錠前用台座
【課題】錠前用台座の読み書き装置を内装する箇所が、部厚くならないこと。
【解決手段】扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、穴あきアンテナ基板は、蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、開口部に入り込む第2係止リブに略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されていることを特徴とする錠前用台座。
【解決手段】扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、穴あきアンテナ基板は、蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、開口部に入り込む第2係止リブに略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されていることを特徴とする錠前用台座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前用台座に関し、特に、通信機能を有する錠前用台座に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる「基板型の読み書き装置」が記載されている。この読み書き装置は、例えば信号を送受信する読み書き装置本体、アンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。そして、前記アンテナ基板は、アンテナ、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。
【0003】
従来、このような基板型の読み書き装置を錠前用台座内に組み込む場合、普通一般に、読み書き装置を構成する基板の両端部の中央部に取付け孔を形成し、一方、台座を構成する取付けベース板内に所定間隔を有して相対向する上下一対の固着具用のL型支持片を設け、このL型支持片の突片部分の貫通小孔と前記読み書き装置の基板両端部の取付け孔とを合わせながら、前記固着具でもって、読み書き装置の基板を、L型支持片を介して取付けベース板内に固着していた。
【0004】
従来の錠前用台座の組付け方法の問題点は、次のとおりである。すなわち、(a)第1に、読み書き装置を構成する部品点数が多いので、該読み書き装置を内装した台座が、外観上、部厚いものとなってしまう。付言すると、錠前用の縦長状台座の外観の厚さのバランスが悪いという印象を、一般の需要者に与える。(b)第2に、複数個の固着具を用いるので、台座に対する基板のセットが容易でない。特に、読み書き装置を、部品の製造の効率性、部品交換の容易性等の観点から、例えば穴あきアンテナ基板と、電子部品を実装した装置本体基板に二分割した場合には、構成する部品点数が増えるので、台座に対する組み込み時間が多くなる。(c)普通一般に、読み書き装置を構成するアンテナ基板のアンテナは、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイルを用いているので、アンテナ基板の両端部に複数個の取付け孔を形成すると、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の所期の目的は、従来の(a)の問題点を改善し、取付けベース板の裏側から蓋体の外壁面までの厚さ(台座の厚さ)を極力薄くすることができることである。本発明の第2の目的は、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の錠前用台座は、扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記開口部に入り込む第2係止リブに略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成に於いて、蓋体は、比較的底の浅いケース状に形成され、しかも、該蓋体の内壁面にそれぞれ対向状態に配設された読み書き装置と共に、縦長状取付けベース板に対してアンテナ蓋体を構成していることを特徴とする。また、内外の係止リブの少なくともそれぞれ一方が、可撓性を有することを特徴とする。さらに、開口部は、装置本体基板の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の錠前用台座は、扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記第1係止リブよりも突出する第2係止リブに積層状態、あるいは並列状態に係着されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「装置本体基板」とは、例えばアンテナ以外の通信手段、振動手段、スイッチ、IC、電気回路等が適宜に設けられている穴あきアンテナ基板と別個に成形された基板のことをいう。
【発明の効果】
【0011】
(1)蓋体を縦長状取付けベース板の一端部に形成された凹所に固定的に嵌着し、該蓋体の内壁面には、内外の複数個の係止リブを介してニ分割された読み書き装置が略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されているので、該読み書き装置を内装した台座の一端部が、他端部に対して、外観上、部厚いものとなってしまうという欠点を、可能な限り改善することができる。付言すると、該読み書き装置を内装した台座の箇所を極力薄くすることができる。特に、蓋体の厚さを極力薄くすることができる。
(2)内外の複数個の係止リブを用いたので、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができる。また、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図12は本発明の最良の実施例(第1実施例)を示す各説明図。図13乃至図15は本発明の最良の実施例(第2実施例)を示す各説明図。
【図1】錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図(扉外壁側)。
【図2】錠前用台座Xの設置環境を示す概略説明図(扉の自由端部側)。
【図3】錠前用台座Xの一例を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図4】各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xの概略説明図。
【図5】アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図
【図6】穴あきアンテナ基板3の正面図
【図7】穴あきアンテナ基板3の右側面図
【図8】装置本体基板41の正面図
【図9】装置本体基板41の右側面図
【図10】装置本体基板41を裏側から見た斜視図。
【図11】装置本体基板41の縦断面概略説明図。
【図12】要部の概略説明図。
【図13】第2実施例の錠前用台座X2を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図14】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの各部材を組み合わせる前の錠前用台座の概略説明図。
【図15】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図12に示す本発明を実施するための最良の形態により説明する。まず、図1及び図2は、錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図である。図1及び図2に於いて、1は扉、1aは扉外壁、2はカード式、或いは携帯型の情報送信手段、3は前記扉外壁1aに垂直状態に固定され、かつ前記情報送信手段2から情報を受け取ることが可能な通信型の錠前用台座Xの取付けベース板、4は取付けベース板3の中央部に取付けられたレバー式操作ハンドル、そして、6は前記操作ハンドル4を基準として前記取付けベース板3の一端部(例えば上端部)側3aに上下方向に、かつ該取付けベース板3の縦長凹所5に固定的に嵌着したアンテナ蓋体である。なお、符号7は錠前を構成するデッドボルト、8はラッチである。錠前用台座Xの細部的事項や錠前の具体的構成については割愛する。
【0014】
次に、図3及び図4は、本実施例の錠前用台座Xの一例を示す。図3は、錠前用台座Xを構成する各部材を組み合わせた状態、一方、図4は、各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xを示す。図3及び図4に於いて、前述したように、3は取付けベース板、3aはその上端部側である。扉1の扉外壁1aには、柱状固定具10用の不番挿通孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記固定具10の挿入先端部が係合する貫通孔11が形成されている。
【0015】
また、扉1の扉外壁1aには、リード線12を通すための不番案内孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記リード線12を通すためのリード線用通孔13が形成されている。取付けベース板3は、長尺状の板体で、扉1の図示しない扉内壁から柱状固定具10を緩めることによって、該固定具10と共に扉1の扉外壁1aから取り外すことができる。付言すると、扉内壁から柱状の固定具10を緩めると、錠前用台座Xそのものを扉外壁1aから外すことができる。
【0016】
さて、錠前用台座Xの基本的構成は、扉外壁1aに垂直方向に固定され得る取付けベース板3と、この取付けベース板3の縦長凹所5をカバーするように該取付けベース板3の一端部側3aに複数個の固着具15、ベース板貫通孔16、16、後述の蓋体ネジ柱23、23を介して取り外し可能に嵌着するアンテナ蓋体6とから成り、前記アンテナ蓋体6は、内部空間22が浅いケース状の蓋体21と、この蓋体21の内壁面21aに形成された複数個の係止リブ24、24、25、25を介して、前記内壁面21aに対して対向する穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板41とから成る。
【0017】
付言すると、本実施例の蓋体21は、比較的底の浅いケース状に形成され、しかも、該蓋体21の内壁面21aにそれぞれ対向状態に配設された読み書き装置(二分割された穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板41)と共に、縦長状取付けベース板に対してアンテナ蓋体6を構成している。
【0018】
しかして、組み付け前の図4を参照にすると、アンテナ蓋体6を構成する蓋体21は、左右(設置状態では上下)の両端部の内側に、一対の蓋体ネジ柱23、23が、蓋体21の周端21bから若干突出するように形成されている。前記蓋体ネジ柱23、23は、本実施例では、短筒状螺合部(メネジ部)であり、この短筒状螺合部23、23の長さ、例えば蓋体21の内壁面21aからの長さ、或いは蓋体21の周端21bからの突出量L1を短くすることによって、錠前用台座Xの厚さを薄くすることができる。本実施例では、説明の便宜上、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aと蓋体21の複数個の係止リブ24、24、25、25の先端との間に間隙26を設けているが、設計如何によっては、該間隙26を設ける必要はない。
【0019】
次に、図5は、アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図、図6及び図7は穴あきアンテナ基板31、図8及び図9は装置本体基板41を示す。例えば図5で示すように、蓋体21は、上下一対の短筒状螺合部23、23の直ぐ内側に、上下で一組の第1係止リブ(外側係止リブ)24、24を有している。
【0020】
本実施例では、これらの第1係止リブ24、24は、蓋体21の内壁面21aから突出するが、望ましくは、短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。第1係止リブ24、24は、その基端部に連設する突出先端部に、内側に若干に延びる爪部を有している。
【0021】
そして、第1係止リブ24、24の少なくとも一方の爪部には傾斜面が形成され、また、少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第1係止リブ24、24の両方が、可撓性を有していても良い。
【0022】
組み付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第1係止リブ24、24に穴あきアンテナ基板31を係着させることにより、穴あきアンテナ基板31の取り付け(セット)が容易となり、また、穴あきアンテナ基板31の外形そのものを大きくすることが可能となっている。
【0023】
また、蓋体21の適宜個所、例えば隅部には、ランプの点灯・点滅の状態を視認することができるように小透孔、小透明部分等の視覚用表示部27が形成されている。その他、蓋体21の適宜個所に切欠を形成し、或いは一部を透明にすることもできる。
【0024】
本実施例では、穴あきアンテナ基板31と装置本体基板41は、それぞれ別個・独立に成形並びに組み付けされるので、一対の第1係止リブ24、24を基準として、これらの第1係止リブ24、24よりも内側に複数個(例えば2個)の第2係止リブ(内側係止リブ)25、25が対向状態に設けられている。第2係止リブ25、25も、第1係止リブ24、24と同様に蓋体21の内壁面21aから突出するが、これらの第2係止リブ25、25は、前記内壁面21aの中央部寄りの部位に設けられている。第2係止リブ25、25は、第1係止リブ24、24よりも多少長いものの、第1係止リブ24、24と同様に短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。また、第1係止リブ24、24と同様に少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第2係止リブ25、25の両方が、可撓性を有していても良い。
【0025】
同様に、組付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第2係止リブ25、25に、リード線12の基端部12aが接続した装置本体基板41を係着させることにより、装置本体基板41も穴あきアンテナ基板31と同様に、その取り付け(セット)が容易となり、また、装置本体基板41の適宜箇所に切欠状の被係合部を形成するとことにより、その外形が開口部32よりも大きい装置本体基板41をデザイン設計することができる。
【0026】
次に、アンテナ蓋体6の構成する穴あきアンテナ基板31について説明する。図5に穴あきアンテナ基板31の斜視図を示す。また、図6及び図7は、穴あきアンテナ基板31の正面図と右側面図である。
【0027】
本実施例の穴あきアンテナ基板31の特徴部分は、長板状の穴あきアンテナ基板31の中央部に、その長手方向に比較的大きい開口部32を形成した点、周端部の適宜個所、例えば隅角部の一つに突片33を形成し、この突片33に照明具(例えばLED)34を装着した点、さらに、開口部32と周端部との間の環状部分31aに周回状態に設けられたアンテナ35以外の余白部位に突起状の電源装置36を設けた点である。
【0028】
ところで、穴あきアンテナ基板31は、図1で示した情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる。周知のように、「基板型の読み書き装置」は、読み書き装置本体、信号を送受信するアンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。
【0029】
そして、前記アンテナ基板は、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイル(アンテナ)、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。したがって、細部的事項の説明は割愛するが、本実施例の穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板(読み書き装置本体)41も、従来の基板型の読み書き装置と同様に、例えば半導体素子を搭載しかつ同じ通信機能を有している。
【0030】
図8及び図9は、装置本体基板41の正面図と右側面図である。また、図11乃至図12は、装置本体基板41の裏面に設けられた接続端子17とプラグ18を有するリード線12に関する各説明図である。
【0031】
さて、装置本体基板41の厚さはアンテナ蓋体6と略同じであるが、アンテナ蓋体6よりも小さい。矩形状の装置本体基板41は、長手方向の両端部に切欠状の被係合部分42、42を有している。これらの被係合部分42、42に蓋体21の第2係止リブ25、25が係合可能である。装置本体基板41の両端部に切欠状の被係合部分42、42を形成することにより、該装置本体基板41の外形形状を大きくすることができる。また、装置本体基板41は、通信手段43、振動手段44等の電子部品や半導体素子を適宜に搭載している。
【0032】
上記構成に於いて、まず、蓋体21の内壁面21aに設けられた複数の第1係止リブ24、24に、開口部32を有すると共に一側面にアンテナ35を有する穴あきアンテナ基板31を係着させる。この時、前記複数の第1係止リブ24、24の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に穴あきアンテナ基板31を係止させることができる。穴あきアンテナ基板31を第1係止リブ24、24に係着させると、穴あきアンテナ基板31のアンテナ35は、蓋体21の内壁面21aに対して若干の間隙を有して対向し、又は間隙を有しないで内壁面21aに接触状態となる。
【0033】
次に、蓋体21の外側リブ24、24よりも内側の位置に設けられ、かつ穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に、電子部品を実装した装置本体基板41を、前記穴あきアンテナ基板31と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる。この係着の場合も、前記複数の第2係止リブ25、25の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に装置本体基板41を係止させることができる。
【0034】
本実施例では、装置本体基板41の電子部品43、44の一部又は全部が、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込ように該穴あきアンテナ基板31の外側側面に積層状に位置付けられる。その結果、一番突出量の大きい振動装置(例えばブザー)44の上面が、蓋体21の内壁面21aに接触状態となる。これにより、装置本体基板41から発する振動が蓋体21に効率的に伝播する。
【0035】
次に、リード線12の基端部12aのプラグ18を装置本体基板41の接続端子17に差し込んだ後に、リード線12を、リード線用通孔13を介して取付けベース板3の外へと引き出す。然る後に、アンテナ蓋体6を取付けベース板3の一端部の凹所に嵌合し、複数個の固着具15、15を前記取付けベース板3の裏側から該ベース板貫通孔16、16を介して差込み、かつ、該固着具を前記短筒状螺合部に螺合させる。これにより、錠前用台座Xが出来上がる。
【0036】
なお、本実施例では、リード線12は装置本体基板41に接続することを説明したが、穴あきアンテナ基板31にも図示しないリード線が適宜に接続され、装置本体基板41側のリード線12並びに穴あきアンテナ基板31の図示しないリード線は、最終的には、図示しない錠前制御システムの制御部と電気的に接続される。
【実施例】
【0037】
発明の実施の形態で示した実施例に於いて、蓋体の外側リブよりも内側の位置に設けられ、かつ開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させることができる。
【0038】
また、穴あきアンテナ基板31の開口部32は、装置本体基板41の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されているが、もちろん、開口部32の形状及び大きさは、任意に設計変更可能である。要は、複数個の第2係止リブ25、25が入り込む、又は嵌挿する切欠や開口であれば良い。
【0039】
最後に、図13乃至図15を参照にして、第2実施例の錠前用台座X2を説明する。この第2実施例の錠前用台座X2は、アンテナ蓋体6Bが第1実施例のアンテナ蓋体6と異なる。その相違点を簡単に説明すると、第1実施例のアンテナ蓋体6の装置本体基板41は、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に係止されるのに対して、第2実施例のアンテナ蓋体6Bの装置本体基板41Bは、第1係止リブ24と同様に蓋体21Bの周壁部の内壁面付近に位置しかつ第1係止リブ24よりも突出する第2係止リブ25B、25Bに係止される点、また、装置本体基板41Bの縦又は横幅(本実施例では、横幅が若干広い)が異なる点である。
【0040】
前記第2係止リブ25B、25Bは、上下の第1係止リブ24、24に対してそれぞれ併設しても良いが、この第2実施例では、前記上下の第1係止リブ24、24に直交するように蓋体21Bの周壁部の左右中央部に対設している。
【0041】
したがって、この第2実施例の錠前用台座X2の各構成部材の組付ける場合には、まず、蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させ、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状(面一状態は除く)になるように係着させ、このようにして出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する。このように構成しても、台座を可能な限り薄くするという本発明の所期の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
【符号の説明】
【0043】
X、X2…錠前用台座、1…扉、1a…扉外壁、2…情報送信手段、3…取付けベース板、4…操作ハンドル、5…縦長凹所、6、6B…アンテナ蓋体、10…柱状固定具、11…貫通孔、12…リード線、13…リード線用通孔、15…固着具、16…ベース板貫通孔、17…接続端子、18…プラグ、21…蓋体、21a…内壁面、22…内部空間、21、21B…蓋体、23…蓋体ネジ柱(短筒状螺合部)、24…第1係止リブ、25、25B…第2係止リブ、31…アンテナ基板、32…開口部、33…突片、34…照明具、35…アンテナ、36…電源装置、41、41B…装置本体基板、42…被係合部分、43…通信手段、44…振動手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前用台座に関し、特に、通信機能を有する錠前用台座に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる「基板型の読み書き装置」が記載されている。この読み書き装置は、例えば信号を送受信する読み書き装置本体、アンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。そして、前記アンテナ基板は、アンテナ、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。
【0003】
従来、このような基板型の読み書き装置を錠前用台座内に組み込む場合、普通一般に、読み書き装置を構成する基板の両端部の中央部に取付け孔を形成し、一方、台座を構成する取付けベース板内に所定間隔を有して相対向する上下一対の固着具用のL型支持片を設け、このL型支持片の突片部分の貫通小孔と前記読み書き装置の基板両端部の取付け孔とを合わせながら、前記固着具でもって、読み書き装置の基板を、L型支持片を介して取付けベース板内に固着していた。
【0004】
従来の錠前用台座の組付け方法の問題点は、次のとおりである。すなわち、(a)第1に、読み書き装置を構成する部品点数が多いので、該読み書き装置を内装した台座が、外観上、部厚いものとなってしまう。付言すると、錠前用の縦長状台座の外観の厚さのバランスが悪いという印象を、一般の需要者に与える。(b)第2に、複数個の固着具を用いるので、台座に対する基板のセットが容易でない。特に、読み書き装置を、部品の製造の効率性、部品交換の容易性等の観点から、例えば穴あきアンテナ基板と、電子部品を実装した装置本体基板に二分割した場合には、構成する部品点数が増えるので、台座に対する組み込み時間が多くなる。(c)普通一般に、読み書き装置を構成するアンテナ基板のアンテナは、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイルを用いているので、アンテナ基板の両端部に複数個の取付け孔を形成すると、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−288845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の所期の目的は、従来の(a)の問題点を改善し、取付けベース板の裏側から蓋体の外壁面までの厚さ(台座の厚さ)を極力薄くすることができることである。本発明の第2の目的は、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の錠前用台座は、扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記開口部に入り込む第2係止リブに略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成に於いて、蓋体は、比較的底の浅いケース状に形成され、しかも、該蓋体の内壁面にそれぞれ対向状態に配設された読み書き装置と共に、縦長状取付けベース板に対してアンテナ蓋体を構成していることを特徴とする。また、内外の係止リブの少なくともそれぞれ一方が、可撓性を有することを特徴とする。さらに、開口部は、装置本体基板の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の錠前用台座は、扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記第1係止リブよりも突出する第2係止リブに積層状態、あるいは並列状態に係着されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「装置本体基板」とは、例えばアンテナ以外の通信手段、振動手段、スイッチ、IC、電気回路等が適宜に設けられている穴あきアンテナ基板と別個に成形された基板のことをいう。
【発明の効果】
【0011】
(1)蓋体を縦長状取付けベース板の一端部に形成された凹所に固定的に嵌着し、該蓋体の内壁面には、内外の複数個の係止リブを介してニ分割された読み書き装置が略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されているので、該読み書き装置を内装した台座の一端部が、他端部に対して、外観上、部厚いものとなってしまうという欠点を、可能な限り改善することができる。付言すると、該読み書き装置を内装した台座の箇所を極力薄くすることができる。特に、蓋体の厚さを極力薄くすることができる。
(2)内外の複数個の係止リブを用いたので、基板を構成する部品点数が増えても、短時間でかつ容易に台座にセットすることができる。また、アンテナ基板の外形寸法やデザイン上の制約を受けない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図12は本発明の最良の実施例(第1実施例)を示す各説明図。図13乃至図15は本発明の最良の実施例(第2実施例)を示す各説明図。
【図1】錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図(扉外壁側)。
【図2】錠前用台座Xの設置環境を示す概略説明図(扉の自由端部側)。
【図3】錠前用台座Xの一例を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図4】各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xの概略説明図。
【図5】アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図
【図6】穴あきアンテナ基板3の正面図
【図7】穴あきアンテナ基板3の右側面図
【図8】装置本体基板41の正面図
【図9】装置本体基板41の右側面図
【図10】装置本体基板41を裏側から見た斜視図。
【図11】装置本体基板41の縦断面概略説明図。
【図12】要部の概略説明図。
【図13】第2実施例の錠前用台座X2を示す概略断面説明図(組み付け完了状態)。
【図14】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの各部材を組み合わせる前の錠前用台座の概略説明図。
【図15】第2実施例のアンテナ蓋体6Bの構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図12に示す本発明を実施するための最良の形態により説明する。まず、図1及び図2は、錠前用台座Xの設置環境の一例を示す概略説明図である。図1及び図2に於いて、1は扉、1aは扉外壁、2はカード式、或いは携帯型の情報送信手段、3は前記扉外壁1aに垂直状態に固定され、かつ前記情報送信手段2から情報を受け取ることが可能な通信型の錠前用台座Xの取付けベース板、4は取付けベース板3の中央部に取付けられたレバー式操作ハンドル、そして、6は前記操作ハンドル4を基準として前記取付けベース板3の一端部(例えば上端部)側3aに上下方向に、かつ該取付けベース板3の縦長凹所5に固定的に嵌着したアンテナ蓋体である。なお、符号7は錠前を構成するデッドボルト、8はラッチである。錠前用台座Xの細部的事項や錠前の具体的構成については割愛する。
【0014】
次に、図3及び図4は、本実施例の錠前用台座Xの一例を示す。図3は、錠前用台座Xを構成する各部材を組み合わせた状態、一方、図4は、各部材を組み合わせる前の錠前用台座Xを示す。図3及び図4に於いて、前述したように、3は取付けベース板、3aはその上端部側である。扉1の扉外壁1aには、柱状固定具10用の不番挿通孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記固定具10の挿入先端部が係合する貫通孔11が形成されている。
【0015】
また、扉1の扉外壁1aには、リード線12を通すための不番案内孔が形成されている。したがって、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aにも前記リード線12を通すためのリード線用通孔13が形成されている。取付けベース板3は、長尺状の板体で、扉1の図示しない扉内壁から柱状固定具10を緩めることによって、該固定具10と共に扉1の扉外壁1aから取り外すことができる。付言すると、扉内壁から柱状の固定具10を緩めると、錠前用台座Xそのものを扉外壁1aから外すことができる。
【0016】
さて、錠前用台座Xの基本的構成は、扉外壁1aに垂直方向に固定され得る取付けベース板3と、この取付けベース板3の縦長凹所5をカバーするように該取付けベース板3の一端部側3aに複数個の固着具15、ベース板貫通孔16、16、後述の蓋体ネジ柱23、23を介して取り外し可能に嵌着するアンテナ蓋体6とから成り、前記アンテナ蓋体6は、内部空間22が浅いケース状の蓋体21と、この蓋体21の内壁面21aに形成された複数個の係止リブ24、24、25、25を介して、前記内壁面21aに対して対向する穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板41とから成る。
【0017】
付言すると、本実施例の蓋体21は、比較的底の浅いケース状に形成され、しかも、該蓋体21の内壁面21aにそれぞれ対向状態に配設された読み書き装置(二分割された穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板41)と共に、縦長状取付けベース板に対してアンテナ蓋体6を構成している。
【0018】
しかして、組み付け前の図4を参照にすると、アンテナ蓋体6を構成する蓋体21は、左右(設置状態では上下)の両端部の内側に、一対の蓋体ネジ柱23、23が、蓋体21の周端21bから若干突出するように形成されている。前記蓋体ネジ柱23、23は、本実施例では、短筒状螺合部(メネジ部)であり、この短筒状螺合部23、23の長さ、例えば蓋体21の内壁面21aからの長さ、或いは蓋体21の周端21bからの突出量L1を短くすることによって、錠前用台座Xの厚さを薄くすることができる。本実施例では、説明の便宜上、取付けベース板3の縦長凹所5の内壁底面5aと蓋体21の複数個の係止リブ24、24、25、25の先端との間に間隙26を設けているが、設計如何によっては、該間隙26を設ける必要はない。
【0019】
次に、図5は、アンテナ蓋体6の構成を示す分解斜視図、図6及び図7は穴あきアンテナ基板31、図8及び図9は装置本体基板41を示す。例えば図5で示すように、蓋体21は、上下一対の短筒状螺合部23、23の直ぐ内側に、上下で一組の第1係止リブ(外側係止リブ)24、24を有している。
【0020】
本実施例では、これらの第1係止リブ24、24は、蓋体21の内壁面21aから突出するが、望ましくは、短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。第1係止リブ24、24は、その基端部に連設する突出先端部に、内側に若干に延びる爪部を有している。
【0021】
そして、第1係止リブ24、24の少なくとも一方の爪部には傾斜面が形成され、また、少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第1係止リブ24、24の両方が、可撓性を有していても良い。
【0022】
組み付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第1係止リブ24、24に穴あきアンテナ基板31を係着させることにより、穴あきアンテナ基板31の取り付け(セット)が容易となり、また、穴あきアンテナ基板31の外形そのものを大きくすることが可能となっている。
【0023】
また、蓋体21の適宜個所、例えば隅部には、ランプの点灯・点滅の状態を視認することができるように小透孔、小透明部分等の視覚用表示部27が形成されている。その他、蓋体21の適宜個所に切欠を形成し、或いは一部を透明にすることもできる。
【0024】
本実施例では、穴あきアンテナ基板31と装置本体基板41は、それぞれ別個・独立に成形並びに組み付けされるので、一対の第1係止リブ24、24を基準として、これらの第1係止リブ24、24よりも内側に複数個(例えば2個)の第2係止リブ(内側係止リブ)25、25が対向状態に設けられている。第2係止リブ25、25も、第1係止リブ24、24と同様に蓋体21の内壁面21aから突出するが、これらの第2係止リブ25、25は、前記内壁面21aの中央部寄りの部位に設けられている。第2係止リブ25、25は、第1係止リブ24、24よりも多少長いものの、第1係止リブ24、24と同様に短筒状螺合部23、23の先端面よりも内側に位置するように突出している。また、第1係止リブ24、24と同様に少なくとも一方は、材質自体により弾性変位、弾性復帰可能である(可撓性を有する)。もちろん、第2係止リブ25、25の両方が、可撓性を有していても良い。
【0025】
同様に、組付け手段として、複数個の固着具ではなく、可撓性を有する第2係止リブ25、25に、リード線12の基端部12aが接続した装置本体基板41を係着させることにより、装置本体基板41も穴あきアンテナ基板31と同様に、その取り付け(セット)が容易となり、また、装置本体基板41の適宜箇所に切欠状の被係合部を形成するとことにより、その外形が開口部32よりも大きい装置本体基板41をデザイン設計することができる。
【0026】
次に、アンテナ蓋体6の構成する穴あきアンテナ基板31について説明する。図5に穴あきアンテナ基板31の斜視図を示す。また、図6及び図7は、穴あきアンテナ基板31の正面図と右側面図である。
【0027】
本実施例の穴あきアンテナ基板31の特徴部分は、長板状の穴あきアンテナ基板31の中央部に、その長手方向に比較的大きい開口部32を形成した点、周端部の適宜個所、例えば隅角部の一つに突片33を形成し、この突片33に照明具(例えばLED)34を装着した点、さらに、開口部32と周端部との間の環状部分31aに周回状態に設けられたアンテナ35以外の余白部位に突起状の電源装置36を設けた点である。
【0028】
ところで、穴あきアンテナ基板31は、図1で示した情報送信手段(例えば非接触ICカード)から送信された信号をキャッチすることができる。周知のように、「基板型の読み書き装置」は、読み書き装置本体、信号を送受信するアンテナを有するアンテナ基板、電源装置、電子表示部、振動装置等を有している。
【0029】
そして、前記アンテナ基板は、導電性材料をスパイラル状に周回させたアンテナコイル(アンテナ)、共振回路、読み書き装置本体と接続する接続端子を有している。したがって、細部的事項の説明は割愛するが、本実施例の穴あきアンテナ基板31及び装置本体基板(読み書き装置本体)41も、従来の基板型の読み書き装置と同様に、例えば半導体素子を搭載しかつ同じ通信機能を有している。
【0030】
図8及び図9は、装置本体基板41の正面図と右側面図である。また、図11乃至図12は、装置本体基板41の裏面に設けられた接続端子17とプラグ18を有するリード線12に関する各説明図である。
【0031】
さて、装置本体基板41の厚さはアンテナ蓋体6と略同じであるが、アンテナ蓋体6よりも小さい。矩形状の装置本体基板41は、長手方向の両端部に切欠状の被係合部分42、42を有している。これらの被係合部分42、42に蓋体21の第2係止リブ25、25が係合可能である。装置本体基板41の両端部に切欠状の被係合部分42、42を形成することにより、該装置本体基板41の外形形状を大きくすることができる。また、装置本体基板41は、通信手段43、振動手段44等の電子部品や半導体素子を適宜に搭載している。
【0032】
上記構成に於いて、まず、蓋体21の内壁面21aに設けられた複数の第1係止リブ24、24に、開口部32を有すると共に一側面にアンテナ35を有する穴あきアンテナ基板31を係着させる。この時、前記複数の第1係止リブ24、24の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に穴あきアンテナ基板31を係止させることができる。穴あきアンテナ基板31を第1係止リブ24、24に係着させると、穴あきアンテナ基板31のアンテナ35は、蓋体21の内壁面21aに対して若干の間隙を有して対向し、又は間隙を有しないで内壁面21aに接触状態となる。
【0033】
次に、蓋体21の外側リブ24、24よりも内側の位置に設けられ、かつ穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に、電子部品を実装した装置本体基板41を、前記穴あきアンテナ基板31と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させる。この係着の場合も、前記複数の第2係止リブ25、25の一方又は両方を撓ませることにより、各々相対する爪部に装置本体基板41を係止させることができる。
【0034】
本実施例では、装置本体基板41の電子部品43、44の一部又は全部が、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込ように該穴あきアンテナ基板31の外側側面に積層状に位置付けられる。その結果、一番突出量の大きい振動装置(例えばブザー)44の上面が、蓋体21の内壁面21aに接触状態となる。これにより、装置本体基板41から発する振動が蓋体21に効率的に伝播する。
【0035】
次に、リード線12の基端部12aのプラグ18を装置本体基板41の接続端子17に差し込んだ後に、リード線12を、リード線用通孔13を介して取付けベース板3の外へと引き出す。然る後に、アンテナ蓋体6を取付けベース板3の一端部の凹所に嵌合し、複数個の固着具15、15を前記取付けベース板3の裏側から該ベース板貫通孔16、16を介して差込み、かつ、該固着具を前記短筒状螺合部に螺合させる。これにより、錠前用台座Xが出来上がる。
【0036】
なお、本実施例では、リード線12は装置本体基板41に接続することを説明したが、穴あきアンテナ基板31にも図示しないリード線が適宜に接続され、装置本体基板41側のリード線12並びに穴あきアンテナ基板31の図示しないリード線は、最終的には、図示しない錠前制御システムの制御部と電気的に接続される。
【実施例】
【0037】
発明の実施の形態で示した実施例に於いて、蓋体の外側リブよりも内側の位置に設けられ、かつ開口部に入り込む複数の第2係止リブに、電子部品を実装した装置本体基板を、穴あきアンテナ基板と面一状あるいは積層状あるいはまた並列状になるように係着させることができる。
【0038】
また、穴あきアンテナ基板31の開口部32は、装置本体基板41の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されているが、もちろん、開口部32の形状及び大きさは、任意に設計変更可能である。要は、複数個の第2係止リブ25、25が入り込む、又は嵌挿する切欠や開口であれば良い。
【0039】
最後に、図13乃至図15を参照にして、第2実施例の錠前用台座X2を説明する。この第2実施例の錠前用台座X2は、アンテナ蓋体6Bが第1実施例のアンテナ蓋体6と異なる。その相違点を簡単に説明すると、第1実施例のアンテナ蓋体6の装置本体基板41は、穴あきアンテナ基板31の開口部32に入り込む複数の第2係止リブ25、25に係止されるのに対して、第2実施例のアンテナ蓋体6Bの装置本体基板41Bは、第1係止リブ24と同様に蓋体21Bの周壁部の内壁面付近に位置しかつ第1係止リブ24よりも突出する第2係止リブ25B、25Bに係止される点、また、装置本体基板41Bの縦又は横幅(本実施例では、横幅が若干広い)が異なる点である。
【0040】
前記第2係止リブ25B、25Bは、上下の第1係止リブ24、24に対してそれぞれ併設しても良いが、この第2実施例では、前記上下の第1係止リブ24、24に直交するように蓋体21Bの周壁部の左右中央部に対設している。
【0041】
したがって、この第2実施例の錠前用台座X2の各構成部材の組付ける場合には、まず、蓋体21Bの内壁面に設けられた複数の第1係止リブ24、24に、一側面にアンテナを有する穴あきアンテナ基板31を係着させ、次に、蓋体21Bの前記第1係止リブ24、24よりも突出するように該蓋体の内壁面に設けられた複数の第2係止リブ25B、25Bに、電子部品を実装した装置本体基板41Bを、前記穴あきアンテナ基板31と積層状あるいは並列状(面一状態は除く)になるように係着させ、このようにして出来上ったアンテナ蓋体6Bをリード線用の通孔13を有する取付けベース板3に取外し可能に嵌着する。このように構成しても、台座を可能な限り薄くするという本発明の所期の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、主に錠前や建具の業界で利用される。
【符号の説明】
【0043】
X、X2…錠前用台座、1…扉、1a…扉外壁、2…情報送信手段、3…取付けベース板、4…操作ハンドル、5…縦長凹所、6、6B…アンテナ蓋体、10…柱状固定具、11…貫通孔、12…リード線、13…リード線用通孔、15…固着具、16…ベース板貫通孔、17…接続端子、18…プラグ、21…蓋体、21a…内壁面、22…内部空間、21、21B…蓋体、23…蓋体ネジ柱(短筒状螺合部)、24…第1係止リブ、25、25B…第2係止リブ、31…アンテナ基板、32…開口部、33…突片、34…照明具、35…アンテナ、36…電源装置、41、41B…装置本体基板、42…被係合部分、43…通信手段、44…振動手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記開口部に入り込む第2係止リブに略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されていることを特徴とする錠前用台座。
【請求項2】
請求項1に於いて、蓋体は、比較的底の浅いケース状に形成され、しかも、該蓋体の内壁面にそれぞれ対向状態に配設された読み書き装置と共に、縦長状取付けベース板に対してアンテナ蓋体を構成していることを特徴とする錠前用台座。
【請求項3】
請求項1に於いて、内外の係止リブの少なくともそれぞれ一方が、可撓性を有することを特徴とする錠前用台座。
【請求項4】
請求項1に於いて、開口部は、装置本体基板の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されていることを特徴とする錠前用台座。
【請求項5】
扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記第1係止リブよりも突出する第2係止リブに積層状態、あるいは並列状態に係着されていることを特徴とする錠前用台座。
【請求項1】
扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記開口部に入り込む第2係止リブに略面一状態あるいは積層状態、あるいはまた並列状態に係着されていることを特徴とする錠前用台座。
【請求項2】
請求項1に於いて、蓋体は、比較的底の浅いケース状に形成され、しかも、該蓋体の内壁面にそれぞれ対向状態に配設された読み書き装置と共に、縦長状取付けベース板に対してアンテナ蓋体を構成していることを特徴とする錠前用台座。
【請求項3】
請求項1に於いて、内外の係止リブの少なくともそれぞれ一方が、可撓性を有することを特徴とする錠前用台座。
【請求項4】
請求項1に於いて、開口部は、装置本体基板の上面から突出する電子部品の一部又は全部が入り込む大きさに形成されていることを特徴とする錠前用台座。
【請求項5】
扉の壁面に固定され得る縦長状の取付けベース板と、この縦長状取付けベース板に形成された凹所に固定的に嵌着する蓋体と、この蓋体の内壁面と前記縦長状取付けベース板の内壁面が結合した内部に固定的に内装された読み書き装置とから成る錠前用台座であって、前記読み書き装置は、開口部を有する穴あきアンテナ基板と、この穴あきアンテナ基板とは別個に成形され、かつ、一側上面に電子部品を実装した装置本体基板とから成り、前記穴あきアンテナ基板は、前記蓋体の内壁面に形成された複数の第1係止リブに係着され、一方、前記装置基板は、前記蓋体の内壁面に形成され、かつ、前記第1係止リブよりも突出する第2係止リブに積層状態、あるいは並列状態に係着されていることを特徴とする錠前用台座。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−111870(P2011−111870A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272171(P2009−272171)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】
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