説明

高温ポリマを含む成形品のフードサービス物品

本発明は広くは、どちらかを含む電気的なコネクターのフィールドへ一般に関係がある:a)217°Cを超えるガラス転移温度を複数有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む不混和性のポリマブレンドと、b)180°Cを超える単一のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む混和性のポリマブレンドと、を含むか、あるいは、c)247°Cを超えるガラス転移温度を有する単一のポリエーテルイミド、のいずれかを含むことを特徴とする電気コネクタ分野に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示はフードサービス物品に関する。特に、高ガラス転移温度熱可塑性物質を含むフードサービス物品に関する。
【0002】
フードサービスは、常に拡張し変化し続けている産業である。ますます多忙を極めるライフスタイルの中で、食物の調理は、家庭でもレストランでも一層効率的に、また合理的になっている。消費者は、栄養があり満足できる食事を素早く準備できる方法や物品を期待し望んでいる。また、環境に対する責任がますます強調される中で、物品は再利用できることが望ましい。
【0003】
調理器具、容器、家庭用品およびテーブルウェアは、複雑な状況を乗り切らなければならない。理想的には、それらがクラックや、変形、変色なしに、極低温(冷凍庫)から高温での加熱調理まで使えることが望ましい。また、それらは、加水分解に対して(食器洗いに対して)安定であり、かつ、油、弱酸、あるいは弱塩基などに対して化学的に抵抗性を有していて料理臭が付かず、従って、種々の料理に使用できるものでなければならない。
【0004】
また、調理法によっては伝熱が重要な場合もある。食物スティックにも影響を受けない食物との接触面(食物面)を持っていることも大切である。種々のフードサービス物品に対して、こうした基準の一部あるいは全部に取り組むという不断の要求が存在している。
【発明の開示】
【0005】
(発明の簡単な説明)
本発明は、a)217°Cを超えるガラス転移温度を複数有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む不混和性のポリマブレンドと、b)180°Cを超える単一のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む混和性のポリマブレンドと、を含むか、あるいは、c)247°Cを超えるガラス転移温度を有する単一のポリエーテルイミド、のいずれかを含む高温熱可塑性組成物を含むことを特徴とするフードサービス物品に係る。
【0006】
本発明はまた、炭素原子数に対する水素原子数の比が0.45〜0.85、あるいは0.50〜0.80、あるいは0.55〜0.75、あるいは0.60〜0.70であるポリエーテルイミドを含む成形物品に係る。
【0007】
本発明はまた、本質的にベンジルプロトンを含まない1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む成形物品に係る。
【0008】
(発明の詳細な説明)
本明細書に記載のフードサービス物品は、優れた熱安定性を有しており幅広い調理方法に用いることができる。
【0009】
「フードサービス物品」という用語は、本発明の目的のために、食物と接触するように意図されて製造された物品を意味するものとする。そういうものとして、用語フードサービス物品には、プレート、ボウル、カップ、ピッチャなどを含む皿や、フォーク、ナイフおよびスプーンなどを含むすべてのサイズの器具、カバー付容器、カバーなし容器などの容器、およびポットと鍋などの料理容器などが含まれる。本発明の目的のために、食物を運んだり保管するトレーは容器と考える。
【0010】
「高Tg」とは、ガラス転移温度が180°C以上であるポリマを指す。
【0011】
ベンジルプロトンの定義は当分野では周知であり、本発明の観点では、それは、フェニル環あるいはベンゼン環などの少なくとも1つの芳香族環に化学的に直接結合した少なくとも1つの脂肪族炭素原子であって、この炭素原子に直接結合した少なくとも1つのプロトンを有する脂肪族炭素原子を包含する。
【0012】
本文脈において、実質的にあるいは本質的にベンジルプロトンを含まないとは、例えばポリイミドスルホン生成物などの上記ポリマが、含有するベンジルプロトンから誘導される構造単位を約5モル%未満含み、実施形態によっては約3モル%未満を含み、また実施形態によっては約1モル%未満の場合もある。
【0013】
ベンジル水素としても周知のベンジルプロトンを含まないとは、ベンジルプロトンあるいはベンジル水素を含有するモノマおよび末端キャップから誘導される構造単位を0モル%含む上記ポリエーテルイミド物品を指す。
【0014】
ベンジルプロトン量は、化学構造に基づいた通常の化学分析によって決定することができる。
【0015】
用語「炭素原子に対する水素原子の数値比率」とは、ポリマ中、あるいはポリマを構成する繰り返し単位(モノマ)における炭素原子数に対する水素原子数の比率である。
【0016】
本発明はまた、炭素原子数に対する水素原子数の比率が、0.45〜0.85、あるいは0.50〜0.80、あるいは0.55〜0.75、あるいは0.60〜0.70の範囲にあるポリエーテルイミドを含む成形物品にも係る。
【0017】
本発明はまた、本質的にベンジルプロトンを含まない、1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む成形物品にも係る。
【0018】
ある実施形態では、上記のフードサービス物品には、電子レンジでの使用に適した皿、調理器具あるいは容器などが含まれる。形状に関しては何の限定もない。上記物品は、分割できない形状であっても、あるいはカバーと同様に、個々の部分を形成する分割部分を有していてもよい。上記の物品はさらに、1つあるいは複数のサセプタを備えてこんがり焼く、あるいはさらに調理を行うようになされていてもよい。サセプタは当分野では周知であり、また、米国特許第4,962,000号(その開示内容は参照により本明細書に援用される)を含む様々な特許に記述されている。
【0019】
上記の皿あるいは容器には、蓋またはカバーが含まれていてもよい。この蓋またはカバーは、本体に取り付けられたものでも、あるいは分離したものであってもよい。ある実施形態では、この蓋またはカバーは、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類であって、その内の1つは180°Cを超えるガラス転移温度を有するポリマ類の不混和性ブレンドと、b)217°Cを超える単一のガラス転移温度を有するポリマ類の混和性ブレンドと、あるいは、c)247°Cを超えるガラス転移温度を有する単一の新ポリマのいずれかを含む高温熱可塑性組成物を含むことを特徴とする。この蓋またはカバーは、開口部を備えて調理時の蒸気の放出あるいは濾過が行われるようになされていてもよい。ある実施形態では、この開口部は調節可能であり、またその大きさも選択されるようになっている。
【0020】
ある実施形態では、上記のフードサービス物品は、従来式のオーブンあるいはガスコンロでの使用に適切な調理器具を含んでいる。この物品は、分割できない形状であっても、あるいは、個々の部分を形成する分割部分を有していてもよい。この物品には、本体に取り付けられるあるいは本体から分離できる蓋またはカバーが含まれていてもよい。ある実施形態では、この蓋またはカバーは、a)複数のガラス転移温度を有するポリマ類であって、その内の1つは180°Cを超えるガラス転移温度を有するポリマ類の不混和性ブレンドと、b)217°Cを超える単一のガラス転移温度を有するポリマ類の混和性ブレンドと、あるいは、c)247°Cを超えるガラス転移温度を有する単一の新ポリマ、のいずれかを含む高温熱可塑性組成物を含むことを特徴とする。この蓋には蒸気の放出あるいは濾過のための開口部が設けられる実施形態もある。ある実施形態では、開口の存在は選択可能である。ある実施形態では、この開口部の大きさは調節可能である。
【0021】
このフードサービス物品が低温延性を呈し、5°C〜−60°C、あるいはより具体的に5°C〜−30°C、さらにより具体的に5°C〜−10°Cの範囲の低温での使用を可能とする実施形態もある。
【0022】
実施形態によっては、フードサービス物品の少なくとも一部の食物面には、ノンスティックコーティングが施されている。ノンスティックコーティングは当分野では周知であり、例えば、米国特許第6,737,164号や欧州特許第0199020号に教示されており、それらの特許は参照により本明細書に援用される。
【0023】
実施形態によっては、高温熱可塑性組成物表面への料理の付着は、米国特許第6,846,864号、同6,649,676号および同6,437,031号に教示されるように、フッ素化ポリオレフィン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルおよび陰イオン界面活性剤の内の1つあるいは複数を含むことによって軽減される。上記の3特許は参照により本明細書に援用される。
【0024】
フードサービス物品に用いられる上記高温熱可塑性組成物は、膨張品(発泡品)であってもなくてもよい。該高温熱可塑性組成物は、他の1つあるいは複数の熱可塑性組成物と共に用いられてもよい。さらに、上記フードサービス物品は、通常、全体を高温熱可塑性組成物で被覆された金属部分を含んでいてもよい。
【0025】
実施形態によっては、該高温熱可塑性組成物には、1つあるいは複数の熱伝導性充填材が含まれる。上記熱伝導性充填材を含む高温熱可塑性組成物は、フードサービス物品の全体に使用されても、あるいは一部だけに使用されてもよい。例えば、熱伝導性充填材を含む高温熱可塑性組成物は、ソテーパンの底部と側部に使用し、ハンドル部は熱伝導性充填材を含まない高温熱可塑性組成物としてもよい。
【0026】
所望の色とするために、上記高温熱可塑性組成物には色素または染料が含まれていてもよい。
【0027】
高温熱可塑性組成物にはさらに、補強材が含まれていてもよい。典型的な補強剤は、ガラスフレーク、シリコンカーバイドフレーク、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレークおよび鋼フレークなどの補強材を提供するフレーク状充填材を含む。典型的な補強剤はさらに、無機短繊維、天然繊維充填材、単結晶繊維、ガラス繊維および有機補強繊維充填材などの繊維充填材も含む。無機短繊維は、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび硫酸カルシウム半水塩の少なくとも1つを含むブレンド類から誘導されるブレンド類を含む。天然繊維充填材は、木を粉砕して得られる木粉および、セルロース、綿、サイザル、ジュート、スターチ、コルク粉、リグニン、粉砕ナットシェル、トウモロコシ、米もみ穀などの繊維質農産物を含む。単結晶繊維すなわち「ウィスカ」は、炭化ケイ素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケルおよび銅の単結晶繊維を含む。E、A、C、ECR、R、S、D、およびNEガラスなどの織物ガラス繊維を含むガラス繊維や石英なども使用されてもよい。
【0028】
さらに、繊維形成可能な有機ポリマを含む有機補強繊維充填材も使用可能であり、そのような有機繊維充填材の具体的な例としては、例えば、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリエステル類、ポリエチレン類、芳香族ポリアミド類、芳香族ポリイミド類またはポリエーテルイミド類、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂類およびポリ(ビニルアルコール)などが含まれる。そのような補強充填材は、モノフィラメントあるいはマルチフィラメントの形態で提供され、また、単独または他の種類の補強材と組み合わせて、例えば、共製織あるいはコア/シェル、並列配置、オレンジタイプ、またはマトリックスおよびフィブリル組織形成などとして使用され、または、繊維製造分野の当業者には周知の他の方法などによって使用されてもよい。典型的な共製織構造には、ガラス繊維―炭素繊維、炭素繊維―芳香族ポリイミド(アラミド)繊維および芳香族ポリイミド繊維―ガラス繊維などが含まれる。繊維充填材は、例えば、ロービング類、0〜90度織物などの織布繊維補強材類、連続ストランドマットなどの不織布繊維補強材類、チョップドストランドマット、薄織物類、紙類、フェルト類、および3次元的織物補強材類、パフォーム(performs)、組紐の形態で供給されてもよい。
【0029】
上記のフードサービス物品は、適切な技術あるいは、射出成形、熱成形、ブロー成形、押出し成形および冷間圧縮成形などを含む技術の組合せを用いて形成されてもよい。技術の選定あるいは組合せは、当業者の技術範囲内のことである。このフードサービス物品がコーティングされる場合には、該コーティングは、スプレー、刷毛塗り、ディッピング等種々の積層技術の1つあるいは複数の、当分野で周知の方法を用いて設けられてもよい。
【0030】
本発明に有用なポリマ類、共重合体類およびブレンド類の代表的な例を以下に示す。
【0031】
A.スルホン系ポリマあるいはブレンドの高Tgポリマブレンド類、シリコーン共重合体、ポリアリールエステル誘導レゾルシノール
本明細書に開示されたものは、ポリマブレンド表面の一部あるいは全部を被覆材でコーティングしたポリマブレンドを含む製品の物品であり、ここで、該被覆材は上記のポリマブレンドとは異なる組成物であり、該ポリマブレンンドは、a)高ガラス転移温度(Tg>180°C)を有する、ポリスルホン(PSu)類、ポリ(エーテルスルホン)(PES)、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)(PPSU)類の群から選択される第1の樹脂と、b)例えば、シリコーンポリイミドあるいはシリコーンポリカーボネートなどのシリコーン共重合体と、および任意に、c)レゾルシノール系ポリアリレートと、を含み、そのブレンドは驚くほどの低発熱量である。
【0032】
1.上記ブレンド中のポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリフェニレンエーテルスルホン成分
本明細書に記述の物品に有用なポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、例えば、米国特許第3,634,355、同第4,008,203号、同4,108,837号および同4,175,175号に記載された熱可塑性樹脂である。
【0033】
ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、耐熱性、良好な電気特性、良好な加水分解安定性などの多くの魅力的な特徴を有する直鎖状の熱可塑性ポリマである。
【0034】
ポリスルホン類は、式(1)の構造を有する繰り返し単位を含み、
【化1】

式中、Rは炭素−炭素間単結合と、炭素−酸素−炭素間結合とを含み、あるいは、炭素−炭素間単結合と炭素−酸素−炭素間単結合とを含んでおり、上記単結合は、ポリマの骨格鎖を形成している芳香族基である。
【0035】
ポリ(エーテルスルホン)類は、式(2)で示されるようなポリマの骨格鎖に、エーテル結合とスルホン結合の両方を有する繰り返し単位を含んでおり、
【化2】

式中、ArおよびAr’は、同じ芳香族基であっても異なる芳香族基であってもよい。ArとAr’が共にフェニレン基の場合、このポリマはポリ(フェニレンエーテルスルホン)として既知である。ArおよびAr’が共にアリーレン基の場合、このポリマはポリ(アリーレンエーテルスルホン)として既知である。スルホン結合およびエーテル結合の数は、同じであってもあるいは異なっていてもよい。スルホン結合の数とエーテル結合の数が異なる場合の典型的な構造が式(3)に示される。
【化3】

式中、Ar、Ar’およびAr’’は芳香族基であり、これらは同じであっても異なっていてもよく、例えば、ArおよびAr’はともにフェニレン基であり、Ar’’はビス(1,4−フェニレン)イソプロピル基であってもよい。
【0036】
様々なポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類が市販されており、その中には、ジヒドロキシジフェニルスルホンとジクロロジフェニルスルホンとの重縮合製品と、ビスフェノールAおよびまたはビフェノールとジクロロジフェニルスルホンとの重縮合製品が含まれる。市販の樹脂の例としては、ソルベイ社(Solvay,Inc.)から販売されているRADEL R、RADEL AおよびUDELが、また、バスフ社(BASF Co.)から販売されているULTRASON Eなどがある。
【0037】
ポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類の調製方法は広く知られており、いくつかの適切なプロセスが本分野においてよく記述されている。カーボネート法とアルカリ金属水酸化物法の2つの方法は当業者に既知である。アルカリ金属水酸化物法では、二価フェノールの2倍のアルカリ金属塩が、実質的に無水条件下で、双極性非プロトン溶媒の存在下において、ジハロベンゼノイド化合物と接触する。カーボネート法では、二価フェノールおよびジハロベンゼノイド化合物は、例えば、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと、第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダと共に加熱されるが、この方法も、例えば、米国特許第4,176,222号に開示されている。
【0038】
あるいは、上記のポリスルホンおよびポリ(エーテルスルホン)は、既知の種々の方法の任意の方法によって調製されてもよい。塩化メチレンやクロロホルム、N−メチルピロリドン等の適当な溶剤中での粘度低下によってわかるように、上記ポリスルホンあるいはポリ(エーテルスルホン)の分子量は、約0.3dl/g以上、より具体的には約0.4dl/g以上にすることができ、また通常、約1.5dl/gを超えない。
【0039】
ポリスルホンあるいはポリ(エーテルスルホン)の重量平均分子量は、ASTM法 D5296に準拠したゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定して、約10,000〜約100,000の範囲にできる場合もある。このポリスルホン類およびポリ(エーテルスルホン)類が、約180°C〜約250°Cの範囲のガラス転移温度を有していてもよい場合もある。上記ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類は、本明細書に記述の樹脂類とブレンドされると、約180°C以上のガラス転移温度(Tg)を有する。ポリスルフォン樹脂は、ASTM法 D6394のスルホンプラスチック標準仕様書にも記述されている。
【0040】
ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらのブレンド品が、約0.85以下の水素原子数と炭素原子数との比(H/C)を有する場合もある。理論に縛られずに、水素含有量に対して炭素含有量が高い、つまり、水素原子数対炭素原子数の比が小さいポリマでは、難燃性が向上することが多い。これらのポリマは、燃焼値が低く燃焼時のエネルギ放出が少ない。それらはポリマ燃料と点火源との間に絶縁性の炭化層を形成することにより耐燃焼性も有する。特定のメカニズムあるいは作用形態は別にして、低H/C比を持つそのようなポリマが優れた難燃性を有することが確認されている。上記H/C比を、率は0.75以下あるいは0.65未満にできる場合もある。また、ポリマ構造に十分にフレキシブルな結合を与えて溶融加工性を実現するために、約0.4以上のH/C比が好適となる場合もある。あるポリマあるいは共重合体のH/C比は、化学的繰り返し単位中の他の原子とは無関係に、炭素原子および水素原子をカウントすることによりその化学構造から決定される。
【0041】
ポリマブレンド中、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらのブレンドは、該ポリマブレンド全量に対して1〜約99重量%存在してもよい。この範囲内では、上記のポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、およびそれらの混合物の量は、約20重量%以上、より具体的には、約50重量%以上、さらにより具体的には、約70重量%以上であってもよい。当業者であれば、上記ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、およびポリ(フェニレンエーテルスルホン)類およびそれらの混合物は、ポリマブレンド全量に対して約1〜約99重量%の間の任意の数値で存在でき、特に、1〜70重量%の範囲で存在できることは理解するであろう。
【0042】
2.ブレンドのシリコーン成分
上記のシリコーン共重合体は、組成物の発熱性能の向上に有効な任意のシロキサン共重合体を含む。ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、ポリスルホン類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、ポリ(エーテルスルホン)類あるいはポリ(フェニレンエーテル)類のシロキサン共重合体が用いられる場合もある。シロキサンポリエーテルイミド共重合体類あるいはシロキサンポリカーボネート共重合体類が、熱放出の低減および流量性能の向上に効果的な場合もある。異なるタイプのシロキサン共重合体類の混合物も考慮される。上記シロキサン共重合体が、共重合体全重量に対して、約5〜70重量%のシロキサン含有量を含む場合もあれば、20〜約50重量%含む場合もある。
【0043】
共重合体中のシロキサン部のブロック長さは任意の有効長とすることができる。上記ブロック長さが、約2〜約70のシロキサン繰り返し単位である実施例もあり、約5〜約50の繰り返し単位の例もある。ジメチルシロキサンが用いられる例が多い。シロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、ポリマブレンドに使用されるシロキサン共重合体の特定の実施形態である。そのようなシロキサンポリエーテルイミド共重合体の例は、米国特許第4,404,350号、同第4,808,686号および同第4,690,997号に示されている。ある例では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、有機ジアミン反応物の一部あるいは全部を、例えば、式4のアミン末端有機シロキサンで置換する点を除いて、ポリエーテルイミド類に用いられる方法と同様に調製され、式4においてgは1〜約50の範囲の整数であり、より具体的には約5〜約30の整数であり、R’は、炭素原子数が2〜約20のアリール、アルキルあるいはアリールアルキル基である。
【化4】

【0044】
上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、式5の芳香族ビス(エーテル無水物)反応を含め、当業者に既知の任意の方法によって調製することができ、
【化5】

式中、Tは−O−、−S−、−SO−あるいは式−O−Z−O−の官能基であり、−O−あるいは−O−Z−O−基の二価結合は3,3’、3,4’、4,3’あるいは4,4’の位置に存在し、ここで、Zは限定されないが、(a)炭素原子数が約6〜約20の芳香族炭化水素ラジカル類、およびそのハロゲン化誘導体、(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖あるいは分枝鎖アルキレンラジカル類、(c)炭素原子数が約3〜約20の環式アルキレンラジカル類、あるいは(d)式6の一般式を持つ二価ラジカル基などの、置換あるいは未置換の二価有機ラジカル類を含み、
【化6】

式6中、Qは限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜8の整数)および、式7の有機ジアミンを有するパーフルオロアルキレン基類を含むフッ素化誘導体と、からなる群から選択される二価官能基を含み、
【化7】

式7中、R基は限定されないが、炭素原子数が約6〜約24の芳香族炭化水素ラジカルおよびそのハロゲン誘導体、(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖あるいは分枝鎖アルキレンラジカル類、(c)炭素原子数が約3〜約20の環式アルキレンラジカル類、あるいは(d)式6の一般式を持つ二価ラジカル基などの、置換あるいは未置換の二価有機ラジカル類を含む。
【0045】
具体的な芳香族ビス無水物と有機ジアミンの例は、例えば、米国特許第3,972,902号および同第4,455,410号に開示されている。具体的には、式14の芳香族ビス無水物は、
3,3−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4、4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの種々の混合物が挙げられる。
【0046】
適切なジアミン類の例には、上記のシロキサンジアミン類に加えて、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−メチル−O−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−メチル−O−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)エーテルおよびこれらの2つ以上を含む組み合わせを含む。シロキサンジアミンの特定の例として、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンがある。
【0047】
ある実施形態では、上記のシロキサンジアミンと共に用いられるジアミノ化合物類は芳香族ジアミンであり、特に、m−あるいはp−フェニレンジアミン、スルホニルジアニリン、およびそれらの混合物がある。シロキサンポリエーテルイミド共重合体類の中には、上述のように、式7の有機ジアミンあるいはジアミン類の混合物と、式4のアミン末端有機シロキサンとの反応によって形成されるものがある。該ジアミノ成分は、ビス無水物(類)との反応前に物理的に混合されて、実質的にランダムな共重合体を形成してもよい。あるいは、ブロック共重合体または交互共重合体は、式7および式4と、例えば式5の二無水物などの二無水物との選択的反応により形成されて、実質的に互いに反応したポリイミドブロックを作ってもよい。上記のポリエーテルイミド共重合体の調製に用いるシロキサンは、アミン末端官能基ではなく無水物を有していてもよい例もある。
【0048】
ある例では、上記のシロキサンポリエーテルイミド共重合体は式8のものでよく、式中、T、R’およびgは上述のものであり、bは、約5〜約100の範囲の値であり、Arは、炭素原子数が6〜約36のアリールあるいはアルキルアリール基である。
【化8】

【0049】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体の中には、その中のジアミン成分が、約20〜50モル%の式4のアミン末端有機シロキサンと、約50〜80モル%の式7の有機ジアミンとを含んでいるものもある。シロキサン共重合体の中には、約25〜約40モル%のアミンあるいは無水物末端オルガノシロキサンから誘導されたものもある。ポリマブレンドのシリコーン共重合体成分は、ポリマブレンドの全重量に対して、約0.1〜約40重量%あるいは約0.1〜約20重量%含まれていてもよい。この範囲内で、シリコーン共重合体は、0.1〜約10%の量でもよく、さらに0.5〜約5.0%であってもよい。
【0050】
3.ブレンド中のレゾルシノール系ポリアリレート成分
レゾルシノール系ポリアリレートは、ジフェノールと芳香族ジカルボン酸との反応生成物であるアリレートポリエステル構造単位を含むポリマである。上記アリレートポリエステル構造単位の少なくとも一部は、本明細書全体にわたって共通的にレゾルシノールあるいはレゾルシノール基として言及される、式1に示す1,3−ジヒドロキシベンゼノ基を含む。本発明に使用されるようなレゾルシノールまたはレゾルシノール基は、特に明記されない限り、未置換1,3−ジヒドロキシベンゼンと、置換1,3−ジヒドロキシベンゼンを含むことは理解される。
【化9】

【0051】
式9において、Rは独立に、C1−12アルキル、C−C24アリール、C−C24アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンであり、nは0−4である。
【0052】
ある実施形態では、レゾルシノール系ポリアリレート樹脂は、レゾルシノールと、例えば、カルボン酸ハライド、カルボン酸エステル、カルボン酸塩などのアリールエステル結合の形成に適したアリ−ルジカルボン酸あるいはアリールジカルボン酸誘導体と、の反応生成物から誘導される約50モル%以上の単位を含んでいる。
【0053】
適切なジカルボン酸は単環式および多環式芳香族ジカルボン酸を含んでいる。典型的な単環式ジカルボン酸には、イソフタル酸、テレフタル酸、あるいはイソフタル酸とテレフタル酸の混合物が含まれる。多環式ジカルボン酸には、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸および、例えば、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸が含まれる。したがって、ある実施形態では、上記ポリマブレンドは、式10で示されるレゾルシノールアリレートポリエステル単位を有する熱安定性ポリマ類を含んでおり、式中、Rおよびnは前述の定義通りである。
【化10】

【0054】
レゾルシノールアリレートポリエステル単位を含むポリマ類は、界面重合法によって製造することができる。無水物結合を実質的に含まないレゾルシノールアリレートポリエステル単位を含むポリマを調製するために、第一のステップとして、水と水に実質的に不混和の有機溶剤との混物中で、レゾルシノール基と触媒とを混合する方法が用いられる。適切なレゾルシノール化合物は式11のものであり、
【化11】

式中、Rは独立に、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、C−C24のアルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンであり、nは0〜4である。アルキル基が存在する場合には、通常、直鎖、分岐鎖、あるいは環式アルキル基であり、他の環式位置も考慮されるが、2つの酸素原子に対してオルト位の場合が最も多い。好適なC1−12のアルキル基には、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ノニル、デシル、およびベンジルを含むアリール置換アルキルなどが含まれる。特定の実施形態では、アルキル基はメチルである。
【0055】
好適なハロゲン基は、臭素、塩素、およびフッ素である。様々な実施形態において、nは0〜3とすることができ、場合によっては0〜2であり、さらに0〜1の場合もある。ある実施形態では、レゾルシノール基は2−メチルレゾルシノールである。別の実施形態では、レゾルシノール基は、nが0の未置換レゾルシノール基である。
【0056】
該方法はさらに、少なくとも1つの触媒を上記反応混合物と反応させるステップを含む。種々の実施形態において、この触媒は、全量が0.01〜10モル%の範囲であり、塩酸基の全モル数に対して全量を0.2〜6モル%とする場合もある。好適な触媒類としては、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩類、第四級ホスホニウム塩類、ヘキサアルキルグアニジニウム塩類、およびそれらの混合物を含む。好適なジカルボン酸ジハロゲン化物類には、例として、イソフタロイルジクロライド、テレフタロイルジクロライド、あるいはそれらジクロライドの混合物などを含む単環式部分から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類を含んでもよい。好適なジカルボン酸ジハロゲン化物類はさらに、例として、ジフェニルジカルボン酸ジクロライド、ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド、および、特にナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジクロライドなどのナフタレンジカルボン酸ジクロライドなどの多環式部分から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類、あるいは単環式および多環式芳香族ジカルボン酸ジクロライド類の混合物から誘導される芳香族ジカルボン酸ジクロライド類を含んでもよい。ある実施形態では、ジカルボン酸ジクロライドは、代表的に式12で示されるイソフタロイルジクロライド、およびまたはテレフタロイルジクロライドを含む。
【化12】

【0057】
イソフタロイルジクロライドおよびテレフタロイルジクロライドのいずれかが、あるいはその両方が存在してもよい。該ジカルボン酸ジクロライドは、イソフタロイルジクロライドとテレフタロイルジクロライドのモル比が約0.25〜4.0:1となる混合物を含む場合もあり、該モル比が約0.4〜2.5:1となる混合物を含む場合も、さらには、該モル比が約0.67〜1.5:1となる混合物を含む場合もある。
【0058】
ジカルボン酸ハロゲン化物類は、上記のポリマを調製する唯一の方法を提供する。該レゾルシノールアリレート結合を作る他のルートとしては、例えば、上記のジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、特に活性化エステル、あるいはジカルボン酸塩類か、その部分塩類を用いるルートなども考えられる。
【0059】
連鎖停止剤(以下、キャッピング剤とも呼ぶこともある)を用いてもよい。該連鎖停止剤を添加する目的は、レゾルシノールアリレートポリエステル鎖物質を含むポリマの分子量を制限するためであり、それによって分子量を制御したポリマと望ましい加工性を提供するためである。通常、レゾルシノールアリレート含有ポリマに、さらに反応性末端基を付ける必要がなくなった時点で、連鎖停止剤を添加する。連鎖停止剤を用いない場合は、レゾルシノールアリレート含有ポリマは、レゾルシノールアリレートポリエステル部に、通常は水酸基である反応性末端基の存在が必要な共重合などの形で次に使用するために、溶液中で使用することも、あるいは溶液から回収して使用することもできる。連鎖停止剤は、モノフェノール化合物類、モノカルボン酸塩化物類、およびモノクロロギ酸エステル、あるいはこれらの2つ以上の組合せとすることができる。連鎖停止剤の量は、モノフェノール化合物類の場合にはレゾルシノールに対して、通常0.05〜10モル%とし、モノカルボン酸塩化物類およびまたはモノクロロギ酸エステルの場合には、二塩基酸に対して、通常、0.05〜10モル%の量でよい。
【0060】
好適なモノフェノール化合物類としては、フェノール、C〜C22のアルキル置換フェノール、p−クミルフェノール、p−第三級ブチルフェノール、ヒドロキシジフェニルなどの単環式フェノール、p−メトキシフェノールなどのジフェニールのモノエーテルなどがある。アルキル置換フェノールには、米国特許第4,334,053号に記載されている炭素原子数8〜9の分枝鎖アルキル置換基を有するものも含まれる。モノフェノール連鎖停止剤が、フェノール、p−クミルフェノール、およびレゾルシノールモノベンゾエートの場合もある。好適なモノカルボン酸塩化物類としては、ベンゾイルクロライド、C1−22アルキル置換ベンゾイルクロライド、トルオイルクロライド、ハロゲン置換ベンゾイルクロライド、ブロモベンゾイルクロライド、塩化シンナモイル、4−ナジミドベンゾイルクロライド、およびそれらの混合物などの単環式モノカルボン酸塩化物類、無水トリメリットクロライドやナフトイル塩化物などの多環式モノカルボン酸塩化物類、および単環式モノカルボン酸塩化物類および多環式モノカルボン酸塩化物類の混合物などがある。炭素原子数22までの脂肪族モノカルボン酸類の塩化物類も好適である。
【0061】
アクリロイルクロライドやメタクリロイルクロライドなどの脂肪族モノカルボン酸類の機能的塩化物類もまた好適である。好適なモノクロロギ酸エステル類には、フェニルクロロギ酸エステル、アルキル置換フェニルクロロギ酸エステル、p−クミルフェニルクロロギ酸エステル、トルエンクロロギ酸エステル、およびそれらの混合物などの単環式モノクロロギ酸エステル類が含まれる。連鎖停止剤はレゾルシノールと組合せてもよく、ジカルボン酸二塩化物溶液中に含有させてもよく、あるいは、予備凝縮物を作って上記反応混合物に添加して用いてもよい。モノカルボン酸塩化物類およびまたはモノクロロギ酸エステル類を連鎖停止剤として用いる場合には、ジカルボン酸二塩化物と共に導入されることも多い。
【0062】
これらの連鎖停止剤は、ジカルボン酸の塩化物が実質的に反応しきった、すなわち反応終了時点で、反応混合物に添加してもよい。フェノール化合物類を連鎖停止剤として用いる場合には、反応中の反応混合物に添加してもよく、あるいは、レゾルシノールと酸塩化物間の反応開始前に添加してもよい。水酸基末端のレゾルシノールアリレートを含有する予備凝縮物、あるいはオリゴマを調整する場合は、連鎖停止剤は用いなくてもよく、あるいは少量をオリゴマ分子量制御のために用いることもできる。
【0063】
別の実施形態では、三官能基以上のカルボン酸塩化物、または三官能基以上のフェノール官能基などの分岐剤が含まれていてもよい。そのような分岐剤を用いる場合には、その量は通常、使用されるジカルボン酸二塩化物あるいはレゾルシノールそれぞれに対して、0.005〜1モル%の量とすることができる。好適な分岐剤としては、例えば、トリメシン酸トリ酸塩化物、3,3’4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸四塩化物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸四塩化物あるいはピロメリット酸四塩化物のなどの三官能基以上のカルボン酸塩化物類、および、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス−[4,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)−フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニルイソプロピル]−フェノキシ)−メタン、l,4−ビス−[(4,4−ジヒドロキシトリフェニル)メチル]−ベンゼンなどの三官能基以上のフェノール類などがある。酸塩化物分枝剤は酸二塩化物と共に用いられるが、フェノール分枝剤はレゾルシノール部と共に最初に用いてもよい。
【0064】
ある実施形態では、製造された物品は、上述の方法で製造され、ポリエステル鎖の少なくとも2つの部分で結合した無水結合を実質的に含まない熱安定性のレゾルシノールアリレートポリエステルを含む。特定の実施形態では上記ポリエステルは、式13で示されるイソフタル酸とテレフタル酸との混合物から誘導されるジカルボン酸残基類を含む。
【化13】

式中、Rは独立に、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンであり、nは0〜4であり、mは約5以上である。様々な実施形態では、nは0、mは、約10〜約300である。イソフタレート対テレフタレートのモル比は、ある実施形態では約0.25〜4.0:1であり、他の実施形態では約0.4〜2.5:1であり、さらに他の実施形態では約0.67〜1.5:1である。実質的に無水物結合を含まないとは、ある実施形態では、上記ポリエステルを温度280°C〜290°Cで5分間加熱時の分子量低下率が30%未満であり、また他の実施形態では、10%未満であることを示す。
【0065】
さらに、共通に所有する米国特許第5,916,997号に開示されるソフトブロックセグメントを含むレゾルシノールアリレートコポリエステルを含む物品も含まれる。本明細書で用いられるソフトブロックという用語から、該ポリマのセグメントには、非芳香族モノマ単位から構成されるものがあることがわかる。そのような非芳香族モノマ単位は一般に脂肪族であり、ソフトブロック含有ポリマに柔軟性を付与するものとして既知である。この共重合体は、式9、14および15の構造単位を含む構造単位を含んでおり、
【化14】

【化15】

【化16】

式中、Rとnは上記定義の通りであり、Zは二価の芳香族ラジカル、RはC3−20の直鎖アルキレン、C3−10の分枝鎖アルキレン、あるいはC4−10の環式、あるいはビシクロアルキレン基、RおよびRは各々に、
【化17】

を表し、
ここで、式15は、上記ポリエステルのエステル結合に対して約1〜約45モル%寄与している。
【0066】
添付の実施形態では、式15が種々の実施形態において、約5〜約40モルパーセントの範囲で該ポリエステルのエステル結合に寄与しており、また他の実施形態においては、約5〜約20モルパーセントの範囲で該ポリエステルのエステル結合に寄与している。別の実施形態では、RがC3−14の直鎖アルキレンあるいはC5−6の環式アルキレンである場合の組成物が提供される実施形態もあり、また、C3−10の直鎖アルキレンあるいはCの環式アルキレンを表わす実施形態もある。式14は芳香族ジカルボン酸残基を表わす。式14の二価芳香族ラジカルZは、種々の実施形態において、上記に定義されるような好適なジカルボン酸残基類から誘導されてもよく、また実施例によっては、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、あるいは2,6−ナフチレンまたはこれらの2つ以上からなる組み合わせを含む場合もある。様々な実施形態において、Zは、約40モル%以上の1,3−フェニレンを含む。式9のソフトブロック鎖部材を含むコポリエステルの種々の実施形態では、式9のnは0である。
【0067】
他の実施形態では、上記レゾルシノール系ポリアリレートは、有機カーボネートブロック部に結合したレゾルシノールアリレート含有ブロック部を含むブロックコポリエスルカーボネートであってもよい。そのような共重合体中のレゾルシノールアリレート鎖部材を含むセグメントは、実質的に無水物結合を含まない。実質的に無水物結合を含まないとは、該コポリエステルカーボネート類を約280〜290℃で5分間加熱時の分子量の低下率が、実施例によっては10%未満の場合もあり、また、5%未満の場合もある。
【0068】
カーボネートブロック部は、ビスフェノールと、ホスゲンなどのカーボネート形成種と、の反応から誘導されるカーボネート結合を含んでポリエステルカーボネート共重合体を作る。例えば、上記レゾルシノールポリアリレートカーボネート共重合体は、イソフタル酸、テレフタル酸、レゾルシノール、ビスフェノールAおよびホスゲンの反応生成物を含むことができる。該レゾルシノールポリエステルカーボネート共重合体は、ビスフェノールジカルボン酸エステル結合の数が最小になる方法で作られ、例えば、レゾルシノールをジカルボン酸と予め反応させてアリールポリエステルブロックを形成し、次に、このブロックをビスフェノールと炭酸塩に反応させて、共重合体のポリカーボネート部分を形成する方法である。
【0069】
最良の効果を得るためには、レゾルシノールポリエステルカーボネート中のレゾルシノールエステルの含有量(REC)は、レゾルシノールから誘導されるポリマ結合の約50モル%以上とする。用途に応じて、レゾルシノールから誘導される結合これらの結合から誘導されるレゾルシノールの(要検討)約75モル%以上の、あるいは約90あるいは100モル%と高いRECが望ましい場合もある。
【0070】
ブロックコポリエステルカーボネートは、典型的に式16に示されるように、アリレートと有機カーボネートブロックを交互に配置するものを含み、式中、Rとnは上記に定義したものであり、Rは二価有機ラジカルである。
【化18】

【0071】
該アリレートブロックは、mで表される重合度(DP)を有しており、ある実施形態では重合度は約4以上、他の実施形態では約10以上、他の実施形態では約20以上、さらに別の実施形態では約30〜約150である。pで表わされる有機カーボネートブロックのDPは、ある実施形態では約2以上であり、他の実施形態では約10〜約20であり、さらに他の実施形態では約2〜約200である。これらの2つのブロックの配合は、カーボネートブロックに対してアリレートブロックの重量割合を任意の所望の値とする共重合体を提供するようになすことができる。一般に、アリレートブロックの含有量は、ポリマの全重量に対して、ある実施形態では約10〜約95重量%であり、他の実施形態では約50〜約95重量%である。
【0072】
イソフタレートおよびテレフタレートの混合物は式16に示されるが、アリレートブロック中のジカルボン酸残基は、上記の定義の通り、任意の好適なジカルボン酸残基から誘導されてもよく、あるいは、脂肪族二酸二塩化物(いわゆる「ソフトブロック」セグメント)から誘導されるジカルボン酸残基を含む好適なジカルボン酸残基類の混合物から誘導されてもよい。様々な実施形態においてnは0であり、またアリレートブロックは、イソフタル酸残基とテレフタル酸残基との混合物から誘導されるジカルボン酸残基類を含み、イソフタレートとテレフタレートのモル比は、ある実施形態では約0.25〜4.0:1、他の実施形態では約0.4〜2.5:1、さらに別の実施形態では約0.67〜1.5:1である。
【0073】
有機カーボネートブロックでは、各Rはそれぞれ独立に二価の有機ラジカルである。様々な実施形態において、該ラジカルは、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を含んでおり、また、該ポリマ中のR基の総数の約60パーセント以上が芳香族有機ラジカルであり、それらのバランスは、脂肪族ラジカル、脂環式ラジカル、あるいは芳香族ラジカルである。好適なRラジカルは、m−フェニレン、p−フェニレン、4,4’−ビフェニレン、4,4’−ビ(3,5−ジメチル)−フェニレン、2,2−ビス(4−フェニレン)プロパン、6,6’−(3,3,3’,3’−テトラメチル−l,r−スピロビ[lH−インダン])であり、米国特許第4,217,438号に名前あるいは式(属名あるいは種名)が開示されているジヒドロキシ置換芳香族炭化水素に相当するラジカルと同様なラジカルを含む。
【0074】
それぞれのRが芳香族有機ラジカルの実施形態もあれば、式17のラジカルである実施形態もあり、
【化19】

式中、AおよびAはそれぞれ、単環式二価アリールラジカルであり、Yは、1つあるいは2つの炭素原子がAおよびAを隔離している架橋ラジカルである。式17の遊離原子価結合は通常、Yに対してAおよびAのメタあるいはパラの位置にある。Rが式17を有する化合物はビスフェノールであり、また、簡略化のために、用語「ビスフェノール」は、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素を指すこともある。しかしながら、このタイプの非ビスフェノール化合物も適宜使用されることは理解されるであろう。
【0075】
式17において、AとAは通常、未置換フェニレン、あるいはその置換誘導体(1つまたは2つ)を表し、例としては、アルキル、アルケニル、およびハロゲン(特に臭素)などの置換基が挙げられる。ある実施形態では、未置換フェニレンラジカルが好適である。AおよびとAは両方ともp−フェニレンであることが多いが、両方がo−フェニレン、m−フェニレンでもよく、あるいは1つがo−フェニレンあるいはm−フェニレンで、もう1つがp−フェニレンであってもよい。
【0076】
架橋ラジカルYは、1つあるいは2つの原子によってAとAとが分離しているラジカルである。特定の実施形態では、1つの原子がAおよびとAを分離し、このタイプのラジカルとしては、−O−、−S−、−SO−、あるいは−SO−、メチレン、シクロヘキシルメチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチルメチレン、エチレン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデン、および他の同種のラジカルなどが挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、ゲムアルキレン(一般にアルキリデンとして既知)ラジカルが好適である。しかしながらさらに、未置換ラジカルも含まれる。いくつかの実施形態では、好適なビスフェノールは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールAすなわちBPA)であり、ここで、Yはイソプロピリデン、AおよびAは各々p−フェニレンである。反応混合物中のレゾルシノール部分の過剰モル数によって、カーボネートブロック中のRは、少なくとも部分的にレゾルシノール基を含んでもよい。すなわち、実施形態によっては、式10のカーボネートブロックは、少なくとも他の1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と結合したレゾルシノール基を含むものがある。
【0078】
ジブロック、トリブロック、および多重ブロックコポリエステルカーボネートは本発明に包含される。レゾルシノールアリレート鎖部材を含むブロックと、有機カーボネート鎖部材を含むブロックと、の間の化学結合は、
(a)アリレート基の好適なジカルボン酸残基と、例えば典型的に式18で示される、有機カーボネート基の−O−R−O−基と、のエステル結合か、(ここでRは、上記に定義されたもの)
【化20】

(b)レゾルシノールアリレート基のジフェノール残基と、式19に示される有機カーボネート基の−(C=O)−O−基と、のカーボネート結合、(ここでRおよびnは上記に定義されたもの)の少なくとも1つを含んでもよい。
【化21】

【0079】
ある実施形態では、コポリエステルカーボネートは実質的に、レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとのカーボネート結合を有するジブロック共重合体から構成される。別の実施形態では、該コポリエステルカーボネートは実質的に、レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネート末端ブロックとの間のカーボネート結合を有するトリブロックカーボネート−エステル−カーボネート共重合体で構成される。
【0080】
熱安定性レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとの間のカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネートは通常、レゾルシノールアリレート含有オリゴマ類から調製され、そして、ある実施形態では少なくとも1つ、別の実施例では少なくとも2つの、ヒドロキシ末端部位を包含する。該オリゴマは通常、ある実施形態では約10、000〜約40,000の重量平均分子量、別の実施形態では、約15、000〜約30,000の重量平均分子量を有している。熱安定性コポリエステルカーボネートは、上記のレゾルシノールアリレート含有オリゴマを、第三級アミンなどの触媒の存在下で、ホスゲン、連鎖停止剤、およびジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と反応させることによって調製してもよい。
【0081】
ある例では、物品は、ポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、およびそれらの混合物からなる群から選択された樹脂ブレンドと、シリコーン共重合体と、レゾルシノール系ポリアリレートと、を含み、上記アリールポリエステル結合の50モル%以上は、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする。
【0082】
物品の製造に使われるポリマブレンド類に使用されるレゾルシノール系ポリアリレートの量は、物品の最終用途に応じて大きく変わる場合がある。
例えば、物品が、発熱量あるいは最大発熱量到達時間の上昇が重要であるような最終用途に使用される場合には、レゾルシノールエステル含有ポリマの量を最大にして、発熱量を低下させ最大発熱量到達時間を延ばすことになる。レゾルシノール系ポリアリレートは、ポリマブレンドの約1〜約50重量%とすることができる場合もある。注目される組成物では、ポリマブレンドの全量に対して約10〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートを有する。
【0083】
別の実施形態では、
a)約1〜約99重量%のポリスルホン類、ポリ(エーテルスルホン)類、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、あるいはそれらの混合物と、
b)約0.1〜約30重量%のシリコーン共重合体と、
c)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約99〜約1重量%のレゾルシノール系ポリアリレートと、
d)0〜約20重量%の金属酸化物と、
からなるポリマブレンドを含み、重量%はこのポリマブレンドの全重量に対するものであることを特徴とする物品が考慮される。
【0084】
別の態様では、
a)約50〜約99重量%のポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(フェニレンエーテルスルホン)類、あるいはそれらの混合物と、
b)約0.1〜約10重量%のシリコーン共重合体と、
c)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約1〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートと、
d)0〜約20重量%の金属酸化物と、
e)0〜20重量%のリン含有安定剤と、
からなるポリマブレンドを含む物品が考慮される。
【0085】
B.PEI、PI、PEISおよびそれらの混合物と、シリコーン共重合体と、レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂と、の高Tgブレンド
例えば、シリコーンポリエーテルイミド共重合体類またはシリコーンポリカーボネート共重合体類などのシリコーン共重合体類と、高ガラス転移温度(Tg)ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)あるいはポリエーテルイミドスルホン(PEIS)樹脂類と、レゾルシノール系ポリアリレートと、の組合せは、驚くほど低い発熱量と改善された耐溶剤性を持つ。
【0086】
上記レゾルシノール誘導アリールポリエステルは、例えば、レゾルシノール−ビスフェノール−Aコポリエステルカーボネートなどの非レゾルシノール系結合を含有する共重合体であってもよい。最良の効果を得るためには、レゾルシノールエステル含有量(REC)は、レゾルシノールから誘導されるポリマ結合の約50モル%以上とする。RECは高ければ高いほど好ましい。これらの結合から誘導されるレゾルシノールの約75モル%以上の、あるいは約90あるいは100モル%と高いRECが望ましい場合もある。
【0087】
難燃性ブレンドに使用されるレゾルシノールエステル含有ポリマの量は、発熱量の低減や、最大発熱量到達時間の上昇、あるいは耐溶剤性を向上させるための有効な量によって大きく異なる。レゾルシノールエステル含有ポリマが、ポリマブレンドの1〜80重量%でよい例もある。10−50%のレゾルシノール系ポリエステルを含有する組成物は注目される。ポリエーテルイミドあるいはポリエーテルイミドスルホンと、REC含有量が高い共重合体とのブレンドは、約150°C〜約210°Cの単一のガラス転移温度(Tg)を有する場合もある。
【0088】
レゾルシノール系ポリアリレート樹脂は、レゾルシノールあるいは官能化レゾルシノールと、例えばカルボン酸ハロゲン化物類、カルボン酸エステル類、カルボン酸塩類などの、アリールエステル結合の形成に好適なアリールジカルボン酸あるいはアリールジカルボン酸誘導体類と、の反応生成物から誘導される、約50モル%以上の単位を含む。
【0089】
本発明に従って使用されるレゾルシノール系ポリアリレートについて、他のポリマブレンドのためにさらにここで詳述する。
【0090】
熱安定性レゾルシノールアリレートブロックと有機カーボネートブロックとの間の少なくとも1つのカーボネート結合を有するコポリエステルカーボネートは通常、本発明の種々の実施形態によって調製されるレゾルシノールアリレート含有オリゴマ類から調製され、そして、ある実施形態では少なくとも1つ、別の実施形態では少なくとも2つの、ヒドロキシ末端部位を包含する。該オリゴマは通常、ある実施形態では約10、000〜約40,000の重量平均分子量、別の実施形態では、約15、000〜約30,000の重量平均分子量を有している。熱安定性コポリエステルカーボネートは、上記のレゾルシノールアリレート含有オリゴマを、第三級アミンなどの触媒の存在下で、ホスゲン、少なくとも1つの連鎖停止剤、および少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素と反応させることによって調製してもよい。
【0091】
ある例では、難燃性改良ポリマブレンドは、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物からなる群から選択された樹脂と、シリコーン共重合体と、レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂と、を含み、上記アリールポリエステル結合の50モル%以上は、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする。「ポリマ結合」あるいは「1つのポリマ結合」という用語は、該ポリマを形成する少なくとも2つのモノマの反応生成物として定義される。
【0092】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物は、水素原子数と炭素原子数の比(H/C)が約0.85以下の場合もあり、これは注目される。
【0093】
水素含有量に比較して炭素含有量の多いポリマすなわち、水素原子数対炭素原子数の比が小さいポリマでは、難燃性が向上することが多い。これらのポリマは燃焼値が低く燃焼時のエネルギ放出が少ない。それらはポリマ燃料と点火源との間に絶縁性の炭化層を形成することにより耐燃焼性も有する。特定の作用機構や作用形態は別にして、そのような低H/C比を有するポリマが優れた難燃性を有することが知られている。上記H/C比を0.85未満にできる場合がある。また、ポリマ構造に十分にフレキシブルな結合を与えて溶融加工性を実現するために、約0.4以上のH/C比が好適となる例もある。あるポリマあるいは共重合体のH/C比は、化学的繰り返し単位中の他の原子とは無関係に、炭素原子および水素原子をカウントすることによりその化学構造から決定される。
【0094】
難燃性ポリマブレンドおよびそれを使用した物品では、2分後発熱量が約65kW・分/m未満の場合もある。また、上記の最大発熱量が約65kW/m未満の場合もある。最大発熱量到達時間が約2分以上であることも、ある組成物とそれから作られる物品にとって有益である。最大発熱量到達時間が約4分以上が実現される場合もある。
【0095】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類あるいはそれらの混合物と、シリコーン共重合体と、50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含むアリールポリエステル樹脂と、のブレンドは透明である。上記のブレンドが、ASTM法 D1003に準拠して測定し、約2mm厚みにおいて約50%を超える透過率を有する場合もある。これらの透明組成物のヘイズ率が、ASTM法 D1003に準拠して測定し、約25%未満となる例もある。上記透過率が約60%以上、かつヘイズ率が約20%未満となる実施形態もある。さらに、その組成物から作られる化合物および物品が、最大発熱量が50kW/m以下で、透過率が約50%以上、ヘイズ値が約25%未満の場合もある。
【0096】
上記の難燃性ブレンドでは、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、あるいはそれらの混合物は、組成物全重量に対して約1〜約99重量パーセントの範囲で存在させることができる。この範囲内で、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、あるいはその混合物の量は、約20重量%以上、より具体的には約50重量%以上、さらに具体的には約70重量%以上とすることができる。
【0097】
別の実施形態では、組成物は、
a)約1〜約99重量%のポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホン、およびそれらの混合物と、
b)50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約99〜約1重量%のアリールポリエステル樹脂と、
c)約0.1〜約30重量%のシリコーン共重合体と、
d)約0〜約20重量%の金属酸化物と、
を含み、上記の重量%は組成物の全重量に対するものであることを特徴とする難燃性ポリマブレンドを含んでいる。
【0098】
他の態様では、組成物は、
a)約50〜約99重量%のポリエーテルイミドまたはポリエーテルイミドのスルホン樹脂と、
b)約50モル%以上のレゾルシノール誘導結合を含む、約1〜約50重量%のレゾルシノール系ポリアリレートと、
c)約0.1〜約10重量%のシリコーン共重合体と、
d)約0〜約20重量%の金属酸化物と、
e)0〜約2重量%のリン含有安定剤と、
からなる難燃性ポリマブレンドを含む組成物が考慮される。
【0099】
ポリマブレンドは一般式(20)を有しており、
【化22】

式中、aは2以上であり、通常約10〜約1000以上、より具体的には約10〜約500であり、Vは四価のリンカーであり、上記ポリイミドの合成あるいは使用に支障を及ぼさない限り特に制限されない。好適なリンカーは、限定されないが、a)炭素原子数が約5〜約50の、置換あるいは未置換、飽和あるいは不飽和、芳香族単環式および芳香族多環式の基、(b)炭素原子数が1〜約30の、置換あるいは未置換、直鎖あるいは分枝鎖、飽和あるいは不飽和のアルキル基、あるいはそれらの混合物を含む。
【0100】
好適なリンカーは、限定されないが、式(21)などの構造式を有する四価の芳香族ラジカルを含み、
【化23】

式中、Wは、−O−、−S−、−C(O)−、SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜約8の整数)と、パーフルオロアルキレン基類あるいは、−W−あるいは−O−Z−O−基の二価結合が3,3’、3,4’、4,3’あるいは4,4’の位置にあり、ここで、Zは上記で定義されたものである、式−O−Z−O−の基を含むフッ素化誘導物と、から構成される群から選択される二価基である。
【0101】
Zは、式(22)の典型的な二価ラジカルを含んでもよい。
【化24】

式(20)中のRは、限定されないが、(a)炭素原子数が約6〜約24の芳香族炭化水素ラジカル類、およびそのハロゲン化誘導体、(b)炭素原子数が約2〜約20の直鎖あるいは分枝鎖アルキレンラジカル類、(c)炭素原子数が約3〜約24の環式アルキレンラジカル類、あるいは、(d)一般式(6)の二価ラジカル類、などの、置換あるいは未置換二価有機ラジカル類を含み、
【化25】

式中、Qは上記に定義されたものである。
【0102】
ポリイミド類の分類中には、ポリアミドイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類およびポリエーテルイミド類が含まれ、特に、溶液での加工が可能で、米国特許第3,803,085号および同第3,905,942号にその調製法および物性が記載されており、当分野では既知のポリエーテルイミド類が含まれる。
【0103】
ポリエーテルイミド樹脂は、式(23)の構造単位を2以上、通常は約10〜約1000以上、より具体的には約10〜約500を含んでおり、
【化26】

式中、Tは、その二価結合が3,3’、3,4’、4,3’あるいは4,4’の位置にある−O−あるいは−O−Z−O−基、Zは上記に定義されたものである。ある実施形態では、上記ポリイミド、ポリエーテルイミド、あるいはポリエーテルイミドスルホンは共重合体であってもよい。ポリイミド、ポリエーテルイミド、あるいはポリエーテルイミドスルホンの混合物を用いてもよい。
【0104】
該ポリエーテルイミドは、式(18)の芳香族ビス(エーテル無水物)と、
【化27】

式(7)の有機ジアミンと、
【化28】

の反応を含む、当業者に既知の任意の方法で調製され、
式中、TおよびRは上記に定義したものである。
【0105】
芳香族ビス無水物類および有機ジアミン類の具体例は、例えば、米国特許第3,972,902号および同第4,455,410号に開示されている。芳香族ビス無水物には、
3,3−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン)二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、および
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの種々の混合物類が含まれる。
上記の式(18)で包含される別の分類の芳香族ビス(エーテル無水物)類は、限定されないが、Tが式(24)であり、
【化29】

そのエーテル結合は、例えば好適には、3,3’、3,4’、4,3’、あるいは4,4’の位置に存在する化合物およびその混合物を含んでおり、ここで、Qは上記の定義の通りである。
【0106】
任意のジアミノ化合物が用いられてもよい。適切な化合物の例としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−l,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(p−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、およびビス(4−アミノフェニル)エーテルが挙げられる。これらの化合物の混合物も用いられる。好適なジアミノ化合物は芳香族ジアミンであり、特に、m−およびp−フェニレンジアミン、スルホニルジアニリンおよびそれらの混合物は好適である。
【0107】
ある実施形態では、ポリエーテルイミド樹脂は、式(17)の構造単位を含んでおり、式中、各Rは独立に、p−フェニレン、m−フェニレン、あるいはその混合物であり、Tは式(25)の二価ラジカルである。
【化30】

【0108】
多くのポリイミド類の製造方法の中で、特にポリエーテルイミド類の製造方法は、米国特許第3,847,867号、同第3,852,242号、同第3,803,085号、同第3905,942号、同第3,983,093号および同第4,443,591号の開示に含まれる。これらの特許は、教示の目的で、ポリイミド類の総括的および具体的調製方法について例示として言及している。
【0109】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、およびポリエーテルイミドスルホン類は、6.6kgの樹脂を用い、米国材料試験協会(ASTM) D1238に準拠して340〜約370°Cで測定したメルトインデックスが約0.1〜約10g/minである。ある実施形態では、上記ポリエーテルイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ポリエチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定して、約10、000〜約150,000g/モルである。別の実施形態では、該ポリエーテルイミドは、20,000〜60,000の範囲のMwを有する。このようなポリエーテルイミド樹脂の固有粘度は、25°Cのm−クレゾール中で測定し、通常、約0.2dl/gより大、より具体的には約0.35〜約0.7dl/gの固有粘度を持っている。本明細書に記載のブレンドに有用なポリエーテルイミド類のいくつかは、ASTM D5205「ポリエーテルイミド(PEI)材料標準分類システム」にリストされている。
【0110】
該共重合体のシロキサン部分のブロック長さは任意の有効長さとすることができる。ある場合には、2〜70のシロキサンの繰り返し単位であってもよい。また、シロキサンブロックの長さが、5〜30の繰り返し単位の場合もある。多くの場合、ジメチルシロキサンが用いられる。
【0111】
シロキサンポリエーテルイミド共重合体類は、使用されるシロキサン共重合体の特定の実施形態である。そのようなシロキサンポリエーテルイミド類の例は、米国特許第4,404,350号、同第4,808,686号および同第4,690,997号に示されている。ポリエーテルイミドシロキサン類は、有機ジアミン反応剤の一部あるいは全部を、例えば、式22のアミン末端オルガノシロキサンで置換することを除いて、ポリエーテルイミド類の調製に用いられるものと同じような方法で調製される例もあり、式中、gは1〜約50までの整数であり、他の例では、gは、約5〜約30の整数、またR’は、炭素原子数が約2〜約20のアリール、アルキル、あるいはアリールアルキルである。
【化31】

【0112】
いくつかのポリエーテルイミドシロキサン類は、有機ジアミンあるいは式19のジアミン類の混合物と、式22のアミン末端オルガノシロキサンと、式18の1つあるいは複数の二無水物と、の反応によって形成される。ジアミノ成分を、反応に先立ってビス無水物(類)と物理的に混合し実質的にランダム共重合体を形成してもよい。あるいは、式19および式22と二無水物との選択的反応によってブロックあるいは交互共重合体を形成し、その後に互いに反応するポリイミドブロックを作ってもよい。別の例では、ポリエーテルイミド共重合体の調製に用いるシロキサンは、例えば、米国特許第4,404,350号に記載されているように、アミン官能性末端基ではなく無水物を有していてもよい。
【0113】
ある例では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体は、T、R’およびgが上記に記載されるもので、nが約5〜約100、またArは、炭素数が6〜約36のアリールあるいはアルキルアリール基である式23であってもよい。
【化32】

【0114】
あるシロキサンポリエーテルイミド類では、上記シロキサンポリエーテルイミド共重合体のジアミン成分は、約20モル%〜約50モル%の式22のアミン末端オルガノシロキサンと、約50〜約80モル%の式19の有機ジアミンと、を含んでいてもよい。シロキサン共重合体類の中には、上記シロキサン成分が約25〜約40モル%のアミンあるいは無水物末端オルガノシロキサンを含むものもある。
【0115】
C.高Tg相分離ポリマブレンド
本明細書ではさらに、a)ポリアリールエーテルケトン類と、ポリアリールケトン類と、ポリエーテルケトン類と、ポリエーテルエーテルケトン類と、を含む群から選択されるポリアリールエーテルケトン(PAEK)と、b)50モル%以上の、アリールスルホン基を含む結合を有するポリエーテルイミドスルホン(PEIS)と、の混合物を含む相分離ポリマ類が開示される。
【0116】
分離相とは、PAEK樹脂とPSEI樹脂とが、例えば、顕微鏡検査、示差走査熱量分析、あるいは動的機械分析などの標準的な分析技術を用いて識別できる分離した化学物質の混合物として存在することを意味し、少なくとも2つの異なるポリマ相、つまり1つはPAEK樹脂を含み1つはPSEI樹脂を含んだポリマ相を示すことを指す。この相が、80モル%を超える上記樹脂を含む場合もある。各相がそれぞれの樹脂を約80重量%以上含む場合もある。また、該ブレンドが、大きさが約0.1〜約50μmの相分離領域を形成する場合もあり、また、上記の領域が約0.1〜約20μmの大きさの場合もある。領域の大きさとは、顕微鏡検査で見られる最長の直線長さを指す。上記の相分離ブレンドは、完全に非混合性であるか、あるいは部分的に混合性を示すことができるが、少なくとも固体状態においては、2つあるいはそれ以上の分離ポリマ相を示すように作用しなければならない。
【0117】
PAEKとPEISとの比は任意に設定できるが、それによって改良された特性、すなわち、樹脂単独で用いた場合よりも、最終用途によって良好であったり、あるいは悪くなったりする特性を有する。上記の比は、最終用途および所望の改良特性に応じて、1:99重量部から99:1重量部の範囲内で任意に選択される。上記の比は、15:85から85:15とすることもでき、さらに、25:75から75:25とすることもできる。用途によっては、40:60から60:40の範囲とすることもできる。当業者であれば、上記PAEKとPEISとの比を変化させてゆけば、所望の結果に応じて、上記の引用された範囲内でいずれかの実際の範囲に入ることは理解されるであろう。
【0118】
最終ブレンドの特性、それは成分の比を変化させることによって調整可能であるが、その特性には、熱変形温度と耐加重性能とが含まれる。例えば、ある実施形態では、ポリエーテルイミドスルホン樹脂は、添加量を増やすことによって、個々の成分に対するPAEKブレンドの耐加重性能を変える、すなわち向上させるのに有効な任意の量存在させることができる。全混合物に対して、PAEK量を約30〜約70重量%とし、PEISの量を約70〜約30重量%とする場合もある。ここで、重量%はPAEKとPEISの合計重量に対するものである。
【0119】
実施形態によっては、ASTM法 D5418に準拠して、0.46MPa(66psi)の応力下、厚み3.2mmの棒で測定した相分離ポリマブレンドの熱変形温度(HDT)は約170°C以上である。0.46MPA(66psi)の応力下でのHDTが200°C以上になる場合もある。さらに、PAEK−PEISの耐加重性能は、ASTM法 D1525に準拠して50ニュートン(N)の荷重下で測定したビカット軟化温度で200°C以上であることから示される場合もある。
【0120】
上記の相分離ポリマブレンドの耐加重性能は、ASTM法 D5418に準拠して厚み3.2mmの棒に対して200°Cで測定した曲げ弾性率が200MPa以上であることから示される場合もある。上記の相分離ポリマブレンドは、ある量のPAEKとある量のPEISとを溶液状態で混合して製造することができる。この2つの成分は、当業者に既知の、任意の相分離ブレンド製造方法を用いて混合することができる。そのような方法には、押出法、焼結法などがある。
【0121】
本明細書で用いられるように、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)類には、主として配列の異なるケトン基およびエーテル基で結合された芳香族環、通常はフェニル環を含むいくつかのポリマタイプが含まれる。PAEK樹脂の例としては、ポリエーテルケトン(PEK)類、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)類、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)類、およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)類、およびそれらの基とそのブレンドを含む共重合体類などがある。上記のPAEKポリマには、芳香族環、通常はフェニル環と、任意の配列のケト基およびエーテル基を含むモノマ単位が含まれてもよい。基本的にPAEK樹脂の特性を変更しない限り、例えば10モル%未満など、低レベルの結合基を添加してもよい。
【0122】
例えば、融点が300°C以上の、高結晶性の数種類のポリアリールエーテルケトン類を、上記の相分離ブレンドに用いることができる。これらの結晶性ポリアリールエーテルケトン類の例を、構造式26,27,28,29および30に示す。
【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【0123】
ここで好適に用いられる結晶性ポリアリールエーテルケトン類の他の例は、一般的に、下記の式(31)の繰り返し単位を含むことによって特徴付けられ、
【化38】

式中、Arは独立に、フェニレン、ビフェニレン、あるいはナフチレンから選ばれる二価の芳香族ラジカルであり、Lは独立に、−O−、−C(O)−、−O−Ar−C(O)−、−S−、−SO−、あるいは直接結合であり、hは0から約10の整数である。
【0124】
当業者であれば、ここには、ポリアリールエーテルケトン類の製造および特性に係る、十分に発展した実質的な特許主要部とその他の文献が存在することは理解できるであろう。例えば、米国特許第3,065,205号などの以前の研究のあるものは、芳香族ジアシルハロゲン化物類とジフェニルエーテルなどの未置換芳香族化合物類との求電子芳香族置換反応(例えば、フリーデルクラフツ反応)に関係している。この種の発展は米国特許第4,175,175号で実現されており、そこには、広範囲の樹脂類が、例えば、活性化された芳香族ジハライドと、芳香族ジオールあるいはその塩との芳香族求核置換反応によって作られることが示されている。
【0125】
そのようなポリアリールケトン調製方法の1つは、時にビスフェノール塩として作用するビスフェノールと、ジハロベンゾイド化合物と、あるいは場合によっては、ハロフェノール化合物と、の実質的に等モル混合物を加熱するステップを含む。また、これらの化合物の混合物を用いる場合もある。例えば、ヒドロキノンを、ジクロロベンゾフェノンまたはジフルオロベンゾフェノンなどのジハロアリールケトンと反応させて、ポリアリールエーテルケトンを形成することができる。また、ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシアリールケトンを、ジクロロベンゼンなどのアリールジハライドで重合化してPAEK樹脂を形成する場合もある。さらに、ジヒドロキシジフェニールエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類を、ジフルオロベンゾフェノンなどのジハロアリールケトン類と反応させる場合もある。
【0126】
他の方法として、ジヒドロキシビフェニルあるいはヒドロキノンなどのエーテル結合を持たないジヒドロキシ化合物を、例えば、ビス−(ジクロロフェニル)ベンゾフェノンなどのエーテル結合とケトン結合の両方を有するジハロ化合物と反応させてもよい。ジアリールエーテルカルボン酸類、あるいはカルボン酸ハライド類を重合化してポリアリールエーテルケトン類を形成することもできる。このような化合物として、ジフェニルエーテルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸塩化物、フェノキシ−フェノキシ安息香酸、あるいはそれらの混合物がある。また、ジカルボン酸類あるいはジカルボン酸ハライド類を、例えば、イソあるいはテレフタロイルクロライド(あるいはその混合物)などのジアリールエーテル類を用いて縮合し、ジフェニールエーテルと反応させてPAEK樹脂を形成することもできる。
【0127】
そのプロセスは、例えば、米国特許第4,176,222号に記載されている。このプロセスは、(a)ビスフェノールと、(b.i)ジハロベンゼノイド化合物と、およびまたは、(b.ii)ハロフェノールと、の実質的に等モル混合物を、100〜400°Cに加熱するステップを含み、前記ジハロベンゼノイド化合物あるいはハロフェノール中で、ハロゲン原子はオルトあるいはパラ位置にある−C=O−基で活性化され、炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダとの混合物は、前記第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダのアルカリ金属がナトリウムよりも大きな原子番号を有しており、上記第2のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダの量は、ナトリウム1グラム原子当たり、上記のより大きな原子番号を持つアルカリ金属が0.001〜0.2グラム原子存在するようになされており、上記のアルカリ金属炭酸塩あるいは重炭酸ソーダの全量は、存在するフェノール基毎に少なくとも1つのアルカリ金属原子が存在するようになされており、それによって上記のポリマをアルカリ金属ハロゲン化物から分離することを特徴としている。
【0128】
さらに、例えば米国特許第4,396,755号に記載されているプロセスに従って、他のポリアリールエーテルケトン類を調製してもよい。そのようなプロセスでは、(a)ジカルボン酸と、(b)二価芳香族ラジカルおよびモノ芳香族ジカルボン酸と、(c)(a)と(b)との組合せ、などの反応物を、フルオロアルカンスルホン酸、特にトリフルオロメタンスルホン酸の存在下で反応させる。
【0129】
添付のポリアリールエーテルケトン類は、例えば米国特許第4,398,020号に記載されるようなプロセスに従って調整されてもよく、この場合には、芳香族ジアシル化合物は、芳香族化合物およびモノアシルハライドで重合化される。
【0130】
上記のポリアリールエーテルケトン類は、25°C濃硫酸中で測定して少なくとも約0.4〜約5.0dl/gの範囲の低減した粘度を有していてもよい。PAEKの重量平均分子量(Mw)は、5,000〜150,000g/モルの範囲であってもよい。Mwが10,000〜80,000g/モルの範囲の場合もある。
【0131】
第2の樹脂成分はポリエーテルイミドスルホン(PEIS)樹脂である。ここで用いられるように、PEISは、一般式(7)を有する構造単位を含み、式中、50モル%以上の上記ポリマ結合はアリールスルホン基を有し、
【化39】

ここで、aは2以上、通常は約10〜約1000以上であり、より具体的には約10〜約500であり、Vは四価リンカーであり、上記ポリスルホンエーテルイミドの合成あるいは使用に支障を及ぼさない限り限定されない。
【0132】
好適なリンカーは、限定されないが、(a)炭素原子数が約5〜約50の、置換あるいは未置換、飽和あるいは不飽和、あるいは、芳香族単環式あるいは芳香族多環式基と、(b)炭素原子数が1〜約30の、置換あるいは未置換、直鎖あるいは分枝鎖、飽和あるいは不飽和のアルキル基と、あるいは(c)それらの組合せと、を含む。好適なリンカーは、限定されないが、式(8)の四価芳香族ラジカルを含み、
【化40】

式中、Wは、いくつかの実施形態においては、−SO−、−O−、−S−、−C(O)−、C2y−、(yは1から5までの整数)および、パーフルオロアルキレン基あるいは式−O−D−O−の基を含む上記のハロゲン化誘導体からなる群から選択される二価基である。上記の基Dは、ビスフェノール化合物の残基を含んでいてもよい。例えば、Dは式(9)で示される任意の分子であってもよい。
【化41】

【0133】
−W−あるいは−O−D−O−基の二価結合は、3,3’、3,4’、4,3’、あるいは4,4’の位置に存在してもよい。前述の化合物の混合物を用いてもよい。ベンジルプロトンがない基は、溶融安定性が優れているために好適であることが多い。Wが−SO−である基は、ポリスルホンエーテルイミド樹脂類にアリールスルホン結合を導入する1方法であるために特に注目される。
【0134】
本明細書で用いられるように、「ポリマ結合」あるいは「1つのポリマ結合」という用語は、少なくとも1つが二無水物あるいはその化学的均等物であり、第2のモノマが少なくとも1つのジアミンあるいはその化学的均等物であることを特徴とするポリマを形成する少なくとも2つのモノマの反応生成物として定義される。上記のポリマは、100モル%のその結合から構成される。例えば、50モル%のアリールスルホン結合を有するポリマは、その結合の半分(モル基準で)が、少なくとも1つのアリールスルホン基を有する二無水物あるいはジアミンから誘導される結合を含んでいる。
【0135】
−O−D−O−基の前駆体として用いられる好適なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素も、式(10)の構造を有しており、
【化42】

式中、Rは独立に、水素、塩素、臭素、アルコキシ、アリールオキシ、あるいはC1−30の1価炭化水素か、炭化水素オキシ基であり、RとRは独立に、水素、アリール、アルキルフルオロ基、あるいはC1−3O炭化水素基である。
【0136】
O−D−O−基の前駆体として用いられるジヒドロキシ置換芳香族炭化水素には、米国特許第2,991,273号、同第2,999,835号、同第3,028,365号、同第3,148,172号、同第3,153,008号、同第3,271,367号、同第3,271,368号および、同4,217,438号で物質名あるいは式が開示されたものを含む。
【0137】
使用可能なジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の例としては、限定されないが、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、1,4−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−オキシジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、メチルレゾルシノール、1,4−ジヒドロキシ−3―メチルベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、3,3−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、およびビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどがある。前述のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素のうちの任意の混合物も用いられる。
【0138】
特定の実施形態では、スルホン結合を有するビスフェノールを含有する上記のジヒドロキシ置換芳香族炭化水素は、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂にアリールスルホン結合を導入する別の手段であるために注目される。ベンジルプロトンがないビスフェノール化合物が、優れた溶融安定性を有するポリエーテルイミドスルホンの製造に好適な場合もある。
【0139】
式(7)において、R基は、ジアミノ化合物あるいはその化学的均等物の残基であり、限定されないが、(a)約6〜約24の炭素原子数を有する芳香族炭化水素ラジカルおよびそのハロゲン化誘導体、(b)約2〜約20の炭素原子数を有する直鎖あるいは分枝鎖のアルキレンラジカル、(c)約3〜約24の炭素原子数を有するシクロアルキレンラジカル、あるいは(d)一般式(11)で表される二価ラジカル、などの置換あるいは未置換の二価有機ラジカルを含み、
【化43】

式中、Qは限定されないが、−SO−、−O−、−S−、−C(O)−、C2y−、(yは1から5までの整数)から構成される群から選択される二価基および、パーフルオロアルキレン基を含むそのハロゲン化誘導体を含んでいる。特定の実施形態においては、Rは本質的にベンジルプロトンを含まない。ベンジルプロトンの存在は化学構造から推定される。
【0140】
いくつかの特定の実施形態では、好適な芳香族ジアミンは、メタ−フェニレンジアミンと、パラ−フェニレンジアミンと、メタ−およびパラ−フェニレンジアミンの混合物と、2−メチルおよび5−メチル−4,6−ジメチル−1,3−フェニレン−ジアミンの異性体またはそれらの混合物と、ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニル、3,4’−ジアミノフェニルジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリンと呼ばれることもある)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(共通的に、4,4’−メチレンジアニリンと呼ばれる)4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチルベンジジン、3,3−ジメトキシベンジジン、ベンジジン、m−キシリレンジアミン、ビス(アミノフェノキシ)フルオレン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)フェニルスルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ジアミノベンズアニリド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2’−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、1,2−ビス(3−アミノフェノキシ)エタン、2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−b−メチル−o−(アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、および2,4―トルエンジアミンなどを含む。2つ以上のジアミンの混合物も用いられる。ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン(BAPS)およびそれらの混合物は、好適な芳香族ジアミンである。
【0141】
本明細書に記載の熱可塑性ポリスルホンエーテルイミドは、1つあるいは複数の芳香族ジアミンあるいはそれらと化学的に均等な誘導体と、1つあるいは複数の芳香族テトラカルボン酸環式二無水物(以後、芳香族二無水物と呼ぶこともある)、芳香族テトラカルボン酸、あるいは、環式無水物形成能または前に形成されたポリイソイミドを熱的/触媒的に転移するそれらの誘導体と、を含む反応物質から誘導される。さらに、芳香族ジアミンと芳香族二無水物とを含む反応物質の、一方および他方の少なくとも一部、すなわち、それぞれの少なくとも一部は、少なくとも50モル%の合成されたポリマ結合が少なくとも1つのアリールスルホン基を含有するようにアリールスルホン結合を含んでいる。特定の実施形態では、芳香族ジアミンと芳香族二無水物とを含有する反応物質の一方あるいは他方のすべて、すなわち、それぞれの反応物質は、少なくとも1つのスルホン結合を有している。上記反応物質は重合して環式イミド結合およびスルホン結合を含むポリマを形成する。
【0142】
芳香族二無水物の具体的な例としては、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、およびそれらの混合物が挙げられる。
他の有用な芳香族二無水物には、
2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4、4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
2,2−ビス([4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4、4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4,4’−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
2−[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]−2−[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、
4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4’−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、
1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
3,4,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、2,3,3’,4’−オキシジフタル酸無水物、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、
ピロメリット酸二無水物、
3,4,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、
1、4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、および、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などが挙げられる。2つ以上の二無水物を含む混合物から誘導される構造単位を有するポリスルホンエーテルイミド類も考慮される。
【0143】
上記のポリスルホンエーテルイミドが、オキシジフタル酸無水物である芳香族エーテル無水物から誘導される、50モル%以上のイミド結合を有する場合もあり、別の実施形態においては、イミド結合から誘導される約60モル%〜約100モル%のオキシジフタル酸無水物を有する。他の実施形態では、約70モル%〜約99モル%のイミド結合は、オキシジフタル酸無水物あるいはその化学的均等物から誘導される。
【0144】
「オキシジフタル酸無水物」とは、式(12)のオキシジフタル酸無水物を意味しており、
【化44】

それらの誘導体はさらに以下のように定義される。
【0145】
式(12)のオキシジフタル酸無水物には、4,4’−オキシビスフタル酸無水物、3,4’−オキシビスフタル酸無水物、3,3’−オキシビスフタル酸無水物、およびこれらの任意の混合物が含まれる。例えば、オキシジフタル酸無水物から誘導される約50モル%以上のイミド結合を含むポリスルホンエーテルイミドは、式(13)の4,4’−オキシビスフタル酸無水物構造単位から誘導されてもよい。
【化45】

【0146】
上記の通り、オキシジフタル酸無水物の誘導体は、ポリスルホンエーテルイミド類の製造に用いられる。イミド形成反応において、上記のオキシジフタル酸無水物と化学的な均等物として機能する誘導された無水物の例には、式(14)のオキシジフタル酸無水物誘導体が含まれ、
【化46】

ここで、式7のRおよびRは、水素、アルキル基、およびアリール基の任意のものであってよい。RとRは同じであっても異なっていてもよく、オキシジフタル酸無水物酸、オキシジフタル酸無水物エステル、および、オキシジフタル酸無水物酸エステルを作る。
【0147】
ここでのポリスルホンエーテルイミドには、例えば、オキシジフタル酸無水物誘導体が式(15)で表されるような、2つの誘導化無水物基を有するオキシジフタル酸無水物誘導体から誘導されるイミド結合が含まれてもよく、
【化47】

ここで、式(15)のR、R、RおよびRは、水素、アルキル基、アリール基の何れであってもよい。R、R、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、オキシジフタル酸と、オキシジフタルエステルと、オキシジフタル酸エステルと、を作る。
【0148】
2つ、3つ、あるいはそれ以上の異なる二無水物を有する上記のオキシジフタル酸無水物と、フレキシブルな結合を持った多かれ少なかれ等モル量の有機ジアミンと、の混合物のイミド化反応から誘導される構造単位を含むポリスルホンエーテルイミド類の共重合体も考慮される。さらに、上に定義されたオキシジフタル酸無水物(その誘導体も含む)から誘導される約50モル%以上のイミド結合と、約50モル%以下の、オキシジフタル酸無水物とは異なるもう一方の二無水物と、の共重合体類もまた考慮される。すなわち、オキシジフタル酸無水物から誘導される約50モル%以上の結合の他に、例えば、ビスフェノールA二無水物(BPADA)、ジスルホン二無水物、ベンゾフェノン二無水物、ビス(カルボフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビスフェノール二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフェニル二無水物、サルファ二無水物、スルホ二無水物および混合それらの混合物などの、オキシジフタル酸無水物とは異なる芳香族二無水物から誘導されるイミド結合を含む共重合体類を作ることが望ましい実施例もある。
【0149】
本発明の別の実施形態では、上記のように、この二無水物は、スルホン結合を有するアリールジアミンと反応する。ある実施形態では、上記ポリスルホンエーテルイミドは、式(16)のアリールジアミノスルホンから誘導される構造単位を含み、
【化48】

式中、Arは単一環あるいは複数環を含むアリール基種であってもよい。いくつかのアリール環は、例えば、エーテル結合や、スルホン結合あるいは2つ以上のスルホン結合などによって、互いに結合してもよい。上記のアリール環は縮合していてもよい。
【0150】
他の実施形態では、上記アリールジアミノスルホンのアミン基は、例えば、式(17)のように、スルホン結合に対してメタ、あるいはパラの位置とすることができる。
【化49】

【0151】
芳香族二無水物は、限定されないが、例えば、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)およびビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン類(BAPS)などを含む。上記のオキシジフタル酸無水物は、アリールジアミノスルホンとの反応によるポリイミド結合の形成に用いられてポリスルホンエーテルイミドを作る。
【0152】
いくつかの実施形態においては、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂は、芳香族二無水物モノマ(あるいは芳香族ビス(エーテル無水物)モノマ)と有機ジアミンモノマとの反応によって調製され、ここで、上記2つのモノマは、実質的に等モル量か、あるいは、一方のモノマが他方のモノマに対し多くてもモル比で約20%以下、好適には多くても約10%以下、あるいは、約5%以下存在する。上記2つのモノマ量の差を、モル比で1%未満とする場合もある。
【0153】
メチルアミンなどのアルキル第一級アミン類を連鎖停止剤として用いてもよい。第一級モノアミン類を、ポリスルホンエーテルイミドの末端キャップあるいは連鎖停止用に用いてもよく、例えば、ポリスルホンエーテルイミドの分子量制御に用いてもよい。特定の実施形態では、第一級モノアミン類には、具体的には、アニリン、クロロアニリン、パーフルオロメチルアニリン、ナフチルアミン類等の芳香族第一級モノアミン類が含まれる。芳香族第一級モノアミン類には、さらに芳香環に結合した官能基、例えば、限定されないが、アリール基類、アルキル基類、アリールアルキル基類、スルホン基類、エステル基類、アミド基類、ハロゲン類、ハロゲン化アルキルあるいはアリール基類、アルキルエーテル基類、アリールエーテル基類、あるいはアリールケト基類などの官能基を有していてもよい。この付加官能基によって、芳香族第1級モノアミンのポリスルホンエーテルイミドの分子量制御機能に支障が生じてはいけない。好適なモノアミン化合物類は、米国特許第6,919,422号にリストアップされている。
【0154】
芳香族ジカルボン酸無水物類、つまり、1つの環式無水物基を含む芳香族グループは、さらにポリイミドスルホンの分子量制御にも用いられる。具体的な例としては、クロロフタル酸無水物類などの無水フタル酸、置換無水フタル酸などがある。上記無水物類は、芳香族環に結合する官能基をさらに有していてもよく、それらの具体的な例としては、芳香族第一級モノアミン類として上記に記述した官能基類を含む。
【0155】
低レベルのイソアルキリデン結合を持つポリスルホンエーテルイミド類が望ましい場合もある。PAEKブレンドの中には、イソアルキリデン結合が存在することによって混和性が促進され、それによって高温での耐加重性能が低下するので望ましくないものもあると考えられている。混和性のPEEK樹脂とイソアルキリデン含有ポリマとのブレンドについては、例えば、米国特許第5,079,309号、同第5,171,796号などに記載されている。低レベルのイソアルキリデン基類とは、ポリスルホンエーテルイミド結合の30モル%未満がイソアルキリデン基類を含むことを意味する場合もあり、また、20モル%未満のイソアルキリデン基類を含む場合もある。また、上記ポリスルホンエーテルイミド結合に10モル%未満のイソアルキリデン基類が存在する場合もある。
【0156】
ポリスルホンエーテルイミドは、温度340°C〜425°Cで米国材料試験協会(ASTM) D1238に準拠して測定したメルトインデックス値が約0.1〜約10g/minであってもよい。ある実施形態では、上記のポリスルホンエーテルイミド樹脂は、ポリスチレン標準を用いたゲル透過クロマトグラフィで測定した重量平均分子量(Mw)が約10、000〜約150,000g/モルである。別の実施形態では、ポリスルホンエーテルイミドは、Mwが20,000〜60,000g/モルである。いくつかのポリエーテルイミド類の例が、ASTM D5205「ポリエーテルイミド(PEI)材料用の標準分類システム」にリストアップされている。
【0157】
特に、フィルムおよび繊維の形成が望まれる場合には、組成物に、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、あるいは金属繊維などの繊維強化材を本質的に含ませない。本質的に含まないとは、全組成物量に対して5重量%未満を指す場合もあれば、1重量%未満の場合もある。
【0158】
冷却時にある程度結晶化する組成物を有することが有効な場合もある。これは、高表面積を有するためにすぐに冷却し、そのために最適な特性を得るために必要となる十分な結晶化ができない繊維やフィルムなどの、高表面積を持つ物品においてはより重要である。結晶の形成は結晶化温度(Tc)に反映される場合もあり、それは、例えば、ASTM D3418などの示差走査熱量計(DSC)等の方法によって測定される。最大結晶化速度となる温度はTcとして測定される。例えば、冷却速度80°C/minにおいて、約240°C以上のTcが望ましい場合もある。また、例えば、20°C/minという遅い冷却速度において、約280°C以上の結晶化温度が望ましい場合もある。
【0159】
上記組成物が少なくとも2つの別個のガラス転移温度(Tg)を有する場合もあり、第1のTgは、PAEK樹脂あるいは部分混和性PAEKブレンドからのものであり、第2のTgは、ポリスルホンエーテルイミド樹脂、あるいはその樹脂を優勢とする混合物に関連するものである。これらのガラス転移温度(Tgs)は、DSC法あるいは動的機械分析法(DMA)などの任意の従来法を用いて測定できる。上記第1のTgを約120〜約200°Cとし、第2のTgを約240〜350°Cとする場合もある。約280〜から約350°Cと、より高温の第2のTgが有用な場合もある。特定の樹脂、分子量およびブレンド組成によって、これらのTgsは別個のものでも、あるいは転移状態が部分的に重なっていてもよい場合もある。
【0160】
別の実施形態では、ポリスルホンエーテルイミドPEAKブレンドは、キャピラリーレオメータにより、せん断速度100〜1000sec−1、温度380°CにてASTM法 D3835に準拠して測定して、約200Pa・S〜約10、000Pa・Sの溶融粘度を有する。380°Cで約200Pa・S〜約10,000Pa・Sの溶融粘度を持つ樹脂ブレンドであれば、該組成物を溶液加工技術を用いて容易に物品に形成することができる。約200〜約5,000Pa・Sのより低い溶融粘度が有用な実施例もある。
【0161】
溶液加工の別の態様、特に、本明細書に記載のPAEK−ポリスルホンエーテルイミド組成物に必要な高温における態様としては、該組成物の溶融粘度が成型中あるいは押出加工中に過剰な変化を受けない溶融粘度であるということである。溶融安定性を測定する1つの方法として、パラレルプレート型レオメータを用いて、加工温度、例えば380°Cにおける粘度の時間変化を調べる方法がある。実施例によっては、上記温度に約10分間以上保持して、初期粘度の約50%以上を保持していなければならないものもある。また、少なくとも約10分間後、上記の溶融粘度変化が初期値の約35%未満でなければならない実施例もある。上記初期溶融粘度値は、組成物が溶融し平衡に達した後の1〜5分の間に測定される。サンプルを加熱して十分に溶解させ平衡に達したことを確認後、通常1〜5分間待つ。溶融粘度の時間変化の好適な測定方法は、例えばASTM法 D4440である。溶融粘度は、ポイズ(P)あるいはパスカル・秒(Pa・s)で得られ、lPa・s=10Pである。
【0162】
C.コポリエーテルイミド
有用なポリマは、218°C以上のガラス転移温度を有する、式(1)と式(2)と、
【化50】

【化51】

任意に式(3)の構造単位を含むコポリエーテルイミドの共重合体も含むことができ、
【化52】

式中、Rは、ハロゲンあるいはアルキル置換基を含むC6−22の未置換二価芳香族炭化水素あるいはC6−22の置換二価芳香族炭化水素、あるいは、一般式(4)の二価ラジカルを含み、
【化53】

該芳香環の割当てのない位置異性体が、Qに対してメタあるいはパラのいずれかであり、さらにQは、共有結合、−C(CHあるいは式(5)から選択される要素、
【化54】

および、式CyH2y(yは1〜約5の整数)のアルキレンあるいはアルキリデン基であり、Rは、二価芳香族ラジカル、式(1)の単位と式(2)の単位との重量比は、約99.9:0.1〜約25:75の範囲である。これらの要素を持つ共重合体は、Brunelle等の発明になる「コポリエーテルイミド」(2005年2月1日公布の特許第6,849,706号)に十分に議論されており、その内容のすべては参照により本明細書に援用される。
【0163】
E.ブレンドの他の添加剤
上記ブレンドのポリマ成分に加えて、改良された物品製品を作るために他の有用な組成物を添加してもよい。当業者であれば、1つあるいは複数の製造特性あるいは性能特性を改良するために、広範囲の成分を添加できることは理解するであろう。本発明のポリマに金属酸化物が添加される場合もある。
【0164】
実施例によっては、上記の金属酸化物によって、発熱量が低減し最大発熱量到達時間も増加するために、難燃性能(FR)が向上する。二酸化チタンは注目される。その他の金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化鉄および遷移金属酸化物などが含まれる。実施例によっては白色の金属酸化物が望ましい場合もある。金属酸化物は、単独で用いられてもあるいは他の金属酸化物と組み合わせて用いられてもよい。金属酸化物の量は任意でよく、ポリマブレンドの0.01〜約20重量%の範囲で用いられる実施例もある。
【0165】
その他の有用な添加剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛や、アルカリ金属ホウ酸塩あるいはアルカリ土類金属ホウ酸塩、あるいはその他のホウ酸塩などの金属ホウ酸塩といった防煙剤がある。さらに、ホウ酸、ホウ酸塩エステル、酸化ホウ素、あるいは他のホウ素の酸素化合物などの他のホウ素含有化合物は有用である。さらに、アリールホスフェイトや、臭素化アリール化合物から作られた結合を含むポリマを含む臭素化芳香族化合物などの、その他の難燃性添加物も用いられる。ハロゲン化芳香族化合物の例には、臭素化フェノキシ樹脂、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化イミド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、およびそれらの混合物などが含まれる。
【0166】
例えば、リン酸エステル、スルホン酸塩、およびハロゲン化芳香族化合物などの従来の難燃性添加剤を用いられる。これらの難燃性添加剤の任意のあるいはすべてのものの混合物も用いることができる。ハロゲン化芳香族化合物には、臭素化フェノキシ樹脂、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化イミド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、およびそれらの混合物などが含まれる。スルホン酸塩類には、カリウムパーフルオロブチルスルホン酸塩、ナトリウムトシレート、ナトリウムベンゼンスルホン酸塩、ナトリウムジクロロベンゼンスルホン酸塩、カリウムジフェニルスルホンスルホン酸塩、およびナトリウムメタンスルホン酸塩などがある。アルカリ金属およびアルカリ土類金属のスルホン酸塩が好適な場合もある。
【0167】
リン酸塩難燃剤としては、トリアリールホスフェート、トリクレシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ビスフェノールAフェニルジホスフェート、レゾルシノールフェニルジホスフェート、フェニル−ビス−(3,5,5’−トリメチルヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)−p−トリルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、フェニルメチル水素ホスフェート、ジ(ドデシル)−p−トリルホスフェート、ハロゲン化トリフェニルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジフェニル水素ホスフェート、レゾルシノールジホスフェートなどがある。ハロゲン原子、特に臭素および塩素を本質的に含まない難燃性組成物が望ましい場合もある。ハロゲン原子を本質的に含まないとは、ある実施形態においては、ハロゲン原子の量がハロゲン含有組成物量に対して3%未満であり、他の実施形態では1%未満であることを意味する。ハロゲン原子量は通常の化学分析によって決定される。
【0168】
上記の組成物には任意に、組成物量に対して0.01〜約5.0重量%のフッ素ポリマを含有していてもよい。上記のフッ素ポリマは、樹脂組成物に防滴性能をもたらす任意の有効量とすることができる。適切なフッ素ポリマの例およびその製造方法は、例えば、米国特許第3,671,487号、同第3,723,373号および同第3,383,092号に記載されている。適切なフッ素ポリマには、1つまたは複数のフッ素化a―オレフィンモノマから誘導される構造単位を含むホモポリマおよび共重合体が含まれる。上記の「フッ素化a−オレフィンモノマ」とは、少なくとも1つのフッ素原子置換基を含むa−オレフィンモノマを指す。適切なフッ素化a−オレフィンモノマの例としては、例えば、CF=CF、CHF=CF、CH=CFおよびCH=CHFなどのフッ素エチレン類、また、例えば、CFCF=CF、CFCF=CHF、CFCH=CF、CFCH=CH、CFCF=CHF、CHFCH=CHFおよびCFCF=CHなどのフッ素プロピレン類が含まれる。
【0169】
適切なフッ素化a−オレフィン共重合体には、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン)などのフッ素化a―オレフィンモノマの2つ以上から誘導される構造単位を含む共重合体および、1つまたは複数のフッ素化モノマと、例えばポリ(テトラフルオロエチレン−エチレン−プロピレン)共重合体などのフッ素化モノマと共重合できる1つまたは複数の非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマとから誘導される構造単位を含む共重合体が含まれる。適切な非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマは、ポリ(テトラフルオロエチレン)ホモポリマ(PTFE)を好適なものとして、エチレンや、プロピレン、ブテン、例えばメタクリル酸メチルやブチルアクリレートなどのアクリル酸モノマなどの、a−オレフィンモノマ類を含む。
【0170】
上記のブレンドにはさらに、例えば、ガラス繊維や、粉砕ガラス、ガラスビーズ、フレークなどの充填材や補強材が含まれていてもよい。タルクや、珪灰石、雲母、カオリンあるいはモンモリロナイト粘土、シリカ、クォーツおよびバライトなどの鉱物を加えてもよい。上記組成物は、例えば、炭素繊維やナノチューブ、金属繊維、金属粉末、導電性カーボン、およびナノサイズの補強材を含むその他の添加剤などの無機充填材を有効量添加して改質することもできる。
【0171】
他の添加剤としては、亜リン酸塩類、亜ホスホン酸エステル類、およびヒンダードフェノールなどの酸化防止剤がある。トリアリール亜リン酸塩およびアリールホスホン酸塩を含むリン含有安定剤は、有用な添加剤として注目される。二官能基リン含有化合物も用いられる。約300以上の安定剤は好適に用いられる。分子量が500以上のリン含有安定剤が有用な実施例もある。リン含有安定剤は通常、処方中、0.05〜0.5重量%存在する。光安定剤およびUV吸収剤の他に着色剤もブレンドに用いられる。流動性改良剤類および離型剤類も考慮される。離型剤には、例えば、ペンタエリトリトールテトラステアレート、グリセリントリステアレート、およびエチレングリコールジステアレートなどのアルキルカルボン酸エステルなどがある。離型剤は通常、処方中に0.05〜0.5重量%含まれる。好適な離型剤類は、溶融加工中の溶融ポリマ混合物からの飛散を防ぐために、通常約300より大きい分子量を有する。
【0172】
本発明の物品に用いられるポリマブレンドは、造核剤や、清澄剤、剛性添加剤、およびそしてまたは結晶化速度調節剤などの種々の添加剤も含んでいてもよい。これらの添加剤としては、既存の材料のものが既知の量用いられる。
【0173】
3.本発明によるブレンド製造方法
本発明の物品に用いられるポリマブレンドは、上記の材料と処方中の任意の望ましい添加剤との密接混合を含む種々の方法により、上述の成分とブレンドすることができる。溶液混合も用いられるが、溶融混合も好適である。商用のポリマ加工設備で溶融混合装置が入手しやすいことから、溶融加工方法が一般に好適である。溶融加工方法で用いられる装置の例としては、共回転押出機、逆転押出機、単軸スクリュ押出機、コニーダ、ディスクパックプロセッサ、およびその他の種々のタイプの押出成形装置が挙げられる。本プロセスにおける溶融温度は、樹脂の余分な分解を避けるために好適に最小化される。実施形態によっては、溶融加工された組成物は、押出機などの加工設備から金型内の小さな出口孔にかけて存在し、得られるひも状の溶融樹脂は水浴中を通過することによって冷却される。冷却されたひもは、裁断およびまたは、包装、運搬あるいは最終製品生産に便利な形状すなわちペレットに成形される。
【0174】
本明細書で議論されるブレンドは、種々の溶融混合技術で調製される。良好な混合スクリュを備えた真空式の一軸あるいは二軸スクリュ押出機の使用は好適である。そのような押出成形機を運転する溶解加工温度は、一般に、熱可塑性物質のTgより高温の約100〜約150°C°とされる。成分の上記混合物はすべて、個々のフィーダーを用いて押出機口に供給されても、あるいは最初から混合物として供給されてもよい。例えば、2つあるいはそれ以上の樹脂ブレンドにおいて、最初に成分の一部を第1の押出機に押出し、次に混合物の残りを第2の押出機内に添加する方法が好都合な場合もある。最初に着色剤を樹脂凝縮物と混合し、次に樹脂組成物の残りの成分と混合する方法が有用なこともある。押出機口よりもさらに下流で混合物の一部を添加する方法が有益な場合もある。溶融ポリマを押出してひも状にして冷却した後に、次の生産工程に適した大きさのペレットに裁断または切断する。好適なペレットは長さが約1/16〜1/8インチであるが、当業者であれば、ペレットの大きさは任意であることは理解するであろう。
【0175】
ペレット化された熱可塑性樹脂を次に乾燥して水分を除去し、本発明の物品に成形される。温度約135°C〜約150°Cで約4〜約8時間の乾燥が好適であるが、乾燥時間は樹脂の種類に応じて変ってくる。適切な温度、圧力および締付けによる射出成形は、光沢面を持つ物品の生産に好適である。成形時の溶融温度は、樹脂のTgを上回る約100°C〜約200°Cとなる。油加熱の型がより高温のTg樹脂に好適である。型温度は約50°C〜約175°Cの範囲で変えられるが、約120°C〜約175°Cが好適である。当業者であれば、本発明の組成物および物品の製造には、その混合方法と成形条件に関して多くのバリエーションがあり得ることは理解されるであろう。
【0176】
本発明のポリマブレンドはまた、弾性フィルム、コーティング、シート、帯、テープ、リボンなどにすることも可能である。本発明の上記弾性フィルム、コーティングおよびシートは、インフレーション法(例えば、単純圧空成形の他に、トラップトバブル、ダブルバブル、テンタフレームなどの二軸延伸技術など)、キャスト押出し、射出法、熱成形、押出成形、異形押出、およびシート押出し法などを含む既知の任意の技術を用いて製造される。
【0177】
圧縮成形は当業者には周知であり、ポリマブレンドは、金型キャビティ内あるいは形状化された金属面に接して載置される。例えば、液圧プレスにより熱およびまたは圧力が、所定の時間・圧力・温度でポリマブレンドに印加される。それらの条件はブレンドの特性により変えられる。金型からの圧力によってポリマブレンドは金型キャビティ全体を充たす。成形品は冷却後、脱型機構を利用して金型から取り除かれる。プロセス終了時には、ポリマブレンドは金型キャビティあるいは形状化された金属面の形状になっている。Visamaraの発明になる米国特許第4,698,001号には、圧縮成形を方法が開示されている。
【0178】
射出成形は、非強化熱可塑性部品の生産方法として最も普及しており、また、短繊維で補強された熱可塑性複合材料としても一般に用いられている。射出成形は本発明の物品の製造に用いられる。射出成形では、物品製造に必要な量の数倍の量のポリマブレンドを加熱チャンバ内で加熱して粘稠液にし、圧力下で金型キャビティ内に射出する。ポリマブレンドは、冷却されて次に取り除かれるまでの間、高圧下で金型キャビティ内に留まっている。射出成形と射出成形装置は、Hujickの発明に成る米国特許第3,915,608号、Ludwigの発明になる同第3,302,243号およびLamerisの発明になる同第3,224,043号に詳細が議論されている。射出成形は、自動車用品や消費財などの大量生産品として一般に使用されている。サイクルタイムは20〜60秒の範囲である。射出成形はさらに、高度に反復可能なニアネットシェイプ部品も生産する。挿入物回りに穴部および芯物質を成形できることもまた利点である。当業者であれば、射出成形が本発明の所定の物品の生産に最も良好な加工方法であるか、については知ることができるであろう。
【0179】
ブロー成形は、中空熱可塑性製品の生産用の技術である。ブロー成形は、本発明の熱可塑性ポリマの押出しチューブを金型内に配置し、このチューブ内に十分なエアー圧力をかけてチューブ外面を型キャビティの内面に合わせるステップを含んでいる。米国特許第5,551,860号には、ブロー成形を用いて製品を製造する方法が詳細に記載されている。ブロー成形は中空物の生産に限定されない。例えば、ユニットをブロー成形し次にこのユニットを半分にカットして2つのケースを作ることによって「ケース」を作ることができる。フィルムの単純圧空プロセスも、例えば、工学化学百科事典、Kirk−Othmer、第3版、John Wiley & Sons、ニューヨーク、1981年、16巻の416−417ページおよび18巻の191−192ページに記載されている。
【0180】
延伸フィルムは、インフレーション成形あるいは、キャスティングまたはカレンダ掛けされたフィルムを熱変形温度近傍で従来の延伸技術を用いて延伸する方法により、調製することができる。例えば、放射状延伸パンタグラフ法を多軸での同時延伸に適用したり、x−y方向延伸パンタグラフ法を面内x−y方向同時延伸あるいは遂次延伸に用いることができる。機械方向への延伸を行うスピードの異なるロール部と横方向への延伸を行うテンタ枠部とを備えた機械などの、遂次式の一軸延伸部を備えた装置も、一軸延伸および二軸延伸を実現するものとして用いられる。
【0181】
熱可塑性成形システムには、場所によって押出し材の厚みを変えるために、調整可能なゲート部材、つまり動的な型セッティングによって輪郭付けられた熱可塑性スラブの押出し用型が含まれる。この熱可塑性押出し型は、押出された熱可塑性スラブをカットするトリマを備えている。複数の熱可塑性型は、真空成形用であれ圧縮成形であれ、回転台などの可動式台にそれぞれ載せられ、前述の熱可塑性押出し型からトリミングされた熱可塑性スラブを受け取るために一度に一台の金型を移動させる。成形部品は、上記押出し型から加熱して供給される加熱された熱可塑性材スラブから、厚みを変えて形成される。複数の金型が台に載せられ、上記押出し型からスラブを受け取るために1つの金型をローディング位置に送り、そして、第2の金型を形成部品を金型から取り除く脱型位置に送る。
【0182】
上記の台は往復式の台であっても、あるいは回転式の台であってもよく、各成形部品は、別の成形部品がスラブを受け取る間に冷却される。熱可塑性成形プロセスは、場所によって押出しスラブ材の厚みを変えるための熱可塑性押出し型調整装置に応じて押し出し型の設定を選択するステップを含んで提供される。上記の熱可塑性材を流動状態になるまで加熱し、場所によって厚みが変化するように調整された熱可塑性型から押出し、所定の厚みに対して変化した厚みを持つ押出し熱可塑性スラブをトリミングし、加熱熱可塑材のトリミングされたスラブそれぞれを熱成形金型上に載置して、この金型内で、押出しの間に加熱されたスラブから、変化した厚みを持つ所定の部品に成形される。射出成形、熱成形、押出コーティング、異形押出しおよびシート押出し成形は、例えば、プラスチック材料とプロセス、Seymour S. SchwaitzおよびSidney H. Goodman、Van Nostrand Reinhold社、ニューヨーク、1982年、527−563ページ、632−647ページおよび596−602ページに記載されている。
【0183】
真空成形は本発明の成形品の生産に用いることができる。この方法に従って、式1のポリマ材料のシートを鉄フレームあるいは他の装置で固定し取り扱いを容易にする治具に適合させて、上部と下部に配置されたセラミックヒータあるいはワイヤヒーターで加熱した装置内に導入する。過熱するとシートは溶け始める。一旦シートが弛んだ後もさらに加熱を継続すると、シートはフレーム中で拡張する。上記の拡張を確認すると、そのシートは均一の厚みを持ち、しわ、あるいはその他の欠陥がないものに成形することができる。この時点で上記のシートフレームを加熱装置から取り出して金型の横に置き、1気圧以下の減圧下で真空成形を行って所望形状の物品が得られる。その後、この物品を空気または散水により冷却して金型から取り出す。
【0184】
加圧成形に従って、加熱シートあるいはそうでなければ取り扱いを容易にしたシートを金型上に載置し、シートに圧力をかけて金型の形状を持たせる。
【0185】
式1の樹脂を含む製品はスタンプ成形を用いても製造できる。例えば、圧搾金型内の式1の形状化したポリマ片は立て形プレス機に適合し、次に、5〜500kg/cm(好ましくは10〜20kg/cm)の圧力下で加熱成形されて所望形状の物品が得られる。上記の金型をその後、空気あるいは散水により冷却して物品を取り出す。この成形法では、プレス時間は通常少なくとも15秒であり、一般に15〜40秒である。表面の特性を改善するために、成形を2段階の圧力条件下で行うことが好ましい。最初の段階ではポリマ材は、10〜20kg/cmの圧力下に15〜40秒間維持される。その後、第2段階として、40〜50kg/cmの圧力下に少なくとも5秒間維持することによって、優れた表面平滑性を有する成形品が生産される。この方法は、流動性が悪い、式1の無機充填材含有樹脂を用いる場合に好適である。
【0186】
この周知の射出成形プロセスは、式1の樹脂を用いた製品の生産にも使用することができる。射出成形では、樹脂が圧力下で金型キャビティ内に射出される。射出圧は通常40〜140kg/cmであり、好適には70〜120kg/cmである。
【0187】
当業者であれば、本明細書に開示されたポリマブレンドからなる製品は、当分野で既知の任意の方法により任意の所望のフードサービス物品に作られることが理解されるであろう。これらの形状はシンプルであっても複雑な最終用途のために多層構造であってもよい。本明細書に記載のポリマブレンドが形成される電気的なフードサービス物品は、場合によっては、高温ポリマが使われる様々な最終用途に関連する可能なダイキャビティによって拘束されることがある。
【0188】
本発明に準じて、フードサービス物品の1つあるいは複数の面は、フードサービス物品を構成する基礎となるポリマブレンドとは異なる組成物で被覆される。本発明のコーティングには、すべてのタイプの塗料、シート、フィルムなどを含む、当業者に既知のすべてのコーティングが含まれる。
【0189】
本発明のフードサービス物品は、例えば、プラズマ蒸着、スパッタリング、真空蒸着および箔成層などの標準的なプロセスを用いて、例えば金属化することができる。さらに、単一層あるいは多層コーティングを本発明の物品に適用して、美的効果(修飾模様など)や、電導性、電磁遮蔽性、引っかき抵抗性、対紫外線性、美的効果等を付与してもよい。
【0190】
本発明の目的のために、ペイントには、厚みが約1〜500nm、より具体的には約10nm〜約250nmの塗料、ラッカー、ポリマコーティングなどが含まれる。当業者であれば、本発明に従った任意の厚みのコーティングが用いられ、また、10〜70nmあるいは10〜50nmなどの特定の厚み範囲は、コーティングには塗料、金属およびポリマを含んでいる本発明によって考慮される最終用途のいくつかに使用されるコーティングの厚みを単に代表するものであることは、理解するであろう。
【0191】
本発明はまた、物品の1つあるいは複数の面のすべてまたは一部が被覆された、式1の樹脂を含むシートとフィルムに係る。
【0192】
式1のポリエーテルイミド類のブレンドを含む組成物から作られ、1つの面が塗料で被覆されたポリマ製の物品の製造には、様々な方法が用いられる。こうした方法の代表例に従って、プライマまたはアンカとなる被覆剤を成形物品の面のすべてあるいは一部にコーティングし、乾燥させてコーティング層を形成する。成形物品の1つあるいは複数の面のすべてあるいは一部を被覆する厳密な方法は、本発明にとって重要ではない。例えば、被覆材は、ロールコータを用いるローリング、下地コーティングであるプライマがある場合あるいはない場合のスプレーガンを用いたスプレー、ディッピング、ブラッシング、あるいはフローコーティングなどの、標準的な塗装技術を用いて被覆することができる。被覆成形物品を商業規模すなわち大規模生産するには、スプレーガンを用いる方法が有効である。特に、ロボットを使ったコーティング方法が好適に用いられる。
【0193】
本明細書に記載のすべての特許および特許出願は、参照によりその内容の全体が本明細書に援用される。
【実施例】
【0194】
処方1〜9
一部の特性評価はASTM試験法に準拠して行われる。試験に先立ち、成形サンプルはすべて相対湿度50%中に少なくとも48時間放置して調整。逆ノッチ付きアイゾット衝撃値を、ASTM D256に準拠し、室温にて厚み3.2mmの棒で測定。熱変形温度(HDT)を、ASTM D648に準拠し、厚み3.2mmの棒に0.46MPa(66psi)の応力をかけて測定。引張特性を、ASTM法 D638に準拠し、厚み3.2mmのタイプIの棒で測定。曲げ特性を、ASTM法 D790に準拠し、厚み3.2mmの棒で測定。ビカット軟化温度を、ASTM法 D1525に準拠し、50Nの荷重下で測定。示差走査熱量計(DSC)を、ASTM法 D3418に準拠して運転したが、昇温速度と冷却速度は変えて測定。サンプルを、20°C/minで350°Cまで昇温し、20°C/minあるいは80°C/minで冷却して、最大結晶化温度(Tc)を記録。動的機械分析(DMA)を、昇温速度3°C/min、発振周波数1ヘルツにて、厚み3.2mmの棒の曲げモードで測定。DMAテストを、ASTM法 D5418に準拠し、約30〜約300°Cで実施。粘度とせん断速度との関係を、ASTM法 D3835に準拠し、380°Cで1×10mmの型を用いたキャピラリーレオメータにて測定。該ブレンド類のペレットを150°Cで少なくとも3時間乾燥させ、10ラジアン/分のパラレルプレート型レオメータを用いて測定。380°Cにおける溶融粘度の時間変化を測定。
【0195】
ガラス転移温度(Tgs)を、例えば、ASTM法 D34318などの数種類の既知の技術を用いて測定。Tgの測定においては、異なる昇温速度、例えば、5〜30°C/分あるいは10〜20°C/分などを用いることができる。
【0196】
材料
PCEは、約60重量%の、1:1のイソフタル酸エステル基およびテレフタル酸エステル基と、残りのBPAカーボネート基と、を含み、Mwが28,300、Tgが約175°CのBPAコポリカーボネートエステルである。
【0197】
PSEI−1は、4,4’−オキシジフタル無水物(ODPA)と、ほぼ等モル量の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)と、の反応により得られるポリスルホンエーテルイミドであり、Mwは33,000、Tgは約310°Cである。
【0198】
PSEI−2は、約80モル%の4,4’−オキシジフタル酸無水物(ODPA)と約20モル%のビスフェノール−A二無水物(BPADA)との混合物と、ほぼ等モル量の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)と、の反応により得られるポリスルホンエーテルイミド共重合体であり、Mwは28,000、Tgは約280°Cである。
【0199】
PSEI−3は、ビスフェノール−A二無水物(BPADA)と、ほぼ等モル量の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(DDS)と、の反応により得られるポリスルホンエーテルイミドであり、Mwは34,000、Tgは約247°Cである。
【0200】
PSEI−4は、ビスフェノールAジナトリウム塩と、等モル量の1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2,2’−(スルフォニルジ−4,1−フェニレン)ビス[4−クロロ(9CI)との反応により得られるポリスルホンエーテルイミドであり、Mwは50,000、Tgは約265°Cである。
【0201】
発明的処方1〜9は、表1に記載の組成物を用いて調製される。すべての成分量は、樹脂100重量部当たりの部で表され、全樹脂量には、存在するならば安定剤が含まれる。ポリカーボネートエステル(PCE)共重合体は、塩基とトリエチルアミン相間移動触媒の存在下、イソフタロイルおよびテレフタロイル二酸塩と、ビスフェノールAと、の二相反応(メチレンクロライド/水)において調製される。このタイプの合成反応の詳細は、例えば、米国特許第5,521,258号の第13欄、15−45行目に記載されている。生成されるポリエステルカーボネート共重合体は、ビスフェノールAに対して、60%のエステル単位(イソフタレート単位とテレフタレート単位が1:1重量比の混合物として)と、40%のカーボネート単位と、を有する。
【0202】
表1に示される成分は、ペイント撹拌器で混合され、2.5インチ真空式単軸スクリュー押出機に、80〜90rpmで575〜640°Fで押し出される。得られたブレンドはペレット化されて275°Fで4時間乾燥後、5×7×1/8インチのプラークに射出成形される。成形機は、溶融温度を675°F、金型温度を275°Fに設定する。20°光沢、CIE明度値および外観について、各成形サンプルについて決定。20°光沢は、ASTM D523に準拠し、黒タイル標準を使用して測定。CIE明度(L)値は、R.マクドナルドに記載される「産業のための色物理学、2版」(染物師とカラーリストの社会、ブラッドフォード、英国(1997))に準じて測定。外観とは、成形部品の色および透明性/不透明性について、主観的な外観検査を指す。
【0203】
【表1】

【0204】
(実施例2)
上述の1つあるいは複数の技術を用いて、上記の発明的処方1、2、3、4および5をプレート、カップおよびトレー形状に射出成形する。
【0205】
(実施例3)
表1の処方6、7、8および9による材料を、大きな丸型配給ボウル、プレートおよび調理用ハンドル形状をした金型キャビティ内に射出成形する。
【0206】
(実施例4)
処方10〜11
材料
これらの処方に用いられるレゾルシノールエステルポリカーボネート(ITR)樹脂は、イソフタロイルクロライドとテレフタロイルクロライドの1:1混合物と、レゾルシノール、ビスフェノールA(BPA)およびホスゲンとの凝縮物から得られるポリマである。このITRポリマは、エステル結合とカーボネート結合との概略モル比によって名づけられる。ITR9010は、約82モル%のレゾルシノールエステル結合と、8モル%のレゾルシノールカーボネート結合と、約10モル%のBPAカーボネート結合と、を有する。Tgは131°C。
【0207】
PEI=ULTEM1000は、ビスフェノールA二無水物とほぼ等モル量のm−フェニレンジアミンとの反応から得られるポリエーテルイミドであり、GEプラスチック社から販売されている。
【0208】
PEI−シロキサンは、m−フェニレンジアミンと、BPA二無水物と、平均で約10シリコーン原子を含むビス−アミノプロピル基メチルシリコーンと、のイミド化反応から得られるポリエーテルイミドジメチルシロキサン共重合体である。上記PEI−シロキサンは、シロキサン含有量が約34重量%、Mnがゲルペーミエーションクロマトグラフィで測定して約24,000である。
【0209】
PCはBPAポリカーボネートであり、LEXAN130はGEプラスチック社から販売されている。ブレンド類は、レゾルシノール系ポリエステルカーボネート樹脂と、ポリエーテルイミドと、シリコーンポリイミド共重合体樹脂とを、真空式の2.5インチ単軸スクリュ押出機内で混合押出しすることによって調製される。組成物は特に明記されない限り、全組成物中の重量%で示される。押出機は約285〜340°Cの範囲に設定される。上記のブレンド類は真空下、約90rpmの運転で得られる。押出し品を冷却しペレット化して120°Cで乾燥する。試験サンプルは、設定温度320〜360°Cで射出され、サイクルタイム30秒120°Cで成形される。
【0210】
【表2】

【0211】
処方10および11に従って作られた材料を、大きな丸型配給ボウル、プレートおよび調理用ハンドルの形状をした金型キャビティ内に射出する。
【0212】
(実施例5)
ブレンド12〜18を、前述の実施例に記載のブレンド製造プロセスと同じプロセスを用いて製造する。
【0213】
【表3】

【0214】
処方12〜18のそれぞれを、大きな丸型配給ボウル、プレートおよび調理用ハンドルの形状をした金型キャボティ内に射出成形する。
【0215】
(実施例6)
ブレンド19〜25を、前述の実施例に記載のブレンド製造プロセスと同じプロセスを用いて製造する。
【0216】
【表4】

上記の発明的処方19〜25を、1つあるいは複数の上述の技術を用いて、プレート、カップおよびトレーの形状に射出成形する。
【0217】
(実施例7)
処方26〜31を、前述の実施例に記載のブレンド製造プロセスと同じプロセスを用いて製造する。
【0218】
【表5】

処方26〜31の各々を、大きな丸型配給ボウル、プレートおよび調理用ハンドルの形状をした金型キャビティ内に射出成形する。
【0219】
(実施例8)
材料
これらの処方に用いられるレゾルシノールエステルポリカーボネート(ITR)樹脂は、イソフタロイルクロライドとテレフタロイルクロライドの1:1混合物と、レゾルシノール、ビスフェノールA(BPA)およびホスゲンとの凝縮物から得られるポリマである。このITRポリマは、エステル結合とカーボネート結合との概略モル比によって名づけられる。ITR9010は、約82モル%のレゾルシノールエステル結合と、8モル%のレゾルシノールカーボネート結合と、約10モル%のBPAカーボネート結合と、を有する。Tgは131°C。PEI−シロキサンは、m−フェニレンジアミンと、BPA二無水物と、平均で約10シリコーン原子を含むビス−アミノプロピル基メチルシリコーンと、のイミド化反応から得られるポリエーテルイミドジメチルシロキサン共重合体である。上記PEI−シロキサンは、シロキサン含有量が約34重量%、Mnがゲルペーミエーションクロマトグラフィで測定して約24,000である。
【0220】
PSuは、ビスフェノールAとジクロロジフェニルスルホンとの反応から得られるポリスルホンであり、Solvay社からUDEL1700として販売されている。
【0221】
PESは、ジヒドロキシフェニルスルホンとジクロロジフェニルスルホンとの反応から得られるポリエーテルスルホンであり、BASF社からULTRASON Eとして販売されている。この実施例のブレンド類には、混合中に3%部の二酸化チタン(TiO2)が添加されていることに留意のこと。ブレンド類は、レゾルシノール系ポリエステルカーボネート樹脂と、ポリスルホンまたはポリエーテルスルホンと、シリコーンポリイミド共重合体樹脂との混合物を、真空式の2.5インチ単軸押出機内で混合押出して調製される。組成物は特に明記されない限り、全組成物中の重量%で示される。押出機は約285〜340°Cの範囲に設定される。上記ブレンド類は、真空下約90rpmの運転で得られる。押出し品を冷却しペレット化して120°Cで乾燥する。
【0222】
【表6】

【0223】
処方32〜34は、設定温度320−360°Cで射出し、サイクルタイム30秒120°Cで成形して、ディナープレート、ティーカップソーサおよび調理用ハンドルを形成する。
【0224】
(実施例9)
表7の処方35および36は、PSuあるいはPESと、高含有量(60重量%)のレゾルシノールエステルポリカーボネート共重合体とのブレンド類を示す。これらのブレンド類は、前述の実施例に記載のプロセスにより製造される。
【0225】
【表7】

【0226】
処方35〜36は、設定温度320〜360°Cで射出され、サイクルタイム30秒120°Cで成形されて、ディナープレート、ティーカップソーサおよび調理用ハンドルを形成する。
【0227】
当業者であれば、これ以上の説明がなくても、本明細書の記述を用いて本発明を作り利用できるものと考えられる。以下の実施例は、クレームされた発明を実践する当業者への追加的ガイダンスを提供するために含まれている。これらの実施例は、研究を表すものとして提供され、本発明の教示に貢献するものである。従って、これらの実施例は、いかなる方法においても本発明の範囲を限定するように意図されるものではない。他に明記されない場合は、すべての部は重量である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)217°Cを超えるガラス転移温度を複数有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む不混和性のポリマブレンドと、
b)180°Cを超える単一のガラス転移温度を有する1つあるいは複数のポリエーテルイミド類を含む混和性のポリマブレンドと、
あるいは、
c)247°Cを超えるガラス転移温度を有する単一のポリエーテルイミドと、
から構成される群から選択されるポリマ、共重合体あるいはポリマ類のブレンドを含む高温熱可塑性組成物を含むことを特徴とするフードサービス物品。
【請求項2】
前記ポリエーテルイミドは、炭素原子数に対する水素原子数の比が約0.4〜0.85であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項3】
前記ポリエーテルイミドは、本質的にベンジルプロトンを含まないことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項4】
2つ以上のガラス転移温度を持つポリマ類の不混和性ブレンドを含み、非ポリエーテルイミドポリマは、約180°Cを超えるガラス転移温度を有することを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項5】
200°Cを超える単一のガラス転移温度を有するポリマ類の混和性ブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項6】
247°Cを超えるガラス転移温度を有する単一のポリエーテルイミドポリマを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項7】
ポリスルホン類と、ポリエーテルスルホン類と、ポリフェニレンエーテルスルホイン類と、それらの混合物と、から構成される群から選択される第1の樹脂と、
シリコーン共重合体を含む第2の樹脂と、
レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂を含む第3の樹脂と、のブレンドを含み、
50モル%以上の前記アリールポリエステル結合は、レゾルシノールから誘導されたアリールエステル結合であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項8】
前記シリコーン共重合体は、ポリイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドスルホンシロキサン類、ポリカーボネートシロキサン類、ポリエステルカーボネートシロキサン類、ポリスルホンシロキサン類、ポリエーテルスルホンシロキサン類、ポリフェニレンエーテルスルホンシロキサン類およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項9】
前記シリコーン共重合体の含有量は、前記ポリマブレンドの0.1〜約10.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項10】
前記シロキサン共重合体は、5〜約70重量%のシロキサン含有量を有していることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項11】
前記ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、ポリフェニレンエーテルスルホン類およびそれらの混合物は、炭素原子数に対する水素原子数の比率が0.85以下であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項12】
さらに、前記ポリマブレンドの0.1〜20重量%の金属酸化物を1つあるいは複数含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項13】
前記レゾルシノール系アリールポリエステルは、下記に示す構造を有し、
【化1】

式中、Rは、C1−12アルキル、C−C24アリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0−4であり、mは少なくとも約8であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項14】
前記レゾルシノール系ポリエステル樹脂は、下記に示す構造を有するカーボネート結合を含む共重合体であり、
【化2】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、Rは少なくとも1つの二価有機ラジカルであり、mは約4〜150であり、pは約2〜200であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項15】
式中Rは、ビスフェノール化合物から誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項16】
前記不混和性の相分離ポリマブレンドは、
a)ポリアリールエーテルケトン類と、ポリアリールケトン類と、
ポリエーテルケトン類と、ポリエーテルエーテルケトン類と、を含む群の1つあるいは複数から選択される第1の樹脂成分と、
b)少なくとも1つのアリールスルホン基を含む50モル%以上の結合を有する少なくとも1つのポリスルホンエーテルイミドを含む第2の樹脂成分と、
の混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項17】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、少なくとも50モル%のポリスルホンエーテルイミドの繰り返し単位が、少なくとも1つのアリールエーテル結合と、少なくとも1つのアリールスルホン結合と、少なくとも2つのアリールイミド結合と、を含むように、アリールスルホン結合とアリールエーテル結合とを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項18】
少なくとも50モル%の前記ポリスルホンエーテルイミド結合は、オキシジフタル酸無水物あるいはその化学的均等物から誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項19】
30モル%未満のポリスルホンエーテルイミド結合は、イソアルキリデン基を含むジアミンあるいは二無水物から誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項20】
成形物品は、ASTM法 D648に準拠して測定し、66psi(0.46MPa)の応力下、厚み3.2mmのサンプルを用いて測定した熱変形温度(HDT)が170°C以上であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項21】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、成形物品の全重量の30〜約70重量%の範囲で存在することを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項22】
前記成形物品は、5重量%未満の繊維補強材を有していることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項23】
前記成形物品は、ASTM D5418に準拠して測定し、200°Cで3.2mmのサンプルで測定した弾性率が約200Mpaより大きいことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項24】
前記成形物品は、ASTM法 D3835に準拠して測定し、380°Cで、200〜10,000パスカル・秒の範囲の溶融粘度を有していることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項25】
前記成形物品は、380°Cに10分間放置後の溶融粘度が初期値の35%以上は変化しないことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項26】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、本質的にベンジルプロトンを含まないことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項27】
前記ポリアリールエーテルケトン、ポリアリールケトン、ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトンの内の1つあるいは複数は、結晶融点が300°C〜から380°Cであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項28】
前記ポリスルホンエーテルイミドは、ガラス転移温度(Tg)が250°C〜350°Cであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項29】
ASTM法 D5418に準拠して測定し、少なくとも2つの異なるガラス転移温度を有し、第1のガラス転移温度は120°C〜200°Cであり、第2のガラス転移温度は250°C〜350°Cであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項30】
ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物からなる群から選択される第1の樹脂と、シリコーン共重合体を含む第2の樹脂と、レゾルシノール系アリールポリエステル樹脂を含む第3の樹脂と、のブレンドを含み、
50モル%以上の前記アリールポリエステル結合は、レゾルシノールから誘導されるアリールエステル結合であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項31】
前記シリコーン共重合体は、ポリイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドシロキサン類、ポリエーテルイミドスルホンシロキサン類、ポリカーボネートシロキサン類、ポリエステルカーボネートシロキサン類、ポリスルホンシロキサン類、ポリエーテルスルホンシロキサン類およびポリフェニレンエーテルスルホンシロキサン類から構成される群から選択される1つあるいは複数であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項32】
前記シリコーン共重合体の含有量は、前記ポリマブレンドの0.1〜約10.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項33】
前記シリコーン共重合体は、シロキサン含有量が5〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項34】
前記ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリエーテルイミドスルホン類、およびそれらの混合物は、水素原子対炭素原子の比が0.75以下であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項35】
前記ポリマブレンドに対して0.1〜20重量%の金属酸化物をさらに1つあるいは複数含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項36】
前記レゾルシノール系アリールポリエステルは、下記に示す構造を有し、
【化3】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの内の少なくとも1つであり、nは0〜4、また、mは少なくとも約8であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項37】
前記レゾルシノール系ポリエステル樹脂は、下記に示す構造を有するカーボネート結合を含む共重合体であり、
【化4】

式中、Rは、C1−12のアルキル、C−C24のアリール、アルキルアリール、アルコキシ、あるいはハロゲンの少なくとも1つであり、nは0〜4であり、Rは、少なくとも1つの二価有機ラジカルであり、mは約4〜150、また、pは約2〜200であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項38】
は、ビスフェノール化合物から誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項39】
前記ポリイミドは、
(a)ビスフェノールA二無水物、オキシジフタル無水物、ピロメリット二無水物、ジフタル二無水物、スルホニル二無水物、サルファ二無水物、ベンゾフェノン二無水物、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアリール二無水物類と、
(b)メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、オキシジアニリン、ビスアミノフェノキシベンゼン、ビスアミノフェノキシビフェニル、ビスアミノフェニルフェニルスルホン、ジアミノジフェニルスルフィド、およびそれらの混合物からなる群から選択されるアリールジアミンと、
から作られることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項40】
前記成形物品は、ガラス転移温度が少なくとも約218°Cのコポリエーテルイミドを含み、
前記コポリエーテルイミドは、式(1)および(2)の構造単位と、
【化5】

【化6】

また任意に式(3)の構造単位と、を含み、
【化7】

式中、Rは、未置換のC6−22二価芳香族炭化水素か、あるいは、ハロゲンまたはアルキル置換基あるいはそれら置換基の混合物を含む置換のC6−22二価芳香族炭化水素か、あるいは、芳香環回りの非割当位置異性体がQに対してメタあるいはパラのいずれかであり、Qは共有結合または式(5)で構成されるものから選択される要素である一般式(4)の二価ラジカルのいずれかと、
【化8】

【化9】

式C2yのアルキレン基またはアルキリデン基と、を含み、
ここで、yは1以上5以下の整数であり、Rは二価芳香族ラジカルであり、式(1)の構造単位と式(2)の構造単位との重量比が99.9:0.1〜25:75の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項41】
225°C以上のTgを有するコポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項42】
式(3)の構造単位を含むコポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項43】
は、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニル、3,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,4−トルエンジアミン、およびそれらの混合物、の群から選択される少なくとも1つのジアミンから誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項44】
は、式(6)ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素の少なくとも1つから誘導され、
(式6) HO―――D―――OH
式中、Dは、式(7)の構造を有し、
【化10】

ここで、Aは芳香族基を表し、Eは、スルフィド、スルフォキシド、スルホンなどの硫黄含有結合と、ホスフィニル、ホスホニルなどのリン含有結合と、エーテル結合と、カルボニル基と、第三級窒素基と、シラン、シロキシなどのシリコン含有結合と、シクロペンチリデン、3,3,5−トリメチルシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、3,3−ヂメチルシクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、ネオペンチリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、アダマンチリデンなどの脂環式基と、任意に、1つのヒドロキシ置換基を有する1つあるいは複数の芳香族基に接続した1つあるいは複数の縮合環の一部であるアルキレン基またはアルキリデン基と、不飽和のアルキリデン基と、あるいは、アルキレンまたはアルキリデンとは異なる部分が接続し、芳香族結合と、第3級窒素結合と、エーテル結合と、カルボニル結合と、シラン、シロキシなどのシリコーン含有結合と、スルフィド、スルホキシド、スルホンなどの硫黄含有結合と、ホスフィル、ホスホニルなどのリン含有結合と、から構成される群から選択される、2つ以上のアルキレンまたはアルキリデンと、を含み、Rは、水素と、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、あるいはシクロアルキルなどの1価炭化水素基と、を含み、Yは独立に、無機原子、ハロゲン、ニトロ基などの無機基、アルケニル、アリル、アルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、シクロアルキル、およびアルコキシ基などの1価の炭化水素基、から構成される群から選択され、文字「m」は、0以上で、置換可能なAの位置までの数の内の任意の整数であり、文字「p」は、0以上で、置換可能なEの位置までの数の内の整数であり、文字「t」は、少なくとも1以上の整数であり、文字「s」は、0あるいは1に等しい整数であり、「u」は、0を含む任意の整数である、ことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項45】
式(1)(2)および(3)のそれぞれにおけるRの構造単位は同じであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項46】
式(1)(2)および(3)の内少なくとも2つの式におけるRの構造単位の少なくとも一部は同じでないことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項47】
は、4,4’−(シクロペンチリデン)ジフェノール4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’−(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−(3,3−ジメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−(メチルシクロヘキシリデン)ジフェノール,4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシノール、C1−3アルキル置換レゾルシノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、3,3−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチリンダン−5オール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,3−トリメチリンダン−5−オール、2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオールから構成される群から選択される少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項48】
は、式(9)のものから構成される基から選択される、少なくとも1つのジヒドロキシ置換芳香族炭化水素から誘導され、
【化11】

式中、Rはそれぞれ独立に、水素、塩素、臭素あるいはC1−30の1価炭化水素またはヒドロカーボンオキシ基であり、少なくとも1つのZは塩素、臭素、および式(10)のものであることを条件として、Zはそれぞれ、水素、塩素あるいは臭素であり、
【化12】

ここでRはそれぞれ独立に前述に定義されたものであり、RおよびRは、水素またはC1−30の炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項49】
は、ビスフェノールAから誘導されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項50】
少なくとも1つの連鎖停止剤から誘導される構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項51】
前記連鎖停止剤は、ハロゲン化アルキル、塩化アルキル、ハロゲン化アリール、塩化アリールおよび式(17)および(18)の塩化物から構成される群から選択される、少なくとも1つの未置換または置換要素であり、
【化13】

【化14】

式中、前記塩化物置換基は3位または4位の位置にあり、ZおよびZは、置換または未置換のアルキルあるいはアリールであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項52】
前記連鎖停止剤は、モノクロロベンゾフェノン、モノクロロジフェニルスルホン、モノクロロフタルイミド、4−クロロ−N−メチルフタルイミド、4−クロロ−N−ブチルフタルイミド、4−クロロ−N−オクタデシルフタルイミド、3−クロロ−N−メチルフタルイミド3−クロロ−N−ブチルフタルイミド、3−クロロ−N−オクタデシルフタルイミド、4−クロロ−N−フェニルフタルイミド、3−クロロ−N−フェニルフタルイミド、モノ−置換ビス−フタルイミド、モノクロロビスフタルイミドベンゼン、1−[N−(4−クロロフタルイミド)]−3−(N−フタルイミド)ベンゼン、1−[N−(3−クロロフタルイミド)]−3−(N−フタルイミド)ベンゼン、モノクロロビスフタルイミドジフェニールスルホン、モノクロロビスフタルイミドジフェニルケトン、モノクロロビスフタルイミドフェニルエーテル、4−[N−(4−クロロフタルイミド)]フェニル−4’−(N−フタルイミド)フェニルエーテル、4−[N−(3−クロロフタルイミド)フェニル]−4’−(N−フタルイミド)フェニルエーテル、および3,4’−ジアミノジフェニルエーテルから誘導される最後の2つの化合物の対応する異性体、から構成される群から選択される、少なくとも1つの要素であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項53】
式1の単位の重量と式2の単位の重量の比が、約99:1〜約25:75であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項54】
0.455MPaの応力下における熱変形温度が、少なくとも205°Cであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項55】
ASTM法 D648に準拠して測定し、0.455MPaの応力下における熱変形温度が少なくとも210°Cであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項56】
ASTM法 D3763に準拠して測定し、脆性状態と延性状態間の遷移温度が最大30°Cであることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項57】
前記ポリエーテルイミドは、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定した重量平均分子量がポリスチレン標準に対して、約20,000〜約80,000であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項58】
単一のポリエーテルイミドを含み、前記成形物品の1面あるいは複数の面のすべてあるいは一部は、被覆材でコーティングされており、前記被覆材は成形物品とは異なる組成物を有し、また、前記成形物品は、247°Cを超えるガラス転移温度を持つ単一のポリエーテルイミドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項59】
ポリマ類のブレンドを含み、前記成形物品の1面あるいは複数の面のすべてあるいは一部は、被覆材でコーティングされており、前記被覆材は成形物品とは異なる組成物を有し、また、前記成形物品は、217°Cを超えるガラス転移温度を持つ少なくとも1つのポリエーテルイミドを含むポリマ類のブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項60】
a)ポリスルホン類と、ポリエーテルスルホン類と、ポリフェニレンエーテルスルホイン類と、それらの混合物と、から構成される群から選択される第1の樹脂と、
b)シリコーン共重合体を含む第2の樹脂と、
c)50モル%以上のアリールポリエステル結合は、レゾルシノールから共に誘導されたアリールエステル結合であるレゾルシノール系アリールポリエステル樹脂を含む第3の樹脂と、
d)ポリアリールエーテル類、ポリカーボネート類、ポリエステルカーボネート類、ポリアリレート類、ポリアミド類、およびポリエステル類から構成される群から選択される1つあるいは複数の樹脂を含む第4の樹脂と、
からなる樹脂ブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項61】
前記成形物品は、ポリエーテルイミド類と、ポリエステル類とポリエーテルイミド類とを含む単一相ブレンド類と、から構成される群から選択される単一相アモルファス樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項62】
少なくとも1つのホウ素原子を含む化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項63】
FAR 25.853に準拠して測定した2分後の最大発熱量が約60kW・分/m未満であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項64】
FAR25.853に準拠して測定した全発熱量が80kw/m未満であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項65】
前記成形物品は、ASTM D638に準拠して測定した引張破断伸び率が約50%以上のポリマブレンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項66】
前記難燃性ポリマブレンドは、ASTM D790に準拠して測定した曲げ弾性率が300Kpsi(2070Mpa)以上であることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項67】
前記成形物品は、シート類、フィルム類、多層シート類、繊維類、フィルム類、多層フィルム類、成形部品類、異型押出品類、被覆部品類および発砲品類から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項68】
218°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項69】
219°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項70】
前記成形物品は、220°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項71】
221°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項72】
222°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項73】
223°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項74】
224°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項75】
225°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項76】
230°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項77】
235°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項78】
240°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項79】
245°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項80】
250°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項81】
255°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項82】
260°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項83】
265°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項84】
270°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項85】
275°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項86】
300°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項87】
350°C以上のTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項88】
約225°C〜250°CのTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項89】
約250°C〜275°CのTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項90】
約275°C〜300°CのTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。
【請求項91】
約300°C〜350°CのTgを少なくとも1つ有する材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のフードサービス物品。

【公表番号】特表2009−520072(P2009−520072A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545777(P2008−545777)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/047599
【国際公開番号】WO2007/078788
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】