説明

開閉装置及びこの開閉装置を備えた電子機器

【課題】電子機器の小型化等が可能な開閉装置等を提供することを課題とする。
【解決手段】第1の筐体1に固定される固定ブラケット31と、固定ブラケットに設けた平行な第1及び第2旋回軸32,33と、第1旋回軸を中心に旋回可能なリフトブラケット34と、リフトブラケットの長孔内で移動可能なリフトピン35と、一端が第2旋回軸を中心に旋回可能、かつ、他端がリフトピンに回動可能に装着されたリンクアーム36と、第1及び第2旋回軸と平行にリフトブラケットに固定されたシャフト37と、シャフト上で旋回可能で、第2の筐体2に固定される旋回アーム38と、シャフト上で第2の筐体の開閉操作と共に回動するリフトカム39と、リフトカムのカム面に接するようリフトブラケット上に保持され、リフトピンをリフトブラケットの長孔内で移動させる作動スライダー40と、旋回アームを閉成方向へ付勢する機構41と、を設けることで解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン、電子辞書、PDA(Personal Data Assistant)、カーナビゲーション装置等の小型の電子機器において、その第1の筐体である機器本体と第2の筐体であるディスプレイ装置とを互いに開閉可能に連結する開閉装置及びこの開閉装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記の如きノート型パソコン、電子辞書、PDA、カーナビゲーション装置等の小型の電子機器では、第1の筐体である機器本体に対して第2の筐体であるディスプレイ装置が開閉装置を介して開閉可能に取り付けられている。この開閉装置としては、ディスプレイ装置を機器本体に対して任意の角度で停止保持し得るようにするためのチルト機能を有する開閉装置も用いられている。
【0003】
この種の開閉装置として、例えば下記特許文献1〜3に記載の如きものが提案されている。それらの開閉装置は、一般的に、電子機器の機器本体(第1の筐体)に取り付けられるブラケットと、このブラケットに固定されるヒンジシャフト(軸部材)と、このヒンジシャフト上に回転可能に装着され、電子機器のディスプレイ装置(第2の筐体)に取り付けられるヒンジアームと、前記ヒンジシャフト上に前記ヒンジアームと直接的又は間接的に接触するよう装着されるフリクションディスクと、前記ヒンジアームとフリクションディスクを直接的又は間接的に圧接せしめるよう前記ヒンジシャフト上に装着される皿バネ等の弾性手段とを備え、フリクションディスクの摺動面に生じるフリクショントルクによって、ディスプレイ装置が機器本体に対して任意の角度で停止保持されるようになっていた。
【0004】
しかしながら、前記の如き従来の開閉装置を用いる場合、第2の筐体の開閉操作時に第1の筐体と第2の筐体とがその連結部分において干渉するのを避けたり、第2の筐体の閉成時に第1の筐体とのクリアランスを維持するためには、連結部分における第1又は第2の筐体の角部を大きくする必要があり、筐体の小型化やデザインの改良の障碍になり易いという問題点があった。
また、従来の開閉装置では、そのシャフトが第1の筐体の後部の稜辺上の一定位置にあるため、第2の筐体を大きく開いてその重心が第1の筐体の底面領域を越えるようになると設置状態が不安定となり、特に第2の筐体の重量が大きい場合には、第2の筐体の重量モーメントにより設置時の安定性が損なわれ易いという問題点があった。特に、第2の筐体である液晶ディスプレイ装置のみを機器本体から分離して使用可能な構造とした場合、第2の筐体側にもバッテリーなどを搭載する必要を生じ、その重量が過大となって第1の筐体との重量バランスが悪くなり、設置安定性が損なわれ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−12451号公報
【特許文献2】特開2006−46384号公報
【特許文献3】特開2010−270844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の開閉装置の上記の如き問題点を解決することを課題とするものであり、第2の筐体の開成操作時に、開閉装置のシャフトの位置が上側及び手前側へ向けて例えば数mm程度平行移動するように構成することにより、第1の筐体と第2の筐体とがその連結部分において干渉することがなく、当該連結部分における第1又は第2の筐体の角部を大きくしなくても開閉が可能となり、両筐体間のクリアランスも確保され、これによって、第2の筐体であるディスプレイ画面の小型化やデザインの自由度が向上すると共に、開閉装置のシャフトが手前側に持ち上がって重心位置が手前に移動することで、ノート型パソコン等が後方に倒れにくくなり、ディスプレイ画面等の重量が重くなっても、設置時の安定性を確保できる、等々の効果も達成し得る開閉装置及びこの開閉装置を備えた電子機器を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、請求項1に記載の本発明に係る開閉装置は、
第1の筐体と第2の筐体を開閉可能に連結する開閉装置であって、
前記第1の筐体に固定される固定ブラケットと、
前記固定ブラケットに設けた互いに平行な第1及び第2旋回軸と、
前記第1旋回軸を中心に旋回可能に軸支されたリフトブラケットと、
前記リフトブラケットに設けた長孔内にスライド可能に設けたリフトピンと、
一端が前記第2旋回軸を中心に旋回可能に軸支されると共に、他端が前記リフトピンに回動可能に装着されたリンクアームと、
前記第1及び第2旋回軸と平行となるよう前記リフトブラケットに固定されたシャフトと、
前記シャフト上に旋回可能に装着され、前記第2の筐体に固定される旋回アームと、
前記シャフト上に回動可能に装着され、前記第2の筐体の開閉操作に伴う前記旋回アームの旋回動作と共に回動するリフトカムと、
前記リフトカムのカム面に接し、前記リフトカムの回動に伴って変位するよう前記リフトブラケット上に保持され、その変位動作により前記リフトピンを前記リフトブラケットの前記長孔内でスライドさせる作動スライダーと、
前記リフトピン、前記作動スライダー及び前記リフトカムを介して、前記旋回アームを閉成状態へもたらす方向の力を生じさせる付勢機構と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の開閉装置は、前記付勢機構が、前記第1旋回軸に旋回可能に取り付けられたスプリングホルダーと、前記リフトピンに取り付けられたスプリングスライダーと、前記スプリングホルダーと前記スプリングスライダーとの間に作用するコンプレッションスプリングとから構成されたことを特徴とする。しかしながら、本発明の開閉装置に設けられる付勢機構は、これに限定されるものではない。
【0009】
請求項3に記載の開閉装置は、前記リフトカムが前記作動スライダーを変位させ得る回動角度範囲を、前記リフトカムの回動可能角度範囲全体の一部に限定したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の開閉装置は、前記シャフト上に、前記旋回アームの吸込み機構を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の開閉装置は、前記吸込み機構が、前記シャフト上に回動不能なように装着された第1カムと、前記第1カムのカム面に作用するカム面を有し、前記旋回アームと共に回動し得るよう前記シャフト上に装着された第2カムと、前記シャフト上に装着され、前記第1カムと第2カムのカム面を互いに圧接させる弾性手段と、から構成されたことを特徴とする。しかしながら、本発明の開閉装置に設けられる吸込み機構は、これに限定されるものではない。
【0012】
請求項6に記載の開閉装置は、前記シャフト上に、前記旋回アームのチルト機構を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の開閉装置は、前記チルト機構が、前記シャフト上に回転不能なように装着されたフリクションプレートと、前記旋回アームの旋回動作と共に回転可能なように前記シャフトに挿通され、前記フリクションプレートに圧接される部材と、から構成されたことを特徴とする。しかしながら、本発明の開閉装置に設けられるチルト機構は、これに限定されるものではない。
【0014】
請求項8に記載の電子機器は、前記請求項1ないし6のいずれか1項に記載の開閉装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する本発明に係る開閉装置であると、使用者が電子機器のディスプレイ装置(第2の筐体)を開成方向に動かすと、開閉装置のシャフト上に回動可能に装着された旋回アーム、リフトカムが回動し、そのリフトカムの回動角度に応じて作動スライダーがリフトピンをリフトブラケットの長孔内でスライドさせる。その際、リフトピンの移動軌跡はリンクアームによって規制されているため、リフトブラケットはリフトピンの移動に伴い、第1旋回軸を中心に旋回し、これにより、リフトブラケットに固定されたシャフトが上側及び手前側へ向けて平行移動する。そのため、シャフトを介して旋回アームに取り付けられたディスプレイ装置(第2の筐体)も上側及び手前側へ平行移動し、これによって、第1の筐体と第2の筐体とがその連結部分において干渉することがなくなる。
そのため、当該連結部分における第1又は第2の筐体の角部を大きくしなくても開閉が可能となり、これによって、第2の筐体であるディスプレイ画面の小型化やデザインの自由度が向上する。
また、開閉装置のシャフトが手前側に持ち上がって重心位置が手前に移動することで、ノート型パソコン等が後方に倒れにくくなり、ディスプレイ画面等の重量が重くなっても、設置時の安定性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る開閉装置を用いた電子機器の閉成状態及び開成状態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る開閉装置を用いた電子機器における開閉装置の取付け状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る開閉装置の閉成状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る開閉装置の開成状態の一段階を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る開閉装置の分解斜視図である。
【図6】本発明に係る開閉装置の閉成状態を示す図3中のT1−T1線に沿った断面図である。
【図7】本発明に係る開閉装置の開閉過程の一段階を示す断面図である。
【図8】本発明に係る開閉装置の開閉過程のもう一つの段階を示す図4中のT2−T2線に沿った断面図である。
【図9】本発明に係る開閉装置の最大開成状態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る開閉装置のリフトブラケットを示す斜視図である。
【図11】本発明に係る開閉装置のリフトカムについて、(a)はその一方の側から見た斜視図、(b)は他方の側から見た斜視図である。
【図12】本発明に係る開閉装置の作動スライダーを示す斜視図である。
【図13】本発明に係る開閉装置の吸込み機構の第1及び第2カムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る開閉装置の一実施例を図面に基づいて説明する。以下の説明では、本発明に係る開閉装置を取り付ける電子機器としてノート型パソコンを例に挙げて説明するが、本発明に係る開閉装置を取付け可能な電子機器としては、ノート型パソコンに限らず、前記の如く、電子辞書、PDA、カーナビゲーション装置、その他の電子機器が含まれるものである。
【0018】
図1及び図2は、本発明に係る開閉装置3を用いたノート型パソコンAを示し、図2では、そのA1及びA2の円形で囲った部分に本発明の開閉装置3が設置された状態を示している。
このノート型パソコンAは、機器本体を構成するところの上面にキーボード部を設けた第1の筐体1と、ディスプレイ装置を設けた第2の筐体2とを有し、本発明に係る開閉装置3は、前記第1の筐体1と第2の筐体2を開閉可能に支持する開閉用ヒンジとして用いられている。
この例の場合、図2に示す如く、ノート型パソコンAの第1の筐体1のヒンジ取付部11の内部に、開閉装置3の固定ブラケット31を固定し、また、前記第2の筐体22のヒンジ取付部21に開閉装置3の旋回アーム38を固定することにより、ノート型パソコンAの第1の筐体1と第2の筐体2とを互いに開閉可能なように連結してある。
本発明に係る開閉装置3においては、図1(a)に示す閉成状態から、第2の筐体2を開き起こして図1(b)に示す開成状態にすると、開閉装置3のシャフト37の位置が、図1(a)に示した位置よりも上側及び手前側に移動するようになっている。
本発明に係る開閉装置3を用いたノート型パソコンAの場合、第2の筐体2の最大開成角度αは、第1及び第2の筐体の重量比やサイズによっても異なるが、例えばα=135°程度まで開成可能であり、従来の開閉装置を用いた場合よりも広角度に開成可能となる。
【0019】
以下、本発明に係る開閉装置3の具体的構成について説明する。
本発明に係る開閉装置3は、図3〜図9に示す如く、固定ブラケット31と、互いに平行な第1及び第2旋回軸32,33と、リフトブラケット34と、リフトピン35と、リンクアーム36と、シャフト37と、旋回アーム38と、リフトカム39と、作動スライダー40と、付勢機構41とを備え、ノート型パソコン等の前記第2の筐体2に固定した前記旋回アーム38が、シャフト37を中心に旋回可能に保持されると共に、リフトブラケット34が前記第1旋回軸32を中心に旋回可能に保持されるようになっている。
【0020】
前記固定ブラケット31は、その取付け孔31a、31bを利用して固定ネジ56a、56bによって前記第1の筐体1の凹部11内に固定される(図2参照)。
また、旋回アーム38は、その取付け孔382d、382e等を利用して固定ネジ57a、57bによって前記第2の筐体2の側壁21に固定される。
前記固定ブラケット31には、互いに平行な第1旋回軸32と第2旋回軸33とが取り付けられ、前記第1旋回軸32には、リフトブラケット34が旋回可能に軸支され、前記第2旋回軸33には、リンクアーム36の一端が旋回可能に軸支されるようになっている。
即ち、前記第1旋回軸32は、図3〜6に示すように、前記固定ブラケット31の軸孔31c及び31d、リフトブラケット34の軸支孔34g及び34h、スプリングホルダー411の軸支孔411aに挿通され、その先端はワッシャ54を介して固定ブラケット31にかしめ付け又はネジ止めされる。
また、前記第2旋回軸33は、図3〜6に示すように、前記固定ブラケット31の軸孔31e及び31f、リンクアーム36の軸支孔36c及び36dに挿通され、その先端はワッシャ55を介して固定ブラケット31にかしめ付け又はネジ止めされる。
【0021】
また、前記リフトブラケット34は、図5及び図10に示す如く、側面板34a、34b、背面板34c、突片34d、囲い片34e、34fにより形成され、その側面板34a、34bには、軸支孔34g、34h、長孔34i、34j、シャフト挿通孔34k、34l、切欠き34mが形成されている。
【0022】
前記リフトブラケット34の前記長孔34i、34jには、この長孔内でその長手方向にスライド可能なようにリフトピン35が設けられ、このリフトピン35には、前記リンクアーム36のもう一方の端部と、後述するスプリングスライダー412とが、いずれも回動可能なように保持されるようになっている。
即ち、リフトピン35は、図3〜9に示すように、リフトブラケット34の長孔34i及び34j、リンクアーム36の軸支孔36e及び36f、スプリングスライダー412の軸支孔412aに挿通され、その先端にはワッシャ53がネジ止め等により固着され、これにより、リフトピン35はリフトブラケット34の長孔34i及び34jに沿ってスライド可能なように保持される。スプリングスライダー412の外側面とリフトブラケット34の内側面の間には、ワッシャ51、52が、リフトピン35が挿通された状態で挿入される。
【0023】
また、前記リフトブラケット34には、前記第1及び第2旋回軸32,33と平行となるようにシャフト37が固定される。即ち、リフトブラケット34の側面板34aに設けた円形のシャフト挿通孔34kには、シャフト37の円筒部37aが挿通され、側面板34bに設けた略楕円形のシャフト挿通孔34lには、シャフト37の一端に形成した第1変形軸部37bが挿通され、この第1変形軸部37bの先端は前記略楕円形のシャフト挿通孔34lの周囲にかしめ付けられることにより、シャフト37がリフトブラケット34に回転不能なように固定される。
【0024】
前記シャフト37上には、旋回アーム38が旋回可能に装着される。即ち、旋回アーム38は、第1アームプレート381と第2アームプレート382とから成る2枚のプレートを、それらの連結ネジ孔381b、382bにねじ込んだ連結ネジ383で連結して成り、その略楕円形状のシャフト挿通孔381b、382bを、スペーサー48の第1変形軸部48aに嵌め合わせると共に、前記スペーサー48はシャフト37の円柱部37a上に旋回アーム38と共に回動可能なように装着される。
旋回アーム38は、前記の如く、その取付け孔381d及び382dに挿通した固定ネジ57aと、取付け孔381e及び382eに挿通したもう1本の固定ネジ57bとによって、前記第2の筐体2に固定される(図2参照)。
【0025】
前記シャフト37上には、リフトカム39が回動可能に装着され、このリフトカム39は、前記第2の筐体2の開閉操作に伴う前記旋回アーム38の旋回動作と共に回動せしめられるようになっている。
即ち、リフトカム39は、前記リフトブラケット34の側面板34aと34bとの間に配置され、その中心孔39bに前記シャフト37の円柱部37aが挿通され、シャフト37上で回動可能なように保持される。このリフトカム39の、前記リフトブラケット34の側面板34aに対向する面には略楕円形状の凹部39cが形成され(図11参照)、この凹部39cに前記スペーサー48の第2変形軸部48bが嵌め入れられることによって、リフトカム39はスペーサー48と共に、従って、前記旋回アーム38の旋回動作と共に、シャフト37上で回動せしめられる。
【0026】
リフトカム39自体の形状は、図5〜図9、特に図11に詳細に示すように、円柱面39a、中心孔39b、略楕円形状の凹部39c、平坦面39d、ガイド溝39e、ストッパ端面39f、環状凸条39gが形成され、これらのうち、前記円柱面39aと平坦面39dとがカム面として機能し、後述の作動スライダー40と接触し、前記旋回アーム38の旋回動作に応じて作動スライダー40を変位させるものである。
リフトカム39のガイド溝39eは、リフトカム39の回動時に、前記リフトブラケット34の背面板34cの頂部に形成した突片34dがガイド溝39e内に進入して、リフトカム39の回動動作を安定的にガイドする機能を有するものである。また、ガイド溝39eの終端に設けたストッパ端面39fは、リフトブラケット34の前記突片34dの頂面と当接することにより、リフトカム39の回動範囲を規定する役割を果たす。
【0027】
作動スライダー40は、前記リフトブラケット34の内部、即ち、リフトブラケット34の前記側面板34a、34bと背面板34cと囲い片34e、34fとに囲繞された領域内に収容され、そのカム接触面40aが前記リフトカム39の前記カム面と接触し、リフトカム39の回動に応じてリフトブラケット34の内部で変位するようになっている。作動スライダー40の前記カム接触面40aと反対側の作動斜面40bは、作動スライダー40の変位動作により、後述する付勢機構41の弾性力に抗して後述のスプリングスライダー412を介してリフトピン35を前記リフトブラケット34の前記長孔内でスライドさせる。
【0028】
このようにして、リフトピン35が前記リフトブラケット34の前記長孔内でスライドすると、リフトピン35と前記第2旋回軸33との距離はリンクアーム36によって一定に保たれるよう規制されているため、後で図6、図7を参照して説明するように、リフトピン35は上方及び前方(図6、図7において上方及び左方)へ移動し、これによってリフトブラケット34も前記第1旋回軸32を中心に図6、図7において反時計方向に旋回して、シャフト37が図6、図7において上方及び左方へ平行移動するものである。
この場合のシャフト37の上方及び左方への移動量は、図7中に示す移動前のシャフト37(想像線で示す)の位置から移動後のシャフト37(ハッチング入り実線で示す)までの上方への移動量vと左方への移動量wとして表すことができる。通常のノート型パソコンの場合、例えばv=2.0mm、w=3.7mm程度に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0029】
シャフト37が、このように上方及び左方(使用者の手前側)へ平行移動することにより、当該シャフト37を介して旋回アーム38に取り付けられた前記第2の筐体(ディスプレイ装置)も上側及び手前側へ平行移動し、これによって、第1の筐体1と第2の筐体2とがその連結部分において干渉することがなくなる。従って、当該連結部分における第1又は第2の筐体の角部を大きくしなくても開閉が可能となり、これによって、第2の筐体であるディスプレイ画面の小型化やデザインの自由度が向上する。また、開閉装置のシャフトが手前側に持ち上がって重心位置が手前に移動することで、ノート型パソコン等が後方に倒れにくくなり、ディスプレイ画面等の重量が重くなっても、設置時の安定性を確保できる。
【0030】
前記開閉装置3には、前記リフトピン35、前記作動スライダー40及び前記リフトカム39を介して、前記旋回アーム38を閉成状態へもたらす方向の力を生じさせる付勢機構41が設けられ、この付勢機構41の弾性作用下で作動スライダー40の変位動作やリフトブラケット34の旋回動作等が円滑に実現されるよう構成される。
当該付勢機構41の好適な一例としては、図5〜図9に示す如く、前記第1旋回軸32に旋回可能に取り付けられるスプリングホルダー411と、前記リフトピン35に取り付けられたスプリングスライダー412と、前記スプリングホルダー411と前記スプリングスライダー412との間に作用するコンプレッションスプリング413とから構成されたものが挙げられる。
旋回アーム38を、図6に示す閉成状態から図7に示す位置まで開くと、前記の如く、リフトカム39の回動に伴う作動スライダー40の変位に基づき、リフトピン35が前記長孔34i内でスライドし、コンプレッションスプリング413を押し縮め、コンプレッションスプリング413に応力を蓄積する。旋回アーム38を、閉成状態に復帰させるときは、リフトピン35が前記長孔34i内でこれとは逆方向にスライドし、コンプレッションスプリング413の復原力で閉成操作が円滑に行われる。
【0031】
尚、通常は、図示した実施例の如く、前記リフトカム39が前記作動スライダー40を変位させ得る回動角度範囲は、前記リフトカム39の回動可能角度範囲全体の一部に限定するようにする。
即ち、リフトカム39の回動可能角度範囲は、図示した実施例の場合、例えば最大135°までに設定されるが、リフトカム39が前記作動スライダー40を変位させ得る回動角度範囲は、前記リフトブラケット34に対して例えば45°程度までに設定されている。即ち、図6に示すリフトカム39の完全な閉成状態から、リフトカム39を開成方向へ回動させ、図7に示すように、前記リフトブラケット34に対して略45°回動した位置まで達するまでは、リフトカム39の円柱面39dと平坦面39dとが交差する稜線部39hが作動スライダー40を押し下げるように作用して、リフトブラケット34を前記の如く第1旋回軸32を中心に反時計方向に旋回させるが、それ以降はリフトカム39を開成方向へいくら回動させても、作動スライダー40がそれ以上変位することはなく、リフトブラケット34も、これに固定したシャフト37も、図7に示した位置から変化することはないようになっている(図8、図9参照)。
【0032】
このような作動を実現させるために、図示した実施例においては、リフトカム39の平坦面39dの幅を、その中心角β(図7参照)=90°程度となるように設定し、従って、リフトカム39の中心軸から平坦面39dへ降ろした垂線と平坦面39dの一方の稜線部39hとのなす角度γが、γ=β/2=45°程度(図7参照)となるように構成されている。
このように構成することにより、図6に示すようなリフトカム39の完全な閉成状態、即ち、リフトカム39の平坦面39dが作動スライダー40のカム接触面40aと密着した完全な閉成状態から、リフトカム39を開成方向へ徐々に回動させると、図7に示す位置(リフトカム39がリフトブラケット34に対して略45°回動した位置)に達するまでは、リフトカム39の前記稜線部39hによって作動スライダー40が次第に押し下げられ、これに伴って、リフトブラケット34が前記の如く第1旋回軸32を中心に反時計方向に旋回せしめられ、シャフト37が上方及び左方へ次第に平行移動せしめられる。このとき旋回アーム38が水平面(電子機器の第1の筐体1の主平面)に対してなす角度αは、図示した実施例の場合、略20°となる。
【0033】
その後さらに、リフトカム39を開成方向へ回動させると、図8に示すように、リフトカム39の前記稜線部39hは、作動スライダー40のカム接触面40aからは離れ、リフトカム39の円柱面39a(ガイド溝eの両側の円柱面)が作動スライダー40のカム接触面40aと接触するようになる。このとき、リフトカム39の中心軸から円柱面39aの表面までの距離は、リフトカム39の半径に等しく、変化することがないから、図7の状態(リフトカム39がリフトブラケット34に対して略45°回動した位置)から図8を経て図9の状態に至るまでは、リフトカム39を開成方向にいくら回動させても、作動スライダー40が変位することはなく、従って、リフトブラケット34やシャフト37も一定位置に保持される。
図8は、旋回アーム38が水平方向に対してα=90°となる位置まで開かれた状態を示し、図9はα=135°となる最大開成位置まで開かれた状態を示している。
図9に示す如く、旋回アーム38が最大開成位置に達すると、リフトカム39のストッパ端面39fがリフトブラケット34の背面板に設けた突片34dの頂部に突き当たり、旋回アーム38のそれ以上の開成操作が阻止されるようになっている。
【0034】
前記第2の筐体(ディスプレイ装置)を閉じるときには、上記とは逆の作動が実行される。即ち、図9に示す状態から図7に示す状態に至るまでは、第2の筐体を閉じる方向に動かしても、シャフト37は同じ位置(図9、8、7に示す位置)に保たれる。図7に示した状態から更に閉じて行くと、作動スライダー40を押し下げていたリフトカム39の稜線部39hがリフトブラケット34の背面板34cの側へ回転移動し、付勢機構41の弾性力により作動スライダー40が次第に持ち上がって、リフトブラケット34の長孔34i、34j内のリフトピン35も原位置に復帰し、旋回アーム38は図6に示すような閉成状態に復帰する。
【0035】
本発明に係る開閉装置3の図示した実施例においては、前記シャフト37上に、前記旋回アーム38の吸込み機構42や、前記旋回アーム38のチルト機構が設けられている。
図5に示すように、前記シャフト37には、前記第1変形軸部37bのほか、第2変形軸部37c、第3変形軸部37d、第4変形軸部37eが形成され、第2変形軸部37cにはフリクションプレート47が装着され、第3変形軸部37dには第1カム43及び第2カム44が装着され、第4変形軸部37eには8枚の皿バネから成る弾性手段45とワッシャ46とが装着される。シャフト37の第4変形軸部37eの外端は、ワッシャ46の略楕円形状の中心孔46aに挿通された上、ワッシャ46にかしめ付けられる。
皿バネから成る弾性手段45は、その弾性力により、シャフト37上に装着されたすべての部材を、前記リフトブラケット34の側面板34bへ向けて押しやり、各部材同士を圧接させるようになっている。
【0036】
吸込み機構42は、図5に示す如く、シャフト37上の前記第1カム43及び第2カム44と、これらのカムを互いに圧接させる前記弾性手段45とから構成される。第1カム43と第2カム44については、その拡大図が図13に斜視図として示されている。図示した実施例における弾性手段45は、図4に示す如く、8枚の皿バネ451〜458を重ねて、シャフト37の第4変形軸部37e上に装着したものである。皿バネの枚数は8枚に限定されず、また皿バネの代わりにコンプレッションスプリング等の他の弾性手段を用いることも可能である。
図示する如く、第1カム43の中心孔43aは略楕円形状であるため、シャフト37の第3変形軸部37d上において回動不能なように保持される。また、第1カム43が第2カム44と対向するカム面には、2つの凸部43b、43cが形成されている。
他方、第2カム44の中心孔44aは円形であるため、第2カム44はシャフト37の第3変形軸部37d上において回動可能なように保持されるが、この第2カム44には曲がり突片44fが形成され、この曲がり突片44fは、旋回アーム38の第1アームプレート381の第2カム係止孔381cと、第2アームプレート382の第2カム係止孔382cとに挿入され、係止されている。そのため、第2カム44は旋回アーム38と共に回動し得るように構成されている。また、第2カム44が第1カム43と対向するカム面には、2つの凹部44b、44cが形成され、これらの凹部は前記第1カム43のカム面の2つの凸部43b、43cと対応する形状に形成されている。尚、前記第2の筐体2(旋回アーム38)が図1(a)及び図6に示すような完全な閉成状態にあるときには、前記第1カム43のカム面の2つの凸部43b、43cと、第2カム44のカム面の2つの凹部44b、44cとは、互いに嵌まり合ったロック状態となっている。
そこで、前記第2の筐体2(旋回アーム38)を、図6の閉成状態から次第に開いて行くと、前記第1カム43のカム面の2つの凸部43b、43cは、弾性手段45の弾性力に抗して第2カム44のカム面の2つの凹部44b、44cから脱出し、凸部43b、43cの頂面は第2カム44の凹部44b、44c以外の平坦面44d、44eに圧接した状態で、平坦面44d、44e上を摺動する。
他方、前記第2の筐体2(旋回アーム38)を、図7〜図9に示すような開成状態から次第に閉じて行くと、前記凸部43b、43cの端部の一方の傾斜面と、前記凹部44b、44cの端部の一方の傾斜面とが或る程度以上重なった時点で、弾性手段45の弾性力により両傾斜面同士が摺動し、凸部43b、43cが凹部44b、44c内に自動的に嵌まり込み、いわゆる吸込み動作が発生する。そのため、前記第2の筐体2(旋回アーム38)がその閉成位置に近づくと、前記第1カム43、第2カム44及び弾性手段45によって、前記第2の筐体2の自動的な吸込み動作が行われて、自動的に完全な閉成状態とロック状態が実現される。
【0037】
本発明に係る開閉装置3の図示した実施例におけるチルト機構は、シャフト37上に回転不能なように装着された前記フリクションプレート47,49と、前記旋回アーム38の旋回動作と共に回転可能なように前記シャフト37上に挿通され、前記弾性手段45によって前記フリクションプレート47,49に圧接される部材(前記第2カム44、第1アームプレート381、リフトカム39)と、から構成される。
即ち、フリクションプレート47は、その中心孔47aが略楕円形状に形成され、前記の如く、シャフト37の第2変形軸部37c上に回動不能なように装着される。このフリクションプレート47の一方の面は、前記弾性手段45によって前記第2カム44の非カム面に圧接せしめられ、また、フリクションプレート47のもう一方の面は、第1アームプレート381に圧接せしめられる。この状態で、前記第2の筐体2(旋回アーム38)を開閉すると、フリクションプレート47と、第2カム44及び第1アームプレート381との間の摩擦力によって、前記吸込み位置に近い位置以外では、前記第2の筐体2(旋回アーム38)は任意の位置で停止可能な状態(フリーストップ状態)となり、いわゆるチルト機能が達成される。
また、もう1つのフリクションプレート49(図5参照)と、その一方の面に圧接せしめられるリフトカム39によっても、チルト機能が達成される。
即ち、前記リフトカム39の前記環状凸条39gには、図5に示す如く、フリクションプレート49が装着される。このフリクションプレート49には曲げ突片49bが形成され、この曲げ突片49bを前記リフトブラケット34の切欠き34mと係止させることにより、フリクションプレート49はリフトブラケット34やシャフト37に対しては回動不可能となる。然しながら、フリクションプレート49の中心孔9aは円形であるため、リフトカム39はフリクションプレート49に対して回動可能であり、その回動時(リフトカム39は、旋回アーム38の回動と共に回動する)には両者間の摩擦により、前記旋回アーム38のチルト機能を発生させる。
【0038】
本発明に係る開閉装置3は上記の如く構成されるものであるが、これまでに詳述した本発明に係る開閉装置の作用効果を要約して示せば、次の通りである。
使用者が電子機器の第2の筐体2を開成方向に動かすと、開閉装置3のシャフト37上に回動可能に装着された旋回アーム38が回動し、旋回アーム38に連結されたスペーサー38を介して、リフトカム39が一緒に回動する。然るときは、リフトカム39のカム面に当接せしめられた作動スライダー40がリフトカムの回動角度に応じてリフトブラケット34の内部で変位し、その変位量に応じて付勢機構41の弾性力に抗してリフトピン35をリフトブラケット34の長孔34i、34j内でスライドさせる。その際、前記長孔34i、34jに挿通された前記リフトピン35の移動軌跡は、第2旋回軸33を中心に旋回するリンクアーム36によって規制されているため(リフトピン35と前記第2旋回軸33との距離がリンクアーム36によって一定に保たれるよう規制されているため)、前記リフトピン35の移動に伴って、リフトブラケット34が第1旋回軸32を中心に旋回し、これにより、リフトブラケット34に固定されたシャフト37が上側及び手前側へ向けて平行移動する。そのため、旋回アーム38を介してシャフト37に取り付けられた第2の筐体2も、その開成操作に伴って上側及び手前側へ平行移動し、これによって、第1の筐体1と第2の筐体2とが干渉することがなくなると共に、第2の筐体2の重心位置も手前側へ移動するため、安定した設置状態が確保できる。
なお、前記リフトカム39のカム面を、例えば円柱面39aと平坦面39dとから構成し、第2の筐体2の閉成状態においては、平坦面39d全体が前記作動スライダー40のカム接触面40aと接触するようにし、開成操作開始後、図7に示すような所定の開成角度(前記平坦面39dとカム接触面40aのなす角が例えば45°)に達するまでは、リフトカム39の前記稜線部39hによって作動スライダー40が次第に押し下げられることにより、前記の如く、リフトブラケット34が旋回してシャフト37が上側及び手前側へ向けて平行移動せしめられるが、それ以降は、同一半径の前記円柱面39aが作動スライダー40のカム接触面40aと接触するようになり、リフトブラケット34及びシャフト37は同一位置(図8、9参照)に保持されるように構成することができる。
前記吸込み機構42は、前記シャフト37上に回動不能なように装着された第1カム43と、前記旋回アーム38と共に回動し得るよう前記シャフト37上に装着された第2カム44と、これらのカムのカム面を互いに圧接させる弾性手段45とから構成され、旋回アーム38がロック位置に近づいたときに、前記第1カム43と第2カム44のカム面の凸部43b,43cと凹部44b,44cが前記弾性手段45の押圧力により自動的に互いに嵌まり合う方向に回動することによって実現される。
また、前記チルト機構は、前記シャフト37上に回転不能なように装着されたフリクションプレート47、49と、前記旋回アーム38の旋回動作と共に回転可能なように前記シャフト37に挿通され、前記フリクションプレートに圧接される部材(前記実施例の場合、第2カム44、第1アームプレート381、リフトカム39)と、から構成され、これらのフリクションプレート47,49とこれに圧接される前記部材44,381,39との間の摩擦力によって、前記旋回アーム38が任意の開閉角度位置において停止状態で保持される(フリーストップ)ことによって実現される。
【0039】
尚、本発明に係る電子機器(例えば、前記ノート型パソコンのほか、電子辞書、PDA、カーナビゲーション装置、その他の小型電子機器を含む。)は、本発明に係る上記の如き開閉装置3を備えてなるものであり、開閉装置3の前記の如き各種利点を生かした電子機器となるものである。
【0040】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、リフトカムや作動スライダーの形状、付勢手段の構造、リフトブラケットやリンクアームの形態、第1及び第2カムの凸部と凹部の形状、弾性手段の形態、皿バネの形状や枚数、等々は、本発明に係る開閉装置の使用目的、使用状況等により適宜設計変更されるものであり、従って、本発明は特許請求の範囲に含まれるすべての変更実施例を包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
上述の如く、本発明は、第2の筐体の開成操作時に、開閉装置のシャフトの位置が上側及び手前側へ向けて平行移動するように構成されるため、第1の筐体と第2の筐体とがその連結部分において干渉することがなく、当該連結部分における第1又は第2の筐体の角部を大きくしなくても開閉が可能となり、両筐体間のクリアランスも確保され、これによって、第2の筐体であるディスプレイ画面の小型化やデザインの自由度が向上すると共に、開閉装置のシャフトが手前側に持ち上がって重心位置が手前に移動することで、ノート型パソコン等が後方に倒れにくくなり、ディスプレイ画面等の重量が重くなっても、設置時の安定性を確保できる、等々の効果も達成し得る開閉装置並びにこの開閉装置を用いた電子機器として広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0042】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
3 開閉装置
31 固定ブラケット
32 第1旋回軸
33 第2旋回軸
34 リフトブラケット
35 リフトピン
36 リンクアーム
37 シャフト
38 旋回アーム
381 第1アームプレート
39 リフトカム
40 作動スライダー
41 付勢機構
411 スプリングホルダー
412 スプリングスライダー
413 コンプレッションスプリング
42 吸込み機構
43 第1カム
44 第2カム
45 弾性手段
47 フリクションプレート
49 フリクションプレート
A 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体を開閉可能に連結する開閉装置であって、
前記第1の筐体に固定される固定ブラケットと、
前記固定ブラケットに設けた互いに平行な第1及び第2旋回軸と、
前記第1旋回軸を中心に旋回可能に軸支されたリフトブラケットと、
前記リフトブラケットに設けた長孔内にスライド可能に設けたリフトピンと、
一端が前記第2旋回軸を中心に旋回可能に軸支されると共に、他端が前記リフトピンに回動可能に装着されたリンクアームと、
前記第1及び第2旋回軸と平行となるよう前記リフトブラケットに固定されたシャフトと、
前記シャフト上に旋回可能に装着され、前記第2の筐体に固定される旋回アームと、
前記シャフト上に回動可能に装着され、前記第2の筐体の開閉操作に伴う前記旋回アームの旋回動作と共に回動するリフトカムと、
前記リフトカムのカム面に接し、前記リフトカムの回動に伴って変位するよう前記リフトブラケット上に保持され、その変位動作により前記リフトピンを前記リフトブラケットの前記長孔内でスライドさせる作動スライダーと、
前記リフトピン、前記作動スライダー及び前記リフトカムを介して、前記旋回アームを閉成状態へもたらす方向の力を生じさせる付勢機構と、
を備えたことを特徴とする、前記の開閉装置。
【請求項2】
前記付勢機構が、前記第1旋回軸に旋回可能に取り付けられたスプリングホルダーと、前記リフトピンに取り付けられたスプリングスライダーと、前記スプリングホルダーと前記スプリングスライダーとの間に作用するコンプレッションスプリングとから構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記リフトカムが前記作動スライダーを変位させ得る回動角度範囲を、前記リフトカムの回動可能角度範囲全体の一部に限定したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記シャフト上に、前記旋回アームの吸込み機構を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記吸込み機構が、前記シャフト上に回動不能なように装着された第1カムと、前記第1カムのカム面に作用するカム面を有し、前記旋回アームと共に回動し得るよう前記シャフト上に装着された第2カムと、前記シャフト上に装着され、前記第1カムと第2カムのカム面を互いに圧接させる弾性手段と、から構成されたことを特徴とする、請求項4に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記シャフト上に、前記旋回アームのチルト機構を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記チルト機構が、前記シャフト上に回転不能なように装着されたフリクションプレートと、前記旋回アームの旋回動作と共に回転可能なように前記シャフトに挿通され、前記フリクションプレートに圧接される部材と、から構成されたことを特徴とする、請求項5に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記請求項1ないし7のいずれか1項に記載の開閉装置を備えたことを特徴とする、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−97552(P2013−97552A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239429(P2011−239429)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】