説明

集合住宅用セキュリティシステム

【課題】来訪者が、来訪先の専用玄関の電子錠を開錠できる集合住宅用セキュリティシステムを提供する。
【解決手段】来訪者8aが集合住宅7を来訪した際、来訪先の住戸に付されている住戸番号を共用玄関機2に入力すると、共用玄関機2から該住戸番号が付された住戸の専用玄関機3へ呼出信号が送信され、専用玄関機3は、専用玄関機3と対になる室内応答機4へ呼出無線信号を無線で通信する。住居者8bが室内応答機4にて応答すると、該室内応答機4と対になる専用玄関機3は、専用玄関機3が設置されている専用玄関7bの電子錠の開錠に用いるワンタイムパスワードを生成し、生成したワンタイムパスワードを共用玄関機2へ送信し、専用玄関機3が生成したワンタイムパスワードは共用玄関機2によりICカード5へ書き込まれ、来訪者8aが来訪先の住戸を来訪した際に、共用玄関機2によってICカード5のワンタイムパスワードが照合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション(apartment)などの集合住宅の住戸の玄関扉に設けられた電子錠を開錠するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション(apartment)などの集合住宅の共用玄関にはセキュリティを高めるために電子錠が設けられ、共用玄関の電子錠を一時的に開錠するための装置として共用玄関機(例えば、集合インターホン)が集合住宅の共用玄関に設置されることが一般的になり、集合住宅の住戸に住む住居者は、暗証番号、電子錠またはICカードにより共用玄関の電子錠を解錠できるようになっている。
【0003】
また、集合住宅の住戸へ来訪者があった際に、訪問先の住居者が遠隔操作により共用玄関の電子錠を解錠できるように、共用玄関機と接続可能な室内応答機(例えば、インターフォン)を集合住宅の住戸内に設置し、来訪者が共用玄関のチャイムを鳴らすと、住居者が室内応答機を使って来訪者を確認した後、室内応答機の開錠ボタンを使って共用玄関の電子錠を一時的に開錠できるようになっている。
【0004】
室内応答機からしか共用玄関の電子錠を開錠できないと、訪問先の住居者は手が離せないときなどに来訪者を確認できないため、特許文献1では、住戸内に設置される室内応答機を携帯端末の形態とし、共用玄関に設置される共用玄関機と公衆電話網で接続できるようにすることで、住戸の住居者の手が離せないときであっても遠隔操作により共用玄関の電子錠を開錠できる発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002―194936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、来訪先の住戸内に来訪者が入室するためには、共用玄関の電子錠を開錠した後に、更に、来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠する必要があるが、上述した背景技術は共用玄関の電子錠を開錠するための技術であって、来訪者が訪問先となる住戸の専用玄関の電子錠を開錠できるようにするための技術ではない。
【0007】
来訪先となる住戸の専用玄関の電子錠を来訪者が開錠できるようにするとセキュリティが無いように思われるかも知れないが、住戸の住居者が育児中の母親や介護を要する高齢者の場合、同居していない家族やホームヘルパなど予め素性が確認できる人が来訪した際に、わざわざ住居者が住戸の専用玄関の電子錠を開錠しなくとも、来訪者が自分で該電子鍵を開錠できるシステムが必要とされる。
【0008】
そこで、本発明は、住戸の住居者が共用玄関の電子錠を開錠した後に、来訪者が、来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠できる集合住宅用セキュリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決する第1の発明は、来訪者の来訪が許可される住戸の住戸番号と識別番号を記憶しているトークンと、集合住宅の共用玄関に設置される共用玄関機と、集合住宅の住戸の専用玄関に設置される専用玄関機と、とから少なくとも構成される集合住宅用セキュリティシステムである。
【0010】
第1の発明に係る前記共用玄関機は、住戸の住居者が共用玄関の電子錠を開錠した後に、来訪者が、来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠することのできるように、来訪者が入力した住戸番号に対応する前記専用玄関機へ呼出信号を送信する呼出手段と、前記専用玄関機から入室許可信号を受信すると、前記共用玄関機のリーダライタにかざされた前記トークンから読み出した住戸番号と識別番号を前記専用玄関機へ送信し、該専用玄関機から受信したデータを前記トークンに書き込んだ後、共用玄関の電子錠に開錠信号を送信する共有玄関解除手段を備える。
【0011】
また、第1の発明に係る前記専用玄関機は、住戸の住居者が共用玄関の電子錠を開錠した後に、来訪者が、来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠することのできるように、前記共用玄関機から呼出信号を受信した後、住居者が入室を許可する操作を行うと入室許可信号を前記共用玄関機へ送信する応答手段と、自機が設けられた住戸の住戸番号と専用玄関の解錠を許可された前記トークンの識別番号を記憶し、前記共用玄関機から住戸番号と識別番号が送信されると、該住戸番号と該識別番号が自機に登録されているか確認し、自機に登録されている場合、所定の手順に従い生成したワンタイムパスワードを該共用玄関機へ送信するデータ生成手段と、前記専用玄関機のリーダライタにかざされた前記トークンから読み取ったワンタイムパスワードと前記データ生成手段が保持しているワンタイムパスワードを照合し、該照合データの照合に成功すると前記専用玄関機が設置されている専用玄関の電子錠に開錠信号を送信する専用玄関開錠手段を備えている。
【0012】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載した集合住宅用セキュリティシステムにおいて、住居へ入室できる日時を限定できるように、前記専用玄関機の前記データ生成手段は、前記共有玄関機へ送信するデータに、この時点の日時を基準として生成した日時データを含ませ、前記専用玄関解錠手段は、前記トークンから読み取ったパスワードの照合に成功し、かつ、この時の日時が、前記トークンから読み取った前記日時データに適合する場合、専用玄関の電子錠に開錠信号を送信することを特徴とする。
【0013】
更に、第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載した集合住宅用セキュリティシステムにおいて、住居者が遠隔操作により応答できるように、前記トークン、前記共用玄関機及び前記専用玄関機に加え、前記専用玄関機と対になる室内応答機とから少なくとも構成し、前記専用玄関機の前記応答手段は、前記共用玄関機から受信した呼出信号を前記室内応答機へ転送し、前記室内応答機から入室許可を示す信号を受信すると入室許可信号を前記共用玄関機へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明によれば、住戸の住居者が共用玄関の電子錠を開錠した後に、来訪者が、来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠できる集合住宅用セキュリティシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】集合住宅用セキュリティシステムを説明する図。
【図2】集合住宅用セキュリティシステムのシステム構成を説明する図。
【図3】ICカードに格納されるトークンデータを説明する図。
【図4】共用玄関機を説明する図。
【図5】専用玄関機を説明する図。
【図6】室内応答機を説明する図。
【図7】共用玄関の電子錠を開錠する際の動作を説明する図。
【図8】専用玄関の電子錠を開錠する際の動作を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここから、本発明に係る集合住宅用セキュリティシステムの好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は,これから説明する実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0017】
図1は、本実施形態に係る集合住宅用セキュリティシステム1を説明する図で、図2は、本実施形態に係る集合住宅用セキュリティシステム1のシステム構成を説明する図である。
【0018】
図1に図示したように、本実施形態に係る集合住宅用セキュリティシステム1は、マンション(apartment)などの集合住宅7内に構築されるシステムで、集合住宅用セキュリティシステム1には、集合住宅7の共用玄関7aに設置される共用玄関機2と、集合住宅7の各住戸の専用玄関7bに設置される専用玄関機3と、住戸に住む住居者8bが所持する携帯端末型の室内応答機4とが含まれ、更に、集合住宅7の住戸に来訪する来訪者8aが所持するトークン(ここでは、非接触型のICカード5)が含まれ、ICカード5と共用玄関機2は近接型の非接触通信にて通信し、共用玄関機2と専用玄関機3は有線にて通信し、専用玄関機3は室内応答機4と無線にて通信するように構成されている。
【0019】
また、図2にはICカード5の発行に利用される管理装置6が含まれ、この管理装置6は集合住宅7の管理室に設置され、各住戸の専用玄関機3と有線にて接続している。
【0020】
本実施形態に係る集合住宅用セキュリティシステム1において、来訪者8aが集合住宅7を来訪した際、来訪先の住戸に付されている住戸番号を共用玄関機2に入力すると、共用玄関機2から該住戸番号が付された住戸の専用玄関機3へ呼出信号が送信され、専用玄関機3は、専用玄関機3と対になる室内応答機4へ呼出無線信号を無線で通信する。
【0021】
住戸内の住居者8bが室内応答機4にて応答すると、該室内応答機4と対になる専用玄関機3は、専用玄関機3が設置されている専用玄関7bの電子錠の開錠に用いるワンタイムパスワードを生成し、生成したワンタイムパスワードを共用玄関機2へ送信し、専用玄関機3が生成したワンタイムパスワードは共用玄関機2によりICカード5へ書き込まれ、来訪者8aが来訪先の住戸を来訪した際に、共用玄関機2によってICカード5に書き込まれたワンタイムパスワードが照合される。
【0022】
また、本実施形態では、住戸に入室できる日時を限定できるように、ワンタイムパスワードに加え、専用玄関機3が設置されている専用玄関7bの電子錠の開錠できる日時を示す日時データを専用玄関機3で生成し、専用玄関機3が生成したワンタイムパスワードと日時データを共用玄関機2によりICカード5に書き込み、来訪者8aが来訪先の住戸を来訪した際に、共用玄関機2によってICカード5書き込まれたワンタイムパスワードと日時データが照合されるようにしている。
【0023】
ここから、本実施形態に係る集合住宅用セキュリティシステム1に含まれる装置等について説明する。まず、来訪者8aが所持するICカード5に格納されるトークンデータについて説明する。
【0024】
ICカード5とは、CPU、RAM、ROM、EEPROM及び近接型の非接触通信に対応したRF回路などを有するICチップが実装されたカードで、来訪者8aに係るユーザが所持する入室を管理するためのトークンデータがICカード5のEEPROMに記憶され、EEPROM内のデータを読み書きするためのコマンドなどがICカード5のROMに格納される。
【0025】
図3は、来訪者8aが所持するICカード5に格納されるトークンデータを説明する図である。本実施形態において、このトークンデータには、静的データとして、ICカード5を識別するための番号である識別番号と、ICカード5を発行した年月日である発行日と、ICカード5を発行した時間である発行時間と、ICカード5を所持する来訪者8aが入室を許可されている住戸の住戸番号が含まれる。
【0026】
図3で図示した静的データは、集合住宅7の管理室に設置された管理装置6によってICカード5に発行され、ICカード5が発行されると、ICカード5に書き込まれた住戸番号に対応する専用玄関機3へ、ICカード5に書き込まれた識別番号が送信され、該専用玄関機3に該識別番号が登録される。
【0027】
また、ICカード5のトークンデータには、動的データとして、来訪毎に更新されるワンタイムパスワードと、来訪者8aの入室を許可する日時を示す日時データとして、来訪者8aの入室を許可する日付である入室許可日と、来訪者8aの入室を許可する時間帯の開始時刻である入室許可開始時刻と、来訪者8aの入室を許可する時間帯の終了時刻である入室許可終了時刻が含まれ、これらの動的データを書き込む装置は共用玄関機2になる。
【0028】
また、ICカード5のトークンデータにはチェックコード(例えば、CRC)が付され、ICカード5に格納されているトークンデータが更新されると、ICカード5は、更新後のトークンデータに基づいてチェックコードを更新する。
【0029】
次に、集合住宅7の共用玄関7aに設置される共用玄関機2について説明する。図4は、集合住宅7の共用玄関7aに設置される共用玄関機2を説明する図で、図4(a)は共用玄関機2のハードウェアを説明する図、図4(b)は共用玄関機2の機能を説明する図である。
【0030】
図4(a)に図示したように、集合住宅7の共用玄関7aに設置される共用玄関機2は、集合住宅7に来訪した来訪者8aが所持するICカード5と近接型の非接触通信により通信するリーダライタ2cと、来訪者8aが住戸番号を入力して来訪先の住戸を呼び出しするテンキー2bと、来訪者8aを音声にてガイドするためのスピーカ2dと、来訪者8aが音声を入力するマイク2eと、来訪者8aを撮影するためのカメラ2fと、CPU、RAM、フラッシュメモリなどが実装されたコンピュータボードで実現される制御回路2aを備え、リーダライタ2c、テンキー2b、カメラ2f、スピーカ2d及びマイク2eは制御回路2aに接続され、更に、共用玄関7aの電子錠と専用玄関機3が制御回路2aに接続されている。
【0031】
図4(b)に図示したように、集合住宅7の共用玄関7aに設置される共用玄関機2は、制御回路2aのロジック回路などにより実現される機能として、来訪者8aがテンキー2bにより入力した住戸番号に対応する前記専用玄関機3へ呼出信号を送信する呼出手段20と、専用玄関機3から入室許可信号を受信すると、共用玄関機2のリーダライタ2cにかざされたICカード5から読み出した住戸番号と識別番号を該専用玄関機3へ送信し、該専用玄関機3から受信したデータをICカード5に書き込んだ後、共用玄関7aの電子錠に開錠信号を送信する共用玄関解除手段21を備えている。
【0032】
次に、集合住宅7の住戸毎に設置される専用玄関機3について説明する。図5は、集合住宅7の住戸毎に設置される専用玄関機3を説明する図で、図5(a)は専用玄関機3のハードウェアを説明する図、図5(b)は専用玄関機3の機能を説明する図である。
【0033】
図5(a)に図示したように、集合住宅7の住戸毎に設置される専用玄関機3は、集合住宅7に来訪した来訪者8aが所持するICカード5と近接型の非接触通信により通信するリーダライタ3cと、来訪者8aが来訪先の住戸を呼び出しする呼出ボタン3bと、来訪者8aを音声にてガイドするためのスピーカ3dと、来訪者8aが音声を入力するマイク3eと、CPU、RAM、フラッシュメモリなどが実装されたコンピュータボードで実現される制御回路3aを備え、この制御回路3aのフラッシュメモリには、専用玄関機3が設置されている住戸に付された住戸番号と、管理装置6から送信された識別番号が登録されている。
【0034】
専用玄関機3の制御回路3aには、リーダライタ3c、呼出ボタン3b、スピーカ3d及びマイク3eに加え、専用玄関機3が設置されている住戸に設置された室内応答機4と無線通信するための無線通信回路3f(例えば、Bluetooth)が接続され、更に、専用玄関7bの電子錠と共用玄関機2が接続されている。
【0035】
図5(b)に図示したように、集合住宅7の専用玄関7bに設置される専用玄関機3は、制御回路3aのロジック回路などにより実現される機能として、共用玄関機2から受信した呼出信号を室内応答機4へ無線で転送し、室内応答機4から入室許可を示す信号を受信すると入室許可信号を共用玄関機2へ送信する応答手段30と、自機が設けられた住戸の住戸番号と専用玄関7bの解錠を許可されたICカード5の識別番号を記憶し、共用玄関機2から住戸番号と識別番号が送信されると、該住戸番号と該識別番号が自機に登録されているか確認し、自機に登録されている場合、所定の手順に従い生成したワンタイムパスワードを該共用玄関機2へ送信するデータ生成手段31と、専用玄関機3のリーダライタ3cにかざされたICカード5から読み取ったワンタイムパスワードと日時データを照合し、該照合データの照合に成功すると専用玄関機3が設置されている専用玄関7bの電子錠に開錠信号を送信する専用玄関開錠手段32を備えている。
【0036】
次に、集合住宅7の住戸毎に設置される専用玄関機3と対になる室内応答機4について説明する。図6は、室内応答機4を説明する図である。
【0037】
集合住宅7の住戸毎に設置される室内応答機4は専用玄関機3の子機となる装置で、図6に図示したように、集合住宅7の住戸毎に設置される室内応答機4は、共用玄関機2から送信された映像等を表示するディスプレイ4bと、来訪者8aが行った呼び出しに応答するための応答ボタン4cと、来訪者8aの入室を許可するときに押す許可ボタン4fと、来訪者8aの入室を不許可するときに押す不許可ボタン4gと、住戸に住む住居者8bを音声にてガイドするためのスピーカ4dと、住戸に住む住居者8bが音声を入力するマイク4eと、CPU、RAM、フラッシュメモリなどが実装されたコンピュータボードで実現される制御回路4aを備え、この制御回路4aには、専用玄関7bの電子錠の開錠ログなどを記憶するための大容量のメモリが実装されている。
【0038】
また、室内応答機4の制御回路には、ディスプレイ4b、応答ボタン4c、許可ボタン4f、不許可ボタン4g、スピーカ4d及びマイク4eに加え、室内応答機4が設置されている住戸に設置された専用玄関機3と無線通信するための無線通信回路4h(例えば、Bluetooth)が接続されている。
【0039】
ここから、図1で図示した集合住宅用セキュリティシステム1の動作について説明する。図7は、共用玄関7aの電子錠を開錠する際の動作を説明する図で、図8は、専用玄関7bの電子錠を開錠する際の動作を説明する図である。
【0040】
まず、図7を参照しながら、共用玄関7aの電子錠を開錠する際の動作について説明する。来訪者8aが共用玄関7aの電子錠を開錠する際、来訪者8aは、共用玄関機2のテンキー2bの数字ボタンにより訪問先となる住戸の住戸番号を入力した後、テンキー2bの呼ボタンを押すことで、来訪先の住戸の住居者8bを呼び出す操作を行うと、共用玄関機2の呼出手段20は、来訪者8aが入力した住戸番号に対応する住戸の専用玄関機3に対して呼出信号を送信する(S1)。
【0041】
専用玄関機3の応答手段30は、共用玄関機2から呼出信号を受信すると、該専用玄関機3と対になる室内応答機4を呼出す無線信号を送信し、室内応答機4は、室内応答機4を呼出す無線信号を専用玄関機3から受信すると、室内応答機4のスピーカ4dから呼出音を発し、住戸の住居者8bが室内応答機4の応答ボタン4cを押すことで該無線信号に応答すると、室内応答機4は、室内応答機4と対になる専用玄関機3へ応答ボタン4cが押されたことを示す信号を送信し、専用玄関機3の応答手段30は応答信号を共用玄関機2へ送信する(S2)。
【0042】
共用玄関機2の呼出手段20は応答信号を受信すると、共用玄関機2と専用玄関機3の通信を確立し(S3)、共用玄関機2のカメラ2fで撮影している来訪者8aの映像が、通信を確立した専用玄関機3と対になる室内応答機4のディスプレイ4bに表示されると共に、共用玄関機2と該室内応答機4間の音声通話が可能になる。
【0043】
来訪者8aの訪問先となる住戸の住居者8bは、室内応答機4のディスプレイ4bに表示されている映像やスピーカ4dから発せられている音声などにより来訪者8aを確認した後、室内応答機4の許可ボタンを押すと、室内応答機4は、室内応答機4と対になる専用玄関機3へ許可ボタン4fが押されたことを示す無線信号を送信し、専用玄関機3は該無線信号を受信すると入室許可信号を共用玄関機2へ送信する(S4)。
【0044】
専用玄関機3から入室許可信号を受信すると、共用玄関機2の共用玄関解除手段21が作動し、共用玄関機2の共用玄関解除手段21は、共用玄関機2のリーダライタ2cにICカード5をかざすことを指示する音声をスピーカ2dから発し、共用玄関機2のリーダライタ2cが検知したICカード5に記憶されているトークンデータを読み取る処理を実行する(S5)。
【0045】
共用玄関機2の共用玄関解除手段21は、共用玄関機2のリーダライタ2cが検知したICカード5からトークンデータを読み取ると、ICカード5から読み取ったトークンデータのチェックコードを確認し(S6)、該トークンデータの内容に誤りがない場合、通信を確立した専用玄関機3に対してICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる識別番号及び住戸番号を送信する(S7)。
【0046】
識別番号及び住戸番号を共用玄関機2から受信すると、専用玄関機3のデータ生成手段31が作動し、専用玄関機3のデータ生成手段31は、共用玄関機2から受信した住戸番号が自機の住戸番号と一致するか確認し(S8)、共用玄関機2から受信した住戸番号が自機の住戸番号であれば、共用玄関機2から受信した識別番号が自機に登録されているか確認し(S9)、共用玄関機2から受信した識別番号が自機に登録されていれば、ワンタイムパスワード及び日時データを生成し、これらのデータを共用玄関機2へ送信する(S10)。
【0047】
なお、共用玄関機2へ送信する日時データの入室許可日は、共用玄関機2から識別番号及び住戸番号を受信した日付になり、該日時データの入室許可開始時刻及び入室許可終了時刻は、共用玄関機2から識別番号及び住戸番号を受信した時刻に基づいて決定される。
【0048】
例えば、共用玄関機2から識別番号及び住戸番号を受信した時刻が15時の場合、入室許可開始時刻を15時とし、入室許可終了時刻は、共用玄関機2から識別番号及び住戸番号を受信した時刻から10分間が経過した15時10分にするとよい。
【0049】
また、使い捨てのパスワードであるワンタイムパスワードを生成する手法としては幾つかあるが、本実施形態において専用玄関機3のデータ生成手段31は、ワンタイムパスワードを生成する際、チャレンジと呼ばれるランダムの文字列を生成し、共用玄関機2から受信した識別番号及び住戸番号、並びに、生成したチャレンジを用い、所定のアルゴリズムに従い所定の長さのワンタイムパスワードを生成し、生成したワンタイムパスワードを入室許可終了時刻が経過するまで保持する。
【0050】
共用玄関機2の共用玄関開錠手段21は、専用玄関機3からデータ(ここでは、ワンタイムパスワードと日時データ)を受信すると、これらのデータをICカード5に書き込む処理を実行して、ICカード5に格納されているトークンデータを更新した後(S11)、共用玄関7aの電子錠に開錠信号を送信して(S12)、この手順を終了する。
【0051】
次に、図8を参照しながら、住戸玄関の玄関扉の電子錠を開錠する際の動作について説明する。 図7の手順に従い住戸玄関の玄関扉の電子錠を開錠した来訪者8aが、来訪先の住戸の玄関扉に設けられた専用玄関機3のリーダライタ3cにICカード5をかざすと、専用玄関機3の専用玄関開錠手段32が作動し、専用玄関機3の専用玄関開錠手段32は、専用玄関機3のリーダライタ3cが検知したICカード5に記憶されているトークンデータを読み取る処理を実行する(S20)。
【0052】
専用玄関機3の専用玄関開錠手段32は、専用玄関機3のリーダライタ3cが検知したICカード5からトークンデータを読み取ると、ICカード5から読み取ったトークンデータのチェックコードを確認し、ICカード5から読み出したトークンデータに間違いがないか確認する(S21)。
【0053】
専用玄関機3は、ICカード5から読み取ったトークンデータのチェックコードを確認すると、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる住戸番号が自機の住戸番号と一致するか確認し(S22)、ICカード5から読み取った住戸番号が自機の住戸番号であれば、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる識別番号が自機に登録されているか確認する(S23)。
【0054】
ICカード5から読み取った識別番号が自機に登録されていれば、専用玄関機3の専用玄関開錠手段32は、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる日時データの入室許可日がこの時の日付と同日であるか確認し(S24)、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる日時データの入室許可日がこの時の日付と同日であれば、次に、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる日時データの入室許可開始時刻と入室許可終了時刻で決まる時間帯にこの時の時刻が含まれるか確認する(S25)。
【0055】
ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれる入室許可開始時刻と入室許可終了時刻で決まる時間帯にこの時の時刻が含まれれば、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれるワンタイムパスワードと専用玄関機3側で保持しているワンタイムパスワードを照合する処理を実行する(S26)。
【0056】
専用玄関機3は、ICカード5から読み取ったトークンデータに含まれるワンタイムパスワードの照合に成功すると、専用玄関機3が設けられている専用玄関7bの電子錠に開錠信号を送信した後(S27)、専用玄関機3と対になる室内応答機4に、ICカード5の識別番号と開錠日時などを含む開錠ログを送信する(S28)。専用玄関7bの開錠ログを受信すると、室内応答機4は、受信した開錠ログをメモリに記憶して(S29)、この手順を終了する。
【0057】
このように本実施形態によれば、住戸の住居者が共用玄関の電子錠を開錠した後に、来訪者が、来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠できる集合住宅用セキュリティシステムを提供できる。また、本実施形態の集合住宅用セキュリティシステム1は、住居者が共用玄関の電子錠を開錠した後に、専用玄関機3はワンタイムパスワードを生成して来訪者が持つICカード5に書き込み、来訪者が来訪先の住戸の専用玄関に設けられた電子錠を開錠するときに、専用玄関機3がICカード5から読み取ったワンタイムパスワードの照合を行うので、セキュリティ性を向上させることができる。室内応答機4は開錠ログを記憶するので、住居者は後から開錠ログを確認することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 集合住宅用セキュリティシステム
2 共用玄関機
20 呼出手段
21 共用玄関開錠手段
3 専用玄関機
30 応答手段
31 データ生成手段
32 専用玄関開錠手段
4 室内応答機
5 トークン(ICカード)
6 管理装置
7 集合住宅
7a 共用玄関
7b 専用玄関
8a 来訪者
8b 住居者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者の来訪が許可される住戸の住戸番号と識別番号を記憶しているトークンと、集合住宅の共用玄関に設置される共用玄関機と、集合住宅の住戸の専用玄関に設置される専用玄関機と、とから少なくとも構成され、
前記共用玄関機は、来訪者が入力した住戸番号に対応する前記専用玄関機へ呼出信号を送信する呼出手段と、前記専用玄関機から入室許可信号を受信すると、前記共用玄関機のリーダライタにかざされた前記トークンから読み出した住戸番号と識別番号を前記専用玄関機へ送信し、該専用玄関機から受信したデータを前記トークンに書き込んだ後、共用玄関の電子錠に開錠信号を送信する共有玄関解除手段を備え、
前記専用玄関機は、前記共用玄関機から呼出信号を受信した後、住居者が入室を許可する操作を行うと入室許可信号を前記共用玄関機へ送信する応答手段と、自機が設けられた住戸の住戸番号と専用玄関の解錠を許可された前記トークンの識別番号を記憶し、前記共用玄関機から住戸番号と識別番号が送信されると、該住戸番号と該識別番号が自機に登録されているか確認し、自機に登録されている場合、所定の手順に従い生成したワンタイムパスワードを該共用玄関機へ送信するデータ生成手段と、前記専用玄関機のリーダライタにかざされた前記トークンから読み取ったワンタイムパスワードと前記データ生成手段が保持しているワンタイムパスワードを照合し、該照合データの照合に成功すると前記専用玄関機が設置されている専用玄関の電子錠に開錠信号を送信する専用玄関開錠手段を備えている、
ことを特徴とする集合住宅用セキュリティシステム。
【請求項2】
前記専用玄関機の前記データ生成手段は、前記共有玄関機へ送信するデータに、この時点の日時を基準として生成した日時データを含ませ、前記専用玄関解錠手段は、前記トークンから読み取ったパスワードの照合に成功し、かつ、この時の日時が、前記トークンから読み取った前記日時データに適合する場合、専用玄関の電子錠に開錠信号を送信することを特徴とする、請求項1に記載した集合住宅用セキュリティシステム。
【請求項3】
前記トークン、前記共用玄関機及び前記専用玄関機に加え、前記専用玄関機と対になる室内応答機とから少なくとも構成し、前記専用玄関機の前記応答手段は、前記共用玄関機から受信した呼出信号を前記室内応答機へ転送し、前記室内応答機から入室許可を示す信号を受信すると入室許可信号を前記共用玄関機へ送信することを特徴とする請求項1または2に記載した集合住宅用セキュリティシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−68026(P2013−68026A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208381(P2011−208381)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】