パターン形成方法及びレジスト組成物
【課題】有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高いパターン形成方法を提供する。
【解決手段】単糖類のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物と酸発生剤を含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得るパターン形成方法。
【解決手段】単糖類のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物と酸発生剤を含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得るパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分が溶解し、露光部分が溶解しないネガティブトーンを形成するためのパターン形成方法、及びこれを実現するためのレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスが量産された。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで、最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
【0008】
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0010】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0011】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−t−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0012】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
【0013】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜3(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特許第4554665号公報)にパターン形成方法が示されている。
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献4(特許第4590431号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献5(特開2008−309879号公報)に示されている。
【0014】
上記の出願は従来型のレジスト組成物を用いて有機溶剤によってネガパターンを得るというものであるが、有機溶剤現像におけるコントラストはそれほど高いものではなく、コントラスト向上のために有機溶剤専用のレジスト組成物を開発する必要がある。
【0015】
イソソルバイドのモノメタクリレートを共重合したポジ型レジスト組成物が特許文献6,7(特許第4188058号公報、特開2004−240387号公報)に紹介されている。ここでは、イソソルバイドのモノメタクリレートは酸不安定基を有するメタクリレートとラクトンを有するメタクリレートとを共重合することによってアルカリ水の現像によってポジ型パターンを得ている。特許文献8(特開平10−101508号公報)にはマンノースのモノメタクリレートを共重合した親水性の病原性微生物吸着材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特許第4554665号公報
【特許文献4】特許第4590431号公報
【特許文献5】特開2008−309879号公報
【特許文献6】特許第4188058号公報
【特許文献7】特開2004−240387号公報
【特許文献8】特開平10−101508号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
脱保護反応によって酸性のカルボキシル基などが生成し、アルカリ現像液に溶解するポジ型レジストシステムに比べると、有機溶剤現像の溶解コントラストは低い。アルカリ現像液の場合、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合10倍程度の違いしかない。アルカリ水現像の場合はカルボキシル基との中和反応によって溶解速度が向上するが、有機溶剤現像の場合は反応を伴うことがなく、溶媒和による溶解だけなので溶解速度が低い。未露光部の溶解速度の向上だけでなく、膜が残る部分の露光領域での溶解速度を低くすることも必要である。露光部分の溶解速度が大きいと残膜厚が低くなって、現像後のパターンのエッチングによる下地の加工ができなくなる。更には、溶解から不溶解になる露光量に対する傾き(γ)を高くすることが重要である。γが低いと逆テーパー形状になり易く、ラインパターンではパターン倒れが生じ好ましくない。垂直なパターンを得るためには、なるべく高γの溶解コントラストである必要がある。
【0019】
前述の特許文献1〜6には、従来型のアルカリ水溶液現像型のフォトレジスト組成物が記載されているが、これらの有機溶剤現像における溶解コントラストは低い。露光部と未露光部の溶解速度差を大きくし、かつ溶解のコントラスト(γ)を高くするための新規な材料開発が望まれている。
ネガティブ現像でホールを形成しようとする場合、ホールの外側は光が当たっており、酸が過剰に発生している。酸がホールの内側に拡散してくるとホールが開口しなくなるため、酸拡散の制御も重要である。
【0020】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、有機溶剤現像において溶解コントラストが大きく、かつ高感度なフォトレジスト組成物及び有機溶剤による現像によってポジネガ反転によるホールパターンを形成することが可能なパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、イソソルバイド等のような酸素含有複素環のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物を用いることによって、有機溶剤現像における溶解コントラストが向上し、ポジネガ反転によって得られたホールパターンの感度、及び寸法均一性及びパターンの形状が向上することを見出した。
【0022】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法及びレジスト組成物を提供する。
〔1〕
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物、又は下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位と下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上とを有する高分子化合物と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化2】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
〔2〕
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕
波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔4〕に記載のパターン形成方法。
〔6〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔7〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕
前記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有するいずれかの繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔11〕
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
〔12〕
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する〔11〕に記載のレジスト組成物。
〔13〕
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する〔11〕又は〔12〕に記載のレジスト組成物。
〔14〕
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
〔15〕
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位及び下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化4】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化5】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
〔16〕
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する〔15〕に記載のレジスト組成物。
〔17〕
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する〔15〕又は〔16〕に記載のレジスト組成物。
【発明の効果】
【0023】
イソソルバイド等のような単糖類のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物と酸発生剤とを含むフォトレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴を有する。このフォトレジスト膜を用いて露光し、有機溶剤現像を行うことによって、微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るパターニング方法を説明するもので、(A)は基板上にフォトレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はフォトレジスト膜に露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】実施例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】比較例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図17】ArF露光パターニング評価(2)で用いた格子状マスクを示す。
【図18】X方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図19】Y方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図20】X方向とY方向の両方のラインのコントラストを向上させるクロスポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、上述したようにイソソルバイド等のような単糖類のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物をベースとするフォトレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、有機溶剤現像液で現像してネガ型パターンを得るポジネガ反転を用いたパターン形成方法及びレジスト組成物を提供するものである。
【0026】
一般的にカルボキシル基含有のポリマーに比べて、ヒドロキシ基含有のポリマーの方が、有機溶剤への溶解性が低い。酸による脱離反応で、カルボキシル基が発生するポリマーよりも、ヒドロキシ基が発生するポリマーの方が脱保護後の有機溶剤への溶解性が低くなるためにパターンの残膜が多くなる。単なるヒドロキシ基よりも環内にエーテル基を有するイソソルバイドのような単糖類の場合は、親水性が非常に高いために脱保護後の現像液溶剤溶解性が更に低下するため、露光部の残膜性が向上する。この場合、少しの脱保護により現像液に溶解しなくなるためにカルボキシル基を酸不安定基で置換した場合よりも高感度になり、溶解の傾き(γ)が高くなる。これによって、現像後のパターンの垂直性が向上し、フォーカスや露光量のマージンが拡大する。脱保護により環内にエーテル基を有するヒドロキシ基が発生するポリマーは、アルカリへの溶解性が低いためにアルカリ現像によってポジ型のパターンを得ることはできない。よってこれまで殆ど検討されていなかったが、本発明者らの検討によって有機溶剤の現像においてはヒドロキシ基が優れた極性変換基であることが判明した。
【0027】
イソソルバイド等のような酸素含有複素環のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物としては、下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5で表すことができる。
【化6】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【0028】
一般式(1)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、イソソルバイドの2つのヒドロキシ基の一方をメタクリル酸エステルで結合し、もう一方を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。イソソルバイドは1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール、ジアンヒドロ−D−グルシトールの2つの異性体があるが、どちらも用いることができる。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R1、R2は上記の通りである。
【0029】
【化7】
【0030】
一般式(2)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、アンヒドロエリトリトール、トレオース、リボース、アピオース、キシルロース、アラビノース、プシコース、リキソース、キシロース、フルクトース、アルトロース、2,6−アンヒドロ−1,5−ジデオキシヘキシトール、ソルボース、ガラクトース、グルコース、マンノース、タガトース、グロースのD体及びL体のヒドロキシ基の一つをメタクリル酸エステルで結合し、残りのヒドロキシ基を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R4、R8は上記の通りである。
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
一般式(3)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、ジオキサンジオール、ジオキサンジメタノール、1,3−ジヒドロキシアセトンダイマー、グリセルアルデヒドダイマーのヒドロキシ基の一つをメタクリル酸エステルで結合し、残りのヒドロキシ基を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R9、R13は上記の通りである。
【0034】
【化10】
【0035】
一般式(4)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R14、R17は上記の通りである。
【0036】
【化11】
【0037】
一般式(5)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、1,3,5−O−メチリデン−myo−イノシトールのヒドロキシ基の一つをメタクリル酸エステルで結合し、残りのヒドロキシ基を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R18、R20は上記の通りである。
【0038】
【化12】
【0039】
本発明の上記一般式(1)で示される繰り返し単位を与える重合性エステル化合物は、例えば、下記反応式に示したスキームi)〜iv)により得ることができるが、これに限定されるものではない。
【化13】
(式中、R1、R2、R3は上記と同様である。Yはハロゲン原子、水酸基又は−OZを示す。Zはメチル基、エチル基又は下記式(1f)
【化14】
を示す。Xはハロゲン原子を示す。)
【0040】
ステップi)は、ジオール化合物(1a)と保護化剤(1b)との反応によりアルコール化合物(1c)へ導く工程である。
用いられるジオール化合物(1a)として、具体的にはイソソルビド、イソマンニド又はイソイディッドなどを用いることができるが、このうち、供給安定性及びコスト面でイソソルビドが特に好ましい。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できる。このうち取り扱いの容易さから、塩素原子が最も好ましい。
【0041】
反応は公知の方法により容易に進行するが、上記式(1c)中のR3が、下記式(1g)の場合、即ち保護化剤(1b)が下記式(1h)である場合は、
【化15】
(式中、Aは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Bは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Xは上記の通りである。)
例えば、無溶媒あるいは溶媒中、ジオール化合物(1a)、保護化剤(1h)、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
保護化剤(1h)の使用量は、ジオール化合物(1a)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0042】
用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相間移動触媒を添加してもよい。その場合の相間移動触媒の添加量は原料であるジオール化合物(1a)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では触媒費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0043】
上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりアルコール化合物(1c)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0044】
ステップii)は、エステル化剤(1d)とアルコール化合物(1c)との反応により本発明の重合性エステル化合物(1’)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(1d)としては、酸クロリド{式(1d)において、Yが塩素原子の場合}又はカルボン酸無水物{式(1d)において、Yが−OZで、Zが下記式(1f)の場合}
【化16】
が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1c)、メタクリル酸クロリド、メタクリロイルオキシ酢酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1c)とメタクリル酸無水物、メタクリロイルオキシ酢酸無水物等の対応するカルボン酸無水物、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
【0045】
ステップiii)は、エステル化剤(1d)とアルコール化合物(1a)との反応によりエステル化合物(1e)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(1d)としては、酸クロリド{式(1d)において、Yが塩素原子の場合}又はカルボン酸{式(1d)において、Yが水酸基の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中、アルコール化合物(1a)と、メタクリル酸クロリド、メタクリロイルオキシ酢酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1a)とメタクリル酸、メタクリロイルオキシ酢酸等の対応するカルボン酸を酸触媒の存在下加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除くなどして行うのがよい。用いる酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0046】
ステップiv)は、エステル化合物(1e)と保護化剤(1b)との反応により本発明の重合性エステル化合物(1’)へ導く工程である。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できる。このうち取り扱いの容易さから、塩素原子が最も好ましい。
反応は公知の方法により容易に進行するが、上記式(1)中のR3が、下記式(1g)の場合、即ち保護化剤(1b)が下記式(1h)である場合は、
【化17】
(式中、Aは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Bは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Xは上記の通りである。)
例えば、無溶媒あるいは溶媒中、エステル化合物(1e)、保護化剤(1h)、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
保護化剤(1h)の使用量は、エステル化合物(1e)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0047】
用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相間移動触媒を添加してもよい。その場合の相間移動触媒の添加量は原料であるエステル化合物(1e)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では原料費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0048】
上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。
【0049】
本発明のパターン形成方法に用いられる高分子化合物としては、一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる酸不安定基で置換された特定のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を必須とするが、これ以外の酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含有する繰り返し単位bを共重合することもできる。繰り返し単位bを得るためのモノマーは具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R01は水素原子又はメチル基であり、Rは酸不安定基である。
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】
【化20】
【0053】
【化21】
【0054】
更に、繰り返し単位a1〜a5、bに加えて、下記に示すカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位cを共重合することもできる。
【化22】
(式中、R02は水素原子又はメチル基、Rは酸不安定基、Zは単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−R03−であり、R03は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基又はナフチレン基である。)
【0055】
ここで、繰り返し単位cを得るためのモノマーMcは、下記式で示される。
【化23】
(式中、R02、R、Zは前述と同様である。)
【0056】
繰り返しモノマーMcのZを変えた構造は、具体的には下記式で示されるものを例示することができる。
【化24】
【0057】
一般式(1)〜(5)中のR3、R8、R13、R17、R20、あるいはRで示される酸不安定基は種々選定され、互いに同一であっても異なっていてもよいが、特に下記式(AL−10)で示される基、下記式(AL−11)で表されるアセタール基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【化25】
【0058】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R52とR53、R52とR54、又はR53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、又はR56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0059】
式(AL−10)に示される基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【化26】
【0060】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0061】
前記式(AL−11)で示されるアセタール基を(AL−11)−1〜(AL−11)−112に例示する。
【化27】
【0062】
【化28】
【0063】
【化29】
【0064】
【化30】
【0065】
【化31】
【0066】
【化32】
【0067】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化33】
【0068】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0069】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0070】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−113〜(AL−11)−120のものが挙げられる。
【化34】
【0071】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【化35】
【0072】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R64同士が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0073】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17のR64は前述と同様、R68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0〜3の整数である。(AL−12)−17は酸不安定基R3、R8、R13、R17、R20、Rの全てに適用される。
【化36】
【0074】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【化37】
【0075】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5と、場合によっては繰り返し単位bあるいはcの酸不安定基を有する繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸エステル基、ジスルホン基、カーボネート基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位dを共重合させてもよい。これらの中で、ラクトン環を密着性基として有するものが最も好ましく用いられる。
繰り返し単位dを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0076】
【化38】
【0077】
【化39】
【0078】
【化40】
【0079】
【化41】
【0080】
【化42】
【0081】
【化43】
【0082】
【化44】
【0083】
【化45】
【0084】
【化46】
【0085】
【化47】
【0086】
【化48】
【0087】
【化49】
【0088】
【化50】
【0089】
【化51】
【0090】
【化52】
【0091】
【化53】
【0092】
【化54】
【0093】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩(e1)〜(e3)のいずれかを共重合することもできる。
【化55】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0≦e1+e2+e3≦0.3の範囲である。)
【0094】
上記繰り返し単位以外には、特開2008−281980号公報に記載の非脱離性炭化水素基fを挙げることができる。特開2008−281980号公報に記載されていない非脱離性炭化水素基としてはインデン類、アセナフチレン類、ノルボルナジエン類を重合体として挙げることができる。
【0095】
上記繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、c、d、e1、e2、e3、fにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0≦a5<1.0、0<a1+a2+a3+a4+a5<1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0、0<d<1.0、0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0≦e1+e2+e3≦0.3、0≦f<0.4、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0≦a3≦0.9、0≦a4≦0.9、0≦a5≦0.9、0.1≦a1+a2+a3+a4+a5≦0.9、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.9、0≦e1≦0.2、0≦e2≦0.2、0≦e3≦0.2、0≦e1+e2+e3≦0.2、0≦f<0.3の範囲である。なお、a1+a2+a3+a4+a5+b+c+d+e1+e2+e3+f=1である。
【0096】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、テトラヒドロフラン(THF)溶液によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0097】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0098】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含まないポリマーあるいは繰り返し単位a1〜a5以外のヒドロキシ基で置換された繰り返し単位、例えば繰り返し単位bやcを有するポリマーとブレンドすることも可能である。
【0099】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、c、d、e1、e2、e3、fを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0100】
更には、アルカリ現像によって露光部が溶解する従来型の(メタ)アクリレートポリマー、ポリノルボルネン、シクロオレフィン無水マレイン酸共重合体、ROMPなどをブレンドすることも可能であるし、アルカリ現像によって露光部は溶解しないが、有機溶剤現像でネガパターンを形成することができるヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートポリマーをブレンドすることもできる。
【0101】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール類、その他の成分を含有することができる。
【0102】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅ポジ型レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、酸不安定基が脱保護し易いアセタールの場合は必ずしもα位がフッ素化されている必要はない。ここで、より好ましくは、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することが好ましい。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位e1、e2、e3を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0103】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタールの脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0104】
塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
【0105】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0106】
特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、及び特許第3991462号公報、特開2008−158339号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして用いることもできる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸はカルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないために、クエンチャーとして機能する。これだけでなく、α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のオニウム塩は、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸との塩交換によってα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のる酸発生剤に変わる。露光量の増大に従って、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の発生と、スルホニウム塩との塩交換が数限りなく繰り返される。露光の最後にスルホン酸、イミド酸、メチド酸が発生する場所は、最初のスルホン酸、イミド酸、メチド酸のスルホニウム塩が存在している場所とは異なってくる。光による酸の発生と塩交換と酸の発生のサイクルが何度も繰り返されることによって酸の発生ポイントが平均化され、これによって現像後のレジストパターンのエッジラフネスが小さくなる。
α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩は光分解性があるために、光強度が強い部分のクエンチ能が低下すると共にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の濃度が増加する。これによって露光部分のコントラストが向上する。有機溶剤によるネガティブトーンの形成において、露光部のコントラストが向上すると、ネガティブパターンの矩形性が向上する。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩はα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の拡散を抑える効果も高い。これは、交換後のオニウム塩の分子量が大きいために、動きにくくなっていることによる。ネガティブ現像でホールパターンを形成する場合は、酸の発生領域が多いために、露光部分から未露光部分に拡散していく酸の制御が重要である。このため、α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩や、酸によってアミン化合物が発生するカルバメート化合物の添加は、酸拡散の制御の観点から重要である。
酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタールである場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。この時のクエンチャーとしてはカルボン酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
【0107】
界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0108】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0109】
上記ポジ型レジスト組成物は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を溶解する一方、露光部分が膜として残り、ホールやトレンチ等のネガティブトーンのレジストパターンを形成する。
【0110】
本発明に係るパターニング方法は、図1に示される。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0111】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV、電子ビーム(EB)が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有するモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0112】
保護膜形成用組成物にアミン化合物又はアミン塩を配合あるいはアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を用いることは、フォトレジストの露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜材料としては特開2008−3569号公報記載の材料、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜材料としては特開2007−316448号公報記載の材料を用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記フォトレジスト添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0113】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特にネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことが起きる。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。一方、カルボキシル基やスルホ基等の酸化合物を添加、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースとした保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0114】
このように、本発明においては、酸不安定基で置換された一般式(1)〜(5)に示す特定のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることが好ましく、この場合、保護膜を形成する材料として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとしてアミノ基又はアミン塩を有する化合物を添加した材料、あるいは前記高分子化合物中にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した材料をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料を用いることが好ましい。
【0115】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位としては、[化50]、[化51]、[化53]で示したモノマーの一部分、[化52]で示したモノマーの全てを挙げることができる。
アミノ基を有する化合物としては、フォトレジスト組成物に添加される特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のアミン化合物を用いることができる。
アミン塩を有する化合物としては、前記アミン化合物のカルボン酸塩又はスルホン酸塩を用いることができる。
炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールを挙げることができる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができる。
【0116】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0117】
更に、図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。この時の現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類を好ましく用いることができる。
【0118】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0119】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0120】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0121】
ここで、本発明においては、ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することが好ましく、格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
以下、更に詳述する。
【0122】
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。
図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0123】
X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明を組み合わせた露光は、最も高コントラストの光が形成される方法であるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。マスクを交換しながら2回の露光を連続して行うためには、露光装置側のマスクのステージを2つ設ける必要があるが、現在の露光装置のマスクのステージは1つである。この場合、1枚露光する毎にマスクを交換するのではなく、FOUP(ウエハーケース)に入った25枚ウエハーをX方向のラインの露光を連続して行い、次にマスクを交換して同じ25枚のウエハーを連続してY方向のラインの露光を行う方がスループットを上げることができる。しかしながら、25枚のウエハーの最初のウエハーが次の露光されるまでの時間が長くなることによって環境の影響で現像後のレジストの寸法や形状が変化してしまう問題が生じる。2回目の露光までのウエハー待機中の環境の影響を遮断するために、レジストの上層に保護膜を敷くことが有効である。
マスクを1枚で済ませるために、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。この方法では、前述の2枚のマスクを用いる方法に比べると光学コントラストが若干低下するが、1枚のマスクを用いることができるためにスループットが向上する。前述の非特許文献1では、格子状のパターンのマスクを用いてX方向のダイポール照明によってX方向のラインを形成し、光照射によってX方向のラインを不溶化し、この上にもう一度フォトレジストを塗布し、Y方向のダイポール照明によってY方向のラインを形成し、X方向のラインとY方向のラインの隙間にホールパターンを形成している。この方法では、マスクは1枚で済むが、2回の露光の間に1回目のフォトレジストパターンの不溶化処理と2回目のフォトレジストの塗布と現像のプロセスが入るために、2回の露光間にウエハーが露光ステージから離れ、この時にアライメントエラーが大きくなる問題が生じる。2回の露光間のアライメントエラーを最小にするためには、ウエハーを露光ステージから離さずに連続して2回の露光を行う必要がある。格子状のパターンのマスクを用いてX方向(水平方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図18、Y方向(垂直方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図19に示される。ダイポール照明にs偏光照明を加えると更にコントラストが向上するので好ましく用いられる。格子状のマスクを用いてX方向のラインとY方向のラインを形成する2回の露光を重ねて行ってネガティブトーンの現像を行うと、ホールパターンが形成される。
格子状のマスクを用いて1回の露光でホールパターンを形成する場合は、図20に示されるアパチャー形状の4重極照明(クロスポール照明)を用いる。これにX−Y偏光照明あるいは円形偏光のAzimuthally偏光照明を組み合わせてコントラストを向上させる。
【0124】
本発明のホールパターンの形成方法では、露光を2回行う場合、1回目の露光と2回目の露光の照明とマスクを変更して露光を行う方法が最も高コントラストで微細なパターンを寸法均一性よく形成できる。1回目の露光と2回目の露光に用いられるマスクは1回目のラインパターンと2回目のラインとが交差した交点に現像後のレジストのホールパターンを形成する。1回目のラインと2回目のラインの角度は直交が好ましいが、90度以外の角度でも構わなく、1回目のラインの寸法と2回目のラインの寸法やピッチが同じであっても異なってもよい。1回目のラインと、これと異なる位置に2回目のラインが1枚のマスクに有するマスクを用いて1回目の露光と2回目の露光を連続露光することも可能であるが、この場合露光できる最大の面積が半分になる。但し連続露光を行う場合は、アライメントエラーを最小にすることができる。もちろん1回の露光では、2回の連続露光よりもアライメントのエラーを小さくすることができる。
1枚のマスクを用いて、露光面積を縮小することなく2回の露光を行うためには、マスクパターンとしては、図5に示される格子状のパターンを用いる場合、図7に示されるドットパターンを用いる場合、図11に示されるドットパターンと格子状パターンを組み合わせる場合がある。
格子状のパターンを用いる方が最も光のコントラストが向上するが、光の強度が低下するためにレジストの感度が低下する欠点がある。一方ドットパターンを用いる方法は光のコントラストが低下するが、レジストの感度が向上するメリットがある。
ホールパターンが水平と垂直方向に配列されている場合は前記の照明とマスクパターンを用いるが、これ以外の角度例えば45度の方向に配列している場合は、45度に配列しているパターンのマスクとダイポール照明あるいはクロスポール照明を組み合わせる。
2回の露光を行う場合はX方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた露光と、Y方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた2回の露光を行う。1枚のマスクを用いてX方向とY方向のコントラストを強調した2回の連続した露光は、現在の市販のスキャナーで行うことが可能である。
格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせる方法は、2回のダイポール照明の露光に比べると若干光のコントラストが低下するものの1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0125】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように、非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6では、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0126】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストが図8に示される。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低くなるものの、黒い遮光部分が存在するためにホールパターンの形成は可能である。
【0127】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0128】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0129】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクの光学像のコントラストイメージが図10に示される。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0130】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージが図12に示される。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0131】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【0132】
現像後にホールパターンやトレンチパターンを縮小させるためのプロセスを加えることもできる。例えば現像後のパターンを加熱することによってパターンの熱フローを起こしてシュリンクさせるサーマルフロープロセスや、現像後のパターン上にシュリンク材を塗布し、ベーク後にシュリンク材を剥離してパターン表面にシュリンク材を付着させるRELACSTM法を挙げることができる。
【実施例】
【0133】
以下、合成例、実施例、比較例、参考例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、分子量及び分散度はテトラヒドロフラン(THF)溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。なお、分子量及び分散度はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0134】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてTHF溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(レジストポリマー1〜16及び比較レジストポリマー1、ブレンドレジストポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0135】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化56】
【0136】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化57】
【0137】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化58】
【0138】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化59】
【0139】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化60】
【0140】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化61】
【0141】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化62】
【0142】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.55
【化63】
【0143】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化64】
【0144】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化65】
【0145】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=10,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化66】
【0146】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化67】
【0147】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化68】
【0148】
レジストポリマー14
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化69】
【0149】
レジストポリマー15
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化70】
【0150】
レジストポリマー16
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化71】
【0151】
比較レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化72】
【0152】
ブレンドレジストポリマー1
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化73】
【0153】
ブレンドレジストポリマー2
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.59
【化74】
【0154】
[実施例、比較例]
ポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性保護膜形成用組成物の調製
高分子化合物(レジストポリマー及び保護膜ポリマー1)を用いて、下記表1に示す組成で溶解させた溶液及び下記表2に示す組成の保護膜形成用組成物溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0155】
下記表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1〜7(下記構造式参照)
【化75】
【0156】
保護膜ポリマー1
分子量(Mw)=9,200
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化76】
【0157】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化77】
【0158】
塩基性化合物:Quencher1〜9(下記構造式参照)
【化78】
【0159】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0160】
ArF露光パターニング評価(1)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜ARC−29Aを80nmの膜厚で作製した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−305B、NA0.68、σ0.73)で0.2mJ/cm2ステップで露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行った。露光後90℃で60秒間ベーク(PEB)し、表1に示す現像液(有機溶剤)で60秒間パドル現像を行った後、4−メチル−2−ペンタノールを用いて500rpmでリンスし、その後、2,000rpmでスピンドライし、100℃で60秒間ベークしてリンス液を蒸発させた。PEBまでを前述と同じプロセスを行い、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液での現像も行った。PEB後の膜厚、有機溶剤現像後の膜厚、TMAH水溶液現像後の膜厚を測定し、露光量と膜厚の関係(コントラストカーブ)を求め、露光部の現像による膜減り量と傾き(γ)を求めた。
コントラストカーブの結果を図15、図16に、膜減り量とγを表3に示す。本発明のレジストは、有機溶剤現像前後の膜減り量が少なく、コントラスト(γ)が大きい特徴を有する。
【0161】
ArF露光パターニング評価(2)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に、場合によって表2に示す保護膜1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図17に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。ホールパターンの断面形状を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡S−4300で観察した。結果を表4に示す。本発明のレジストは有機溶剤現像後のパターンの寸法均一性に優れ、垂直なパターンを得ることができる。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
ArF露光パターニング評価(3)
表5に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表5に記載の温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから安息香酸メチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、キシレンでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0167】
【表5】
【0168】
ArF露光パターニング評価(4)
表6に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表6に記載の温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表6に示す。
【0169】
【表6】
【0170】
ArF露光パターニング評価(5)
表7に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのX方向のラインが配列されたマスク)を用い、これに適合したダイポール照明で第1回目の露光を行い、次いで6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのY方向のラインが配列されたマスクを用い、これに適合したダイポール照明で第2回目の露光を行い、露光後表7に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表7に示す。
【0171】
【表7】
【0172】
ArF露光パターニング評価(6)
表8に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表8に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表8に示す溶剤を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表8に示す。
【0173】
【表8】
【0174】
[参考例]
本発明の重合性エステル化合物を以下に示す処方で合成した。
モノマー1の合成
【化79】
(式中、Meはメチル基を示す。)
【0175】
[原料アルコール1の合成]
イソソルビド103g、N,N−ジイソプロピルエチルアミン91g、アセトニトリル36g、THF40gを混合して40℃に加熱し、メトキシメチルクロリド14.2gを滴下した。40℃にて10時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。通常の水系後処理の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、原料アルコール1を51g得た(収率89%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=58モル%:42モル%であった。
【0176】
[モノマー1の合成]
得られた原料アルコール1の13.8g、ピリジン9.2g、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.88gをトルエン350mLに溶解し、50℃〜60℃にてメタクリル酸無水物12.8gを滴下した。60℃で一昼夜撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、モノマー1を17.9g(収率96%)得た。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=57モル%:43モル%であった。
沸点:100−102℃/14Pa。
IR(D−ATR):ν=2953、2888、1721、1637、1454、1403、1379、1316、1297、1163、1103、1040、917cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=6.03(1H、s)、5.70(1H、m)、5.06(1H、d)、4.59−4.66(3H、m)、4.46(1H、d)、4.12−4.18(1H、m)、3.65−3.93(3H)、3.48(1H、t)、3.25(2H、s)、1.87(3H、m)ppm。
【0177】
モノマー2の合成
【化80】
【0178】
[原料アルコール2の合成]
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤1を使用した以外は原料アルコール1と同様な方法で原料アルコール2を得た(収率82%)。
【0179】
[モノマー2の合成]
原料アルコール1の代わりに原料アルコール2を使用した以外はモノマー1と同様な方法でモノマー2を得た(収率97%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=54モル%:46モル%であった。
沸点:122−124℃/15Pa。
IR(D−ATR):ν=2955、2870、1722、1637、1480、1466、1398、1363、1316、1298、1166、1108、1067、1045、939cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=6.00(1H、s)、5.68(1H、m)、5.03(1H、d)、4.64−4.71(2H、m)、4.59(1H、t)、4.44(1H、d)、4.12−4.17(1H、m)、3.76−3.93(2H)、3.45(1H、t)、3.08−3.17(2H、m)、1.83(3H、s)、0.85(9H、s)ppm。
【0180】
モノマー3の合成
【化81】
【0181】
[原料アルコール3の合成]
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤2を使用した以外は原料アルコール1と同様な方法で原料アルコール3を得た(収率89%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=61モル%:39モル%であった。
IR(D−ATR):ν=3429、2950、2871、1461、1373、1170、1113、1039、921、885、844、775、606cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=5.11(1H、d)、4.69(1H、m)、4.61(1H、m)、4.56(1H、m)、4.22−4.25(2H)、4.02(1H、m)、3.65−3.79(3H)、3.41(1H、m)、3.19(1H、d)、1.54−1.67(3H)、1.46(1H、m)、1.35(1H、m)、0.88−1.10(2H)、1.02(3H、s)、0.99(3H、s)、0.82(3H、s)ppm。
【0182】
[モノマー3の合成]
原料アルコール1の代わりに原料アルコール3を使用した以外はモノマー1と同様な方法でモノマー3を得た(収率98%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=63モル%:37モル%であった。
IR(D−ATR):ν=2953、2872、1723、1460、1374、1317、1298、1162、1102、1080、1039、1006、939、886、813、650cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=6.03(1H、s)、5.70(1H、m)、5.06(1H、d)、4.60−4.76(3H)、4.46(1H、m)、4.29(1H、m)、3.73−3.93(3H)、3.54(1H、m)、3.21(1H、m)、1.87(3H、m)、1.55−1.63(3H)、1.47(1H、m)、1.35(1H、m)、0.88−1.10(2H)、1.03(3H、s)、0.99(3H、s)、0.82(3H、s)ppm。
【0183】
モノマー4の合成
【化82】
【0184】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤3を使用した以外は原料アルコール1、モノマー1と同様な方法でモノマー4を得た(二工程収率66%)。
【0185】
モノマー5の合成
【化83】
【0186】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤4を使用した以外は原料アルコール1、モノマー1と同様な方法でモノマー5を得た(二工程収率62%)。
【0187】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0188】
10 基板
20 被加工基板
30 中間介在層
40 レジスト膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光後、酸と熱によって脱保護反応を行い、特定の有機溶剤による現像によって未露光部分が溶解し、露光部分が溶解しないネガティブトーンを形成するためのパターン形成方法、及びこれを実現するためのレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光では、光源の波長に由来する本質的な解像度の限界に近づきつつある。レジストパターン形成の際に使用する露光光として、1980年代には水銀灯のg線(436nm)もしくはi線(365nm)を光源とする光露光が広く用いられた。更なる微細化のための手段として、露光波長を短波長化する方法が有効とされ、1990年代の64Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)以降の量産プロセスには、露光光源としてi線(365nm)に代わって短波長のKrFエキシマレーザー(248nm)が利用された。しかし、更に微細な加工技術(加工寸法が0.2μm以下)を必要とする集積度256M及び1G以上のDRAMの製造には、より短波長の光源が必要とされ、10年ほど前からArFエキシマレーザー(193nm)を用いたフォトリソグラフィーが本格的に検討されてきた。当初ArFリソグラフィーは180nmノードのデバイス作製から適用されるはずであったが、KrFリソグラフィーは130nmノードデバイス量産まで延命され、ArFリソグラフィーの本格適用は90nmノードからである。更に、NAを0.9にまで高めたレンズと組み合わせて65nmノードデバイスが量産された。次の45nmノードデバイスには露光波長の短波長化が推し進められ、波長157nmのF2リソグラフィーが候補に挙がった。しかしながら、投影レンズに高価なCaF2単結晶を大量に用いることによるスキャナーのコストアップ、ソフトペリクルの耐久性が極めて低いためのハードペリクル導入に伴う光学系の変更、レジスト膜のエッチング耐性低下等の種々問題により、F2リソグラフィーの開発が中止され、ArF液浸リソグラフィーが導入された。
【0003】
ArF液浸リソグラフィーにおいては、投影レンズとウエハーの間に屈折率1.44の水がパーシャルフィル方式によって挿入され、これによって高速スキャンが可能となり、NA1.3級のレンズによって45nmノードデバイスの量産が行われている。
【0004】
32nmノードのリソグラフィー技術としては、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィーが候補に挙げられている。EUVリソグラフィーの問題点としてはレーザーの高出力化、レジスト膜の高感度化、高解像度化、低エッジラフネス(LER、LWR)化、無欠陥MoSi積層マスク、反射ミラーの低収差化等が挙げられ、克服すべき問題が山積している。
【0005】
32nmノードのもう一つの候補の高屈折率液浸リソグラフィーは、高屈折率レンズ候補であるLUAGの透過率が低いことと、液体の屈折率が目標の1.8に届かなかったことによって開発が中止された。
【0006】
ここで、最近注目を浴びているのは1回目の露光と現像でパターンを形成し、2回目の露光で1回目のパターンの丁度間にパターンを形成するダブルパターニングプロセスである。ダブルパターニングの方法としては多くのプロセスが提案されている。例えば、1回目の露光と現像でラインとスペースが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、ドライエッチングで下層のハードマスクを加工し、その上にハードマスクをもう1層敷いて1回目の露光のスペース部分にフォトレジスト膜の露光と現像でラインパターンを形成してハードマスクをドライエッチングで加工して初めのパターンのピッチの半分のラインアンドスペースパターンを形成する方法である。また、1回目の露光と現像でスペースとラインが1:3の間隔のフォトレジストパターンを形成し、下層のハードマスクをドライエッチングで加工し、その上にフォトレジスト膜を塗布してハードマスクが残っている部分に2回目のスペースパターンを露光しハードマスクをドライエッチングで加工する。いずれも2回のドライエッチングでハードマスクを加工する。
【0007】
ラインパターンに比べてホールパターンは微細化が困難である。従来法で細かなホールを形成するために、ポジ型レジスト膜にホールパターンマスクを組み合わせてアンダー露光で形成しようとすると、露光マージンが極めて狭くなってしまう。そこで、大きなサイズのホールを形成し、サーマルフローやRELACSTM法等で現像後のホールをシュリンクする方法が提案されている。しかしながら、現像後のパターンサイズとシュリンク後のサイズの差が大きく、シュリンク量が大きいほど制御精度が低下する問題がある。また、ホールシュリンク法ではホールのサイズは縮小可能であるがピッチを狭くすることはできない。
【0008】
ポジ型レジスト膜を用いてダイポール照明によりX方向のラインパターンを形成し、レジストパターンを硬化させ、その上にもう一度レジスト組成物を塗布し、ダイポール照明でY方向のラインパターンを露光し、格子状ラインパターンの隙間よりホールパターンを形成する方法(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004))が提案されている。高コントラストなダイポール照明によるX、Yラインを組み合わせることによって広いマージンでホールパターンを形成できるが、上下に組み合わされたラインパターンを寸法精度高くエッチングすることは難しい。X方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクとY方向ラインのレベンソン型位相シフトマスクを組み合わせてネガ型レジスト膜を露光してホールパターンを形成する方法が提案されている(非特許文献2:IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996))。但し、架橋型ネガ型レジスト膜は超微細ホールの限界解像度がブリッジマージンで決まるために、解像力がポジ型レジスト膜に比べて低い欠点がある。
【0009】
X方向のラインとY方向のラインの2回露光を組み合わせて露光し、これを画像反転によってネガパターンにすることによって形成されるホールパターンは、高コントラストなラインパターンの光を用いることによって形成が可能であるために、従来の方法よりもより狭ピッチでかつ微細なホールを開口できる。
【0010】
非特許文献3(Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009))では、以下3つの方法による画像反転によるホールパターンの作製が報告されている。
即ち、ポジ型レジスト組成物のX、Yラインのダブルダイポールの2回露光によりドットパターンを作製し、この上にLPCVDでSiO2膜を形成し、O2−RIEでドットをホールに反転させる方法、加熱によってアルカリ可溶で溶剤不溶になる特性のレジスト組成物を用いて同じ方法でドットパターンを形成し、この上にフェノール系のオーバーコート膜を塗布してアルカリ現像によって画像反転させてホールパターンを形成する方法、ポジ型レジスト組成物を用いてダブルダイポール露光、有機溶剤現像による画像反転によってホールを形成する方法である。
【0011】
ここで、有機溶剤現像によるネガパターンの作製は古くから用いられている手法である。環化ゴム系のレジスト組成物はキシレン等のアルケンを現像液として用いており、ポリ−t−ブトキシカルボニルオキシスチレンベースの初期の化学増幅型レジスト組成物はアニソールを現像液としてネガパターンを得ていた。
【0012】
近年、有機溶剤現像が再び脚光を浴びている。ポジティブトーンでは達成できない非常に微細なホールパターンをネガティブトーンの露光で解像するために、解像性の高いポジ型レジスト組成物を用いた有機溶剤現像でネガパターンを形成するのである。更に、アルカリ現像と有機溶剤現像の2回の現像を組み合わせることにより、2倍の解像力を得る検討も進められている。
【0013】
有機溶剤によるネガティブトーン現像用のArFレジスト組成物としては、従来型のポジ型ArFレジスト組成物を用いることができ、特許文献1〜3(特開2008−281974号公報、特開2008−281975号公報、特許第4554665号公報)にパターン形成方法が示されている。
これらの出願において、ヒドロキシアダマンタンメタクリレートを共重合、ノルボルナンラクトンメタクリレートを共重合、あるいはカルボキシル基、スルホ基、フェノール基、チオール基等の酸性基を2種以上の酸不安定基で置換したメタクリレートを共重合した有機溶剤現像用レジスト組成物及びこれを用いたパターン形成方法が提案されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト膜上に保護膜を適用するパターン形成方法としては、特許文献4(特許第4590431号公報)に公開されている。
有機溶剤現像プロセスにおいて、レジスト組成物としてスピンコート後のレジスト膜表面に配向して撥水性を向上させる添加剤を用いて、トップコートを用いないパターン形成方法としては、特許文献5(特開2008−309879号公報)に示されている。
【0014】
上記の出願は従来型のレジスト組成物を用いて有機溶剤によってネガパターンを得るというものであるが、有機溶剤現像におけるコントラストはそれほど高いものではなく、コントラスト向上のために有機溶剤専用のレジスト組成物を開発する必要がある。
【0015】
イソソルバイドのモノメタクリレートを共重合したポジ型レジスト組成物が特許文献6,7(特許第4188058号公報、特開2004−240387号公報)に紹介されている。ここでは、イソソルバイドのモノメタクリレートは酸不安定基を有するメタクリレートとラクトンを有するメタクリレートとを共重合することによってアルカリ水の現像によってポジ型パターンを得ている。特許文献8(特開平10−101508号公報)にはマンノースのモノメタクリレートを共重合した親水性の病原性微生物吸着材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008−281974号公報
【特許文献2】特開2008−281975号公報
【特許文献3】特許第4554665号公報
【特許文献4】特許第4590431号公報
【特許文献5】特開2008−309879号公報
【特許文献6】特許第4188058号公報
【特許文献7】特開2004−240387号公報
【特許文献8】特開平10−101508号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Proc. SPIE Vol. 5377, p.255 (2004)
【非特許文献2】IEEE IEDM Tech. Digest 61 (1996)
【非特許文献3】Proc. SPIE Vol. 7274, p.72740N (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
脱保護反応によって酸性のカルボキシル基などが生成し、アルカリ現像液に溶解するポジ型レジストシステムに比べると、有機溶剤現像の溶解コントラストは低い。アルカリ現像液の場合、未露光部と露光部のアルカリ溶解速度の割合は1,000倍以上の違いがあるが、有機溶剤現像の場合10倍程度の違いしかない。アルカリ水現像の場合はカルボキシル基との中和反応によって溶解速度が向上するが、有機溶剤現像の場合は反応を伴うことがなく、溶媒和による溶解だけなので溶解速度が低い。未露光部の溶解速度の向上だけでなく、膜が残る部分の露光領域での溶解速度を低くすることも必要である。露光部分の溶解速度が大きいと残膜厚が低くなって、現像後のパターンのエッチングによる下地の加工ができなくなる。更には、溶解から不溶解になる露光量に対する傾き(γ)を高くすることが重要である。γが低いと逆テーパー形状になり易く、ラインパターンではパターン倒れが生じ好ましくない。垂直なパターンを得るためには、なるべく高γの溶解コントラストである必要がある。
【0019】
前述の特許文献1〜6には、従来型のアルカリ水溶液現像型のフォトレジスト組成物が記載されているが、これらの有機溶剤現像における溶解コントラストは低い。露光部と未露光部の溶解速度差を大きくし、かつ溶解のコントラスト(γ)を高くするための新規な材料開発が望まれている。
ネガティブ現像でホールを形成しようとする場合、ホールの外側は光が当たっており、酸が過剰に発生している。酸がホールの内側に拡散してくるとホールが開口しなくなるため、酸拡散の制御も重要である。
【0020】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、有機溶剤現像において溶解コントラストが大きく、かつ高感度なフォトレジスト組成物及び有機溶剤による現像によってポジネガ反転によるホールパターンを形成することが可能なパターン形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、イソソルバイド等のような酸素含有複素環のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物を用いることによって、有機溶剤現像における溶解コントラストが向上し、ポジネガ反転によって得られたホールパターンの感度、及び寸法均一性及びパターンの形状が向上することを見出した。
【0022】
従って、本発明は、下記のパターン形成方法及びレジスト組成物を提供する。
〔1〕
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物、又は下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位と下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上とを有する高分子化合物と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化2】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
〔2〕
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする〔1〕に記載のパターン形成方法。
〔3〕
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のパターン形成方法。
〔4〕
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔5〕
波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔4〕に記載のパターン形成方法。
〔6〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔7〕
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔8〕
前記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有するいずれかの繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔9〕
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔10〕
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔11〕
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
〔12〕
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する〔11〕に記載のレジスト組成物。
〔13〕
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する〔11〕又は〔12〕に記載のレジスト組成物。
〔14〕
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載のレジスト組成物。
〔15〕
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位及び下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化4】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化5】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
〔16〕
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する〔15〕に記載のレジスト組成物。
〔17〕
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する〔15〕又は〔16〕に記載のレジスト組成物。
【発明の効果】
【0023】
イソソルバイド等のような単糖類のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物と酸発生剤とを含むフォトレジスト膜は、有機溶剤による現像におけるポジネガ反転の画像形成において、未露光部分の溶解性が高く、露光部分の溶解性が低く、溶解コントラストが高い特徴を有する。このフォトレジスト膜を用いて露光し、有機溶剤現像を行うことによって、微細なホールパターンを寸法制御よくかつ高感度で形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るパターニング方法を説明するもので、(A)は基板上にフォトレジスト膜を形成した状態の断面図、(B)はフォトレジスト膜に露光した状態の断面図、(C)は有機溶剤で現像した状態の断面図である。
【図2】波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
【図3】同Y方向ラインの光学像を示す。
【図4】図3のY方向ラインと図2のX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージを示す。
【図5】格子状のパターンが配されたマスクを示す。
【図6】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。
【図7】NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクである。
【図8】同マスクにおける光学像コントラストである。
【図9】ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置したマスクを示す。
【図10】図9のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図11】ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、ドットを形成したい部分に太いドットを配置したマスクを示す。
【図12】図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図13】格子状パターンが配列されていないマスクを示す。
【図14】図13のマスクにおける光学像のコントラストイメージを示す。
【図15】実施例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図16】比較例1−1における露光量と膜厚との関係を示すグラフである。
【図17】ArF露光パターニング評価(2)で用いた格子状マスクを示す。
【図18】X方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図19】Y方向のラインのコントラストを向上させるダイポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【図20】X方向とY方向の両方のラインのコントラストを向上させるクロスポール照明の露光機のアパチャー形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、上述したようにイソソルバイド等のような単糖類のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物をベースとするフォトレジスト組成物を塗布し、プリベークにより不要な溶剤を除去してレジスト膜を形成し、高エネルギー線を露光し、露光後加熱し、有機溶剤現像液で現像してネガ型パターンを得るポジネガ反転を用いたパターン形成方法及びレジスト組成物を提供するものである。
【0026】
一般的にカルボキシル基含有のポリマーに比べて、ヒドロキシ基含有のポリマーの方が、有機溶剤への溶解性が低い。酸による脱離反応で、カルボキシル基が発生するポリマーよりも、ヒドロキシ基が発生するポリマーの方が脱保護後の有機溶剤への溶解性が低くなるためにパターンの残膜が多くなる。単なるヒドロキシ基よりも環内にエーテル基を有するイソソルバイドのような単糖類の場合は、親水性が非常に高いために脱保護後の現像液溶剤溶解性が更に低下するため、露光部の残膜性が向上する。この場合、少しの脱保護により現像液に溶解しなくなるためにカルボキシル基を酸不安定基で置換した場合よりも高感度になり、溶解の傾き(γ)が高くなる。これによって、現像後のパターンの垂直性が向上し、フォーカスや露光量のマージンが拡大する。脱保護により環内にエーテル基を有するヒドロキシ基が発生するポリマーは、アルカリへの溶解性が低いためにアルカリ現像によってポジ型のパターンを得ることはできない。よってこれまで殆ど検討されていなかったが、本発明者らの検討によって有機溶剤の現像においてはヒドロキシ基が優れた極性変換基であることが判明した。
【0027】
イソソルバイド等のような酸素含有複素環のヒドロキシ基の1つがメタクリルエステルとして結合し、残りのヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートの繰り返し単位を含む高分子化合物としては、下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5で表すことができる。
【化6】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【0028】
一般式(1)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、イソソルバイドの2つのヒドロキシ基の一方をメタクリル酸エステルで結合し、もう一方を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。イソソルバイドは1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール、ジアンヒドロ−D−グルシトールの2つの異性体があるが、どちらも用いることができる。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R1、R2は上記の通りである。
【0029】
【化7】
【0030】
一般式(2)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、アンヒドロエリトリトール、トレオース、リボース、アピオース、キシルロース、アラビノース、プシコース、リキソース、キシロース、フルクトース、アルトロース、2,6−アンヒドロ−1,5−ジデオキシヘキシトール、ソルボース、ガラクトース、グルコース、マンノース、タガトース、グロースのD体及びL体のヒドロキシ基の一つをメタクリル酸エステルで結合し、残りのヒドロキシ基を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R4、R8は上記の通りである。
【0031】
【化8】
【0032】
【化9】
【0033】
一般式(3)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、ジオキサンジオール、ジオキサンジメタノール、1,3−ジヒドロキシアセトンダイマー、グリセルアルデヒドダイマーのヒドロキシ基の一つをメタクリル酸エステルで結合し、残りのヒドロキシ基を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R9、R13は上記の通りである。
【0034】
【化10】
【0035】
一般式(4)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R14、R17は上記の通りである。
【0036】
【化11】
【0037】
一般式(5)の繰り返し単位を得るためのモノマーは、1,3,5−O−メチリデン−myo−イノシトールのヒドロキシ基の一つをメタクリル酸エステルで結合し、残りのヒドロキシ基を酸不安定基で置換した構造のモノマーである。具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R18、R20は上記の通りである。
【0038】
【化12】
【0039】
本発明の上記一般式(1)で示される繰り返し単位を与える重合性エステル化合物は、例えば、下記反応式に示したスキームi)〜iv)により得ることができるが、これに限定されるものではない。
【化13】
(式中、R1、R2、R3は上記と同様である。Yはハロゲン原子、水酸基又は−OZを示す。Zはメチル基、エチル基又は下記式(1f)
【化14】
を示す。Xはハロゲン原子を示す。)
【0040】
ステップi)は、ジオール化合物(1a)と保護化剤(1b)との反応によりアルコール化合物(1c)へ導く工程である。
用いられるジオール化合物(1a)として、具体的にはイソソルビド、イソマンニド又はイソイディッドなどを用いることができるが、このうち、供給安定性及びコスト面でイソソルビドが特に好ましい。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できる。このうち取り扱いの容易さから、塩素原子が最も好ましい。
【0041】
反応は公知の方法により容易に進行するが、上記式(1c)中のR3が、下記式(1g)の場合、即ち保護化剤(1b)が下記式(1h)である場合は、
【化15】
(式中、Aは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Bは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Xは上記の通りである。)
例えば、無溶媒あるいは溶媒中、ジオール化合物(1a)、保護化剤(1h)、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
保護化剤(1h)の使用量は、ジオール化合物(1a)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0042】
用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相間移動触媒を添加してもよい。その場合の相間移動触媒の添加量は原料であるジオール化合物(1a)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では触媒費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0043】
上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。反応混合物から通常の水系後処理(aqueous work−up)によりアルコール化合物(1c)を得ることができ、必要があれば蒸留、再結晶、クロマトグラフィー等の常法に従って精製することができる。
【0044】
ステップii)は、エステル化剤(1d)とアルコール化合物(1c)との反応により本発明の重合性エステル化合物(1’)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(1d)としては、酸クロリド{式(1d)において、Yが塩素原子の場合}又はカルボン酸無水物{式(1d)において、Yが−OZで、Zが下記式(1f)の場合}
【化16】
が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1c)、メタクリル酸クロリド、メタクリロイルオキシ酢酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸無水物を用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1c)とメタクリル酸無水物、メタクリロイルオキシ酢酸無水物等の対応するカルボン酸無水物、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
【0045】
ステップiii)は、エステル化剤(1d)とアルコール化合物(1a)との反応によりエステル化合物(1e)へ導く工程である。
反応は公知の方法により容易に進行するが、エステル化剤(1d)としては、酸クロリド{式(1d)において、Yが塩素原子の場合}又はカルボン酸{式(1d)において、Yが水酸基の場合}が好ましい。酸クロリドを用いる場合は、無溶媒あるいは塩化メチレン、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒中、アルコール化合物(1a)と、メタクリル酸クロリド、メタクリロイルオキシ酢酸クロリド等の対応する酸クロリド、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。また、カルボン酸を用いる場合は、トルエン、ヘキサン等の溶媒中、アルコール化合物(1a)とメタクリル酸、メタクリロイルオキシ酢酸等の対応するカルボン酸を酸触媒の存在下加熱し、必要に応じて生じる水を系外に除くなどして行うのがよい。用いる酸触媒としては例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸類、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0046】
ステップiv)は、エステル化合物(1e)と保護化剤(1b)との反応により本発明の重合性エステル化合物(1’)へ導く工程である。
Xのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を例示できる。このうち取り扱いの容易さから、塩素原子が最も好ましい。
反応は公知の方法により容易に進行するが、上記式(1)中のR3が、下記式(1g)の場合、即ち保護化剤(1b)が下記式(1h)である場合は、
【化17】
(式中、Aは水素原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Bは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基を示す。Xは上記の通りである。)
例えば、無溶媒あるいは溶媒中、エステル化合物(1e)、保護化剤(1h)、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン等の塩基を順次又は同時に加え、必要に応じ、冷却あるいは加熱するなどして行うのがよい。
保護化剤(1h)の使用量は、エステル化合物(1e)1モルに対し0.5〜10モル、特に1.0〜3.0モルとすることが好ましい。0.5モル未満の使用では原料が大量に残存するため収率が大幅に低下する場合があり、10モルを超える使用では使用原料費の増加、釜収率の低下などによりコスト面で不利となる場合がある。
【0047】
用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリルなどのニトリル類;メタノール、エタノールなどのアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性極性溶媒;水から選択して単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。反応には、触媒として、硫酸水素テトラブチルアンモニウムなどの相間移動触媒を添加してもよい。その場合の相間移動触媒の添加量は原料であるエステル化合物(1e)1モルに対し0.0001〜1.0モル、特に0.001〜0.5モルとすることが好ましい。0.0001モル未満の使用では添加効果が得られない場合があり、1.0モルを超える使用では原料費の増加によりコスト面で不利となる場合がある。
【0048】
上記反応の反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどにより反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常30分〜40時間程度である。
【0049】
本発明のパターン形成方法に用いられる高分子化合物としては、一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる酸不安定基で置換された特定のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を必須とするが、これ以外の酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含有する繰り返し単位bを共重合することもできる。繰り返し単位bを得るためのモノマーは具体的には下記式で示されるものを例示することができる。ここで、R01は水素原子又はメチル基であり、Rは酸不安定基である。
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】
【化20】
【0053】
【化21】
【0054】
更に、繰り返し単位a1〜a5、bに加えて、下記に示すカルボキシル基が酸不安定基で置換された繰り返し単位cを共重合することもできる。
【化22】
(式中、R02は水素原子又はメチル基、Rは酸不安定基、Zは単結合、フェニレン基、ナフチレン基、又は−C(=O)−O−R03−であり、R03は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基、エステル基、ラクトン環、ヒドロキシ基のいずれかを有していてもよく、あるいはフェニレン基又はナフチレン基である。)
【0055】
ここで、繰り返し単位cを得るためのモノマーMcは、下記式で示される。
【化23】
(式中、R02、R、Zは前述と同様である。)
【0056】
繰り返しモノマーMcのZを変えた構造は、具体的には下記式で示されるものを例示することができる。
【化24】
【0057】
一般式(1)〜(5)中のR3、R8、R13、R17、R20、あるいはRで示される酸不安定基は種々選定され、互いに同一であっても異なっていてもよいが、特に下記式(AL−10)で示される基、下記式(AL−11)で表されるアセタール基、下記式(AL−12)で示される三級アルキル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等が挙げられる。
【化25】
【0058】
式(AL−10)、(AL−11)において、R51、R54は炭素数1〜40、特に1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。R52、R53は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、a5は0〜10、特に1〜5の整数である。R52とR53、R52とR54、又はR53とR54はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子又は炭素原子と酸素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
R55、R56、R57はそれぞれ炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよい。あるいはR55とR56、R55とR57、又はR56とR57はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。
【0059】
式(AL−10)に示される基を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−10で示される置換基が挙げられる。
【化26】
【0060】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−10中、R58は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。R59は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R60は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。a5は上記の通りである。
【0061】
前記式(AL−11)で示されるアセタール基を(AL−11)−1〜(AL−11)−112に例示する。
【化27】
【0062】
【化28】
【0063】
【化29】
【0064】
【化30】
【0065】
【化31】
【0066】
【化32】
【0067】
また、酸不安定基として、下記一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される基が挙げられ、該酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化33】
【0068】
上記式中、R61、R62は水素原子、又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R61とR62は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR61、R62は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R63は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、b5、d5は0又は1〜10の整数、好ましくは0又は1〜5の整数、c5は1〜7の整数である。Aは、(c5+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0069】
この場合、好ましくはAは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、c5は好ましくは1〜3の整数である。
【0070】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−113〜(AL−11)−120のものが挙げられる。
【化34】
【0071】
次に、前記式(AL−12)に示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、tert−アミル基等、あるいは下記一般式(AL−12)−1〜(AL−12)−16で示される基を挙げることができる。
【化35】
【0072】
上記式中、R64は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R64同士が結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20、特に4〜16の環、特に脂環を形成してもよい。R65、R67は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R66は炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
【0073】
更に、酸不安定基として、下記式(AL−12)−17に示す基が挙げられ、2価以上のアルキレン基、又はアリーレン基であるR68を含む該酸不安定基によってベース樹脂が分子内あるいは分子間架橋されていてもよい。式(AL−12)−17のR64は前述と同様、R68は単結合、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、又はアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。b6は0〜3の整数である。(AL−12)−17は酸不安定基R3、R8、R13、R17、R20、Rの全てに適用される。
【化36】
【0074】
なお、上述したR64、R65、R66、R67は酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有していてもよく、具体的には下記式(AL−13)−1〜(AL−13)−7に示すことができる。
【化37】
【0075】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベースとなる高分子化合物は、一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5と、場合によっては繰り返し単位bあるいはcの酸不安定基を有する繰り返し単位を有することが好ましいが、更にはヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、ラクトン環、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸エステル基、ジスルホン基、カーボネート基等の密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位dを共重合させてもよい。これらの中で、ラクトン環を密着性基として有するものが最も好ましく用いられる。
繰り返し単位dを得るためのモノマーとしては、具体的に下記に挙げることができる。
【0076】
【化38】
【0077】
【化39】
【0078】
【化40】
【0079】
【化41】
【0080】
【化42】
【0081】
【化43】
【0082】
【化44】
【0083】
【化45】
【0084】
【化46】
【0085】
【化47】
【0086】
【化48】
【0087】
【化49】
【0088】
【化50】
【0089】
【化51】
【0090】
【化52】
【0091】
【化53】
【0092】
【化54】
【0093】
更に、下記一般式で示されるスルホニウム塩(e1)〜(e3)のいずれかを共重合することもできる。
【化55】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0≦e1+e2+e3≦0.3の範囲である。)
【0094】
上記繰り返し単位以外には、特開2008−281980号公報に記載の非脱離性炭化水素基fを挙げることができる。特開2008−281980号公報に記載されていない非脱離性炭化水素基としてはインデン類、アセナフチレン類、ノルボルナジエン類を重合体として挙げることができる。
【0095】
上記繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、c、d、e1、e2、e3、fにおいて、繰り返し単位の比率は、0≦a1<1.0、0≦a2<1.0、0≦a3<1.0、0≦a4<1.0、0≦a5<1.0、0<a1+a2+a3+a4+a5<1.0、0≦b<1.0、0≦c<1.0、0<d<1.0、0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0≦e1+e2+e3≦0.3、0≦f<0.4、好ましくは0≦a1≦0.9、0≦a2≦0.9、0≦a3≦0.9、0≦a4≦0.9、0≦a5≦0.9、0.1≦a1+a2+a3+a4+a5≦0.9、0≦b≦0.9、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.9、0≦e1≦0.2、0≦e2≦0.2、0≦e3≦0.2、0≦e1+e2+e3≦0.2、0≦f<0.3の範囲である。なお、a1+a2+a3+a4+a5+b+c+d+e1+e2+e3+f=1である。
【0096】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物は、テトラヒドロフラン(THF)溶液によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,000〜500,000、特に2,000〜30,000であることが好ましい。重量平均分子量が小さすぎると有機溶剤現像時に膜減りを生じ易くなったり、大きすぎると有機溶剤への溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなる可能性がある。
【0097】
更に、本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物のベース樹脂となる高分子化合物においては、分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりするおそれがある。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト組成物を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
【0098】
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドしたり、酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を含まないポリマーあるいは繰り返し単位a1〜a5以外のヒドロキシ基で置換された繰り返し単位、例えば繰り返し単位bやcを有するポリマーとブレンドすることも可能である。
【0099】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては繰り返し単位a1、a2、a3、a4、a5、b、c、d、e1、e2、e3、fを得るための不飽和結合を有するモノマーを有機溶剤中、ラジカル開始剤を加えて加熱重合を行う方法があり、これにより高分子化合物を得ることができる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。酸不安定基は、モノマーに導入されたものをそのまま用いてもよいし、重合後保護化あるいは部分保護化してもよい。
【0100】
更には、アルカリ現像によって露光部が溶解する従来型の(メタ)アクリレートポリマー、ポリノルボルネン、シクロオレフィン無水マレイン酸共重合体、ROMPなどをブレンドすることも可能であるし、アルカリ現像によって露光部は溶解しないが、有機溶剤現像でネガパターンを形成することができるヒドロキシ基が酸不安定基で置換された(メタ)アクリレートポリマーをブレンドすることもできる。
【0101】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、有機溶剤、高エネルギー線に感応して酸を発生する化合物(酸発生剤)、必要に応じて溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤、アセチレンアルコール類、その他の成分を含有することができる。
【0102】
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、特に化学増幅ポジ型レジスト組成物として機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。この場合、光酸発生剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.5〜30質量部、特に1〜20質量部とすることが好ましい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。酸発生剤から発生してくる酸としては、スルホン酸、イミド酸、メチド酸を挙げることができる。これらの中でα位がフッ素化されたスルホン酸が最も一般的に用いられるが、酸不安定基が脱保護し易いアセタールの場合は必ずしもα位がフッ素化されている必要はない。ここで、より好ましくは、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することが好ましい。ベースポリマーとして酸発生剤の繰り返し単位e1、e2、e3を共重合している場合は、添加型の酸発生剤は必ずしも必須ではない。
【0103】
有機溶剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]に記載のシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類及びその混合溶剤が挙げられる。アセタール系の酸不安定基を用いる場合は、アセタールの脱保護反応を加速させるために高沸点のアルコール系溶剤、具体的にはジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等を加えることもできる。
【0104】
塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
【0105】
なお、有機溶剤の配合量はベース樹脂100質量部に対し100〜10,000質量部、特に300〜8,000質量部とすることが好ましい。また、塩基性化合物の配合量はベース樹脂100質量部に対し0.0001〜30質量部、特に0.001〜20質量部とすることが好ましい。
【0106】
特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、及び特許第3991462号公報、特開2008−158339号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして用いることもできる。α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸はカルボン酸エステルの酸不安定基を脱保護させるために必要であるが、α位がフッ素化されていないオニウム塩との塩交換によってα位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸が放出される。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸は脱保護反応を起こさないために、クエンチャーとして機能する。これだけでなく、α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のオニウム塩は、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸との塩交換によってα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸のる酸発生剤に変わる。露光量の増大に従って、α位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の発生と、スルホニウム塩との塩交換が数限りなく繰り返される。露光の最後にスルホン酸、イミド酸、メチド酸が発生する場所は、最初のスルホン酸、イミド酸、メチド酸のスルホニウム塩が存在している場所とは異なってくる。光による酸の発生と塩交換と酸の発生のサイクルが何度も繰り返されることによって酸の発生ポイントが平均化され、これによって現像後のレジストパターンのエッジラフネスが小さくなる。
α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩は光分解性があるために、光強度が強い部分のクエンチ能が低下すると共にα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の濃度が増加する。これによって露光部分のコントラストが向上する。有機溶剤によるネガティブトーンの形成において、露光部のコントラストが向上すると、ネガティブパターンの矩形性が向上する。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩はα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸の拡散を抑える効果も高い。これは、交換後のオニウム塩の分子量が大きいために、動きにくくなっていることによる。ネガティブ現像でホールパターンを形成する場合は、酸の発生領域が多いために、露光部分から未露光部分に拡散していく酸の制御が重要である。このため、α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩や、酸によってアミン化合物が発生するカルバメート化合物の添加は、酸拡散の制御の観点から重要である。
酸不安定基が酸に対して特に敏感なアセタールである場合は、保護基を脱離させるための酸は必ずしもα位がフッ素化されたスルホン酸、イミド酸、メチド酸でなくてもよく、α位がフッ素化されていないスルホン酸でも脱保護反応が進行する場合がある。この時のクエンチャーとしてはカルボン酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
【0107】
界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤は特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載のものを用いることができる。
【0108】
スピンコート後のレジスト表面の撥水性を向上させるための高分子化合物を添加することもできる。この添加剤はトップコートを用いない液浸リソグラフィーに用いることができる。このような添加剤は特定構造の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有し、特開2007−297590号公報、特開2008−111103号公報に例示されている。レジスト組成物に添加される撥水性向上剤は、現像液の有機溶剤に溶解する必要がある。前述の特定の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する撥水性向上剤は、現像液への溶解性が良好である。撥水性の添加剤として、アミノ基やアミン塩を繰り返し単位として共重合した高分子化合物は、PEB中の酸の蒸発を防いで現像後のホールパターンの開口不良を防止する効果が高い。撥水性向上剤の添加量は、レジスト組成物のベース樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0109】
上記ポジ型レジスト組成物は、上述したように、基板上に塗布してレジスト膜を形成し、加熱処理後に高エネルギー線をこのレジスト膜の所用部分に照射、露光し、加熱処理後に有機溶剤の現像液を用いて上記レジスト膜の未露光部分を溶解する一方、露光部分が膜として残り、ホールやトレンチ等のネガティブトーンのレジストパターンを形成する。
【0110】
本発明に係るパターニング方法は、図1に示される。この場合、図1(A)に示したように、本発明においては基板10上に形成した被加工基板20に直接又は中間介在層30を介してポジ型レジスト組成物を基板上に塗布してレジスト膜40を形成する。レジスト膜の厚さとしては、10〜1,000nm、特に20〜500nmであることが好ましい。このレジスト膜は、露光前に加熱(プリベーク)を行うが、この条件としては60〜180℃、特に70〜150℃で10〜300秒間、特に15〜200秒間行うことが好ましい。
なお、基板10としては、シリコン基板が一般的に用いられる。被加工基板20としては、SiO2、SiN、SiON、SiOC、p−Si、α−Si、TiN、WSi、BPSG、SOG、Cr、CrO、CrON、MoSi、低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜が挙げられる。中間介在層30としては、SiO2、SiN、SiON、p−Si等のハードマスク、カーボン膜による下層膜と珪素含有中間膜、有機反射防止膜等が挙げられる。
【0111】
次いで、図1(B)に示すように露光50を行う。ここで、露光は波長140〜250nmの高エネルギー線、波長13.5nmのEUV、電子ビーム(EB)が挙げられるが、中でもArFエキシマレーザーによる193nmの露光が最も好ましく用いられる。露光は大気中や窒素気流中のドライ雰囲気でもよいし、水中の液浸露光であってもよい。ArF液浸リソグラフィーにおいては液浸溶剤として純水、又はアルカン等の屈折率が1以上で露光波長に高透明の液体が用いられる。液浸リソグラフィーでは、プリベーク後のレジスト膜と投影レンズの間に、純水やその他の液体を挿入する。これによってNAが1.0以上のレンズ設計が可能となり、より微細なパターン形成が可能になる。液浸リソグラフィーはArFリソグラフィーを45nmノードまで延命させるための重要な技術である。液浸露光の場合は、レジスト膜上に残った水滴残りを除去するための露光後の純水リンス(ポストソーク)を行ってもよいし、レジスト膜からの溶出物を防ぎ、膜表面の滑水性を上げるために、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜を形成させてもよい。液浸リソグラフィーに用いられるレジスト保護膜を形成する材料としては、例えば、水に不溶でアルカリ現像液に溶解する1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料が好ましい。この場合、保護膜形成用組成物は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有するモノマーから得られるものが挙げられる。保護膜は有機溶剤の現像液に溶解する必要があるが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位からなる高分子化合物は前述の有機溶剤現像液に溶解する。特に、特開2007−25634号公報、特開2008−3569号公報に例示の1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する保護膜材料の有機溶剤現像液に対する溶解性は高い。
【0112】
保護膜形成用組成物にアミン化合物又はアミン塩を配合あるいはアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した高分子化合物を用いることは、フォトレジストの露光部から発生した酸の未露光部分への拡散を制御し、ホールの開口不良を防止する効果が高い。アミン化合物を添加した保護膜材料としては特開2008−3569号公報記載の材料、アミノ基又はアミン塩を共重合した保護膜材料としては特開2007−316448号公報記載の材料を用いることができる。アミン化合物、アミン塩としては、上記フォトレジスト添加用の塩基性化合物として詳述したものの中から選定することができる。アミン化合物、アミン塩の配合量は、ベース樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部、特に0.02〜8質量部が好ましい。
【0113】
フォトレジスト膜形成後に、純水リンス(ポストソーク)を行うことによってレジスト膜表面からの酸発生剤等の抽出、あるいはパーティクルの洗い流しを行ってもよいし、露光後に膜上に残った水を取り除くためのリンス(ポストソーク)を行ってもよい。PEB中に露光部から蒸発した酸が未露光部に付着し、未露光部分の表面の保護基を脱保護させると、現像後のホールの表面がブリッジして閉塞する可能性がある。特にネガティブ現像におけるホールの外側は、光が照射されて酸が発生している。PEB中にホールの外側の酸が蒸発し、ホールの内側に付着するとホールが開口しないことが起きる。酸の蒸発を防いでホールの開口不良を防ぐために保護膜を適用することは効果的である。更に、アミン化合物又はアミン塩を添加した保護膜は、酸の蒸発を効果的に防ぐことができる。一方、カルボキシル基やスルホ基等の酸化合物を添加、あるいはカルボキシル基やスルホ基を有するモノマーを共重合したポリマーをベースとした保護膜を用いた場合は、ホールの未開口現象が起きることがあり、このような保護膜を用いることは好ましくない。
【0114】
このように、本発明においては、酸不安定基で置換された一般式(1)〜(5)に示す特定のヒドロキシ基を有する繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることが好ましく、この場合、保護膜を形成する材料として、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する高分子化合物をベースとしてアミノ基又はアミン塩を有する化合物を添加した材料、あるいは前記高分子化合物中にアミノ基又はアミン塩を有する繰り返し単位を共重合した材料をベースとし、炭素数4以上のアルコール系溶剤、炭素数8〜12のエーテル系溶剤、又はこれらの混合溶剤に溶解させた材料を用いることが好ましい。
【0115】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール残基を有する繰り返し単位としては、[化50]、[化51]、[化53]で示したモノマーの一部分、[化52]で示したモノマーの全てを挙げることができる。
アミノ基を有する化合物としては、フォトレジスト組成物に添加される特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載のアミン化合物を用いることができる。
アミン塩を有する化合物としては、前記アミン化合物のカルボン酸塩又はスルホン酸塩を用いることができる。
炭素数4以上のアルコール系溶剤としては、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールを挙げることができる。
炭素数8〜12のエーテル系溶剤としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルを挙げることができる。
【0116】
露光における露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜120℃、1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0117】
更に、図1(C)に示されるように有機溶剤の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより未露光部分が溶解するネガティブパターンが基板上に形成される。この時の現像液としては、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン等のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等のエステル類を好ましく用いることができる。
【0118】
現像の終了時には、リンスを行う。リンス液としては、現像液と混溶し、レジスト膜を溶解させない溶剤が好ましい。このような溶剤としては、炭素数3〜10のアルコール、炭素数8〜12のエーテル化合物、炭素数6〜12のアルカン、アルケン、アルキン、芳香族系の溶剤が好ましく用いられる。
【0119】
具体的に、炭素数6〜12のアルカンとしては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナンなどが挙げられる。炭素数6〜12のアルケンとしては、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ジメチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられ、炭素数6〜12のアルキンとしては、ヘキシン、ヘプチン、オクチンなどが挙げられ、炭素数3〜10のアルコールとしては、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブチルアルコール、2−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、シクロペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−1−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−3−ペンタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノールなどが挙げられる。
炭素数8〜12のエーテル化合物としては、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテルから選ばれる1種以上の溶剤が挙げられる。
前述の溶剤に加えてトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、メシチレン等の芳香族系の溶剤を用いることもできる。
【0120】
ネガティブトーン現像によってホールパターンを形成する場合、X、Y方向の2回のラインパターンのダイポール照明による露光を行うことが最もコントラストが高い光を用いることができる。ダイポール照明に併せてs偏光照明を加えると、更にコントラストを上げることができる。
【0121】
ここで、本発明においては、ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することが好ましく、格子状パターンが透過率3〜15%のハーフトーン位相シフトマスクであることが好ましい。この場合、ハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜30nm太い第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成すること、あるいはハーフピッチ以下のライン幅による格子状の第1のシフターと、第1のシフター上に第1のシフターの線幅よりもウエハー上の寸法で2〜100nm太いドットパターンの第2のシフターが配列された位相シフトマスクを用い、太いシフターが配列されたところだけにホールパターンを形成することが好ましい。
以下、更に詳述する。
【0122】
図2は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのX方向ラインの光学像を示す。
図3は、波長193nmのArFエキシマレーザーを用いたNA1.3レンズ、ダイポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、s偏光でのピッチ90nm、ラインサイズ45nmのY方向ラインの光学像を示す。色が濃い方が遮光部分、白い方が光の強い領域であり、白と黒のコントラスト差がはっきりしており、特に強い遮光部分が存在することが示されている。
図4は、Y方向ラインにX方向ラインの光学像を重ねたコントラストイメージである。XとYのラインの組み合わせで格子状のイメージができ上がるように思われるがそうではなく、光の弱い黒い部分のパターンは円形である。円形のサイズが大きい場合は菱形形状で隣のパターンとつながり易いが、円のサイズが小さいほど円形度合いが向上し、強く遮光された小さな円が存在することが示されている。
【0123】
X、Y方向のラインを2回のダイポール照明と偏光照明を組み合わせた露光は、最も高コントラストの光が形成される方法であるが、2回の露光とその間のマスクの交換によってスループットが大幅に低下する欠点がある。マスクを交換しながら2回の露光を連続して行うためには、露光装置側のマスクのステージを2つ設ける必要があるが、現在の露光装置のマスクのステージは1つである。この場合、1枚露光する毎にマスクを交換するのではなく、FOUP(ウエハーケース)に入った25枚ウエハーをX方向のラインの露光を連続して行い、次にマスクを交換して同じ25枚のウエハーを連続してY方向のラインの露光を行う方がスループットを上げることができる。しかしながら、25枚のウエハーの最初のウエハーが次の露光されるまでの時間が長くなることによって環境の影響で現像後のレジストの寸法や形状が変化してしまう問題が生じる。2回目の露光までのウエハー待機中の環境の影響を遮断するために、レジストの上層に保護膜を敷くことが有効である。
マスクを1枚で済ませるために、格子状のパターンのマスクを用いてX、Y方向のそれぞれのダイポール照明で2回露光する方法が提案されている(前述非特許文献1)。この方法では、前述の2枚のマスクを用いる方法に比べると光学コントラストが若干低下するが、1枚のマスクを用いることができるためにスループットが向上する。前述の非特許文献1では、格子状のパターンのマスクを用いてX方向のダイポール照明によってX方向のラインを形成し、光照射によってX方向のラインを不溶化し、この上にもう一度フォトレジストを塗布し、Y方向のダイポール照明によってY方向のラインを形成し、X方向のラインとY方向のラインの隙間にホールパターンを形成している。この方法では、マスクは1枚で済むが、2回の露光の間に1回目のフォトレジストパターンの不溶化処理と2回目のフォトレジストの塗布と現像のプロセスが入るために、2回の露光間にウエハーが露光ステージから離れ、この時にアライメントエラーが大きくなる問題が生じる。2回の露光間のアライメントエラーを最小にするためには、ウエハーを露光ステージから離さずに連続して2回の露光を行う必要がある。格子状のパターンのマスクを用いてX方向(水平方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図18、Y方向(垂直方向)のラインを形成するためのダイポールのアパチャー形状は図19に示される。ダイポール照明にs偏光照明を加えると更にコントラストが向上するので好ましく用いられる。格子状のマスクを用いてX方向のラインとY方向のラインを形成する2回の露光を重ねて行ってネガティブトーンの現像を行うと、ホールパターンが形成される。
格子状のマスクを用いて1回の露光でホールパターンを形成する場合は、図20に示されるアパチャー形状の4重極照明(クロスポール照明)を用いる。これにX−Y偏光照明あるいは円形偏光のAzimuthally偏光照明を組み合わせてコントラストを向上させる。
【0124】
本発明のホールパターンの形成方法では、露光を2回行う場合、1回目の露光と2回目の露光の照明とマスクを変更して露光を行う方法が最も高コントラストで微細なパターンを寸法均一性よく形成できる。1回目の露光と2回目の露光に用いられるマスクは1回目のラインパターンと2回目のラインとが交差した交点に現像後のレジストのホールパターンを形成する。1回目のラインと2回目のラインの角度は直交が好ましいが、90度以外の角度でも構わなく、1回目のラインの寸法と2回目のラインの寸法やピッチが同じであっても異なってもよい。1回目のラインと、これと異なる位置に2回目のラインが1枚のマスクに有するマスクを用いて1回目の露光と2回目の露光を連続露光することも可能であるが、この場合露光できる最大の面積が半分になる。但し連続露光を行う場合は、アライメントエラーを最小にすることができる。もちろん1回の露光では、2回の連続露光よりもアライメントのエラーを小さくすることができる。
1枚のマスクを用いて、露光面積を縮小することなく2回の露光を行うためには、マスクパターンとしては、図5に示される格子状のパターンを用いる場合、図7に示されるドットパターンを用いる場合、図11に示されるドットパターンと格子状パターンを組み合わせる場合がある。
格子状のパターンを用いる方が最も光のコントラストが向上するが、光の強度が低下するためにレジストの感度が低下する欠点がある。一方ドットパターンを用いる方法は光のコントラストが低下するが、レジストの感度が向上するメリットがある。
ホールパターンが水平と垂直方向に配列されている場合は前記の照明とマスクパターンを用いるが、これ以外の角度例えば45度の方向に配列している場合は、45度に配列しているパターンのマスクとダイポール照明あるいはクロスポール照明を組み合わせる。
2回の露光を行う場合はX方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた露光と、Y方向ラインのコントラストを高めるダイポール照明に偏光照明を組み合わせた2回の露光を行う。1枚のマスクを用いてX方向とY方向のコントラストを強調した2回の連続した露光は、現在の市販のスキャナーで行うことが可能である。
格子状のパターンのマスクを使って、X、Yの偏光照明とクロスポール照明を組み合わせる方法は、2回のダイポール照明の露光に比べると若干光のコントラストが低下するものの1回の露光でホールパターンを形成することができ、かなりのスループットの向上が見込まれるし、2回露光によるアライメントずれの問題は回避される。このようなマスクと照明を用いれば、実用的なコストで40nmクラスのホールパターンを形成することが可能になる。
【0125】
図5に示される格子状のパターンが配されたマスクでは、格子の交点が強く遮光され、図6に示されるように、非常に遮光性の高い黒点が現れる。図6では、NA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、幅30nmの格子状ラインパターンの光学像である。このようなパターンのマスクを用いて露光を行い、ポジネガ反転を伴う有機溶剤による現像を行うことによって微細なホールパターンを形成することができる。
【0126】
図7に示されるNA1.3レンズ、クロスポール照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、Azimuthally偏光照明でのピッチ90nm、一辺の幅が55nmの正四角形のドットパターンが配置されたマスクにおける光学像コントラストが図8に示される。この場合、図6に比べて強い遮光部分の円の面積が小さくなり、格子状パターンのマスクに比べてコントラストが低くなるものの、黒い遮光部分が存在するためにホールパターンの形成は可能である。
【0127】
ピッチや位置がランダムに配列された微細なホールパターンの形成が困難である。密集パターンは、ダイポール、クロスポール等の斜入射照明に位相シフトマスクと偏光を組み合わせた超解像技術によってコントラストを向上することができるが、孤立パターンのコントラストはそれほど向上しない。
【0128】
密集の繰り返しパターンに対して超解像技術を用いた場合、孤立パターンとの粗密(プロキシミティー)バイアスが問題になる。強い超解像技術を使えば使うほど密集パターンの解像力が向上するが、孤立パターンの解像力は変わらないために、粗密バイアスが拡大する。微細化に伴うホールパターンにおける粗密バイアスの増加は深刻な問題である。粗密バイアスを抑えるために、一般的にはマスクパターンの寸法にバイアスを付けることが行われている。粗密バイアスはフォトレジスト組成物の特性、即ち、溶解コントラストや酸拡散によっても変わるために、フォトレジスト組成物の種類毎にマスクの粗密バイアスが変化する。フォトレジスト組成物の種類毎に粗密バイアスを変えたマスクを用いることになり、マスク製作の負担が増している。そこで、強い超解像照明で密集ホールパターンのみを解像させ、パターンの上に1回目のポジ型レジストパターンを溶解させないアルコール溶剤のネガ型レジスト膜を塗布し、不必要なホール部分を露光、現像することによって閉塞させて密集パターンと孤立パターンの両方を作製する方法(Pack and unpack;PAU法)が提案されている(Proc. SPIE Vol. 5753 p171 (2005))。この方法の問題点は、1回目の露光と2回目の露光の位置ずれが挙げられ、この点については文献の著者も指摘している。また、2回目の現像で塞がれないホールパターンは2回現像されることになり、これによる寸法変化も問題として挙げられる。
【0129】
ランダムピッチのホールパターンをポジネガ反転の有機溶剤現像で形成するためには、格子状のパターンが全面に配列され、ホールを形成する場所だけに格子の幅を太くしたマスクを用いる。
ピッチ90nmで、20nmラインの格子状パターン上に、図9に示すようにドットを形成したい部分に十字の太い交差ラインを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど太いライン(図9では幅40nm)、密集部分では幅30nmのラインが配置されている。密集パターンよりも孤立パターンの方が光の強度が弱くなるために、太いラインが用いられる。密集パターンの端の部分も光の強度がやや低下するために、密集部分の中心よりもやや幅広の32nmのラインが宛われている。
図9のマスクの光学像のコントラストイメージが図10に示される。黒い遮光部分にポジネガ反転によってホールが形成される。ホールが形成されるべき場所以外にも黒点が見られるが、黒点のサイズは小さいために、実際には殆ど転写されない。不必要な部分の格子ラインの幅を狭くしたりするなどの更なる最適化によって、不必要なホールの転写を防止することが可能である。
【0130】
同じく格子状のパターンを全面に配列し、ホールを形成する場所だけに太いドットを配置したマスクを用いることもできる。ピッチ90nmで、15nmラインの格子状パターン上に、図11に示すようにドットを形成したい部分に太いドットを配置する。色の黒い部分がハーフトーンのシフター部分である。孤立性の所ほど大きなドット(図11では一辺90nm)、密集部分では一辺55nmの四角状のドットが配置されている。ドットの形状は正四角形でも、長方形、菱形、5角形、6角形、7角形、8角形以上の多角形、円形でも構わない。図11のマスクにおける光学像のコントラストイメージが図12に示される。図10に比べてもほぼ同等の黒い遮光部分が存在し、ポジネガ反転によってホールが形成されることが示されている。
【0131】
図13に示されるような格子状パターンが配列されていないマスクを用いた場合、図14に示されるように黒い遮光部分は現れない。この場合はホールの形成が困難であるか、もし形成できたとしても光学像のコントラストが低いために、マスク寸法のバラツキがホールの寸法のバラツキに大きく反映する結果となる。
【0132】
現像後にホールパターンやトレンチパターンを縮小させるためのプロセスを加えることもできる。例えば現像後のパターンを加熱することによってパターンの熱フローを起こしてシュリンクさせるサーマルフロープロセスや、現像後のパターン上にシュリンク材を塗布し、ベーク後にシュリンク材を剥離してパターン表面にシュリンク材を付着させるRELACSTM法を挙げることができる。
【実施例】
【0133】
以下、合成例、実施例、比較例、参考例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例等に制限されるものではない。なお、下記例において、分子量及び分散度はテトラヒドロフラン(THF)溶液のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。なお、分子量及び分散度はGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量を示す。
【0134】
[合成例]
レジスト組成物に用いる高分子化合物として、各々のモノマーを組み合わせてTHF溶剤下で共重合反応を行い、メタノールに晶出し、更にヘキサンで洗浄を繰り返した後に単離、乾燥して、以下に示す組成の高分子化合物(レジストポリマー1〜16及び比較レジストポリマー1、ブレンドレジストポリマー1,2)を得た。得られた高分子化合物の組成は1H−NMR、分子量及び分散度はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより確認した。
【0135】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化56】
【0136】
レジストポリマー2
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化57】
【0137】
レジストポリマー3
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.66
【化58】
【0138】
レジストポリマー4
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.89
【化59】
【0139】
レジストポリマー5
分子量(Mw)=7,300
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化60】
【0140】
レジストポリマー6
分子量(Mw)=7,800
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化61】
【0141】
レジストポリマー7
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化62】
【0142】
レジストポリマー8
分子量(Mw)=8,100
分散度(Mw/Mn)=1.55
【化63】
【0143】
レジストポリマー9
分子量(Mw)=7,400
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化64】
【0144】
レジストポリマー10
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.83
【化65】
【0145】
レジストポリマー11
分子量(Mw)=10,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化66】
【0146】
レジストポリマー12
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化67】
【0147】
レジストポリマー13
分子量(Mw)=8,400
分散度(Mw/Mn)=1.87
【化68】
【0148】
レジストポリマー14
分子量(Mw)=8,800
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化69】
【0149】
レジストポリマー15
分子量(Mw)=8,300
分散度(Mw/Mn)=1.84
【化70】
【0150】
レジストポリマー16
分子量(Mw)=9,100
分散度(Mw/Mn)=1.93
【化71】
【0151】
比較レジストポリマー1
分子量(Mw)=8,600
分散度(Mw/Mn)=1.76
【化72】
【0152】
ブレンドレジストポリマー1
分子量(Mw)=8,700
分散度(Mw/Mn)=1.78
【化73】
【0153】
ブレンドレジストポリマー2
分子量(Mw)=6,700
分散度(Mw/Mn)=1.59
【化74】
【0154】
[実施例、比較例]
ポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性保護膜形成用組成物の調製
高分子化合物(レジストポリマー及び保護膜ポリマー1)を用いて、下記表1に示す組成で溶解させた溶液及び下記表2に示す組成の保護膜形成用組成物溶液を0.2μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した溶液を調製した。
【0155】
下記表中の各組成は次の通りである。
酸発生剤:PAG1〜7(下記構造式参照)
【化75】
【0156】
保護膜ポリマー1
分子量(Mw)=9,200
分散度(Mw/Mn)=1.72
【化76】
【0157】
撥水性ポリマー1
分子量(Mw)=7,700
分散度(Mw/Mn)=1.77
【化77】
【0158】
塩基性化合物:Quencher1〜9(下記構造式参照)
【化78】
【0159】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
【0160】
ArF露光パターニング評価(1)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに日産化学工業(株)製反射防止膜ARC−29Aを80nmの膜厚で作製した基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザースキャナー((株)ニコン製、NSR−305B、NA0.68、σ0.73)で0.2mJ/cm2ステップで露光量を変化させながらオープンフレーム露光を行った。露光後90℃で60秒間ベーク(PEB)し、表1に示す現像液(有機溶剤)で60秒間パドル現像を行った後、4−メチル−2−ペンタノールを用いて500rpmでリンスし、その後、2,000rpmでスピンドライし、100℃で60秒間ベークしてリンス液を蒸発させた。PEBまでを前述と同じプロセスを行い、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液での現像も行った。PEB後の膜厚、有機溶剤現像後の膜厚、TMAH水溶液現像後の膜厚を測定し、露光量と膜厚の関係(コントラストカーブ)を求め、露光部の現像による膜減り量と傾き(γ)を求めた。
コントラストカーブの結果を図15、図16に、膜減り量とγを表3に示す。本発明のレジストは、有機溶剤現像前後の膜減り量が少なく、コントラスト(γ)が大きい特徴を有する。
【0161】
ArF露光パターニング評価(2)
下記表1に示す組成で調製したレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。その上に、場合によって表2に示す保護膜1をスピンコーティングし、90℃で60秒間ベークし、保護膜の厚みを50nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、ライン幅30nmの図17に示されるレイアウトの格子状マスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表4に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。ホールパターンの断面形状を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡S−4300で観察した。結果を表4に示す。本発明のレジストは有機溶剤現像後のパターンの寸法均一性に優れ、垂直なパターンを得ることができる。
【0162】
【表1】
【0163】
【表2】
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
ArF露光パターニング評価(3)
表5に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、クロスポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら露光を行い、露光後表5に記載の温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから安息香酸メチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、キシレンでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表5に示す。
【0167】
【表5】
【0168】
ArF露光パターニング評価(4)
表6に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表6に記載の温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから2−ヘプタノンを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表6に示す。
【0169】
【表6】
【0170】
ArF露光パターニング評価(5)
表7に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのX方向のラインが配列されたマスク)を用い、これに適合したダイポール照明で第1回目の露光を行い、次いで6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ80nm、ライン幅40nmのY方向のラインが配列されたマスクを用い、これに適合したダイポール照明で第2回目の露光を行い、露光後表7に示される温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから酢酸ブチルを3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターン50箇所の寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表7に示す。
【0171】
【表7】
【0172】
ArF露光パターニング評価(6)
表8に示すレジスト組成物を、シリコンウエハーに信越化学工業(株)製スピンオンカーボン膜ODL−50(カーボンの含有量が80質量%)を200nm、その上に珪素含有スピンオンハードマスクSHB−A940(珪素の含有量が43質量%)を35nmの膜厚で成膜したトライレイヤープロセス用の基板上にスピンコーティングし、ホットプレートを用いて100℃で60秒間ベークし、レジスト膜の厚みを100nmにした。
これをArFエキシマレーザー液浸スキャナー((株)ニコン製、NSR−610C、NA1.30、σ0.98/0.78、ダイポール開口20度、Azimuthally偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク、ウエハー上寸法がピッチ90nm、幅55nmの図7に示されるドットが配置されたパターンのマスク)を用いて露光量を変化させながら同じ場所をXダイポールとYダイポールの2回の連続露光を行い、露光後表8に示す温度で60秒間ベーク(PEB)し、現像ノズルから表8に示す溶剤を3秒間30rpmで回転させながら吐出させ、その後静止パドル現像を27秒間行い、ジイソアミルエーテルでリンス後スピンドライし、100℃で20秒間ベークしてリンス溶剤を蒸発させた。
溶剤現像のイメージ反転されたホールパターンの寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製TDSEM(S−9380)で測定し、40nm±5nmになっているフォーカスマージン(DoF)を求めた。同一露光量、同一フォーカスショット内50箇所のホールの寸法を測定し、3σの寸法バラツキを求めた。結果を表8に示す。
【0173】
【表8】
【0174】
[参考例]
本発明の重合性エステル化合物を以下に示す処方で合成した。
モノマー1の合成
【化79】
(式中、Meはメチル基を示す。)
【0175】
[原料アルコール1の合成]
イソソルビド103g、N,N−ジイソプロピルエチルアミン91g、アセトニトリル36g、THF40gを混合して40℃に加熱し、メトキシメチルクロリド14.2gを滴下した。40℃にて10時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。通常の水系後処理の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、原料アルコール1を51g得た(収率89%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=58モル%:42モル%であった。
【0176】
[モノマー1の合成]
得られた原料アルコール1の13.8g、ピリジン9.2g、4−(ジメチルアミノ)ピリジン0.88gをトルエン350mLに溶解し、50℃〜60℃にてメタクリル酸無水物12.8gを滴下した。60℃で一昼夜撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応を停止した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去の後、蒸留精製を行い、モノマー1を17.9g(収率96%)得た。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=57モル%:43モル%であった。
沸点:100−102℃/14Pa。
IR(D−ATR):ν=2953、2888、1721、1637、1454、1403、1379、1316、1297、1163、1103、1040、917cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=6.03(1H、s)、5.70(1H、m)、5.06(1H、d)、4.59−4.66(3H、m)、4.46(1H、d)、4.12−4.18(1H、m)、3.65−3.93(3H)、3.48(1H、t)、3.25(2H、s)、1.87(3H、m)ppm。
【0177】
モノマー2の合成
【化80】
【0178】
[原料アルコール2の合成]
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤1を使用した以外は原料アルコール1と同様な方法で原料アルコール2を得た(収率82%)。
【0179】
[モノマー2の合成]
原料アルコール1の代わりに原料アルコール2を使用した以外はモノマー1と同様な方法でモノマー2を得た(収率97%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=54モル%:46モル%であった。
沸点:122−124℃/15Pa。
IR(D−ATR):ν=2955、2870、1722、1637、1480、1466、1398、1363、1316、1298、1166、1108、1067、1045、939cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=6.00(1H、s)、5.68(1H、m)、5.03(1H、d)、4.64−4.71(2H、m)、4.59(1H、t)、4.44(1H、d)、4.12−4.17(1H、m)、3.76−3.93(2H)、3.45(1H、t)、3.08−3.17(2H、m)、1.83(3H、s)、0.85(9H、s)ppm。
【0180】
モノマー3の合成
【化81】
【0181】
[原料アルコール3の合成]
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤2を使用した以外は原料アルコール1と同様な方法で原料アルコール3を得た(収率89%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=61モル%:39モル%であった。
IR(D−ATR):ν=3429、2950、2871、1461、1373、1170、1113、1039、921、885、844、775、606cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=5.11(1H、d)、4.69(1H、m)、4.61(1H、m)、4.56(1H、m)、4.22−4.25(2H)、4.02(1H、m)、3.65−3.79(3H)、3.41(1H、m)、3.19(1H、d)、1.54−1.67(3H)、1.46(1H、m)、1.35(1H、m)、0.88−1.10(2H)、1.02(3H、s)、0.99(3H、s)、0.82(3H、s)ppm。
【0182】
[モノマー3の合成]
原料アルコール1の代わりに原料アルコール3を使用した以外はモノマー1と同様な方法でモノマー3を得た(収率98%)。
なお、精製後の異性体混合比は、メジャー異性体(上記式):マイナー異性体=63モル%:37モル%であった。
IR(D−ATR):ν=2953、2872、1723、1460、1374、1317、1298、1162、1102、1080、1039、1006、939、886、813、650cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、メジャー異性体のみ記載):δ=6.03(1H、s)、5.70(1H、m)、5.06(1H、d)、4.60−4.76(3H)、4.46(1H、m)、4.29(1H、m)、3.73−3.93(3H)、3.54(1H、m)、3.21(1H、m)、1.87(3H、m)、1.55−1.63(3H)、1.47(1H、m)、1.35(1H、m)、0.88−1.10(2H)、1.03(3H、s)、0.99(3H、s)、0.82(3H、s)ppm。
【0183】
モノマー4の合成
【化82】
【0184】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤3を使用した以外は原料アルコール1、モノマー1と同様な方法でモノマー4を得た(二工程収率66%)。
【0185】
モノマー5の合成
【化83】
【0186】
メトキシメチルクロリドの代わりに保護化剤4を使用した以外は原料アルコール1、モノマー1と同様な方法でモノマー5を得た(二工程収率62%)。
【0187】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0188】
10 基板
20 被加工基板
30 中間介在層
40 レジスト膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物、又は下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位と下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上とを有する高分子化合物と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化2】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
【請求項2】
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有するいずれかの繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【請求項12】
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する請求項11に記載のレジスト組成物。
【請求項13】
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する請求項11又は12に記載のレジスト組成物。
【請求項14】
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【請求項15】
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位及び下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化4】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化5】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
【請求項16】
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する請求項15に記載のレジスト組成物。
【請求項17】
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する請求項15又は16に記載のレジスト組成物。
【請求項1】
ヒドロキシ基が酸不安定基で置換された下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物、又は下記一般式(1)〜(5)で示される繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位と下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上とを有する高分子化合物と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とするパターン形成方法。
【化1】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化2】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
【請求項2】
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
現像液が、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
高エネルギー線による露光が、波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィー、波長13.5nmのEUVリソグラフィー、又は電子ビームであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
波長193nmのArFエキシマレーザーによるリソグラフィーにおいて、ドットのシフターパターンが配置されたハーフトーン位相シフトマスクを用い、ドット部分に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、交差する2つのラインの2回の露光を行い、ラインの交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
ハーフトーン位相シフトマスクを用い、格子状のシフター格子の交点に現像後のホールパターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
前記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有するいずれかの繰り返し単位を含有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含むレジスト組成物を基板上に塗布し、加熱処理後に保護膜を形成し、高エネルギー線で上記レジスト膜を露光し、加熱処理後に有機溶剤による現像液を用いて保護膜と未露光部を溶解させ、露光部が溶解しないネガ型パターンを得ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する請求項1乃至8のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する請求項1乃至9のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位を有する高分子化合物と、酸発生剤と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化3】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【請求項12】
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する請求項11に記載のレジスト組成物。
【請求項13】
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する請求項11又は12に記載のレジスト組成物。
【請求項14】
酸発生剤が、α位がフッ素で置換されたスルホン酸、イミド酸又はメチド酸が発生する酸発生剤と、α位がフッ素で置換されていないスルホン酸又はフッ素で置換もしくは非置換のカルボン酸のスルホネートの両方を含有することを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のレジスト組成物。
【請求項15】
2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチルから選ばれる現像液に溶解可能で、下記一般式(1)〜(5)で示される酸不安定基で置換されたヒドロキシ基を有する繰り返し単位a1〜a5から選ばれる1以上の繰り返し単位及び下記一般式(e1)〜(e3)で示される繰り返し単位のいずれか1種以上を有する高分子化合物と、有機溶剤とを含有することを特徴とするネガティブパターン形成用レジスト組成物。
【化4】
(式中、R1、R4、R9、R14、R18は水素原子又はメチル基、R2、R5、R10、R15、R19は単結合又は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エーテル基又はエステル基を有していてもよい。R7、R12、R16は単結合又はメチレン基、R6、R11は炭素数1〜3の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基であり、R3、R8、R13、R17、R20は酸不安定基であり、m、nは1〜4の整数、pは1又は2である。)
【化5】
(式中、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基又はフェニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦e1≦0.3、0≦e2≦0.3、0≦e3≦0.3、0<e1+e2+e3≦0.3である。)
【請求項16】
高分子化合物が、更に密着性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を有する請求項15に記載のレジスト組成物。
【請求項17】
高分子化合物が、更に一般式(1)〜(5)以外のヒドロキシ基(但し、カルボキシル基におけるヒドロキシ基を除く)の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位及び/又はカルボキシル基の水素原子が酸不安定基で置換された繰り返し単位を有する請求項15又は16に記載のレジスト組成物。
【図1】
【図9】
【図11】
【図13】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【図9】
【図11】
【図13】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−37351(P2013−37351A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149329(P2012−149329)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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