説明

銅表面の対樹脂接着層、配線基板および接着層形成方法

【課題】銅表面に、銅とスズと第3の金属の合金からなる樹脂接着層を形成することにより、銅と樹脂の接着力を向上する。
【解決手段】銅と樹脂との界面を有する配線基板の銅(1)表面に形成された対樹脂接着層(2)であって、(a)銅、(b)スズ、および(c)銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属(第3の金属)、からなる合金を含み、前記銅が10〜45原子%、前記スズが30〜88原子%、前記第3の金属が2〜45原子%であり、厚さが0.001μm以上1μm以下の対樹脂接着層(2)である。これにより、銅と樹脂の接着力を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅表面の対樹脂接着層に関する。さらに詳しくは、プリント配線基板、半導体実装品、液晶デバイス、エレクトロルミネッセンスなどの各種電子部品に使用される銅表面の対樹脂接着層に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な多層配線板は、表面に銅からなる導電層を有する内層基板が、プリプレグを挟んで他の内層基板や銅箔と積層プレスされて製造されている。導電層間は、孔壁が銅めっきされたスルーホールとよばれる貫通孔により、電気的に接続されている。前記内層基板の銅表面には、プリプレグとの接着性を向上させるために、ブラックオキサイドやブラウンオキサイドとよばれる針状の酸化銅が形成されている。この方法では、針状の酸化銅がプリプレグにくい込み、アンカー効果が生じて接着性が向上する。
【0003】
前記酸化銅はプリプレグとの接着性に優れているが、スルーホールめっきの工程において酸性液と接触した場合、溶解して変色し、ハローイングと呼ばれる欠陥を生じやすいという問題がある。
【0004】
そこで、ブラックオキサイドやブラウンオキサイドに代わる方法として、下記特許文献1及び下記特許文献2に提案されているように、内層基板の銅表面にスズ層を形成する方法が提案されている。また、下記特許文献3には、銅と樹脂との接着性を向上させるため、銅表面にスズめっきしたのち、さらにシランカップリング剤で処理することが提案されている。また、下記特許文献4には、銅と樹脂との接着性を向上させるために、銅表面に銅スズ合金層を形成することが提案されている。また、エッチングにより銅表面を粗化し、アンカー効果を発現させることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】EPC公開0216531A1号明細書
【特許文献2】特開平4−233793号公報
【特許文献3】特開平1−109796号公報
【特許文献4】特開2000−340948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記のごとき銅表面にスズ層や銅スズ合金層を形成する方法では、樹脂の種類がガラス転移温度の高い、いわゆる硬い樹脂の場合、接着性向上効果が不充分な場合があった。また、前記特許文献3に記載の方法では、スズめっきすることにより、銅がメッキ液中に溶出し、配線が細くなる。さらに、シランカップリング剤は使用の際の取扱いが困難であるという問題がある。樹脂との接着性も不充分である。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、銅表面に形成する、銅と樹脂の接着力を向上する対樹脂接着層を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対樹脂接着層は、銅と樹脂との界面を有する配線基板の前記銅表面に形成された対樹脂接着層であって、(a)銅、(b)スズ、および(c)銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属(第3の金属)、からなる合金を含み、前記銅が10〜45原子%、前記スズが30〜88原子%、前記第3の金属が2〜45原子%であり、厚さが0.001μm以上1μm以下の対樹脂接着層である。
【0009】
本発明の配線基板は、銅と樹脂とが前記銅表面に形成された対樹脂接着層を介して積層された配線基板であって、前記対樹脂接着層が前記本発明の対樹脂接着層であることを特徴とする配線基板である。
【0010】
本発明の接着層形成方法は、前記本発明の対樹脂接着層を形成する接着層形成方法であって、銅表面上に、スズと、銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属とを置換析出させることを特徴とする接着層形成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、銅表面に、銅とスズと第3の金属の合金からなる樹脂接着層を形成することにより、銅と樹脂の接着力をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の銅表面に形成された対樹脂接着層の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、銅の表面に、銅、スズおよび第3の金属の合金からなる対樹脂接着層を形成する。この対樹脂接着層により、銅と樹脂の接着性を改良する。
【0014】
銅表面については、樹脂と接着させる銅表面である限り特に制限はない。例えば電子基板、リードフレームなどの電子部品、装飾品、建材などに使用される、箔(電解銅箔、圧延銅箔)、めっき膜(無電解銅めっき膜、電解銅めっき膜)、線、棒、管、板など種々の用途の銅表面に適用できる。前記銅は、黄銅、青銅、白銅、ヒ素銅、ケイ素銅、チタン銅、クロム銅など、その目的に応じて他の元素を含有したものであってもよい。
【0015】
前記銅表面の形状は、平滑であってもよく、エッチングなどにより粗化された表面であってもよい。例えば樹脂と積層した際のアンカー効果を得るためには粗化された表面であるのが好ましい。また、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合は、中心線平均粗さRaが0.1μm以下程度の平滑であることが好ましい。特に微細な銅配線の場合は、本発明においては表面粗化によるアンカー効果にたよらず、平滑な表面であっても充分な接着性が得られるので、粗化のためのエッチングによる断線などのおそれがない。
【0016】
対樹脂接着層は、銅、スズおよび第3の金属(銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属)の合金からなる層であり、銅表面にこの層が存在すると、樹脂と接着した場合に銅と樹脂との接着性が著しく向上する。対樹脂接着層の組成は、銅が10〜45原子%、好ましくは10〜40原子%である。銅が45原子%を超えたり、10原子%未満では、樹脂との接着性が不充分になる。
【0017】
対樹脂接着層のスズは30〜88原子%、好ましくは40〜80原子%である。スズが88原子%を超えたり、30原子%未満では、樹脂との接着性が不充分になる。
【0018】
対樹脂接着層の第3の金属は2〜45原子%、好ましくは3〜40原子%である。第3の金属が45原子%を超えたり、2原子%未満では、樹脂との接着性が不充分になる。
【0019】
なお、対樹脂接着層は下地が銅であるため、表面から深くなるに従い、原子の拡散によって銅の比率が増加する。本明細書にいう対樹脂接着層とは、組成が前記範囲の合金の層をいう。
【0020】
この表面の金属の比率は、オージェ電子分光分析、ESCA(X線光電子分光法)、EPMA(電子プローブX線マイクロアナライザ)などにより測定することができる。
【0021】
また、銅−スズ−第三金属合金中には、空気との接触等により酸素原子が含まれているが、酸素原子が存在しても樹脂との接着性に悪影響を及ぼさない。したがって、本発明の効果は、接着層の酸化が促進されるような加熱等の処理を経た後であっても維持される。また、接着層中には、通常種々の汚染源からの他種の原子も含まれている。
【0022】
対樹脂接着層の厚さは0.001〜1μmであり、好ましくは0.001〜0.5μm、さらに好ましくは0.001〜0.1μmである。1μmを超える場合や0.001μm未満では樹脂との接着性が不十分になる。
【0023】
対樹脂接着層形成法については、特に限定はないが、例えば銅表面にスズおよび第3の金属の合金層を形成したのち、銅表面に銅、スズおよび第3の金属の合金層を残してスズおよび第3の金属の合金を除去する方法があげられる。
【0024】
銅表面にスズおよび第3の金属の合金層を形成すると、拡散により銅とスズおよび第3の金属との界面に、銅、スズおよび第3の金属の合金層(接着層)が形成される。
【0025】
前記スズおよび第3の金属の合金層の形成法としては、例えば、
a.硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸1〜50質量%、
b.硫酸第一スズなどの第一スズ塩0.05〜10質量%(スズ濃度として)、
c.酢酸銀などの金属の塩0.1〜20質量%、
d.チオ尿素などの反応促進剤1〜50質量%および
e.ジエチレングリコールなどの拡散系保持溶媒1〜80質量%
を含有する水溶液と接触させる方法があげられる。
【0026】
前記反応促進剤は、下地の銅に配位してキレートを形成し、銅表面に対樹脂接着層を形成しやすくするものである。例えば、チオ尿素、1,3-ジメチルチオ尿素、1,3-ジエチル-2-チオ尿素、チオグリコール酸などのチオ尿素誘導体などである。反応促進剤の好ましい濃度は、1〜50%の範囲、好ましくは5〜40%、特に好ましくは10〜30%の範囲である。反応促進剤の濃度が50%を超えると樹脂に対する接着性が低下する傾向となる。また、1%未満では樹脂接着層の形成速度が遅い傾向となる。
【0027】
前記拡散系保持溶媒とは、銅表面に必要な反応成分濃度を銅表面近傍に維持しやすくする溶媒である。拡散系保持溶媒の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、セロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトールなどのグリコールエステル類である。拡散系保持溶媒の好ましい濃度は、1〜80%の範囲であり、より好ましくは5〜60%、特に好ましくは10〜50%である。80%を超えると樹脂に対する接着性が低下する傾向となる。また1%未満では樹脂接着層が形成しにくい傾向となる。
【0028】
銅の表面に、前記対樹脂接着層形成液を接触させる際の条件に特に限定はないが、たとえば浸漬法などにより、10〜70℃で5秒〜5分間接触させればよい。
【0029】
これにより、銅の表面にスズおよび第3の金属の合金層を形成すると、拡散により銅とスズおよび第3の金属との界面に、銅、スズおよび第3の金属の合金層(接着層)が形成される。
【0030】
前記拡散を促進させるために、熱処理などを行なってもよい。
【0031】
前記スズおよび第3の金属の合金層を選択的に除去する方法としては、エッチング液によりスズおよび第3の金属の合金層を選択的にエッチングする方法があげられる。
【0032】
前記選択的エッチング液としては、例えばメック社製の商品名“メックリムーバーS−651A”等を使用することができる。別な例としては、硝酸などの無機酸を含む水溶液も使用できる。
【0033】
また、前記水溶液の組成やそれを接触させる条件を選択することにより、銅の表面に直接、銅、スズおよび第3の金属からなる接着層を形成してもよい。
【0034】
以上のように銅表面に形成された対樹脂接着層は、銅と種々の樹脂との接着性を著しく向上させる。
【0035】
接着の対象となる樹脂は、AS樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリプロピレン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル、シアネートエステル等の熱硬化性樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は官能基によって変性されていてもよく、ガラス繊維、アラミド繊維などで強化されていてもよい。
【0036】
本発明の対樹脂接着層は、銅と樹脂との界面を有する配線基板の銅表面に形成された対樹脂接着層である。本発明によれば、導電層である銅と、層間絶縁樹脂(プリプレグ、無電解めっき用接着剤、フィルム状樹脂、液状樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、)、ソルダーレジスト、エッチングレジスト、導電性樹脂、導電性ペースト、導電性接着剤、誘電体用樹脂、穴埋め用樹脂、フレキシブルカバーレイフィルム等との接着性に優れているため、信頼性の高い配線基板が得られる。
【0037】
とくに微細な銅配線とビアホールを形成するビルドアップ基板として有用である。前記ビルドアップ基板には一括ラミネーション方式のビルドアップ基板と、シーケンシャルビルドアップ方式のビルドアップ基板がある。
【0038】
また、いわゆるメタルコア基板とよばれる心材に銅板を用いた基板において、銅板の表面が前記対樹脂接着層となっている場合には、銅板とそれに積層された絶縁樹脂との接着性に優れたメタルコア基板である。
【0039】
図1は本発明の一実施例の銅表面に形成された対樹脂接着層の断面図である。すなわち、銅基材1の表面に厚さが0.001μm以上1μm以下の対樹脂接着層2が形成されている。
【実施例】
【0040】
以下実施例を用いてさらに具体的に説明する。
【0041】
(実施例1)
厚さ35μmの電解銅箔に、5%の塩酸を10秒間室温でスプレーして洗浄したのち、水洗、乾燥させた。次いで酢酸20%(質量%、以下同様)、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、酢酸銀3%(Ag+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させた。
【0042】
次にメック社製の商品名“メックリムーバーS−651A”(硝酸を主成分とする水溶液)に30秒間室温で浸漬したのち、水洗、乾燥させ、銅箔表面に対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成をオージェ分光分析により調べた結果を表1に示す。また、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。
【0043】
次に、得られた銅箔の片面に銅箔付きビルドアップ配線板用樹脂(味の素(株)製のABF−SHC銅箔付き樹脂)を重ね加熱しながらプレスした。得られた積層体の電解銅箔の引き剥がし強さを、JIS C 6481に準拠して調べた。その結果を表1に示す。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様に洗浄した電解銅箔を酢酸17%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、ヨウ化ビスマス1.5%(Bi3+として)、チオ尿素21%、セロソルブ32%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させたほかは実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。
【0045】
次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0046】
(実施例3)
実施例1と同様に洗浄した電解銅箔を、硫酸15%、硫酸第一スズ1.5%(Sn2+として)、硫酸ニッケル3.5%(Ni2+として)、チオ尿素21%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させたほかは実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0047】
(参考例1)
実施例1と同様に洗浄した電解銅箔を酢酸20%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、酢酸銀0.1%(Ag+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させたほかは実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0048】
(参考例2)
実施例1と同様に洗浄した電解銅箔を酢酸20%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、酢酸銀10.0%(Ag+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させたほかは実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0049】
(実施例4)
実施例1において、酢酸20%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、酢酸銀3%(Ag+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に浸漬する時間を5秒間に変えた他は、実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0050】
(実施例5)
実施例1において、酢酸20%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、酢酸銀3%(Ag+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に浸漬する時間を5分間、温度を45℃に変えた他は、実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。
【0051】
次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0052】
(参考例3)
実施例1と同様に洗浄した電解銅箔を酢酸20%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、酢酸銀20.0%(Ag+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させたほかは実施例1と同様にして対樹脂接着層を形成した。得られた表面の原子組成、対樹脂接着層の厚さを表1に示す。
【0053】
次に、実施例1と同様にして銅箔の引き剥がし強さを調べた。その結果を表1に示す。
【0054】
(比較例1)
厚さ35μmの電解銅箔に、5%の塩酸を10秒間室温でスプレーして洗浄したのち、水洗、乾燥させた。次いで酢酸20%、酢酸第一スズ2%(Sn2+として)、チオ尿素15%、ジエチレングリコール30%および残部イオン交換水からなる水溶液に30℃、30秒間の条件で浸漬したのち水洗、乾燥させ、銅箔表面にスズ層を形成した。
【0055】
次に、実施例1と同様にビルドアップ配線板用樹脂と積層して電解銅箔との引き剥がし強さを評価した。その結果を表1に示す。
【0056】
(比較例2)
比較例1と同様に銅箔表面にスズ層を形成した。
【0057】
次にメック社製のメックリムーバーS−651Aに30秒間室温で浸漬したのち、水洗、乾燥させ、銅箔表面に対樹脂接着層を形成した。
【0058】
次に、実施例1と同様にビルドアップ配線板用樹脂と積層して電解銅箔との引き剥がし強さを評価した。その結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
表1から明らかなとおり、本実施例の対樹脂接着層は、銅箔と樹脂の引き剥がし強さ(接着力)が高いことが確認できた。
【符号の説明】
【0061】
1 銅
2 対樹脂接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅と樹脂との界面を有する配線基板の前記銅表面に形成された対樹脂接着層であって、
(a)銅、
(b)スズ、および
(c)銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属(第3の金属)、からなる合金を含み、
前記銅が10〜45原子%、前記スズが30〜88原子%、前記第3の金属が2〜45原子%であり、
厚さが0.001μm以上1μm以下であることを特徴とする対樹脂接着層。
【請求項2】
前記対樹脂接着層は、銅表面上に、スズと、銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属とを置換析出させることにより得られる請求項1に記載の対樹脂接着層。
【請求項3】
前記対樹脂接着層は、その表面から深くなるに従い銅の比率が増加する請求項1又は2に記載の対樹脂接着層。
【請求項4】
前記対樹脂接着層の厚さが0.001〜0.5μmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の対樹脂接着層。
【請求項5】
前記対樹脂接着層の厚さが0.001〜0.1μmの範囲である請求項4に記載の対樹脂接着層。
【請求項6】
前記対樹脂接着層は、粗化処理されていない銅表面に形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の対樹脂接着層。
【請求項7】
銅と樹脂とが前記銅表面に形成された対樹脂接着層を介して積層された配線基板であって、
前記対樹脂接着層は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の対樹脂接着層であることを特徴とする配線基板。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の対樹脂接着層を形成する接着層形成方法であって、
銅表面上に、スズと、銀、ビスマスおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属とを置換析出させることを特徴とする接着層形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−94918(P2012−94918A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27913(P2012−27913)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2004−134256(P2004−134256)の分割
【原出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【出願人】(000114488)メック株式会社 (49)
【Fターム(参考)】