錠前用台座の組付け方法
【課題】基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができること。
【解決手段】蓋体の内壁面に設けられた複数の第1係止リブに、開口部を有すると共に一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体をリード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る錠前用台座の組付け方法。
【解決手段】蓋体の内壁面に設けられた複数の第1係止リブに、開口部を有すると共に一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体をリード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る錠前用台座の組付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前用台座の組付け方法に関し、特に、通信機能を有する錠前用台座の組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる「基板型の読み書き装置」が記載されている。この読み書き装置は、例えば信号を送受信する読み書き装置本体、アンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。そして、前記アンテナ基板は、アンテナ、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。
【0003】
従来、このような基板型の読み書き装置を錠前用台座内に組み込む場合、普通一般に、読み書き装置を構成する基板の両端部の中央部に取付け孔を形成し、一方、台座を構成する取付けベース板内に所定間隔を有して相対向する上下一対の固着具用のL型支持片を設け、このL型支持片の突片部分の貫通小孔と前記読み書き装置の基板両端部の取付け孔とを合わせながら、前記固着具でもって、読み書き装置の基板を、L型支持片を介して取付けベース板内に固着していた。
【0004】
従来の錠前用台座の組付け方法の問題点は、次のとおりである。すなわち、(a)読み書き装置を錠前用台座に組付ける際、複数個の固着具を用いるので、面倒である。つまり、台座に対する基板のセットが容易でない。(b)読み書き装置を、部品の製造の効率性、部品交換の容易性等の観点から、例えば穴あきアンテナ基板と、電子部品を実装した装置本体基板に二分割した場合には、構成する部品点数が増えるので、台座に対する組み込み時間が多くなる。(c)普通一般に、読み書き装置を構成するアンテナ基板のアンテナは、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイルを用いているので、アンテナ基板の両端部に複数個の取付け孔を形成すると、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の所期の目的は、従来の錠前用台座の組付け方法の問題点、特に、(a)と(b)の問題点を改善し、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができる錠前用台座の組付け方法を提案することである。また同時に、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受けることがないようにすることである。さらに、アンテナ基板並びに装置本体基板を蓋体の裏側に取り付けることによって、取付けベース板の裏側から蓋体の外壁面までの厚さ(台座の厚さ)を極力薄くすることができることである。加えて、メンテナンス性に優れていることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の錠前用台座の組付け方法は、蓋体の内壁面に設けられた複数の第1係止リブに、開口部を有すると共に一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板を係着させる第1係着工程と、次に、前記蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ前記開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、前記穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体をリード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成ることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の錠前用台座の組付け方法は、蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成ることを特徴とする。
【0009】
ここで、「装置本体基板」とは、例えばアンテナ以外の通信手段、振動手段、スイッチ、IC、電気回路等が適宜に設けられている穴あきアンテナ基板と別個に成形された基板のことをいう。
【発明の効果】
【0010】
(1)従来の錠前用台座の組付け方法の問題点、特に、(a)と(b)の問題点を改善し、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができる。また同時に、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受けることがないようにすることができる。さらに、アンテナ蓋体は、リード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着するので、実施例によっては、アンテナ蓋体やリード線用を取付けベース板や装置本体基板から分離して、交換、修理等を容易にすることができる。加えて、取付けベース板の裏側から蓋体の外壁面までの厚さ(台座全体)を極力薄くすることができる。
(2)請求項2に記載の発明は、特に、蓋体の厚さを極力薄くすることができる。
(3)請求項3に記載の発明は、固着具を取付けベース板の裏側か取り外さないと、アンテナ蓋体を取付けベース板から外すことができないので、錠前用台座を扉の外壁面に設置した場合には、防犯効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至図10は本発明の第1実施例を示す各説明図。図11乃至図13は本発明の装置本体基板の第2実施例を示す各説明図。図14乃至図16は本発明のアンテナ蓋体の第2実施例を示す各説明図。
【図1】錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図(扉外壁側)。
【図2】錠前用台座Xの設置環境を示す概略説明図(扉の自由端部側)。
【図3】錠前用台座Xの一例を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図4】各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xの概略説明図。
【図5】アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図。
【図6】穴あきアンテナ基板3の正面図。
【図7】穴あきアンテナ基板3の右側面図。
【図8】装置本体基板41の正面図。
【図9】装置本体基板41の右側面図。
【図10】本発明の錠前用座板の組付け方法を示す工程図。
【図11】第2実施例の装置本体基板41Aを裏側から見た斜視図。
【図12】装置本体基板41Aの縦断面概略説明図。
【図13】装置本体基板41Aを用いた嵌着工程の説明図。
【図14】第2実施例の錠前用台座X2を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図15】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの各部材を組み合わせる前の錠前用台座の概略説明図。
【図16】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図10に示す本発明を実施するための最良の形態第1実施例により説明する。まず、図1及び図2は、錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図である。図1及び図2に於いて、1は扉、1aは扉外壁、2はカード式、或いは携帯型の情報送信手段、3は前記扉外壁1aに垂直状態に固定され、かつ前記情報送信手段2から情報を受け取ることが可能な通信型の錠前用台座Xの取付けベース板、4は取付けベース板3の中央部に取付けられたレバー式操作ハンドル、そして、6は前記操作ハンドル4を基準として前記取付けベース板3の一端部(例えば上端部)側3aに上下方向に、かつ該取付けベース板3の縦長凹所5に固定的に嵌着したアンテナ蓋体である。
【0013】
このアンテナ蓋体6は、扉外壁1aに直接取り付けても良いし、また、本実施例のように錠前用台座Xを構成する取付けベース板3に取り付けても良い。したがって、錠前用台座Xは、取付けベース板3を介して、または介さないで、扉1の扉外壁1aに上下方向に固定される。図面で示した取付けベース板3を介さない場合には、扉1の扉外壁1a自体が取付けベース板となる。
【0014】
なお、符号7は錠前を構成するデッドボルト、8はラッチである。錠前用台座Xの細部的事項や錠前の具体的構成については割愛する。
【0015】
次に、図3及び図4は、本実施例の錠前用台座Xの一例を示す。図3は、錠前用台座Xを構成する各部材を組み合わせた状態、一方、図4は、各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xを示す。図3及び図4に於いて、前述したように、3は取付けベース板、3aはその上端部側である。扉1の扉外壁1aには、単数又は複数の柱状固定具10用の不番挿通孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記固定具10の挿入先端部が係合する単数又は複数の貫通孔11が形成されている。
【0016】
また、扉1の扉外壁1aには、リード線12を通すための不番案内孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記リード線12を通すためのリード線用通孔13が形成されている。取付けベース板3は、長尺状の板体で、扉1の図示しない扉内壁から柱状固定具10を緩めることによって、該固定具10と共に扉1の扉外壁1aから取り外すことができる。付言すると、扉内壁から柱状の固定具10を緩めると、錠前用台座Xそのものを扉外壁1aから外すことができる。
【0017】
さて、錠前用台座Xの基本的構成は、扉外壁1aに垂直方向に固定され得る取付けベース板3と、この取付けベース板3の縦長凹所5をカバーするように該取付けベース板3の一端部側3aに複数個の固着具15、ベース板貫通孔16、16、後述の蓋体ネジ柱23、23を介して取り外し可能に嵌着するアンテナ蓋体6とから成り、前記アンテナ蓋体6は、内部空間22が浅いケース状の蓋体21と、この蓋体21の内壁面21aに形成された複数個の係止リブ24、24、25、25を介して、前記内壁面21aに対して対向する穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板41とから成る。
【0018】
しかして、組み付け前の図4を参照にすると、アンテナ蓋体6を構成する蓋体21は、左右(設置状態では上下)の両端部の内側に、一対の蓋体ネジ柱23、23が、蓋体21の周端21bから若干突出するように形成されている。前記蓋体ネジ柱23、23は、本実施例では、短筒状螺合部(メネジ部)であり、この短筒状螺合部23、23の長さ、例えば蓋体21の内壁面21aからの長さ、或いは蓋体21の周端21bからの突出量L1を短くすることによって、錠前用台座Xの厚さを薄くすることができる。本実施例では、説明の便宜上、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aと蓋体21の複数個の係止リブ24、24、25、25の先端との間に間隙26を設けているが、設計如何によっては、該間隙26を設ける必要はない。
【0019】
次に、図5は、アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図、図6及び図7は穴あきアンテナ基板31、図8及び図9は装置本体基板41を示す。例えば図5で示すように、蓋体21は、上下一対の短筒状螺合部23、23の直ぐ内側に、上下で一組の第1係止リブ(外側係止リブ)24、24を有している。
【0020】
本実施例では、これらの第1係止リブ24、24は、蓋体21の内壁面21aから突出するが、望ましくは、短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。第1係止リブ24、24は、その基端部に連設する突出先端部に、内側に若干に延びる爪部を有している。そして、第1係止リブ24、24の少なくとも一方の爪部には傾斜面が形成され、また、少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第1係止リブ24、24の両方が、可撓性を有していても良い。
【0021】
組み付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第1係止リブ24、24に穴あきアンテナ基板31を係着させることにより、穴あきアンテナ基板31の取り付け(セット)が容易となり、また、穴あきアンテナ基板31の外形そのものを大きくすることが可能となっている。
【0022】
また、蓋体21の適宜個所、例えば隅部には、ランプの点灯・点滅の状態を視認することができるように小透孔、小透明部分等の視覚用表示部27が形成されている。その他、蓋体21の適宜個所に切欠を形成し、或いは一部を透明にすることもできる。
【0023】
本実施例では、穴あきアンテナ基板31と装置本体基板41は、それぞれ別個・独立に成形並びに組み付けされるので、一対の第1係止リブ24、24を基準として、これらの第1係止リブ24、24よりも内側に複数個(例えば2個)の第2係止リブ(内側係止リブ)25、25が対向状態に設けられている。第2係止リブ25、25も、第1係止リブ24、24と同様に蓋体21の内壁面21aから突出するが、これらの第2係止リブ25、25は、前記内壁面21aの中央部寄りの部位に設けられている。第2係止リブ25、25は、第1係止リブ24、24よりも多少長いものの、第1係止リブ24、24と同様に短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。また、第1係止リブ24、24と同様に少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第2係止リブ25、25の両方が、可撓性を有していても良い。
【0024】
同様に、組付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第2係止リブ25、25に、例えば予めリード線12の基端部12aのプラグ18が接続した、或いはプラグが接続可能な装置本体基板41を係着させることにより、装置本体基板41も穴あきアンテナ基板31と同様に、その取り付け(セット)が容易となり、また、装置本体基板41の適宜箇所に切欠状の被係合部を形成するとことにより、その外形が開口部32よりも大きい装置本体基板41をデザイン設計することができる。
【0025】
次に、アンテナ蓋体6の構成する穴あきアンテナ基板31について説明する。図5に穴あきアンテナ基板31の斜視図を示す。また、図6及び図7は、穴あきアンテナ基板31の正面図と右側面図である。
【0026】
本実施例の穴あきアンテナ基板31の特徴部分は、長板状の穴あきアンテナ基板31の中央部に、その長手方向に比較的大きい開口部32を形成した点、周端部の適宜個所、例えば隅角部の一つに突片33を形成し、この突片33に照明具(例えばLED)34を装着した点、さらに、開口部32と周端部との間の環状部分31aに周回状態に設けられたアンテナ35以外の余白部位に突起状の電源装置36を設けた点である。
【0027】
ところで、穴あきアンテナ基板31は、図1で示した情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる。周知のように、「基板型の読み書き装置」は、読み書き装置本体、信号を送受信するアンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。
【0028】
そして、前記アンテナ基板は、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイル(アンテナ)、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。したがって、細部的事項の説明は割愛するが、本実施例の穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板(読み書き装置本体)41も、従来の基板型の読み書き装置と同様に、例えば半導体素子を搭載しかつ同じ通信機能を有している。
【0029】
図8及び図9は、装置本体基板41の正面図と右側面図である。装置本体基板41の厚さはアンテナ蓋体6と略同じであるが、アンテナ蓋体6よりも小さい。矩形状の装置本体基板41は、長手方向の両端部に切欠状の被係合部分42、42を有している。これらの被係合部分42、42に蓋体21の第2係止リブ25、25が係合可能である。装置本体基板41の両端部に切欠状の被係合部分42、42を形成することにより、該装置本体基板41の外形形状を大きくすることができる。また、装置本体基板41は、通信手段43、振動手段44等の電子部品や半導体素子を適宜に搭載している。
【0030】
次に、図10は、本発明の錠前用座板の組付け方法を示す工程図である。まず、Aは、蓋体21の内壁面21aに設けられた複数の第1係止リブ24、24に、開口部32を有すると共に一側面にアンテナ35を有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程である。この第1係着工程では、前記複数の第1係止リブ24、24の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に穴あきアンテナ基板31を係止させることができる。穴あきアンテナ基板31を第1係止リブ24、24に係着させると、穴あきアンテナ基板31のアンテナ35は、蓋体21の内壁面21aに対して若干の間隙を有して対向し、又は間隙を有しないで内壁面21aに接触状態となる。
【0031】
次に、Bは、蓋体21の第1係止リブ24、24よりも内側の位置に設けられ、かつ穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に、電子部品を実装した装置本体基板41を、前記穴あきアンテナ基板31と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程である。この第2係着工程Bにおいても、第1係着工程と同様に、前記複数の第2係止リブ25、25の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に装置本体基板41を係止させることができる。
【0032】
本実施例では、装置本体基板41の電子部品43、44の一部又は全部が、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込ように該穴あきアンテナ基板31の外側側面に積層状に位置付けられる。その結果、一番突出量の大きい振動装置(例えばブザー)44の上面が、蓋体21の内壁面21aに接触状態となる。これにより、装置本体基板41から発する振動が蓋体21に効率的に伝播する。
【0033】
次に、Cは、第2係着工程B及び前記第1係着工程Aで出来上ったアンテナ蓋体6をリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程である。この嵌着工程Cには、リード線の引出し工程C1と、アンテナ蓋体固着工程C2がそれぞれ含まれている。
【0034】
すなわち、前記リード線の引出し工程C1では、装置本体基板41には、例えば予めリード線12の基端部12aが結着され、該リード線12は、嵌着工程Cの際、リード線用通孔13を介して、取付けベース板3の外へと引き出される。また、前記アンテナ蓋体固着工程C2では、蓋体21の両端部に短筒状螺合部23、23が形成され、一方、前記短筒状螺合部に対応する取付けベース板3の両端部には固着具用のベース板貫通孔16、16が形成されているので、前記固着具15、15を取付けベース板3の裏側から前記ベース板貫通孔16、16を介して差込みかつ該固着具を前記短筒状螺合部に螺合させる。このようにして組付けが完了すると、錠前用台座Xが出来上がる。
【0035】
なお、リード線12は、予め装置本体基板に接続しなくても良いことは後述する。また、本実施例では、リード線12は装置本体基板41に接続することを説明したが、穴あきアンテナ基板31にも図示しないリード線が適宜に接続され、装置本体基板41側のリード線12並びに穴あきアンテナ基板31の図示しないリード線は、最終的には、図示しない錠前制御システムの制御部と電気的に接続される。
【実施例】
【0036】
発明の実施の形態で示した実施例に於いて、第2係着工程Bでは、蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させることができる。
【0037】
また、穴あきアンテナ基板31の開口部32は、装置本体基板41の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されているが、もちろん、開口部32の形状及び大きさは、任意に設計変更可能である。要は、複数個の第2係止リブ25、25が入り込む、又は嵌挿する切欠や開口であれば良い。
【0038】
次に、本実施例の説明に於いて、リード線12の基端部12aが結着され、該リード線は、嵌着工程Cの際、リード線用通孔13を介して、取付けベース板3の外へと引き出される旨を説明したが、リード線12は、必ずしも装置本体基板41には、予め結着されている必要はない。
【0039】
図11乃至図13は、装置本体基板41Aに接続端子17が設けられている(第2実施例)。前記接続端子17は、例えば取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aに対向する装置本体基板41Aの裏面に突起状に設けられた筒状部である。この筒状接続端子17にリード線12Aの基端部12aに設けられたプラグ18を自在に差し込むことができる。
【0040】
したがって、例えば嵌着工程Cに於いて、プラグ18を装置本体基板41Aの接続端子17に差し込んだ後に、リード線12Aを、リード線用通孔13を介して取付けベース板3の外へと引き出し、然るのちに、アンテナ蓋体固着工程C2が行われる。付言すると、錠前用台座Xを扉外壁1aに固定する際に、リード線12Aの接続、引き出し等が行われる。
【0041】
なお、本実施例に於いて、固定具10は、錠前用台座Xを扉1の扉外壁1aに設置する場合に於いて、一旦、取付けベース板3からアンテナ蓋体6を外した後に、貫通孔11を介して該固定具10の挿入先端部を貫通孔11の縁に係止させることにより該取付けベース板3に係止され、また、リード線12Aは、錠前用台座Xを扉1の扉外壁1aに設置する際に、基板装置本体41Aに接続され(第2実施例)、その後、取付けベース板3にアンテナ蓋体6を複数個の固着具15を介して固着する。それ故に、本実施例の錠前用台座Xは、組み付け時・販売時は、リード線12Aや固定具10は、発明の特定要件ではない。
【0042】
最後に、図14乃至図16を参照にして、第2実施例の錠前用台座X2を説明する。この第2実施例の錠前用台座X2は、アンテナ蓋体6Bが第1実施例のアンテナ蓋体6と異なる。その相違点を簡単に説明すると、第1実施例のアンテナ蓋体6の装置本体基板41は、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に係止されるのに対して、第2実施例のアンテナ蓋体6Bの装置本体基板41Bは、第1係止リブ24と同様に蓋体21Bの周壁部の内壁面付近に位置しかつ第1係止リブ24よりも突出する第2係止リブ25B、25Bに係止される点、また、装置本体基板41Bの縦又は横幅(本実施例では、横幅が若干広い)が異なる点である。
【0043】
前記第2係止リブ25B、25Bは、上下の第1係止リブ24、24に対してそれぞれ併設しても良いが、この第2実施例では、前記上下の第1係止リブ24、24に直交するように蓋体21Bの周壁部の左右中央部に対設している。
【0044】
したがって、この第2実施例の錠前用台座X2の組付け方法の第2係着工程では、蓋体21Bの第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状(面一状態は除く)になるように係着させる点が、第1実施例と主に異なる。
【0045】
それ故に、錠前用台座X2の組付け方法は、蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る。このように構成しても、短時間でかつ容易に台座にセットするという本発明の所期の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
【符号の説明】
【0047】
X、X2…錠前用台座、A…第1係着工程、B…第2係着工程、C…嵌着工程、C1…リード線の引出し工程、C2…アンテナ蓋体固着工程、1…扉、1a…扉外壁、2…情報送信手段、3…取付けベース板、4…操作ハンドル、5…縦長凹所、6、6B…アンテナ蓋体、10…柱状固定具、11…貫通孔、12、12A…リード線、13…リード線用通孔、15…固着具、16…ベース板貫通孔、17…接続端子、18…プラグ、21、21B…蓋体、21a…内壁面、22…内部空間、21…蓋体、23…蓋体ネジ柱(短筒状螺合部)、24…第1係止リブ、25、25B…第2係止リブ、31…穴あきアンテナ基板、32…開口部、33…突片、34…照明具、35…アンテナ、36…電源装置、41、41A、41B…装置本体基板、42…被係合部分、43…通信手段、44…振動手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前用台座の組付け方法に関し、特に、通信機能を有する錠前用台座の組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる「基板型の読み書き装置」が記載されている。この読み書き装置は、例えば信号を送受信する読み書き装置本体、アンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。そして、前記アンテナ基板は、アンテナ、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。
【0003】
従来、このような基板型の読み書き装置を錠前用台座内に組み込む場合、普通一般に、読み書き装置を構成する基板の両端部の中央部に取付け孔を形成し、一方、台座を構成する取付けベース板内に所定間隔を有して相対向する上下一対の固着具用のL型支持片を設け、このL型支持片の突片部分の貫通小孔と前記読み書き装置の基板両端部の取付け孔とを合わせながら、前記固着具でもって、読み書き装置の基板を、L型支持片を介して取付けベース板内に固着していた。
【0004】
従来の錠前用台座の組付け方法の問題点は、次のとおりである。すなわち、(a)読み書き装置を錠前用台座に組付ける際、複数個の固着具を用いるので、面倒である。つまり、台座に対する基板のセットが容易でない。(b)読み書き装置を、部品の製造の効率性、部品交換の容易性等の観点から、例えば穴あきアンテナ基板と、電子部品を実装した装置本体基板に二分割した場合には、構成する部品点数が増えるので、台座に対する組み込み時間が多くなる。(c)普通一般に、読み書き装置を構成するアンテナ基板のアンテナは、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイルを用いているので、アンテナ基板の両端部に複数個の取付け孔を形成すると、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の所期の目的は、従来の錠前用台座の組付け方法の問題点、特に、(a)と(b)の問題点を改善し、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができる錠前用台座の組付け方法を提案することである。また同時に、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受けることがないようにすることである。さらに、アンテナ基板並びに装置本体基板を蓋体の裏側に取り付けることによって、取付けベース板の裏側から蓋体の外壁面までの厚さ(台座の厚さ)を極力薄くすることができることである。加えて、メンテナンス性に優れていることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の錠前用台座の組付け方法は、蓋体の内壁面に設けられた複数の第1係止リブに、開口部を有すると共に一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板を係着させる第1係着工程と、次に、前記蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ前記開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、前記穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体をリード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成ることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の錠前用台座の組付け方法は、蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成ることを特徴とする。
【0009】
ここで、「装置本体基板」とは、例えばアンテナ以外の通信手段、振動手段、スイッチ、IC、電気回路等が適宜に設けられている穴あきアンテナ基板と別個に成形された基板のことをいう。
【発明の効果】
【0010】
(1)従来の錠前用台座の組付け方法の問題点、特に、(a)と(b)の問題点を改善し、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができる。また同時に、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受けることがないようにすることができる。さらに、アンテナ蓋体は、リード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着するので、実施例によっては、アンテナ蓋体やリード線用を取付けベース板や装置本体基板から分離して、交換、修理等を容易にすることができる。加えて、取付けベース板の裏側から蓋体の外壁面までの厚さ(台座全体)を極力薄くすることができる。
(2)請求項2に記載の発明は、特に、蓋体の厚さを極力薄くすることができる。
(3)請求項3に記載の発明は、固着具を取付けベース板の裏側か取り外さないと、アンテナ蓋体を取付けベース板から外すことができないので、錠前用台座を扉の外壁面に設置した場合には、防犯効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至図10は本発明の第1実施例を示す各説明図。図11乃至図13は本発明の装置本体基板の第2実施例を示す各説明図。図14乃至図16は本発明のアンテナ蓋体の第2実施例を示す各説明図。
【図1】錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図(扉外壁側)。
【図2】錠前用台座Xの設置環境を示す概略説明図(扉の自由端部側)。
【図3】錠前用台座Xの一例を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図4】各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xの概略説明図。
【図5】アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図。
【図6】穴あきアンテナ基板3の正面図。
【図7】穴あきアンテナ基板3の右側面図。
【図8】装置本体基板41の正面図。
【図9】装置本体基板41の右側面図。
【図10】本発明の錠前用座板の組付け方法を示す工程図。
【図11】第2実施例の装置本体基板41Aを裏側から見た斜視図。
【図12】装置本体基板41Aの縦断面概略説明図。
【図13】装置本体基板41Aを用いた嵌着工程の説明図。
【図14】第2実施例の錠前用台座X2を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図15】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの各部材を組み合わせる前の錠前用台座の概略説明図。
【図16】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1乃至図10に示す本発明を実施するための最良の形態第1実施例により説明する。まず、図1及び図2は、錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図である。図1及び図2に於いて、1は扉、1aは扉外壁、2はカード式、或いは携帯型の情報送信手段、3は前記扉外壁1aに垂直状態に固定され、かつ前記情報送信手段2から情報を受け取ることが可能な通信型の錠前用台座Xの取付けベース板、4は取付けベース板3の中央部に取付けられたレバー式操作ハンドル、そして、6は前記操作ハンドル4を基準として前記取付けベース板3の一端部(例えば上端部)側3aに上下方向に、かつ該取付けベース板3の縦長凹所5に固定的に嵌着したアンテナ蓋体である。
【0013】
このアンテナ蓋体6は、扉外壁1aに直接取り付けても良いし、また、本実施例のように錠前用台座Xを構成する取付けベース板3に取り付けても良い。したがって、錠前用台座Xは、取付けベース板3を介して、または介さないで、扉1の扉外壁1aに上下方向に固定される。図面で示した取付けベース板3を介さない場合には、扉1の扉外壁1a自体が取付けベース板となる。
【0014】
なお、符号7は錠前を構成するデッドボルト、8はラッチである。錠前用台座Xの細部的事項や錠前の具体的構成については割愛する。
【0015】
次に、図3及び図4は、本実施例の錠前用台座Xの一例を示す。図3は、錠前用台座Xを構成する各部材を組み合わせた状態、一方、図4は、各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xを示す。図3及び図4に於いて、前述したように、3は取付けベース板、3aはその上端部側である。扉1の扉外壁1aには、単数又は複数の柱状固定具10用の不番挿通孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記固定具10の挿入先端部が係合する単数又は複数の貫通孔11が形成されている。
【0016】
また、扉1の扉外壁1aには、リード線12を通すための不番案内孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記リード線12を通すためのリード線用通孔13が形成されている。取付けベース板3は、長尺状の板体で、扉1の図示しない扉内壁から柱状固定具10を緩めることによって、該固定具10と共に扉1の扉外壁1aから取り外すことができる。付言すると、扉内壁から柱状の固定具10を緩めると、錠前用台座Xそのものを扉外壁1aから外すことができる。
【0017】
さて、錠前用台座Xの基本的構成は、扉外壁1aに垂直方向に固定され得る取付けベース板3と、この取付けベース板3の縦長凹所5をカバーするように該取付けベース板3の一端部側3aに複数個の固着具15、ベース板貫通孔16、16、後述の蓋体ネジ柱23、23を介して取り外し可能に嵌着するアンテナ蓋体6とから成り、前記アンテナ蓋体6は、内部空間22が浅いケース状の蓋体21と、この蓋体21の内壁面21aに形成された複数個の係止リブ24、24、25、25を介して、前記内壁面21aに対して対向する穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板41とから成る。
【0018】
しかして、組み付け前の図4を参照にすると、アンテナ蓋体6を構成する蓋体21は、左右(設置状態では上下)の両端部の内側に、一対の蓋体ネジ柱23、23が、蓋体21の周端21bから若干突出するように形成されている。前記蓋体ネジ柱23、23は、本実施例では、短筒状螺合部(メネジ部)であり、この短筒状螺合部23、23の長さ、例えば蓋体21の内壁面21aからの長さ、或いは蓋体21の周端21bからの突出量L1を短くすることによって、錠前用台座Xの厚さを薄くすることができる。本実施例では、説明の便宜上、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aと蓋体21の複数個の係止リブ24、24、25、25の先端との間に間隙26を設けているが、設計如何によっては、該間隙26を設ける必要はない。
【0019】
次に、図5は、アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図、図6及び図7は穴あきアンテナ基板31、図8及び図9は装置本体基板41を示す。例えば図5で示すように、蓋体21は、上下一対の短筒状螺合部23、23の直ぐ内側に、上下で一組の第1係止リブ(外側係止リブ)24、24を有している。
【0020】
本実施例では、これらの第1係止リブ24、24は、蓋体21の内壁面21aから突出するが、望ましくは、短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。第1係止リブ24、24は、その基端部に連設する突出先端部に、内側に若干に延びる爪部を有している。そして、第1係止リブ24、24の少なくとも一方の爪部には傾斜面が形成され、また、少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第1係止リブ24、24の両方が、可撓性を有していても良い。
【0021】
組み付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第1係止リブ24、24に穴あきアンテナ基板31を係着させることにより、穴あきアンテナ基板31の取り付け(セット)が容易となり、また、穴あきアンテナ基板31の外形そのものを大きくすることが可能となっている。
【0022】
また、蓋体21の適宜個所、例えば隅部には、ランプの点灯・点滅の状態を視認することができるように小透孔、小透明部分等の視覚用表示部27が形成されている。その他、蓋体21の適宜個所に切欠を形成し、或いは一部を透明にすることもできる。
【0023】
本実施例では、穴あきアンテナ基板31と装置本体基板41は、それぞれ別個・独立に成形並びに組み付けされるので、一対の第1係止リブ24、24を基準として、これらの第1係止リブ24、24よりも内側に複数個(例えば2個)の第2係止リブ(内側係止リブ)25、25が対向状態に設けられている。第2係止リブ25、25も、第1係止リブ24、24と同様に蓋体21の内壁面21aから突出するが、これらの第2係止リブ25、25は、前記内壁面21aの中央部寄りの部位に設けられている。第2係止リブ25、25は、第1係止リブ24、24よりも多少長いものの、第1係止リブ24、24と同様に短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。また、第1係止リブ24、24と同様に少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第2係止リブ25、25の両方が、可撓性を有していても良い。
【0024】
同様に、組付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第2係止リブ25、25に、例えば予めリード線12の基端部12aのプラグ18が接続した、或いはプラグが接続可能な装置本体基板41を係着させることにより、装置本体基板41も穴あきアンテナ基板31と同様に、その取り付け(セット)が容易となり、また、装置本体基板41の適宜箇所に切欠状の被係合部を形成するとことにより、その外形が開口部32よりも大きい装置本体基板41をデザイン設計することができる。
【0025】
次に、アンテナ蓋体6の構成する穴あきアンテナ基板31について説明する。図5に穴あきアンテナ基板31の斜視図を示す。また、図6及び図7は、穴あきアンテナ基板31の正面図と右側面図である。
【0026】
本実施例の穴あきアンテナ基板31の特徴部分は、長板状の穴あきアンテナ基板31の中央部に、その長手方向に比較的大きい開口部32を形成した点、周端部の適宜個所、例えば隅角部の一つに突片33を形成し、この突片33に照明具(例えばLED)34を装着した点、さらに、開口部32と周端部との間の環状部分31aに周回状態に設けられたアンテナ35以外の余白部位に突起状の電源装置36を設けた点である。
【0027】
ところで、穴あきアンテナ基板31は、図1で示した情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる。周知のように、「基板型の読み書き装置」は、読み書き装置本体、信号を送受信するアンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。
【0028】
そして、前記アンテナ基板は、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイル(アンテナ)、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。したがって、細部的事項の説明は割愛するが、本実施例の穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板(読み書き装置本体)41も、従来の基板型の読み書き装置と同様に、例えば半導体素子を搭載しかつ同じ通信機能を有している。
【0029】
図8及び図9は、装置本体基板41の正面図と右側面図である。装置本体基板41の厚さはアンテナ蓋体6と略同じであるが、アンテナ蓋体6よりも小さい。矩形状の装置本体基板41は、長手方向の両端部に切欠状の被係合部分42、42を有している。これらの被係合部分42、42に蓋体21の第2係止リブ25、25が係合可能である。装置本体基板41の両端部に切欠状の被係合部分42、42を形成することにより、該装置本体基板41の外形形状を大きくすることができる。また、装置本体基板41は、通信手段43、振動手段44等の電子部品や半導体素子を適宜に搭載している。
【0030】
次に、図10は、本発明の錠前用座板の組付け方法を示す工程図である。まず、Aは、蓋体21の内壁面21aに設けられた複数の第1係止リブ24、24に、開口部32を有すると共に一側面にアンテナ35を有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程である。この第1係着工程では、前記複数の第1係止リブ24、24の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に穴あきアンテナ基板31を係止させることができる。穴あきアンテナ基板31を第1係止リブ24、24に係着させると、穴あきアンテナ基板31のアンテナ35は、蓋体21の内壁面21aに対して若干の間隙を有して対向し、又は間隙を有しないで内壁面21aに接触状態となる。
【0031】
次に、Bは、蓋体21の第1係止リブ24、24よりも内側の位置に設けられ、かつ穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に、電子部品を実装した装置本体基板41を、前記穴あきアンテナ基板31と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程である。この第2係着工程Bにおいても、第1係着工程と同様に、前記複数の第2係止リブ25、25の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に装置本体基板41を係止させることができる。
【0032】
本実施例では、装置本体基板41の電子部品43、44の一部又は全部が、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込ように該穴あきアンテナ基板31の外側側面に積層状に位置付けられる。その結果、一番突出量の大きい振動装置(例えばブザー)44の上面が、蓋体21の内壁面21aに接触状態となる。これにより、装置本体基板41から発する振動が蓋体21に効率的に伝播する。
【0033】
次に、Cは、第2係着工程B及び前記第1係着工程Aで出来上ったアンテナ蓋体6をリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程である。この嵌着工程Cには、リード線の引出し工程C1と、アンテナ蓋体固着工程C2がそれぞれ含まれている。
【0034】
すなわち、前記リード線の引出し工程C1では、装置本体基板41には、例えば予めリード線12の基端部12aが結着され、該リード線12は、嵌着工程Cの際、リード線用通孔13を介して、取付けベース板3の外へと引き出される。また、前記アンテナ蓋体固着工程C2では、蓋体21の両端部に短筒状螺合部23、23が形成され、一方、前記短筒状螺合部に対応する取付けベース板3の両端部には固着具用のベース板貫通孔16、16が形成されているので、前記固着具15、15を取付けベース板3の裏側から前記ベース板貫通孔16、16を介して差込みかつ該固着具を前記短筒状螺合部に螺合させる。このようにして組付けが完了すると、錠前用台座Xが出来上がる。
【0035】
なお、リード線12は、予め装置本体基板に接続しなくても良いことは後述する。また、本実施例では、リード線12は装置本体基板41に接続することを説明したが、穴あきアンテナ基板31にも図示しないリード線が適宜に接続され、装置本体基板41側のリード線12並びに穴あきアンテナ基板31の図示しないリード線は、最終的には、図示しない錠前制御システムの制御部と電気的に接続される。
【実施例】
【0036】
発明の実施の形態で示した実施例に於いて、第2係着工程Bでは、蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させることができる。
【0037】
また、穴あきアンテナ基板31の開口部32は、装置本体基板41の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されているが、もちろん、開口部32の形状及び大きさは、任意に設計変更可能である。要は、複数個の第2係止リブ25、25が入り込む、又は嵌挿する切欠や開口であれば良い。
【0038】
次に、本実施例の説明に於いて、リード線12の基端部12aが結着され、該リード線は、嵌着工程Cの際、リード線用通孔13を介して、取付けベース板3の外へと引き出される旨を説明したが、リード線12は、必ずしも装置本体基板41には、予め結着されている必要はない。
【0039】
図11乃至図13は、装置本体基板41Aに接続端子17が設けられている(第2実施例)。前記接続端子17は、例えば取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aに対向する装置本体基板41Aの裏面に突起状に設けられた筒状部である。この筒状接続端子17にリード線12Aの基端部12aに設けられたプラグ18を自在に差し込むことができる。
【0040】
したがって、例えば嵌着工程Cに於いて、プラグ18を装置本体基板41Aの接続端子17に差し込んだ後に、リード線12Aを、リード線用通孔13を介して取付けベース板3の外へと引き出し、然るのちに、アンテナ蓋体固着工程C2が行われる。付言すると、錠前用台座Xを扉外壁1aに固定する際に、リード線12Aの接続、引き出し等が行われる。
【0041】
なお、本実施例に於いて、固定具10は、錠前用台座Xを扉1の扉外壁1aに設置する場合に於いて、一旦、取付けベース板3からアンテナ蓋体6を外した後に、貫通孔11を介して該固定具10の挿入先端部を貫通孔11の縁に係止させることにより該取付けベース板3に係止され、また、リード線12Aは、錠前用台座Xを扉1の扉外壁1aに設置する際に、基板装置本体41Aに接続され(第2実施例)、その後、取付けベース板3にアンテナ蓋体6を複数個の固着具15を介して固着する。それ故に、本実施例の錠前用台座Xは、組み付け時・販売時は、リード線12Aや固定具10は、発明の特定要件ではない。
【0042】
最後に、図14乃至図16を参照にして、第2実施例の錠前用台座X2を説明する。この第2実施例の錠前用台座X2は、アンテナ蓋体6Bが第1実施例のアンテナ蓋体6と異なる。その相違点を簡単に説明すると、第1実施例のアンテナ蓋体6の装置本体基板41は、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に係止されるのに対して、第2実施例のアンテナ蓋体6Bの装置本体基板41Bは、第1係止リブ24と同様に蓋体21Bの周壁部の内壁面付近に位置しかつ第1係止リブ24よりも突出する第2係止リブ25B、25Bに係止される点、また、装置本体基板41Bの縦又は横幅(本実施例では、横幅が若干広い)が異なる点である。
【0043】
前記第2係止リブ25B、25Bは、上下の第1係止リブ24、24に対してそれぞれ併設しても良いが、この第2実施例では、前記上下の第1係止リブ24、24に直交するように蓋体21Bの周壁部の左右中央部に対設している。
【0044】
したがって、この第2実施例の錠前用台座X2の組付け方法の第2係着工程では、蓋体21Bの第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状(面一状態は除く)になるように係着させる点が、第1実施例と主に異なる。
【0045】
それ故に、錠前用台座X2の組付け方法は、蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る。このように構成しても、短時間でかつ容易に台座にセットするという本発明の所期の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
【符号の説明】
【0047】
X、X2…錠前用台座、A…第1係着工程、B…第2係着工程、C…嵌着工程、C1…リード線の引出し工程、C2…アンテナ蓋体固着工程、1…扉、1a…扉外壁、2…情報送信手段、3…取付けベース板、4…操作ハンドル、5…縦長凹所、6、6B…アンテナ蓋体、10…柱状固定具、11…貫通孔、12、12A…リード線、13…リード線用通孔、15…固着具、16…ベース板貫通孔、17…接続端子、18…プラグ、21、21B…蓋体、21a…内壁面、22…内部空間、21…蓋体、23…蓋体ネジ柱(短筒状螺合部)、24…第1係止リブ、25、25B…第2係止リブ、31…穴あきアンテナ基板、32…開口部、33…突片、34…照明具、35…アンテナ、36…電源装置、41、41A、41B…装置本体基板、42…被係合部分、43…通信手段、44…振動手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体の内壁面に設けられた複数の第1係止リブに、開口部を有すると共に一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板を係着させる第1係着工程と、次に、前記蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ前記開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、前記穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体をリード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る錠前用台座の組付け方法。
【請求項2】
請求項1に於いて、開口部は、装置本体基板の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されていることを特徴とする錠前用台座の組付け方法。
【請求項3】
請求項1に於いて、蓋体の両端部には、短筒状螺合部が形成され、一方、前記短筒状螺合部に対応する取付けベース板の両端部には固着具用のベース板貫通孔が形成され、嵌着工程には、前記固着具を取付けベース板の裏側から前記ベース板貫通孔を介して差込みかつ該固着具を前記短筒状螺合部に螺合させるアンテナ蓋体固着工程が含まれていることを特徴とする錠前用台座の組付け方法。
【請求項4】
蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る錠前用台座の組付け方法。
【請求項1】
蓋体の内壁面に設けられた複数の第1係止リブに、開口部を有すると共に一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板を係着させる第1係着工程と、次に、前記蓋体の第1係止リブよりも内側の位置に設けられ、かつ前記開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、前記穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体をリード線用の通孔を有する取付けベース板に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る錠前用台座の組付け方法。
【請求項2】
請求項1に於いて、開口部は、装置本体基板の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されていることを特徴とする錠前用台座の組付け方法。
【請求項3】
請求項1に於いて、蓋体の両端部には、短筒状螺合部が形成され、一方、前記短筒状螺合部に対応する取付けベース板の両端部には固着具用のベース板貫通孔が形成され、嵌着工程には、前記固着具を取付けベース板の裏側から前記ベース板貫通孔を介して差込みかつ該固着具を前記短筒状螺合部に螺合させるアンテナ蓋体固着工程が含まれていることを特徴とする錠前用台座の組付け方法。
【請求項4】
蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させる第1係着工程と、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状になるように係着させる第2係着工程と、この第2係着工程及び前記第1係着工程で出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する嵌着工程とから成る錠前用台座の組付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−111867(P2011−111867A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272058(P2009−272058)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】
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