電力変換装置及び接続装置
【課題】電力変換装置における変換効率の向上及びコンパクト化を実現する。
【解決手段】太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットP1,P2と、並列接続用スイッチS1,S2を介して各電池ユニットP1,P2を並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3を介して各電池ユニットP1,P2を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S3のオン/オフを選択することによって、複数の電池ユニットP1,P2を含む全体回路の接続構成を選択する接続装置2と、当該全体回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ3とを備えた電力変換装置1である。
【解決手段】太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットP1,P2と、並列接続用スイッチS1,S2を介して各電池ユニットP1,P2を並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3を介して各電池ユニットP1,P2を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S3のオン/オフを選択することによって、複数の電池ユニットP1,P2を含む全体回路の接続構成を選択する接続装置2と、当該全体回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ3とを備えた電力変換装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルを用いた電力変換装置及び、それに含まれる接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭用その他の小規模発電システムとして、屋根の上に載せた太陽光発電パネルで発電する太陽光発電システムが使用されている。図12は、このような従来の太陽光発電システムにおける電力変換装置の主要部を示す回路図である(同様な回路は、例えば、特許文献1参照。)。図において、当該電力変換装置は、太陽光発電パネル群Pから出力される直流電圧を、昇圧コンバータ5で昇圧してからインバータ3によって交流に変換し、フィルタ4を介して商用交流に系統連系するよう構成されている。
【0003】
太陽光発電パネル群Pは、セルを複数個直列に接続したストリングStを、複数列並列に接続して構成されている。各ストリングStには逆流防止用のダイオードDpが接続されている。例えば連系する系統電圧がAC200Vとすると、日照条件が良い場合に、太陽光発電パネル群PからDC200V前後の電圧を出力できるように、セル数が構成されている。
【0004】
昇圧コンバータ5は、リアクトルL0、スイッチング素子Q0、フリーホイーリングダイオードD0及び平滑用のコンデンサC1を図示のように接続して構成されている。スイッチング素子Q0がオンのときにはリアクトルに電流が流れ、エネルギーが蓄えられる。このエネルギーは、スイッチング素子Q0がオフになる瞬間に放出され、この時、太陽光発電パネル群Pから出力された直流電圧が例えば300V以上にまで昇圧される。スイッチング周波数は例えば数kHz〜数十kHzであり、極めて高速なスイッチングが行われる。このような昇圧コンバータ5を用いることによって、太陽光発電パネル群Pの出力電圧が日照条件の悪化により低下したときでも、昇圧によって補うことができる。
【0005】
昇圧された電圧は、平滑用のコンデンサC1を介して、インバータ3に供給される。インバータ3は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4(ダイオードD1〜D4付き)によって構成され、直流電力から交流電力への変換を行う。また、インバータ3は、入力電圧が多少変動しても常に系統連系に必要な電圧を正確に出力すべく、図示しない制御装置によりPWM制御される。そして、インバータ3から出力される交流電圧は、フィルタ回路4で不要成分が取り除かれた後、交流系統に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−316282号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来の電力変換装置では、昇圧コンバータ5において、リアクトルL0の巻線の銅損及びコアの鉄損が生じる。また、スイッチング素子Q0がオンのときは、そのオン抵抗による損失が生じ、オフのときは、フリーホイーリングダイオードD0によって抵抗損失が生じる。さらに、スイッチングは、数kHz〜数十kHzの高周波で行われるので、スイッチング素子Q0のスイッチング損失が相応に大きい。しかも、フリーホイーリングダイオードD0の電流値が0になった直後の逆回復電流によっても、スイッチング素子Q0のスイッチング損失が増加する。このような損失によって、電力変換の変換効率が損なわれる。
【0008】
一方、損失は熱になるので、放熱板や冷却ファン等、冷却のための部品・部材が必要であり、損失が大きいほど放熱板等も大きくなる。また、リアクトルは、比較的大きな部品である。このように、昇圧コンバータの存在が、小型化の妨げになっている。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、電力変換装置における変換効率の向上及びコンパクト化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の電力変換装置は、太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットと、並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択する接続装置と、前記全体回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータとを備えたものである。
【0010】
上記のように構成された電力変換装置では、電池ユニット同士の接続が固定的なものではなくなり、接続装置によって全体回路の接続構成を選択する(組み替える)ことができる。従って、電池ユニットの出力電圧に応じて、並列接続や直列接続を自在に使いこなすことにより、日照条件が悪くなっても、直列接続によって、インバータの入力として必要な所定値以上の電圧を出力することができる。このような構成には、変換効率を損なう高周波のスイッチング損失が無く、また、リアクトル自体が無い。
【0011】
(2)また、上記(1)の電力変換装置において、接続装置は、全体回路から出力される電圧を検知する電圧検知器を含み、検知した電圧に基づいて接続構成を選択することが好ましい。
この場合、全体回路から出力される電圧に応じて、適時に、かつ、適切に、接続構成を選択することができる。
【0012】
(3)また、上記(2)の電力変換装置において、複数の電池ユニットを全て並列接続した状態での電圧が所定値より低いときは、複数の電池ユニットを直列接続すればよい。
この場合、電池ユニットの電圧が所定値より低いときは直列接続に移行し、電圧が回復すれば並列接続に戻すようにすれば、日照条件が比較的悪くても必要な電圧を供給できることになり、電池ユニットの電圧供給能力を十分に発揮させることができる。
【0013】
(4)また、上記(2)の電力変換装置において、全体回路の出力電圧を平滑化するコンデンサを備え、電圧検知器は、当該コンデンサの両端電圧を検知するようにしてもよい。
この場合、平滑化され、安定した電圧を検知対象として、正確な電圧検知を行うことができる。
【0014】
(5)また、上記(1)の電力変換装置において、複数が4以上の偶数であるとき、接続装置は、複数の電池ユニットの接続構成として、全部並列接続、2以上の並列体を互いに直列接続、全部直列接続のいずれか1つを選択可能であるように構成してもよい。
この場合、全部並列から全部直列へ又はその逆に、一気に移行するのではなく、2以上の並列体を互いに直列接続するという途中の工程を選択することで、段階的に供給電圧を変化させることができる。
【0015】
(6)また、上記(1)の電力変換装置において、2つの電池ユニットを並列接続する回路と、当該2つの電池ユニットを直列接続する回路とは、互いに回路の一部を共用するブリッジ回路を構成するものであってもよい。
この場合、回路の一部を共用することで、回路構成を節約することができる。
【0016】
(7)一方、本発明は、太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットから、各電池ユニットの出力線が引き込まれる接続装置であって、並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を備え、各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択することを特徴とする。
【0017】
上記のように構成された接続装置では、電池ユニット同士の接続が固定的なものではなくなり、全体回路の接続構成を選択する(組み替える)ことができる。従って、電池ユニットの出力電圧に応じて、並列接続や直列接続を自在に使いこなすことにより、日照条件が悪くなっても、直列接続によって必要な所定値以上の電圧を出力することができる。このような構成には、変換効率を損なう高周波のスイッチング損失が無く、また、リアクトル自体が無い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電力変換装置及び接続装置によれば、変換効率の向上及びコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】太陽光発電用として用いられる本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
【図2】2つの電池ユニットの接続の仕方の一例について示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図である。
【図4】第2実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図(動作状態図)である。
【図5】第3実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図である。
【図6】第3実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図(動作状態図)である。
【図7】図6に示すような接続構成の選択をどのように行うかの一例を示すフローチャートである。
【図8】第4実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図である。
【図9】第4実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図(動作状態図)である。
【図10】一般家庭用の、太陽光発電システムの概略構成を示す図である。
【図11】一般家庭用の、太陽光発電システムの概略構成を示す図であり、図10とは別の概略構成を示す図である。
【図12】従来の太陽光発電システムにおける電力変換装置の主要部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1実施形態》
図1は、太陽光発電用として用いられる本発明の第1実施形態に係る電力変換装置1の回路図である。図において、当該電力変換装置1は、太陽光発電パネル群の全体(全数)が2分割されて成る2つの電池ユニットP1,P2から出力される直流電力を、インバータ3によって交流電力に変換し、フィルタ4を介して商用交流に系統連系するよう構成されている。
【0021】
各電池ユニットP1,P2はそれぞれ、セルを複数個直列に接続したストリングStを、複数列並列に接続して構成されている。各ストリングStには逆流防止用のダイオードDpが接続されている。連系する系統電圧がAC200Vであるとすると、日照条件が良い場合に、各電池ユニットP1又はP2からそれぞれ、例えばDC300V以上の電圧を出力できるように、セル数が構成されている。系統電圧がAC200V(実効値)の場合は、波形の最大値としては200×21/2の約283Vであるから、インバータ3に入力する電圧は、それよりさらに高い電圧すなわち、DC300V以上が必要という考え方になる。
【0022】
2つの電池ユニットP1,P2は、並列接続用スイッチS1,S2を介して並列に接続され得る状態にある。また、2つの電池ユニットP1,P2は、直列接続用スイッチS3を介して直列にも接続され得る状態にある。2つの電池ユニットP1,P2を並列接続する回路と、2つの電池ユニットP1,P2を直列接続する回路とは、図示のように、互いに回路の一部を共用するブリッジ回路を構成している。このように回路の一部を共用することで、回路構成を節約することができる。なお、このブリッジ回路は、後述の他の実施形態においても共通の、回路構成上の基本パターンとなっている。
【0023】
各スイッチS1〜S3は、半導体スイッチング素子を用いてもよいし、また、リレーの接点を用いてもよい。半導体スイッチング素子は寿命が長いが、若干のオン抵抗がある。逆に、リレーの接点は、寿命は比較的短いが、オン抵抗は半導体スイッチング素子に比べると非常に少ない。すなわち、一長一短があり、どちらを重視するかによって選択されるべきものである。これは、後述の他の実施形態においても同様である。
【0024】
直列接続用スイッチS3がオフで、並列接続用スイッチS1,S2がオンのときは、2つの電池ユニットP1,P2は互いに並列接続される。直列接続用スイッチS3がオンで、並列接続用スイッチS1,S2がオフのときは、2つの電池ユニットP1,P2は互いに直列接続される。各スイッチS1〜S3のオン/オフ制御は、制御装置6によって行われる。
【0025】
すなわち、2つの電池ユニットP1,P2を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2を介して各電池ユニットP1,P2を並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3を介して各電池ユニットP1,P2を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S3のオン/オフを選択することによって、2つの電池ユニットP1,P2を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。なお、2つの電池ユニットP1,P2を接続するブリッジ回路(スイッチS1〜S3を含む。)の他、スイッチS1〜S3を制御する制御装置6も接続装置2の一部を成すものである。また、後述の電圧検知器7も、スイッチS1〜S3を制御するための情報を取り込むセンサとして、接続装置2の一部となる。
【0026】
2つの電池ユニットP1,P2から出力される電圧は、平滑用のコンデンサC1を介して、インバータ3に供給される。このコンデンサC1の両端電圧は電圧検知器7により検知され、検知した電圧値が制御装置6に入力される。コンデンサC1への入力電圧は直流電圧であるが、日照による変動がある。そこで、コンデンサC1で平滑化され、安定した電圧を検知対象とすることで、正確な電圧検知を行うことができる。
【0027】
インバータ3は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4(ダイオードD1〜D4付き)によって構成され、直流電力から交流電力への変換を行う。また、インバータ3は、入力電圧が多少変動しても常に系統連系に必要な電圧を正確に出力すべく、制御装置6によりPWM制御される。そして、インバータ3から出力される交流電圧は、リアクトルL1とコンデンサC1とによって構成されるフィルタ回路4で不要成分が取り除かれた後、交流系統に供給される。供給される電圧は、コンデンサC2の両端で電圧検知器8により検知され、検知された電圧値は制御装置6に入力される。上記PWM制御は、電圧検知器7が検知するインバータ3への入力電圧と、最終的な出力電圧として電圧検知器8が検知する電圧とに基づいて、入力電圧が変動しても所定の出力電圧を出力するように行われる。
【0028】
次に、2つの電池ユニットP1,P2の接続の仕方の一例について、図2のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、制御装置6が行う処理のうち、2つの電池ユニットP1,P2の接続に関する処理のみを示したものである。
【0029】
図2において、電力変換装置1の運転開始により、まず、制御装置6は、スイッチS1,S2をオン、S3をオフにして、2つの電池ユニットP1,P2を並列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ101)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定し(ステップ102)、所定値以上であれば並列接続を維持する。ここで、所定値とは、例えば300Vである。日照条件の良い日中は、このように並列接続が維持される場合が多くなる。
【0030】
一方、電圧が所定値に達しない場合は、制御装置6は、スイッチS1,S2をオフ、S3をオンにして、2つの電池ユニットP1,P2を直列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ103)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定する(ステップ104)。ここで言う所定値も、ステップ102と同様であり、例えば300Vである。
【0031】
ここで、電圧が所定値以上であれば、ステップ106を経て直列接続が維持される。ステップ106では、電圧が高すぎるか否かの判定が行われる。これは、一旦直列接続した後に、日照が回復して電圧が例えば600V以上になったとすると、これは直列接続する必要が無い(並列接続で足りる)状態であり、電圧が高すぎる状態である。そこで、制御装置6は、一旦直列接続した後に電圧が高すぎる状態になった場合にはステップ101の並列接続に戻る。
【0032】
一方、もし、直列接続しても300Vに満たない場合は系統連系できないので、運転停止となる(ステップ105)。例えば、日没によって光量が激減した場合や、日中でも厚い雲によって非常に暗くなった場合等に、この状態となる。但し、直列接続することによって電圧は1つの電池ユニットの倍になるので、並列接続では運転を維持できないときでも、所定値以上の電圧を出せる場合がある。すなわち、日照条件が比較的悪くても必要な電圧を供給できることになり、電池ユニットP1,P2の電圧供給能力を十分に発揮させることができる。
【0033】
すなわち、上記のように構成された電力変換装置1では、電池ユニットP1,P2同士の接続が固定的なものではなくなり、接続装置2によって全体回路の接続構成を選択する(組み替える)ことができる。従って、電池ユニットP1,P2の出力電圧に応じて、並列接続や直列接続を自在に使いこなすことにより、日照条件が悪くなっても、直列接続によって、インバータの入力として必要な所定値以上の電圧を出力することができる。
【0034】
このような構成には、変換効率を損なう高周波のスイッチング損失が無く、また、リアクトル自体が無いので、電力変換装置1における変換効率の向上及びコンパクト化を実現することができる。リアクトルが無いことは、コスト低減にも寄与する。なお、スイッチS1〜S3の動作回数は極めて少ない。従って、スイッチング損失は、昇圧コンバータのスイッチング素子に比べて極めて少なく、実質的に無視できる程度である。スイッチS1〜S3としてリレーの接点を使用すれば、スイッチング損失は発生せず、オン抵抗も非常に小さいので、特に変換効率の向上には好適である。
【0035】
また、電圧検知器7の検知する電圧に基づいて直列/並列の選択を行うので、2つの電池ユニットP1,P2を含む全体回路から出力される電圧に応じて、適時に、かつ、適切に、接続構成を選択することができる。
【0036】
次に、接続装置2の構成が第1実施形態とは異なる種々の実施形態について説明する。
《第2実施形態》
図3及び図4は、第2実施形態に係る電力変換装置における接続装置2の回路図である。図3において、本例では3つの電池ユニットP1,P2,P3が設けられている。
【0037】
3つの電池ユニットP1,P2,P3は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5を介して並列に接続され得る状態にある。また、3つの電池ユニットP1,P2,P3は、直列接続用スイッチS3,S6を介して直列にも接続され得る状態にある。
直列接続用スイッチS3,S6がオフで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5がオンのときは、3つの電池ユニットP1,P2,P3は互いに並列接続される(図4の(a)参照)。直列接続用スイッチS3,S6がオンで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5がオフのときは、3つの電池ユニットP1,P2,P3は互いに直列接続される(図4の(b)参照)。各スイッチS1〜S6のオン/オフ制御は、制御装置6によって行われる。
【0038】
すなわち、3つの電池ユニットP1,P2,P3を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5を介して各電池ユニットP1,P2,P3を並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3,S6を介して各電池ユニットP1,P2,P3を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S6のオン/オフを選択することによって、3つの電池ユニットP1,P2,P3を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。
【0039】
このような接続装置2によれば、3つの電池ユニットP1,P2,P3を互いに直列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの3倍にまで昇圧することができる。例えば日照条件の悪化により1つの電池ユニットの電圧が100Vに低下したとしても、直列接続により300Vを出力し、系統連系を維持することができる。
なお、接続構成の選択については、第1実施形態における図2のフローチャートと同様に行うことができる。但し、第2実施形態の直列接続は3直列であるので、ステップ106(図2)における電圧は900V以上となる。
【0040】
《第3実施形態》
図5及び図6は、第3実施形態に係る電力変換装置における接続装置2の回路図である。図5において、本例では4つの電池ユニットP1,P2,P3,P4が設けられている。
【0041】
4つの電池ユニットP1〜P4は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8を介して並列に接続され得る状態にある。また、4つの電池ユニットP1〜P4は、直列接続用スイッチS3,S6,S9を介して直列にも接続され得る状態にある。
直列接続用スイッチS3,S6,S9がオフで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8がオンのときは、4つの電池ユニットP1〜P4は互いに並列接続される(図6の(a)参照)。
【0042】
直列接続用スイッチS3,S6,S9のうちS3,S9のみがオフでS6はオン、並列接続用スイッチS1,S2,S7,S8がオンでS4,S5はオフのときは、4つの電池ユニットP1〜P4は2並列の2直列すなわち、直並列接続される(図6の(b)参照)。
また、直列接続用スイッチS3,S6,S9が全てオンで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8が全てオフのときは、4つの電池ユニットP1〜P4は互いに直列接続される(図6の(c)参照)。各スイッチS1〜S9のオン/オフ制御は、制御装置6によって行われる。
【0043】
すなわち、4つの電池ユニットP1〜P4を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8を介して各電池ユニットP1,P2,P3,P4を並列接続する回路、並列接続用スイッチS1,S2,S7,S8及び直列接続用スイッチS6を介して各電池ユニットP1〜P4を直並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3,S6,S9を介して各電池ユニットP1〜P4を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S9のオン/オフを選択することによって、4つの電池ユニットP1〜P4を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。
【0044】
このような接続装置2によれば、4つの電池ユニットP1〜P4を互いに直列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの4倍にまで昇圧することができる。また、図6の(b)に示すように4つの電池ユニットP1〜P4を直並列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの2倍に昇圧することもできる。4倍に昇圧すれば、例えば日照条件の悪化により1つの電池ユニットの電圧が75Vに低下したとしても、直列接続により300Vを出力し、系統連系を維持することができる。
【0045】
図7は、図6に示すような接続構成の選択をどのように行うかの一例を示すフローチャートである。
図7において、電力変換装置1の運転開始により、まず、制御装置6は、スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8をオン、S3,S6,S9をオフにして、4つの電池ユニットP1〜P4を並列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ201)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定し(ステップ202)、所定値以上であれば並列接続を維持する。ここで、所定値とは、例えば300Vである。日照条件の良い日中は、このように並列接続が維持される場合が多くなる。
【0046】
一方、電圧が所定値に達しない場合は、制御装置6は、スイッチS3,S4,S5,S9をオフ、S1,S2,S6,S7,S8をオンにして、4つの電池ユニットP1,P2,P3,P4を直並列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ203)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定する(ステップ204)。ここで言う所定値も、ステップ202と同様であり、例えば300Vである。
【0047】
ここで、電圧が所定値以上であれば、ステップ208を経て直並列接続が維持される。ステップ208では、電圧が高すぎるか否かの判定が行われる。これは、一旦直並列接続した後に、日照が回復して電圧が例えば600V以上になったとすると、これは直並列接続する必要が無い(並列接続で足りる)状態であり、電圧が高すぎる状態である。そこで、制御装置6は、一旦直並列接続した後に電圧が高すぎる状態になった場合にはステップ201の並列接続に戻る。
【0048】
一方、直並列接続しても電圧が所定値に達しない場合は、制御装置6は、スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8をオフ、S3,S6,S9をオンにして、4つの電池ユニットP1〜P4を直列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ205)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定する(ステップ206)。ここで言う所定値も、ステップ202と同様であり、例えば300Vである。
【0049】
ここで、電圧が所定値以上であれば、ステップ209を経て直列接続が維持される。ステップ209では、電圧が高すぎるか否かの判定が行われる。これは、一旦直列接続した後に、日照が回復して電圧が例えば600V以上になったとすると、これは直列接続する必要が無い(直並列接続で足りる)状態であり、電圧が高すぎる状態である。そこで、制御装置6は、一旦直列接続した後に電圧が高すぎる状態になった場合にはステップ203の直並列接続に戻る。
【0050】
一方、もし、直列接続しても300Vに満たない場合は系統連系できないので、運転停止となる(ステップ207)。例えば、日没によって光量が激減した場合や、日中でも厚い雲によって非常に暗くなった場合等に、この状態となる。但し、直並列接続することによって電圧は1つの電池ユニットの2倍になり、また、直列接続することによって電圧は1つの電池ユニットの4倍になるので、並列接続では運転を維持できないときでも、所定値以上の電圧を出せる場合がある。すなわち、日照条件が比較的悪くても必要な電圧を供給できることになり、電池ユニットP1〜P4の電圧供給能力を十分に発揮させることができる。また、全部並列から全部直列へ又はその逆に、一気に移行するのではなく、2並列体を互いに直列接続するという途中の工程を選択することで、段階的に供給電圧を変化させることができる。
【0051】
《第4実施形態》
図8及び図9は、第4実施形態に係る電力変換装置における接続装置2の回路図である。図8において、本例では6つの電池ユニットP1〜P6が設けられている。なお、電池ユニットの個数は、4以上の場合には、直並列配置の便宜から、偶数が好ましい。
【0052】
6つの電池ユニットP1〜P6は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14を介して並列に接続され得る状態にある。また、6つの電池ユニットP1〜P6は、直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15を介して直列にも接続され得る状態にある。
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15が全てオフで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14が全てオンのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は互いに並列接続される。
【0053】
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15のうちS3,S6,S12,S15がオフでS9のみがオン、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S10,S11,S13,S14がオンでS7,S8はオフのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は3並列の2直列で直並列接続される(図9の(a)参照)。
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15のうちS3,S9,S15のみがオフでS6,S12はオン、並列接続用スイッチS1,S2,S7,S8,S13,S14がオンでS4,S5,S10,S11はオフのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は2並列の3直列で直並列接続される(図9の(b)参照)。
【0054】
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15が全てオンで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14が全てオフのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は互いに直列接続される。
【0055】
すなわち、6つの電池ユニットP1〜P6を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14を介して各電池ユニットP1〜P6を並列接続する回路、図9の(a)、(b)に示すように各電池ユニットP1〜P6を直並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15を介して各電池ユニットP1〜P6を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S15のオン/オフを選択することによって、6つの電池ユニットP1〜P6を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。
【0056】
このような接続装置2によれば、6つの電池ユニットP1〜P6を互いに直列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの6倍にまで昇圧することができる。また、図9の(a)、(b)に示すように6つの電池ユニットP1〜P6を2種類に直並列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの2倍又は3倍に昇圧することもできる。6倍に昇圧すれば、例えば日照条件の悪化により1つの電池ユニットの電圧が50Vに低下したとしても、直列接続により300Vを出力し、系統連系を維持することができる。
【0057】
なお、接続構成の選択については、第3実施形態における図7のフローチャートと基本的には同様に行うことができる。但し、第4実施形態では直並列の処理が2種類あるので、その分のステップが同様に増加することになる。また、電圧が高すぎるか否かの判断における電圧は、全並列から全直列までの4段階の接続形態を、1段階下げても所定の電圧(300V)を出力できるか、という観点で設定すればよい。
【0058】
《その他》
図10は、一般家庭用の、太陽光発電システムの概略構成を示す図である。屋根に設置される太陽電池モジュール20は、上述の電池ユニット(太陽光発電パネル群)の集合体である。但し、ユニット内のダイオードDp(図1)は、一般的には、接続箱40内に集約して設けられる。この場合、電池ユニットは接続箱40内で完成することになる。なお、上記各実施形態では、ダイオードDpも含めて電池ユニットとしているが、ダイオードDpは除いて太陽電池のみを電池ユニットであると考えてもよい。
接続箱40は屋外に設置される場合が多い。この接続箱40は、室内に設置されるパワーコンディショナ10と接続されている。
【0059】
パワーコンディショナ10には図1のインバータ3、フィルタ回路4、制御装置6及び電圧検出器7,8が、搭載される。すなわち、上述の電力変換装置1の各部は、電源としての太陽電池モジュール20と、接続箱40と、パワーコンディショナ10とに分散して設けられている。接続装置2は、接続箱40及び/又はパワーコンディショナ10に設けることができる。接続装置2には、各電池ユニットの出力線が引き込まれる。パワーコンディショナ10において生成された所定の交流電圧(電力)は、分電盤30に与えられ、商用交流系統に連系する。
【0060】
図11は、別の概略構成を示す図である。この構成は、図10を接続箱分離型であるとすれば、接続箱一体型である。すなわち、接続箱がパワーコンディショナ10と一体化され、屋外設置(屋内設置も可)されたものである。
【0061】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明は、昇圧コンバータに代わる接続装置2の構成を提案し、電力変換装置1における変換効率の向上及びコンパクト化を実現するものである。しかしながら、あえて、接続装置2とインバータ3との間に昇圧コンバータを使用することも可能である。この場合、直列接続と、昇圧コンバータとの併用によって、大幅に電圧を高めることができるので、従来は運転停止となる非常に弱い日照時でも、系統連系を維持することができるようになる。
【符号の説明】
【0062】
1:電力変換装置
2:接続装置
3:インバータ
7:電圧検出器
C1:コンデンサ
P1〜P6:電池ユニット(太陽光発電パネル群)
S1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14:並列接続用スイッチ
S3,S6,S9,S12,S15:直列接続用スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルを用いた電力変換装置及び、それに含まれる接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭用その他の小規模発電システムとして、屋根の上に載せた太陽光発電パネルで発電する太陽光発電システムが使用されている。図12は、このような従来の太陽光発電システムにおける電力変換装置の主要部を示す回路図である(同様な回路は、例えば、特許文献1参照。)。図において、当該電力変換装置は、太陽光発電パネル群Pから出力される直流電圧を、昇圧コンバータ5で昇圧してからインバータ3によって交流に変換し、フィルタ4を介して商用交流に系統連系するよう構成されている。
【0003】
太陽光発電パネル群Pは、セルを複数個直列に接続したストリングStを、複数列並列に接続して構成されている。各ストリングStには逆流防止用のダイオードDpが接続されている。例えば連系する系統電圧がAC200Vとすると、日照条件が良い場合に、太陽光発電パネル群PからDC200V前後の電圧を出力できるように、セル数が構成されている。
【0004】
昇圧コンバータ5は、リアクトルL0、スイッチング素子Q0、フリーホイーリングダイオードD0及び平滑用のコンデンサC1を図示のように接続して構成されている。スイッチング素子Q0がオンのときにはリアクトルに電流が流れ、エネルギーが蓄えられる。このエネルギーは、スイッチング素子Q0がオフになる瞬間に放出され、この時、太陽光発電パネル群Pから出力された直流電圧が例えば300V以上にまで昇圧される。スイッチング周波数は例えば数kHz〜数十kHzであり、極めて高速なスイッチングが行われる。このような昇圧コンバータ5を用いることによって、太陽光発電パネル群Pの出力電圧が日照条件の悪化により低下したときでも、昇圧によって補うことができる。
【0005】
昇圧された電圧は、平滑用のコンデンサC1を介して、インバータ3に供給される。インバータ3は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4(ダイオードD1〜D4付き)によって構成され、直流電力から交流電力への変換を行う。また、インバータ3は、入力電圧が多少変動しても常に系統連系に必要な電圧を正確に出力すべく、図示しない制御装置によりPWM制御される。そして、インバータ3から出力される交流電圧は、フィルタ回路4で不要成分が取り除かれた後、交流系統に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−316282号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来の電力変換装置では、昇圧コンバータ5において、リアクトルL0の巻線の銅損及びコアの鉄損が生じる。また、スイッチング素子Q0がオンのときは、そのオン抵抗による損失が生じ、オフのときは、フリーホイーリングダイオードD0によって抵抗損失が生じる。さらに、スイッチングは、数kHz〜数十kHzの高周波で行われるので、スイッチング素子Q0のスイッチング損失が相応に大きい。しかも、フリーホイーリングダイオードD0の電流値が0になった直後の逆回復電流によっても、スイッチング素子Q0のスイッチング損失が増加する。このような損失によって、電力変換の変換効率が損なわれる。
【0008】
一方、損失は熱になるので、放熱板や冷却ファン等、冷却のための部品・部材が必要であり、損失が大きいほど放熱板等も大きくなる。また、リアクトルは、比較的大きな部品である。このように、昇圧コンバータの存在が、小型化の妨げになっている。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、電力変換装置における変換効率の向上及びコンパクト化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の電力変換装置は、太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットと、並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択する接続装置と、前記全体回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータとを備えたものである。
【0010】
上記のように構成された電力変換装置では、電池ユニット同士の接続が固定的なものではなくなり、接続装置によって全体回路の接続構成を選択する(組み替える)ことができる。従って、電池ユニットの出力電圧に応じて、並列接続や直列接続を自在に使いこなすことにより、日照条件が悪くなっても、直列接続によって、インバータの入力として必要な所定値以上の電圧を出力することができる。このような構成には、変換効率を損なう高周波のスイッチング損失が無く、また、リアクトル自体が無い。
【0011】
(2)また、上記(1)の電力変換装置において、接続装置は、全体回路から出力される電圧を検知する電圧検知器を含み、検知した電圧に基づいて接続構成を選択することが好ましい。
この場合、全体回路から出力される電圧に応じて、適時に、かつ、適切に、接続構成を選択することができる。
【0012】
(3)また、上記(2)の電力変換装置において、複数の電池ユニットを全て並列接続した状態での電圧が所定値より低いときは、複数の電池ユニットを直列接続すればよい。
この場合、電池ユニットの電圧が所定値より低いときは直列接続に移行し、電圧が回復すれば並列接続に戻すようにすれば、日照条件が比較的悪くても必要な電圧を供給できることになり、電池ユニットの電圧供給能力を十分に発揮させることができる。
【0013】
(4)また、上記(2)の電力変換装置において、全体回路の出力電圧を平滑化するコンデンサを備え、電圧検知器は、当該コンデンサの両端電圧を検知するようにしてもよい。
この場合、平滑化され、安定した電圧を検知対象として、正確な電圧検知を行うことができる。
【0014】
(5)また、上記(1)の電力変換装置において、複数が4以上の偶数であるとき、接続装置は、複数の電池ユニットの接続構成として、全部並列接続、2以上の並列体を互いに直列接続、全部直列接続のいずれか1つを選択可能であるように構成してもよい。
この場合、全部並列から全部直列へ又はその逆に、一気に移行するのではなく、2以上の並列体を互いに直列接続するという途中の工程を選択することで、段階的に供給電圧を変化させることができる。
【0015】
(6)また、上記(1)の電力変換装置において、2つの電池ユニットを並列接続する回路と、当該2つの電池ユニットを直列接続する回路とは、互いに回路の一部を共用するブリッジ回路を構成するものであってもよい。
この場合、回路の一部を共用することで、回路構成を節約することができる。
【0016】
(7)一方、本発明は、太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットから、各電池ユニットの出力線が引き込まれる接続装置であって、並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を備え、各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択することを特徴とする。
【0017】
上記のように構成された接続装置では、電池ユニット同士の接続が固定的なものではなくなり、全体回路の接続構成を選択する(組み替える)ことができる。従って、電池ユニットの出力電圧に応じて、並列接続や直列接続を自在に使いこなすことにより、日照条件が悪くなっても、直列接続によって必要な所定値以上の電圧を出力することができる。このような構成には、変換効率を損なう高周波のスイッチング損失が無く、また、リアクトル自体が無い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電力変換装置及び接続装置によれば、変換効率の向上及びコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】太陽光発電用として用いられる本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の回路図である。
【図2】2つの電池ユニットの接続の仕方の一例について示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図である。
【図4】第2実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図(動作状態図)である。
【図5】第3実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図である。
【図6】第3実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図(動作状態図)である。
【図7】図6に示すような接続構成の選択をどのように行うかの一例を示すフローチャートである。
【図8】第4実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図である。
【図9】第4実施形態に係る電力変換装置における接続装置の回路図(動作状態図)である。
【図10】一般家庭用の、太陽光発電システムの概略構成を示す図である。
【図11】一般家庭用の、太陽光発電システムの概略構成を示す図であり、図10とは別の概略構成を示す図である。
【図12】従来の太陽光発電システムにおける電力変換装置の主要部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1実施形態》
図1は、太陽光発電用として用いられる本発明の第1実施形態に係る電力変換装置1の回路図である。図において、当該電力変換装置1は、太陽光発電パネル群の全体(全数)が2分割されて成る2つの電池ユニットP1,P2から出力される直流電力を、インバータ3によって交流電力に変換し、フィルタ4を介して商用交流に系統連系するよう構成されている。
【0021】
各電池ユニットP1,P2はそれぞれ、セルを複数個直列に接続したストリングStを、複数列並列に接続して構成されている。各ストリングStには逆流防止用のダイオードDpが接続されている。連系する系統電圧がAC200Vであるとすると、日照条件が良い場合に、各電池ユニットP1又はP2からそれぞれ、例えばDC300V以上の電圧を出力できるように、セル数が構成されている。系統電圧がAC200V(実効値)の場合は、波形の最大値としては200×21/2の約283Vであるから、インバータ3に入力する電圧は、それよりさらに高い電圧すなわち、DC300V以上が必要という考え方になる。
【0022】
2つの電池ユニットP1,P2は、並列接続用スイッチS1,S2を介して並列に接続され得る状態にある。また、2つの電池ユニットP1,P2は、直列接続用スイッチS3を介して直列にも接続され得る状態にある。2つの電池ユニットP1,P2を並列接続する回路と、2つの電池ユニットP1,P2を直列接続する回路とは、図示のように、互いに回路の一部を共用するブリッジ回路を構成している。このように回路の一部を共用することで、回路構成を節約することができる。なお、このブリッジ回路は、後述の他の実施形態においても共通の、回路構成上の基本パターンとなっている。
【0023】
各スイッチS1〜S3は、半導体スイッチング素子を用いてもよいし、また、リレーの接点を用いてもよい。半導体スイッチング素子は寿命が長いが、若干のオン抵抗がある。逆に、リレーの接点は、寿命は比較的短いが、オン抵抗は半導体スイッチング素子に比べると非常に少ない。すなわち、一長一短があり、どちらを重視するかによって選択されるべきものである。これは、後述の他の実施形態においても同様である。
【0024】
直列接続用スイッチS3がオフで、並列接続用スイッチS1,S2がオンのときは、2つの電池ユニットP1,P2は互いに並列接続される。直列接続用スイッチS3がオンで、並列接続用スイッチS1,S2がオフのときは、2つの電池ユニットP1,P2は互いに直列接続される。各スイッチS1〜S3のオン/オフ制御は、制御装置6によって行われる。
【0025】
すなわち、2つの電池ユニットP1,P2を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2を介して各電池ユニットP1,P2を並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3を介して各電池ユニットP1,P2を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S3のオン/オフを選択することによって、2つの電池ユニットP1,P2を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。なお、2つの電池ユニットP1,P2を接続するブリッジ回路(スイッチS1〜S3を含む。)の他、スイッチS1〜S3を制御する制御装置6も接続装置2の一部を成すものである。また、後述の電圧検知器7も、スイッチS1〜S3を制御するための情報を取り込むセンサとして、接続装置2の一部となる。
【0026】
2つの電池ユニットP1,P2から出力される電圧は、平滑用のコンデンサC1を介して、インバータ3に供給される。このコンデンサC1の両端電圧は電圧検知器7により検知され、検知した電圧値が制御装置6に入力される。コンデンサC1への入力電圧は直流電圧であるが、日照による変動がある。そこで、コンデンサC1で平滑化され、安定した電圧を検知対象とすることで、正確な電圧検知を行うことができる。
【0027】
インバータ3は、4つのスイッチング素子Q1〜Q4(ダイオードD1〜D4付き)によって構成され、直流電力から交流電力への変換を行う。また、インバータ3は、入力電圧が多少変動しても常に系統連系に必要な電圧を正確に出力すべく、制御装置6によりPWM制御される。そして、インバータ3から出力される交流電圧は、リアクトルL1とコンデンサC1とによって構成されるフィルタ回路4で不要成分が取り除かれた後、交流系統に供給される。供給される電圧は、コンデンサC2の両端で電圧検知器8により検知され、検知された電圧値は制御装置6に入力される。上記PWM制御は、電圧検知器7が検知するインバータ3への入力電圧と、最終的な出力電圧として電圧検知器8が検知する電圧とに基づいて、入力電圧が変動しても所定の出力電圧を出力するように行われる。
【0028】
次に、2つの電池ユニットP1,P2の接続の仕方の一例について、図2のフローチャートを参照して説明する。このフローチャートは、制御装置6が行う処理のうち、2つの電池ユニットP1,P2の接続に関する処理のみを示したものである。
【0029】
図2において、電力変換装置1の運転開始により、まず、制御装置6は、スイッチS1,S2をオン、S3をオフにして、2つの電池ユニットP1,P2を並列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ101)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定し(ステップ102)、所定値以上であれば並列接続を維持する。ここで、所定値とは、例えば300Vである。日照条件の良い日中は、このように並列接続が維持される場合が多くなる。
【0030】
一方、電圧が所定値に達しない場合は、制御装置6は、スイッチS1,S2をオフ、S3をオンにして、2つの電池ユニットP1,P2を直列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ103)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定する(ステップ104)。ここで言う所定値も、ステップ102と同様であり、例えば300Vである。
【0031】
ここで、電圧が所定値以上であれば、ステップ106を経て直列接続が維持される。ステップ106では、電圧が高すぎるか否かの判定が行われる。これは、一旦直列接続した後に、日照が回復して電圧が例えば600V以上になったとすると、これは直列接続する必要が無い(並列接続で足りる)状態であり、電圧が高すぎる状態である。そこで、制御装置6は、一旦直列接続した後に電圧が高すぎる状態になった場合にはステップ101の並列接続に戻る。
【0032】
一方、もし、直列接続しても300Vに満たない場合は系統連系できないので、運転停止となる(ステップ105)。例えば、日没によって光量が激減した場合や、日中でも厚い雲によって非常に暗くなった場合等に、この状態となる。但し、直列接続することによって電圧は1つの電池ユニットの倍になるので、並列接続では運転を維持できないときでも、所定値以上の電圧を出せる場合がある。すなわち、日照条件が比較的悪くても必要な電圧を供給できることになり、電池ユニットP1,P2の電圧供給能力を十分に発揮させることができる。
【0033】
すなわち、上記のように構成された電力変換装置1では、電池ユニットP1,P2同士の接続が固定的なものではなくなり、接続装置2によって全体回路の接続構成を選択する(組み替える)ことができる。従って、電池ユニットP1,P2の出力電圧に応じて、並列接続や直列接続を自在に使いこなすことにより、日照条件が悪くなっても、直列接続によって、インバータの入力として必要な所定値以上の電圧を出力することができる。
【0034】
このような構成には、変換効率を損なう高周波のスイッチング損失が無く、また、リアクトル自体が無いので、電力変換装置1における変換効率の向上及びコンパクト化を実現することができる。リアクトルが無いことは、コスト低減にも寄与する。なお、スイッチS1〜S3の動作回数は極めて少ない。従って、スイッチング損失は、昇圧コンバータのスイッチング素子に比べて極めて少なく、実質的に無視できる程度である。スイッチS1〜S3としてリレーの接点を使用すれば、スイッチング損失は発生せず、オン抵抗も非常に小さいので、特に変換効率の向上には好適である。
【0035】
また、電圧検知器7の検知する電圧に基づいて直列/並列の選択を行うので、2つの電池ユニットP1,P2を含む全体回路から出力される電圧に応じて、適時に、かつ、適切に、接続構成を選択することができる。
【0036】
次に、接続装置2の構成が第1実施形態とは異なる種々の実施形態について説明する。
《第2実施形態》
図3及び図4は、第2実施形態に係る電力変換装置における接続装置2の回路図である。図3において、本例では3つの電池ユニットP1,P2,P3が設けられている。
【0037】
3つの電池ユニットP1,P2,P3は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5を介して並列に接続され得る状態にある。また、3つの電池ユニットP1,P2,P3は、直列接続用スイッチS3,S6を介して直列にも接続され得る状態にある。
直列接続用スイッチS3,S6がオフで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5がオンのときは、3つの電池ユニットP1,P2,P3は互いに並列接続される(図4の(a)参照)。直列接続用スイッチS3,S6がオンで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5がオフのときは、3つの電池ユニットP1,P2,P3は互いに直列接続される(図4の(b)参照)。各スイッチS1〜S6のオン/オフ制御は、制御装置6によって行われる。
【0038】
すなわち、3つの電池ユニットP1,P2,P3を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5を介して各電池ユニットP1,P2,P3を並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3,S6を介して各電池ユニットP1,P2,P3を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S6のオン/オフを選択することによって、3つの電池ユニットP1,P2,P3を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。
【0039】
このような接続装置2によれば、3つの電池ユニットP1,P2,P3を互いに直列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの3倍にまで昇圧することができる。例えば日照条件の悪化により1つの電池ユニットの電圧が100Vに低下したとしても、直列接続により300Vを出力し、系統連系を維持することができる。
なお、接続構成の選択については、第1実施形態における図2のフローチャートと同様に行うことができる。但し、第2実施形態の直列接続は3直列であるので、ステップ106(図2)における電圧は900V以上となる。
【0040】
《第3実施形態》
図5及び図6は、第3実施形態に係る電力変換装置における接続装置2の回路図である。図5において、本例では4つの電池ユニットP1,P2,P3,P4が設けられている。
【0041】
4つの電池ユニットP1〜P4は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8を介して並列に接続され得る状態にある。また、4つの電池ユニットP1〜P4は、直列接続用スイッチS3,S6,S9を介して直列にも接続され得る状態にある。
直列接続用スイッチS3,S6,S9がオフで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8がオンのときは、4つの電池ユニットP1〜P4は互いに並列接続される(図6の(a)参照)。
【0042】
直列接続用スイッチS3,S6,S9のうちS3,S9のみがオフでS6はオン、並列接続用スイッチS1,S2,S7,S8がオンでS4,S5はオフのときは、4つの電池ユニットP1〜P4は2並列の2直列すなわち、直並列接続される(図6の(b)参照)。
また、直列接続用スイッチS3,S6,S9が全てオンで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8が全てオフのときは、4つの電池ユニットP1〜P4は互いに直列接続される(図6の(c)参照)。各スイッチS1〜S9のオン/オフ制御は、制御装置6によって行われる。
【0043】
すなわち、4つの電池ユニットP1〜P4を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8を介して各電池ユニットP1,P2,P3,P4を並列接続する回路、並列接続用スイッチS1,S2,S7,S8及び直列接続用スイッチS6を介して各電池ユニットP1〜P4を直並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3,S6,S9を介して各電池ユニットP1〜P4を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S9のオン/オフを選択することによって、4つの電池ユニットP1〜P4を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。
【0044】
このような接続装置2によれば、4つの電池ユニットP1〜P4を互いに直列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの4倍にまで昇圧することができる。また、図6の(b)に示すように4つの電池ユニットP1〜P4を直並列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの2倍に昇圧することもできる。4倍に昇圧すれば、例えば日照条件の悪化により1つの電池ユニットの電圧が75Vに低下したとしても、直列接続により300Vを出力し、系統連系を維持することができる。
【0045】
図7は、図6に示すような接続構成の選択をどのように行うかの一例を示すフローチャートである。
図7において、電力変換装置1の運転開始により、まず、制御装置6は、スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8をオン、S3,S6,S9をオフにして、4つの電池ユニットP1〜P4を並列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ201)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定し(ステップ202)、所定値以上であれば並列接続を維持する。ここで、所定値とは、例えば300Vである。日照条件の良い日中は、このように並列接続が維持される場合が多くなる。
【0046】
一方、電圧が所定値に達しない場合は、制御装置6は、スイッチS3,S4,S5,S9をオフ、S1,S2,S6,S7,S8をオンにして、4つの電池ユニットP1,P2,P3,P4を直並列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ203)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定する(ステップ204)。ここで言う所定値も、ステップ202と同様であり、例えば300Vである。
【0047】
ここで、電圧が所定値以上であれば、ステップ208を経て直並列接続が維持される。ステップ208では、電圧が高すぎるか否かの判定が行われる。これは、一旦直並列接続した後に、日照が回復して電圧が例えば600V以上になったとすると、これは直並列接続する必要が無い(並列接続で足りる)状態であり、電圧が高すぎる状態である。そこで、制御装置6は、一旦直並列接続した後に電圧が高すぎる状態になった場合にはステップ201の並列接続に戻る。
【0048】
一方、直並列接続しても電圧が所定値に達しない場合は、制御装置6は、スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8をオフ、S3,S6,S9をオンにして、4つの電池ユニットP1〜P4を直列接続し、その状態でコンデンサC1の両端に現れる電圧を検知する(ステップ205)。そして、制御装置6は、電圧が所定値以上か否かを判定する(ステップ206)。ここで言う所定値も、ステップ202と同様であり、例えば300Vである。
【0049】
ここで、電圧が所定値以上であれば、ステップ209を経て直列接続が維持される。ステップ209では、電圧が高すぎるか否かの判定が行われる。これは、一旦直列接続した後に、日照が回復して電圧が例えば600V以上になったとすると、これは直列接続する必要が無い(直並列接続で足りる)状態であり、電圧が高すぎる状態である。そこで、制御装置6は、一旦直列接続した後に電圧が高すぎる状態になった場合にはステップ203の直並列接続に戻る。
【0050】
一方、もし、直列接続しても300Vに満たない場合は系統連系できないので、運転停止となる(ステップ207)。例えば、日没によって光量が激減した場合や、日中でも厚い雲によって非常に暗くなった場合等に、この状態となる。但し、直並列接続することによって電圧は1つの電池ユニットの2倍になり、また、直列接続することによって電圧は1つの電池ユニットの4倍になるので、並列接続では運転を維持できないときでも、所定値以上の電圧を出せる場合がある。すなわち、日照条件が比較的悪くても必要な電圧を供給できることになり、電池ユニットP1〜P4の電圧供給能力を十分に発揮させることができる。また、全部並列から全部直列へ又はその逆に、一気に移行するのではなく、2並列体を互いに直列接続するという途中の工程を選択することで、段階的に供給電圧を変化させることができる。
【0051】
《第4実施形態》
図8及び図9は、第4実施形態に係る電力変換装置における接続装置2の回路図である。図8において、本例では6つの電池ユニットP1〜P6が設けられている。なお、電池ユニットの個数は、4以上の場合には、直並列配置の便宜から、偶数が好ましい。
【0052】
6つの電池ユニットP1〜P6は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14を介して並列に接続され得る状態にある。また、6つの電池ユニットP1〜P6は、直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15を介して直列にも接続され得る状態にある。
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15が全てオフで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14が全てオンのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は互いに並列接続される。
【0053】
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15のうちS3,S6,S12,S15がオフでS9のみがオン、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S10,S11,S13,S14がオンでS7,S8はオフのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は3並列の2直列で直並列接続される(図9の(a)参照)。
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15のうちS3,S9,S15のみがオフでS6,S12はオン、並列接続用スイッチS1,S2,S7,S8,S13,S14がオンでS4,S5,S10,S11はオフのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は2並列の3直列で直並列接続される(図9の(b)参照)。
【0054】
直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15が全てオンで、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14が全てオフのときは、6つの電池ユニットP1〜P6は互いに直列接続される。
【0055】
すなわち、6つの電池ユニットP1〜P6を全体としてどのような回路に構成するかを選択する接続装置2は、並列接続用スイッチS1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14を介して各電池ユニットP1〜P6を並列接続する回路、図9の(a)、(b)に示すように各電池ユニットP1〜P6を直並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチS3,S6,S9,S12,S15を介して各電池ユニットP1〜P6を直列接続する回路を含み、各スイッチS1〜S15のオン/オフを選択することによって、6つの電池ユニットP1〜P6を含む全体回路の接続構成を選択するように構成されている。
【0056】
このような接続装置2によれば、6つの電池ユニットP1〜P6を互いに直列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの6倍にまで昇圧することができる。また、図9の(a)、(b)に示すように6つの電池ユニットP1〜P6を2種類に直並列接続することができるので、電圧を、1つの電池ユニットの2倍又は3倍に昇圧することもできる。6倍に昇圧すれば、例えば日照条件の悪化により1つの電池ユニットの電圧が50Vに低下したとしても、直列接続により300Vを出力し、系統連系を維持することができる。
【0057】
なお、接続構成の選択については、第3実施形態における図7のフローチャートと基本的には同様に行うことができる。但し、第4実施形態では直並列の処理が2種類あるので、その分のステップが同様に増加することになる。また、電圧が高すぎるか否かの判断における電圧は、全並列から全直列までの4段階の接続形態を、1段階下げても所定の電圧(300V)を出力できるか、という観点で設定すればよい。
【0058】
《その他》
図10は、一般家庭用の、太陽光発電システムの概略構成を示す図である。屋根に設置される太陽電池モジュール20は、上述の電池ユニット(太陽光発電パネル群)の集合体である。但し、ユニット内のダイオードDp(図1)は、一般的には、接続箱40内に集約して設けられる。この場合、電池ユニットは接続箱40内で完成することになる。なお、上記各実施形態では、ダイオードDpも含めて電池ユニットとしているが、ダイオードDpは除いて太陽電池のみを電池ユニットであると考えてもよい。
接続箱40は屋外に設置される場合が多い。この接続箱40は、室内に設置されるパワーコンディショナ10と接続されている。
【0059】
パワーコンディショナ10には図1のインバータ3、フィルタ回路4、制御装置6及び電圧検出器7,8が、搭載される。すなわち、上述の電力変換装置1の各部は、電源としての太陽電池モジュール20と、接続箱40と、パワーコンディショナ10とに分散して設けられている。接続装置2は、接続箱40及び/又はパワーコンディショナ10に設けることができる。接続装置2には、各電池ユニットの出力線が引き込まれる。パワーコンディショナ10において生成された所定の交流電圧(電力)は、分電盤30に与えられ、商用交流系統に連系する。
【0060】
図11は、別の概略構成を示す図である。この構成は、図10を接続箱分離型であるとすれば、接続箱一体型である。すなわち、接続箱がパワーコンディショナ10と一体化され、屋外設置(屋内設置も可)されたものである。
【0061】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明は、昇圧コンバータに代わる接続装置2の構成を提案し、電力変換装置1における変換効率の向上及びコンパクト化を実現するものである。しかしながら、あえて、接続装置2とインバータ3との間に昇圧コンバータを使用することも可能である。この場合、直列接続と、昇圧コンバータとの併用によって、大幅に電圧を高めることができるので、従来は運転停止となる非常に弱い日照時でも、系統連系を維持することができるようになる。
【符号の説明】
【0062】
1:電力変換装置
2:接続装置
3:インバータ
7:電圧検出器
C1:コンデンサ
P1〜P6:電池ユニット(太陽光発電パネル群)
S1,S2,S4,S5,S7,S8,S10,S11,S13,S14:並列接続用スイッチ
S3,S6,S9,S12,S15:直列接続用スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットと、
並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択する接続装置と、
前記全体回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記接続装置は、前記全体回路から出力される電圧を検知する電圧検知器を含み、検知した電圧に基づいて前記接続構成を選択する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記複数の電池ユニットを全て並列接続した状態での前記電圧が所定値より低いときは、前記複数の電池ユニットを直列接続する請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記全体回路の出力電圧を平滑化するコンデンサを備え、前記電圧検知器は、当該コンデンサの両端電圧を検知する請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記複数が4以上の偶数であるとき、前記接続装置は、複数の電池ユニットの接続構成として、全部並列接続、2以上の並列体を互いに直列接続、全部直列接続のいずれか1つを選択可能である請求項1記載の電力変換装置。
【請求項6】
2つの電池ユニットを並列接続する回路と、当該2つの電池ユニットを直列接続する回路とは、互いに回路の一部を共用するブリッジ回路を構成する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項7】
太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットから、各電池ユニットの出力線が引き込まれる接続装置であって、
並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を備え、
各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択することを特徴とする接続装置。
【請求項1】
太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットと、
並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択する接続装置と、
前記全体回路から出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記接続装置は、前記全体回路から出力される電圧を検知する電圧検知器を含み、検知した電圧に基づいて前記接続構成を選択する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記複数の電池ユニットを全て並列接続した状態での前記電圧が所定値より低いときは、前記複数の電池ユニットを直列接続する請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記全体回路の出力電圧を平滑化するコンデンサを備え、前記電圧検知器は、当該コンデンサの両端電圧を検知する請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記複数が4以上の偶数であるとき、前記接続装置は、複数の電池ユニットの接続構成として、全部並列接続、2以上の並列体を互いに直列接続、全部直列接続のいずれか1つを選択可能である請求項1記載の電力変換装置。
【請求項6】
2つの電池ユニットを並列接続する回路と、当該2つの電池ユニットを直列接続する回路とは、互いに回路の一部を共用するブリッジ回路を構成する請求項1記載の電力変換装置。
【請求項7】
太陽光発電パネル群を構成単位とする複数の電池ユニットから、各電池ユニットの出力線が引き込まれる接続装置であって、
並列接続用スイッチを介して各電池ユニットを並列接続する回路、及び、直列接続用スイッチを介して各電池ユニットを直列接続する回路を備え、
各スイッチのオン/オフを選択することによって、前記複数の電池ユニットを含む全体回路の接続構成を選択することを特徴とする接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−44833(P2012−44833A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186086(P2010−186086)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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