コンバイン
【課題】発進時に走行ショック現象による走行安定性の低下。
【解決手段】刈取部４は専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により走行速度に同調して回転速度を変速駆動する。変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１を設け、該操作位置検出手段７１の検出信号に応じて走行用静油圧式無段変速装置２０を増減速制御する構成とし、走行速度を検出する車速センサ７７を設け、該車速センサ７７の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を増減速制御することで前記前記刈取部４と前側供給搬送装置１３を走行速度に同調して変速駆動する構成とし、走行停止状態から変速レバー７０の増速操作を開始した初期の走行速度の加速度合いよりも。変速レバー７０の減速操作を開始した初期の走行速度の減速度合いの方が大きくなる設定としたことを特徴とするコンバイン。
【解決手段】刈取部４は専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により走行速度に同調して回転速度を変速駆動する。変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１を設け、該操作位置検出手段７１の検出信号に応じて走行用静油圧式無段変速装置２０を増減速制御する構成とし、走行速度を検出する車速センサ７７を設け、該車速センサ７７の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を増減速制御することで前記前記刈取部４と前側供給搬送装置１３を走行速度に同調して変速駆動する構成とし、走行停止状態から変速レバー７０の増速操作を開始した初期の走行速度の加速度合いよりも。変速レバー７０の減速操作を開始した初期の走行速度の減速度合いの方が大きくなる設定としたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、エンジンからの一定回転を走行用静油圧式無段変速装置により無段階に変速して走行する走行装置と、刈取部と脱穀装置とを設け、刈取部で刈り取った穀稈の株元側を挟持して脱穀装置に供給搬送する穀稈供給搬送装置を設け、穀稈供給搬送装置と脱穀装置の扱胴にはエンジンからの一定回転を伝達し、刈取部は走行速度に同調して回転速度を増減させる専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置により変速駆動するとした構成は、公知である（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００４−２８３０４８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前記公知例は、主変速レバーの操作位置を操作位置検出手段により検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置および刈取搬送用静油圧式無段変速装置を制御して主変速レバーの傾倒操作量に応じて増減速する構成であるが、発進のときも、走行中の加速も、主変速レバーの操作量が同じであると、同じ加速量になって、発進時に走行ショックが起きるという課題がある。
本願は、走行用静油圧式無段変速装置および刈取搬送用静油圧式無段変速装置の変速制御を工夫し、走行ショックの防止あるいは緩和させて走行を安定させて、操作性および作業性を向上させられるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、エンジン２２からの一定回転を走行用静油圧式無段変速装置２０により無段階に変速して走行する走行装置３を設け、該走行装置３の前方に刈取部４を設け、前記走行装置３の上方には脱穀装置２を設け、前記刈取部４で刈り取った穀稈の株元側を挟持して脱穀装置２の脱穀室に供給しながら搬送する穀稈供給搬送装置１２を設け、該穀稈供給搬送装置１２の始端部内側に前側供給搬送装置１３を設け、前記穀稈供給搬送装置１２には脱穀装置２と共にエンジン２２からの一定回転を伝達し、前記刈取部４と前側供給搬送装置１３は専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速駆動する構成とし、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１を設け、該操作位置検出手段７１の検出信号に応じて走行用静油圧式無段変速装置２０を増減速制御する構成とし、走行速度を検出する車速センサ７７を設け、該車速センサ７７の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を増減速制御することで前記前記刈取部４と前側供給搬送装置１３を走行速度に同調して変速駆動する構成とし、走行停止状態から変速レバー７０の増速操作を開始した初期の走行速度の加速度合いよりも。変速レバー７０の減速操作を開始した初期の走行速度の減速度合いの方が大きくなる設定としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、変速レバー７０により走行用静油圧式無段変速装置２０を増速操作して走行装置３の走行速度が速くなると、車速センサ７７の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を増減速制御して刈取部４および前側供給搬送装置１３に伝達する回転を上昇させ、変速レバー７０により走行用静油圧式無段変速装置２０を減速操作して走行装置３の走行速度が遅くなると、刈取部４および前側供給搬送装置１３に伝達する回転を遅くするように、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を同調させて変速して、穀稈供給搬送装置１２への穀稈の引継を円滑にする。
変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１により検出し、走行用静油圧式無段変速装置２０を変速制御し、走行用静油圧式無段変速装置２０により変速された走行速度に同調するように刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を制御して、走行停止状態から変速レバー７０の増速操作を開始して、加速する際の初期の加速度合いよりも、変速レバー７０を減速操作を開始して減速する際の初期の減速度合いの方を大きくしているので、増速時のショックを低減し、迅速に減速し、条合わせして刈取作業を行う。
本発明は、前記走行速度の増速度合いと減速度合いを変更する加減速程度変更手段８０を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行速度の増速度合いと減速度合いを、加減速程度変更手段８０により変更する。
本発明は、前記走行用静油圧式無段変速装置２０は、変速レバー７０の操作により斜板角度を無段階に変更するポンプ８１と副変速操作手段８２の操作により斜板角度を高速側と低速側とに切替えるモータ８３とを有した構成とし、モータ８３の斜板角度を高速側に切替えたとき、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を行い、前記所定時間の経過後はポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行する制御を行い、一方、モータ８３の斜板角度の切替えにより減速したとき、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行するよう制御する構成としたコンバインとしたものであり、モータ８３の斜板角度を高速側に切替えたると、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を実行し、所定時間経過後はポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行する制御を行い、一方、モータ８３の斜板角度の切替えにより減速したとき、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行する。
【発明の効果】
【０００６】
請求項１記載の発明では、加速する際の加速度の度合いよりも、減速する際の減速度合いの方を大きくし、増速時のショックを低減するので、発進時のショックを軽減でき、条合わせを容易にでき、また、緊急時に迅速に減速でき、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項２記載の発明では、請求項１記載の発明の効果に加え、増減速するに要する所要時間を、加減速程度変更手段８０により変更できるので、作業条件や作業者の感性に最適な変速操作をすることができ、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項３記載の発明では、請求項１また２記載の発明の効果に加え、ポンプ８１とモータ８３により、互いに作用させることにより、モータ８３による変速操作のショックを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
【図１】コンバインの側面図。
【図２】走行速度と刈取回転数の関係図。
【図３】一部展開状態の伝動機構の概略図。
【図４】増速操作による速度変化と減速操作による速度変化とを示す概略図。
【図５】ブロック図。
【図６】増速操作による速度変化と減速操作による速度変化とを示す概略図。
【図７】走行速度制御の増減速制御パターンの一例を示す概略図。
【図８】増速制御の速度変化を示す概略図。
【図９】減速制御の速度変化を示す概略図。
【図１０】主変速レバーの操作溝の概略図。
【図１１】油圧回路図。
【図１２】圧力調整部の断面図。
【図１３】圧力調整部の他の実施例の断面図。
【図１４】同断面図。
【図１５】圧力調整部の他の実施例の断面図。
【図１６】圧力調整部の他の実施例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【０００８】
本発明の実施例を図面により説明すると、１は機体フレ−ム、２は機体フレ−ム１の上方位置に設けた脱穀装置、３は機体フレ−ム１の下方位置に設けた走行装置、４は機体フレ−ム１の前方に設けた刈取部、５は前記脱穀装置２の側部に設けた該脱穀装置２より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、６は操縦部、７はグレンタンク５内の穀物を揚穀する揚穀排出装置である。
前記刈取部４の一例を示すと、分草体１０、引起装置（図示省略）、刈刃１１および搬送装置を有して構成する。
１２は、搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置２の脱穀室（図示省略）に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、１３は穀稈供給搬送装置１２の始端側に設けた前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置１２の構成は任意であるが、例えば、挾扼杆（図示省略）と搬送供給チエン（フィードチェン）１５により構成する。挾扼杆は脱穀装置２の上部カバー１６に上下自在に取付けられ、搬送供給チエン１５に弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエン１５は無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール（図示省略）により案内されて移動するように構成する。
【０００９】
前記穀稈供給搬送装置１２は、前記刈取部４で刈り取られた穀稈を脱穀装置２の脱穀室（図示省略）に供給搬送するものであり、刈取部４で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置１２まで搬送する構成は任意であるが、少なくとも、穀稈供給搬送装置１２の搬送方向と平行に搬送して、穀稈供給搬送装置１２に引き継ぐ前記前側供給搬送装置１３を設け、前側供給搬送装置１３は刈取部４と同調して変速されるように構成する。
即ち、走行装置３は走行用無段変速装置（静油圧式無段変速装置）２０により走行速度変更可能に構成し、刈取部４および前側供給搬送装置１３へ伝達する回転も走行装置３の走行速度に同調して変速するようにし、刈取部４からの搬送穀稈を穀稈供給搬送装置１２へ直接引継ぐのではなく、刈取部４から前側供給搬送装置１３まで同じ搬送速度状態とし、刈取部４で植立状態の搬送穀稈を穀稈供給搬送装置１２の搬送姿勢に合わせた横向きとし、穀稈供給搬送装置１２には前側供給搬送装置１３から同じ搬送姿勢で搬送速度のみを変えてることで引継を良好にする。
【００１０】
更に、穀稈供給搬送装置１２の搬送速度は一定として脱穀装置２の扱胴（図示省略）の回転との関係を変化させないようにして、脱穀作業を安定させる。
前記前側供給搬送装置１３は駆動歯車１７と案内ローラ（図示省略）との間に前側供給チエン１９を掛け回して構成している。
この刈取部４および前側供給搬送装置１３は、刈取搬送専用の刈取搬送用無段変速装置（静油圧式無段変速装置）２１により走行速度に同調させて変速する。
このようにすると、脱穀装置２と穀稈供給搬送装置１２をエンジン２２からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、刈取部４および前側供給搬送装置１３の回転を刈取搬送用無段変速装置２１により走行速度に同調させて変速して、穀稈供給搬送装置１２への引継を円滑・確実にする。
また、刈取部４および前側供給搬送装置１３への伝動回転は、刈取搬送用無段変速装置２１により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用無段変速装置２１単独で刈取部４および前側供給搬送装置１３を駆動するように構成する。
【００１１】
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用無段変速装置２１により刈取部４および前側供給搬送装置１３を十分な回転速度で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取部４および脱穀装置２を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用無段変速装置２０から走行装置３への回転を停止させたとき、刈取搬送用無段変速装置２１単独で前側供給搬送装置１３を駆動すると、機体走行停止状態で前側供給搬送装置１３を駆動し、前側供給搬送装置１３および穀稈供給搬送装置１２へ手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
エンジン２２から走行用無段変速装置２０および刈取搬送用無段変速装置２１までの回転伝達機構の構成は任意であるが、一例を示すと、２５Ａは走行用出力プーリー、２５Ｂは刈取脱穀用出力プーリー、２６は走行用無段変速装置２０の入力プーリー、２７は走行用無段変速装置２０を設けたミッションケース、２８は刈取脱穀用出力プーリー２５Ｂの回転が伝達される中間プーリー、２９は中間軸、３０は中間歯車、３１は中間伝動軸、３２は一対の脱穀用傘歯車、３３は脱穀伝動軸、３３Ａは脱穀用中間プーリー、３３Ｂは扱胴伝達用プーリ、３４は扱胴、３４Ａは扱胴軸、３５は処理胴、３６は刈取用中間歯車、３７は刈取搬送用無段変速装置２１の刈取入力軸、３８は刈取搬送用無段変速装置２１の刈取出力軸、３９は刈取用中間出力軸、４０は搬送用出力軸、４１は刈取・脱穀側中間出力軸（穀稈供給搬送中間出力軸）、４１Ａは供給搬送用プーリー、４２は唐箕、４３は穀稈供給搬送装置１２の駆動歯車、４４は刈取脱穀クラッチ、４５は刈取用中間出力軸３９に設けた刈取中間出力プーリー、４６は刈取中間入力プーリー、４７は刈取中間出力プーリー４５と刈取中間入力プーリー４６に掛け回したベルトである（図３）。
【００１２】
この場合、刈取搬送用無段変速装置２１の刈取入力軸３７は、脱穀伝動軸３３の回転伝動経路の下手側に設けているので、脱穀装置２にはエンジン２２の一定回転が伝達される。
前記中間伝動軸３１は左右方向の伝動ケース５２に軸装し、伝動ケース５２の穀稈供給搬送装置１２側（反操縦部６側）にギヤケース５０を設け、ギヤケース５０の操縦部６側に刈取搬送用無段変速装置２１を設ける。
刈取・脱穀側中間出力軸４１の刈取用中間歯車３６には刈取搬送用無段変速装置２１の刈取入力軸３７の入力歯車５３を噛み合わせる（図３）。刈取搬送用無段変速装置２１の刈取出力軸３８と同軸心状に刈取中間出力軸５４を設ける。刈取中間出力軸５４には刈取中間出力歯車５５を設ける。刈取中間出力歯車５５の一側面には刈取用中間従動歯車５６を噛み合わせる。また、刈取中間出力歯車５５の他側面には中間歯車５７を噛み合わせる。
そのため、同じ刈取中間出力歯車５５に刈取用中間従動歯車５６と中間歯車５７の２個の歯車を噛み合わせるので、前記刈取部４および前側供給搬送装置１３への回転伝達経路の構成を簡素にし、ギヤケース５０自体を小型軽量にできる。
また、刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とは別軸とし、実施例では刈取中間出力歯車５５を筒状に形成し、刈取中間出力歯車５５により刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とを一体回転させる。
６０は中間軸、６１は中間歯車、６２は従動歯車である。
【００１３】
走行用静油圧式無段変速装置２０および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１は、変速レバー７０（図１）の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図２のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインＡと、該標準作業ラインＡよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインＢにより変速するように構成する。
即ち、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１により検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置２０を変速制御し、走行用静油圧式無段変速装置２０により変速された走行速度に同調するように刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を制御する。
この場合、加速（増速）する際の加速度の度合いよりも、減速する際の減速度合いの方が大きくなる構成とする（図４）。
即ち、図４のように、所定速度まで増速する増速変速ラインＡとすると、所定速度から元の走行速度にまで減速する減速変速ラインＢとした場合、増速変速ラインＡの傾斜（勾配）より減速変速ラインＢの傾斜（勾配）の方を急傾斜（急勾配）にとする制御部７２により変速制御する。
【００１４】
そのため、増速時のショックを低減し、迅速な減速が可能となって、穀稈の踏み倒しを防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
特に、発進開始直後の急加速を抑制でき、条合わせ等の操作性および作業性を向上させられる。
換言すると、図６のように、所定速度Ａから所定速度Ｂまで増速するのに要する加速時間よりも、同じ所定速度Ｂから所定速度Ａまで減速するのに要する減速時間を、所定時間Ｔだけ短くするよう変速制御する。
７３は刈取脱穀クラッチ入切検出手段７３、７４は刈取増速検出手段、７５は刈取減速検出手段７５、７６はエンジン回転検出手段、７７は車速センサである。
また、変速レバー７０が中立域から出て、且つ、車速センサ７７がパルスを拾った場合に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１のトラニオン軸（斜板）を増速側へ操作する出力を行う。
また、変速レバー７０が中立域に戻るかか、または、車速センサ７７がパルスを拾わなくなると、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１のトラニオン軸（斜板）を停止操作する出力を行う。
【００１５】
また、加減速度の度合い、あるいは、加減速に要する所要時間を、変更する加減速程度変更手段８０を設ける。
そのため、加減速程度変更手段８０により加減速程度を変更できるので、作業条件や作業者のフィーリングに対する適応範囲を広げられ、操作性および作業性を向上させられる。
操作位置検出手段７１により変速レバー７０の操作量を検出し、この操作量に応じた設定走行速度に到達する加減速度の度合い、あるいは、加減速に要する所要時間を制御部７２が選択するのを、前記加減速程度変更手段８０により変更する。
即ち、変速レバー７０の操作に対応した増減速の応答性を作業者に合わせて変更し、操作性および作業性を向上させる。
例えば、図７のように、所定速度まで増速する変速ラインＡに対して変速ラインＢを緩傾斜とし、更に、変速ラインＢに対して変速ラインＣを緩傾斜とし、変速ラインＡ〜変速ラインＣの範囲で段階的あるいは無段階に変速ラインの傾斜（勾配）を加減速程度変更手段８０の操作で変更調節する。
【００１６】
走行用静油圧式無段変速装置２０はポンプ８１側の斜板角度を油圧サーボシリンダＡ（図１１）によって変更することで吐出油量を調節し、モータ８３の出力回転を無段階に調節できる構成である。前記油圧サーボシリンダＡは変速レバー７０の操作角度を検出する操作位置検出手段７１の検出値に応じて作動する構成としている。
また、この走行用静油圧式無段変速装置２０のモータ８３はの斜板角度は切替シリンダＢ（図１１）によって高速側と低速側との２位置に切り替えられる構成であり、この斜板角度の変更によって吸入油量を二段階に切り替えることができる。これによって、ポンプ８１からの操作油量が一定であっても、モータ８３の出力回転速度は二段階に変更できる。前記切替シリンダＢは、操縦部に設けた副変速手段８２の操作によって切替作動する構成としている。
上記油圧サーボシリンダＡおよび切替シリンダＢを作動させる各電磁バルブＣ、Ｄ（各作動ソレノイド、図５、図１１）は、制御部７２の出力側に接続している。
【００１７】
前記走行用静油圧式無段変速装置２０には、変速レバー７０の操作により無段階に変速するポンプ８１と副変速機構の副変速操作手段８２の操作により高速と標準（低速）とに切替え変速するモータ８３とを設け（図５）、モータ８３を増速したとき、所定時間ポンプ８１による減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行する。
そのため、図８の波線のような増速ラインＡから実線の増速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
また、モータ８３により減速したとき、所定時間ポンプ８１による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行する。
【００１８】
そのため、図９の波線のような減速ラインＡから実線の減速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
即ち、変速レバー７０の操作により、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で走行中に、モータ８３を増速操作すると、モータ８３のオイル吐出量上昇させつつ、所定時間ポンプ８１によるオイル吐出量を減少させて減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１によるオイル吐出量の減少作動を停止させ、モータ８３の設定速度まで増速作動を続行し、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で、かつ、この位置においてモータ８３を操作してときの設定速度に至るとモータ８３の増速作動を停止し、走行する。
また、モータ８３の減速操作のときは、ポンプ８１は反対に作用する。
したがって、走行中の副変速操作手段８２による高速と標準（低速）との切替え操作時のショックを緩和あるいは抑制する。
【００１９】
前記操縦部６のパネル８５の前記変速レバー７０の操作溝８６は、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定する（図１０）。
例えば、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた変速レバー７０の傾倒角より長く操作溝８６を形成し、更に変速レバー７０の傾倒を許容するように、構成する。
即ち、制御部は操作位置検出手段７１が変速レバー７０の最大傾倒状態を検出すると、走行用静油圧式無段変速装置２０を最大出力させることになるが、前記パネル８５の操作溝８６の製造誤差、あるいは、パネル８５の着脱等により取付位置のばらつきにより、変速レバー７０が操作溝８６に当たって十分に傾倒させられないと、走行用静油圧式無段変速装置２０の最大出力を出力できないことがあるが、本願では、当初より、操作溝８６は、前後進の何れの操作であっても、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定しているので、走行用静油圧式無段変速装置２０を最大出力不能状態となるのを未然に防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
【００２０】
図１１は、刈取シリンダ（図示省略）等の油圧回路を示し、９０は油圧ポンプ９０、９１はメインリーリーフバルブ９１、９２はレデュースバルブ９２であり、レデュースバルブ９２はミッションの操舵バルブ９３に供給する構成とし、レデュースバルブ９２の一次側に圧力調整部９５を設ける。
そのため、分流弁の加工公差などによるばらつきに関わらず、安定した一次圧力が得られる。
前記圧力調整部９５は、ボディー９６の軸心方向に油流入室９７を形成し、油流入室９７の基部側に棒状の弁棒９８を螺合させる（図１２）。油流入室９７は基部側に大径部９９を形成し、大径部９９に連通する入口流路１００を設ける。大径部９９の先側には小径部１０１を形成し、小径部１０１の先端側には出口流路１０２を連通させる。
前記弁棒９８の先端は、前記小径部１０１より大径部分から小径部１０１より小径となる針状部１０４に形成し、針状部１０４を小径部１０１に侵入させて、油の流量を絞る。
【００２１】
したがって、前記圧力調整部９５は、ボディー９６に大径部９９と小径部１０１からなる油流入室９７を形成し、油流入室９７に弁棒９８を嵌合させればよく、構成が簡素であり、製造容易で、しかも、流量の絞り精度を高くする。
図１３、図１４は、前記圧力調整部９５の他の実施例であり、前記弁棒９８には、軸心方向に対する交差方向の流入路１０５を形成し、流入路１０５には軸心方向の流出路１０６の基部を連通させ、流出路１０６の先端は油流入室９７の小径部１０１に開口させる。
前記流入路１０５の流入口１０７は、弁棒９８を回転させて前記入口流路１００に臨ませる開口量を広狭に可変させて絞り量を変更調節する（図１４）。
そのため、流入路１０５の開口径と入口流路１００の開口径との差によって当初より一定量の絞り量が設定でき、更に、流入路１０５の開口径を絞れるので、微妙な絞り調節もでき、操作性および作業性を向上させられる。
１０８はシール部材である。
【００２２】
図１５は、前記圧力調整部９５の他の実施例であり、前記ボディー９６には、前記入口流路１００より出口流路１０２側に向けて軸芯方向と平行にオリフィス溝１１０を形成し、オリフィス溝１１０に前記弁棒９８の軸心方向に対する交差方向の流入路１０５を臨ませる。
そのため、流入路１０５にはオリフィス溝１１０に対して回転方向および軸心方向の二方向からの流入口１０７の開口量を広狭に可変させて絞り量を変更調節する。
したがって、流入路１０５の二方向から開口径を絞れるので、微妙な絞り調節もでき、操作性および作業性を向上させられる。
図１６は、前記圧力調整部９５の他の実施例であり、図１５の実施例の流入路１０５の先側の弁棒９８にシール部材１１１を設けたものである。
そのため、ボディー９６や弁棒９８の加工精度のばらつきによる油漏れを防止し、油圧制御精度を向上させられる。
【００２３】
（実施例の作用）
機体を走行させると、刈取部４が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取部４により搬送された穀稈は前側供給搬送装置１３に引き継がれ、前側供給搬送装置１３は穀稈を穀稈供給搬送装置１２に受け渡し、穀稈供給搬送装置１２は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置２の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置３は走行用無段変速装置２０により変速レバー７０を傾倒させると、走行用無段変速装置２０がエンジン２２の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取部４および前側供給搬送装置１３へ伝達する回転も走行装置３の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取部４から前側供給搬送装置１３への引継は、回転速度が同調しているので円滑に行われる。
そして、前側供給搬送装置１３は植立状態で刈取部４から搬送される穀稈の姿勢を横倒し状態に変えて引き継ぐので、前側供給搬送装置１３と穀稈供給搬送装置１２との間で搬送速度に若干の差があっても、搬送姿勢が横向きなので、円滑に引き継げる。
【００２４】
即ち、刈取部４および前側供給搬送装置１３は、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により走行速度に同調させて変速しているので、脱穀装置２と穀稈供給搬送装置１２をエンジン２２からの一定駆動回転で駆動して脱穀効率を向上させつつ、刈取部４および前側供給搬送装置１３の回転を走行速度に同調させて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速して、穀稈供給搬送装置１２への引継を円滑・確実にする。
一方、エンジン２２の回転が中間プーリー２８に伝達され、中間プーリー２８は中間軸２９と中間歯車３０を介してケース５２の中間伝動軸３１に回転を伝達し、中間伝動軸３１で扱胴３４側と中間出力軸４１および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１とに伝動を分岐する。
脱穀用傘歯車３２に伝達された回転は扱胴３４に伝達して駆動する。
中間伝動軸３１の回転は穀稈供給搬送中間出力軸４１に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸４１の回転は穀稈供給搬送装置１２の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置１２を駆動する。
【００２５】
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸４１は走行用無段変速装置２０および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１とは無関係にエンジン２２からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置１２に伝達し、穀稈供給搬送装置１２と扱胴３４とは常時同じ関係で回転する。
それゆえ、一定回転の扱胴３４に対して穀稈供給搬送装置１２の搬送速度は変化しないので、脱穀作業を安定して行える。
しかして、刈取部４および前側供給搬送装置１３への伝動回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１単独で刈取部４および前側供給搬送装置１３を駆動させることができるので、作業態様を広げ、汎用性を向上させられる。
即ち、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により刈取部４および前側供給搬送装置１３を十分な回転速度で駆動させることができるので、機体走行開始直後から安定して刈取部４および脱穀装置２を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
【００２６】
また、走行用無段変速装置２０から走行装置３への回転を停止させたとき、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１単独で前側供給搬送装置１３を駆動すると、機体走行停止状態で前側供給搬送装置１３を駆動させることができるので、前側供給搬送装置１３および穀稈供給搬送装置１２へ手刈り穀稈を供給する供給作業を容易にでき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１は、その刈取入力軸３７の入力歯車５３を刈取・脱穀側中間出力軸４１の刈取用中間歯車３６に噛み合わせ、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１の刈取出力軸３８と同一軸心状に刈取中間出力軸５４を刈取出力軸３８と一体回転するように設け、刈取中間出力軸５４には刈取中間出力歯車５５を設け、刈取中間出力歯車５５の一側面には刈取用中間従動歯車５６を噛み合わせ、刈取中間出力歯車５５の他側面には中間歯車５７を噛み合わせているので、同じ刈取中間出力歯車５５に刈取用中間従動歯車５６と中間歯車５７の２個の歯車を噛み合わせることができる。
【００２７】
そのため、刈取部４および前側供給搬送装置１３への回転伝達経路の構成を簡素にし、ギヤケース５０自体を小型軽量にできる。
この場合、刈取中間出力歯車５５の下面側に刈取用中間従動歯車５６を噛み合わせ、刈取中間出力歯車５５の上面側には中間歯車５７を噛み合わせているので、刈取用中間従動歯車５６と中間歯車５７とを軸方向に対する左右位置を略同じか近接させて設けられるので、ギヤケース５０自体の左右幅を小型にできる。
また、刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とは別軸とし、刈取中間出力歯車５５を筒状に形成し、刈取中間出力歯車５５により刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とを一体回転するように構成し、更に、刈取出力軸３８を刈取中間出力歯車５５から抜き差し自在に構成しているので、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１をギヤケース５０に対して着脱自在に構成でき、メンテナンスを容易にしている。
【００２８】
走行用静油圧式無段変速装置２０および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１は、変速レバー７０の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図２のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインＡと、該標準作業ラインＡよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインＢにより変速するように構成する。
即ち、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１により検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置２０を変速制御し、走行用静油圧式無段変速装置２０により変速された走行速度に同調するように刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を制御する。
この場合、加速する際の加速度の度合いよりも、減速する際の減速度合いの方が大きくなる構成としているので、図４のように、増速変速ラインＡの傾斜より減速変速ラインＢの傾斜の方が急傾斜になって、増速時のショックを低減し、迅速な減速が可能となって、穀稈の踏み倒しを防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
特に、発進開始直後の急加速を抑制でき、条合わせ等の操作性および作業性を向上させられる。
【００２９】
また、換言すると、図５のように、所定速度Ａから所定速度Ｂまで増速するのに要する加速時間よりも、所定速度Ｂから所定速度Ａまで減速するのに要する減速時間を、時間Ｔだけ短くするよう変速制御するので、同じ速度差となる加速のときより減速するときの所要時間を時間Ｔ分短くでき、その分、増速時のショックを低減し、迅速な減速が可能にできる。
また、加減速度の度合い、あるいは、加減速に要する所要時間を、変更する加減速程度変更手段８０を設けているので、加減速程度変更手段８０により加減速程度を変更でき、作業条件や作業者のフィーリングに対する適応範囲を広げられ、操作性および作業性を向上させられる。
例えば、操作位置検出手段７１により変速レバー７０の操作量（操作位置）を検出し、この操作量に応じた設定走行速度に到達する時間を制御部７２が選択するのを、加減速程度変更手段８０により変更する。
そのため、変速レバー７０の操作に対応した増減速の応答性を作業者に合わせて変更でき、操作性および作業性を向上させられる。
【００３０】
前記走行用静油圧式無段変速装置２０には、変速レバー７０の操作により無段階に変速するポンプ８１と副変速機構の副変速操作手段８２の操作により高速と標準（低速）とに切替え変速するモータ８３とを設け、モータ８３を増速したとき、所定時間ポンプ８１による減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行するので、図８の波線のような増速ラインＡから実線の増速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
また、モータ８３により減速したとき、所定時間ポンプ８１による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行する。
そのため、図９の波線のような減速ラインＡから実線の減速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
【００３１】
即ち、変速レバー７０の操作により、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で走行中に、モータ８３を増速操作すると、モータ８３のオイル吐出量上昇させつつ、所定時間ポンプ８１によるオイル吐出量を減少させて減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１によるオイル吐出量の減少作動を停止させ、モータ８３の設定速度まで増速作動を続行し、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で、かつ、この位置においてモータ８３を操作してときの設定速度に至るとモータ８３の増速作動を停止し、走行する。
したがって、走行中の副変速操作手段８２による高速と標準（低速）との切替え操作時のショックを緩和あるいは抑制する。
【００３２】
前記操縦部６のパネル８５の前記変速レバー７０の操作溝８６は、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定しているので、前記パネル８５の操作溝８６の製造誤差、あるいは、パネル８５の着脱等により取付位置のばらつきにより、変速レバー７０が操作溝８６に当たって十分に傾倒させられないと、走行用静油圧式無段変速装置２０の最大出力を出力できないことがあるが、本願では、当初より、操作溝８６は、前後進の何れの操作であっても、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定しているので、走行用静油圧式無段変速装置２０を最大出力不能状態となるのを未然に防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【００３３】
１…機体フレ−ム、２…脱穀装置、３…走行装置、４…刈取部、５…グレンタンク、１２…穀稈供給搬送装置、１３…シンクロ用前側供給搬送装置、１４…穀稈供給口、１７…駆動歯車、１９…前側供給チエン、２０…走行用無段変速装置、２１…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、２２…エンジン、２６…入力プーリー、２７…ミッションケース、２８…中間プーリー、２９…中間軸、３０…中間歯車、３１…中間伝動軸、３２…脱穀用傘歯車、３３…脱穀伝動軸、３４…扱胴、３５…処理胴、３６…刈取用中間歯車、３７…刈取入力軸、３８…刈取出力軸、３９…刈取用中間出力軸、４０…搬送用出力軸、４１…刈取・脱穀側中間出力軸、４２…唐箕、４３…駆動歯車、４４…刈取脱穀クラッチ、４５…刈取中間出力プーリー、４６…刈取中間入力プーリー、４７…ベルト、５０…ギヤケース、５２…伝動ケース、５３…入力歯車、５４…刈取中間出力軸、５５…刈取中間出力歯車、５６…刈取用中間従動歯車、５７…中間歯車、６０…中間軸、６１…中間歯車、６２…従動歯車、７０…変速レバー、７１…操作位置検出手段、７２…制御部、７３…刈取脱穀クラッチ入切検出手段、７４…刈取増速検出手段、７５…刈取減速検出手段、８０…加減速程度変更手段、８１…ポンプ、８２…副変速操作手段、８３…モータ、８５…パネル、８６…操作溝、９０…油圧ポンプ、９１…メインリーリーフバルブ、９２…レデュースバルブ、９３…操舵バルブ、９５…圧力調整部、９６…ボディー、９７…油流入室、９８…弁棒、９９…大径部、１００…入口流路、１０１…小径部、１０２…出口流路、１０４…針状部、１０５…流入路、１０６…流出路、１０７…流入口、１１０…オリフィス溝、１１１…シール部材、Ａ…油圧サーボシリンダ、Ｂ…切替シリンダ、Ｃ…電磁バルブ、Ｄ…電磁バルブ。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、エンジンからの一定回転を走行用静油圧式無段変速装置により無段階に変速して走行する走行装置と、刈取部と脱穀装置とを設け、刈取部で刈り取った穀稈の株元側を挟持して脱穀装置に供給搬送する穀稈供給搬送装置を設け、穀稈供給搬送装置と脱穀装置の扱胴にはエンジンからの一定回転を伝達し、刈取部は走行速度に同調して回転速度を増減させる専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置により変速駆動するとした構成は、公知である（特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００４−２８３０４８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
前記公知例は、主変速レバーの操作位置を操作位置検出手段により検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置および刈取搬送用静油圧式無段変速装置を制御して主変速レバーの傾倒操作量に応じて増減速する構成であるが、発進のときも、走行中の加速も、主変速レバーの操作量が同じであると、同じ加速量になって、発進時に走行ショックが起きるという課題がある。
本願は、走行用静油圧式無段変速装置および刈取搬送用静油圧式無段変速装置の変速制御を工夫し、走行ショックの防止あるいは緩和させて走行を安定させて、操作性および作業性を向上させられるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、エンジン２２からの一定回転を走行用静油圧式無段変速装置２０により無段階に変速して走行する走行装置３を設け、該走行装置３の前方に刈取部４を設け、前記走行装置３の上方には脱穀装置２を設け、前記刈取部４で刈り取った穀稈の株元側を挟持して脱穀装置２の脱穀室に供給しながら搬送する穀稈供給搬送装置１２を設け、該穀稈供給搬送装置１２の始端部内側に前側供給搬送装置１３を設け、前記穀稈供給搬送装置１２には脱穀装置２と共にエンジン２２からの一定回転を伝達し、前記刈取部４と前側供給搬送装置１３は専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速駆動する構成とし、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１を設け、該操作位置検出手段７１の検出信号に応じて走行用静油圧式無段変速装置２０を増減速制御する構成とし、走行速度を検出する車速センサ７７を設け、該車速センサ７７の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を増減速制御することで前記前記刈取部４と前側供給搬送装置１３を走行速度に同調して変速駆動する構成とし、走行停止状態から変速レバー７０の増速操作を開始した初期の走行速度の加速度合いよりも。変速レバー７０の減速操作を開始した初期の走行速度の減速度合いの方が大きくなる設定としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、変速レバー７０により走行用静油圧式無段変速装置２０を増速操作して走行装置３の走行速度が速くなると、車速センサ７７の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を増減速制御して刈取部４および前側供給搬送装置１３に伝達する回転を上昇させ、変速レバー７０により走行用静油圧式無段変速装置２０を減速操作して走行装置３の走行速度が遅くなると、刈取部４および前側供給搬送装置１３に伝達する回転を遅くするように、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を同調させて変速して、穀稈供給搬送装置１２への穀稈の引継を円滑にする。
変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１により検出し、走行用静油圧式無段変速装置２０を変速制御し、走行用静油圧式無段変速装置２０により変速された走行速度に同調するように刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を制御して、走行停止状態から変速レバー７０の増速操作を開始して、加速する際の初期の加速度合いよりも、変速レバー７０を減速操作を開始して減速する際の初期の減速度合いの方を大きくしているので、増速時のショックを低減し、迅速に減速し、条合わせして刈取作業を行う。
本発明は、前記走行速度の増速度合いと減速度合いを変更する加減速程度変更手段８０を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、走行速度の増速度合いと減速度合いを、加減速程度変更手段８０により変更する。
本発明は、前記走行用静油圧式無段変速装置２０は、変速レバー７０の操作により斜板角度を無段階に変更するポンプ８１と副変速操作手段８２の操作により斜板角度を高速側と低速側とに切替えるモータ８３とを有した構成とし、モータ８３の斜板角度を高速側に切替えたとき、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を行い、前記所定時間の経過後はポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行する制御を行い、一方、モータ８３の斜板角度の切替えにより減速したとき、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行するよう制御する構成としたコンバインとしたものであり、モータ８３の斜板角度を高速側に切替えたると、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を実行し、所定時間経過後はポンプ８１の斜板角度制御による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行する制御を行い、一方、モータ８３の斜板角度の切替えにより減速したとき、所定時間ポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１の斜板角度制御による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行する。
【発明の効果】
【０００６】
請求項１記載の発明では、加速する際の加速度の度合いよりも、減速する際の減速度合いの方を大きくし、増速時のショックを低減するので、発進時のショックを軽減でき、条合わせを容易にでき、また、緊急時に迅速に減速でき、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項２記載の発明では、請求項１記載の発明の効果に加え、増減速するに要する所要時間を、加減速程度変更手段８０により変更できるので、作業条件や作業者の感性に最適な変速操作をすることができ、操作性および作業性を向上させることができる。
請求項３記載の発明では、請求項１また２記載の発明の効果に加え、ポンプ８１とモータ８３により、互いに作用させることにより、モータ８３による変速操作のショックを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【０００７】
【図１】コンバインの側面図。
【図２】走行速度と刈取回転数の関係図。
【図３】一部展開状態の伝動機構の概略図。
【図４】増速操作による速度変化と減速操作による速度変化とを示す概略図。
【図５】ブロック図。
【図６】増速操作による速度変化と減速操作による速度変化とを示す概略図。
【図７】走行速度制御の増減速制御パターンの一例を示す概略図。
【図８】増速制御の速度変化を示す概略図。
【図９】減速制御の速度変化を示す概略図。
【図１０】主変速レバーの操作溝の概略図。
【図１１】油圧回路図。
【図１２】圧力調整部の断面図。
【図１３】圧力調整部の他の実施例の断面図。
【図１４】同断面図。
【図１５】圧力調整部の他の実施例の断面図。
【図１６】圧力調整部の他の実施例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【０００８】
本発明の実施例を図面により説明すると、１は機体フレ−ム、２は機体フレ−ム１の上方位置に設けた脱穀装置、３は機体フレ−ム１の下方位置に設けた走行装置、４は機体フレ−ム１の前方に設けた刈取部、５は前記脱穀装置２の側部に設けた該脱穀装置２より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、６は操縦部、７はグレンタンク５内の穀物を揚穀する揚穀排出装置である。
前記刈取部４の一例を示すと、分草体１０、引起装置（図示省略）、刈刃１１および搬送装置を有して構成する。
１２は、搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置２の脱穀室（図示省略）に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、１３は穀稈供給搬送装置１２の始端側に設けた前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置１２の構成は任意であるが、例えば、挾扼杆（図示省略）と搬送供給チエン（フィードチェン）１５により構成する。挾扼杆は脱穀装置２の上部カバー１６に上下自在に取付けられ、搬送供給チエン１５に弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエン１５は無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール（図示省略）により案内されて移動するように構成する。
【０００９】
前記穀稈供給搬送装置１２は、前記刈取部４で刈り取られた穀稈を脱穀装置２の脱穀室（図示省略）に供給搬送するものであり、刈取部４で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置１２まで搬送する構成は任意であるが、少なくとも、穀稈供給搬送装置１２の搬送方向と平行に搬送して、穀稈供給搬送装置１２に引き継ぐ前記前側供給搬送装置１３を設け、前側供給搬送装置１３は刈取部４と同調して変速されるように構成する。
即ち、走行装置３は走行用無段変速装置（静油圧式無段変速装置）２０により走行速度変更可能に構成し、刈取部４および前側供給搬送装置１３へ伝達する回転も走行装置３の走行速度に同調して変速するようにし、刈取部４からの搬送穀稈を穀稈供給搬送装置１２へ直接引継ぐのではなく、刈取部４から前側供給搬送装置１３まで同じ搬送速度状態とし、刈取部４で植立状態の搬送穀稈を穀稈供給搬送装置１２の搬送姿勢に合わせた横向きとし、穀稈供給搬送装置１２には前側供給搬送装置１３から同じ搬送姿勢で搬送速度のみを変えてることで引継を良好にする。
【００１０】
更に、穀稈供給搬送装置１２の搬送速度は一定として脱穀装置２の扱胴（図示省略）の回転との関係を変化させないようにして、脱穀作業を安定させる。
前記前側供給搬送装置１３は駆動歯車１７と案内ローラ（図示省略）との間に前側供給チエン１９を掛け回して構成している。
この刈取部４および前側供給搬送装置１３は、刈取搬送専用の刈取搬送用無段変速装置（静油圧式無段変速装置）２１により走行速度に同調させて変速する。
このようにすると、脱穀装置２と穀稈供給搬送装置１２をエンジン２２からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、刈取部４および前側供給搬送装置１３の回転を刈取搬送用無段変速装置２１により走行速度に同調させて変速して、穀稈供給搬送装置１２への引継を円滑・確実にする。
また、刈取部４および前側供給搬送装置１３への伝動回転は、刈取搬送用無段変速装置２１により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用無段変速装置２１単独で刈取部４および前側供給搬送装置１３を駆動するように構成する。
【００１１】
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用無段変速装置２１により刈取部４および前側供給搬送装置１３を十分な回転速度で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取部４および脱穀装置２を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用無段変速装置２０から走行装置３への回転を停止させたとき、刈取搬送用無段変速装置２１単独で前側供給搬送装置１３を駆動すると、機体走行停止状態で前側供給搬送装置１３を駆動し、前側供給搬送装置１３および穀稈供給搬送装置１２へ手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
エンジン２２から走行用無段変速装置２０および刈取搬送用無段変速装置２１までの回転伝達機構の構成は任意であるが、一例を示すと、２５Ａは走行用出力プーリー、２５Ｂは刈取脱穀用出力プーリー、２６は走行用無段変速装置２０の入力プーリー、２７は走行用無段変速装置２０を設けたミッションケース、２８は刈取脱穀用出力プーリー２５Ｂの回転が伝達される中間プーリー、２９は中間軸、３０は中間歯車、３１は中間伝動軸、３２は一対の脱穀用傘歯車、３３は脱穀伝動軸、３３Ａは脱穀用中間プーリー、３３Ｂは扱胴伝達用プーリ、３４は扱胴、３４Ａは扱胴軸、３５は処理胴、３６は刈取用中間歯車、３７は刈取搬送用無段変速装置２１の刈取入力軸、３８は刈取搬送用無段変速装置２１の刈取出力軸、３９は刈取用中間出力軸、４０は搬送用出力軸、４１は刈取・脱穀側中間出力軸（穀稈供給搬送中間出力軸）、４１Ａは供給搬送用プーリー、４２は唐箕、４３は穀稈供給搬送装置１２の駆動歯車、４４は刈取脱穀クラッチ、４５は刈取用中間出力軸３９に設けた刈取中間出力プーリー、４６は刈取中間入力プーリー、４７は刈取中間出力プーリー４５と刈取中間入力プーリー４６に掛け回したベルトである（図３）。
【００１２】
この場合、刈取搬送用無段変速装置２１の刈取入力軸３７は、脱穀伝動軸３３の回転伝動経路の下手側に設けているので、脱穀装置２にはエンジン２２の一定回転が伝達される。
前記中間伝動軸３１は左右方向の伝動ケース５２に軸装し、伝動ケース５２の穀稈供給搬送装置１２側（反操縦部６側）にギヤケース５０を設け、ギヤケース５０の操縦部６側に刈取搬送用無段変速装置２１を設ける。
刈取・脱穀側中間出力軸４１の刈取用中間歯車３６には刈取搬送用無段変速装置２１の刈取入力軸３７の入力歯車５３を噛み合わせる（図３）。刈取搬送用無段変速装置２１の刈取出力軸３８と同軸心状に刈取中間出力軸５４を設ける。刈取中間出力軸５４には刈取中間出力歯車５５を設ける。刈取中間出力歯車５５の一側面には刈取用中間従動歯車５６を噛み合わせる。また、刈取中間出力歯車５５の他側面には中間歯車５７を噛み合わせる。
そのため、同じ刈取中間出力歯車５５に刈取用中間従動歯車５６と中間歯車５７の２個の歯車を噛み合わせるので、前記刈取部４および前側供給搬送装置１３への回転伝達経路の構成を簡素にし、ギヤケース５０自体を小型軽量にできる。
また、刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とは別軸とし、実施例では刈取中間出力歯車５５を筒状に形成し、刈取中間出力歯車５５により刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とを一体回転させる。
６０は中間軸、６１は中間歯車、６２は従動歯車である。
【００１３】
走行用静油圧式無段変速装置２０および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１は、変速レバー７０（図１）の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図２のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインＡと、該標準作業ラインＡよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインＢにより変速するように構成する。
即ち、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１により検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置２０を変速制御し、走行用静油圧式無段変速装置２０により変速された走行速度に同調するように刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を制御する。
この場合、加速（増速）する際の加速度の度合いよりも、減速する際の減速度合いの方が大きくなる構成とする（図４）。
即ち、図４のように、所定速度まで増速する増速変速ラインＡとすると、所定速度から元の走行速度にまで減速する減速変速ラインＢとした場合、増速変速ラインＡの傾斜（勾配）より減速変速ラインＢの傾斜（勾配）の方を急傾斜（急勾配）にとする制御部７２により変速制御する。
【００１４】
そのため、増速時のショックを低減し、迅速な減速が可能となって、穀稈の踏み倒しを防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
特に、発進開始直後の急加速を抑制でき、条合わせ等の操作性および作業性を向上させられる。
換言すると、図６のように、所定速度Ａから所定速度Ｂまで増速するのに要する加速時間よりも、同じ所定速度Ｂから所定速度Ａまで減速するのに要する減速時間を、所定時間Ｔだけ短くするよう変速制御する。
７３は刈取脱穀クラッチ入切検出手段７３、７４は刈取増速検出手段、７５は刈取減速検出手段７５、７６はエンジン回転検出手段、７７は車速センサである。
また、変速レバー７０が中立域から出て、且つ、車速センサ７７がパルスを拾った場合に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１のトラニオン軸（斜板）を増速側へ操作する出力を行う。
また、変速レバー７０が中立域に戻るかか、または、車速センサ７７がパルスを拾わなくなると、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１のトラニオン軸（斜板）を停止操作する出力を行う。
【００１５】
また、加減速度の度合い、あるいは、加減速に要する所要時間を、変更する加減速程度変更手段８０を設ける。
そのため、加減速程度変更手段８０により加減速程度を変更できるので、作業条件や作業者のフィーリングに対する適応範囲を広げられ、操作性および作業性を向上させられる。
操作位置検出手段７１により変速レバー７０の操作量を検出し、この操作量に応じた設定走行速度に到達する加減速度の度合い、あるいは、加減速に要する所要時間を制御部７２が選択するのを、前記加減速程度変更手段８０により変更する。
即ち、変速レバー７０の操作に対応した増減速の応答性を作業者に合わせて変更し、操作性および作業性を向上させる。
例えば、図７のように、所定速度まで増速する変速ラインＡに対して変速ラインＢを緩傾斜とし、更に、変速ラインＢに対して変速ラインＣを緩傾斜とし、変速ラインＡ〜変速ラインＣの範囲で段階的あるいは無段階に変速ラインの傾斜（勾配）を加減速程度変更手段８０の操作で変更調節する。
【００１６】
走行用静油圧式無段変速装置２０はポンプ８１側の斜板角度を油圧サーボシリンダＡ（図１１）によって変更することで吐出油量を調節し、モータ８３の出力回転を無段階に調節できる構成である。前記油圧サーボシリンダＡは変速レバー７０の操作角度を検出する操作位置検出手段７１の検出値に応じて作動する構成としている。
また、この走行用静油圧式無段変速装置２０のモータ８３はの斜板角度は切替シリンダＢ（図１１）によって高速側と低速側との２位置に切り替えられる構成であり、この斜板角度の変更によって吸入油量を二段階に切り替えることができる。これによって、ポンプ８１からの操作油量が一定であっても、モータ８３の出力回転速度は二段階に変更できる。前記切替シリンダＢは、操縦部に設けた副変速手段８２の操作によって切替作動する構成としている。
上記油圧サーボシリンダＡおよび切替シリンダＢを作動させる各電磁バルブＣ、Ｄ（各作動ソレノイド、図５、図１１）は、制御部７２の出力側に接続している。
【００１７】
前記走行用静油圧式無段変速装置２０には、変速レバー７０の操作により無段階に変速するポンプ８１と副変速機構の副変速操作手段８２の操作により高速と標準（低速）とに切替え変速するモータ８３とを設け（図５）、モータ８３を増速したとき、所定時間ポンプ８１による減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行する。
そのため、図８の波線のような増速ラインＡから実線の増速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
また、モータ８３により減速したとき、所定時間ポンプ８１による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行する。
【００１８】
そのため、図９の波線のような減速ラインＡから実線の減速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
即ち、変速レバー７０の操作により、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で走行中に、モータ８３を増速操作すると、モータ８３のオイル吐出量上昇させつつ、所定時間ポンプ８１によるオイル吐出量を減少させて減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１によるオイル吐出量の減少作動を停止させ、モータ８３の設定速度まで増速作動を続行し、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で、かつ、この位置においてモータ８３を操作してときの設定速度に至るとモータ８３の増速作動を停止し、走行する。
また、モータ８３の減速操作のときは、ポンプ８１は反対に作用する。
したがって、走行中の副変速操作手段８２による高速と標準（低速）との切替え操作時のショックを緩和あるいは抑制する。
【００１９】
前記操縦部６のパネル８５の前記変速レバー７０の操作溝８６は、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定する（図１０）。
例えば、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた変速レバー７０の傾倒角より長く操作溝８６を形成し、更に変速レバー７０の傾倒を許容するように、構成する。
即ち、制御部は操作位置検出手段７１が変速レバー７０の最大傾倒状態を検出すると、走行用静油圧式無段変速装置２０を最大出力させることになるが、前記パネル８５の操作溝８６の製造誤差、あるいは、パネル８５の着脱等により取付位置のばらつきにより、変速レバー７０が操作溝８６に当たって十分に傾倒させられないと、走行用静油圧式無段変速装置２０の最大出力を出力できないことがあるが、本願では、当初より、操作溝８６は、前後進の何れの操作であっても、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定しているので、走行用静油圧式無段変速装置２０を最大出力不能状態となるのを未然に防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
【００２０】
図１１は、刈取シリンダ（図示省略）等の油圧回路を示し、９０は油圧ポンプ９０、９１はメインリーリーフバルブ９１、９２はレデュースバルブ９２であり、レデュースバルブ９２はミッションの操舵バルブ９３に供給する構成とし、レデュースバルブ９２の一次側に圧力調整部９５を設ける。
そのため、分流弁の加工公差などによるばらつきに関わらず、安定した一次圧力が得られる。
前記圧力調整部９５は、ボディー９６の軸心方向に油流入室９７を形成し、油流入室９７の基部側に棒状の弁棒９８を螺合させる（図１２）。油流入室９７は基部側に大径部９９を形成し、大径部９９に連通する入口流路１００を設ける。大径部９９の先側には小径部１０１を形成し、小径部１０１の先端側には出口流路１０２を連通させる。
前記弁棒９８の先端は、前記小径部１０１より大径部分から小径部１０１より小径となる針状部１０４に形成し、針状部１０４を小径部１０１に侵入させて、油の流量を絞る。
【００２１】
したがって、前記圧力調整部９５は、ボディー９６に大径部９９と小径部１０１からなる油流入室９７を形成し、油流入室９７に弁棒９８を嵌合させればよく、構成が簡素であり、製造容易で、しかも、流量の絞り精度を高くする。
図１３、図１４は、前記圧力調整部９５の他の実施例であり、前記弁棒９８には、軸心方向に対する交差方向の流入路１０５を形成し、流入路１０５には軸心方向の流出路１０６の基部を連通させ、流出路１０６の先端は油流入室９７の小径部１０１に開口させる。
前記流入路１０５の流入口１０７は、弁棒９８を回転させて前記入口流路１００に臨ませる開口量を広狭に可変させて絞り量を変更調節する（図１４）。
そのため、流入路１０５の開口径と入口流路１００の開口径との差によって当初より一定量の絞り量が設定でき、更に、流入路１０５の開口径を絞れるので、微妙な絞り調節もでき、操作性および作業性を向上させられる。
１０８はシール部材である。
【００２２】
図１５は、前記圧力調整部９５の他の実施例であり、前記ボディー９６には、前記入口流路１００より出口流路１０２側に向けて軸芯方向と平行にオリフィス溝１１０を形成し、オリフィス溝１１０に前記弁棒９８の軸心方向に対する交差方向の流入路１０５を臨ませる。
そのため、流入路１０５にはオリフィス溝１１０に対して回転方向および軸心方向の二方向からの流入口１０７の開口量を広狭に可変させて絞り量を変更調節する。
したがって、流入路１０５の二方向から開口径を絞れるので、微妙な絞り調節もでき、操作性および作業性を向上させられる。
図１６は、前記圧力調整部９５の他の実施例であり、図１５の実施例の流入路１０５の先側の弁棒９８にシール部材１１１を設けたものである。
そのため、ボディー９６や弁棒９８の加工精度のばらつきによる油漏れを防止し、油圧制御精度を向上させられる。
【００２３】
（実施例の作用）
機体を走行させると、刈取部４が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取部４により搬送された穀稈は前側供給搬送装置１３に引き継がれ、前側供給搬送装置１３は穀稈を穀稈供給搬送装置１２に受け渡し、穀稈供給搬送装置１２は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置２の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置３は走行用無段変速装置２０により変速レバー７０を傾倒させると、走行用無段変速装置２０がエンジン２２の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取部４および前側供給搬送装置１３へ伝達する回転も走行装置３の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取部４から前側供給搬送装置１３への引継は、回転速度が同調しているので円滑に行われる。
そして、前側供給搬送装置１３は植立状態で刈取部４から搬送される穀稈の姿勢を横倒し状態に変えて引き継ぐので、前側供給搬送装置１３と穀稈供給搬送装置１２との間で搬送速度に若干の差があっても、搬送姿勢が横向きなので、円滑に引き継げる。
【００２４】
即ち、刈取部４および前側供給搬送装置１３は、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により走行速度に同調させて変速しているので、脱穀装置２と穀稈供給搬送装置１２をエンジン２２からの一定駆動回転で駆動して脱穀効率を向上させつつ、刈取部４および前側供給搬送装置１３の回転を走行速度に同調させて刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速して、穀稈供給搬送装置１２への引継を円滑・確実にする。
一方、エンジン２２の回転が中間プーリー２８に伝達され、中間プーリー２８は中間軸２９と中間歯車３０を介してケース５２の中間伝動軸３１に回転を伝達し、中間伝動軸３１で扱胴３４側と中間出力軸４１および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１とに伝動を分岐する。
脱穀用傘歯車３２に伝達された回転は扱胴３４に伝達して駆動する。
中間伝動軸３１の回転は穀稈供給搬送中間出力軸４１に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸４１の回転は穀稈供給搬送装置１２の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置１２を駆動する。
【００２５】
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸４１は走行用無段変速装置２０および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１とは無関係にエンジン２２からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置１２に伝達し、穀稈供給搬送装置１２と扱胴３４とは常時同じ関係で回転する。
それゆえ、一定回転の扱胴３４に対して穀稈供給搬送装置１２の搬送速度は変化しないので、脱穀作業を安定して行える。
しかして、刈取部４および前側供給搬送装置１３への伝動回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１単独で刈取部４および前側供給搬送装置１３を駆動させることができるので、作業態様を広げ、汎用性を向上させられる。
即ち、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により刈取部４および前側供給搬送装置１３を十分な回転速度で駆動させることができるので、機体走行開始直後から安定して刈取部４および脱穀装置２を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
【００２６】
また、走行用無段変速装置２０から走行装置３への回転を停止させたとき、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１単独で前側供給搬送装置１３を駆動すると、機体走行停止状態で前側供給搬送装置１３を駆動させることができるので、前側供給搬送装置１３および穀稈供給搬送装置１２へ手刈り穀稈を供給する供給作業を容易にでき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１は、その刈取入力軸３７の入力歯車５３を刈取・脱穀側中間出力軸４１の刈取用中間歯車３６に噛み合わせ、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１の刈取出力軸３８と同一軸心状に刈取中間出力軸５４を刈取出力軸３８と一体回転するように設け、刈取中間出力軸５４には刈取中間出力歯車５５を設け、刈取中間出力歯車５５の一側面には刈取用中間従動歯車５６を噛み合わせ、刈取中間出力歯車５５の他側面には中間歯車５７を噛み合わせているので、同じ刈取中間出力歯車５５に刈取用中間従動歯車５６と中間歯車５７の２個の歯車を噛み合わせることができる。
【００２７】
そのため、刈取部４および前側供給搬送装置１３への回転伝達経路の構成を簡素にし、ギヤケース５０自体を小型軽量にできる。
この場合、刈取中間出力歯車５５の下面側に刈取用中間従動歯車５６を噛み合わせ、刈取中間出力歯車５５の上面側には中間歯車５７を噛み合わせているので、刈取用中間従動歯車５６と中間歯車５７とを軸方向に対する左右位置を略同じか近接させて設けられるので、ギヤケース５０自体の左右幅を小型にできる。
また、刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とは別軸とし、刈取中間出力歯車５５を筒状に形成し、刈取中間出力歯車５５により刈取中間出力軸５４と刈取出力軸３８とを一体回転するように構成し、更に、刈取出力軸３８を刈取中間出力歯車５５から抜き差し自在に構成しているので、刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１をギヤケース５０に対して着脱自在に構成でき、メンテナンスを容易にしている。
【００２８】
走行用静油圧式無段変速装置２０および刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１は、変速レバー７０の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図２のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインＡと、該標準作業ラインＡよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインＢにより変速するように構成する。
即ち、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１により検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置２０を変速制御し、走行用静油圧式無段変速装置２０により変速された走行速度に同調するように刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１を制御する。
この場合、加速する際の加速度の度合いよりも、減速する際の減速度合いの方が大きくなる構成としているので、図４のように、増速変速ラインＡの傾斜より減速変速ラインＢの傾斜の方が急傾斜になって、増速時のショックを低減し、迅速な減速が可能となって、穀稈の踏み倒しを防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
特に、発進開始直後の急加速を抑制でき、条合わせ等の操作性および作業性を向上させられる。
【００２９】
また、換言すると、図５のように、所定速度Ａから所定速度Ｂまで増速するのに要する加速時間よりも、所定速度Ｂから所定速度Ａまで減速するのに要する減速時間を、時間Ｔだけ短くするよう変速制御するので、同じ速度差となる加速のときより減速するときの所要時間を時間Ｔ分短くでき、その分、増速時のショックを低減し、迅速な減速が可能にできる。
また、加減速度の度合い、あるいは、加減速に要する所要時間を、変更する加減速程度変更手段８０を設けているので、加減速程度変更手段８０により加減速程度を変更でき、作業条件や作業者のフィーリングに対する適応範囲を広げられ、操作性および作業性を向上させられる。
例えば、操作位置検出手段７１により変速レバー７０の操作量（操作位置）を検出し、この操作量に応じた設定走行速度に到達する時間を制御部７２が選択するのを、加減速程度変更手段８０により変更する。
そのため、変速レバー７０の操作に対応した増減速の応答性を作業者に合わせて変更でき、操作性および作業性を向上させられる。
【００３０】
前記走行用静油圧式無段変速装置２０には、変速レバー７０の操作により無段階に変速するポンプ８１と副変速機構の副変速操作手段８２の操作により高速と標準（低速）とに切替え変速するモータ８３とを設け、モータ８３を増速したとき、所定時間ポンプ８１による減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による減速作動を停止させ、モータ８３の増速作動を続行するので、図８の波線のような増速ラインＡから実線の増速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
また、モータ８３により減速したとき、所定時間ポンプ８１による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１による増速作動を停止させ、モータ８３の減速作動を続行する。
そのため、図９の波線のような減速ラインＡから実線の減速ラインＢとなって、増速操作時のショックを緩和させられる。
【００３１】
即ち、変速レバー７０の操作により、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で走行中に、モータ８３を増速操作すると、モータ８３のオイル吐出量上昇させつつ、所定時間ポンプ８１によるオイル吐出量を減少させて減速作動を行い、所定時間経過後はポンプ８１によるオイル吐出量の減少作動を停止させ、モータ８３の設定速度まで増速作動を続行し、変速レバー７０の操作位置に応じた走行速度で、かつ、この位置においてモータ８３を操作してときの設定速度に至るとモータ８３の増速作動を停止し、走行する。
したがって、走行中の副変速操作手段８２による高速と標準（低速）との切替え操作時のショックを緩和あるいは抑制する。
【００３２】
前記操縦部６のパネル８５の前記変速レバー７０の操作溝８６は、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定しているので、前記パネル８５の操作溝８６の製造誤差、あるいは、パネル８５の着脱等により取付位置のばらつきにより、変速レバー７０が操作溝８６に当たって十分に傾倒させられないと、走行用静油圧式無段変速装置２０の最大出力を出力できないことがあるが、本願では、当初より、操作溝８６は、前後進の何れの操作であっても、走行用静油圧式無段変速装置２０の出力の１００％を超えた位置まで変速レバー７０を傾倒しうるように設定しているので、走行用静油圧式無段変速装置２０を最大出力不能状態となるのを未然に防止でき、操作性および作業性を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示および説明しているが、これらの実施例は夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【００３３】
１…機体フレ−ム、２…脱穀装置、３…走行装置、４…刈取部、５…グレンタンク、１２…穀稈供給搬送装置、１３…シンクロ用前側供給搬送装置、１４…穀稈供給口、１７…駆動歯車、１９…前側供給チエン、２０…走行用無段変速装置、２１…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、２２…エンジン、２６…入力プーリー、２７…ミッションケース、２８…中間プーリー、２９…中間軸、３０…中間歯車、３１…中間伝動軸、３２…脱穀用傘歯車、３３…脱穀伝動軸、３４…扱胴、３５…処理胴、３６…刈取用中間歯車、３７…刈取入力軸、３８…刈取出力軸、３９…刈取用中間出力軸、４０…搬送用出力軸、４１…刈取・脱穀側中間出力軸、４２…唐箕、４３…駆動歯車、４４…刈取脱穀クラッチ、４５…刈取中間出力プーリー、４６…刈取中間入力プーリー、４７…ベルト、５０…ギヤケース、５２…伝動ケース、５３…入力歯車、５４…刈取中間出力軸、５５…刈取中間出力歯車、５６…刈取用中間従動歯車、５７…中間歯車、６０…中間軸、６１…中間歯車、６２…従動歯車、７０…変速レバー、７１…操作位置検出手段、７２…制御部、７３…刈取脱穀クラッチ入切検出手段、７４…刈取増速検出手段、７５…刈取減速検出手段、８０…加減速程度変更手段、８１…ポンプ、８２…副変速操作手段、８３…モータ、８５…パネル、８６…操作溝、９０…油圧ポンプ、９１…メインリーリーフバルブ、９２…レデュースバルブ、９３…操舵バルブ、９５…圧力調整部、９６…ボディー、９７…油流入室、９８…弁棒、９９…大径部、１００…入口流路、１０１…小径部、１０２…出口流路、１０４…針状部、１０５…流入路、１０６…流出路、１０７…流入口、１１０…オリフィス溝、１１１…シール部材、Ａ…油圧サーボシリンダ、Ｂ…切替シリンダ、Ｃ…電磁バルブ、Ｄ…電磁バルブ。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エンジン（２２）からの一定回転を走行用静油圧式無段変速装置（２０）により無段階に変速して走行する走行装置（３）を設け、該走行装置（３）の前方に刈取部（４）を設け、前記走行装置（３）の上方には脱穀装置（２）を設け、前記刈取部（４）で刈り取った穀稈の株元側を挟持して脱穀装置（２）の脱穀室に供給しながら搬送する穀稈供給搬送装置（１２）を設け、該穀稈供給搬送装置（１２）の始端部内側に前側供給搬送装置（１３）を設け、前記穀稈供給搬送装置（１２）には脱穀装置（２）と共にエンジン（２２）からの一定回転を伝達し、前記刈取部（４）と前側供給搬送装置（１３）は専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速駆動する構成とし、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１を設け、該操作位置検出手段７１の検出信号に応じて走行用静油圧式無段変速装置（２１）を増減速制御する構成とし、走行速度を検出する車速センサ（７７）を設け、該車速センサ（７７）の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置（２１）を増減速制御することで前記前記刈取部（４）と前側供給搬送装置（１３）を走行速度に同調して変速駆動する構成とし、走行停止状態から変速レバー（７０）の増速操作を開始した初期の走行速度の加速度合いよりも。変速レバー（７０）の減速操作を開始した初期の走行速度の減速度合いの方が大きくなる設定としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項２】
請求項１において、前記走行速度の増速度合いと減速度合いを変更する加減速程度変更手段（８０）を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項３】
請求項１または請求項２において、前記走行用静油圧式無段変速装置（２１）は、変速レバー（７０）の操作により斜板角度を無段階に変更するポンプ（８１）と副変速操作手段（８２）の操作により斜板角度を高速側と低速側とに切替えるモータ（８３）とを有した構成とし、モータ（８３）の斜板角度を高速側に切替えたとき、所定時間ポンプ（８１）の斜板角度制御による減速作動を行い、前記所定時間の経過後はポンプ（８１）の斜板角度制御による減速作動を停止させ、モータ（８３）の増速作動を続行する制御を行い、一方、モータ（８３）の斜板角度の切替えにより減速したとき、所定時間ポンプ（８１）の斜板角度制御による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ（８１）の斜板角度制御による増速作動を停止させ、モータ（８３）の減速作動を続行するよう制御する構成としたコンバイン。
【請求項１】
エンジン（２２）からの一定回転を走行用静油圧式無段変速装置（２０）により無段階に変速して走行する走行装置（３）を設け、該走行装置（３）の前方に刈取部（４）を設け、前記走行装置（３）の上方には脱穀装置（２）を設け、前記刈取部（４）で刈り取った穀稈の株元側を挟持して脱穀装置（２）の脱穀室に供給しながら搬送する穀稈供給搬送装置（１２）を設け、該穀稈供給搬送装置（１２）の始端部内側に前側供給搬送装置（１３）を設け、前記穀稈供給搬送装置（１２）には脱穀装置（２）と共にエンジン（２２）からの一定回転を伝達し、前記刈取部（４）と前側供給搬送装置（１３）は専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置２１により変速駆動する構成とし、変速レバー７０の操作位置を操作位置検出手段７１を設け、該操作位置検出手段７１の検出信号に応じて走行用静油圧式無段変速装置（２１）を増減速制御する構成とし、走行速度を検出する車速センサ（７７）を設け、該車速センサ（７７）の検出信号に応じて刈取搬送用静油圧式無段変速装置（２１）を増減速制御することで前記前記刈取部（４）と前側供給搬送装置（１３）を走行速度に同調して変速駆動する構成とし、走行停止状態から変速レバー（７０）の増速操作を開始した初期の走行速度の加速度合いよりも。変速レバー（７０）の減速操作を開始した初期の走行速度の減速度合いの方が大きくなる設定としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項２】
請求項１において、前記走行速度の増速度合いと減速度合いを変更する加減速程度変更手段（８０）を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項３】
請求項１または請求項２において、前記走行用静油圧式無段変速装置（２１）は、変速レバー（７０）の操作により斜板角度を無段階に変更するポンプ（８１）と副変速操作手段（８２）の操作により斜板角度を高速側と低速側とに切替えるモータ（８３）とを有した構成とし、モータ（８３）の斜板角度を高速側に切替えたとき、所定時間ポンプ（８１）の斜板角度制御による減速作動を行い、前記所定時間の経過後はポンプ（８１）の斜板角度制御による減速作動を停止させ、モータ（８３）の増速作動を続行する制御を行い、一方、モータ（８３）の斜板角度の切替えにより減速したとき、所定時間ポンプ（８１）の斜板角度制御による増速作動を行い、所定時間経過後はポンプ（８１）の斜板角度制御による増速作動を停止させ、モータ（８３）の減速作動を続行するよう制御する構成としたコンバイン。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【公開番号】特開２０１１−１８８７８０（Ｐ２０１１−１８８７８０Ａ）
【公開日】平成２３年９月２９日（２０１１．９．２９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−５６５９２（Ｐ２０１０−５６５９２）
【出願日】平成２２年３月１２日（２０１０．３．１２）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年９月２９日（２０１１．９．２９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年３月１２日（２０１０．３．１２）
【出願人】（００００００１２５）井関農機株式会社 (3,813)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]