説明

チューナブルパルスレーザ源用の方法およびシステム

シード信号を発生させるシード源と光サーキュレータとを備えるチューナブルパルスレーザ源である。光サーキュレータは、シード源に連結された第1のポートと、第2のポートと、第3のポートとを含む。レーザ源は、第1のサイドおよび第2のサイドによって特徴付けられている振幅変調器をさらに含む。第1のサイドは光サーキュレータの第2のポートに連結されている。レーザ源は、入力端と、スペクトル領域反射フィルタを含む反射端とによって特徴付けられている第1の光増幅器をさらに含む。入力端は振幅変調器の第2のサイドに連結されている。さらに、レーザ源は光サーキュレータの第3のポートに連結されている第2の光増幅器を含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本出願は、2006年4月18日に出願され、発明の名称が“Method and System for Tunable Pulsed Laser Source”であり、参照によって全体が本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第60/793,307号の合衆国法典第35巻第109条(e)に基づく利益を主張する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]本発明は、一般に、チューナブルレーザ源に関係する。より具体的には、本発明は、トリミング、マーキング、切断および溶接のような産業上の利用に役立つ高出力パルスレーザ源を提供する方法および装置に関係する。単に一例として、本発明は、パルス幅、ピーク出力、繰返しレートおよびパルス形状を含むリアルタイムチューナブル特性を備えたレーザ源に適用されている。しかし、本発明は、より広い適用可能性を有しており、他のレーザ源に応用され得る。
【0003】
[0003]Nd:YAGレーザのようなパルスレーザ源は、マーキング、エングレービング、マイクロ加工および切断のような用途のためのレーザベースの材料加工を実行するために使用されている。用途および加工されるべき材料に応じて、パルス幅、パルス繰返しレート、ピーク出力またはエネルギおよびパルス形状を含むレーザパルスの種々の特性が、特定の用途に適切に選択されている。たとえば、1パルス当たり0.5mJより大きいパルスエネルギを有している多数の既存の高出力パルスレーザは、光パルスを発生させるためにQスイッチングおよびモードロッキングのような技術に依存している。しかし、このようなレーザは、キャビティ幾何形状、ミラー反射率などによって予め定められ、現場ではレーザ性能を悪化させることなく一般に変更することができない特性を備えた光パルスを生成する。このようなレーザを使用すると、様々な可変パルス特性を実現することが一般的に困難である。
【0004】
[0004]よって、チューナブルパルス特性を備えたパルスレーザ源が当分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明によれば、一般にチューナブルパルスレーザ源に関連する技術が提供される。より具体的には、本発明は、トリミング、マーキング、切断および溶接のような産業上の利用に役立つ高出力パルスレーザ源を提供する方法および装置に関係する。単に一例として、本発明は、パルス幅、ピーク出力、繰返しレートおよびパルス形状を含むリアルタイムチューナブル特性を備えたレーザ源に適用されている。しかし、本発明はより広い適用可能性を有しており、他のレーザ源に応用され得る。
【0006】
[0006]本発明の実施形態によれば、チューナブルパルスレーザ源が提供される。チューナブルパルスレーザ源は、シード信号を発生させるシード源と光サーキュレータとを備える。光サーキュレータは、シード源に連結された第1のポートと、第2のポートと、第3のポートとを含む。チューナブルパルスレーザ源は、第1のサイドおよび第2のサイドによって特徴付けられている振幅変調器をさらに含む。第1のサイドは光サーキュレータの第2のポートに連結されている。チューナブルパルスレーザ源は、入力端と、スペクトル領域反射フィルタを含む反射端とによって特徴付けられている第1の光増幅器をさらに含む。入力端は振幅変調器の第2のサイドに連結されている。さらに、チューナブルパルスレーザ源は光サーキュレータの第3のポートに連結されている第2の光増幅器を含む。
【0007】
[0007]本発明の別の実施形態によれば、1個以上のレーザパルスを供給する方法が提供される。本方法は、光サーキュレータの第1のポートにシード信号を供給するステップと、シード信号を振幅変調器の第1のサイドへ伝送するステップと、振幅変調器を通る第1のパスを画成するために振幅変調器を経由してシード信号を伝送するステップと、を備える。本方法は、パルスを供給するためにシード信号を時間領域フィルタリングするステップをさらに含む。時間領域フィルタリングするステップは、振幅変調器のための駆動信号を変調する工程を含む。本方法は、第1の光増幅器を使用してパルスを増幅するステップと、スペクトルフィルタリングされたパルスを供給するために増幅されたパルスを周波数領域フィルタリングするステップと、を含む。また、本方法は、振幅変調器を通る第2のパスを画成するために振幅変調器を経由してスペクトルフィルタリングされたパルスを伝送するステップと、中間パルスを供給するために増幅されたスペクトルフィルタリングされたパルスを時間領域フィルタリングするステップと、を含む。時間領域フィルタリングするステップは、振幅変調器のための駆動信号を変調する工程を含む。さらに、本方法は第2の光増幅器を使用して中間パルスを増幅するステップを含む。
【0008】
[0008]様々な利点が従来技術の上に本発明を使用して達成される。たとえば、本発明による実施形態では、同等の性能特性をもつレーザと比べて安価であり、小型構造を利用するレーザ加工に適した高出力パルスレーザが提供される。また、本発明の実施形態では、パルス間安定性を維持したままリアルタイムで調整できるパルス特性をもつ短いパルスが発生させられる。さらに、本発明による実施形態では、光パルスを成形し、特定の用途のためのパルスプロファイルを最適化することまたはレーザシステム内のエネルギ抽出効率を最大化することができる。実施形態に応じて、これらの利点のうちの1つ以上が存在してもよい。これらの利点およびその他の利点は、本明細書の全体を通じて、以下ではより具体的に説明されている。本発明の様々な付加的な目的、特徴部および利点は、以下に続く詳細な説明および添付図面を参照してより完全に理解され得る。
【具体的な実施形態の詳細な説明】
【0009】
[0012]図1は、本発明の実施形態による光ファイバ増幅器を使用するチューナブルパルス特性を備えた高出力パルスレーザの簡略化された概要図である。高出力パルスレーザ100は、光サーキュレータ120の第1のポート114に入射されるシード信号を発生するシード源110を含む。本発明の実施形態によれば、光シード信号は、連続波(CW)半導体レーザであるシード源110を使用することにより発生される。特定の実施形態では、CW半導体レーザは、20mWの出力電力で1032nmの波長で動作するファイバブラッグ回折格子(FBG)で安定化された半導体レーザダイオードである。別の特定の実施形態では、CW半導体レーザは、100mWの出力電力で1064nmの波長で動作する外部キャビティ半導体レーザダイオードである。出力電力は、100mWより小さくても大きくてもよい。たとえば、出力電力は、50mW、150mW、200mW、250mWなどでもよい。代替的な実施形態では、シード信号は、小型固体レーザまたはファイバレーザによって発生される。当業者なら、多数の変形、変更および代替を認めることができる。
【0010】
[0013]光サーキュレータ120を通過した後、シード信号は、サーキュレータ120の第2のポート122から出て、光振幅変調器130の第1のサイド132に当たる。サーキュレータは、当分野で周知であり、数社の供給業者から入手可能であり、たとえば、ニュージャージー州、Caldwell,OFR,Inc.製のOC−3−1064−PMである。
【0011】
[0014]光振幅変調器130は、通常、変調器に当たる信号が伝送されない「オフ」状態に保持されている。本発明の実施形態によれば、光振幅変調器は、シード信号の振幅変調および時間領域フィルタリングを、増幅自然放出光(ASE)フィルタリングと共に行う。特定の実施形態では、光パルスの長さは、光振幅変調器130の動作によって決定される。光振幅変調器130は、1064nmで3GHzより大きい帯域幅を有しているAPEタイプのニオブ酸リチウムのマッハツェンダ変調器でもよい。
【0012】
[0015]本発明の実施形態によれば、光振幅変調器130は、短い光パルスを発生するため必要な帯域幅を供給するマッハツェンダ型電気光学変調器である。他の実施形態では、光振幅変調器130は、エッジ光フィルタ、消光変調器または音響光学変調器のような、適切な位相または周波数から振幅への変換器を備える位相変調器または周波数変調器である。たとえば、電気光学位相変調器は、光信号に周波数チャープを引き起こすことができ、光信号は、短経路または長経路の光フィルタを経由して伝送されるときに、振幅変調光に変換される。好ましくは、光信号は、電気信号が電気光学位相変調器に印加されないときに高損失の影響を受ける波長によって特徴付けられる。電気信号が電気光学位相変調器に印加されるとき、光信号は、好ましくは、波長または周波数チャープの、低い光損失によって特徴付けられた値への変化の影響を受ける。
【0013】
[0016]シード信号を通過させるため、光振幅変調器130は、光路136に沿って光パルスを発生させるため1回目の「オン」状態への変調がなされる。光振幅変調器130によって発生させられた光パルスのパルス幅およびパルス形状は、光振幅変調器130により印加された変調器駆動信号によって制御される。光パルスは、その後に、光パルスが増幅される第1の光増幅器150の1回目の通過をする。本発明の実施形態によれば、経時変化する駆動信号によって駆動される振幅変調器は、シード信号の時間領域フィルタリングを行い、それによって、パルス幅、パルス形状およびパルス繰返しレートを含む所定のパルス特性を備えたレーザパルスを発生する。
【0014】
[0017]本発明の実施形態によれば、光増幅器150は光ファイバ増幅器である。本発明の実施形態で利用されるファイバ増幅器は、限定されることはないが、希土類ドープシングルクラッド光ファイバ、ダブルクラッド光ファイバまたはマルチクラッド光ファイバさえ含む。このようなファイバ増幅器で使用される希土類添加物は、イッテルビウム、エルビウム、ホルミウム、プラセオジム、ツリウムまたはネオジムを含む。特定の実施形態では、光増幅器150を構築する際に利用される光ファイバベースの成分の全ては、偏光維持シングルモードファイバを利用する。
【0015】
[0018]図1を参照すると、ファイバ増幅器を利用する実施形態では、ポンプ142が光カプラ140を介して希土類ドープファイバループ144に連結されている。一般に、半導体ポンプレーザがポンプ142として使用される。当業者は多数の変形、変更および代替を認めることができる。代替的な実施形態では、光増幅器150は、限定されることはないが、固体ロッド増幅器、固体ディスク増幅器またはガス状利得媒質を含む固体増幅器である。
【0016】
[0019]特定の実施形態では、光増幅器150は、約4.1μmのコア径を有し、約4×1024イオン/mのドーピング密度までイッテルビウムがドープされた、5メートルの長さの希土類ドープファイバ144を含む。増幅器150は、976nmの波長で動作し、100mWの出力電力を有している、FBG安定化された半導体レーザダイオードであるポンプ142をさらに含む。出力電力は、100mWより小さくても大きくてもよい。たとえば、出力電力は、50mW、150mW、200mW、250mW、300mW、350mW、400mWなどでもよい。別の特定の実施形態では、ポンプ142は、約915nmの波長で動作する半導体レーザダイオードである。さらに別の特定の実施形態では、ポンプ142は、450mW以上の出力電力で動作する半導体レーザダイオードである。具体的な実施形態では、増幅器150は、WDMポンプコンバイナであるファイバカプラ140のポンプをさらに含む。
【0017】
[0020]光路148に沿って光増幅器150から現れる信号は、反射構造体146に当たり、光増幅器150に反射される。信号は、信号が増幅される光増幅器150の2回目の通過をする。反射構造体146は、レーザパルスおよび光路148を伝搬する増幅自然放出光(ASE)のスペクトル領域フィルタリングを実行する。よって、シード信号は、振幅変調器130を通過するときの振幅および時間領域変調と、反射構造体146からの反射時のスペクトル領域フィルタリングとの両方の影響を受ける。
【0018】
[0021]一実施形態では、反射構造体146は、光増幅器150として使用されるファイバに直接設けられたファイバブラッグ回折格子(FBG)である。FBGの周期性および回折特性は、当分野で周知の所望の反射係数を与えるように選択される。特定の実施形態における単に一例として、反射構造体146は、90%より高い反射率と、シード源110の出力に厳密に整合している中心波長およびスペクトル幅とを有するFBGである。
【0019】
[0022]光路136に沿って光増幅器150から現れる信号は、光振幅変調器130の第2のサイド134に当たり、光振幅変調器は、入射パルスを通過させるため、そのときに2回目の「オン」状態への変調がなされる。本発明の実施形態によれば、光振幅変調器130の第2の「オン」パルスのタイミングは、増幅器150および反射構造体146を通る信号の伝送時間を考慮するため変調器130の第1の開成(第1の「オン」パルス)と同期している。光振幅変調器130の第1のサイドから現れた後、増幅されたパルスは、その後に、光サーキュレータ120の第2のポートに入り、光路148に沿って光サーキュレータ120の第3のポート116から出る。
【0020】
[0023]信号は、その後に第2の光増幅器160を通過するときに増幅される。図1に関して説明されているように、本発明の実施形態は、光増幅器160として、光カプラ152を介して希土類ドープファイバループ156に連結されているポンプ154を含むファイバ増幅器を利用する。一般に、半導体ポンプレーザがポンプ154として使用されるが、光増幅器のポンピングは、当業者に明らかであるように、他の手段によって実現されてもよい。特定の実施形態では、第2の光増幅器160は、約4.8μmのコア径を有し、約6×1024イオン/mのドーピング密度までイッテルビウムがドープされた、5メートルの長さの希土類ドープファイバ156を含む。増幅器160は、976nmの波長で動作し、500mWの出力電力を有している、FBG安定化された半導体レーザダイオードであるポンプ154をさらに含む。別の特定の実施形態では、第2の光増幅器160は、約10μmのコア径を有し、約1×1026イオン/mのドーピング密度までイッテルビウムがドープされた、2メートルの長さの希土類ドープファイバ156を含む。ファイバ長は2メートルより短くても長くてもよい。たとえば、ファイバ長は、1.0m、3.0m、3.5m、4.0m、4.5m、5.0mなどでもよい。増幅器160は、5Wの出力電力を有する半導体レーザダイオードであるマルチモードポンプ154を含んでもよい。出力電力は5mWより小さくても大きくてもよい。たとえば、出力電力は、3W、4W、6W、7W、8W、9W、10Wなどでもよい。
【0021】
[0024]別の特定の実施形態では、シード信号を通過させるため、光振幅変調器130は2回ではなく1回パルス化される。光振幅変調器130は、光路136に沿って伝搬するパルスの立ち上がりエッジを発生させるため「オン」状態に切り替えられる。この信号は、その後に光増幅器150を用いて1回目の増幅が行われる。信号はその後に反射構造体146に当たり、光増幅器150を用いて2回目の増幅が行われる。今度は、光路136に沿って光増幅器150から現れる信号が、その後に「オフ」状態に切り替えられる光振幅変調器130の第2のサイド134に当たる。したがって、パルス幅は、増幅器150および反射構造体146を通る信号の伝送時間が減算された、光振幅変調器130が「オン」状態に保持される時間間隔に亘って与えられる。
【0022】
[0025]図1は光サーキュレータ120の第3のポートに連結されている単一の光増幅器160の使用を説明しているが、このことは本発明にとって不可欠ではない。代替的な実施形態では、多数の光増幅器が特定の用途の必要に応じて光サーキュレータ120の下流で利用されている。当業者は多数の変形、変更および代替を認めるであろう。
【0023】
[0026]図2は、本発明の実施形態による高出力パルスレーザ内の異なる場所における電気パルスおよび光パルスを説明する簡略化されたタイミングチャートである。単に一例として、図2は、振幅変調器の繰返し電気駆動信号と、図1に記載されているような発明の実施形態を伝搬する光パルスとのタイミングを示している。電気トリガー210の後に続いて、第1の電気駆動信号220が光パルス240を発生させるため振幅変調器に印加される。ある程度の伝搬遅延後に、光信号250は、光増幅器の1回目の通過をする。光信号260は、その後に反射構造体に当たり、光増幅器の2回目の通過(250)をする。光パルス240を用いて振幅変調器に2回目の電気的な駆動220がなされ、光パルス240は、振幅変調器を経由する2回目の伝送が行われる。最後に、光パルス230は、ある程度の伝搬遅延後にサーキュレータのポート3から出る。
【0024】
[0027]図3は、本発明の実施形態による一連のレーザパルスを供給する方法の簡略化された説明図である。本方法は、シード信号を供給するステップ(310)を含む。本発明の実施形態では、シード信号は、1064nmの波長で半導体レーザによって発生させられ得る。本方法は、振幅変調器を経由してシード信号の1回目の伝送を行うステップ(320)をさらに含む。本発明の実施形態では、シード信号の振幅変調器への結合は、光サーキュレータまたはその他の光カップリング手段によって実現しやすくされ得る。本方法は、振幅変調器に駆動信号の1回目の印加を行うことにより、シード信号の時間領域フィルタリングを行う(330)。パルスは、光増幅器によって増幅され(340)、周波数領域フィルタリングされる(350)。よって、スペクトルフィルタリングされたパルスが図3に示されているシステムの1つのステージで供給される。
【0025】
[0028]増幅器および周波数領域フィルタリングアーキテクチャのいくつかの組み合わせが本明細書に記載されている実施形態の範囲を逸脱することなく利用され得ることは認められるであろう。たとえば、周波数領域フィルタリングは、パルスの増幅の前または後に行うことができる。また、周波数領域フィルタリングは、ダブルパス光増幅器において行われるように、パルスの1回目の増幅後、かつ、パルスの2回目の増幅前に行うことができる。さらに、本方法は、振幅変調器を経由して光信号の2回目の伝送を行うステップ(360)と、振幅変調器に駆動信号の2回目の印加を行うことにより、パルス状信号の時間領域フィルタリングを行うステップ(370)とを含む。振幅変調器の2回目の通過後、増幅されたスペクトル的なフィルタリングおよび時間的なフィルタリングをされたパルスは、中間パルスと呼ばれることがある。本発明の実施形態では、光パルスは、振幅変調器を通る1回目の通過の伝送の間にシード信号を変調することにより発生され、その後に、振幅変調器を通る2回目の通過の伝送の間にゲート制御される。
【0026】
[0029]本発明の実施形態を利用すると、パルス幅と、ピーク出力およびエネルギと、パルス形状と、パルス繰返しレートとを含む独立に調整可能なパルス特性を備えた光パルスのストリームを発生する高出力パルスレーザ源が提供される。単に一例として、本発明の特定の実施形態は、第2の光増幅器160の出力170に、10nsのパルス幅および10kHzの繰返しレートで、1パルス当たり5μJより大きい出力パルスを供給する。当然ながら、その他のパルス特性が代替的な実施形態によって提供される。たとえば、パルスエネルギは、1μJ、10μJ、20μJ、30μJなどでもよい。パルス間隔は、たとえば、2nsと150nsとの間の値の範囲に入る。パルス繰返し周波数は、たとえば、0から500kHzの値の範囲に入る。
【0027】
[0030]上述された実施形態では、CWシード源が利用され、レーザパルスを供給するために時間領域フィルタリングが振幅変調器120を使用して実行される。しかし、これは本発明にとって不可欠ではない。代替的な実施形態では、シード信号は、CWシード信号ではなく、パルス状シード信号を供給するために変調される。パルス状シード信号を供給することは、シードリーケージ(seed leakage)によって引き起こされる寄生信号の重畳を最小限に抑え、シード源の動作電力範囲を増加させることを可能にする。たとえば、パルスシード出力電力は、200mW、500mWまたはさらに1Wでもよい。この代替的な実施形態では、パルス状シード信号のパルス幅は、全体的なパルス状レーザ源の所望のパルス幅以上の長さでもよい。シードをパルス化することは、シードレーザの実効的なライン幅を増加させ、誘導ブリルアン散乱(SBS)を低減することも可能である。
【0028】
[0031]本発明の実施形態によれば、時間的に均等に分離されていないことがある光パルスの系列を発生させる方法およびシステムが提供される。また、パルス幅およびパルスエネルギは、パルス間で所定の方法で個別に調整されている。さらに、上記の説明は、単一の光パルスの発生について議論しているが、本発明の実施形態は非常に多数回に亘って単一のパルスを繰り返すことにより、多数のパルスを発生させることが認められる。これらの多数のパルスは、光パルス系列のうちの任意の列を含むことができる。
【0029】
[0032]本発明は特定の実施形態とその具体的な実施例に関して説明されているが、その他の実施形態が本発明の精神および範囲に含まれてもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を、それらの全範囲の均等物と共に参照して定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態による光ファイバ増幅器を使用するチューナブルパルス特性を備えた高出力パルスレーザの簡略化された概要図である。
【図2】本発明の実施形態による高出力パルスレーザ内の異なる場所における電気パルスおよび光パルスを説明する簡略化されたタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態による一連のレーザパルスを供給する方法の簡略化された説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シード信号を発生させるシード源と、
前記シード源に連結されている第1のポート、第2のポートおよび第3のポートを含む光サーキュレータと、
前記光サーキュレータの前記第2のポートに連結されている第1のサイドと第2のサイドとによって特徴付けられている振幅変調器と、
前記振幅変調器の前記第2のサイドに連結されている入力端と反射端とによって特徴付けられている第1の光増幅器と、
前記光サーキュレータの前記第3のポートに連結されている第2の光増幅器と、
を備えるチューナブルパルスレーザ源。
【請求項2】
前記シード源が、半導体レーザを備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項3】
前記半導体レーザが、FBG安定化された半導体レーザを備える、請求項2に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項4】
前記シード源が、固体レーザまたはファイバレーザのうちの少なくとも一方を備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項5】
前記振幅変調器が、前記シード信号の時間領域透過フィルタリングを実行するマッハツェンダ干渉振幅変調器を備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項6】
前記第1の光増幅器が、光ファイバ増幅器を備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項7】
前記光ファイバ増幅器が、ダブルパスファイバ増幅器を備える、請求項6に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項8】
前記光ファイバ増幅器が、希土類ドープ光ファイバを備える、請求項6に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項9】
前記希土類ドープ光ファイバ中の希土類添加物が、1つ以上の希土類元素の混合物を備える、請求項8に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項10】
前記1つ以上の希土類元素が、イッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウム、プラセオジムまたはネオジムのうちの1つ以上を含む、請求項9に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項11】
前記光ファイバ増幅器が、シングルクラッドファイバ設計、ダブルクラッドファイバ設計またはマルチクラッドファイバ設計のうちの少なくとも1つを備える、請求項6に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項12】
前記光ファイバ増幅器が偏光維持ファイバを備える、請求項11に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項13】
前記第1の光増幅器が、希土類ドープ光ロッド増幅器または希土類ドープ光ディスク増幅器のうちの少なくとも一方を備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項14】
前記第2の光増幅器が、第2の光ファイバ増幅器を備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項15】
前記第2の光ファイバ増幅器が、希土類ドープ光ファイバを備える、請求項14に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項16】
前記希土類ドープ光ファイバ中の希土類添加物が、1つ以上の希土類元素を備える、請求項15に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項17】
前記1つ以上の希土類元素が、イッテルビウム、エルビウム、ツリウム、ホルミウム、プラセオジムまたはネオジムのうちの1つ以上を含む、請求項16に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項18】
前記第2の光ファイバ増幅器が、シングルクラッドファイバ設計、ダブルクラッドファイバ設計またはマルチクラッドファイバ設計のうちの少なくとも1つを備える、請求項14に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項19】
前記第2の光ファイバ増幅器が、偏光維持ファイバを備える、請求項18に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項20】
前記第2の光増幅器が、希土類ドープ光ロッド増幅器または希土類ドープ光ディスク増幅器のうちの少なくとも一方を備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項21】
前記反射端が、スペクトル領域反射フィルタを備える、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項22】
前記スペクトル領域反射フィルタが、ファイバブラッグ回折格子(FBG)を備える、請求項21に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項23】
前記スペクトル領域反射フィルタの反射スペクトルが、前記シード源の出力スペクトルに実質的に整合されている、請求項21に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項24】
前記振幅変調器が、前記シード信号のスペクトル領域透過フィルタリングを実行する、請求項1に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項25】
前記振幅変調器の透過スペクトルが、前記シード源の出力スペクトルと実質的に整合されている、請求項24に記載のチューナブルパルスレーザ源。
【請求項26】
1個以上のレーザパルスを供給する方法であって、
光サーキュレータの第1のポートにシード信号を供給するステップと、
前記シード信号を振幅変調器の第1のサイドへ伝送するステップと、
前記振幅変調器を通る第1のパスを画成するために前記振幅変調器を経由して前記シード信号を伝送するステップと、
前記振幅変調器のための駆動信号を変調する工程を備え、パルスを供給するために前記シード信号を時間領域フィルタリングするステップと、
第1の光増幅器を使用して前記パルスを増幅するステップと、
スペクトルフィルタリングされたパルスを供給するために前記増幅されたパルスを周波数領域フィルタリングするステップと、
前記振幅変調器を通る第2のパスを画成するために前記振幅変調器を経由して前記スペクトルフィルタリングされたパルスを伝送するステップと、
前記振幅変調器のための前記駆動信号を変調する工程を備え、中間パルスを供給するために前記増幅されたスペクトルフィルタリングされたパルスを時間領域フィルタリングするステップと、
第2の光増幅器を使用して前記中間パルスを増幅するステップと、
を備える方法。
【請求項27】
前記シード信号が、FBG安定化された半導体レーザを使用して発生させられたレーザ信号である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記振幅変調器が、マッハツェンダ干渉振幅変調器を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の光増幅器が、ダブルパス光ファイバ増幅器を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記増幅されたパルスを周波数領域フィルタリングするステップが、ファイバブラッグ回折格子(FBG)を含むスペクトル領域反射フィルタを使用する工程を備える、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の光増幅器が、シングルパス光ファイバ増幅器を備える、請求項26に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−533881(P2009−533881A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505689(P2009−505689)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000638
【国際公開番号】WO2007/118326
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(508311961)パイロフォトニクス レーザーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】