電池配線モジュール
【課題】単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供する。
【解決手段】正極及び負極の電極端子12を有する単電池10を複数個並べてなる単電池群11に取り付けられる電池配線モジュール20は、電極端子12に接続される複数のバスバー21と、バスバー21を保持する樹脂プロテクタ30とを備え、樹脂プロテクタ30に、樹脂プロテクタ30の単電池群11への組み付け方向に対して交差する方向にバスバー21を挿入するバスバー挿入口38を設けたことを特徴とする。
【解決手段】正極及び負極の電極端子12を有する単電池10を複数個並べてなる単電池群11に取り付けられる電池配線モジュール20は、電極端子12に接続される複数のバスバー21と、バスバー21を保持する樹脂プロテクタ30とを備え、樹脂プロテクタ30に、樹脂プロテクタ30の単電池群11への組み付け方向に対して交差する方向にバスバー21を挿入するバスバー挿入口38を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールにおいては、正極および負極の電極端子を有する複数の単電池が並んで配置されている。このような電池モジュールにおいては、正極の電極端子(正極端子)および負極の電極端子(負極端子)とがバスバーで接続されることにより複数の単電池が電気的に接続されるようになっている。
複数の単電池を電気的に接続するために、例えば、特許文献1に記載されているような電池配線モジュールが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2011−8955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されている電池配線モジュールでは、バスバー保持部を有する接続ユニットを複数連結し、各接続ユニットのバスバー保持部に上方からバスバーを収容した後に、単電池の電極端子が形成されている端子形成面に接続ユニットを配置して各バスバーと電極端子とが接続されるようになっている。
しかしながら、上記のような構成の電池配線モジュールにおいて、バスバーは、接続ユニットの単電池群への組み付け方向と平行な方向から収容されるので、単電池群への組み付け作業の際に、接続ユニットと、単電池群を構成する単電池の端子形成面あるいは電極端子との衝突により、接続ユニットのバスバー保持部に収容されていたバスバーが突き上げられて接続ユニットから脱落してしまうことがあった。バスバーが接続ユニットから脱落すると、バスバーを再度接続ユニットのバスバー保持部に収容する必要があるため、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものとして、本発明は正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べてなる単電池群に取り付けられる電池配線モジュールであって、前記電極端子に接続される複数のバスバーと、前記バスバーを保持する樹脂プロテクタとを備え、前記樹脂プロテクタに、前記樹脂プロテクタの前記単電池群への組み付け方向に対して交差する方向に前記バスバーを挿入するバスバー挿入口を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明においては、樹脂プロテクタに、樹脂プロテクタの単電池群への組み付け方向に対して交差する方向にバスバーを挿入するバスバー挿入口を設けている。したがって、本発明では、樹脂プロテクタと、単電池の端子形成面や電極端子とが衝突したとしても、バスバーが突きあげられにくくなっているので、単電池群への組み付け作業の際にバスバーの脱落が防止される。その結果、本発明によれば、単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供することができる。
【0008】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記樹脂プロテクタは、前記バスバーを保持する保持部に前記バスバー挿入口が設けられた連結ユニットを、複数備えていてもよい。
このような構成とすると、樹脂プロテクタが複数の連結ユニットを備える構成であっても、単電池群への組み付け作業の効率を向上することができる。
【0009】
前記連結ユニットの前記保持部に、前記バスバーを、前記バスバー挿入口から前記バスバーの挿入方向における前方に案内するガイド部を設けた構成としてもよい。
このような構成とすると、バスバー挿入作業を円滑に行うことができるので、作業性が向上する。
【0010】
前記バスバーに、前記連結ユニットの前記保持部に対して前記バスバーを抜け止めする抜け止め部を形成してもよい。
このような構成とするとバスバー挿入口から挿入されたバスバーが保持部に対して抜け止めされるので、バスバーの脱落の発生を確実に防止することができる。
【0011】
前記保持部は前記バスバーの周縁に沿って配される壁部と、前記バスバーが水平姿勢で載置される載置部とを備え、前記壁部と前記載置部との間に前記バスバー挿入口を設け、前記バスバー挿入口において、前記壁部と前記載置部とを前記バスバーの挿入方向においてずらした位置に設けてもよい。
このような構成とするとバスバーの挿入口において、載置部と壁部とをバスバーの挿入方向においてずらした位置に設けているので、バスバー挿入口へのバスバーの挿入が容易となり、挿入後のバスバーが挿入方向の前方へ案内されるのでバスバーの挿入作業を円滑に行うことができる。
【0012】
前記バスバー挿入口において、前記壁部および前記載置部のうちの少なくとも一方に、前記バスバーの挿入を案内する案内面を形成してもよい。このような構成とすると、バスバーの挿入が案内されるので、バスバーの挿入作業をさらに円滑に行うことができる。
【0013】
前記複数の連結ユニットのうち、一の連結ユニットと他の連結ユニットとが前記バスバーを介して相互に連結されていてもよい。
このような構成とすると、連結ユニットを並べてバスバー挿入口にバスバーを挿入すれば、複数の連結ユニットがバスバーを介して連結された状態となる。その結果、上記構成によれば、別途連結ユニット間の連結作業が不要であるので、作業効率に優れる。
【0014】
前記複数の連結ユニットは、成型時には相互連結部を介して、複数の前記連結ユニットが一体に連結形成されたものであり、前記バスバー挿入口に前記バスバーが挿入された後に前記相互連結部が切断されていてもよい。
このような構成とすると、連結ユニットにバスバーを挿入する際に複数の連結ユニットを並べる必要がないので作業効率に優れる。
【0015】
前記複数のバスバーはバスバー連結部によって連結された状態で、前記相互連結部により連結された前記複数の連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入され、前記バスバー連結部は、前記バスバーを前記連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入した後に切断されていてもよい。
このような構成とすると、複数の連結ユニットに対して複数のバスバーを一括して配置可能となり、作業効率に優れる。
【0016】
前記連結ユニットの前記相互連結部の切断により形成される切断部の両側に、一対の突部を設けた構成としてもよい。
このような構成とすると、相互連結部の切断後に形成される切断部に生じ得るバリの処理が不要となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は実施形態1に係る電池配線モジュールを備えた電池モジュールの平面図である。
【図2】図2はナット締め前の電池モジュールの斜視図である。
【図3】図3はバスバーが連結ユニットに収容された状態を示す斜視図である。
【図4】図4はバスバーが連結ユニットに収容された状態を示す平面図である。
【図5】図5は図4のA−A線における断面図である。
【図6】図6は図4のB−B線における断面図である。
【図7】図7はバスバーが連結ユニットに収容された状態を示す側面図である。
【図8】図8は図7のC−C線における断面図である。
【図9】図9は連結ユニットを示す斜視図である。
【図10】図10は連結ユニットを示す平面図である。
【図11】図11は連結ユニットを示す正面図である。
【図12】図12は連結ユニットを示す側面図である。
【図13】図13はバスバー連結部により連結された状態の複数のバスバーを、相互連結部により連結された連結ユニットに配置する前の状態を示す斜視図である。
【図14】図14は図13の一部拡大斜視図である。
【図15】図15はバスバーを連結ユニットのバスバー挿入口の近傍に配置した状態を示す断面図である。
【図16】図16はバスバー連結部により連結された状態の複数のバスバーを、相互連結部により連結された連結ユニットのバスバー挿入口に挿入したときの状態を示す斜視図である。
【図17】図17は、バスバー連結部を切断したときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図17を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池配線モジュール20は、正極及び負極の電極端子12を有する複数個(本実施形態では24個)の単電池10を並べてなる単電池群11に取り付けられるものである。以下、正極の電極端子12を正極端子12A、負極の電極端子12を負極端子12Bといい両者を総括するときは電極端子12という。
【0020】
単電池群11に本実施形態の電池配線モジュール20を取り付けてなる電池モジュールMは、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車等の、車両(図示せず)の駆動源として使用される。単電池群11を構成する複数個の単電池10は、電池配線モジュール20によって、異なる単電池10の正極端子12Aと負極端子12Bとを電気的に接続することにより、直列に接続されている。以下の説明において図2、図5〜図7、図11、図12および図15における上方を上とし下方を下とする。
【0021】
(単電池10)
単電池10は、扁平な直方体形状をなしている。単電池10の上面10Aには、図1および図2に示すように、正極端子12A及び負極端子12Bが形成されている。電極端子12は、金属板材からなる台座(図示せず)と、台座から上方に向かって丸棒状に突する電極ポスト13Bとを備える。電極ポスト13Bの表面には、図2に示すように、ねじ山14が形成されている。複数個の単電池10は、正極端子12Aと負極端子12Bとが隣り合うように並べられている。電極ポスト13Bはバスバー21の貫通孔23(詳細は後述)に挿通され、ナット15締めされている。
【0022】
(電池配線モジュール20)
電池配線モジュール20は、単電池10の正極端子12A及び負極端子12Bの電極ポスト13B,13Bにそれぞれ挿通されて接続される一対の貫通孔23(接続部)を有する複数のバスバー21と、バスバー21を保持する保持部32を有する合成樹脂製の樹脂プロテクタ30と、を備える。
本実施形態において、樹脂プロテクタ30は複数の連結ユニット31を備え、複数の連結ユニット31は単電池10の並び方向にバスバー21を介して連結されている。
【0023】
(バスバー21)
バスバー21は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属からなる板材を所定形状にプレス加工してなる。個々のバスバー21は、図3に示すように、略長方形状をなしている。本実施形態では、詳細は後述するが、複数のバスバー21はバスバー連結部22により連結された状態で、連結ユニット31のバスバー挿入口38から挿入された後、バスバー連結部22が切断されて、個々のバスバー21が構成されるようになっている(図13、図14、図16および図17を参照)。バスバー21の表面には、スズ、ニッケル等に金属がメッキされていてもよい。図13、図14、図16および図17は連結ユニット31およびバスバー21を裏側(単電池10の上面10Aに配置される面側)から見た斜視図である。
【0024】
バスバー21には、所定の間隔を空けて一対の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23内には、単電池10の正極端子12A及び負極端子12Bがそれぞれ挿通される。本実施形態における貫通孔23は、上方から見て円形状をなしている。一対の貫通孔23は、所定の間隔を空けて形成されている。本実施形態においては、上記した所定の間隔は、隣り合う正極端子12Aと負極端子12Bとのピッチに設定される。貫通孔23の内径寸法は、正極端子12A及び負極端子12Bの外径寸法に、隣り合う正極端子12Aと負極端子12Bとのピッチについての公差が加えられた寸法と、同じかやや大きく設定されている。
【0025】
またバスバー21には、図3に示すように、各貫通孔23と並んで、長円形の孔24が形成されている。この長円形の孔24は電圧検知端子50が接続される検知端子接続孔24である。バスバー21の一対の長辺のうち、検知端子接続孔24が形成されている側の長辺の両端部には、それぞれ、図3〜図5に示すように、バスバー21を連結ユニット31のバスバー21挿入方向における後側の壁部35(図4における奥側の壁部35)に対して抜け止めするための抜け止め突部25(抜け止め部の一例)が上方に突出形成されている。
【0026】
また、バスバー21の一対の長辺のうち、抜け止め突部25が形成されている長辺の中央部には方形状に切り欠かれた凹み部26が形成されている。この凹み部26は、複数のバスバー21を連結するバスバー連結部22が形成されていた部分である(図13、図14および図16を参照)。凹み部26に形成されていたバスバー連結部22は、複数のバスバー21を対応する連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入した後に切断される(図17を参照)。バスバー連結部22を切断することにより形成される切断部22Aには、バリが発生し得るが、本実施形態では、バスバー連結部22の切断部22Aが凹み部26内に形成されるようにしているので、バリ処理は不要である。
【0027】
バスバー21の一対の長辺のうち、抜け止め突部25の形成されていない側の長辺の略中央部には、図4に示すように、対向する長辺の凹み部26よりも広い範囲で方形状に切り欠かれた凹部27が形成されている。バスバー21の凹部27の端部27Aに、連結ユニット31に設けた係止突部39が係止されることでバスバー21が連結ユニット31に係止されるようになっている(図8を参照)。
【0028】
(連結ユニット31)
複数のバスバー21は、それぞれ図1に示すように、連結ユニット31の保持部32に保持されている。複数の連結ユニット31のうち、一の連結ユニット31と他の連結ユニット31は、バスバー21を介して相互に連結されている。
【0029】
連結ユニット31は、上方に開口すると共にバスバー21を収容し保持する2つの保持部32,32と、電圧検知端子50に接続される電線54を収容する電線収容部41と、を備える。なお、図1において、奥側の電池配線モジュール20における左右の端部には、保持部32を1つだけ有した端部連結ユニット31A,31Aが配置されている。
【0030】
保持部32は、概ねバスバー21の略半分が収容される大きさに形成されている。保持部32の底部33は、図4、図9および図10に示すように、バスバー21の周縁部が載置される載置部33を残して下方に開口されている。また、2つの保持部32,32の間には、隣り合うバスバー21を仕切る絶縁壁34が上方に立ち上がって形成されている。保持部32は絶縁壁34と、図4における奥側の壁35(後壁35)、図4における左右の側方の壁36(側壁36)、図4における手前側の壁37(前壁37)、後壁35と側壁36の間の壁35Aとを備える。
【0031】
保持部32の後壁35および前壁37および絶縁壁34はバスバー21の周縁に沿って配される(壁部の一例)。具体的には、保持部32の後壁35および前部37はバスバー21の長辺の一部に沿って配され、絶縁壁34はバスバー21の短辺に沿って配される(壁部の一例)。
【0032】
保持部32の後壁35、壁35A(詳細は後述)および絶縁壁34の高さ寸法は、電池配線モジュール20が単電池群11に接続された状態において、電極端子12の上端部よりも高く設定されている。これにより、工具等が正極端子12Aおよび負極端子12Bに接触して、正極端子12Aと負極端子12Bとが工具等を介して短絡することを抑制できるようになっている。本実施形態においては、保持部32の後壁35および壁35Aの高さと、絶縁壁34の高さとは同じに設定されているが、必要に応じて異なっていてもよい。
【0033】
絶縁壁34には、図4に示すように、保持部32内に収容されたバスバー21の上側に配されて、載置部33とともにバスバー21を保持する機能を有する2つの保持突部34A,34Aが、各保持部32の内部に向かって突出形成されている。絶縁壁34の下端部には、図5に示すように、2つの保持突部34A,34Aの直下からバスバー21の挿入方向においてずれた位置に、バスバー21を載置する載置突部34Bが形成されている。保持突部34Aおよび載置突部34Bの間には、図4および図5に示すようにバスバー21の短辺部分が配置される。
【0034】
また、絶縁壁34に形成された保持突部34Aおよび載置突部34Bは、バスバー21を挿入する際に、バスバー挿入口38から保持部32内に挿入されたバスバー21を、バスバー21の挿入方向に対して平行な姿勢を保ちつつ、挿入方向における前方(前壁37側)に案内するガイド部として機能する(ガイド部の一例)。
【0035】
本実施形態では、保持部32の壁35,35A,36,37は上面視面取り状をなしている。詳しくは、本実施形態では、保持部32の後壁35と側壁36との間には、後壁35および側壁36に対して鈍角をなして連なる面取り壁35Aが設けられている。後壁35と側壁36との間に面取り壁35Aを設けることによりバスバー連結部22を切断する際の切断用の工具と、連結ユニット31の壁35,36との干渉が防止可能とされる。
【0036】
保持部32の壁35,35A,36と、載置部33との間にはバスバー挿入口38が形成されている。本実施形態では、バスバー挿入口38は、図12および図15に示すように、バスバー21を保持部32の壁部35側から図示左方向に挿入可能に設けられている。つまり、バスバー挿入口38は、連結ユニット31の単電池群11への組み付け方向(本実施形態では上下方向)に対して交差する方向にバスバー21を挿入できるように設けられている。
【0037】
保持部32の壁35,35A,36,37は、図5、図6および図10に示すように、載置部33の直上から外側方向にずらした位置に設けられている。つまり、バスバー挿入口38においては、保持部32の壁35,35Aと載置部33とが、バスバー挿入方向において前後にずれた位置に設けられており、上下に重ならないような位置関係にあるので、バスバー挿入口38から容易にバスバー21を挿入することができるとともに、バスバー21の前方への移動を円滑に行うことができる。
【0038】
また、連結ユニット31においては、図11(バスバー挿入口38側から連結ユニット31を示した図)および図12(連結ユニット31の側面図)に示すように、バスバー挿入口38における底部33の端面および後壁35の端面には、バスバー21の挿入を案内する傾斜面33A,35B(案内面の一例)がそれぞれ形成されている(図5および図11を参照)。
【0039】
保持部32のバスバー21挿入方向における前方の前壁37の下端部には、図8に示すように、バスバー21の凹部27の端部27Aに係止される係止突部39が、保持部32の内部方向に突出形成されている。保持部32の係止突部39とバスバー21の凹部27との間には、図8に示すように、連結ユニット31の連結方向におけるクリアランスが形成されており、これにより、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっている。
【0040】
(電圧検知端子50)
連結ユニット31の保持部32のうち、1つの保持部32内には、バスバー21の上に重ねられて、単電池10の電圧を検知するための電圧検知端子50が配されている。電圧検知端子50は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。電圧検知端子50の表面は、スズ、ニッケル等の金属によってメッキされていてもよい。
【0041】
本実施形態においては、電圧検知端子50は略方形状をなしており、中央付近に、正極端子12Aまたは負極端子12Bが挿通される端子挿通孔(図示せず)が形成されている。電圧検知端子50の端子挿通孔はバスバー21の貫通孔23と重なるように配置される。電圧検知端子50には、バスバー21の検知端子接続孔24に差し込まれ接続される接続突部52が設けられている。
【0042】
電圧検知端子50には、電線54の端部に接続されるバレル部53が形成されており、バレル部53が電線54の芯線に巻き付くように、かしめられることにより、電圧検知端子50と電線54とが電気的に接続される。電線54は、図示しないECU等に接続される。このECU等により、単電池10の電圧が検知される。
【0043】
連結ユニット31には、電圧検知端子50のバレル部53を保持するバレル保持部40と、電圧検知端子50に接続される電線54が収容される電線収容部41が形成されている。電線収容部41は単電池10の上面10Aに対して切り立つ一対の側壁部42,42と一対の側壁部42,42とを繋ぐ底壁部43とを備える。電線54は、一対の側壁部42,42と底壁部43とにより形成される溝状の部分44に配置されるようになっている。
【0044】
電線収容部41の一対の側壁部42,42に電線54を上方から保持する一対の保持爪45,45が形成されている。電線収容部41の一対の側壁部42,42のうち、保持部32とは反対側(外側)の側壁部42Aには、電線収容部41の一部を覆って電線54の飛び出しを防ぐ蓋部46が、ヒンジ47を介して設けられている。
【0045】
また、電線収容部41の一対の側壁部42,42のうち、外側の側壁部42Aの外壁面には、連結ユニット31の成型時においては複数の連結ユニット31を連結する相互連結部48が設けられているが、この相互連結部48は連結ユニット31にバスバー21を配置した後に切断されるようになっている。相互連結部48を切断すると切断後にバリが発生することがあるが、本実施形態では、相互連結部48の切断後に形成される切断部48Aの両側の位置に一対の突部49,49が設けられているので、バリ処理は不要である。
【0046】
(電池配線モジュール20の製造方法)
以下、本実施形態の電池配線モジュール20の製造方法の一例を説明する。
まず、複数のバスバー21および複数の連結ユニット31をそれぞれ作製する。金属板材にプレス加工を施して、バスバー連結部22により連結された状態の複数のバスバー21を作製する。複数の連結ユニット31については、合成樹脂を金型(図示せず)により射出成形することによって形成する。成型時において複数の連結ユニット31は相互連結部48により一体に連結形成された状態である(図13および図14を参照)。ここで、本実施形態では、保持部32の壁35,35A,36,37と底部33(載置部33)とが上下方向において重ならない構成の連結ユニット31を形成するので、スライド金型を使用しないで済み、金型製造のコストを低減し、スライド金型をスライドさせるためのスペース等が不要となる。
【0047】
上述のようにして作製した連結状態の複数のバスバー21を、図13および図15に示すように、相互連結部48により一体に連結形成された状態の複数の連結ユニット31のバスバー挿入口38側に配置する。ここで、図15はバスバー21を連結ユニット31のバスバー挿入口38に配置した状態の断面図である。
【0048】
次に、複数のバスバー21を、対応する連結ユニット31のバスバー挿入口38にそれぞれ差し込む。本実施形態では、バスバー挿入口38において、保持部32の壁35,35Aと載置部33とがバスバー21の挿入方向においてずれて設けられているので、バスバー21を容易に挿入することができる。
【0049】
また、バスバー挿入口38において後壁35の端面には傾斜面35Bが形成されるとともに、底部33の端面には傾斜面33Aが形成され、かつ、保持部32の壁35,35A,36,37と底部33とは、上下に重ならない位置に設けられているので、バスバー挿入口38から挿入されたバスバー21は保持部32内に案内され、挿入作業を円滑に行うことができる。バスバー挿入口38から挿入されたバスバー21は、保持部32の底部33と保持突部34Aとの間で挿入方向に対して略平行な姿勢を保ちつつ、図14の矢線Xの示す方向(前壁37方向)に案内される。
【0050】
バスバー21の抜け止め突部25が連結ユニット31の保持部32の後壁35の下端部に当接すると、抜け止め突部25が下方へ弾性変形する。バスバー21の凹部27内に連結ユニット31の保持部32の係止突部39が配されると、バスバー21の抜け止め突部25が保持部32内に配されて弾性復帰し、バスバー21が保持部32の後壁35により抜け止めされる(図5を参照)。このときバスバー21の凹部27の端部27Aと、連結ユニット31の保持部32の係止突部39との間には、図8に示すように、連結ユニット31の連結方向におけるクリアランスが形成されており、これにより、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっている。
【0051】
全てのバスバー21を連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入して、バスバー21が保持部32に抜け止めされると、図16に示すように、バスバー連結部22により連結された状態の複数のバスバー21が、相互連結部48により連結された複数の連結ユニット31に取り付けられた状態となる。
【0052】
次に、複数の連結ユニット31を連結している相互連結部48および、複数のバスバー21を連結しているバスバー連結部22を切断する。
ここで、本実施形態では、連結ユニット31の保持部32を構成する壁35,35A,36,37が上面視面取り状をなしているので、バスバー連結部22の切断作業を行う際に切断用の工具と連結ユニット31の保持部32の壁35,36とが干渉することなく円滑に切断作業を行うことができる。
【0053】
相互連結部38およびバスバー連結部22の切断除去作業が完了すると、図17に示すように、相互連結部48およびバスバー連結部22が除去され連結ユニット31がバスバー21により連結された状態となる
【0054】
ところで、相互連結部48の切断作業により形成される切断部48Aならびにバスバー連結部22の切断作業により形成される切断部22Aにはバリが発生することがある。本実施形態においては、連結ユニット31の相互連結部48の切断部48Aの両側には一対の突部49,49が形成されているので、切断部48Aにバリが発生したとしても、バリの除去処理は不要である。また、本実施形態においては、バスバー連結部22の切断部22Aが凹部27内に形成されるので、切断部22Aにバリが発生したとしてもバリの除去処理は不要である。
【0055】
次に、電圧検知端子50を連結ユニット31に取り付ける。具体的には、電線54の端部に電圧検知端子50のバレル部53をかしめ付けた状態とし、連結ユニット31に形成された2つの保持部32,32のうち、一方の保持部32内に、上方から電圧検知端子50を収容しバスバー21に接続する。そして、電圧検知端子50のバレル部53を、連結ユニット31のバレル保持部40に保持させ、電線54を電線収容部41に配置し、電線収容部41の蓋部46を閉めると、本実施形態の電池配線モジュール20が得られる。なお、図1および図2においては蓋部46を空けた状態が示されている。
【0056】
上述のようにして製造した本実施形態の電池配線モジュール20を、電極端子12を上に向けた状態で並べられた単電池群11の上に配し、バスバー21の貫通孔23に、各単電池10の電極端子12(電極ポスト13B)を挿通させて、ナット15を螺合させると、電池モジュールMが完成する。ここで、隣り合う正極端子12Aと負極端子12Bとの間の製造公差、及び組み付け公差は、バスバー21に形成された貫通孔23によって吸収される。しかし、複数の単電池10が並べられると、上記の公差が積算されて、バスバー21に形成された貫通孔23では吸収できなくなることが懸念される。本実施形態においては、保持部32の係止突部39とバスバー21の凹部27との間には、図8に示すように、連結ユニット31の連結方向におけるクリアランスが形成されており、これにより、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっているので、積算された公差を吸収することができる。
【0057】
(実施形態の作用、効果)
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、連結ユニット31の保持部32に、連結ユニット31の単電池群11への組み付け方向に対して交差する方向にバスバー21を挿入するバスバー挿入口38を設けている。したがって、本実施形態では、連結ユニット31と、単電池10の上面10A(端子形成面)や電極端子12とが衝突したとしても、バスバー21が突きあげられにくくなっているので、単電池群11への組み付け作業の際にバスバー21の脱落が防止される。その結果、本実施形態によれば、単電池群11への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュール20を提供することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、連結ユニット31の保持部32に、バスバー21を、バスバー挿入口38からバスバー21の挿入方向における後方に案内するガイド部として機能する保持突部34Aおよび載置突部34Bが設けられているから、バスバー21の挿入作業を円滑に行うことができ、作業性が向上する。
【0059】
また、本実施形態によれば、バスバー21には、連結ユニット31の保持部32に対してバスバー21を抜け止めする抜け止め突部25が形成されているから、バスバー挿入口38から挿入されたバスバー21が保持部32に対して抜け止めされるので、バスバー21の脱落の発生を確実に防止することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、保持部32の壁35,35A(壁部)と載置部33との間にバスバー挿入口38を設け、バスバー挿入口38において、壁部35と載置部33とをバスバー21の挿入方向においてずらした位置に設けたから、バスバー挿入口38へのバスバー21の挿入が容易となり、挿入後のバスバー21が挿入方向の前方へ案内されるのでバスバー21の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、バスバー挿入口38において、壁部35および載置部33の双方にそれぞれバスバー21の挿入を案内する傾斜面35B,33Aを形成したから、バスバー21の挿入作業をさらに円滑に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態においては、複数の連結ユニット31のうち、一の連結ユニット31と他の連結ユニット31とがバスバー21を介して相互に連結されているから、連結ユニット31を並べてバスバー挿入口38にバスバー21を挿入すれば、複数の連結ユニット31がバスバー21を介して連結された状態となる。その結果、本実施形態によれば、別途連結ユニット31間の連結作業が不要であるので、作業効率に優れる。
【0063】
また、本実施形態によれば、複数の連結ユニット31は、成型時には相互連結部48を介して、複数の連結ユニット31が一体に連結形成されたものであり、バスバー挿入口38にバスバー21が挿入された後に相互連結部48が切断されているから、連結ユニット31にバスバー21を挿入する際に複数の連結ユニット31を並べる必要がないので作業効率に優れる。
【0064】
本実施形態によれば、複数のバスバ21ーはバスバー連結部22によって連結された状態で、相互連結部48により連結された複数の連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入され、バスバー連結部22は、バスバー21を連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入した後に切断されているから、複数の連結ユニット21に対して複数のバスバー31を一括して配置可能となり、作業効率に優れる。
【0065】
本実施形態によれば、連結ユニット31の相互連結部48の切断により形成される切断部48Aの両側に、一対の突部49,49を設けた構成としたから、相互連結部48の切断後に形成される切断部48Aに生じ得るバリの処理が不要となる。
【0066】
また、本実施形態によれば、バスバー21が連結ユニット31に係止されている状態において、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっているので、製造交差や組み付け交差を吸収することができる。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、樹脂プロテクタとして複数個の連結ユニットを備えるものを示したが、樹脂プロテクタはすべてのバスバーを保持可能な1枚のプレート状のものであってもよい。
(2)上記実施形態では、保持部にバスバーを挿入方向の前方にガイドするガイド部を設けた連結ユニットを示したが、ガイド部を備えないものであってもよい。
(3)上記実施形態では抜け止め突部を有するバスバーを示したが、抜け止め突部を有していないものであってもよい。
(4)上記実施形態では、バスバー挿入口において、保持部の壁部と載置部とがバスバーの挿入方向においてずれた位置に形成されているものを示したが、保持部の壁部と載置部とがバスバー挿入口を挟んで、上下に重なる位置に形成されていてもよい。
(5)上記実施形態では、壁部および載置部の双方の端面にバスバーの挿入を案内する傾斜面を設けたものを示したが、壁部および載置部の双方に傾斜面を設けないものや、いずれか一方のみに傾斜面を設けたものであってもよい。
(6)上記実施形態では、複数の連結ユニットのうち、一の連結ユニットと他の連結ユニットとがバスバーを介して相互に連結されている構成を示したが、連結ユニットがバスバーを介さずに他の連結ユニットと連結されている構成であってもよい。
(7)上記実施形態では複数のバスバーを連結状態で、連結状態の複数の連結ユニットのバスバー挿入口に挿入する工程を含む製造方法を示したが、本発明はこれに限定されない。連結状態の複数の連結ユニットのバスバー挿入口に、連結されていない複数のバスバーを挿入するようにしてもよいし、連結されていない複数の連結ユニットを並べた状態として、各バスバー挿入口にバスバー(連結されていても、連結されていなくてもよい)を挿入するようにしてもよい。
(8)上記実施形態では連結ユニットの相互連結部の切断後に形成される切断部の両側に、一対の突部が設けられているものを示したが、相互連結部の切断部の両側に一対の突部が設けられていなくてもよい。
(9)上記実施形態では、保持部の壁が上面視面取り状をなすものを示したが、後壁と側壁とが垂直又は鋭角状に連なるような壁部を備える保持部であってもよい
(10)上記実施形態では電圧検知端子を備える構成の電池配線モジュールを示したが、電圧検知端子を備えないものであってもよい。
(11)上記実施形態では、電線収容部を有する連結ユニットを示したが、電線収容部を備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…単電池
11…単電池群
12…電極端子
12A…正極端子
12B…負極端子
20…電池配線モジュール
21…バスバー
22…バスバー連結部
25…抜け止め突部(抜け止め部)
30…樹脂プロテクタ
31…連結ユニット
32…保持部
33…底部(載置部)
33A…傾斜面(案内面)
34…絶縁壁(壁部)
34A…保持突部(ガイド部)
34B…載置突部(ガイド部)
35,37…壁部
35B…傾斜面(案内面)
38…バスバー挿入口
39…係止突部
48…相互連結部
48A…(相互連結部を切断した後に形成される)切断部
49…突部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールにおいては、正極および負極の電極端子を有する複数の単電池が並んで配置されている。このような電池モジュールにおいては、正極の電極端子(正極端子)および負極の電極端子(負極端子)とがバスバーで接続されることにより複数の単電池が電気的に接続されるようになっている。
複数の単電池を電気的に接続するために、例えば、特許文献1に記載されているような電池配線モジュールが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2011−8955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されている電池配線モジュールでは、バスバー保持部を有する接続ユニットを複数連結し、各接続ユニットのバスバー保持部に上方からバスバーを収容した後に、単電池の電極端子が形成されている端子形成面に接続ユニットを配置して各バスバーと電極端子とが接続されるようになっている。
しかしながら、上記のような構成の電池配線モジュールにおいて、バスバーは、接続ユニットの単電池群への組み付け方向と平行な方向から収容されるので、単電池群への組み付け作業の際に、接続ユニットと、単電池群を構成する単電池の端子形成面あるいは電極端子との衝突により、接続ユニットのバスバー保持部に収容されていたバスバーが突き上げられて接続ユニットから脱落してしまうことがあった。バスバーが接続ユニットから脱落すると、バスバーを再度接続ユニットのバスバー保持部に収容する必要があるため、作業効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものとして、本発明は正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べてなる単電池群に取り付けられる電池配線モジュールであって、前記電極端子に接続される複数のバスバーと、前記バスバーを保持する樹脂プロテクタとを備え、前記樹脂プロテクタに、前記樹脂プロテクタの前記単電池群への組み付け方向に対して交差する方向に前記バスバーを挿入するバスバー挿入口を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明においては、樹脂プロテクタに、樹脂プロテクタの単電池群への組み付け方向に対して交差する方向にバスバーを挿入するバスバー挿入口を設けている。したがって、本発明では、樹脂プロテクタと、単電池の端子形成面や電極端子とが衝突したとしても、バスバーが突きあげられにくくなっているので、単電池群への組み付け作業の際にバスバーの脱落が防止される。その結果、本発明によれば、単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供することができる。
【0008】
本発明は以下の構成としてもよい。
前記樹脂プロテクタは、前記バスバーを保持する保持部に前記バスバー挿入口が設けられた連結ユニットを、複数備えていてもよい。
このような構成とすると、樹脂プロテクタが複数の連結ユニットを備える構成であっても、単電池群への組み付け作業の効率を向上することができる。
【0009】
前記連結ユニットの前記保持部に、前記バスバーを、前記バスバー挿入口から前記バスバーの挿入方向における前方に案内するガイド部を設けた構成としてもよい。
このような構成とすると、バスバー挿入作業を円滑に行うことができるので、作業性が向上する。
【0010】
前記バスバーに、前記連結ユニットの前記保持部に対して前記バスバーを抜け止めする抜け止め部を形成してもよい。
このような構成とするとバスバー挿入口から挿入されたバスバーが保持部に対して抜け止めされるので、バスバーの脱落の発生を確実に防止することができる。
【0011】
前記保持部は前記バスバーの周縁に沿って配される壁部と、前記バスバーが水平姿勢で載置される載置部とを備え、前記壁部と前記載置部との間に前記バスバー挿入口を設け、前記バスバー挿入口において、前記壁部と前記載置部とを前記バスバーの挿入方向においてずらした位置に設けてもよい。
このような構成とするとバスバーの挿入口において、載置部と壁部とをバスバーの挿入方向においてずらした位置に設けているので、バスバー挿入口へのバスバーの挿入が容易となり、挿入後のバスバーが挿入方向の前方へ案内されるのでバスバーの挿入作業を円滑に行うことができる。
【0012】
前記バスバー挿入口において、前記壁部および前記載置部のうちの少なくとも一方に、前記バスバーの挿入を案内する案内面を形成してもよい。このような構成とすると、バスバーの挿入が案内されるので、バスバーの挿入作業をさらに円滑に行うことができる。
【0013】
前記複数の連結ユニットのうち、一の連結ユニットと他の連結ユニットとが前記バスバーを介して相互に連結されていてもよい。
このような構成とすると、連結ユニットを並べてバスバー挿入口にバスバーを挿入すれば、複数の連結ユニットがバスバーを介して連結された状態となる。その結果、上記構成によれば、別途連結ユニット間の連結作業が不要であるので、作業効率に優れる。
【0014】
前記複数の連結ユニットは、成型時には相互連結部を介して、複数の前記連結ユニットが一体に連結形成されたものであり、前記バスバー挿入口に前記バスバーが挿入された後に前記相互連結部が切断されていてもよい。
このような構成とすると、連結ユニットにバスバーを挿入する際に複数の連結ユニットを並べる必要がないので作業効率に優れる。
【0015】
前記複数のバスバーはバスバー連結部によって連結された状態で、前記相互連結部により連結された前記複数の連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入され、前記バスバー連結部は、前記バスバーを前記連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入した後に切断されていてもよい。
このような構成とすると、複数の連結ユニットに対して複数のバスバーを一括して配置可能となり、作業効率に優れる。
【0016】
前記連結ユニットの前記相互連結部の切断により形成される切断部の両側に、一対の突部を設けた構成としてもよい。
このような構成とすると、相互連結部の切断後に形成される切断部に生じ得るバリの処理が不要となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、単電池群への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は実施形態1に係る電池配線モジュールを備えた電池モジュールの平面図である。
【図2】図2はナット締め前の電池モジュールの斜視図である。
【図3】図3はバスバーが連結ユニットに収容された状態を示す斜視図である。
【図4】図4はバスバーが連結ユニットに収容された状態を示す平面図である。
【図5】図5は図4のA−A線における断面図である。
【図6】図6は図4のB−B線における断面図である。
【図7】図7はバスバーが連結ユニットに収容された状態を示す側面図である。
【図8】図8は図7のC−C線における断面図である。
【図9】図9は連結ユニットを示す斜視図である。
【図10】図10は連結ユニットを示す平面図である。
【図11】図11は連結ユニットを示す正面図である。
【図12】図12は連結ユニットを示す側面図である。
【図13】図13はバスバー連結部により連結された状態の複数のバスバーを、相互連結部により連結された連結ユニットに配置する前の状態を示す斜視図である。
【図14】図14は図13の一部拡大斜視図である。
【図15】図15はバスバーを連結ユニットのバスバー挿入口の近傍に配置した状態を示す断面図である。
【図16】図16はバスバー連結部により連結された状態の複数のバスバーを、相互連結部により連結された連結ユニットのバスバー挿入口に挿入したときの状態を示す斜視図である。
【図17】図17は、バスバー連結部を切断したときの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図17を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電池配線モジュール20は、正極及び負極の電極端子12を有する複数個(本実施形態では24個)の単電池10を並べてなる単電池群11に取り付けられるものである。以下、正極の電極端子12を正極端子12A、負極の電極端子12を負極端子12Bといい両者を総括するときは電極端子12という。
【0020】
単電池群11に本実施形態の電池配線モジュール20を取り付けてなる電池モジュールMは、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車等の、車両(図示せず)の駆動源として使用される。単電池群11を構成する複数個の単電池10は、電池配線モジュール20によって、異なる単電池10の正極端子12Aと負極端子12Bとを電気的に接続することにより、直列に接続されている。以下の説明において図2、図5〜図7、図11、図12および図15における上方を上とし下方を下とする。
【0021】
(単電池10)
単電池10は、扁平な直方体形状をなしている。単電池10の上面10Aには、図1および図2に示すように、正極端子12A及び負極端子12Bが形成されている。電極端子12は、金属板材からなる台座(図示せず)と、台座から上方に向かって丸棒状に突する電極ポスト13Bとを備える。電極ポスト13Bの表面には、図2に示すように、ねじ山14が形成されている。複数個の単電池10は、正極端子12Aと負極端子12Bとが隣り合うように並べられている。電極ポスト13Bはバスバー21の貫通孔23(詳細は後述)に挿通され、ナット15締めされている。
【0022】
(電池配線モジュール20)
電池配線モジュール20は、単電池10の正極端子12A及び負極端子12Bの電極ポスト13B,13Bにそれぞれ挿通されて接続される一対の貫通孔23(接続部)を有する複数のバスバー21と、バスバー21を保持する保持部32を有する合成樹脂製の樹脂プロテクタ30と、を備える。
本実施形態において、樹脂プロテクタ30は複数の連結ユニット31を備え、複数の連結ユニット31は単電池10の並び方向にバスバー21を介して連結されている。
【0023】
(バスバー21)
バスバー21は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属からなる板材を所定形状にプレス加工してなる。個々のバスバー21は、図3に示すように、略長方形状をなしている。本実施形態では、詳細は後述するが、複数のバスバー21はバスバー連結部22により連結された状態で、連結ユニット31のバスバー挿入口38から挿入された後、バスバー連結部22が切断されて、個々のバスバー21が構成されるようになっている(図13、図14、図16および図17を参照)。バスバー21の表面には、スズ、ニッケル等に金属がメッキされていてもよい。図13、図14、図16および図17は連結ユニット31およびバスバー21を裏側(単電池10の上面10Aに配置される面側)から見た斜視図である。
【0024】
バスバー21には、所定の間隔を空けて一対の貫通孔23が形成されている。この貫通孔23内には、単電池10の正極端子12A及び負極端子12Bがそれぞれ挿通される。本実施形態における貫通孔23は、上方から見て円形状をなしている。一対の貫通孔23は、所定の間隔を空けて形成されている。本実施形態においては、上記した所定の間隔は、隣り合う正極端子12Aと負極端子12Bとのピッチに設定される。貫通孔23の内径寸法は、正極端子12A及び負極端子12Bの外径寸法に、隣り合う正極端子12Aと負極端子12Bとのピッチについての公差が加えられた寸法と、同じかやや大きく設定されている。
【0025】
またバスバー21には、図3に示すように、各貫通孔23と並んで、長円形の孔24が形成されている。この長円形の孔24は電圧検知端子50が接続される検知端子接続孔24である。バスバー21の一対の長辺のうち、検知端子接続孔24が形成されている側の長辺の両端部には、それぞれ、図3〜図5に示すように、バスバー21を連結ユニット31のバスバー21挿入方向における後側の壁部35(図4における奥側の壁部35)に対して抜け止めするための抜け止め突部25(抜け止め部の一例)が上方に突出形成されている。
【0026】
また、バスバー21の一対の長辺のうち、抜け止め突部25が形成されている長辺の中央部には方形状に切り欠かれた凹み部26が形成されている。この凹み部26は、複数のバスバー21を連結するバスバー連結部22が形成されていた部分である(図13、図14および図16を参照)。凹み部26に形成されていたバスバー連結部22は、複数のバスバー21を対応する連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入した後に切断される(図17を参照)。バスバー連結部22を切断することにより形成される切断部22Aには、バリが発生し得るが、本実施形態では、バスバー連結部22の切断部22Aが凹み部26内に形成されるようにしているので、バリ処理は不要である。
【0027】
バスバー21の一対の長辺のうち、抜け止め突部25の形成されていない側の長辺の略中央部には、図4に示すように、対向する長辺の凹み部26よりも広い範囲で方形状に切り欠かれた凹部27が形成されている。バスバー21の凹部27の端部27Aに、連結ユニット31に設けた係止突部39が係止されることでバスバー21が連結ユニット31に係止されるようになっている(図8を参照)。
【0028】
(連結ユニット31)
複数のバスバー21は、それぞれ図1に示すように、連結ユニット31の保持部32に保持されている。複数の連結ユニット31のうち、一の連結ユニット31と他の連結ユニット31は、バスバー21を介して相互に連結されている。
【0029】
連結ユニット31は、上方に開口すると共にバスバー21を収容し保持する2つの保持部32,32と、電圧検知端子50に接続される電線54を収容する電線収容部41と、を備える。なお、図1において、奥側の電池配線モジュール20における左右の端部には、保持部32を1つだけ有した端部連結ユニット31A,31Aが配置されている。
【0030】
保持部32は、概ねバスバー21の略半分が収容される大きさに形成されている。保持部32の底部33は、図4、図9および図10に示すように、バスバー21の周縁部が載置される載置部33を残して下方に開口されている。また、2つの保持部32,32の間には、隣り合うバスバー21を仕切る絶縁壁34が上方に立ち上がって形成されている。保持部32は絶縁壁34と、図4における奥側の壁35(後壁35)、図4における左右の側方の壁36(側壁36)、図4における手前側の壁37(前壁37)、後壁35と側壁36の間の壁35Aとを備える。
【0031】
保持部32の後壁35および前壁37および絶縁壁34はバスバー21の周縁に沿って配される(壁部の一例)。具体的には、保持部32の後壁35および前部37はバスバー21の長辺の一部に沿って配され、絶縁壁34はバスバー21の短辺に沿って配される(壁部の一例)。
【0032】
保持部32の後壁35、壁35A(詳細は後述)および絶縁壁34の高さ寸法は、電池配線モジュール20が単電池群11に接続された状態において、電極端子12の上端部よりも高く設定されている。これにより、工具等が正極端子12Aおよび負極端子12Bに接触して、正極端子12Aと負極端子12Bとが工具等を介して短絡することを抑制できるようになっている。本実施形態においては、保持部32の後壁35および壁35Aの高さと、絶縁壁34の高さとは同じに設定されているが、必要に応じて異なっていてもよい。
【0033】
絶縁壁34には、図4に示すように、保持部32内に収容されたバスバー21の上側に配されて、載置部33とともにバスバー21を保持する機能を有する2つの保持突部34A,34Aが、各保持部32の内部に向かって突出形成されている。絶縁壁34の下端部には、図5に示すように、2つの保持突部34A,34Aの直下からバスバー21の挿入方向においてずれた位置に、バスバー21を載置する載置突部34Bが形成されている。保持突部34Aおよび載置突部34Bの間には、図4および図5に示すようにバスバー21の短辺部分が配置される。
【0034】
また、絶縁壁34に形成された保持突部34Aおよび載置突部34Bは、バスバー21を挿入する際に、バスバー挿入口38から保持部32内に挿入されたバスバー21を、バスバー21の挿入方向に対して平行な姿勢を保ちつつ、挿入方向における前方(前壁37側)に案内するガイド部として機能する(ガイド部の一例)。
【0035】
本実施形態では、保持部32の壁35,35A,36,37は上面視面取り状をなしている。詳しくは、本実施形態では、保持部32の後壁35と側壁36との間には、後壁35および側壁36に対して鈍角をなして連なる面取り壁35Aが設けられている。後壁35と側壁36との間に面取り壁35Aを設けることによりバスバー連結部22を切断する際の切断用の工具と、連結ユニット31の壁35,36との干渉が防止可能とされる。
【0036】
保持部32の壁35,35A,36と、載置部33との間にはバスバー挿入口38が形成されている。本実施形態では、バスバー挿入口38は、図12および図15に示すように、バスバー21を保持部32の壁部35側から図示左方向に挿入可能に設けられている。つまり、バスバー挿入口38は、連結ユニット31の単電池群11への組み付け方向(本実施形態では上下方向)に対して交差する方向にバスバー21を挿入できるように設けられている。
【0037】
保持部32の壁35,35A,36,37は、図5、図6および図10に示すように、載置部33の直上から外側方向にずらした位置に設けられている。つまり、バスバー挿入口38においては、保持部32の壁35,35Aと載置部33とが、バスバー挿入方向において前後にずれた位置に設けられており、上下に重ならないような位置関係にあるので、バスバー挿入口38から容易にバスバー21を挿入することができるとともに、バスバー21の前方への移動を円滑に行うことができる。
【0038】
また、連結ユニット31においては、図11(バスバー挿入口38側から連結ユニット31を示した図)および図12(連結ユニット31の側面図)に示すように、バスバー挿入口38における底部33の端面および後壁35の端面には、バスバー21の挿入を案内する傾斜面33A,35B(案内面の一例)がそれぞれ形成されている(図5および図11を参照)。
【0039】
保持部32のバスバー21挿入方向における前方の前壁37の下端部には、図8に示すように、バスバー21の凹部27の端部27Aに係止される係止突部39が、保持部32の内部方向に突出形成されている。保持部32の係止突部39とバスバー21の凹部27との間には、図8に示すように、連結ユニット31の連結方向におけるクリアランスが形成されており、これにより、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっている。
【0040】
(電圧検知端子50)
連結ユニット31の保持部32のうち、1つの保持部32内には、バスバー21の上に重ねられて、単電池10の電圧を検知するための電圧検知端子50が配されている。電圧検知端子50は、銅、銅合金、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板材を所定の形状にプレス加工してなる。電圧検知端子50の表面は、スズ、ニッケル等の金属によってメッキされていてもよい。
【0041】
本実施形態においては、電圧検知端子50は略方形状をなしており、中央付近に、正極端子12Aまたは負極端子12Bが挿通される端子挿通孔(図示せず)が形成されている。電圧検知端子50の端子挿通孔はバスバー21の貫通孔23と重なるように配置される。電圧検知端子50には、バスバー21の検知端子接続孔24に差し込まれ接続される接続突部52が設けられている。
【0042】
電圧検知端子50には、電線54の端部に接続されるバレル部53が形成されており、バレル部53が電線54の芯線に巻き付くように、かしめられることにより、電圧検知端子50と電線54とが電気的に接続される。電線54は、図示しないECU等に接続される。このECU等により、単電池10の電圧が検知される。
【0043】
連結ユニット31には、電圧検知端子50のバレル部53を保持するバレル保持部40と、電圧検知端子50に接続される電線54が収容される電線収容部41が形成されている。電線収容部41は単電池10の上面10Aに対して切り立つ一対の側壁部42,42と一対の側壁部42,42とを繋ぐ底壁部43とを備える。電線54は、一対の側壁部42,42と底壁部43とにより形成される溝状の部分44に配置されるようになっている。
【0044】
電線収容部41の一対の側壁部42,42に電線54を上方から保持する一対の保持爪45,45が形成されている。電線収容部41の一対の側壁部42,42のうち、保持部32とは反対側(外側)の側壁部42Aには、電線収容部41の一部を覆って電線54の飛び出しを防ぐ蓋部46が、ヒンジ47を介して設けられている。
【0045】
また、電線収容部41の一対の側壁部42,42のうち、外側の側壁部42Aの外壁面には、連結ユニット31の成型時においては複数の連結ユニット31を連結する相互連結部48が設けられているが、この相互連結部48は連結ユニット31にバスバー21を配置した後に切断されるようになっている。相互連結部48を切断すると切断後にバリが発生することがあるが、本実施形態では、相互連結部48の切断後に形成される切断部48Aの両側の位置に一対の突部49,49が設けられているので、バリ処理は不要である。
【0046】
(電池配線モジュール20の製造方法)
以下、本実施形態の電池配線モジュール20の製造方法の一例を説明する。
まず、複数のバスバー21および複数の連結ユニット31をそれぞれ作製する。金属板材にプレス加工を施して、バスバー連結部22により連結された状態の複数のバスバー21を作製する。複数の連結ユニット31については、合成樹脂を金型(図示せず)により射出成形することによって形成する。成型時において複数の連結ユニット31は相互連結部48により一体に連結形成された状態である(図13および図14を参照)。ここで、本実施形態では、保持部32の壁35,35A,36,37と底部33(載置部33)とが上下方向において重ならない構成の連結ユニット31を形成するので、スライド金型を使用しないで済み、金型製造のコストを低減し、スライド金型をスライドさせるためのスペース等が不要となる。
【0047】
上述のようにして作製した連結状態の複数のバスバー21を、図13および図15に示すように、相互連結部48により一体に連結形成された状態の複数の連結ユニット31のバスバー挿入口38側に配置する。ここで、図15はバスバー21を連結ユニット31のバスバー挿入口38に配置した状態の断面図である。
【0048】
次に、複数のバスバー21を、対応する連結ユニット31のバスバー挿入口38にそれぞれ差し込む。本実施形態では、バスバー挿入口38において、保持部32の壁35,35Aと載置部33とがバスバー21の挿入方向においてずれて設けられているので、バスバー21を容易に挿入することができる。
【0049】
また、バスバー挿入口38において後壁35の端面には傾斜面35Bが形成されるとともに、底部33の端面には傾斜面33Aが形成され、かつ、保持部32の壁35,35A,36,37と底部33とは、上下に重ならない位置に設けられているので、バスバー挿入口38から挿入されたバスバー21は保持部32内に案内され、挿入作業を円滑に行うことができる。バスバー挿入口38から挿入されたバスバー21は、保持部32の底部33と保持突部34Aとの間で挿入方向に対して略平行な姿勢を保ちつつ、図14の矢線Xの示す方向(前壁37方向)に案内される。
【0050】
バスバー21の抜け止め突部25が連結ユニット31の保持部32の後壁35の下端部に当接すると、抜け止め突部25が下方へ弾性変形する。バスバー21の凹部27内に連結ユニット31の保持部32の係止突部39が配されると、バスバー21の抜け止め突部25が保持部32内に配されて弾性復帰し、バスバー21が保持部32の後壁35により抜け止めされる(図5を参照)。このときバスバー21の凹部27の端部27Aと、連結ユニット31の保持部32の係止突部39との間には、図8に示すように、連結ユニット31の連結方向におけるクリアランスが形成されており、これにより、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっている。
【0051】
全てのバスバー21を連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入して、バスバー21が保持部32に抜け止めされると、図16に示すように、バスバー連結部22により連結された状態の複数のバスバー21が、相互連結部48により連結された複数の連結ユニット31に取り付けられた状態となる。
【0052】
次に、複数の連結ユニット31を連結している相互連結部48および、複数のバスバー21を連結しているバスバー連結部22を切断する。
ここで、本実施形態では、連結ユニット31の保持部32を構成する壁35,35A,36,37が上面視面取り状をなしているので、バスバー連結部22の切断作業を行う際に切断用の工具と連結ユニット31の保持部32の壁35,36とが干渉することなく円滑に切断作業を行うことができる。
【0053】
相互連結部38およびバスバー連結部22の切断除去作業が完了すると、図17に示すように、相互連結部48およびバスバー連結部22が除去され連結ユニット31がバスバー21により連結された状態となる
【0054】
ところで、相互連結部48の切断作業により形成される切断部48Aならびにバスバー連結部22の切断作業により形成される切断部22Aにはバリが発生することがある。本実施形態においては、連結ユニット31の相互連結部48の切断部48Aの両側には一対の突部49,49が形成されているので、切断部48Aにバリが発生したとしても、バリの除去処理は不要である。また、本実施形態においては、バスバー連結部22の切断部22Aが凹部27内に形成されるので、切断部22Aにバリが発生したとしてもバリの除去処理は不要である。
【0055】
次に、電圧検知端子50を連結ユニット31に取り付ける。具体的には、電線54の端部に電圧検知端子50のバレル部53をかしめ付けた状態とし、連結ユニット31に形成された2つの保持部32,32のうち、一方の保持部32内に、上方から電圧検知端子50を収容しバスバー21に接続する。そして、電圧検知端子50のバレル部53を、連結ユニット31のバレル保持部40に保持させ、電線54を電線収容部41に配置し、電線収容部41の蓋部46を閉めると、本実施形態の電池配線モジュール20が得られる。なお、図1および図2においては蓋部46を空けた状態が示されている。
【0056】
上述のようにして製造した本実施形態の電池配線モジュール20を、電極端子12を上に向けた状態で並べられた単電池群11の上に配し、バスバー21の貫通孔23に、各単電池10の電極端子12(電極ポスト13B)を挿通させて、ナット15を螺合させると、電池モジュールMが完成する。ここで、隣り合う正極端子12Aと負極端子12Bとの間の製造公差、及び組み付け公差は、バスバー21に形成された貫通孔23によって吸収される。しかし、複数の単電池10が並べられると、上記の公差が積算されて、バスバー21に形成された貫通孔23では吸収できなくなることが懸念される。本実施形態においては、保持部32の係止突部39とバスバー21の凹部27との間には、図8に示すように、連結ユニット31の連結方向におけるクリアランスが形成されており、これにより、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっているので、積算された公差を吸収することができる。
【0057】
(実施形態の作用、効果)
以下、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、連結ユニット31の保持部32に、連結ユニット31の単電池群11への組み付け方向に対して交差する方向にバスバー21を挿入するバスバー挿入口38を設けている。したがって、本実施形態では、連結ユニット31と、単電池10の上面10A(端子形成面)や電極端子12とが衝突したとしても、バスバー21が突きあげられにくくなっているので、単電池群11への組み付け作業の際にバスバー21の脱落が防止される。その結果、本実施形態によれば、単電池群11への組み付け作業の効率を向上した電池配線モジュール20を提供することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、連結ユニット31の保持部32に、バスバー21を、バスバー挿入口38からバスバー21の挿入方向における後方に案内するガイド部として機能する保持突部34Aおよび載置突部34Bが設けられているから、バスバー21の挿入作業を円滑に行うことができ、作業性が向上する。
【0059】
また、本実施形態によれば、バスバー21には、連結ユニット31の保持部32に対してバスバー21を抜け止めする抜け止め突部25が形成されているから、バスバー挿入口38から挿入されたバスバー21が保持部32に対して抜け止めされるので、バスバー21の脱落の発生を確実に防止することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、保持部32の壁35,35A(壁部)と載置部33との間にバスバー挿入口38を設け、バスバー挿入口38において、壁部35と載置部33とをバスバー21の挿入方向においてずらした位置に設けたから、バスバー挿入口38へのバスバー21の挿入が容易となり、挿入後のバスバー21が挿入方向の前方へ案内されるのでバスバー21の挿入作業を円滑に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態によれば、バスバー挿入口38において、壁部35および載置部33の双方にそれぞれバスバー21の挿入を案内する傾斜面35B,33Aを形成したから、バスバー21の挿入作業をさらに円滑に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態においては、複数の連結ユニット31のうち、一の連結ユニット31と他の連結ユニット31とがバスバー21を介して相互に連結されているから、連結ユニット31を並べてバスバー挿入口38にバスバー21を挿入すれば、複数の連結ユニット31がバスバー21を介して連結された状態となる。その結果、本実施形態によれば、別途連結ユニット31間の連結作業が不要であるので、作業効率に優れる。
【0063】
また、本実施形態によれば、複数の連結ユニット31は、成型時には相互連結部48を介して、複数の連結ユニット31が一体に連結形成されたものであり、バスバー挿入口38にバスバー21が挿入された後に相互連結部48が切断されているから、連結ユニット31にバスバー21を挿入する際に複数の連結ユニット31を並べる必要がないので作業効率に優れる。
【0064】
本実施形態によれば、複数のバスバ21ーはバスバー連結部22によって連結された状態で、相互連結部48により連結された複数の連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入され、バスバー連結部22は、バスバー21を連結ユニット31のバスバー挿入口38に挿入した後に切断されているから、複数の連結ユニット21に対して複数のバスバー31を一括して配置可能となり、作業効率に優れる。
【0065】
本実施形態によれば、連結ユニット31の相互連結部48の切断により形成される切断部48Aの両側に、一対の突部49,49を設けた構成としたから、相互連結部48の切断後に形成される切断部48Aに生じ得るバリの処理が不要となる。
【0066】
また、本実施形態によれば、バスバー21が連結ユニット31に係止されている状態において、連結ユニット31がバスバー21に対して相対的に移動可能となっているので、製造交差や組み付け交差を吸収することができる。
【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、樹脂プロテクタとして複数個の連結ユニットを備えるものを示したが、樹脂プロテクタはすべてのバスバーを保持可能な1枚のプレート状のものであってもよい。
(2)上記実施形態では、保持部にバスバーを挿入方向の前方にガイドするガイド部を設けた連結ユニットを示したが、ガイド部を備えないものであってもよい。
(3)上記実施形態では抜け止め突部を有するバスバーを示したが、抜け止め突部を有していないものであってもよい。
(4)上記実施形態では、バスバー挿入口において、保持部の壁部と載置部とがバスバーの挿入方向においてずれた位置に形成されているものを示したが、保持部の壁部と載置部とがバスバー挿入口を挟んで、上下に重なる位置に形成されていてもよい。
(5)上記実施形態では、壁部および載置部の双方の端面にバスバーの挿入を案内する傾斜面を設けたものを示したが、壁部および載置部の双方に傾斜面を設けないものや、いずれか一方のみに傾斜面を設けたものであってもよい。
(6)上記実施形態では、複数の連結ユニットのうち、一の連結ユニットと他の連結ユニットとがバスバーを介して相互に連結されている構成を示したが、連結ユニットがバスバーを介さずに他の連結ユニットと連結されている構成であってもよい。
(7)上記実施形態では複数のバスバーを連結状態で、連結状態の複数の連結ユニットのバスバー挿入口に挿入する工程を含む製造方法を示したが、本発明はこれに限定されない。連結状態の複数の連結ユニットのバスバー挿入口に、連結されていない複数のバスバーを挿入するようにしてもよいし、連結されていない複数の連結ユニットを並べた状態として、各バスバー挿入口にバスバー(連結されていても、連結されていなくてもよい)を挿入するようにしてもよい。
(8)上記実施形態では連結ユニットの相互連結部の切断後に形成される切断部の両側に、一対の突部が設けられているものを示したが、相互連結部の切断部の両側に一対の突部が設けられていなくてもよい。
(9)上記実施形態では、保持部の壁が上面視面取り状をなすものを示したが、後壁と側壁とが垂直又は鋭角状に連なるような壁部を備える保持部であってもよい
(10)上記実施形態では電圧検知端子を備える構成の電池配線モジュールを示したが、電圧検知端子を備えないものであってもよい。
(11)上記実施形態では、電線収容部を有する連結ユニットを示したが、電線収容部を備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…単電池
11…単電池群
12…電極端子
12A…正極端子
12B…負極端子
20…電池配線モジュール
21…バスバー
22…バスバー連結部
25…抜け止め突部(抜け止め部)
30…樹脂プロテクタ
31…連結ユニット
32…保持部
33…底部(載置部)
33A…傾斜面(案内面)
34…絶縁壁(壁部)
34A…保持突部(ガイド部)
34B…載置突部(ガイド部)
35,37…壁部
35B…傾斜面(案内面)
38…バスバー挿入口
39…係止突部
48…相互連結部
48A…(相互連結部を切断した後に形成される)切断部
49…突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べてなる単電池群に取り付けられる電池配線モジュールであって、
前記電極端子に接続される複数のバスバーと、前記バスバーを保持する樹脂プロテクタとを備え、
前記樹脂プロテクタに、前記樹脂プロテクタの前記単電池群への組み付け方向に対して交差する方向に前記バスバーを挿入するバスバー挿入口を設けたことを特徴とする電池配線モジュール。
【請求項2】
前記樹脂プロテクタは、前記バスバーを保持する保持部に前記バスバー挿入口が設けられた連結ユニットを、複数備えることを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記連結ユニットの前記保持部に、前記バスバーを、前記バスバー挿入口から前記バスバーの挿入方向における前方に案内するガイド部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記バスバーに、前記連結ユニットの前記保持部に対して前記バスバーを抜け止めする抜け止め部を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記保持部は前記バスバーの周縁に沿って配される壁部と、前記バスバーが水平姿勢で載置される載置部とを備え、
前記壁部と前記載置部との間に前記バスバー挿入口を設け、
前記バスバー挿入口において、前記壁部と前記載置部とを前記バスバーの挿入方向においてずらした位置に設けたことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記バスバー挿入口において、前記壁部および前記載置部のうちの少なくとも一方に、前記バスバーの挿入を案内する案内面を形成したことを特徴とする請求項5に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記複数の連結ユニットのうち、一の連結ユニットと他の連結ユニットとが前記バスバーを介して相互に連結されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項8】
前記複数の連結ユニットは、成型時には相互連結部を介して、複数の前記連結ユニットが一体に連結形成されたものであり、前記バスバー挿入口に前記バスバーが挿入された後に前記相互連結部が切断されていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項9】
前記複数のバスバーはバスバー連結部によって連結された状態で、前記相互連結部により連結された前記複数の連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入され、前記バスバー連結部は、前記バスバーを前記連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入した後に切断されていることを特徴とする請求項8に記載の電池配線モジュール。
【請求項10】
前記連結ユニットの前記相互連結部の切断により形成される切断部の両側に、一対の突部を設けたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電池配線モジュール。
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する単電池を複数個並べてなる単電池群に取り付けられる電池配線モジュールであって、
前記電極端子に接続される複数のバスバーと、前記バスバーを保持する樹脂プロテクタとを備え、
前記樹脂プロテクタに、前記樹脂プロテクタの前記単電池群への組み付け方向に対して交差する方向に前記バスバーを挿入するバスバー挿入口を設けたことを特徴とする電池配線モジュール。
【請求項2】
前記樹脂プロテクタは、前記バスバーを保持する保持部に前記バスバー挿入口が設けられた連結ユニットを、複数備えることを特徴とする請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記連結ユニットの前記保持部に、前記バスバーを、前記バスバー挿入口から前記バスバーの挿入方向における前方に案内するガイド部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
前記バスバーに、前記連結ユニットの前記保持部に対して前記バスバーを抜け止めする抜け止め部を形成したことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電池配線モジュール。
【請求項5】
前記保持部は前記バスバーの周縁に沿って配される壁部と、前記バスバーが水平姿勢で載置される載置部とを備え、
前記壁部と前記載置部との間に前記バスバー挿入口を設け、
前記バスバー挿入口において、前記壁部と前記載置部とを前記バスバーの挿入方向においてずらした位置に設けたことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記バスバー挿入口において、前記壁部および前記載置部のうちの少なくとも一方に、前記バスバーの挿入を案内する案内面を形成したことを特徴とする請求項5に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記複数の連結ユニットのうち、一の連結ユニットと他の連結ユニットとが前記バスバーを介して相互に連結されていることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項8】
前記複数の連結ユニットは、成型時には相互連結部を介して、複数の前記連結ユニットが一体に連結形成されたものであり、前記バスバー挿入口に前記バスバーが挿入された後に前記相互連結部が切断されていることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか一項に記載の電池配線モジュール。
【請求項9】
前記複数のバスバーはバスバー連結部によって連結された状態で、前記相互連結部により連結された前記複数の連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入され、前記バスバー連結部は、前記バスバーを前記連結ユニットの前記バスバー挿入口に挿入した後に切断されていることを特徴とする請求項8に記載の電池配線モジュール。
【請求項10】
前記連結ユニットの前記相互連結部の切断により形成される切断部の両側に、一対の突部を設けたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の電池配線モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−243648(P2012−243648A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114030(P2011−114030)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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