説明

集積回路の試験装置

【課題】 電力不足を補い、電力を効率よく供給して、試験効率を高めることにある。
【解決手段】 電気的試験装置は、給電路を備える配線基板及び該配線基板の下側に配置されたセラミック基板であって、給電路に電気的に接続された発熱体を内部に備えるセラミック基板を含むプローブカードと、該プローブカードの上側に配置された板状部材及び配線基板を受けるカードホルダから選択される補助部材と、配線基板に配置された第1の接続部であって、給電路に電気的に接続された第1の端子を有する第1の接続部と、補助部材に配置された第2の接続部であって、第1の端子部に電気的に接続された第2の端子を有する第2の接続部と、第1及び第2の端子を介して電力消費部材に電力を供給する電力消費部材用電力源とを含む。第1及び第2の端子は、互いに上下の関係に位置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路の電気的試験をする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハに形成された未切断の集積回路、チップ状に切断された集積回路、チップ状に切断されてパッケージ又はモールドをされた集積回路等の集積回路(すなわち、被検査体)は、プローブカードを用いた試験装置により、仕様書通りの性能を有するか否かの試験をされる。
【0003】
この種の試験に用いるプローブカードは、一般に、複数の信号路すなわち導電路を有するプローブ基板と、該プローブ基板の一方の面に配置されて前記導電路に電気的に接続された複数の接触子とを含む。
【0004】
そのようなプローブ基板としては、ガラス入りエポキシ樹脂で製作された配線基板、セラミックで形成されたセラミック基板、ポリイミド樹脂のような電気絶縁性の樹脂で形成されたフレキシブル多層配線基板、セラミック基板の下面にフレキシブル多層配線基板を配置した併用基板等が用いられている。
【0005】
近年、集積回路を高温度下で試験することが行われている。この場合、集積回路はこれを配置するステージに設けられた発熱体により所定の温度に加熱され、それにより接触子が配置されたプローブ基板もステージ及び集積回路からの熱を受けて加熱される。その結果、集積回路及びプローブ基板が熱膨張する。
【0006】
しかし、集積回路の熱膨張量とプローブ基板の熱膨張量とが異なると、集積回路の電極と接触子の針先との相対的位置関係が変化し、針先が集積回路の電極に押圧されない接触子が存在することを避けることができない。
【0007】
上記のことから、発熱体をプローブ基板内に配置し、この発熱体を発熱させてプローブ基板を加熱し、それによりプローブ基板の温度を調整する試験装置が提案されている(特許文献1)。
【0008】
しかし、発熱体に供給する加熱電力を試験装置の試験信号処理部に備えられているいわゆるテスト電力源からすると、そのようなテスター電力源が、一般に、接触子に供給する試験信号や、バイアス用の電力等の供給に用いられている電力不足を招くことになる。その結果、充分な加熱電力を発熱体に効率よく供給されず、プローブカードを所定の温度に短時間で上昇させることが難しい。
【0009】
例えば、1つのウエーハの試験を終了するたびにステージをプローブカードに対して移動させる試験装置においては、ステージがプローブカードから離間されるたびに、プローブカードが大気温度に晒されて、プローブカードの温度が低下する。
【0010】
また、多数のウエーハを、それぞれが複数のウエーハを含むロットに分けて、1ロットずつ試験する試験装置においては、1つのウエーハの試験を終了するたびのみならず、1ロット分のウエーハの交換のためにステージを移動させるたびに、プローブカードが大気温度に晒される。そのような装置においても、プローブカードが大気温度に晒される間にプローブ基板の温度が大きく低下する。
【0011】
上記のことから、従来の試験装置では、次のウエーハの試験のためにプローブカードを再度所定の温度に上昇させなければならない。しかし、温度低下を招いたプローブカードを所定の温度に再度上昇させるためには、長時間を要し、試験効率が著しく低い。
【0012】
プローブカードにおけるテスト電力源の電力不足は、電力消費部材としての発熱体への加熱電力のみならず、接触子に試験信号用の電力供給路に配置されたリレーやコンデンサのような電子部品(特許文献2)、プローブカードの種類や性能等を記憶したメモリ(特許文献3)、冷却用のファンのような機械器具等、他の電力消費部材を備えたプローブカードにおいても生じる。
【0013】
また、プローブカードにおけるテスト電力源の電力不足は、テスターに備え付けるプローブカード自体を、接触子や電力消費部材の数が少ないプローブカードから、それらの数が多いプローブカードに交換した場合にも、生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、電力不足を補い、電力を効率よく供給して、試験効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、プローブカードが、テストヘッドの下方側に配置されることや、カードホルダに受けられること等に着目して本発明を完成した。
【0016】
本発明に係る電気的試験装置は、配線基板、該配線基板の下側に配置されたプローブ基板、及び前記配線基板又は前記プローブ基板に配置された電力消費部材を含むプローブカードと、該プローブカードの上側に配置された板状部材と、前記配線基板に配置された第1の接続部であって、前記電力消費部材に電気的に接続された第1の端子を有する第1の接続部と、前記板状部材に配置された第2の接続部であって、第1の端子部に電気的に接続された第2の端子を有する第2の接続部と、前記第1及び第2の端子を介して前記電力消費部材に電力を供給する、電力消費部材用電力源とを含む。前記第1及び第2の端子は、互いに上下の関係に位置されている。
【0017】
本発明に係る他の電気的試験装置は、配線基板、該配線基板の下側に配置されたプローブ基板、及び前記配線基板又は前記プローブ基板に配置された電力消費部材とを含むプローブカードと、該プローブカードを受けるカードホルダと、
前記配線基板に配置された第1の接続部であって、前記電力消費部材に電気的に接続された第1の端子を有する第1の接続部と、前記カードホルダに配置された第2の接続部であって、第1の端子部に電気的に接続された第2の端子を有する第2の接続部と、前記第1及び第2の端子を介して前記電力消費部材に電力を供給する、電力消費部材用電力源とを含む。前記第1及び第2の端子は、互いに上下の関係に位置されている。
【0018】
電気的試験装置は、さらに、試験信号を発生する試験信号処理部であって、試験信号用電力源を備える試験信号処理部を含み、前記プローブカードは、さらに、前記セラミック基板の下側に配置された多層配線シートと、被検査体の電極に接触するように前記多層配線シートの下面に配置された複数の接触子とを備え、前記配線基板は、前記試験信号用電力源から前記試験信号を受ける複数の第3の端子を有する第3の接続部を備え、前記第3の端子は、前記配線基板、前記セラミック基板及び前記多層配線シートに設けられた内部配線を介して、前記接触子に電気的に接続されていてもよい。
【0019】
前記配線基板は前記第1の端子に電気的に接続された給電路を有することができる。また、前記第1の接続部は、分離可能に結合された雄型及び雌型のいずれか一方のコネクタを含み、前記第2の接続部は、前記雄型及び前記雌型の他方のコネクタを含むことができる。
【0020】
複数の前記電力消費部材が前記配線基板又は前記プローブ基板に配置されており、前記配線基板は複数の給電路を有し、前記第1の接続部は複数の前記第1の端子を有し、前記第2の接続部は複数の前記第2の端子を有し、各給電路は前記電力消費部材及び前記第1の端子に電気的に接続されていてもよい。
【0021】
前記第1及び第2の端子のいずれか一方はポゴピンを備え、前記第1及び第2の端子の他方は、前記ポゴピンがその一端部において接触する導電性部を備えていてもよい。
【0022】
前記第1及び第2の接続部は、それぞれ、前記導電性部及び前記ポゴピンを備え、前記第1の接続部は、さらに、前記配線基板に支持された電気絶縁体であって、前記ポゴピンを該ポゴピンが該電気絶縁体の内部から該電気絶縁体の上方に突出する状態に支持する電気絶縁体を備え、前記第2の接続部は、さらに、前記板状部材に配置された支持部であって、前記導電性部を支持する支持部と、前記導電性部に電気的に接続された配線路であって、前記支持部から上方に突出する状態に前記支持部又は前記導電性部に結合された配線とを備え、前記電気絶縁体は前記支持部を受け入れる凹所を有することができる。
【0023】
前記プローカードは、さらに、前記配線基板の上に配置された補強部材であって、上下に開放する空間を有する補強部材を含み、前記第1及び第2の接続部は、少なくとも一部を前記空間に受け入れられていてもよい。
【0024】
前記第1及び第2の接続部は、それぞれ、前記導電性部及び前記ポゴピンを備え、前記板状部材は、さらに、該板状部材を上下方向に貫通する配線路であって、前記ポゴピンに電気的に接続された配線路を備え、前記第2の接続部は、さらに、前記板状部材に弾性体を介して配置された配線経路確保部材を備え、前記ポゴピンは、前記配線経路確保部材を上下に貫通して伸びて、前記導電性部及び前記配線路に電気的に接続されていてもよい。
【0025】
前記配線経路確保部材は、前記第1の接続部の上端部を受け入れる凹所を有することができる。
【0026】
前記電力消費部材は、前記セラミック基板の内部に配置された発熱体、前記配線基板に配置された電子部品、前記プローブカードに配置されたメモリ、及び前記プローブカードに配置された機械器具を含むグループから選択された少なくとも1つを含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電力消費部材用電力源を含むから、電力消費部材用電力源の電力を第1及び第2の端子を介して電力消費部材に電力を供給することができる。その結果、テスターの電力不足が解消される。
【0028】
本発明によれば、また、配線基板に配置された第1の接続部の第1の端子と、補助部材に配置された第2の接続部の第2の端子とが、上下の関係に位置されているから、板状部材又はプローブカードの重量が第1及び第2の端子に作用して、第1及び第2の端子が電気的に確実に接続され、電力が電力消費部材に効率よく供給される。
上記の結果、電力消費部材が所定の動作を短時間で実行可能になり、試験効率が高まる。
【0029】
第1及び第2の端子のいずれか一方をポゴピンとし、他方をポゴピンが接触する導電性部とすれば、ポゴピンが内部のばね部材により導電性部に押圧されるから、第1及び第2の端子が電気的により確実に接続される。その結果、加熱電力が発熱体により効率よく供給されて、プローブカードがより短時間で所定の温度に上昇される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】プローブカードを用いた試験装置の一実施例を示す図である。
【図2】図1に示す試験装置で用いるプローブカードの一実施例を示す断面図である。
【図3】図2に示すプローブカードで用いるセラミック基板の一実施例を示す分解斜視図である。
【図4】図1に示す試験装置で用いる補強部材の一実施例を示す平面図である。
【図5】加熱電力用接続装置の第1の実施例を示す断面図である。
【図6】図5に示す加熱電力用接続装置で用いる雌型コネクタの平面図である。
【図7】図5に示す加熱電力用接続装置で用いる雄型コネクタの平面図である。
【図8】加熱電力用接続装置の第2の実施例を示す断面図である。
【図9】図8におけるポゴピン部分の拡大断面図である。
【図10】図8に示す加熱電力用接続装置におけるコネクタを有する底板に発熱体を備えていないプローブカードを組み付けた場合の断面図である。
【図11】加熱電力用接続装置の第3の実施例を示す図であって、配線基板とカードホルダとを上下方向に離間させた状態を示す図である。
【図12】加熱電力用接続装置の第4の実施例を示す図であって、配線基板とカードホルダとを上下方向に離間させた状態を示すである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
[用語について]
【0032】
本発明においては、図1において、上下方向を上下方向といい、左右方向を左右方向といい、紙背方向を前後方向という。しかし、それらの方向は、多数の接触子が配置されたプローブ基板及びそれを用いたプローブカードを試験装置に取り付けた状態におけるプローブ基板及びプローブカードの姿勢に応じて異なる。
【0033】
それゆえに、本発明に係る試験装置は、プローブカードが試験装置に取り付けられた状態において、本発明でいう上下方向が、実際に、上下方向となる状態、上下逆となる状態、斜めの方向となる状態等、いずれの方向となる状態で使用してもよい。
【0034】
[試験装置の実施例]
【0035】
図1を参照するに、試験装置10は、円板状の半導体ウエーハ12を被検査体とし、ウエーハ12に形成された複数の集積回路を一回で又は複数回に分けて検査、すなわち試験する。各集積回路は、パッド電極のような複数の電極(図示せず)を上面に有する。
【0036】
図1及び図2を参照するに、試験装置10は、板状の複数の接触子14を備える電気的接続装置、すなわちプローブカード16と、ウエーハ12が配置される検査ステージ18と、プローブカード16に電気的に接続されるテストヘッド20と、プローブカード16をその外周縁部において受けるカードホルダ22と、検査ステージ18に対するカードホルダ22の高さ又は傾きを制御するカード制御部24と、カードホルダ22に対する検査ステージ18の位置を制御するステージ制御部26と、接触子14に対する試験信号(すなわち、試験のために集積回路に供給する供給信号、供給信号に対する集積回路からの応答信号等の電気信号)の授受を行うべくテストヘッド20や接触子14を制御する試験信号処理部28と、プローブカード16の温度を制御するヒーター制御部30と、加熱電力(加熱電流)を供給する電力源32とを含む。
【0037】
図示の例では、各接触子14は、クランク状の形状を有する板状のプローブを用いている。そのような接触子14は、例えば、特開2005-201844号公報等に記載されている公知のものである。
【0038】
しかし、各接触子14は、タングステン線のような金属細線から製作されたプローブ、フォトリソグラフィー技術と堆積技術とを用いて製作された板状のプローブ、ポリイミドのような電気絶縁シートの一方の面に複数の配線を形成し、それら配線の一部を接触子として用いるプローブ等、従来から公知のものであってもよい。
【0039】
プローブカード16は、平坦な下面を有する補強部材34と、補強部材34の下面に保持された円形平板状の配線基板36と、配線基板36の下面に配置された平板状の電気接続器38と、電気接続器38の下面に配置されたプローブ基板40と、補強部材34の上に配置された円板状のカバー42とを含む。これらの部材34〜42は、複数のボルトにより分離可能に堅固に組み付けられている。
【0040】
補強部材34は、ステンレス板のような金属材料で製作されている。図4に示すように、補強部材34は、内方環状部34aと、外方環状部34bと、両環状部34a,34bを連結する複数の連結部34cと、外方環状部34bから半径方向外方へ延びる複数の延長部34dと、内方環状部34aの内側に一体的に続く中央枠部34eとを有し、それらの部分の間が上下の両方向に開放する空間34fとして作用する形状とすることができる。
【0041】
そのような補強部材34は、例えば、特開2008−145238号公報に記載されている。また例えば、特開2008−145238号公報に記載されているように、補強部材34の上側に補強部材34の熱変形を抑制する環状の熱変形抑制部材を配置し、その熱変形抑制部材の上にカバー42を配置してもよい。
【0042】
配線基板36は、図示の例では、ガラス入りエポキシ樹脂のような電気絶縁樹脂により円板状に製作されており、また接触子14に対する試験信号の受け渡しに用いる複数の導電路すなわち内部配線46と、加熱電力の供給に用いる複数の給電路48とを有している。
【0043】
配線基板36の上面の環状周縁部には、テストヘッド20に接続される多数のコネクタ44が配置されている。各コネクタ44は、内部配線46に電気的に接続された複数の端子(図示せず)を有する。
【0044】
補強部材34と配線基板36とは、補強部材34の下面と配線基板36の上面とを互いに当接させた状態に、複数のねじ部材(図示せず)により同軸的に結合されている。
【0045】
電気接続器38は、例えば、特開2008−145238号公報に記載されている公知のものである。電気接続器38は、電気絶縁性のピンホルダを上下方向に貫通して伸びるポゴピンのような公知の複数の接続ピン50,52を備えており、配線基板36の内部配線46及び給電路48をそれぞれ接続ピン50及び52によりプローブ基板40の、後に説明する導電路72及び給電路70に電気的に接続している。
【0046】
電気接続器38は、ピンホルダの上面が配線基板36の下面に当接された状態に、複数のねじ部材及び適宜な部材(いずれも図示せず)により、ピンホルダにおいて配線基板36の下面に結合されている。
【0047】
さらに、接続ピン50及び52のそれぞれは、その上端及び下端をスプリングにより離間させており、また上端を配線基板36の内部配線46又は給電路48の下端部に続く端子部(図示せず)に押圧されていると共に、下端をプローブ基板40の上面に設けられた他の端子部に押圧されている。
【0048】
プローブ基板40は、図示の例では、ポリイミド樹脂のような電気絶縁性樹脂により形成されたフレキシブル多層シート54を多層のセラミック基板56の下面に設けた併用基板であり、また多層シート54の下面に接触子14を片持ち状に配置している。
【0049】
多層シート54は、複数の内部配線(図示せず)を内部に有すると共に、内部配線に電気的に接続された複数のプローブランド(図示せず)を下面に有する公知の形状及び構造を有しており、またセラミック基板56と一体的に形成されている。
【0050】
各接触子14は、その先端部(針先)を下方に突出させた状態に、半田のような導電性接合材による接合、レーザによる溶接等の手法により、前記したプローブランドに片持ち梁状に装着されている。
【0051】
図3に示すように、セラミック基板56は、複数の発熱層58と複数の導電層60とを備える。図3に示す例では、厚さ方向(図示の例では、上下方向)に間隔をおいた複数層(4層)の発熱層58が設けられており、また厚さ方向に隣り合う発熱層58の間、最上部の発熱層58の上側、及び最下部の発熱層58の下側のそれぞれに複数層(3層)の導電層60が設けられている。
【0052】
各発熱層58は、発熱体62を薄いセラミック層64の一方の面に形成している。各発熱層58の発熱体62は、一筆書き状、同心円状等、適宜な形状を有するパターンの形状を有する。
【0053】
これに対し、各導電層60は、配線パターンのような配線66を薄いセラミック層68の一方の面に形成している。セラミック基板56の各配線66は、多層シート54の内部配線に電気的に接続されており、またその内部配線と共に、接触子14に対する試験信号の受け渡しに利用される。
【0054】
各発熱体62は、発熱層58及び導電層60を厚さ方向に貫通して伸びる一対の給電路70(図2も参照)に電気的に接続されている。発熱体62は、発熱体毎に設けられた一対の給電路70に接続されていてもよい、複数の発熱体62で共通の一対の給電路70に並列的に接続されていてもよい。
【0055】
各配線66は、発熱層58及び導電層60を厚さ方向に貫通して伸びる導電路72(図2参照)に電気的に接続されている。給電路70及び導電路72のそれぞれは、発熱層58及び導電層60に設けられた導電性ビアの結合により形成されている。
【0056】
各導電路72は、対応する導電層60の配線66には電気的に接続されているが、導電層60の給電路70には電気的に接続されていない。このため、各発熱体層68には、導電路72が発熱体62に接触することなく貫通する抜き穴、発熱体62が存在しないパターン不存在領域等の電気絶縁領域(図示せず)が設けられている。
【0057】
上記とは逆に、各給電路70は、対応する発熱層58の発熱体62には電気的に接続されているが、導電層60の配線66には電気的に接続されていない。このため、各導電層68には、給電路70が配線66に接触することなく貫通する抜き穴、配線66が存在しない配線不存在領域等、他の電気絶縁領域(図示せず)が設けられている。
【0058】
導電層60の代わりに、電気的絶縁層であってもよい。この場合、厚さ方向に隣り合う発熱層58の間、最上部の発熱層58の上側、及び最下部の発熱層58の下側のそれぞれに複数の絶縁層を設けてもよいし、単一の絶縁層を設けてもよい。また、厚さ方向に隣り合う発熱層58の間、最上部の発熱層58の上側、及び最下部の発熱層58の下側に設ける上記した電気絶縁領域は、抜き穴である必要はない。
【0059】
しかし、厚さ方向に隣り合う絶縁層の導電路72は、発熱層58の発熱体62に接触することなく、互いに接続されている。このため、各発熱層58は、上記したパターン不存在領域(図示せず)を有する。これにより、導電路72を経る試験信号は、給電路70を経る加熱電力の影響を受けない。
【0060】
上記のようなプローブ基板40は、セラミック基板56の上面が電気接続器38の下面に向けて押圧された状態に、複数のねじ部材及び適宜な部材(いずれも図示せず)により、配線基板36の下面に結合されている。これにより、電気接続器38の接続ピン50及び52の下端は、それぞれ、給電路70及び導電路72の上端に押圧されて、給電路70及び導電路72に電気的に接続されている。
【0061】
再度図1及び図2を参照するに、カードホルダ22は、ステンレスのような金属材料やポリイミドのような樹脂材料等で製作されており、また内向きフランジのように、リング状の周縁部22aと、周縁部22aの下端部から内方へ伸びる上向きの段部22bとを有している。段部22bは、内向きフランジのようにリング状の形状を有しており、また配線基板36の外周縁部の下側を受けている。
【0062】
プローブカード16は、配線基板36の外周縁部が段部22bに受けられて、プローブカード16がテストヘッド20の筐体の下側に位置するように、補強部材34の延長部34d及び配線基板36の外周縁部において、複数のねじ部材(図示せず)により、カードホルダ22の段部22bに取り付けられている。
【0063】
カードホルダ22は、検査ステージ18に対するカードホルダ22の傾きを変更するカード支持機構(図示せず)を介して、試験装置10のフレーム又は筐体に取り付けられている。
【0064】
前記したカード支持機構は、試験に先だって、特に1ロット分の試験又は1つの被検査体の試験に先だって、カード制御部24により制御されて、検査ステージ18に対するカードホルダ22、ひいてはプローブカード16の高さ又は傾きを変更する。これにより、プローブカード16は、接触子14の針先により形成される仮想的な針先面がチャックトップ76に受けられたウエーハ12に対し、所定の高さ位置となるように、位置決められる。
【0065】
上記のようなカード支持機構は、例えば、特開2002−14047号、特開2007−183194号等の公報に記載されている。
【0066】
検査ステージ18は、ウエーハ12を解除可能に真空的に吸着するステージ、すなわちチャックトップ76と、チャックトップ76を、プローブカード16に対し、前後方向、左右方向及び上下方向に三次元的に移動させると共に、上下方向へ伸びるθ軸線の周りに角度的に回転移動させるチャックトップ移動機構78とを備えている。
【0067】
検査ステージ18は、ステージ移動機構(図示せず)によりプローブカード16に対し前後及び左右の方向へ移動される。これにより、検査ステージ18は、ウエーハ12を試験する間は前後及び左右の方向への移動を防止されるが、試験すべき1ロット分のウエーハ12の交換のために、ステージ移動機構により前後及び左右の方向へ移動される。
【0068】
また、検査ステージ18は、1ロット分のウエーハ12の試験の間、1つのウエーハの試験を終了するたびに、試験すべきウエーハ12の交換のために、上記したステージ移動機構により前後及び左右の方向へ移動される。しかし、1ロット分のウエーハ12の試験の間、検査ステージ1を前後及び左右の方向へ移動させることなく、試験すべきウエーハ12を交換するようにしてもよい。
【0069】
上記のようなステージ移動機構を設ける代わりに、チャックトップ移動機構78によるチャックトップ76を前後方向及び左右方向へ移動させる機能を利用してもよい。
【0070】
ウエーハ12の試験に先だって、チャックトップ移動機構78は、ステージ制御部26により制御されて、チャックトップ76を、三次元的に移動させると共に、θ軸線の周りに角度的に回転移動させる。これにより、チャックトップ76に受けられたウエーハ12は、これに設けられた集積回路の電極が接触子14の針先に対向するように、位置決められる。
【0071】
試験すべきウエーハ12の交換時、検査ステージ18は、上記したステージ移動機構により前後及び左右の方向へ移動される前に、ウエーハ12が接触子14に接触しない位置にチャックトップ76がチャックトップ移動機構78により下降された状態に維持される。
【0072】
テストヘッド20は、完成した複数の集積回路を配線基板のような支持基板に配置した複数の回路基板と、これら回路基板を収容するボックスとを備えた既知のものであり、プローブカード16の上方に配置されている。
【0073】
図示の例では、各回路基板の集積回路は、配線80とコネクタ44とを介して、配線基板36の内部配線46に電気的に接続されている。これにより、各回路基板の集積回路は、実際の試験時に、試験信号処理部28により制御されて、ウエーハ12の集積回路に対しプローブカード16を介して試験信号を受け渡す。
【0074】
接触子14と試験信号処理部28との間の試験信号の受け渡しは、コネクタ24を介して試験信号処理部28に直接行ってもよいし、コネクタ24及びテストヘッド20を介して試験信号処理部28に行うようにしてもよい
【0075】
コネクタ44の所定の端子に供給された試験信号は、配線基板36、電気接続器38、セラミック基板56及び多層シート54の内部配線を介して所定の接触子14に供給される。ウエーハ12からの応答信号は、上記の内部配線を介してコネクタ44の他の端子に供給される。
【0076】
試験信号処理部28は、試験信号のための試験信号用電力源(図示せず)を有する。試験信号用電力源は、電力源32から独立している。図示の例では、電力源32は、電力消費部材用電力源として作用する。
【0077】
電力源32は、セラミック基板56に設けられた温度ヒューズ82を介して、給電路70に加熱電力を供給する。図示してはいないが、温度ヒューズ82は、電力源32から給電路70までの加熱用電流の供給路に配置されている。
【0078】
温度ヒューズ82は、一般的な電気的ヒューズと同様に、セラミック基板56の温度が許容値を超えると、断線して、電力源32と給電路70との間の加熱電力の供給路を遮断する。これにより、プローブカード16の安全性が維持される。
【0079】
電力源32は、プローブカード16専用のものとしてもよい。そのようにすれは、上記した試験装置10、特にプローブカード16を既存の試験装置に容易に適用することができる。しかし、テスターの電源回路のようにプローブカード16専用の以外の回路を電力源32として用いてもよい。
【0080】
プローブカード16は、また、プローブ基板40、特にセラミック基板56の上面に配置された温度センサ84及び過熱防止部材86と、プローブ基板40、特に多層シート54の下面に設けられたステージセンサ88とを含む。これらのセンサ84,88及び部材86は、ヒーター制御部34に接続されている。
【0081】
温度センサ84は、プローブカード16、特にプローブ基板56の温度を検出し、プローブ基板56の温度に対応する電気信号をヒーター制御部34に供給する。ヒーター制御部34は、温度センサ84からの信号を基に、所定の加熱電力を出力するように、電力源32を制御する。
【0082】
ヒーター制御部34は、特にプローブ基板56の温度が許容値を超えているとき、電力源32に加熱電力の供給を遮断させる信号を出力する。そのようなヒーター制御部34の機能は、プローブカード16の安全性をさらに高める。
【0083】
過熱防止部材86は、ICリレー、半導体リレー、トランジスタ等の回路遮断部材であり、また加熱電力の供給路に配置されている。ヒーター制御部34は、温度センサ84からの信号を基に、プローブ基板56の温度が許容値を超えているか否かを判定し、超えているとき、過熱防止部材86を作動させて、加熱電力の供給路を遮断させる。
【0084】
過熱防止部材86として、上記のような回路遮断部材を用いる代わりに、バイメタルのような回路遮断部材を用いてもよい。この場合、プローブ基板56の温度が回路遮断部材により定まる許容値を超えると、その回路遮断部材自体が開路して、加熱電力の供給路を遮断する。このときの回路遮断部材が開路したことはヒーター制御部34において確認される。
【0085】
過熱防止部材86が上記いずれであっても、プローブカード16の安全性が維持される。これにより、プローブカード16の安全性は、プローブ基板56の温度が許容値を超えたことにより温度ヒューズ82が開路して、加熱電力の供給路が遮断されることと相まって、2重に高くなる。
【0086】
ヒーター制御部34は、プローブ基板56の温度が許容値を超えているとき、電力源32に加熱電力の供給を遮断させる信号を出力する。そのようなヒーター制御部34の機能は、プローブカード16の安全性をさらに高める。
【0087】
ステージセンサ88は、検査ステージ18、特にチャックトップ76がプローブ基板40の近傍(特に、下方)に位置するか否かの判定に用いる電気信号を発生し、その電気信号をヒーター制御部34に出力する。ステージセンサ88として、プローブ基板40とチャックトップ76との間の電気的容量を検出する容量センサを用いることができる。
【0088】
発熱体62への通電は、チャックトップ76がプローブカード16の下方に存在しないとき、チャックトップ76がプローブカード16の下方に移動されるとき、ウエーハ12に試験信号が供給されていないとき等、未試験の間の任意な期間に行ってもよいし、ウエーハ12に試験信号を供給している実試験の間の任意な期間に行ってもよい。
【0089】
チャックトップ76がプローブカード16の近傍に存在するか否か、集積回路の試験中であるか否か、及びプローブカード16が所定の温度を有するか否かに応じて、発熱体62に供給する加熱電力の量が調整されて、プローブカード16の温度が調整される。その結果、プローブカード16は効果的に加熱される。
【0090】
各発熱層58の発熱体62は、加熱電力が供給されることにより、半径方向における各部位で発熱する。これにより、セラミック基板56、ひいてはプローブ基板40は、半径方向及び上下方向における各部位において加熱されて、所定の温度に上昇される。その結果、プローブ基板40の熱膨張量がウエーハ12上の集積回路の熱膨張量に等しくなる温度にプローブ基板40が加熱されて、試験効率が著しく向上する。
【0091】
[加熱電力用接続装置の第1の実施例]
【0092】
図5から図7を参照するに、第1の実施例は、電力源32からの加熱電力をテストヘッド20の底板94から配線基板36に供給する。第1の実施例においては、加熱電力のために分離可能に結合される雌型及び雄型のコネクタ90及び92を用いる。
【0093】
配線基板36と底板94との間には、空間が形成されて、その空間に複数の圧縮コイルばね95(図5参照)が配置されている。
【0094】
雌型のコネクタ90は、補強部材34の空間34fに位置して配線基板36から立ち上がる状態に、ねじ部材、嵌合等の手段により配線基板36に結合されている。コネクタ90は、それぞれがコネクタ90の端子として作用する複数のポゴピン96を備える。各ポゴピン96は、上下の端部をばね力により互いに離間する方向に付勢する既知のものであり、またポゴピン96は、その下端を給電路48に接触されている。
【0095】
これに対し、雄型のコネクタ92は、棒状の導電性部98(図6参照)を電気絶縁材料製の支持部100に支持部100を上下方向に貫通した状態に支持させ、支持部100を電気絶縁材料製の保護筒102内に保持させている。
【0096】
コネクタ92は、保護筒102の一部が補強部材34の空間34fを下方に伸びて、導電性部98の下面が対応するポゴピン96の上端部に接触する状態に、底板94に複数のねじ部材、接着等の手段により結合されている。
【0097】
導電性部98は、ポゴピン96に対応されており、また対応するポゴピン96の上端が下面に当接するように、ポゴピン96と同じピッチで設けられている。各導電性部98の上端部は、加熱電力用の配線路104の下端部に電気的に接続されている。
【0098】
導電性部98の代わりに、配線路104を支持部100の下端まで延在させて、配線路104の下端部を導電性部としてもよいし、ポゴピン96に対応された導電性の端子を支持部100の下面に設けて、その端子を配線路104に電気的に接続することにより、その端子を導電性部としてもよい。また、保護筒102を省略してもよい。
【0099】
各配線路104は、支持部100から上方に突出する状態に支持部100に結合されており、また図1に示す加熱電力用配線105を介して電力源32に接続されている。加熱電力は、配線路104及び支持部100を介してポゴピン96に供給される。
【0100】
ポゴピン96は配線基板36の側の加熱電力用の接続部すなわち端子として作用し、導電性部98は、底板94の側の加熱電力用の接続部すなわち端子として作用し、底板94は板状部材として作用する。
【0101】
コネクタ90は、また、配線基板36に支持された電気絶縁体106を備える。電気絶縁体106は、上方に開放された凹所108を有する。支持部100及び保護筒102の下部は、凹所108に着脱可能に上方から受け入れられている。
【0102】
図示の例では、各ポゴピン96は、電気絶縁体106内を上下方向に伸びて、上端部が凹所108に突出する状態に電気絶縁体106に支持されており、また下端部を加熱電力用の給電路48に接触されて、接続ピン52及び給電路70(いずれも図2参照)を介して、発熱体62に接続されている。
【0103】
ポゴピン96の代わりに、ピン部材や突起等を用いてもよい。また、コネクタ90を雄型とし、コネクタ92を雌型としてもよい。さらに、コネクタ90を底板94の側に配置し、コネクタ92を配線基板36の側に配置してもよい。後者の場合、支持部100は配線基板36において給電路48に接続され、ポゴピン96は配線路104に電気的に接続される。
【0104】
底板94は、図示の例では、電気絶縁材料量から製作されているが、コネクタ92及び配線路104の周りのみ電気絶縁材料製としてもよい。
【0105】
プローブカード16が底板94に下面に配置されると、加熱電力は、図1に示す電力源32から、配線路104、導電性部98、ポゴピン96、給電路48、接続ピン52及び給電路70を介して、発熱体62に供給可能になる。
【0106】
また、ポゴピン96及び導電性部98は、プローブカード16が底板94に下面に配置された状態において、カバー42に設けられた開口を介して上下に対向されて、ポゴピン96のばね力により互いに押圧されている。これにより、ポゴピン96及び導電性部98は、電気的に確実に接続される。その結果、加熱電力は発熱体62に効率よく供給されて、プローブカード16は短時間で所定の温度に上昇される。
【0107】
上記とは逆に、ポゴピン96及び導電性部98は、それぞれ、コネクタ92及び90に配置してもよい。この場合、コネクタ90及び92を、それぞれ、底板94及び配線基板36に配置してもよい。
【0108】
[加熱電力用接続装置の第2の実施例]
【0109】
図8から図10を参照するに、第2の実施例も、電力源32からの加熱電力をテストヘッド20の底板94から配線基板36の給電路48に供給する。第2の実施例においても、加熱電力のために分離可能に結合される雄型及び雌型のコネクタ110及び112を用いる。
【0110】
配線基板36と底板94との間に、空間が形成されて、その空間に図5に示す複数の圧縮コイルばね95が配置されている。
【0111】
雄型のコネクタ110は、補強部材34の空間34fに位置して配線基板36から立ち上がる状態に、ねじ部材、嵌合等の手段により配線基板36に結合されており、配線基板36の側の加熱電力用接続部として作用する。
【0112】
コネクタ110は、配線基板36の上面に結合された電気絶縁性の主部114と、主部114を上下方向に貫通する複数の導電性部116とを備える。図示の例では、各導電性部116は、導電性のビアであり、またコネクタ110の端子として作用する。
【0113】
雌型のコネクタ112は、底板94の側に配置されており、また底板94の側の加熱電力用接続部として作用する。
【0114】
コネクタ112は、底板94を上下方向に貫通する状態に、底板94に支持された複数の配線路118と、底板94から下方に間隔をおいた配線経路確保部材120と、配線経路確保部材120を上下方向に貫通する状態に配線経路確保部材120に支持された複数のポゴピン122と、配線路118及びポゴピン122を電気的に接続する複数の接続部材124とを備える。
【0115】
各配線路118は、ポゴピン、ピン部材、導電性ビア、それらの組合せ等で形成されており、また下端部を接続部材124の上端部に当接させており、上端部を底板94の上方に突出させている。各配線路118の上端部は、図1に示す加熱電力用配線105を介して電力源32に接続されている。
【0116】
配線経路確保部材120は、電気絶縁材料で製作されており、またコネクタ110の上端部を受け入れるように、下方に開放する凹所126を有する。ポゴピン122は、凹所126の奥底を上下に貫通して伸びて、接続部材124の下端に接触している。
【0117】
配線経路確保部材120は、複数の圧縮コイルばね128を介して、底板94の下側に配置されている。このため、配線経路確保部材120は、コネクタ110の上端部を凹所126に受け入れており、またポゴピン122の下端を導電性部116の上端に押圧している。
【0118】
プローブカード16が底板94に下面に配置された状態において、加熱電力は、図1に示す電力源32から、配線路118、接続部材124、ポゴピン122、導電性部116、給電路48、接続ピン52及び給電路70を介して、発熱体62に供給可能になる。
【0119】
また、プローブカード16が底板94に下面に配置された状態において、導電性部116及びポゴピン122は、カバー42に設けられた開口を介して上下に対向されて、ポゴピン122及び圧縮コイルばね128のばね力により互いに押圧されている。これにより、導電性部116及びポゴピン122は、電気的に確実に接続される。その結果、加熱電力は発熱体62に効率よく供給されて、プローブカード16は短時間で所定の温度に上昇される。
【0120】
上記のようにコネクタ110を備えていないプローブカード16を用いる試験装置の場合、配線経路確保部材120は、圧縮コイルばね128により、カバー42の上面に押圧される。そのような試験装置において、各接続部材124を弾性変形可能の線状部材で形成すれば、図10に示すように、底板94とカバー42との間隔を所定の値に維持するように、配線経路確保部材120が圧縮コイルばね128のばね力に抗して底板42の側に変位される。
【0121】
上記の結果、ポゴピン122は、配線経路確保部材120と共に底板42の側に変位されて、カバー42に押圧されないから、たとえ加熱電力が誤ってポゴピンに供給されても、プローブカード16は加熱電力の影響を受けない。
【0122】
導電性部116及びポゴピン122も、上記とは逆に、それぞれ、コネクタ112及び110に配置してもよい。この場合、コネクタ110及び112を、それぞれ、底板94及び配線基板36に配置してもよい。
【0123】
[加熱電力用接続装置の第3の実施例]
【0124】
図11を参照するに、第3の実施例は、電力源32からの加熱電力をカードホルダ22から配線基板36の給電路48に供給する。
【0125】
第3に実施例においては、それぞれが図2に示す給電路52に接続された複数の導電性部130を配線基板36に設け、それぞれが導電性部130に接続された複数のポゴピン132をカードホルダ22に段部22bを上下方向に貫通する状態に設けている。
【0126】
導電性部130は、導電性の平坦なランドであり、また段部22bに対向する状態に配線基板36の下面に設けられている。
【0127】
これに対し、ポゴピン132は、すでに述べたポゴピンと同様に公知のものであり、また上端部が段部22bの上面より下方に位置されて導電性部130の下側に位置する状態に段部22bに設けられている。各ポゴピン132の下端部は、加熱電力用配線136及び図1に示す加熱電力用配線105を介して電力源32に接続されている。
【0128】
プローブカード16は、配線基板36の外周縁部が段部22bに受けられて、段部22bに取り付けられている。段部22bは、プローブカード16が段部22bに載置された状態において全ての導電性部130を受け入れる凹所134を有する。
【0129】
凹所134は、上方に開放する枠部材138により形成されている。枠部材138は、電気絶縁材料から製作されており、また凹所134が上方に開放するように段部22bに結合されている。この場合、ポゴピン132は、枠部材138をも上下方向に貫通して、上端部を凹所内に突出させている。
【0130】
しかし、段部22bの厚さ寸法とほぼ同じ高さ寸法を有する枠部材138を用い、その枠部材138をこれが段部22bを上下方向に貫通する状態に段部22bに配置してもよい。
【0131】
上記いずれの場合も、枠部材138は、導電性部130を凹所134に受け入れるから、ポゴピン132と共にコネクタの機能を有する。導電性部13は、これが凹所134に受け入れられた状態において、ポゴピン132に上端に接触する。
【0132】
各導電性部130及び各ポゴピン132は、それぞれ、第1及び第2の接続部として作用する。また、第1及び第2の接触部の互いに接触する部位は、それぞれ、第1及び第2の端子として作用する。
【0133】
プローブカード16がカードホルダ22に受けられた状態において、加熱電力は、図1に示す電力源32から、加熱電力用配線136、ポゴピン132、導電性部130、給電路48等を介して、発熱体62に供給可能になる。
【0134】
また、プローブカード16がカードホルダ22に受けられた状態において、導電性部130及びポゴピン132は、上下に対向されて、ポゴピン132のばね力により互いに押圧されている。これにより、導電性部130及びポゴピン132は、電気的に確実に接続される。その結果、加熱電力は発熱体62に効率よく供給されて、プローブカード16は短時間で所定の温度に上昇される。
【0135】
図11に示す実施例においては、ポゴピン132の上端が凹所134内に後退されているから、導電性部130を備えていないプローブカードをカードホルダ22に配置しても、各プローブ132はそのようなプローブカード、特に配線基板に接触しない。
【0136】
導電性部130及びポゴピン132も、上記とは逆に、それぞれ、段部22b及び配線基板36に配置してもよい。また、導電性部130を雄型コネクタとし、枠部材138を雄型コネクタを受け入れる雌型コネクタとしてもよい。後者の場合、雄型及び雌型のコネクタのいずれか一方に、ポゴピン132や他のピンを端子として用い、他方に導電性部を端子として用いてもよい。
【0137】
[加熱電力用接続装置の第4の実施例]
【0138】
図12を参照するに、第4の実施例も、電力源32からの加熱電力をカードホルダ22から配線基板36の給電路48に供給する。第4の実施例においては、加熱電力のために、分離可能に結合される雄型及び雌型のコネクタ140及び142を用いる。
【0139】
雄型のコネクタ140は、配線基板36から立ち下がる状態に配線基板36に結合されており、配線基板36の側の加熱電力用接続部として作用する。コネクタ140は、配線基板36の下面に結合された電気絶縁性の主部144と、主部144を上下方向に貫通して配線基板36の配線路48に接続された複数の導電性部146とを備える。各導電性部146は、コネクタ140の端子として作用する。
【0140】
雌型のコネクタ142は、カードホルダ22の段部22bの側に配置されており、またカードホルダ22の側の加熱電力用接続部として作用する。コネクタ142は、段部22bの上部に結合された電気絶縁性の主部148と、主部148及び段部22bを上下方向に貫通する状態に、主部148及び段部22bに支持された複数の配線路150とを備える。
【0141】
主部148は、コネクタ140の主部144を受け入れるように、上方に開放する凹所152を備える。各配線路150は、ポゴピン、ピン部材、導電性ビア、それらの組合せ等で形成されており、また主部148及び段部22bを上下方向に貫通している。
【0142】
各配線路150の上端部は、導電性部146の下端部に当接させており、したがって端子部として作用する。各配線路150の下端部は、段部22bの下面に露出されて、加熱電力用配線136に接続されている。各加熱電力用配線136は、図1に示す加熱電力用配線105を介して電力源32に接続されている。
【0143】
プローブカード16がカードホルダ22に受けられた状態において、加熱電力は、図1に示す電力源32から、加熱電力用配線136、配線路150、導電性部146、給電路48等を介して、発熱体62に供給される。
【0144】
また、プローブカード16がカードホルダ22に受けられた状態において、導電性部146及び配線路150は、上下に対向されて、互いに接続される。これにより、加熱電力は発熱体62に効率よく供給されて、プローブカード16は短時間で所定の温度に上昇される。
【0145】
図12に示す実施例においても、各配線路150の上端が凹所152内に後退されているから、コネクタ140を備えていないプローブカードをカードホルダ22に配置しても、各配線路150はそのようなプローブカード、特に配線基板に接触しない。
【0146】
コネクタ140及び142も、上記とは逆に、それぞれ、段部22b及び配線基板36に配置してもよい。
【0147】
上記いずれの実施例においても、雄型及び雌型コネクタは、雄型コネクタ自体が雌型コネクタに分離可能に嵌合される。しかし、そられの端子は、雄型コネクタ及び雌型コネクタのいずれか一方の端子が他方の端子に分離可能に嵌合される相互嵌合型のものであってもよいし、両端子が接触される相互接触型のものであってもよい。
【0148】
発熱層58は、かならずしも多層である必要はなく、単層であってもよい。また発熱層58をセラミック基板56以外の基板に設けてもよい。さらに、図示の例のようなパターン形状を有する発熱体62を用いる代わりに、他の形状又は構造を有する発熱体を用いてもよい。
【0149】
本発明は、電力消費部材としての発熱体62の代わりに、配線基板36に配置されたICリレーやコンデンサのような電子部品(特許文献2参照)、プローブカード16の種類や性能に関する情報が格納されてプローブカード16に配置されたメモリ(特許文献3参照)、プローブカード16に配置された冷却用ファンのような機械器具等を電力消費部材とする試験装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
【符号の説明】
【0151】
10 試験装置
12 半導体ウエーハ
14 接触子
16 プローブカード
18 検査ステージ
20 テストヘッド
22 カードホルダ
34 補強部材
36 配線基板
38 電気接続器
40 プローブ基板
42 カバー
44 試験信号用のコネクタ
46 配線基板の試験信号用内部配線
48 配線基板の加熱電力用給電路
50,52 接続ピン
54 多層シート
56 セラミック基板
58 発熱層
60 セラミック基板の試験信号用導電層
62 発熱体
64,68 セラミック層
66 セラミック基板の試験信号用配線
70 セラミック基板の加熱電力用給電路
72 セラミック基板の試験信号用導電路
76 チャックトップ
78 移動機構
80 試験信号用配線
82 ヒューズ
84,86,88 センサ
90,92,110,112 コネクタ
94 底板
96 ポゴピン
98 導電性部
100 支持部
102 保護筒
104 配線路
106 電気絶縁体
108,126 凹所
114 主部
116,130 導電性部
118 配線路
120 配線経路確保部材
122 ポゴピン
124 接続部材
128 圧縮コイルばね
132 ポゴピン
134,152 凹所
136 加熱電力用配線
140,142 コネクタ
144,148 主部
146 導電性部
150 配線路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0152】
【特許文献1】特開平4−359445号公報
【特許文献2】WO2007−141867A1
【特許文献3】特開2007−183193号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(図5〜10の実施例)
配線基板と、該配線基板の下側に配置されたプローブ基板と、前記配線基板又は前記プローブ基板に配置された電力消費部材とを含むプローブカードと、
該プローブカードの上側に配置された板状部材と、
前記配線基板に配置された第1の接続部であって、前記電力消費部材に電気的に接続された第1の端子を有する第1の接続部と、
前記板状部材に配置された第2の接続部であって、第1の端子部に電気的に接続された第2の端子を有する第2の接続部と、
前記第1及び第2の端子を介して前記電力消費部材に電力を供給する、電力消費部材用電力源とを含み、
前記第1及び第2の端子は、互いに上下の関係に位置されている、集積回路の電気的試験装置。
【請求項2】
(図11,12の実施例)
配線基板と、該配線基板の下側に配置されたプローブ基板と、前記配線基板又は前記プローブ基板に配置された電力消費部材とを含むプローブカードと、
該プローブカードを受けるカードホルダと、
前記配線基板に配置された第1の接続部であって、前記電力消費部材に電気的に接続された第1の端子を有する第1の接続部と、
前記カードホルダに配置された第2の接続部であって、第1の端子部に電気的に接続された第2の端子を有する第2の接続部と、
前記第1及び第2の端子を介して前記電力消費部材に電力を供給する、電力消費部材用電力源とを含み、
前記第1及び第2の端子は、互いに上下の関係に位置されている、集積回路の電気的試験装置。
【請求項3】
(図5〜12の実施例)
さらに、試験信号を発生する試験信号処理部であって、試験信号用電力源を備える試験信号処理部を含み、
前記プローブカードは、さらに、前記セラミック基板の下側に配置された多層配線シートと、被検査体の電極に接触するように前記多層配線シートの下面に配置された複数の接触子とを備え、
前記配線基板は、前記試験信号用電力源から前記試験信号を受ける複数の第3の端子を有する第3の接続部を備え、
前記第3の端子は、前記配線基板、前記セラミック基板及び前記多層配線シートに設けられた内部配線を介して、前記接触子に電気的に接続されている、請求項1及び2のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項4】
(図5〜12の実施例)
前記配線基板は前記第1の端子に電気的に接続された給電路を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項5】
(図5〜12の実施例)
前記第1の接続部は、分離可能に結合された雄型及び雌型のいずれか一方のコネクタを含み、前記第2の接続部は、前記雄型及び前記雌型の他方のコネクタを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項6】
(図5〜12の実施例)
複数の前記電力消費部材が前記配線基板又は前記プローブ基板に配置されており、
前記配線基板は複数の給電路を有し、
前記第1の接続部は複数の前記第1の端子を有し、
前記第2の接続部は複数の前記第2の端子を有し、
各給電路は前記電力消費部材及び前記第1の端子に電気的に接続されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項7】
(図5〜12の実施例)
前記第1及び第2の端子のいずれか一方はポゴピンを備え、前記第1及び第2の端子の他方は、前記ポゴピンがその一端部において接触する導電性部を備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項8】
(図5〜7の実施例)
前記第1及び第2の接続部は、それぞれ、前記導電性部及び前記ポゴピンを備え、
前記第1の接続部は、さらに、前記配線基板に支持された電気絶縁体であって、前記ポゴピンを該ポゴピンが該電気絶縁体の内部から該電気絶縁体の上方に突出する状態に支持する電気絶縁体を備え、
前記第2の接続部は、さらに、前記板状部材に配置された支持部であって、前記導電性部を支持する支持部と、前記導電性部に電気的に接続された配線路であって、前記支持部から上方に突出する状態に前記支持部又は前記導電性部に結合された配線路とを備え、
前記電気絶縁体は前記支持部を受け入れる凹所を有する、請求項7に記載の試験装置。
【請求項9】
(図5〜10の実施例)
前記プローカードは、さらに、前記配線基板の上に配置された補強部材であって、上下に開放する空間を有する補強部材を含み、前記第1及び第2の接続部は、少なくとも一部を前記空間に受け入れられている、請求項3から8のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項10】
(図8〜10の実施例)
前記第1及び第2の接続部は、それぞれ、前記導電性部及び前記ポゴピンを備え、
前記板状部材は、さらに、該板状部材を上下方向に貫通する配線路であって、前記ポゴピンに電気的に接続された配線路を備え、
前記第2の接続部は、さらに、前記板状部材に弾性体を介して配置された配線経路確保部材を備え、
前記ポゴピンは、前記配線経路確保部材を上下に貫通して伸びて、前記導電性部及び前記配線路に電気的に接続されている、請求項7に記載の試験装置。
【請求項11】
(図8〜10の実施例)
前記配線経路確保部材は、前記第1の接続部の上端部を受け入れる凹所を有する、請求項10に記載のプローブカード。
【請求項12】
(図5〜12の実施例)
前記電力消費部材は、前記セラミック基板の内部に配置された発熱体、前記配線基板に配置された電子部品、前記プローブカードに配置されたメモリ、及び前記プローブカードに配置された機械器具を含むグループから選択された少なくとも1つを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の試験装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2010−164490(P2010−164490A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8181(P2009−8181)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】