説明

電子機器及びオプション基板増設方法

【課題】一度ケースのカバーを取り外して取り付ければ、必要に応じて拡張カードを拡張スロットに装着可能とすることを課題とする。
【解決手段】コントローラー基板14が収納されたケース12には、コントローラー基板14を露出させる開口部22が設けられており、この開口部22はパネル26によって閉じられている。パネル26にはスリット32が形成されており、このスリット32からライザー基板18がコネクタ16に挿抜できる。また、パネルを90度回転させると、スリット32からオプションカード42がコネクタ40に挿抜できる。これにより、コントローラー基板14にライザー基板18を増設する際や、ライザー基板18にオプションカード42を増設する際に、一度だけパネル26を取り外せばよいので、増設作業が単純化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オプション基板が実装されるコントローラー基板を搭載した電子機器と、コントローラー基板上にオプション基板を増設するオプション基板増設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリンター等に搭載されるコントローラー基板上に、拡張スロット等を実装し、この拡張スロットにオプション基板を装着させることで、プリンター等に新たな機能を追加することが可能とされている(特許文献1参照)。
【0003】
コントローラー基板はプリンター本体のケース内に収納されており、新たなオプション基板を拡張スロットに装着する毎に、プリンター本体のケースのカバーを取り外す必要がある。カバーはケースにネジ止めされており、カバーを取り外す際にネジを外す作業が発生する。また、作業中にネジを紛失してしまう等の問題点もあった。さらに、プリンターの設置場所が狭い場合には、プリンター本体を広い場所に移動してカバーを取り外すという面倒な作業が伴う。
【特許文献1】特表平8−500459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一度ケースのカバーを取り外して取り付ければ、必要に応じて拡張カードを拡張スロットに装着可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、コントローラー基板と、前記コントローラー基板に実装された第1拡張スロットと、前記第1拡張スロットに挿抜可能とされ、該第1拡張スロットに装着されることで前記コントローラー基板と電気的に接続される第1オプション基板と、前記第1オプション基板に、前記第1拡張スロットと平行に実装された第2拡張スロットと、前記第2拡張スロットに挿抜可能とされ、該第2拡張スロットに装着されることで前記第1オプション基板と電気的に接続される第2オプション基板と、を内蔵する電子機器において、前記本体に前記コントローラー基板を露出させる開口部と、前記開口部を閉じるパネルとを設け、前記パネルには前記第1拡張スロットに前記第1オプション基板を挿抜可能とする複数のスリットを形成し、このパネルを90度回転させることで、前記スリットから前記第2拡張スロットへ前記第2オプション基板を挿抜可能とすることを特徴としている。
【0006】
請求項1の発明によれば、コントローラー基板が内蔵された電子機器の本体には、コントローラー基板を露出させる開口部が設けられている。そして、この開口部は、パネルによって閉じられている。パネルにはスリットが形成されており、このスリットから第1オプション基板が第1拡張スロットに挿抜できる。また、パネルを90度回転させると、スリットから第2オプション基板が第2拡張スロットに挿抜できる。
【0007】
これにより、コントローラー基板に第1オプション基板を増設する際や、第1オプション基板に第2オプション基板を増設する際に、一度だけパネルを取り外せばよいので、第1オプション基板及び第2オプション基板の増設作業が単純化できる。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記第1拡張スロットは前記コントローラー基板に所定のピッチで複数形成され、前記第2拡張スロットは前記第1オプション基板に所定のピッチで複数形成され、前記スリットは前記第1拡張スロット及び前記第2拡張スロットの数と同じ数で且つ所定のピッチで形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、コントローラー基板には第1拡張スロットが所定のピッチで複数形成され、第1オプション基板には第2拡張スロットが所定のピッチで複数形成されている。また、第1オプション基板及び第2オプション基板が挿通されるスリットも、第1拡張スロット及び第2拡張スロットに合わせて、所定のピッチで同数形成される。したがって、パネルを90度回転させるだけで、スリットから第1拡張スロットに第1オプション基板の挿抜が可能となり、第2拡張スロットに第2オプション基板の増設が可能となる。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、コントローラー基板と、前記コントローラー基板に実装された第1拡張スロットと、前記第1拡張スロットに挿抜可能とされ、該第1拡張スロットに装着されることで前記コントローラー基板と電気的に接続される第1オプション基板と、前記第1オプション基板に、前記第1拡張スロットと平行に実装された第2拡張スロットと、前記第2拡張スロットに挿抜可能とされ、該第2拡張スロットに装着されることで前記第1オプション基板と電気的に接続される第2オプション基板と、前記コントローラー基板を露出させる開口部と、前記開口部を閉じるパネルと、を備え、前記パネルには前記第1拡張スロットに前記第1オプション基板を挿抜可能とするスリットを形成し、このパネルを90度回転させることで、前記スリットから前記第2拡張スロットへ前記第2オプション基板を挿抜可能とする電子機器のオプション基板増設方法であって、前記第1オプション基板の増設時は前記スリットの長手方向を上下に向け、前記第2オプション基板の増設時は前記パネルを90度回転させ、該スリットの長手方向を横に向けることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、コントローラー基板に第1オプション基板を増設する際は、スリットの長手方向を上下に向ける。また、第1オプション基板に第2オプション基板を増設する際は、パネルを90度回転させて、スリットの長手方向を横に向ける。これにより、第1オプション基板及び第2オプション基板の増設時に、一度だけパネルを取り外せばよいので、増設作業が単純化される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記構成としたので、一度ケースのカバーを取り外して取り付ければ、必要に応じて拡張カードを拡張スロットに装着可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の第1の実施形態に係る電子機器としてのプリンター10について説明する。
【0014】
図1には、プリンター10のコントローラー基板14が収納されたケース12が示されている。
【0015】
ケース12は矩形箱状とされ、コントローラー基板14上には、図示は省略するが、CPUやメモリ等が実装されており、さらに、所定の間隔で複数(本実施形態では3個)のコネクタ16が、長手方向を図の手前から奥側に沿うようにして、所定の間隔で3個配置されている。
【0016】
図2に示すように、コネクタ16には、ライザー基板18が装着されるようになっている。ライザー基板18の端部には、コネクタ16に嵌合されるコンタクト20が設けられている。このコンタクト20をコネクタ16に嵌合させることにより、ライザー基板18はコネクタ16に装着されて、コントローラー基板14に対して直角に配置されると共に、コントローラー基板14と電気的に接続されるようになっている。
【0017】
一方、ケース12の側壁には、ブロック19が設けられている。このブロック19には、左側のコネクタ16に装着されたライザー基板18の背面が当接するようになっている。
【0018】
また、ライザー基板18にはコネクタ40が配置されている。コネクタ40は、長手方向を図の手前から奥側に沿うようにして配置されており、コントローラー基板14に配置されたコネクタ16と同じ間隔で、3つ配置されている。
【0019】
図3に示すように、コネクタ40には、オプションカード42が装着されるようになっている。オプションカード42の端部には、コネクタ40に挿入されるコンタクト44が設けられている。このコンタクト44をコネクタ40に嵌合させることにより、オプションカード42はコネクタ40に装着されて、ライザー基板18に対して直角に配置されると共に、ライザー基板18と電気的に接続されるようになっている。このとき、オプションカード42はライザー基板18を介してコントローラー基板14に対して平行に配置されると共に、コントローラー基板14と電気的に接続される。
【0020】
一方、図1に示すように、ケース12の図の手前側壁面には、矩形状の開口部22が形成されている。開口部22の縁の四隅には、ネジ孔24が形成されており、開口部22よりも大きいサイズのパネル26の四隅のネジ孔28に挿通されたサムスクリュー30が螺合されるようになっている。これにより、パネル26によって開口部22が閉塞されるようになっている。
【0021】
パネル26には、長手方向がコントローラー基板14と直交するようにして(上下方向に)スリット32が形成されている。スリット32は、パネル26で開口部22を閉塞したときに、コントローラー基板14に実装されたコネクタ16と同じピッチで3個形成されている。また、スリット32は、ライザー基板18が挿通可能な幅とされ、スリット32からケース12の内部にライザー基板18(図2参照)を挿通させることが可能とされている。
【0022】
また、パネル26には、スリット32を開閉するための保護カバー34がヒンジ36を介して取り付けられている。これにより、スリット32の使用時(コントローラー基板14にライザー基板18を増設する際)には、保護カバー34を起立させてスリット32を開放し、スリット32の不使用時には、保護カバー34でスリット32を閉塞する。このように、スリット32を保護カバー34で閉塞可能とすることで、使用されないスリット32からケース12内に埃やゴミ等が入り込まないようにされている。
【0023】
ここで、コントローラー基板14にライザー基板18を増設する手順について説明する。
【0024】
図2(A)に示すように、ライザー基板18をコントローラー基板14上に増設する際には、保護カバー34を起立させてスリット32を開放し、ライザー基板18の一方の端部に設けられた把持部38を把持して、スリット32にライザー基板18の他方の端部を挿通する。そして、コンタクト20をコネクタ16上に位置させて、ライザー基板18を下方向に移動させることで、図2(B)に示すように、コンタクト20がコネクタ16に嵌合して、ライザー基板18がコントローラー基板14に装着される。
【0025】
このように、スリット32からライザー基板18を挿入することで、ライザー基板18をコントローラー基板14に実装されたコネクタ16に装着できる。したがって、ライザー基板18をコントローラー基板14に増設する際に、ケース12からパネル26を取り外す必要がないので、ライザー基板18の増設作業が単純化できる。また、プリンター10が狭い場所に設置されている場合でも、その場所で増設作業が行えるため、ケース12を別の場所に移動して作業する必要がない。
【0026】
なお、ライザー基板18をコントローラー基板14から取り外す際には、スリット32から露出している把持部38を把持して、ライザー基板18を上方向に移動させて、ライザー基板18のコンタクト20をコネクタ16から抜去する。つまり、パネル26に形成されたスリット32から、コントローラー基板14に実装されたコネクタ16へのライザー基板18の挿抜が可能とされている。
【0027】
次に、ライザー基板18にオプションカード42を増設する手順について説明する。
【0028】
まず、図4(A)に示すように、スリット32を上下方向にしてケース12に取り付けられたパネル26を、サムスクリュー30を緩めてケース12から取り外す。このとき、ライザー基板18の把持部38(図2参照)を取り外す。そして、取り外したパネル26を90度回転させて、ケース12に取り付ける。これにより、図4(B)に示すように、スリット32の長手方向がコントローラー基板14と平行となる(横になる)。
【0029】
そして、図3(A)に示すように、保護カバー34を起立させてスリット32を開放し、オプションカード42の一方の端部に設けられた把持部46を把持して、スリット32にオプションカード42の他方の端部を挿通する。そして、コンタクト44をコネクタ40上に位置させて、オプションカード42を左方向に移動させる(押し込む)ことで、図3(B)に示すように、コンタクト44がコネクタ40に嵌合して、オプションカード42がライザー基板18に装着される。
【0030】
このように、スリット32からオプションカード42を挿入することで、オプションカード42をライザー基板18に実装されたコネクタ40に装着できる。したがって、オプションカード42をライザー基板18に増設する際に、ケース12からパネル26を一度だけ取り外せばよいので、オプションカード42の増設作業が単純化できる。また、ライザー基板18は、背面がブロック19(図1参照)に当接しているので、オプションカード42を装着する際の押圧力によって倒れることがない。
【0031】
なお、オプションカード42をライザー基板18から取り外す際には、スリット32から露出している把持部46を把持して、オプションカード42を右方向に移動させて、オプションカード42のコンタクト44をコネクタ40から抜去する。つまり、パネル26に形成されたスリット32から、ライザー基板18に実装されたコネクタ40へのオプションカード42の挿抜が可能とされている。
【0032】
なお、本実施形態は、プリンターにライザー基板18及びオプションカード42を増設する場合を例にとって説明したが、オプションカードを増設(後付け)できる電子機器であれば、本発明はプリンターに限定されるものではない。例えば、コピー、ファックス等にも本発明を適用することができる。
【0033】
また、コントローラー基板14上及びライザー基板18上には、3個のコネクタ16、56がそれぞれ実装される構成で説明したが、コネクタ16、56の数は3個に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1の実施形態に係る電子機器の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る電子機器において、オプションパネルを増設する状態を示す斜視図である。
【図3】第2の実施形態に係る電子機器の構成を示す斜視図である。
【図4】第2の実施形態に係る電子機器において、オプションパネルを増設する状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
10 プリンター(電子機器)
12 ケース(電子機器本体)
14 コントローラー基板
16 コネクタ(第1拡張スロット)
18 ライザー基板(第1オプション基板)
26 パネル
32 スリット
56 コネクタ(第2拡張スロット)
58 オプションカード(第2オプション基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラー基板と、前記コントローラー基板に実装された第1拡張スロットと、前記第1拡張スロットに挿抜可能とされ、該第1拡張スロットに装着されることで前記コントローラー基板と電気的に接続される第1オプション基板と、前記第1オプション基板に、前記第1拡張スロットと平行に実装された第2拡張スロットと、前記第2拡張スロットに挿抜可能とされ、該第2拡張スロットに装着されることで前記第1オプション基板と電気的に接続される第2オプション基板と、を内蔵する電子機器において、
前記本体に前記コントローラー基板を露出させる開口部と、前記開口部を閉じるパネルとを設け、前記パネルには前記第1拡張スロットに前記第1オプション基板を挿抜可能とする複数のスリットを形成し、このパネルを90度回転させることで、前記スリットから前記第2拡張スロットへ前記第2オプション基板を挿抜可能とすることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1拡張スロットは前記コントローラー基板に所定のピッチで複数形成され、前記第2拡張スロットは前記第1オプション基板に所定のピッチで複数形成され、前記スリットは前記第1拡張スロット及び前記第2拡張スロットの数と同じ数で且つ所定のピッチで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
コントローラー基板と、前記コントローラー基板に実装された第1拡張スロットと、前記第1拡張スロットに挿抜可能とされ、該第1拡張スロットに装着されることで前記コントローラー基板と電気的に接続される第1オプション基板と、前記第1オプション基板に、前記第1拡張スロットと平行に実装された第2拡張スロットと、前記第2拡張スロットに挿抜可能とされ、該第2拡張スロットに装着されることで前記第1オプション基板と電気的に接続される第2オプション基板と、前記コントローラー基板を露出させる開口部と、前記開口部を閉じるパネルと、を備え、前記パネルには前記第1拡張スロットに前記第1オプション基板を挿抜可能とするスリットを形成し、このパネルを90度回転させることで、前記スリットから前記第2拡張スロットへ前記第2オプション基板を挿抜可能とする電子機器のオプション基板増設方法であって、
前記第1オプション基板の増設時は前記スリットの長手方向を上下に向け、前記第2オプション基板の増設時は前記パネルを90度回転させ、該スリットの長手方向を横に向けることを特徴とするオプション基板増設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−219976(P2007−219976A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41946(P2006−41946)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】