説明

電源回路および電子機器

【課題】 電源電圧が低下したときスイッチング電源の出力電圧の低下を抑えるために設けられる電流バイパス経路のスイッチング素子の破壊を防止することができる電源回路および電子機器を提供する。
【解決手段】 制御回路30は、コンパレータ31の出力がLOWレベルになると、すなわち電源9の電圧が予め定める基準電圧未満になると、MOSFET18をオンとし、電源9からの電流の一部をスイッチング電源14の出力側に供給する。制御回路30は、制御回路30は、電源9の電圧が予め定める電圧未満となり、かつコンパレータ32からの信号がLOWレベル、すなわちスイッチング電源14の入力電圧が出力電圧未満となると、MOSFET141をオフとする。制御回路30は、MOSFET141をオフにすることによって、電流がMOSFET141を逆流する時間を短くすることができ、MOSFET18の破壊を防止することができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧が低下しても所定の電圧を出力することができる電源回路および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の技術による電源回路91の構成を示す図である。電源回路91は、電源9の電圧を所定の出力電圧に変換して出力する。スイッチング電源14の入力は、コイル12を介して電源9、たとえば車両に搭載されるバッテリに接続されている。コイル12の両端には、一端がグランドに接続されているコンデンサ11,13の他端がそれぞれ接続されている。
【0003】
スイッチング電源14の出力は、コイル15を介して、トランジスタ171を含むシリーズ電源17の入力に接続されている。コイル15とシリーズ電源17の入力との接続点は、一端がグランドに接続されているコンデンサ16の他端に接続されている。スイッチング電源14は、スイッチング素子としてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor
Field Effect Transistor)141を含んで構成されており、MOSFET141の導通状態と遮断状態とを切り換えることによって、電源9の電圧Vi、たとえば14Vを所定の出力電圧Vo、たとえば5Vに変換して出力する。
【0004】
MOSFET18は、電源9の電圧が低下したときに、電源9からの電流の一部をスイッチング電源14の出力側にバイパスするための電流バイパス経路を形成する。MOSFET18による電流バイパス経路がない場合、たとえば電源9の電圧Viが電圧4Vまで低下した場合、シリーズ電源17が消費する電流Iを500mA、コイル12のインピーダンスRLを0.5Ω、およびMOSFET141の導通状態でのインピーダンスRF1を0.5Ωとすると、出力電圧Vo=Vi−(RL+RF1)×I=4−(0.5+0.5)×0.5=3.5Vであり、0.5Vの電圧ドロップが生じる。
【0005】
しかしながら、MOSFET18による電流バイパス経路がある場合、MOSFET18の導通状態でのインピーダンスRF2を、MOSFET141と同じ0.5Ωとすると、出力電圧Vo≒4−0.33×0.5=3.83Vである。この場合、電圧ドロップは、0.17Vであり、シリーズ電源17への出力電圧を高くすることができる。
【0006】
このように、バイパス経路を設けて、電源電圧が低下したときに、電源からの電流を、バイパス経路を介して負荷に供給することによって、出力電圧の低下を抑えることができる他の従来技術として、たとえば特許文献1に記載される出力回路がある。この出力回路は、電源9の電圧を主スイッチング素子であるMOSFETによって所定の電圧に変換して、負荷である励磁コイルに印加する回路であるが、MOSFETに対して並列に接続されているトランジスタによって、電源電圧が低下したときに、電源からの電流の一部をバイパスして負荷に供給する電流バイパス経路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−308688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図2は、従来の技術による他の電源回路92の構成を示す図である。電源回路92は、2つのスイッチング電源14,19を含んで構成され、負荷である2つのシリーズ電源17,22にそれぞれ異なる出力電圧、たとえばシリーズ電源17に5V、およびシリーズ電源22に1.2Vを出力する。スイッチング電源14は、図1に示したスイッチング電源14と同じ回路であり、同じ参照符を付している。スイッチング電源14には、図1に示したMOSFET18による電流バイパス経路と同じ電流バイパス経路が設けられている。
【0009】
スイッチング電源19は、入力がコンデンサ13とスイッチング電源14の入力との接続点に接続され、出力がコイル20を介して、トランジスタ221を含むシリーズ電源22の入力に接続されている。コイル20とシリーズ電源22の入力との接続点は、一端がグランドに接続されているコンデンサ21の他端に接続されている。スイッチング電源19は、スイッチング素子としてMOSFET191を含んで構成されており、MOSFET191の導通状態と遮断状態とを切り換えることによって、電源9の電圧Vi、たとえば14Vを所定の出力電圧Vo2、たとえば1.2Vに変換して出力する。
【0010】
電源回路92は、電源9の電圧が低下すると、MOSFET18がオンになり、電源9からの電流I1がシリーズ電源17に供給され、スイッチング電源14の出力の低下を抑制する。
【0011】
しかしながら、電源9からの電流I1がMOSFET18を経由して、シリーズ電源17に供給されている状態で、コイル12での電圧降下が大きくなり、スイッチング電源14の入力側の電圧が出力側の電圧より低くなった場合、電源9からMOSFET18を経由して流れてくる電流のうちの一部の電流I2が、スイッチング電源14を逆流して、スイッチング電源19に流れることがある。その結果、電流I1に加えて、意図しない電流I2が電流バイパス経路のMOSFET18に流れ、MOSFET18が異常に発熱し、破壊に至る可能性がある。
【0012】
本発明の目的は、電源電圧が低下したときスイッチング電源の出力電圧の低下を抑えるために設けられる電流バイパス経路のスイッチング素子の破壊を防止することができる電源回路および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(1)は、電源に接続されているコイルと、
前記コイルを介して入力される電源の電圧を予め定める第1の電圧に変換して、第1の負荷に出力する第1のスイッチング電源と、
前記コイルを介して入力される電源の電圧を予め定める第1の電圧より低い予め定める第2の電圧に変換して、第2の負荷に出力する第2のスイッチング電源と、
電源の電圧が予め定める基準電圧未満になったことを検出する検出手段と、
検出手段によって電源の電圧が予め定める基準電圧未満になったことが検出されると、電源からの電流の一部を第1の負荷に供給しない状態から供給する状態に切り換える切り換え素子と、
第1のスイッチング電源の出力側から入力側に流れる電流を阻止する阻止手段とを含むことを特徴とする電源回路である。
また本発明(8)は、前記電源回路を含む電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明(1)によれば、第1のスイッチング電源によって、電源に接続されているコイルを介して入力される電源の電圧が予め定める第1の電圧に変換されて、第1の負荷に出力され、第2のスイッチング電源によって、前記コイルを介して入力される電源の電圧が予め定める第1の電圧より低い予め定める第2の電圧に変換されて、第2の負荷に出力される。検出手段によって、電源の電圧が予め定める基準電圧未満になったことが検出される。切り換え素子によって、検出手段によって電源の電圧が予め定める基準電圧未満になったことが検出されると、電源からの電流の一部を第1の負荷に供給しない状態から供給する状態に切り換えられる。そして、阻止手段によって、第1のスイッチング電源の出力側から入力側に流れる電流が阻止される。
【0015】
したがって、第1のスイッチング電源の前段に設けられるコイルでの電圧降下が大きくなった場合でも、電源電圧が低下したとき第1のスイッチング電源の出力電圧の低下を抑えるために設けられる電流バイパス経路の切り換え素子、たとえばMOSFETの破壊を防止することができる。
【0016】
また本発明(8)によれば、前記電源回路を含む。したがって、前記切り換え素子、たとえば電流バイパス経路のMOSFETの破壊を防止することができる電源回路を用いるので、電子機器の信頼性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の技術による電源回路91の構成を示す図である。
【図2】従来の技術による他の電源回路92の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の一形態である電源回路1の構成の一例を示す図である。
【図4】スイッチング電源14の詳細な回路構成の一例を示す図である。
【図5】制御回路30の回路構成のうちMOSFET18を制御する回路の一例を示す図である。
【図6】チャージポンプ回路40の構成を示す図である。
【図7】スイッチング電源14aの詳細な回路構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の他の形態である電源回路2の構成の一例を示す図である。
【図9】電源回路2の変形例である電源回路2aの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3は、本発明の実施の一形態である電源回路1の構成の一例を示す図である。電源回路1は、コンデンサ11,13,16,21、コイル12,15,20,スイッチング電源14,19,MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)18、制御回路30、およびコンパレータ31,32を含んで構成されている。電源回路1の構成要素のうち図2に示した電源回路92の構成要素と同じ構成要素については、同じ参照符を付している。
【0019】
電源9は、たとえば車両に搭載されるバッテリなどの電源である。電源9は、コイル12を介して、スイッチング電源14,19の入力に接続されている。コイル12は、電源9に接続されている一端に、コンデンサ11の一端が接続され、他端にコンデンサ13の一端がそれぞれ接続されている。コンデンサ11,13のそれぞれ他端は、グランドに接続されている。さらに、電源9は、コンパレータ31の非反転入力端子およびMOSFET18に接続されている。
【0020】
第1のスイッチング電源であるスイッチング電源14は、スイッチング素子としてMOSFET141を含んで構成されており、MOSFET141の導通状態と遮断状態とを切り換えることによって、電源9の電圧、たとえば14Vを予め定める第1の電圧、たとえば5Vに変換して出力する。スイッチング電源14の出力は、コイル15を介して、トランジスタ171を含むシリーズ電源17の入力に接続されている。コイル15とシリーズ電源17の入力との接続点は、一端がグランドに接続されているコンデンサ16の他端に接続されている。シリーズ電源17は、第1の負荷である。
【0021】
図4は、スイッチング電源14の詳細な回路構成の一例を示す図である。スイッチング電源14は、MOSFET141、ダイオード142、コイル143、コンデンサ144、抵抗素子145,146,150、比較電圧生成部147、コンパレータ148、およびトランジスタ151〜153を含んで構成されている。
【0022】
スイッチング手段であるMOSFET141は、NチャネルのMOSFETであり、ソースが電源9に接続され、すなわち電圧VBが印加され、ゲートがトランジスタ152のエミッタおよびトランジスタ153のエミッタに接続され、ドレインがコイル143の一端およびダイオード142のカソードに接続されている。ダイオード142のアノードは、グランドに接続されている。コイル143の他端は、一端がグランドに接続されているコンデンサ144、コイル15の一端、および抵抗素子145の一端に接続されている。
【0023】
コンデンサ144の電圧は、直列に接続されている抵抗素子145,146によって分圧され、分圧された電圧がコンパレータ148の反転入力端子に入力されている。コンパレータ148は、非反転入力端子が比較電圧生成部147に接続され、出力が制御回路30の入力に接続されている。比較電圧生成部147は、スイッチング電源14が出力すべき電圧、具体的には5Vの電圧を抵抗素子145と抵抗素子146との比で分圧した第1の比較電圧を生成する回路である。コンパレータ148は、コンデンサ144の電圧を抵抗素子145,146によって分圧した電圧が、第1の比較電圧以上であるとLOWレベルの信号を出力し、第1の比較電圧未満であるとHIGHレベルの信号を出力する。
【0024】
トランジスタ151,152は、NPN型のトランジスタ(以下「NPNトランジスタ」という)であり、トランジスタ153は、PNP型のトランジスタ(以下「PNPトランジスタ」という)である。トランジスタ151は、エミッタがグランドに接続され、コレクタが、一端が後述するチャージポンプ回路の出力に接続されている抵抗素子150の他端、トランジスタ152のベース、およびトランジスタ153のベースに接続されている。トランジスタ152のコレクタは、チャージポンプ回路の出力に接続され、エミッタがトランジスタ153のエミッタおよびMOSFET141のゲートに接続されている。トランジスタ153のコレクタは、グランドに接続されている。チャージポンプ回路の出力に接続されている抵抗素子150およびトランジスタ152のコレクタには、チャージポンプ回路の出力電圧VCPが印加されている。
【0025】
制御回路30の出力は、トランジスタ151のベースに接続されている。制御回路30は、コンパレータ148が出力する信号がLOWレベルであると、トランジスタ151を導通状態(以下「オン」という)に切り換えることによって、MOSFET141を遮断状態(以下「オフ」という)とする。そして、コンパレータ148が出力する信号がHIGHレベルであると、トランジスタ151をオフに切り換えることによって、MOSFET141をオンとする。制御回路30は、電源9の電圧が6V付近まで低下すると、MOSFET141のオンとオフとを交互に繰り返すスイッチング動作を停止し、MOSFET141を継続してオンにするフルオン状態にする。
【0026】
第2のスイッチング電源であるスイッチング電源19は、スイッチング素子としてMOSFET191を含んで構成されており、MOSFET191のオンとオフとを切り換えることによって、電源9の電圧、たとえば14Vを予め定める第2の電圧、たとえば1.2Vに変換して出力する。スイッチング電源19の構成は、図4に示したスイッチング電源14の構成と同じ構成であり、重複を避けるために説明は省略する。スイッチング電源19の出力は、コイル20を介して、トランジスタ221を含むシリーズ電源22の入力に接続されている。コイル20とシリーズ電源22の入力との接続点は、一端がグランドに接続されているコンデンサ21の他端に接続されている。シリーズ電源22は、第2の負荷である。
【0027】
図5は、制御回路30の回路構成のうちMOSFET18を制御する回路の一例を示す図である。切り換え素子であるMOSFET18は、電源9の電圧が低下したときに、電源9からの電流の一部をスイッチング電源14の出力側にバイパスするための電流バイパス経路を形成する。MOSFET18は、電源9の電圧が予め定める基準電圧、たとえば6V未満になると、オンとされ、電源9からの電流の一部を、スイッチング電源14をバイパスしてシリーズ電源17に供給する。
【0028】
制御手段である制御回路30は、トランジスタ301,303、および抵抗素子302,304を含んで構成されている。トランジスタ301は、NPNトランジスタであり、ベースがコンパレータ31の出力に接続され、エミッタがグランドに接続され、コレクタが、一端が電源9に接続されている抵抗素子302の他端、およびトランジスタ303のベースに接続されている。トランジスタ303は、PNPトランジスタであり、コレクタがグランドに接続され、エミッタが、一端が電源9に接続されている抵抗素子304の他端、およびMOSFET18のゲートに接続されている。MOSFET18は、NチャネルのMOSFETであり、ソースが電源9に接続され、ドレインがスイッチング電源14の出力に接続されている。
【0029】
検出手段であるコンパレータ31は、電源9の電圧と予め定める基準電圧Vrefとを比較し、比較結果に応じた信号を制御回路30に出力する。コンパレータ31は、電源9の電圧が基準電圧Vref以上であると、HIGHレベルの信号を出力し、電源9の電圧が基準電圧Vref未満であると、LOWレベルの信号を出力する。
【0030】
制御回路30は、コンパレータ31の出力がHIGHレベルであると、すなわち電源9の電圧が予め定める基準電圧Vref以上であると、トランジスタ301およびトランジスタ303ともオンとし、MOSFET18をオフとする。制御回路30は、コンパレータ31の出力がLOWレベルになると、すなわち電源9の電圧が予め定める基準電圧Vref未満になると、トランジスタ301およびトランジスタ303ともオフとして、MOSFET18をオンとするので、電源9からの電流の一部がスイッチング電源14の出力側に供給され、スイッチング電源14の出力電圧の低下を抑える。
【0031】
図3を参照して、入力低下検出手段であるコンパレータ32は、非反転入力端子がスイッチング電源14の入力に接続され、反転入力端子がスイッチング電源14の出力に接続されている。コンパレータ32は、スイッチング電源14の入力電圧と出力電圧とを比較し、比較結果に応じた信号を制御回路30に出力する。コンパレータ32は、スイッチング電源14の入力電圧が出力電圧以上であると、HIGHレベルの信号を出力し、スイッチング電源14の入力電圧が出力電圧未満であると、LOWレベルの信号を出力する。
【0032】
制御回路30は、コンパレータ31からの信号およびコンパレータ32からの信号に基づいて、スイッチング電源14およびMOSFET18を制御する。制御回路30は、コンパレータ31からの信号がHIGHレベルのときは、コンパレータ32からの信号がHIGHレベルであるかLOWレベルであるかにかかわらず、MOSFET18をオフとする。制御回路30は、コンパレータ31からの信号がLOWレベルであり、かつコンパレータ32からの信号がHIGHレベルであるときは、MOSFET18をオンとし、電源9からの電流の一部をスイッチング電源14の出力側に供給する。
【0033】
制御回路30は、コンパレータ31からの信号がLOWレベルであり、かつコンパレータ32からの信号がLOWレベルであるときは、スイッチング電源14の出力側から入力側への電流の逆流が生じていると判定し、MOSFET141をオフとする。制御回路30は、MOSFET141をオフにすることによって、電流がMOSFET141を逆流する時間を短くすることができる。すなわち、制御回路30は、電源9の電圧が予め定める電圧未満となり、かつコイル12での電圧降下が大きいためにスイッチング電源14の入力電圧が出力電圧未満となったとき、MOSFET141をオフにして、電流がMOSFET141を逆流する時間を短くすることができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。コンパレータ32および制御回路30は、前記阻止手段である。
【0034】
図6は、チャージポンプ回路40の構成を示す図である。チャージポンプ回路40は、図4に示したスイッチング電源14に含まれる回路であり、ダイオード160〜162、コンデンサ163〜166、抵抗素子172〜176、スイッチ回路177、第2の比較電圧生成回路178、およびコンパレータ179を含んで構成されている。ダイオード160〜162は、直列に接続され、ダイオード160のアノードが電源9に接続され、カソードがダイオード161のアノードに接続されている。ダイオード162は、アノードがダイオード161のカソードに接続され、カソードがチャージポンプ回路40の出力である。
【0035】
コンデンサ163の一端は、ダイオード160のアノードに接続され、コンデンサ164の一端は、ダイオード160のカソードとダイオード161のアノードとの接続点に接続され、コンデンサ165の一端は、ダイオード161のカソードとダイオード162のアノードとの接続点に接続され、コンデンサ166の一端は、ダイオード162のカソードに接続されている。コンデンサ163〜166のそれぞれの他端はいずれも制御回路30aに接続されている。制御回路30aは、コンデンサ163〜166間の接続を切り換えることによって、チャージポンプ回路40の出力電圧VCPを制御する。
【0036】
チャージポンプ回路40の出力電圧VCPは、直列に接続されている5つの抵抗素子172〜176によって分圧されている。抵抗素子172〜176の各接続点は、それぞれ、スイッチ回路177に含まれる異なるスイッチを介してコンパレータ179の反転入力端子に接続されている。スイッチ回路177に含まれるスイッチは、制御回路30aによってそれぞれオンまたはオフに制御される。コンパレータ179は、スイッチ回路177の出力が、第2の比較電圧生成回路178が生成する第2の比較電圧未満であると、HIGHレベルを出力し、第2の比較電圧生成回路178が生成する第2の比較電圧以上であると、LOWレベルを出力する。
【0037】
制御手段である制御回路30aは、コンパレータ31からの信号がLOWレベルであり、かつコンパレータ32からの信号がLOWレベルであるときは、スイッチング電源14で逆流が生じていると判定し、MOSFET141をオフにする代わりに、スイッチ回路177を切り換えることによって、チャージポンプ回路40の出力電圧VCPを低下させる。制御回路30aは、チャージポンプ回路40の出力電圧VCPを低下させることによって、MOSFET141のオン抵抗を増加させ、MOSFET141を逆流する電流を少なくすることができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。コンパレータ32および制御回路30aは、阻止手段である。
【0038】
図7は、スイッチング電源14aの詳細な回路構成の一例を示す図である。スイッチング電源14aは、図4に示したスイッチング電源14に、発振回路149を追加し、制御回路30bは、図4に示した制御回路30に分周回路305を追加した回路である。図7に示した構成要素のうち図4に示した構成要素と同じ構成要素については、重複を避けるために、同じ参照符を付して説明は省略する。
【0039】
分周回路305は、発振回路149が生成するクロック信号を分周する。制御回路30bは、トランジスタ151をオンまたはオフとするオンデューティを変化させることによって、MOSFET141をオンにする時間を変化させ、スイッチング電源14の出力電圧が所定の出力電圧になるように制御する。オンデューティは、分周回路305が分周したクロック信号の一周期に対するトランジスタ151への信号のHIGHレベルの割合である。具体的には、制御回路30は、コンパレータ148が出力する信号がLOWレベルであると、オンデューティを小さくし、コンパレータ148が出力する信号がHIGHレベルであると、オンデューティを大きくする。
【0040】
制御手段である制御回路30bは、コンパレータ31からの信号がLOWレベルであり、かつコンパレータ32からの信号がLOWレベルであるときは、スイッチング電源14で逆流が生じていると判定し、MOSFET141をオフ、あるいはチャージポンプ回路40の出力電圧VCPを低下する代わりに、オンデューティを小さくする。制御回路30bは、オンデューティを小さくすることによって、MOSFET141のオン抵抗を平均して増加させ、MOSFET141を逆流する電流を少なくすることができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。コンパレータ32および制御回路30bは、阻止手段である。
【0041】
上述した実施の形態では、スイッチング電源14で逆流が生じていると判定したとき、MOSFET141をオフ、チャージポンプ回路40の出力電圧VCPを低下、あるいはオンデューティを小さくしたが、MOSFET18をオフとしてもよい。制御回路30は、電源9からMOSFET18を介してスイッチング電源14の出力側に供給される電流を止めることによって、スイッチング電源14の出力側から入力側に逆流する電流を止め、電流がMOSFET141を逆流する時間を短くすることができる。コンパレータ32および制御回路30は、阻止手段である。
【0042】
図8は、本発明の実施の他の形態である電源回路2の構成の一例を示す図である。電源回路2は、コンデンサ11,13,16,21、コイル12,15,20,スイッチング電源14,19,MOSFET18、制御回路30c、コンパレータ31、およびダイオード51を含んで構成されている。電源回路2の構成要素のうち図3に示した電源回路1の構成要素と同じ構成要素については、同じ参照符を付して、重複を避けるために説明は省略する。
【0043】
制御回路30cは、図5に示した制御回路30と同じ回路構成を含み、コンパレータ31の出力がHIGHレベルであると、すなわち電源9の電圧が予め定める基準電圧以上であると、トランジスタ301およびトランジスタ303ともオンとし、MOSFET18をオフとする。コンパレータ31の出力がLOWレベルになると、すなわち電源9の電圧が予め定める基準電圧未満になると、トランジスタ301およびトランジスタ303ともオフになるので、MOSFET18は、オンとなり、電源9からの電流の一部がスイッチング電源14の出力側に供給される。
【0044】
ダイオード51は、アノードがコイル12と、コンデンサ13と、スイッチング電源19の入力との接続点に接続され、カソードがスイッチング電源14の入力に接続されている。したがって、電源9からMOSFET18を介して供給される電流の一部が、MOSFET141を逆流することを防止するができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。ダイオード51は、阻止手段である。
【0045】
図9は、電源回路2の変形例である電源回路2aの構成の一例を示す図である。電源回路2aは、コンデンサ11,13,16,21、コイル12,15,20,スイッチング電源14,19,MOSFET18、制御回路30c、コンパレータ31、およびダイオード52を含んで構成されている。電源回路2aの構成要素のうち図8に示した電源回路2の構成要素と同じ構成要素については、同じ参照符を付して、重複を避けるために説明は省略する。
【0046】
ダイオード52は、アノードがスイッチング電源14の出力に接続され、カソードがMOSFET18のドレインおよびコイル15に接続されている。したがって、電源9からMOSFET18を介して供給される電流の一部が、MOSFET141を逆流することを防止するができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。ダイオード52は、阻止手段である。
【0047】
このように、スイッチング電源14によって、電源9に接続されているコイル12を介して入力される電源9の電圧が予め定める第1の電圧に変換されて、シリーズ電源17に出力され、スイッチング電源19によって、コイル12を介して入力される電源9の電圧が予め定める第1の電圧より低い予め定める第2の電圧に変換されて、シリーズ電源22に出力される。コンパレータ31によって、電源9の電圧が予め定める基準電圧未満になったことが検出される。切り換え素子、たとえばMOSFET18によって、コンパレータ31によって電源9の電圧が予め定める基準電圧未満になったことが検出されると、電源9からの電流の一部をシリーズ電源17に供給しない状態から供給する状態に切り換えられる。そして、阻止手段によって、スイッチング電源14の出力側から入力側に流れる電流が阻止される。
【0048】
したがって、スイッチング電源14の前段に設けられるコイル12での電圧降下が大きくなった場合でも、電源9の電圧が低下したときスイッチング電源14の出力電圧の低下を抑えるために設けられる電流バイパス経路の切り換え素子、たとえばMOSFET18の破壊を防止することができる。
【0049】
さらに、スイッチング電源14は、MOSFET141を含む。MOSFET141によって、コイル12を介して入力される電源9からの電流を出力する状態および出力しない状態のうちのいずれかの状態に切り換えられる。スイッチング電源14によって、スイッチング電源14が出力する出力電圧に応じてMOSFET141が切り換えられる。コンパレータ32によって、スイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出される。そして、制御回路30によって、コンパレータ32によってスイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出されると、MOSFET141によって電源9からの電流を出力しない状態とする。
【0050】
したがって、スイッチング電源14を停止することによって、逆流する時間を短くすることができ、電流バイパス経路の切り換え素子、たとえばMOSFETの破壊を防止することができる。
【0051】
さらに、前記スイッチング手段は、MOSFET141である。コンパレータ32によって、スイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出される。制御回路30aによって、コンパレータ32によってスイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出されると、MOSFET141のゲート電圧が低下される。
【0052】
したがって、MOSFET141のオン抵抗を増加することによって、スイッチング電源14を逆流する電流を少なくすることができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。
【0053】
さらに、スイッチング電源14は、MOSFET141を含む。MOSFET141によって、コイル12を介して入力される電源9からの電流を出力する状態および出力しない状態のうちのいずれかの状態に切り換えられる。スイッチング電源14によって、電源9からの電流を出力する状態に切り換えられている第1の期間と、電源9からの電流を出力しない状態に切り換えられている第2の期間との合計時間に対する第1の期間の占める割合、すなわちオンデューティを、スイッチング電源14が出力する出力電圧に応じて、MOSFET141を切り換えて変化させる。
【0054】
コンパレータ32によって、スイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出される。そして、制御回路30bによって、コンパレータ32によってスイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出されると、オンデューティが低下される。
【0055】
したがって、MOSFET141のオン抵抗を平均して増加することによって、スイッチング電源14を逆流する電流を少なくすることができ、MOSFET18の破壊を防止することができる。
【0056】
さらに、コンパレータ32によって、スイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出される。制御回路30によって、コンパレータ32によってスイッチング電源14への入力電圧がスイッチング電源14からの出力電圧未満になったことが検出されると、MOSFET18によって、電源9からの電流の一部をシリーズ電源17に供給しない状態に切り換えされる。
【0057】
したがって、電流バイパス経路のMOSFET18を遮断状態にすることによって、逆流する時間を短くすることができ、電流バイパス経路のMOSFET18の破壊を防止することができる。
【0058】
さらに、前記阻止手段は、アノードがコイル12とスイッチング電源19との接続点に接続され、カソードがスイッチング電源14の入力側に接続されているダイオード51であるので、電流がスイッチング電源14を逆流することを防止することができ、電流バイパス経路のMOSFET18の破壊を防止することができる。
【0059】
さらに、前記阻止手段は、アノードがスイッチング電源14の出力側に接続され、カソードがシリーズ電源17に接続されているダイオード52であるので、電流がスイッチング電源14を逆流することを防止することができ、電流バイパス経路のMOSFET18の破壊を防止することができる。
【0060】
電源回路1または電源回路2は、電子機器、たとえば車両に搭載される電子機器に電量を供給する電源回路として用いることができる。
【0061】
このように、電子機器は、電源回路1,2,2aのうちのいずれかを含む。したがって、電流バイパス経路のMOSFET18の破壊を防止することができる電源回路を用いるので、電子機器の信頼性を高くすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1,2,2a,91,92 電源回路
9 電源
11,13,16,21,144 コンデンサ
12,15,20,143 コイル
14,19 スイッチング電源
17,22 シリーズ電源
18,141,191 MOSFET
30,30a,30b,30c 制御回路
31,32,148,179 コンパレータ
40 チャージポンプ回路
51,52,142,160〜162 ダイオード
144,163〜166 コンデンサ
145,146,150,172〜176,302,304 抵抗素子
147,178 比較電圧生成回路
149 発振回路
151〜153,301,303 トランジスタ
177 スイッチ回路
305 分周回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続されているコイルと、
前記コイルを介して入力される電源の電圧を予め定める第1の電圧に変換して、第1の負荷に出力する第1のスイッチング電源と、
前記コイルを介して入力される電源の電圧を予め定める第1の電圧より低い予め定める第2の電圧に変換して、第2の負荷に出力する第2のスイッチング電源と、
電源の電圧が予め定める基準電圧未満になったことを検出する検出手段と、
検出手段によって電源の電圧が予め定める基準電圧未満になったことが検出されると、電源からの電流の一部を第1の負荷に供給しない状態から供給する状態に切り換える切り換え素子と、
第1のスイッチング電源の出力側から入力側に流れる電流を阻止する阻止手段とを含むことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチング電源は、前記コイルを介して入力される電源からの電流を出力する状態および出力しない状態のうちのいずれかの状態に切り換えるスイッチング手段を含み、第1のスイッチング電源が出力する出力電圧に応じてスイッチング手段を切り換え、
前記阻止手段は、
第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことを検出する入力低下検出手段と、
入力低下検出手段によって第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことが検出されると、スイッチング手段によって電源からの電流を出力しない状態とする制御手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記スイッチング手段は、MOSFETであり、
前記阻止手段は、
第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことを検出する入力低下検出手段と、
入力低下検出手段によって第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことが検出されると、MOSFETのゲート電圧を低下させる制御手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチング電源は、
前記コイルを介して入力される電源からの電流を出力する状態および出力しない状態のうちのいずれかの状態に切り換えるスイッチング手段を含み、
電源からの電流を出力する状態に切り換えられている第1の期間と、電源からの電流を出力しない状態に切り換えられている第2の期間との合計時間に対する第1の期間の占める割合を、第1のスイッチング電源が出力する出力電圧に応じて、スイッチング手段を切り換えて変化させ、
前記阻止手段は、
第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことを検出する入力低下検出手段と、
入力低下検出手段によって第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことが検出されると、前記割合を低下させる制御手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項5】
前記阻止手段は、
第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことを検出する入力低下検出手段と、
入力低下検出手段によって第1のスイッチング電源への入力電圧が第1のスイッチング電源からの出力電圧未満になったことが検出されると、前記切り換え素子によって、電源からの電流の一部を第1の負荷に供給しない状態に切り換えさせる制御手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項6】
前記阻止手段は、アノードが前記コイルと第2のスイッチング電源との接続点に接続され、カソードが第1のスイッチング電源の入力側に接続されているダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項7】
前記阻止手段は、アノードが第1のスイッチング電源の出力側に接続され、カソードが第1の負荷に接続されているダイオードであることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の電源回路を含む電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−246293(P2010−246293A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93447(P2009−93447)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】