第3のスリット130a〜130cとを有し、夫々のスリット間の第1〜第7の非スリット部140a〜140gを破断可能としてある。
【0004】
このように構成された配線基板は、捨板部200を把持して電気機器等に実装することができるため、配線基板の実装作業性を高めることができる。そして、配線基板が実装された後、捨板部200が第1〜第3のスリット110a〜110f、120、130a〜130c及びスリット間の第1〜第7の非スリット部140a〜140gから分割され、捨板部200が破棄される。
【0005】
捨板部200の割り作業は、図4における第1及び第2の非スリット部140a〜140b間の捨板部200を素手又はペンチで掴み、配線基板本体100を押さえた状態で第1のスリット110a〜110fに沿って捨板部200を上方又は下方へ引張りつつ第1のスリット110a〜110fに沿う方向(図3矢印X方向)へ引張ることにより第1〜第7の非スリット部140a〜140gを順次破断する。
【特許文献1】特開平10−79564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図4に示すように第1〜第3のスリット110a〜110f、120、130a〜130cが直線的に配されていない配線基板にあっては、第1の非スリット部140aから第4の非スリット部140dまでは引張方向の破断応力が第1のスリット110a〜110fに沿って加わり、第1のスリット110a〜110fと直線的に破断することができる。しかし、第5の非スリット部140eでは引張方向前方に第1のスリットがなく、第2のスリット120が第1のスリット110fと直交する方向に配されているため、第5の非スリット部140eに破断応力が極端に加わり、図5に示すように第5の非スリット部140eが凹凸に破断されることが多い。また、第6及び第7の非スリット部140f,140gでは破断応力がさらに極端に加わり、図5に示すように第6及び第7の非スリット部140f,140gが偏倚して破断され、バリが発生することになる。
【0007】
第5の非スリット部140eを第1のスリット110a〜110fと直線的に破断させ、第6及び第7の非スリット部140f,140gを第3のスリット130a〜130cと直線的に破断させるには、例えば図6に示すように捨板部200に、第5の非スリット部140eから第1のスリット110a〜110fと直線的に複数のサブスリット150a〜150cと、非サブスリット部160a,160bとを設け、第1のスリット110a〜110fに沿う方向(図6矢印X方向)への引張りにより第1〜第5の非スリット部140a〜140eと、非サブスリット部160a,160bとを第1のスリット110a〜110fと直線的に破断させた後、第3のスリット130a〜130cに沿う方向(図6矢印Y方向)への引張りにより第6及び第7の非スリット部140g,140fを第3のスリット130a〜130cと直線的に破断させる構成とすることが考えられる。
【0008】
しかし、図6のように構成した場合、第1のスリット110a〜110fに沿って破断する第1の割り作業工程と、第3のスリット130a〜130cに沿って破断する第2の割り作業工程とが必要であるため、コスト高となり、さらなる改善策が要望されていた。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は捨板部に、第1及び第2のスリットが交差する位置から第1のスリットの略延長上に配してある第4のスリットと、第4のスリットの端から第2のスリット側へ屈曲する第5のスリットとを設けることにより、引張方向の破断応力を、第1のスリットから第4及び第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部に加えることができ、一回の破断作業工程により夫々の非スリット部を第1及び第3のスリットと直線的に破断することができる配線基板を提供することにある。
【0010】
また、他の目的は一方の端の第1のスリットと、第2のスリットと第4のスリットとを略T字形に連なる構成とすることにより、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的に破断させ易い配線基板を提供することにある。
【0011】
また、他の目的は第5のスリットを略C字形とすることにより、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部にスムーズに加えることができる配線基板を提供することにある。
【0012】
また、他の目的は第5及び第6のスリットを略U字形とすることにより、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部にスムーズに加えることができる配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る配線基板は、配線部を有する配線基板本体及び該配線基板本体の少なくとも一側に連設される捨板部を有し、該配線基板本体と捨板部との間に、前記一側に沿って直線的に配してある複数の第1のスリットと、一方の端の第1のスリット側から該第1のスリットと交差して配線基板本体側へ配してある第2のスリットと、該第2のスリットに連なり、前記一方の端の第1のスリットが延長される方向に配してある複数の第3のスリットとを有し、夫々のスリットの間の非スリット部を破断可能としてある配線基板において、前記捨板部は、第1及び第2のスリットが交差する位置から前記第1のスリットの略延長上に配してある第4のスリットと、第4のスリットの端から第2のスリット側へ屈曲する第5のスリットとを備えることを特徴とする。
【0014】
この発明にあっては、第1のスリットに沿う方向へ引張ることにより、引張方向の破断応力を、第1のスリットから第4及び第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部に加えることができるため、一回の破断作業工程により夫々の非スリット部を第1及び第3のスリットと直線的に破断することができる。
【0015】
また、本発明に係る配線基板は、前記一方の端の第1のスリットと、第2のスリットと第4のスリットとは略T字形に連なっていることを特徴とする。
【0016】
この発明にあっては、第1のスリットと、第2のスリットと第4のスリットとが略T字形に連なっているため、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部に加えるとき、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的に破断させ易い。
【0017】
また、本発明に係る配線基板は、前記第5のスリットは略C字形をなしていることを特徴とする。
【0018】
この発明にあっては、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部にスムーズに加えることができ、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的により一層破断させ易い。
【0019】
また、本発明に係る配線基板は、前記第4及び第5のスリットは略U字形をなしていることを特徴とする。
【0020】
この発明にあっては、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部にスムーズに加えることができ、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的により一層破断させ易い。
【発明の効果】
【0021】
以上詳述したように本発明によれば、引張方向の破断応力を、第1のスリットから第4及び第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部に加えることができるため、一回の破断作業工程により夫々の非スリット部を第1及び第3のスリットと直線的に破断することができる。
【0022】
また、本発明によれば、第1のスリットと、第2のスリットと第4のスリットとが略T字形に連通しているため、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部に加えるとき、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的に破断させ易い。
【0023】
また、本発明によれば、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部にスムーズに加えることができ、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的により一層破断させ易い。
【0024】
また、本発明によれば、引張方向の破断応力を、第1及び第4のスリットから第5のスリットに沿って第3のスリット間の非スリット部にスムーズに加えることができ、第3のスリット間の非スリット部を第3のスリットと直線的により一層破断させ易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る配線基板の構成を示す正面図である。図示した配線基板は、プリント印刷された配線部を有し、四角形をなす配線基板本体1と、該配線基板本体1の両側に連設される細幅の捨板部2,2とを一体に形成してあり、また、配線基板本体1は二つが並設され、配線基板本体1間に割り用のスリット10が設けられている。配線基板本体1と両側の捨板部2,2との関係は同じであるため、以下配線基板本体1と一側の捨板部2との関係について説明する。
【0026】
配線基板本体1と捨板部2との間には、配線基板本体1の一側に沿って一端から他端の近くにかけて直線的に配してある四つの第1のスリット11a〜11fと、他端側の第1のスリット11fから第1のスリット11fと交差して配線基板本体1側へ配してある第2のスリット12と、第2のスリット12に連なり、第1のスリット11fが延長される方向に配してある複数の第3のスリット13a〜13cと、各第1のスリット11a〜11f間に配してある第1〜第5の非スリット部14a〜14eと、第3のスリット13a〜13c間に配置してある第6及び第7の非スリット部14f,14gとを備える。第1〜第7の非スリット部14a〜14gは素手又はペンチによる図1矢印X方向への引張力により破断することが可能になっている。
【0027】
捨板部2は、第1及び第2のスリット11f,12が交差する位置から他端の近傍位置にかけて第1のスリット11fの略延長上に配してある第4のスリット15と、第4のスリット15の端から第2のスリット12側へ屈曲する第5のスリット16とを設けてある。
【0028】
第1〜第5のスリット11a〜11f、12、13a〜13c、15,16は筋状をなし、配線基板本体1及び捨板部2間を貫通しており、第1〜第5の非スリット部14a〜14eは第1のスリット11a〜11f間に複数の小径の貫通孔を開設することにより間歇的に設けられており、第6及び第7の非スリット部14f,14gは第3のスリット13a〜13c間に一つの小径の貫通孔を開設することにより間歇的に設けられている。
【0029】
他端側の第1のスリット11fと、第2のスリット12と第4のスリット15とは略T字形に連なっており、また、第2のスリット12及び第3のスリット14aは略L字形に連なっている。
【0030】
第5のスリット16は第3のスリット13a〜13c及び第4のスリット15間で略C字形をなしており、第6及び第7の非スリット部14f,14g間に配してある。
【0031】
以上のように構成された配線基板は、配線基板本体1の一側に捨板部2が連設されているため、捨板部2を把持して配線基板を電気機器等に容易に実装することができる。実装された配線基板は配線基板本体1が固定され、捨板部2が分割され、破棄される。
【0032】
図2は捨板部を分割して破棄した状態を示す正面図である。捨板部2の割り作業は、第1及び第2の非スリット部14a,14b間の捨板部2を素手又はペンチで掴み、配線基板本体1を押さえた状態で第1のスリット11a〜11fに沿って捨板部2を上方又は下方へ引張りつつ第1のスリット11a〜11fに沿う方向へ引張ることにより引張方向の破断応力が第1のスリット11a〜11fに沿って第1〜第5の非スリット部14a〜14eに順次加わり、第1〜第5の非スリット部14a〜14eを第1のスリット11a〜11fと直線的に破断することができる。
【0033】
第5の非スリット部14eが破断した後、さらに引張操作を継続することにより、引張方向の破断応力が第3のスリット13a〜13c及び第4のスリット15間の捨板部2と第6及び第7の非スリット部14f,14gとに加わり、第6及び第7の非スリット部14f,14gを第3のスリット13a〜13cと直線的に破断することができる。このように第4及び第5のスリット15,16を設けることにより、第6及び第7の非スリット部14f,14gの近傍位置で引張方向の破断応力を第6及び第7の非スリット部14f,14gに加えることができるため、第6及び第7の非スリット部14f,14gを第3のスリット13a〜13cと直線的に破断することができ、第6及び第7の非スリット部14f,14gが凹凸に破断されたり、偏倚して破断されたりすることがなく、バリも発生しない。また、第4のスリット15を設けることにより、引張方向の破断応力を第5の非スリット部14eに加えることができ、第5の非スリット部14eを第1のスリット11a〜11fと直線的に破断することができる。
【0034】
実施の形態2
図3は本発明に係る配線基板の他の構成を示す正面図である。この配線基板は、捨板部2に設ける第5のスリット16を略C字形とする代わりに、第4及び第5のスリット15,16を第1のスリット11fの端に連なる略U字形としたものである。
【0035】
第5のスリット16は第4のスリット15と連なる側が半円形に屈曲し、第6及び第7の非スリット部14f,14g間に第3のスリット13a〜13cと平行的に配してある。
【0036】
この実施の形態にあっては、第5の非スリット部14eが破断した後、さらに引張操作を継続することにより、図1の配線基板と同様、引張方向の破断応力が第3のスリット13a〜13c及び第4のスリット15間の捨板部2と第6及び第7の非スリット部14f,14gとに加わり、第6及び第7の非スリット部14f,14gを第3のスリット13a〜13cと直線的に破断することができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符合を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0037】
尚、本発明に係る配線基板は一層構造、多層構造であってもよいし、また、二つの配線基板本体1,1を備える他、一つの配線基板本体1又は三つ以上の配線基板本体1を備える配線基板であってもよい。また、捨板部2は配線基板本体1の両側に連設されている他、配線基板本体1の一側又は三つ以上の側に連設されていてもよい。
【0038】
また、図示した配線基板本体1は二つが並設されているが、その他、配線基板本体1は一つであってもよいし、また、三つ以上が並設されているものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る配線基板の構成を示す正面図である。
【図2】本発明に係る配線基板の捨板部を分割して破棄した状態を示す正面図である。
【図3】本発明に係る配線基板の他の構成を示す正面図である。
【図4】従来の配線基板の構成を示す正面図である。
【図5】従来の配線基板の破断状態を示す説明図である。
【図6】従来の配線基板を改良することが考えられる構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1 配線基板本体
2 捨板部
11a〜11f 第1のスリット
12 第2のスリット
13a〜13c 第3のスリット
14a〜14g 非スリット部
15 第4のスリット
16 第5のスリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線部を有する配線基板本体及び該配線基板本体の少なくとも一側に連設される捨板部を有し、該配線基板本体と捨板部との間に、前記一側に沿って直線的に配してある複数の第1のスリットと、一方の端の第1のスリット側から該第1のスリットと交差して配線基板本体側へ配してある第2のスリットと、該第2のスリットに連なり、前記一方の端の第1のスリットが延長される方向に配してある複数の第3のスリットとを有し、夫々のスリットの間の非スリット部を破断可能としてある配線基板において、前記捨板部は、第1及び第2のスリットが交差する位置から前記第1のスリットの略延長上に配してある第4のスリットと、第4のスリットの端から第2のスリット側へ屈曲する第5のスリットとを備えることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記一方の端の第1のスリットと、第2のスリットと第4のスリットとは略T字形に連なっている請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記第5のスリットは略C字形をなしている請求項1又は2記載の配線基板。
【請求項4】
前記第4及び第5のスリットは略U字形をなしている請求項1又は2記載の配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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