説明

カラーフィルタおよびカラーフィルタ用着色組成物

【課題】カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタに適した、色再現性に優れたカラーフィルタを形成し得るようにする。
【解決手段】塗膜を形成したとき、波長580nmにおける透過率(T580)と波長560nmにおける透過率(T560)との比(T580/560)が、3以上かつ15以下となるカラーフィルタ用着色組成物。波長570〜580nmの範囲内で透過率50%となる塗膜を形成したとき、前記塗膜の厚さが0.5〜2.5μmの範囲であり、前記塗膜の波長430〜550nmの分光透過率が10%以下、波長580〜590nmの分光透過率が85%以下、波長610〜700nmの分光透過率が90%以上である上記カラーフィルタ用着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C−MOS、CCDなどに代表されるカラー撮像素子に装着されるカラーフィルタおよびカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDなどのカラー撮像素子は、その受光素子上にB(青)、G(緑)、R(赤)の加法混合の原色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタをそれぞれ配設して色分解するのが一般的である。近年、カラー撮像素子の小型化および高画素化による1画素当たりの面積の減少により、撮像素子に装着されるカラーフィルタの薄膜化ならびに着色成分を高濃度化することが要求されている。
【0003】
カラーフィルタの製造方法には、色材に染料を使った染色法、染料分散法や、色材に顔料を使った顔料分散法、印刷法、電着法などがある。このうち染色法、あるいは染色分散法は色素が染料であることから、耐熱性や耐光性にやや劣る欠点がある。よってカラーフィルタの色材としては耐熱性や耐光性に優れる顔料が用いられ、製造方法としては形成方法の精度や安定性から顔料分散法を用いる場合が多い。
【0004】
顔料分散法は、透明樹脂中に色素である顔料粒子を分散させたものに感光剤や添加剤などを混合・調合することによってカラーレジスト化し、このカラーレジストを基板上にスピンコーターなどの塗布装置により塗膜形成し、アライナーやステッパー等によりマスクを介して選択的に露光を行い、アルカリ現像、熱硬化処理をすることによりパターニングし、この操作を繰り返すことによってカラーフィルタを作製する方法である。
【0005】
カラーフィルタにおいて要求される色特性を得るためには、2種類以上の顔料を用いて、調色することが一般的である。そして、赤色フィルタについては主顔料にC.I.ピグメントレッド177、208、224、254等が用いられている(例えば、特許文献1〜4参照)。従来、理想的な分光として、他の色の透過領域に影響を与えない色、すなわち、赤色カラーフィルタならば、緑色と青色の透過領域における透過率が0%であることが求められている。更にまた、CCDなどのカラー撮像素子に用いられるカラーフィルタにおいては良好な色再現性を得るために、透過曲線における吸収領域から透過領域へ移行する立ち上がりが緩やかであるカラーフィルタも求められている。
【0006】
しかしながら特に主顔料にC.I.ピグメントレッド254を用いた場合は、透過曲線における吸収領域から透過領域へ移行する立ち上がりが急であり、また520nm〜540nmの波長領域に好ましくない透過ピークがあるため緑色カラーフィルタの透過領域に影響を与えてしまう。
またC.I.ピグメントレッド177、224を用いた場合、立ち上がりは緩やかであるが、透過率50%となる波長がやや長波長側にシフトしていることと、また600nm〜630nmにおける透過ピークが低くなり、結果として550〜700nmにおける5nm毎の分光透過率の積算値が小さくなる。よって赤色色感信号を充分に取り込めなくなり、カラー撮像素子に装着されるカラーフィルタの場合では赤色に対する感度が低下し、赤色の色再現性低下を引き起こす。
以上の点より、上記赤色顔料を単独で或いは主顔料として他の顔料と併用した場合、色再現性と高透過率性に問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開平9−325209号公報
【特許文献2】特開平10−130547号公報
【特許文献3】特開2000−89025号公報
【特許文献4】特開2001−51112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、優れた色再現性及び高透過率を有し、他色の透過領域に影響を与えにくい赤色のカラーフィルタ用着色組成物及びカラーフィルタを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の発明は、塗膜を形成したとき、波長580nmにおける透過率(T580)と波長560nmにおける透過率(T560)との比(T580/560)が、3以上かつ15以下となるカラーフィルタ用着色組成物である。
【0010】
本発明の第2の発明は、波長570〜580nmの範囲内で透過率50%となる塗膜を形成したとき、前記塗膜の厚さが0.5〜2.5μmの範囲であり、前記塗膜の波長430〜550nmの分光透過率が10%以下、波長580〜590nmの分光透過率が85%以下、波長610〜700nmの分光透過率が90%以上である第1の発明に記載のカラーフィルタ用着色組成物である。
【0011】
本発明の第3の発明は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる顔料担体と顔料とを含み、前記顔料がC.I.ピグメントレッド48:1と、C.I.ピグメントレッド177と、黄色顔料である第1または第2の発明に記載のカラーフィルタ用着色組成物である。
【0012】
本発明の第4の発明は、顔料中における各顔料の配合の比率(重量%)が、C.I.ピグメントレッド48:1が1〜90、C.I.ピグメントレッド177が1〜30、黄色顔料が1〜50である第1〜第3の発明いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物である。
【0013】
本発明の第5の発明は、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタであって、前記少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、第1〜第4の発明いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されているカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、塗膜を形成したとき、波長580nmにおける透過率(T580)と波長560nmにおける透過率(T560)との比(T580/560)が、3以上かつ15以下となるので、緑色領域の光を透過させず、かつ吸収領域から透過領域へ移行する立ち上がり部分が緩やかな透過率曲線が得られるので、良好な色再現性が得られる。
【0015】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、波長570〜580nmの範囲内で透過率50%となる塗膜を形成したとき、前記塗膜の厚さが0.5〜2.5μmの範囲なので、カラーフィルタとしたときの感度が良好である。
更に、前記塗膜の波長430〜550nmの分光透過率が10%以下、波長580〜590nmの分光透過率が85%以下、波長610〜700nmの分光透過率が90%以上なので、緑色や青色の透過領域に影響を与えず、色分解性が良好であり、分光透過率の積算値が大きいので赤色色感信号を充分に取り込め、赤色感度の高い、色再現性が良好である。
【0016】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる顔料担体と顔料とを含み、前記顔料がC.I.ピグメントレッド48:1と、C.I.ピグメントレッド177と、黄色顔料なので、良好な色再現性を有する。
【0017】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、顔料中における各顔料の配合の比率(重量%)が、C.I.ピグメントレッド48:1が1〜90、C.I.ピグメントレッド177が1〜30、黄色顔料が1〜50なので、良好な色再現性を有する。
【0018】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタであって、前記少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、上記のカラーフィルタ用着色組成物から形成されているので、高い色再現性及び高透過率を有し、他色の透過領域に影響を与えにくい。従って優れた色分解用カラーフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明のカラーフィルタ用着色組成物について詳細に説明する。
本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いたカラーフィルタの製造方法は特に限定されるものではなく、顔料分散法、印刷法、電着法等が適用できるが、ここでは一般的に多く用いられる顔料分散法を用いた場合について具体的に説明する。
【0020】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、塗膜を形成したとき、波長580nmにおける透過率(T580)と波長560nmにおける透過率(T560)との比(T580/560)が、3以上かつ15以下となることが必要である。この範囲であれば、緑色領域の光を透過させず、かつ吸収領域から透過領域へ移行する立ち上がり部分が緩やかな透過率曲線が得られるので、良好な色再現性が得られる。(T580/560)は4以上かつ10以下が特に好ましい。
【0021】
(T580/560)が15を超えると透過率曲線の立ち上がりが急になり、良好な色再現性が得られなくなる。また(T580/560)が3未満では、560nmにおける透過率が高くなっているため緑色領域の光を透過させてしまい、色再現性が落ちてしまう。
【0022】
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、波長570〜580nmの範囲内で透過率50%となる塗膜を形成したとき、前記塗膜の厚さが0.5〜2.5μmの範囲であることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.5μmである。また、前記塗膜の波長430〜550nmの分光透過率が10%以下、波長580〜590nmの分光透過率が85%以下、波長610〜700nmの分光透過率が90%以上であることが好ましい。
上記条件を満たせば、透過率曲線の吸収領域においては緑色や青色の透過領域に影響を与えず、透過領域においては赤色の透過が良好であり、色再現性が良好である。
【0023】
更に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる顔料担体と顔料とを含む。また、前記顔料は、C.I.ピグメントレッド48:1と、C.I.ピグメントレッド177と、黄色顔料の3種類からなることが好ましい。
【0024】
C.I.ピグメントレッド48:1を用いた場合、透過率曲線における吸収領域から透過領域へ移行する立ち上がり部分は波長550nm付近である。また、C.I.ピグメントレッド177においては同様の立ち上がり部分は波長590nm付近である。よって、このC.I.ピグメントレッド48:1をC.I.ピグメントレッド177で調色することにより、立ち上がり特性が緩やかな透過率曲線が得られる。
【0025】
本発明において用いられる黄色顔料としてはC.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等が挙げられる。
黄色顔料を調色に用いることにより、C.I.ピグメントレッド48:1の特徴である、500nm以下の透過率の上昇を抑制することができる。
【0026】
顔料は、カラーフィルタ用着色組成物中に1.5〜7重量%の割合で含有されることが好ましい。また、顔料は、最終フィルタセグメント中に好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜40重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
【0027】
顔料担体は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂とは、可視光領域の400〜700nmの全波長領域における透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれる。透明樹脂の前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。これらは単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0028】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0029】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂等が挙げられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0030】
モノマー、オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0031】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合開始剤等が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0032】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0033】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、顔料中における各顔料の配合の比率(重量%)は、C.I.ピグメントレッド48:1が1〜90、C.I.ピグメントレッド177が1〜30、黄色顔料が1〜50であることが好ましい。更に好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1が40〜90、C.I.ピグメントレッド177が5〜20、黄色顔料が5〜40である。
【0034】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型の着色レジストの形態で調整することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂とモノマーを含む顔料担体中に顔料を分散させたものであり、顔料または2種以上の顔料からなる顔料組成物を、必要に応じて光開始剤と共に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて顔料担体中に微細に分散して製造することができる。また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、数種類の顔料を別々に顔料担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0035】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は色素誘導体を含有することが好ましい。色素誘導体とは、有機色素に置換基を導入した化合物である。有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載のものを使用でき、これらは単独で、または2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体の含有量は、顔料を基準として、好ましくは0.001〜40重量%、さらに好ましくは1〜25重量%である。
【0036】
また、顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなるカラーフィルタ用着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
【0037】
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物には溶剤を含有させることができる。溶剤を含有させることにより、顔料を充分に顔料担体中に分散させることができる。また、カラーフィルタ用着色組成物をガラス基板等の透明基板上に塗布することが容易になり、0.2〜2.5μmの乾燥膜厚のフィルタセグメントを形成することが容易になる。
【0040】
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いられる。
【0041】
また、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0042】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、粗大粒子や混入した塵の除去を行うことが好ましい。除去対象の粗大粒子や塵の大きさとしては5μm以上のものが好ましく、更には1μm以上が好ましく、特には0.5μm以上が好ましい。
【0043】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備し、前記少なくとも1つの赤色フィルタセグメントは、本発明カラーフィルタ用着色組成物を用いて形成される。
【0044】
青色フィルタセグメントは、通常の青色着色組成物を用いて形成することができる。青色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントブルー 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色着色組成物には、C.I.ピグメントバイオレット 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0045】
また、緑色フィルタセグメントは、通常の緑色着色組成物を用いて形成することができる。緑色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントグリーン 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等の黄色顔料を併用することができる。
【0046】
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いて透明基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
透明基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。
【0047】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0048】
フォトリソグラフィー法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。好ましくは0.5〜2.5μmである。必要により、乾燥塗膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0049】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0050】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、いずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【実施例】
【0051】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
まず、実施例および比較例に用いたアクリル樹脂溶液の製造例および顔料分散体の製造例について説明する。
【0052】
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メチルメタクリレート 65.0部
ブチルメタクリレート 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0053】
(赤色顔料分散体1の製造)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、赤色顔料分散体1を作製した。
C.I.ピグメントレッド 48:1 8.0部
(東洋インキ製造社製「リオノールレッド 2B FG3300」)
分散剤(ゼネカ社製「ソルスパーズ20000」) 1.0部
アクリル樹脂溶液 40.0部
シクロヘキサノン 51.0部
【0054】
(赤色顔料分散体2の製造)
赤色顔料分散体1の製造のうち、C.I.ピグメントレッド 48:1をC.I.ピグメントレッド 177(チバスペシャルティケミカルズ社製「クロモフタルレッド A2B」)に変えた以外は赤色顔料分散体1と同様にして、赤色顔料分散体2を作製した。
【0055】
(黄色顔料分散体1の製造)
赤色顔料分散体1の製造のうち、C.I.ピグメントレッド 48:1をC.I.ピグメントイエロー 139(BASF社製「パリオトールエローD1819」)に変えた以外は赤色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体1を作製した。
【0056】
(黄色顔料分散体2の製造)
赤色顔料分散体1の製造のうち、C.I.ピグメントレッド 48:1をC.I.ピグメントイエロー 150(バイエル社製「Yellow Pigment E4GN」)に変えた以外は赤色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体2を作製した。
【0057】
(黄色顔料分散体3の製造)
赤色顔料分散体1の製造のうち、C.I.ピグメントレッド 48:1をC.I.ピグメントイエロー 83(東洋インキ製造社製「リオノールエロー FG-1842」)に変えた以外は赤色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体3を作製した。
【0058】
[実施例1]
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.6μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型赤色レジスト材(カラーフィルタ用着色組成物)を作製した。
赤色顔料分散体1 50.0部
赤色顔料分散体2 5.0部
黄色顔料分散体1 20.0部
アクリル樹脂溶液 10.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 1.8部
(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
シクロヘキサノン 10.0部
【0059】
[実施例2]
実施例1の組成のうち、黄色顔料分散体1を黄色顔料分散体2に変えた以外は実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
【0060】
[実施例3]
実施例1の組成のうち、黄色顔料分散体1を黄色顔料分散体3に変えた以外は実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジスト材を作製した。
【0061】
[比較例1]
実施例1の組成のうち、赤色顔料分散体1(C.I.ピグメントレッド 48:1)の50部を55部に変え、赤色顔料分散体2(C.I.ピグメントレッド 177)の5部を0部に変えた以外は実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジストを作製した。
【0062】
[比較例2]
赤色顔料分散体1(C.I.ピグメントレッド 48:1)の50部を30部に変え、赤色顔料分散体2(C.I.ピグメントレッド 177)の5部を25部に変えた以外は実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジストを作製した。
【0063】
[比較例3]
赤色顔料分散体1(C.I.ピグメントレッド 48:1)の50部を65部に変え、赤色顔料分散体2(C.I.ピグメントレッド 177)の5部を10部に変え、黄色顔料分散体1(C.I.ピグメントイエロー 139)の20部を0部に変えた以外は実施例1と同様にしてアルカリ現像型赤色レジストを作製した。
【0064】
実施例1〜3及び比較例1〜3により得られた赤色レジストを、スピンコーターでガラス基板に塗布し、乾燥、露光後、現像し、再度乾燥し、波長570〜580nmにおいて透過率50%となる塗膜を形成し、カラーフィルタを得た。
【0065】
以下の評価試験を行い、結果を表1に示した。
(分光特性評価)
顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用い、各カラーフィルタの透過率を測定した。透過曲線を図1に示す。
評価のランクは、○:波長430〜550nmの分光透過率が10%以下、かつ波長580〜590nmの分光透過率が85%以下、かつ波長610〜700nmの分光透過率が90%以上、×:上記条件のいずれかを満たさない、とした。
【0066】
(膜厚評価)
カラーフィルタの膜厚を、表面形状測定装置(アルバック社製「DEKTAK」)を用いて測定した。
評価のランクは、膜厚が○:0.5〜2.5μm、◎:0.5〜2.5μm、△:0.5〜2.5μmの範囲外、とした。
【0067】
図1及び2より、実施例1〜3の赤色レジストを用いて得られた赤色カラーフィルタの(T580/560)は4〜8であり、吸収領域から透過領域へ移行する透過率曲線の立ち上がり部分は緩やかであった。
また、波長430〜550nmの分光透過率は10%以下、波長580〜590nmの分光透過率は85%以下、波長610〜700nmの分光透過率は90%以上であった。
【0068】
比較例1の赤色レジストを用いて得られた赤色カラーフィルタの(T580/560)は15を超えていて、吸収領域から透過領域へ移行する透過率曲線の立ち上がり部分は急なカーブであり、色再現性が劣るおそれがある。
【0069】
比較例2及び3の赤色レジストを用いて得られた赤色カラーフィルタの(T580/560)は3未満であり、吸収領域から透過領域へ移行する透過率曲線の立ち上がり部分が緩やか過ぎる。これは560nmにおける透過率が高くなっているためであり、緑色領域の光を透過させることによって色再現性が落ちるおそれがある。
波長580〜590nmの分光透過率は85%以下、波長610〜700nmの分光透過率は90%以上であった。また、波長430〜550nm以下の分光透過率が10%を超えて高い値であるため、緑色と青色の透過領域に悪影響を与えてしまい、色再現性に劣るおそれがある。
【0070】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタに適した、高い色再現性を有する優れた色分解用カラーフィルタに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例及び比較例で得られたカラーフィルタの波長400〜700nmにおける透過曲線のグラフである。
【図2】図1の横軸を波長550〜590nmとした透過曲線のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗膜を形成したとき、波長580nmにおける透過率(T580)と波長560nmにおける透過率(T560)との比(T580/560)が、3以上かつ15以下となるカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項2】
波長570〜580nmの範囲内で透過率50%となる塗膜を形成したとき、前記塗膜の厚さが0.5〜2.5μmの範囲であり、前記塗膜の波長430〜550nmの分光透過率が10%以下、波長580〜590nmの分光透過率が85%以下、波長610〜700nmの分光透過率が90%以上である請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる顔料担体と顔料とを含み、前記顔料がC.I.ピグメントレッド48:1と、C.I.ピグメントレッド177と、黄色顔料である請求項1または2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
顔料中における各顔料の配合の比率(重量%)が、C.I.ピグメントレッド48:1が1〜90、C.I.ピグメントレッド177が1〜30、黄色顔料が1〜50である請求項1〜3いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの青色フィルタセグメント、および少なくとも1つの緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタであって、前記少なくとも1つの赤色フィルタセグメントが、請求項1〜4いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物から形成されているカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−219333(P2007−219333A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41849(P2006−41849)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】