説明

電子カメラ

【課題】 シャッタレリーズ時にファインダ画像が消失しないように工夫する。
【解決手段】 クイックリターンミラー23は、撮影レンズ19を通った被写体光を焦点板27に結像する第2結像位置と、CCDセンサ24の受光面25に結像する第1結像位置との間で回転する。焦点板27に結像した被写体像は、回転ミラー33及び再結像正立項光学系34により第3焦点位置35に再結像され、再結像した被写体像は接眼レンズ31で観察される。ファインダ光路内にはLCDモニタ39が配され、LCDモニタ39にはCCDセンサ24で撮像した画像が表示される。シャッタレリーズに応答してクイックリターンミラー33がミラーアップ動作すると同時に、回転ミラー33がLCDモニタ39に表示される電子画像を再結像正立光学系34に導く位置に回転してCCDセンサ24で撮像した画像がファインダ画像として視認される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズで結像した被写体像を観察する一眼レフタイプの光学ビューファインダを備えた電子カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、静止画や動画をメモリに記録する電子カメラは、撮影レンズで結像した被写体像をCMOSセンサやCCDセンサなどの固体撮像素子で撮像し、撮像した画像を外部に設けたLCDモニタにスルー表示する電子ビューファインダを備えている。
【0003】
しかし、LCDモニタは、液晶面を背後から照明するバックライトの電力消費が相当に大きい。このため、常にファインダ用の画像としてLCDモニタを使用していると電池容量がなくなり、こうなるとその後の撮影が行えなくなる。このため、予備の電池を持ち歩くか、充電式のバッテリーを用いる場合には途中で充電を行わなければならないという不便を強いられる。
【0004】
バッテリーの消耗を減らすために、電子ビューファインダを省略して、代わりに、光学ファインダを用いることが広く知られている。光学ファインダには、撮影光学系とは別に独立したタイプと、撮影レンズで結像した被写体像を観察させる一眼レフタイプのファインダとがある。前者は、撮影光軸とファインダ光軸とが大きくずれているためパララックスが生じる点、ファインダ視野を撮像画像の視野よりも小さくする必要がある点、撮影レンズの焦点距離に応じてファインダ光学系の焦点距離を変える必要がある点などの欠点が多く、したがって、後者の一眼レフタイプの光学ファインダを用いることが望まれている。
【0005】
一眼レフタイプの光学ファインダを用いた電子カメラには、写真用カメラに設けられている可動式のクイックリターンミラーを備えている(特許文献1)。クイックリターンミラーは、従来、一端がカメラボディの内部に軸着され、撮影時以外は斜めに45度傾いた状態で、撮影レンズからCCDセンサの受光面に到る撮影光路を遮蔽し、且つファインダ光路の方向に被写体光を反射している。そして、撮影時には、この一端を軸として、クリックリターンミラーの他端を45度撥ね上げるミラーアップ動作により、ファインダ光路を遮蔽し、且つ、撮影光路を形成する。
【特許文献1】特開平6−169428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような一眼レフ方式のクイックリターンミラーを用いると、シャッタレリーズの一瞬に被写体像がファインダ視野から見えなくなるという問題がある。また、バルブ撮影や動画撮影のときには、クイックリターンミラーがミラーアップ状態に保持されるため、この間、ファインダ画像を視認することができない。
【0007】
そこで、本発明では、クイックリターンミラーが跳ね上げられているときに、被写体像がファインダ視野から消えないように工夫した電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、
撮影レンズから入射する被写体光を第1の焦点位置に結像させる第1結像位置と、前記被写体光を第2の焦点位置に結像させる第2結像位置との間で移動自在に設けられ、シャッタレリーズに応答して第2結像位置から第1結像位置に移動した後に再び第2結像位置に戻る第1反射手段と;前記第2の焦点位置に結像した像を第3の焦点位置に再結像正立光学系で正立像となるように再結像するための第1光路と、前記第3の焦点位置に再結像した像を接眼レンズを通して観察させるための第2光路とを有するファインダ光学系と;前記第1の焦点位置に結像する被写体像を撮像する撮像手段と;前記第3の焦点位置に対して前記第2の焦点位置との間の光路長と同じ位置に表示面が位置するように配されており、前記撮像手段で撮像する被写体画像を前記表示面に表示する表示手段と;前記第1光路内に配され、且つ、前記表示手段に表示される画像の光を前記再結像光学系に導く電子画像表示位置と第2の焦点位置に結像した被写体像を前記再結像光学系に導く光学画像表示位置との間で移動自在となっており、前記第1反射手段が第2結像位置から第1結像位置に向けて移動し再び第2結像位置に戻るまでの間で、前記光学画像表示位置から電子画像表示位置に移動する第2反射手段と;を備えたものである。
【0009】
第1反射手段としては、クイックリターンミラーや回転ミラーを用いることができる。クイックリターンミラーは、前面を反射面とした厚みの薄い平板の一端をボディ内部に軸着し、撮影時以外は撮影光軸に対して斜めに45度傾いた状態で位置し、反射面で撮影レンズを通った被写体光をファインダ光路の方向に反射している。そして、撮影時には、前記一端の軸を中心にして反射面がほぼ水平となる第1結像位置まで撥ね上げられることにより、ファインダ光路を遮蔽し、かつ、撮影レンズを通った被写体光を第1の焦点位置に結合させる。
【0010】
回転ミラーを用いる場合には、第1及び第2の焦点位置に結像する結像面に全て平行で、かつ、被写体光の光軸と直角な方向に延びる回転軸を撮影光軸付近に設け、この回転軸を中心に90度回転させて第1及び第2結像位置との間で回転させればよい。このときの回転方向としては、一方向のみに回転するように構成してもよいし、一方向、他方向との順番に交互に回転するように構成してもよい。
【0011】
第2反射手段としては、回転ミラー、又はハーフミラーの何れかで構成してもよい。ハーフミラーを用いる場合には、光学の被写体像を観察しているときにも、この光学被写体像に表示手段に表示する画像を合成して観察させることができる。
【0012】
なお、第1反射手段が第2結像位置に移動したときに第2反射手段を電子画像表示位置に移動させる連動手段を備えるのが好適である。これによれば、第1及び第2反射手段を回転させるための駆動手段を一つにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ファインダ光路に第2反射手段を備えているため、シャッタレリーズ中に、撮影レンズを通った光学の被写体像から表示手段に表示される電子被写体画像にファインダ画像が切り替わるため、第1反射手段が第2結像位置に移動している間でもファインダから被写体を観察することができる。また、通常は光学ファインダを用い、シャッタレリーズの瞬間だけLCDモニタを駆動するため、バッテリの消耗を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の電子カメラの一実施形態を図1に示す。この電子カメラ10には、外部に、ズーム鏡筒11、操作部12、メモリカード装着用スロット13、接眼窓14、及び、バッテリー交換蓋15などが設けられている。操作部12には、モード切換ダイヤル16、ズームボタン17、及び、シャッタボタン18等がある。モード切換ダイヤル16は、スチル撮影モード、動画撮影モード、及び再生モードとのうちの何れかにモードを選択する操作部である。鏡筒11の内部には、撮影レンズ19及び可動絞りが内蔵されており、撮影レンズ19はズームボタン17の操作に連動して焦点距離が可変される。接眼窓14は、背面に設けられている。
【0015】
カメラボディの内部には、図2及び図3に示すように、撮影レンズ19を通った被写体像を第1の焦点位置21と第2の焦点位置22とに選択的に切り換えるクイックリターンミラー23が配されている。第1の焦点位置21には、CCDセンサ24の受光面25が配されている。第2の焦点位置22には、ファインダ光路26に導く被写体像を結像する焦点板27が配されている。
【0016】
クイックリターンミラー23は、前面に反射鏡28が設けられた板部材であり、一端29を軸に、第1結像位置(図3に点線で示す位置)と第2結像位置(図3に実線で示す位置)との間で回転する。第1結像位置では、反射鏡28を撮影光路から退避し、撮影レンズ19の撮影光軸19aの延長線上にある第1の焦点位置21に被写体像を結像する。第2結像位置では、撮影光軸19aに対して反射鏡28が45度の姿勢になり、撮影レンズ19とCCDセンサ24との間で撮影光軸19aに対して撮影光路を直角方向に折り曲げて、撮影光軸19a上においてクイックリターンミラー23から第1の焦点位置までの距離と同じ第2の焦点位置22に被写体像を結像する。クイックリターンミラー23は、第1駆動手段30の駆動によりシャッタレリーズに応答して第1結像位置に移動され、CCDセンサ24で被写体像を撮像した後に第2結像位置に戻される。このクイックリターンミラー23が第1反射手段を構成する。
【0017】
接眼窓14の奥には、リレーレンズである接眼レンズ31が配され、第2の焦点位置22から接眼レンズ31までのファインダ光路には、ファインダ画像切換用ミラー33、及び再結像正立光学系34が配されている。再結像正立光学系34は、入射軸に対して射出軸が平行にずれた位置に射出される1個の直角プリズムとなっており、第2の焦点位置22に結像する被写体像を、接眼レンズ31との間に設定した第3の焦点位置35に再結像させ、再結像した被写体像を接眼レンズ31によって拡大して観察させる。
【0018】
ファインダ光路26は、第1及び第2光路36,37で構成されている。第1光路36は、第2の焦点位置22に結像した被写体像を第3の焦点位置35に再結像正立光学系34で正立像となるように再結像するためのものであり、また、第2光路37は、接眼レンズ31を通して前記第3の焦点位置35に再結像した被写体像を観察させるためのものである。
【0019】
また、ファインダ光路26の近傍には、LCDモニタ39が組み込まれている。LCDモニタ39は、ファインダ光軸26a上においてファインダ画像切換用ミラー33に対して第2の焦点位置22との間の長さと同じ位置に表示面40が位置するように配されており、CCDセンサ24で撮像する被写体画像を表示面40に表示する。
【0020】
ファインダ画像切換用ミラー33は、前面に反射鏡41を設けたミラー板となっており、焦点板27から再結像正立光学系34までのファインダ光軸26a上に設けた回転軸42を中心に反射鏡41が回転自在となっている。この回転は、第2駆動手段43の駆動により,電子画像表示位置と光学画像表示位置との間で回転される。電子画像表示位置では、LCDモニタ39に表示される電子画像の光を再結像正立光学系34に導く姿勢となる。光学画像表示位置では、第2の焦点位置22に結像した光学の被写体像を再結像正立光学系34に導くように電子画像表示位置に対して90度回転した姿勢となる。光学画像表示位置から電子画像表示位置に移動するタイミングは、クイックリターンミラー23が第2結像位置から第1結像位置に向けて移動し再び第2結像位置に戻るまでの間で行われる。
【0021】
次に上記構成の作用を図4及び図5を参照しながら簡単に説明する。電子カメラ10の初期状態は、図3(A)に示すように、クイックリターンミラー23が第2結像位置となっており、また、ファインダ画像切換用ミラー33が光学画像表示位置となっている。このため、撮影レンズ19から入射した被写体光は、クイックリターンミラー23の反射鏡28で反射され、焦点板27上に像が逆さになった状態で結像する。この逆さの被写体像は、再結像正立光学系34により第3の焦点位置35に正立像として再結像され、その再結像した被写体像が接眼レンズ31で拡大して観察される。
【0022】
撮影者がシャッタボタン18を半押し操作すると、システムコントローラ50は、TTL測光及びTTL測距を実行する。TTL測光及びTTL測距は、撮影レンズ19を通った被写体光に基づいて測光と測距とを実行し、得られたAE情報とAF情報とをシステムコントローラ50に送る。システムコントローラ50は、TTL測距により得られたAF情報に基づいてフォーカスレンズ駆動部51を制御する。フォーカスレンズ駆動部51は、AF信号に基づいて撮影レンズ19のピントを被写体に合わせる。また、システムコントローラ50は、AE情報に基づいて制御絞り値とシャッタ秒時を設定する。
【0023】
なお、システムコントローラ50には、ROM52、RAM53が接続されており、また、システムコントローラ50は、メディアI/F54、画像処理部55、ビデオメモリ56、及びLCDドライバ57を制御する。ROM52には、該カメラ10の各種動作を制御するためのプログラムが記憶されており、システムコントローラ50は、そのプログラムにしたがって各部を制御する。RAM53は、AE情報などプログラム実行時に必要な各種変数などが一時的に書き込まれるワークメモリとして利用される。
【0024】
シャッタボタン18の全押し操作(シャッタレリーズ)を行うと、これに応答してシステムコントローラ50が第1駆動手段30を駆動してクイックリターンミラー23を第1結像位置に回転させる。また、このタイミングに応答してシステムコントローラ50が第2駆動手段43を駆動して、ファインダ画像切換用ミラー33を電子画像表示位置に回転させる。これにより、図3(B)に示す状態になる。
【0025】
なお、鏡筒11には絞り駆動手段59により駆動される可動絞り58が、またCCDセンサ24とクイックリターンミラー23との間にはシャッタ駆動手段60により駆動されるフォーカルプレーンシャッタ61がそれぞれ配置されている。システムコントローラ50は、シャッタレリーズに応答してクイックリターンミラー23を第1結像位置に回転させるミラーアップ動作を開始すると同時に、制御絞り値に基づいて絞り駆動手段59を制御して、可動絞り58を開放値から制御絞り値に絞り込み、その絞り位置を保持する。
【0026】
クイックリターンミラー23は、第1結像位置に回転すると、一端29を中心にして反時計方向に90度回転して撮影光路から退避する姿勢となる。そして、可動絞り58が制御絞り値に到達する所定時間経過後にシステムコントローラ50は、シャッタ秒時に基づいてシャッタ駆動手段60を駆動し、フォーカルプレーンシャッタ61を構成する先膜を走行させ、シャッタ秒時に対応した遅延時間後に後膜を走行させる。このシャッタ開中にCCDセンサ24が受光面25で被写体光を受光する。
【0027】
システムコントローラ50は、CCD駆動部62を駆動制御しており、CCD駆動部62は、CCDセンサ24を制御してシャッタ開中に蓄積した被写体光を光電変換する。変換したアナログ信号は、A/D変換器63に送られ、ここでデジタル変換されて画像データが生成される。その画像データは、バスライン64を介して画像処理部55に送られる。
【0028】
A/D変換器6 3 から送られる画像データは、画像処理部55に取り込まれ、ここでガンマ補正、ホワイトバランスの調節などが行われた後に、ビデオメモリ56にいったん書き込まれる。システムコントローラ50は、ビデオメモリ56から画像データを読み出して、これをLCDドライバ57に送るよう制御する。LCDドライバ57は、画像データをエンコードして撮像画像をLCDモニタ39に表示させる。
【0029】
なお、LCDモニタ39は、表示器とバックライト照明器とから構成されており、これらはLCDドライバ57及びシステムコントローラ50により駆動が制御されている。システムコントローラ50は、CCDセンサ24での蓄積完了後に、表示器とバックライト照明器とを消灯状態から点灯状態に切り換える。このときビデオメモリ56から読み出してエンコードした画像データが表示器に表示される。
【0030】
LCDモニタ39に表示される画像は、ファインダ画像切換用ミラー33を介して再結像正立光学系34に導かれ、再結像正立光学系34により第3の焦点位置35に結像される。この像は、LCDモニタ39に表示される電子画像となっており、この電子画像が接眼レンズ31で拡大して観察される。これにより、クイックリターンミラー23がミラーアップ動作中でもファインダ画像が消失することはない。
【0031】
また、システムコントローラ50は、画像処理部55に取り込んだ画像データを読み出し、読み出した画像データを通信I/F54を介してメモリカード70に記録する。このとき、画像データは圧縮した形態で記録される。
【0032】
フォーカルプレーンシャッタ61の後膜走行が完了した後には、CCDセンサ24の蓄積が完了し、1フレーム分の画像信号がビデオメモリ56に記憶される。LCDモニタに表示するためにビデオメモリ56から画像データを読み出した後に、システムコントローラ50は、第1駆動手段30を制御してクイックリターンミラー23を第2結像位置に回転させ、また、同時に第2駆動手段43もファインダ画像切換用ミラー33を光学画像表示位置に回転させ、さらに、同時に可動絞り58を開放値に復帰させる。そして、最後に、次の撮影準備のためにフォーカルプレーンシャッタ61をチャージアップしておく。これにより、撮像完了後には、図3(A)に示す状態に戻り、第2焦点位置に結像する被写体像(光学画像)が接眼レンズで拡大して観察される。
【0033】
なお、長時間露出で撮影するバルブ撮影や動画を撮影するときには、クイックリターンミラー23を第1結像位置に、また、ファインダ画像切換用ミラー33を電子画像表示位置にそれぞれ維持した状態で撮像する。この撮像期間中は、従来技術で説明したものではクイックリターンミラーが第1結像位置にミラーアップしたままであるため、ファインダ画像が表示されないので、そのような長時間露出での撮像モードを予めカメラに備えることができなかったのに対し、本願発明では、撮像中の画像をファインダ画像として視認させることができる。このファインダ画像は、スルー画像となるため、被写体が動体の場合、被写体像を見ながらフレーミングを変えることができ、一眼レフタイプの電子カメラ10の興趣を増すことができる。
【0034】
上記実施形態では、クイックリターンミラー23を駆動する第1駆動手段30と、ファインダ画像切換用ミラー33を駆動する第2駆動手段43との別々の駆動手段で駆動しているが、本発明ではこれに限らず、クイックリターンミラー23とファインダ画像切換用ミラー33とをギヤ列などの連動機構で連動し、1個の駆動手段でクイックリターンミラー23を駆動させ、そのクイックリターンミラー23が第2結像位置に移動したときにファインダ画像切換用ミラー33が光学画像表示位置に、また第1結像位置に移動したときには電子画像表示位置に移動するように構成してもよい。さらに、連動機構としては、ギヤ列以外に、リンク機構などを用いることができる。
【0035】
また、上記実施形態では、撮影光路にクイックリターンミラー23を設けているが、これを省略し、代わりに、図6に示すように、撮影光軸19a上にあたる中央部に軸71を備えた回転ミラー72を設けてもよい。この場合、回転ミラー72に対して第1及び第2焦点位置21,22とが対向する位置で、且つ撮影光軸19aに対して直交する位置にそれぞれ配されている。そして、シャッタレリーズに応答して図6(B)に示すように、撮影光路にある回転ミラー72が軸71を中心として反時計方向に90度回転し、また、ファインダ画像切換用ミラー33も反時計方向に90度回転する。これらの回転も連動機構により連動させるように構成するのが好適である。
【0036】
また、ファインダ画像切換用ミラー33としては、図2で説明した回転ミラーのタイプに限らず、代わりに、図7(A)に示すように、ファインダ光路上に設けたクイックリターンミラー74を採用してもよい。このクイックリターンミラー74は、一端75を中心として、第2焦点位置22に結像する光学画像を再結像正立光学系34に導く光学画像表示位置(図7(A))に示す位置)と、ファインダ光路から退避してLCDモニタ39に表示する電子画像を再結像正立光学系34に導く電子画像表示位置(図7(B))に示す位置)との間で回転する。この場合、LCDモニタ39は、再結像正立光学系34の入射軸34aの直線上に配されている。
【0037】
さらに、図7で説明したファインダ画像切換用のクイックリターンミラー74の代わりに、固定のハーフミラーを用いてもよい。ハーフミラーを用いる場合には、通常LCDモニタを構成する表示器及びバックライト照明器とをOFFしている期間中は、撮影レンズを透過した光学の被写体光がファインダ画像として視認され、表示器及びバックライト照明器とを駆動すればLCDモニタの電子画像も光学画像に合成してファインダ画像として視認させることができる。
【0038】
また、バルブ撮影や動画撮影においては、ファインダを覗くよりも外部に露呈したLCDモニタを直視するアングルの方が好適な場合がある。上記実施形態では、ファインダ画像表示用のLCDモニタ39を固定にしている。そこで、ファインダに表示面40の画像を表示する位置と、表示面40がカメラボディの外部に露呈する位置との間でLCDモニタ39を回転自在に設け、外部に露呈したときに直視モニタや自分撮りモニタとして利用することができるように構成してもよい。図2で説明した構成によれば、再結像正立光学系34の入射軸34aと射出軸34bとが水平方向にずれているため、LCDモニタ39の上がカメラボディの上面に近い構造となっている。このため、LCDモニタ39をその位置で回転させれば表示面40をボディ外部に容易に露呈させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一眼レフタイプの電子カメラを示す斜視図である。
【図2】電子カメラの撮影光路とファインダ光路との概略を示す斜視図である。
【図3】図2で説明した撮影光路とファインダ光路との概略を示す側面図であり、(A)はフレーミング時の状態、(B)は撮像時の状態を示している。
【図4】電子カメラの電気的構成を示すブロック図である。
【図5】電子カメラの動作を示すタイミングチャート図である。
【図6】撮影光路に配したクイックリターンミラーの代わりに回転ミラーを用いた他の実施形態を示す側面図であり、(A)はフレーミング時の状態、(B)は撮像時の状態を示している。
【図7】ファインダ光路に配した回転ミラーの代わりにクイックリターンミラーを用いた他の実施形態を示す側面図であり、(A)はフレーミング時の状態、(B)は撮像時の状態を示している。
【符号の説明】
【0040】
10 電子カメラ
19 撮影レンズ
23 クイックリターンミラー
24 CCDセンサ
27 焦点板
31 接眼レンズ
33 ファインダ画像切換用ミラー
34 再結像正立光学系
39 LCDモニタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズから入射する被写体光を第1の焦点位置に結像させる第1結像位置と、前記被写体光を第2の焦点位置に結像させる第2結像位置との間で移動自在に設けられ、シャッタレリーズに応答して第2結像位置から第1結像位置に移動した後に再び第2結像位置に戻る第1反射手段と、
前記第2の焦点位置に結像した像を第3の焦点位置に再結像正立光学系で正立像となるように再結像するための第1光路と、前記第3の焦点位置に再結像した像を接眼レンズを通して観察させるための第2光路とを有するファインダ光学系と、
前記第1の焦点位置に結像する被写体像を撮像する撮像手段と、
前記第3の焦点位置に対して前記第2の焦点位置までの光路長と同じ位置に表示面が位置するように配されており、前記撮像手段で撮像する被写体画像を前記表示面に表示する表示手段と、
前記第1光路内に配され、且つ、前記表示手段に表示される電子画像の光を前記再結像光学系に導く電子画像表示位置と、前記第2の焦点位置に結像した光学の被写体像を前記再結像光学系に導く光学画像表示位置との間で移動自在となっており、前記第1反射手段が第2結像位置から第1結像位置に向けて移動し再び第2結像位置に戻るまでの間で、前記光学画像表示位置から電子画像表示位置に移動する第2反射手段と、を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
前記第1反射手段の移動に連動して前記第2反射手段を移動させる連動手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子カメラ。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−72152(P2006−72152A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257684(P2004−257684)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】