説明

エンジン及びエンジン用点火プラグ

【課題】点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができ、混合気に対する火花点火を安定して行えるエンジン及びエンジン用点火プラグの提供。
【解決手段】点火点11を覆うプラグカバー13内に点火室14が形成された点火プラグ10がシリンダヘッド6に装着され、点火室14とピストン2に面する燃焼室3とを連通する複数の噴孔15がプラグカバー13に備えられ、点火プラグ10は、燃焼室3の軸心方向において、シリンダヘッド6側から燃焼室3にプラグカバー13を突出させ、且つ、シリンダヘッド6の下端部6aよりも燃焼室3側に点火点11を位置させるように配置され、複数の噴孔15は、軸心方向において、燃焼室3に突出するプラグカバー13の先端側に設けられた先端側噴孔16と、先端側噴孔16よりもプラグカバー13の基端側に設けられた基端側噴孔17とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジン、及び、エンジンのシリンダヘッドに装着されるエンジン用点火プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなエンジンでは、燃焼室に吸気された希薄混合気等の混合気をピストンの上昇により圧縮し、その圧縮された混合気を噴孔を通して点火室に流入させている。点火室に流入された混合気は、点火プラグにより火花点火されて燃焼され、その燃焼により形成された火炎が噴孔を通して燃焼室に噴出される。このように、従来のエンジンでは、燃焼室から点火室への混合気の流入及び点火室から燃焼室への火炎の噴出を複数の噴孔により行うことにより、燃焼室に吸気された混合気を燃焼させるようにしている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
特許文献1に記載のエンジンでは、点火プラグが、燃焼室の軸心方向において、シリンダヘッド側から燃焼室にプラグカバーを突出させ、且つ、点火点がシリンダヘッドの下端部よりも上方側に位置するように配置されている。プラグカバーは、その先端側を底部とする有底筒状に形成されている。複数の噴孔は、燃焼室に突出するプラグカバーの先端部である底部において燃焼室の軸心方向に並ぶ二つの噴孔から構成されている。
【0004】
特許文献2に記載のエンジンでは、点火プラグが、燃焼室の軸心方向において、シリンダヘッド側から燃焼室にプラグカバーを突出させ、且つ、点火点がシリンダヘッドの下端部よりも燃焼室側に位置するように配置されている。プラグカバーは、その先端側を底部とする有底筒状に形成されている。複数の噴孔は、燃焼室の軸心方向において、プラグカバーの先端部である底部に設けられている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−40174号公報
【特許文献2】特開2007−77902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のエンジンでは、点火プラグが、燃焼室の軸心方向において、シリンダヘッドの下端部よりも上方側に点火点が位置するように配置されているので、点火室としては、噴孔から点火点までの距離が長い点火室が形成されることになる。その為に、燃焼室から点火室に流入した混合気が点火点まで到達し難く、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給できない虞がある。点火点に燃焼室の混合気を十分に供給できなくなると、点火点に既燃ガスが残留してしまい、混合気の火花点火を安定して行い難くなって、例えば、失火等の問題が生じることがある。
【0007】
上記特許文献2に記載のエンジンでは、点火プラグが、燃焼室の軸心方向において、シリンダヘッドの下端部よりも下方側に点火点が位置するように配置されているので、点火室としては、上記特許文献1に記載のエンジンに比べて、噴孔から点火点までの距離を短くすることが可能な点火室を形成できる。しかしながら、上記特許文献2に記載のエンジンでは、点火室が矩形状に形成されており、その矩形状の点火室の底部となるプラグカバーの先端部に複数の噴孔が設けられている。つまり、点火室への混合気の流入箇所となる噴孔の内端部が、燃焼室の軸心方向において点火点から離れたプラグカバーの先端部となっている。よって、点火点にて点火室の混合気に火花点火するに当り、点火室内に十分な混合気を供給するために、点火室の容積をある程度大きくすることが必要であることから、複数の噴孔における各内端部から点火点までの距離を短くすることができず、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給できない虞がある。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができ、混合気の火花点火を安定して行えるエンジン及びエンジン用点火プラグを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係るエンジンの特徴構成は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンであって、
前記点火プラグは、前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させ、且つ、前記シリンダヘッドの下端部よりも前記燃焼室側に前記点火点を位置させるように配置され、前記複数の噴孔は、前記軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成されている点にある。
【0010】
本特徴構成によれば、燃焼室の軸心方向においてシリンダヘッドの下端部よりも燃焼室側に点火点を位置させるので、噴孔から点火点までの距離を短くした点火室を形成できる。しかも、複数の噴孔は、先端側噴孔に加えて、基端側噴孔から構成されているので、基端側噴孔から点火点までの距離を短くでき、点火点に対する燃焼室の混合気の供給が行い易くなる。また、燃焼室の混合気は、基端側噴孔からだけでなく、先端側噴孔からも点火室内に流入するので、点火室内に十分な混合気を流入させることができる。これにより、先端側噴孔及び基端側噴孔の両方から点火室に混合気を流入させることによって、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができ、混合気の火花点火を安定して行えるエンジンを実現できるに至った。ちなみに、燃焼室の軸心方向は、燃焼室の中心軸に沿う方向であり、例えば、ピストンの上下動方向と同一方向である。
【0011】
本発明に係るエンジンの更なる特徴構成は、前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記シリンダヘッドの下端部から前記プラグカバーの先端部までの中央位置よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている点にある。
【0012】
本特徴構成によれば、基端側噴孔における流入箇所は、燃焼室の軸心方向において、シリンダヘッドの下端部からプラグカバーの先端部までの中央位置よりもプラグカバーの基端側であるので、例えば、点火室においてプラグカバーの基端側に点火点が設けられていても、基端側噴孔における流入箇所から点火点までの距離を短くできる。これにより、点火点に対して燃焼室の混合気を的確に供給することができ、点火点に対する燃焼室の混合気の供給を確実に行える。
【0013】
本発明に係るエンジンの更なる特徴構成は、前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記点火点よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、基端側噴孔における流入箇所は、燃焼室の軸心方向において、点火点よりもプラグカバーの基端側になるように設けられているので、前記軸心方向において、先端側噴孔と基端側噴孔との間に点火点が位置することになる。これにより、先端側噴孔における流入箇所から点火点までの距離、及び、基端側噴孔における流入箇所から点火点までの距離の両方を短くできる。よって、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができ、点火点に対する燃焼室の混合気の供給を確実に行える。
【0015】
本発明に係るエンジンの特徴構成は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンであって、
前記点火プラグは、前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させるように配置され、前記複数の噴孔は、前記軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成され、前記点火点が、前記軸心方向において、前記基端側噴孔の内端部よりも前記プラグカバーの先端側に位置するように構成されている点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、点火点が、燃焼室の軸心方向において、基端側噴孔の内端部よりもプラグカバーの先端側に位置するので、燃焼室の軸心方向において、先端側噴孔の内端部と基端側噴孔の内端部との間に点火点を位置させることができる。これにより、先端側噴孔の内端部から点火点までの距離、及び、基端側噴孔の内端部から点火点までの距離の双方を短くでき、点火点に対する燃焼室の混合気の供給が行い易くなる。また、燃焼室の混合気は、基端側噴孔と先端側噴孔との双方から点火室内に流入するので、点火室内に十分な混合気を流入させることができる。これにより、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができ、混合気の火花点火を安定して行えるエンジンを実現できるに至った。
【0017】
本発明に係るエンジンの更なる特徴構成は、前記点火室は、前記燃焼室の軸心方向に直交する方向における第1幅よりも前記燃焼室の軸心方向における第2幅の方が大きくなるように構成されている点にある。
【0018】
点火点にて点火室の混合気に火花点火するに当り、点火室内に十分な混合気を供給するために、点火室の容積をある程度大きくするのが好ましい。上記特許文献2に記載のエンジンでは、点火室の第2幅(例えば、縦幅)よりも第1幅(例えば、横幅)を大きくすることにより、点火室の容積を大きくしている。しかしながら、点火室の第1幅(例えば、横幅)が大きくなると、それだけプラグカバーの第1幅(例えば、横幅)も大きくなるので、点火プラグとして必要な設置スペースの横幅が大きくなってしまう。その結果、例えば、吸気弁や排気弁等の他の部材の設置スペースを十分に確保できなくなる虞がある。そこで、本特徴構成によれば、点火室において第1幅よりも第2幅を大きくすることにより、点火プラグとして必要な設置スペースの横幅を大きくすることなく、点火室の容積を大きくすることができる。また、このように点火室の第1幅よりも第2幅を大きくした場合には、上記特許文献2に如く、複数の噴孔をプラグカバーの先端部に設けると、噴孔から点火点までの距離がさらに長くなってしまい、点火点に対する燃焼室の混合気の供給がさらに行い難くなる。よって、上記特徴構成で述べた如く、噴孔として、単に、先端側噴孔を設けるだけでなく、基端側噴孔を設けることによって、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給できるという効果が好適なものとなる。
【0019】
本発明に係るエンジンの更なる特徴構成は、前記プラグカバーは、その先端側を底部とする有底筒状に形成され、前記先端側噴孔は、前記プラグカバーの底部に設けられ、前記基端側噴孔は、前記プラグカバーの側部に設けられている点にある。
【0020】
本特徴構成によれば、有底筒状のプラグカバーの形状を利用して、単に、プラグカバーの底部に先端側噴孔を設け、プラグカバーの側部に基端側噴孔を設けるだけで、先端側噴孔及び基端側噴孔の夫々を適切な位置に設けることができる。よって、先端側噴孔及び基端側噴孔を設けるに当って、簡易な構成とすることができる。
【0021】
本発明に係るエンジンの更なる特徴構成は、前記シリンダヘッドと対向する前記ピストンの天面に凹部が形成され、前記点火プラグは、前記ピストンが上死点に位置する状態で少なくとも前記プラグカバーが前記凹部に侵入して配置されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、ピストンが上死点に位置する状態で凹部にプラグカバーが侵入されているので、燃焼室の各領域からプラグカバーに備えられた噴孔までの距離を短くできる。これにより、燃焼室の混合気を噴孔を通して点火室に容易に流入させることができ、点火点に対する燃焼室の混合気の供給を確実に行える。
【0023】
本発明に係るエンジン用点火プラグの特徴構成は、点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、エンジンのシリンダヘッドに前記プラグ本体及び前記プラグカバーを装着させた状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグであって、
前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させ、且つ、前記シリンダヘッドの下端部よりも前記燃焼室側に前記点火点を位置させるように配置された状態において、前記複数の噴孔は、前記燃焼室の軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成されている点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、上記本発明に係るエンジンの特徴構成にて述べた如く、先端側噴孔及び基端側噴孔の両方から点火室に混合気を流入させることによって、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができる。これにより、混合気の火花点火を安定して行えるエンジン用点火プラグを実現できるに至った。
【0025】
本発明に係るエンジン用点火プラグの更なる特徴構成は、前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記シリンダヘッドの下端部から前記プラグカバーの先端部までの中央位置よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている点にある。
【0026】
本特徴構成によれば、上記本発明に係るエンジンの特徴構成にて述べた如く、例えば、点火室においてプラグカバーの基端側に点火点が設けられていても、基端側噴孔における流入箇所から点火点までの距離を短くできる。これにより、点火点に対して燃焼室の混合気を的確に供給することができ、点火点に対する燃焼室の混合気の供給を確実に行える。
【0027】
本発明に係るエンジン用点火プラグの更なる特徴構成は、前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記点火点よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている点にある。
【0028】
本特徴構成によれば、上記本発明に係るエンジンの特徴構成にて述べた如く、先端側噴孔と基端側噴孔との間に点火点が位置して、先端側噴孔における流入箇所から点火点までの距離だけでなく、基端側噴孔における流入箇所から点火点までの距離をも短くできる。これにより、点火点に対して燃焼室の混合気を的確に供給することができ、点火点に対する燃焼室の混合気の供給を確実に行える。
【0029】
本発明に係るエンジン用点火プラグの特徴構成は、点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、エンジンのシリンダヘッドに前記プラグ本体及び前記プラグカバーを装着させた状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグであって、
前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させるように配置された状態において、前記複数の噴孔は、前記燃焼室の軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成され、前記点火点が、前記軸心方向において、前記基端側噴孔の内端部よりも前記プラグカバーの先端側に位置するように構成されている点にある。
【0030】
本特徴構成によれば、上記本発明に係るエンジンの特徴構成にて述べた如く、燃焼室の軸心方向において、先端側噴孔の内端部と基端側噴孔の内端部との間に点火点を位置させて、先端側噴孔の内端部から点火点までの距離、及び、基端側噴孔の内端部から点火点までの距離の双方を短くできる。これにより、混合気の火花点火を安定して行えるエンジン用点火プラグを実現できるに至った。
【0031】
本発明に係るエンジン用点火プラグの更なる特徴構成は、前記プラグカバーは、前記プラグ本体に一体的に形成されている点にある。
【0032】
本特徴構成によれば、点火室、点火点、及び、噴孔の夫々の位置を予め定めてプラグカバーをプラグ本体に一体形成することにより、点火プラグを形成することができる。これにより、単に、点火プラグをシリンダヘッドに装着するだけで、点火室、点火点、及び、噴孔の夫々の位置を適切な位置に配置させることができる。よって、エンジンに対する点火プラグの装着を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明に係るエンジン及びエンジン用点火プラグの実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
〔エンジンの全体構成〕
エンジン1は、図1に示すように、ピストン2と、ピストン2を収容してピストン2の天面2aとともに燃焼室3を形成するシリンダ4と、シリンダヘッド6に装着された点火プラグ10(本発明に係るエンジン用点火プラグに相当する)とを備えている。ピストン2をシリンダ4内で往復運動させるとともに、吸気バルブ5及び排気バルブ(図示を省略)を開閉動作させることにより、燃焼室3において、吸気行程、圧縮行程、燃焼・膨張行程、排気行程の各行程を順次行う。これにより、図示は省略するが、ピストン2の往復動を連結棒によってクランク軸の回転運動として出力するように構成されている。このような構成は、通常の4ストローク内燃機関と同様の構成である。
【0034】
エンジン1は、気体燃料である都市ガス(13A)を燃料とするものであり、吸気行程では、吸気バルブ5を開状態として、吸気ポート8から燃焼室3に空気と燃料との混合気(例えば、希薄混合気)Mを吸気するように構成されている。圧縮行程及び燃焼・膨張行程では、燃焼室3に吸気した混合気Mを圧縮して燃料を燃焼・膨張させるように構成されている。排気行程では、排気バルブを開状態として、燃焼室3から図外の排気ポートに排ガスを排出するように構成されている。
【0035】
ピストン2のシリンダヘッド6と対向する天面2aには、凹部7が形成されている。これにより、燃焼室3は、ピストン2の天面2aとシリンダ4の内面との間の空間に加え、凹部7にて形成される空間から構成されている。このように燃焼室3を形成することにより、圧縮行程においてピストン2が上昇するときに、凹部7の周囲から凹部7の中心に向かう渦流、いわゆるスキッシュを発生させるように構成されている。
【0036】
シリンダヘッド6に設けられた吸気ポート8には、吸気される空気Aに対して燃料Gを噴射する燃料供給部9が設けられ、空気Aと燃料Gとの混合気M(例えば、希薄混合気)を生成するように構成されている。吸気バルブ5を開動作することにより、空気Aと燃料Gとの混合気M(例えば、希薄混合気)を燃焼室3に吸気するように構成されている。ここで、燃料供給部9からの燃料噴出量は変更自在であり、エンジン1の運転状況に応じて空気Aと燃料Gとの混合割合を変更自在に構成されている。
【0037】
シリンダヘッド6に装着された点火プラグ10は、その中心軸が燃焼室3の中心軸Qと同軸上となるように設けられている。点火プラグ10は、先端部に点火点11を有するプラグ本体12と、点火点11を覆うように設けられたプラグカバー13とから構成されている。点火プラグ10は、点火タイミング(例えば、ピストン2の位置が上死点直前)においてピストン2に形成された凹部7にプラグカバー13を挿入させるように装着されている。プラグカバー13は、その先端側を底部13aとする有底筒状に形成され、プラグ本体12に一体的に形成されている。ちなみに、プラグカバー13の底部13aは、直交方向において、円弧状になるように形成されている。プラグカバー13内には、点火点11を備えた点火室14が形成されている。点火プラグ10は、燃焼室3の軸心方向(図1中上下方向)において、シリンダヘッド6の下端部6aよりも燃焼室3側に点火点11を位置させるように構成されている。
ここで、燃焼室3の軸心方向は、燃焼室3の中心軸Qに沿った方向であり、例えば、ピストン2の上下動方向と同一方向である。以下、この燃焼室3の軸心方向を「軸心方向」と呼称し、燃焼室3の軸心方向に直交する方向を「直交方向」と呼称する。
【0038】
プラグカバー13には、燃焼室3と点火室14とを連通する複数の噴孔15が形成されている。点火プラグ10は、燃焼室3から噴孔15を通して点火室14に流入する混合気Mに火花点火して燃焼し、その燃焼により形成された火炎を噴孔15を通して燃焼室3に噴出させるように構成されている。このようにして、燃焼室3から点火室14への混合気Mの流入及び点火室14から燃焼室3への火炎の噴出を複数の噴孔15により行うことにより、燃焼室3に吸気された混合気Mを燃焼させるようにしている。これにより、点火室14に流入する混合気Mは、燃焼室3から噴孔15を通して流入される混合気Mが全てであり、点火室14に対して燃焼室3以外から燃料や混合気が供給されることはない。
【0039】
点火室14は、直交方向(図1及び図2(a)中左右方向)における横幅L1(第1幅に相当する)よりも軸心方向(図1及び図2(a)中上下方向)における縦幅L2(第2幅に相当する)の方が大きくなるように縦長形状に形成されている。これにより、点火プラグ10として必要な設置スペースの横幅を大きくすることなく、点火室14内に十分な量の混合気Mを流入させるだけの容積を確保することができる。
【0040】
〔エンジンの動作〕
エンジン1は、吸気バルブ5を開動作させた状態でピストン2が上死点から下降することにより、燃焼室3に混合気Mを吸気する吸気行程が行われる。次に、吸気バルブ5を閉動作させた状態でピストン2が上昇することにより、燃焼室3の混合気Mを圧縮する圧縮行程が行われる。この圧縮行程では、ピストン2の上昇により燃焼室3の容積が減少されるので、燃焼室3の混合気Mが噴孔15を通して点火室14に流入する。
エンジン1は、点火タイミング(例えば、上死点直前)に、点火プラグ10を作動させて、点火点11にて火花点火して点火室14の混合気Mに点火させる。すると、点火室14での燃焼が進み、火炎が噴孔15を通して燃焼室3に噴出する。これにより、燃焼室3の混合気Mが燃焼されて燃焼・膨張行程が行われる。次に、排気バルブを開動作させた状態でピストン2が上昇することにより、燃焼室3の排ガスを排気ポートに排出する排出行程が行われる。
このようにして、エンジン1は、吸気行程、圧縮行程、燃焼・膨張行程、排気行程の順に各行程を行う一連の動作を繰り返し行うように構成されている。
【0041】
〔噴孔の構成〕
図2に基づいて、プラグカバー13に備えられた噴孔15の構成について説明する。
複数の噴孔15は、軸心方向(図2(a)中上下方向)において、プラグカバー13の先端側(図2(a)中下側)に備えられた先端側噴孔16と、先端側噴孔16よりもプラグカバー13の基端側(図2(a)中上側)に備えられた基端側噴孔17とから構成されている。軸心方向において、シリンダヘッド6の下端部6aからプラグカバー13の先端部までの距離をDとすると、基端側噴孔17は、シリンダヘッド6の下端部6aからD/2の中央位置Pよりもプラグカバー13の基端側に設けられている。これにより、基端側噴孔17は、軸心方向において、点火室14に対する混合気の流入箇所となる点火室14側の内端部17aが中央位置Pよりもプラグカバー13の基端側になるように設けられている。ちなみに、基端側噴孔17は、軸心方向において、燃焼室3側の外端部17bも中央位置Pよりもプラグカバー13の基端側になるように設けられている。
【0042】
基端側噴孔17は、軸心方向において、先端側噴孔16よりもプラグカバー13の基端側で、且つ、点火室14に対する混合気Mの流入箇所がシリンダヘッド6の下端部6aからD/2の中央位置Pよりもプラグカバー13の基端側であるので、基端側噴孔17における流入箇所から点火点11までの距離を短くできる。しかも、燃焼室3の混合気Mは、基端側噴孔17からだけでなく、先端側噴孔16からも点火室14内に流入するので、点火室14内に十分な混合気を流入させることができる。これにより、点火点11に対して燃焼室3の混合気Mを十分に供給することができ、混合気Mに対する火花点火を確実に行うことができる。
【0043】
有底筒状のプラグカバー13には、その先端側の底部13aに先端側噴孔16が備えられ、且つ、その側部13bに基端側噴孔17が備えられている。図2(b)に示すように、直交方向において、先端側噴孔16は、プラグカバー13の底部13aの中央に1つ設けられ、且つ、基端側噴孔17は、燃焼室3の中心軸Qを中心とする円周上で一定の間隔を隔てて設けられている。
【0044】
点火室14は、縦幅L2よりも横幅L1を大きくすることにより、十分な量の混合気Mを流入させるだけの容積を確保しているが、点火室14の横幅L1よりも縦幅L2を大きくすると、点火点11とプラグカバー13の先端側の底部13aとの間の距離が大きくなり、先端側噴孔16だけでは、点火点11に十分な量の混合気Mを供給でき難くなる。そこで、流入箇所から点火点11までの距離が短い基端側噴孔17によって、点火室14内に混合気Mを流入させることにより、点火点11に対して混合気Mを十分な量を供給できる。よって、十分な量の混合気Mを流入させるだけの点火室14の容積を確保しながら、混合気Mに対する火花点火を確実に行うことができる。
しかも、点火点11は、軸心方向において、シリンダヘッド6の下端部6aよりも燃焼室3側であるので、極力プラグカバー13の先端側に点火点11を配置させることができる。これにより、基端側噴孔17における流入箇所から点火点11までの距離を短くできながら、先端側噴孔16における流入箇所から点火点11までの距離をも短くすることができ、点火点11に対する混合気Mの供給をより確実に行うことができる。
【0045】
ちなみに、複数の噴孔17において、孔径、点火室14に対して混合気Mを流入する流入方向、燃焼室3に対して火炎を噴出する噴出方向については、適宜変更することが可能である。例えば、孔径について、先端側噴孔16と基端側噴孔17とで異なる孔径とすることができる。また、流入方向について、先端側噴孔16及び基端側噴孔17の夫々において流入方向が点火点11を向くように構成することができる。
【0046】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、上記第1実施形態における基端側噴孔17の構成についての別実施形態である。図3に基づいて、第2実施形態における基端側噴孔17について説明する。その他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0047】
基端側噴孔17は、軸心方向において、点火室14側の内端部17a及び燃焼室3側の外端部17bの夫々が点火室14における点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるように構成されている。これにより、基端側噴孔17は、軸心方向において、点火室14に対する混合気Mの流入箇所となる内端部17aが点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるように構成されている。
【0048】
基端側噴孔17における流入箇所が点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるので、軸心方向において、先端側噴孔16と基端側噴孔17における流入箇所との間に点火点11が位置することになる。これにより、先端側噴孔16における流入箇所から点火点11までの距離を短くできるとともに、基端側噴孔17における流入箇所から点火点までの距離も短くできる。よって、点火点11に対して混合気Mを十分に供給することができ、混合気Mに対する火花点火を確実に行うことができる。
図示は省略するが、上記第1実施形態と同様に、点火室14は、縦幅L2よりも横幅L1を大きくしながら、先端側噴孔16及び基端側噴孔17の双方から混合気Mを流入させて、点火点11に対して混合気Mを十分な量を供給できる。よって、十分な量の混合気Mを流入させるだけの点火室14の容積を確保しながら、混合気Mに対する火花点火を確実に行うことができる。
【0049】
〔第3実施形態〕
この第3実施形態は、上記第1実施形態における点火点11の燃焼室3の軸心方向での位置及び基端側噴孔17の構成についての別実施形態である。図4に基づいて、第2実施形態における基端側噴孔17について説明する。その他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0050】
点火点11は、燃焼室3の軸心方向において、シリンダヘッド6の下端部6aよりも上方側に配置されている。点火点11は、燃焼室3の軸心方向において、基端側噴孔17の内端部17aよりもプラグカバー13の先端側(図4中下側)に位置するように構成されている。これにより、燃焼室3の軸心方向において、先端側噴孔16の内端部16aと基端側噴孔17の内端部17aとの間に点火点11を位置させることができる。よって、先端側噴孔16の内端部16aから点火点11までの距離、及び、基端側噴孔17の内端部17aから点火点11までの距離の双方を短くできる。その結果、点火点11に対する燃焼室3の混合気Mの供給を的確に行うことができながら、点火室14内に十分な混合気Mを流入させることができ混合気Mの火花点火を安定して的確に行える。
【0051】
〔別実施形態〕
(1)上記第1〜第3実施形態において、先端側噴孔16及び基端側噴孔17の数については適宜変更が可能である。
例えば、図5に基づいて、先端側噴孔16及び基端側噴孔17の夫々を複数設ける場合について説明する。図5(a)に示すように、有底筒状のプラグカバー13には、その先端側の底部13aに複数の先端側噴孔16が備えられ、且つ、その側部13bに複数の基端側噴孔17が備えられている。図5(b)に示すように、先端側噴孔16は、燃焼室3の中心軸Qを中心とする半径の小さい円周(例えば、半径R1とする円周)上で一定の間隔を隔てて設けられている。基端側噴孔17は、燃焼室3の中心軸Qを中心とする半径の大きい円周(例えば、半径R2とする円周)上で一定の間隔を隔てて設けられている。このとき、燃焼室3の中心軸Qを中心とする回転方向において、先端側噴孔16と基端側噴孔17とが異なる位置になるように設けられている。
【0052】
(2)上記第2実施形態では、基端側噴孔17において、内端部17a及び外端部17bの両方を点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるようにしているが、流入箇所に相当する内端部17aのみを点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるように基端側噴孔17を構成することもできる。
例えば、図6に示すように、プラグカバー13の厚みが厚いときには、基端側噴孔17において、点火室14側の内端部17aを点火点11よりもプラグカバー13の基端側(図6中上側)に位置させ、且つ、燃焼室3側の外端部17bを点火点11よりもプラグカバー13の先端側(図6中下側)とすることができる。
【0053】
(3)上記第1〜第3実施形態では、軸心方向の同一位置に先端側噴孔16を設け、軸心方向の同一位置に基端側噴孔17を設けているが、例えば、先端側噴孔16を軸心方向において間隔を隔てて並ぶように設けたり、基端側噴孔17も軸心方向において間隔を隔てて並ぶように設けることができる。
【0054】
(4)上記第1実施形態において、基端側噴孔17を、点火室14に対する混合気Mの流入箇所が軸心方向において点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるように設けることもできる。つまり、基端側噴孔17は、点火室14に対する混合気Mの流入箇所が、軸心方向においてシリンダヘッド6の下端部6aからプラグカバー13の先端部までの中央位置Pよりもプラグカバー13の基端側で、且つ、点火室14に対する混合気Mの流入箇所が軸心方向において点火点11よりもプラグカバー13の基端側になるように設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられ、点火点に対して燃焼室の混合気を十分に供給することができ、混合気に対する火花点火を確実に行うことができる各種のエンジン及びエンジン用点火プラグに適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】エンジンの燃焼室の中心軸に沿う方向での断面図
【図2】第1実施形態における点火プラグの燃焼室の中心軸に沿う方向での断面図及び燃焼室の中心軸に直交する方向での断面図
【図3】第2実施形態における点火プラグの燃焼室の中心軸に沿う方向での断面図
【図4】第3実施形態における点火プラグの燃焼室の中心軸に沿う方向での断面図
【図5】別実施形態における点火プラグの燃焼室の中心軸に沿う方向での断面図及び燃焼室の中心軸に直交する方向での断面図
【図6】別実施形態における点火プラグの燃焼室の中心軸に沿う方向での断面図
【符号の説明】
【0057】
2 ピストン
3 燃焼室
6 シリンダヘッド
7 凹部
10 点火プラグ(エンジン用点火プラグ)
11 点火点
13 プラグカバー
14 点火室
15 噴孔
16 先端側噴孔
17 基端側噴孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンであって、
前記点火プラグは、前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させ、且つ、前記シリンダヘッドの下端部よりも前記燃焼室側に前記点火点を位置させるように配置され、
前記複数の噴孔は、前記軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成されているエンジン。
【請求項2】
前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記シリンダヘッドの下端部から前記プラグカバーの先端部までの中央位置よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記点火点よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている請求項1又は2に記載のエンジン。
【請求項4】
点火点を覆うプラグカバー内に点火室が形成された点火プラグがシリンダヘッドに装着され、前記点火室とピストンに面する燃焼室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに備えられているエンジンであって、
前記点火プラグは、前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させるように配置され、
前記複数の噴孔は、前記軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成され、
前記点火点が、前記軸心方向において、前記基端側噴孔の内端部よりも前記プラグカバーの先端側に位置するように構成されているエンジン。
【請求項5】
前記点火室は、前記燃焼室の軸心方向に直交する方向における第1幅よりも前記燃焼室の軸心方向における第2幅の方が大きくなるように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジン。
【請求項6】
前記プラグカバーは、その先端側を底部とする有底筒状に形成され、
前記先端側噴孔は、前記プラグカバーの底部に設けられ、
前記基端側噴孔は、前記プラグカバーの側部に設けられている請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジン。
【請求項7】
前記シリンダヘッドと対向する前記ピストンの天面に凹部が形成され、
前記点火プラグは、前記ピストンが上死点に位置する状態で少なくとも前記プラグカバーが前記凹部に侵入して配置されている請求項1〜6の何れか1項に記載のエンジン。
【請求項8】
点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、
エンジンのシリンダヘッドに前記プラグ本体及び前記プラグカバーを装着させた状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグであって、
前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させ、且つ、前記シリンダヘッドの下端部よりも前記燃焼室側に前記点火点を位置させるように配置された状態において、
前記複数の噴孔は、前記燃焼室の軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成されているエンジン用点火プラグ。
【請求項9】
前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記シリンダヘッドの下端部から前記プラグカバーの先端部までの中央位置よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている請求項7に記載のエンジン用点火プラグ。
【請求項10】
前記基端側噴孔は、前記点火室に対する混合気の流入箇所が前記軸心方向において前記点火点よりも前記プラグカバーの基端側になるように設けられている請求項7又は8に記載のエンジン用点火プラグ。
【請求項11】
点火点を有するプラグ本体と、前記点火点を覆うように前記プラグ本体に設けられたプラグカバーとを備え、
エンジンのシリンダヘッドに前記プラグ本体及び前記プラグカバーを装着させた状態において、ピストンに面する燃焼室と前記プラグカバー内に形成された点火室とを連通する複数の噴孔が前記プラグカバーに形成されているエンジン用点火プラグであって、
前記燃焼室の軸心方向において、前記シリンダヘッド側から前記燃焼室に前記プラグカバーを突出させるように配置された状態において、
前記複数の噴孔は、前記燃焼室の軸心方向において、前記燃焼室に突出する前記プラグカバーの先端側に設けられた先端側噴孔と、前記先端側噴孔よりも前記プラグカバーの基端側に設けられた基端側噴孔とから構成され、
前記点火点が、前記軸心方向において、前記基端側噴孔の内端部よりも前記プラグカバーの先端側に位置するように構成されているエンジン用点火プラグ。
【請求項12】
前記プラグカバーは、前記プラグ本体に一体的に形成されている請求項8〜11の何れか1項に記載のエンジン用点火プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−270541(P2009−270541A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123867(P2008−123867)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】