説明

電力変換装置

【課題】コンデンサの温度上昇を低減した電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置1は、半導体素子を内蔵すると共に少なくとも一対の半導体端子21を備えた半導体モジュール2と、半導体モジュール2に電気的に接続されたコンデンサ3と、コンデンサ3に設けられた複数のコンデンサ端子31のうちの少なくとも一つに熱的に接触する冷却器4とを有する。また、冷却器4に熱的に接触したコンデンサ端子31は、冷却器4とコンデンサ3との間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を内蔵した半導体モジュールと該半導体モジュールに接続されたコンデンサとを有する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータやコンバータ等の電力変換装置は、複数の半導体素子のスイッチング動作によって電力の変換を行っている。かかる電力変換装置において、例えば、直流電源から半導体モジュールへ供給される電流を平滑化するコンデンサが、半導体モジュールに電気的に接続されている。特許文献1には、このコンデンサと半導体モジュールとがバスバーを介して接続された電力変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3646049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電力変換装置においては、半導体モジュールにおいて発熱した熱が接続部及びバスバーを通じてコンデンサへ伝わる。これにより、コンデンサが高温となり、劣化してしまうおそれがある。特に、高出力密度化に伴う電力変換装置の被制御電流の大電流化に伴い、半導体モジュールの発熱が大きくなる傾向にある。また、半導体素子の高耐熱化に伴い、より高温で半導体素子を使用する傾向にある。かかる状況の下、半導体モジュールの耐熱性が充分に確保されても、コンデンサの耐熱性が充分に確保されていないのが現状である。そのため、半導体モジュールからのコンデンサの受熱による劣化が電力変換装置における近年の重要課題となっている。
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、コンデンサの温度上昇を低減した電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、半導体素子を内蔵すると共に少なくとも一対の半導体端子を備えた半導体モジュールと、
該半導体モジュールに電気的に接続されたコンデンサと、
該コンデンサに設けられた複数のコンデンサ端子のうちの少なくとも一つに熱的に接触する冷却器とを有することを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【0007】
第2の発明は、半導体素子を内蔵する半導体モジュールと、
上記半導体モジュールへ入力される電圧を昇圧するためのリアクトルと、
該リアクトルに電気的に接続されたコンデンサと、
該コンデンサに設けられた複数のコンデンサ端子のうちの少なくとも一つに熱的に接触する冷却器とを有することを特徴とする電力変換装置にある(請求項12)。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明においては、上記冷却器が上記コンデンサ端子に熱的に接触している。これにより、コンデンサ端子の発熱を抑制すると共に、半導体モジュールからコンデンサへの伝熱を抑制し、コンデンサの温度上昇を低減することができる。コンデンサ端子は、半導体モジュールの半導体端子と直接あるいは他の端子や接続導体等を介して接続されている。そして、コンデンサは、半導体モジュールの熱を両者の接続部を介して受熱して温度上昇するため、この受熱経路あるいはこれと熱的に接続される部分の少なくとも一部であるコンデンサ端子を冷却器に熱的に接触させることにより、コンデンサが受熱する前に半導体モジュールの熱を冷却器へ放熱することができる。そのため、コンデンサの受熱を抑制し、コンデンサの温度上昇を低減することができる。
【0009】
また、コンデンサ端子自身もそこを流れる電流によって発熱するが、上記冷却器が上記コンデンサ端子に熱的に接触していることにより、コンデンサ端子の温度上昇も抑制することができる。その結果、このコンデンサ端子の発熱による熱をコンデンサが受熱して温度上昇してしまうことも抑制ことができる。
【0010】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサの温度上昇を低減した電力変換装置を提供することができる。
【0011】
第2の発明においても、上記冷却器が上記コンデンサ端子に熱的に接触している。これにより、コンデンサ端子の発熱を抑制すると共に、リアクトルからコンデンサへの伝熱を抑制し、コンデンサの温度上昇を低減することができる。コンデンサ端子は、リアクトルの端子と直接あるいは他の端子や接続導体等を介して接続されている。そして、コンデンサは、リアクトルの熱を両者の接続部を介して受熱して温度上昇するため、この受熱経路あるいはこれと熱的に接続される部分の少なくとも一部であるコンデンサ端子を冷却器に熱的に接触させることにより、コンデンサが受熱する前にリアクトルの熱を冷却器へ放熱することができる。そのため、コンデンサの受熱を抑制し、コンデンサの温度上昇を低減することができる。
【0012】
また、コンデンサ端子自身もそこを流れる電流によって発熱するが、上記冷却器が上記コンデンサ端子に熱的に接触していることにより、コンデンサ端子の温度上昇も抑制することができる。その結果、このコンデンサ端子の発熱による熱をコンデンサが受熱して温度上昇してしまうことも抑制ことができる。
【0013】
以上のごとく、本発明によれば、コンデンサの温度上昇を低減した電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1における、電力変換装置の断面説明図。
【図2】図1のA−A線矢視断面説明図。
【図3】実施例1における、電力変換装置の回路図。
【図4】実施例2における、電力変換装置の断面説明図。
【図5】実施例3における、電力変換装置の断面説明図。
【図6】実施例3における、他の電力変換装置の断面説明図。
【図7】実施例4における、電力変換装置の断面説明図。
【図8】実施例4における、他の電力変換装置の断面説明図。
【図9】実施例4における、更に他の電力変換装置の断面説明図。
【図10】実施例4における、更に他の電力変換装置の断面説明図。
【図11】実施例5における、電力変換装置の断面説明図。
【図12】実施例5における、他の電力変換装置の断面説明図。
【図13】実施例6における、電力変換装置の断面説明図。
【図14】実施例7における、電力変換装置の断面説明図。
【図15】実施例7における、他の電力変換装置の断面説明図。
【図16】実施例7における、更に他の電力変換装置の断面説明図。
【図17】実施例7における、更に他の電力変換装置の断面説明図。
【図18】実施例8における、電力変換装置の断面説明図。
【図19】実施例8における、コンデンサと入力バスバーの斜視説明図。
【図20】実施例9における、電力変換装置の断面説明図。
【図21】実施例10における、電力変換装置の断面説明図。
【図22】実施例10における、他の電力変換装置の断面説明図。
【図23】実施例11における、電力変換装置の断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、「熱的に接触」とは、上記半導体端子及び上記コンデンサ端子と、冷却器との間で熱交換可能な状態にあることを意味し、間に熱伝導性を有する絶縁材を介在させる場合なども含まれる。
【0016】
また、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記冷却器と上記コンデンサとの間に配置されていることが好ましい(請求項2、13)。
この場合には、上記コンデンサ端子を大きな面積で上記冷却器に熱的に接触させることができるとともに、電力変換装置の小型化を容易に図ることができる。
【0017】
また、上記冷却器は、上記半導体モジュールにも熱的に接触していることが好ましい(請求項3、15)。
この場合には、一つの冷却器によって、上記半導体モジュールと上記コンデンサ端子とを冷却することができるため、電力変換装置の小型化を容易に図ることができる。
【0018】
また、上記コンデンサ端子の一部は、コンデンサ素子と共にポッティング材によって封止されており、該ポッティング材を介して上記冷却器に熱的に接触していてもよい(請求項6、18)。
この場合には、電力変換装置の小型化を容易に図ることができる。
【0019】
また、一対の上記コンデンサ端子は、少なくともその一部を互いに近接させていることが好ましい(請求項7、19)。
この場合には、半導体モジュールとコンデンサとの間に形成される回路におけるインダクタンスを低減することができる。これにより、半導体素子のスイッチング動作に起因するサージ電圧を低減することができる。
【0020】
また、上記冷却器は、内部に冷却媒体を流通させる冷媒流路を有することが好ましい(請求項8、20)。
この場合には、効果的にコンデンサの温度上昇を抑制することができる。
【0021】
また、上記冷却器は、上記冷媒流路を有する冷却管と、該冷却管に密着配置されるとともに内部に冷却媒体を流通させないヒートシンクとからなることが好ましい(請求項9、21)。
この場合には、上記冷却器の設計自由度が向上し、電力変換装置を構成する各部品の組み付け性を向上させることができる。
【0022】
また、上記半導体モジュールは上記冷却管に熱的に接触し、上記コンデンサ端子の少なくとも一つは上記ヒートシンクに熱的に接触していることが好ましい(請求項10、22)。
この場合には、組み付け性に優れた電力変換装置を得ることができる。
【0023】
また、上記コンデンサ端子の一部は、コンデンサ素子と共にポッティング材によって封止されており、また、上記ヒートシンクは、上記ポッティング材にその一部が埋設されており、上記コンデンサ端子の一部は、上記ポッティング材を介して上記ヒートシンクに熱的に接触していることが好ましい(請求項11、23)。
この場合には、電力変換装置の小型化を容易に図ることができる。また、ポッティング材とコンデンサ端子、或いはポッティング材とヒートシンクとの間に隙間が形成され難く、放熱効率を向上させることができる。
【0024】
第1の発明において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記半導体端子に接続される端子であることが好ましい(請求項4)。
この場合には、半導体モジュールからコンデンサへの受熱経路において、コンデンサ端子が冷却器に熱的に接触することとなるため、より効果的に、コンデンサが受熱する前に、半導体モジュールの熱を冷却器へ放熱することができる。そのため、コンデンサの受熱をより効果的に抑制し、コンデンサの温度上昇を低減することができる。また、コンデンサ端子の発熱も抑制することができる。
【0025】
また、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記半導体モジュールとは異なる電子部品に接続される端子であってもよい(請求項5)。
この場合には、半導体モジュールからのコンデンサの受熱経路に熱的に連続した部分を冷却器に熱的に接触させることとなるため、充分にコンデンサの温度上昇を抑制することができる。また、半導体モジュールに接続するためのコンデンサ端子とは異なるコンデンサ端子を冷却器に熱的に接触させればよいため、設計自由度を向上させることができる。
【0026】
次に、上記第2の発明において、上記冷却器は、上記リアクトルにも熱的に接触していることが好ましい(請求項14)。
この場合には、一つの冷却器によって、上記リアクトルと上記コンデンサ端子とを冷却することができるため、電力変換装置の小型化を容易に図ることができる。
【0027】
また、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記リアクトルとは異なる電子部品に接続される端子であることが好ましい(請求項17)。
この場合には、リアクトルからのコンデンサの受熱経路に熱的に連続した部分を冷却器に熱的に接触させることとなるため、充分にコンデンサの温度上昇を抑制することができる。また、リアクトルに接続するためのコンデンサ端子とは異なるコンデンサ端子を冷却器に熱的に接触させればよいため、設計自由度を向上させることができる。
【実施例】
【0028】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置につき、図1〜図3を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1、図2に示すごとく、半導体素子を内蔵すると共に少なくとも一対の半導体端子21を備えた半導体モジュール2と、該半導体モジュール2に電気的に接続されたコンデンサ3と、該コンデンサ3に設けられた複数のコンデンサ端子31のうちの少なくとも一つに熱的に接触する冷却器4とを有する。
【0029】
図1に示すごとく、冷却器4に熱的に接触したコンデンサ端子31は、冷却器4とコンデンサ3との間に配置されている。冷却器4は、半導体モジュール2にも熱的に接触している。冷却器4に熱的に接触したコンデンサ端子31は、半導体端子21に接続される端子である。
【0030】
コンデンサ3は、コンデンサ素子32と、該コンデンサ素子32の両端に形成されたメタリコン部からなる一対の電極33と、該一対の電極33に接続された一対のコンデンサ端子31と、コンデンサ素子32を封止するポッティング材34と、該ポッティング材34及びコンデンサ素子32を内部に収容する筐体35とからなる。一対のコンデンサ端子31は、その一部をポッティング材34から外部へ露出してなり、先端部において、半導体モジュール2の半導体端子21と接続されている。
【0031】
一方のコンデンサ端子31は、ポッティング材34から露出した部分の一部を、コンデンサ3と冷却器4との間に配置し、冷却器4の主面42と熱的に面接触している。冷却器4とコンデンサ端子31との間には、熱伝導性に優れた絶縁材が介在している(図示略)。
上記ポッティング材34としては、例えばエポキシ樹脂等の熱伝導性に優れた熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0032】
また、一対のコンデンサ端子31は、それぞれの一部(図1、図2の符号Bの領域)を互いに近接させている。各コンデンサ端子31は、平板状を呈しており、その主面同士を所定の間隔をもって対向配置させている。この所定の間隔は例えば0.6〜3mmとすることができる。また、対向、近接配置された一対のコンデンサ端子31の間には、絶縁紙等を介在させることもできる。
【0033】
半導体モジュール2は、冷却器4におけるコンデンサ3が配置された側と反対側の主面42に配置されている。すなわち、半導体モジュール2における放熱板を設けた面を冷却器4の主面42に熱的に接触配置する。このとき、必要に応じて、半導体モジュール2と冷却器4との間に、セラミック板、放熱グリスなどの熱伝導性に優れた絶縁材を配置する。
【0034】
冷却器4は、アルミニウム又はその合金等の熱伝導性に優れた金属又は合金からなり、内部に冷却媒体を流通させる冷媒流路41を設けてなる。冷却媒体としては、例えば、水やアンモニア等の自然冷媒、エチレングリコール系の不凍液を混入した水、フロリナート等のフッ化炭素系冷媒、HCFC123、HFC134a等のフロン系冷媒、メタノール、アルコール等のアルコール系冷媒、アセトン等のケトン系冷媒等がある。
【0035】
なお、本発明の電力変換装置1は、図3に示す回路構造を有するものとすることができる。すなわち、電力変換装置1は、直流電源52と三相交流の回転電機51との間において、直流電力を交流電力へ或いは交流電力を直流電力へ変換するインバータ部12と、直流電源51とインバータ部12との間において直流電圧を昇圧又は降圧する昇降圧コンバータ11とを有する。インバータ部12と昇降圧コンバータ11との間には、インバータ部へ供給される電流を平滑化するためのコンデンサ3が配置されている。また、インバータ部12は、複数の半導体モジュール2からなる。
【0036】
この半導体モジュール2及びコンデンサ3の電力変換装置1における配置状態が、上述した配置状態(図1、図2)となっている。
なお、本例の電力変換装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド車等の動力源における電力変換に用いられる。
【0037】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置1においては、冷却器4がコンデンサ端子31に熱的に接触している。これにより、コンデンサ端子31の発熱を抑制すると共に、半導体モジュール2からコンデンサ3への伝熱を抑制し、コンデンサ3の温度上昇を低減することができる。コンデンサ端子31は、半導体モジュール2の半導体端子21と直接接続されている。そして、コンデンサ3は、半導体モジュール2の熱を両者の接続部を介して受熱して温度上昇するため、この受熱経路あるいはこれと熱的に接続される部分の少なくとも一部であるコンデンサ端子31を冷却器4に熱的に接触させることにより、コンデンサ3が受熱する前に半導体モジュール2の熱を冷却器4へ放熱することができる。そのため、コンデンサ3の受熱を抑制し、コンデンサ3の温度上昇を低減することができる。なお、半導体モジュール2からコンデンサ端子31を通じて冷却器4へ放熱される熱の移動を、図1における破線矢印Hにて表す。他の図においても同様に破線矢印Hにて熱の移動を表す。
【0038】
また、冷却器4がコンデンサ端子31に熱的に接触している。これにより、半導体モジュール2からコンデンサ3への伝熱を抑制し、コンデンサ3の温度上昇を低減することができる。コンデンサ端子31は、半導体モジュール2の半導体端子21と直接接続されている。そして、コンデンサ3は、半導体モジュール2の熱を両者の接続部を介して受熱して温度上昇するため、この受熱経路あるいはこれと熱的に接続される部分の少なくとも一部であるコンデンサ端子31を冷却器4に熱的に接触させることにより、コンデンサ3が受熱する前に半導体モジュール2の熱を冷却器4へ放熱することができる。そのため、コンデンサ3の受熱を抑制し、コンデンサ3の温度上昇を低減することができる。
【0039】
また、コンデンサ端子31自身もそこを流れる電流によって発熱するが、冷却器4がコンデンサ端子31に熱的に接触していることにより、コンデンサ端子31の温度上昇も抑制することができる。その結果、このコンデンサ端子31の発熱による熱をコンデンサ3が受熱して温度上昇してしまうことも抑制ことができる。
【0040】
また、一対のコンデンサ端子31は、その一部を互いに近接させているため、半導体モジュール2とコンデンサ3との間に形成される回路におけるインダクタンスを低減することができる。これにより、半導体素子のスイッチング動作に起因するサージ電圧を低減することができる。
また、冷却器4は、内部に冷却媒体を流通させる冷媒流路41を有するため、効果的にコンデンサ3の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
以上のごとく、本例によれば、コンデンサの温度上昇を低減した電力変換装置を提供することができる。
【0042】
(実施例2)
本例は、図4に示すごとく、一対のコンデンサ端子31の双方が冷却器4に熱的に接触した電力変換装置1の例である。
本例においては、一方のコンデンサ端子31は、実施例1と同様に、コンデンサ素子32との接続部と半導体モジュール2の半導体端子21との接続部との間の部分において、冷却器4に対して絶縁材を介して接触するとともにコンデンサ3と冷却器4との間に配置される。そして、他方のコンデンサ端子31は、コンデンサ素子32との接続部と半導体端子21との接続部との間の部分から分岐部311を設け、この分岐部311を冷却器4に対して絶縁材を介して接触させるとともにコンデンサ3と冷却器4との間に配置する。
その他は、実施例1と同様である。
【0043】
なお、図4においては、一方のコンデンサ端子31と他方のコンデンサ端子31の分岐部311とが図面の奥行き方向に完全に重ならないように描かれているが、これは便宜上の記載方法であり、実際には一方のコンデンサ端子31と他方のコンデンサ端子31の分岐部311とは奥行き方向に重なっており、両者とも同様に冷却器4の主面42に絶縁材を介して接触している。他の図においても、これに準じた記載方法を採用している。
【0044】
本例の場合には、上記他方のコンデンサ端子31からも半導体モジュール2の熱が冷却器4へ放熱され、コンデンサ3の受熱を低減することができる。そのため、より効果的に、コンデンサ端子31の発熱を抑制するとともに、コンデンサ3の受熱を低減して、コンデンサ3の温度上昇を抑制することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0045】
(実施例3)
本例は、図5、図6に示すごとく、コンデンサ端子31をコンデンサ3のポッティング材34を介して冷却器4に熱的に接触させた電力変換装置1の例である。
コンデンサ端子31の一部は、コンデンサ素子32と共にポッティング材34によって封止されており、該ポッティング材34を介して冷却器4に熱的に接触している。
【0046】
図5に示す電力変換装置1は、実施例1と同様に一方のコンデンサ端子31のみを冷却器4に熱的に接触させたものであり、図6に示す電力変換装置1は、実施例2と同様に一対のコンデンサ端子31の双方を冷却器4に熱的に接触させたものである。
その他は、実施例1と同様である。
【0047】
本例の場合には、電力変換装置1の小型化を容易に図ることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0048】
(実施例4)
本例は、図7〜図10に示すごとく、コンデンサ端子31、310を4本設けたコンデンサ3を用いた電力変換装置1の例である。
本例におけるコンデンサ3は、半導体モジュール2の半導体端子21に接続するための一対のコンデンサ端子31の他に、昇降圧コンデンサ11(図3参照)と接続するための一対のコンデンサ端子310を有する。このコンデンサ端子310は、コンデンサ素子32の一対の電極33にそれぞれ接続されている。すなわち、このコンデンサ端子310は、半導体モジュール2と接続するためのコンデンサ端子31と電気的に直接接続されている。
このような、4本のコンデンサ端子31、310を設けたコンデンサ3を用いた電力変換装置1においても、実施例1〜3と同様に本発明を適用することができる。
【0049】
図7、図9に示す電力変換装置1は、4本のコンデンサ端子31、310が同じ方向に突き出しており、一つのコンデンサ端子31が冷却器4に熱的に接触したものである。
図8、図10に示す電力変換装置1は、一対のコンデンサ端子31と他の一対のコンデンサ端子310とが互いに反対方向に突き出しており、2本のコンデンサ端子31が冷却器4に熱的に接触した例である。
また、図9、図10に示す電力変換装置1は、実施例3と同様に、コンデンサ端子31をコンデンサ3のポッティング材34を介して冷却器4に熱的に接触させた例である。
その他は、実施例1と同様である。
【0050】
本例の場合にも、コンデンサの温度上昇を低減した電力変換装置を提供することができる。
すなわち、半導体モジュール2に直接接続されないコンデンサ端子310を新たに設けた場合にも、このコンデンサ端子310は直接半導体モジュール2に接続されたコンデンサ端子31と接続される。そのため、これらのコンデンサ端子31、310の何れの部分において冷却器4によって冷却しても、半導体モジュール2からコンデンサ3への伝熱を低減して、コンデンサ3の温度上昇を抑制することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0051】
(実施例5)
本例は、図11、図12に示すごとく、コンデンサ3を冷却器4の主面42とは異なる端面43の方向に配置し、一対のコンデンサ端子31を冷却器4の端面43に熱的に接触させた電力変換装置1の例である。
また、一対のコンデンサ端子31は、コンデンサ3と冷却器4との間に配置される。
【0052】
図12に示すごとく、冷却器4の端面43に熱的に接触させたコンデンサ端子31を屈曲させるとともに延長した延設部312を設け、該延設部312において半導体モジュール2とは反対側の冷却器41の主面42にも熱的に接触させることもできる。
その他は、実施例1と同様である。
【0053】
本例の場合にも、半導体モジュール2からコンデンサ3への伝熱を低減して、コンデンサ3の温度上昇を抑制することができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0054】
(実施例6)
本例は、図13に示すごとく、半導体モジュール2を配置した冷却器4の主面42と同じ面にコンデンサ3を配置した電力変換装置1の例である。
一対のコンデンサ端子31は、半導体モジュール2を熱的に接触配置した冷却器4の主面42に、熱的に接触している。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0055】
(実施例7)
本例は、図14〜図17に示すごとく、コンデンサ素子32の一対の電極33に、それぞれ、コンデンサ端子310の他に、半導体モジュール2の端子に接続されたバスバー(図示略)を直接接続した例である。
また、コンデンサ端子310を、冷却器4に熱的に接触させるとともにコンデンサ3と冷却器4との間に配置し、その他端を、例えば昇降圧コンバータ11(図3参照)の端子111と接続する。
図14〜図17においては、半導体モジュール2の具体的配置及び半導体端子21については省略してあるが、何らかの形で半導体端子21は、コンデンサ端子310と電気的及び熱的に接続されている。
【0056】
なお、図14、図16に示す電力変換装置1は、一つのコンデンサ端子310が冷却器4に熱的に接触したものである。
図15、図17に示す電力変換装置1は、2本のコンデンサ端子310が冷却器4に熱的に接触したものである。
また、図16、図17に示す電力変換装置1は、実施例3と同様に、コンデンサ端子310をコンデンサ3のポッティング材34を介して冷却器4に熱的に接触させたものである。
【0057】
本例においては、半導体モジュール2の熱が、半導体モジュール2とコンデンサ3の電極33とを繋ぐバスバー(図示略)、電極33(メタリコン部)、コンデンサ端子310を介して、冷却器4に放熱されることとなる。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0058】
なお、本例において、コンデンサ端子310は、昇降圧コンバータ11の端子111に限らず、インバータ部12の端子に接続されていてもよい。また、上記半導体モジュール2以外の発熱部品に接続されたバスバーをコンデンサ素子32の一対の電極33に直接接続した形態としてもよい。
【0059】
(実施例8)
本例は、図18、図19に示すごとく、一対のコンデンサ端子310を、昇降圧コンバータ11に接続される入力バスバー131、132にそれぞれ接続し、入力バスバー131、132を冷却器4に熱的に接触させた電力変換装置1の例である。
入力バスバー131、132には、複数のコンデンサ3が並列接続される。また、これらのコンデンサ3には、それぞれ半導体モジュール2が接続される。
【0060】
コンデンサ3は、半導体モジュール2と反対側における冷却器4の主面42側に配置され、その主面42に入力バスバー131、132が、絶縁材14を介して固定されている。
その他は、実施例1と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0061】
(実施例9)
本例は、図20に示すごとく、コンデンサ3を半導体モジュール2と同じ側における冷却器4の主面42に配置した例である。
本例においては、コンデンサ3の本体部も冷却器4に熱的に接触させている。
その他は、実施例8と同様である。
本例の場合にも、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0062】
(実施例10)
本例は、図21、図22に示すごとく、冷媒流路41を有する冷却管40と、該冷却管40に密着配置されるとともに内部に冷却媒体を流通させないヒートシンク400とからなる冷却器4を用いた電力変換装置1の例である。
半導体モジュール2は冷却管40に熱的に接触し、コンデンサ端子31はヒートシンク400に熱的に接触している。
ヒートシンク400は、アルミニウム又はその合金等、熱伝導性に優れた金属を用いて構成することができる。ヒートシンク400と冷却管40との間には、放熱グリスを介在させてもよい。
【0063】
図21に示す電力変換装置1は、コンデンサ端子31をポッティング材34を介してヒートシンク400に熱的に接触させたものである。コンデンサ端子31の一部は、コンデンサ素子32と共にポッティング材34によって封止されており、また、ヒートシンク400は、ポッティング材34にその一部が埋設されている。なお、この電力変換装置1においては、コンデンサ3の筐体35に、ヒートシンク400を支持するための支持部351を設けてある。これにより、ポッティング材34によってヒートシンク400の一部を埋設するにあたり、ヒートシンク400の位置決めを容易かつ正確に行うことができる。
【0064】
図22に示す電力変換装置1は、一対のコンデンサ端子31を、昇降圧コンバータ11に接続される入力バスバー131、132にそれぞれ接続し、入力バスバー131、132をヒートシンク400に熱的に接触させたものである。入力バスバー131、132は、絶縁材14を介してヒートシンク400に固定されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0065】
本例の場合には、冷却器4の設計自由度が向上し、電力変換装置1を構成する各部品の組み付け性を向上させることができる。
また、図21に示す電力変換装置1においては、予めコンデンサ3と一体化しておいたヒートシンク400を組み付け時に冷却管40と密着させることもできる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0066】
(実施例11)
本例は、図23に示すごとく、リアクトル6と接続されるコンデンサ30において、そのコンデンサ端子31を冷却器4に熱的に接続した電力変換装置1の例である。
図3に示すごとく、電力変換装置1においては、直流電源52と昇降圧コンバータ11との間に、直流電源52のリプルを吸収するためのコンデンサ30が設けてある。このコンデンサ30の一方の端子は、昇降圧コンバータ11を構成するリアクトル6に接続されている。リアクトル6も発熱部品であって、リアクトル6からコンデンサ30が受熱するおそれがある。
【0067】
そこで、図23に示すごとく、リアクトル6と接続されるコンデンサ端子31を、冷却器4に熱的に接触させることにより、コンデンサ端子31の発熱を抑制するとともに、リアクトル6からのコンデンサ30の受熱を抑制し、コンデンサ30の温度上昇を低減することができる。
【0068】
図23に示したような配置に限らず、実施例1〜10における半導体モジュール2をリアクトル6に置き換えたような種々の形態をとることができる。
また、半導体モジュール2もリアクトル6と共に同じ冷却器4に接触配置することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 半導体端子
3、30 コンデンサ
31 コンデンサ端子
4 冷却器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵すると共に少なくとも一対の半導体端子を備えた半導体モジュールと、
該半導体モジュールに電気的に接続されたコンデンサと、
該コンデンサに設けられた複数のコンデンサ端子のうちの少なくとも一つに熱的に接触する冷却器とを有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記冷却器と上記コンデンサとの間に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記冷却器は、上記半導体モジュールにも熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記半導体端子に接続される端子であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記半導体モジュールとは異なる電子部品に接続される端子であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記コンデンサ端子の一部は、コンデンサ素子と共にポッティング材によって封止されており、該ポッティング材を介して上記冷却器に熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、一対の上記コンデンサ端子は、少なくともその一部を互いに近接させていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記冷却器は、内部に冷却媒体を流通させる冷媒流路を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項9】
請求項8において、上記冷却器は、上記冷媒流路を有する冷却管と、該冷却管に密着配置されるとともに内部に冷却媒体を流通させないヒートシンクとからなることを特徴とする電力変換装置。
【請求項10】
請求項9において、上記半導体モジュールは上記冷却管に熱的に接触し、上記コンデンサ端子の少なくとも一つは上記ヒートシンクに熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項11】
請求項9〜10のいずれか一項において、上記コンデンサ端子の一部は、コンデンサ素子と共にポッティング材によって封止されており、また、上記ヒートシンクは、上記ポッティング材にその一部が埋設されており、上記コンデンサ端子の一部は、上記ポッティング材を介して上記ヒートシンクに熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項12】
半導体素子を内蔵する半導体モジュールと、
上記半導体モジュールへ入力される電圧を昇圧するためのリアクトルと、
該リアクトルに電気的に接続されたコンデンサと、
該コンデンサに設けられた複数のコンデンサ端子のうちの少なくとも一つに熱的に接触する冷却器とを有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
請求項12において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記冷却器と上記コンデンサとの間に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項14】
請求項12又は13において、上記冷却器は、上記リアクトルにも熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項15】
請求項12〜14のいずれか一項において、上記冷却器は、上記半導体モジュールにも熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記リアクトルに接続される端子であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか一項において、上記冷却器に熱的に接触した上記コンデンサ端子は、上記リアクトルとは異なる電子部品に接続される端子であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれか一項において、上記コンデンサ端子の一部は、コンデンサ素子と共にポッティング材によって封止されており、該ポッティング材を介して上記冷却器に熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項19】
請求項12〜18のいずれか一項において、一対の上記コンデンサ端子は、少なくともその一部を互いに近接させていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれか一項において、上記冷却器は、内部に冷却媒体を流通させる冷媒流路を有することを特徴とする電力変換装置。
【請求項21】
請求項20において、上記冷却器は、上記冷媒流路を有する冷却管と、該冷却管に密着配置されるとともに内部に冷却媒体を流通させないヒートシンクとからなることを特徴とする電力変換装置。
【請求項22】
請求項21において、上記リアクトルは上記冷却管に熱的に接触し、上記コンデンサ端子の少なくとも一つは上記ヒートシンクに熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか一項において、上記コンデンサ端子の一部は、コンデンサ素子と共にポッティング材によって封止されており、また、上記ヒートシンクは、上記ポッティング材にその一部が埋設されており、上記コンデンサ端子の一部は、上記ポッティング材を介して上記ヒートシンクに熱的に接触していることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−252461(P2010−252461A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97559(P2009−97559)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】