説明

電源装置および半導体装置

【課題】マルチフェーズ型電源装置における信頼性の向上を実現する。
【解決手段】例えば、複数のインダクタL[1]〜L[m]と、これらを駆動する複数の駆動ユニットDRIC[1]〜DRIC[m]を備える。各駆動ユニットDRIC[n]は、短絡検出回路SDETC[n]を備え、SDETC[n]は、ハイサイドのトランジスタQH[n](又はロウサイドのトランジスタQL[n])に過大な電流が流れた際に、短絡検出出力回路SDETIF[n]を介して外部端子(SDET[n])を駆動する。各DRIC[n]の外部端子(SDET[n])は、バスSBSに共通接続されており、各DRIC[n]は、DRIC[1]〜DRIC[m]のいずれかにおいて短絡が検出されたことをSBSを介して認識できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置および半導体装置に関し、例えば高電圧を低電圧に変換するマルチフェーズ型のスイッチング電源装置およびその構成部品の一つとなる半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、パワーMOSFETと、それを駆動する駆動回路と、駆動回路にスイッチング制御信号を伝達する制御回路とが1つのパッケージ内に搭載された半導体装置が記載されている。この半導体装置は、マルチフェーズ動作が可能となっている。また、特許文献2には、負荷短絡保護機能付きMOS形パワー素子が示されている。また、特許文献3には、ソレノイド負荷の駆動用ドライバ素子が故障したとき、当該ドライバへの電源供給を遮断する構成が示されている。ドライバ素子の故障診断に際しては、ドライバ素子の駆動制御信号と出力とを比較し、予め定められた対応関係に基づいて診断が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−17620号公報
【特許文献2】特開平5−327442号公報
【特許文献3】特開2003−47148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、パーソナルコンピュータ(以下、PC)等を代表とする各種電子機器ならびに電気機器では、商用電源となる交流電圧(例えば100V等)から所望の直流電圧(例えば12V、5V、3.3V等)を生成するAC/DCコンバータが備わっている。また、ノート型のPC等では、バッテリによって特定値の直流電圧が供給される。PC等に使用される各種半導体部品では、安定した電源電圧が必要とされ、場合によっては複数の電源電圧値が必要とされる。このため、このAC/DCコンバータやバッテリによって生成された電圧は、降圧型の非絶縁型DC/DCコンバータ(バックコンバータ)によって所定の電圧(例えば1.0V等)および安定した電圧に変換された上でCPU(Central Processing Unit)等の各種負荷回路に供給される。これらは、一般的にPOL(point of load)コンバータ等と呼ばれ、例えば、PCの場合には、マザーボード等のPCB(Printed Circuit Board)上で各種負荷回路の近傍に実装される。
【0005】
近年、このようなPOLコンバータには、各種負荷回路の低電圧化ならびに高速化に伴い、大電流化、高速応答化、ならびに安定化への要求が高まっている。このような要求を満たすため、例えば特許文献1等に示されるように、負荷回路に対して複数のインダクタからそれぞれ異なるフェーズで電力を供給するマルチフェーズ技術を用いることが有益となる。図20は、本発明の前提として検討したマルチフェーズ型の電源装置を示すものであり、(a)はその構成例を示す概略図、(b)は(a)の概略的な動作例を示す波形図である。図20(a)に示す電源装置は、PWM(Pulse Width Modulation)制御ユニットPCTLICと、複数(ここでは4個)の駆動ユニットDRIC’[1]〜DRIC’[4]と、複数のインダクタL[1]〜L[4]を備えている。これらの各部品は、例えば、同一のPCB上に適宜実装される。
【0006】
PWM制御ユニットPCTLICは、各駆動ユニットDRIC’[n](n=1〜4)に対して、PWM信号(パルス幅変調信号)PWM[n]を出力する。図20(b)に示すように、PWM[n]とPWM[n+1]は、位相(フェーズ)が90度異なっている。これにより、DRIC’[n]は、対応するインダクタL[n]を介してそれぞれ異なるフェーズ(マルチフェーズ)で負荷回路LOD(および出力容量Cld)に対して電力を分散して供給する。また、PCTLICは、L[n]に流れる電流情報やLODに接続される出力電源ノードVOの電圧情報等をフィードバック信号FBとして受け、これに基づいて、LOD(Cld)への供給電力を各フェーズで均一に分散できるようにPWM[n]のデューティを適宜制御する。
【0007】
図21(a)、(b)は、図20における各駆動ユニットDRIC’[n]の内部構成例ならびにその問題点の一例を示す図である。図22は、図21(a)、(b)の補足図であり、各駆動ユニットDRIC’[n]のパッケージ構成例を示す上面図である。図21(a)、(b)に示すように、DRIC’[n]は、トランジスタQH[n],QL[n]と、制御ユニットCTLU’[n]を備えている。QH[n]は、電源電圧VIN(例えば12Vや19V等)と外部出力端子(スイッチ信号VSWH[n])の間に設けられ、QL[n]は、外部出力端子(VSWH[n])と接地電源電圧PGNDの間に設けられる。外部出力端子(VSWH[n])は、図20に示すように対応するインダクタL[n]に接続される。CTLU’[n]は、PCTLICからのPWM[n]に応じて、QH[n],QL[n]のオン・オフを相補的に制御する。
【0008】
このような構成において、図21(a)に示すように、例えば外部出力端子(VSWH[n])と接地電源電圧PGNDが故障経路FP1によって短絡した場合、QH[n]がオンに制御された際にVIN→QH[n]→FP1の経路で貫通電流が流れ、QH[n]が熱破壊される恐れがある。同様に、図21(b)に示すように、例えば電源電圧VINと外部出力端子(VSWH[n])が故障経路FP2によって短絡した場合、QL[n]がオンに制御された際にVIN→FP2→QL[n]の経路で貫通電流が流れ、QL[n]が熱破壊される恐れがある。また、この場合、QL[n]がオフの際に、VIN→FP2の経路で負荷回路に対して過大な電力が供給され、負荷回路が破壊される恐れもある。
【0009】
ここで、このような故障経路FP1,FP2は、例えば、図22に示すように、互いに隣接するVIN用外部端子P14とVSWH用外部端子P15の間の半田ブリッジ(FP2)や、互いに隣接するVSWH用外部端子P29とPGND用外部端子P28の間の半田ブリッジ(FP1)などで生じ得る。このような外部端子の割り付け方は、ある程度普遍的に定められているため、外部端子の割り付け方を工夫することによる対策は行い難い。また、図示はしないが、各駆動ユニットDRIC’[n]上には、例えば、ヒートシンク等が搭載される場合があり、このヒートシンクの位置ズレ等によって故障経路FP1,FP2が生じることも考えられる。
【0010】
仮にこのような故障経路FP1,FP2が生じた場合、例えば、駆動ユニットDRIC’[n]が、自身の故障を検出してトランジスタQH[n],QL[n]をオフに制御することで自身の保護を図ること等が考えられる。しかしながら、図20に示したようなマルチフェーズ型の電源装置の場合、PWM制御ユニットPCTLICが各フェーズに均等に出力電流が流れるように制御を行っているため、1つまたは複数のDRIC’[n]で前述したような保護が行われた場合、次のようなことが懸念される。まず、保護されたDRIC’[n]以外のDRIC’[n]において、出力電流が増加することから、過電流状態になり当該DRIC’[n]内のQH[n],QL[n]が破壊される恐れがある。また、保護されたDRIC’[n]以外のDRIC’[n]において、出力電流が不均一となり、PCTLICからのPWM[n]に誤動作が生じ、出力電源ノードVOの電圧を所望の値に制御できない恐れがある。なお、このような事態に伴い、最悪の場合、負荷回路が破壊される恐れもある。
【0011】
本発明は、このようなことを鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、信頼性の向上が実現可能なマルチフェーズ型の電源装置、ならびにその部品の一つとなる半導体装置を提供することにある。本発明の前記ならびにそれ以外の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本実施の形態による電源装置は、複数のインダクタと、それぞれ位相が異なる複数のパルス幅変調信号を生成するPWM制御ユニットと、複数のパルス幅変調信号に応じて複数のインダクタをそれぞれ異なる位相で駆動する複数の駆動ユニットと、複数の駆動ユニットにインダクタ駆動用の電源電圧を供給する電源供給ユニットと、共通バスとを備える。そして、各駆動ユニットは、インダクタの一端をインダクタ駆動用の電源電圧に接続するハイサイドトランジスタと、インダクタの一端を接地電源電圧に接続するロウサイドトランジスタと、ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定の値よりも大きい場合に外部端子を介して共通バスを第1論理レベルに駆動する短絡検出回路とを備える。
【0014】
このような構成例を用いると、各駆動ユニットは、複数の駆動ユニットのいずれかにおいて短絡が生じたことを共通バスのワイヤードオア論理を介して認識することができ、例えば、自身のハイサイドトランジスタをオフに制御する等の適切な保護を行うことが可能になる。また、電源供給ユニットも、共通バスのワイヤードオア論理を介して各駆動ユニットにおける短絡の有無を認識することができ、インダクタ駆動用の電源電圧の供給を停止する等の適切な保護を行うことが可能になる。また、各駆動ユニットは、それぞれ1個の半導体パッケージで構成されているため、短絡検出回路の判定条件となる所定の値を高精度に設定することができる。これらのことから、マルチフェーズ型電源装置における信頼性の向上が実現可能になる。
【0015】
また、本実施の形態による半導体装置は、1個の半導体パッケージ内に、前述したハイサイドトランジスタが形成される第1チップと、ロウサイドトランジスタが形成される第2チップと、短絡検出回路やドライバ回路等が形成される第3チップと、第1〜第3チップがそれぞれ搭載される第1〜第3ダイパッドと、第1接続部などを備えている。ハイサイドトランジスタおよびロウサイドトランジスタは縦構造のMISFETで形成され、ハイサイドトランジスタは、第1ダイパッドから供給されたインダクタ駆動用の電源電圧を裏面電極(ドレイン電極)で受け、ドライバ回路によってオンに駆動された際に当該電源電圧を表面電極(ソース電極)に接続する。第1接続部は、この表面電極を第2ダイパッドに接続し、第2ダイパッドからインダクタに対してインダクタ駆動用の電源電圧が供給される。ここで、短絡検出回路は、ハイサイドトランジスタの表面電極(ソース電極)からボンディングワイヤを介して引き出した電圧と、第2ダイパッドからボンディングワイヤを介して引き出した電圧との電位差を監視することで短絡検出を行う。
【0016】
このような構成例を用いると、特に第2ダイパッドの面積が通常大きいことからボンディングワイヤの実装が容易となる。また、第1接続部および第2ダイパッドの寄生成分(寄生抵抗、寄生インダクタ)を用いて短絡検出を行うため、例えば、寄生インダクタによる過渡状態等を利用して検出を行うことができ、寄生抵抗が小さい場合(すなわち電力損失が小さい場合)でも十分に対応可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すると、マルチフェーズ型電源装置における信頼性の向上が実現可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1による電源装置を示すものであり、(a)はその主要部の構成例を示す概略図、(b)は(a)における各駆動ユニットの構成例を示す概略図である。
【図2】(a)、(b)は、図1の電源装置を拡張した構成例を示すものであり、図1での短絡検出に応じたPWM制御ユニットの処理の一例を示す概略図である。
【図3】(a)は、図2(a)におけるPWM制御ユニットの構成例を示す概略図であり、(b)は図3(a)の動作例を示す波形図である。
【図4】本発明の実施の形態2による電源装置において、図1の電源装置を拡張した構成例を示すものであり、図1での短絡検出に応じた電源供給ユニットの処理の一例を示す概略図である。
【図5】図4における電源供給ユニットの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態3による電源装置において、その全体構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図6における各駆動ユニットの詳細な構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の駆動ユニットの詳細なパッケージ構成例を示すものであり、(a)はその上面図、(b)は(a)の内部構成例を示す上面図、(c)は(b)における各半導体チップのパッド配置例を示す上面図である。
【図9】図7および図8において、ハイサイドのトランジスタが形成された半導体チップのデバイス構造例を示す断面図である。
【図10】図7の駆動ユニットにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細を示すものであり、(a)はその構成例を示す回路図、(b)および(c)は(a)の動作例を示す波形図である。
【図11】図10の補足図であり、図10の構成例を備えた駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。
【図12】本発明の実施の形態4による電源装置において、図7の駆動ユニットにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細を示すものであり、(a)はその構成例を示す回路図、(b)は(a)における遅延回路の構成例を示す回路図、(c)は(a)の動作例を示す波形図である。
【図13】本発明の実施の形態5による電源装置において、図7の駆動ユニットにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細を示すものであり、(a)はその構成例を示す回路図、(b)は(a)の動作例を示す波形図である。
【図14】本発明の実施の形態6による電源装置において、図7の駆動ユニットにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細を示すものであり、(a)はその構成例を示す回路図、(b)および(c)は(a)の動作例を示す波形図である。
【図15】図14の補足図であり、図14の構成例を備えた駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。
【図16】本発明の実施の形態7による電源装置において、図7の駆動ユニットにおけるロウサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細を示すものであり、(a)はその構成例を示す回路図、(b)および(c)は(a)の動作例を示す波形図である。
【図17】図16の補足図であり、図16の構成例を備えた駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。
【図18】本発明の実施の形態8による電源装置において、その一部の基板レイアウトの構成例を示す平面図である。
【図19】図18を拡張して形成したマルチフェーズ型電源装置の基板レイアウトの構成例を示す平面図である。
【図20】本発明の前提として検討したマルチフェーズ型の電源装置を示すものであり、(a)はその構成例を示す概略図、(b)は(a)の概略的な動作例を示す波形図である。
【図21】(a)、(b)は、図20における各駆動ユニットの内部構成例ならびにその問題点の一例を示す図である。
【図22】図21(a)、(b)の補足図であり、各駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0020】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0021】
また、実施の形態の各機能ブロックを構成する回路素子は、特に制限されないが、公知のCMOS(相補型MOSトランジスタ)等の集積回路技術によって、単結晶シリコンのような半導体基板上に形成される。なお、実施の形態で、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(又はMOSトランジスタと略す)と記載した場合、ゲート絶縁膜として非酸化膜を除外するものではない。
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
(実施の形態1)
<<電源装置(主要部)の基本構成>>
図1は、本発明の実施の形態1による電源装置を示すものであり、図1(a)はその主要部の構成例を示す概略図、図1(b)は図1(a)における各駆動ユニットの構成例を示す概略図である。図1(a)に示す電源装置は、m個(mは2以上の整数)の駆動ユニットDRIC[1]〜DRIC[m]と、一端が出力電源ノードVOに共通接続されたm個のインダクタL[1]〜L[m]と、DRIC[1]〜DRIC[m]に共通に接続されたバスSBSと、SBSを電源電圧VCCにプルアップする抵抗Rpとを備えている。L[1]〜L[m]は、それぞれ、DRIC[1]〜DRIC[m]によって異なるフェーズ(マルチフェーズ)で駆動され、VOを介して異なるフェーズで負荷回路(図示せず)に電力を供給する。DRIC[1]〜DRIC[m]は、ここでは、それぞれ独立した半導体パッケージで実現され、L[1]〜L[m]と共にマザーボード等の配線基板(PCB)上に実装される。また、SBSは、PCB上の配線パターンで実現される。
【0024】
各駆動ユニット(半導体装置)DRIC[n](n=1,2,…,m)は、図1(b)に示すように、トランジスタ(パワートランジスタ)QH[n],QL[n]と、ドライバ回路DV[n]と、短絡検出回路SDETC[n]と、短絡検出出力回路SDETIF[n]を備えている。QH[n],QL[n]は、ここではnチャネル型のMOSFET(パワーMOSFET)が用いられる。QH[n]は電源電圧VINと外部出力端子(スイッチ信号VSWH[n])の間にソース・ドレイン経路が形成され、QL[n]は外部出力端子(VSWH[n])と接地電源電圧PGNDの間にソース・ドレイン経路が形成される。DV[n]は、QH[n],QL[n]のオン・オフを制御する。
【0025】
短絡検出出力回路SDETIF[n]は、抵抗R1[n]およびnチャネル型MOSトランジスタMNd[n]を備えている。短絡検出回路SDETC[n]は、図21(a)、(b)に示したような故障経路(短絡経路)FP1,FP2の有無を判別し、故障経路が有ると判別した場合にはMNd[n]をオンに制御する。MNd[n]は、ソースが接地電源電圧GNDに、ドレインがR1[n](なおR1[n]は省略することも可能)を介して外部端子(短絡検出信号SDET[n])に接続される。外部端子(SDET[n])は、図1(a)に示すようにバスSBSに共通に接続されている。したがって、1個以上のDRIC[n]が短絡を検出した際(各DRIC[n]内のMNd[n]の内、1個以上がオンに制御された際)には、当該DRIC[n]のSDET[n]がGNDレベルに駆動され、これに伴いSBSがVCCレベルからGNDレベルにプルダウンされる。
【0026】
このバスSBS上に出力された各DRIC[n]からの短絡検出結果は、イネーブル信号ENとして後述するPWM制御ユニットPCTLICや電源供給ユニットPWRCTL等で使用される。また、このENは、DRIC[n]自身の制御信号として使用することも可能である。例えば、図1(b)に示すように、各DRIC[n]は、ENをドライバイネーブル信号EN_D[n]として受け、各DRIC[n]内のDV[n]は、EN_D[n]がGNDレベルとなった際にQH[n],QL[n]を共にオフに制御すること等でQH[n],QL[n]の保護を図る。この場合、少なくとも1個以上のDRIC[n]で短絡が検出された際に、全てのDRIC[n]は、この検出結果をバスSBSを介して早期に認識できると共に自身のQH[n],QL[n]を保護することが可能となる。なお、各DRIC[n]が、DRIC[1]〜DRIC[m]全体の動作活性化・非活性化を制御するための外部端子(DRICイネーブル端子)を備えている場合には、当該外部端子を、短絡検出用の外部端子(SDET[n])と兼用することも可能である。
【0027】
このように各DRIC[n]における短絡有無の検出結果がワイヤードオア論理によってバスSBS上出力される構成を用いることで、少なくとも1個以上のDRIC[n]で短絡が検出されたことを少ない配線本数(小面積)で全てDRIC[n]やPWM制御ユニットPCTLICや電源供給ユニットPWRCTLに通知することが可能となる。例えば、あるフェーズで故障を検出した場合、図20〜図22で述べたように当該フェーズ以外の他のフェーズにも破壊等の悪影響が生じる恐れがあるが、図1のような構成例を用いることで、破壊等が生じる前の早い段階で全てのフェーズに短絡の発生を認識させることができる。その結果、全てのフェーズにおいて適切な保護を図ることができ、マルチフェーズ型電源装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0028】
なお、ここでは、ワイヤードオア論理として、MNd[n]をスイッチとしたプルダウン型の構成を用いたが、同様にpチャネル型のMOSトランジスタ等を用いたプルアップ型の構成とすることも可能である。ただし、通常、放電速度を早める方が充電速度を早めるよりも容易に実現可能であるため、イネーブル信号ENの応答速度を早める(早期に保護を図る)観点等からはプルダウン型の構成の方が望ましい。また、ここでは、各DRIC[n]を独立した半導体パッケージで構成したが、場合によっては、例えば2個のDRIC[n]を1個の半導体パッケージで構成するようなことも可能である。
【0029】
<<短絡検出時の処理内容[1]>>
図2(a)、(b)は、図1の電源装置を拡張した構成例を示すものであり、図1での短絡検出に応じたPWM制御ユニットPCTLICの処理の一例を示す概略図である。図2(a)の電源装置は、図1の電源装置に対して、PWM制御ユニットPCTLICが加わった構成となっている。PCTLICは、DRIC[1]〜DRIC[m]に対してそれぞれPWM信号(パルス幅変調信号)PWM[1]〜PWM[m]を出力する。ただし、PCTLICは、図1で説明したようなバスSBSを介して出力されたイネーブル信号ENpのGNDレベルを検出した際に、PWM[1]〜PWM[m]を全てオフレベルに固定する。一方、図2(b)の電源装置は、図2(a)の電源装置に加えて、更に、PCTLICを制御するCPU(Central Processing Unit)(又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))等が加わった構成となっている。CPU(又はASIC)は、バスSBSを介して出力されたイネーブル信号ENcのGNDレベルを検出した際に、PCTLICのイネーブル信号ENpをオフレベルに制御し、これに応じてPCTLICは、PWM[1]〜PWM[m]を全てオフレベルに固定する。
【0030】
これらの構成例を用いると、PCTLICからDRIC[1]〜DRIC[m]に向けたPWM[n]の出力が停止し、PCTLICおよびDRIC[1]〜DRIC[m]を含めた電源装置全体としての動作を非活性化することができる。これによって、マルチフェーズ型の電源装置の信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0031】
図3(a)は、図2(a)におけるPWM制御ユニットPCTLICの構成例を示す概略図であり、図3(b)は図3(a)の動作例を示す波形図である。図3(a)に示すPWM制御ユニットPCTLICは、コンパレータ回路CMPenと、パルス幅変調回路PWMMODを備えている。CMPenは、外部端子(イネーブル信号ENp)の電圧が比較電圧Vr(例えば1.0V)より低下した際にPWMイネーブル信号EN_PWMを‘H’レベルに駆動する。ここで、DRIC[1]〜DRIC[m]のいずれにおいても短絡が検出されていない場合には、外部端子(ENp)は、抵抗Rpを介して電源電圧VCC(例えば3.3V)にプルアップされている。この場合、EN_PWMが‘L’レベルに駆動され、これに応じてPWMMODは、DRIC[1]〜DRIC[m]に向けてそれぞれ異なるフェーズでパルス幅変調信号PWM[1]〜PWM[m]を出力する。一方、DRIC[1]〜DRIC[m]のいずれかにおいて短絡が検出された場合には、外部端子(ENp)がGNDレベル(0V)にプルダウンされる。この場合、EN_PWMが‘H’レベルに駆動され、これに応じてPWMMODは、PWM[1]〜PWM[m]を全て‘L’レベル(オフレベル)に固定する。
【0032】
以上、本実施の形態1の電源装置を用いることで、代表的には、1以上のフェーズの故障を早期に全フェーズに通知することが可能となり、マルチフェーズ型電源装置の信頼性の向上が実現可能となる。また、この故障の通知に伴う面積オーバヘッドは小さいため、マルチフェーズ型電源装置の小型化も図れる。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、短絡検出時に行われる前述した図2(a)、(b)とは異なる処理内容について説明する。
【0034】
<<短絡検出時の処理内容[2]>>
図4は、本発明の実施の形態2による電源装置において、図1の電源装置を拡張した構成例を示すものであり、図1での短絡検出に応じた電源供給ユニットPWRCTLの処理の一例を示す概略図である。図4の電源装置は、図1の電源装置に対して、電源供給ユニットPWRCTLが加わった構成となっている。PWRCTLはレギュレータ回路VREGを備える。VREGは、図1で説明したようなバスSBSを介して出力されたイネーブル信号ENvがVCCレベルの場合には、駆動ユニットDRIC[1]〜DRIC[m]に向けて電源電圧VINを供給する。一方、VREGは、ENvのGNDレベルを検出した際にはDRIC[1]〜DRIC[m]に向けたVINの供給動作を停止する。
【0035】
図5は、図4における電源供給ユニットPWRCTLの詳細な構成例を示すブロック図である。図5に示す電源供給ユニットPWRCTLは、AC/DCコンバータとなっている。PWRCTLは、100Vrms等の商用電源VACを力率改善(PFC:Power Factor Correction)等を行いながらDC電源に変換する。また、このDC電源を入力として、複数のレギュレータ回路VREG1,VREG2,VREG3を用いてそれぞれ電圧値が異なる電源電圧を生成する。この例では、VREG1がDRIC[n](n=1,2,…,m)に向けてスイッチ用の電源電圧VIN(例えば12V)を供給し、VREG2がDRIC[n]に向けて内部動作用の電源電圧VCIN(例えば5V)を供給している。また、この例では、VREG3が前述したバスSBSのプルアップ電圧として電源電圧VCC(例えば3.3V)を生成している。ここで、VREG1は、バスSBS上に出力されたイネーブル信号ENvのGNDレベルを検出した際に、VINの供給動作を停止する。その他のレギュレータ回路VREG2,VREG3は、ENvの状態を維持し、これによりVREG1の停止状態を維持するため、電源供給動作を継続する。
【0036】
このような構成例を用いると、DRIC[1]〜DRIC[m]のいずれかで短絡が生じた際に、スイッチ用の電源電圧VINを遮断できることから、マルチフェーズ型電源装置の更なる信頼性の向上が実現可能となる。すなわち、例えば図21(b)に示したような故障経路FP2が生じた場合、図1で述べたようにQH[n],QL[n]をオフに制御すること等で各DRIC[n]の保護は図れるが、出力電源ノードVOに接続される負荷回路LODへの電力供給が継続するため、LODの保護が十分に図れない恐れがある。そこで、VINの遮断を行うことで、LODの保護も十分に図ることが可能となる。なお、図4の構成例は、図2の構成例と併用して用いることも可能である。
【0037】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、図1の電源装置を含む電源装置全体の詳細について説明する。
【0038】
<<電源装置(全体)の構成>>
図6は、本発明の実施の形態3による電源装置において、その全体構成の一例を示すブロック図である。図6に示す電源装置は、PWM制御ユニットPCTLIC、電源供給ユニットPWRCTL、m個の駆動ユニットDRIC[1]〜DRIC[m]、およびm個のインダクタL[1]〜L[m]を備えている。L[1]〜L[m]は、一端が共通に出力電源ノードVOに接続される。各DRIC[n](n=1,2,…,m)は、トランジスタQH[n],QL[n]と、QH[n],QL[n]のオン・オフを制御する制御ユニットCTLU[n]を備え、パルス幅変調信号PWM[n]に応じてQH[n],QL[n]をスイッチング制御する。そして、このスイッチング制御を用いて、L[n]およびVOを介して負荷回路LOD(および出力容量Cld)に電力を供給する。なお、各DRIC[n]には、QH[n]を十分にオンに駆動するためのブートストラップ容量Cb[n]が外部接続されている。
【0039】
PCTLICは、パルス幅変調回路PWMMODと、電流検出回路CSDETと、デジタル・アナログ変換回路DACと、エラーアンプ回路EAを備えている。DACは、例えばCPU等の負荷回路LODから電源電圧の設定値を表すデジタル信号を受け、これをアナログ信号に変換してEAにおける2入力の一方に出力する。EAの2入力の他方には、出力電源ノードVOの電圧が外部に設けられた位相補償回路PHCを介してフィードバック信号FBとして入力される。EAは、この2入力の電位差を増幅し、エラーアンプ信号EOを出力する。CSDETは、例えば、L[1]〜L[m]に流れる電流をそれぞれ検出し、その検出結果をPWMMODに出力する。PWMMODは、EOとCSDETからの出力信号を受け、VOの電圧が前述した設定値となり、かつL[1]〜L[m]に流れる電流が均等となるようなディーティを定め、それぞれ異なる位相を持つPWM[1]〜PWM[m]を出力する。PWRCTLは、DRIC[1]〜DRIC[m]に向けてスイッチ用の電源電圧VIN(例えば12V)と、内部動作用の電源電圧VCIN(例えば5V)を供給し、PCTLICに向けて電源電圧VDD(例えば3.3V)を供給する。
【0040】
このような構成において、DRIC[1]〜DRIC[m]は、前述したように短絡検出用のバスSBSに共通接続される。SBSは、抵抗Rpを介してPWRCTLから供給された電源電圧VCC(例えば3.3V)でプルアップされる。ここで、DRIC[1]〜DRIC[m]のいずれかが短絡を検出した場合には、SBSがGNDレベルにプルダウンされる。各DRIC[n]は、このSBSのGNDレベルを受けて、図1で述べたように例えばQH[n],QL[n]を共にオフに制御する。また、PWRCTLは、SBSの電圧をイネーブル信号ENvとして受け、ENvのGNDレベルを検出した際には、図4で述べたように電源電圧VINを遮断する。更に、PCTLICは、SBSの電圧をイネーブル信号ENpとして受け、ENpのGNDレベルを検出した際には、図2で述べたようにPWM[1]〜PWM[m]を‘L’レベル(オフレベル)に固定する。これによって、実施の形態1および2で述べたように、マルチフェーズ型電源装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0041】
<<駆動ユニットDRICの詳細回路構成>>
図7は、図6における各駆動ユニットDRIC[n](DRIC)の詳細な構成例を示すブロック図である。図7に示す駆動ユニット(半導体装置)DRICは、ここでは8個の外部端子を含み、内部に、制御ユニットCTLUと、トランジスタQH,QLおよびダイオードD1,D2を備えている。8個の外部端子は、それぞれ、電源電圧VIN用、スイッチ信号VSWH用と、接地電源電圧PGND用、接地電源電圧CGND用、パルス幅変調信号PWM用、短絡検出信号SDET用、電源電圧VCIN用、昇圧電圧BOOT用である。QH,QLは、ここではnチャネル型のMOSトランジスタとなっており、QHは、ドレインが外部端子(VIN)に、ソースが外部端子(VSWH)にそれぞれ接続され、QLは、ドレインが外部端子(VSWH)に、ソースが外部端子(PGND)にそれぞれ接続される。D1,D2はMOSトランジスタのボディダイオードであり、D1はアノードがQHのソースに、カソードがQHのドレインにそれぞれ接続され、D2は、アノードがQLのソースに、カソードがQLのドレインにそれぞれ接続される。
【0042】
制御ユニットCTLUは、電源電圧VCINと接地電源電圧CGNDによって動作し、2組のドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh,DVl&SDETClと、短絡検出出力回路SDETIFと、レベルシフト回路LSと、PWM制御回路PWMCTLと、貫通防止回路DTCTLを備えている。PWMCTLは、外部端子(PWM)からのVDD(例えば3.3V)/GNDレベルのパルス幅変調信号を受けて、VCIN(例えば5V)/CGNDレベルの相補信号を出力する。相補信号の一方は、パルス幅変調信号PWMlとしてDVl&SDETClに出力され、他方は、パルス幅変調信号PWMhとしてLSを介してDVh&SDETChに出力される。この際に、PWMCTLは、DTCTLを介して、PWMhとPWMlが同時にオンレベルとならないように(すなわちQH,QLに貫通電流が流れないように)、PWMhの遷移タイミングとPWMlの遷移タイミングに差を持たせるような制御を行う。LSは、PWMCTLからのVCIN/CGNDレベルの信号を、BOOT/VSWHレベルの信号に変換する。
【0043】
ドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETChは、PWMhに応じてBOOT/VSWHレベルのゲート信号でQHのオン・オフを制御する。この際に、DVh&SDETChは、VIN−VSWH間に流れる電流値を監視し、それが所定の値よりも大きい場合にQHをオフに固定すると共に、短絡検出信号SDEThを出力する。ドライバ回路および短絡検出回路DVl&SDETClは、PWMlに応じてVCIN/CGNDレベルのゲート信号でQLのオン・オフを制御する。この際に、DVl&SDETClは、VSWH−PGND間に流れる電流値を監視し、それが所定の値よりも大きい場合に、QLを例えばオフに固定すると共に、短絡検出信号SDETlを出力する。なお、例えば図21(b)に示したような場合にQLに過大な電流が流れることが想定されるため、負荷回路LODを保護する観点からは、QLをオフに固定せずにオンに固定することも考えられる。
【0044】
短絡検出出力回路SDETIFは、短絡検出信号SDETh,SDETlのいずれか一方でも出力された際に、図1(b)等で述べたようにして短絡検出信号SDETをCGNDレベルにプルダウンする。特に限定はされないが、例えば、図1(b)においてスイッチ(MNd[n])を並列に設け、その一方をSDEThで、他方をSDETlで制御する方式等が挙げられる。また、図7では、SDETは、ドライバイネーブル信号EN_Dと兼用されており、PWM制御回路PWMCTLは、このEN_DのCGNDレベルを受けた際に、出力信号(PWMh,PWMl)を共にオフレベルに固定する。したがって、図1でも述べたように、このEN_Dを介して、自身の短絡検出時のみならず、自身以外の駆動ユニットにおける短絡検出時にも適切な保護を図ることが可能となる。なお、ここでは、ハイサイドとロウサイドの両方に短絡検出回路を備える構成としたが、場合によっては、その一方のみを備える構成とすることも可能である。
【0045】
<<駆動ユニットDRICの詳細パッケージ構成>>
図8は、図7の駆動ユニットの詳細なパッケージ構成例を示すものであり、図8(a)はその上面図、図8(b)は図8(a)の内部構成例を示す上面図、図8(c)は図8(b)における各半導体チップのパッド配置例を示す上面図である。図8(a)に示すように、駆動ユニット(半導体装置)DRICは、例えばQFN(Quad Flat Non-leaded package)型の面実装型の半導体パッケージ(封止体)PKGを有している。PKGの材料は、例えばエポキシ系の樹脂等である。図8(b)に示すように、PKGの内部には、例えば銅等の金属を主材料とする3個のダイパッドDP_HS,DP_LS,DP_CTが備わり、各ダイパッド上にそれぞれ異なる半導体チップCP1〜CP3が搭載されている。すなわち、図8に示す駆動ユニットDRICは、所謂MCP(Multi Chip Package)で構成される。
【0046】
DP_HSは、電源電圧VIN用の外部端子(リード)と一体化された構造となっており、図7におけるトランジスタQHが形成された半導体チップCP1が搭載される。DP_LSは、スイッチ信号VSWH用の外部端子(リード)と一体化された構造となっており、図7におけるトランジスタQLが形成された半導体チップCP2が搭載される。DP_CTは、接地電源電圧CGND用の外部端子(リード)と一体化された構造となっており、図7における制御ユニットCTLUが形成された半導体チップCP3が搭載される。DP_HSとDP_CTは、PKGの約半分の領域に並んで配置され、DP_LSは、PKGの残りの約半分の領域に配置される。POLコンバータでは、通常、QHよりもQLの方がオン期間が数倍長くなるため、ここでは、CP2(QL)をCP1(QH)の2倍程度のサイズに形成することでオン抵抗による損失の低減等を図っている。
【0047】
半導体チップCP1では、トランジスタQHが縦型のMOSトランジスタとして形成されている。CP1の裏面は、QHのドレイン電極となっており、このドレイン電極に、VIN用の外部端子ならびにDP_HSを介してVINが供給される。また、CP1の表面には、図8(c)に示すように、QHのソース電極となるパッドPD_H_S1〜PD_H_S4とゲート電極となるパッドPD_H_Gが形成されている。図8(b)に示すように、PD_H_S1,PD_H_S2は、例えば銅等の導電性および熱伝導性の高い材料を持つ金属板MB1の一部に上部から接続される。PD_H_S3は、ボンディングワイヤを介してDP_HS周りに配置されたVSWH用の外部端子(リード)に接続される。PD_H_S4は、ボンディングワイヤBW3を介して半導体チップCP3(CTLU)上のパッドに接続され、PD_H_Gは、ボンディングワイヤBW1を介してCP3(CTLU)上のパッドに接続される。
【0048】
半導体チップCP2では、トランジスタQLが縦型のMOSトランジスタとして形成されている。CP2の裏面は、QLのドレイン電極となっており、このドレイン電極が、DP_LSを介してVSWH用の外部端子に接続されている。また、CP2の表面には、図8(c)に示すように、QLのソース電極となるパッドPD_L_S1〜PD_L_S4とゲート電極となるパッドPD_L_Gが形成されている。図8(b)に示すように、PD_L_S1〜PD_L_S3は、例えば銅等の導電性および熱伝導性の高い材料を持つ金属板MB2の一部に上部から接続される。PD_L_S4は、ボンディングワイヤBW4を介して半導体チップCP3(CTLU)上のパッドに接続され、PD_L_Gは、ボンディングワイヤBW2を介してCP3(CTLU)上のパッドに接続される。また、前述した金属板MB1の他の一部はDP_LSに接続され、金属板MB2の他の一部は、DP_LS周りに配置されたPGND用の外部端子に接続されている。
【0049】
半導体チップCP3(CTLU)の裏面には、CGND用の外部端子およびDP_CTを介してCGNDが供給される。CP3(CTLU)の表面には、複数のパッドが形成され、その一部は、前述したBW1〜BW4を介してCP1(QH)およびCP(QL)に接続され、他の一部は、ボンディングワイヤを介してDP_CT周りに配置されたCTLU用の各種外部端子(リード)に接続されている。このCTLU用の各種外部端子の中には、図7に示したように、短絡検出信号SDET用の外部端子(リード)が含まれている。なお、図示はしないが、DP_HS,DP_LS,DP_CTの裏面は、PKG(樹脂)から露出した構成となっており、それぞれ外部端子(リード)に加えた外部電極として使用可能となっている。前述したように、DP_HSはVIN用の外部電極となり、DP_LSはVSWH用の外部電極となり、DP_CTはCGND用の外部電極となる。
【0050】
<<駆動ユニットのデバイス構造>>
図9は、図7および図8において、ハイサイドのトランジスタQHが形成された半導体チップCP1のデバイス構造例を示す断面図である。ここでは、ハイサイドのトランジスタ(パワートランジスタ)QHを例とするが、ロウサイドのトランジスタQLも同様の構造となる。トランジスタQHは、n+型の単結晶シリコンなどからなる基板本体21aとn−型のシリコン単結晶からなるエピタキシャル層21bとを有した半導体基板21の主面に形成される。このエピタキシャル層21bの主面には、例えば酸化シリコンなどからなるフィールド絶縁膜(素子分離領域)22が形成されている。
【0051】
このフィールド絶縁膜22とその下層のp型ウエルPWL1とに囲まれた活性領域に、QHを構成する複数の単位トランジスタセルが形成されている。QHは、これら複数の単位トランジスタセルが並列に接続されることで形成される。各単位トランジスタセルは、例えばトレンチゲート構造のnチャネル型のMOSトランジスタで形成されている。基板本体21aおよびエピタキシャル層21bは、前述した単位トランジスタセルのドレイン領域としての機能を有している。半導体基板21の裏面には、ドレイン電極用の裏面電極BEが形成されている。この裏面電極BEは、例えば半導体基板21の裏面から順にチタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層を積み重ねて形成されている。図8に示したDRICにおいては、この裏面電極BEは、接着層を介してDP_HSに接合されて電気的に接続される。
【0052】
また、エピタキシャル層21b中に形成されたp型の半導体領域23は、前述した単位トランジスタセルのチャネル形成領域としての機能を有している。さらに、そのp型の半導体領域23の上部に形成されたn+型の半導体領域24は、単位トランジスタセルのソース領域としての機能を有している。また、半導体基板21には、その主面から半導体基板21の厚さ方向に延びる溝25が形成されている。溝25は、n+型の半導体領域24の上面からn+型の半導体領域24およびp型の半導体領域23を貫通し、その下層のエピタキシャル層21b中で終端するように形成されている。この溝25の底面および側面には、例えば酸化シリコンからなるゲート絶縁膜26が形成されている。
【0053】
溝25内には、ゲート絶縁膜26を介してゲート電極27が埋め込まれている。ゲート電極27は、例えばn型不純物が添加された多結晶シリコン膜からなる。ゲート電極27は、前述した単位トランジスタセルのゲート電極としての機能を有している。また、フィールド絶縁膜22上の一部にも、ゲート電極27と同一層の導電性膜からなるゲート引き出し用の配線部27aが形成されており、ゲート電極27とゲート引き出し用の配線部27aとは、一体的に形成されて互いに電気的に接続されている。なお、図9の断面図には示されない領域において、ゲート電極27とゲート引き出し用の配線部27aとは一体的に接続されている。ゲート引き出し用の配線部27aは、それを覆う絶縁膜28に形成されたコンタクトホール29aを通じてゲート配線30Gと電気的に接続されている。
【0054】
一方、ソース配線30Sは、絶縁膜28に形成されたコンタクトホール29bを通じてソース用のn+型の半導体領域24と電気的に接続されている。また、ソース配線30Sは、p型の半導体領域23の上部であってn+型の半導体領域24の隣接間に形成されたp+型の半導体領域31に電気的に接続され、これを通じてチャネル形成用のp型の半導体領域23と電気的に接続されている。ゲート配線30Gおよびソース配線30Sは、コンタクトホール29a,29bが形成された絶縁膜28上にコンタクトホール29a,29bを埋めるように金属膜(例えばアルミニウム膜)を形成し、この金属膜をパターニングすることにより形成することができる。
【0055】
ゲート配線30Gおよびソース配線30Sは、ポリイミド樹脂などからなる保護膜(絶縁膜)32により覆われている。この保護膜32は、半導体チップCP1の最上層の膜(絶縁膜)である。保護膜32の一部には、その下層のゲート配線30Gやソース配線30Sの一部が露出されるような開口部33が形成されており、この開口部33から露出するゲート配線30G部分が前述したゲート電極であり、開口部33から露出するソース配線30S部分が前述したソース電極である。このようにソース電極は、最上層では保護膜32によって分離されているが、ソース配線30Sを通じて互いに電気的に接続されている。
【0056】
ゲート電極およびソース電極の表面には(すなわち開口部33の底部で露出するゲート配線30G部分およびソース配線30S部分上には)、メッキ法などで金属層34が形成されている。金属層34は、ゲート配線30Gやソース配線30S上に形成された金属層34aと、その上に形成された金属層34bとの積層膜によって形成されている。下層の金属層34aは、例えばニッケル(Ni)からなり、主として下地のゲート配線30Gやソース配線30Sのアルミニウムの酸化を抑制または防止する機能を有している。また、その上層の金属層34bは、例えば金(Au)からなり、主として下地の金属層34aのニッケルの酸化を抑制または防止する機能を有している。
【0057】
このようなハイサイドのトランジスタQHにおける単位トランジスタセルの動作電流は、ドレイン用のエピタキシャル層21bとソース用のn+型の半導体領域24との間をゲート電極27の側面(すなわち、溝25の側面)に沿って基板21の厚さ方向に流れるようになっている。すなわち、チャネルが半導体チップCP1の厚さ方向に沿って形成される。このように、半導体チップCP1は、トレンチ型ゲート構造を有する縦型のMOSFET(パワーMOSFET)が形成された半導体チップである。ここで、縦型のMOSFETとは、ソース・ドレイン間の電流が、半導体基板21の厚さ方向(半導体基板の主面に略垂直な方向)に流れるMOSFETに対応する。
【0058】
<<ハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細構成[1A]>>
図10は、図7の駆動ユニットDRICにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETChの詳細を示すものであり、図10(a)はその構成例を示す回路図、図10(b)および図10(c)は図10(a)の動作例を示す波形図である。図11は、図10の補足図であり、図10の構成例を備えた駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。図10(a)に示すドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh1は、コンパレータ回路CMP10、抵抗R10,R11,R20,R21、およびアンド演算回路AD10,AD11を備えている。CMP10は、例えば電源ノードが昇圧電圧BOOTに、接地ノードがスイッチ信号VSWHに接続され、VSWHのノード内の異なる2箇所から2本のボンディングワイヤBW3,BW5を介して取り出した各電圧の電位差を検出する。ここでは、CMP10は、BW3とBW5間をR10とR11で抵抗分圧した電圧値が、BW5の電圧に比較電圧Vr10を加算した電圧値を超えた際に‘L’レベルを出力する。
【0059】
ボンディングワイヤBW3は、図8(b)に示したように、半導体チップCP1(トランジスタQH)のソースパッド(PD_H_S4)と半導体チップCP3(CTLU)上のパッドとを接続するものである。一方、ボンディングワイヤBW5は、図11に示すように、CP3(CTLU)上のパッドとダイパッドDP_LSとを接続するものである。PD_H_S4とDP_LSは、共にスイッチ信号VSWH用のノードとなるが、厳密には、PD_H_S4からDP_LS(BW5の一端)までの経路に寄生成分(寄生抵抗Rmや寄生インダクタLm)が存在する。この寄生成分は、特に金属板MB1やDP_LSによって生じる。したがって、図10において、実際には、この寄生成分(Rm,Lm)に伴い、VIN−VSWH間(QHのソース・ドレイン間)に流れる電流の大きさに比例した電位差がBW3とBW5の間に生じる。例えば、説明を簡単にするためLmを無視してRm=2mΩとし、比較電圧Vr10=0.2Vとし、R10,R11をそれぞれ10kΩ(R10,R11は高抵抗であるための当該経路に流れる電流は無視できる)とすると、CMP10は、VIN−VSWH間の電流が200Aを超えた際に短絡有りと判断して‘L’レベルを出力する。
【0060】
抵抗R20,R21は、昇圧電圧BOOTとCMP10の出力ノードの間を抵抗分圧し、この抵抗分圧ノードNaが、AD11における2入力の一方と、AD10における2入力の一方に接続される。ただし、AD10側においては、Naの反転信号が入力される。R20,R21の抵抗値は、例えばR20≫R21となっており、Naは、CMP10が‘H’レベルを出力している際にはBOOTレベル(‘H’レベル)となり、CMP10が‘L’レベルを出力している際にはほぼVSWHレベル(‘L’レベル)となる。なお、R21は、省略することも可能である。AD11は、例えば電源ノードがBOOTに、接地ノードがVSWHに接続され、2入力の他方にパルス幅変調信号PWMhが入力され、Naとのアンド演算結果に基づいてQHのゲートを駆動する。AD11は、ドライバ回路DVhに該当する。AD10は、例えば電源ノードがBOOTに、接地ノードがVSWHに接続され、2入力の他方にPWMhが入力され、Naの反転信号とのアンド演算結果に基づいて短絡検出信号SDEThを出力する。
【0061】
図10(a)のドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh1は、通常動作時(故障経路(短絡経路)が存在しない場合)、図10(b)に示すような動作を行う。まず、PWMhがVSWHレベル(‘L’レベル又はオフレベル)の際には、AD11を介してQHのゲート電圧がVSWHレベルに駆動され、QHはオフ状態となる。この際、QHに流れる電流はゼロであるため、CMP10は‘H’レベルを出力し、Naの電圧は‘H’レベル(BOOTレベル)となる。また、AD10の出力(短絡検出信号SDETh)は‘L’レベルとなる。なお、QHがオフ状態の際、図10(a)に示すように、VSWHの電圧値はQLのオンに伴いほぼPGNDレベルとなり、BOOTの電圧値はブートストラップ容量Cbによって、「VSWH+VCIN」レベル(ほぼVCINレベル)となる。
【0062】
ここで、PWMhがBOOTレベル(‘H’レベル又はオンレベル)に遷移した際には、Naの電圧も‘H’レベルであるため、AD11を介してQHのゲート電圧がBOOTレベルに駆動され、QHはオン状態となる。この際、QHには負荷回路に応じた電流が流れ、これに伴いBW3−BW5間の電位差は、「Rm×(QHの電流)」(Lmはゼロと仮定)だけ上昇するが、CMP10の判定レベルには到達しない。したがって、CMP10の出力は‘H’レベルを維持し、AD10からの短絡検出信号SDEThは‘L’レベルを維持する。なお、QHがオン状態の際、VSWHの電圧値はQHを介してVINレベルとなり、BOOTの電圧値はVSWHに予めCbに蓄積されたVCINレベルを加算した「VSWH+VCIN」レベル(VIN+VCINレベル)となる。
【0063】
一方、図10(a)のDVh&SDETCh1は、短絡検出時(例えば図10(a)に示す故障経路FP1が存在する場合)、図10(c)に示すような動作を行う。まず、PWMhがVSWHレベル(‘L’レベル又はオフレベル)の際には、AD11を介してQHのゲート電圧がVSWHレベルに駆動され、QHはオフ状態となる。この際、QHに流れる電流はゼロであるため、CMP10は‘H’レベルを出力し、Naの電圧は‘H’レベル(BOOTレベル)となる。また、AD10の出力(短絡検出信号SDETh)は‘L’レベルとなる。ここで、PWMhがBOOTレベル(‘H’レベル又はオンレベル)に遷移した際には、当初Naの電圧も‘H’レベルであるため、AD11を介してQHのゲート電圧がBOOTレベルに駆動され、QHはオン状態となる。この際、QHに短絡電流Isが流れ、これに伴いBW3−BW5間の電位差は、「Rm×Is」(Lmはゼロと仮定)だけ上昇する。
【0064】
ここでは、故障経路FP1が有るため、大きなIsが流れ、これに伴いBW3−BW5間の電位差がCMP10の判定レベルを超え、CMP10の出力は‘L’レベルに遷移し、Naの電圧も‘L’レベルに遷移する。これにより、AD10を介してSDEThが‘H’レベルに遷移する。また、AD11を介してQHのゲート電圧がVSWHレベルに遷移し、QHはオフに駆動され、QHの保護が図られる。SDEThが‘H’レベルになると、図2等で述べたPWM制御ユニットPCTLICを介して、あるいは図7等で述べたドライバイネーブル信号EN_Dに基づいてPWMhが‘L’レベル(オフレベル)に固定される。なお、QHがオフ状態になると、BW3−BW5間の電位差が低下するため、PWMhが‘L’レベルに固定されるまでの間、CMP10の出力が再び‘H’レベルに戻り、QHが再びオンに駆動される恐れがある。ただし、この場合も、同様の検出動作を経て再びQHがオフに駆動されるため、特に問題は生じないが、このような検出動作の繰り返しを避けるために、CMP10の出力にラッチ回路等を挿入することも可能である。
【0065】
図10および図11のような構成例を用いると、例えば次のような効果が得られる。第1に、短絡検出の精度を向上させることが可能となる。これは、まず、図11や図8に示したように、トランジスタQH,QLや制御ユニットCTLUが一つの半導体パッケージに搭載されていることから得られる。この場合、QH,QLの耐久性や、ダイパッドDP_HSならびに金属板MB1の寄生成分の大きさは、設計段階で予め高精度で見積れるため、短絡を判定する条件(R10,R11の抵抗値やVr10の値)も高精度に定めることが可能となる。その比較例として、例えばQH,QLとCTLUを個別の半導体パッケージで実現する場合には、その組み合わせや実装状態等に応じてこのような高精度化が図れない恐れがある。また、図10(a)は短絡電流Isを検出する(厳密にはIsを検出して電圧に変換する)方式となっているため、この方式からも短絡検出の精度を向上させることが可能となる。その比較例として、例えばVSWHの電圧値を1点で検出し、本来VINであるべきところがPGND寄りのレベルになっている場合等を検出する電圧検出方式を用いることが考えられる。しかしながら、このような電圧検出方式では、例えば故障経路FP1が低抵抗ではなく若干高抵抗で短絡しているような場合に、QHの非常に小さいオン抵抗とFP1の高抵抗との抵抗分圧によりVSWHには本来の値(VINレベル)に近い値が得られるため、FP1を検出できない恐れがある。
【0066】
第2に、小面積(低コスト)での短絡検出が実現可能になる。これは、実装の観点では例えば図11に示したように、ボンディングワイヤBW3,BW5を設ければよい(実際上はBW5を追加すればよい)ことから得られる。特に図11や図8のような半導体パッケージを用いる場合には、図11から判るように、BW5周りには広い実装スペースが確保できるため、実装が容易である。また、回路の観点では、図10(a)に示したように、ダイパッドや金属板を利用しているため、電流検証用の直列抵抗(損失を招く)を別途設ける必要がなく、更に検出回路自体もさほど大きな面積オーバヘッドを招かないことから得られる。比較例として、例えば半導体チップCP1(QH)内にQHとカレントミラーを構成するセンス用MOSトランジスタを設け、このMOSトランジスタの電流を検出するような方式が考えられる(例えば特許文献1等)。ただし、当該方式では、電流値を検出するコンパレータ回路以外にも、センス用MOSトランジスタのソース・ドレイン間電圧をQHのソース・ドレイン間電圧と等しくするための各種アンプ回路等が必要とされ、回路面積が増大する恐れがある。
【0067】
以上、本実施の形態3の電源装置を用いることで、代表的には、実施の形態1および2で述べた各種効果に加えて、更に、高精度な短絡検出または小面積での短絡検出が実現可能になる。なお、ここでは、金属板MB1,MB2を用いて、半導体チップと外部端子間または半導体チップとダイパッド間の接続を行ったが、場合によっては金(Au)等のボンディングワイヤで代用すること等も可能である。
【0068】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、実施の形態3の図10で述べたドライバ回路および短絡検出回路の変形例について説明する。
【0069】
<<ハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細構成[1B]>>
図12は、本発明の実施の形態4による電源装置において、図7の駆動ユニットDRICにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETChの詳細を示すものであり、図12(a)はその構成例を示す回路図、図12(b)は図12(a)における遅延回路の構成例を示す回路図、図12(c)は図12(a)の動作例を示す波形図である。図12(a)に示すドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh2は、図10(a)に示したドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh1に対して遅延回路DLYが加わった構成となっている。それ以外の構成に関しては、図10(a)と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0070】
遅延回路DLYは、抵抗R20と抵抗R21の接続ノードNaを入力とし、アンド演算回路AD11の2入力の一方ならびにアンド演算回路AD10の2入力の一方となるノードNbを出力として動作する。なお、AD10側に関しては、図10(a)の場合と同様に、Nbにおける信号の反転信号が入力される。DLYは、図12(b)に示すように、偶数段のインバータ回路ブロックIVBKと、ノア演算回路NR10を備え、入力信号と当該入力信号をIVBKで遅延させた信号とをNR10でノア演算した結果を出力する。この場合、DLYは、入力信号が‘H’レベルから‘L’レベルに遷移したのち、その状態がIVBKによって定められる遅延時間(Tdly)以上の期間で継続した際に出力を‘H’レベルから‘L’レベルに遷移させる。このようなDVh&SDETCh2を用いると、短絡検出時に図12(c)に示すような動作が行われる。
【0071】
図12(c)では、図10(c)と異なり、短絡検出に伴いノードNaの電圧がBOOTレベル(‘H’レベル)からVSWHレベル(‘L’レベル)に遷移し、その状態がDLYの遅延時間(Tdly)の間で継続した後にノードNbが‘H’レベルから‘L’レベルに遷移する。このNbの‘H’レベルから‘L’レベルへの遷移を受けて、AD11はトランジスタQHをオフに駆動し、AD10は短絡検出信号SDEThを出力する。これ以降の動作は、図10(c)と同様である。遅延時間(Tdly)は特に限定はされないが、例えば20ns等である。
【0072】
図12のような短絡検出回路DVh&SDETCh2を用いると、図10のDVh&SDETCh1で述べた各種効果に加えて、更に、より高精度な短絡検出が実現可能になる。例えば、故障経路FP1が存在しない場合でも、電源ノイズや寄生インダクタ(Lm)の影響等により瞬間的にボンディングワイヤBW3の電圧がコンパレータ回路CMP10の判定レベルを超える場合が考えられる。この場合、図10(a)の構成例では、QHが瞬間的にオフに駆動され、またSDEThに瞬間的な‘H’パルスが出力されることにより、誤動作を招く恐れがある。そこで、図12(a)の構成例を用いると、短絡検出とみなすためにはCMP10の判定レベルを超える期間がTdly以上必要とされるため、このような誤動作を防止することが可能となる。なお、Tdlyの長さは、予め設計段階で判明しているQHの耐久性に応じて適宜定められる。一例として、例えば、オン状態のQHのソース・ドレイン間にVIN(=12V)の電圧を印加した際に、45nsの時間でQHが熱破壊に到る場合がある。このような場合、Tdly=20ns等に設定することで、前述した誤動作の防止と共にQHの熱破壊も防止できる。
【0073】
(実施の形態5)
本実施の形態5では、実施の形態4の図12で述べたドライバ回路および短絡検出回路の変形例について説明する。
【0074】
<<ハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細構成[1C]>>
図13は、本発明の実施の形態5による電源装置において、図7の駆動ユニットDRICにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETChの詳細を示すものであり、図13(a)はその構成例を示す回路図、図13(b)は図13(a)の動作例を示す波形図である。図13に示すドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh3は、図12(a)のドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh2と比較して、図12(a)の抵抗R10,R11およびコンパレータ回路CMP10が、図13の抵抗R30,R31およびnチャネル型MOSトランジスタMN10に置き換わった構成となっている。それ以外の構成に関しては図12(a)と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
抵抗R30,R31は、前述した抵抗R10,R11と同様に、ボンディングワイヤBW3とボンディングワイヤBW5の間を抵抗分圧する。MN10は、ゲートがR30,R31によって抵抗分圧された電圧で駆動され、ソースがBW5に、ドレインが抵抗R21の一端に接続される。この場合、MN10は、R30,R31による抵抗分圧値がMN10のしきい値電圧Vthを超えた際にR21を介してノードNaをプルダウンする。このように、図12(図10)の構成例では、コンパレータ回路CMP10が比較電圧Vr10を用いて判定を行っていたのに対して、図13の構成例では、MN10が自身のしきい値電圧Vthを用いて判定を行っている。これによって、CMP10をMN10に置き換えることが可能になるため回路面積(コスト)の低減等が可能となる。
【0076】
ところで、前述した図10では、説明を容易にするためパッケージの寄生インダクタLmをゼロとしたが、実際にはLmの影響が無視できない場合がある。この場合、トランジスタQHがオンに駆動された過渡期においてBW3−BW5間の電位差vsは、「vs=(Rm×is)+(Lm×d(is)/dt)」で定められる。「is」は、QH(およびLm,Rm)に流れる過渡電流であり、Rmはパッケージの寄生抵抗である。仮に故障経路FP1が存在しない場合には、スイッチ信号VSWHのノードに負荷駆動用の比較的インダクタンス値が大きなインダクタ(図1等のL[n])が接続されるため、QHがオンに駆動されたのちの電位差vsの値はほぼ0Vに近いレベルとなる。一方、仮に0Ωの故障経路FP1が存在するものとすると、図13(b)に示すような動作となる。
【0077】
まず、QHがオンに駆動されたのち、一定時間経過した後の定常状態の短絡電流をIsとすると、過渡電流「is」は、0AからIsに向けて指数関数的に上昇し、逆にBW3−BW5間の電位差vsは、QHがオンに駆動された瞬間にほぼVIN(=12V)となり、その後、(Is×Rm)の電圧に向けて指数関数的に減少することになる。この際の時定数は、Lmの大きさに比例する。例えばLm=0.42nH、Rm=0.15mΩとし、故障経路FP1が存在する場合には、前述した過渡期において1.2V以上の電位差vsが20ns以上継続することになる。そこで、図13の例では、例えば、抵抗R30を1kΩ、抵抗R31を50kΩ、MOSトランジスタMN10のしきい値電圧Vthを1.4V、遅延回路DLYの遅延時間(Tdly)を20ns等に設定すること等で故障経路FP1の有無が検出される。すなわち、Lm成分が存在することを積極的に利用し、比較的高い判定電圧(しきい値電圧Vth)とその継続時間(遅延時間(Tdly))の組み合わせで短絡検出が行われる。
【0078】
例えば、図10のような検出方式(要するに定常状態において寄生抵抗Rmに生じる電位差を検出する方式)を用いると、Rmが極めて小さい場合に、検出する電位差も極めて小さくなるため、回路特性のばらつきやノイズマージン等を考慮すると検出精度が低下する恐れがある。一方、このように過渡期を利用した方式を用いることで、Rmが極めて小さい場合でも、比較的高い判定電圧を用いて短絡検出が行うことが可能になるため、検出精度の向上が図れる。言い換えれば、寄生抵抗Rmが極めて小さいパッケージを用いることができ、電源装置全体としての電力変換効率を向上させることが可能になる。
【0079】
なお、この過渡期を利用する方式は、勿論、図12(a)の構成例を用いて実現することも可能である。図12(a)の構成例を用いる場合には、抵抗R10を1kΩ、抵抗R11を50kΩ、比較電圧Vr10を1.4V、遅延回路DLYの遅延時間(Tdly)を20nsとすればよい。また、これらの短絡判定条件は、前述したように駆動ユニットDRICを一つの半導体パッケージで実現することに伴いパッケージの寄生成分(Rm,Lm)の大きさ等を予め見積もれることから、高精度に定めることが可能である。
【0080】
以上、本実施の形態5の電源装置を用いることで、代表的には、実施の形態4で述べた各種効果に加えて、更に、小面積での短絡検出が実現可能になる。
【0081】
(実施の形態6)
本実施の形態6では、実施の形態3の図10で述べたドライバ回路および短絡検出回路とは異なる位置を用いて短絡検出を行う構成例について説明する。
【0082】
<<ハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細構成[2]>>
図14は、本発明の実施の形態6による電源装置において、図7の駆動ユニットDRICにおけるハイサイドのドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETChの詳細を示すものであり、図14(a)はその構成例を示す回路図、図14(b)および図14(c)は図14(a)の動作例を示す波形図である。図15は、図14の補足図であり、図14の構成例を備えた駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。図14(a)に示すドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh4は、コンパレータ回路CMP10、抵抗R40,R41,R20,R21、アンド演算回路AD10,AD11、およびnチャネル型MOSトランジスタMN20を備えている。
【0083】
MOSトランジスタMN20は、ソースがノードNbw6に、ドレインがトランジスタQHのドレインから引き出したボンディングワイヤBW6に接続される。抵抗R40,R41は、ノードNbw6とQHのソースから引き出したボンディングワイヤBW3との間を抵抗分圧する。CMP10は、このR40,R41で抵抗分圧された電圧値が、BW3の電圧に比較電圧Vr20を加算した電圧値を超えた際に‘L’レベルを出力する。このように、図14のドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh4は、図10のドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh1がVSWHのノードにおける異なる2箇所を用いて短絡検出を行っていたのに対して、QHのソースとドレインを用いて短絡検出を行う方式となっている。なお、CMP10の出力に応じて適宜動作する抵抗R20,R21およびアンド演算回路AD10,AD11に関しては図10と同様であるため詳細な説明は省略する。ただし、図14は、AD11(ドライバ回路DVh)が図10と同様にQHのゲートを駆動することに加えてMN20のゲートも駆動する点が図10とは異なっている。
【0084】
ボンディングワイヤBW3は、図8(b)に示したように、半導体チップCP1(トランジスタQH)のソースパッド(PD_H_S4)と半導体チップCP3(CTLU)上のパッドとを接続するものである。一方、ボンディングワイヤBW6は、図15に示すように、CP3(CTLU)上のパッドとQHのドレインに接続されているダイパッドDP_HSとを接続するものである。
【0085】
図14(a)のドライバ回路および短絡検出回路DVh&SDETCh4は、通常動作時(故障経路(短絡経路)が存在しない場合)、図14(b)に示すような動作を行う。まず、PWMhがVSWHレベル(‘L’レベル又はオフレベル)の際には、AD11を介してQHならびにMN20のゲート電圧がVSWHレベルに駆動され、QHならびにMN20はオフ状態となる。この際、ノードNbw6の電圧はVSWHレベルとなるため、CMP10は‘H’レベルを出力し、AD11の2入力の一方となるノードNaの電圧は‘H’レベル(BOOTレベル)となる。また、AD10の出力(短絡検出信号SDETh)は‘L’レベルとなる。ここで、PWMhがBOOTレベル(‘H’レベル又はオンレベル)に遷移した際には、Naの電圧も‘H’レベルであるため、AD11を介してQH,MN20のゲート電圧がBOOTレベルに駆動され、QH,MN20はオン状態となる。この際、QHには負荷回路に応じた電流が流れ、これに伴いBW6の電圧は、BW3の電圧(VSWHレベル)を基準として若干上昇する。BW6の電圧はオン状態のスイッチ(MN20)を介してノードNbw6に伝達される。ただし、Nbw6−BW3間の電位差はCMP10の判定レベルには到達しないため、CMP10の出力は‘H’レベルを維持し、AD10からの短絡検出信号SDEThは‘L’レベルを維持する。このように、MN20により、QHのオン期間を対象として短絡有無の検出が行われる。
【0086】
一方、図14(a)のDVh&SDETCh4は、短絡検出時(例えば図14(a)に示す故障経路(短絡経路)FP1が存在する場合)、図14(c)に示すような動作を行う。まず、PWMhがVSWHレベル(‘L’レベル又はオフレベル)の際には、図14(b)の場合と同様に、QH,MN20はオフ状態に駆動され、CMP10は‘H’レベルを出力し、Naの電圧は‘H’レベル(BOOTレベル)となる。また、AD10の出力(短絡検出信号SDETh)は‘L’レベルとなる。ここで、PWMhがBOOTレベル(‘H’レベル又はオンレベル)に遷移した際には、当初Naの電圧も‘H’レベルであるため、AD11を介してQH,MN20のゲート電圧がBOOTレベルに駆動され、QH,MN20はオン状態となる。この際、QHに短絡電流Isが流れ、これに伴いBW6の電圧は、BW5の電圧(VSWHレベル)を基準として上昇する。このBW6の電圧は、オン状態のスイッチ(MN20)を介してノードNbw6に伝達される。
【0087】
ここでは、図14(b)の場合と異なり故障経路FP1が有るため、大きなIsが流れ、これに伴いNbw6−BW3間の電位差がCMP10の判定レベルを超え、CMP10の出力は‘L’レベルに遷移し、Naの電圧も‘L’レベルに遷移する。これにより、AD10を介してSDEThが‘H’レベルに遷移する。また、AD11を介してQH,MN20のゲート電圧がVSWHレベルに遷移し、QH,MN20はオフに駆動され、QHの保護が図られる。SDEThが‘H’レベルになると、図2等で述べたPWM制御ユニットPCTLICを介して、あるいは図7等で述べたドライバイネーブル信号EN_Dに基づいてPWMhが‘L’レベル(オフレベル)に固定される。なお、QH,MN20がオフ状態になると、Nbw6−BW3間の電位差も低下するため、PWMhが‘L’レベルに固定されるまでの間、CMP10の出力が再び‘H’レベルに戻り、QHが再びオンに駆動される恐れがある。ただし、この場合も、同様の検出動作を経て再びQHがオフに駆動されるため、特に問題は生じないが、このような検出動作の繰り返しを避けるために、CMP10の出力にラッチ回路等を挿入することも可能である。
【0088】
このように図14(a)の構成例は、トランジスタQHのオン抵抗を利用して、QHに流れる電流値を監視し、短絡検出を行う方式となっている。例えば、QHのオン抵抗を5mΩとし、R40,R41の抵抗値をそれぞれ10kΩとし、Vr20の電圧値を0.3Vとした場合、短絡電流Isが120Aを超えた際にCMP10の出力が‘L’レベルに遷移する。図14(a)の構成例を用いると、図10(a)の構成例と比較して、通常、QHのオン抵抗の方がパッケージの寄生抵抗Rmよりも大きいため、電流検出に伴う電位差をより多く確保でき、その分、回路特性のばらつきやノイズ等に対するマージンの拡大が図れ、更なる高精度化を実現できる場合がある。ただし、電流検出に伴う電位差を更に拡大するためには、例えば図13で述べたような寄生インダクタを活用する検出方式等を用いることが望ましいが、図14(a)の構成例は当該方式の適用には適していない。
【0089】
また、実装の観点では、図14(a)の構成例で図8の半導体パッケージを用いた場合、図15から判るように、ボンディングワイヤBW6の実装スペースが図11のボンディングワイヤBW5の実装スペースよりも狭いため、図14(a)よりも図10(a)の構成例の方が有益となる。なお、図14(a)の構成例は、勿論、これに限定されるものではなく、例えば図12で述べたように遅延回路DLYを付加してノイズ等による誤動作を防止したり、あるいは図13で述べたように、コンパレータ回路CMP10をMOSトランジスタに置き換えること等も可能である。ただし、MOSトランジスタを用いる場合、図13のように寄生インダクタを活用した検出方式ではないため、比較的低いしきい値電圧が必要となる。
【0090】
(実施の形態7)
<<ロウサイドのドライバ回路および短絡検出回路の詳細構成>>
図16は、本発明の実施の形態7による電源装置において、図7の駆動ユニットDRICにおけるロウサイドのドライバ回路および短絡検出回路DVl&SDETClの詳細を示すものであり、図16(a)はその構成例を示す回路図、図16(b)および図16(c)は図16(a)の動作例を示す波形図である。図17は、図16の補足図であり、図16の構成例を備えた駆動ユニットのパッケージ構成例を示す上面図である。図16(a)に示すドライバ回路および短絡検出回路DVl&SDETCl1は、ドライバ回路DVl、コンパレータ回路CMP20、アンド演算回路AD10を備えている。CMP20は、例えば電源ノードが電源電圧VCINに、接地ノードが接地電源電圧PGND(又はCGND)に接続され、トランジスタQLのソースからボンディングワイヤBW4を介して取り出した電圧と、QLのドレインからボンディングワイヤBW7を介して取り出した電圧との電位差を検出する。
【0091】
ボンディングワイヤBW4は、図8(b)に示したように、半導体チップCP2(トランジスタQL)のソースパッド(PD_L_S4)と半導体チップCP3(CTLU)上のパッドとを接続するものである。一方、ボンディングワイヤBW7は、図17に示すように、CP3(CTLU)上のパッドとQLのドレインに接続されたダイパッドDP_LSとを接続するものである。ここで、BW7は、図11の構成例(図10、図12、図13の回路)と組み合わせる場合、図11から判るように、ボンディングワイヤBW5と兼用することも可能である。これによって、実装の容易化や低コスト化が図れる。
【0092】
このような構成により、CMP20は、QLのオン抵抗を介してQLのソース・ドレイン間に生じた電位差を検出し、BW7の電圧値が、BW4の電圧に比較電圧Vr30を加算した電圧値を超えた際にノードNcに‘L’レベルを出力する。例えば、QLのオン抵抗を1mΩ、Vr30の電圧値を0.2Vとした場合、QLに200Aが流れた際にNcに‘L’レベルが出力される。アンド演算回路AD10は、例えば電源ノードがVCINに、接地ノードがPGND(又はCGND)に接続され、2入力の一方にノードNcの反転信号が入力され、他方にパルス幅変調信号PWMlが入力され、そのアンド演算結果によって短絡検出信号SDETlを出力する。ドライバ回路DVlは、PWMlに応じてトランジスタQLのゲートを駆動する。
【0093】
図16(a)のドライバ回路および短絡検出回路DVl&SDETCl1は、通常動作時(故障経路(短絡経路)が存在しない場合)、図16(b)に示すような動作を行う。まず、PWMlがCGNDレベル(‘L’レベル又はオフレベル)の際には、DVlを介してQLのゲート電圧がPGNDレベルに駆動され、QLはオフ状態となる。この際、BW7−BW4間の電位差は、トランジスタQHのオンに伴い電源電圧VINのレベルとなり、これはCMP20の判定レベルを超えているため、CMP20はノードNcに‘L’レベルを出力する。AD10は、Ncが‘L’レベルとなっているが、PWMlが‘L’レベルであるため、短絡検出信号SDETlとして‘L’レベルを出力する。
【0094】
ここで、PWMlがVCINレベル(‘H’レベル又はオンレベル)に遷移した際には、DVlを介してQLのゲート電圧がVCINレベルに駆動され、QLはオン状態となる。この際、QLにはインダクタ(図1等のL[n])を起電力とした転流動作による電流が流れ、これに伴いBW7−BW4間の電位差は、「(QLのオン抵抗)×(QLの電流)」に低下する。この場合、BW7−BW4間の電位差はCMP20の判定レベルよりも低下するため、CMP20は、Ncに‘H’レベルを出力する。AD10は、PWMlが‘H’レベルとなっているが、Ncが‘H’レベルであるため、SDETlを‘L’レベルに維持する。このように、AD10により、実質的には、QLのオン期間を対象として短絡有無の検出が行われる。
【0095】
一方、図16(a)のDVl&SDETCl1は、短絡検出時(例えば図16(a)に示す故障経路(短絡経路)FP2が存在する場合)、図16(c)に示すような動作を行う。まず、PWMlがCGNDレベル(‘L’レベル又はオフレベル)の際には、DVlを介してQLのゲート電圧がPGNDレベルに駆動され、QLはオフ状態となる。この際には、図16(b)の場合と同様に、CMP20はノードNcに‘L’レベルを出力し、AD10は、SDETlとして‘L’レベルを出力する。ここで、PWMlがVCINレベル(‘H’レベル又はオンレベル)に遷移した際には、DVlを介してQLのゲート電圧がVCINレベルに駆動され、QLはオン状態となる。そうすると、QLには、故障経路FP2を介した短絡電流Isが流れる。この場合、BW7−BW4間の電位差は、「(QLのオン抵抗)×Is」となるが、Isの値が大きいため、CMP20の判定レベルよりも低下しない。したがって、CMP20の出力(Nc)は、‘L’レベルに維持される。AD10は、PWMlが‘H’レベルであり、Ncが‘L’レベルであるため、SDETlを‘H’レベルに駆動する。
【0096】
SDETlが‘H’レベルになると、図2等で述べたPWM制御ユニットPCTLICを介して、あるいは図7等で述べたドライバイネーブル信号EN_Dに基づいてPWMlが‘L’レベル(オフレベル)に固定される。これにより、DVlを介してQLがオフに駆動され、QLの保護が図られる。また、ここでは、CMP20が短絡を検出してからPWMlが‘L’レベルに固定されるまでの一定時間の間、QLをオンに駆動する構成となっている。これによって、負荷回路(図7のLOD)に高電圧が印加されることを防止し、LODの保護も図る。そして、この一定時間の間に、図4、図5等で述べたような方式で電源電圧VINの遮断が行われる。ただし、この電源遮断の応答速度が早いような場合には、図10等と同様に、DVlの代わりにアンド演算回路を使用したドライバ回路を用いることも可能である。
【0097】
以上、本実施の形態7の電源装置を用いることで、代表的には、ロウサイドのトランジスタの保護や負荷回路の保護が図れ、マルチフェーズ型電源装置の信頼性を向上させることが可能になる。なお、図16(a)の構成例は、勿論、これに限定されるものではなく、例えば図12で述べたように遅延回路DLYを付加したり、あるいは図13で述べたように、コンパレータ回路CMP20をMOSトランジスタに置き換えること等も可能である。
【0098】
(実施の形態8)
本実施の形態8では、実施の形態3の図8に示した駆動ユニット(半導体装置)DRICを用いて構成した電源装置の実装構造(基板レイアウト)について説明する。
【0099】
<<電源装置の基板レイアウト>>
図18は、本発明の実施の形態8による電源装置において、その一部の基板レイアウトの構成例を示す平面図である。図18に示す電源装置は、複数の配線層(例えば銅(Cu)配線層)を持つ配線基板PCB上に、駆動ユニットDRIC[n]と、負荷回路LOD(例えばCPU等)が実装されている。ここでは、PCBの表面の配線層に、電源電圧VIN用の配線パターンLP_VIN、接地電源電圧PGND用の配線パターンLP_PGND、スイッチ信号VSWH用の配線パターンLP_VSWH、出力電源ノードVO用の配線パターンLP_VOが形成されている。
【0100】
駆動ユニットDRIC[n]は、図8で述べたように、裏面から、VIN用の電極(ダイパッドDP_HS)、VSWH用の電極(ダイパッドDP_LS)、接地電源電圧CGND用の電極(ダイパッドDP_CT)が露出している。図18に示すように、このVIN用の電極(ダイパッドDP_LS)は、その周辺に配置されたVIN用の外部端子(リードLD)と共に半田ペーストSPを用いたリフロー工程等によってLP_VINに接続される。同様に、VSWH用の電極(ダイパッドDP_LS)は、その周辺に配置されたVSWH用の外部端子と共にリフロー工程等によってLP_VSWHに接続される。また、VSWH用の電極(ダイパッドDP_LS)の周辺には、PGND用の外部端子が配置されており、当該外部端子は、リフロー工程等によってLP_PGNDに接続され、負荷回路LODの外部電源端子も、リフロー工程等によって配線パターンLP_VOに接続される。LP_VINとLP_PGNDは、一辺が隣接して形成され、これらの間に電源ノイズ低減用のバイパス容量C1が実装される。LP_VOは、一辺がLP_PGNDの一辺に、他の一辺がLP_VSWHの一辺に隣接して形成され、LP_PGNDとの間に電源ノイズ低減用のバイパス容量C2が実装され、LP_VSWHとの間にインダクタL[n]が実装される。
【0101】
このような構成例において、例えば、リフロー工程の際に半田ペーストSPの量が多すぎること等により、VSWHとPGND間や、VSWHとVIN間や、あるいはVINとPGND間等で短絡が生じ得る。また、例えば、バイパス容量C1の実装不良等によってもVINとPGND間の短絡等が生じ得る。そこで、前述した本実施の形態の電源装置を用いて短絡を検出し、保護を行うことが有益となる。なお、前述した実施の形態では、VINとPGND間の短絡が生じた場合の説明は省略しているが、勿論この場合もハイサイドまたはロウサイドの短絡検出回路によって検出が可能である。
【0102】
図19は、図18を拡張して形成したマルチフェーズ型電源装置の基板レイアウトの構成例を示す平面図である。図19に示す電源装置では、配線基板PCB上に、複数(ここでは4個)の駆動ユニットDRIC[1]〜DRIC[4]と、負荷回路LOD(例えばCPU等)と、PWM制御ユニットPCTLICが実装されている。DRIC[1]〜DRIC[4]は、X方向に並んで配置される。各DRIC[n](n=1〜4)内のVIN用のダイパッドDP_HSならびにその周辺に配置されたVIN用の外部端子は、PCB上に形成された配線パターンLP_VINによって共通に接続されている。各DRIC[n]内のVSWH用のダイパッドDP_LSは、PCB上で個別に形成された配線パターンLP_VSWH[n]にそれぞれ接続される。
【0103】
負荷回路LOD(CPU)は、外部電源端子がPCB上に形成された配線パターンLP_VOに接続され、外部接地電源端子がPCB上に形成された配線パターンLP_PGNDに接続される。LP_PGNDは、PCBの表面で適宜分散して配置されると共にPCBのいずれかの配線層を介して共通に接続され、図18で述べたように、PCBの表面において各DRIC[n]のPGND用の外部端子に適宜接続される。各配線パターンLP_VSWH[n]は、X方向に並んで実装された各インダクタL[n]の一端にそれぞれ接続される。各L[n]の他端は、LP_VOに共通に接続される。また、図18と同様に、LP_VINとLP_PGNDの間にはバイパス容量C1が実装され、LP_VOとLP_PGNDの間にはバイパス容量C2が実装される。PWM制御ユニットPCTLICは、ここでは、PCBのいずれかの配線層を介して各DRIC[n]の外部端子に適宜接続される。
【0104】
このような構成例において、DRIC[1]〜DRIC[4]は、発熱量が大きいため、例えば図19に示すように、各DRIC[n]を共通で覆うヒートシンクHSNKが搭載される場合がある。各DRIC[n]の外部端子は、前述したようなリフロー工程以外にも、このようなHSNKの搭載位置がずれること等によっても短絡される恐れがある。そこで、前述した本実施の形態の電源装置を用いて短絡を検出し、保護を行うことが有益となる。
【0105】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0106】
21 半導体基板
22 フィールド絶縁膜
23,24,31 半導体領域
25 溝
26 ゲート絶縁膜
27 ゲート電極
28 絶縁膜
29 コンタクトホール
30G ゲート配線
30S ソース配線
32 保護膜
33 開口部
34 金属層
AD アンド演算回路
BE 裏面電極
BW ボンディングワイヤ
C 容量
CMP コンパレータ回路
CP 半導体チップ
CSDET 電流検出回路
CTLU 制御ユニット
D ダイオード
DAC デジタル・アナログ変換回路
DLY 遅延回路
DP ダイパッド
DRIC 駆動ユニット
DTCTL 貫通防止回路
DV ドライバ回路
EA エラーアンプ回路
FP 故障経路
HSNK ヒートシンク
IVBK インバータ回路ブロック
L インダクタ
LD リード
LOD 負荷回路
LP 配線パターン
LS レベルシフト回路
MB 金属板
MN nチャネル型MOSトランジスタ
NR ノア演算回路
P 外部端子
PCTLIC PWM制御ユニット
PD パッド
PHC 位相補償回路
PKG 半導体パッケージ
PWL p型ウエル
PWMCTL PWM制御回路
PWMMOD パルス幅変調回路
PWRCTL 電源供給ユニット
QH,QL トランジスタ
R 抵抗
SBS バス
SDETC 短絡検出回路
SDETIF 短絡検出出力回路
SP 半田ペースト
VAC 商用電源
VO 出力電源ノード
VREG レギュレータ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2駆動ユニットと、
バスと、
一端が共通に結合される第1および第2インダクタと、
前記第1および第2駆動ユニットにそれぞれ異なる位相を持つ第1および第2パルス幅変調信号を出力するPWM制御ユニットと、
インダクタ駆動用の電源電圧を生成する電源供給ブロックとを備え、
前記第1駆動ユニットは、
前記インダクタ駆動用の電源電圧が供給される第1電源端子と、
前記第1インダクタの他端に結合される第1スイッチ端子と、
接地電源電圧が供給される第1接地端子と、
前記バスに接続される第1検出端子と、
前記第1電源端子と前記第1スイッチ端子の間に電流経路が形成される第1ハイサイドトランジスタと、
前記第1スイッチ端子と前記第1接地端子の間に電流経路が形成される第1ロウサイドトランジスタと、
前記第1パルス幅変調信号に応じて前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第1ロウサイドトランジスタのオン・オフを制御する第1ドライバ回路と、
前記第1ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定の電流よりも大きい場合に前記第1検出端子を介して前記バスを第2電圧レベルから第1電圧レベルに駆動する第1ハイサイド検出回路とを備え、
前記第2駆動ユニットは、
前記インダクタ駆動用の電源電圧が供給される第2電源端子と、
前記第2インダクタの他端に結合される第2スイッチ端子と、
前記接地電源電圧が供給される第2接地端子と、
前記バスに接続される第2検出端子と、
前記第2電源端子と前記第2スイッチ端子の間に電流経路が形成される第2ハイサイドトランジスタと、
前記第2スイッチ端子と前記第2接地端子の間に電流経路が形成される第2ロウサイドトランジスタと、
前記第2パルス幅変調信号に応じて前記第2ハイサイドトランジスタおよび前記第2ロウサイドトランジスタのオン・オフを制御する第2ドライバ回路と、
前記第2ハイサイドトランジスタに流れる電流が所定の電流よりも大きい場合に前記第2検出端子を介して前記バスを前記第2電圧レベルから前記第1電圧レベルに駆動する第2ハイサイド検出回路とを備え、
前記第1駆動ユニットは、1個の半導体パッケージで構成され、
前記第2駆動ユニットは、1個の半導体パッケージで構成され、
前記バスは、前記第1および第2検出端子のワイヤードオア論理で駆動されることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置において、
前記第1ドライバ回路は、前記バスが前記第1電圧レベルの際に前記第1ハイサイドトランジスタをオフに制御し、
前記第2ドライバ回路は、前記バスが前記第1電圧レベルの際に前記第2ハイサイドトランジスタをオフに制御することを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2記載の電源装置において、
前記電源供給ブロックは、前記バスを監視し、前記バスが前記第1電圧レベルとなった際には前記インダクタ駆動用の電源電圧の生成を停止することを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1記載の電源装置において、
前記PWM制御ユニットは、前記バスを監視し、前記バスが前記第1電圧レベルとなった際には前記第1および第2パルス幅変調信号を一定の電圧レベルに固定することを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1記載の電源装置において、
前記第1駆動ユニットは、更に、前記第1ロウサイドトランジスタに流れる電流が所定の電流よりも大きい場合に前記第1検出端子を介して前記バスを前記第2電圧レベルから前記第1電圧レベルに駆動する第1ロウサイド検出回路を備え、
前記第2駆動ユニットは、更に、前記第2ロウサイドトランジスタに流れる電流が所定の電流よりも大きい場合に前記第2検出端子を介して前記バスを前記第2電圧レベルから前記第1電圧レベルに駆動する第2ロウサイド検出回路を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
1個の半導体パッケージで構成され、
インダクタ駆動用の電源電圧が供給される第1ダイパッドと、
外部のインダクタに電気的に接続される第2ダイパッドと、
第3ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに搭載されると共に裏面が前記第1ダイパッドと電気的に接続される第1半導体チップと、
前記第2ダイパッドに搭載されると共に裏面が前記第2ダイパッドと電気的に接続される第2半導体チップと、
前記第3ダイパッドに搭載される第3半導体チップと、
接地電源電圧が供給される第1リードと、
前記第1半導体チップの表面と前記第2ダイパッドとを電気的に接続する第1接続部と、
前記第2半導体チップの表面と前記第1リードとを電気的に接続する第2接続部と、
外部バスに接続される第2リードと、
第1〜第4ボンディングワイヤとを備え、
前記第1半導体チップには、裏面にドレイン電極を持ち、表面にゲート電極とソース電極を持つnチャネル型のハイサイドトランジスタが形成され、
前記第2半導体チップには、裏面にドレイン電極を持ち、表面にゲート電極とソース電極を持つnチャネル型のロウサイドトランジスタが形成され、
前記第1接続部は、前記ハイサイドトランジスタのソース電極と前記第2ダイパッドとを接続し、
前記第2接続部は、前記ロウサイドトランジスタのソース電極と前記第1リードとを接続し、
前記第3半導体チップには、
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ロウサイドトランジスタのゲート電極を前記第1および第2ボンディングワイヤを介してそれぞれ制御するドライバ回路と、
前記ハイサイドトランジスタのソース電極から前記第3ボンディングワイヤを介して取り出した第1電圧と、前記第2ダイパッドから前記第4ボンディングワイヤを介して取り出した第2電圧との間の第1電位差を検出し、前記第1電位差が所定の値よりも大きい場合に前記第2リードを介して前記外部バスを第2論理レベルから第1論理レベルに駆動するハイサイド検出回路とが形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置において、
前記ハイサイド検出回路は、第1期間が設定される遅延回路を含み、前記第1電位差が前記所定の値よりも大きい期間が前記第1期間の間継続した場合に前記外部バスを前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに駆動することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記ハイサイド検出回路は、ソースに前記第2電圧が印加され、ゲートに前記第1電圧に比例した電圧が印加される検出トランジスタを含み、前記第1電位差が前記所定の値よりも大きいことを前記検出トランジスタのしきい値電圧を利用して検出することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項6記載の半導体装置において、
前記ハイサイド検出回路は、前記第1電位差が前記所定の値よりも大きい場合に、前記ドライバ回路を介して前記ハイサイドトランジスタをオフに制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項6記載の半導体装置において、
前記ドライバ回路は、前記外部バスが前記第1電圧レベルの際に前記第1ハイサイドトランジスタをオフに制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項6記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、更に、第5ボンディングワイヤを備え、
前記第3半導体チップには、更に、前記ロウサイドトランジスタがオンの期間で、前記第2ダイパッドから前記第4ボンディングワイヤを介して取り出した前記第2電圧と、前記ロウサイドトランジスタのソース電極から前記第5ボンディングワイヤを介して取り出した第3電圧との間の第2電位差を検出し、前記第2電位差が所定の値よりも大きい場合に前記第2リードを介して前記外部バスを前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに駆動するロウサイド検出回路が形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
1個の半導体パッケージで構成され、
インダクタ駆動用の電源電圧が供給される第1ダイパッドと、
外部のインダクタに電気的に接続される第2ダイパッドと、
第3ダイパッドと、
前記第1ダイパッドに搭載されると共に裏面が前記第1ダイパッドと電気的に接続される第1半導体チップと、
前記第2ダイパッドに搭載されると共に裏面が前記第2ダイパッドと電気的に接続される第2半導体チップと、
前記第3ダイパッドに搭載される第3半導体チップと、
接地電源電圧が供給される第1リードと、
前記第1半導体チップの表面と前記第2ダイパッドとを電気的に接続する第1接続部と、
前記第2半導体チップの表面と前記第1リードとを電気的に接続する第2接続部と、
外部バスに接続される第2リードと、
第1〜第4ボンディングワイヤとを備え、
前記第1半導体チップには、裏面にドレイン電極を持ち、表面にゲート電極とソース電極を持つnチャネル型のハイサイドトランジスタが形成され、
前記第2半導体チップには、裏面にドレイン電極を持ち、表面にゲート電極とソース電極を持つnチャネル型のロウサイドトランジスタが形成され、
前記第1接続部は、前記ハイサイドトランジスタのソース電極と前記第2ダイパッドとを接続し、
前記第2接続部は、前記ロウサイドトランジスタのソース電極と前記第1リードとを接続し、
前記第3半導体チップには、
前記ハイサイドトランジスタおよび前記ロウサイドトランジスタのゲート電極を前記第1および第2ボンディングワイヤを介してそれぞれ制御するドライバ回路と、
前記ハイサイドトランジスタがオンの期間で、前記第1ダイパッドから前記第3ボンディングワイヤを介して取り出した第1電圧と、前記ハイサイドトランジスタのソース電極から前記第4ボンディングワイヤを介して取り出した第2電圧との間の第1電位差を検出し、前記第1電位差が所定の値よりも大きい場合に前記第2リードを介して前記外部バスを第2論理レベルから第1論理レベルに駆動するハイサイド検出回路とが形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置において、
前記ハイサイド検出回路は、第1期間が設定される遅延回路を含み、前記第1電位差が前記所定の値よりも大きい期間が前記第1期間の間継続した場合に前記外部バスを前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに駆動することを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置において、
前記ハイサイド検出回路は、前記第1電位差が前記所定の値よりも大きい場合に、前記ドライバ回路を介して前記ハイサイドトランジスタをオフに制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項12記載の半導体装置において、
前記ドライバ回路は、前記外部バスが前記第1電圧レベルの際に前記第1ハイサイドトランジスタをオフに制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項12記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、更に、第5および第6ボンディングワイヤを備え、
前記第3半導体チップには、更に、前記ロウサイドトランジスタがオンの期間で、前記第2ダイパッドから前記第5ボンディングワイヤを介して取り出した第3電圧と、前記ロウサイドトランジスタのソース電極から前記第6ボンディングワイヤを介して取り出した第4電圧との間の第2電位差を検出し、前記第2電位差が所定の値よりも大きい場合に前記第2リードを介して前記外部バスを前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに駆動するロウサイド検出回路が形成されることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−120355(P2012−120355A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268999(P2010−268999)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】