電子リレー
【課題】制御部及びゲート駆動部によって消費される電力を抑制しつつ、負荷の起動時に突入電流を流しきることが可能な電子リレーを提供する。
【解決手段】商用電源6と負荷7に直列接続され、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を用いた開閉部11と、負荷の起動及び停止を制御する制御部12と、制御部12とは絶縁され、スイッチ素子のゲート電極にゲート駆動信号を出力するゲート駆動部13と、制御部12及びゲート駆動部13を動作させるための電力を確保する電源部14を備え、制御部12は、負荷7の起動時に、ゲート駆動部13に、所定時間だけスイッチ素子のゲート電極に対して、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給させる。
【解決手段】商用電源6と負荷7に直列接続され、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を用いた開閉部11と、負荷の起動及び停止を制御する制御部12と、制御部12とは絶縁され、スイッチ素子のゲート電極にゲート駆動信号を出力するゲート駆動部13と、制御部12及びゲート駆動部13を動作させるための電力を確保する電源部14を備え、制御部12は、負荷7の起動時に、ゲート駆動部13に、所定時間だけスイッチ素子のゲート電極に対して、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば照明装置など、起動時に突入電流が流れる負荷に適した電子リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、照明装置などの負荷のオン/オフを制御するために、トライアックなどの半導体スイッチ素子を開閉部とする電子リレーが用いられている。このような電子リレーは、開閉部が商用電源と負荷に対して直列に接続されている。例えば、ユーザによってスイッチの操作ハンドルが操作されると、制御部からゲート駆動信号が出力され、スイッチ素子が導通される。それによって、商用電源から負荷に電力が供給され、負荷が起動される。スイッチ素子がトライアックの場合、トライアックは自己消弧形の素子であるため、商用電源の電圧ゼロクロスにより非導通となる。そのため、制御部からは、操作ハンドルが再操作されるまで、商用電源の1/2周期ごとにゲート駆動信号が出力される。
【0003】
ところで、ユーザによって操作ハンドルが操作された直後、すなわち、負荷の起動開始時には、突入電流と呼ばれる大電流が一時的に負荷に流れる。例えば、負荷が白熱電球を用いた照明装置であると仮定すると、常温時におけるフィラメントの抵抗値は、定常点灯時における抵抗値よりも遙かに小さいため、突入電流として定常点灯時の電流値の10倍以上の電流が流れる。一方、トランジスタ特性は、例えばMOSFETに代表されるように、ゲート電圧に応じてソース−ドレイン間に流れうる電流値が制限される。そのため、仮にスイッチ素子のゲート電極に入力されるゲート駆動信号の電圧が低く、突入電流よりも小さな電流しか流し得ないとすると、操作ハンドルを操作しても直ちに照明装置は直ちには定常点灯せず、フィラメントの温度が上昇に応じて徐々に明るさを増す。そこで、操作ハンドルを操作した後、速やかに照明装置を定常点灯させるためには、負荷の起動時に突入電流をスムーズに流すように、スイッチ素子のゲート電極に印加されるゲート駆動信号の電圧を高くすればよい。しかしながら、ゲート駆動信号の電圧を高くすると、ゲート駆動部によって消費される電力が多くなる。
【0004】
上記特許文献1に記載された電子スイッチでは、制御部から出力される制御信号に応じて、ゲート駆動部が商用電源の1/2周期毎にゲート駆動信号を発生させている。このゲート駆動部は、制御部を駆動するための電力を確保するための電源と同じ電源を用いてゲート駆動信号を発生させているため、ゲート駆動信号の電圧を、負荷に流れる電流に合わせて任意に変化させることは事実上不可能である。また、特許文献1に記載された電子リレーは、商用電源と負荷に直列接続される、いわゆる2線式の電子スイッチであり、その内部電源を確保するために、常時負荷に電流を流している。照明装置が消灯しているときにも負荷には電流が流れるため、負荷が誤点灯しないようにするため、この電源確保のための電流はきわめて微弱でなければならない。従って、制御部及びゲート駆動部によって消費される電力をできるだけ少なくしたいという要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−174576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、制御部及びゲート駆動部によって消費される電力を抑制しつつ、負荷の起動時に突入電流を流しきることが可能な電子リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子リレーは、商用電源と負荷に直列接続され、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を用いた開閉部と、前記負荷の起動及び停止を制御する制御部と、前記制御部とは絶縁され、前記スイッチ素子のゲート電極にゲート駆動信号を出力するゲート駆動部と、前記制御部及び前記ゲート駆動部を動作させるための電力を確保する電源部を備え、前記制御部は、前記負荷の起動時に、前記ゲート駆動部に、所定時間だけ前記スイッチ素子のゲート電極に対して、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給させることを特徴とする。
【0008】
前記ゲート駆動部は、発光部と受光部を備えた光絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記発光部を発光させるための発光電流量を定常安定動作時よりも多く流すことが好ましい。
【0009】
前記ゲート駆動部は、トランスを備えた磁気絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記トランスの一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くすることが好ましい。
【0010】
前記スイッチ素子は、2つの縦型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することが好ましい。
【0011】
前記スイッチ素子は、2つの横型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することが好ましい。
【0012】
前記スイッチ素子は、GaN/AlGaNを用い、2つのゲート電極を備えた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子であることが好ましい。
【0013】
前記ゲート駆動部は、前記スイッチ素子のゲート電極部に蓄積された残留電荷を引き抜く電荷引き抜き部と、前記電荷引き抜き部を駆動するための駆動電源部と、前記トランスの一次巻線をスイッチングする際に前記電荷引き抜き部を動作させないための遅延回路をさらに備えたことが好ましい。
【0014】
前記電源部の出力電圧を監視する電圧監視部をさらに備え、前記制御部は、前記負荷の起動時に、定常安定動作時よりも高くした駆動信号のオンデューティを、前記電源部の出力電圧の変化に基づいて、定常安定動作時のオンデューティに変化させることが好ましい。
【0015】
前記ゲート駆動部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記ゲート電極を定電流駆動し、定常安定動作時は前記ゲート電極を定電圧駆動することが好ましい。
【0016】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が直列接続した構造を有することが好ましい。
【0017】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が並列接続した構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
トランジスタ構造を有するスイッチ素子は、ゲート駆動電圧を高くするなど、ゲート電極に入力する電力を多くするほど、より多くの電流を流す特性を有している。本発明によれば、ゲート駆動部が、負荷の起動時に、所定時間だけスイッチ素子のゲート電極に、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給するので、スイッチ素子を流れうる電流量が増加し、負荷起動時の突入電流を流しきることができる。また、所定時間経過後は、定常安定動作時に負荷に流れる電流に相応した駆動電力がスイッチ素子のゲート電極に供給されるので、制御部及びゲート駆動部によって消費される電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子リレーの構成を示す図。
【図2】2線式の電子リレーのブロック構成を示す図。
【図3】3線式の電子リレーのブロック構成を示す図。
【図4】上記電子リレーにおけるゲート駆動電力の変化を示す図。
【図5】スイッチ素子として縦型MOSFETを用いた構成例を示す図。
【図6】スイッチ素子としてGaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子を用いた構成例を示す図。
【図7】GaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子の構成を示す平面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】スイッチ素子としてGaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子を用いた構成例を示す図。
【図10】GaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子の構成を示す平面図。
【図11】図10のB−B断面図。
【図12】開閉部のスイッチ素子としてMOSFETを用い、ゲート駆動部を光絶縁方式としたゲート駆動部の構成例を示す図。
【図13】開閉部のスイッチ素子として双方向スイッチ素子を用い、ゲート駆動部を磁気絶縁方式とした構成例を示す図。
【図14】図13に示す構成例における駆動信号などの波形を示す図。
【図15】スイッチ素子のゲート電極に対して、負荷の起動後の所定時間は定電流駆動を行い、定常安定動作時は定電圧駆動を行うようにしたゲート駆動部の構成例を示す。
【図16】図15に示すゲート駆動部に、さらに残留電荷を引き抜くための電荷引き抜き部を設けた構成例を示す図。
【図17】図2に示す構成に、さらに電源部の出力電圧を監視する電圧監視部15を備えた変形例を示す図。
【図18】図17に示す構成例における駆動信号などの波形を示す図。
【図19】図9に示す構成例の変形例の構成を示す図。
【図20】図9に示す構成例の別の変形例の構成を示す図。
【図21】上記電子リレーの用途の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る電子リレー1について説明する。この電子リレー1は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を開閉部とする電子スイッチであり、例えば照明装置などの負荷の起動(オン)及び停止(オフ)を制御するために用いられる。また、電子リレー1は、電気自動車のバッテリの充放電制御のためのリレーとして、さらには工場の配電盤に組み込まれるリレーとして用いられる。図1は、この電子リレー1を建築物の壁面などに取り付けた状態を示す。電子リレー1の本体2は、建築物の壁面に設置された取り付け枠3に取り付けられ、さらに本体2に操作ハンドル4が装着される。
【0021】
電子リレー1の本体2の正面21には、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22と、操作ハンドル4と連結されるヒンジ23が設けられている。操作ハンドル4の背面41には、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22と接触するための突起42及びヒンジ23に連結されるヒンジ43が形成されている。操作ハンドル4は、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22のバネによって、通常は壁面から外向きに突出するように、通常は一方向に偏って保持されている。そして、ユーザが操作ハンドル4を操作するたびに、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22がサイクリックにオン/オフされる。
【0022】
電子リレー1の本体2の背面24には、例えばVVF(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable:600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)などの電線5の心線51が挿入されるインレット25を備えている。なお、図1では、電子リレー1として2線式のものを例示しているが、3線式のものであってもよい。電子リレー1の本体2の内部には回路基板26が設けられており、回路基板26上に開閉部、制御部、ゲート駆動部、電源部などが実装されている。
【0023】
図2は、2線式の電子リレー1のブロック構成を示す。また、図3は3線式の電子リレー1のブロック構成を示す。電子リレー1は、商用電源6と負荷7に直列接続された開閉部11と、負荷7の起動及び停止を制御する制御部12と、制御部12とは絶縁されたゲート駆動部と、制御部12及びゲート駆動部13を動作させるための電力を確保する電源部14を備える。開閉部11は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を有しており、ゲート駆動部13は、制御部12からの制御信号などに応じて、このスイッチ素子のゲート電極に入力されるゲート駆動信号を発生させる。
【0024】
図2に示す2線式の電子リレー1の場合、電源部14は、商用電源6と負荷7に直列接続された整流部14aと、負荷7への電力停止時に電力を確保するオフ電源部14bと、負荷7への電力供給時に電力を確保するオン電源部14cなどで構成されている。オフ電源部14b及びオン電源部14cの具体的な構成は上記特許文献1に詳細に示されているため、ここではその説明を省略する。一方、図3に示す3線式の電子リレー1の場合、電源部14は、整流部と電圧変換部など(図示せず)で構成され、商用電源6から常時電力を得ている。
【0025】
制御部12は、CPUなどで構成され、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22がオン又はオフされたこと又はプッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22から信号が出力されたことを検出する。プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22は、オン状態又はオフ状態を維持するような構成であってもよいし、あるいは、操作ハンドル4が操作されるたびにパルス信号を出力するような構成であってもよい。
【0026】
開閉部11を構成するスイッチ素子は特に限定されず、トライアックなどの双方向スイッチ素子であってもよいし、サイリスタやMOSFETなどの一方向性スイッチ素子を2つ組み合わせて構成してもよい。MOSFETの場合、ゲート駆動信号の電圧が高くなるほど、ドレイン−ソース間に流れうる電流値が高くなる特性を有している。図4に、この電子リレー1におけるゲート駆動電力の変化を示す。本実施形態では、負荷7の起動時に、スイッチ素子のゲート電極に対して、一定時間、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給し、それによってスイッチ素子を流れうる電流量を増加させ、負荷起動時の突入電流を流しきるようにしている。また、所定時間経過後は、定常安定動作時に負荷に流れる電流に相応した駆動電力をスイッチ素子のゲート電極に供給し、それによって制御部12及びゲート駆動部13によって消費される電力を抑制している。
【0027】
図5は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子として、2つの縦型MOSFETQ1,Q2を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構成例を示す。この場合、ゲート駆動部13は、2つの縦型MOSFETQ1,Q2の中間の電圧を基準にして、電圧信号、すなわちゲート駆動信号の電圧を制御して、開閉部11の開閉制御を行う。
【0028】
図6は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子として、GaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子101を2つ直列接続した構成例を示す。この場合も、ゲート駆動部13は、2つのスイッチ素子101の中間の電圧を基準にして、電圧信号、すなわちゲート駆動信号の電圧を制御して、開閉部11の開閉制御を行う。このスイッチ素子101は、横型のシングルゲートトランジスタ素子であり、図7はスイッチ素子101の構成を示す平面図であり、図8はそのA−A断面図である。
【0029】
図8に示すように、スイッチ素子101の基板120は、基材層101aと、基材層101aの上に積層されたGaN層101b及びAlGaN層101cで構成されている。このスイッチ素子101では、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図7に示すように、基板120の表面120dには、電源6又は負荷7に対して接続される第1電極D1及び第2電極D2と、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、ゲート電極Gが積層形成されている。ゲート電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1電極D1及び第2電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及びゲート電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状を有している。
【0030】
図7に示すように、第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列されている。また、中間電位部Sの対応部分及びゲート電極Gの対応部分は、それぞれ第1電極D1の電極部111及び第2電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112と中間電位部Sの対応部分及びゲート電極Gの対応部分の距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及びゲート電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
【0031】
第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部S及びこの中間電位部Sに接続され、中間電位部Sに対して制御を行うためのゲート電極Gが、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。そのため、例えば第1電極D1が高電位側、第2電極D2が低電位側である場合、スイッチ素子101がオフ、すなわちゲート電極Gに0Vの信号が印加されたときには、少なくとも第1電極D1と、ゲート電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される。すなわち、ゲート電極Gの直下で電流が阻止される。一方、スイッチ素子101がオンの時、すなわちゲート電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときは、図7中矢印で示すように、第1電極D1、中間電位部S、第2電極D2の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。
【0032】
このように、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部Sを形成したので、ゲート電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、スイッチ素子101を確実にオン/オフさせることができる。その結果、スイッチ素子の低オン抵抗を実現することができる。そして、このスイッチ素子101を用いて開閉部11を構成することにより、制御信号の基準(GND)を中間電位部Sと同電位とすることで、数Vの制御信号で駆動される制御部12によって、高電圧の商用電源6を直接制御することができる。また、チャネル層としてヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している横型のトランジスタ素子においては、素子を非導通にさせる閾値電圧の高電位化と導通時のオン抵抗は相反関係にある。そのため、閾値電圧を低くすることができることは、オン抵抗を低く維持することができることにつながり、電子リレー1の小型高容量化を実現することができる。
【0033】
図9は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子として、GaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300を1つだけ用いた構成例を示す。双方向スイッチ素子300は、2つのゲート電極を有しており、電源6及び負荷7に対して直列に接続される。図10は双方向スイッチ素子300の構成を示す平面図であり、図11はそのB−B断面図である。
【0034】
図11に示すように、双方向スイッチ素子300は、基板表面上に形成された第1電極D1及び第2電極D2と、少なくともその一部分が基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1ゲート電極G1及び第2ゲート電極G2を備えている。また、第1ゲート電極G1と第2ゲート電極G2は、所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。耐圧を維持する箇所が、第1ゲート電極G1と第2ゲート電極G2の間の1箇所であるので、損失の少ない双方向スイッチ素子を実現することができる。この構成の双方向スイッチ素子300は、ドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ異なった駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。この双方向スイッチ素子300の等価回路は、図5に示すように、1つのMOSFETを寄生ダイオードの向きが互いに逆になるように直列接続したものとほぼ同じである。
【0035】
図12は、開閉部11のスイッチ素子として、例えば図5に示すMOSFETを用い、ゲート駆動部13を光絶縁方式とした構成例を示す。より具体的には、スイッチ素子として光MOSFETを用いており、開閉部11とゲート駆動部13が一体化されている。制御部12は、7負荷の起動時に、所定時間だけ発光素子を発光させるための発光電流量を定常安定動作時よりも多く流す。なお、スイッチ素子として、図6や図9に示すようなGaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子を用いた場合は、これらのスイッチ素子のゲート電極にフォトカプラを接続してもよい。ゲート駆動部13を光絶縁方式とし、一次側(発光素子側)の電流を制御することにより、二次側(ゲート電極側)に発生される電力を容易に制御することができる。
【0036】
図13は、開閉部11のスイッチ素子として、例えば図9に示す双方向スイッチ素子を用い、ゲート駆動部13を磁気絶縁方式とした構成例を示す。図13に示す構成例では、トランス131の一次巻線側と2つの二次巻線側が電気的に絶縁されている。トランス131の二次巻線にはダイオードブリッジなどの整流回路と整流された電圧を安定させるコンデンサなどの安定化回路が接続されている。図14は、ゲート駆動部13を磁気絶縁方式とした場合の駆動信号などの波形を示す。制御部12は、PWM制御により、負荷7の起動時に、所定時間だけトランス131の一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くする。ゲート駆動部13を磁気絶縁方式とし、トランス131の一次巻線のスイッチングデューティを制御することにより、二次巻線に発生される電力を容易に制御することができる。
【0037】
図15は、スイッチ素子のゲート電極に対して、負荷7の起動後の所定時間は定電流駆動を行い、定常安定動作時は定電圧駆動を行うようにした構成例を示す。前述のように、制御部12は、負荷7の起動時に、所定時間だけトランス131の一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くしている。すなわち、負荷7の起動後の所定時間、トランス131の二次側に流れる電流が、定常安定動作時よりも多くなり、抵抗R13による電圧降下が発生する。この抵抗R13による電圧降下がダイオードD13の順電圧よりも大きくなると、ダイオードD13にも電流が流れるので、スイッチ素子のゲート電極に流れる電流は一定になる(定電流駆動)。一方、定常安定動作時にオンデューティを低下させると、電流は抵抗R13にのみ流れ、一定の電圧がスイッチ素子のゲート電極に印加される(定電圧駆動)。このような構成にすれば、スイッチ素子のゲート電極に必要以上の電流が流れず、スイッチ素子のゲート駆動による電力消費を抑制することができる。
【0038】
図16は、図15に示すゲート駆動部13に、さらにスイッチ素子の寄生容量やゲート駆動部13を構成するコンデンサなどに蓄積された残留電荷を引き抜くための電荷引き抜き部132及び電荷引き抜き部を駆動するための駆動電源部133を設けた構成例を示す。周知のように、トランジスタ構造を有するスイッチ素子は、寄生ダイオードを有しており、ゲート駆動時にこの寄生ダイオードに電荷が蓄積される。また、ゲート駆動部13もその構成部品としてコンデンサC13などを有している。ゲート駆動信号の電圧がローレベルになったとしても、これらの静電容量に蓄積された残留電荷により、すぐにはスイッチ素子のゲート電圧が下がらず、スイッチ素子は導通状態を維持する。この構成例では、商用電源のゼロクロス点で電荷引き抜き部132が作動し、スイッチ素子のゲート電極部から残留電荷を急速に引き抜き、スイッチ素子を速やかに非導通にさせることができる。電荷引き抜き部は、ノーマリー・オンのトランジスタT13を備えており、コンデンサC13に電荷が蓄積されると、トランジスタT13がオフし、電荷引き抜き部132は働かない。商用電源6の電圧が零になると(ゼロクロス点)、トランジスタT13がオンし、スイッチ素子の寄生容量やコンデンサC13に蓄積された残留電荷を速やかに引き抜く。なお、駆動電源部133は、商用電源6の1/2周期では電力が零にならないような時定数(遅延回路)を有している。
【0039】
図17は、図2に示す構成にさらに電源部14の出力電圧を監視する電圧監視部15を備えた変形例を示す。電子リレー1が、図2に示すような2線式電子リレーの場合、制御部12やゲート駆動部13を駆動するための電力は、専ら電源部14のバッファコンデンサ(図示せず)に蓄積された電荷を電源としている。電子リレー1では、負荷7の起動時に駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くしているので、その分だけ定常動作時よりも電力消費量が多く、バッファコンデンサに充電された電力が速く消費されてしまう。そこで、電源部14の出力電圧を監視する電圧監視部15をさらに設け、制御部12は、電源部14の出力電圧の変化に基づいて、負荷7の起動時に定常安定動作時よりも高くした駆動信号のオンデューティを、定常安定動作時のオンデューティに変化させる。図18に示すように、電源部14の出力電圧は、制御部12などの待機電力によって徐々に低下するが、ゲート駆動信号を発生させるときに、その消費量が増大する。従って、電源部14の出力電圧に閾値を設定し、その閾値以下になったときに、駆動信号のオンデューティを定常安定動作時の値に戻せばよい。それによって、バッファコンデンサの電力消費を抑制することができる。なお、この電圧監視部15は、3線式の電子リレーにおいても、ゲート駆動信号による電力消費を低減させるために有効である。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば負荷7に電力を供給する電源は、商用電源6などの交流電源に限られることなく、直流電源であってもよい。直流電源の例としては、ソーラーパネル等を用いた太陽光発電装置などが挙げられ、このような直流電源に接続される負荷7の例としては、電気自動車用のバッテリなどが挙げられる。
【0041】
図21は、本発明に係る電子リレー1の用途の一例を示している。電子リレー1は、直流電源30と負荷7に電力を供給する電力変換回路31に直列接続され、電力変換回路31に供給する直流電力を制御するためのリレーとして機能する。このように、電子リレー1は、一般的なリレーと同様に、電力変換回路31又は直接負荷7に供給する電力を制御するためのリレーとして用いることができる。
【0042】
また、電源部14は、図2及び図3に示すように、商用電源6から常時電力を得る形態に限られることなく、別系統の電源から電力を得るように構成されていてもよい。
【0043】
また、図19は、図9に示したGaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子をスイッチ素子として用いた構成の変形例を示す。この変形例においては、トランジスタ構造のスイッチ素子に接点を有する機械式リレー(開閉素子)400が直列に接続されている。機械式リレー400は、制御部12から出力された制御信号に応じて開閉動作する。本変形例においては、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300を閉じる際には、先に開閉素子400を閉じた後、双方向スイッチ素子300を閉じる。一方、双方向スイッチ素子300を開く際には、先に双方向スイッチ素子300を開いた後、開閉素子400を開く。この変形例によれば、スイッチ素子として、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300と接点を有する開閉素子を直列接続し、両者の開閉タイミングを適宜制御することにより、開閉時のアークの発生を抑制することができる。また、電力供給遮断時における電力供給遮断部3の絶縁性を高めることができる。
【0044】
また、図20は、図9に示したGaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子をスイッチ素子として用いた構成の別の変形例を示す。この変形例においては、トランジスタ構造のスイッチ素子に接点を有する機械式リレー(開閉素子)400が並列に接続されている。機械式リレー400は、制御部12から出力された制御信号に応じて開閉動作する。本変形例においても、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300を閉じる際には、先に双方向スイッチ素子300を閉じた後、機械式リレー400を閉じる。一方、双方向スイッチ素子300を開く際には、先に機械式リレー400を開いた後、双方向スイッチ素子300を開く。この変形例によれば、スイッチ素子として、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300と接点を有する機械式リレー400を並列接続し、両者の開閉タイミングを適宜制御することにより、開閉時のアークの発生を抑制することができる。また、負荷7に大電流を流すことができる。
【0045】
また、本発明は、各構成例及び図面に記載された特徴を、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。また、開閉部11を構成するスイッチ素子の種類、制御部12及びゲート駆動部13の構成も、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 電子リレー
6 商用電源
7 負荷
11 開閉部
12 制御部
13 ゲート駆動部
14 電源部
101 GaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子
300 GaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子
Q1,Q2 MOSFET
G,G1,G2 ゲート電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば照明装置など、起動時に突入電流が流れる負荷に適した電子リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、照明装置などの負荷のオン/オフを制御するために、トライアックなどの半導体スイッチ素子を開閉部とする電子リレーが用いられている。このような電子リレーは、開閉部が商用電源と負荷に対して直列に接続されている。例えば、ユーザによってスイッチの操作ハンドルが操作されると、制御部からゲート駆動信号が出力され、スイッチ素子が導通される。それによって、商用電源から負荷に電力が供給され、負荷が起動される。スイッチ素子がトライアックの場合、トライアックは自己消弧形の素子であるため、商用電源の電圧ゼロクロスにより非導通となる。そのため、制御部からは、操作ハンドルが再操作されるまで、商用電源の1/2周期ごとにゲート駆動信号が出力される。
【0003】
ところで、ユーザによって操作ハンドルが操作された直後、すなわち、負荷の起動開始時には、突入電流と呼ばれる大電流が一時的に負荷に流れる。例えば、負荷が白熱電球を用いた照明装置であると仮定すると、常温時におけるフィラメントの抵抗値は、定常点灯時における抵抗値よりも遙かに小さいため、突入電流として定常点灯時の電流値の10倍以上の電流が流れる。一方、トランジスタ特性は、例えばMOSFETに代表されるように、ゲート電圧に応じてソース−ドレイン間に流れうる電流値が制限される。そのため、仮にスイッチ素子のゲート電極に入力されるゲート駆動信号の電圧が低く、突入電流よりも小さな電流しか流し得ないとすると、操作ハンドルを操作しても直ちに照明装置は直ちには定常点灯せず、フィラメントの温度が上昇に応じて徐々に明るさを増す。そこで、操作ハンドルを操作した後、速やかに照明装置を定常点灯させるためには、負荷の起動時に突入電流をスムーズに流すように、スイッチ素子のゲート電極に印加されるゲート駆動信号の電圧を高くすればよい。しかしながら、ゲート駆動信号の電圧を高くすると、ゲート駆動部によって消費される電力が多くなる。
【0004】
上記特許文献1に記載された電子スイッチでは、制御部から出力される制御信号に応じて、ゲート駆動部が商用電源の1/2周期毎にゲート駆動信号を発生させている。このゲート駆動部は、制御部を駆動するための電力を確保するための電源と同じ電源を用いてゲート駆動信号を発生させているため、ゲート駆動信号の電圧を、負荷に流れる電流に合わせて任意に変化させることは事実上不可能である。また、特許文献1に記載された電子リレーは、商用電源と負荷に直列接続される、いわゆる2線式の電子スイッチであり、その内部電源を確保するために、常時負荷に電流を流している。照明装置が消灯しているときにも負荷には電流が流れるため、負荷が誤点灯しないようにするため、この電源確保のための電流はきわめて微弱でなければならない。従って、制御部及びゲート駆動部によって消費される電力をできるだけ少なくしたいという要請がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−174576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、制御部及びゲート駆動部によって消費される電力を抑制しつつ、負荷の起動時に突入電流を流しきることが可能な電子リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る電子リレーは、商用電源と負荷に直列接続され、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を用いた開閉部と、前記負荷の起動及び停止を制御する制御部と、前記制御部とは絶縁され、前記スイッチ素子のゲート電極にゲート駆動信号を出力するゲート駆動部と、前記制御部及び前記ゲート駆動部を動作させるための電力を確保する電源部を備え、前記制御部は、前記負荷の起動時に、前記ゲート駆動部に、所定時間だけ前記スイッチ素子のゲート電極に対して、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給させることを特徴とする。
【0008】
前記ゲート駆動部は、発光部と受光部を備えた光絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記発光部を発光させるための発光電流量を定常安定動作時よりも多く流すことが好ましい。
【0009】
前記ゲート駆動部は、トランスを備えた磁気絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記トランスの一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くすることが好ましい。
【0010】
前記スイッチ素子は、2つの縦型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することが好ましい。
【0011】
前記スイッチ素子は、2つの横型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することが好ましい。
【0012】
前記スイッチ素子は、GaN/AlGaNを用い、2つのゲート電極を備えた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子であることが好ましい。
【0013】
前記ゲート駆動部は、前記スイッチ素子のゲート電極部に蓄積された残留電荷を引き抜く電荷引き抜き部と、前記電荷引き抜き部を駆動するための駆動電源部と、前記トランスの一次巻線をスイッチングする際に前記電荷引き抜き部を動作させないための遅延回路をさらに備えたことが好ましい。
【0014】
前記電源部の出力電圧を監視する電圧監視部をさらに備え、前記制御部は、前記負荷の起動時に、定常安定動作時よりも高くした駆動信号のオンデューティを、前記電源部の出力電圧の変化に基づいて、定常安定動作時のオンデューティに変化させることが好ましい。
【0015】
前記ゲート駆動部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記ゲート電極を定電流駆動し、定常安定動作時は前記ゲート電極を定電圧駆動することが好ましい。
【0016】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が直列接続した構造を有することが好ましい。
【0017】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が並列接続した構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
トランジスタ構造を有するスイッチ素子は、ゲート駆動電圧を高くするなど、ゲート電極に入力する電力を多くするほど、より多くの電流を流す特性を有している。本発明によれば、ゲート駆動部が、負荷の起動時に、所定時間だけスイッチ素子のゲート電極に、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給するので、スイッチ素子を流れうる電流量が増加し、負荷起動時の突入電流を流しきることができる。また、所定時間経過後は、定常安定動作時に負荷に流れる電流に相応した駆動電力がスイッチ素子のゲート電極に供給されるので、制御部及びゲート駆動部によって消費される電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子リレーの構成を示す図。
【図2】2線式の電子リレーのブロック構成を示す図。
【図3】3線式の電子リレーのブロック構成を示す図。
【図4】上記電子リレーにおけるゲート駆動電力の変化を示す図。
【図5】スイッチ素子として縦型MOSFETを用いた構成例を示す図。
【図6】スイッチ素子としてGaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子を用いた構成例を示す図。
【図7】GaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子の構成を示す平面図。
【図8】図7のA−A断面図。
【図9】スイッチ素子としてGaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子を用いた構成例を示す図。
【図10】GaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子の構成を示す平面図。
【図11】図10のB−B断面図。
【図12】開閉部のスイッチ素子としてMOSFETを用い、ゲート駆動部を光絶縁方式としたゲート駆動部の構成例を示す図。
【図13】開閉部のスイッチ素子として双方向スイッチ素子を用い、ゲート駆動部を磁気絶縁方式とした構成例を示す図。
【図14】図13に示す構成例における駆動信号などの波形を示す図。
【図15】スイッチ素子のゲート電極に対して、負荷の起動後の所定時間は定電流駆動を行い、定常安定動作時は定電圧駆動を行うようにしたゲート駆動部の構成例を示す。
【図16】図15に示すゲート駆動部に、さらに残留電荷を引き抜くための電荷引き抜き部を設けた構成例を示す図。
【図17】図2に示す構成に、さらに電源部の出力電圧を監視する電圧監視部15を備えた変形例を示す図。
【図18】図17に示す構成例における駆動信号などの波形を示す図。
【図19】図9に示す構成例の変形例の構成を示す図。
【図20】図9に示す構成例の別の変形例の構成を示す図。
【図21】上記電子リレーの用途の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態に係る電子リレー1について説明する。この電子リレー1は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を開閉部とする電子スイッチであり、例えば照明装置などの負荷の起動(オン)及び停止(オフ)を制御するために用いられる。また、電子リレー1は、電気自動車のバッテリの充放電制御のためのリレーとして、さらには工場の配電盤に組み込まれるリレーとして用いられる。図1は、この電子リレー1を建築物の壁面などに取り付けた状態を示す。電子リレー1の本体2は、建築物の壁面に設置された取り付け枠3に取り付けられ、さらに本体2に操作ハンドル4が装着される。
【0021】
電子リレー1の本体2の正面21には、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22と、操作ハンドル4と連結されるヒンジ23が設けられている。操作ハンドル4の背面41には、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22と接触するための突起42及びヒンジ23に連結されるヒンジ43が形成されている。操作ハンドル4は、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22のバネによって、通常は壁面から外向きに突出するように、通常は一方向に偏って保持されている。そして、ユーザが操作ハンドル4を操作するたびに、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22がサイクリックにオン/オフされる。
【0022】
電子リレー1の本体2の背面24には、例えばVVF(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable:600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)などの電線5の心線51が挿入されるインレット25を備えている。なお、図1では、電子リレー1として2線式のものを例示しているが、3線式のものであってもよい。電子リレー1の本体2の内部には回路基板26が設けられており、回路基板26上に開閉部、制御部、ゲート駆動部、電源部などが実装されている。
【0023】
図2は、2線式の電子リレー1のブロック構成を示す。また、図3は3線式の電子リレー1のブロック構成を示す。電子リレー1は、商用電源6と負荷7に直列接続された開閉部11と、負荷7の起動及び停止を制御する制御部12と、制御部12とは絶縁されたゲート駆動部と、制御部12及びゲート駆動部13を動作させるための電力を確保する電源部14を備える。開閉部11は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を有しており、ゲート駆動部13は、制御部12からの制御信号などに応じて、このスイッチ素子のゲート電極に入力されるゲート駆動信号を発生させる。
【0024】
図2に示す2線式の電子リレー1の場合、電源部14は、商用電源6と負荷7に直列接続された整流部14aと、負荷7への電力停止時に電力を確保するオフ電源部14bと、負荷7への電力供給時に電力を確保するオン電源部14cなどで構成されている。オフ電源部14b及びオン電源部14cの具体的な構成は上記特許文献1に詳細に示されているため、ここではその説明を省略する。一方、図3に示す3線式の電子リレー1の場合、電源部14は、整流部と電圧変換部など(図示せず)で構成され、商用電源6から常時電力を得ている。
【0025】
制御部12は、CPUなどで構成され、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22がオン又はオフされたこと又はプッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22から信号が出力されたことを検出する。プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ22は、オン状態又はオフ状態を維持するような構成であってもよいし、あるいは、操作ハンドル4が操作されるたびにパルス信号を出力するような構成であってもよい。
【0026】
開閉部11を構成するスイッチ素子は特に限定されず、トライアックなどの双方向スイッチ素子であってもよいし、サイリスタやMOSFETなどの一方向性スイッチ素子を2つ組み合わせて構成してもよい。MOSFETの場合、ゲート駆動信号の電圧が高くなるほど、ドレイン−ソース間に流れうる電流値が高くなる特性を有している。図4に、この電子リレー1におけるゲート駆動電力の変化を示す。本実施形態では、負荷7の起動時に、スイッチ素子のゲート電極に対して、一定時間、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給し、それによってスイッチ素子を流れうる電流量を増加させ、負荷起動時の突入電流を流しきるようにしている。また、所定時間経過後は、定常安定動作時に負荷に流れる電流に相応した駆動電力をスイッチ素子のゲート電極に供給し、それによって制御部12及びゲート駆動部13によって消費される電力を抑制している。
【0027】
図5は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子として、2つの縦型MOSFETQ1,Q2を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構成例を示す。この場合、ゲート駆動部13は、2つの縦型MOSFETQ1,Q2の中間の電圧を基準にして、電圧信号、すなわちゲート駆動信号の電圧を制御して、開閉部11の開閉制御を行う。
【0028】
図6は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子として、GaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子101を2つ直列接続した構成例を示す。この場合も、ゲート駆動部13は、2つのスイッチ素子101の中間の電圧を基準にして、電圧信号、すなわちゲート駆動信号の電圧を制御して、開閉部11の開閉制御を行う。このスイッチ素子101は、横型のシングルゲートトランジスタ素子であり、図7はスイッチ素子101の構成を示す平面図であり、図8はそのA−A断面図である。
【0029】
図8に示すように、スイッチ素子101の基板120は、基材層101aと、基材層101aの上に積層されたGaN層101b及びAlGaN層101cで構成されている。このスイッチ素子101では、チャネル層としてAlGaN/GaNヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している。図7に示すように、基板120の表面120dには、電源6又は負荷7に対して接続される第1電極D1及び第2電極D2と、第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部Sが形成されている。さらに、中間電位部Sの上には、ゲート電極Gが積層形成されている。ゲート電極Gとして、例えばショットキ電極を用いる。第1電極D1及び第2電極D2は、それぞれ互いに平行に配列された複数の電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・を有する櫛歯状であり、櫛歯状に配列された電極部同士が互いに対向するように配置されている。中間電位部S及びゲート電極Gは、櫛歯状に配列された電極部111,112,113・・・及び121,122,123・・・の間にそれぞれ配置されており、電極部の間に形成される空間の平面形状に相似した形状を有している。
【0030】
図7に示すように、第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112は、それらの幅方向における中心線が同一線上に位置するように配列されている。また、中間電位部Sの対応部分及びゲート電極Gの対応部分は、それぞれ第1電極D1の電極部111及び第2電極D2の電極部121の配列に対して平行に設けられている。上記幅方向における第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112と中間電位部Sの対応部分及びゲート電極Gの対応部分の距離は、所定の耐電圧を維持しうる距離に設定されている。上記幅方向に直交する方向、すなわち第1電極D1の電極部111と第2電極D2の電極部112の長手方向においても同様である。また、これらの関係は、その他の電極部112及び122,113及び123・・・についても同様である。すなわち、中間電位部S及びゲート電極Gは、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。
【0031】
第1電極D1の電位及び第2電極D2の電位に対して中間電位となる中間電位部S及びこの中間電位部Sに接続され、中間電位部Sに対して制御を行うためのゲート電極Gが、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。そのため、例えば第1電極D1が高電位側、第2電極D2が低電位側である場合、スイッチ素子101がオフ、すなわちゲート電極Gに0Vの信号が印加されたときには、少なくとも第1電極D1と、ゲート電極G及び中間電位部Sの間で、電流は確実に遮断される。すなわち、ゲート電極Gの直下で電流が阻止される。一方、スイッチ素子101がオンの時、すなわちゲート電極Gに所定の閾値以上の電圧の信号が印加されたときは、図7中矢印で示すように、第1電極D1、中間電位部S、第2電極D2の経路で電流が流れる。逆の場合も同様である。
【0032】
このように、第1電極D1及び第2電極D2に対して所定の耐電圧を維持しうる位置に中間電位部Sを形成したので、ゲート電極Gに印加する信号の閾値電圧を必要最低限のレベルまで低下させても、スイッチ素子101を確実にオン/オフさせることができる。その結果、スイッチ素子の低オン抵抗を実現することができる。そして、このスイッチ素子101を用いて開閉部11を構成することにより、制御信号の基準(GND)を中間電位部Sと同電位とすることで、数Vの制御信号で駆動される制御部12によって、高電圧の商用電源6を直接制御することができる。また、チャネル層としてヘテロ界面に生じる2次元電子ガス層を利用している横型のトランジスタ素子においては、素子を非導通にさせる閾値電圧の高電位化と導通時のオン抵抗は相反関係にある。そのため、閾値電圧を低くすることができることは、オン抵抗を低く維持することができることにつながり、電子リレー1の小型高容量化を実現することができる。
【0033】
図9は、トランジスタ構造を有するスイッチ素子として、GaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300を1つだけ用いた構成例を示す。双方向スイッチ素子300は、2つのゲート電極を有しており、電源6及び負荷7に対して直列に接続される。図10は双方向スイッチ素子300の構成を示す平面図であり、図11はそのB−B断面図である。
【0034】
図11に示すように、双方向スイッチ素子300は、基板表面上に形成された第1電極D1及び第2電極D2と、少なくともその一部分が基板表面上に形成され、それぞれ独立した制御信号が入力される第1ゲート電極G1及び第2ゲート電極G2を備えている。また、第1ゲート電極G1と第2ゲート電極G2は、所定の耐電圧を維持しうる位置に配置されている。耐圧を維持する箇所が、第1ゲート電極G1と第2ゲート電極G2の間の1箇所であるので、損失の少ない双方向スイッチ素子を実現することができる。この構成の双方向スイッチ素子300は、ドレイン電極D1,D2の電圧を基準として制御する必要があり、2つのゲート電極G1,G2にそれぞれ異なった駆動信号を入力する必要がある(そのため、デュアルゲートトランジスタ構造と呼ぶ)。この双方向スイッチ素子300の等価回路は、図5に示すように、1つのMOSFETを寄生ダイオードの向きが互いに逆になるように直列接続したものとほぼ同じである。
【0035】
図12は、開閉部11のスイッチ素子として、例えば図5に示すMOSFETを用い、ゲート駆動部13を光絶縁方式とした構成例を示す。より具体的には、スイッチ素子として光MOSFETを用いており、開閉部11とゲート駆動部13が一体化されている。制御部12は、7負荷の起動時に、所定時間だけ発光素子を発光させるための発光電流量を定常安定動作時よりも多く流す。なお、スイッチ素子として、図6や図9に示すようなGaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子を用いた場合は、これらのスイッチ素子のゲート電極にフォトカプラを接続してもよい。ゲート駆動部13を光絶縁方式とし、一次側(発光素子側)の電流を制御することにより、二次側(ゲート電極側)に発生される電力を容易に制御することができる。
【0036】
図13は、開閉部11のスイッチ素子として、例えば図9に示す双方向スイッチ素子を用い、ゲート駆動部13を磁気絶縁方式とした構成例を示す。図13に示す構成例では、トランス131の一次巻線側と2つの二次巻線側が電気的に絶縁されている。トランス131の二次巻線にはダイオードブリッジなどの整流回路と整流された電圧を安定させるコンデンサなどの安定化回路が接続されている。図14は、ゲート駆動部13を磁気絶縁方式とした場合の駆動信号などの波形を示す。制御部12は、PWM制御により、負荷7の起動時に、所定時間だけトランス131の一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くする。ゲート駆動部13を磁気絶縁方式とし、トランス131の一次巻線のスイッチングデューティを制御することにより、二次巻線に発生される電力を容易に制御することができる。
【0037】
図15は、スイッチ素子のゲート電極に対して、負荷7の起動後の所定時間は定電流駆動を行い、定常安定動作時は定電圧駆動を行うようにした構成例を示す。前述のように、制御部12は、負荷7の起動時に、所定時間だけトランス131の一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くしている。すなわち、負荷7の起動後の所定時間、トランス131の二次側に流れる電流が、定常安定動作時よりも多くなり、抵抗R13による電圧降下が発生する。この抵抗R13による電圧降下がダイオードD13の順電圧よりも大きくなると、ダイオードD13にも電流が流れるので、スイッチ素子のゲート電極に流れる電流は一定になる(定電流駆動)。一方、定常安定動作時にオンデューティを低下させると、電流は抵抗R13にのみ流れ、一定の電圧がスイッチ素子のゲート電極に印加される(定電圧駆動)。このような構成にすれば、スイッチ素子のゲート電極に必要以上の電流が流れず、スイッチ素子のゲート駆動による電力消費を抑制することができる。
【0038】
図16は、図15に示すゲート駆動部13に、さらにスイッチ素子の寄生容量やゲート駆動部13を構成するコンデンサなどに蓄積された残留電荷を引き抜くための電荷引き抜き部132及び電荷引き抜き部を駆動するための駆動電源部133を設けた構成例を示す。周知のように、トランジスタ構造を有するスイッチ素子は、寄生ダイオードを有しており、ゲート駆動時にこの寄生ダイオードに電荷が蓄積される。また、ゲート駆動部13もその構成部品としてコンデンサC13などを有している。ゲート駆動信号の電圧がローレベルになったとしても、これらの静電容量に蓄積された残留電荷により、すぐにはスイッチ素子のゲート電圧が下がらず、スイッチ素子は導通状態を維持する。この構成例では、商用電源のゼロクロス点で電荷引き抜き部132が作動し、スイッチ素子のゲート電極部から残留電荷を急速に引き抜き、スイッチ素子を速やかに非導通にさせることができる。電荷引き抜き部は、ノーマリー・オンのトランジスタT13を備えており、コンデンサC13に電荷が蓄積されると、トランジスタT13がオフし、電荷引き抜き部132は働かない。商用電源6の電圧が零になると(ゼロクロス点)、トランジスタT13がオンし、スイッチ素子の寄生容量やコンデンサC13に蓄積された残留電荷を速やかに引き抜く。なお、駆動電源部133は、商用電源6の1/2周期では電力が零にならないような時定数(遅延回路)を有している。
【0039】
図17は、図2に示す構成にさらに電源部14の出力電圧を監視する電圧監視部15を備えた変形例を示す。電子リレー1が、図2に示すような2線式電子リレーの場合、制御部12やゲート駆動部13を駆動するための電力は、専ら電源部14のバッファコンデンサ(図示せず)に蓄積された電荷を電源としている。電子リレー1では、負荷7の起動時に駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くしているので、その分だけ定常動作時よりも電力消費量が多く、バッファコンデンサに充電された電力が速く消費されてしまう。そこで、電源部14の出力電圧を監視する電圧監視部15をさらに設け、制御部12は、電源部14の出力電圧の変化に基づいて、負荷7の起動時に定常安定動作時よりも高くした駆動信号のオンデューティを、定常安定動作時のオンデューティに変化させる。図18に示すように、電源部14の出力電圧は、制御部12などの待機電力によって徐々に低下するが、ゲート駆動信号を発生させるときに、その消費量が増大する。従って、電源部14の出力電圧に閾値を設定し、その閾値以下になったときに、駆動信号のオンデューティを定常安定動作時の値に戻せばよい。それによって、バッファコンデンサの電力消費を抑制することができる。なお、この電圧監視部15は、3線式の電子リレーにおいても、ゲート駆動信号による電力消費を低減させるために有効である。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態の記載に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば負荷7に電力を供給する電源は、商用電源6などの交流電源に限られることなく、直流電源であってもよい。直流電源の例としては、ソーラーパネル等を用いた太陽光発電装置などが挙げられ、このような直流電源に接続される負荷7の例としては、電気自動車用のバッテリなどが挙げられる。
【0041】
図21は、本発明に係る電子リレー1の用途の一例を示している。電子リレー1は、直流電源30と負荷7に電力を供給する電力変換回路31に直列接続され、電力変換回路31に供給する直流電力を制御するためのリレーとして機能する。このように、電子リレー1は、一般的なリレーと同様に、電力変換回路31又は直接負荷7に供給する電力を制御するためのリレーとして用いることができる。
【0042】
また、電源部14は、図2及び図3に示すように、商用電源6から常時電力を得る形態に限られることなく、別系統の電源から電力を得るように構成されていてもよい。
【0043】
また、図19は、図9に示したGaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子をスイッチ素子として用いた構成の変形例を示す。この変形例においては、トランジスタ構造のスイッチ素子に接点を有する機械式リレー(開閉素子)400が直列に接続されている。機械式リレー400は、制御部12から出力された制御信号に応じて開閉動作する。本変形例においては、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300を閉じる際には、先に開閉素子400を閉じた後、双方向スイッチ素子300を閉じる。一方、双方向スイッチ素子300を開く際には、先に双方向スイッチ素子300を開いた後、開閉素子400を開く。この変形例によれば、スイッチ素子として、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300と接点を有する開閉素子を直列接続し、両者の開閉タイミングを適宜制御することにより、開閉時のアークの発生を抑制することができる。また、電力供給遮断時における電力供給遮断部3の絶縁性を高めることができる。
【0044】
また、図20は、図9に示したGaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子をスイッチ素子として用いた構成の別の変形例を示す。この変形例においては、トランジスタ構造のスイッチ素子に接点を有する機械式リレー(開閉素子)400が並列に接続されている。機械式リレー400は、制御部12から出力された制御信号に応じて開閉動作する。本変形例においても、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300を閉じる際には、先に双方向スイッチ素子300を閉じた後、機械式リレー400を閉じる。一方、双方向スイッチ素子300を開く際には、先に機械式リレー400を開いた後、双方向スイッチ素子300を開く。この変形例によれば、スイッチ素子として、トランジスタ構造の双方向スイッチ素子300と接点を有する機械式リレー400を並列接続し、両者の開閉タイミングを適宜制御することにより、開閉時のアークの発生を抑制することができる。また、負荷7に大電流を流すことができる。
【0045】
また、本発明は、各構成例及び図面に記載された特徴を、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。また、開閉部11を構成するスイッチ素子の種類、制御部12及びゲート駆動部13の構成も、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 電子リレー
6 商用電源
7 負荷
11 開閉部
12 制御部
13 ゲート駆動部
14 電源部
101 GaN/AlGaN横型トランジスタ構造のスイッチ素子
300 GaN/AlGaN横型トランジスタ構造の双方向スイッチ素子
Q1,Q2 MOSFET
G,G1,G2 ゲート電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷に直列接続され、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を用いた開閉部と、
前記負荷の起動及び停止を制御する制御部と、
前記制御部とは絶縁され、前記スイッチ素子のゲート電極にゲート駆動信号を出力するゲート駆動部とを備え、
前記制御部は、前記負荷の起動時に、前記ゲート駆動部に、所定時間だけ前記スイッチ素子のゲート電極に対して、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給させることを特徴とする電子リレー。
【請求項2】
前記ゲート駆動部は、発光部と受光部を備えた光絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、
前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記発光部を発光させるための発光電流量を定常安定動作時よりも多く流すことを特徴とする請求項1に記載の電子リレー。
【請求項3】
前記ゲート駆動部は、トランスを備えた磁気絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、
前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記トランスの一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くすることを特徴とする請求項1に記載の電子リレー。
【請求項4】
前記スイッチ素子は、2つの縦型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項5】
前記スイッチ素子は、2つの横型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項6】
前記スイッチ素子は、GaN/AlGaNを用い、2つのゲート電極を備えた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項7】
前記ゲート駆動部は、前記スイッチ素子のゲート電極部に蓄積された残留電荷を引き抜く電荷引き抜き部と、前記電荷引き抜き部を駆動するための駆動電源部と、前記トランスの一次巻線をスイッチングする際に前記電荷引き抜き部を動作させないための遅延回路をさらに備えたことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項8】
前記電源部の出力電圧を監視する電圧監視部をさらに備え、前記制御部は、前記負荷の起動時に、定常安定動作時よりも高くした駆動信号のオンデューティを、前記電源部の出力電圧の変化に基づいて、定常安定動作時のオンデューティに変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項9】
前記ゲート駆動部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記ゲート電極を定電流駆動し、定常安定動作時は前記ゲート電極を定電圧駆動することを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項10】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が直列接続した構造を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項11】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が並列接続した構造を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項1】
電源と負荷に直列接続され、トランジスタ構造を有するスイッチ素子を用いた開閉部と、
前記負荷の起動及び停止を制御する制御部と、
前記制御部とは絶縁され、前記スイッチ素子のゲート電極にゲート駆動信号を出力するゲート駆動部とを備え、
前記制御部は、前記負荷の起動時に、前記ゲート駆動部に、所定時間だけ前記スイッチ素子のゲート電極に対して、定常安定動作時よりも多くの駆動電力を供給させることを特徴とする電子リレー。
【請求項2】
前記ゲート駆動部は、発光部と受光部を備えた光絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、
前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記発光部を発光させるための発光電流量を定常安定動作時よりも多く流すことを特徴とする請求項1に記載の電子リレー。
【請求項3】
前記ゲート駆動部は、トランスを備えた磁気絶縁方式によって前記制御部と絶縁されており、
前記制御部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記トランスの一次巻線をスイッチングする駆動信号のオンデューティを定常安定動作時よりも高くすることを特徴とする請求項1に記載の電子リレー。
【請求項4】
前記スイッチ素子は、2つの縦型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項5】
前記スイッチ素子は、2つの横型構造を有するトランジスタ素子を、それらの寄生ダイオードが互いに逆向きとなるように直列接続した構造を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項6】
前記スイッチ素子は、GaN/AlGaNを用い、2つのゲート電極を備えた横型トランジスタ構造を有する双方向スイッチ素子であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項7】
前記ゲート駆動部は、前記スイッチ素子のゲート電極部に蓄積された残留電荷を引き抜く電荷引き抜き部と、前記電荷引き抜き部を駆動するための駆動電源部と、前記トランスの一次巻線をスイッチングする際に前記電荷引き抜き部を動作させないための遅延回路をさらに備えたことを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項8】
前記電源部の出力電圧を監視する電圧監視部をさらに備え、前記制御部は、前記負荷の起動時に、定常安定動作時よりも高くした駆動信号のオンデューティを、前記電源部の出力電圧の変化に基づいて、定常安定動作時のオンデューティに変化させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項9】
前記ゲート駆動部は、前記負荷の起動時に、所定時間だけ前記ゲート電極を定電流駆動し、定常安定動作時は前記ゲート電極を定電圧駆動することを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項10】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が直列接続した構造を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子リレー。
【請求項11】
前記スイッチ素子は、トランジスタ素子と、接点を有する開閉素子が並列接続した構造を有することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載の電子リレー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−129729(P2012−129729A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278316(P2010−278316)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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