説明

コンバイン

【課題】同一の圃場内においても、防除や施肥の具合によって局部的に穀粒の収穫量が異なるが、その差異を具体的にかつ容易に認識することができるコンバインを提供する。
【解決手段】車体フレーム上にグレンタンクを配設すると共に、グレンタンク内に貯留される穀粒の重量を重量センサ33により検出するようにしたコンバインにおいて、車速を検出する車速センサ44と、車速センサ44と重量センサ33とをその入力側に接続したタイマー内蔵の制御手段42と、制御手段42の出力側に接続した表示パネル部46とを具備して、各センサの検出結果に基づいて制御手段42により圃場内の区画毎の穀粒の重量を算出し、その重量算出結果を表示パネル部46にマップ表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインの一形態として、車体フレーム上にグレンタンクを配設すると共に、同グレンタンクは後端部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同軸線を中心にグレンタンクを、前端部が車体フレーム上に位置する閉塞位置と、前端部が車体フレームの外側方に位置する開放位置との間で、開閉自在となしたものがある。
【0003】
そして、グレンタンクの前端部及び後端部と車体フレームとの間にそれぞれ重量センサとしてのロードセルを配置して、両ロードセルによりグレンタンク内に貯留される穀粒の重量を検出するようにしている。
【特許文献1】特許第3068045号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記したコンバインは、未だ、下記のような不具合を有している。
【0005】
(1)同一の圃場内においても、防除や施肥の具合によって局部的に穀粒の収穫量が異なるが、その差異を具体的にかつ容易に認識することができない。
【0006】
(2)同一の圃場内においても、局部的に穀粒の水分量(含水量)が異なるが、その水分量の差異を考慮した局部的な収穫量の算出がなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、車体フレーム上にグレンタンクを配設すると共に、同グレンタンク内に貯留される穀粒の重量を重量センサにより検出するようにしたコンバインにおいて、車速を検出する車速センサと、同車速センサと上記重量センサとをその入力側に接続したタイマー内蔵の制御手段と、同制御手段の出力側に接続した表示パネル部とを具備して、各センサの検出結果に基づいて制御手段により圃場内の区画毎の穀粒の重量を算出し、その重量算出結果を表示パネル部にマップ表示するようにしたことを特徴とするコンバインを提供するものである。
【0008】
また、本発明は、前記制御手段の入力側に、グレンタンク内に貯留される穀粒の水分を検出する水分センサを接続し、算出した区画毎の穀粒の重量を、水分センサにより検出した区画毎の穀粒の水分値に基づいて、規定水分値における穀粒の重量に修正し、その修正重量を収穫量として表示パネル部にマップ表示するようにしたことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の本発明では、車体フレーム上にグレンタンクを配設すると共に、同グレンタンク内に貯留される穀粒の重量を重量センサにより検出するようにしたコンバインにおいて、車速を検出する車速センサと、同車速センサと上記重量センサとをその入力側に接続したタイマー内蔵の制御手段と、同制御手段の出力側に接続した表示パネル部とを具備して、各センサの検出結果に基づいて制御手段により圃場内の区画毎の穀粒の重量を算出し、その重量算出結果を表示パネル部にマップ表示するようにしている。
【0010】
このようにして、圃場内の区画毎の穀粒の重量を、マップ表示を視認することにより、局部的にかつ確実に把握することができて、圃場全体の穀粒の重量を正確に認識することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明では、前記制御手段の入力側に、グレンタンク内に貯留される穀粒の水分を検出する水分センサを接続し、算出した区画毎の穀粒の重量を、水分センサにより検出した区画毎の穀粒の水分値に基づいて、規定水分値における穀粒の重量に修正し、その修正重量を収穫量として表示パネル部にマップ表示するようにしている。
【0012】
このようにして、圃場内の収穫量を、マップ表示を視認することにより、局部的にかつ確実に把握することができて、圃場全体の収穫状況を正確に認識することができる。
【0013】
この際、区分毎の穀粒の重量は、規定水分値における穀粒の重量に修正し、その修正重量を収穫量としているため、区画毎の実質的な収穫状況を精度良く把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
すなわち、本発明に係るコンバインは、基本的構造として、車体フレーム上にグレンタンクを配設すると共に、同グレンタンクは前後いずれか一側端部を上下方向の軸線廻りに回動自在に枢支して、同軸線を中心にグレンタンクを、他側端部が車体フレーム上に位置する閉塞位置と、他側端部が車体フレームの外側方に位置する開放位置との間で、開閉自在となしている。
【0016】
そして、特徴的構造として、グレンタンクは、一側端部を支点とすると共に、他側下端部と車体フレームとの間に重量センサを配置している。
【0017】
しかも、車体フレームに車体の傾斜角を検出する車体傾斜センサを設け、同車体傾斜センサの検出結果に基づいて重量センサによる計測重量を補正するようにしている。
【0018】
さらには、車速を検出する車速センサと、同車速センサと上記重量センサとをその入力側に接続したタイマー内蔵の制御手段と、同制御手段の出力側に接続した表示パネル部とを具備して、各センサの検出結果に基づいて制御手段により圃場内の区画毎の穀粒の重量を算出し、その重量算出結果を表示パネル部にマップ表示するようにしている。
【0019】
また、車速を検出する車速センサと、グレンタンク内に貯留される穀粒の水分を検出する水分センサと、これらのセンサと上記重量センサとをその入力側に接続したタイマー内蔵の制御手段と、同制御手段の出力側に接続した表示パネル部とを具備して、各センサの検出結果に基づいて制御手段により圃場内の区画毎の穀粒の重量を算出すると共に、算出した区画毎の穀粒の重量を、水分センサにより検出した区画毎の穀粒の水分値に基づいて、規定水分値における穀粒の重量に修正し、その修正重量を収穫量として表示パネル部にマップ表示するようにしている。
【実施例】
【0020】
以下に、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1〜図4に示すAは、本発明に係るコンバインであり、同コンバインAは、左右一対のクローラ式の走行部1,1上に車体フレーム2を載設し、同車体フレーム2の前端部に刈取部4を取り付け、車体フレーム2上の左側前部に脱穀部6を配設し、同脱穀部6の直下方位置に選別部7を配設すると共に、同選別部7の後方上部であって、脱穀部6の直後方位置に排藁処理部8を配設している。11は、刈取部4に設けた穀稈搬送機構、12は刈刃、13は、脱穀部6に設けた扱胴である。
【0022】
そして、コンバインAは、車体フレーム2上の右側前部に運転部9を配設し、同運転部9の直後方位置であって、脱穀部6の直上方位置に穀粒貯留部10を配設すると共に、運転部9の直下方位置に原動機部14を配設している。
【0023】
また、脱穀部6に設けた扱胴13の左側方位置には、前後方向に伸延するフィードチェン機構15を設けて、同フィードチェン機構15により穀桿の株元部を狭持すると共に、同穀桿の穂先部を扱胴13の下側周面に沿わせて前方から後方へ向けて搬送するようにしている。
【0024】
上記のような構成により、刈取部4に設けた刈刃12により圃場に植生している穀稈を刈り取り、この刈り取った穀稈を刈取部4に設けた穀稈搬送機構11により後上方へ搬送してフィードチェン機構15に受け渡し、同フィードチェン機構15により穀桿の株元部を狭持すると共に、穀桿の穂先部を扱胴13の下側周面に沿わせて前方から後方へ向けて搬送して、同扱胴13により脱穀し、この脱穀した穀粒を選別部7により選別して、選別した清粒を穀粒貯留部10に搬送して貯留する一方、排藁を排藁処理部8に搬送して排藁処理するようにしている。
【0025】
穀粒貯留部10は、図5〜図7に示すように、車体フレーム2上に載設したグレンタンク20と、同グレンタンク20に下側連動連設部21を介して連動連設した縦オーガ筒22と、同縦オーガ筒22に上側連動連結部23を介して連動連結した搬出オーガ筒24とを具備している。
【0026】
そして、グレンタンク20は前後幅に比べて左右幅が細幅の箱型に形成すると共に、下部左右側壁20a,20bの内面を内方へ下り傾斜状のテーパー面となして、両下部左右側壁20a,20b間に搬出用コンベア26を横架して、同搬出用コンベア26の前端部を前記した原動機部14に接続・切断自在に連動連結する一方、同搬出用コンベア26の後端部を下側連動連設部21内に設けた連動連設機構(図示せず)に連動連結している。
【0027】
また、グレンタンク20の左側壁(内側壁)には、穀粒投入口27を形成し、同穀粒投入口27と前記した選別部7との間には揚穀筒28を介設して、同揚穀筒28を通して選別部7において選別された精粒を穀粒投入口27→グレンタンク20内に投入して貯留するようにしている。
【0028】
ここで、グレンタンク20内には、穀粒の水分を検出する水分センサ25を配設しており、同水分センサ25は、穀粒投入口27の下方近傍に配置した穀粒案内体29上に載置して、穀粒投入口27から投入されて穀粒案内体29上を流下する穀粒(清粒)の水分を検出することができるようにしている。
【0029】
下側連動連設部21は、側面視略L字状に形成した連動連設部ケース30内に前記した連動連設機構を設けており、同連動連設部ケース30は、前端開口部30aをグレンタンク20の後壁20cに一体的に連設し、下端部に支点突片31を下方へ向けて突設する一方、車体フレーム2に平面視リング状の支点突片受け体32を設けて、同支点突片受け体32中に支点突片31を上方から嵌入させている。
【0030】
このようにして、連動連設部ケース30の下端部に突設した支点突片31を支点としてグレンタンク20を上下方向の軸線廻りに左右回動自在に枢支して、同軸線を中心にグレンタンク20を、前端部が車体フレーム2上に位置する閉塞位置と、前端部が車体フレーム2の外側方に位置する開放位置との間で、開閉自在となしている。
【0031】
従って、グレンタンク20を開放位置まで開放することにより、脱穀部6や選別部7、さらには、原動機部14から各構成部へ動力を伝達する伝動機構(図示せず)のメンテナンス等を容易に行うことができる。
【0032】
上記のような構成において、本発明の要旨は、グレンタンク20の一側端部としての支点突片31を上下揺動支点とすると共に、グレンタンク20の前下端部と車体フレーム2との間にロードセル等の重量センサ33を配置したことにある。
【0033】
すなわち、グレンタンク20は、後下端部を支点突片31を介して車体フレーム2上に設けた支点突片受け体32に枢支する一方、後上部を連結ブラケット34を介して縦オーガ筒22に連結すると共に、同縦オーガ筒22の外周壁廻りに回動自在に枢支している。
【0034】
しかも、図7に示すように、グレンタンク20は、連結ブラケット34の連結片34a,34aに連結ボルト35,35を介して後壁20cを連結すると共に、同連結片34a,34aには後壁20cを連結ボルト3 5,35により完全に締め付けることなく一定の自由度を持たせて連結している。
【0035】
このようにして、グレンタンク20は、支点突片31を支点として自由度の幅tだけ前後方向に傾動(揺動)自在となしている。
【0036】
また、車体フレーム2上において、閉塞位置に配置したグレンタンク20の前下端部20dの直下方位置に重量センサ33を載設している。Gは、穀粒を貯留したグレンタンク20の重心位置である。
【0037】
しかも、図5及び図6に示すように、グレンタンク20と車体フレーム2との間に位置決め手段36を設けると共に、同グレンタンク20と脱穀部6に設けた支持枠体6aとの間に閉塞位置ロック手段37を設けている。
【0038】
すなわち、位置決め手段36は、図5及び図6に示すように、グレンタンク20の前壁20eの下部に、位置決め片支持体36aを介して、上下方向に伸延する棒状の位置決め片36bを上下摺動自在に取り付ける一方、車体フレーム2に筒状の位置決め片受体36cを設けて、同位置決め片受体36c中に位置決め片36bの下端部を上下方向に抜き差し自在に挿入して位置決めを行うようにしている。
【0039】
また、閉塞位置ロック手段37は、図5及び図6に示すように、グレンタンク2 0の前壁20eの左側(内側)上部に固定側フック37aを設けると共に、同固定側フック37aの基部に可動側フック37bの基部を前後方向に軸線を設けた枢支ピン37cを介して枢支し、同可動側フック37bとグレンタンク20の前壁20dの下部に設けた操作レバー37dとの間に連動連結片37eを介設する一方、脱穀部6の支持枠体6aにピン支持ブラケット37fを介して前後方向に軸線を向けた係止ピン37gを設けている。37hは、固定側フック37aと可動側フック37bとの間に介設した引張スプリングである。
【0040】
このようにして、操作レバー37dを回動操作して可動側フック37bの先端部を引張スプリング37hの弾性付勢力に抗して固定側フック37aの先端部から離隔させた状態となし、同状態にてグレンタンク20を閉塞位置まで移動させて、固定側フック37aを係止ピン37gの上方位置に配置し、同状態にて操作レバー37dを元の位置に戻すことにより、可動側フック37bの先端部を引張スプリング37hの弾性付勢力により固定側フック37aの先端部に近接させて、係止ピン37gの周囲の両フック37a,37bにより閉塞したロック状態となすことができるようにしている。
【0041】
ここで、グレンタンク20は、上記したように位置決め手段36により位置決めすることができると共に、上記したように閉塞位置ロック手段37により閉塞位置にロックすることができるが、これらの手段36,37により位置決め・閉塞位置ロックがなされた状態においても、支点突片31を支点として自由度の幅tだけ前後方向に傾動(揺動)自在となして、重量センサ33による重量のセンシングが支障なく行えるようにしている。
【0042】
従って、グレンタンク20を閉塞位置に位置決めすると、前記したようにグレンタンク20が支点突片31を支点として自由度の幅tだけ前後方向に傾動(揺動)自在に支持されているため、同グレンタンク20の前下端部20dが重量センサ33上に当接すると共に、同グレンタンク20の前部側の重量が重量センサ33に作用して、同重量センサ33によりグレンタンク20の前部側の重量を計測することができる。
【0043】
その結果、重量センサ33によりグレンタンク20内に貯留されている穀粒の重量を精度良く推定することができて、圃場内の収穫量を局部的にかつ確実に把握することができ、圃場全体の収穫状況を正確に認識することができる。
【0044】
また、本実施例では、図2に示すように、車体フレーム2の中央部に車体の前後方向の傾斜角(ピッチ角)を検出する車体傾斜センサとしてのピッチ角センサ40と、左右方向の傾斜角(ロール角)を検出する車体傾斜センサとしてのロール角センサ41と、刈取部4に設けて穀桿の有無を検出する穀桿センサ43と、ミッション部(図示せず)に設けて車速を検出する車速センサ44(図8参照)とを設け、各センサ40,41の検出結果に基づいて重量センサ33による計測重量を補正すると共に、水分センサ25の検出結果に基づいて補正した計測重量を修正するようにしている。
【0045】
そして、図8に示すように、運転部9にタイマーを内蔵した制御手段42を設け、同制御手段42の入力側に水分センサ25と重量センサ33とピッチ角センサ40とロール角センサ41と穀桿センサ43と車速センサ44と表示パネル操作部45とを接続する一方、同制御手段42の出力側に運転部9に設けた表示パネル部46を接続している。
【0046】
このようにして、ピッチ角センサ40により車体のピッチ角を検出すると共に、ロール角センサ41により車体のロール角を検出して、これらの検出結果に基づいて重量センサ33により検出した計測重量を補正して、グレンタンク20内の穀粒の重量をより精度良く推定することができるようにしている。
【0047】
しかも、穀粒の重量は、水分センサ25により検出した穀粒の水分値に基づいて、規定水分値(例えば、15%)における穀粒の重量に修正して、修正重量を収穫量(収量)とするようにしており、穀粒の重量と、水分と、修正重量である収穫量(収量)は、図10に示すように、表示パネル部46に表示するようにしている。47は重量表示スイッチ、48は水分表示スイッチ、49は収量表示スイッチ、50は計算スイッチ、51は結果表示部である。
【0048】
さらには、図9に示すように、圃場Bをマトリックス状に区画し、区画a1、a2・・・・毎の穀粒の重量を算出すると共に、算出した区画毎の穀粒の重量を、水分センサ25により検出した区画a1,a2・・・・毎の穀粒の水分値に基づいて、規定水分値における穀粒の重量に修正し、その修正重量を収穫量として表示パネル部46にマップ表示するようにしている(図10参照)。
【0049】
すなわち、圃場Bの区画は、図9に示すように、刈取作業時の車体の移動工程、例えば、圃場Bの左側手前の端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行い、圃場Bの左側向こうの端部位置にて回行させて(ア)、圃場Bの右側向こうの端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行い、圃場Bの右側手間の端部位置にて回行させて(イ)、圃場Bの左側手前の端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行い、圃場Bの左側向こうの端部位置にて回行させて(ウ)、圃場Bの右側向こうの端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行い、圃場Bの右側手間の端部位置にて回行させて(エ)、圃場Bの左側手前の端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行い、圃場Bの左側向こうの端部位置にて回行させて(オ)、圃場Bの右側向こうの端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行い、圃場Bの右側手間の端部位置にて回行させて(カ)、圃場Bの中央手前の端部位置から車体を前進させながら刈取作業を行う。
【0050】
このように、車体を渦巻き状に移動させながら刈取作業を行なう際に、刈幅(車体幅)Wと所定の移動距離L(例えば、10m)とから一つの区画を設定し、圃場B全体をマトリックス化する。
【0051】
ここで、前記した穀桿センサ43は、作物の穀桿の有無を検出することにより、刈取作業工程における刈始めと刈りぬけを認識することができるようにしている。
【0052】
そして、前記した車速センサ44は、ミッション部の伝動軸の回転数を検出することにより、車体の移動速度と移動距離Lを求めることができるようにしている。
【0053】
さらには、グレンタンク20内に貯留された穀粒の重量を検出した時間から、刈取作業を開始してから穀粒がグレンタンク20内に貯留されるまでの時間(例えば、15秒)を差し引くという補正を行うことで、その時間前に通過した地点の収量はカウントしないようにしている。
【0054】
表示パネル部46は、図10に示すように、マトリックス化した圃場Bと相似形のマップMを表示するようにしており、同マップMは、穀物の重量、水分、収穫量(収量)のいずれかを選択的にマップ表示するものであり、区画毎の局部的な数値の大きさに応じて段階的に色の濃淡により色分け表示して、作業者がこのマップMを視認することにより、容易に状況を把握することができるようにしている。
【0055】
すなわち、圃場B内の穀物の重量、水分、収穫量(収量)のいずれかを確認する際には、表示パネル部46に設けた重量表示スイッチ47、水分表示スイッチ48、及び、収量表示スイッチ49の内の所要のスイッチを押すことにより、表示パネル部46に穀物の重量、水分、収穫量(収量)の内からスイッチ操作により選択されたマップMを表示することができて、同マップMを視認することにより、区画a1,a2・・・・毎に所望の穀物収穫情報を局部的にかつ確実に把握することができて、圃場B全体の収穫状況を正確に認識することができるようにしている。
【0056】
また、グレンタンク20内に貯留されている穀粒の検量式としては、以下の式のいずれかを適宜採用することができる。
【0057】
〔第1検量式〕
W=aX+b
W:穀粒の重量(kg)、X:重量センサ33の出力(V)
かかる第1検量式は、ピッチ角センサ40やロール角センサ41の検出結果に基づく補正を行うことなく、重量センサ33の移動平均から検量するものである。
【0058】
〔第2検量式〕
W=aX+bP+cR+dV
W:穀粒の重量(kg)、X:重量センサ33の出力(V)、
P:ピッチ角、R:ロール角、V:速度
かかる第2検量式は、重量センサ33の出力値と、検出されたピッチ角、ロール角、及び、車体の速度のそれぞれの移動平均から検量するものである。
【0059】
〔第3検量式〕
△W=(a×△V1)+(b×Pa)+(c×Ra)
△W:グレンタンク20内の穀粒質量の区間増加量(kg)
△V1:重量センサ33の区間増加量(V)
Pa:ピッチ角の区間平均値
Ra:ロール角の区間平均値
かかる第3検量式は、所定の区間毎に検出されたピッチ角、ロール角、及び、車体の速度の補正を行って検量するものである。
【0060】
また、本実施例において、補正は、経験値に基づいて、所定の補正式にしたがって行うようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るコンバインの右側面図。
【図2】同コンバインの平面図。
【図3】同コンバインの左側面図。
【図4】同コンバインの背面図。
【図5】穀粒貯留部の側面説明図。
【図6】同穀粒貯留部の正面図。
【図7】縦オーガ筒の平面説明図。
【図8】制御ブロック図。
【図9】刈取作業説明図。
【図10】表示パネル部の正面図。
【符号の説明】
【0062】
A コンバイン
1 走行部
2 車体フレーム
4 刈取部
6 脱穀部
7 選別部
8 排藁処理部
9 運転部
10 穀粒貯留部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム上にグレンタンクを配設すると共に、同グレンタンク内に貯留される穀粒の重量を重量センサにより検出するようにしたコンバインにおいて、
車速を検出する車速センサと、同車速センサと上記重量センサとをその入力側に接続したタイマー内蔵の制御手段と、同制御手段の出力側に接続した表示パネル部とを具備して、
各センサの検出結果に基づいて制御手段により圃場内の区画毎の穀粒の重量を算出し、その重量算出結果を表示パネル部にマップ表示するようにしたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記制御手段の入力側に、グレンタンク内に貯留される穀粒の水分を検出する水分センサを接続し、算出した区画毎の穀粒の重量を、水分センサにより検出した区画毎の穀粒の水分値に基づいて、規定水分値における穀粒の重量に修正し、その修正重量を収穫量として表示パネル部にマップ表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−295932(P2007−295932A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163173(P2007−163173)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【分割の表示】特願2002−295364(P2002−295364)の分割
【原出願日】平成14年10月8日(2002.10.8)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】