説明

電池パック

【課題】
素電池とリード板との素電池にリチウムイオンポリマー電池を用いる場合でも、比較的低コストで高容量、小型化・軽量化を図ることの可能な電池パックを提供することを目的とする。
【解決手段】
電池パック1において、ポリマー電池からなる扁平直方体状の素電池2A、2Bをケース部材3の素電池収納部30A、30Bに並設して収納する。基板収納部301に保護回路基板4をその基板本体40の主面が素電池の主面と平行になるように収納する。基板収納部301において、基板4の周縁より外側に嵌合ツメ34A〜34C、35A、35Bを立設し、それぞれ基板ホルダー5の嵌合溝53A〜53C、係合ツメ54A、54Bの後端部540A、540Bと嵌合させる。嵌合ツメ34A〜34C、35A、35Bの根元に連通孔32A〜32C、33A、33Bを設け、ケース部材の外部より前記嵌合状態を確認可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池にリード板を介して回路基板を接続している電池パックにおいて、電池とリード板との接続強度検査に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、電動工具や電動アシスト自転車、さらには電動バイクやハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(PEV)など広く用いられている。従来技術に係る電池パックは、1または複数の電池が、一対の電池ホルダによって、電池の延在方向において両端から挟み込むように収納し保持されることで、電池をホルダー内に正確に位置決めがなされ固定された状態の電池コアが構成される。この電池コアを外装ケース内に収納し、電池パックとしている。
さらに、電池ホルダの側面には、電池と電気的に接続されたリード板を介して電気的に接続された保護回路基板が配置されている。また、リード板は、複数の電池間を並列又は直列に接続している。このリード板表面と電池の両端に位置する電極との接続は、スポット溶接(シリーズスポット溶接、プロジェクションスポット溶接等)等の方法で溶接される。電池とリード板とのスポット溶接工程の後に、電池とリード板との接着が確実に行われたかどうかの検査工程を設ける必要がある。この検査工程を設けることで、電池とリード板との接着不良による不良品を的確に抽出することができ、電池とリード板との不接続に起因する問題を著しく改善することができ、電池パックの信頼性を向上させることができる。
【0003】
そのため、図8に示すように特許文献1のような、電池パックは、電池101と、この電池101にリード板103を介して接続してなる回路基板102とを備え、電池パックは、リード板103の外周縁に、リード板103を溶接してなるクラッド板111との間に隙間113を設けるように折曲してなる剥離検査用の強制剥離部112を設けて、隙間113に対して剥離検査に使用する検査棒を120の先端をスムーズに挿入して、効率よく強制剥離検査ができる。以上の公報にあるように、電池101とリード板との溶接の良否を簡単かつ容易に、しかも迅速に検査できる電池パックは開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-76268
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の公報に記載される電池パックでは、強制剥離部は、リード板の外周縁に位置しており、リード板に接続されるクラッド板から離れるように折曲させることで隙間を形成している。そのため、リード板を折曲させる工程が必要となり加工費が高価となる。
また、リード板から強制剥離部は突出した構成となるため、強制剥離部が、回路基板に実装される電子部品間等の空隙スペースに適正に配置されない場合においては、リード板の厚み方向における最大寸法が増すこととなり、電池コアの最大外形が増すという課題がある。さらに、強制剥離部が、回路基板に実装される電子部品間等の空隙スペースに適正に配置させる構造は、多くの制約が課させるため、設計上の考慮すべき負担が多くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するために成されたものであり、コストの増大及びリード板の厚み方向における最大寸法の増大を回避できる電池パックを提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の電池パックは、両端に正負の端部電極を有する複数の電池1を互いに平行な姿勢とし、かつ両端の端部電極を同一面に配置して多段多列に配置している電池ホルダ2と、この電池ホルダ2が収納している電池1の端部電極に接続されて、隣接する電池1を直列と並列に接続してなるリード板5を有している。また、電池ホルダ2は、複数の電池1を押通して、保持する保持筒11の両端に支持側壁12を一体的に成形しており、一対の支持側壁12の対向する内側において保持筒11を連結し電収納部40を形成し、その支持側壁は、保持筒11の外側において、電池1の端部電極を露出する開口部が設けられており、電池1が電池ホルダ2に収納配置されると、開口部から露出する端部電極とリード板5とを接続しており、支持側壁には、リード板5の電池1に接続される側の面と支持側壁の外部とが連通する空隙を設けるように検査用スリットが設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2の電池パックは、開口部は、電池ホルダの支持側壁の外面から見て、凹設するように設けられており、さらに、一部の隣接する開口部の間には、支持側壁の外面から見て、凹設するように設けられたリード板収納溝が設けられ、リード板は、開口部とリード板収納溝に配置され、検査用スリットは、前記リード板収納溝の外縁と連続するように設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3の電池パックは、検査用スリットは、支持側壁の外面から、隣接する両開口部及びリード板収納溝の外縁に向って傾斜するようにスリット傾斜面が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4の電池パックは、スリット傾斜面は、3つの異なる面が連結されて形成され、両端の2つの面は、支持側壁の外面から開口部及びリード板収納溝の外縁に向かって傾斜する平面であり、この2つの平面は、隣接する開口部にそれぞれ対向するように位置していることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5の電池パックは、このリード板5に接続される回路基板6を備えている。また、この電池ホルダ2の一面に設けられた基板保持部によって、回路基板6が配置されて電池コアパック10となり、このコアパック10が外装ケース4に収納されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6の電池パックは、基板保持部は、電池ホルダ2の保持筒11の外面に凸設した基板保持リブを備えており、基板保持リブが、回路基板の外周から切り欠くように形成された基板保持孔に挿入されることで回路基板が基板保持部に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電池パックでは、検査用スリットに対して、剥離検査に使用する検査棒の先端を挿入して、電池の端部電極とリード板との溶接強度を効率よく検査することができる。上記構成によって、検査用スリットをリード板の厚み方向に突出させることなく設けることができるため、リード板の厚み方向における最大寸法の増大を防止することができる。さらに、検査用スリットを電池ホルダの支持側壁の外面に設けることで、リード板に検査用スリットを設ける場合と比較し、折り曲げ工程等を行ってリード板を加工する必要が無く、コストを抑えることができる。
また、請求項2の電池パックにおいては、開口部は、電池ホルダの支持側壁の外面から見て、凹設するように設けられており、さらに、一部の隣接する開口部の間には、支持側壁
の外面から見て、凹設するように設けられたリード板収納溝が設けられ、リード板は、開口部とリード板収納溝に配置され、検査用スリットは、リード板収納溝の外縁と連続するように設けられている。この構成によって、リード板収納溝周辺の領域を有効利用することができる。すなわち、新たに検査用スリットを設けるための領域を支持側壁の外面に設ける必要が無いため、電池ホルダの拡張を防止することができる。
【0014】
さらに、請求項3の電池パックにおいては、検査用スリットは、支持側壁の外面から、隣接する両開口部及びリード板収納溝の外縁に向って傾斜するようにスリット傾斜面が設けられている構成によって、一の検査用スリットに検査棒の先端を挿入することで、隣接する二つの端部電極とリード板との剥離検査を行うことができる。
【0015】
また、請求項4の電池パックにおいては、スリット傾斜面は、3つの異なる面が連結されて形成され、両端の2つの面は、支持側壁の外面から開口部及びリード板収納溝の外縁に向かって傾斜する平面であり、2つの平面は、隣接する開口部にそれぞれ対向するように位置している構成によって、検査棒はそれぞれの平面に案内され、電池の端部電極とリード板とを接続する溶接箇所へ正確に位置決めを行い、配置されるという効果を備える。
【0016】
さらに、請求項5の電池パックにおいて、回路基板が電池ホルダの一面に設けられた基板保持部に配置されることで、回路基板を確実に電池ホルダに固定することで電池のコアパックを形成することができ、このコアパックを外装ケースに収納することで内蔵される電池や回路基板を保護することができる。
【0017】
また、請求項6の電池パックにおいては、基板保持部は、電池ホルダの保持筒の外面に凸設した基板保持リブを備えており、基板保持リブが、回路基板の外周から切り欠くように形成された基板保持孔に挿入されることで回路基板が基板保持部に固定される構成によって、回路基板を正確に位置決めしながら、電池ホルダに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における電池パックの斜視図。
【図2】図1に示す電池パックの分解斜視図である。
【図3】図2に示す電池パックの左側面を前にした分解斜視図である。
【図4】図2に示す電池コアパックの左側面図である。
【図5】図2に示す電池コアパックの右側面図である。
【図6】(a)検査用スリットに検査棒を挿入し、溶接箇所を剥離検査している状態を示した斜視図である。(b)(a)における破線部を拡大した図である。
【図7】(a)検査用スリットに検査棒を挿入し、図6とは異なる溶接箇所を剥離検査している状態を示した斜視図である。(b)(a)における破線部を拡大した図である。
【図8】従来例における電池パックにおいて、剥離検査を行っている状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パックを例示するものであって、本発明は電池パックを以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説
明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0020】
本発明の電池パック3は、主として電子機器本体に装着されて、電子機器本体に電力を供給する。このような目的で使用される電池パック3には、複数の電池1を互いに平行な姿勢とし、かつ電池1両端に正負の異なる端部電極を備え、この端部電極を同一面に配置して多段多列に配置している電池ホルダ2と、この電池ホルダ2に収納している電池1の端部電極に接続されて、隣接する電池1を直列と並列に接続してなるリード板5とを備えている。とくに、本発明は、電池1とリード板5とのスポット溶接工程の後に、電池とリード板5との溶接の良否を検査棒を使用することで行う剥離検査に際して、最適な構成を備えている。以下、実施の形態として、複数の円筒形電池1の電極に接続されたリード板との剥離検査について記述するが、本発明の電池パック3は、この構成においてのみ使用されるものではない。
【0021】
図1の電池パックの分解斜視が示すように、複数の電池1が端部電極を同一面に配置し、互いに平行な姿勢として、電池ホルダ2に配置され収納保持されている。電池ホルダ2は、素電池の両端部を挿入し、保持される電池保持部を有する。電池ホルダ2は絶縁材料であるプラスチック等の樹脂によって形成されているものとする。さらに、一対の電池ホルダ2の電池保持部19を対向させて、連結させることで、電池1の端面以外の側面全体を覆うような電池収納部19が形成されている。このように、一対の電池ホルダ2によって、複数の電池1は、収納保持される。
【0022】
また、図1に示すように、電池コアパック10は、多段多列に配置する複数の電池1を定位置に配置する電池ホルダ2と、各々の電池の端部電極に接続されているリード板5を介して接続している回路基板6を備える。さらに、図に示すように嵌合された一対の電池ホルダ2は6面体である直方体形状をしており、その上面に回路基板6を定位置に配置する基板保持部20が設けられている。回路基板6と基板保持部20とは、電池ホルダ2の保持筒11の外面11Aから凸設した基板保持リブ22が、回路基板6の外周から切り欠くように形成された基板保持孔に挿入されることで固定される。
【0023】
以上のように、複数の電池1を電池ホルダ2で所定の位置に保持すると共に、回路基板6を基板保持部6Bに固定し、さらに、各々の電池1の端面に接続したリード板5を回路基板6に接続して電池コアパック10となる。
【0024】
図2及び図3に示すように、電池パック1は、第1ケース部材11の上面にラッチ開口部4AOが設けられ、このラッチ開口部4AOから、ラッチ16が出没自在に移動できるように、ラッチ16が電池コアパック10の側面に配置されている。ラッチ16は、機器との係合のために設けられており、外部から力が加えられない状態では、図1に示すように、ラッチ開口部4A0から上方に突出した状態となっている。
【0025】
また、外装ケース4は、第一ケース4Aと第二ケース4Bからなり、図2及び図3に示すように電池コアパック10の上下より第一ケース4Aと第二ケース4Bとが連結されることで電池コアパック10を収納して、電池パック3としている。また、外装ケース4は、プラスチックを成形して製作されたものであるが、材質はプラスチックに限られず、放熱性を考慮してアルミ等の金属部材であっても良い。
【0026】
電池1は、充電できるリチウムイオン二次電池である。ただし、電池は、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等の充電できる電池でとあれば良いものとする。さらに、
電池パック3は、電池1を円筒型電池とするが、角型電池とすることもできる。
電池のコアパック10は、電池1を平行な姿勢として、多段多列に並べて電池ホルダ2に収納している。本実施例の電池パック3は、1段に7個及び6個の電池1を並べて、これを3段に配置して、20個の電池1を電池ホルダ2に収納している。電池ホルダ2は、電池1の端部電極を両側の同一面に配置して露出させて、露出部で計11枚の5種類に及ぶリード板5A、5B、5C、5D、5Eに接続されている。さらに、リード板5は、中間リード板(5A、5B、5C)と、出力用リード板(5D、5E)に分類されている。
図2及び図3の電池パック3では、1枚の中間リード板5A、5B、5Cによって4個の電池1が2直2並に接続されている。図4に示すように、電池コアパックの左側面図では、3種類の各中間リード板(5A、5B、5C)のみが配置されている。また、4個の電池が接続される各中間リード板(5A、5B、5C)は、上下3段、横2列に跨って配置された電池1に電気接続される。
【0027】
図5に示すように、電池コアパック10の右側面図では、2種類の出力用リード板(5D、5E)と、上記3種類の各中間リード板(5A、5B、5C)が配置されている。それぞれ形状が異なるが、使用される各中間リード板(5A、5B、5C)の数は、3枚と同数である。上記以外の他の2種類の出力用リード板(5D、5E)は、同列の1段目と3段目の上下2個の電池が並列に接続するための形状となっている。中間リード板(5A、5B、5C)全ての電池1の端部電極を回路基板6に接続して、各々の電池電圧を検出するために、回路基板6には、全てのリード板5の接続タブ51を接続している。また、2種類の出力用リード板(5D、5E)は、組電池群の出力端子に接続される。さらに、11枚の各々のリード板5A、5B、5C、5D、5Eが回路基板6に接続されることで、直列に接続されている。すなわち、実施例に係る電池パックは、10直2並に接続されている。
【0028】
本発明の電池パック3は、多段多列に配置する電池1の個数を特定するものでないが、電池を3段以上に配置することで並列に接続する電池1の個数を多くして出力電流を大きくできる。また、1段に配置される電池の個数を多くして直列に接続する電池1の個数を多くして出力電圧を高くできる。したがって、多段多列に配置する電池の個数を多くして、出力電力を大きくできる。
【0029】
各中間リード板(5A、5B、5C)は、回路基板6に接近する端部に、図2及び図3にあってはその上端に、回路基板6に接続される接続タブ51を突出して設けている。この接続タブ51にリード線が接続され、このリード線を介して回路基板に接続されている。接続タブ51は、回路基板6に一端を接続している接続リード21をハンダ付けして連結している。接続タブ51は、接続リード21を案内する案内孔51Aを設けている。この接続タブ51は、有んない孔51Aに接続リード21を挿入して半田付けして連結できるので、接続リード21を強固に外れないように連結できる。一端を接続タブ51に接続している接続リード21は、その他端を回路基板6の貫通孔6Aに挿入し、半田付けによって連結している。接続リード21は、1本の金属線を使用して簡単に接続タブ51を回路基板6に接続できる。ただ、多数の細線からなる寄線やリッツ線を使用することもできる。図の電池パック3は、接続リード21を介してリード板5を回路基板6に接続しているが、リード板5の接続タブ51を回路基板の内側に折曲して、接続タブ51を直接に回路基板6に接続することもできる。
【0030】
出力用リード板(5D、5E)は、中間リードよりも接続タブ51が長く設けられている。特に、正極側となる出力用リード板5Dは、リード線を介さずに接続タブが、ヒューズ素子を介して回路基板6に直接接続されている。
また、負極側の出力端子5Eは、中間リード板と同様に、接続リード8を介して、回路基板に接続されている。
【0031】
図2及び図3に示すように、接続リード8は、その一端を接続タブ51の案内孔51Aに挿入されて、半田付けされることで、各リード板と電気接続及び機械的接続がなされている。さらに、一端が接続タブ51の案内孔51Aに接続された接続リード21は、電池ホルダ2の基板保持部20がある面に突出するように設けられたリード線係合爪に挟まれるように位置決めされ、定位置に固定されている。定位置に固定されたリード線21の他端は、電池ホルダ2の基板保持部20に固定された回路基板6の貫通孔6Aに挿入され、半田付けされることによって、回路基板6と電気的、機械的に接続されている。
【0032】
回路基板6は、出力用リード板(5D、5E)と中間リード板(5A、5B、5C)とを介して素電池1に接続される。回路基板6は、各々の電池電圧を検出して、充放電の電流を制御する保護回路を実装している。保護回路は、電池1の充放電の電流をコントロールする半導体スイッチング素子を備えている。この保護回路は、いずれかの電池電圧が最低電圧よりも低くなると、放電電流を遮断する半導体スイッチング素子をオフに切り換えて、放電電流を遮断する。また、いずれかの電池電圧が最高電圧よりも高くなると、充電を停止する半導体スイッチング素子をオフに切り換えて、充電を停止する。このように、各々の電池電圧を検出して、充放電をコントロールする保護回路を実装するパック電池は、電池1を保護しながら安全に使用できる。とくに、電池1をリチウムイオン電池とするパック電池は、各々の電池電圧を検出して、充放電の電流をコントロールすることで安全性を向上できる。さらに、回路基板6に実装される保護回路は、電池1の残容量を検出し、残容量で充放電をコントロールすることで、より安全性を向上できる。また、残容量を検出する保護回路は、検出する残容量を発光ダイオードなどで表示することもできる。
【0033】
電池ホルダ2は、図2及び図3に示すように、電池1を挿通して保持する保持筒11の両端に、支持側壁12を一体的に成形して連結している。この電池ホルダ2は、一対の支持側壁12の対向する内側に保持筒11を設けて電池収納部19としている。保持筒11に電池1を入れて、電池1は定位置に保持される。この電池ホルダ2は、絶縁材を成形して製作される。電池ホルダ2を成形する絶縁材はプラスチックである。保持筒11は、電池1を挿通する複数の挿通穴13を貫通して設けている。電池ホルダ2は、保持筒11の挿通穴13に電池1を挿通して、複数の電池1を所定の位置に保持している。図の電池ホルダ2は、20本の円筒型電池1を連結して保持するので、保持筒11に20個の挿通穴13を設けている。20個の挿通穴13は、3段に並べて、上下段に7個、中段に6個設けている。さらに、図に示す保持筒11は、隣接して配設している電池1の谷間に他の電池1を配設しており、複数段に配置する電池1を俵積みの状態で配設している。
【0034】
図2及び図3に示す電池ホルダ2は、保持筒11を軸方向の中間で2分割して、一対の支持側壁12に一体的に成形して連結している。分割された保持筒11の端部を支持側壁12の内側に連結する形状に成形している。この電池ホルダ2は、保持筒11の分割端が開口しており、この開口を挿通穴13として電池1を挿入し、一対の支持側壁12を連結して、複数の電池1を電池ホルダ2に収納している。
【0035】
保持筒11は、図2及び図3に示すように、電池1の表面のほぼ全周に沿う
筒状に挿通穴13を開口している。ただ、保持筒11は、必ずしも電池の全周に沿う筒状に挿通穴13を開口する必要はない。さらに、電池ホルダ2は、支持側壁側12の保持筒11の一部が切り欠くように開口した温度センサー開口部を設けている。図9に示す電池ホルダ2は、最上段に位置する保持筒11の上部に温度センサー開口部を設けている。この電池ホルダ2は、保持筒11に設けた温度センサー開口部に温度センサー18を配設して、電池1の温度を検出することができる。この電池パックは、温度センサー18で電池温度を検出しながら、電池1の充放電を制御できる特徴がある。ただ、保持筒は、必ずしも温度センサー開口部を設ける必要はない。
【0036】
図2及び図3に示すように、一対の支持側壁12は、電池収納部19ある保持筒11の両端に位置して、互いに平行な姿勢で設けられている。支持側壁12は、保持筒11に対して直交する板状に成形されている。この支持側壁12は、図2に示すように、外装ケース4の内形に沿う形状としている。すなわち、一対の支持側壁12は、図2及び図3に示すように、外装ケース4の横断面における内面に沿う形状としている。また、各支持側壁12は、その外周形状を、外装ケース4の縦断面における内形に沿う形状としている。一対の支持側壁12は、図6(a)及び図7(a)に示すように、中央部に保持筒11を設けて電池収納部19とし、外周部に基板の基板保持部20を設けている。この基板保持部20は、一対の支持側壁12の間に、回路基板6を収納するように設けられている。基板保持部20は、保持筒11の外面から凸設した基板保持リブ22が、3個設けられている。この基板保持リブ22は、回路基板の外周から切り欠くように形成された基板保持孔6Bに挿入される。基板保持孔6Bは、回路基板6の対向する二つの端辺のうち一方に2個、他方に1個設けられている。
【0037】
図2及び図3に示すように、開口部11Aとは、支持側壁12における保持筒11の外側において、電池1の端部電極を露出するために形成されている。この開口部11Aは、電池1の端部電極の一部を、支持側壁12の外面12A側に対して表出させている。開口部11Aの開口面は、支持側壁12の外面12Aからみて凹設して設けられている。開口部11Aは、電池1の端部断面に合わせた円形状であり、開口部11Aの径は、電池1端面の径より小さくすることで、開口部11Aから電池1が抜け落ちないようにしている。すなわち、電池ホルダ2の電池収納部19に配置された電池1とは、電池1端部が、開口部11Aの保持筒11側の外縁と当接することで、定位置に保持され、固定されている。
【0038】
リード板5は、図4及び図5に示すように、支持側壁12の外面12A側に設けられた開口部11Aから表出する電池1の端部電極と2回スポット溶接されることで電気的、機械的に接続している。すなわち、1の端部電極は、4箇所の溶接箇所7でリード板5と接続されている。中間リード板5A、5B、5Cは、3段2列に分散している隣接する4つの電池を接続しており、出力用リード板5D、5Eは、上段と下段に配置される2つの電池を接続している。そのため、リード板5は、複数の開口部11A間を跨るように配置する必要がある。そこで、図3に示すように、電池1の端部電極に接続されたリード板5の面を水平に案内するリード板収納溝11Bが支持側壁12の外面12Aに凹設して設けられている。また、図6(b)及び図7(b)に示すように、この支持側壁12の外面12Aに設けられたリード板収納溝11Bと開口部11Aにリード板5は、一定のクリアランスを設けた上で配置される。
【0039】
図6(b)及び図7(b)に示すように、検査用スリット14は、支持側壁12の外面12Aから開口部11A及びリード板収納溝11Bの外縁に向かって傾斜するようにスリット傾斜面14Aが設けられている。このスリット傾斜面14Aは、角度が25度〜30度であることが好ましい。このスリット傾斜面14Aのリード板収納溝11B側の端部、すなわちスリット傾斜面14Aの内(下)側端部と、リード板の外縁との距離は、最大で3.0mmの間隔があり、最小では0.05mmである。また、他の実施形態として、スリット傾斜面14Aの上部にリード板5が突出するように、位置している場合であっても、検査棒9を溶接箇所7に挿入することができ、剥離検査を行うことができれば良い。これらの、角度及び寸法を適宜設計することで、リード板5の外形に対応して、検査用スリット14の形状を自在に変更することができる。
【0040】
図6(b)及び図7(b)に示すように、検査用スリット14を設けることで、開口部11Aから表出する端部電極に接続されるリード板5の電池1に接続される側の面と支持側壁12の外部とが連通する空隙を形成することができる。したがって、この検査用スリ
ット14に先端が先細りとなった棒状である検査棒を挿入することで、支持側壁12の開口部11Aから表出する端部電極とリード板5との溶接可否の確認をするための剥離検査を行うことができる。
【0041】
剥離検査は、開口部11Aから表出する端部電極とリード板5とのスポット溶接がなされた付近のリード板5に対して、検査用スリット14から挿入した検査棒9を端部電極側から当て、この箇所が作用点となる。支点は、検査棒9とスリット傾斜面14Aとの接点であり、力点は、検査棒9に所定の力を加える点となる。このように、検査用スリット14から、検査棒9を挿入しリード板5と端部電極との剥離検査を行う。ただし、端部電極とリード板5との4つの溶接箇所7のすべてを検査する必要は無く、一部のスポット溶接箇所7を検査できれば剥離検査の効果は有効である。また、上記にあるスポット溶接箇所7付近に作用点を設けるとは、剥離検査の結果が確実性を有する範囲の意味である。
【0042】
また、図6(b)及び図7(b)に示すように、実施例におけるスリット傾斜面14Aは、隣接する二つの両開口部11Aの外縁に連続して形成される大きさである。すなわち、スリット傾斜面14Aのリード板収納溝11B側の端部は、隣接する二つの両開口部11Aに跨るように形成されている。この構成によって、1の検査用スリット14に検査棒9が挿入された際に、検査棒9は、スリット傾斜面14Aに案内され、隣接する2箇所の開口部11Aから表出する端部電極とリード板5との剥離検査を行うことができる。
【0043】
さらに、実施例においては、図6(b)及び図7(b)に示すように、1のスリット傾斜面14Aは、3つの異なる面が連結されて形成されている。3つの異なる面のうち、両端の2つの面は、支持側壁12の外面12Aから開口部11A及びリード板収納溝11Bの外縁に向かって傾斜する平面12aである。この両端の2つの平面を連結する中央の面は、支持側壁12の外面に向けて広がる扇状の曲面12bとなっている。
【0044】
また、上記2つの各平面12aは、隣接する開口部11Aにそれぞれ対向するように位置している。この構成によって、検査棒9はそれぞれの平面に案内され、電池1の電極端部とリード板5とを接続する溶接箇所7へ正確に位置決めを行い、配置されるという効果を備える。すなわち、図6及び図7に示すように、一の検査用スリット14において、異なる向きの二つの平面12aを利用することで、検査棒9を2箇所の溶接箇所7に挿入することができ、剥離検査を行うことができる。
【0045】
ケース保持リブ21は、電池ホルダ2の保持筒11の外面に凸設して設けられている。基板保持部20に回路基板6が配置された際、このケース保持ボス21に、対応する回路基板6には、基板の厚み方向に貫通された基板保持孔6Bが設けられており、ケース保持ボス21が、回路基板6から表出するようになっている。ケース保持ボス21は、中央に円柱状のねじ嵌合孔を備える円柱形状のボスである。さらに、図1に示すように電池コアパック10の上下方向から第一ケース4Aと第二ケース4Bとが対向するように配置され、電池コアパック10を収納保持している。第一ケース4Aの内面側には、ケース保持ボス21に対向して連結されるケース側ボス(図示せず)が設けられている。ケース保持ボスと同様に、中央に円柱状のねじ嵌合孔を備える円柱形状のボスが設けられており、これらホルダユニット2Aに一体的に設けられたケース保持ボス21と第一ケース4Aの内面から突出するように設けられたケース側ボス(図示せず)とが、ねじ嵌合孔を連結させた上で、ねじ螺合される。これによって、第一ケース4Aは、電池コアパック10に固定される。
【0046】
第二ケース4Bは、第一ケース4Aの開口端縁を合わせるように配置される。第一ケース4Aが取り付けられた電池コアパック10に、第二ケース4Bが配置され、第一ケース4Aと第二ケース4Bとは、ねじ螺合によって嵌合固定されることで、電池パック3を構
成している。
【符号の説明】
【0047】
1…電池
2…電池ホルダ 2A…ホルダーユニット
3…電池パック
4…外装ケース 4A…第1ケース
4B…第2ケース
4a…開口窓
4AO…ラッチ開口部
5…リード板 5A…第1中間リード板
5B…第2中間リード板
5C…第3中間リード板
5D…第1出力用リード板
5E…第2出力用リード板
5a…案内孔

6…回路基板 6A…貫通孔
6B…基板保持孔
7…溶接箇所
8…接続リード
9…検査棒
10…電池コアパック
11…保持筒 11A…開口部
11B…リード板収納溝
12…支持側壁 12A…外面
13…挿通穴
14…検査用スリット 14A…スリット傾斜面
14a…平面
14b…曲面
15…コネクタ
16…ラッチ
18…温度センサー
19…電池収納部
20…基板保持部
21…ケース保持ボス
22…基板保持リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に正負の異なる端部電極を有する複数の電池(1)を互いに平行な姿勢とし、かつ両端の端部電極を同一面に配置して多段多列に配置している電池ホルダ(2)と、
この電池ホルダ(2)が収納している電池(1)の端部電極に接続されて、隣接する電池(1)を直列と並列に接続してなるリード板(5)と、
前記電池ホルダ(2)は、複数の電池(1)を押通して、保持する保持筒(11)の両端に支持側壁(12)を一体的に成形しており、一対の支持側壁(12)の対向する内側において保持筒(11)を連結し電池収納部(19)を形成し、
その支持側壁(12)は、保持筒(11)の外側において、電池(1)の端部電極を露出する開口部(11A)が設けられており、
前記電池(1)が電池ホルダ(2)に収納配置されると、開口部(11A)から露出する端部電極とリード板(5)とを接続しており、
前記支持側壁(12)には、前記リード板(5)の前記電池(1)に接続される側の面と支持側壁(12)の外部とが連通する空隙を設けるように検査用スリット(14)が設けられていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記開口部(11A)は、前記電池ホルダ(2)の支持側壁(12)の外面(12A)から見て、凹設するように設けられており、さらに、隣接する前記開口部(11A)の間には、支持側壁(12)の外面(12A)から見て、凹設するように設けられたリード板収納溝(11B)が設けられ、
前記リード板(5)は、前記開口部(11A)と前記リード板収納溝(11B)に配置されて、
前記検査用スリット(14)は、前記リード板収納溝(11B)の外縁と連続するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
検査用スリット(14)は、支持側壁(12)の外面(12A)から、隣接する両開口部(11A)及びリード板収納溝(11B)の外縁に向って傾斜するようにスリット傾斜面(14A)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記スリット傾斜面(14A)は、3つの異なる面が連結されて形成され、両端の2つの面は、支持側壁(12)の外面(12A)から開口部(11A)及びリード板収納溝(11B)の外縁に向かって傾斜する平面(14a)であり、
前記2つの平面は、隣接する開口部(11A)にそれぞれ対向するように位置していることを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記リード板(5)に接続される回路基板(6)を備え、この電池ホルダ(2)の一面に設けられた基板保持部(20)によって、回路基板(6)が配置されて電池のコアパック(10)となり、このコアパック(10)が外装ケース(4)に収納されてなることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電池パック。
【請求項6】
前記基板保持部(20)は、電池ホルダ(2)の保持筒(11)の外面に凸設した基板保持リブ(22)を備えており、
前記基板保持リブ(22)が、回路基板(6)の外周から切り欠くように形成された基板保持孔に挿入されることで前記回路基板(6)が前記基板保持部に固定されることを特徴とする請求項1及び2に記載の電池パック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−115018(P2013−115018A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263160(P2011−263160)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】