説明

電力変換装置

【課題】小型化が可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置1は、2本のパワー端子21を有する半導体モジュール2を複数個、備える。半導体モジュール2はX方向に一列に配列している。半導体モジュール2のパワー端子21には、正極バスバー3aおよび負極バスバー3bと、複数の交流バスバー4とが接続している。Y方向における一方側においてX方向に配列した複数のパワー端子21a,21bに、正極バスバー3aと負極バスバー3bとが接続している。また、Y方向における他方側においてX方向に配列した複数のパワー端子21cに、複数の交流バスバー4が接続している。個々の交流バスバー4の外部接続端子40は、端子台5の載置面50に載置されている。複数の外部接続端子40はX方向に配列している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を内蔵し2本のパワー端子を有する複数の半導体モジュールを、一列に配列した電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば直流電力と交流電力との間で電力変換を行う電力変換装置として、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する複数の冷却管とを積層した積層体を備えるものが知られている(下記特許文献1参照)。従来の電力変換装置1の一例を図8、図9に示す。
【0003】
従来の電力変換装置は、図9に示すごとく、複数の半導体モジュール92と複数の冷却管911とを積層した積層体910を、金属製のフレーム96内に固定してある。個々の半導体モジュール92は、2本のパワー端子921を備える。この電力変換装置9は、複数の半導体モジュール92を、積層体910の積層方向(X方向)に2列に配列してある。
【0004】
パワー端子921には、直流電流が流れる正極バスバー93a(図8参照)及び負極バスバー93bと、交流電流が流れる複数の交流バスバー94とが接続している。交流バスバー94の一端(外部接続端子940)は、端子台95に載置されている。端子台95において、外部接続端子940を三相交流モータ等の外部機器(図示しない)に接続するよう構成されている。
【0005】
端子台95は、フレーム96に対して、冷却管911の長手方向(Y方向)に隣接する位置に設けられている。また、複数の外部接続端子940はX方向に配列している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−135737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来の電力変換装置9は、複数の外部接続端子940がX方向に配列しているため、X方向における端子台95の長さが長くなりやすいという問題があった。また、従来の電力変換装置9は、半導体モジュール92を2列に配列しているため、X方向における積層体910の長さが短くなりやすく、積層体910を内側に配するフレーム96の長さL1が短くなりやすかった。そのため、X方向における、フレーム96の長さL1よりも端子台95の長さL2の方が長くなり、フレーム96に対してX方向に隣接する位置に、いわゆるデッドスペースSが形成されやすくなっていた。そのため、電力変換装置9を小型化しにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、小型化が可能な電力変換装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、半導体素子を内蔵した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
上記パワー端子に接続した複数のバスバーと、
上記積層体の積層方向と上記パワー端子の突出方向との双方に直交する幅方向において、上記積層体に隣接する位置に設けられ、上記バスバーの外部接続端子を載置する載置面を有する端子台とを備え、
上記バスバーには、直流電流が流れる正極バスバーおよび負極バスバーと、交流電流が流れる複数の交流バスバーとがあり、
上記複数の半導体モジュールは上記積層方向に一列に配列しており、個々の上記半導体モジュールは、上記幅方向に並んだ2本の上記パワー端子を有し、
上記幅方向における、上記端子台を設けた側とは反対側において上記積層方向に配列した複数の上記パワー端子に、上記正極バスバーと上記負極バスバーとが接続し、上記正極バスバーと上記負極バスバーとは上記突出方向に所定間隔をおいて対向配置され、
上記幅方向における、上記端子台を設けた側において上記積層方向に配列した複数の上記パワー端子に、上記複数の交流バスバーが接続し、個々の上記交流バスバーの上記外部接続端子が上記載置面に載置され、複数の上記外部接続端子が上記積層方向に配列していることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0010】
上記電力変換装置においては、2つのパワー端子を有する半導体モジュールを上記積層方向に1列に配列してある。このようにすると、上記幅方向における積層体の長さが短くなり、積層方向における積層体の長さが長くなる。また、上記電力変換装置では、複数の外部接続端子を上記積層方向に配列しているため、端子台の積層方向長さは長くなりやすい。そのため、半導体モジュールを一列に配列して積層体の積層方向長さを長くしても、端子台の積層方向長さが長いため、電力変換装置全体の積層方向長さは長くなりにくい。また、半導体モジュールを一列に配列したことによって積層体の幅方向の長さが短くなるため、電力変換装置を全体として小型化しやすくなる。
【0011】
以上のごとく、本発明によれば、小型化が可能な電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における、電力変換装置の平面図であって、図2のB−B断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1に示す電力変換装置から負極バスバー、交流バスバー、端子台を取り除いた状態における平面図。
【図4】図3に示す電力変換装置から正極バスバーを取り除いた状態における平面図。
【図5】実施例1における、電力変換装置の回路図。
【図6】実施例2における、電力変換装置の平面図であって、図7のD−D断面図。
【図7】図6のC−C断面図。
【図8】従来例における、電力変換装置の平面図。
【図9】図8に示す電力変換装置から正極バスバーおよび負極バスバーを取り除いた状態における平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上記電力変換装置において、上記積層体に対して上記パワー端子の突出側に平滑用のコンデンサが配置され、該コンデンサの2つの端子が上記載置面に載置され、上記コンデンサの2つの端子と複数の上記外部接続端子とが上記積層方向に配列していてもよい(請求項2)。
この場合には、積層方向における端子台の長さが特に長くなりやすい。そのため、上述のように半導体モジュールを一列に配列することにより、積層体の積層方向長さを長くしつつ、積層体の上記幅方向長さを短くし、電力変換装置全体の小型化を図った場合の効果が大きい。
【0014】
また、上記複数のパワー端子には、上記正極バスバーに接続される正極端子と、上記負極バスバーに接続される負極端子と、上記交流バスバーに接続される交流端子とがあり、上記正極端子と上記負極端子とが、上記積層方向に交互に配置されていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、2つの正極端子の間に負極端子が介在するので、積層方向における、2つの正極端子の間隔を広くすることができる。そのため、正極バスバーに形成された、正極端子に接続するための部位(端子接続部)の、積層方向における間隔を広くすることができる。この間隔が狭いと、金属板を加工して正極バスバーを製造する際に加工が難しくなり、正極バスバーを製造しにくくなるが、上述のように2つの端子接続部の間隔を広くすることにより、金属板の加工を容易に行うことが可能になる。
また、上記構成にすると、積層方向における、2つの負極端子の間隔をも広くすることができる。そのため、正極バスバーと同様に、負極バスバーも容易に製造することが可能になる。
【0015】
また、個々の上記交流バスバーは、上記積層方向に隣り合う2本の上記交流端子に接続していることが好ましい(請求項4)。
この場合には、交流バスバーが、互いに近い位置にある2本の交流端子に接続するため、交流バスバーのうち、交流端子に接続する2つの部分(上記端子接続部)を連結する箇所の、積層方向における長さを短くすることができる。そのため、交流バスバーを構成する金属材料の使用量を少なくすることができ、交流バスバーの製造コストを下げることができる。
【0016】
また、個々の上記交流バスバーは、上記パワー端子に接続する端子接続部を備え、該端子接続部と上記外部接続端子との間に、上記積層方向に延出する延出部が形成されており、上記複数の交流バスバーは、それぞれ同一形状に形成されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、交流バスバーの形状を1種類にすることができるため、交流バスバーの製造コストを低減することができる。すなわち、上記延出部は、上記端子接続部と上記外部接続端子との、積層方向における位置をずらすために形成されているのであるが、この延出部を形成すると、積層方向における積層体の長さが短い場合(図9参照)には、交流バスバー同士が接触しやすくなる。そのため、この場合には、複数の交流バスバーの形状を互いに異ならせて、交流バスバー同士の接触を防止する必要が生じる。
しかしながら、上述のように複数の半導体モジュールを一列に配列することによって、積層方向における積層体の長さを長くすれば、上記延出部を形成しても交流バスバー同士が接触しにくくなるので、複数の交流バスバーを全て同一形状にすることができる。そのため、交流バスバーの製造コストを低減でき、電力変換装置の製造コストを低減することが可能になる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、図1〜図5を用いて説明する。本例の電力変換装置1は、図1、図2に示すごとく、複数の半導体モジュール2と複数の冷媒流路11とを積層した積層体10を備える。半導体モジュール2は、半導体素子23(図5参照)を内蔵した本体部20を備える。この本体部20からパワー端子21が突出している。冷媒流路11は冷却管110の内部に形成されている。冷媒流路11には、冷媒14が流れる。
【0018】
パワー端子21には、複数のバスバー(後述する正極バスバー3a、負極バスバー3b、交流バスバー4)が接続している。
積層体10の積層方向(X方向)とパワー端子21の突出方向(Z方向)との双方に直交する幅方向(Y方向)において、積層体10に隣接する位置に端子台5が設けられている。端子台5は、バスバー4の外部接続端子40を載置する載置面50を有する。
バスバーには、直流電流が流れる正極バスバー3aおよび負極バスバー3bと、交流電流が流れる複数の交流バスバー4とがある。
【0019】
図1に示すごとく、複数の半導体モジュール2は上記積層方向(X方向)に一列に配列している。個々の半導体モジュール2は、上記幅方向(Y方向)に並んだ2本のパワー端子21を有する。
Y方向における、端子台5を設けた側とは反対側においてX方向に配列した複数のパワー端子21a,21bに、正極バスバー3aと負極バスバー3bとが接続している。正極バスバー3aと負極バスバー3bとは上記突出方向(Z方向)に所定間隔をおいて対向配置されている。
また、図1、図2に示すごとく、Y方向における、端子台5を設けた側においてX方向に配列した複数のパワー端子21cに、複数の交流バスバー4(4a〜4c)が接続している。個々の交流バスバー4の外部接続端子40は載置面50に載置されている。そして、複数の外部接続端子40がX方向に配列している。
【0020】
本例の積層体10は、図1に示すごとく、平面視四角形状を呈するフレーム6内に固定されている。端子台5はフレーム6に取り付けられている。端子台5は、X方向に細長い直方体形状を呈する。端子台5とフレーム6の、X方向における長さは略等しい。また、端子台5の載置面50には、3個の外部接続端子40と、コンデンサ7の2個の端子71,72とが載置されている。全ての外部接続端子40と端子71,72はX方向に配列している。
【0021】
パワー端子21には、正極バスバー3aに接続した正極端子21aと、負極バスバー3bに接続した負極端子21bと、交流バスバー4に接続した交流端子21cとがある。本例では、正極端子21aと負極端子21bとがX方向に交互に配置されている。
【0022】
また、図2に示すごとく、半導体モジュール2は、パワー端子21の他に制御端子22を備える。制御端子22は制御回路基板16に接続されている。制御回路基板16に形成された制御回路が半導体モジュール2のスイッチング動作を制御することにより、電力変換装置1は、正極端子21aと負極端子21bとの間に印加される直流電圧を交流電圧に変換し、交流端子21cから出力している。
【0023】
図1に示すごとく、複数の半導体モジュール2のうちの一部は、正極端子21aと交流端子21cを有し、他の一部は負極端子21bと交流端子21cを有する。そして、正極端子21aを有する半導体モジュール2と、負極端子21bを有する半導体モジュール2とを交互に配置することにより、正極端子21aと負極端子21bとを交互に配置してある。
【0024】
図3に示すごとく、正極バスバー3aは、板状本体部32と、該板状本体部32からY方向に延出した端子接続部33と、コンデンサ7(図2参照)に接続するためのコンデンサ接続部36とを備える。図1に示すごとく、負極バスバー3bも同様に、板状本体部34と、該板状本体部34に形成された端子接続部35と、コンデンサ7に接続するためのコンデンサ接続部37とを備える。図2に示すごとく、正極バスバー3aと負極バスバー3bとは、互いに平行に配置されると共に、Z方向に所定間隔をおいて対向配置されている。また、正極バスバー3aの一部は、絶縁樹脂からなる封止部材31によって封止されている。この封止部材31の表面に負極バスバー3bを載置して固定してある。
【0025】
フレーム6は、Z方向に突出した複数の支柱60を備える。この支柱60にコンデンサ7が取り付けられている。コンデンサ7は、バスバー3a,3bに接続するためのバスバー接続部73と、直流電源8(図5参照)に接続するための端子71,72とを備える。バスバー接続部73は、バスバー3a,3bの上記コンデンサ接続部36,37にボルト締結されている。端子71,72は上述したように、端子台5の載置面50に載置してある。
【0026】
また、図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は3本の交流バスバー4(4a〜4c)を備える。交流バスバー4の外部接続端子40は、3相交流電圧のU相、V相、W相の出力端子となっている。個々の交流バスバー4は、2個の端子接続部41と、連結部42と、突出部43と、延出部44と、端子形成部45とを備える。端子接続部41は、交流端子21cに接続している。連結部41は、2個の端子接続部41を連結している。突部43は、連結部42からY方向における端子台5を配置した側に突出している。また、延出部44は、突出部43からX方向に延出している。端子形成部45は、延出部44から端子台5までY方向に延びている。端子形成部45の先端は上記外部接続端子40になっている。
【0027】
交流バスバー4の端子接続部41は、複数の交流端子21cのうち、X方向に隣り合う2個の交流端子21cに接続している。また、3本の交流バスバー4は、それぞれ同一形状に形成されている。3本の交流バスバー4のうち2本の交流バスバー4(4b,4c)には、電流センサ15が取り付けられている。電流センサ15はホール素子からなる。図2に示すごとく、本例では、電流センサ15と制御回路基板16とをワイヤ17によって接続してある。電流センサ15によって交流バスバー4に流れる電流を検出し、その検出値を、制御回路基板16が半導体モジュール2の動作を制御する際に利用している。
【0028】
Z方向から見た場合に、電流センサ15は、端子台5とフレーム6との間に配されている。また、電流センサ15はY方向に貫通した2つの貫通孔150を備える。交流バスバー4b,4cの端子形成部45は、この貫通孔150に挿入されている。
【0029】
交流バスバー4の外部接続端子40には、Z方向に貫通したボルト挿通孔49が形成されている。また、端子台5にはナット55がインサートしてある。三相交流モータ80(図5参照)の電源端子(図示しない)を外部接続端子40に重ね合わせ、ボルト挿通孔49にボルトを挿入してナット55に螺合することにより、上記電源端子と外部接続端子40とを接続するようになっている。
【0030】
また、図4に示すごとく、複数の冷却管110は、Y方向における両端部にて、連結管18によって接続されている。複数の冷却管110のうち、X方向における一端に位置する冷却管110aには、冷媒14を導入するための導入パイプ12と、冷媒14を導出するための導出パイプ13とが取り付けられている。導入パイプ12から冷媒14を導入すると、冷媒14は連結管18を通って全ての冷却管110内を流れ、導出パイプ13から導出する。これにより、半導体モジュール2を冷却するようになっている。
【0031】
フレーム6の、X方向に直交する2つの壁部62,63のうち、一方の壁部62と積層体10との間には、弾性部材19(板ばね)が設けられている。この弾性部材19の弾性力を使って、積層体10を他方の壁部63に向けて押圧している。これにより、冷却管110と半導体モジュール2との接触圧を確保しつつ、積層体10をフレーム6内に固定している。
なお、本例では一方の壁部62と積層体10との間に弾性部材19を配置したが、他方の壁部63と積層体10との間に弾性部材19を配置してもよい。この場合は、積層体10は一方の壁部62に向けて押圧されることになる。
【0032】
次に、電力変換装置1の電気回路の説明をする。図5に示すごとく、本例の電力変換装置1は6個の半導体素子23(IGBT素子)を備える。個々の半導体素子23は、半導体モジュール2の本体部20(図1参照)内に封止されている。半導体素子23には、正極バスバー3aに接続した上アーム側半導体素子23aと、負極バスバー3bに接続した下アーム側半導体素子23bとがある。上アーム側半導体素子23aのコレクタ端子は正極端子21aに接続しており、下アーム側半導体素子23bのエミッタ端子は負極端子21bに接続している。また、上アーム側半導体素子23aのエミッタ端子と下アーム側半導体素子23bのコレクタ端子は、それぞれ交流端子21cに接続している。
【0033】
正極バスバー3aと負極バスバー3bは、それぞれ直流電源8に接続している。また、交流バスバー4は、三相交流モータ80に接続している。そして、半導体素子23のゲート端子(制御端子22)に接続した制御回路基板16(図2参照)によって半導体素子23のスイッチング動作を制御することにより、直流電源8の直流電力を交流電力に変換し、この交流電力を使って三相交流モータ80を駆動している。
【0034】
本例の作用効果について説明する。本例では図1に示すごとく、2つのパワー端子21を有する半導体モジュール2をX方向に1列に配列してある。このようにすると、Y方向における積層体10の長さが短くなり、X方向における積層体10の長さが長くなる。また、本例では、複数の外部接続端子40をX方向に配列しているため、X方向における端子台5の長さは長くなりやすい。そのため、半導体モジュール2を一列に配列して積層体10のX方向の長さを長くしても、端子台5のX方向の長さが元々長いため、電力変換装置1全体のX方向の長さは長くなりにくい。また、半導体モジュール2を一列に配列したことによって積層体10のY方向の長さが短くなるため、電力変換装置を全体として小型化しやすくなる。
【0035】
本例では、2本の交流バスバー4b,4cを、電流センサ15の貫通孔150に挿通してある。そのため、貫通孔150のピッチに合わせて、交流バスバー4b,4cの端子形成部45の間隔(すなわち、外部接続端子40の間隔)を長くする必要がある。そのため、X方向における端子台5の長さが長くなりやすい。したがって、上述した本例の効果を得やすい。
【0036】
また、本例では図2に示すごとく、正極バスバー3aと負極バスバー3bとを、Z方向に所定間隔をおいて対向配置してある。そのため、正極バスバー3aと負極バスバー3bに付く寄生インダクタンスを小さくすることができる。これにより、半導体素子23に加わるサージを小さくすることが可能になる。
【0037】
また、本例では図1に示すごとく、全ての交流端子21cを一列に配列してある。そのため、交流端子921c(図9参照)を二列に配列した場合と比べて、交流バスバー4の端子接続部41の、Y方向における長さを短くすることができる。これにより、交流バスバー4を構成する金属材料の使用量を少なくすることができ、交流バスバー4の製造コストを低減することが可能になる。また、交流バスバー4に付く寄生インダクタンスを小さくすることもできる。
【0038】
また、本例では図3に示すごとく、正極端子21aと負極端子21bとが、X方向に交互に配置されている。
このようにすると、2つの正極端子21aの間に負極端子21bが介在するので、X方向における、2つの正極端子21aの間隔を広くすることができる。そのため、正極バスバー3aに形成された、正極端子21aに接続するための部位(端子接続部33)の、X方向における間隔を広くすることができる。この間隔が狭いと、金属板を加工して正極バスバー3aを製造する際に加工が難しくなり、正極バスバー3aを製造しにくくなるが、上述のように2つの端子接続部33の間隔を広くすることにより、金属板の加工を容易に行うことが可能になる。
また、本例では図1に示すごとく、X方向における、2つの負極端子21bの間隔をも広くすることができる。そのため、正極バスバー3aと同様に、負極バスバー3bも容易に製造することが可能になる。
【0039】
また、本例では、コンデンサ7の2つの端子71,72と複数の外部接続端子40とが、端子台5の載置面50に載置されている。そして、2つの端子71,72と複数の外部接続端子40とが、X方向に配列している。
このようにすると、X方向における端子台5の長さが特に長くなりやすい。そのため、本例のように半導体モジュール2を一列に配列することによって、積層体10のX方向長さを長くしつつ、積層体10のY方向長さを短くし、電力変換装置1全体の小型化を図った場合の効果が大きい。
【0040】
また、本例では図1に示すごとく、個々の交流バスバー4(4a〜4c)は、X方向に隣り合う2本の交流端子21cに接続している。
このようにすると、交流バスバー4が、互いに近い位置にある2本の交流端子21cに接続するため、2つの端子接続部41間の間隔を狭くすることができ、連結部42のX方向における長さを短くすることができる。そのため、交流バスバー21cを構成する金属材料の使用量を少なくすることができ、交流バスバー21cの製造コストを下げることができる。
【0041】
また、図1に示すごとく、本例の交流バスバー4は、端子接続部41と外部接続端子40との間に、X方向に延出する延出部44を有する。複数の交流バスバー4(4a〜4c)は、それぞれ同一形状に形成されている。
このようにすると、交流バスバー4の形状を1種類にすることができるため、交流バスバー4の製造コストを低減することができる。すなわち、延出部44は、端子接続部41と外部接続端子40との、X方向における位置をずらすために形成されているのであるが、この延出部44を形成すると、X方向における積層体の長さが短い場合(図9参照)には、交流バスバー同士が接触しやすくなる。そのため、この場合には、複数の交流バスバーの形状を互いに異ならせて、交流バスバー同士の接触を防止する必要が生じる。
しかしながら、本例のように複数の半導体モジュール2を一列に配列することによって、X方向における積層体10の長さを長くすれば、延出部44を形成しても交流バスバー4同士が接触しにくくなるので、複数の交流バスバー4を全て同一形状にすることができる。そのため、交流バスバー4の製造コストを低減でき、電力変換装置1の製造コストを低減することが可能になる。
【0042】
以上のごとく、本例によれば、小型化が可能な電力変換装置を提供することができる。
【0043】
なお、本例では、冷媒流路11を冷却管110内に形成し、該冷却管110を半導体モジュール2に接触させた例を示したが、本発明の電力変換装置1はこれに限られるものではない。すなわち、例えば、上記半導体モジュール2に直接、冷媒14が接触するように冷媒流路11を設けることもできる。
【0044】
(実施例2)
本例は図6、図7に示すごとく、正極バスバー3aと、負極バスバー3bと、複数の交流バスバー4とを、絶縁樹脂製の封止部材31によって一体化した例である。本例の封止部材31は、Z方向から見た形状が略四角形状を呈する。封止部材31はフレーム6に固定されている。実施例1と同様に、本例では正極バスバー3aの一部を封止部材31によって封止してある。そして、この封止部材31に負極バスバー3bを載置し、ボルト350によって固定してある。また、交流バスバー4の端子形成部45は封止部材31によって封止されている。このようにして、正極バスバー3aと負極バスバー3bと複数の交流バスバー4とを、封止部材31を使って一体化し、一つの部品(バスバーモジュール300)にしている。
その他、実施例1と同様の構成を備える。
【0045】
本例の作用効果について説明する。本例では、複数のバスバー3a,3b,4を一体化しているので、部品点数を減らすことが可能になる。そのため、電力変換装置1の製造時における作業効率を上げることができる。
【0046】
なお、本例のように正極端子21aと負極端子21bを1列に配列すると、バスバー3a,3b,4を一体化しやすくなる。すなわち、従来の電力変換装置9(図8、図9参照)のように、正極端子921aと負極端子921bを別々に配列する場合は、正極バスバー93aと負極バスバー93bとを、交流端子921cを隠す位置に配置することが多い。その理由は、正極バスバー93aと負極バスバー93bとを、交流端子921cを隠さない位置に配置しようとすると、端子接続部933,935を長くする必要が生じ、寄生インダクタンスが大きくなる等の問題が生じるからである。このように、正極バスバー93aと負極バスバー93bとを、交流端子921cを隠す位置に配置する場合は、バスバー93a,93b,94を別体にする必要がある。つまり、電力変換装置9を製造する際に、まず交流バスバー94を交流端子921cに接続し、その後、正極バスバー93aと負極バスバー93bを配置して、これらを正極端子921aおよび負極端子921bに接続する作業を行う必要がある。
【0047】
これに対して本例では、図6に示すごとく、正極端子21aと負極端子21bとを一列に配列し、正極バスバー3aと負極バスバー3bを、積層体10に対してY方向における端子台5を設けた側とは反対側に配置している。このようにすると、正極バスバー3aおよび負極バスバー3bを、正極端子21aおよび負極端子21bの近傍に配置できるため、端子接続部33,35のY方向長さを短くすることができる。これにより、端子接続部33,35に付く寄生インダクタンスを低減することができる。また、上記構造にすると、交流バスバー4の端子接続部41と交流端子21cとが、正極バスバー3aおよび負極バスバー3bによって隠れないため、全てのパワー端子21に端子接続部33,35,41を接続する作業を一度に行うことができる。そのため、バスバー3a,3b,4を別体にする必要がなくなり、一体化することが可能になる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【符号の説明】
【0048】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
21 パワー端子
3a 正極バスバー
3b 負極バスバー
4 交流バスバー
40 外部接続端子
5 端子台
50 載置面
6 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を内蔵した本体部からパワー端子が突出した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷媒流路とを積層した積層体と、
上記パワー端子に接続した複数のバスバーと、
上記積層体の積層方向と上記パワー端子の突出方向との双方に直交する幅方向において、上記積層体に隣接する位置に設けられ、上記バスバーの外部接続端子を載置する載置面を有する端子台とを備え、
上記バスバーには、直流電流が流れる正極バスバーおよび負極バスバーと、交流電流が流れる複数の交流バスバーとがあり、
上記複数の半導体モジュールは上記積層方向に一列に配列しており、個々の上記半導体モジュールは、上記幅方向に並んだ2本の上記パワー端子を有し、
上記幅方向における、上記端子台を設けた側とは反対側において上記積層方向に配列した複数の上記パワー端子に、上記正極バスバーと上記負極バスバーとが接続し、上記正極バスバーと上記負極バスバーとは上記突出方向に所定間隔をおいて対向配置され、
上記幅方向における、上記端子台を設けた側において上記積層方向に配列した複数の上記パワー端子に、上記複数の交流バスバーが接続し、個々の上記交流バスバーの上記外部接続端子が上記載置面に載置され、複数の上記外部接続端子が上記積層方向に配列していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、上記積層体に対して上記パワー端子の突出側に平滑用のコンデンサが配置され、該コンデンサの2つの端子が上記載置面に載置され、上記コンデンサの2つの端子と複数の上記外部接続端子とが上記積層方向に配列していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電力変換装置において、上記複数のパワー端子には、上記正極バスバーに接続される正極端子と、上記負極バスバーに接続される負極端子と、上記交流バスバーに接続される交流端子とがあり、上記正極端子と上記負極端子とが、上記積層方向に交互に配置されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電力変換装置において、個々の上記交流バスバーは、上記積層方向に隣り合う2本の上記交流端子に接続していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置において、個々の上記交流バスバーは、上記パワー端子に接続する端子接続部を備え、該端子接続部と上記外部接続端子との間に、上記積層方向に延出する延出部が形成されており、上記複数の交流バスバーは、それぞれ同一形状に形成されていることを特徴とする電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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