説明

トラクタおよび被牽引車両の操向操作装置とその制御方法

【課題】オペレータは操向操作に熟練度を必要とせず、また牽引式農業用作業機の車輪を操舵することなく構造が簡単でコストが安く、かつ既存の牽引式農業用作業機にも簡単に装着できる操向操作装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】トラクタの前輪8の操舵角と農業用作業機の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点Tと農業用作業機の車軸中心点Sの走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引中心点Pを油圧モータによって駆動されるスクリューとボールナットからなる操向操作装置11によって左右方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタにより牽引される農業用作業機等の被牽引車両の技術分野に属し、特に牽引される農業用作業機等の追従性の向上を目的とするためのトラクタの牽引点を操作する操向操作装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、大型の農業用作業機では土壌圧密防止等のために、トラクタによって牽引される牽引式の農業用作業機(以下「農業用作業機」または「作業機」という。)が多く使用されている。
この農業用作業機による作業は、作業機の作業部と対象とする小麦等の作物列等との相対位置を常に安定した位置に置いてトラクタの後軸の中心点の走行軌跡と作業機の車軸の中心点の走行軌跡とを一致させる必要があるが、専らオペレータの操向操作能力に依存していた。
また、作業機の追従性を向上させるため、例えば特許文献1に記載されている作業機の車輪を操舵するための機構や方法が一部に使用されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平01−223084号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業機の追従性が良くないために、オペレータは体を捩じって後方の作業機の状態を確認しながらトラクタを操向操作しなければならず、オペレータの操向操作の熟練度が要求されるのみならずオペレータの疲労も大きかった。
また、作業機の車輪を操舵する方法は、機構が複雑となり、コストが嵩み、また車輪を操舵することが構造上困難な作業機には採用できないという問題があった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、操向操作に熟練度を必要とせず、また作業機の車輪を操舵することなく構造が簡単でコストが安く、かつ既存の農業用作業機にも簡単に装着できる操向操作装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、トラクタによって牽引される被牽引車両において、トラクタの前輪の操舵角度と被牽引車両の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点と被牽引車両の車軸中心点の走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引点を左右方向に移動させることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両である。
ここでいう被牽引車両には、作業機、キャンピングカー、荷車、リヤカー等の被牽引車両が含まれる(以下同じ)。
第2の発明は、第1の発明に係るトラクタおよび被牽引車両において、前記被牽引車両が農業用作業機であることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両である。
第3の発明は、第1または第2の発明に係るトラクタおよび被牽引車両において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が油圧モータによって駆動されるスクリューとボールナットからなる操向操作装置によってなされることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両である。
第4の発明は、第1または第2の発明に係るトラクタおよび被牽引車両において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が油圧モータによって駆動されるスイングアームからなる操向操作装置によってなされることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両である。
第5の発明は、トラクタによって牽引される被牽引車両において、トラクタの前輪の操舵角度と被牽引車両の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点と被牽引車両の車軸中心点の走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引点を左右方向に移動制御することを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法である。
第6の発明は、第5の発明に係るトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法において、前記被牽引車両が農業用作業機であることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法である。
第7の発明は、第5または第6の発明に係るトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動量Xが次式(A)、(B)の関係を有することを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法である。
【0006】
2=X2+2RX-Lt2+Lh2 ・・・・(A)
R=L/tanδ ・・・・(B)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t被牽引杆の長さ
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
第8の発明は、第5または第6の発明に係るトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が次式(C)、(D)、(E)の関係を有する操作角度θのスイングアームの操作によってなされることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法である。
【0007】
cosθ=Rsinφ-Ltcosφ-Lh ・・・(C)
2R2+Lt2+Lh2-Lp2=2R(Lt+Lh)sinφ
-2(Lth-R2 )cosφ ・・・・(D)
R=L/tanδ ・・・・(E)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
φ:牽引角度
p:スイングアームの長さ
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態に係るトラクタによる農業用作業機の牽引状態を示す説明図であり、図2は本発明の実施の形態に係る操向操作装置およびその関係部品を示し、(A)は正面図、(B)は平面図である。
図1、図2において、6はトラクタ、7はトラクタのステアリングハンドル、8はトラクタの前輪、9はその後輪、10はトラクタの牽引杆、12は農業用作業機(作業機)、17はその車輪であり、13は作業機の被牽引杆である。
点P、Q、T、Sはそれぞれトラクタの牽引中心点(=作業機の被牽引中心点)、トラクタの前軸の中心点、トラクタの後車軸の中心点、作業機の車軸の中心点を示している。
11はトラクタの牽引中心点Pを左右方向に移動させる操向操作装置であり、トラクタの後部に強固に着脱可能に固定されている。そして操向操作装置11はその内部に格納されているスクリュー4、スクリュー4の回転によって左右方向に移動するボールナット5で構成されており、ボールナット5の先端には牽引ピン14が形成され、この牽引ピン14に作業機12の被牽引杆13が回動自在に連結されている。
1は操向操作装置11の動作を制御するコントローラであり、マイクロコンピュータを内蔵し、トラクタ6の運転席の近傍に配置されている。
3は油圧モータであり、電磁バルブ2を介してコントローラ1に接続されコントローラ1の制御に従って、スクリュー4を回転駆動して、ボールナット5およびボールナット5に形成されている牽引ピン14を左右方向に水平移動させる。
【0009】
また、15はトラクタ6の前輪の操舵角度を検出する回転式ポテンショメータ、16はトラクタ6と作業機の相対角度を検出する回転式ポテンショメータであり、この回転式ポテンショメータ15、16はコントローラ1と不図示の電気回路で接続されている。
図3は本発明の実施の形態に係るトラクタと作業機の旋回時の作動原理の説明図であり、解析の便宜上トラクタと作業機の左右輪を1輪に置換えたもので、トラクタ6と作業機12とが同一の半径Rで、同一の点Oを回転中心として旋回している状態を示している。
図3において、Lはトラクタ6の軸距、Lhはトラクタ6の牽引杆の長さ、Ltは作業機の被牽引杆の長さ、Xはトラクタ6に取付けられた操向操作装置の牽引中心点Pの左右方向の移動量(トラクタ6の中心線からの距離)を示す。
δはトラクタ6の前輪8の操舵角度、φはトラクタ6の中心線と作業機の被牽引杆とのなす相対角度(以下「牽引角度」という。)であり、前述のポテンショメータ15、16によって計測される。Rはトラクタ6(および作業機)の旋回半径を示している。
【0010】
次に、オペレータがトラクタ6のステアリングハンドル7を左向きに回転操作して旋回する場合のトラクタ6と作業機12の作動について説明する。
【0011】
ステアリングハンドル7が所定の角度回転操作されると、不図示のステアリングリンケージを介して、トラクタ6の前輪8が操舵角δだけ左回転し、トラクタ6は後軸中心点Tが点Oを中心とする旋回半径Rの左旋回を行う。この時前輪の操舵角度δはポテンショメータ15によって計測されコントローラ1に入力される。
一方、トラクタ6の牽引角度φが回転式ポテンショメータ16によって計測されコントローラ1に入力される。
コントローラ1の制御によってトラクタ6の牽引角度φが所定値となるように、牽引中心点Pは左右方向、点Oの外側に距離Xだけ油圧モータ3の回転とスクリュー4とボールナット5との作動によって移動し、トラクタ6の後軸の中心点Tと作業機12の車軸の中心点Sとが同一の点Oを中心とした同一の半径Rの旋回を行う。
そして、トラクタ6の後軸の中心点Tと作業機12の車軸の中心点Sとが同一の点Oを中心とした同一の半径Rの旋回になったときには、トラクタ6の前輪8の操舵角δと、作業機12の牽引中心点の移動量Xとの間には下記の式(1)、(2)で示される関係が成立する(図3)。
【0012】
2=X2+2RX-Lt2+Lh2 ・・・・(1)
R=L/tanδ ・・・・(2)
ただし
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
図4は本発明の実施の形態に係る発明の効果を示すトラクタ6と作業機12の旋回時の走行軌跡図である。図4において、実線aはトラクタ6の後軸中心点Tの走行軌跡、点線bは本願発明の実施の形態に係る作業機12の車軸中心点Sの走行軌跡、破線cは従来の作業機の車軸中心点Sの走行軌跡を示している。
従来の作業機の車軸中心点Sの走行軌跡がトラクタ6の後軸中心点Tの走行軌跡に対して内側に巻込んでいるのに対して、本願発明の実施の形態に係る作業機12の車軸中心点Sの走行軌跡はトラクタ6の後軸中心点Tの走行軌跡に良く追従していることが判かる。
このように、本発明の実施の形態に係る操向操作装置による操向制御を行えば、作業機12はトラクタ6に忠実に追従するので、オペレータは熟練を要することなく、トラクタ6を作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機12も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図ることがきる。
【0013】
また、作業機12の追従性を良くするには、トラクタ6の前輪8の操舵角度δと牽引中心点Pの移動量Xとの関係が上記の式(1)、(2)を満たすようにコントローラで制御する場合に、前輪8の操舵角度δに対して牽引中心点Pの移動を全く時間遅れなしで行うと、作業機の車軸中心点Sの軌跡はトラクターの後軸の中心点Tの軌跡の外側に一時的にはみ出すため、前輪8の操舵角度δに対して牽引中心点Pの移動を遅延せて行うことが大切である。
この遅延時間は作業機12の車軸がトラクタ6の後軸の位置にほぼ達した時に牽引中心点Pの移動が開始されるようにすればよく、作業機の平均的走行速度によって算出した固定値としてもよいが、トラクタのその時々の速度に連動させた変動値を使用するようにすれば作業機の追従性をより高めることができる。
【0014】
なお、後退時にも前進時と同様の制御を行う場合には、通常の後退操作と運転操作感覚が異なったものとなるが、この場合作業機12では作業を行わないので実用上支障はなく、また後退時には以上の制御を解除するようにすればよい。
また、他の実施の形態として、トラクタ6の後部に回動自在に固定した油圧駆動や電動式のスイングアームを使用して、左右方向に円弧状に移動させてもよい。
【0015】
図5は本発明の実施の形態に係る牽引中心点の左右方向の移動をスイングアームで円弧状に移動させたときの旋回時の作動原理の説明図である。
トラクタ6の後軸の中心点Tと作業機12の車軸の中心点Sとが同一の点Oを中心点とした同一の半径Rの旋回なったときには、トラクタ6の前輪8の舵角δと、スイングアームの操作角度θとの間には下記の式(3)、(4)、(5)で示される関係が成立する(図5)。
【0016】
cosθ=Rsinφ-Ltcosφ-Lh ・・・・ (3)
2R2+Lt2+Lh2-Lp2=2R(Lt+Lh)sinφ
-2(Lth-R2 )cosφ ・・・・(4)
R=L/tanδ ・・・・(5)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
φ:牽引角度
p:スイングアームの長さ
このスイングアームによる作業機の操向制御の場合も、スクリューとボールナットによる制御の場合と同様にスイングアームの遅延制御を行うことにより図4に示された走行軌跡と同様の走行軌跡が得られ、作業機の追従性が向上する。
また、上記の本発明の実施の形態に係る発明は、スクリューとボールナットによる場合もスイングアームによる場合も、従来のように農業用作業機の車輪を操舵するものではなく、簡単な装置であることから、既存のトラクタおよびその農業用作業機に後付けして上記効果を得ることができる。
以上農業用作業機について説明したが、本発明はいわゆる狭義の農業用作業機に限定されるものではなく、キャンピングカー、荷車、リヤカー等の被牽引車両に適用しても同様の効果を得ることができ、特に狭い屈曲路やクランク路を走行するときに効果が発揮される。
【0017】
【発明の効果】
第1の発明は、トラクタによって牽引される被牽引車両において、トラクタの前輪の操舵角度と被牽引車両の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点と被牽引車両の車軸中心点の走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引点を左右方向に移動させることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両であるから、被牽引車両はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、容易に走行ができ疲労軽減が図れる。特に狭い屈曲路やクランク路を走行するときに効果が大きい。
第2の発明は、第1の発明に係るトラクタおよび被牽引車両において、前記被牽引車両が農業用作業機であることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両であるから、作業機はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、トラクタを作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図れるという効果が得られる。
第3の発明は、第1または第2の発明に係るトラクタおよび被牽引車両において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が油圧モータによって駆動されるスクリューとボールナットからなる操向操作装置によってなされることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両であるから、簡単な装置で、作業機はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、トラクタを作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図れるという効果が得られる。
また、従来のように農業用作業機の車輪を操舵するものではなく、簡単な装置であることから、既存のトラクタおよびその農業用作業機に後付けして上記効果を得ることができる。
第4の発明は、第1または第2の発明に係るトラクタおよび被牽引車両において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が油圧モータによって駆動されるスイングアームからなる操向操作装置によってなされることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両であるから、より簡単な装置であって、作業機はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、トラクタを作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図れるという効果が得ることができる。
また、既存のトラクタおよび農業用作業機に、より簡便に後付け可能であり上記効果が得られる。
第5の発明は、トラクタによって牽引される被牽引車両において、トラクタの前輪の操舵角度と被牽引車両の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点と被牽引車両の車軸中心点の走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引点を左右方向に移動制御することを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法であるから、被牽引車両はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、容易に走行ができ疲労軽減が図れる。特に狭い屈曲路やクランク路を走行するときに効果が大きい。
第6の発明は、第5の発明に係るトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法において、前記被牽引車両が農業用作業機であることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法であるから、従来の農業用作業機の車輪を操舵する方法に対して簡便にして、作業機はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、トラクタを作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図れるという効果が得られる。
第7の発明は、第5または第6の発明に係るトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動量Xが次式(A)、(B)の関係を有することを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法である。
【0018】
2=X2+2RX-Lt2+Lh2 ・・・・(A)
R=L/tanδ ・・・・(B)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t被牽引杆の長さ
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
よって、従来の農業用作業機の車輪を操舵する方法に対してより簡便にして、作業機はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、トラクタを作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図れるという効果が得られる。
【0019】
第8の発明は、第5または第6の発明に係るトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法において、前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が次式(C)、(D)、(E)の関係を有する操作角度θのスイングアームの操作によってなされることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法である。
【0020】
cosθ=Rsinφ-Ltcosφ-Lh ・・・・(C)
2R2+Lt2+Lh2-Lp2=2R(Lt+Lh)sinφ
-2(Lth-R2 )cosφ ・・・・(D)
R=L/tanδ ・・・・(E)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
φ:牽引角度
p:スイングアームの長さ
よって、第7の発明と同様に従来の農業用作業機の車輪を操舵する方法に対してより簡便にして、作業機はトラクタに忠実に追従するので、オペレータはトラクタの操向操作の熟練を要することなく、トラクタを作物列に沿って走行させれば、自動的に作業機も作物列に沿って走行し、精度の高い作業を行うことができ、疲労軽減も図れるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るトラクタによる農業用作業機の牽引状態を示す説明図である。
【図2】(A)は本発明の実施の形態に係る操向操作装置およびその関係部品を示す正面図、(B)は平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る旋回時の作動原理の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る発明の効果を示す走行軌跡図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る旋回時の作動原理(スイングアーム式)の説明図である。
【符号の説明】
1:コントローラ
2:電磁バルブ
3:油圧モータ
4:スクリュー
5:ボールナット
6:トラクタ
7:ステアリングハンドル
8:前輪
9:後輪
10:牽引杆
11:操向操作装置
12:農業用作業機(作業機)
13:被牽引杆
14:牽引ピン
15、16:回転式ポテンショメータ
17:農業用作業機の車輪
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
φ:牽引角度
θ:スイングアームの操作角度
P:トラクタの牽引中心点(=作業機の被牽引中心点)
Q:トラクタの前軸の中心点
T:トラクタの後軸の中心点
R:旋回半径(トラクタの後軸中心点および作業機の車軸中心点)
S:作業機の車軸の中心点
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
X:牽引点の移動量(左右方向)
p:スイングアームの長さ
U:スイングアームの回転中心点
V:スイングアームの牽引中心点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタによって牽引される被牽引車両において、トラクタの前輪の操舵角度と被牽引車両の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点と被牽引車両の車軸中心点の走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引点を左右方向に移動させることを特徴とするトラクタおよび被牽引車両。
【請求項2】
前記被牽引車両が農業用作業機であることを特徴とする請求項1に記載のトラクタおよび被牽引車両。
【請求項3】
前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が油圧モータによって駆動されるスクリューとボールナットからなる操向操作装置によってなされることを特徴とする請求項1または2に記載のトラクタおよび被牽引車両。
【請求項4】
前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が油圧モータによって駆動されるスイングアームからなる操向操作装置によってなされることを特徴とする請求項1または2に記載のトラクタおよび被牽引車両。
【請求項5】
トラクタによって牽引される被牽引車両において、トラクタの前輪の操舵角度と被牽引車両の牽引角度を検出、制御して、トラクタの後車軸中心点と被牽引車両の車軸中心点の走行軌跡を一致させるようにトラクタの牽引点を左右方向に移動制御することを特徴とするトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法。
【請求項6】
前記被牽引車両が農業用作業機であることを特徴とする請求項5に記載のトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法。
【請求項7】
前記トラクタの牽引点の左右方向の移動量Xが次式(A)、(B)の関係を有することを特徴とする請求項5または6に記載のトラクタおよび被牽引車両の操向制御方法。
2=X2+2RX-Lt2+Lh2 ・・・・(A)
R=L/tanδ ・・・・(B)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
【請求項8】
前記トラクタの牽引点の左右方向の移動が次式(C)、(D)、(E)の関係を有する操作角度θのスイングアームの操作によってなされることを特徴とする請求項5または6に記載のトラクタおよび 被牽引車両の操向制御方法。
cosθ=Rsinφ-Ltcosφ-Lh ・・・(C)
2R2+Lt2+Lh2-Lp2=2R(Lt+Lh)sinφ
-2(Lth-R2 )cosφ ・・・・(D)
R=L/tanδ ・・・・(E)
ただし、
R:旋回半径
L:トラクタの軸距
h:牽引杆の長さ
t:被牽引杆の長さ
δ:前輪の操舵角度(トラクタ)
φ:牽引角度
p:スイングアームの長さ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−180702(P2006−180702A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−38285(P2003−38285)
【出願日】平成15年2月17日(2003.2.17)
【出願人】(899000080)株式会社筑波リエゾン研究所 (6)
【Fターム(参考)】