説明

電子装置及び筒体

【課題】開閉式の電子装置において、小型化を図ること。装置の開閉に対する耐久性を高めること。
【解決手段】電子装置1は、第一の筐体2、第二の筐体3及びケーブル4を備えている。第一の筐体2は、第一の回路基板5を有する。第二の筐体3は、第二の回路基板6を有する。第二の筐体3は、第一の筐体2とヒンジ7を介して開閉可能に接続されている。ケーブル4は、第一の回路基板5と第二の回路基板6とを接続する。ヒンジ7は、第一のヒンジケース8、第二のヒンジケース9及び筒体10を備えている。第一のヒンジケース8は、第一の筐体2に固定される。第二のヒンジケース9は、第二の筐体3に固定される。筒体10は、第一のヒンジケース8と第二のヒンジケース9とを回転可能に接続する。筒体10は、磁性鋼材を含み、ケーブル4が貫通する孔を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子装置及び筒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伝送媒体のノイズを低減させる装置として、フェライトコアに同軸ケーブルを挿入することによって、電磁干渉によるノイズを低減させる装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−116638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヒンジを介して開閉可能な第一の筐体と第二の筐体とにそれぞれ設けられた第一の回路基板と第二の回路基板とを接続するケーブルをフェライトコアに挿入したのでは、フェライトコアが厚いため、電子装置の小型化が妨げられるという問題点がある。また、フェライトコアは硬くて脆いため、ケーブルの、第一の筐体と第二の筐体との開閉によって伸びたり曲がったりする部分にフェライトコアを装着すると、装置の開閉に対する耐久性が低下するという問題点がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑み創出されたもので、第一の目的は、小型化を図ることができる電子装置及び筒体を提供することである。また、第二の目的は、装置の開閉に対する耐久性を高めることができる電子装置及び筒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電子装置は、第一の筐体、第二の筐体及びケーブルを備えている。第一の筐体は、第一の回路基板を有する。第二の筐体は、第二の回路基板を有する。第二の筐体は、第一の筐体とヒンジを介して開閉可能に接続されている。ケーブルは、第一の回路基板と第二の回路基板とを接続する。ヒンジは、第一のヒンジケース、第二のヒンジケース及び筒体を備えている。第一のヒンジケースは、第一の筐体に固定される。第二のヒンジケースは、第二の筐体に固定される。筒体は、第一のヒンジケースと第二のヒンジケースとを回転可能に接続する。筒体は、磁性鋼材を含み、ケーブルが貫通する孔を有する。
【発明の効果】
【0007】
電子装置及び筒体によれば、小型化を図ることができるという効果を奏する。また、装置の開閉に対する耐久性を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1にかかる電子装置を示す全体図である。
【図2】図2は、実施例2にかかる電子装置を示す正面側の斜視図である。
【図3】図3は、実施例2にかかる電子装置を示す背面側の斜視図である。
【図4】図4は、実施例2にかかる電子装置の筐体を開いた状態を示す外観斜視図である。
【図5】図5は、実施例2にかかる電子装置を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、実施例2にかかる電子装置のヒンジ部分を示す断面図である。
【図7】図7は、実施例2にかかる電子装置の第一の筒体を示す分解斜視図である。
【図8】図8は、実施例2にかかる電子装置の第一の筒体を示す斜視図である。
【図9】図9は、実施例2にかかる電子装置の第一の筒体を示す断面図である。
【図10】図10は、実施例2にかかる電子装置のヒンジ部分の組み立て手順を説明する分解斜視図である。
【図11】図11は、実施例2にかかる電子装置のヒンジ部分の組み立て手順を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この電子装置及び筒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例の説明においては、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
(実施例1)
図1は、実施例1にかかる電子装置を示す全体図である。図1に示すように、電子装置1は、第一の筐体2、第二の筐体3及びケーブル4を備えている。第一の筐体2は、第一の回路基板5を有する。第二の筐体3は、第二の回路基板6を有する。第二の筐体3は、第一の筐体2とヒンジ7を介して開閉可能に接続されている。ケーブル4は、第一の回路基板5と第二の回路基板6とを接続する。
【0011】
ヒンジ7は、第一のヒンジケース8、第二のヒンジケース9及び筒体10を備えている。第一のヒンジケース8は、第一の筐体2に固定される。第二のヒンジケース9は、第二の筐体3に固定される。筒体10は、第一のヒンジケース8と第二のヒンジケース9とを回転可能に接続する。筒体10は、飽和磁束密度の高い材料、例えば磁性鋼材を含み、ケーブル4が貫通する孔を有する。
【0012】
実施例1によれば、筒体10内にケーブル4が通されることによって、筒体10に含まれる磁性鋼材がフェライトコアと同様の作用を示す。すなわち、磁性鋼材が、ケーブル4に電流が流れることで発生する磁界を吸収して熱に変えるので、ケーブル4から放射される輻射ノイズを低減させることができる。従って、ケーブル4にフェライトコアを装着しないで済むので、電子装置1の小型化を図ることができる。また、ケーブル4の、第一の筐体2と第二の筐体3との開閉によって伸びたり曲がったりする部分にフェライトコアを装着しないで済むので、電子装置1の開閉に対する耐久性を高めることができる。
【0013】
(実施例2)
・電子装置の説明
図2は、実施例2にかかる電子装置を示す正面側の斜視図である。図3は、実施例2にかかる電子装置を示す背面側の斜視図である。図4は、実施例2にかかる電子装置の筐体を開いた状態を示す外観斜視図である。図2〜図4に示すように、電子装置1の一例として、例えば携帯電話機が挙げられる。図示例の携帯電話機では、正面側の第二の筐体3と背面側の第一の筐体2とが、ヒンジ7により開閉可能に取り付けられている。
【0014】
第二の筐体3には、例えば表示パネルが設けられていてもよい。第一の筐体2には、例えばキーパッドが設けられていたり、電池が収納されるようになっていてもよい。また、指紋センサユニット11が第一の筐体2に設けられていてもよい。
【0015】
図5は、実施例2にかかる電子装置を示す分解斜視図である。図5に示すように、第一の筐体2は、筐体本体12と、筐体本体12を塞ぐ蓋体13とを備えている。第一の回路基板5は、筐体本体12と蓋体13との間に収納されている。蓋体13には、例えばキーパッド部が設けられていてもよい。
【0016】
図6は、図4において操作キーを有する面と平行にヒンジ部分を切断し、当該切断面を垂直方向から見た断面図である。図5及び図6に示すように、ヒンジ7は、例えば第一のヒンジケース8、第二のヒンジケース9及び第三のヒンジケース15に3分割されていてもよい。第一のヒンジケース8と第三のヒンジケース15とは、ヒンジ7において、第一の筐体2の蓋体13の両端に設けられている。第二のヒンジケース9は、蓋体13において、第一のヒンジケース8と第三のヒンジケース15との間の受け部16に置かれる。
【0017】
ケーブル4は、第二のヒンジケース9の中央部から第一のヒンジケース8内を通されて、蓋体13の端に設けられた貫通孔14を通されて、蓋体13の下側に引き出され、第一の回路基板5に接続される。なお、説明の便宜上、図6におけるケーブル4は断面ではなく外観で表している。筒体10は、蓋体13の側方から第一のヒンジケース8内に通され、第二のヒンジケース9内に至る。これ以降、筒体10を第一の筒体10と表記する。さらに、第一のヒンジケース8及び第一の筒体10は、例えば外観が第三のヒンジケース15と同様の形状をした外装部品17によって覆い隠される。
【0018】
また、蓋体13の側方から、第三のヒンジケース15内を通って第二のヒンジケース9内に至る第二の筒体18が挿入される。なお、説明の便宜上、図6における第二の筒体18は断面ではなく外観で表している。第一の筒体10及び第二の筒体18によって、第二のヒンジケース9が第一のヒンジケース8及び第三のヒンジケース15に対して回転可能になっている。そして、第二の筐体3は、第二のヒンジケース9に固定される。それによって、第一の筐体2に対して第二の筐体3が開閉可能になっている。
【0019】
ケーブル4の他端には、例えばコネクタ19が設けられていてもよい。コネクタ19は、第二のヒンジケース9から第二の筐体3内に伸び、第二の筐体3内の第二の回路基板6(図5及び図6では現れていない)に接続される。
【0020】
第二のヒンジケース9内には、回転ヒンジ20が収納されてもよい。回転ヒンジ20は、第一の筒体10及び第二の筒体18に対して垂直な筒体を有する。回転ヒンジ20が設けられていることによって、第一の筐体2に対して第二の筐体3を筒体10,18の回りに回転させて第一の筐体2に対して開いた状態の第二の筐体3を、さらに筒体10,18に対して垂直な軸の回りに回転させることができる。回転ヒンジ20とケーブル4とは、予め一つの部品として組み立てられて一体化されていてもよい。
【0021】
・磁性鋼材を含む筒体の説明
図7は、実施例2にかかる電子装置の第一の筒体を示す分解斜視図である。図8は、実施例2にかかる電子装置の第一の筒体を示す斜視図である。図9は、実施例2にかかる電子装置の第一の筒体を示す断面図である。なお、図7〜図9では、第一の筒体10を見やすくするため、適宜、構成部材等を図示省略している。図8には、図示省略された第一のヒンジケース8及び第二のヒンジケース9内での第一の筒体10及びケーブル4の状態が示されている。
【0022】
図7〜図9に示すように、第一の筒体10は、本体21及び部品22を備えている。本体21は、ケーブル4の受け入れ窓として一部が開放された形状に成型されている。本体21の、受け入れ窓として開放された端部を部品22が塞ぐことによって、略円筒状をした第一の筒体10ができあがる。ケーブル4は、第一の筒体10の略円筒状の部分を通る。携帯電話機の組み立て時に、ケーブル4は、本体21の受け入れ窓部分から本体21内に挿入される。
【0023】
図7では、部品22が第一のヒンジケース8の外に描かれているが、実際には、予め第一のヒンジケース8の内周面に固定されている(図11においても同じ)。部品22は、本体21が蓋体13の側方から第一のヒンジケース8内に挿入されたときに、丁度本体21の、受け入れ窓によって開放された端部を塞ぐ箇所に固定されている。
【0024】
本体21と部品22との組み合わせでできる略円筒状の部分が、例えば磁性鋼材でできていてもよいし、その略円筒状の部分に磁性鋼材が含まれていてもよい。磁性鋼材の一例として、例えばSUS430LやSUS410Lなどが挙げられる。
【0025】
・ヒンジ部分の組み立て手順
図10及び図11は、実施例2にかかる電子装置のヒンジ部分の組み立て手順を説明する分解斜視図である。図10及び図11に示すように、ヒンジ部分を組み立てる際には、まず、蓋体13の受け部16に第二のヒンジケース9を納める。次いで、第二の筒体18を蓋体13の側方から挿入する。第二の筒体18の先端は、第二のヒンジケース9の第一の軸受け部23内に挿入される。それによって、蓋体13に第二のヒンジケース9が連結される。
【0026】
次いで、ケーブル4の先端を、第二のヒンジケース9の中央部から第一のヒンジケース8内を通して、第二のヒンジケース9内に回転ヒンジ20を納める。次いで、第一のヒンジケース8内を通されたケーブル4の先端を、蓋体13の端の貫通孔14を通して蓋体13の下側に引き出し、図示省略した第一の回路基板5に接続する。
【0027】
次いで、第一の筒体10の本体21を第一のヒンジケース8内に挿入する。本体21の先端は、第二のヒンジケース9の第二の軸受け部24内に挿入される。第一のヒンジケース8内では、磁性鋼材でできた、あるいは磁性鋼材を含む本体21と部品22とが、ケーブル4を円筒状に囲むことになる。そして、第一のヒンジケース8上に図示省略した外装部品17を被せる。以上説明したようにして、携帯電話機のヒンジ部分の組立てが終了する。
【0028】
実施例2によれば、実施例1と同様の効果が得られる。また、ケーブル4から発生するノイズの影響を低減できるので、携帯電話機の通信特性を改善することができる。また、ケーブル4から発生するノイズの影響を低減させるために、ケーブル4にフェライトコアを装着したり、電磁波を吸収または遮蔽するシート状の部品を貼り付ける必要がないので、携帯電話機の組み立て工数が減り、コストダウンを図ることができる。
【0029】
なお、電子装置1は、携帯電話機に限らず、ヒンジを備えた折りたたみ式のコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末、携帯型のゲーム機または種々の測定器などであってもよい。また、電子装置1は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話機と携帯情報端末としての機能を併せ持つ電子装置であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 電子装置
2 第一の筐体
3 第二の筐体
4 ケーブル
5 第一の回路基板
6 第二の回路基板
7 ヒンジ
8 第一のヒンジケース
9 第二のヒンジケース
10 筒体
21 本体
22 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の回路基板を有する第一の筐体と、
第二の回路基板を有し、前記第一の筐体とヒンジを介して開閉可能な第二の筐体と、
前記第一の回路基板と前記第二の回路基板とを接続するケーブルと、
を備える電子装置であって、
前記ヒンジは、
前記第一の筐体に固定される第一のヒンジケースと、
前記第二の筐体に固定される第二のヒンジケースと、
前記第一のヒンジケースと前記第二のヒンジケースとを回転可能に接続する筒体と、を備え、
前記筒体は、磁性鋼材を含み、前記ケーブルが貫通する孔を有する
ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記筒体は、前記第一のヒンジケースと前記第二のヒンジケースの両方に跨って前記第一のヒンジケース及び前記第二のヒンジケース内に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記筒体は、前記ケーブルを囲む部分に前記磁性鋼材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記筒体は、
前記ケーブルの受け入れ窓として一部が開放された本体と、
前記本体の、前記受け入れ窓によって開放された端部を塞ぐ部品とを備え、
前記本体と前記部品とで前記ケーブルを囲む部分に前記磁性鋼材を含む
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記部品は、
前記第一のヒンジケース内に設けられており、
前記本体が前記第一のヒンジケース内に挿入されることによって、前記本体の、前記受け入れ窓によって開放された端部を塞ぐ
ことを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
第一の筐体に固定される第一のヒンジケースと、前記第一の筐体とヒンジを介して開閉可能な第二の筐体に固定される第二のヒンジケースとを回転可能に接続するとともに、磁性鋼材を含み、前記第一の筐体内の第一の回路基板と前記第二の筐体内の第二の回路基板とを接続するケーブルが貫通する孔を有する
ことを特徴とする筒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−58643(P2013−58643A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196553(P2011−196553)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】