説明

顔面撮像装置

【課題】非稼動時の専有面積を削減した、小型の顔面撮影装置を提供すること。
【解決手段】撮像カメラ42、及び、その合焦点に被写体となる顔を保持する機構60(顎台62、額当てローラ66)を含む撮影部40と、該撮影部40を格納可能に可動保持するベース80とを備え、非稼動時に撮像カメラを下向きに倒立して収納可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔面撮像装置に係り、特に、全顔撮影・肌画像解析システムに用いるのに好適な、小型の顔面撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全顔撮影・肌画像解析システムに用いるのに好適な顔面撮影装置として、出願人の一人は特許文献1で、図1(全体図)及び図2(要部の分解斜視図)に示す如く、被写体となる顔を撮像カメラ2の合焦点に保持するための、額保持部となるフレーム8U及び顎載部9を取付けた下フレーム8Dを有する枠状のフェースホルダ4と、該フェースホルダ4と前記撮像カメラ2の間に、フェースホルダ4で保持される顔に対して略同心状に位置するように配された略半円筒状の凹面状光拡散板5と、該凹面状光拡散板5の正面に形成された顔面撮像用開口部6に向かって前記撮像カメラ2から断面積が漸次拡大するように形成された円錐面状又は角錐面状の錐面状光拡散板7とを備え、前記各光拡散板5、7に対してその背面側から光を照射する照明光源20が前記錐面状光拡散板7の周囲を囲むように配されてなる顔面撮像ボックス1を提案している。図において、30は、前記撮像カメラ2で取得した画像を処理して肌の状態を解析し、表示するためのノートパソコンである。
【0003】
【特許文献1】特開2004−302424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来は、ノートパソコン30を除く顔面撮像ボックス1が一体化されていたため、非稼動時であっても稼動時と同じ面積を専有し、専有面積が大きい。又、顔面撮像ボックス1とノートパソコン30が別体であったため、顔面撮像ボックス1の置き場所とは別にノートパソコン30の置き場所を確保する必要がある。更に、撮像カメラ2が、横置きの風景モードとされていたため、図3(A)に示す如く、縦長の人間の顔38を撮影するとき、顔全てが画面3に納まるように撮影すると、図4に示す如く、レンズ先端と顔38との距離Lを十分に確保する必要があり、顔面撮像ボックス1の奥行きを短くできない。又、フェースホルダ4が被写体となる顔の額前面に当てられる上フレーム8Uを有するため、顔の向きを変える場合の移動ストレスが大きい。更に、顔面撮像ボックス1の撮像カメラ2や照明光源20の電源とノートパソコン30の電源が別であるため、電源のオンオフ操作が煩わしく、一方又は両者の電源を切り忘れることがあり、エネルギの浪費につながる等の問題点を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、非稼動時の専有面積を削減可能な、小型の顔面撮像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも撮像カメラ、及び、その合焦点に被写体となる顔を保持する機構を含む撮影部と、該撮影部を格納可能に可動保持するベースと、を備えたことを特徴とする顔面撮像装置により、前記課題を解決したものである。
【0007】
又、前記撮影部を、非稼動時に撮像カメラを下向きに倒立して格納可能として、内部に埃が溜まらないようにしたものである。
【0008】
又、前記撮像カメラの撮影画面の長手方向と、被写体となる顔の長手方向が一致するようにして、撮影部の奥行きを短くできるようにしたものである。
【0009】
又、前記可動撮影部の顔保持機構の上下に、カラーチャートを配設して、色補正精度を向上したものである。
【0010】
又、前記可動撮影部の顔保持機構の近傍に、出し入れ可能な校正板を配設して、色再現性を向上すると共に、埃の侵入を防止できるようにしたものである。
【0011】
又、前記撮影部の顔保持機構が、撮像カメラの光軸の方向に移動可能な額当て手段を含むようにして、顔の大きさに拘わらず、顔面をカメラレンズに対して水平に保てるようにし、撮影再現性を確保できるようにしたものである。
【0012】
又、前記額当て手段をローラとして、撮影時の額当て移動ストレスを少なくしたものである。
【0013】
又、前記ベースに、前記撮像カメラで取得した画像を処理するためのパソコンを内蔵し、そのモニタを、前記ベースから引き出し可能に収容して、パソコンの設置スペースを不要としたものである。
【0014】
又、前記撮影部を格納状態にすると、電源が切れるようにして、消し忘れを防止し、省エネルギにつながるようにしたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮影部を可動とし、格納可能としたので、非稼動時の専有面積を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
本実施形態は、図5(側面から見た構成を示す模式図)、図6(正面から見た構成を示す模式図)、及び、図7(上面から見た構成を示す模式図)に示す如く、撮像カメラ42、照明光源としての蛍光灯44、錐面状の光拡散板46、前記撮像カメラ42の合焦点に被写体となる顔を保持するための顎台62及び額当てローラ66を有する顔保持機構60、中央で左右に分割され、両側面のスリットから出し入れ可能な白色の校正板48、前記顎台62及び額当てローラ66の近傍に配設されたカラーチャート50を含む略砲弾状の撮影部40と、該撮影部40を撮像カメラ42を下向きに倒立して格納可能に可動保持するための、パソコン(PC)82が内蔵されると共に、そのモニタ84が引き出し可能に収容されたベース80と、を備えている。
【0018】
前記撮像カメラ42は、従来例と異なり、図3(B)に示す如く、その撮影画面の長手方向と、被写体となる顔38の長手方向が一致するように縦置きのポートレートモードで配置されている。従って、図4に示した被写体の顔38とレンズの距離Lを短くすることができ、撮影部40の奥行きを縮めることができる。なお、近接撮影時には撮像カメラ42の被写体深度が浅くなるので、顔の凹凸によるピンボケを防ぐため、最大限顔に近付けることはせず、ある程度の距離は確保するよう最適化することが望ましい。
【0019】
前記撮影部40は、図8(A)に示す如く、撮像カメラ42を下向きにして倒立状態で格納するようにされている。これは、図8(B)に示す如く、上向きに格納する場合に比べて、収納時の必要な高さHを低くすることができると共に、埃が入るのを防止するためである。
【0020】
前記校正板48は、平面でもよいが、立体である顔表面を撮影するので、左右からの照明照射の影響を受ける。そこで、この校正板48は、左右からの照明によるムラを吸収するため、曲面形状を取ることが望ましい。
【0021】
この校正板52は、図7に示した如く、(A)校正時及び非稼動時には閉じて外部からの埃の侵入を防止すると共に、(B)顔撮影時には両側に開くようにされている。
【0022】
前記顎台62は、図6及び図7に示した如く、弧状のガイド64に沿って左右に移動可能とされ、又、前記額当てローラ66は、図9に詳細に示す如くY字状のホルダ68の先端に回動自在に保持され、ガイド70内を撮像カメラ42の光軸方向(図9の上下方向)に多段階スライド可能とされている。これは、図10に示す如く、顔のサイズにより顔面の向き(仰角・俯角)が変化するので、これに対応させるためである。図9において、72は、ホルダ68の動きを制限するためのストッパである。
【0023】
前記カラーチャート50は、図5に示した如く、被写体の顔の上下に来る位置に配置して、図3(B)に示す如く、撮像カメラ42の撮影画面43を有効に活用するようにされている。
【0024】
前記モニタ84の画面には、パソコン82を操作するためのタッチセンサが設けられている。
【0025】
以下、図11を参照して撮影の手順を説明する。
【0026】
まずステップ100で、ベース80に収納されたモニタ84を引き出し、図12に示す如く、モニタ84とベース80に内蔵されたパソコン82のポート83(図5参照)とをケーブル86で接続する。
【0027】
次いでステップ102に進み、図8(A)に示した下向き格納状態から、図5に示した如く撮影部40を水平に引き起こす。これにより、撮像カメラ42及び蛍光灯44の電源が自動的に入ると共に、パソコン82の電源も自動的に入る(オートパワーオン)。
【0028】
次いでステップ104で、図7(A)に示した如く、校正板48を収納したままの状態で、校正撮影を行なう。具体的には、モニタ84に表示される解析ソフトウェアの画面から、キャリブレーションボタンを選択すると、撮像カメラ42による撮影が行なわれ、画像が、校正データとしてパソコン82に保存される。
【0029】
次いでステップ106に進み、顔撮影の準備をする。具体的には、図7(B)に示した如く、校正板48を両側に引き出し、撮影顔方向に合わせて、顎台62の横方向位置を調整する。同時に、額当てローラ66の前後位置を、撮影面がカメラレンズと平行になるように調整する。
【0030】
次いでステップ108で顔を撮影する。具体的には、顔を撮影部40に挿入して、顎を顎台62に載せ、額を額当てローラ66に密着させて、モニタ84に表示されている解析ソフトウェアの画面から撮影ボタンを選択する。
【0031】
次いでステップ110に進み、校正を行なう。具体的には、保存した校正データから、照明・拡散板の特性等から生じる局所的な輝度のムラを補正する。
【0032】
次いでステップ112に進み、色補正を行なう。具体的には、図3(B)に示した如く、顔撮影画像38の上下にあるカラーチャート50を用いて色補正を行ない、撮像カメラ42で行なわれる自動色調整機能を無効化して、ホワイトバランスを一定に保つ。
【0033】
次いでステップ114に進み、輝度ムラ、明るさ、色相のずれを適正に補正した画像を使って、パソコン82で皮膚の状態を解析し、結果をモニタ84に表示する。
【0034】
解析終了後は、ステップ116でケーブル86を外して、モニタ84をベース80に収納し、ステップ118で撮影部40を倒立させれば、撮像カメラ42、蛍光灯44及びパソコン82の電源が自動的にオフとされる(オートパワーオフ)。これにより、消し忘れを防止して、省エネルギに役立てることができる。
【0035】
本実施形態においては、撮像カメラ42が縦置きとされ、ポートレートモードで撮影可能としたので、図4に示した撮像カメラ42と被写体の顔38の距離Lを短くして、撮影部40の奥行きを小さくすることができる。なお、被写体の顔の左右に大きな余白が必要な場合には、従来通り撮像カメラを横置きにすることも可能である。
【0036】
又、本実施形態においては、図3(B)に示した如く、カラーチャート50を顔の上下に配置したので、色補正を正確に行うことができる。なお、いずれか一方を省略することもできる。
【0037】
又、本実施形態においては、撮影部40を下向きに格納したので、図8(A)に示した如く、収納時の必要高さHを低くすると共に、埃が入るのを防止することができる。なお、必要に応じて、図8(B)に示した如く、逆に撮影部40を上向きに格納するようにしてもよい。
【0038】
又、本実施形態においては、図7に示した如く、校正板48を曲面形状としたので、左右からの照明によるムラを吸収することができる。なお、平面として加工を容易とすることもできる。又、左右に分割するのではなく、1枚の校正板を挿入するようにすることもできる。
【0039】
又、本実施形態においては、ベース80にパソコン82を内蔵すると共に、そのタッチ式モニタ84をベース80から引き出し可能に収容したので、パソコンの設置面積が不要である。なお、モニタ84と別体のキーボードを設けたり、従来と同様に別体のパソコンを外部接続するように構成することもできる。
【0040】
又、本実施形態においては、額当て手段をローラ66としたので、顔の方向を変える時のストレスが少ない。なお、ローラでなく、従来例と同様のフレームとすることもできる。
【0041】
又、本実施形態においては、額当て手段(66)の位置を撮像カメラ42の光軸方向に移動可能としたので、図10に示した如く、被写体の顔38の大きさに合わせて調整することができる。なお、額当て手段を固定又は取替え式とすることもできる。
【0042】
又、本実施形態においては、撮影部40を使用/格納状態にすると、電源が自動的にオンオフするようにしたので、電源スイッチが不要であり、切り忘れも無い。なお、別体の電源スイッチを設けて手動でオンオフするように構成することも可能である。
【0043】
又、本実施形態においては、撮影部40の外観形状を砲弾型としたので、非稼動時に埃が付着し難く、且つ、外観も美麗である。なお、撮影部40の外観形状は砲弾型に限定されない。
【0044】
又、本実施形態においては、ケーブル86を用いてパソコン82とモニタ84を接続しているので、安価である。なお、両者を無線で接続して、取扱を容易とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】特許文献1で提案した顔面撮像ボックスを示す斜視図
【図2】同じく分解斜視図
【図3】撮像カメラの(A)横置きと(B)縦置きにおける撮像画面と被写体の顔の関係を比較して示す図
【図4】撮像カメラのレンズと被写体の顔の距離を示す図
【図5】本発明の実施形態の構成を模式的に示す側面図
【図6】同じく正面図
【図7】同じく平面図
【図8】同じく撮影部の格納方向による必要な高さを比較して示す側面図
【図9】同じく額当てローラの移動状態を示す平面図
【図10】同じく顔サイズによる額当てローラの位置の違いを示す側面図
【図11】前記実施形態による撮影の手順を示す流れ図
【図12】同じくモニタ使用時の状態を示す平面図
【符号の説明】
【0046】
40…撮影部
42…撮像カメラ
44…蛍光灯
46…光拡散板
48…校正板
50…カラーチャート
60…顔保持機構
62…顎台
66…額当てローラ
80…ベース
82…パソコン(PC)
84…モニタ
86…ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも撮像カメラ、及び、その合焦点に被写体となる顔を保持する機構を含む撮影部と、
該撮影部を格納可能に可動保持するベースと、
を備えたことを特徴とする顔面撮像装置。
【請求項2】
前記撮影部が、非稼動時に撮像カメラを下向きに倒立して格納可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の顔面撮像装置。
【請求項3】
前記撮像カメラの撮影画面の長手方向と、被写体となる顔の長手方向が一致するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の顔面撮像装置。
【請求項4】
前記撮影部の顔保持機構の上下に、カラーチャートが配設されていることを特徴とする請求項3に記載の顔面撮像装置。
【請求項5】
前記可動撮影部の顔保持機構の近傍に、出し入れ可能な校正板が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の顔面撮像装置。
【請求項6】
前記撮影部の顔保持機構が、撮像カメラの光軸の方向に移動可能な額当て手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の顔面撮像装置。
【請求項7】
前記額当て手段がローラであることを特徴とする請求項6に記載の顔面撮像装置。
【請求項8】
前記ベースに、前記撮像カメラで取得した画像を処理するためのパソコンが内蔵され、そのモニタが、前記ベースから引き出し可能に収容されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の顔面撮像装置。
【請求項9】
前記撮影部を格納状態にすると、電源が切れるようにしたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の顔面撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−82920(P2007−82920A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278037(P2005−278037)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(503416456)株式会社インフォワード (8)
【Fターム(参考)】