説明

ナノ積層コーティングされた切削工具

本発明は、多結晶の立方晶窒化ホウ素(PCBN)の本体を固体のインサートとして又は支持体に取り付けられるものとして含む、その上に硬質かつ耐摩耗性のPVDコーティングが堆積された、チップ除去による機械加工のための切削工具インサートに関する。前記コーティングは、A層及びB層の互層の多結晶のナノ積層構造を含み、ここで、A層は(Ti、Al、Me1)NでありMe1は周期表の3、4、5又は6族からの金属元素の1種以上であり、B層は(Ti、Si、Me2)Nであり、Me2は、Alを含む周期表の3、4、5又は6族からの金属元素の1種以上であり、厚さは、0.5〜10mである。本発明のインサートは、高温を発生する金属切削用途、例えば、鋼、鋳鉄、超合金及び硬化鋼の高速加工において特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立方晶窒化ホウ素(PCBN)材料の本体、並びに(Ti、Al)N層及び(Ti、Si)N層をそれぞれ基礎とするナノ積層構造を含む、硬質かつ耐摩耗性のコーティングを含む切削工具インサートに関する。このインサートは、高温を発生する金属切削用途、例えば、鋼、鋳鉄、超合金、ステンレス鋼及び硬化鋼の高速機械加工において特に有用である。このコーティングは物理蒸着法(PVD)により、好ましくは陰極アーク蒸着により成長する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7,056,602号は、立方晶構造の(TiyAlxMe1-x-y)Nを基礎とした層でコーティングされた切削工具インサートを開示しており、ここで、Meは、元素:Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W又はSiのいずれか1つであり;xは0.50〜0.80;比x/(x+y)は0.50〜0.85;そして、Ti及びAlの下付き文字の和x+yは0.7〜1.0である。
【0003】
欧州特許第1736565号は、立方晶構造の(Me、Si)X相でコーティングされた、切削工具の立方晶窒化ホウ素を基礎としたインサートを開示しており、ここで、Meは元素Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta及びAlの1種以上であり、Xは元素N、C、O又はBの1種以上である。
【0004】
欧州特許第0588350号は、本体上のTi−Si−N複合材料の硬質層であって、この層は、aが75〜85%の範囲かつbが15〜25%の範囲である組成TiaSibを有した蒸着源を用いて蒸着される層、を開示している。
【0005】
コーティングの最適化も、Ti及びAlを含有する互層(米国特許第6,309,738号)、酸素含有及び酸素不含層(米国特許第6,254,984号)、多層に積み重なっている層の1つがそれ自体多層から成る(米国特許第6,077,596号)、窒素含有量が交互である(米国特許第5,330,853号)又は1種の準安定な化合物を用いる(米国特許第5,503,912号)又は非周期的な多層である(米国特許第6,103,357号)といった様々な多層の概念を適用すること、によって得られる。
【0006】
熱安定性及び硬度の更なる改善は、SiをTiN又はTiAlNを基礎としたコーティングに導入することにより達成されている。特開2000−334607号は、化合物TiSi(層a)及び化合物TiAl(層b)を含む積層の、コーティングされた工具を開示している。層aは、10%<Si<60%を含み、NaCl型結晶構造である、窒化物、炭窒化物、酸窒化物及び酸炭窒化物から選択される。層bは、40%<Al<75%を含み、NaCl型結晶構造である窒化物、炭窒化物、酸窒化物及びオキシカルボナイトライドから選択される。a層及びb層は1層以上ごとに交互に被覆され、b層は基材の表面の直上に位置する。
【0007】
欧州特許第1939327号は、耐クレーター及び耐フランク摩耗を改善させる硬質コーティングを含む切削工具であって、このコーティングは、X層及びY層の平均層厚さが0.1〜100nmかつ平均化学組成がAlaTibSicCrde1-e、ここで0<a<0.5、0.1<b<0.9、0.01<c<0.17、0<d<0.06、a+b+c+d=1、0<e<1である非周期的な多層X+Y+X+Y+...を含む、切削工具を開示している。
【0008】
環境保護のため乾式作業工程へと向かう趨勢、即ち、切削油(潤滑剤)を用いない金属切削作業、及び改善された工程での機械加工速度の増加により、工具の刃先の温度の上昇による工具材料特性への要求が更に高まっている。特に、高温でのコーティング安定性、例えば、耐酸化性及び耐摩耗性は更に重要となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高温での金属切削用途において、性能が改善されたコーティングされた切削工具を提供することである。
【0010】
本発明の更なる目的は、エッジ完全性が改善されたコーティングされた切削工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(Ti、Si)N及び(Ti、Al)Nをそれぞれ基礎とする層を組合せて、ナノ積層されたコーティング構造とし、立方晶窒化ホウ素を基礎とした切削工具インサート上に被覆することで、特に、工具が高温となる高速機械加工において、耐クレータ摩耗、耐フランク摩耗及びエッジ完全性が増加するため、工具寿命が著しく改善されることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】Ti0.38Al0.62N/Ti0.86Si0.14Nナノ積層構造の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図2】表面硬化鋼において24分旋削させた後の刃先の例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、(a)Ti0.86Si0.14N単層、(b)Ti0.38Al0.62N/Ti0.86Si0.14NNナノ積層構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明によれば、固体のインサート又は支持体に取り付けられるもののいずれかとして、多結晶の立方晶窒化ホウ素(PCBN)の硬質合金の本体を含む、チップ除去による機械加工のための切削工具であって、その上に全体として柱状の構造を有する、厚さが0.5〜10μm、好ましくは0.5〜5μmである、A層及びB層の互層の多結晶のナノ積層構造を含む硬質かつ耐摩耗性のコーティングが堆積された切削工具が提供される。ナノ積層構造の中間領域、即ち成長方向の厚さの30〜70%内の領域の断面走査型電子顕微鏡により測定されるように、平均柱幅が20〜1000nm、好ましくは20〜500nmであり、前記平均柱幅は、隣接する少なくとも10本の柱の幅を計測した平均である。
【0014】
前記層Aは(Ti1-xAlxMe1p)Naであり、ここで、0.3<x<0.95、好ましくは0.45<x<0.75、0.90<a<1.10、好ましくは0.96<a<1.04、0≦p<0.15であり、Me1は、周期表の3、4、5又は6族の金属元素の1種以上、好ましくはZr、Y、V、Nb、Mo及びWの1種以上、最も好ましくはZr、Y、V及びNbの1種以上である。前記層Bは(Ti1-y-zSiyMe2z)Nbであり、ここで、0.05<y<0.25好ましくは0.05<y<0.18、0≦z<0.4、0.9<b<1.1、好ましくは0.96<b<1.04であり、Me2は、Alを含む周期表の3、4、5又は6族の金属元素の1種以上、好ましくはY、V、Nb、Mo、W及びAlの1種以上、最も好ましくはY、V、Nb及びAlの1種以上である。層A及び層Bは、例えば、ナノ積層構造の中間領域、即ち、成長方向の厚さの30〜70%内の領域の断面走査電子顕微鏡法により計測されるように、それぞれ平均の層厚さが1nm〜50nmであり、前記平均の層厚さは、少なくとも10層の隣接する層の厚さを計測した平均である。前記ナノ積層構造は、X線回折で測定されるように、立方相及び六方相の相の混合、好ましくは立方相のみを含む。
【0015】
第1の好ましい実施形態において、z=p=0である。
【0016】
第2の好ましい実施形態において、Me1は、Zr、Y、V及びNbの1種以上であり、0<p<0.05である。
【0017】
第3の好ましい実施形態において、Me2はYであり、0<z<0.15である。
【0018】
第4の好ましい実施形態において、Me2はV及びNbの一方又は双方であり、0<z<0.3である。
【0019】
第5の好ましい実施形態において、Me2はAlであり、0.2<z<0.4である。
【0020】
前記ナノ積層構造の平均組成は、45%<Ti+Al+Si+Y+V+Nb+Mo+W+Zr<55%、好ましくは、48%<Ti+Al+Si+Y+V+Nb+Mo+W+Zr<52%、及び残りのNであり、例えば、EDS又はWDSにより測定される。
【0021】
前記コーティングは、TiN、TiC、Ti(C,N)若しくは(Ti、Al)N、好ましくは(Ti、Al)Nの内部単層及び/若しくは多層コーティング並びに/又はTiN、TiC、Ti(C,N)、(Ti、Si)N若しくは(Ti、Al)N、好ましくは(Ti、Si)N若しくは(Ti、Al)Nの外部単層及び/若しくは多層コーティングを含んでよく、従来技術によれば、ナノ積層構造の厚さを含む全コーティング厚さを0.5〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、最も好ましくは0.5〜7μmとしてよい。
【0022】
前記PCBNは、バインダー中に少なくとも30体積%の立方晶窒化ホウ素(cBN)を含有する。このバインダーは、周期表の4、5及び6族に属する1種以上の元素及びAlの窒化物、ホウ化物、酸化物、炭化物及び炭窒化物より成る群から選択される少なくとも1つの化合物、例えばTi(C、N)及びAlNを含有する。
【0023】
第6の好ましい実施形態において、前記PCBN本体は、30体積%<cBN<70体積%、好ましくは、40体積%<cBN<65体積%を含有し、cBNの平均粒径は0.5μm〜4μmである。このバインダーは、80質量%<Ti(C,N)<95質量%を含有し、残りは主に、元素Ti、N、B、Ni、Cr、Mo、Nb、Fe、Al及び/又はOの2種以上を含む他の化合物、例えばTiB2及びAl23を含有する。
【0024】
第7の好ましい実施形態において、前記PCBN本体は、45体積%<cBN<70体積%、好ましくは、55体積%<cBN<65体積%を含有し、cBNの平均粒径は0.5μm〜4μm、好ましくは1μm〜3μmである。このバインダーは、80質量%<Ti(C,N)<90質量%、1質量%<Ni、Co、Cr及び/又はMoの元素を1種以上を含有する合金<10質量%、及び主にTiB2及びAl23を含有する残余を含有する。
【0025】
第8の好ましい実施形態において、前記PCBN本体は、70体積%<cBN、好ましくは80体積%<cBN<95体積%を含有し、cBNの平均粒径は、0.5μm〜10μm、好ましくは1μm〜6μm又は10μm〜25μm、好ましくは15μm〜25μmのいずれかである。このバインダは、Al、B、N、W、Co、Ni、Fe、Al及び/又はOの元素2種以上の化合物を含有する。
【0026】
本発明のコーティングの堆積方法は、以下の条件下における合金又は複合陰極の陰極アーク蒸着に基づく;(Ti、Al、Mel)N及び(Ti、Si、Me2)N層は陰極から成長して所望の層組成を得る。蒸着電流は、50A〜200Aである。これらの層は、Ar+N2雰囲気下、好ましくは、純N2雰囲気下で、全圧0.5Pa〜9.0Pa、好ましくは1.5Pa〜5.0Paで成長する。バイアスは、−10V〜−300V、好ましくは−20V〜−200Vである。蒸着温度は350℃〜700℃、好ましくは400℃〜650℃である。
【0027】
本発明は、切削速度が50〜2000m/分、好ましくは50〜1500m/分で、切削作業に依存して平均送りが0.01〜1.0mm/回転、好ましくは0.01〜0.6mm/回転での鋼、鋳鉄、超合金及び硬化鋼の機械加工のための上記に従う切削工具インサートの使用にも関する。
【実施例】
【0028】
実施例1
表1のコーティングは、以下のPCBNインサート上に陰極アーク蒸着によって堆積させた:
S1:60体積%のcBN、cBNの平均粒径約2μm、86質量%のTi(C,N)、5質量%のASTM F75合金(主な組成:62質量%のCo+28.5質量%のCr+6質量%のMo)並びに主にTiB2及びAl2O3を含有する残余を含有するバインダーを含む。
S2:60体積%のcBN、cBNの平均粒径約2μm、86質量%のTi(C,N)、5質量%のInconel 625合金(主な組成:28.5質量%のCr+9質量%のMo+3質量%のNb+残余のNi)並びに主にTiB2及びAl2O3を含有する残余を含有するバインダーを含む。
S3:50体積%のcBN、cBNの平均粒径約1μm、91質量%Ti(C,N)及び主にTiB2及びAl2O3を含有する残余を含有するバインダー含む。
S4:90体積%のcBN、cBNの平均粒径約4μm、主にAlN及び主にAlB2を含有する残余を含有するバインダーを含む。
S5:90体積%のcBN、cBNの平均粒径約20μm、主にAlN及び主にAlB2を含有する残余を含有するバインダーを含む。
【0029】
堆積前、インサートをアルカリ溶液及びアルコールの超音波浴で洗浄した。堆積室を2.0x10-3Pa未満の基準圧力まで真空に引いた後、インサートをArイオンでスパッター洗浄した。99.995%純N2雰囲気下、全圧2〜6Paで、バイアス−20〜−60V及び蒸着電流60〜200Aを用いて合金又は複合陰極からコーティングを蒸着させた。陰極は層A及び層Bのそれぞれの組成が得られるように選択し、取付具の回転によりナノ積層構造を得るために、堆積室の対向する側面に取り付けた。それぞれの平均層厚さは、陰極電流(60〜200A)及び取付具の回転速度(1〜5rpm)を変化させることにより変化した。全コーティング厚さは、すべてのインサートについて約2μmであり、蒸着温度は450℃であった。
【0030】
図1は、ナノ積層構造にわたって広がる柱状マイクロ構造を備えたTi0.38Al0.62N/Ti0.86Si0.14Nナノ積層構造(コーティング1)の走査型電子顕微鏡(SEM)画像の例である。それぞれの層ははっきりと見られ、隣接する層間の混合が最小限であることを示しており、固定具の回転が3軸であることによりそれぞれの層厚さは異なっている。
【0031】
コーティングの総平均組成は、エネルギー分散X線分光分析(EDS)により計測され、分析領域においては、10kVで稼働するThermo Noran EDS検出器を備えたLEO Ultra 55走査型電子顕微鏡を用いた。これらのデータは、Noran System Six(NSS ver 2)ソフトウェアを用いて評価した。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例2
S1及びS2インサート上のコーティング1、3、6、40〜45は、以下の条件の下で試験した:
配置: CNGA120408S
適用: 連続回転
工作物の材料: 表面硬化鋼(16MnCr5)
切削速度: 200m/分
送り: 0.1mm/回転
切込み深さ: 0.15mm
工具寿命基準: エッジ破損
【0034】
結果を表2に示す。
【0035】
図2は、(a)比較例のコーティング41及び(c)本発明のコーティング1について、24分回転した後のS1インサートの使用されたエッジのSEM画像を示す。本発明のコーティングが、改善されたクレータ摩耗及びエッジ摩耗特性を示すことがはっきりと見られる。
【0036】
実施例3
S3インサート上のコーティング1〜6、35、36、38〜42、44〜45を以下の条件の下で試験した:
配置: RCGN0803M0S
適用: 連続回転
工作物の材料: 表面硬化鋼(16MnCr5)
切削速度: 200m/分
送り: 0.1mm/回転
切込み深さ: 0.15mm
工具寿命基準: エッジ破損
【0037】
結果を表2に示す。
【0038】
実施例4
S4インサート上のコーティング6、37、40、41を以下の条件の下で試験した:
配置: CNMN120412S
適用: 対面
工作物の材料: AISI A48−40B
切削速度: 1100m/分
送り: 0.3mm/回転
切込み深さ: 1mm
工具寿命基準: エッジ破損
【0039】
結果を表2に示す。
【0040】
実施例5
S5インサート上のコーティング6、40、41を以下の条件の下で試験した:
配置: CNMN120412S
適用: 連続回転
工作物の材料: AISI A48−45B
切削速度: 1100m/分
送り: 0.4mm/回転
切込み深さ: 2mm
工具寿命基準: エッジ破損
【0041】
結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
本発明のインサートが、改善されたエッジ摩耗特性及びクレータ摩耗特性を有する、向上した工具性能を示すことは上記実施例から明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体のインサート又は支持体に取り付けられるもののいずれかとして本体を含む、その上に硬質かつ耐摩耗性のPVDコーティングが堆積された、チップ除去による機械加工のための切削工具インサートであって、
前記本体が、周期表の4、5及び6族に属する1種以上の元素及びAlの窒化物、ホウ化物、酸化物、炭化物及び炭窒化物から選択される少なくとも1つの化合物を含むバインダー中に少なくとも30体積%の立方晶窒化ホウ素(cBN)を含有する多結晶の立方晶窒化ホウ素(PCBN)を含有すること、及び、
前記コーティングがA層及びB層の互層の柱状かつ多結晶のナノ積層構造を含み、層Aは(Ti1-xAlxMe1p)Naであり、ここで、0.3<x<0.95、好ましくは0.45<x<0.75、0.90<a<1.10、好ましくは0.96<a<1.04、0≦p<0.15であり、Me1は、Zr、Y、V、Nb、Mo及びWの1種以上であり、層Bは(Ti1-y-zSiyMe2z)Nbであり、ここで、0.05<y<0.25好ましくは0.05<y<0.18、0≦z<0.4、0.9<b<1.1、好ましくは0.96<b<1.04であり、Me2は、Y、V、Nb、Mo、W及びAlの1種以上であり、ナノ積層構造の厚さが0.5〜10μm、好ましくは0.5〜5μmであり、平均柱幅が20〜1000nmであり、そしてA層及びB層のそれぞれの平均厚さが1〜50nmであること、を特徴とする、切削工具インサート。
【請求項2】
前記ナノ積層構造が、X線回折で測定されるように、立方相及び六方相の構造の混合、好ましくは立方相のみを含むことを特徴とする、請求項1に記載の切削工具インサート。
【請求項3】
z=p=0であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれかに記載の切削工具インサート。
【請求項4】
前記コーティングが、TiN、TiC、Ti(C,N)若しくは(Ti、Al)N、好ましくは(Ti、Al)Nの内部単層及び/若しくは多層コーティング、並びに/又はTiN、TiC、Ti(C,N)、(Ti、Si)N若しくは(Ti、Al)N、好ましくは(Ti、Si)N若しくは(Ti、Al)Nの外部単層及び/若しくは多層コーティングを含み、ナノ積層構造の厚さを含む全コーティング厚さが0.5〜20μm、好ましくは0.5〜10μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具インサート。
【請求項5】
前記PCBN本体が、30体積%<cBN<70体積%、好ましくは、40体積%<cBN<65体積%を含有し、cBNの平均粒径は0.5μm〜4μmであり、バインダーは、80質量%<Ti(C,N)<95質量%を含有し、残りは主に、元素Ti、N、B、Ni、Cr、Mo、Nb、Fe、Al及びOの2種以上を含む他の化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具インサート。
【請求項6】
前記PCBN本体が、45体積%<cBN<70体積%、好ましくは、55体積%<cBN<65体積%を含有し、cBNの平均粒径は0.5μm〜4μm、好ましくは1μm〜3μmであり、バインダーは、80質量%<Ti(C,N)<90質量%、1質量%<Ni、Co、Cr及びMoの元素の1種以上を含有する合金<10質量%、及び主にTiB2及びAl23を含有する残余を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具インサート。
【請求項7】
前記PCBN本体が、70体積%<cBN、好ましくは80体積%<cBN<95体積%を含有し、cBNの平均粒径は、0.5μm〜10μm、好ましくは1μm〜6μm又は10μm〜25μm、好ましくは15μm〜25μmのいずれかであり、バインダは、Al、B、N、W、Co、Ni、Fe、Al及びOの元素2種以上の化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具インサート。
【請求項8】
前記コーティングが、Ar+N2雰囲気下、好ましくは、純N2雰囲気下で、全圧0.5Pa〜9.0Pa、好ましくは1.5Pa〜5.0Paで、バイアスは、−10V〜−300V、好ましくは−20V〜−200V、350℃〜700℃、好ましくは400℃〜650℃にて50A〜200Aの蒸着電流を用いて(Ti、Al、Mel)N及び(Ti、Si、Me2)N層の所望の組成を得る合金の又は複合陰極の陰極アーク蒸着により堆積されることを特徴とする、請求項1に記載の切削工具インサートの製造方法。
【請求項9】
切削作業およびインサート幾何学形状に依存して、切削速度が50〜2000m/分、好ましくは50〜1500m/分で、平均送りが0.01〜1.0mm/回転、好ましくは0.01〜0.6mm/回転での鋼、鋳鉄、超合金及び硬化鋼の機械加工のための、請求項1〜7のいずれかに記載の切削工具インサートを使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528733(P2012−528733A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513904(P2012−513904)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/SE2010/050581
【国際公開番号】WO2010/140959
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(591106875)セコ ツールズ アクティエボラーグ (28)
【Fターム(参考)】