説明

デジタル放送受信装置

【課題】効率的なチャンネルスキャンによって、ダイバーシティ受信による番組視聴期間を長くでき、自動的な選局切替えの正確さを向上させることができる。
【解決手段】デジタル放送受信装置は、第1のチューナ・復調部12が番組視聴用の選局を行い、第2のチューナ・復調部22が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、第2のチューナ・復調部22が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部25と、受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部28とを有し、放送エリアマップ格納部29に格納されている放送エリアマップと現在位置とから、現在受信可能な物理チャンネルの放送サービス情報を含む放送サービスリストを生成し表示する、又は、現在位置で受信可能な他の物理チャンネルに切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体への搭載に適したデジタル放送受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送受信装置を搭載する移動体が、デジタル放送受信装置が受信している物理チャンネル(特定の周波数帯域幅を1つの単位として定義したチャンネル)の受信可能エリア内から受信可能エリア外に移動した場合には、正常に受信できていた物理チャンネルが提供する放送サービスを視聴できなくなる。この場合には、ユーザの手動操作でデジタル放送受信装置にチャンネルスキャンを実行させることによって、受信可能な物理チャンネルを検出し、ユーザが、その中から同じ放送サービスを提供する物理チャンネルを選局していた。
【0003】
また、上記手動操作を必要としない、放送信号の選局機能を備えたデジタル放送受信装置が、例えば、特許文献1に開示されている。このデジタル放送受信装置は、複数の受信手段によるダイバーシティ受信を行う第1の機能と、複数の受信手段のうちの一方の受信手段により番組再生(番組視聴)のための受信を行うとともに、他方の受信手段で定期的に(例えば、15分の時間間隔で)物理チャンネルをシークして選局に関する情報を取得する第2の機能とを切り替える機能切り替え手段を備え、自動的に選局切替えを行う(例えば、引用文献1の請求項2、要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−217681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のデジタル放送受信装置においては、他方の受信手段は物理チャンネルのシーク(「チャンネルスキャン」と言う。)を一定の時間間隔で定期的に行うので、チャンネルスキャンの結果は、最大で前記一定の時間間隔だけ、古いものとなってしまい、チャンネルスキャンの結果を用いた自動的な選局切替えの、正確さが低いという問題があった。
【0006】
また、前記一定の時間間隔を短く設定することによって、自動的な選局切替えの正確さを向上させることも考えられるが、このような方式を採用した場合には、高品質な受信信号に基づく番組視聴を可能にするダイバーシティ受信を行う期間が短くなってしまうという問題があった。
【0007】
さらに、上記特許文献1に記載のデジタル放送受信装置では、この装置を搭載する移動体が移動しない場合であっても定期的にチャンネルスキャンが行われ、前記一定の時間間隔を短くするほど、チャンネルスキャン実行回数に対するチャンネルスキャン結果更新回数の割合が低くなるので、自動的な選局切替えの正確さの向上に寄与しない無駄なチャンネルスキャンが多くなり、非効率的な動作となってしまう問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、効率的なチャンネルスキャンによって、ダイバーシティ受信による番組視聴期間を長くでき、且つ、自動的な選局切替えの正確さを向上させることができるデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るデジタル放送受信装置は、物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部と、前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、現在受信可能な物理チャンネルの放送サービス情報を含む放送サービスリストを生成する放送サービスリスト生成部とを有し、前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の頂点を、前記放送エリアマップ格納部に直交座標系の座標で記録することを特徴とする。
また、本発明に係る他のデジタル放送受信装置は、物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部とを有し、前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の頂点を、前記放送エリアマップ格納部に直交座標系の座標で記録し、前記選局制御部が、前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、前記複数のチューナ・復調部が選局する物理チャンネルを、現在位置で受信可能な他の物理チャンネルに切り替えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る他のデジタル放送受信装置は、物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部と、前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、現在受信可能な物理チャンネルの放送サービス情報を含む放送サービスリストを生成する放送サービスリスト生成部とを有し、前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の辺を特定する一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記一次関数で示される直線が座標軸と交差する位置、及び、前記一次関数で示される直線に対し前記受信可能エリアが座標軸の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、前記放送エリアマップ格納部に格納することを特徴とする。
また、本発明に係るさらに他のデジタル放送受信装置は、物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部とを有し、前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の辺を特定する一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記一次関数で示される直線が座標軸と交差する位置、及び、前記一次関数で示される直線に対し前記受信可能エリアが座標軸の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、前記放送エリアマップ格納部に格納し、前記選局制御部が、前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、前記複数のチューナ・復調部が選局する物理チャンネルを、現在位置で受信可能な他の物理チャンネルに切り替えることを特徴とする。
【0011】
また、前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリア内に存在する受信不可能エリアを示す多角形の頂点を、前記放送エリアマップ格納部に直交座標系の座標で記録するようにしてもよい。
【0012】
また、前記放送エリアマップ生成部は、前記受信可能エリア内の受信不可能エリアを示す多角形の辺を特定する他の一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記他の一次関数で示される直線が座標軸と交差する位置、及び、前記他の一次関数で示される直線に対し前記受信不可能エリアが座標軸の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、前記放送エリアマップ格納部に格納するようにしてもよい。
【0013】
また、前記デジタル放送受信装置は、放送エリアマップ生成部は、多角形の各辺の一次不等式で受信可能エリアが表わされている場合において、現在位置を新規に受信可能地点として追加する場合に、現在位置と多角形の各頂点を結ぶ各一次関数を求め、これら一次関数が示す直線と受信可能エリアの頂点との位置関係を判断し、受信可能エリアのすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側に存在する一次関数を検索し、該一次関数を受信可能エリアを構成する新規辺としてエリアマップを更新するようにしてもよい。
【0014】
また、前記デジタル放送受信装置は、各辺が一次関数で表され、各辺の一次不等式で表された前記多角形近似された放送エリアに対して、前記放送サービスリスト生成部が、前記一次不等式に現在座標値を代入し、放送エリアを構成する全前記一次不等式が満たされた場合に、現在位置がその放送エリア内であると判断することにより、現在地点で受信可能な放送サービスリストを表示するようにしてもよい。
【0015】
さらに、前記他のデジタル放送受信装置は、各辺が一次関数で表され、各辺の一次不等式で表された前記多角形近似された放送エリアに対して、前記選局制御部が、前記一次不等式に現在座標値を代入し、放送エリアを構成する全前記一次不等式が満たされた場合に、現在位置がその放送エリア内であると判断することにより、現在地点で受信可能な他の物理チャンネルに切り替えるようにしてもよい。
【0016】
また、前記他のデジタル放送受信装置は、各辺が一次関数で表され、各辺の一次不等式で表された多角形近似された放送エリアマップ生成済みエリアに対して、前記放送エリアマップ未生成エリア判定部が、前記一次不等式に現在座標値を代入し、放送エリアを構成する全前記一次不等式が満たされた場合に、現在位置がその放送エリア内であると判断することにより、現在地点で受信可能な他の物理チャンネルに切り替えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、チャンネルスキャンの頻度を低下させて、ダイバーシティ受信による番組視聴の期間を増やし、高品質な受信信号に基づく番組視聴の期間を長くすることができるという効果がある。また、本発明によれば、ダイバーシティ受信による番組視聴の期間を増加させているにもかかわらず、自動的な選局切替えの正確さを向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1乃至3に係るデジタル放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の放送エリアマップ格納部に保持される放送エリアマップ生成済みエリア情報の一例を表形式で示す図である。
【図3】実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の放送サービスリスト生成部による放送サービスリスト生成処理を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの一例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの構造を表形式で示す図である。
【図6】実施の形態1に係るデジタル放送受信装置による放送エリアマップ未生成エリア判定処理を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1乃至3に係るデジタル放送受信装置によるチャンネルスキャン時の動作を示すフローチャートである。
【図8】図7に示される確実チャンネルスキャン時の動作(サブルーチン)を示すフローチャートである。
【図9】図7に示される高速チャンネルスキャン時の動作(サブルーチン)を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの一例を示す図である。
【図11】実施の形態2に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの構造を表形式で示す図である。
【図12】実施の形態3に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの一例を示す図である。
【図13】実施の形態3に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの構造を表形式で示す図である。
【図14】実施の形態3に係るデジタル放送受信装置において、現在位置を新規に受信可能地点として追加したが放送エリアマップの一例を示す図である。
【図15】実施の形態3に係るデジタル放送受信装置における放送エリアマップ拡張処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。図1に示されるように、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置は、第1のアンテナ11と、第1のチューナ・復調部12と、第1のTSデマルチプレクス部13と、映像・音声デコード部14と、グラフィクス重畳部15と、映像出力部16と、音声出力部17と、操作入力部18と、選局制御部19とを備えている。また、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置は、第2のアンテナ21と、第2のチューナ・復調部22と、第2のTSデマルチプレクス部23と、受信モード切替部24と、チャンネルスキャン制御部25と、現在位置検出用のアンテナ(例えば、GPSアンテナ)26と、アンテナ26からの信号から現在位置を検出する現在位置検出部27と、放送エリアマップ生成部28と、放送エリアマップ格納部29と、放送エリアマップ未生成エリア判定部30と、放送サービスリスト生成部31とを備えている。
【0020】
第1のアンテナ11及び第1のチューナ・復調部12は、1系統の放送受信手段を構成している。また、第2のアンテナ21及び第2のチューナ・復調部22は、他の1系統の放送受信手段を構成している。第1のアンテナ11及び第1のチューナ・復調部12が構成する系統と、第2のアンテナ21及び第2のチューナ・復調部22が構成する系統とは、互いに独立して動作することができる。
【0021】
受信モード切替部24は、各系統(第1のチューナ・復調部12及び第2のチューナ・復調部22の各々)からTSが出力されるダブルチューナモード(第2の動作モード)と、2系統のアンテナ受信信号をダイバーシティ処理することにより受信安定性の高い1つのTSを第1のチューナ・復調部12から出力するシングルチューナモード(第1の動作モード)の動作を切り替える。この切り替えは、チャンネルスキャン制御部25から受信モード切替部24に切替制御信号によって切替えが指示されたときに実施される。なお、第1のチューナ・復調部12、第2のチューナ・復調部22、及び受信モード切替部24は、1つの放送信号受信部40内に構成してもよい。
【0022】
シングルチューナモードでは、第2のTSデマルチプレクス部23は使用されず、第2のチューナ・復調部22からの出力が受信モード切替部24を経由し第1のチューナ・復調部12に入力される。第1のチューナ・復調部12は、アンテナ11からの放送信号と、アンテナ12から第2のチューナ・復調部22及び受信モード切替部24を経由して入力される放送信号とに対して、ダイバーシティ処理を実施して、安定性の高い1つのTSを生成し、生成されたTSを第1のTSデマルチプレクス部13を経由して映像・音声デコード部14に出力する。音声出力部17は、映像・音声デコード部14から出力される音声信号に基づく音をスピーカ(図示せず)から出力、又は、音声信号を出力端子(図示せず)から出力する。グラフィックス重畳部15は、映像・音声デコード部14から出力される映像信号に基づく映像とグラフィックスデータとを重畳する。映像出力部16は、グラフィックス重畳部15から出力される映像信号に基づく映像を表示部(図示せず)で表示、又は、映像信号を出力端子(図示せず)から出力する。
【0023】
ダブルチューナモードでは、第1のチューナ・復調部12が番組視聴用の選局を行っているときに、チャンネルスキャン制御部25は、第2のチューナ・復調部22が物理チャンネル(特定の周波数帯域幅を1つの単位として定義したチャンネル)を順次選局するチャンネルスキャン時に、受信可能な物理チャンネルを検出する。第2のチューナ・復調部22によるチャンネルスキャンは、第1のチューナ・復調部12による番組視聴用の選局と並行して、視聴者が気付かない状態で実行される(番組視聴の裏側で実行される)ので、「裏チャンネルスキャン」とも言う。放送エリアマップ生成部28は、チャンネルスキャンが実行されたときの受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成し、生成された放送エリアマップを放送エリアマップ格納部29に格納する。具体的に説明すると、放送エリアマップ生成部28は、チャンネルスキャンで取得された放送サービス情報と、現在位置検出部27からの位置情報とを元に、受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成し、生成された放送エリアマップを、選局及び/又は放送サービスリスト表示のためのデータベースとして、放送エリアマップ格納部29に格納する。例えば、第1のアンテナ11で受信された放送信号は、第1のチューナ・復調部12、第1のTSデマルチプレクス部13、及び映像・音声デコード部14を経由して、映像信号及び音声信号に変換されて出力される。一方、第2のアンテナ21で受信された放送信号は、チャンネルスキャン制御部25からの指示により第2のチューナ・復調部22と第2のデマルチプレクス部23を使用して、チャンネルスキャンが行われ、そのときの地点(現在位置)で受信可能な放送サービスリストが放送エリアマップ生成部28で生成される。
【0024】
図2は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の放送エリアマップ格納部29に保持される放送エリアマップ生成済みエリア情報の一例を表形式で示す図である。放送エリアマップ生成部28は、チャンネルスキャン制御部25によるチャンネルスキャンが終了すると、受信可能な物理チャンネルによって提供される放送サービスの有無にかかわらず、図2に示されるような放送エリアマップ生成済みエリア情報を作成し、更新する。放送エリアマップ生成済みエリアは、例えば、多角形の内側のエリア(多角形エリア)として表すことができる。図2には、多角形エリアの名称(生成済みエリア名)と、経度(X座標位置)をX座標軸とし緯度(Y座標位置)をY座標軸とする直交座標系を用いて表現された多角形エリアの各頂点座標と、更新日とを、放送エリアマップとして記録する場合を示している。また、この多角形エリアは、1つの多角形ではなく複数の多角形で表現される場合もある。この場合には、図2に示される作成済みエリア名A,B,…のように、放送エリアマップ格納部29には、複数の多角形の頂点が記録される。頂点座標は、例えば、時計回り順に記録され、例えば、頂点座標(xa0,ya0)、(xa1,ya1)、…、(xam,yam)のように記録される。ここで、mは正の整数である。
【0025】
放送エリアマップ格納部29は、デジタル放送受信装置を搭載した移動体の移動に伴い放送エリアマップ生成部28が生成した各放送サービスの受信可能エリア情報を、放送エリアマップとして格納する。放送エリアマップの第1の用途は、チャンネルスキャンのためのユーザ操作を行わなくても、現在位置で受信可能な放送サービス一覧表(放送サービスリスト)をユーザに提示(表示)できるようにすることである。
【0026】
図3は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の放送サービスリスト生成部31による放送サービスリスト生成処理を示すフローチャートである。放送サービスリスト生成部31は、放送エリアマップ格納部29に格納されている放送エリアマップと現在位置検出部27によって検出された現在位置とから、現在受信可能な物理チャンネルが提供する放送サービスを含む放送サービスリストを生成する。具体的に言えば、図3に示されるように、放送サービスリスト生成部31は、放送サービスリスト生成処理を開始すると(ステップS11)、現在位置検出部27からの現在位置情報を元に放送エリアマップ格納部29を検索し(ステップS12)、現在位置で受信可能な放送サービスを示す放送サービスリストを生成し(ステップS13)、グラフィックス重畳部15経由で放送サービスリストを含む映像信号を映像出力部16に出力し、映像出力部16で放送サービスリストを表示させる。ユーザは、表示された放送サービスリストを参照し、操作入力部18で視聴したい放送サービスを選択する。操作入力部18からの放送サービス選局要求が選局制御部19に入力されると、選局制御部19は、放送エリアマップ格納部29を参照し、選局すべき物理チャンネルを把握し、第1のチューナ・復調部12に選局の指示を出す。これにより、第1のデマルチプレクス部13及び映像・音声デコード部14を経由して出力された信号に基づいて、映像出力部16及び音声出力部17が、映像及び音声を出力する。
【0027】
また、放送エリアマップの第2の用途は、移動体の移動に伴い現在受信中の物理チャンネルで提供される放送サービスの受信状態が悪化したときに、それまで視聴していた同一番組を提供している物理チャンネル(他の物理チャンネル)に自動切替えするための用途である。具体的には、第1のチューナ・復調部12から選局制御部19に対して、受信状態を把握するために、C/N、ビットエラーレート、チューナのPLL(Phase Locked Loop)ロック情報やOFDM(直交周波数分割多重)フレームのロック情報が通知される。さらに、第1のTSデマルチプレクス部13からは、セクションデータ(例えば、PSI(Program Specific Information)/SI(Service Information)情報など)の途絶の通知及び映像・音声デコード部14からのデコードエラーレートの情報などが選局制御部19に通知される。選局制御部19は、放送信号の受信状態が悪化したと判断すると、例えば、現在位置で同一番組を放送している可能性の高い、中継局又は系列局や、異なる物理チャンネルで放送されている同一放送サービス名のものを放送エリアマップ格納部29から検索し、受信可能な同一番組を放送している放送サービスがあれば自動選局切替えを行うため、第1のチューナ・復調部12に通知する。
【0028】
図4は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの一例を示す図である。図4には、放送局Aがトランスポートストリーム名(TS名)又はアンサンブル名「○○○○」として放送信号を送信している放送サービスの受信可能エリア(斜線エリア)50の例が示されている。また、図5は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの構造を表形式で示す図である。図5には、各放送局の受信可能エリアを示す放送エリアマップが示されている。ここで、TS名が使われる場合は、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting−Terrestrial)やDVB−T(Digital Video Broadcasting−Terrestrial)、DVB−H(Digital Video Broadcasting−Handheld)、DTMB(Digital Terrestrial Multimedia Broadcast)、ATSC(Advanced Television Systems Committee)の各デジタル放送規格の場合である。また、アンサンブル名が使用される場合は、DAB(Digital Audio Broadcast)、DAB+(Digital Audio Broadcast plus)、DMB(Digital Multimedia Broadcasting)の各デジタル放送規格の場合である。いずれの場合も、1つの物理チャンネルで、1つのTS又は1つのアンサンブルが送信されており、送信情報の中に放送サービスが複数存在する構成となっている。ユーザは、物理チャンネルを選択する操作を行うことによって放送サービスを選択し、番組の視聴を行う。したがって、図5の例では、各物理チャンネル中の放送サービス名は1つしか記載していないが、通常は複数の放送サービス名が存在することになる。
【0029】
図4及び図5においては、受信可能エリアの形状を多角形と定めており、放送局Aに対する受信可能エリアは、図4に符号50で示すように、時計回り順で示される頂点Point10(x10,y10)、Point11(x11,y11)、Point12(x12,y12)、…、Point1m(x1m,y1m)で特定される多角形の内側のエリアである。これに対応して、図5に示される放送エリアマップ格納部29の放送局Aの放送エリアマップ情報51には、受信可能エリア50の各頂点の座標が、時計回り順に記録されている。頂点の座標(x10,y10)、(x11,y11)、…、(x1m,y1m)は、経度をX座標軸、緯度をY座標軸とした直交座標系で示されている。また、図5の右側に記載しているように、チャンネルスキャンにより受信したセクションデータ(例えば、PSI/SI情報など)から中継局の物理チャンネル(中継局CH)や系列局の物理チャンネル(系列局CH)を記録しておくことで、放送信号の受信状態が悪化したときに、図5のテーブルの参照により同一番組を放送している可能性の高い代替物理チャンネルの把握ができ、短時間での自動切替えが実現できる。また、放送サービス名が同一の物理チャンネルは、同一の番組を放送している可能性が高いので、放送エリアマップ格納部29には、放送サービス名をも記録することが望ましい。
【0030】
図6は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置による放送エリアマップ未生成エリア判定処理を示すフローチャートである。放送エリアマップ未生成エリア判定処理を開始すると(ステップS21)、放送エリアマップ未生成エリア判定部30は、現在位置検出部27からの現在位置情報を受信し、放送エリアマップ格納部29内の放送エリアマップ生成済みエリア情報(例えば、図2)を参照し、現在位置に対応する放送エリアマップが生成済みかどうかを検索する(ステップS22)。放送エリアマップ未生成エリア判定部30は、現在位置が放送エリアマップ生成済みエリアに含まれているか否かを判定し(ステップS23)、放送エリアマップ未生成エリア内であると判定すれば、チャンネルスキャン制御部25に放送エリアマップ未生成エリア内に入ったことを通知する(ステップS24)。この通知を受信したチャンネルスキャン制御部25は、ダブルチューナモードで動作するよう受信モード切替部24に通知し、第1のチューナ・復調部12による視聴のための動作と並行して、第2のチューナ・復調部12によるチャンネルスキャンを開始する。一方、放送エリアマップ未生成エリア判定部30は、現在位置が放送エリアマップ生成済みエリア内に入ったと判定した場合には、チャンネルスキャン制御部25に放送エリアマップ生成済みエリア内に入ったことを通知し(ステップS25)、チャンネルスキャンを停止し、シングルチューナモードの動作が開始される。シングルチューナモードでは、番組の映像表示及び音声出力は、受信安定性に優れたダイバーシティ処理を施した放送信号に基づいて行われる。
【0031】
放送エリアマップ未生成エリア判定部30が、現在位置が放送エリアマップ生成済みエリア内であると判定した場合には、デジタル放送受信装置は、基本的には、シングルチューナモードで動作するが、異なる動作を実行させることもできる。チャンネルスキャン制御部25は、第1のデマルチプレクス部13から番組視聴中にセクションデータ(例えば、PSI/SI情報など)を取得し、セクションデータからネットワーク構成情報や放送サービス構成情報を取得する。これら情報からネットワーク構成や放送サービス構成の変化を検出した場合、例えば、放送サービスの消失や送信物理チャンネルの変更があった場合、ネットワーク識別値や放送サービス識別値の変更があった場合、ネットワーク名やTS名、アンサンブル名、放送サービス名が変化した場合など、構成情報の変化を検出した場合には、他の物理チャンネルにも放送サービス構成が変化した可能性があるので、チャンネルスキャン制御部25は、放送エリアマップを最新の情報で更新するために、受信モード切替部24にダブルチューナモードで動作するよう通知を行う。そして、放送信号の視聴のための動作を行う第1のチューナ・復調部12とは別系統である第2のチューナ・復調部22によって、チャンネルスキャンを開始し、このチャンネルスキャンの結果に基づいて、放送エリアマップ格納部29に格納される放送エリアマップを更新する。
【0032】
さらに、放送エリアマップ未生成エリア判定部30が、現在位置が放送エリアマップ生成済みエリア内であると判定した場合に、チャンネルスキャン制御部25は、所定時間経過後、番組視聴用の受信を行っている第1のチューナ・復調部12とは別系統である第2のチューナ・復調部22によって、定期的にチャンネルスキャンを行わせるために、受信モード切替部24にダブルチューナモードで動作するよう通知を行い、チャンネルスキャンを開始し、放送エリアマップに更新が無いか監視させてもよい。放送ネットワークや放送サービス構成は、基本的には、頻繁に変化するものではなく、実施の形態1における構成では、各放送サービスに対して受信可能なエリアを示す放送エリアマップを生成し格納しているので、この定期的な監視を、頻繁に行う必要は無く、数日に1回程度の比較的長い周期で行えばよい。
【0033】
図7は、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によるチャンネルスキャン時の動作を示すフローチャートであり、図8は、図7に示される確実チャンネルスキャン時の動作(サブルーチン)を示すフローチャートであり、図9は、図7に示される高速チャンネルスキャン時の動作(サブルーチン)を示すフローチャートである。確実チャンネルスキャンとは、全物理チャンネルに対してチャンネルスキャンを行うことを意味する。高速チャンネルスキャンとは、全物理チャンネルの内の一部の物理チャンネルだけをチャンネルスキャンすることを意味する。確実チャンネルスキャンによれば、信頼性の高いチャンネルスキャンの結果を得ることができるが、チャンネルスキャン時間が長くなる。高速チャンネルスキャンによれば、チャンネルスキャン時間を短時間で完了できるが、チャンネルスキャンの結果の信頼性は低い。
【0034】
図7に示されるように、チャンネルスキャン制御部25がチャンネルスキャンを開始する条件になったと判断した場合、チャンネルスキャンが開始される(ステップS30)。チャンネルスキャンが開始すると、まず、チャンネルスキャン制御部25は、ダブルチューナモードへの変更指示を受信モード切替部24に通知し(ステップS31)、確実チャンネルスキャンを2回実行する(ステップS32、S33)。
【0035】
図8に示されるように、確実チャンネルスキャンの動作が開始すると(ステップS320)、チャンネルスキャン制御部25は、全物理チャンネルの中から1つを選択し(ステップS321)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させる(ステップS322)。そして、チャンネルスキャン制御部25は、チューニングした物理チャンネルに放送信号が存在するかを、例えば、受信信号の電力レベルから判断する(ステップS323)。チャンネルスキャン制御部25は、チューニングした物理チャンネルに放送信号が存在しないと判断したときには、全候補(チャンネルスキャン対象のすべての物理チャンネル)のチャンネルスキャンが完了したかを判断し(ステップS328)、チャンネルスキャンが完了していなければ、次の物理チャンネルを決定し(ステップS321)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させる(ステップS322)。チャンネルスキャン制御部25は、ステップS323で、チューニングした物理チャンネルに何らかの放送信号が存在すると判断した場合、さらに、フレームロック判定を行う(ステップS324)。チャンネルスキャン制御部25は、フレームロック判定において、例えば、ISDB−Tの場合、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)信号の中のCRC(巡回冗長検査)エラーチェックや周期的な同期ワードのチェックを行うことで、受信すべき所望のデジタル放送波であるかどうかを判定する。チャンネルスキャン制御部25は、フレームロックしなかった場合は、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了したかを判断し(ステップS328)、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了していなければ、次の物理チャンネルを決定し(ステップS321)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させる(ステップS322)。チャンネルスキャン制御部25は、フレームロックした場合は、さらに、PSI/SIセクションフィルタリング処理を開始し(ステップS325)、PSI/SI情報を取得する。チャンネルスキャン制御部25は、所定の時間内にPSI/SI情報を取得できなかった場合、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了したかを判断し(ステップS328)、チャンネルスキャンが完了していなければ次の物理チャンネルを決定し(ステップS321)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させる(ステップS322)。チャンネルスキャン制御部25は、PSI/SI情報が受信できた場合、受信したPSI/SI情報から放送サービス情報を取り出し、物理チャンネル、受信信号の電力レベル、現在位置を受信情報として受信情報一時保存エリア25aに保存する(ステップS327)。チャンネルスキャン制御部25は、全候補のスキャンが完了したかを判断し(ステップS328)、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了するまで物理チャンネルの決定(ステップS321)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させ、放送信号の有無の判定動作を繰り返す。チャンネルスキャン制御部25による全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了すると(ステップS328)、処理は、確実チャンネルスキャンサブルーチンを抜け、図7のフローチャートのステップS33、S34に戻る。
【0036】
図7における2回の確実チャンネルスキャン(ステップS32,S33)が実行された後に、チャンネルスキャン制御部25は、1回目と2回目のチャンネルスキャンで所定の基準レベル以上に受信状態が変化した物理チャンネルを、次回のチャンネルスキャンの候補の物理チャンネルとして抽出する(ステップS34の(1))。また、チャンネルスキャン制御部25は、ステップS34の(1)の場合以外であっても、受信不可レベル近傍の物理チャンネル(具体的には、受信不可能と判定する所定の閾値電力レベルを中心に、電力レベルがプラス方向、マイナス方向の一定範囲内である物理チャンネル)についても次回のチャンネルスキャンの候補の物理チャンネルとする(ステップS34の(2))。チャンネルスキャン制御部25は、引き続きこのチャンネルスキャンの候補の物理チャンネルに対してのみ高速チャンネルスキャンを実施する(ステップS35)。チャンネルスキャン制御部25は、ステップS34の(1)及び(2)を満たす物理チャンネル以外の物理チャンネルについては、受信状態に変化が無いと判断し、高速チャンネルスキャンの対象から外す。
【0037】
図9に示されるように、高速チャンネルスキャン時には、チャンネルスキャン制御部25は、全物理チャンネルの中から1つを選択し(ステップS351)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させる(ステップS352)。そして、チャンネルスキャン制御部25は、チューニングした物理チャンネルに放送信号が存在するかを、例えば、受信信号の電力レベルで判断する(ステップS353)。チャンネルスキャン制御部25は、チューニングした物理チャンネルに放送信号が存在しなければ、受信情報一時保存エリア25aを参照し、前回同一物理チャンネルに放送サービスが存在したか否かを判断し(ステップS361)、該当する放送サービスがなければ全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了したかを判断し(ステップS360)、チャンネルスキャンが完了していなければ次の物理チャンネルを決定し(ステップS351)、第2のチューナ・復調部22にチューニングを実行させる(ステップS352)。ステップS361で、前回同一物理チャンネルに該当する放送サービスが存在していた場合には、チャンネルスキャン制御部25は、受信情報一時格納エリア25aから該当物理チャンネルを削除する(ステップS362)。この場合、該当物理チャンネルの信号が受信不可能に変化したことになるので、さらに、受信不安定チャンネルとして削除された物理チャンネルを、次回のチャンネルスキャンの候補の物理チャンネル(再チェックの候補の物理チャンネル)とする(ステップS359)。そして、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了したか否かを判定し(ステップS360)、他の候補の物理チャンネルが残っている場合は、次の物理チャンネルのチューニングを行う。
【0038】
チャンネルスキャン制御部25は、ステップS353で、チューニングした物理チャンネルに何らかの放送信号が存在すると判断した場合、受信情報一時保存エリア25aを参照し、前回の同一物理チャンネルのチャンネルスキャン時に、同一物理チャンネルに放送サービスが存在していたか判断し(ステップS354)、存在していた場合は、受信状態に変化が無いと判断し、第2のチューナ・復調部22に次の物理チャンネルのチューニングを実行させる。チャンネルスキャン制御部25は、前回、同一物理チャンネルに放送サービスが存在していたか判断し(ステップS354)、存在していなかった場合は、新たに信号が検出できたことになるので、フレームロック判定を行う(ステップS355)。フレームロックしなかった場合は、チャンネルスキャン制御部25は、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了していなければ(ステップS360)、第2のチューナ・復調部22に次の物理チャンネルのチューニングを実行させる(ステップS351、S352)。ステップS355でフレームロックした場合は、チャンネルスキャン制御部25は、PSI/SIセクションフィルタリング処理を開始し(ステップS356)、PSI/SI情報を取得する(ステップS357)。チャンネルスキャン制御部25は、所定の時間内にPSI/SI情報を取得できなかった場合には、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了していなければ(ステップS360)、第2のチューナ・復調部22に次の物理チャンネルのチューニングを実行させる(ステップS351、S352)。ステップS357でPSI/SI情報が受信できた場合、チャンネルスキャン制御部25は、受信したPSI/SI情報から放送サービス情報を取り出し、物理チャンネル、受信信号の電力レベル、現在位置を受信情報として保存する(ステップS358)。この場合、前回放送サービスが存在しなかったが今回新たに検出できたことになるので、チャンネルスキャン制御部25は、受信不安定チャンネルを次回チャンネルスキャンの候補とし、再確認の候補の物理チャンネルとする(ステップS359)。チャンネルスキャン制御部25は、チャンネルスキャンが完了していなければ(ステップS360)、第2のチューナ・復調部22に次の物理チャンネルのチューニングを実行させる(ステップS351、S352)。チャンネルスキャン制御部25は、全候補の物理チャンネルのチャンネルスキャンが完了すると(ステップS360)、処理を高速チャンネルスキャンのサブルーチンから図7のステップS36に戻す。
【0039】
図9のステップS359で決定した次回チャンネルスキャンの候補の物理チャンネルが存在している場合には、チャンネルスキャン制御部25は、図7のフローチャートにおける高速チャンネルスキャンのサブルーチン処理(ステップS35)が終了後、再度高速チャンネルスキャンを実施する(ステップS35)。次回チャンネルスキャンの候補の物理チャンネルが存在しない場合、チャンネルスキャン制御部25は、放送エリアマップ生成部28に通知し、放送エリアマップ生成部28は、チャンネルスキャンで生成された受信情報一時保存エリア25a内の情報から、放送エリアマップを生成し、放送エリアマップ格納部29の放送エリアマップを更新する(ステップS37)。さらに、チャンネルスキャン制御部25は、受信モード切替部24にシングルチューナモードで動作するよう通知し(ステップS38)、チャンネルスキャンを終了する。
【0040】
以上に説明したように、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、チャンネルスキャンを行うタイミングを、放送エリアマップ未生成エリア内を移動しているときと、放送エリアマップ生成済みエリア内の移動時であるがネットワーク構成や放送サービス構成の変化を視聴中の物理チャンネルから検出したときと、数日程度毎に行う比較的長周期の定期的なチャンネルスキャンのときとしたことにより、ダイバーシティ処理による安定性の高い受信信号として番組視聴を行う期間が増え、受信性能向上による高画質高音質化を図ることができる。
【0041】
また、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、放送エリアマップ生成済みエリア内の移動時であっても、ネットワーク構成や放送サービス構成の変化を視聴中物理チャンネルから検出した場合に、ダブルチューナモードでチャンネルスキャンを開始するので、ネットワーク構成や放送サービス構成の変化時にも放送エリアマップの更新ができ放送エリアマップを最新の情報に保つことができる。
【0042】
さらに、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、放送エリアマップ生成済みエリア内の移動時であっても、数日程度毎に行う比較的長周期の定期的なチャンネルスキャンを行うようにしたので、視聴中以外の放送サービスのネットワーク構成や放送サービス構成が変化した場合でも、この変化を検出し放送エリアマップの更新ができ、また、チャンネルスキャン実行周期を比較的長くすることができるので、シングルチューナモードにおけるダイバーシティ受信の期間を長くすることができる。
【0043】
さらにまた、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、チャンネルスキャンにより各放送サービスの放送エリアマップを自動生成するので、放送エリアマップが作成されたエリアを移動時には、その地点で受信可能な放送サービス一覧をユーザによるチャンネルスキャン操作無しでユーザに提示でき、移動体に搭載したときの利便性を高めることができる。
【0044】
また、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、チャンネルスキャンにより各放送サービスの放送エリアマップを自動生成し、これに中継局や系列局の物理チャンネル及び放送サービス名と共に記録しているので、放送エリアマップが作成されたエリアの移動時には、視聴中の放送サービスのエリア外に移動しつつある場合や、受信状態が不安定になってきた場合には、同一の番組を放送している可能性の高い中継局、系列局、同一放送サービス名の放送サービスを放送している物理チャンネルに自動切替えでき、番組視聴が途切れなく継続することができる。
【0045】
さらに、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、チャンネルスキャン制御部25の動作において、前回と今回のチャンネルスキャンの結果をそれぞれ比較し、所定の基準レベル以上に受信状態が変化した物理チャンネルと、閾値受信電力レベル近傍の物理チャンネルに対してのみ再度チャンネルスキャンを行うようにしたので、受信可能エリア境界付近の受信状況が不安定な物理チャンネルについて受信状況のサンプリング周期を短縮していることになるので、チャンネルスキャンが比較的短時間で受信可能エリア境界付近におけるチャンネルスキャンの結果の精度を上げることができる。
【0046】
さらにまた、前記再度のチャンネルスキャンでは、前回のチャンネルスキャンで放送サービスが存在し、且つ、今回のチャンネルスキャンでも受信信号の電力レベルから放送信号が存在していると判断した場合に、通常それに続いて実施するフレームロック判定と、PSI/SI情報の取得判定を行わずに前回のチャンネルスキャン時と同一の放送サービスが存在すると判定するようにしたので、信号存在チェックに要する時間だけで済み、フレームロックの確認やPSI/SI情報取得の判定を省略することができる。通常、信号存在チェックは、数百ミリ秒、フレームロック判別時間は、1秒前後、PSI/SI情報取得判定は、数秒をそれぞれ要するため、フレームロック判定、PSI/SI取得判定を省くことでチャンネルスキャンの大幅な高速化が図れ、チャンネルスキャンが短時間で済み、全アンテナからの信号を番組視聴のために使用できる機会が増えるので受信安定性が高く、より高音質高画質の受信機を提供できる。
【0047】
また、前記再度のチャンネルスキャンでは、前回のチャンネルスキャンで放送サービスが存在せず、且つ、今回のチャンネルスキャンでも受信信号の電力レベルから放送信号が存在しないと判断した場合に、放送サービスが存在しないと判定するようにしたので、チャンネルスキャンの高速化が図れ、チャンネルスキャンが短時間で済み、全アンテナからの信号を視聴のために使用できるので、受信安定性が高く高音質高画質の装置を提供できる。
【0048】
さらに、前記再度のチャンネルスキャンでは、前回のチャンネルスキャンで放送サービスが存在せず、且つ、今回のチャンネルスキャンで受信信号の電力レベルから放送信号が存在していると判断し、フレームロック、PSI/SI情報取得ができた場合でも不安定チャンネルとして次回チャンネルスキャンを行うようにしたので、不安定チャンネルのエリア境界付近におけるチャンネルスキャンの結果の精度を上げることができる。
【0049】
さらにまた、前記再度のチャンネルスキャンでは、前回のチャンネルスキャンで放送サービスが存在し、且つ、今回のチャンネルスキャンで受信信号の電力レベルから放送信号が存在していないと判断した場合に、不安定チャンネルとして次回のチャンネルスキャンを行うようにしたので、不安定チャンネルのエリア境界付近におけるチャンネルスキャンの結果の精度を上げることができる。
【0050】
また、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置によれば、各物理チャンネル毎に放送サービス情報と受信可能エリアをデータベース化する際に、受信可能エリアを経度及び緯度をそれぞれ座標軸とする座標系で、多角形エリアとして表現し、多角形エリアの各頂点の座標を記録するだけで済むので、経度及び緯度で表現される座標平面をメッシュに区分けしてデータを記録する場合に比べて、必要なメモリサイズを小さくすることができる。
【0051】
実施の形態2.
図10は、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの一例を示す図であり、図11は、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの構造を表形式で示す図である。実施の形態2においては、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置で生成した放送エリアマップの受信可能エリア(斜線エリア)の中に受信不可能エリア(斜線エリア内の白色エリア)が追加されている点が、実施の形態1の場合と相違する。なお、実施の形態2の説明に際しては、図1をも参照する。
【0052】
図10には、ある放送局AがTS名又はアンサンブル名「○○○○」として送信している放送サービスの受信可能エリア60の例が図示され、図11には、各放送局の受信可能エリアが表形式で示されている。図10及び図11は、受信可能エリア60の中に受信不可能エリア61が存在する場合を記載している。図10において、受信不可能エリア61は、時計回り順に示される頂点NGPoint10(x10NG,y10NG)、NGPoint11(x11NG,y11NG)、NGPoint12(x12NG,y12NG)を有する多角形(図10においては、三角形)の内側のエリア(白色)として表されている。これに対応して、図11の放送局Aに対応する受信不可能エリアの放送エリアマップ情報への記載方法は、符号62で示すように、受信不可能エリア及び受信可能エリアの各頂点が時計回りの順に記録されている。各頂点は、経度をX座標軸、緯度をY座標軸とした直交座標系で示されており、頂点の座標(x10NG,y10NG)、(x11NG,y11NG)、(x12NG,y12NG)が格納されている。さらに、図示していないが、実施の形態1と同様にチャンネルスキャンにより受信したセクションデータ(例えば、PSI/SI情報など)から中継局や系列局の物理チャンネルを記録しておくことで放送信号の受信状態が悪化したときに、図11のテーブルの参照により同一番組を放送している可能性の高い代替物理チャンネルの把握ができ、短時間での自動切替えが実現できる。また、同一放送サービス名のものは同一番組を放送している可能性が高いので、放送エリアマップには、放送サービス名を記録しておくことが望ましい。
【0053】
以上に説明したように、実施の形態2に係るデジタル放送受信装置によれば、受信可能エリア内に受信不可能エリアが存在する放送エリアの場合も、エリアを多角形として表すことで、経度及び緯度で表現される座標平面をメッシュに区分けしてデータを記録する場合に比べて、必要なメモリサイズを小さくすることができる。
【0054】
なお、実施の形態2において、上記以外の点は、上記実施の形態1の場合と同じである。
【0055】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの一例を示す図であり、図13は、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置が保持する放送エリアマップの構造を表形式で示す図である。実施の形態3に係るデジタル放送受信装置は、放送エリアマップの構造が、実施の形態1に係るデジタル放送受信装置で生成した放送エリアマップの構造と異なる。なお、実施の形態3の説明に際しては、図1をも参照する。
【0056】
図12には、ある放送局AがTS名又はアンサンブル名「○○○○」として送信している放送サービスの受信可能エリア70の例が図示されており、図13には、各放送局の受信可能エリアを示す放送エリアマップであり、受信可能エリアの表現方法が表形式で示されている。実施の形態3に係るデジタル放送受信装置は、受信可能エリア及び受信可能エリア内の受信不可能エリアを多角形として表現する点は実施の形態1及び2の場合と同じであるが、受信不可能エリアの多角形の頂点を記録するのではなく、多角形を構成する各辺を一次関数で表現している点が、実施の形態1及び2に係るデジタル放送受信装置と異なる。例えば、受信可能エリア70を示す多角形の辺を特定する一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記一次関数で示される直線が座標軸(例えば、Y軸)と交差する位置、及び、前記一次関数で示される直線に対し受信可能エリアが座標軸(例えば、Y軸)の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、放送エリアマップ格納部28に格納する。また、受信可能エリア70内の受信不可能エリア71を示す多角形の辺を特定する他の一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記他の一次関数で示される直線が座標軸(例えば、Y軸)と交差する位置、及び、前記他の一次関数で示される直線に対し受信不可能エリア71が座標軸(例えば、Y軸)の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、放送エリアマップ格納部18に格納する。
【0057】
具体的には、図12の辺72を、一次関数Y=a10X+b10で表し、辺73を、一次関数Y=a11X+b11で表し、辺74を、一次関数Y=a12X+b12で表し、辺75を、一次関数Y=a13X+b13で表し、辺76を、一次関数Y=a14X+b14で表している。受信可能エリア70は、辺72〜76で囲われた領域内の一部の領域である。したがって、受信可能エリア70は、辺72の下側の領域(Y<a10X+b10の領域)、且つ、辺73の上側の領域(Y>a11X+b11の領域)、且つ、辺74の上側の領域(Y>a12X+b12の領域)、且つ、辺75の下側の領域(Y<a13X+b13の領域)、且つ、辺76の下側の領域(Y<a14X+b14の領域)である。
【0058】
また、受信不可能エリア71の辺91を、一次関数Y=a15X+b15で表し、辺92を、一次関数Y=a16X+b16で表し、辺93を、一次関数Y=a17X+b17で表す。受信不可能エリア71は、辺91〜93で囲われた領域である。したがって、受信不可能エリア71は、辺91の下側の領域(Y<a15X+b15の領域)、且つ、辺92の上側の領域(Y>a16X+b16の領域)、且つ、辺93の上側の領域(Y>a17X+b17の領域)である。
【0059】
放送エリアマップ格納部18内に、放送エリアマップとして記録する際の記録形式は、例えば、図13のようになる。例えば、図13の符号94で示す「<,a10,b10」の左の記号「<」の意味は、受信可能エリアを示す緯度Yは、a10X+b10で表される直線以下の緯度領域であることを意味する。また、「<,a10,b10」の中央の値は、辺72の傾きがa10であり、切片(Y軸との交差位置)がb10であることを意味する。そして、時計回り順に、次の辺73〜辺76までを、同様に記録している。図13の辺96,97に示すように、受信可能エリア中の受信不可能エリアについても同様に記録する。さらに、図2では放送エリアマップ生成済みエリア情報を多角形の各頂点座標で記録していたが、図13に示されるように、各頂点を結ぶ辺の傾き、切片(Y軸との交差位置)、及び領域を示す不等号で表記してもよい。
【0060】
図14は、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置において、現在位置を新規に受信可能地点として追加した放送エリアマップの一例を示す図であり、図15は、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置における放送エリアマップ拡張処理を示すフローチャートである。図14には、既存の受信可能エリア70が記録されているときに、現在位置80にてチャンネルスキャン実行の結果、現在位置80が受信可能エリア内の地点であった場合を示している。この場合、辺81、74、85で囲まれた領域(クロスハッチング領域)が、受信可能エリアとしての新規追加エリアとなる。図15には、このときの放送エリアマップ生成部28の放送エリアマップ拡張処理の動作が示されている。放送エリアマップ拡張処理が開始されると(ステップS41)、放送エリアマップ生成部28は、受信可能エリア70の各辺を定義する一次関数(図14の72,73,74,75,76)に現在位置80の座標を代入する(ステップS42)。次に、放送エリアマップ生成部28は、代入した結果、YとXの大小関係を全辺に対して満たしているか判断し(ステップS43)、満たしている場合には、現在位置が既存の受信可能エリア70内であると判断し(ステップS47)、放送エリアマップへの追加処理を行わない。放送エリアマップ生成部28は、YとXの大小関係を全辺に対して満たしているかを判断し、満たしていない場合に、既存の受信可能エリア70外の新規の頂点であると判断し(ステップS44)、新規の頂点と既存の受信可能エリア70の各頂点とを結ぶ一次関数を求める(ステップS45)。そして、放送エリアマップ生成部28は、求められた一次関数が示す直線と受信可能エリア70の頂点との位置関係を判断し、受信可能エリア70のすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側(例えば、Y軸の正方向又は負方向)に存在する一次関数を検索する。例えば、図14においては、現在位置80と他の頂点101〜105とを結ぶ一次関数が示す直線(辺)のうち直線82は、頂点104は直線82のY軸の正方向に存在するが、頂点101〜103はY軸の負方向に存在するので、受信可能エリア70のすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側(例えば、Y軸の正方向又は負方向)に存在する一次関数ではない。同様に、図14においては、直線83は、頂点104、105は直線82のY軸の正方向に存在するが、頂点102、103はY軸の負方向に存在するので、受信可能エリア70のすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側(例えば、Y軸の正方向又は負方向)に存在する一次関数ではない。同様に、図14においては、直線84は、頂点104、105、101は直線82のY軸の正方向に存在するが、頂点103はY軸の負方向に存在するので、受信可能エリア70のすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側(例えば、Y軸の正方向又は負方向)に存在する一次関数ではない。これに対し、図14においては、直線81は、頂点101〜103、105は直線81のY軸の正方向に存在し、負方向に存在する頂点はないので、受信可能エリア0のすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側(例えば、Y軸の正方向又は負方向)に存在する一次関数である。同様に、図14においては、直線85は、頂点101、102、104、105は直線85のY軸の正方向に存在し、負方向に存在する頂点はないので、受信可能エリア70のすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側(例えば、Y軸の正方向又は負方向)に存在する一次関数である。このように、直線(辺)81、85は、受信可能エリアの拡張部分を構成する辺と判断できるので、放送エリアマップにその辺の傾き、切片(例えば、Y軸との交差位置)、領域の方向を現す不等号を追記する。
【0061】
以上に説明したように、実施の形態3に係るデジタル放送受信装置によれば、受信可能エリア70及び受信可能エリア内の受信不可能エリア71の記録について、それぞれ経度及び緯度をそれぞれ座標軸とする頂点で構成された多角形で表し、多角形を構成する辺を一次関数で表し、各辺の傾き、切片(Y軸との交差位置)、エリアが該一次関数の上側エリアか下側エリアかを示す情報を記録するようにしたので、経度及び緯度で表現される座標平面をメッシュに区分けしてデータを記録する場合に比べて、必要なメモリサイズを小さくすることができる。
【0062】
なお、実施の形態3において、上記以外の点は、上記実施の形態1又は2の場合と同じである。
【符号の説明】
【0063】
11 第1のアンテナ、 12 第1のチューナ・復調部、 13 第1のデマルチプレクス部、 14 映像・音声デコード部、 15 グラフィックス重畳部、 16 映像出力部、 17 音声出力部、 18 操作入力部、 19 選局制御部、 21 第2のアンテナ、 22 第2のチューナ・復調部、 23 第2のデマルチプレクス部、 24 受信モード切替部、 25 チャンネルスキャン制御部、 25a 一時保存エリア、 26 アンテナ、 27 現在位置検出部、 28 放送エリアマップ生成部、 29 放送エリアマップ格納部、 30 放送エリアマップ未生成エリア判定部、 31 放送サービスリスト生成部、 40 放送信号受信部、 50,60,70 受信可能エリア、 51,62 放送エリアマップを示す表、 61,71 受信不可能エリア、 72〜76 受信可能エリアの境界(辺)、 80 放送局Aが受信可能である現在位置、 81,85 新たに拡張された放送局Aの受信可能エリアの境界(辺)、 82〜84 現在位置と他の頂点を結ぶ一次関数、 91〜93 受信不可能エリアの境界(辺)、 94 受信可能エリアの境界(辺)の傾き、切片(Y軸との交差位置)、及び受信可能エリアがこの辺の上か下かを示す不等号、 95 受信可能エリアの境界(辺)の傾き、切片(Y軸との交差位置)、及び受信可能エリアがこの辺の上か下かを示す不等号、 96 受信不可能エリアの境界(辺)の傾き、切片(Y軸との交差位置)、及び受信可能エリアがこの辺の上か下かを示す不等号、 97 受信可能エリアの境界(辺)の傾き、切片(Y軸との交差位置)、及び受信可能エリアがこの辺の上か下かを示す不等号、 101〜105 受信可能エリアの頂点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、
前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、
前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部と、
前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、現在受信可能な物理チャンネルの放送サービス情報を含む放送サービスリストを生成する放送サービスリスト生成部と
を有し、
前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の頂点を、前記放送エリアマップ格納部に直交座標系の座標で記録する
ことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、
前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、
前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部と
を有し、
前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の頂点を、前記放送エリアマップ格納部に直交座標系の座標で記録し、
前記選局制御部が、前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、前記複数のチューナ・復調部が選局する物理チャンネルを、現在位置で受信可能な他の物理チャンネルに切り替える
ことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリア内に存在する受信不可能エリアを示す多角形の頂点を、前記放送エリアマップ格納部に直交座標系の座標で記録することを特徴とする請求項1又は2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、
前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、
前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部と、
前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、現在受信可能な物理チャンネルの放送サービス情報を含む放送サービスリストを生成する放送サービスリスト生成部と
を有し、
前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の辺を特定する一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記一次関数で示される直線が座標軸と交差する位置、及び、前記一次関数で示される直線に対し前記受信可能エリアが座標軸の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、前記放送エリアマップ格納部に格納する
ことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項5】
物理チャンネルを選局し、選局された物理チャンネルの放送信号を復調する複数のチューナ・復調部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作を制御する選局制御部と、
前記複数のチューナ・復調部の動作モードを、前記複数のチューナ・復調部が協働してダイバーシティ処理を行う第1の動作モード、又は、前記複数のチューナ・復調部が各々独立して動作する第2の動作モードに切り替える受信モード切替部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記受信モード切替部が、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切り替え、前記複数のチューナ・復調部の内の一方のチューナ・復調部が番組視聴用の選局を行い、前記複数のチューナ・復調部の内の他方のチューナ・復調部が物理チャンネルを順次選局するチャンネルスキャン時に、前記他方のチューナ・復調部が受信可能な物理チャンネルを検出するチャンネルスキャン制御部と、
前記チャンネルスキャンが実行されたときの前記受信可能な物理チャンネル、該物理チャンネルの放送内容に関する放送サービス情報、及び現在位置を含む放送エリアマップを生成する放送エリアマップ生成部と、
前記生成された放送エリアマップを格納する放送エリアマップ格納部と
を有し、
前記放送エリアマップ生成部は、受信可能エリアを示す多角形の辺を特定する一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記一次関数で示される直線が座標軸と交差する位置、及び、前記一次関数で示される直線に対し前記受信可能エリアが座標軸の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、前記放送エリアマップ格納部に格納し、
前記選局制御部が、前記放送エリアマップ格納部に格納されている前記放送エリアマップと前記現在位置検出部によって検出された現在位置とから、前記複数のチューナ・復調部が選局する物理チャンネルを、現在位置で受信可能な他の物理チャンネルに切り替える
ことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記放送エリアマップ生成部は、前記受信可能エリア内の受信不可能エリアを示す多角形の辺を特定する他の一次関数を直交座標系で表現したときの傾き、前記他の一次関数で示される直線が座標軸と交差する位置、及び、前記他の一次関数で示される直線に対し前記受信不可能エリアが座標軸の正方向にあるか負方向にあるかを示す情報を、前記放送エリアマップ格納部に格納することを特徴とする請求項4又は5に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記現在位置検出部が検出する現在位置が前記放送エリアマップ格納部に格納されている放送エリアマップが示すエリアマップ生成済みエリア以外の放送エリアマップ未生成エリア内の位置であるか否かを判定する放送エリアマップ未生成エリア判定部を有し、
前記放送エリアマップ未生成エリア判定部が、前記現在位置は放送エリアマップ未生成エリア内であると判定したときに、前記受信モード切替部は、前記複数のチューナ・復調部の動作モードを前記第2の動作モードに切替え、前記放送エリアマップ生成部は、放送エリアマップを生成して前記放送エリアマップ格納部に保持される前記放送エリアマップを更新する
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項8】
前記デジタル放送受信装置が放送エリアマップ生成済みエリア内を移動しているときに、前記チャンネルスキャン制御部が視聴中の物理チャンネルからネットワーク構成又は放送サービス構成の変化を検出した場合に、前記チャンネルスキャン制御部は、前回のチャンネルスキャン実施後、所定時間経過後に再度チャンネルスキャンを行い、
前記放送エリアマップ生成部は、最新のチャンネルスキャン結果に基づいて、前記放送エリアマップ格納部に保持される放送エリアマップを更新する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項9】
前記チャンネルスキャン制御部は、連続する2回のチャンネルスキャンの結果を比較し、所定の基準レベル以上に受信状態が変化した物理チャンネルと、受信信号が閾値電力レベル近傍である物理チャンネルとに対して、再度チャンネルスキャンを行い、
前記放送エリアマップ生成部は、最新のチャンネルスキャン結果に基づいて前記放送エリアマップ格納部に保持される放送エリアマップを更新する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項10】
前記チャンネルスキャン制御部は、前回のチャンネルスキャンにおいて放送サービスが存在すると判定し、且つ、今回のチャンネルスキャンにおいて受信信号の電力レベルから放送信号が存在していると判定した物理チャンネルには、前回と同一の放送サービスが存在すると判定することを特徴とする請求項9に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項11】
前記チャンネルスキャン制御部は、前回のチャンネルスキャンにおいて放送サービスが存在しないと判定し、且つ、今回のチャンネルスキャンにおいて受信信号の電力レベルから放送信号が存在しないと判定した物理チャンネルには、放送サービスが存在しないと判定することを特徴とする請求項9に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項12】
前記チャンネルスキャン制御部は、前回のチャンネルスキャンにおいて放送サービスが存在しないと判定し、且つ、今回のチャンネルスキャンにおいて受信信号の電力レベルから放送信号が存在していると判定した物理チャンネルに対して、再度チャンネルスキャンを行い、前記放送エリアマップ生成部は、最新のチャンネルスキャン結果に基づいて放送エリアマップを更新することを特徴とする請求項9に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項13】
前記放送エリアマップ生成部は、多角形の各辺の一次不等式で前記受信可能エリアが表わされている場合において、現在位置を新規に受信可能地点として追加する場合に、現在位置と前記受信可能エリアの多角形の各頂点を結ぶ各一次関数を求め、各一次関数が示す直線と前記受信可能エリアの頂点との位置関係を判断し、前記受信可能エリアのすべての頂点が一次関数が示す直線の同じ側に存在する一次関数を検索し、該一次関数を受信可能エリアを構成する新規辺としてエリアマップを更新することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項14】
各辺が一次関数で表され、各辺の一次不等式で表された前記多角形近似された放送エリアに対して、前記放送サービスリスト生成部が、前記一次不等式に現在座標値を代入し、放送エリアを構成するすべての前記一次不等式が満たされた場合に、現在位置がその放送エリア内であると判断することにより、現在地点で受信可能な放送サービスリストを表示することを特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項15】
各辺が一次関数で表され、各辺の一次不等式で表された前記多角形近似された放送エリアに対して、前記選局制御部が、前記一次不等式に現在座標値を代入し、放送エリアを構成するすべての前記一次不等式が満たされた場合に、現在位置がその放送エリア内であると判断することにより、現在地点で受信可能な他の物理チャンネルに切り替えることを特徴とする請求項5に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項16】
各辺が一次関数で表され、各辺の一次不等式で表された前記多角形近似された放送エリアマップ生成済みエリアに対して、前記放送エリアマップ未生成エリア判定部が、前記一次不等式に現在座標値を代入し、放送エリアを構成するすべての前記一次不等式が満たされた場合に、現在位置がその放送エリア内であると判断することにより、現在地点で受信可能な他の物理チャンネルに切り替えることを特徴とする請求項7に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−61753(P2011−61753A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234408(P2009−234408)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【分割の表示】特願2009−210448(P2009−210448)の分割
【原出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】