説明

すれ違いビーム用車両用前照灯

【課題】拡散配光パターンP2が暗くなること及び装置全体のコストアップを回避しつつ、対向車線側歩行者視認用配光パターンP4を形成する。
【解決手段】発光素子光源1からの光を反射したリフレクタ2の楕円系反射面からの光のうち投影レンズ4を透過せしめられた光によってメイン配光パターンP1を形成し、発光素子光源21からの光を反射したリフレクタ22の放物系反射面22aからの光によって拡散配光パターンP2を形成するすれ違いビーム用車両用前照灯100において、発光素子光源1からの光を反射したリフレクタ5の反射面からの光のうちリフレクタ6の反射面によって反射され、投影レンズ4を透過せしめられた光によってオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3を形成し、発光素子光源21からの光を反射したリフレクタ22のサブ反射面22bからの光によって対向車線側歩行者視認用配光パターンP4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影レンズからの光によってカットオフラインを有する配光パターンを形成するプロジェクタ型ランプユニットと、放物系反射面からの光によって拡散配光パターンを水平線よりも下側に形成する反射型ランプユニットとを有するすれ違いビーム用車両用前照灯に関する。
【0002】
特に、本発明は、放物系反射面からの光によって形成される拡散配光パターンが暗くなってしまうのを回避すると共に、すれ違いビーム用車両用前照灯全体のコストアップを回避しつつ、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成することができるすれ違いビーム用車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、発光素子光源と、発光素子光源からの光を反射するための楕円系反射面を有するリフレクタとを設け、リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に発光素子光源を配置し、リフレクタの楕円系反射面の第2焦点上またはその近傍にカットオフラインを形成するためのシェードのエッジ部分を配置し、リフレクタの楕円系反射面の第2焦点上またはその近傍に投影レンズの焦点を配置し、リフレクタの楕円系反射面からの光のうち、シェードのエッジ部分により遮られることなく投影レンズを透過せしめられた光によって、カットオフラインを有する配光パターンを形成するすれ違いビーム用車両用前照灯が知られている。この種のすれ違いビーム用車両用前照灯の例としては、例えば特許文献1(特開2009−26587号公報)に記載されたものがある(特許文献1の図4および図5(C)参照)。
【0004】
更に、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯では、他の発光素子光源と、他の発光素子光源からの光を反射するための放物系反射面を有するリフレクタとが設けられている(特許文献1の図2および図3参照)。また、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯では、放物系反射面からの光によって、カットオフラインを有する配光パターン(特許文献1の図5(C)参照)よりも拡散度合いが大きい拡散配光パターン(特許文献1の図5(A)参照)が、水平線よりも下側に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−26587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯では、放物系反射面を有するリフレクタの一部に追加反射面(特許文献1の図2および図3参照)が形成され、その追加反射面からの光によってオーバーヘッドサイン視認用配光パターン(特許文献1の図5(B)参照)が形成される。
【0007】
つまり、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯では、投影レンズを透過せしめられた光によってカットオフラインを有する配光パターン(特許文献1の図5(C)参照)を形成することができ、リフレクタの放物系反射面からの光によってカットオフラインを有する配光パターンより拡散度合いが大きい拡散配光パターン(特許文献1の図5(A)参照)を形成することができ、リフレクタの追加反射面からの光によってオーバーヘッドサイン視認用配光パターン(特許文献1の図5(B)参照)を形成することができるものの、配光規格において要求されている対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成することができない。
【0008】
すなわち、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯によって、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成することができるようにするためには、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成するための追加反射面を、放物系反射面を有するリフレクタに更に追加するか、あるいは、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成するための新たなランプユニットを追加する必要がある。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯の放物系反射面を有するリフレクタに、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成するための追加反射面を更に追加すると、放物系反射面の面積が小さくなってしまい、その結果、放物系反射面からの光によって形成される拡散配光パターン(特許文献1の図5(A)参照)が暗くなってしまう。
【0010】
一方、特許文献1に記載されたすれ違いビーム用車両用前照灯に、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成するための新たなランプユニットを追加すると、すれ違いビーム用車両用前照灯全体が重量化してしまい、すれ違いビーム用車両用前照灯全体のコストが嵩んでしまう。
【0011】
前記問題点に鑑み、本発明は、放物系反射面からの光によって形成される拡散配光パターンが暗くなってしまうのを回避すると共に、すれ違いビーム用車両用前照灯全体のコストアップを回避しつつ、対向車線側歩行者視認用配光パターンを形成することができるすれ違いビーム用車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、第1発光素子光源(1)と、第1発光素子光源(1)からの光を反射するための楕円系反射面を有する第1リフレクタ(2)とを設け、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第1焦点(F2a)上またはその近傍に第1発光素子光源(1)を配置し、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第2焦点(F2b)上またはその近傍にカットオフライン(CL)を形成するための第1シェード(3)のエッジ部分(3a)を配置し、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第2焦点(F2b)上またはその近傍に第1投影レンズ(4)の焦点(F4)を配置し、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面からの光のうち、第1シェード(3)のエッジ部分(3a)により遮られることなく第1投影レンズ(4)を透過せしめられた光によって、カットオフライン(CL)を有するメイン配光パターン(P1)を形成し、
第2発光素子光源(21)と、第2発光素子光源(21)からの光を反射するための放物系反射面(22a)を有する第2リフレクタ(22)とを設け、
第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光によって、水平線(HL)よりも下側に位置し、メイン配光パターン(P1)よりも拡散度合いが大きい拡散配光パターン(P2)を形成するすれ違いビーム用車両用前照灯(100)において、
第1発光素子光源(1)からの光を反射するための反射面を有する第3リフレクタ(5)を、第1リフレクタ(2)と第1投影レンズ(4)との間であって、第1投影レンズ(4)の焦点(F4)よりも上側に配置し、
第3リフレクタ(5)の反射面からの光を反射するための反射面を有する第4リフレクタ(6)を、第1シェード(3)のエッジ部分(3a)と第1投影レンズ(4)との間であって、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面から第1投影レンズ(4)に入射する光の光路よりも下側に配置し、
第3リフレクタ(5)の反射面からの光のうち、第4リフレクタ(6)の反射面によって反射され、第1投影レンズ(4)を透過せしめられた光によって、オーバーヘッドサイン視認用配光パターン(P3)を形成し、
第2リフレクタ(22)の一部にサブ反射面(22b)を形成し、
第2リフレクタ(22)のサブ反射面(22b)からの光によって対向車線側歩行者視認用配光パターン(P4)を形成することを特徴とするすれ違いビーム用車両用前照灯(100)が提供される。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第1発光素子光源(1)と第1リフレクタ(2)と第1シェード(3)と第1投影レンズ(4)と第3リフレクタ(5)と第4リフレクタ(6)とによってプロジェクタ型ランプユニット(U1)を構成し、
第2発光素子光源(21)と第2リフレクタ(22)とによって反射型ランプユニット(U2)を構成し、
プロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)が、光軸調整機構(104)によって車両用前照灯ハウジング(101)に対して一体的に回動せしめられるように、プロジェクタ型ランプユニット(U1)と反射型ランプユニット(U2)とを接続し、
製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターン(P2)の上縁(P2U)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニット(U2)の第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光の向きを設定したことを特徴とする請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)が提供される。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、光軸調整機構(104)によってプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターン(P1)が形成される位置に基づいて光軸調整機構(104)によってプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)の光軸調整を行うことを特徴とする請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)が提供される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、第3発光素子光源(31)と、第3発光素子光源(31)からの光を反射するための楕円系反射面を有する第5リフレクタ(32)とを設け、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第1焦点(F32a)上またはその近傍に第3発光素子光源(31)を配置し、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第2焦点(F32b)上またはその近傍にカットオフライン(CL’)を形成するための第2シェード(33)のエッジ部分(33a)を配置し、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第2焦点(F32b)上またはその近傍に第2投影レンズ(34)の焦点(F34)を配置し、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面からの光のうち、第2シェード(33)のエッジ部分(33a)により遮られることなく第2投影レンズ(34)を透過せしめられた光によって、メイン配光パターン(P1)よりも拡散度合いが大きく、拡散配光パターン(P2)よりも拡散度合いが小さいカットオフライン(CL’)を有する中間配光パターン(P5)を形成することを特徴とする請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)が提供される。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、第1発光素子光源(1)と第1リフレクタ(2)と第1シェード(3)と第1投影レンズ(4)と第3リフレクタ(5)と第4リフレクタ(6)とによって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)を構成し、
第2発光素子光源(21)と第2リフレクタ(22)とによって反射型ランプユニット(U2)を構成し、
第3発光素子光源(31)と第5リフレクタ(32)と第2シェード(33)と第2投影レンズ(34)とによって第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)を構成し、
第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)が、光軸調整機構(104)によって車両用前照灯ハウジング(101)に対して一体的に回動せしめられるように、第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)と反射型ランプユニット(U2)と第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)とを接続し、
製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターン(P2)の上縁(P2U)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニット(U2)の第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光の向きを設定し、
製造誤差によって中間配光パターン(P5)が上向きにずれた場合であっても、中間配光パターン(P5)の対向車線側のカットオフライン(CL’)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の第2投影レンズ(34)からの光の向きを設定したことを特徴とする請求項4に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)が提供される。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、光軸調整機構(104)によって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターン(P1)が形成される位置に基づいて光軸調整機構(104)によって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の光軸調整を行うことを特徴とする請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)が提供される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1発光素子光源(1)と、第1発光素子光源(1)からの光を反射するための楕円系反射面を有する第1リフレクタ(2)とが設けられている。また、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第1焦点(F2a)上またはその近傍に第1発光素子光源(1)が配置されている。更に、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第2焦点(F2b)上またはその近傍にカットオフライン(CL)を形成するための第1シェード(3)のエッジ部分(3a)が配置されている。
【0019】
また、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第2焦点(F2b)上またはその近傍に第1投影レンズ(4)の焦点(F4)が配置されている。更に、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面からの光のうち、第1シェード(3)のエッジ部分(3a)により遮られることなく第1投影レンズ(4)を透過せしめられた光によって、カットオフライン(CL)を有するメイン配光パターン(P1)が形成される。
【0020】
換言すれば、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1投影レンズ(4)からの光によってカットオフライン(CL)を有するメイン配光パターン(P1)を形成するプロジェクタ型ランプユニット(U1)が設けられている。
【0021】
更に、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第2発光素子光源(21)と、第2発光素子光源(21)からの光を反射するための放物系反射面(22a)を有する第2リフレクタ(22)とが設けられている。また、第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光によって、水平線(HL)よりも下側に位置し、メイン配光パターン(P1)よりも拡散度合いが大きい拡散配光パターン(P2)が形成される。
【0022】
つまり、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、放物系反射面(22a)からの光によって拡散配光パターン(P2)を水平線(HL)よりも下側に形成する反射型ランプユニット(U2)が設けられている。
【0023】
また、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1発光素子光源(1)からの光を反射するための反射面を有する第3リフレクタ(5)が、第1リフレクタ(2)と第1投影レンズ(4)との間であって、第1投影レンズ(4)の焦点(F4)よりも上側に配置されている。更に、第3リフレクタ(5)の反射面からの光を反射するための反射面を有する第4リフレクタ(6)が、第1シェード(3)のエッジ部分(3a)と第1投影レンズ(4)との間であって、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面から第1投影レンズ(4)に入射する光の光路よりも下側に配置されている。
【0024】
そのため、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、第3リフレクタ(5)の反射面からの光のうち、第4リフレクタ(6)の反射面によって反射され、第1投影レンズ(4)を透過せしめられた光によって、オーバーヘッドサイン視認用配光パターン(P3)を形成することができる。
【0025】
更に、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第2リフレクタ(22)の一部にサブ反射面(22b)が形成されている。また、第2リフレクタ(22)のサブ反射面(22b)からの光によって対向車線側歩行者視認用配光パターン(P4)が形成される。
【0026】
すなわち、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、オーバーヘッドサイン視認用配光パターン(P3)が、第2リフレクタ(22)からの光によって形成されるのではなく、第1投影レンズ(4)からの光L3によって形成される。
【0027】
そのため、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、仮に拡散配光パターン(P2)を形成するための放物系反射面(22a)と、対向車線側歩行者視認用配光パターン(P4)を形成するためのサブ反射面(22b)と、オーバーヘッドサイン視認用配光パターン(P3)を形成するための反射面とが第2リフレクタ(22)に形成されるのに伴って、放物系反射面(22a)からの光によって形成される拡散配光パターン(P2)が暗くなってしまうのを回避することができる。
【0028】
また、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、仮に対向車線側歩行者視認用配光パターン(P4)を形成するための新たなランプユニットがプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)とは別個に設けられるのに伴って、すれ違いビーム用車両用前照灯(100)全体がコストアップしてしまうのを回避することができる。
【0029】
すなわち、請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、放物系反射面(22a)からの光によって形成される拡散配光パターン(P2)が暗くなってしまうのを回避すると共に、すれ違いビーム用車両用前照灯(100)全体のコストアップを回避しつつ、対向車線側歩行者視認用配光パターン(P4)を形成することができる。
【0030】
請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1発光素子光源(1)と第1リフレクタ(2)と第1シェード(3)と第1投影レンズ(4)と第3リフレクタ(5)と第4リフレクタ(6)とによってプロジェクタ型ランプユニット(U1)が構成されている。また、第2発光素子光源(21)と第2リフレクタ(22)とによって反射型ランプユニット(U2)が構成されている。更に、プロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)が、光軸調整機構(104)によって車両用前照灯ハウジング(101)に対して一体的に回動せしめられるように、プロジェクタ型ランプユニット(U1)と反射型ランプユニット(U2)とが接続されている。
【0031】
そのため、請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、プロジェクタ型ランプユニット(U1)用の光軸調整機構と反射型ランプユニット(U2)用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、すれ違いビーム用車両用前照灯(100)全体を小型化することができる。
【0032】
また、請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、プロジェクタ型ランプユニット(U1)用の光軸調整機構と反射型ランプユニット(U2)用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、光軸調整作業の煩雑さを低減することができる。
【0033】
更に、請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターン(P2)の上縁(P2U)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニット(U2)の第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光の向きが設定されている。
【0034】
そのため、請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光が対向車の幻惑光になってしまうおそれを確実に排除することができる。
【0035】
請求項3に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、光軸調整機構(104)によってプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターン(P1)が形成される位置に基づいて光軸調整機構(104)によってプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)の光軸調整が行われる。
【0036】
そのため、請求項3に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、配光規格を満足する配光パターン(P1,P2,P3,P4)を確実に形成することができる。
【0037】
請求項4に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第3発光素子光源(31)と、第3発光素子光源(31)からの光を反射するための楕円系反射面を有する第5リフレクタ(32)とが設けられている。また、第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第1焦点(F32a)上またはその近傍に第3発光素子光源(31)が配置されている。更に、第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第2焦点(F32b)上またはその近傍にカットオフライン(CL’)を形成するための第2シェード(33)のエッジ部分(33a)が配置されている。
【0038】
また、請求項4に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第2焦点(F32b)上またはその近傍に第2投影レンズ(34)の焦点(F34)が配置されている。更に、第5リフレクタ(32)の楕円系反射面からの光のうち、第2シェード(33)のエッジ部分(33a)により遮られることなく第2投影レンズ(34)を透過せしめられた光によって、メイン配光パターン(P1)よりも拡散度合いが大きく、拡散配光パターン(P2)よりも拡散度合いが小さいカットオフライン(CL’)を有する中間配光パターン(P5)が形成される。
【0039】
換言すれば、請求項4に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第2投影レンズ(34)からの光によってカットオフライン(CL’)を有する中間配光パターン(P5)を形成するプロジェクタ型ランプユニット(U3)が設けられている。
【0040】
そのため、請求項4に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、中間配光パターン(P5)を形成するプロジェクタ型ランプユニット(U3)が設けられていない場合よりも、運転者がメイン配光パターン(P1)の外縁部より外側の部分を暗く感じてしまうおそれを低減することができる。
【0041】
請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1発光素子光源(1)と第1リフレクタ(2)と第1シェード(3)と第1投影レンズ(4)と第3リフレクタ(5)と第4リフレクタ(6)とによって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)が構成されている。また、第2発光素子光源(21)と第2リフレクタ(22)とによって反射型ランプユニット(U2)が構成されている。更に、第3発光素子光源(31)と第5リフレクタ(32)と第2シェード(33)と第2投影レンズ(34)とによって第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)が構成されている。
【0042】
また、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)が、光軸調整機構(104)によって車両用前照灯ハウジング(101)に対して一体的に回動せしめられるように、第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)と反射型ランプユニット(U2)と第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)とが接続されている。
【0043】
そのため、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)用の光軸調整機構と反射型ランプユニット(U2)用の光軸調整機構と第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、すれ違いビーム用車両用前照灯(100)全体を小型化することができる。
【0044】
更に、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)用の光軸調整機構と反射型ランプユニット(U2)用の光軸調整機構と第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、光軸調整作業の煩雑さを低減することができる。
【0045】
また、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターン(P2)の上縁(P2U)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニット(U2)の第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光の向きが設定されている。
【0046】
そのため、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光が対向車の幻惑光になってしまうおそれを確実に排除することができる。
【0047】
更に、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、製造誤差によって中間配光パターン(P5)が上向きにずれた場合であっても、中間配光パターン(P5)の対向車線側のカットオフライン(CL’)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の第2投影レンズ(34)からの光の向きが設定されている。
【0048】
そのため、請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、製造誤差によって中間配光パターン(P5)が上向きにずれた場合であっても、第2投影レンズ(34)からの光が対向車の幻惑光になってしまうおそれを確実に排除することができる。
【0049】
請求項6に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)では、光軸調整機構(104)によって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターン(P1)が形成される位置に基づいて光軸調整機構(104)によって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の光軸調整が行われる。
【0050】
そのため、請求項6に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)によれば、製造誤差によって拡散配光パターン(P2)および/または中間パターン(P5)が上向きにずれた場合であっても、配光規格を満足する配光パターン(P1,P2,P3,P4,P5)を確実に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100を示した図である。
【図2】第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100を示した図である。
【図3】第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の光路図である。
【図4】第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の光路図である。
【図5】第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によって形成される配光パターンP1,P2,P3,P4を示した図である。
【図6】第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100を示した図である。
【図7】第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100を示した図である。
【図8】第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の光路図である。
【図9】第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によって形成される配光パターンP1,P2,P3,P4,P5を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明のすれ違いビーム用車両用前照灯の第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100を示した図である。詳細には、図1はエクステンション106(図2参照)を透視して見た第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の概略的な正面図である。図2は第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100のプロジェクタ型ランプユニットU1、反射型ランプユニットU2および光軸調整機構104の一部を構成するボールジョイント104aならびにエイミングスクリュー104bなどを説明するための概略的な鉛直断面図である。
【0053】
図3および図4は第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の光路図である。詳細には、図3(A)はカットオフラインCL(図5(A)参照)を有するメイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するためにプロジェクタ型ランプユニットU1の投影レンズ4の下側部分を透過せしめられた光L1の光路を示している。図3(B)はカットオフラインCL(図5(A)参照)を有するメイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するためにプロジェクタ型ランプユニットU1の投影レンズ4の上側部分を透過せしめられた光L2の光路を示している。図4(A)はオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成するためにプロジェクタ型ランプユニットU1の投影レンズ4を透過せしめられた光L3の光路、および、拡散配光パターンP2(図5(B)参照)を形成するためのリフレクタ22の放物系反射面22aからの光L4の光路を示している。図4(B)は対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)を形成するためのリフレクタ22のサブ反射面22bからの光L5の光路を示している。
【0054】
図5は第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によって形成される配光パターンP1,P2,P3,P4を示した図である。詳細には、図5(A)はカットオフラインCLを有するメイン配光パターンP1およびオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3を示している。図5(B)は拡散配光パターンP2を示している。図5(C)は対向車線側歩行者視認用配光パターンP4を示している。図5(D)はそれらの配光パターンP1,P2,P3,P4を重ね合わせて示している。
【0055】
第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、例えばLED、LDなどのような発光素子光源1と、発光素子光源1からの光を反射するための楕円系反射面を有するリフレクタ2とが設けられている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、発光素子光源1およびリフレクタ2がヒートシンク7(図1および図2参照)に接続されている。更に、例えば樹脂材料などによってリフレクタ2が形成され、例えばリフレクタ2の表面にAl蒸着を施すことなどによってリフレクタ2の楕円系反射面が形成されている。楕円系反射面は、例えば、回転楕円面、回転楕円面を基本とする自由曲面などによって構成されている。
【0056】
また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、リフレクタ2の楕円系反射面の第1焦点F2a上またはその近傍に発光素子光源1が配置されている。更に、リフレクタ2の楕円系反射面の第2焦点F2b上またはその近傍にカットオフラインCL(図5(A)参照)を形成するためのシェード3のエッジ部分3aが配置されている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、シェード3がヒートシンク7(図1および図2参照)に接続されている。更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、例えば樹脂材料などによってシェード3が形成され、例えばシェード3の表面にAl蒸着を施すことなどによってシェード3のエッジ部分3aおよび反射面3bが形成されている。第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、シェード3とヒートシンク7とが別個の部材によって形成されているが、第2の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、シェード3とヒートシンク7とを一部材によって形成することも可能である。
【0057】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、リフレクタ2の楕円系反射面の第2焦点F2b上またはその近傍に投影レンズ4の焦点F4が配置されている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、投影レンズ4がレンズホルダ8(図2参照)を介してヒートシンク7(図1および図2参照)に接続されている。更に、投影レンズ4とレンズホルダ8とがリテーナ9(図1および図2参照)によって固定されている。第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、投影レンズ4がレンズホルダ8を介してヒートシンク7に接続されているが、第3の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、レンズホルダ8を介して投影レンズ4をリフレクタ2,5(図2参照)に接続することも可能である。
【0058】
第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2および図3(A)に示すように、例えば、発光素子光源1のうち、リフレクタ2の楕円系反射面の第1焦点F2a(図2参照)上から放射された光が、リフレクタ2の楕円系反射面によってリフレクタ2の楕円系反射面の第2焦点F2b(図2参照)に集光せしめられる。更に、リフレクタ2の楕円系反射面からの光のうち、シェード3のエッジ部分3aにより遮られることなく投影レンズ4の下側部分を透過せしめられた光L1によって、カットオフラインCL(図5(A)参照)を有するメイン配光パターンP1(図5(A)参照)が形成される。
【0059】
また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2および図3(B)に示すように、例えば、発光素子光源1のうち、リフレクタ2の楕円系反射面の第1焦点F2a(図2参照)からずれた位置から放射された光が、リフレクタ2の楕円系反射面によって反射されると、リフレクタ2の楕円系反射面からの光の一部が、シェード3の上面に形成された反射面3bによって反射される。更に、シェード3の反射面3bからの光のうち、投影レンズ4の上側部分を透過せしめられた光L2によって、カットオフラインCL(図5(A)参照)を有するメイン配光パターンP1(図5(A)参照)が形成される。
【0060】
換言すれば、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、投影レンズ4からの光L1,L2(図3(A)および図3(B)参照)によってカットオフラインCL(図5(A)参照)を有するメイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するプロジェクタ型ランプユニットU1が設けられている。
【0061】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、例えばLED、LDなどのような発光素子光源21と、発光素子光源21からの光を反射するための放物系反射面22aを有するリフレクタ22とが設けられている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、発光素子光源21およびリフレクタ22がヒートシンク7(図1および図2参照)に接続されている。更に、例えば樹脂材料などによってリフレクタ22が形成され、例えばリフレクタ22の表面にAl蒸着を施すことなどによってリフレクタ22の放物系反射面22aが形成されている。放物系反射面22aは、例えば、回転放物面、回転放物面を基本とする自由曲面、放物柱面、放物柱面を基本とする自由曲面などによって構成されている。
【0062】
第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、発光素子光源1が接続されているヒートシンク7に対して発光素子光源21が接続されているが、第4の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、ヒートシンク7を複数個に分割し、発光素子光源1が接続されているヒートシンク(図示せず)とは別個のヒートシンク(図示せず)に対して発光素子光源21を接続することも可能である。第4の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、複数個のヒートシンク(図示せず)が互いに接続されている。
【0063】
第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2および図4(A)に示すように、例えば、発光素子光源21から放射された光がリフレクタ22の放物系反射面22aによって反射される。更に、リフレクタ22の放物系反射面22aからの光L4(図4(A)参照)によって、水平線HL(図5(B)参照)よりも下側に位置し、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)よりも拡散度合いが大きい拡散配光パターンP2(図5(B)参照)が形成される。詳細には、拡散配光パターンP2(図5(B)参照)の上縁P2U(図5(B)参照)が水平線HL(図5(B)参照)よりも下側に位置するように、拡散配光パターンP2(図5(B)参照)が形成される。
【0064】
つまり、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、放物系反射面22aからの光L4(図4(A)参照)によって拡散配光パターンP2(図5(B)参照)を水平線HL(図5(B)参照)よりも下側に形成する反射型ランプユニットU2が設けられている。
【0065】
また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、発光素子光源1からの光を反射するための反射面を有するリフレクタ5が、リフレクタ2と投影レンズ4との間であって、投影レンズ4の焦点F4よりも上側に配置されている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、例えば樹脂材料などによってリフレクタ5が形成され、例えばリフレクタ5の表面にAl蒸着を施すことなどによってリフレクタ5の反射面が形成されている。第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、リフレクタ2とリフレクタ5とが一部材によって形成されているが、第5の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、リフレクタ2とリフレクタ5とを別個の部材によって形成することも可能である。
【0066】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、リフレクタ5の反射面からの光を反射するための反射面を有するリフレクタ6が、シェード3のエッジ部分3aと投影レンズ4との間であって、リフレクタ2の楕円系反射面から投影レンズ4に入射する光L1’(図3(A)参照)の光路よりも下側に配置されている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、例えば樹脂材料などによってリフレクタ6が形成され、例えばリフレクタ6の表面にAl蒸着を施すことなどによってリフレクタ6の反射面が形成されている。第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図2に示すように、シェード3とリフレクタ6とが一部材によって形成されているが、第6の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、シェード3とリフレクタ6とを別個の部材によって形成することも可能である。あるいは、第7の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、シェード3とリフレクタ6とヒートシンク7とを一部材によって形成することも可能である。
【0067】
第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図4(A)に示すように、発光素子光源1から放射された光の一部がリフレクタ5の反射面によって反射される。更に、リフレクタ5の反射面からの光の少なくとも一部が、リフレクタ6の反射面によって反射され、投影レンズ4を透過せしめられる。そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、投影レンズ4を透過せしめられた光L3によって、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成することができる。
【0068】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、リフレクタ22の一部にサブ反射面22bが形成されている。詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、例えば樹脂材料などによってリフレク22が形成され、例えばリフレクタ22の表面にAl蒸着を施すことなどによってリフレクタ22のサブ反射面22bが形成されている。また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図4(B)に示すように、発光素子光源21から放射された光の一部がリフレクタ22のサブ反射面22bによって反射される。更に、リフレクタ22のサブ反射面22bからの光L5によって対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)が形成される。詳細には、対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)および図5(D)参照)が、水平線HL(図5(C)および図5(D)参照)上であって、メイン配光パターンP1(図5(A)および図5(D)参照)の対向車線側のカットオフラインCL(図5(A)参照)と重ならない位置に形成される。
【0069】
すなわち、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)が、リフレクタ22からの光L4,L5(図4(A)および図4(B)参照)によって形成されるのではなく、投影レンズ4からの光L3(図4(A)参照)によって形成される。
【0070】
そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、仮に拡散配光パターンP2(図5(B)参照)を形成するための放物系反射面22a(図1および図2参照)と、対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)を形成するためのサブ反射面22b(図1および図2参照)と、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成するための反射面(図示せず)とがリフレクタ22(図1および図2参照)に形成されるのに伴って、放物系反射面22a(図1および図2参照)からの光L4(図4(A)参照)によって形成される拡散配光パターンP2(図5(B)参照)が暗くなってしまうのを回避することができる。
【0071】
また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、仮に対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)を形成するための新たなランプユニットがプロジェクタ型ランプユニットU1(図1および図2参照)および反射型ランプユニットU2(図1および図2参照)とは別個に設けられるのに伴って、すれ違いビーム用車両用前照灯100全体がコストアップしてしまうのを回避することができる。
【0072】
すなわち、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、放物系反射面22a(図1および図2参照)からの光L4(図4(A)参照)によって形成される拡散配光パターンP2(図5(B)参照)が暗くなってしまうのを回避すると共に、すれ違いビーム用車両用前照灯100全体のコストアップを回避しつつ、対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)を形成することができる。
【0073】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、プロジェクタ型ランプユニットU1および反射型ランプユニットU2が、光軸調整機構104によって車両用前照灯ハウジング101に対して一体的に回動せしめられるように、プロジェクタ型ランプユニットU1と反射型ランプユニットU2とがヒートシンク7を介して接続されている。詳細には、ヒートシンク7に接続された上側ブラケット105aと車両用前照灯ハウジング101とが、光軸調整機構104の一部を構成するボールジョイント104aを介して接続されている。更に、ヒートシンク7に接続された下側ブラケット105bと車両用前照灯ハウジング101とが、光軸調整機構104の一部を構成するエイミングスクリュー104b,104cを介して接続されている。
【0074】
そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、プロジェクタ型ランプユニットU1用の光軸調整機構と反射型ランプユニットU2用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、すれ違いビーム用車両用前照灯100全体を小型化することができる。
【0075】
また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、プロジェクタ型ランプユニットU1用の光軸調整機構と反射型ランプユニットU2用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、光軸調整作業の煩雑さを低減することができる。
【0076】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、製造誤差によって拡散配光パターンP2(図5(B)および図5(D)参照)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターンP2の上縁P2U(図5(B)参照)がメイン配光パターンP1(図5(A)および図5(D)参照)の対向車線側(図5(A)の右側)のカットオフラインCL(図5(A)参照)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニットU2(図1および図2参照)のリフレクタ22(図1および図2参照)の放物系反射面22a(図1および図2参照)からの光L4(図4(A)参照)の向きが設定されている。
【0077】
そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、製造誤差によって拡散配光パターンP2(図5(B)参照)が上向きにずれた場合であっても、リフレクタ22(図1および図2参照)の放物系反射面22a(図1および図2参照)からの光L4(図4(A)参照)が対向車の幻惑光になってしまうおそれを確実に排除することができる。
【0078】
詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、光軸調整機構104(図1および図2参照)によってプロジェクタ型ランプユニットU1(図1および図2参照)および反射型ランプユニットU2(図1および図2参照)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)が形成される位置に基づいて光軸調整機構104によってプロジェクタ型ランプユニットU1および反射型ランプユニットU2の光軸調整が行われる。
【0079】
そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、製造誤差によって拡散配光パターンP2(図5(B)参照)が上向きにずれた場合であっても、配光規格を満足する配光パターンP1,P2,P3,P4(図5(D)参照)を確実に形成することができる。
【0080】
第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、発光素子光源1,21(図2参照)に接続されているヒートシンク7(図2参照)のフィン部分(図示せず)が、車両用前照灯ハウジング101(図2参照)とカバーレンズ102(図2参照)とによって画定される灯室103(図2参照)内に配置されている。第8の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、発光素子光源1,21に接続されているヒートシンク7のフィン部分(図示せず)を、車両用前照灯ハウジング101とカバーレンズ102とによって画定される灯室103の外側に突出させて配置することも可能である。
【0081】
詳細には、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、プロジェクタ型ランプユニットU1(図1および図2参照)の投影レンズ4(図1および図2参照)から照射される光L1,L2(図3(A)および図3(B)参照)により、対向車の幻惑光を発生させることなく、遠方視認性に必要な高照度帯を有し、明瞭なカットオフラインCL(図5(A)参照)を有するメイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成することができる。
【0082】
また、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、プロジェクタ型ランプユニットU1(図1および図2参照)の投影レンズ4(図1および図2参照)から照射される光L3(図4(A)参照)によって、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成することができる。更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、発光素子光源1から放射された光のうち、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するためには用いられない光が、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成するために用いられる。そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)を損なうことなく、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成することができる。
【0083】
更に、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)を形成するための光源として、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するための発光素子光源1(図2参照)が用いられる。そのため、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、オーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図5(A)参照)形成用の光源が、発光素子光源1とは別個に設けられる場合よりも、すれ違いビーム用車両用前照灯100全体のコストを削減することができる。
【0084】
ところで、仮に、リフレクタ6(図2および図4(A)参照)の反射面からの光によって対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)を形成しようとすると、リフレクタ6(図2および図4(A)参照)の反射面を、シェード3(図2および図4(A)参照)のエッジ部分3a(図2および図4(A)参照)の近傍まで上側(図2および図4(A)の上側)にシフトさせる必要がある。ところが、リフレクタ6(図2および図4(A)参照)の反射面を上側(図2および図4(A)の上側)にシフトさせると、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するための光L1’(図3(A)参照)と、リフレクタ6(図2および図4(A)参照)とが干渉するおそれが生じてしまう。仮に、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するための光L1’(図3(A)参照)と、リフレクタ6(図2および図4(A)参照)とが干渉すると、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)を形成するための光L1’(図3(A)参照)がリフレクタ6(図2および図4(A)参照)によって遮られてしまい、メイン配光パターンP1(図5(A)参照)が損なわれてしまう。この点に鑑み、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)を形成するために、リフレクタ6(図2および図4(A)参照)の反射面からの光が用いられるのではなく、リフレクタ22(図2および図4(B)参照)のサブ反射面22b(図2および図4(B)参照)からの光L5(図4(B)参照)が用いられる。詳細には、対向車線側歩行者視認用配光パターンP4(図5(C)参照)は、対向車に対して幻惑光とならないように最高照度高度を制限し、かつ、対向車線側の歩行者、障害物などを視認することができる最低照度光度を具備するように、設定される。その設定は、プロジェクタ型ランプユニットU1の投影レンズ4から照射される光が用いられる場合よりも、リフレクタ22(図2および図4(B)参照)のサブ反射面22b(図2および図4(B)参照)からの光L5(図4(B)参照)が用いられる場合の方が、容易に行うことができる。
【0085】
以下、本発明のすれ違いビーム用車両用前照灯の第9の実施形態について説明する。図6および図7は第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100を示した図である。詳細には、図6はエクステンション106(図7参照)を透視して見た第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の概略的な正面図である。図7は第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の反射型ランプユニットU2、プロジェクタ型ランプユニットU3および光軸調整機構104の一部を構成するボールジョイント104aならびにエイミングスクリュー104bなどを説明するための概略的な鉛直断面図である。第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100のプロジェクタ型ランプユニットU1は、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100のプロジェクタ型ランプユニットU1(図1、図2、図3(A)、図3(B)および図4(A)参照)とほぼ同様に構成されている。また、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の反射型ランプユニットU2は、第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の反射型ランプユニットU2(図1、図2、図4(A)および図4(B)参照)とほぼ同様に構成されている。
【0086】
図8は第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100の光路図である。詳細には、図8(A)はカットオフラインCL’(図9(C)参照)を有する中間配光パターンP5(図9(C)参照)を形成するためにプロジェクタ型ランプユニットU3の投影レンズ34の下側部分を透過せしめられた光L6の光路を示している。図8(B)はカットオフラインCL’(図9(C)参照)を有する中間配光パターンP5(図9(C)参照)を形成するためにプロジェクタ型ランプユニットU3の投影レンズ34の上側部分を透過せしめられた光L7の光路を示している。
【0087】
図9は第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によって形成される配光パターンP1,P2,P3,P4,P5を示した図である。詳細には、図9(A)はカットオフラインCLを有するメイン配光パターンP1およびオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3を示している。図9(B)は拡散配光パターンP2および対向車線側歩行者視認用配光パターンP4を示している。図9(C)はメイン配光パターンP1(図9(A)参照)よりも拡散度合いが大きく、拡散配光パターンP2(図9(B)参照)よりも拡散度合いが小さいカットオフラインCL’を有する中間配光パターンP5を示している。図9(D)はそれらの配光パターンP1,P2,P3,P4,P5を重ね合わせて示している。
【0088】
第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図7に示すように、例えばLED、LDなどのような発光素子光源31と、発光素子光源31からの光を反射するための楕円系反射面を有するリフレクタ32とが設けられている。詳細には、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、発光素子光源31およびリフレクタ32がヒートシンク7(図6および図7参照)に接続されている。更に、例えば樹脂材料などによってリフレクタ32が形成され、例えばリフレクタ32の表面にAl蒸着を施すことなどによってリフレクタ32の楕円系反射面が形成されている。楕円系反射面は、例えば、回転楕円面、回転楕円面を基本とする自由曲面などによって構成されている。
【0089】
また、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図7に示すように、リフレクタ32の楕円系反射面の第1焦点F32a上またはその近傍に発光素子光源31が配置されている。更に、リフレクタ32の楕円系反射面の第2焦点F32b上またはその近傍にカットオフラインCL’(図9(C)参照)を形成するためのシェード33のエッジ部分33aが配置されている。詳細には、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、シェード33がヒートシンク7(図6および図7参照)に接続されている。更に、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、例えば樹脂材料などによってシェード33が形成され、例えばシェード33の表面にAl蒸着を施すことなどによってシェード33のエッジ部分33aおよび反射面33bが形成されている。第1の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図7に示すように、シェード33とヒートシンク7とが別個の部材によって形成されているが、第10の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、シェード33とヒートシンク7とを一部材によって形成することも可能である。
【0090】
更に、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図6および図7に示すように、リフレクタ32の楕円系反射面の第2焦点F32b上またはその近傍に投影レンズ34の焦点F34が配置されている。詳細には、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、投影レンズ34がレンズホルダ38(図7参照)を介してヒートシンク7(図6および図7参照)に接続されている。更に、投影レンズ34とレンズホルダ38とがリテーナ39(図6および図7参照)によって固定されている。第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図7に示すように、投影レンズ34がレンズホルダ38を介してヒートシンク7に接続されているが、第11の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、代わりに、レンズホルダ38を介して投影レンズ34をリフレクタ32(図7参照)に接続することも可能である。
【0091】
第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図7および図8(A)に示すように、例えば、発光素子光源31のうち、リフレクタ32の楕円系反射面の第1焦点F32a(図7参照)上から放射された光が、リフレクタ32の楕円系反射面によってリフレクタ32の楕円系反射面の第2焦点F32b(図7参照)に集光せしめられる。更に、リフレクタ32の楕円系反射面からの光のうち、シェード33のエッジ部分33aにより遮られることなく投影レンズ34の下側部分を透過せしめられた光L6によって、カットオフラインCL’(図9(C)参照)を有する中間配光パターンP5(図9(C)参照)が形成される。
【0092】
また、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図7および図8(B)に示すように、例えば、発光素子光源31のうち、リフレクタ32の楕円系反射面の第1焦点F32a(図7参照)からずれた位置から放射された光が、リフレクタ32の楕円系反射面によって反射されると、リフレクタ32の楕円系反射面からの光の一部が、シェード33の上面に形成された反射面33bによって反射される。更に、シェード33の反射面33bからの光のうち、投影レンズ34の上側部分を透過せしめられた光L7によって、カットオフラインCL’(図9(C)参照)を有する中間配光パターンP5(図9(C)参照)が形成される。
【0093】
換言すれば、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図6および図7に示すように、投影レンズ34からの光L6,L7(図8(A)および図8(B)参照)によってカットオフラインCL’(図9(C)参照)を有する中間配光パターンP5(図9(C)参照)を形成するプロジェクタ型ランプユニットU3が設けられている。
【0094】
更に、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、図6および図7に示すように、プロジェクタ型ランプユニットU1、反射型ランプユニットU2およびプロジェクタ型ランプユニットU3が、光軸調整機構104によって車両用前照灯ハウジング101に対して一体的に回動せしめられるように、プロジェクタ型ランプユニットU1と反射型ランプユニットU2とプロジェクタ型ランプユニットU3とがヒートシンク7を介して接続されている。詳細には、ヒートシンク7に接続された上側ブラケット105aと車両用前照灯ハウジング101とが、光軸調整機構104の一部を構成するボールジョイント104aを介して接続されている。更に、ヒートシンク7に接続された下側ブラケット105bと車両用前照灯ハウジング101とが、光軸調整機構104の一部を構成するエイミングスクリュー104b,104cを介して接続されている。
【0095】
そのため、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、プロジェクタ型ランプユニットU1用の光軸調整機構と反射型ランプユニットU2用の光軸調整機構とプロジェクタ型ランプユニットU3用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、すれ違いビーム用車両用前照灯100全体を小型化することができる。
【0096】
また、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、プロジェクタ型ランプユニットU1用の光軸調整機構と反射型ランプユニットU2用の光軸調整機構とプロジェクタ型ランプユニットU3用の光軸調整機構とが別個に設けられている場合よりも、光軸調整作業の煩雑さを低減することができる。
【0097】
更に、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、製造誤差によって拡散配光パターンP2(図9(B)および図9(D)参照)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターンP2の上縁P2U(図9(B)参照)がメイン配光パターンP1(図9(A)および図9(D)参照)の対向車線側(図9(A)の右側)のカットオフラインCL(図9(A)参照)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニットU2(図6および図7参照)のリフレクタ22(図6および図7参照)の放物系反射面22a(図6および図7参照)からの光L4(図4(A)参照)の向きが設定されている。
【0098】
そのため、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、製造誤差によって拡散配光パターンP2(図9(B)参照)が上向きにずれた場合であっても、リフレクタ22(図6および図7参照)の放物系反射面22a(図6および図7参照)からの光L4(図4(A)参照)が対向車の幻惑光になってしまうおそれを確実に排除することができる。
【0099】
また、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、製造誤差によって中間配光パターンP5(図9(C)および図9(D)参照)が上向きにずれた場合であっても、中間配光パターンP5の対向車線側(図9(C)の右側)のカットオフラインCL’(図9(C)参照)がメイン配光パターンP1(図9(A)および図9(D)参照)の対向車線側(図9(A)の右側)のカットオフラインCL(図9(A)参照)よりも下側に位置するように、プロジェクタ型ランプユニットU3(図6および図7参照)の投影レンズ34(図6および図7参照)からの光L6,L7(図8(A)および図8(B)参照)の向きが設定されている。
【0100】
そのため、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、製造誤差によって中間配光パターンP5(図9(C)参照)が上向きにずれた場合であっても、投影レンズ34(図6および図7参照)からの光L6,L7(図8(A)および図8(B)参照)が対向車の幻惑光になってしまうおそれを確実に排除することができる。
【0101】
詳細には、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、光軸調整機構104(図6および図7参照)によってプロジェクタ型ランプユニットU1(図6参照)、反射型ランプユニットU2(図6および図7参照)およびプロジェクタ型ランプユニットU3(図6および図7参照)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターンP1(図9(A)参照)が形成される位置に基づいて光軸調整機構104によってプロジェクタ型ランプユニットU1、反射型ランプユニットU2およびプロジェクタ型ランプユニットU3の光軸調整が行われる。
【0102】
そのため、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100によれば、製造誤差によって拡散配光パターンP2(図9(B)参照)および/または中間パターンP5(図9(C)参照)が上向きにずれた場合であっても、配光規格を満足する配光パターンP1,P2,P3,P4,P5(図9(D)参照)を確実に形成することができる。
【0103】
詳細には、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、メイン配光パターンP1(図9(A)参照)よりも拡散度合いが大きい中間配光パターンP5(図9(C)参照)を形成するプロジェクタ型ランプユニットU3(図6および図7参照)によってオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図9(A)参照)が形成されるのではなく、メイン配光パターンP1(図9(A)参照)を形成するプロジェクタ型ランプユニットU1(図2および図6参照)によってオーバーヘッドサイン視認用配光パターンP3(図9(A)参照)が形成される。
【0104】
また、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、拡散度合いが小さいメイン配光パターンP1(図9(A)参照)の中心照度が、拡散度合いが大きい中間配光パターンP5(図9(C)参照)の中心照度よりも高くなる。そのため、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、拡散度合いが小さいメイン配光パターンP1(図9(A)参照)のカットオフラインCL(図9(A)参照)が、拡散度合いが大きい中間配光パターンP5(図9(C)参照)のカットオフラインCL’(図9(C)参照)よりも明瞭になる。従って、第9の実施形態のすれ違いビーム用車両用前照灯100では、上述したように、メイン配光パターンP1(図9(A)参照)が形成される位置に基づいて光軸調整機構104(図6および図7参照)によってプロジェクタ型ランプユニットU1(図6参照)、反射型ランプユニットU2(図6および図7参照)およびプロジェクタ型ランプユニットU3(図6および図7参照)の光軸調整が行われる。
【0105】
12の実施形態では、上述した第1から第11の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 発光素子光源
2 リフレクタ
3 シェード
3a エッジ部分
4 投影レンズ
5,6 リフレクタ
21 発光素子光源
22 リフレクタ
22a 放物系反射面
22b サブ反射面
100 すれ違いビーム用車両用前照灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光素子光源(1)と、第1発光素子光源(1)からの光を反射するための楕円系反射面を有する第1リフレクタ(2)とを設け、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第1焦点(F2a)上またはその近傍に第1発光素子光源(1)を配置し、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第2焦点(F2b)上またはその近傍にカットオフライン(CL)を形成するための第1シェード(3)のエッジ部分(3a)を配置し、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面の第2焦点(F2b)上またはその近傍に第1投影レンズ(4)の焦点(F4)を配置し、
第1リフレクタ(2)の楕円系反射面からの光のうち、第1シェード(3)のエッジ部分(3a)により遮られることなく第1投影レンズ(4)を透過せしめられた光によって、カットオフライン(CL)を有するメイン配光パターン(P1)を形成し、
第2発光素子光源(21)と、第2発光素子光源(21)からの光を反射するための放物系反射面(22a)を有する第2リフレクタ(22)とを設け、
第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光によって、水平線(HL)よりも下側に位置し、メイン配光パターン(P1)よりも拡散度合いが大きい拡散配光パターン(P2)を形成するすれ違いビーム用車両用前照灯(100)において、
第1発光素子光源(1)からの光を反射するための反射面を有する第3リフレクタ(5)を、第1リフレクタ(2)と第1投影レンズ(4)との間であって、第1投影レンズ(4)の焦点(F4)よりも上側に配置し、
第3リフレクタ(5)の反射面からの光を反射するための反射面を有する第4リフレクタ(6)を、第1シェード(3)のエッジ部分(3a)と第1投影レンズ(4)との間であって、第1リフレクタ(2)の楕円系反射面から第1投影レンズ(4)に入射する光の光路よりも下側に配置し、
第3リフレクタ(5)の反射面からの光のうち、第4リフレクタ(6)の反射面によって反射され、第1投影レンズ(4)を透過せしめられた光によって、オーバーヘッドサイン視認用配光パターン(P3)を形成し、
第2リフレクタ(22)の一部にサブ反射面(22b)を形成し、
第2リフレクタ(22)のサブ反射面(22b)からの光によって対向車線側歩行者視認用配光パターン(P4)を形成することを特徴とするすれ違いビーム用車両用前照灯(100)。
【請求項2】
第1発光素子光源(1)と第1リフレクタ(2)と第1シェード(3)と第1投影レンズ(4)と第3リフレクタ(5)と第4リフレクタ(6)とによってプロジェクタ型ランプユニット(U1)を構成し、
第2発光素子光源(21)と第2リフレクタ(22)とによって反射型ランプユニット(U2)を構成し、
プロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)が、光軸調整機構(104)によって車両用前照灯ハウジング(101)に対して一体的に回動せしめられるように、プロジェクタ型ランプユニット(U1)と反射型ランプユニット(U2)とを接続し、
製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターン(P2)の上縁(P2U)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニット(U2)の第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光の向きを設定したことを特徴とする請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)。
【請求項3】
光軸調整機構(104)によってプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターン(P1)が形成される位置に基づいて光軸調整機構(104)によってプロジェクタ型ランプユニット(U1)および反射型ランプユニット(U2)の光軸調整を行うことを特徴とする請求項2に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)。
【請求項4】
第3発光素子光源(31)と、第3発光素子光源(31)からの光を反射するための楕円系反射面を有する第5リフレクタ(32)とを設け、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第1焦点(F32a)上またはその近傍に第3発光素子光源(31)を配置し、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第2焦点(F32b)上またはその近傍にカットオフライン(CL’)を形成するための第2シェード(33)のエッジ部分(33a)を配置し、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面の第2焦点(F32b)上またはその近傍に第2投影レンズ(34)の焦点(F34)を配置し、
第5リフレクタ(32)の楕円系反射面からの光のうち、第2シェード(33)のエッジ部分(33a)により遮られることなく第2投影レンズ(34)を透過せしめられた光によって、メイン配光パターン(P1)よりも拡散度合いが大きく、拡散配光パターン(P2)よりも拡散度合いが小さいカットオフライン(CL’)を有する中間配光パターン(P5)を形成することを特徴とする請求項1に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)。
【請求項5】
第1発光素子光源(1)と第1リフレクタ(2)と第1シェード(3)と第1投影レンズ(4)と第3リフレクタ(5)と第4リフレクタ(6)とによって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)を構成し、
第2発光素子光源(21)と第2リフレクタ(22)とによって反射型ランプユニット(U2)を構成し、
第3発光素子光源(31)と第5リフレクタ(32)と第2シェード(33)と第2投影レンズ(34)とによって第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)を構成し、
第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)が、光軸調整機構(104)によって車両用前照灯ハウジング(101)に対して一体的に回動せしめられるように、第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)と反射型ランプユニット(U2)と第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)とを接続し、
製造誤差によって拡散配光パターン(P2)が上向きにずれた場合であっても、拡散配光パターン(P2)の上縁(P2U)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、反射型ランプユニット(U2)の第2リフレクタ(22)の放物系反射面(22a)からの光の向きを設定し、
製造誤差によって中間配光パターン(P5)が上向きにずれた場合であっても、中間配光パターン(P5)の対向車線側のカットオフライン(CL’)がメイン配光パターン(P1)の対向車線側のカットオフライン(CL)よりも下側に位置するように、第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の第2投影レンズ(34)からの光の向きを設定したことを特徴とする請求項4に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)。
【請求項6】
光軸調整機構(104)によって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の光軸調整を行う時に、メイン配光パターン(P1)が形成される位置に基づいて光軸調整機構(104)によって第1プロジェクタ型ランプユニット(U1)、反射型ランプユニット(U2)および第2プロジェクタ型ランプユニット(U3)の光軸調整を行うことを特徴とする請求項5に記載のすれ違いビーム用車両用前照灯(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−3515(P2011−3515A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148141(P2009−148141)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】