説明

キーレス装置

【課題】 自車への誘導を充分に行いつつ、省電力性を向上することができるキーレス装置を提供すること。
【解決手段】 距離閾値L3を、車載機3と携帯機2の距離が離れるように超えると、車両ドア施錠、開錠のための通信を停止させるステップS16〜S19又はS22〜S24の処理及びドアロック制御機能部39と、距離閾値L1を、車載機3と携帯機2の距離が近づくように通過すると、自車への誘導動作を行うステップS16〜S18,S20,S21の処理及びハザード制御機能部38を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー操作なしで車両の開錠、施錠を操作するキーレス装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、車両に着脱可能に装着される発信手段と、その発信手段の信号を受信してその位置情報や駐車時間などを通報・表示する通報手段を有する携帯用に形成された送・受信手段とを備えた構成であるため、駐車時間や停車時間になると通報・表示を行い、例えば、運転者が自分の車両を駐車した場所が判らなくなって探し回ったりしないでも携帯している送・受信手段により、車両の駐車位置や駐・停車時間などの情報を自動的に確認している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−97863号公報(第2−5頁、全図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、設定した駐車時間や停車時間になると、その後の通信は常時接続状態となり消費電力が多いという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、自車への誘導を充分に行いつつ、省電力性を向上することができるキーレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、車載機と携帯機との間の通信により認証を行って、車両ドアの施錠、開錠をキー操作なく行うキーレス装置において、車両ドア施錠、開錠のための通信範囲より遠くまで、前記車載機と前記携帯機の間の通信範囲にする遠方通信手段と、前記車載機と前記携帯機の少なくとも相対距離を検知する相対距離検知手段と、前記遠方通信手段の通信範囲内に設定した第1の距離閾値を、前記車載機と前記携帯機の距離が離れるように通過すると、車両ドア施錠、開錠のための通信を停止させるドア通信停止手段と、前記遠方通信手段の通信範囲内に設定した第2の距離閾値を、前記車載機と前記携帯機の距離が近づくように通過すると、自車への誘導動作を行う自車誘導手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、自車への誘導を充分に行いつつ、省電力性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のキーレス装置を実現する実施の形態を、請求項1,2に係る発明に対応する実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のキーレス装置のブロック図である。
実施例1のキーレス装置1は、車両の使用者が携帯する携帯機2と、車両に設けられる車載機3からなる。
携帯機2は、GPS機能部21、表示部22、演算処理部23、記憶部24、RF機能部25、LF機能部26、SW入力部27、地磁気センサ部28を主要な構成としている。
【0009】
GPS機能部21は、GPS通信により、携帯機2の緯度、経度の位置情報を得て、現在位置を取得する。
表示部22は、各種情報を使用者へ表示で提供するよう、携帯機2に設けられた表示面への表示を行う。
演算処理部23は、各機能に必要な演算処理を行い、必要に応じて演算結果もしくは制御指令を出力する。
【0010】
記憶部24は、情報を記憶し、必要に応じて出力を行う。
RF機能部25は、RF波による送受信を車載機3と行う部分であり、実施例1では、比較的遠距離の所定範囲で通信を行う。
LF機能部26は、LF波による送受信を車載機3と行う部分であり、実施例1では、比較的近距離の所定範囲で通信を行う。
SW入力部27は、携帯機2に設けられ(図示せず)、操作入力を行う部分である。
地磁気センサ部28は、地磁気変化により、所定位置からの方向距離変化を検出する。
【0011】
車載機3は、GPS機能部31、表示部32、演算処理部33、記憶部34、RF機能部35、LF機能部36、携帯機車室内外サーチ機能部37、ハザード制御機能部38、ドアロック制御機能部39、地磁気センサ部40を主要な構成としている。
【0012】
GPS機能部31は、GPS通信により、車載機3が設けられた車両の緯度、経度の位置情報を得て、現在位置を取得する。
表示部32は、各種情報を使用者へ表示で提供するよう、車載機3に設けられた表示面への表示を行う。
演算処理部33は、各機能に必要な演算処理を行い、必要に応じて演算結果もしくは制御指令を出力する。
【0013】
記憶部34は、情報を記憶し、必要に応じて出力を行う。
RF機能部35は、RF波による送受信を携帯機2と行う部分であり、実施例1では、比較的遠距離の所定範囲で通信を行う。
LF機能部36は、LF波による送受信を携帯機2と行う部分であり、実施例1では、比較的近距離の所定範囲で通信を行う。
携帯機車室内外サーチ機能部37は、RF波、LF波の通信用に車両に設けられる車室内アンテナ、車室外アンテナ(図示せず)により携帯機2へサーチ信号を出力し、携帯機2からの応答信号を受信することで、携帯機2が車室内に存在するのか、車室外に存在するのかを探索する。
【0014】
ハザード制御機能部38は、車両のハザードランプの点灯、点滅、消灯を制御する。
ドアロック制御機能部39は、車両のドアのロック、アンロックを行うアクチュエータ又は、車両のドアのロック、アンロックを行うコントローラへの制御指令出力を行う。
地磁気センサ部40は、地磁気変化により、所定位置からの方向距離変化を検出する。
【0015】
作用を説明する。
以下の作用の説明において、携帯機2と車両との距離として、L1,L2,L3を設定し、L2<L3<L1とする。そして、L1は、遠くから近くなる場合にのみ使用する誘導アシスト判断の閾値とする。L3は、近くから遠くなる場合にのみ使用する車外LF停止判断の閾値とする。L2は、遠くから近くなる場合にのみ使用する車外LF送信判断の閾値とする。そして、L1よりも離れた位置にRF波の通信可能エリアを設定し、L2よりも近い位置に車外LF波の通信可能エリアを設定する。
【0016】
そして、以下の作用の説明において、距離範囲の状態として、Zone0,Zone1,Zone2,Zone3,Zoen4を設定する。Zone0は距離0(ゼロ)とする。Zone1は、0<Zone1≦L2とする。Zone2は、L2<Zone2≦L3とする。Zone3は、L3<Zone3≦L1とする。そして、Zone4は、L1<Zone4とする。
[車載機におけるキーレス処理]
図2に示すのは、実施例1のキーレス装置の車載機3の演算処理部33で実行されるキーレス処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0017】
ステップS1では、RF波の受信状態にする。
【0018】
ステップS2では、携帯機2からのRF波信号を受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS3へ進み、受信していないならばステップS1へ戻る。
【0019】
ステップS3では、車載機3からの携帯機2の方角、距離を計算し、計算結果を携帯機2へ送信する。
【0020】
ステップS4では、車両の駐停車位置と現在の携帯機2の位置から距離Lnowを算出する。
【0021】
ステップS5では、Lnowの前回Zoneがあるかどうかを判断し、あるならばステップS6へ進み、ないならばステップS9へ進む。
【0022】
ステップS6では、前回のZoneを使用する。
【0023】
ステップS7では、Lnowの絶対値が0かどうかを判断し、0ならばステップS8へ進み、0でないならばステップS10へ進む。
【0024】
ステップS8では、Zone0として登録し、次回、前回Zoneとして使用し、処理を終了する。
【0025】
ステップS9では、前回ZoneをZone0に設定する。
【0026】
ステップS10では、Lnowの絶対値が0より大きく、L2以下であるかどうかを判断し、条件成立ならばステップS11へ進み、不成立ならばステップS14へ進む。
【0027】
ステップS11では、Zone1として登録し、次回、前回Zoneとして使用する。
【0028】
ステップS12では、前回Zone0または前回Zone1かどうかを判断し、条件成立ならば処理を終了し、条件不成立ならばステップS13へ進む。
【0029】
ステップS13では、車外へのLF送信を開始する。
【0030】
ステップS14では、Lnowの絶対値がL2より大きく、L3以下であるかどうかを判断し、条件成立ならばステップS15へ進み、不成立ならばステップS16へ進む。
【0031】
ステップS15では、Zone2として登録し、次回、前回Zoneとして使用する。
【0032】
ステップS16では、Lnowの絶対値がL3より大きく、L1以下であるかどうかを判断し、条件成立ならばステップS17へ進み、不成立ならばステップS22へ進む。
【0033】
ステップS17では、Zone3として登録し、次回、前回Zoneとして使用する。
【0034】
ステップS18では、前回Zone0または前回Zone1、前回Zone2かどうかを判断し、条件成立ならばステップS19へ進み、条件不成立ならばステップS20へ進む。
【0035】
ステップS19では、車外へのLF送信を停止し、処理を終了する。
【0036】
ステップS20では、前回Zone3かどうかを判断し、条件成立ならば処理を終了し、条件不成立ならばステップS21へ進む。
【0037】
ステップS21では、ハザードランプを点滅させ、処理を終了する。
【0038】
ステップS22では、Zone4として登録し、次回、前回Zoneとして使用する。
【0039】
ステップS23では、前回Zone0または前回Zone1、前回Zone2かどうかを判断し、条件成立ならばステップS24へ進み、条件不成立ならば処理を終了する。
【0040】
ステップS24では、車外へのLF送信を停止し、処理を終了する。
【0041】
[携帯機におけるキーレス処理]
図3に示すのは、実施例1のキーレス装置の携帯機2の演算処理部23で実行されるキーレス処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0042】
ステップS31では、GPSデータを車載機3から受信する。
【0043】
ステップS32では、GPSデータから緯度、経度の位置情報の計算が完了したかどうかを判断し、完了したならばステップS32へ進み、完了していないならばステップS32へ戻る。
【0044】
ステップS33では、車両データを受信したかどうかを判断し、受信したならばステップS34へ進み、受信していないならばステップS33へ戻る。
【0045】
ステップS34では、車両方向を表示し、処理を終了する。
【0046】
[自車への誘導作用と省電力作用]
以下具体的に携帯機2を持った車両の使用者が、車両から離脱する場合、車両へ接近する場合、接近した後離脱する複合状態について、説明する。
【0047】
(離脱時)
図4は実施例1のキーレス装置において携帯機を持つ使用者が車両から離れていく場合の時間と距離、処理の状態を示す説明図である。
まず、車両の使用者が持つ携帯機2が車室内または車両ドア近傍にある場合には、アンロックエリア内として、携帯機2と車載機3の間で、認証通信が行われ、認証が成立した状態である(T1)。この場合には、ドアロック制御機能部39により、ドアがアンロック状態に制御される。
【0048】
それから、使用者が車両から徐々に離れていくことにより、携帯機2が車両から離れていく。そして、車外LF通信可能エリアを脱することにより、車両のドアがロック状態に移行する(T2)。つまり、ドアロック制御機能部39により、ドアがロック状態に制御される。
【0049】
さらに使用者が車両から離れると、RF通信のみの範囲となる。すると、携帯機2は、GPS機能部21によりGPS情報を得て、車両へデータを定期的に送信する(ステップS31〜S32)。
車載機3では、方向・距離を計算し、携帯機2へ送信する(ステップS3)。携帯機2では、これを受信して、車両方向の表示を表示部22で行う(ステップS33〜S34)。
【0050】
車載機3では、さらに、携帯機2の方向・距離の計算結果から、現在の携帯機2との距離をLnowとする。そして、ロックが行われる程度の距離で、Lnowの値を0と設定し、その前回、つまりアンロック範囲内の値をZone0と設定する(T3、ステップS5〜S8)。
そして、状態T4では、Lnowの値がL2以下で、0より大きいため、Zone1の状態と登録され、前回はZone0またはZone1となることで、処理は終了され、次回の判断処理へ移行する(ステップS10〜S12)。
【0051】
さらに使用者が車両から離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowは、L2を超え、L3以下の状態(T5)となる。この状態では、Zone2の状態と判断、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS14,S15)。
【0052】
次に、さらに使用者が車両から離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowは、L3を超え、L1以下の状態(T6)となる。すると、Zone3の状態と判断され、前回がZone2であることから、車両から携帯機2が離れる状態と判断され、車外へのLF送信が停止される(ステップS16〜S19、T7)。
【0053】
さらに使用者が車両から離れるが、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L3を超え、L1以下の状態(T8)にあるとする。すると、前回同様、Zone3の状態と判断され、前回がZone3であることから、状態が登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS20)。
【0054】
次に、さらに使用者が車両から離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowは、L1を超えた状態(T9)となる。このとき、携帯機2がRF通信可能範囲内にある場合には、車両からの返信があることにより、携帯機2はRF通信可能範囲内であることを認識し、車両方向の表示を行う状態となる(T10)。車載機3では、Zone4の状態と判断され、状態が登録され、前回がZone2,Zone1,Zone0の場合、つまり判断処理タイミングをとばすような、速い動きの場合に、再度LF送信停止の処理を行う(ステップS22〜S24)。前回Zone3の場合には、そのまま処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS23)。
【0055】
そして、携帯機2がRF通信可能範囲外になると(T11)、車両からの返信がなくなることで、携帯機2はRF通信可能範囲外であることを認識し、次にRF通信可能範囲内になることを待つ待機状態となる。
【0056】
(接近時)
図5は実施例1のキーレス装置において携帯機を持つ使用者が車両へ近づいていく場合の時間と距離、処理の状態を示す説明図である。
まず、携帯機2と車両との距離がRF通信可能範囲外にあると判断されている状態(T15)にある。
そして、携帯機2を持つ使用者が車両に近づくことにより、携帯機2と車両との距離がRF通信可能範囲内になると(T16)、車両からの返信があることにより、携帯機2はRF通信可能範囲内であることを認識する。
【0057】
次に、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づくが、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L1を超えた状態が継続すると、Zone4であることが判断され、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS23、T17〜T19)。
【0058】
そして、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L1以下でL3を超えた状態になる(T20)。すると、車載機3では、Zone3であることが判断され、前回がZone4であることにより(ステップS18,S20)、自車の位置へ誘導するためにハザード制御機能部38により、ハザードランプを点滅、又は点灯させる(ステップS21)。この状態(T21)を自車誘導状態とする。
【0059】
携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づくが、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L1以下でL3を超えた状態が継続すると、Zone3であることが判断され、登録され、ハザードランプを点滅、又は点灯させる自車誘導状態が継続する(T22)。なお、携帯機2の表示部22には、車両データを受信処理して、車両方向が表示され、自車誘導をアシストする(ステップS32〜S34)。
【0060】
次に、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L3以下で、L2を超えた状態(T23)となる。この状態では、Zone2の状態と判断、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS14,S15)。
【0061】
そして、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L2以下で、0を超えた状態(T24)となる。この状態では、Zone1の状態と判断、登録され、前回がZone2〜Zone4であると判断されることにより、車外LF送信を開始する状態(T25)になる(ステップS10〜S13)。
【0062】
さらに、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、アンロックエリア内になると、LF通信が開始されているので、LF通信により認証が行われる(T26)。そして、認証が成立することにより、ドアロック制御機能部39により、車両ドアがアンロックした状態になる(T27)。
【0063】
(接近した後離脱する複合状態)
図6は実施例1のキーレス装置において携帯機を持つ使用者が車両へ近づき離れる場合の時間と距離、処理の状態を示す説明図である。
まず、携帯機2と車両との距離がRF通信可能範囲外にあると判断されている状態(T31)にある。
そして、携帯機2を持つ使用者が車両に近づくことにより、携帯機2と車両との距離がRF通信可能範囲内になると(T32)、車両からの返信があることにより、携帯機2はRF通信可能範囲内であることを認識する。
【0064】
次に、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づくが、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L1を超えた状態が継続すると、Zone4であることが判断され、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS23、T33〜T35)。
【0065】
そして、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L1以下でL3を超えた状態になる(T36)。すると、車載機3では、Zone3であることが判断され、前回がZone4であることにより(ステップS18,S20)、自車の位置へ誘導するためにハザード制御機能部38により、ハザードランプを点滅、又は点灯させる(ステップS21)。この状態(T37)を自車誘導状態とする。
【0066】
携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づくが、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L1以下でL3を超えた状態が継続すると、Zone3であることが判断され、登録され、ハザードランプを点滅、又は点灯させる自車誘導状態が継続する(T38、T39)。なお、携帯機2の表示部22には、車両データを受信処理して、車両方向が表示され、自車誘導をアシストする(ステップS32〜S34)。
【0067】
次に、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L3以下で、L2を超えた状態(T40、T41)となる。この状態では、Zone2の状態と判断、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS14,S15)。
【0068】
そして、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L2以下で、0を超えた状態(T42)となる。この状態では、Zone1の状態と判断、登録され、前回がZone2〜Zone4であると判断されることにより、車外LF送信を開始する状態(T43)になる(ステップS10〜S13)。
【0069】
そして、携帯機2を持つ使用者が、車外LF通信範囲内まで車両に近づくことなく、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L2以下で、0を超えた状態(T44)となる。
この場合には、Zone1の状態と判断、登録され、前回がZone1となるため、処理を終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS12)。
【0070】
次に、携帯機2を持つ使用者が車両からさらに離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L3以下で、L2を超えた状態(T45)となる。この状態では、Zone2の状態と判断、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS14,S15)。
【0071】
そして次に、携帯機2を持つ使用者が再度、車両に近づくと、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowが、L2以下で、0を超えた状態(T46)となる。
この場合には、Zone1の状態と判断、登録され、前回がZone1となるため、処理を終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS12)。
【0072】
さらに、携帯機2を持つ使用者がさらに車両に近づき、アンロックエリア内になると、LF通信が開始されているので(T43以降)、LF通信により認証が行われる(T47)。そして、認証が成立することにより、ドアロック制御機能部39により、車両ドアがアンロックした状態になる(T48)。
【0073】
ここで、車両を使用することなく、車両から離れていくと、車外LF通信可能エリアを脱することにより、車両のドアがロック状態に移行する(T49)。つまり、ドアロック制御機能部39により、ドアがロック状態に制御される。
【0074】
さらに使用者が車両から離れると、RF通信のみの範囲となる。すると、携帯機2は、GPS機能部21によりGPS情報を得て、車両へデータを定期的に送信する(ステップS31〜S32)。
車載機3では、方向・距離を計算し、携帯機2へ送信する(ステップS3)。携帯機2では、これを受信して、車両方向の表示を表示部22で行う(ステップS33〜S34)。
【0075】
車載機3では、さらに、携帯機2の方向・距離の計算結果から、現在の携帯機2との距離をLnowとする。そして、ロックが行われる程度の距離で、Lnowの値を0と設定し、その前回、つまりアンロック範囲内の値をZone0と設定する(T3、ステップS5〜S8)。
そして、状態T50、T51では、Lnowの値がL2以下で、0より大きいため、Zone1の状態と登録され、前回はZone0またはZone1となることで、処理は終了され、次回の判断処理へ移行する(ステップS10〜S12)。
【0076】
さらに使用者が車両から離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowは、L2を超え、L3以下の状態(T52)となる。この状態では、Zone2の状態と判断、登録され、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS14,S15)。
【0077】
次に、さらに使用者が車両から離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowは、L3を超え、L1以下の状態(T53)となる。すると、Zone3の状態と判断され、前回がZone2であることから、車両から携帯機2が離れる状態と判断され、車外へのLF送信が停止される(ステップS16〜S19、T7)。
そして、そこからやや車両に近づき、また離れて、結果的に、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowとしては、L3を超え、L1以下の変わらない状態(T54)となる。すると、Zone3の状態と判断され、前回がZone3であることから、処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS20)。
【0078】
次に、さらに使用者が車両から離れると、携帯機2と車載機3での位置確認(ステップS1〜S4、S31〜S34)による距離Lnowは、L1を超えた状態(T55)となる。このとき、携帯機2がRF通信可能範囲内にある場合には、車両からの返信があることにより、携帯機2はRF通信可能範囲内であることを認識し、車両方向の表示を行う状態となる(T56)。車載機3では、Zone4の状態と判断され、状態が登録され、前回がZone2,Zone1,Zone0の場合、つまり判断処理タイミングをとばすような、速い動きの場合に、再度LF送信停止の処理を行う(ステップS22〜S24)。前回Zone3の場合には、そのまま処理は終了し、次回の判断処理へ移行する(ステップS23)。
【0079】
そして、携帯機2がRF通信可能範囲外になると(T57)、車両からの返信がなくなることで、携帯機2はRF通信可能範囲外であることを認識し、次にRF通信可能範囲内になることを待つ待機状態となる。
【0080】
このように、実施例1のキーレス装置では、GPS機能により、車載機3、つまり車両の位置と携帯機2の位置を取得し、携帯機2と車載機3で位置情報を共有する。そして、認証とドアロック操作を行う車外LF通信可能範囲よりも遠距離にRF通信可能範囲を設定する。そして、このRF通信可能範囲内に閾値を設定することで、距離範囲を複数のゾーンに仕切り分けるようにする。
そして、遠い側のゾーンから近い側のゾーンへ移動するのか、その逆かを判断するようにして、近い側のゾーンから遠い側のゾーンへ移動するように閾値を超えるとLF送信を停止し、省電力を行う。
【0081】
そして、遠いゾーンから近い側のゾーンへ移動する別の閾値を超える場合に、自車へ誘導するようハザードランプの点滅、または点灯を行う。また、携帯機2には、自車の方向が表示される。これにより、駐車場などで、迷うことなく自車のある位置へ行くことができる。
そして、遠いゾーンから近い側のゾーンへ移動する別の閾値を超える場合に、LF送信を開始し、ドアのアンロックをキー操作なく行えることを充分な応答性で行うようにできる。
なお、GPS通信が不可能な環境に携帯機2及び車載機3がある場合には、地磁気センサ部28,40による位置変化により補うようにして、位置の信頼性が維持される。
【0082】
この省電力と、自車誘導あるいは応答性のよいキーレス機能のために、例えば、車両のアンロックを行う際に、トリガースイッチを設けることが考えられるが、操作が発生し、煩わしくなる。また、LF送信を間欠的に行うことも考えられるが、その場合には、常に間欠送信を行う必要がある。
これに対して実施例1のキーレス装置では、新たな操作の必要もなく、常に間欠操作を行う必要もない。
【0083】
さらに実施例1では、携帯機2と車載機3がそれぞれ位置情報を取得することにより、LF通信可能範囲より遠くに設定したRF通信可能範囲をはずれた際、車載機3は携帯機2からのRF波の受信を待つ待機状態にあればよく、サーチを行う必要がないため、省電力となる。携帯機2がRF波の通信可能範囲に入ったと判断した際、車載機3へ送信すればよいからである。
そのため、LF通信を停止させても、RF通信が駆動する分、効果が小さくなるように見えるが、実際には、車載機3は待機状態で充分に省電力の効果を発揮することができるのである。
【0084】
なお、RF通信可能範囲では、GPSデータから演算される位置情報を共有するようにしているため、位置認識ずれによる不具合の発生が防止できる。
【0085】
次に、効果を説明する。
実施例1のキーレス装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0086】
(1)車載機3と携帯機2との間の通信により認証を行って、車両ドアの施錠、開錠をキー操作なく行うキーレス装置1において、車両ドア施錠、開錠のためのLF通信可能範囲より遠くまで、車載機3と携帯機2の間の通信範囲にするRF機能部25,35によるRF通信可能範囲と、車載機3と携帯機2の少なくとも相対距離を検知するGPS機能部21,31及び地磁気センサ部28,40と、RF通信可能範囲内に設定した距離閾値L3を、車載機3と携帯機2の距離が離れるように通過すると、車両ドア施錠、開錠のための通信を停止させるステップS16〜S19又はS22〜S24の処理及びドアロック制御機能部39と、RF通信可能範囲内内に設定した距離閾値L1を、車載機3と携帯機2の距離が近づくように通過すると、自車への誘導動作を行うステップS16〜S18,S20,S21の処理及びハザード制御機能部38を備えるため、自車への誘導を充分に行いつつ、省電力性を向上することができる。
【0087】
(2) (1)において、RF通信可能範囲内で、且つ距離閾値L3より短い距離に設定した距離閾値L2を、車載機3と携帯機2の距離が近づくように通過すると、車両ドア施錠、開錠のための通信を開始させるステップS10〜S13の処理とドアロック制御機能部39を備えるため、キー操作なくドアのアンロックを行うことを応答性よく行うことができる。
【0088】
以上、本発明のキーレス装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0089】
例えば、実施例1では、ハザードランプにより自車への誘導を行ったが、他の誘導動作であってもよい。
また例えば、実施例1では、GPS及び地磁気センサを用いたが他の位置検出手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施例1のキーレス装置のブロック図である。
【図2】実施例1のキーレス装置の車載機3の演算処理部33で実行されるキーレス処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施例1のキーレス装置の携帯機2の演算処理部23で実行されるキーレス処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施例1のキーレス装置において携帯機を持つ使用者が車両から離れていく場合の時間と距離、処理の状態を示す説明図である。
【図5】実施例1のキーレス装置において携帯機を持つ使用者が車両へ近づいていく場合の時間と距離、処理の状態を示す説明図である。
【図6】実施例1のキーレス装置において携帯機を持つ使用者が車両へ近づき離れる場合の時間と距離、処理の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0091】
1 キーレス装置
2 携帯機
21 GPS機能部
22 表示部
23 演算処理部
24 記憶部
25 RF機能部
26 LF機能部
27 SW入力部
28 地磁気センサ部
3 車載機
31 GPS機能部
32 表示部
33 演算処理部
34 記憶部
35 RF機能部
36 LF機能部
37 携帯機車室内外サーチ機能部
38 ハザード制御機能部
39 ドアロック制御機能部
40 地磁気センサ部
L1 (誘導アシスト判断の)距離閾値
L2 (車外LF送信開始判断の)距離閾値
L3 (車外LF送信停止判断の)距離閾値
Zone0 (距離0の)距離範囲
Zone1 (0より大きくL2以下の)距離範囲
Zone2 (L2より大きくL3以下の)距離範囲
Zone3 (L3より大きくL1以下の)距離範囲
Zone4 (L1より大きい)距離範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機と携帯機との間の通信により認証を行って、車両ドアの施錠、開錠をキー操作なく行うキーレス装置において、
車両ドア施錠、開錠のための通信範囲より遠くまで、前記車載機と前記携帯機の間の通信範囲にする遠方通信手段と、
前記車載機と前記携帯機の少なくとも相対距離を検知する相対距離検知手段と、
前記遠方通信手段の通信範囲内に設定した第1の距離閾値を、前記車載機と前記携帯機の距離が離れるように通過すると、車両ドア施錠、開錠のための通信を停止させるドア通信停止手段と、
前記遠方通信手段の通信範囲内に設定した第2の距離閾値を、前記車載機と前記携帯機の距離が近づくように通過すると、自車への誘導動作を行う自車誘導手段と、
を備えることを特徴とするキーレス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のキーレス装置において、
前記遠方通信手段の通信範囲内で、且つ第1距離閾値より短い距離に設定した第3の距離閾値を、前記車載機と前記携帯機の距離が近づくように通過すると、車両ドア施錠、開錠のための通信を開始させるドア通信開始手段を、
備えることを特徴とするキーレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−285946(P2008−285946A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133699(P2007−133699)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】