説明

電圧制御装置、画像形成装置及び電圧制御方法

【課題】消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑える。
【解決手段】電圧制御装置100は、直流電圧を出力する電圧出力部110と、第1目標電圧よりも高い第1電圧の出力命令である第1電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1電圧を目指して昇圧させ、前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧が前記第1目標電圧に到達する前に、前記第1目標電圧の出力命令である第1目標電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1目標電圧まで昇圧させるCPU160と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御装置、画像形成装置及び電圧制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、トナー帯電や感光体のクリーニングなどの用途で、AC波形の電圧が用いられる場合がある。ここで、AC波形の電圧を出力するACトランスは高価かつ大型であるため、ACトランスよりも安価かつ小型であるDCトランスに電圧を変化させながら出力させることにより、擬似AC波形の電圧を生成する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電圧切り替え時の立ち上がり速度を向上させるため、目標電圧よりも高い電圧を目指して昇圧させ、目標電圧に到達すると当該目標電圧を維持するように電圧を制御する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、電圧の上昇が目標電圧で止まらないため、オーバーシュートが発生し、電力を余分に消費してしまうとともに、画像形成に悪影響を及ぼしてしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる電圧制御装置、画像形成装置及び電圧制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる電圧制御装置は、直流電圧を出力する電圧出力部と、第1目標電圧よりも高い第1電圧の出力命令である第1電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1電圧を目指して昇圧させ、前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧が前記第1目標電圧に到達する前に、前記第1目標電圧の出力命令である第1目標電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1目標電圧まで昇圧させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかる画像形成装置は、上記電圧制御装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかる電圧制御方法は、第1目標電圧よりも高い第1電圧の出力命令である第1電圧出力命令を出力して、直流電圧を出力する電圧出力部に前記第1電圧を目指して昇圧させる第1昇圧ステップと、前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧が前記第1目標電圧に到達する前に、前記第1目標電圧の出力命令である第1目標電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1目標電圧まで昇圧させる第2昇圧ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態の変更テーブルの一例を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態の変更テーブルの他の例を示す図である。
【図4】図4は、擬似AC波形の電圧出力手法の比較例を示す図である。
【図5】図5は、擬似AC波形の電圧出力手法の比較例を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態の擬似AC波形の電圧出力手法の例を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第2実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図9は、負荷と温度との関係の一例を示す図である。
【図10】図10は、負荷と湿度との関係の一例を示す図である。
【図11】図11は、負荷と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり時間との関係の一例を示す図である。
【図12】図12は、第2実施形態の変更テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、第2実施形態の負荷テーブルの一例を示す図である。
【図14】図14は、第2実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、第3実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図16】図16は、負荷と累積稼動時間との関係の一例を示す図である。
【図17】図17は、第3実施形態の負荷テーブルの一例を示す図である。
【図18】図18は、第3実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、第4実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図20】図20は、第4実施形態の負荷テーブルの一例を示す図である。
【図21】図21は、第4実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図22】図22は、第5実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図23】図23は、第5実施形態の変更テーブルの一例を示す図である。
【図24】図24は、擬似AC波形の電圧出力手法の比較例を示す図である。
【図25】図25は、擬似AC波形の電圧出力手法の比較例を示す図である。
【図26】図26は、第5実施形態の擬似AC波形の電圧出力手法の例を示す図である。
【図27】図27は、閾値と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度との関係を示す図である。
【図28】図28は、閾値と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度との関係を示す図である。
【図29】図29は、第5実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図30】図30は、第6実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図31】図31は、第6実施形態の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図32】図32は、第6実施形態の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図33】図33は、第6実施形態の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図34】図34は、第6実施形態の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図35】図35は、第6実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図36】図36は、第7実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図37】図37は、第7実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図38】図38は、第8実施形態の電圧制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図39】図39は、第8実施形態の電圧制御装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図40】図40は、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度との関係を示す図である。
【図41】図41は、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度との関係を示す図である。
【図42】図42は、変形例の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図43】図43は、変形例の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図44】図44は、変形例の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図45】図45は、変形例の擬似AC波形の電圧出力の制御手法の例を示す図である。
【図46】図46は、各実施形態の電圧制御装置が適用される画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる電圧制御装置、画像形成装置及び電圧制御方法の実施形態を詳細に説明する。以下の各実施形態では、画像形成装置に適用される電圧制御装置を例にとり説明するが、電圧制御装置は画像形成装置以外にも適用できる。また画像形成装置は、例えば、複写機、複合機、印刷装置、スキャナ装置、及びファクシミリ装置など画像を形成する装置であればよい。なお複合機とは、印刷機能、複写機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電圧制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、電圧制御装置100は、電圧出力部110と、負荷120と、電圧検出部130と、タイマ140と、記憶部150と、CPU(Central Processing Unit)160とを、備える。
【0013】
電圧出力部110は、負荷120に対して直流電圧を出力するものであり、例えば、DCトランスなどにより実現できる。
【0014】
負荷120は、例えば、感光体を帯電する帯電器や感光体をクリーニングするクリーニングブレードなどの負荷(抵抗/容量)であり、電圧出力部110から出力された直流電圧に基づく電力を消費する。
【0015】
電圧検出部130は、電圧出力部110から出力されている直流電圧を検出し、検出した直流電圧の電圧値をCPU160へ出力する。
【0016】
タイマ140は、時間を計測するハードウェアである。なおタイマ140を、後述のCPU160がソフトウェア的に実現してもよい。
【0017】
記憶部150は、電圧制御装置100で実行される各種プログラムや各種処理に使用されるデータなどを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)などにより実現できる。記憶部150は、例えば、CPU160が電圧出力部110へ出力する電圧出力命令の変更条件を定義した変更テーブルを記憶する。なお、変更テーブルの詳細については後述する。
【0018】
CPU160(制御部の一例)は、電圧制御装置100を制御するものであり、電圧出力部110に出力させる直流電圧を制御する。
【0019】
CPU160は、第1目標電圧よりも高い第1電圧の出力命令である第1電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1電圧を目指して昇圧させる。
【0020】
そしてCPU160は、電圧出力部110から出力されている直流電圧が第1目標電圧に到達する前に、第1目標電圧の出力命令である第1目標電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1目標電圧まで昇圧させる。具体的には、CPU160は、電圧検出部130により検出された直流電圧が第1目標電圧よりも低い第1閾値電圧に到達すると、第1目標電圧出力命令を出力する。
【0021】
ここで、変更テーブルについて説明する。図2は、第1実施形態の変更テーブルの一例を示す図である。図2に示す変更テーブルでは、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミングとオーバーシュート値との関係を示している。この関係は、電圧出力部110の時定数や電圧出力部110内のトランス(図示省略)の出力特性などから定まる。図2に示す例では、第1電圧の電圧値(以下、「昇圧狙い値」と称する)が1400V、第1目標電圧の電圧値(以下、「第1目標値」と称する)が1100Vであるものとする。図2の電圧値は、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替える際の直流電圧の電圧値を示している。図2では、昇圧狙い値を第1目標値からの増分値で示しており、300Vと表記している。
【0022】
図2に示す例では、直流電圧の電圧値が1000V〜1050Vの間に第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えた場合のオーバーシュート値は0Vとなっているが、直流電圧の電圧値が1060V〜1100Vの間に第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えた場合のオーバーシュート値はそれぞれ10V〜60Vとなっている。このため、図2に示す変更テーブルでは、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング、即ち、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1050Vに到達した時点としている。
【0023】
これにより、CPU160は、図2に示す変更テーブルを用いる場合、電圧検出部130により検出された直流電圧が1050Vに到達すると、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替える。
【0024】
なお、変更テーブルは、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミングとオーバーシュート値との関係を昇圧狙い値毎に定義してもよい。図3は、第1実施形態の変更テーブルの他の例を示す図である。図3に示す例では、昇圧狙い値が1400Vの場合(300Vと表記)、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1050Vに到達した時点としており、昇圧狙い値が1300Vの場合(200Vと表記)、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1060Vに到達した時点としており、昇圧狙い値が1200Vの場合(100Vと表記)、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1070Vに到達した時点としている。
【0025】
またCPU160は、第2目標電圧よりも低い第2電圧の出力命令である第2電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2電圧を目指して降圧させる。
【0026】
そしてCPU160は、電圧出力部110から出力されている直流電圧が第2目標電圧に到達する前に、第2目標電圧の出力命令である第2目標電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2目標電圧まで降圧させる。具体的には、CPU160は、電圧検出部130により検出された直流電圧が第2目標電圧よりも低い第2閾値電圧に到達すると、第2目標電圧出力命令を出力する。
【0027】
詳細な説明は省略するが、記憶部150は、第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングとアンダーシュート値との関係を定義した変更テーブルも記憶している。従って、CPU160は、この変更テーブルを参照し、電圧検出部130により検出された直流電圧が第2閾値電圧に到達すると、第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替える。
【0028】
なおCPU160は、第1電圧出力命令を出力してから所定時間経過後に第2電圧出力命令を出力し、第2電圧出力命令を出力してから所定時間経過後に第1電圧出力命令を出力する。具体的には、CPU160は、第1電圧出力命令の出力を開始すると、タイマ140に所定時間の計測を開始させ、所定時間が計測されると、第2電圧出力命令の出力を開始する。同様に、CPU160は、第2電圧出力命令の出力を開始すると、タイマ140に所定時間の計測を開始させ、所定時間が計測されると、第1電圧出力命令の出力を開始する。これにより、CPU160は、電圧出力部110に擬似AC波形の電圧を出力させる。
【0029】
図4及び図5は、擬似AC波形の電圧出力手法の比較例を示す図である。
【0030】
図4は、最初から第1目標電圧(第1目標値)を目指して昇圧させる(最初から第2目標電圧(第2目標値)を目指して降圧させる)比較例である。この比較例では、オーバーシュート(アンダーシュート)は発生しないが、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)となるまでに時間を要してしまう。
【0031】
図5は、第1電圧(昇圧狙い値)を目指して昇圧させ、第1目標電圧(第1目標値)に到達すると、第1目標電圧に維持しようとする(第2電圧(降圧狙い値)を目指して降圧させ、第2目標電圧(第2目標値)に到達すると、第2目標電圧に維持しようとする)比較例である。この比較例では、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)となるまでの時間は早いが、オーバーシュート(アンダーシュート)が発生してしまうため、結局、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでに時間を要してしまう。
【0032】
図6は、第1実施形態の擬似AC波形の電圧出力手法の例を示す図である。第1実施形態の電圧制御装置100では、CPU160が、電圧出力部110に第1電圧(昇圧狙い値)を目指して昇圧させ、第1閾値電圧(第1閾値)に到達すると、第1目標電圧(第1目標値)を目指して昇圧させる(電圧出力部110に第2電圧(降圧狙い値)を目指して降圧させ、第2閾値電圧(第2閾値)に到達すると、第2目標電圧(第2目標値)を目指して降圧させる)。このため、第1実施形態の電圧制御装置100では、オーバーシュート(アンダーシュート)が発生せず、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間が早い。
【0033】
図7は、第1実施形態の電圧制御装置100で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0034】
まず、CPU160は、(1100+α)V出力命令(第1電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に(1100+α)V(第1電圧の一例)を目指して昇圧させる(ステップS101)。ここで、CPU160は、タイマ140に1100V制御期間(所定時間の一例)の計測を開始させる。
【0035】
続いて、CPU160は、1100V制御期間が経過したか否かを確認する(ステップS103)。1100V制御期間が経過している場合(ステップS103でYes)、ステップS111へ進む。
【0036】
1100V制御期間が経過していない場合(ステップS103でNo)、CPU160は、電圧検出部130の検出結果から、電圧出力部110が出力する直流電圧の電圧値を確認し、βV(第1閾値電圧の一例)に到達したか否かを確認する(ステップS105)。直流電圧の電圧値がβVに到達していない場合(ステップS105でNo)、ステップS103へ戻る。
【0037】
直流電圧の電圧値がβVに到達した場合(ステップS105でYes)、CPU160は、1100V出力命令(第1目標電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に1100V(第1目標電圧の一例)を目指して昇圧させる(ステップS107)。
【0038】
続いて、CPU160は、1100V制御期間の経過を待つ(ステップS109でNo)。そして、CPU160は、1100V制御期間が経過すると(ステップS109でYes)、(100−α)V出力命令(第2電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に(100−α)V(第2電圧の一例)を目指して降圧させる(ステップS111)。ここで、CPU160は、タイマ140に100V制御期間(所定時間の一例)の計測を開始させる。
【0039】
続いて、CPU160は、100V制御期間が経過したか否かを確認する(ステップS113)。100V制御期間が経過している場合(ステップS113でYes)、ステップS101へ戻る。
【0040】
100V制御期間が経過していない場合(ステップS113でNo)、CPU160は、電圧検出部130の検出結果から、電圧出力部110が出力する直流電圧の電圧値を確認し、γV(第2閾値電圧の一例)に到達したか否かを確認する(ステップS115)。直流電圧の電圧値がγVに到達していない場合(ステップS115でNo)、ステップS113へ戻る。
【0041】
直流電圧の電圧値がγVに到達した場合(ステップS115でYes)、CPU160は、100V出力命令(第2目標電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に100V(第2目標電圧の一例)を目指して降圧させる(ステップS117)。
【0042】
続いて、CPU160は、100V制御期間の経過を待ち(ステップS119でNo)、100V制御期間が経過すると(ステップS119でYes)、ステップS101へ戻る。
【0043】
以上のように第1実施形態では、CPU160は、第1電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1電圧を目指して昇圧させ、第1目標電圧に到達する前に、第1目標電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1目標電圧まで昇圧させる。このため第1実施形態によれば、オーバーシュートの発生を防ぎつつ、直流電圧を第1目標電圧に維持するまでに要する時間を短縮することができるので、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え時の立ち上がり速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0044】
同様に、CPU160は、第2電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2電圧を目指して昇圧させ、第2目標電圧に到達する前に、第2目標電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2目標電圧まで昇圧させる。このため第1実施形態によれば、アンダーシュートの発生を防ぎつつ、直流電圧を第2目標電圧に維持するまでに要する時間を短縮することができるので、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え時の立ち下がり速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0045】
従って、第1実施形態によれば、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0046】
(第2実施形態)
第2実施形態では、温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図8は、第2実施形態の電圧制御装置200の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、第2実施形態の電圧制御装置200は、記憶部250及びCPU260が第1実施形態と相違し、温湿度検知部270を更に備える。
【0048】
温湿度検知部270は、温度及び湿度の少なくとも一方を検知する。具体的には、温湿度検知部270は、電圧制御装置200が設置されている環境の温度及び湿度の少なくとも一方を検知する。
【0049】
ここで、負荷、温湿度、及び電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度の関係について説明する。
【0050】
図9は、負荷(抵抗値)と温度との関係の一例を示す図である。図9に示す例では、縦軸が負荷を示し、横軸が温度を示している。図9に示すように、温度が10℃を下回ると負荷(抵抗値)の値が急激に大きくなる。
【0051】
図10は、負荷(抵抗値)と湿度との関係の一例を示す図である。図10に示す例では、縦軸が負荷を示し、横軸が湿度を示している。図10に示すように、湿度が80%を超えると負荷(抵抗値)の値が急激に大きくなる。
【0052】
図11は、負荷(抵抗値)と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり時間との関係の一例を示す図である。図11に示す例では、負荷の値がAの場合の擬似AC波形が擬似AC波形291であり、負荷の値がB(A<B)の場合の擬似AC波形が擬似AC波形292であり、負荷の値がC(A>C)の場合の擬似AC波形が擬似AC波形293となっている。図11に示すように、負荷の値が大きくなると、電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度が遅くなり、負荷の値が小さくなると、電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度が速くなる。
【0053】
以上のように、温湿度の変化に応じて負荷の値が変化し、電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度が変化する。このため第2実施形態では、温湿度検知部270により検出された温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング(第1閾値電圧)及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミング(第2閾値電圧)を補正する。
【0054】
記憶部250は、負荷120の変化率を考慮した変更テーブル、並びに温度及び湿度の少なくとも一方と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを記憶する。
【0055】
図12は、第2実施形態の変更テーブルの一例を示す図である。図12に示す例でも、昇圧狙い値が1400V、第1目標値が1100Vであるものとする。図12に示す例では、負荷120の変化率が0.5倍の場合、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1040Vに到達した時点としており、負荷120の変化率が1倍の場合、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1050Vに到達した時点としており、負荷120の変化率が10倍の場合、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1060Vに到達した時点としており、負荷120の変化率が100倍の場合、第1閾値電圧を、直流電圧の電圧値が1070Vに到達した時点としている。
【0056】
図13は、第2実施形態の負荷テーブルの一例を示す図である。図13に示す例では、温度と負荷120の変化率との関係を定義している。図13に示すように、温度が−10℃の場合、負荷120の変化率は100倍となっており、温度が0℃の場合、負荷120の変化率は10倍となっており、温度が20、30、40℃の場合、負荷120の変化率は1倍となっており、温度が50℃の場合、負荷120の変化率は0.9倍となっており、温度が60℃の場合、負荷120の変化率を0.8倍となっている。
【0057】
CPU260は、温湿度検知部270により検知された温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、第1閾値電圧を補正する。具体的には、CPU260は、変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、温湿度検知部270により検知された温度及び湿度の少なくとも一方から、第1閾値電圧を決定する。
【0058】
例えば、CPU260は、温湿度検知部270により検知された温度が20℃の場合、図12に示す変更テーブル及び図13に示す負荷テーブルを参照して、第1閾値電圧を1050Vに決定する。また例えば、CPU260は、温湿度検知部270により検知された温度が0℃の場合、図12に示す変更テーブル及び図13に示す負荷テーブルを参照して、第1閾値電圧を1060Vに決定する。
【0059】
またCPU260は、温湿度検知部270により検知された温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、第2閾値電圧を補正する。詳細な説明は省略するが、記憶部250は、第2閾値電圧補正用の変更テーブル及び負荷テーブルも記憶している。従って、CPU260は、これらの変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、温湿度検知部270により検知された温度及び湿度の少なくとも一方から、第2閾値電圧を決定する。
【0060】
図14は、第2実施形態の電圧制御装置200で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す例では、温度に応じて第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する例について説明するが、湿度や温度及び湿度に応じて第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する場合にも同様の手法が適用できる。
【0061】
まず、CPU260は、温湿度検知部270により検知された温度を用いて、βV(第1閾値電圧の一例)を補正する(ステップS200)。
【0062】
続いて、ステップS201〜S209までの処理は、図7に示すステップS101〜S109までの処理と同様である。但し、ステップS203、ステップS209において、1100V制御期間が経過した場合(ステップS203でYes、ステップS209でYes)、ステップS210へ進む。
【0063】
1100V制御期間が経過すると(ステップS203でYes、ステップS209でYes)、CPU260は、温湿度検知部270により検知された温度を用いて、γV(第2閾値電圧の一例)を補正する(ステップS210)。
【0064】
続いて、ステップS211〜S219までの処理は、図7に示すステップS111〜S119までの処理と同様である。但し、ステップS213、ステップS219において、100V制御期間が経過した場合(ステップS213でYes、ステップS219でYes)、ステップS200へ戻る。
【0065】
以上のように第2実施形態では、CPU260は、温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する。このため第2実施形態によれば、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0066】
(第3実施形態)
第3実施形態では、累積稼動時間に応じて、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
図15は、第3実施形態の電圧制御装置300の構成の一例を示すブロック図である。図15に示すように、第3実施形態の電圧制御装置300は、タイマ340、記憶部350及びCPU360が第1実施形態と相違する。
【0068】
タイマ340(稼動時間計測部の一例)は、電圧制御装置300の稼動時間を計測する。タイマ340により計測された稼動時間の累積である累積稼動時間は、CPU360により記憶部350に記憶される。
【0069】
ここで、負荷、累積稼動時間、及び電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度の関係について説明する。
【0070】
図16は、負荷(抵抗値)と累積稼動時間との関係の一例を示す図である。図16に示す例では、縦軸が負荷を示し、横軸が累積稼動時間を示している。図16に示すように、累積稼動時間が10000Hr(時間)を超えると負荷(抵抗値)の値が急激に大きくなる。
【0071】
なお、負荷(抵抗値)と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり時間との関係は、図11と同様である。
【0072】
以上のように、累積稼動時間の変化に応じて負荷の値が変化し、電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度が変化する。このため第3実施形態では、記憶部350に記憶されている累積稼動時間に応じて、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング(第1閾値電圧)及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミング(第2閾値電圧)を補正する。
【0073】
記憶部350(累積稼動時間記憶部の一例)は、タイマ340により計測された稼動時間の累積である累積稼動時間を記憶する。また記憶部350は、負荷120の変化率を考慮した変更テーブル、及び累積稼動時間と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを記憶する。
【0074】
図17は、第3実施形態の負荷テーブルの一例を示す図である。図17に示すように、累積稼動時間が初期値(0)〜1000Hrの場合、負荷120の変化率は1倍となっており、累積稼動時間が10000Hrの場合、負荷120の変化率は10倍となっており、累積稼動時間が100000Hrの場合、負荷120の変化率は100倍となっている。
【0075】
なお、変更テーブルは、図12と同様である。
【0076】
CPU360は、記憶部350に記憶されている累積稼動時間に応じて、第1閾値電圧を補正する。具体的には、CPU360は、変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、累積稼動時間から、第1閾値電圧を決定する。
【0077】
例えば、CPU360は、累積稼動時間が1000Hrの場合、図12に示す変更テーブル及び図17に示す負荷テーブルを参照して、第1閾値電圧を1050Vに決定する。また例えば、CPU360は、累積稼動時間が10000Hrの場合、図12に示す変更テーブル及び図17に示す負荷テーブルを参照して、第1閾値電圧を1060Vに決定する。
【0078】
またCPU360は、記憶部350に記憶されている累積稼動時間に応じて、第2閾値電圧を補正する。詳細な説明は省略するが、記憶部350は、第2閾値電圧補正用の変更テーブル及び負荷テーブルも記憶している。従って、CPU360は、これらの変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、累積稼動時間から、第2閾値電圧を決定する。
【0079】
図18は、第3実施形態の電圧制御装置300で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
まず、CPU360は、記憶部350に記憶されている累積稼動時間を用いて、βV(第1閾値電圧の一例)を補正する(ステップS300)。
【0081】
続いて、ステップS301〜S309までの処理は、図7に示すステップS101〜S109までの処理と同様である。但し、ステップS303、ステップS309において、1100V制御期間が経過した場合(ステップS303でYes、ステップS309でYes)、ステップS310へ進む。
【0082】
1100V制御期間が経過すると(ステップS303でYes、ステップS309でYes)、CPU360は、記憶部350に記憶されている累積稼動時間を用いて、γV(第2閾値電圧の一例)を補正する(ステップS310)。
【0083】
続いて、ステップS311〜S319までの処理は、図7に示すステップS111〜S119までの処理と同様である。但し、ステップS313、ステップS319において、100V制御期間が経過した場合(ステップS313でYes、ステップS319でYes)、ステップS300へ戻る。
【0084】
以上のように第3実施形態では、CPU360は、累積稼動時間に応じて、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する。このため第3実施形態によれば、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0085】
(第4実施形態)
第4実施形態では、エラーが生じた電流値又は電圧値に応じて、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
図19は、第4実施形態の電圧制御装置400の構成の一例を示すブロック図である。図19に示すように、第4実施形態の電圧制御装置400は、電圧出力部410、記憶部450及びCPU460が第1実施形態と相違する。
【0087】
電圧出力部410は、負荷120に対して直流電圧を出力し、エラーが生じた電流値又は電圧値を検知する。具体的には、電圧出力部410は、負荷120との間で出力がオープン又はショートになった場合にエラーが生じた電流値又は電圧値を検知する。なお電圧出力部410は、定電圧制御を行っている場合、エラーが生じた電流値を検知し、定電流制御を行っている場合、エラーが生じた電圧値を検知する。
【0088】
記憶部450は、負荷120の変化率を考慮した変更テーブル、及びエラーが生じた電流値又は電圧値と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを記憶する。第4実施形態では、エラーが生じた電流値と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを例にとり説明するが、第4実施形態で説明する内容は、エラーが生じた電圧値と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルについても適用できる。
【0089】
図20は、第4実施形態の負荷テーブルの一例を示す図である。図20に示すように、エラーが生じた電流値が2μAの場合、負荷120の変化率は5倍となっており、エラーが生じた電流値が5μAの場合、負荷120の変化率は2倍となっており、エラーが生じた電流値が10μAの場合、負荷120の変化率は1倍となっており、エラーが生じた電流値が20μAの場合、負荷120の変化率は0.5倍となっており、エラーが生じた電流値が100μAの場合、負荷120の変化率は0.1倍となっている。
【0090】
なお、変更テーブルは、図12と同様である。
【0091】
CPU460は、電圧出力部410により検知された電流値又は電圧値に応じて、第1閾値電圧を補正する。具体的には、CPU460は、変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、エラーが生じた電流値から、第1閾値電圧を決定する。
【0092】
例えば、CPU460は、エラーが生じた電流値10μAの場合、図12に示す変更テーブル及び図20に示す負荷テーブルを参照して、第1閾値電圧を1050Vに決定する。また例えば、CPU460は、エラーが生じた電流値20μAの場合、図12に示す変更テーブル及び図20に示す負荷テーブルを参照して、第1閾値電圧を1040Vに決定する。
【0093】
またCPU360は、電圧出力部410により検知された電流値又は電圧値に応じて、第2閾値電圧を補正する。詳細な説明は省略するが、記憶部450は、第2閾値電圧補正用の変更テーブル及び負荷テーブルも記憶している。従って、CPU460は、これらの変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、エラーが生じた電流値から、第2閾値電圧を決定する。
【0094】
図21は、第4実施形態の電圧制御装置400で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、CPU460は、電圧出力部410により検知された電流値(エラー発生電流値)を用いて、βV(第1閾値電圧の一例)を補正する(ステップS400)。
【0096】
続いて、ステップS401〜S409までの処理は、図7に示すステップS101〜S109までの処理と同様である。但し、ステップS403、ステップS409において、1100V制御期間が経過した場合(ステップS403でYes、ステップS409でYes)、ステップS410へ進む。
【0097】
1100V制御期間が経過すると(ステップS403でYes、ステップS409でYes)、CPU460は、電圧出力部410により検知された電流値(エラー発生電流値)を用いて、γV(第2閾値電圧の一例)を補正する(ステップS410)。
【0098】
続いて、ステップS411〜S419までの処理は、図7に示すステップS111〜S119までの処理と同様である。但し、ステップS413、ステップS419において、100V制御期間が経過した場合(ステップS413でYes、ステップS419でYes)、ステップS400へ戻る。
【0099】
以上のように第4実施形態では、CPU460は、エラーが生じた電流値又は電圧値に応じて、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正する。このため第4実施形態によれば、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0100】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1電圧出力命令の出力時間に応じて、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるとともに、第2電圧出力命令の出力時間に応じて、第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替える例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
図22は、第5実施形態の電圧制御装置500の構成の一例を示すブロック図である。図22に示すように、第5実施形態の電圧制御装置500は、タイマ540、記憶部550、及びCPU560が第1実施形態と相違し、更に電圧検出部を備えない。
【0102】
タイマ540(命令出力時間計測部の一例)は、第1電圧出力命令の出力時間を計測する。また、タイマ540は、第2電圧出力命令の出力時間を計測する。
【0103】
記憶部550は、第1電圧出力命令の出力時間を考慮した変更テーブルを記憶する。図23は、第5実施形態の変更テーブルの一例を示す図である。図23に示す変更テーブルでは、図2に示す変更テーブルの内容に加え、第1電圧出力命令の出力時間とオーバーシュート値との関係を示している。図23に示す例では、第1電圧出力命令の出力時間が10〜15msの間に第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えた場合のオーバーシュート値は0Vとなっているが、第1電圧出力命令の出力時間が16〜30msの間に第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えた場合のオーバーシュート値はそれぞれ10V〜60Vとなっている。このため、図23に示す変更テーブルでは、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング、即ち、閾値時間を、第1電圧出力命令の出力を開始してから15ms経過した時点としている。
【0104】
CPU560は、タイマ540により計測された第1電圧出力命令の出力時間が閾値時間に到達すると、第1目標電圧出力命令を出力する。例えば、図23に示す変更テーブルを用いる場合、CPU560は、タイマ540により計測された第1電圧出力命令の出力時間が15msになると、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替える。
【0105】
またCPU560は、タイマ540により計測された第2電圧出力命令の出力時間が閾値時間に到達すると、第2目標電圧出力命令を出力する。なお、詳細な説明は省略するが、記憶部150は、第2電圧出力命令の出力時間とアンダーシュート値との関係を定義した変更テーブルも記憶している。従って、CPU560は、この変更テーブルを参照し、タイマ540により計測された第2電圧出力命令の出力時間が閾値時間に到達すると、第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替える。
【0106】
図24及び図25は、擬似AC波形の電圧出力手法の比較例を示す図である。
【0107】
図24は、最初から第1目標電圧(第1目標値)を目指して昇圧させる(最初から第2目標電圧(第2目標値)を目指して降圧させる)比較例である。この比較例では、オーバーシュート(アンダーシュート)は発生しないが、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)となるまでに時間を要してしまう。
【0108】
図25は、第1電圧(昇圧狙い値)を目指して昇圧させ、第1目標電圧(第1目標値)に到達すると、第1目標電圧に維持しようとする(第2電圧(降圧狙い値)を目指して降圧させ、第2目標電圧(第2目標値)に到達すると、第2目標電圧に維持しようとする)比較例である。この比較例では、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)となるまでの時間は早いが、オーバーシュート(アンダーシュート)が発生してしまうため、結局、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでに時間を要してしまう。
【0109】
図26は、第5実施形態の擬似AC波形の電圧出力手法の例を示す図である。第5実施形態の電圧制御装置500では、CPU560は、第1電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1電圧(昇圧狙い値)を目指して昇圧させ、第1電圧出力命令の出力時間が閾値時間になると、第1目標電圧出力命令を出力して、第1目標電圧(第1目標値)を目指して昇圧させる(第2電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2電圧(降圧狙い値)を目指して降圧させ、第2電圧出力命令の出力時間が閾値時間になると、第2目標電圧出力命令を出力して、第2目標電圧(第2目標値)を目指して降圧させる)。このため、第5実施形態の電圧制御装置500では、オーバーシュート(アンダーシュート)が発生せず、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間が早い。
【0110】
図27及び図28は、閾値と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度との関係を示す図である。
【0111】
図27に示す例では、図26に示す例よりも閾値が小さく(閾値時間が短く)なっている。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が緩くなるため、電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度も遅くなってしまう。
【0112】
図28に示す例では、図26に示す例よりも閾値が大きく(閾値時間が長く)なっている。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が急になるため、オーバーシュート/アンダーシュートが発生してしまう。
【0113】
以上より、オーバーシュート(アンダーシュート)を発生させず、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間を早くするためには、変更テーブルにおいて、閾値時間を適切な値に設定する必要がある。
【0114】
図29は、第5実施形態の電圧制御装置500で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0115】
まず、CPU560は、(1100+α)V出力命令(第1電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に(1100+α)V(第1電圧の一例)を目指して昇圧させる(ステップS501)。ここで、CPU560は、タイマ540に1100V制御期間(所定時間の一例)の計測を開始させるとともに、第1電圧出力命令の出力時間の計測を開始させる。
【0116】
続いて、CPU560は、第1電圧出力命令の出力時間が閾値時間を経過するのを待つ(ステップS503でNo)。そして、CPU560は、閾値時間を経過すると(ステップS503でYes)、1100V出力命令(第1目標電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に1100V(第1目標電圧の一例)を目指して昇圧させる(ステップS505)。
【0117】
続いて、CPU560は、1100V制御期間の経過を待つ(ステップS507でNo)。そして、CPU560は、1100V制御期間が経過すると(ステップS507でYes)、(100−α)V出力命令(第2電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に(100−α)V(第2電圧の一例)を目指して降圧させる(ステップS509)。ここで、CPU560は、タイマ540に100V制御期間(所定時間の一例)の計測を開始させるとともに、第2電圧出力命令の出力時間の計測を開始させる。
【0118】
続いて、CPU560は、第2電圧出力命令の出力時間が閾値時間を経過するのを待つ(ステップS511でNo)。そして、CPU560は、閾値時間を経過すると(ステップS511でYes)、100V出力命令(第2目標電圧出力命令の一例)を出力し、電圧出力部110に100V(第2目標電圧の一例)を目指して降圧させる(ステップS513)。
【0119】
続いて、CPU560は、100V制御期間の経過を待ち(ステップS515でNo)、100V制御期間が経過すると(ステップS515でYes)、ステップS501へ戻る。
【0120】
以上のように第5実施形態では、CPU560は、第1電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1電圧を目指して昇圧させ、閾値時間が経過すると、第1目標電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第1目標電圧まで昇圧させる。このため第5実施形態によれば、オーバーシュートの発生を防ぎつつ、直流電圧を第1目標電圧に維持するまでに要する時間を短縮することができるので、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え時の立ち上がり速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0121】
同様に、CPU560は、第2電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2電圧を目指して昇圧させ、閾値時間が経過すると、第2目標電圧出力命令を出力して、電圧出力部110に第2目標電圧まで昇圧させる。このため第5実施形態によれば、アンダーシュートの発生を防ぎつつ、直流電圧を第2目標電圧に維持するまでに要する時間を短縮することができるので、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え時の立ち下がり速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0122】
従って、第5実施形態によれば、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。また第5実施形態によれば、電圧の検出が不要となるため、省資源化及び小型化を図ることができる。
【0123】
(第6実施形態)
第6実施形態では、温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、閾値時間を補正する例について説明する。なお以下では、第5実施形態との相違点の説明を主に行い、第5実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第5実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0124】
図30は、第6実施形態の電圧制御装置600の構成の一例を示すブロック図である。図30に示すように、第6実施形態の電圧制御装置600は、記憶部650及びCPU660が第5実施形態と相違し、温湿度検知部670を更に備える。
【0125】
温湿度検知部670は、温度及び湿度の少なくとも一方を検知する。具体的には、温湿度検知部670は、電圧制御装置600が設置されている環境の温度及び湿度の少なくとも一方を検知する。
【0126】
なお、負荷、温湿度、及び電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度の関係については、第2実施形態で説明した通りである。
【0127】
記憶部650は、負荷120の変化率を考慮した変更テーブル、並びに温度及び湿度の少なくとも一方と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを記憶する。変更テーブル及び負荷テーブルの詳細な説明は省略するが、変更テーブルは、図12に示す変更テーブルと図23に示す変更テーブルとを統合したもの、即ち、図12に示す変更テーブルの内容に加え、第1電圧出力命令の出力時間とオーバーシュート値との関係を定義したテーブルとすればよい。負荷テーブルは、図13に示す負荷テーブルとすればよい。
【0128】
CPU660は、温湿度検知部670により検知された温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、閾値時間を補正する。具体的には、CPU660は、変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、温湿度検知部670により検知された温度及び湿度の少なくとも一方から、閾値時間を決定する。
【0129】
例えば、図26に示す状態から、温度及び湿度の少なくとも一方が変化し、負荷120の値が小さくなったとする。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が急になるため、CPU660は、図26に示す閾値を用いて、第1電圧出力命令から第1目標電圧出力命令への切り替え、及び第2電圧出力命令から第2目標電圧出力命令への切り替えを行うと、図31に示すように、オーバーシュート/アンダーシュートが発生してしまう。このため、CPU660は、上述した変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、閾値(閾値時間)を図26よりも小さくする。この結果、図32に示すように、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、オーバーシュート(アンダーシュート)の発生を防ぎつつ、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間を早くすることができる。
【0130】
また例えば、図26に示す状態から、温度及び湿度の少なくとも一方が変化し、負荷120の値が大きくなったとする。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が緩くなるため、CPU660は、図26に示す閾値を用いて、第1電圧出力命令から第1目標電圧出力命令への切り替え、及び第2電圧出力命令から第2目標電圧出力命令への切り替えを行うと、図33に示すように、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)となるまでに時間を要してしまう。このため、CPU660は、上述した変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、閾値(閾値時間)を図26よりも大きくする。この結果、図34に示すように、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、オーバーシュート(アンダーシュート)の発生を防ぎつつ、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間を早くすることができる。
【0131】
図35は、第6実施形態の電圧制御装置600で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図35に示す例では、温度に応じて閾値時間を補正する例について説明するが、湿度や温度及び湿度に応じて閾値時間を補正する場合にも同様の手法が適用できる。
【0132】
まず、CPU660は、温湿度検知部670により検知された温度を用いて、閾値時間を補正する(ステップS600)。
【0133】
続いて、ステップS601〜S607までの処理は、図29に示すステップS501〜S507までの処理と同様である。但し、ステップS607の後は、ステップS608へ進む。
【0134】
ステップS608では、CPU660は、温湿度検知部270により検知された温度を用いて、閾値時間を補正する(ステップS608)。
【0135】
続いて、ステップS609〜S615までの処理は、図29に示すステップS509〜S515までの処理と同様である。但し、ステップS615において、100V制御期間が経過した場合(ステップS615でYes)、ステップS600へ戻る。
【0136】
以上のように第6実施形態では、CPU660は、温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、閾値時間を補正する。このため第6実施形態によれば、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0137】
(第7実施形態)
第7実施形態では、累積稼動時間に応じて、閾値時間を補正する例について説明する。なお以下では、第5実施形態との相違点の説明を主に行い、第5実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第5実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0138】
図36は、第7実施形態の電圧制御装置700の構成の一例を示すブロック図である。図36に示すように、第7実施形態の電圧制御装置700は、タイマ740、記憶部750及びCPU760が第5実施形態と相違する。
【0139】
タイマ740(稼動時間計測部の一例)は、電圧制御装置700の稼動時間を計測する。タイマ740により計測された稼動時間の累積である累積稼動時間は、CPU760により記憶部750に記憶される。
【0140】
なお、負荷、累積稼動時間、及び電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度の関係については、第3実施形態で説明した通りである。
【0141】
記憶部750(累積稼動時間記憶部の一例)は、タイマ740により計測された稼動時間の累積である累積稼動時間を記憶する。また記憶部750は、負荷120の変化率を考慮した変更テーブル、及び累積稼動時間と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを記憶する。変更テーブル及び負荷テーブルの詳細な説明は省略するが、変更テーブルは、図12に示す変更テーブルと図23に示す変更テーブルとを統合したもの、即ち、図12に示す変更テーブルの内容に加え、第1電圧出力命令の出力時間とオーバーシュート値との関係を定義したテーブルとすればよい。負荷テーブルは、図17に示す負荷テーブルとすればよい。
【0142】
CPU760は、記憶部750に記憶されている累積稼動時間に応じて、閾値時間を補正する。具体的には、CPU760は、変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、累積稼動時間から、閾値時間を決定する。
【0143】
図37は、第7実施形態の電圧制御装置700で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0144】
まず、CPU760は、記憶部750に記憶されている累積稼動時間を用いて、閾値時間を補正する(ステップS700)。
【0145】
続いて、ステップS701〜S707までの処理は、図29に示すステップS501〜S507までの処理と同様である。但し、ステップS707の後は、ステップS708へ進む。
【0146】
ステップS708では、CPU760は、記憶部750に記憶されている累積稼動時間を用いて、閾値時間を補正する(ステップS708)。
【0147】
続いて、ステップS709〜S715までの処理は、図29に示すステップS509〜S515までの処理と同様である。但し、ステップS715において、100V制御期間が経過した場合(ステップS715でYes)、ステップS700へ戻る。
【0148】
以上のように第7実施形態では、CPU760は、累積稼動時間に応じて、閾値時間を補正する。このため第7実施形態によれば、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0149】
(第8実施形態)
第8実施形態では、エラーが生じた電流値又は電圧値に応じて、閾値時間を補正する例について説明する。なお以下では、第5実施形態との相違点の説明を主に行い、第5実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第5実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0150】
図38は、第8実施形態の電圧制御装置400の構成の一例を示すブロック図である。図38に示すように、第8実施形態の電圧制御装置800は、電圧出力部810、記憶部850及びCPU860が第5実施形態と相違する。
【0151】
電圧出力部810は、負荷120に対して直流電圧を出力し、エラーが生じた電流値又は電圧値を検知する。具体的には、電圧出力部810は、負荷120との間で出力がオープン又はショートになった場合にエラーが生じた電流値又は電圧値を検知する。なお電圧出力部810は、定電圧制御を行っている場合、エラーが生じた電流値を検知し、定電流制御を行っている場合、エラーが生じた電圧値を検知する。
【0152】
記憶部850は、負荷120の変化率を考慮した変更テーブル、及びエラーが生じた電流値又は電圧値と負荷120の変化率との関係を定義した負荷テーブルを記憶する。変更テーブル及び負荷テーブルの詳細な説明は省略するが、変更テーブルは、図12に示す変更テーブルと図23に示す変更テーブルとを統合したもの、即ち、図12に示す変更テーブルの内容に加え、第1電圧出力命令の出力時間とオーバーシュート値との関係を定義したテーブルとすればよい。負荷テーブルは、図20に示す負荷テーブルとすればよい。
【0153】
CPU860は、電圧出力部810により検知された電流値又は電圧値に応じて、閾値時間を補正する。具体的には、CPU860は、変更テーブル及び負荷テーブルを参照して、エラーが生じた電流値から、閾値時間を決定する。
【0154】
図39は、第8実施形態の電圧制御装置800で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0155】
まず、CPU860は、電圧出力部810により検知された電流値(エラー発生電流値)を用いて、閾値時間を補正する(ステップS800)。
【0156】
続いて、ステップS801〜S807までの処理は、図29に示すステップS501〜S507までの処理と同様である。但し、ステップS807の後は、ステップS808へ進む。
【0157】
ステップS808では、CPU860は、電圧出力部810により検知された電流値(エラー発生電流値)を用いて、閾値時間を補正する(ステップS808)。
【0158】
続いて、ステップS809〜S815までの処理は、図29に示すステップS509〜S515までの処理と同様である。但し、ステップS815において、100V制御期間が経過した場合(ステップS815でYes)、ステップS800へ戻る。
【0159】
以上のように第8実施形態では、CPU860は、エラーが生じた電流値又は電圧値に応じて、閾値時間を補正する。このため第8実施形態によれば、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、消費電力を抑えつつ、電圧切り替え速度を向上させるとともに、画像形成への悪影響を抑えることができる。
【0160】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記第2〜4実施形態において、第1閾値電圧及び第2閾値電圧を補正するのではなく、第1電圧及び第2電圧を補正するようにしてもよい。同様に、上記第6〜8実施形態において、閾値時間を補正するのではなく、第1電圧及び第2電圧を補正するようにしてもよい。
【0161】
図40及び図41は、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)と電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度との関係を示す図である。
【0162】
図40に示す例では、図26に示す例よりも昇圧/降圧狙い値と第1/第2目標値との差が小さくなっている。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が緩くなるため、電圧切り替え時の立ち上がり/立ち下がり速度も遅くなってしまう。
【0163】
図41に示す例では、図26に示す例よりも昇圧/降圧狙い値と第1/第2目標値との差が大きくなっている。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が急になるため、オーバーシュート/アンダーシュートが発生してしまう。
【0164】
以上より、オーバーシュート(アンダーシュート)を発生させず、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間を早くするためには、閾値時間を適切な値に設定するのではなく、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を適切な値に設定するようにしてもよい。
【0165】
この場合、例えば第6実施形態のCPU660は、温湿度検知部670により検知された温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を補正すればよい。
【0166】
例えば、図26に示す状態から、温度及び湿度の少なくとも一方が変化し、負荷120の値が小さくなったとする。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が急になるため、CPU660は、図26に示す昇圧狙い値の第1電圧出力命令から第1目標電圧出力命令への切り替え、及び図26に示す降圧狙い値の第2電圧出力命令から第2目標電圧出力命令への切り替えを行うと、図42に示すように、オーバーシュート/アンダーシュートが発生してしまう。このため、CPU660は、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を図26よりも小さくする。この結果、図43に示すように、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、オーバーシュート(アンダーシュート)の発生を防ぎつつ、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間を早くすることができる。
【0167】
また例えば、図26に示す状態から、温度及び湿度の少なくとも一方が変化し、負荷120の値が大きくなったとする。この場合、図26に示す例よりも第1/第2目標値に向かう電圧変化が緩くなるため、CPU660は、図26に示す昇圧狙い値の第1電圧出力命令から第1目標電圧出力命令への切り替え、及び図26に示す降圧狙い値の第2電圧出力命令から第2目標電圧出力命令への切り替えを行うと、図44に示すように、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)となるまでに時間を要してしまう。このため、CPU660は、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を図26よりも大きくする。この結果、図45に示すように、第1電圧出力命令を第1目標電圧出力命令に切り替えるタイミング及び第2電圧出力命令を第2目標電圧出力命令に切り替えるタイミングを最適なタイミングに維持でき、オーバーシュート(アンダーシュート)の発生を防ぎつつ、直流電圧が第1目標電圧(第2目標電圧)に維持されるまでの時間を早くすることができる。
【0168】
なお、第2実施形態のCPU260であれば、温湿度検知部270により検知された温度及び湿度の少なくとも一方に応じて、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を補正すればよい。
【0169】
また、第3実施形態のCPU360であれば、記憶部350に記憶されている累積稼動時間に応じて、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を補正すればよい。
【0170】
また、第4実施形態のCPU460であれば、電圧出力部410により検知された電流値又は電圧値に応じて、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を補正すればよい。
【0171】
また、第7実施形態のCPU760であれば、記憶部750に記憶されている累積稼動時間に応じて、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を補正すればよい。
【0172】
また、第8実施形態のCPU860であれば、電圧出力部810により検知された電流値又は電圧値に応じて、昇圧/降圧狙い値(第1電圧/第2電圧)を補正すればよい。
【0173】
(ハードウェア構成)
図46は、上記各実施形態の電圧制御装置が適用される画像形成装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0174】
図46に示すように、画像形成装置900は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、画像形成装置900全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部960には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0175】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
【0176】
CPU911は、画像形成装置900の全体制御をおこなうものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0177】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0178】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0179】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0180】
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)930、USB(Universal Serial Bus)940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
【0181】
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0182】
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【符号の説明】
【0183】
100、200、300、400、500、600、700、800 電圧制御装置
110、410、810 電圧出力部
120 負荷
130 電圧検出部
140、340、540、740 タイマ
150、250、350、450、550、650、750、850 記憶部
160、260、360、460、560、660、760、860 CPU
270、670 温湿度検知部
900 画像形成装置
910 コントローラ
911 CPU
912 システムメモリ
912a ROM
912b RAM
913 ノースブリッジ
914 サウスブリッジ
915 AGPバス
916 ASIC
917 ローカルメモリ
918 ハードディスクドライブ
920 操作表示部
930 FCU
940 USB
950 IEEE1394インタフェース
960 エンジン部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0184】
【特許文献1】特開2008−224861号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を出力する電圧出力部と、
第1目標電圧よりも高い第1電圧の出力命令である第1電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1電圧を目指して昇圧させ、前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧が前記第1目標電圧に到達する前に、前記第1目標電圧の出力命令である第1目標電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1目標電圧まで昇圧させる制御部と、
を備えることを特徴とする電圧制御装置。
【請求項2】
前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧を検出する電圧検出部を更に備え、
前記制御部は、検出された前記直流電圧が前記第1目標電圧よりも低い閾値電圧に到達すると、前記第1目標電圧出力命令を出力することを特徴とする請求項1に記載の電圧制御装置。
【請求項3】
温度及び湿度の少なくとも一方を検知する温湿度検知部を更に備え、
前記制御部は、検知された前記温度及び前記湿度の少なくとも一方に応じて、前記閾値電圧を補正することを特徴とする請求項2に記載の電圧制御装置。
【請求項4】
稼動時間を計測する稼動時間計測部と、
計測された稼動時間の累積である累積稼動時間を記憶する累積稼動時間記憶部と、を更に備え、
前記制御部は、前記累積稼動時間に応じて、前記閾値電圧を補正することを特徴とする請求項2に記載の電圧制御装置。
【請求項5】
前記電圧出力部は、エラーが生じた電流値又は電圧値を検知し、
前記制御部は、検知された前記電流値又は前記電圧値に応じて、前記閾値電圧を補正することを特徴とする請求項2に記載の電圧制御装置。
【請求項6】
前記第1電圧出力命令の出力時間を計測する命令出力時間計測部を更に備え、
前記制御部は、計測された前記出力時間が閾値時間に到達すると、前記第1目標電圧出力命令を出力することを特徴とする請求項1に記載の電圧制御装置。
【請求項7】
温度及び湿度の少なくとも一方を検知する温湿度検知部を更に備え、
前記制御部は、検知された前記温度及び前記湿度の少なくとも一方に応じて、前記閾値時間を補正することを特徴とする請求項6に記載の電圧制御装置。
【請求項8】
稼動時間を計測する稼動時間計測部と、
計測された稼動時間の累積である累積稼動時間を記憶する累積稼動時間記憶部と、を更に備え、
前記制御部は、前記累積稼動時間に応じて、前記閾値時間を補正することを特徴とする請求項6に記載の電圧制御装置。
【請求項9】
前記電圧出力部は、エラーが生じた電流値又は電圧値を検知し、
前記制御部は、検知された前記電流値又は前記電圧値に応じて、閾値時間を補正することを特徴とする請求項6に記載の電圧制御装置。
【請求項10】
温度及び湿度の少なくとも一方を検知する温湿度検知部を更に備え、
前記制御部は、検知された前記温度及び前記湿度の少なくとも一方に応じて、前記第1電圧を補正することを特徴とする請求項1、2、又は6に記載の電圧制御装置。
【請求項11】
稼動時間を計測する稼動時間計測部と、
計測された稼動時間の累積である累積稼動時間を記憶する累積稼動時間記憶部と、を更に備え、
前記制御部は、前記累積稼動時間に応じて、前記第1電圧を補正することを特徴とする請求項1、2、又は6に記載の電圧制御装置。
【請求項12】
前記電圧出力部は、エラーが生じた電流値又は電圧値を検知し、
前記制御部は、検知された前記電流値又は前記電圧値に応じて、前記第1電圧を補正することを特徴とする請求項1、2、又は6に記載の電圧制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、第2目標電圧よりも低い第2電圧の出力命令である第2電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第2電圧を目指して降圧させ、前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧が前記第2目標電圧に到達する前に、前記第2目標電圧の出力命令である第2目標電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第2目標電圧まで降圧させることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の電圧制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記第1電圧出力命令を出力してから所定時間経過後に前記第2電圧出力命令を出力し、前記第2電圧出力命令を出力してから前記所定時間経過後に前記第1電圧出力命令を出力することを特徴とする請求項13に記載の電圧制御装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1つに記載の電圧制御装置を備えることを特徴とする画像形成御置。
【請求項16】
第1目標電圧よりも高い第1電圧の出力命令である第1電圧出力命令を出力して、直流電圧を出力する電圧出力部に前記第1電圧を目指して昇圧させる第1昇圧ステップと、
前記電圧出力部から出力されている前記直流電圧が前記第1目標電圧に到達する前に、前記第1目標電圧の出力命令である第1目標電圧出力命令を出力して、前記電圧出力部に前記第1目標電圧まで昇圧させる第2昇圧ステップと、
を含むことを特徴とする電圧制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2013−61432(P2013−61432A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198849(P2011−198849)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】