説明

タグ認証システム、タグ、及びタグの信号受信に係るパラメータの設定方法

【課題】本発明は、正規のタグを所持したユーザが、タグリーダの通信エリアを単に通過する場合などに、誤ってタグの認証が行われて電気錠が解錠されるのを抑制し、かつ、タグリーダを設置した扉のごく近傍に接近できない状況でも電気錠を解錠し、ユーザの入場を可能ならしめるタグ認証システムを提供すること、及びこのタグ認証システムの構築上有用な技術を提供する。
【解決手段】起動信号を繰返し送信するタグリーダと、一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行うタグとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タグリーダと、タグリーダからの起動信号を受信し、応答信号を返信するタグ(無線タグ)とを利用したタグ認証システムに関し、よりヒューマンライクな認証を確立する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
扉の電気錠の施解錠制御やユーザの入退出の管理を行うために、タグリーダとタグとを利用したタグ認証システムが知られている。
この種のタグ認証システムでは、扉に設置されたタグリーダは起動信号を繰返し送信する。タグを所持したユーザが、タグリーダからの起動信号の受信可能なエリア(以下、「通信エリア」という。)に入ると、タグは起動信号を受信して自器の識別情報(以下、「タグID」という。)を含む応答信号を送信する。
【0003】
タグリーダは、予めタグ認証システムに登録されたタグ(以下、「正規のタグ」という。)か否かの認証を行い、認証結果に応じて、例えば、上記電気錠の施解錠を制御する。
このように、タグを所持したユーザが通信エリアに入ると、このタグは起動信号に呼応して自動的に応答信号を送信するので、上記のように自動的に正規タグ所持者の入室を可能とするのである。一方において、ユーザの入場の意思によらず、電気錠の解錠が行われてしまう場合がある。
【0004】
つまり、正規のタグを所持したユーザが単に扉の付近を通過するにすぎないのに、通信エリアに少しでも入ってしまうと扉の電気錠が解錠されることになる。その結果、扉が解錠している間に誰でも入場できてしまい、セキュリティが実質上、効果のないものとなる。
上記問題を解決するために、タグが、起動信号を受信したら自動的に応答信号を返すのではなく、一定基準以上の受信強度の起動信号を受信したときに応答信号を返信するように構成することが考えられる。このような技術として、タグリーダから送信される起動信号の受信強度を測定し、測定した信号強度が一定基準に達した場合に応答信号を送信する技術が知られている(特許文献1)。
【0005】
この技術によれば、タグが起動信号を受信しても、タグリーダに、より接近して受信強度が一定基準より強くならなければ、応答信号を送信しないので、誤解錠を防止することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−66857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術により、誤解錠を防止するためには、応答信号を返信する条件である上記一定基準を厳しく設定し、タグが応答信号を返信するエリアをタグリーダの近傍の狭い範囲にする必要がある。
ところが条件を厳しくしすぎると、車椅子利用者や大きな荷物を運搬している者の場合のように、受信強度が上記一定基準に達するエリア内に近づけない場合には、タグは応答信号を返信しないので電気錠が解錠されないといった問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明は、係る問題に鑑みてなされたものであり、正規のタグを所持したユーザが、通信エリアを単に通過する場合などに、誤ってタグの認証が行われて電気錠が解錠されるのを抑制し、かつ、タグリーダを設置した扉のごく近傍に接近できない状況でも電気錠を解錠し、ユーザの入場を可能ならしめるタグ認証システムを提供すること、及びこのタグ認証システムの構築上有用な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係るタグ認証システムは、起動信号を繰返し送信するタグリーダと、一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行うタグとを備えることを特徴とする。
ここで、前記タグは、複数の受信強度範囲それぞれと受信強度が大きいほど少ない受信必要回数とを対応づけて記憶する記憶領域と、起動信号の受信回数を前記受信強度範囲ごとに対応づけて記憶する記憶領域とを有する記憶部と、受信した前記起動信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、応答信号の返信を制御する応答信号制御部とを有し、前記応答信号制御部は、前記受信強度の測定値に基いて、前記受信強度範囲ごとの受信回数を更新する受信回数更新手段を有し、前記受信強度範囲ごとに、前記受信回数と前記受信必要回数とを比較した結果、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数の少なくとも1つが当該受信強度範囲に対応する前記受信必要回数以上である場合に前記返信を行い、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数のすべてがそれぞれの受信強度範囲に対応する前記受信必要回数を満たさない場合には、前記返信を行わないとしてもよい。
【0010】
ここで、前記応答信号制御部は、送信強度の強さに基いて受信強度範囲を調整する受信強度範囲調整手段を有し、前記タグリーダは、自器の起動信号の送信強度を示す情報を含めて起動信号を送信し、前記記憶部は、予め基準送信強度を示す情報を記憶し、前記受信強度範囲調整手段は、前記起動信号に含まれる前記送信強度を示す情報と、前記記憶部の基準送信強度を示す情報とを比較し、前記送信強度を示す情報が前記基準送信強度より強いことを示す場合には、受信強度範囲の境界値を大きくし、前記送信強度を示す情報が基準送信強度より弱いことを示す場合には、前記受信強度範囲の境界値を小さくすることとしてもよい。
【0011】
ここで、前記タグリーダは、前記第1強度と前記第2強度の境界を示す情報を含めて起動信号を送信し、前記タグは、前記第1強度及び前記第2強度それぞれに受信必要回数とを対応づけて記憶する記憶部と、受信した前記起動信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、応答信号の返信を制御する応答信号制御部とを有し、前記応答信号制御部は、受信した前記起動信号に含まれる前記境界を示す情報に基いて受信強度範囲を設定し、前記記憶部は、起動信号の受信回数を前記受信強度範囲ごとに対応づけて記憶する記憶領域とを有し、前記タグは、前記受信強度の測定値に基いて、前記受信強度範囲ごとの受信回数を更新する受信回数更新手段を有し、前記応答信号制御部は、前記受信強度範囲ごとに、前記受信回数と前記受信必要回数とを比較した結果、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数の少なくとも1つが当該受信強度範囲に対応する前記受信必要回数以上である場合に前記返信を行い、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数のすべてが前記受信必要回数を満たさない場合には、前記返信を行わないこととしてもよい。
【0012】
ここで、前記タグリーダは、通常モード時には前記起動信号を繰返し送信し、登録モード時には登録指示信号を送信し、前記タグは、登録指示信号の受信強度を測定する受信強度測定手段を有し、前記登録指示信号を受信した前記タグは、当該登録指示信号の受信強度の測定値を含めて応答信号を返信し、前記登録モード時において、前記タグリーダは、受信した前記応答信号に含まれる前記受信強度の測定値を記憶し、前記通常モード時において、前記タグリーダは、前記登録モード時に記憶した前記受信強度の測定値に基く前記第1強度と前記第2強度の境界を示す情報を含めて起動信号を送信することとしてもよい。
【0013】
ここで、前記タグ認証システムは、電気錠を具備し、前記タグリーダは、電気錠が解錠状態か否かを示す情報を含めて起動信号を送信し、前記タグは、受信した前記起動信号に電気錠が解錠状態を示す情報を含む場合には、起動信号の受信回数の如何にかかわらず自器の識別情報を含めて応答信号を返信し、前記タグリーダは、受信した応答信号に含まれる前記タグの識別信号を記憶することとしてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るタグ認証システムのタグの信号受信に係る受信強度範囲のパラメータの設定方法は、タグリーダからLF帯にて起動信号を送信するタグ認証システムのタグの信号受信に係る受信強度範囲のパラメータの設定方法であって、前記タグは、受信した受信強度を測定する測定手段と、測定した受信強度値を出力する手段を有し、前記タグリーダから起動信号を送信し、当該タグリーダとの距離が30cm以上100cm以下の所定の位置で、前記タグを用いて前記起動信号の受信強度を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定した受信強度に基いた受信強度範囲を示す情報を、タグに保存する記憶ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記課題を解決するため、本発明に係るタグは、タグリーダから繰返し送信される起動信号を受信し、応答信号を返信するタグ認証システムのタグであって、一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上述の構成により、本発明に係るタグ認証システムは、タグを所持したユーザが、タグリーダの通信エリアを単に通過した場合などに、誤ってタグの認証が行われて電気錠が解錠されるのを抑制し、かつ、扉のごく近傍に接近できない状況でも電気錠を解錠し、ユーザの入場を可能ならしめる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】タグ認証システム1の応答信号の送信の様子を模式的に説明する図。(a)、(b)は扉104から入場しようとする場合、(c)は扉104の近傍を通過する場合を示す。
【図2】実施の形態1に係るタグ認証システム1の機能ブロック図。
【図3】(a)実施の形態1に係るタグリーダ10の起動信号3000のデータの構成図。(b)実施の形態2に係るタグリーダ10の起動信号3200のデータの構成図。(c)変形例1に係るタグリーダ10の起動信号3100のデータの構成図。(d)実施の形態1、2に係るタグ20の応答信号4000のデータの構成図。
【図4】(a)登録モード時における登録指示信号8000のデータの構成図。(b)登録モード時における応答信号8100のデータの構成図。
【図5】(a)実施の形態1に係る受信テーブル2301のデータ構造。(b)実施の形態2に係る受信テーブル2311のデータ構造。
【図6】実施の形態1に係るタグリーダ10の処理を示すフローチャート。
【図7】実施の形態1に係るタグ20の処理を示すフローチャート。
【図8】実施の形態1に係る登録モード時のタグリーダ10の処理を示すフローチャート。
【図9】実施の形態1に係る登録モード時のタグ20の処理を示すフローチャート。
【図10】実施の形態2に係るタグ認証システム2の機能ブロック図。
【図11】実施の形態2に係るタグリーダ11の処理を示すフローチャート。
【図12】実施の形態2に係るタグ21の処理を示すフローチャート。
【図13】タグリーダ10の起動信号の送信強度とタグ22での受信強度の関係を模式的に説明する図。
【図14】変形例1に係るタグ22の機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態1>
以下、本発明の一実施の形態に係るタグ認証システムを、図面を参照しながら説明する。
<概要>
図1はタグ認証システム1の受信エリアを説明する模式図を示す。
【0019】
図1では、壁105に沿って電気錠(不図示)付きの扉104が設置され、扉104にはタグリーダ10が設置されている。
図1(a)は入場する意図を持って扉104に設置されたタグリーダ10からの起動信号3000の第1強度の受信範囲102にいるユーザAの場合を示す。
図1(b)は入場する意図を持っているが、車椅子を利用していたり、大きな荷物を運搬しているために受信範囲102にまで接近できないで、第1強度より弱い第2強度の受信範囲101にいるユーザBの場合を示す。
【0020】
さらに、図1(c)は入場する意思なく、受信範囲101を通過するユーザCの場合を示す。ユーザA、B、及びCは、それぞれタグ20を所持しているものとする。
第1強度とは、同図の受信範囲102と受信範囲101の境界D1で起動信号を受信したときの受信強度より強い受信強度を意味し、受信範囲102での受信強度である。第2強度は、境界D1での受信強度より弱く、かつ、境界D2での受信強度より強い受信強度を意味し、境界D1より外側で境界D2より内側の受信範囲101での受信強度である。
【0021】
以下、それぞれの場合についてタグ20とタグリーダ10の動作の概要を説明する。
一例として境界D1はタグリーダ10からの距離が30cm程度、境界D2は同様に100cm程度として説明する。
また、タグ20が応答信号を返信する条件が、(1)第1強度で一定時間(例えば15秒)内にN回(例えばN=1回)以上起動信号を受信した場合、及び(2)第2強度で一定時間内にM回(例えばM=20回)以上起動信号を受信した場合の2つについて説明する。
【0022】
図1(a)のように受信範囲102に入ったユーザAのタグ20は、タグリーダ10から繰返し送信される起動信号3000を第1強度で受信する。すなわち、この場合、タグ20は、一定時間内に第1強度で1回以上受信するという条件を満たすので、応答信号4000を返信する。タグリーダ10は、応答信号4000を受信すると、応答信号4000を送信したタグ20が正規のタグであるか否かの認証を行う。認証が成功すると扉104の電気錠30が解錠され、ユーザAは扉104から入場することができる。
【0023】
次に、図1(b)のように、例えば、車椅子を利用していたり、大きな荷物を運搬していて、受信範囲102に入れず、受信範囲101に滞留しているユーザBの場合は、所持するタグ20が、タグリーダ10から繰返し送信される起動信号3000を第2強度で受信することになる。
起動信号の送信間隔をTOミリ秒とすると、M回以上第2強度で起動信号を受信するためには、TO×Mミリ秒以上受信範囲101に滞留すればよい。
【0024】
例えば、TO=500(ミリ秒)、M=20(回)の場合は、10秒以上滞留すればよい。すなわち、ユーザBのタグ20は、受信範囲101に10秒以上滞留すれば、第2強度で20回以上起動信号3000を受信するので、応答信号を返信するための上記条件を満たし、応答信号4000を返信する。従って、上記ユーザAと同様に認証が成功すると電気錠が解錠され、ユーザBは扉104から入場することができる。
【0025】
一方、図1(c)のように受信範囲101を通過するユーザCのタグ20は、受信範囲101を横切って受信範囲101外に出るまでの間は、ユーザBのタグ20と同様にタグリーダ10から繰返し送信される起動信号3000を第2強度で受信する。
境界D2はタグリーダ10からの距離が100cm程度と設定しているので、ユーザCがこの受信範囲101を通過する距離は長くても200cm程度である。一般的な歩行速度(60m〜80m/分)を考慮すると200cm程度移動するのに要する時間は2秒程度である。このことより、ユーザCのタグ20が、一定時間内に第2強度で起動信号を受信する回数は4回程度であり、第2強度での必要受信回数M(=20)回に達しない。すなわち、ユーザCのタグ20は、応答信号4000の返信条件を満たさないので応答信号4000を返信しない。従って、電気錠30が解錠されることはない。
【0026】
このように、通信エリアを単に通過するに過ぎないユーザCの場合を、ユーザBの場合と区別することができ、ユーザCのタグ20による誤解錠を防止することができる。
<構成>
以下、タグ認証システム1の構成について説明する。
図2は、タグ認証システム1の機能ブロック図である。
【0027】
タグ認証システム1は、繰返し起動信号3000を送信するタグリーダ10、及びタグリーダ10からの起動信号3000を受信し、応答信号4000を返信するタグ20を含む構成である。
電気錠30は、扉104に取り付けられており、通常は扉104を施錠している。電気錠30は、後述する錠制御部140からの指示を受けて、電気モータを駆動してサムターンを回し、扉104を解錠したり再び施錠したりするものである。
【0028】
<タグリーダ10の構成>
タグリーダ10は、同図に示すとおり、LF(Low Frequency)送信回路110、LFアンテナ111、UHF(Ultra High Frequency)受信回路120、UHFアンテナ121、記憶部130、錠制御部140、及び制御回路150を備える。
【0029】
LF送信回路110は、コイル型のLFアンテナ111を介してLF帯(例えば135kHz)にて起動信号3000を送信する。起動信号3000は一定間隔(例えば500ミリ秒)で繰返し送信され、1回の起動信号3000の送信に要する時間は、例えば数十ミリ秒程度である。
起動信号3000のデータ構成を図3(a)に示す。
【0030】
起動信号3000は、同図に示すように、PR(Preamble)3001、UW(Unique Word)3002、リーダID3003、フラグ3004、及びCRC(Cyclic Redundancy Check)3005から構成される。
PR3001は、起動信号3000のデータの始まりを示すビット列(同期符号)であり、UW3002は、いわゆるフレーム同期信号である。
【0031】
リーダID3003は、起動信号3000の送信元であるタグリーダ10の識別情報である。
フラグ3004は、電気錠30が解錠しているか否かを示すフラグであり、以下、一例として電気錠30が解錠している場合を「1」、施錠されている場合を「0」としている。
【0032】
CRC3005は、起動信号3000を受信したタグ20が起動信号3000に誤りが発生しているか否かを検出できるようにするためのデータである。
なお、起動信号はLF帯で送信されるため、通信エリアは、比較的狭い範囲に限られ、障害物のない状態でタグリーダ10から1.5m(メートル)程度以内の範囲である。
UHF受信回路120は、UHFアンテナ121を介してタグ20からのUHF帯(例えば、426MHz)の応答信号4000を受信する機能を有する。
【0033】
記憶部130は、不揮発性メモリ等の記憶媒体より実現され、システム管理者による登録操作によって予め登録された自器の識別情報(以下、「リーダID」という。)及び電気錠30が施錠状態であるか否かを記憶する機能を有する。
その他に、記憶部130は、認証に用いるタグIDを予め登録タグIDリスト1302に記憶し、応答信号を受信するごとに応答信号4000に含まれるタグIDを応答信号受信ログ1301に記憶する機能を有する。
【0034】
制御回路150は、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、及びメモリ(EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などの不揮発性メモリなど)を含む構成である。
【0035】
その他に、制御回路150は、送信信号生成部1501、及び動作モード切替部1502を有する。
動作モード切替部1502は、繰返し起動信号を送信するモード(以下、「通常モード」という。)とタグリーダ10が送信する信号の受信強度をタグ20で測定し、その測定値を保存するモード(以下、「登録モード」という。)を切替える。
【0036】
例えば、システム管理者は、タグリーダ10に備えられた切替えスイッチを操作して動作モードを切替え、スイッチを登録モードにして登録作業を行い、登録が完了したら、スイッチを通常モードにする。
送信信号生成部1501は、動作モード切替部1502で切替えた動作モードに応じて、通常モード時には、起動信号3000を生成し、登録モード時には、登録指示信号8000を生成する。
【0037】
登録指示信号8000のデータ構成を図4(a)に示す。
登録指示信号8000は、同図に示すように、PR8001、UW8002、コマンド8003、リーダID8004、及びCRC8005から構成される。起動信号3000と略同一のデータ構造であるが、コマンド8003を有し、フラグ3004を有しない点が異なる。
【0038】
コマンド8003は、登録モードにおけるタグ20の応答動作の要求を指示するためのコマンドであり、リーダIDと識別できる符号を含む構成である。
なお、送信信号生成部1501、動作モード切替部1502の処理は、予め制御回路150のメモリに記憶されたそれぞれの処理を行うプログラムをCPUが実行することによって実現される。
【0039】
錠制御部140は、制御回路150からの指示を受け、電気錠30の施解錠の制御を行い、電気錠30が施錠状態か否かの情報等を制御回路150に送る。
電気錠30から施錠状態か否かの情報を受け取った制御回路150は、記憶部130に電気錠30が施錠状態であるか否かの情報を記憶する。
<タグ20の構成>
タグ20は、同図に示すとおり、LFアンテナ210、LF受信回路220、記憶部230、電源240、制御回路250、UHFアンテナ260、及びUHF送信回路270を備える。
【0040】
LF受信回路220は、受信強度測定回路2201を含み、LFアンテナ210を介して受信した起動信号3000の受信強度を測定する。
LFアンテナ210は、3つの独立したコイルを直交配置した3軸構成である。従って、タグ20の向きに左右されず安定して起動信号3000を受信できる。
記憶部230は、不揮発性メモリ等の記憶媒体により実現され、システム管理者による登録操作によって、自器のタグIDを予め記憶する。
【0041】
また、記憶部230は、受信強度範囲と受信必要回数と起動信号3000の受信回数とを対応付けた受信テーブル2301の記憶領域を有する。この受信テーブル2301のデータ構造を図5(a)に示す。
この受信テーブル2301は、項目として受信強度601の境界値、受信必要回数602と、受信回数603とを有する。
【0042】
受信強度601は、受信強度範囲の下限値としての境界値であり、予め複数設定される。
受信必要回数602は、応答信号を送信するための条件として、それぞれの境界値以上の受信強度で一定時間内に受信しなければならない受信必要回数であり、予め設定される。
【0043】
受信回数603は、それぞれの受信強度範囲で受信した回数であり、一定時間ごとに「0」で初期化され、受信した起動信号3000の受信強度に基いて受信回数更新部2502によって更新される。
その他に、記憶部230は、登録モードにおいて、タグリーダ10からの登録指示信号8000の受信強度の測定値を記憶する機能を有する。登録モードにおいて、タグが測定した登録指示信号8000の受信強度値は、受信強度範囲の境界値を設定するための情報として利用される。
【0044】
制御回路250は、制御プログラムを実行するCPU、制御プログラムを格納するROM、及びメモリを含む構成である。制御回路250は、受信した起動信号3000に基いて、応答信号4000の送信制御を行う応答信号制御部2501を含む。
応答信号制御部2501は、受信回数更新部2502を含む構成である。
受信回数更新部2502は、受信強度測定回路2201で測定された受信強度に基いて記憶部230の受信テーブル2301の受信回数603を更新する。
【0045】
応答信号制御部2501は、受信回数603が、受信強度範囲それぞれに定められた受信必要回数以上であるか否かを判定する。そして、応答信号制御部2501は、受信回数603に記憶している受信強度範囲ごとの受信回数の少なくとも1つが受信強度範囲に対応する受信必要回数以上である場合に応答信号4000を送信する。このときの応答信号4000には、記憶部230に記憶されている自器のタグID及び受信した起動信号3000に含まれるリーダIDの情報が含まれる。
【0046】
応答信号4000のデータ構造を図3(d)に示す。
応答信号4000は同図に示すように、PR4001、UW4002、リーダID4003、タグID4004、及びCRC4005から構成される。PR4001、UW4002、及びCRC4005のデータ構造は、起動信号3000のデータ構造と同じである。リーダID4003には、タグ20が受信した起動信号3000に含まれていたタグリーダ10の識別情報が設定され、タグID4004は、自器の識別情報である。
【0047】
登録モード時には、タグリーダ10は、登録指示信号8000を送信する。
登録指示信号8000を受信したタグ20の応答信号制御部2501は、受信強度の如何にかかわらず、受信強度測定回路2201で測定した受信強度を含めた応答信号8100を返信する。
応答信号8100のデータ構造を図4(b)に示す。
【0048】
応答信号8100は、同図に示すように、PR8101、UW8102、リーダID8103、タグID8104、RSSI(Received Signal Strength Indication)値8105、及びCRC8106から構成される。
基本的なデータ構造は、応答信号4000と同じである。異なるのは、RSSI値8105である。このRSSI値8105は、タグ20の受信強度測定回路2201で測定した登録指示信号8000の受信強度の情報である。
【0049】
なお、応答信号制御部2501、受信回数更新部2502の処理は、予め制御回路250のメモリに記憶されたそれぞれの処理を行うプログラムをCPUが実行することによって実現される。
UHF送信回路270は、制御回路250で生成した応答信号4000又は応答信号8100を、UHFアンテナ260を介してUHF帯にて送信する。1回の応答信号4000又は応答信号8100の送信に要する時間は、例えば数十ミリ秒程度である。
【0050】
電源240は、例えばコイン形リチウム電池から構成されており、タグ20の各部を駆動するための電力を供給する。
<動作>
次に上記構成のタグ認証システム1の通常モード時と登録モード時の動作を説明する。
<通常モード時の動作>
<タグリーダ10の動作>
図6に、タグリーダ10の処理を示す。
【0051】
タグリーダ10の電源(不図示)がONにされると、制御回路150の送信信号生成部1501は、リーダID3003に記憶部130に記憶されているリーダIDを設定し、フラグ3004に電気錠30が施錠状態であれば「0」を、解錠状態であれば「1」を設定した起動信号3000を生成する。制御回路150は、生成された起動信号3000を、LF送信回路110を介して送信する(ステップS401)。
【0052】
次に、制御回路150は、UHF受信回路120を介して応答信号4000を受信したか否かを判定する(ステップS402)。制御回路150は、応答信号4000にデータエラーがかないかをCRC4005の情報に基いて検証し、エラーがない場合に応答信号4000を受信したと判断する(ステップS402:YES)。
ステップS402でYESの場合、制御回路150は、記憶部130の電気錠30の施錠状態を記憶している領域の値が「0」である場合は施錠状態と判断する(ステップS403:YES)。
【0053】
ステップS403でYESの場合には、制御回路150は、受信した応答信号4000に含まれているリーダID4003の情報が自器のリーダIDと一致する場合に、タグID4004の情報と記憶部130の登録タグIDリスト1302とを照合し、一致するタグIDがある場合に正規のタグと判定する(ステップS404:YES)。
ステップS404でYESの場合には、制御回路150は、錠制御部140に電気錠30を解錠するための指示を行う(ステップS405)。ステップS405で電気錠30の解錠が完了したら、記憶部130の施錠状態か否かを記憶する領域に電気錠が解錠状態であることを示す「1」を記憶する(ステップS406)。
【0054】
続いて、応答信号4000に含まれるタグID4004の情報を記憶部130の応答信号受信ログ1301に記憶する(ステップS407)。ステップS407の処理はステップS403でNO(電気錠30が解錠状態)の場合にも行われる。これにより、タグ所持者の入退出や通過の記録管理を行う。
ステップS407の処理後、ユーザが扉を開けて入場し扉を閉めるのに必要な時間(例えば十数秒)経過(ステップS408:YES)したら、制御回路150は、錠制御部140に電気錠30の施錠の指示を行う(ステップS409)。次に電気錠30の施錠が完了したら、記憶部130の施錠状態か否かを記憶する領域に電気錠が施錠状態であることを示す「0」を記憶する(ステップS410)。
【0055】
ステップS410の処理を完了した場合、応答信号4000を受信しなかった場合(ステップS402:NO)、施錠時に受信した応答信号4000が正規のタグからではなかった場合(S404:NO)、又は電気錠30を解錠した後、最後に正規のタグからの応答信号を受信してから一定時間経過していない場合(ステップS408:NO)には、制御回路150は、再び、ステップS401から処理を行う。なお制御回路150は、ステップS401における起動信号3000の送信を、一定周期(例えば500ミリ秒)ごとに行う。
【0056】
<タグ20の動作>
図7に、タグ20の処理を示す。
タグ20の制御回路250は、受信回数603の第1強度での受信回数であるcount1及び第2強度での受信回数であるcount2の値を「0」に設定(ステップS501)した後、計測時間Tをリセット(T=0)し、経過時間の計測を開始する(ステップS502)。
【0057】
次に、制御回路250は、LF受信回路220を介して起動信号3000を受信したか否かを判定する(ステップS503)。制御回路250は、起動信号3000にデータエラーがないかをCRC3005の情報に基いて検証し、エラーがない場合に起動信号を受信したと判断する。
起動信号3000を受信した場合(ステップS503:YES)には、応答信号制御部2501は、フラグ3004の値が「0」であるか「1」であるかを判定し(ステップS504)、フラグ3004の値が「0」である場合に施錠状態と判断する(ステップS504:YES)。この場合、受信強度測定回路2201は、受信強度を測定し(ステップS505)、受信回数更新部2502は、受信強度と受信強度601の境界値2とを比較し、受信強度≧境界値2の場合(ステップS506:YES)に、count2に1を加える(ステップS507)。
【0058】
続いて、応答信号制御部2501は、受信強度601の境界値2に対応する受信必要回数602に設定されている回数Mとcount2を比較してcount2≧Mの場合(ステップS508:YES)には、応答信号4000を送信する(ステップS512)。
count2≧Mを満たさない場合(ステップS508:NO)には、応答信号制御部2501は、受信強度と受信強度601の境界値1とを比較し、受信強度≧境界値1の場合(ステップS509:YES)に、count1に1を加える(ステップS510)。
【0059】
次に、応答信号制御部2501は、ステップS508と同様に境界値1に対応する受信必要回数Nとcount1とを比較し、count1≧Nの場合(ステップS511:YES)には、応答信号4000を送信する(ステップS512)。
ステップS504でNO(電気錠30が解錠状態)の場合、応答信号制御部2501は、受信強度の如何にかかわらず、応答信号4000を送信する(ステップS512)。
【0060】
受信強度が境界値2より小さい場合(ステップS506:NO)、受信強度が境界値1より小さい場合(ステップS509:NO)、又は、受信回数count1が受信必要回数Nより小さい場合(ステップS511:NO)には、制御回路250は、ステップS502で初期化した計測時間Tが所定の時間C(例えば、15秒)を経過したか否かを判定する(ステップS513)。具体的には、制御回路250は、内蔵されたタイマーで、ステップS502で初期化してからの計測時間Tを計測し、T≧Cを満たさない場合(ステップS513:NO)には、ステップS503から処理を行う。
【0061】
この所定の時間Cは、タグ20が受信した起動信号の受信回数を計数する場合の一定時間を定めたものであり、扉104から入場する意思のあるユーザが通信エリアに入り電気錠が解錠されるまでに要する程度の時間を想定して予め設定されている。計測時間Tは、受信回数が「0」にリセットされた時点からの経過時間であり、所定の時間Cを経過するたびにリセットされる。これにより、所定の時間C内に受信した起動信号の受信回数を計数できる。
【0062】
ステップS512の処理が完了した場合、S502で計測時間Tをリセットしてから所定の時間Cを経過した場合(ステップS512:YES)には、制御回路250は、再びステップS501から処理を行う。
<登録モード時の動作>
タグ認証システム1を設置する場所によって、電波の受信状況は異なる。従って、設置時に受信状況に合わせて、受信強度範囲の境界値を適切に設定することが求められる。このため、システム管理者は、タグリーダを登録モードに切替えて境界D1及び境界D2において、タグ20が受信したタグリーダ10からの起動信号の受信強度を測定して、その測定結果に基いて境界値を設定する。
【0063】
以下、登録モード時の動作について説明する。通常モードから登録モードへの切替えは、例えば、タグ認証システム1の設置時に、動作モード切替部1502を操作して行う。
<タグリーダ10の動作>
図8に、登録モード時におけるタグリーダ10の処理を示す。
送信信号生成部1501は、タグ20に登録モード時の応答信号の返信を指示するコマンド8003と自器のリーダIDを含む登録指示信号8000を生成する(ステップS901)。制御回路150は、登録指示信号8000を、LF送信回路110を介して送信する(ステップS902)。
【0064】
次に、制御回路150は、UHF受信回路120を介して応答信号8100を受信したか否かを判定する(ステップS903)。制御回路150は、応答信号8100にデータエラーがないかをCRC8106の情報に基いて検証し、エラーがない場合に応答信号8100を受信したと判断する。 応答信号8100を受信した場合(ステップS903:YES)、制御回路150は、応答信号8100に含まれるリーダID8103の情報が自器のリーダIDか否かの判定を行う(ステップS904)。リーダID8103の情報が自器のリーダIDと一致する場合(ステップS904:YES)は、RSSI値8105の情報を記憶部130に記憶する(ステップS905)。システム管理者は、例えば、複数のタグを設定する場合、記憶した測定値をタグリーダに備えた表示装置(不図示)に表示させ、その測定値に基づいて各タグに受信強度の境界値の設定を行う。具体的には、各タグの受信強度601の境界値1に境界D1での測定値を、同様に境界値2に境界D2での測定値を設定する。
【0065】
ステップS905の処理が完了した場合、タグ20からの応答信号8100を受信しなかった場合(ステップS903:NO)、及びリーダID8103の情報が自器のリーダIDと一致しなかった場合(ステップS904:NO)には、制御回路150は、再び、S901からの処理を行う。
<タグ20の動作>
図9に、登録モード時のタグ20の処理を示す。
【0066】
タグ20の制御回路250は、LF受信回路220を介して登録指示信号8000を受信したか否かを判定する(ステップS1001)。具体的には、通常モードでのタグリーダ10からの信号にはコマンド8003の情報が含まれていないので、受信した信号にコマンド8003の情報が含まれている場合には、制御回路250は、受信した信号が登録指示信号8000であると判断する。また、制御回路250は、登録指示信号8000にデータエラーがないかをCRC8005の情報に基いて検証し、エラーがない場合に登録指示信号8000を受信したと判断する。ステップS1001でYESの場合には、受信強度測定回路2201は、受信した登録指示信号8000の受信強度を測定する(ステップS1002)。制御回路250は、ステップS1002で測定した受信強度値を記憶部230に記憶する(ステップS1003)。
【0067】
応答信号制御部2501は、RSSI値8105に受信強度の測定値の情報を設定した応答信号8100を生成し(ステップS1004)、UHF送信回路270を介して応答信号8100を送信する(ステップS1005)。
ステップS1005の処理が完了した場合、及びS1001で登録指示信号8000を受信しなかった場合(S1001:NO)は、S1001からの処理を行う。
【0068】
このようにして、タグ認証システム1の設置時に、設置状況に合わせた受信強度範囲の境界値を設定することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、システム管理者が、登録モードで測定した結果に基いて、受信強度範囲の境界値をタグ20に設定し、その境界値と起動信号3000の受信強度とを比較して受信回数603を更新するものとして説明した。
【0069】
実施の形態2では、タグは、受信強度範囲の境界値の情報を含んだ起動信号を受信し、その境界値の情報に基いて受信強度範囲の境界値を設定する。これにより、タグに受信強度範囲の境界値を予め設定することが不要になる。
以下、実施の形態1で示したものと変更のない点についての説明は省略し、変更ある点を重点的に説明する。
【0070】
<構成>
図10は、実施の形態2に係るタグ認証システム2の機能ブロック図である。
実施の形態1のタグ認証システム1との違いは、タグリーダ11が記憶部131に受信強度境界値テーブル1311を有し、タグ21に受信強度範囲設定部2513を有している点である。
【0071】
登録モード時の動作については実施の形態1と同様なので説明を省略し、以下、通常モード時について説明する。
<タグリーダ11の構成>
タグリーダ10との違いは、記憶部131が登録モードで各受信強度範囲の境界で測定した測定値を受信強度境界値テーブル1311に各受信強度範囲の境界値として予め記憶している点と、送信信号生成部1511が、起動信号3200を生成する点である。
【0072】
起動信号3200のデータ構造を図3(b)に示す。
起動信号3000と略同一であるが、受信強度境界値3205を有している点が異なる。
受信強度境界値3205は、タグ21が受信強度範囲を設定するために使用する受信強度範囲の境界値の情報である。この受信強度境界値3205は、複数の受信強度範囲ごとの境界値を含んだデータである。
【0073】
受信強度境界値3205は、後述する受信強度境界値テーブル1311に記憶しているそれぞれの受信強度範囲の境界値を参照して送信信号生成部1511が生成する。
通常モード時において、送信信号生成部1511は、受信強度境界値テーブル1311に記憶した境界値に基いて設定した受信強度境界値3205を含む起動信号3200を生成する。
【0074】
受信強度境界値テーブル1311は、上述した実施の形態1の登録モードにおいてタグリーダ11から30cm離れた位置(境界D1)と100cm離れた位置(境界D2)で測定した受信強度値をそれぞれの地点の受信強度の境界値として記憶する。
<タグ21の構成>
タグ20との違いは、制御回路251には、受信強度範囲設定部2513が追加されている点と、記憶部231には、受信テーブル2301の替わりに、相対的な受信強度に対応する受信テーブル2311を有している点である。
【0075】
受信強度範囲設定部2513は、受信した起動信号3200に含まれる受信強度境界値3205に基いて、受信テーブル2311の受信強度範囲ごとの境界値を設定する。
受信テーブル2311のデータ構造を図5(b)に示す。
受信テーブル2311は、受信強度611の受信レベルを記憶する項目と受信必要回数612を記憶する項目と受信回数613を記憶する項目とを有する。
【0076】
受信強度611の受信レベル1及び受信レベル2には、具体的な境界値は設定されておらず、それぞれの受信レベルに対応する受信必要回数M、N(M>N>0)のみが設定されている。これら受信レベル1、受信レベル2は、起動信号3200に含まれる受信強度境界値3205の情報に基いて受信強度範囲設定部2513が設定する。
受信回数613のそれぞれの初期値は「0」であり、受信回数更新部2502によって、受信した起動信号3200の受信強度と受信強度611に設定された境界値とを比較した結果に基いて更新される。この比較は、応答信号制御部2511が行い、受信回数更新部2502は、比較結果に基いて、受信テーブル2311の受信回数613を更新する。
【0077】
<動作>
次に、上記構成のタグ認証システム2の動作を説明する。
通常モード時の動作について説明し、登録モード時の動作については、実施の形態1と同様なので説明を省略する。
<タグリーダ11の動作>
図11に、タグリーダ11の処理を示す。
【0078】
送信信号生成部1511は、受信強度境界値テーブル1311に記憶した境界D1での受信強度の測定値と境界D2での測定値を、受信強度境界値3205に設定した起動信号3200を生成する(ステップS1201)。制御回路151は、生成された起動信号3200を、LF送信回路110を介して送信する(ステップS1202)。
ステップS1203〜ステップS1211までの処理は、図6に示すステップS402〜ステップS410までの処理と同様なので説明は省略する。
【0079】
<タグ21の動作>
図12は、タグ21の処理を示す。
ステップS1301〜ステップS1305までの処理は図7で示すステップS501〜ステップS505までの処理と同様なので説明は省略する。ただし、タグ21がステップS1303で受信する起動信号は、起動信号3200である。
【0080】
応答信号制御部2511は、時間計測を開始してから初めて起動信号3200を受信したか否かを判定する(ステップS1306)。具体的には、受信回数603のいずれもが「0」である場合(ステップS1306:YES)には、受信強度範囲設定部2513は、受信強度境界値3205に含まれる境界値のうち値の大きい境界値を受信強度611の受信レベル1に設定し、受信レベル2にもう一方の境界値を設定する(ステップS1307)。
【0081】
このように、起動信号3200には、境界D1及び境界D2での受信強度値が含まれているので、それぞれの受信強度値を受信強度611の受信レベル1及び受信レベル2に設定することにより、予めタグに境界値を設定しなくても、実施の形態1と同様に応答信号の送信制御が可能となる。
ステップS1308〜ステップS1315の処理は、図7で示すステップS506〜ステップS513の処理と同様なので説明は省略する。
<変形例>
以上、本発明に係るタグ認証システムの実施の形態を説明したが、例示したタグ認証システムを以下のように変形することも可能であり、本発明が上述の実施の形態で示した通りのタグ認証システムに限らないことは勿論である。
【0082】
(1)変形例1
実施の形態1では、受信強度範囲の境界値として予めタグに記憶した境界値を用いたが、タグリーダ10の起動信号に送信強度の情報を含めて送信し、これを受信したタグが送信強度に応じて受信強度範囲の境界値を調整するようにしてもよい。
図13はタグリーダ10の起動信号の送信強度とタグ20での受信強度の関係を模式的に示したものである。
【0083】
タグ20がタグリーダ10からの距離Dで受信した場合の受信強度は送信強度に依存する。図13の場合、送信強度レベル1で送信した場合の受信強度はVr1、同様に送信強度レベル2ではVr2、送信強度レベル3ではVr3である。このように送信強度が異なると、タグリーダ10とタグ20との距離が同じであっても、起動信号3000の送信強度が大きい程、タグ20での受信強度は大きくなる。従って、タグ20が送信強度の異なる起動信号を受信した場合でもタグリーダ10から同じ距離で受信した場合には、同じ受信強度範囲になるよう調整を行う。
【0084】
タグ20に、送信強度に応じて受信強度範囲を調整する受信強度範囲調整部を加えたタグをタグ22とする。タグ22の記憶部230は、測定モードを用いて受信強度の境界値を設定したときのタグリーダ10の起動信号の送信強度レベルの情報を基準送信強度情報として記憶する。この基準送信強度情報の送信レベルを基準としてこれよりも強い送信強度又は弱い送信強度で起動信号が送信された場合に、受信強度の補正を行う。
【0085】
送信強度のレベルに応じた受信強度範囲の調整を行うためのパラメータ等の設定には、実施の形態1で説明した登録モードで測定した情報を利用する。
例えば、登録モードで、タグリーダの送信強度と、タグリーダとタグとの距離をそれぞれ変えてタグで受信強度を測定し、その受信強度に基いて送信強度と受信強度の関係の補間式を求める。タグ22の制御回路252は、起動信号3100に含まれる送信強度3105の情報を基に、調整に用いる補正値を、補間式を用いて計算し受信強度範囲の調整を行う。
【0086】
また、送信強度ごとに、タグ22で測定した受信強度を対応付けた送信強度対応テーブルを作成して、タグ22に予め記憶させるようにしてもよい。この場合、タグ22の制御回路252は、この送信強度対応テーブルを参照して受信強度範囲の調整を行う。
以下、タグ22の記憶部230に記憶されている基準送信強度情報が送信強度レベル2であるとして説明する。
【0087】
<構成>
<タグ22の構成>
図14は、変形例1のタグ22の機能ブロック図である。
タグ20との違いは、タグ22の応答信号制御部2521に、受信強度調整部2503が追加されている点である。
【0088】
受信強度調整部2503は、起動信号3100に含まれる送信強度を示す情報と記憶部230の基準送信強度情報に基いて受信強度範囲の境界値を調整する。
起動信号3100のデータ構造を図3(c)に示す。
起動信号3000と略同一であるが、送信強度3105を有している点が異なる。
<動作>
以下、変形例1におけるタグリーダ10とタグ22の動作について説明する。
【0089】
<タグリーダ10の動作>
タグリーダ10の送信信号生成部1501は、起動信号3100を生成する。起動信号3100は、送信強度3105に起動信号を送信するときの送信強度の情報を含めた起動信号である。制御回路150はLF送信回路110を介して起動信号3100を送信する。起動信号送信後の処理については実施の形態1と同様なので説明を省略する。
【0090】
<タグ22の動作>
次に、タグ22の動作について説明する。
起動信号3100を受信したタグ22の受信強度調整部2503は、送信強度3105の送信強度を示す情報と、記憶部230に記憶している基準送信強度情報とを比較する。
例えば、送信強度3105が送信強度レベル1を示す場合には、補間式を用いて計算した補正値に基いて実施の形態1の受信テーブル2301の受信強度601の境界値1を大きくし、送信強度レベル3を示す場合には、同様に計算される補正値に基いて境界値1を小さくする。
【0091】
受信強度範囲の境界値の調整が完了した後の処理は、実施の形態1と同じなので説明を省略する。
このように、起動信号に含まれる送信強度の情報に基いて、受信強度範囲の境界値を調整することによって、タグ認証システムの設置時に、設置状況に応じてタグリーダの送信強度の調整が必要なときでも、予めタグに記憶させた設定値を再設定することなくタグ認証システムを運用できる。また、システム内にタグリーダが複数あり、タグを共有するとき、各リーダの運用上、送信強度に差を設ける必要があるときにも有用である。
【0092】
(2)実施の形態1では、タグリーダ10からの距離が30cmの場合の受信強度を第1強度の境界値、同様に距離が100cmの場合を第2強度の境界値としたが、これに限らない。
これらの境界値の設定に用いる距離は、タグリーダが設置された扉に接近したユーザは待たされることなく入場でき、タグリーダ10の近傍を単に通過するに過ぎない場合には、解錠することを防止するという目的を達成できる距離であればよい。
【0093】
(3)実施の形態1では、受信強度範囲の境界値を2つ設定したが、受信強度範囲の境界は2つに限らない。
例えば、第1強度と第2強度の受信強度範囲の境界値だけを設定してもよい。この場合、タグが起動信号をその境界値以上でN回以上受信した場合に応答信号を返信し、その境界値未満でM回以上受信した場合に応答信号を送信する。この構成によると、通信エリアでは少なくとも第2強度で起動信号を受信するので、起動信号を受信するたびに、受信回数が更新される。
【0094】
また、3つ以上の境界値を設定してもよい。この場合、タグリーダからの距離が遠くなるに従って応答信号を返信するために必要な受信回数を大きく設定する。この構成によると、タグリーダから離れているほど、長時間滞留しなければ、タグは応答信号を返さない。
(4)実施の形態1での動作モードの切替えをタグリーダに備えたスイッチを用いて行うものとして説明したが、これに限らない。
【0095】
例えば、タグリーダの制御回路に、外部装置とデータの入出力を行うインタフェースを備え、このインタフェースにタグリーダの設定を行う外部コントローラを接続して動作モード切替部に切替えを指示するコマンドを送信して切替えてもよい。
(5)実施の形態1、実施の形態2及び変形例のタグでは、起動信号の受信回数の計数を行ってから一定時間が経過したら、受信回数を全て「0」にして再び起動信号の受信の計数を行っていたが、これに限らない。
【0096】
例えば、起動信号の受信ごとに経過時間を管理し、それぞれの起動信号が一定時間を経過するごとに、その起動信号が寄与した受信回数の値を減算してもよい。
(6)実施の形態1、2では、扉104に設置した電気錠30の施解錠を制御する例を示したが、これに限らない。例えば扉104に換えて通行を制限するバー付ゲートを用いて、バーの上げ下げによりユーザの入退出を制限するようなものを制御するようにしてもかまわない。
【0097】
(7)実施の形態1、2では、タグリーダは、電気錠が解錠状態か否かを示す情報を含めて起動信号を送信するものとして説明した。しかしながら、これは一例であり、起動信号に解錠状態か否かを示す情報を含めずに送信するタグリーダを用いてもよい。この場合、タグは、電気錠の施解錠の状態如何にかかわらず、起動信号の受信強度を測定し、その結果に基いて応答信号を返信するか否かの判断を行う。
【0098】
(8)実施の形態1、2では、電気錠30を解錠してから再び施錠する処理を、ユーザが扉を開けて入場し扉を閉めるのに必要な程度の一定時間経過後に行うものとして説明したが、これに限らない。
例えば、扉104に開戸センサーを設置して、扉104が開戸状態であるか閉戸状態であるかを検知し、その情報を基に制御回路150が、電気錠30が解錠された後、扉104が開けられて、再び扉が閉まったかどうかを判別することで施錠するようにしてもよい。
【0099】
(9)実施の形態1、2では、登録モードで測定した受信強度の測定値に基いて受信強度範囲の境界値を設定したが、これに限らない。
例えば、タグ認証システムの製造時に予め設定していてもよいし、システム管理者が設置時に製造時の設定値を調整するようにしてもよい。
(10)上述の各実施の形態及び各変形例を、部分的に組み合せてもよい。
<補足>
以下、更に本発明の一実施形態としてのタグ認証システムの構成及びその変形例と効果について説明する。
【0100】
(a)本発明の一実施形態に係るタグ認証システムは、起動信号を繰返し送信するタグリーダと、一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行うタグとを備える。
この構成によると、タグはタグからの起動信号を一定時間内に第1強度でN回(N>0)又は第1強度より弱い第2強度でM回(M>N)受信した場合に応答信号を返信する。
【0101】
従って、第1強度での受信範囲と、第2強度での受信範囲と、各範囲での必要受信回数とを実施の形態のように設定することによって、受信範囲ごとに応答信号の送信を制御できる。これにより、タグを所持したユーザが、タグリーダの通信エリアを単に通過した場合などに、誤ってタグの認証が行われて電気錠が解錠されるのを抑制し、かつ、扉のごく近傍に接近できない状況でも電気錠を解錠し、ユーザの入場を可能ならしめる。
【0102】
(b)また、前記タグは、複数の受信強度範囲それぞれと受信強度が大きいほど少ない受信必要回数とを対応づけて記憶する記憶領域と、起動信号の受信回数を前記受信強度範囲ごとに対応づけて記憶する記憶領域とを有する記憶部と、受信した前記起動信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、応答信号の返信を制御する応答信号制御部とを有し、
前記応答信号制御部は、前記受信強度の測定値に基いて、前記受信強度範囲ごとの受信回数を更新する受信回数更新手段を有し、前記受信強度範囲ごとに、前記受信回数と前記受信必要回数とを比較した結果、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数の少なくとも1つが当該受信強度範囲に対応する前記受信必要回数以上である場合に前記返信を行い、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数のすべてがそれぞれの受信強度範囲に対応する前記受信必要回数を満たさない場合には、前記返信を行わないこととしてもよい。
【0103】
この構成によると、タグは、予め受信強度範囲の境界値と受信必要回数を対応づけて記憶し、受信した起動信号の受信強度測定を測定し、受信強度範囲の境界値と比較して受信強度範囲ごとの受信回数を計数する。一定時間内の受信回数に基きタグは、受信強度ごとの受信必要回数以上、タグリーダからの起動信号を受信した場合に応答信号を返信する。
従って、タグを所持したユーザが、タグリーダの通信エリアを単に通過した場合などに、誤ってタグの認証が行われて電気錠が解錠されるのを抑制し、かつ、扉のごく近傍に接近できない状況でも電気錠を解錠し、ユーザの入場を可能ならしめる。
【0104】
(c)また、前記応答信号制御部は、送信強度の強さに基いて受信強度範囲を調整する受信強度範囲調整手段を有し、前記タグリーダは、自器の起動信号の送信強度を示す情報を含めて起動信号を送信し、前記記憶部は、予め基準送信強度を示す情報を記憶し、前記受信強度範囲調整手段は、前記起動信号に含まれる前記送信強度を示す情報と、前記記憶部の基準送信強度を示す情報とを比較し、前記送信強度を示す情報が前記基準送信強度より強いことを示す場合には、受信強度範囲の境界値を大きくし、前記送信強度を示す情報が基準送信強度より弱いことを示す場合には、前記受信強度範囲の境界値を小さくすることとしてもよい。
【0105】
この構成によると、タグリーダは、自器の送信強度を示す情報を起動信号に含めて送信する。タグは、起動信号に含まれる送信強度を示す情報に基いて、受信強度範囲の境界値を調整する。従って、タグリーダからの起動信号の送信強度が異なっても、タグリーダからの起動信号受信時のタグリーダとタグとの距離が同じ場合には、同じ受信強度範囲になるように境界値を調整することができる。
【0106】
(d)また、前記タグリーダは、前記第1強度と前記第2強度の境界を示す情報を含めて起動信号を送信し、前記タグは、前記第1強度及び前記第2強度それぞれに受信必要回数とを対応づけて記憶する記憶部と、受信した前記起動信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、応答信号の返信を制御する応答信号制御部とを有し、前記応答信号制御部は、受信した前記起動信号に含まれる前記境界を示す情報に基いて受信強度範囲を設定し、 前記記憶部は、起動信号の受信回数を前記受信強度範囲ごとに対応づけて記憶する記憶領域とを有し、前記タグは、前記受信強度の測定値に基いて、前記受信強度範囲ごとの受信回数を更新する受信回数更新手段を有し、前記応答信号制御部は、前記受信強度範囲ごとに、前記受信回数と前記受信必要回数とを比較した結果、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数の少なくとも1つが当該受信強度範囲に対応する前記受信必要回数以上である場合に前記返信を行い、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数のすべてが前記受信必要回数を満たさない場合には、前記返信を行わないこととしてもよい。
【0107】
この構成によると、タグリーダは、受信強度範囲の境界を示す情報を含めて起動信号を送信する。タグは、起動信号に含まれる受信強度範囲の境界を示す情報に基に受信強度範囲の境界値を設定する。従って、受信強度範囲の境界値を予めタグに設定する必要がない。
(e)また、前記タグリーダは、通常モード時には前記起動信号を繰返し送信し、登録モード時には登録指示信号を送信し、前記タグは、登録指示信号の受信強度を測定する受信強度測定手段を有し、前記登録指示信号を受信した前記タグは、当該登録指示信号の受信強度の測定値を含めて応答信号を返信し、前記登録モード時において、前記タグリーダは、受信した前記応答信号に含まれる前記受信強度の測定値を記憶し、前記通常モード時において、前記タグリーダは、前記登録モード時に記憶した前記受信強度の測定値に基く前記第1強度と前記第2強度の境界を示す情報を含めて起動信号を送信することとしてもよい。
【0108】
この構成によると、タグリーダは通常モードと登録モードとを切替えることができ、登録モード時に受信環境に合わせて適切に測定した結果を受信範囲の境界値の情報として利用することができる。
(f)また、前記タグ認証システムは、電気錠を具備し、前記タグリーダは、電気錠が解錠状態か否かを示す情報を含めて起動信号を送信し、前記タグは、受信した前記起動信号に電気錠が解錠状態を示す情報を含む場合には、起動信号の受信回数の如何にかかわらず自器の識別情報を含めて応答信号を返信し、前記タグリーダは、受信した応答信号に含まれる前記タグの識別信号を記憶することとしてもよい。
【0109】
この構成によると、タグは、電気錠が解錠状態を示す場合には、起動信号の受信回数の如何にかかわらず応答信号を送信する。従って、タグリーダは、電気錠が解錠状態の場合には、起動信号の受信回数の如何にかかわらず、通信エリアのタグのタグIDをログに記憶することができる。
(g)本発明の一実施形態にかかるタグの信号受信に係る受信強度範囲のパラメータの設定方法は、タグリーダからLF帯にて起動信号を送信するタグ認証システムのタグの信号受信に係る受信強度範囲のパラメータの設定方法であって、前記タグは、受信した受信強度を測定する測定手段と、測定した受信強度値を出力する手段を有し、前記タグリーダから起動信号を送信し、当該タグリーダとの距離が30cm以上100cm以下の所定の位置で、前記タグを用いて前記起動信号の受信強度を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定した受信強度に基いた受信強度範囲を示す情報を、タグに保存する記憶ステップとを含む。
【0110】
この構成によると、タグリーダは、起動信号を送信し、起動信号を受信したタグは、起動信号の受信強度を測定して測定値を記憶することができる。従って、この方法により測定した測定値を用いて、本発明のタグ認証システムにおける受信用度範囲の境界値のパラメータの設定を行うことができる。
(h)本発明の一実施形態に係るタグ認証システムのタグは、タグリーダから繰返し送信される起動信号を受信し、応答信号を返信するタグ認証システムのタグであって、一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行う。
【0111】
この構成によると、タグはタグからの起動信号を一定時間内に第1強度でN回(N>0)又は第1強度より弱い第2強度でM回(M>N)受信した場合に応答信号を返信する。
従って、このようなタグを用いるタグ認証システムは、タグを所持したユーザが、タグリーダの通信エリアを単に通過した場合などに、誤ってタグの認証が行われて電気錠が解錠されるのを抑制し、かつ、扉のごく近傍に接近できない状況でも電気錠を解錠し、ユーザの入場を可能ならしめる。
【符号の説明】
【0112】
1、2 タグ認証システム
10、11、12 タグリーダ
20、21、22 タグ
110 LF送信回路
111、210 LFアンテナ
120 UHF受信回路
121、260 UHFアンテナ
130、131、230、231 記憶部
150、151、250、251、252 制御回路
220 LF受信回路
270 UHF送信回路
1501、1511 送信信号生成部
1502 動作モード切替部
2201 受信強度測定回路
2301、2311 受信テーブル
2501、2511、2521 応答信号制御部
2502 受信回数更新部
2503 受信強度範囲調整部
3000、3100、3200 起動信号
4000、8100 応答信号
8000 登録指示信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動信号を繰返し送信するタグリーダと、
一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行うタグとを備える
ことを特徴とするタグ認証システム。
【請求項2】
前記タグは、複数の受信強度範囲それぞれと受信強度が大きいほど少ない受信必要回数とを対応づけて記憶する記憶領域と、起動信号の受信回数を前記受信強度範囲ごとに対応づけて記憶する記憶領域とを有する記憶部と、
受信した前記起動信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、
応答信号の返信を制御する応答信号制御部とを有し、
前記応答信号制御部は、前記受信強度の測定値に基いて、前記受信強度範囲ごとの受信回数を更新する受信回数更新手段を有し、
前記受信強度範囲ごとに、前記受信回数と前記受信必要回数とを比較した結果、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数の少なくとも1つが当該受信強度範囲に対応する前記受信必要回数以上である場合に前記返信を行い、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数のすべてがそれぞれの受信強度範囲に対応する前記受信必要回数を満たさない場合には、前記返信を行わない
ことを特徴とする請求項1記載のタグ認証システム。
【請求項3】
前記応答信号制御部は、送信強度の強さに基いて受信強度範囲を調整する受信強度範囲調整手段を有し、
前記タグリーダは、自器の起動信号の送信強度を示す情報を含めて起動信号を送信し、
前記記憶部は、予め基準送信強度を示す情報を記憶し、
前記受信強度範囲調整手段は、前記起動信号に含まれる前記送信強度を示す情報と、前記記憶部の基準送信強度を示す情報とを比較し、前記送信強度を示す情報が前記基準送信強度より強いことを示す場合には、受信強度範囲の境界値を大きくし、前記送信強度を示す情報が基準送信強度より弱いことを示す場合には、前記受信強度範囲の境界値を小さくする
ことを特徴とする請求項2記載のタグ認証システム。
【請求項4】
前記タグリーダは、前記第1強度と前記第2強度の境界を示す情報を含めて起動信号を送信し、
前記タグは、前記第1強度及び前記第2強度それぞれに受信必要回数とを対応づけて記憶する記憶部と、
受信した前記起動信号の受信強度を測定する受信強度測定部と、
応答信号の返信を制御する応答信号制御部とを有し、
前記応答信号制御部は、受信した前記起動信号に含まれる前記境界を示す情報に基いて受信強度範囲を設定し、
前記記憶部は、起動信号の受信回数を前記受信強度範囲ごとに対応づけて記憶する記憶領域とを有し、
前記タグは、前記受信強度の測定値に基いて、前記受信強度範囲ごとの受信回数を更新する受信回数更新手段を有し、
前記応答信号制御部は、前記受信強度範囲ごとに、前記受信回数と前記受信必要回数とを比較した結果、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数の少なくとも1つが当該受信強度範囲に対応する前記受信必要回数以上である場合に前記返信を行い、前記受信強度範囲ごとの前記受信回数のすべてが前記受信必要回数を満たさない場合には、前記返信を行わない
ことを特徴とする請求項1記載のタグ認証システム。
【請求項5】
前記タグリーダは、通常モード時には前記起動信号を繰返し送信し、登録モード時には登録指示信号を送信し、
前記タグは、登録指示信号の受信強度を測定する受信強度測定手段を有し、
前記登録指示信号を受信した前記タグは、当該登録指示信号の受信強度の測定値を含めて応答信号を返信し、
前記登録モード時において、
前記タグリーダは、受信した前記応答信号に含まれる前記受信強度の測定値を記憶し、
前記通常モード時において、
前記タグリーダは、前記登録モード時に記憶した前記受信強度の測定値に基く前記第1強度と前記第2強度の境界を示す情報を含めて起動信号を送信する
ことを特徴とする請求項4記載のタグ認証システム。
【請求項6】
前記タグ認証システムは、電気錠を具備し、
前記タグリーダは、電気錠が解錠状態か否かを示す情報を含めて起動信号を送信し、
前記タグは、受信した前記起動信号に電気錠が解錠状態を示す情報を含む場合には、起動信号の受信回数の如何にかかわらず自器の識別情報を含めて応答信号を返信し、
前記タグリーダは、受信した応答信号に含まれる前記タグの識別信号を記憶する
ことを特徴とする請求項1記載のタグ認証システム。
【請求項7】
タグリーダからLF帯にて起動信号を送信する請求項2記載のタグ認証システムのタグの信号受信に係る受信強度範囲のパラメータの設定方法であって、
前記タグは、受信した受信強度を測定する測定手段と、
測定した受信強度値を出力する手段を有し、
前記タグリーダから起動信号を送信し、当該タグリーダとの距離が30cm以上100cm以下の所定の位置で、前記タグを用いて前記起動信号の受信強度を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定した受信強度に基いた受信強度範囲を示す情報を、タグに保存する記憶ステップとを含む
ことを特徴とするタグ認証システムのタグの信号受信に係るパラメータの設定方法。
【請求項8】
タグリーダから繰返し送信される起動信号を受信し、応答信号を返信するタグ認証システムのタグであって、
一定時間内に、起動信号を第1強度でN(N>0)回受信した場合に応答信号の返信を行い、前記起動信号が第1強度より弱い第2強度のときは、M(M>N)回受信した場合に応答信号の返信を行う
ことを特徴とするタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−76242(P2013−76242A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215888(P2011−215888)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】