説明

カメラ

【課題】 被写体の顔の向きを認識し、顔が所定の方向を向いた場合に被写体記録動作を行う。
【解決手段】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段8と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔を認識する顔認識手段21と、該顔認識手段からの情報により、顔が所定方向に向いているかを判定する判定手段22と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被写体の状況を画像認識できるカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】1)従来、特開平7−128711号に示されているように、被写体となる人が撮影されていることを意識して不自然な表情にならないよう、該被写体である人に悟られず良好な撮影をするために、カメラのファインダを覗かなくともカメラの撮影レンズを正しく被写体に向けたときは、撮影者は音や光等で感知し撮影できる。或はカメラが被写体の方に向いたとき自動的に撮影を行うというものはあった。
【0003】2)従来、特開平3−252775号,特開平8−249447号,特開平8−249453号,特開平10−255043等、顔の表情を認識する技術はいくつかあったが、カメラの機能に結び付けたものはなかった。
【0004】3)野生動物撮影等で、カメラのファインダ視野内の特定位置に被写体が入ったときにカメラの撮影動作を行わせるために、この特定位置を挟むように赤外線投・受光装置を設置し、赤外線投・受光装置の間を被写体が横切った際に撮影指令をリモコン信号として発するというものはあった。
【0005】4)また、特開昭57−115524号に示されるように、予め設定された距離位置へ、移動する被写体が到達したとき、これを自動的に合焦検出してシャッタレリーズ機構を作動させるというものはあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記1)の従来の技術では、被写体を撮影画面内に捉えることはできても、被写体となる人がしっかりカメラの方を向いているかどうか、また目を閉じていないか、更には目線がカメラの方を向いているかを、カメラの位置からかなりの距離離れた撮影者の目で判断しなくてはならず、直接カメラのファインダを覗いている場合に比べて失敗の確率が高くなってしまうという不都合があった。
【0007】上記(2)の従来の顔の表情を認識する技術は、カメラの機能に応用されていないため、依然として撮影者が被写体となる人の表情を見て撮影するか否かを判断しなければならず、なるべく手間をかけず自動で撮影したいという人にとっては、煩わしいという不都合があった。また、良い表情を無人撮影したいという要望に答えられないという不都合もあった。更には、顔の表情に合った雰囲気を盛上げる効果を狙った演出も考えられてはいなかった。
【0008】上記(3)の従来の技術では、赤外線投・受光装置を設置した場所でのみ、自動撮影が可能であり、撮影の自由度が無く、装置が大型化してしまうという不都合があった。
【0009】上記(4)の従来の技術では、狙った被写体の近く或は急に飛び込んで別の被写体が存在した場合に、別の被写体が先に予め設定された距離位置へ到達してしまうと、狙った被写体にピントが合わず、別の被写体にピントが合った状態で撮影されてしまうという不都合があった。
【0010】(発明の目的)本発明の第1の目的は、被写体の顔の向きを認識し、顔が所定の方向を向いた場合に、被写体記録動作を行うことのできるカメラを提供しようとするものである。
【0011】本発明の第2の目的は、被写体の目の状態を認識し、目が所定の状態になった場合に、被写体記録動作を行うことのできるカメラを提供しようとするものである。
【0012】本発明の第3の目的は、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、被写体記録動作を行うことのできるカメラを提供しようとするものである。
【0013】本発明の第4の目的は、被写体の姿勢を認識し、被写体が所定の姿勢になった場合に、被写体記録動作を行うことのできるカメラを提供しようとするものである。
【0014】本発明の第5の目的は、被写体の動作を認識し、被写体が所定の動作を行った場合に、被写体記録動作を行うことのできるカメラを提供しようとするものである。
【0015】本発明の第6の目的は、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、被写体記録画面の明るさを変化させることのできるカメラを提供しようとするものである。
【0016】本発明の第7の目的は、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、表情に合ったテキストやキャラクタを写し込むことのできるカメラを提供しようとするものである。
【0017】本発明の第8の目的は、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、表情に合った色に画面を変化させることのできるカメラを提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔を認識する顔認識手段と、該顔認識手段からの情報により、顔が所定方向に向いているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0019】また、上記第2の目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の目を認識する目認識手段と、該目認識手段からの情報により、目が所定の状態になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0020】また、上記第3の目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0021】また、上記第4の目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の姿勢を認識する姿勢認識手段と、該姿勢認識手段からの情報により、所定の姿勢になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0022】また、上記第5の目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の動作を認識する動作認識手段と、該動作認識手段からの情報により、所定の動作になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0023】また、上記第6の目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録画面の明るさを変化させる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0024】また、上記第7の目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、テキストやキャラクタを発生させるテキスト・キャラクタ発生手段と、前記判定手段の判定結果に応じてテキストやキャラクタを被写体と共に記録する記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0025】また、上記第8の目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、記録画面の色を変化させる画面色変化手段と、前記判定手段の判定結果に応じて変化させた画面色を被写体と共に記録する記録動作を行わせる制御手段とを有するカメラとするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示に実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】図1は本発明の実施の各形態に共通なカメラを示す中央縦断面図であり、図2は本発明の実施の第1の形態に係る主要部分の構成を示すブロック図である。
【0028】これらの図において、1はカメラボディ、2は撮影レンズである。3は撮影光軸付近をハーフミラーとした主ミラーであり、主ミラー受板4(撮影光軸付近に開口を設けてある)に接着固定され、主ミラー受板4に設けられた軸4aを中心に図1のミラーダウンした観察状態から不図示のミラーアップした撮影光路外退避状態へ回動可能となっている。ミラーダウンした観察状態では、撮影レンズを通った被写体光は主ミラーで45度上へ反射され、ピント板5に像を結び、ペンタダハプリズム6で正立正像になり接眼レンズ7を通して撮影者に観察される。8はCCD(固体撮像素子)からなる被写界像検出手段であり、測光センサとしての役目もする。9は被写界像検出レンズであり、ピント板5に結ばれた像を被写界像検出手段8のセンサ面に結像させる。
【0029】10はサブミラーであり、サブミラー受板11に接着支持され、サブミラー受板11の軸11aにより回動自在に支持される。サブミラー10は図1のミラーダウンした観察状態で主ミラー3の撮影光軸付近のハーフミラー部を通過した被写体光をカメラ下方に配置した焦点検出部へ導き、サブミラー受板4は不図示のミラーアップした撮影光路外退避状態で主ミラー受板4の撮影光軸付近の開口を塞ぐように作用する。12は焦点検出光学系のフィールドレンズ、13は反射ミラー、14は焦点検出光学系の二次結像レンズ、15は公知のパッシブオートフォーカス用位相差検出方式の焦点検出センサ、16はフォーカルプレーンシャッタ、17はレンズの絞り、18はフィルムである。
【0030】図2に示す19は被写界像であり、19aは被写体である人物が正面を向いている状態を、19bは被写体である人物が横を向いている(正面を向いていない)状態を、それぞれ示している。20はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の顔を認識する顔認識手段21や、該顔認識手段21からの情報により、顔が所定方向に向いているかを判定する判定手段22、更には該判定手段22の判定結果に応じて被写体記録動作を行う被写体記録動作制御手段23を有する。24はカメラ露光機能部であり、レンズの絞り17やフォーカルプレーンシャッタ16からなる。
【0031】図1に示す25は、撮影光学系光軸近傍に設けられ、撮影光軸と同方向に近赤外光を投射するiRED、26は前記iRED25の投射に同期して不図示の進退機構によりCCDからなる被写界像検出手段8の前面に進入する近赤外光透過可視光カットフィルタ、27は日付やキャプションをフィルム背面より写し込ませるための公知のデートモジュールである。28は効果フィルタであり、不図示のアクチュエータと不図示の進退機構により撮影レンズの光束内への進入及び光束外への退避が可能に設けられ、少なくとも異なる2種類のフィルタが選択可能になっている。
【0032】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図3のフローチャートにしたがって説明する。
【0033】ステップ1にて不図示のメインスイッチがONされると、カメラに電源が供給され、撮影準備初期状態となる。そして、ステップ2において、CPU20はカメラの不図示のレリーズボタンが第1ストロークまで押されてスイッチSW−1がONしたかを判定し、ONであればステップ3へ進む。また、スイッチSW−1がOFFであればステップ10まで飛ぶ。
【0034】ステップ3においては、CPU20はCCDからなる被写界像検出手段8よりの測光出力を取り込み、測光演算を行い、露光制御値を決定する。そして、次のステップ4において、公知の位相差検知方式のパッシブオートフォーカス装置の焦点検出センサ15の出力から焦点検出演算を行い、焦点合わせのための撮影レンズ駆動量を決定する。続くステップ5においては、上記ステップ4にて得られた撮影レンズ駆動量に基づいて撮影レンズ2の焦点調節用レンズ2aを駆動し、焦点調節する。そして、次のステップ6において、CPU20は撮影者が狙ったであろう被写体に焦点が合った被写界像を、CCDよりなる被写界像検出手段8に1フレームを1/30秒のビデオレートで順次取込ませる。
【0035】次のステップ7においては、顔認識手段21が、取込まれた被写界像から人の顔を認識し、判定手段22により、認識された人の顔が正面を向いているかを判定する。図2の19aのように被写界像の被写体人物が正面を向いているのであればステップ8へ進み、19bのように正面を向いていなければステップ2へ戻る。
【0036】なお、被写界像の中から正面を向いている人物像を抽出する方法(顔認識手段21と判定手段22によって行われる)は、以下に示す(a)〜(c)の手法が公知となっており、この実施の第1の形態ではそのうちの何れかの手法を用いるものとする。
【0037】(a)テレビジョン学会誌Vol.49,No.6,pp.787−797(1995) の「顔領域抽出に有効な修正HSV表色系の提案」に示されるように、カラー画像をモザイク画像化し、肌色領域に着目して顔領域を抽出する手法。
【0038】(b)電子情報通信学会誌Vol.J74−D−II,No.11,pp.1625−1627(1991) の「静止濃淡情景画像からの顔領域を抽出する手法」に示されるように、髪や目や口など正面人物像の頭部を構成する各部分に関する幾何学的な形状特徴を利用して正面人物像の頭部領域を抽出する手法。
【0039】(c)画像ラボ 1991−11( 1991) の「テレビ電話用顔領域検出とその効果」に示されるように、動画像の場合、フレーム間の人物の微妙な動きによって発生する人物像の輪郭エッジを利用して正面人物像を抽出する手法。
【0040】ステップ8へ進むと、ここでは上記ステップ3にて決定された露出制御値に基づいて被写体記録動作制御手段23は、絞り17の開口径とフォーカルプレーンシャッタ16のシャッタ秒時を制御し、フィルム18への露光を行う。そして、次のステップ9において、フィルムを1駒巻上げ、次の撮影に備え、前記フィルムの巻上げが終了するとステップ2へ戻る。
【0041】上記ステップ2にてスイッチSW−1がOFFであるとしてステップ10へ進むと、ここではCPU20は所定時間を計時する測光タイマ(レリーズボタンを押してスイッチSW−1のONを保持せずとも露出設定変更できるよう、測光可能状態を所定時間保持するタイマ)の状態を見に行き、作動中であればステップ2へ戻る。また、所定時間が経過し不作動であればステップ11へ進み、ここでは不図示のメインスイッチの状態を見に行き、ONであればステップ2へ戻り、以下繰り返す。一方、OFFであればステップ12へ進み、カメラへの電源供給を遮断する。
【0042】上記の実施の第1の形態によれば、被写体の顔の向きを認識し、顔が所定の方向、特に正面を向いた場合に被写体記録動作を行うので、撮影者に負担をかけず、被写体である人物がきちんとカメラの方を向いていないという失敗写真を防ぐ効果がある。
【0043】(実施の第2の形態)図4は本発明の実施の第2の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図5は本発明の実施の第2の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0044】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に200を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0045】図4において、219は被写界像であり、219aは被写体である人物が目を開けてカメラの方に目線を向けている状態を、219bは被写体である人物が目を閉じている状態を、219cは被写体である人物は目を開けてはいるがカメラの方に目線を向けていない状態を、それぞれ示している。220はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の目を認識する目認識手段221や、該目認識手段221からの情報により、目が特定の状態になっているか(例えば、目が開いているか、目線がカメラの方を向いているか)を判定する判定手段222、更には該判定手段222の判定結果に応じて被写体記録動作を行う制御手段223を有する。
【0046】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図5のフローチャートにしたがって説明する。
【0047】ステップ201からステップ205までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ5までと同じであり、その説明は省略する。
【0048】ステップ206においては、CPU200は撮影者が狙ったであろう被写体に焦点が合った被写界像を、CCDからなる被写界像検出手段8に1フレームを1/30秒のビデオレートで順次取込ませる。また、瞳孔は入射した光を略同方向に反射する性質を持っており、顔の他の部分に比べて同軸照明状態の輝度が際立って大きく、弱い近赤外光を用いても瞳孔だけは明るく撮像される。従って、iRED25により近赤外光を被写体に投射し、近赤外光透過可視光カットフィルタ26を透過した被写界像を、被写界像検出手段8が1フレームを1/30秒のビデオレートで順次取込むようにさせると、より効果的に目の像が得られる。
【0049】次のステップ207においては、目認識手段221が、取込まれた被写界像から人の目を認識し、判定手段222により、認識された人の目が開いているか、更には目線がカメラの方を向いているかを判定する。図4の219a或は219cのように、被写界像の被写体である人物の目が開いているのであればステップ208へ進み、219bのように目が閉じていればステップ202へ戻る。または、図4の219aのように被写界像の被写体である人物の目が開いて、しかも目線がカメラの方を向いているのであればステップ208へ進み、219cのように目を開けてはいるが、カメラの方に目線を向けていなかったり、219bのように目が閉じていればステップ202へ戻るようにしてもよい。
【0050】なお、被写界像の中から人物の目(及び目線(視線)方向)を抽出する方法(目認識手段221と判定手段222によって行われる)は、以下に示す(d)〜(h)の手法が公知となっており、この実施の第2の形態ではそのうちの何れかの手法を用いるものとする。
【0051】(d)特開平3−17696号に示されるように、目の領域を瞳孔中心を通る垂直線と水平線で分割し、分けられた領域の面積比を特徴量として視点位置を算出する手法。
【0052】(e)特開平4−255015号に示されるように、視線の相対的な移動量を瞳の輪郭データを抽出し、瞳の中心座標の変化から求める手法。
【0053】(f)特開平5−300601号に示されるように、赤外光を顔に投射し、特に反射率の高い眼球を抽出する手法。
【0054】(g)特開平9−21611号に示されるように、近赤外光を撮影レンズと略同軸に被写体である人物に照射し、瞳孔の高輝度反射を検出し目を抽出する手法。
【0055】(h)特開平9−251342号に示されるように、取得画像に対し領域分割を行い、各領域の色相、彩度の情報から顔領域を見つける。次に色相画像の2値化により、肌色部分とは異なる色属性を持つ目部分と口部分の候補を出し、目や口の濃淡パターンとの照合を行い、目領域と口領域を決める。そして検出した目、口に対してエッジ画像を生成し、エッジ画像を1次元の軸方向に垂直に写像し、目頭と左右の口元を検出する。更に目の切り出し画像を2値化し、黒画素の重心を瞳の重心とし、目頭点とから瞳のベクトルを求める。最後に顔の向きにおける目の位置より注視点を求める。という手法。
【0056】ステップ208からステップ212までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ8からステップ12までと同じであり、その説明は省略する。
【0057】上記実施の第2の形態によれば、被写体の目の状態を認識し、目が所定の状態になった場合、特に目をしっかり開けて、カメラに目線が向いている場合に被写体記録動作を行うので、撮影者に負担をかけず、被写体である人物が目を閉じていたり、きちんとカメラの方を見ていないという失敗写真を防ぐ効果がある。
【0058】(実施の第3の形態)図6は本発明の実施の第3の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図7は本発明の実施の第3の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0059】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に300を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0060】図6において、319は被写界像であり、319aは被写体である人物が無表情の状態を、319bは被写体である人物が笑っている喜びの状態を、319cは被写体である人物が泣いている悲しみの状態を、319dは被写体である人物の怒りの状態を、319eは被写体である人物の驚きの状態を、それぞれ示している。320はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の表情を認識する表情認識手段321や、該表情認識手段321からの情報により、表情が特定の状態(例えば、喜び、悲しみ、怒り、驚きの状態)になっているかを判定する判定手段322、更には該判定手段322の判定結果に応じて被写体記録動作を行う制御手段323を有する。
【0061】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図7のフローチャートにしたがって説明する。
【0062】ステップ301からステップ306までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ6までと同様であり、その説明は省略する。
【0063】ステップ307においては、表情認識手段321が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段322により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、喜び、悲しみ、怒り、驚きの状態)になっているかを判定する。図6の319b〜319eのように、被写界像の被写体である人物の表情が喜び、悲しみ、怒り、驚きのいずれかの状態になっているのであればステップ308へ進み、そうでなければステップ302へ戻る。
【0064】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段321と判定手段322によって行われる)は、以下に示す(i)〜(k)の手法が公知となっており、この実施の第3の形態ではそのうちの何れかの手法を用いるものとする。
【0065】(i)特開平3−252775号に示されるように、筋肉の動きを測定するモジュールを備えており、このモジュールによって、顔の筋肉の動きの時間的変化のパターンに基づいて、学習モードでは標準表情パターンを学習記憶し、認識モードでは取込んだ画像による表情パターンと学習した標準表情パターンと比較し表情認識をするという手法。
【0066】(j)特開平8−249447号に示されるように、顔の映像信号をウェーブレット変換し、それにより得られた空間周波数の平均電力を無表情のときの平均電力と比較し表情認識をするという手法。
【0067】(k)特開平8−249453号,特開平10−255043号に示されるように、表情カテゴリとして、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみ、幸福、驚きの合計6種類の基本表情を考え、無表情から各基本表情への時系列画像の処理を行う。例えば、人が相手の表情を読取るときに最も注目している領域である右目と口をそれぞれ含む2つの領域について、人の顔の動画像中の連続する2枚の画像からオプティカルフローアルゴリズムを用いて速度ベクトルを得る。この速度ベクトルの各成分に離散フーリエ変換を施し、フーリエ変換係数の低周波成分を特徴ベクトルとして抽出する。次に、HMM(隠れマルコフモデル)を用いて特徴ベクトルの生成確率を算出し、認識処理を行うという手法。
【0068】ステップ308からステップ312までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ8からステップ12までと同じであり、その説明は省略する。
【0069】上記実施の第3の形態によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合、特に喜び、悲しみ、怒り、驚きといった写真として面白い特徴的な表情になったときに被写体記録動作を行うので、撮影者に負担をかけず、無表情に近い平凡な写真を撮ることがなくなり、傑作写真が撮れる確率が高くなる効果がある。
【0070】(実施の第4の形態)図8は本発明の実施の第4の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図9は本発明の実施の第2の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0071】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に400を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0072】図8において、419は被写界像であり、419aは被写体である人物が棒立ちの状態を、419bは被写体である人物が頬杖を突いて座っている状態を、419cは被写体である人物が片腕を上げる状態を、それぞれ示している。420はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体のポーズを認識するポーズ認識手段421や、該ポーズ認識手段421からの情報により、ポーズが特定の状態(例えば、頬杖を突いて座る、片腕を上げる等の状態)になっているかを判定する判定手段422、更には該判定手段422の判定結果に応じて被写体記録動作を行う制御手段423を有する。
【0073】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図9のフローチャートにしたがって説明する。
【0074】ステップ401からステップ406までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ6までと同じであり、その説明は省略する。
【0075】ステップ407においては、ポーズ認識手段421が、取込まれた被写界像から人のポーズを認識し、判定手段422により、認識された人のポーズが特定の状態(例えば、頬杖を突いて座る、片腕を上げる等の状態)になっているかを判別する。図8の419b,419cのように、被写界像の被写体である人物のポーズが頬杖を突いて座る、片腕を上げる等の状態になっているのであればステップ408へ進み、そうでなければステップ402へ戻る。
【0076】なお、被写界像の中からポーズを認識する方法(ポーズ認識手段421と判定手段422によって行われる)は、以下の(m)の手法が公知となっており、この実施の第4の形態では該手法を用いるものとする。
【0077】(m)特開平7−57103号に示されるように、撮像された被写体の特定部位の輪郭を抽出し、記憶されたパターンと比較しポーズ認識をするという手法。
【0078】ステップ408からステップ412までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ8からステップ12までと同じであり、その説明は省略する。
【0079】上記の実施の第4の形態によれば、被写体の姿勢(ポーズ)を認識し、被写体が所定の姿勢(ポーズ)になった場合、特に写真として面白い特徴的なポーズになったときに被写体記録動作を行うので、撮影者に負担をかけず、棒立ちのようなつまらないポーズの写真を撮ることがなくなり、傑作写真が撮れる確率が高くなる効果がある。
【0080】(実施の第5の形態)図10は本発明の実施の第5の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図11は本発明の実施の第5の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0081】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に500を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0082】図10において、519は被写界像であり、519aは被写体である人物が棒立ちで静止している状態を、519bは被写体である人物が走り出した状態を、それぞれ示している。520はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の動作を認識する動作認識手段521や、該動作認識手段521からの情報により、動作が特定の状態(例えば、走り出した状態)になっているかを判定する判定手段522、更には該判定手段522の判定結果に応じて被写体記録動作を行う制御手段523を有する。
【0083】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図11のフローチャートにしたがって説明する。
【0084】ステップ501からステップ506までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ6までと同じであり、その説明は省略する。
【0085】ステップ507においては、動作認識手段521が、取込まれた被写界像から人の動作を認識し、判定手段522により、認識された人の動作が特定の状態(例えば、走り出した状態)になっているかを判別する。519bのように被写界像の被写体である人物の動作が走り出した状態になっているのであればステップ508へ進み、そうでなければステップ502へ戻る。
【0086】なお、被写界像の中から動作を認識する方法(動作認識手段521と判定手段522によって行われる)は、以下に示す(n)の手法が公知となっており、この実施の第5の形態では該手法を用いるものとする。
【0087】(n)特開平7−57103号に示されるように、撮像された被写体の特定部位の輪郭を抽出し、記憶されたパターンと比較し動作認識をするという手法。
【0088】ステップ508からステップ512までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ8からステップ12までと同じであり、その説明は省略する。
【0089】上記実施の第5の形態によれば、被写体の動作を認識し、被写体が所定の動作を行った場合、特に写真として面白い特徴的な動作を行ったときに被写体記録動作を行うので、撮影者に負担をかけず、棒立ちに近いつまらない動作の写真を撮ることがなくなり、傑作写真が撮れる確率が高くなる効果がある。
【0090】(実施の第6の形態)図12は本発明の実施の第6の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図13は本発明の実施の第6の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0091】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に600を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0092】図12において、619は被写界像であり、619aは被写体である人物が無表情の状態を、619bは被写体である人物が笑っている喜びの状態を、619cは被写体である人物が泣いている悲しみの状態を、619dは被写体である人物の怒りの状態を、619eは被写体である人物の驚きの状態を、それぞれ示している。620はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の表情を認識する表情認識手段621や、該表情認識手段621からの情報により、表情が特定の状態(例えば、喜び、悲しみの状態)になっているかを判定する判定手段622、更には該判定手段622の判定結果に応じて被写体記録動作を行う制御手段623を有する。
【0093】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図13のフローチャートにしたがって説明する。
【0094】ステップ601からステップ606までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ6とまでと同じであり、その説明は省略する。
【0095】ステップ607においては、表情認識手段621が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段622により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、喜びの状態)になっているかを判別する。619bのように被写界像の被写体である人物の表情が喜びの状態になっているのであればステップ608へ進む。そうでなければステップ609へ進む。
【0096】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段621と判定手段622によって行われる)は、上記実施の第3の形態と同じ公知の手法のように行われる。
【0097】ステップ608においては、上記ステップ603にて決定された露出制御値に対し、撮影画面が明るくなるように(明るい雰囲気を出すように)プラスの露出補正をする。そして、次のステップ609において、表情認識手段621が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段622により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、悲しみの状態)になっているかを判定する。図12の619cのように、被写界像の被写体である人物の表情が悲しみの状態になっているのであればステップ610へ進み、そうでなければステップ602へ戻る。
【0098】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段621と判定手段622によって行われる)は、上記ステップ607での説明と同じく、前述した実施の第3の形態と同じ公知の手法により行うものとする。
【0099】ステップ610においては、上記ステップ603にて決定された露出制御値に対し、撮影画面が暗くなるように(暗い雰囲気を出すように)マイナスの露出補正をする。
【0100】ステップ611からステップ615までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ8からステップ12とまでと同じであり、その説明は省略する。
【0101】上記実施の第6の形態によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合、特に喜び、悲しみといった写真の雰囲気として明るい・暗いがはっきりした特徴的な表情になったときに雰囲気に合わせて被写体記録画面の明るさを変化させるので、撮影者に負担をかけず、表情により醸し出される雰囲気を盛上げる効果がある。
【0102】(実施の第7の形態)図14は本発明の実施の第7の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図15は本発明の実施の第7の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0103】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に700を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0104】図14において、719は被写界像であり、719aは被写体である人物が無表情の状態を、719bは被写体である人物が笑っている喜びの状態を、719cは被写体である人物が泣いている悲しみの状態を、719dは被写体である人物の怒りの状態を、719e は被写体である人物の驚きの状態を、それぞれ示している。720はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の表情を認識する表情認識手段721や、表情認識手段721からの情報により、表情が特定の状態(例えば、喜び、悲しみ、怒りの状態)になっているかを判定する判定手段722、更には判定手段722の判定結果に応じて被写体記録動作とテキスト・キャラクタの記録動作を行う制御手段723を有する。27はテキスト・キャラクタ発生手段で日付やキャプションをフィルム背面より写し込ませるための公知のデートモジュールに相当する。729は撮影された被写体記録画像である。
【0105】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図15のフローチャートにしたがって説明する。
【0106】ステップ701からステップ706までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ6とまでと同じであり、その説明は省略する。
【0107】ステップ707においては、表情認識手段721が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段722により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、喜びの状態)になっているかを判定する。図14の719bのように、被写界像の被写体である人物の表情が喜びの状態になっているのであればステップ708へ進み、そうでなければステップ709へ進む。
【0108】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段721と判定手段722によって行われる)は、上記実施の第3の形態と同じ公知の手法により行うものとする。
【0109】ステップ708においては、テキスト・キャラクタ発生手段である日付やキャプションをフィルム背面より写し込ませるための公知のデートモジュール27を駆動し、図14の729bに示す「♪HAPPY♪」のような明るいイメージのテキストやキャラクタをフィルム18に写し込む。
【0110】ステップ709においては、表情認識手段721が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段722により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、悲しみの状態)になっているかを判定する。図14の719cのように、被写界像の被写体である人物の表情が悲しみの状態になっているのであればステップ710へ進み、そうでなければステップ711へ進む。
【0111】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段721と判定手段722によって行われる)は、上記ステップ707での説明と同じく、実施の第3の形態と同じ公知の手法のように行われる。
【0112】ステップ710においては、テキスト・キャラクタ発生手段である日付やキャプションをフィルム背面より写し込ませるための公知のデートモジュール27を駆動し、図14の729cに示す「★泣かないで★」のような慰めのテキストや、「…寂しいな…」「悲しいよー」といった悲しげなイメージのテキストやキャラクタをフィルム18に写し込む。
【0113】ステップ711においては、表情認識手段721が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段722により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、怒りの状態)になっているかを判定する。図14の719dのように、被写界像の被写体である人物の表情が怒りの状態になっているのであればステップ712へ進み、そうでなければステップ702へ戻る。
【0114】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段721と判定手段722によって行われる)は、上記ステップ707での説明と同じく、実施の第3の形態と同じ公知の手法により行うものとする。
【0115】ステップ712においては、テキスト・キャラクタ発生手段である日付やキャプションをフィルム背面より写し込ませるための公知のデートモジュール27を駆動し、「そんなに怒らないで」のような宥めるテキストや、図14の729dに示す「▲怒ったぞ!▲」といった怒りをイメージするテキストやキャラクタをフィルム18に写し込む。
【0116】ステップ713からステップ717までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ8からステップ12とまでと同じであり、その説明は省略する。
【0117】上記実施の第7の形態によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合、特に喜び、悲しみ、怒りといった写真の雰囲気がはっきりとした特徴を持った表情になったときに雰囲気に合わせたテキストやキャラクタを被写体と共に記録するので、撮影者に負担をかけず、表情により醸し出される雰囲気を盛上げる効果がある。
【0118】(実施の第8の形態)図16は本発明の実施の第8の形態に係るカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図、図17は本発明の実施の第8の形態における主要部分の動作を示すフローチャートである。
【0119】なお、これらの図において、上記実施の第1の形態と同じ部分はそのままの番号で示し、対応する部分に関しては上記実施の第1の形態の数字に800を加えた番号で示す。そして、ここでは上記実施の第1の形態と異なる個所のみを説明する。
【0120】図16において、819は被写界像であり、819aは被写体である人物が無表情の状態を、819bは被写体である人物が笑っている喜びの状態を、819cは被写体である人物が泣いている悲しみの状態を、819dは被写体である人物の怒りの状態を、819e は被写体である人物の驚きの状態を、それぞれ示している。820はカメラ全体を制御するCPUであり、その中に被写界像検出手段8からの画像情報を基に被写体の表情を認識する表情認識手段821や、該表情認識手段821からの情報により、表情が特定の状態(例えば、喜び、悲しみ、怒りの状態)になっているかを判定する判定手段822、更には該判定手段822の判定結果に応じて被写体記録動作と画面色の記録動作を行う制御手段823を有する。28は画面色変化手段であり、効果フィルタが不図示のアクチュエータと不図示の進退機構により撮影レンズの光束内への進入及び光束外への退避が可能に設けられ、それぞれ黄・青・赤等の異なる色をベースとし、被写体の雰囲気に合った効果を出せるフィルタが選択可能になっている。829は撮影された被写体記録画像である。
【0121】次に、上記構成におけるカメラの主要部分の動作について、図17のフローチャートにしたがって説明する。
【0122】ステップ801からステップ806までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ1からステップ6とまでと同じであり、その説明は省略する。
【0123】ステップ807においては、表情認識手段821が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段822により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、喜びの状態)になっているかを判定する。図16の819bのように、被写界像の被写体である人物の表情が喜びの状態になっているのであればステップ808へ進み、そうでなければステップ809へ進む。
【0124】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段821と判定手段822によって行われる)は、上記実施の第3の形態と同じ公知の手法により行うものとする。
【0125】ステップ808においては、画面色変化手段28の黄色をベースとした効果フィルタを撮影レンズの光束内へ進入させ、図16の829bに示すような太陽が燦燦と降り注ぐような明るいイメージの画面色をフィルム18に写し込む。
【0126】ステップ809においては、表情認識手段821が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段822により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、悲しみの状態)になっているかを判定する。図16の819cのように、被写界像の被写体である人物の表情が悲しみの状態になっているのであればステップ810へ進み、そうでなければステップ811へ進む。
【0127】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段821と判定手段822によって行われる)は、上記ステップ807での説明と同じく、前述した実施の第3の形態と同じ公知の手法のように行われる。
【0128】ステップ810においては、画面色変化手段28の青色をベースとした効果フィルタを撮影レンズの光束内へ進入させ、図16の829cに示すような、悲しげでブルーなイメージの画面色をフィルム18に写し込む。
【0129】ステップ811においては、表情認識手段821が、取込まれた被写界像から人の表情を認識し、判定手段822により、認識された人の表情が特定の状態(例えば、怒りの状態)になっているかを判定する。図16の819dのように、被写界像の被写体である人物の表情が怒りの状態になっているのであればステップ812へ進み、そうでなければステップ802へ戻る。
【0130】なお、被写界像の中から人物の表情を認識する方法(表情認識手段821と判定手段822によって行われる)は、上記ステップ807での説明と同じく、前述した実施の第3の形態と同じ公知の手法により行うものとする。
【0131】ステップ812においては、画面色変化手段28の赤色をベースとした効果フィルタを撮影レンズの光束内へ進入させ、図16の829dに示すような、激しく燃え盛る炎の如き怒りをイメージする画面色をフィルム18に写し込む。
【0132】ステップ813においては、上記ステップ803にて決定された露出制御値に基づいて被写体記録動作と画面色の記録動作を行う制御手段823は、絞り17の開口径とフォーカルプレーンシャッタ16のシャッタ秒時を制御し、フィルム18への露光を行う。そして、次のステップ814において、効果フィルタを撮影レンズの光束外へ退避させた後、フィルムを1駒巻上げ、次の撮影に備える。フィルムの巻上げ終了後はステップ802へ戻る。
【0133】ステップ815からステップ817までは、上記実施の第1の形態における図3のステップ10からステップ12とまでと同じであり、その説明は省略する。
【0134】なお、上記実施の第8の形態においては、画面色を変化させたが、同様に表情に合った雰囲気を画面に記録するため、画面を軟調効果にするソフトフォーカスや、霧のかかったようにするフォギーに代表されるような公知の光学フィルタで行われている特殊効果を出すことや、画面に模様を付けたりしても良い。
【0135】以上の実施の第8の形態によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合、特に喜び、悲しみ、怒りといった写真の雰囲気がはっきりとした特徴を持った表情になったときに雰囲気に合わせて変化させた画面色を被写体と共に記録するので、撮影者に負担をかけず、表情により醸し出される雰囲気を盛上げる効果がある。
【0136】(変形例)上記実施の各形態において、フィルム18の代わりにCCD(固体撮像素子)を設け、撮像素子駆動回路やディジタル画像処理回路、更には画像記憶手段等の公知の所謂ディジタルカメラの構成要素を設けることにより、銀塩カメラだけでなく、電子スチルカメラにも適応できる。例えば、上記実施の第6の形態の、被写体記録画面の明るさを変化させる手段として、絞りとシャッタにより露出を変化させる方法以外に、フィルムに代わるCCD(固体撮像素子)のゲインを変化させる方法もある。
【0137】また、上記実施の第7の形態の、テキスト・キャラクタ発生手段として、テキスト・キャラクタのROMを有し、ディジタル画像処理の間に、公知の画像合成によりROM から読み出したテキストやキャラクタを被写体に重ね合わせて記録動作を行うことが考えられる。
【0138】同様に、上記実施の第8の形態の、画面色変化手段として、ディジタル画像処理の間に、公知の色調整により画面色を変化させて被写体と共に記録することが考えられる。更には、公知の画像合成により特殊効果を出したり、模様を付けたりすることも可能である。
【0139】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、被写体の顔の向きを認識し、顔が所定の方向を向いた場合に、被写体記録動作を行うことができるカメラを提供できるものである。
【0140】また、請求項2に記載の発明によれば、被写体の目の状態を認識し、目が所定の状態になった場合に、被写体記録動作を行うことができるカメラを提供できるものである。
【0141】また、請求項3に記載の発明によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、被写体記録動作を行うことができるカメラを提供できるものである。
【0142】また、請求項4に記載の発明によれば、被写体の姿勢を認識し、被写体が所定の姿勢になった場合に、被写体記録動作を行うことができるカメラを提供できるものである。
【0143】また、請求項5に記載の発明によれば、被写体の動作を認識し、被写体が所定の動作を行った場合に、被写体記録動作を行うことができるカメラを提供できるものである。
【0144】また、請求項6に記載の発明によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、被写体記録画面の明るさを変化させることができるカメラを提供できるものである。
【0145】また、請求項7に記載の発明によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、表情に合ったテキストやキャラクタを写し込むことができるカメラを提供できるものである。
【0146】また、請求項8に記載の発明によれば、被写体の顔の表情を認識し、顔が所定の表情になった場合に、表情に合った色に画面を変化させることができるカメラを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の各形態に共通なカメラを示す中央縦断面図である。
【図2】本発明の実施の第1の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の第1の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の第2の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の第2の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の第3の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の第3の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の第4の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の第4の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の第5の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の第5の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の第6の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施の第6の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の第7の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の実施の第7の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の第8の形態におけるカメラの主要部分の回路構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の第8の形態におけるカメラの主要部分の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
8 CCDからなる被写界像検出手段
20,220,320,420 CPU
21 顔認識手段
22,222,322,422 判定手段
23,223,323,423 被写体記録動作制御手段
24 カメラ露光機能部
27 テキスト・キャラクタ発生手段(デートモジュール)
28 画面色変化手段(効果フィルタ)
221 目認識手段
321,621,721,821 表情認識手段
421 ポーズ認識手段
520,620,720,820 CPU
521 動作認識手段、
522,622,722,822 判定手段
523,623 被写体記録動作制御手段
723 被写体&テキスト・キャラクタ記録動作制御手段
823 被写体&画面色記録動作制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔を認識する顔認識手段と、該顔認識手段からの情報により、顔が所定方向に向いているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項2】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の目を認識する目認識手段と、該目認識手段からの情報により、目が所定の状態になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項3】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項4】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の姿勢を認識する姿勢認識手段と、該姿勢認識手段からの情報により、所定の姿勢になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項5】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の動作を認識する動作認識手段と、該動作認識手段からの情報により、所定の動作になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項6】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、該判定手段の判定結果に応じて被写体記録画面の明るさを変化させる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項7】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、テキストやキャラクタを発生させるテキスト・キャラクタ発生手段と、前記判定手段の判定結果に応じてテキストやキャラクタを被写体と共に記録する記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。
【請求項8】 被写界の画像情報を検出する被写界像検出手段と、該被写界像検出手段からの画像情報を基に被写体の顔の表情を認識する表情認識手段と、該表情認識手段からの情報により、所定の表情になっているかを判定する判定手段と、記録画面の色を変化させる画面色変化手段と、前記判定手段の判定結果に応じて変化させた画面色を被写体と共に記録する記録動作を行わせる制御手段とを有することを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2001−51338(P2001−51338A)
【公開日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−228076
【出願日】平成11年8月12日(1999.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】