説明

PTCヒータ用温度コントローラ

【課題】 ヒータ温度を直接検出する温度センサを用いずに、また、通電開始時から所定温度到達後においても所定のヒータ温度に容易に制御可能とするPTCヒータ用温度コントローラを提供することである。
【解決手段】 PTCヒータ3に通電される電流値を検知する電流センサ13を設け、検知された電流値に応じて、通電のオン・オフ時間の割合を予め設定された割合に変更する制御を行うPTCヒータ用温度コントローラ1とし、予め設定される所望のヒータ温度に応じて特定される電流値との偏差により所定の制御を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状発熱体であるPTCヒータの温度を制御するPTCヒータ用温度コントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、PTC特性(温度の増大と共に抵抗値が増大する性質)を有する面状発熱体を用いて、床暖房を行うようになってきている。
【0003】
一般に、部屋内の空調にはエアコン等により集中的な空調が行われている。そのために、室内の全てが均一な室温になっていることはなく、場所によってかなりの温度差が生じている。特に冬季には、温調による暖気が床面に行き渡らず、また、夏季には、冷気が床面に滞るために、快適さが損なわれている。そのために、特定場所に前記面状発熱体を有する床暖房装置を配置することで、室内の温調管理を効果的に行うことができる。
【0004】
また、最近ではパソコン等のOA機器が増えてきており、室内の温度も人に最適な温度とすることより、高価なOA機器に適当な温度に設定する場合もある。特にパソコン等は使用時間が長くなると発熱量が増加するために、室内温度を割りと低く設定する場合が多い。
【0005】
そのために、特に人がいる床上付近を部分的に暖房する要求がある等、室内の特定のフロアを部分的に暖房したい場合があり、特定の場所のフロアのみを床暖房付きフロアに変更したいことがある。またこの例として、面発熱体を付設した配線用二重床が公開されている。(例えば、特許文献1参照)
さらには、ヒータが安定領域に達した後で、ヒータ側に流れる電流値を調整することでPTCヒータの温度を調整するとした出願も既に公開されている。(例えば、特許文献2参照)
【特許文献1】特開平6−341655号公報(第1−3頁、第1図)
【特許文献2】特開2004−259557号公報(第1−8頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
床上を部分的に暖房したい時には、ストーブ等の暖房機を設置すればよいが、床に余分な物を載置することになり、邪魔になったり美観を損ねる場合がある。
【0007】
PTC特性を有するヒータユニットは、それ自体で自己温度制御があるため、わざわざ温度制御機構を追加して設ける必要がない。そのために、温度制御を行う際には、新たな温度センサやサーミスタ等の部品点数の多い素子を用いる温度制御機構を追加して、温度の制御と安全性を確保していた。
【0008】
上記のように、ヒータの温度を検知するために温度センサを設ける場合には、前記センサをヒータまたはヒータの近傍に設置し、センサケーブルを配線する必要があり、新たな配線を組み込む配線工事が必要となる。
【0009】
また、単にヒータユニットに通電される電流値を制御するだけでは、通電開始時の立ち上がりにおいて、所定のヒータ温度にまで昇温するのに多大の時間を要する。そのために、ヒータ温度が所定となるまでは電流値の制御を行わずに、ヒータユニットの温度が所定温度となったことを確認した後で、通電される電流値を制御することが必要となる。
【0010】
本発明の目的は、上記問題点を解消するために、ヒータ温度を直接検出する温度センサを用いずに、また、通電開始時から所定温度到達後においても所定のヒータ温度に容易に制御可能とするPTCヒータ用温度コントローラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために請求項1に係る発明は、温度の増大と共に抵抗値が増大するPTC特性を備えるPTCヒータの温度を制御するコントローラであって、前記PTCヒータに通電される電流値を検知する電流センサを設け、検知された電流値に応じて、通電のオン・オフ時間の割合を予め設定された割合に変更する制御を行うことを特徴としている。
【0012】
上記の構成を有する請求項1に係る発明によれば、ヒータへの通電開始時から所定の温度に安定するまで、また安定した後でも連続して、ヒータに通電される電流値によりヒータ温度を制御することができる。
【0013】
請求項2に係る発明は、検知される前記電流値に対応するヒータ温度を特定し、特定された前記ヒータ温度と予め設定される所定の設定ヒータ温度との偏差に応じた所定の割合で、通電のオン・オフ時間を制御する構成としたことを特徴としている。
【0014】
上記の構成を有する請求項2に係る発明によれば、通電開始時から所定のヒータ温度に達した後でも、効率よくヒータ温度の制御を行うことができる。
【0015】
請求項3に係る発明は、通電のオン・オフ時間の1サイクル周期は、PTCヒータの特性に応じてそれぞれのPTCヒータ毎に一定に設定される時間であることを特徴としている。
【0016】
上記の構成を有する請求項3に係る発明によれば、それぞれのヒータに適した周期でヒータの温度を制御することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、温度の増大と共に抵抗値が増大するPTC特性を備えるPTCヒータの温度を制御するコントローラであって、前記PTCヒータに通電される電流値を検知する電流センサと、通電されている電流値をDC電圧値に変換して実際に供給される電力値を算出する電力変換部と、算出された電力値を予め規定されるヒータ温度に対応する電力値と比較して偏差を検出する偏差検出部と、検出された偏差により、通電のオン・オフ時間の割合を予め設定された割合に変更するコントローラ部とを備えたことを特徴としている。
【0018】
上記の構成を有する請求項4に係る発明によれば、ヒータの温度を任意の温度に容易に設定し制御することができる。
【0019】
請求項5に係る発明は、前記PTCヒータが、断熱材と、面状発熱体と、絶縁シートとを順に重ねると共に、これらを一体的に被覆する金属製保護ケーシングとから構成されるヒータユニットケース体を備え、下方に向けて脚部を突設した支持台に前記ヒータユニットケース体とタイルカーペットを順に敷設して構成する床暖房付フリーアクセスフロアに適用されている面状発熱体であることを特徴としている。
【0020】
上記の構成を有する請求項5に係る発明によれば、PTCヒータを備える床暖房付フリーアクセスフロアのヒータ温度を任意の温度に設定し制御することができる。
【発明の効果】
【0021】
上記したように本発明によれば、ヒータへの通電開始時から所定の温度に安定するまで、また安定した後でも連続して、ヒータに通電される電流値に応じた制御を行うことで所定のヒータ温度に速やかに達することができ、また所定のヒータ温度を維持することができる。さらに、それぞれのヒータ特性に適したサイクル周期で制御するので、効率よくヒータ温度の制御を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係るPCTヒータ用温度コントローラの実施の形態について、図1から図4に基づいて説明する。
【0023】
本発明に係るPTC特性を備える面状発熱体であるPTCヒータ3は図1に示すように、導通性の電極箔を左右から櫛型に配設して、図中の右側電極箔3aと左側電極箔3bを有しており、その間に半導体インクからなる発熱材3cを密封した薄いフィルム状シートである。また、その両面はフィルムにより絶縁された構造となっている。
【0024】
また、前記PTCヒータ3の外方に突出している端子部3Aを、断熱材2に設けられた切欠部2Aに収容する構成とした。そのために、前記端子部3Aに端子カバー3Aaが装着された形状となっても、前記PTCヒータ3の上面側に出っ張ることもなく、前記切欠部2A内に完全に収容することができる。さらに、前記端子部3Aから延設しているリード線3Bはコントローラ1を経由して制御盤10に配線されている。
【0025】
PTC特性を有していない通常の薄型電熱ヒータ発熱体では、発熱温度を調整するためにフィードバック制御装置が必要であり高価となる。しかし、前記PTCヒータ3は、温度が上昇すると電気抵抗が増大する所謂正熱特性(PTC特性と称する)を有する自己温度制御型の発熱体であるので、複雑な制御なしで、発熱温度を自己調整することが可能となる。そのために本発明に係るPTCヒータ3を、床暖房用の面状発熱体として採用することが好適である。
【0026】
次に図3により、前記PTCヒータ3と前記断熱材2と絶縁シート4とを、金属板の四方を折り曲げて箱状に形成した金属製保護ケーシング5内に収納して一体化されたヒータユニットを備える床暖房付フリーアクセスフロアFについて説明する。
【0027】
図中に示す床暖房付フリーアクセスフロアFは、二重床構造として配線用空間を構成するための樹脂製支持台6の上に、前記PTCヒータを備えて一体化されるヒータユニットケース体CAを載置して、さらに、その上にタイルカーペット7等を敷設してフロアを形成している。
【0028】
前記ヒータユニットケース体CAは、金属板の四方を折り曲げて箱状に形成した金属製保護ケーシング5内に、断熱材2と、PTCヒータ3と、絶縁シート4とを下から上へ順に積載して一体的にユニット構成されたものである。
【0029】
このときに、箱状の金属製保護ケーシング5、5Aの二枚をその開口部同士を向かい合わせにしてケース体とし、そのケース体内CAaに断熱材2と、PTCヒータ3と、絶縁シート4とを順に重ねて収納する構成とすれば、電気回路を導電体(この場合は金属製保護ケーシング5、5A)で囲む(被覆する)構成となり、電気回路から発せられる電磁波が外部に発散するのをさらに低減することができ、好適である。
【0030】
前記断熱材2は、厚さが5〜20mm程度の建材用プラスチック発泡材であって、一般的に床暖房用として使用されている市販の材料である。この断熱材2は前記PTCヒータ3の熱を床下には逃がさずに、床上を効率よく暖房する効果を有する。
【0031】
絶縁シート4は、合成ゴム又はプラスチック製の厚みが1mm程(又はそれ以下)の電気絶縁性のシートであって、電気的安全性を完全にするために、前記PTCヒータ3と金属製保護ケーシング5との間にはさみこんで使用する構成とした。
【0032】
金属製保護ケーシング5は、四方を下向きに折り曲げて平らな上面を有する箱型ケーシングであって、暖房部材1が組み込まれた床暖房付フリーアクセスフロア上を人が歩いても、また、人が腰掛けたキャスター椅子が乗り上げても、さらにまた、物を置いたりしても、前記PTCヒータ3が損傷しないように保護する部材であり、アルミ合金板あるいは鉄板製のケーシングである。
【0033】
前記金属製保護ケーシング5は、前記PTCヒータ3の発生する熱を床面に均等に伝熱する均熱板であると共に、床面の強度を向上するための保護板であり、単に平面状の板材であってもよい。ただし、上記のように箱状とした内部に、断熱材2と、PTCヒータ3と、絶縁シート4とを一体的に収納した箱型のケース体構成とすれば、構造的強度が向上すると共に、一体的にユニット化されたヒータユニットケース体CAとして取り扱うことができ好適である。
【0034】
また、前記PTCヒータ3の有効面積は前記発熱材3cが配設された部分であり、床暖房付フロア全面積に対して小さいが、この金属製保護ケーシング5の伝熱効果により、ヒータユニットケース体CAの床面全面を均一な温度とすることができる。つまり、該金属製保護ケーシング5は、保護板であると共に均熱板でもある。そのために、該金属製保護ケーシング5の素材としては伝熱性のよいアルミ合金が特に好適である。
【0035】
前記ヒータユニットケース体CAが載置される樹脂製支持台6の四方の側部にはそれぞれに、配線用のU溝状の切欠部6bが複数設けられている。また、前記切欠部6bは、床上に設置するOA機器や電気装置への配線用通路となっており、前記樹脂製支持台6の脚部6aにより形成される床下の下部空間内に、容易に配線することができる。
【0036】
そのために、配線が床上に現れないので配線を気にする必要もなく、ヒータユニットケース体CAを備える床暖房付フリーアクセスフロアFを室内の任意の位置に配設することが可能となり、室内の任意の場所を個別にそれぞれ暖房することができる。
【0037】
暖房開始時に前記PTCヒータ3へ所定の電圧で通電されると、櫛状の右側電極箔3aと左側電極箔3b間の発熱材3cが発熱する。このときに、前記発熱材3cの抵抗(温度により変化する)に応じた電流が通電される。前記発熱材3cは温度が上昇すると電気抵抗が増大する所謂正熱特性(PTC特性と称する)を有しているので、温度の上昇と共に通電される電流が減少していき消費電力を低減させ、所定温度以上には昇温しない自己温度制御型の特徴を有する。そのために、所定の設計温度以上に上昇することはなく、安全であると共に電気効率がよい。
【0038】
さらに、本発明においては、所望のヒータ温度に速やかに達すると共に、より効率のよいヒータ温度制御を行うために、PTCヒータ用温度コントローラ1を設けた。そのために、寒い日や比較的暖かい日などによって、床暖房の温度を任意に設定することが可能であり、さらに快適な室内環境とすることができる。
【0039】
本発明に係わるPTCヒータ用温度コントローラ1は、PTCヒータ3へ供給する電力を制御する装置であって、前記PTCヒータ3に通電される電流値に応じて、通電のオン・オフの長さを変更して、供給する電力を加減して発熱量を制御するものである。図2にPTCヒータ用温度コントローラ1の概要を示すが、(a)はその主要な構成を示すブロック図であり、(b)は電流値と抵抗値とヒータ温度との関係を示すグラフであり、(c)はオン・オフ制御の割合とそのパターンを示すグラフである。
【0040】
図2(a)に示すように、PTCヒータ用温度コントローラ1は、PTCヒータ3に通電(供給)される電流値を検出するための電流センサ13と、検出された電流値を予め設定された電力値と比較するために、交流電流をDC電圧に変換して実際の電力値を算出する電力変換部14と、予め設定された電力値と実際の電力値との偏差を検出するための偏差検出部11とを備えている。また、予め目標電力値を設定する設定部15が制御盤10に設けられており、前記設定部15により予め設定される電力値と前記算出された実際の電力値とを比較して検出される偏差により、コントローラ部12が通電のオン・オフを制御する構成である。
【0041】
図2(b)(c)に示すグラフより制御の仕方について説明する。PTCヒータ3は、温度の増大と共に抵抗値が増大する性質(PTC特性)を有しているので、供給される電力(電圧が一定の場合には通電される電流値に比例する)により予め発熱量が規定されている。そのために、電流センサ13により検知される電流値に対応して、その時のヒータ温度を特定することができる。また、予め所望のヒータ温度を設定すると、その設定温度に対応して所定の電流値(電力値)が特定されるので、設定される電流値(電力値)と検知される実際の電流値(電力値)との偏差を検出して、その偏差に応じた制御を行うことで、発熱量を加減することができる。
【0042】
そのために、本実施の形態においては、所望されるヒータ温度(T℃)に特定できる電流値と実際に検出される電流値との偏差に応じた所定の割合で、通電のオン・オフ時間を制御する構成とした。つまり、通電開始時のまだ発熱温度が低い状態である図中の高い電流値Aに対しては、ヒータ温度Ta℃が特定され、その際には、通電の制御サイクルの1周期(P)のうち80%をオン(通電)時間とし、20%をオフ(非通電)時間と規定した。
【0043】
また、少し温度が上昇した状態の電流値Bを検出すると、この時のヒータ温度はTb℃と特定され、制御サイクルPのうち50%を通電時間とした。さらに温度が上昇した状態の電流値Cを検出すると、この時のヒータ温度をTc℃と特定し、制御サイクルの1周期Pのうち20%を通電時間とし、80%を非通電時間とした。
【0044】
上記のように、通電のオン・オフ時間の時間割合を、実際に供給されている電流値に応じた所定割合とすることで、低い温度状態であり供給される電流値が大きい場合には、図中に示す制御WAのように、より長い時間電力を供給して、ヒータ温度を速やかに上昇させることができる。また、徐々にヒータ温度が上昇し、供給される電流値が低下してくると、その電流値に応じて通電時間を短くするように制御するので、図中に示す通電時間が50%の制御WBから通電時間が20%となる制御WCまで順に制御パターンを変えていき、徐々に温度の増加を抑制していくことができる。そのために、目標のヒータ温度までは速やかに上昇するが、所定の温度以上には昇温しない構成とすることができる。
【0045】
また、通電の制御サイクルPの1周期は、それぞれのPTCヒータの特性に応じて一定に設定される時間であって、使用される発熱材の材質等によるPTCヒータの特性に応じて適当な時間に設定することができる。
【0046】
上記のように、本発明に係わるPTCヒータ用温度コントローラ1は、実際に通電されている電流値からヒータ温度を特定し、さらにフィードバックして、予め設定される所望のヒータ温度との偏差に応じて、予め設定されるオン・オフ時間の割合を変更した所定のパターン制御を行うことでヒータ温度をコントロールすることができる。
【0047】
そのために、ヒータ温度を検出するための温度センサを別に設ける必要もなく、新たな配線も必要としない。
【0048】
ヒータユニットケース体CAを備える床暖房付フリーアクセスフロアFを用いて床暖房を行う際に、前記ヒータユニットケース体CAの大きさは単独の樹脂製支持台6と同じ大きさとしてもよいが、本実施例においては前記樹脂製支持台6Aが一辺25cm程度の大きさであるので、図に示すように、2個の樹脂製支持台6Aと6Bとを合わせた幅と長さを備える大きさとし、計4個の小さな樹脂製支持台に同時に敷設する、一辺の長さが50cm程度の方形の大きさとした。
【0049】
つまり、本実施例においては50cm角のフリーアクセスフロア毎に床暖房装置(ヒータユニットケース体)を敷設可能な構成としたものである。
【0050】
また、樹脂製支持台6の大きさを従来の樹脂製支持台と同じ大きさとし、さらに、その高さを、ヒータユニットケース体CAを装着して従来の樹脂製支持台と同じ高さとなるようにしておくと、タイルカーペット7を共有して敷設可能な構成となる。そのために、タイルカーペット7を従来のフリーアクセスフロアと床暖房付フリーアクセスフロアとに架け渡すように敷設することが可能となり、床の一部を床暖房付フリーアクセスフロアに改装しても、床に少しの段差も生じず、違和感を感じることもない。
【0051】
また、前述したように、樹脂製支持台6の四方の側部にはそれぞれ、U溝状の切欠部6bが複数設けられているので、床上に設置するOA機器や電気装置への配線を床下にて行うことができ、配線ケーブル等が床上に現れない構成である。
【0052】
図4に従来のフリーアクセスフロアに床暖房付フリーアクセスフロアが配設される事務所の一例を示しているが、人が位置する部分のみをPTCヒータ3を有する床暖房付フリーアクセスフロアとしたところを示す平面図である。事務所20の人が位置する床21A、21B、21C、21Dをそれぞれ床暖房付フリーアクセスフロアとし、それぞれのPTCヒータ3をオン・オフ制御して所定のヒータ温度を維持するPTCヒータ用温度コントローラ1と制御盤10を配設した例である。
【0053】
前記制御盤10は、複数のPTCヒータ3の発熱量をそれぞれ個別に設定可能とすることができる。それぞれのPTCヒータ3毎に、実際に供給される電流値に応じて、通電するタイミングとオン・オフの時間割合を、予め設定したパターンに制御するPTCヒータ用温度コントローラ1を用いることで、それぞれのPTCヒータ3の発熱温度を所定温度とし、効率よく所定温度に維持すると共に、消費電力を低く押えるような構成とされている。
【0054】
PTCヒータ3は自己温度制御性能を備えているが、さらに、通電するタイミングとオン・オフの割合を制御することで、室内の居住環境を季節毎にまたその日毎に変更して設定することができる。そのために、温度センサやサーモスタット等が不要となり余分な電装装置がないので、設置する施工工事が簡単になる。また、常時通電しておくのではなく所定の割合でオフして通電しない時間を設ける制御を行うのでランニングコストを低減することができる。
【0055】
本発明に係るPTCヒータ用温度コントローラを備える床暖房付フリーアクセスフロアは暖房部材をユニット化した構成であるので、従来のフリーアクセスフロア部分と簡単に交換して設置することができる。そのために、事務所内の机やOA機器等の配置や大きさの変更等に対応して、その床暖房付フリーアクセスフロアのレイアウトを簡単に変更することができる。
【0056】
また、それぞれのヒータユニット毎に、PTCヒータ3の発熱温度を制御することができるので、室内のそれぞれ位置の温度環境を調整することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係るPTCヒータの一例を示す平面図」である。
【図2】本発明に係わるPTCヒータ用温度コントローラの概要を示し、(a)はその主要な構成を示すブロック図であり、(b)は電流値と抵抗値とヒータ温度との関係を示すグラフであり、(c)はオン・オフ制御の割合とそのパターンを示すグラフである。
【図3】PTCヒータを備えるヒータユニットケース体の断面図を示している。
【図4】ヒータユニットケース体を備える床暖房付フリーアクセスフロアが配設される事務所の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 PTCヒータ用温度コントローラ
2 断熱材
3 PTCヒータ(面状発熱体)
4 絶縁シート
5 金属製保護ケーシング
10 制御盤
11 偏差検出部
12 コントローラ部
13 電流センサ
14 電力変換部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の増大と共に抵抗値が増大するPTC特性を備えるPTCヒータの温度を制御するコントローラであって、
前記PTCヒータに通電される電流値を検知する電流センサを設け、検知された電流値に応じて、通電のオン・オフ時間の割合を予め設定された割合に変更する制御を行うことを特徴とするPTCヒータ用温度コントローラ。
【請求項2】
検知される前記電流値に対応するヒータ温度を特定し、特定された前記ヒータ温度と予め設定される所定の設定ヒータ温度との偏差に応じた所定の割合で、通電のオン・オフ時間を制御する構成としたことを特徴とする請求項1に記載のPTCヒータ用温度コントローラ。
【請求項3】
通電のオン・オフ時間の1サイクル周期は、PTCヒータの特性に応じてそれぞれのPTCヒータ毎に一定に設定される時間であることを特徴とする請求項1または2に記載のPTCヒータ用温度コントローラ。
【請求項4】
温度の増大と共に抵抗値が増大するPTC特性を備えるPTCヒータの温度を制御するコントローラであって、
前記PTCヒータに通電される電流値を検知する電流センサと、通電されている電流値をDC電圧値に変換して実際に供給される電力値を算出する電力変換部と、算出された電力値を予め規定されるヒータ温度に対応する電力値と比較して偏差を検出する偏差検出部と、検出された偏差により、通電のオン・オフ時間の割合を予め設定された割合に変更するコントローラ部とを備えたことを特徴とするPTCヒータ用温度コントローラ。
【請求項5】
前記PTCヒータが、断熱材と、面状発熱体と、絶縁シートとを順に重ねると共に、これらを一体的に被覆する金属製保護ケーシングとから構成されるヒータユニットケース体を備え、下方に向けて脚部を突設した支持台に前記ヒータユニットケース体とタイルカーペットを順に敷設して構成する床暖房付フリーアクセスフロアに適用されている面状発熱体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のPTCヒータ用温度コントローラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−185766(P2006−185766A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378602(P2004−378602)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】