説明

パターン形成方法

【課題】 前記パターン形成材料上に結像させる像の歪みを抑制することにより、フォトポリマー系感材を用いて形成させるパターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能なパターン形成方法の提供。
【解決手段】 アルカリ可溶性樹脂と、光酸発生剤と、及び架橋剤と、を含む感光層に対し、光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させた後、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを通して露光を行うことを含むことを特徴とするパターン形成方法である。該非球面は、トーリック面であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光変調素子等の光変調手段により変調された光をパターン形成材料上に結像させて、該パターン形成材料を露光するパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間光変調素子等で変調された光を結像光学系に通し、この光による像を所定のパターン形成材料上に結像して該パターン形成材料を露光する露光装置が公知となっている。該露光装置は、基本的に、照射された光を各々制御信号に応じて変調する多数の描素部が2次元状に配列されてなる空間光変調素子と、該空間光変調素子に光を照射する光源と、該空間光変調素子により変調された光による像をパターン形成材料上に結像する結像光学系とを備えてなるものである(非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0003】
前記空間光変調素子としては、例えば、液晶表示素子(LCD)、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)等が挙げられ、該DMDは、前記描素部として制御信号に応じて反射面の角度を変化させる多数のマイクロミラーをシリコン等の半導体基板上に2次元状に配列させてなるミラーデバイスである。
【0004】
前記露光装置の使用においては、パターン形成材料に投影する像を拡大したいという要求が伴うことも多く、その際には前記結像光学系として拡大結像光学系が用いられる。しかし、この場合、前記空間光変調素子を経た光をただ前記拡大結像光学系に通しただけでは、前記空間光変調素子における各描素部からの光束が拡大して、投影されたらパターンにおいて描素サイズが大きくなり、描素の鮮鋭度が低下してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、前記特許文献1にも記載されているように、前記空間光変調素子で変調された光の光路に第1の結像光学系を配し、該第1の結像光学系による結像面には空間光変調素子の各描素部にそれぞれ対応するマイクロレンズがアレイ状に配されてなるマイクロレンズアレイを配置し、該マイクロレンズアレイを通過した光の光路には、変調された光による像をパターン形成材料やスクリーン上に結像する第2の結像光学系を配置して、これら第1及び第2の結像光学系により像を拡大投影することが提案されている。この提案では、パターン形成材料やスクリーン上に投影される像のサイズは拡大される一方、前記空間光変調素子の各描素部からの光はマイクロレンズアレイの各マイクロレンズによって集光されるので、投影される像における描素サイズ(スポットサイズ)は絞られて小さく保たれるので、像の鮮鋭度も高く保つことができる。
【0006】
一方、前記空間光変調素子としてDMDを用い、該DMDとマイクロレンズアレイとを組み合わせてなる露光装置が提案されている(特許文献2参照)。また、同種の露光装置において、前記マイクロレンズアレイの後側に該マイクロレンズアレイの各マイクロレンズに対応した開口(アパーチャ)を有する開口板を配置して、対応する前記マイクロレンズを経た光のみが前記開口を通過するようにした露光装置が提案されている(特許文献3参照)。これらの場合、前記開口板の各開口に、それと対応しない隣接のマイクロレンズからの光の入射を防止することにより、消光比が高められる。
【0007】
しかし、これらの提案では、前記マイクロレンズアレイの各マイクロレンズにより集光した光を用いて前記パターン形成材料上に結像させた像が歪んでしまうという問題がある。この問題は、特に空間光変調素子として前記DMDを用いた場合に顕著に認められるものである。
【0008】
よって、前記パターン形成材料上に結像させる像の歪みを抑制することにより、永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能なパターン形成方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】特開2004−1244号公報
【特許文献2】特開2001−305663号公報
【特許文献3】特表2001−500628号公報
【非特許文献1】石川明人"マスクレス露光による開発短縮と量産適用化"、「エレクロトニクス実装技術」、株式会社技術調査会、Vol.18、No.6、2002年、p.74-79
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、前記パターン形成材料上に結像させる像の歪みを抑制することにより、フォトポリマー系感材を用いて形成させるパターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能なパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> アルカリ可溶性樹脂と、光酸発生剤と、及び架橋剤と、を含む感光層に対し、
光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させた後、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを通して露光を行うことを含むことを特徴とするパターン形成方法。
<2> 非球面が、トーリック面である<1>に記載のパターン形成方法。
<3> 架橋剤が、酸の存在下で、アルカリ可溶性樹脂を架橋する化合物である<1>から<2>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<4> 架橋剤がヒドロキシアルキル基またはその誘導体、カルボニル基またはその誘導体、含窒素基含有置換基、グリシジル基含有置換基、芳香族基またはその誘導体、重合性多重結合含有置換基から選ばれる基を有する<1>から<3>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<5> 架橋剤がヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基から選ばれる基を有する<1>から<4>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<6> 光酸発生剤が、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、ジスルフォニルメタン化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、オキシムスルホネート化合物から選択される少なくとも1種を含む<1>から<5>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<7> アルカリ可溶性樹脂が、フェノール性水酸基、カルボキシル基の少なくとも何れかを有する<1>から<6>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<8> 感光層の厚みが0.1〜100μmである<1>から<7>のいずれかに記載のパターン形成方法。
<9> 支持体上に感光層を有するパターン形成材料における該感光層に対し、
光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させた後、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを通して露光を行うことを少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法。該<9>に記載のパターン形成方法においては、前記光照射手段が、前記光変調手段に向けて光を照射する。該光照射手段における前記n個の描素部が、前記光照射手段からの光を受光し、放射することにより、前記光照射手段から受けた光を変調する。前記光変調手段により変調した光が、前記マイクロレンズアレイにおける前記非球面を通ることにより、前記描素部における出射面の歪みによる収差が補正され、前記パターン形成材料上に結像させる像の歪みが抑制される。この結果、前記パターン形成材料への露光が高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<10> 基体上にパターン形成材料を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層し、露光する<9>に記載のパターン形成方法
<11> 非球面が、トーリック面である前記<1>から<10>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<11>に記載のパターン形成方法においては、前記非球面がトーリック面であることにより、前記描素部における放射面の歪みによる収差が効率よく補正され、パターン形成材料上に結像させる像の歪みが効率よく抑制される。この結果、前記パターン形成材料への露光が高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、高精細なパターンが形成される。
<12> 光変調手段が、n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部をパターン情報に応じて制御可能である前記<1>から<11>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<12>に記載のパターン形成方法においては、前記光変調手段におけるn個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の描素部をパターン情報に応じて制御することにより、前記光照射手段からの光が高速で変調される。
<13> 光変調手段が、空間光変調素子である前記<1>から<12>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<14> 空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である前記<13>に記載のパターン形成方法である。
<15> 露光が、アパーチャアレイを通して行われる前記<1>から<14>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<15>に記載のパターン形成方法においては、露光が前記アパーチャアレイを通して行われることにより、消光比が向上する。この結果、露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<16> 露光が、露光光と感光層とを相対的に移動させながら行われる前記<1>から<15>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<16>に記載のパターン形成材料においては、前記変調させた光と前記感光層とを相対的に移動させながら露光することにより、露光が高速に行われる。
<17> 露光が行われた後、感光層の現像を行う前記<1>から<16>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<18> 現像が行われた後、永久パターンの形成を行う前記<1>から<17>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<19> 光照射手段が、2以上の光を合成して照射可能である前記<1>から<18>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<19>に記載のパターン形成材料においては、前記光照射手段が2以上の光を合成して照射可能であることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記パターン形成材料への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<20> 光照射手段が、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームを集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する前記<1>から<19>のいずれかに記載のパターン形成方法である。該<20>に記載のパターン形成方法においては、前記光照射手段により、前記複数のレーザからそれぞれ照射されたレーザビームが前記集合光学系により集光され、前記マルチモード光ファーバーに結合可能とすることにより、露光が焦点深度の深い露光光で行われる。この結果、前記パターン形成材料への露光が極めて高精細に行われる。例えば、その後、前記感光層を現像することにより、極めて高精細なパターンが形成される。
<21> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<1>から<20>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<22> 支持体が、長尺状である前記<1>から<21>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<23> パターン形成材料が、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<1>から<22>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<24> パターン形成材料における感光層上に保護フィルムを形成する前記<1>から<23>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、パターン形成材料上に結像させる像の歪みを抑制することにより、フォトポリマー系感材を用いて形成させるパターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能なパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、露光工程を少なくとも含み、適宜選択したその他の工程を含む。
【0014】
[露光工程]
前記露光工程は、アルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤、及び架橋剤とを含む感光層に対し、光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させた後、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを通して露光を行う工程である。
【0015】
−光変調手段−
前記光変調手段としては、n個の描素部を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空間光変調素子等が好適に挙げられる。
前記空間光変調素子としては、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの空間光変調素子(SLM;Special Light Modulator)、電気光学効果により透過光を変調する光学素子(PLZT素子)、液晶光シャッタ(FLC)などが挙げられ、これらの中でもDMDが好適に挙げられる。
【0016】
以下、前記光変調手段の一例について図面を参照しながら説明する。
DMD50は図1に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、各々描素(ピクセル)を構成する多数(例えば、1024個×768個)の微小ミラー(マイクロミラー)62が格子状に配列されてなるミラーデバイスである。各ピクセルにおいて、最上部には支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上であり、その配列ピッチは縦方向、横方向とも一例として13.7μmである。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジおよびヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシックに構成されている。
【0017】
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±12度)の範囲で傾けられる。図2(A)は、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図2(B)は、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。したがって、パターン情報に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図1に示すように制御することによって、DMD50に入射したレーザ光Bはそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
【0018】
なお、図1には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された前記コントローラ302によって行われる。また、オフ状態のマイクロミラー62で反射したレーザ光Bが進行する方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
【0019】
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、0.1°〜5°)を成すように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図3(A)はDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(露光ビーム)53の走査軌跡を示し、図3(B)はDMD50を傾斜させた場合の露光ビーム53の走査軌跡を示している。
【0020】
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば、1024個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば、756組)配列されているが、図3(B)に示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる露光ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチPが、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチPより狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅Wと、DMD50を傾斜させない場合の走査幅Wとは略同一である。
【0021】
次に、前記光変調手段における変調速度を速くさせる方法(以下「高速変調」と称する)について説明する。
前記光変調手段は、前記n個の描素の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部をパターン情報に応じて制御可能であることが好ましい。前記光変調手段のデータ処理速度には限界があり、使用する描素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、連続的に配列された任意のn個未満の描素部だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。
【0022】
以下、前記高速変調について図面を参照しながら更に説明する。
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザ光Bが照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58によりパターン形成材料150上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が描素毎にオンオフされて、パターン形成材料150がDMD50の使用描素数と略同数の描素単位(露光エリア168)で露光される。また、パターン形成材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、パターン形成材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
【0023】
なお本例では、図4(A)及び(B)に示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が副走査方向に768組配列されているが、本例では、コントローラ302により一部のマイクロミラー列(例えば、1024個×256列)だけが駆動するように制御がなされる。
【0024】
この場合、図4(A)に示すようにDMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図4(B)に示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
【0025】
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する描素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に露光ヘッドを露光面に対して相対移動させる露光方式の場合には、副走査方向の描素を全部使用する必要はない。
【0026】
スキャナ162によるパターン形成材料150の副走査が終了し、センサ164でパターン形成材料150の後端が検出されると、ステージ152は、ステージ駆動装置304により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
【0027】
例えば、768組のマイクロミラー列の内、384組だけ使用する場合には、768組全部使用する場合と比較すると1ライン当り2倍速く変調することができる。また、768組のマイクロミラー列の内、256組だけ使用する場合には、768組全部使用する場合と比較すると1ライン当り3倍速く変調することができる。
【0028】
以上説明した通り、本発明のパターン形成方法によれば、主走査方向にマイクロミラーが1,024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列されたDMDを備えているが、コントローラにより一部のマイクロミラー列だけが駆動されるように制御することにより、全部のマイクロミラー列を駆動する場合に比べて、1ライン当りの変調速度が速くなる。
【0029】
また、DMDのマイクロミラーを部分的に駆動する例について説明したが、所定方向に対応する方向の長さが前記所定方向と交差する方向の長さより長い基板上に、各々制御信号に応じて反射面の角度が変更可能な多数のマイクロミラーが2次元状に配列された細長いDMDを用いても、反射面の角度を制御するマイクロミラーの個数が少なくなるので、同様に変調速度を速くすることができる。
【0030】
また、前記露光の方法として、露光光と前記感光層とを相対的に移動しながら行うことが好ましく、この場合、前記高速変調と併用することが好ましい。これにより、短時間で高速の露光を行うことができる。
【0031】
その他、図5に示すように、スキャナ162によるX方向への1回の走査でパターン形成材料150の全面を露光してもよく、図6(A)及び(B)に示すように、スキャナ162によりパターン形成材料150をX方向へ走査した後、スキャナ162をY方向に1ステップ移動し、X方向へ走査を行うというように、走査と移動を繰り返して、複数回の走査でパターン形成材料150の全面を露光するようにしてもよい。なお、この例では、スキャナ162は18個の露光ヘッド166を備えている。なお、露光ヘッドは、前記光照射手段と前記光変調手段とを少なくとも有する。
【0032】
前記露光は、前記感光層の一部の領域に対してされることにより該一部の領域が硬化され、後述の現像工程において、前記硬化させた一部の領域以外の未硬化領域が除去され、パターンが形成される。
【0033】
次に、前記光変調手段を含むパターン形成装置の一例について図面を参照しながら説明する。
前記光変調手段を含むパターン形成装置は、図7に示すように、シート状のパターン形成材料150を表面に吸着して保持する平板状のステージ152を備えている。
4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、前記パターン形成装置には、ステージ152をガイド158に沿って駆動するための図示しない駆動装置を有している。
【0034】
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側にはパターン形成材料150の先端及び後端を検知する複数(例えば、2個)の検知センサ164が設けられている。スキャナ162及び検知センサ164は、ゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162及び検知センサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0035】
スキャナ162は、図8及び図9(B)に示すように、m行n列(例えば、3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば、14個)の露光ヘッド166を備えている。この例では、パターン形成材料150の幅との関係で、3行目には4個の露光ヘッド166を配置した。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド166mnと表記する。
【0036】
露光ヘッド166による露光エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、パターン形成材料150には露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア168mnと表記する。
【0037】
また、図9(A)及び(B)に示すように、帯状の露光済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、本例では2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア16811と露光エリア16812との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア16821と3行目の露光エリア16831とにより露光することができる。
【0038】
露光ヘッド16611〜166mn各々は、図10及び図11に示すように、入射された光ビームをパターン情報に応じて前記光変調手段(各描素毎に変調する空間光変調素子)として、米国テキサス・インスツルメンツ社製のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。DMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた後述のコントローラ302(図12参照)に接続されている。このコントローラ302のデータ処理部では、入力されたパターン情報に基づいて、露光ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、ミラー駆動制御部では、パターン情報処理部で生成した制御信号に基づいて、露光ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、反射面の角度の制御に付いては後述する。
【0039】
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、レンズ系67を透過したレーザ光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。なお、図10では、レンズ系67を概略的に示してある。
【0040】
レンズ系67は、図11に詳しく示すように、ファイバアレイ光源66から出射した照明光としてのレーザ光Bを集光する集光レンズ71、集光レンズ71を通過した光の光路に挿入されたロッド状オプティカルインテグレータ(以下、ロッドインテグレータという)72、及びロッドインテグレータ72の前方つまりミラー69側に配置された結像レンズ74から構成されている。集光レンズ71、ロッドインテグレータ72及び結像レンズ74は、ファイバアレイ光源66から出射したレーザ光を、平行光に近くかつビーム断面内強度が均一化された光束としてDMD50に入射させる。このロッドインテグレータ72の形状や作用については、後に詳しく説明する。
【0041】
レンズ系67から出射したレーザ光Bはミラー69で反射し、TIR(全反射)プリズム70を介してDMD50に照射される。なお、図10では、このTIRプリズム70は省略してある。
【0042】
また、DMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザ光Bを、パターン形成材料150上に結像する結像光学系51が配置されている。この結像光学系51は、図10では概略的に示してあるが、図11に詳細を示すように、レンズ系52,54からなる第1結像光学系と、レンズ系57,58からなる第2結像光学系と、これらの結像光学系の間に挿入されたマイクロレンズアレイ55と、アパーチャアレイ59とから構成されている。
【0043】
マイクロレンズアレイ55は、DMD50の各描素に対応する多数のマイクロレンズ55aが2次元状に配列されてなるものである。本例では、後述するようにDMD50の1024個×768列のマイクロミラーのうち1024個×256列だけが駆動されるので、それに対応させてマイクロレンズ55aは1024個×256列配置されている。またマイクロレンズ55aの配置ピッチは縦方向、横方向とも41μmである。このマイクロレンズ55aは、一例として焦点距離が0.19mm、NA(開口数)が0.11で、光学ガラスBK7から形成されている。なおマイクロレンズ55aの形状については、後に詳しく説明する。
そして、各マイクロレンズ55aの位置におけるレーザ光Bのビーム径は、41μmである。
【0044】
また、アパーチャアレイ59は、マイクロレンズアレイ55の各マイクロレンズ55aに対応する多数のアパーチャ(開口)59aが形成されてなるものである。アパーチャ59aの径は、例えば、10μmである。
【0045】
前記第1結像光学系は、DMD50による像を3倍に拡大してマイクロレンズアレイ55上に結像する。そして、前記第2結像光学系は、マイクロレンズアレイ55を経た像を1.6倍に拡大してパターン形成材料150上に結像、投影する。したがって全体では、DMD50による像が4.8倍に拡大してパターン形成材料150上に結像、投影されることになる。
【0046】
なお、前記第2結像光学系とパターン形成材料150との間にプリズムペア73が配設され、このプリズムペア73を図11中で上下方向に移動させることにより、パターン形成材料150上における像のピントを調節可能となっている。なお同図中において、パターン形成材料150は矢印F方向に副走査送りされる。
【0047】
前記描素部としては、前記光照射手段からの光を受光し出射することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、本発明のパターン形成方法により形成されるパターンが画像パターンである場合には、画素であり、前記光変調手段がDMDを含む場合にはマイクロミラーである。
前記光変調素子が有する描素部の数(前記n)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記光変調素子における描素部の配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2次元状に配列していることが好ましく、格子状に配列していることがより好ましい。
【0048】
−マイクロレンズアレイ−
前記マイクロレンズアレイとしては、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列している限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
前記非球面としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トーリック面が好ましい。
【0050】
以下、前記マイクロレンズアレイ、前記アパーチャアレイ、及び前記結像光学系等について図面を参照しながら説明する。
【0051】
図13(A)は、DMD50、DMD50にレーザ光を照射する光照射手段144、DMD50で反射されたレーザ光を拡大して結像するレンズ系(結像光学系)454、458、DMD50の各描素部に対応して多数のマイクロレンズ474が配置されたマイクロレンズアレイ472、マイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズに対応して多数のアパーチャ478が設けられたアパーチャアレイ476、アパーチャを通過したレーザ光を被露光面56に結像するレンズ系(結像光学系)480、482で構成される露光ヘッドを表す。
ここで図14に、DMD50を構成するマイクロミラー62の反射面の平面度を測定した結果を示す。同図においては、反射面の同じ高さ位置を等高線で結んで示してあり、等高線のピッチは5nmである。なお同図に示すx方向及びy方向は、マイクロミラー62の2つ対角線方向であり、マイクロミラー62はy方向に延びる回転軸を中心として前述のように回転する。また、図15の(A)及び(B)にはそれぞれ、上記x方向、y方向に沿ったマイクロミラー62の反射面の高さ位置変位を示す。
【0052】
図14及び図15に示した通り、マイクロミラー62の反射面には歪みが存在し、そして特にミラー中央部に注目してみると、1つの対角線方向(y方向)の歪みが、別の対角線方向(x方向)の歪みよりも大きくなっている。このため、マイクロレンズアレイ55のマイクロレンズ55aで集光されたレーザ光Bの集光位置における形状が歪むという問題が発生し得る。
【0053】
本発明のパターン形成方法においては前記問題を防止するために、マイクロレンズアレイ55のマイクロレンズ55aが、従来とは異なる特殊な形状とされている。以下、その点について詳しく説明する。
【0054】
図16の(A)及び(B)はそれぞれ、マイクロレンズアレイ55全体の正面形状及び側面形状を詳しく示すものである。これらの図にはマイクロレンズアレイ55の各部の寸法も記入してあり、それらの単位はmmである。本発明のパターン形成方法では、先に図4を参照して説明したようにDMD50の1024個×256列のマイクロミラー62が駆動されるものであり、それに対応させてマイクロレンズアレイ55は、横方向に1024個並んだマイクロレンズ55aの列を縦方向に256列並設して構成されている。なお、同図(A)では、マイクロレンズアレイ55の並び順を横方向についてはjで、縦方向についてはkで示している。
【0055】
また、図17の(A)及び(B)はそれぞれ、マイクロレンズアレイ55における1つのマイクロレンズ55aの正面形状及び側面形状を示すものである。なお同図(A)には、マイクロレンズ55aの等高線を併せて示してある。各マイクロレンズ55aの光出射側の端面は、マイクロミラー62の反射面の歪みによる収差を補正する非球面形状とされている。より具体的には、マイクロレンズ55aはトーリックレンズとされており、上記x方向に光学的に対応する方向の曲率半径Rx=−0.125mm、上記y方向に対応する方向の曲率半径Ry=−0.1mmである。
【0056】
したがって、上記x方向及びy方向に平行な断面内におけるレーザ光Bの集光状態は、概略、それぞれ図18の(A)及び(B)に示す通りとなる。つまり、x方向に平行な断面内とy方向に平行な断面内とを比較すると、後者の断面内の方がマイクロレンズ55aの曲率半径がより小であって、焦点距離がより短くなっている。
【0057】
マイクロレンズ55aを前記形状とした場合の、該マイクロレンズ55aの集光位置(焦点位置)近傍におけるビーム径を計算機によってシミュレーションした結果を図19a、b、c、及びdに示す。また比較のために、マイクロレンズ55aが曲率半径Rx=Ry=−0.1mmの球面形状である場合について、同様のシミュレーションを行った結果を図20a、b、c及びdに示す。なお、各図におけるzの値は、マイクロレンズ55aのピント方向の評価位置を、マイクロレンズ55aのビーム出射面からの距離で示している。
【0058】
また、前記シミュレーションに用いたマイクロレンズ55aの面形状は、下記計算式で計算される。
【数1】

【0059】
但し、前記計算式において、Cxは、x方向の曲率(=1/Rx)を意味し、Cyは、y方向の曲率(=1/Ry)を意味し、Xは、x方向に関するレンズ光軸Oからの距離を意味し、Yは、y方向に関するレンズ光軸Oからの距離を意味する。
【0060】
図19a〜dと図20a〜dとを比較すると明らかなように、本発明のパターン形成方法ではマイクロレンズ55aを、y方向に平行な断面内の焦点距離がx方向に平行な断面内の焦点距離よりも小さいトーリックレンズとしたことにより、その集光位置近傍におけるビーム形状の歪みが抑制される。そうであれば、歪みの無い、より高精細な画像をパターン形成材料150に露光可能となる。また、図21a〜dに示す本実施形態の方が、ビーム径の小さい領域がより広い、すなわち焦点深度がより大であることが分かる。
【0061】
なお、マイクロミラー62のx方向及びy方向に関する中央部の歪の大小関係が、上記と逆になっている場合は、x方向に平行な断面内の焦点距離がy方向に平行な断面内の焦点距離よりも小さいトーリックレンズからマイクロレンズを構成すれば、同様に、歪みの無い、より高精細な画像をパターン形成材料150に露光可能となる。
【0062】
また、マイクロレンズアレイ55の集光位置近傍に配置されたアパーチャアレイ59は、その各アパーチャ59aに、それと対応するマイクロレンズ55aを経た光のみが入射するように配置されたものである。すなわち、このアパーチャアレイ59が設けられていることにより、各アパーチャ59aに、それと対応しない隣接のマイクロレンズ55aからの光が入射することが防止され、消光比が高められる。
【0063】
本来、上記目的で設置されるアパーチャアレイ59のアパーチャ59aの径をある程度小さくすれば、マイクロレンズ55aの集光位置におけるビーム形状の歪みを抑制する効果も得られる。しかしそのようにした場合は、アパーチャアレイ59で遮断される光量がより多くなり、光利用効率が低下することになる。それに対してマイクロレンズ55aを非球面形状とする場合は、光を遮断することがないので、光利用効率も高く保たれる。
【0064】
また、本発明のパターン形成方法において、マイクロレンズ55aは、2次の非球面形状であってもよく、より高次(4次、6次・・・)の非球面形状であってもよい。前記高次の非球面形状を採用することにより、ビーム形状をさらに高精細にすることができる。
【0065】
また、以上説明した実施形態では、マイクロレンズ55aの光出射側の端面が非球面(トーリック面)とされているが、2つの光通過端面の一方を球面とし、他方をシリンドリカル面としたマイクロレンズからマイクロレンズアレイを構成して、上記実施形態と同様の効果を得ることもできる。
【0066】
さらに、以上説明した実施形態においては、マイクロレンズアレイ55のマイクロレンズ55aが、マイクロミラー62の反射面の歪みによる収差を補正する非球面形状とされているが、このような非球面形状を採用する代わりに、マイクロレンズアレイを構成する各マイクロレンズに、マイクロミラー62の反射面の歪みによる収差を補正する屈折率分布を持たせても、同様の効果を得ることができる。
【0067】
そのようなマイクロレンズ155aの一例を図22に示す。同図の(A)及び(B)はそれぞれ、このマイクロレンズ155aの正面形状及び側面形状を示すものであり、図示の通りこのマイクロレンズ155aの外形形状は平行平板状である。なお、同図におけるx、y方向は、既述した通りである。
【0068】
また、図23の(A)及び(B)は、このマイクロレンズ155aによる上記x方向及びy方向に平行な断面内におけるレーザ光Bの集光状態を概略的に示している。このマイクロレンズ155aは、光軸Oから外方に向かって次第に増大する屈折率分布を有するものであり、同図においてマイクロレンズ155a内に示す破線は、その屈折率が光軸Oから所定の等ピッチで変化した位置を示している。図示の通り、x方向に平行な断面内とy方向に平行な断面内とを比較すると、後者の断面内の方がマイクロレンズ155aの屈折率変化の割合がより大であって、焦点距離がより短くなっている。このような屈折率分布型レンズから構成されるマイクロレンズアレイを用いても、前記マイクロレンズアレイ55を用いる場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0069】
なお、先に図17及び図18に示したマイクロレンズ55aのように面形状を非球面としたマイクロレンズにおいて、併せて上述のような屈折率分布を与え、面形状と屈折率分布の双方によって、マイクロミラー62の反射面の歪みによる収差を補正するようにしてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、DMD50を構成するマイクロミラー62の反射面の歪みによる収差を補正しているが、DMD以外の空間光変調素子を用いる本発明のパターン形成方法においても、その空間光変調素子の描素部の面に歪みが存在する場合は、本発明を適用してその歪みによる収差を補正し、ビーム形状に歪みが生じることを防止可能である。
【0071】
次に、前記結像光学系について更に説明する。
前記露光ヘッドでは、光照射手段144からレーザ光が照射されると、DMD50によりオン方向に反射される光束線の断面積が、レンズ系454、458により数倍(例えば、2倍)に拡大される。拡大されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズによりDMD50の各描素部に対応して集光され、アパーチャアレイ476の対応するアパーチャを通過する。アパーチャを通過したレーザ光は、レンズ系480、482により被露光面56上に結像される。
【0072】
この結像光学系では、DMD50により反射されたレーザ光は、拡大レンズ454、458により数倍に拡大されて被露光面56に投影されるので、全体の画像領域が広くなる。このとき、マイクロレンズアレイ472及びアパーチャアレイ476が配置されていなければ、図13(B)に示すように、被露光面56に投影される各ビームスポットBSの1描素サイズ(スポットサイズ)が露光エリア468のサイズに応じて大きなものとなり、露光エリア468の鮮鋭度を表すMTF(Modulation Transfer Function)特性が低下する。
【0073】
一方、マイクロレンズアレイ472及びアパーチャアレイ476を配置した場合には、DMD50により反射されたレーザ光は、マイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズによりDMD50の各描素部に対応して集光される。これにより、図13(C)に示すように、露光エリアが拡大された場合でも、各ビームスポットBSのスポットサイズを所望の大きさ(例えば、10μm×10μm)に縮小することができ、MTF特性の低下を防止して高精細な露光を行うことができる。なお、露光エリア468が傾いているのは、描素間の隙間を無くす為にDMD50を傾けて配置しているからである。
【0074】
また、マイクロレンズの収差によるビームの太りがあっても、アパーチャアレイによって被露光面56上でのスポットサイズが一定の大きさになるようにビームを整形することができると共に、各描素に対応して設けられたアパーチャアレイを通過させることにより、隣接する描素間でのクロストークを防止することができる。
【0075】
更に、光照射手段144に後述する高輝度光源を使用することにより、レンズ458からマイクロレンズアレイ472の各マイクロレンズに入射する光束の角度が小さくなるので、隣接する描素の光束の一部が入射するのを防止することができる。即ち、高消光比を実現することができる。
【0076】
−その他の光学系−
本発明のパターン形成方法では、公知の光学系の中から適宜選択したその他の光学系と併用してもよく、例えば、1対の組合せレンズからなる光量分布補正光学系などが挙げられる。
前記光量分布補正光学系は、光軸に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比が入射側に比べて出射側の方が小さくなるように各出射位置における光束幅を変化させて、光照射手段からの平行光束をDMDに照射するときに、被照射面での光量分布が略均一になるように補正する。以下、前記光量分布補正光学系について図面を参照しながら説明する。
【0077】
まず、図23(A)に示したように、入射光束と出射光束とで、その全体の光束幅(全光束幅)H0、H1が同じである場合について説明する。なお、図23(A)において、符号51、52で示した部分は、前記光量分布補正光学系における入射面及び出射面を仮想的に示したものである。
【0078】
前記光量分布補正光学系において、光軸Z1に近い中心部に入射した光束と、周辺部に入射した光束とのそれぞれの光束幅h0、h1が、同一であるものとする(h0=hl)。前記光量分布補正光学系は、入射側において同一の光束幅h0,h1であった光に対し、中心部の入射光束については、その光束幅h0を拡大し、逆に、周辺部の入射光束に対してはその光束幅h1を縮小するような作用を施す。すなわち、中心部の出射光束の幅h10と、周辺部の出射光束の幅h11とについて、h11<h10となるようにする。光束幅の比率で表すと、出射側における中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比「h11/h10」が、入射側における比(h1/h0=1)に比べて小さくなっている((h11/h10)<1)。
【0079】
このように光束幅を変化させることにより、通常では光量分布が大きくなっている中央部の光束を、光量の不足している周辺部へと生かすことができ、全体として光の利用効率を落とさずに、被照射面での光量分布が略均一化される。均一化の度合いは、例えば、有効領域内における光量ムラが30%以内、好ましくは20%以内となるようにする。
【0080】
前記光量分布補正光学系による作用、効果は、入射側と出射側とで、全体の光束幅を変える場合(図24(B),(C))においても同様である。
【0081】
図24(B)は、入射側の全体の光束幅H0を、幅H2に“縮小”して出射する場合(H0>H2)を示している。このような場合においても、前記光量分布補正光学系は、入射側において同一の光束幅h0、h1であった光を、出射側において、中央部の光束幅h10が周辺部に比べて大きくなり、逆に、周辺部の光束幅h11が中心部に比べて小さくなるようにする。光束の縮小率で考えると、中心部の入射光束に対する縮小率を周辺部に比べて小さくし、周辺部の入射光束に対する縮小率を中心部に比べて大きくするような作用を施している。この場合にも、中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比「H11/H10」が、入射側における比(h1/h0=1)に比べて小さくなる((h11/h10)<1)。
【0082】
図24(C)は、入射側の全体の光束幅H0を、幅Η3に“拡大”して出射する場合(H0<H3)を示している。このような場合においても、前記光量分布補正光学系は、入射側において同一の光束幅h0、h1であった光を、出射側において、中央部の光束幅h10が周辺部に比べて大きくなり、逆に、周辺部の光束幅h11が中心部に比べて小さくなるようにする。光束の拡大率で考えると、中心部の入射光束に対する拡大率を周辺部に比べて大きくし、周辺部の入射光束に対する拡大率を中心部に比べて小さくするような作用を施している。この場合にも、中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比「h11/h10」が、入射側における比(h1/h0=1)に比べて小さくなる((h11/h10)<1)。
【0083】
このように、前記光量分布補正光学系は、各出射位置における光束幅を変化させ、光軸Z1に近い中心部の光束幅に対する周辺部の光束幅の比を入射側に比べて出射側の方が小さくなるようにしたので、入射側において同一の光束幅であった光が、出射側においては、中央部の光束幅が周辺部に比べて大きくなり、周辺部の光束幅は中心部に比べて小さくなる。これにより、中央部の光束を周辺部へと生かすことができ、光学系全体としての光の利用効率を落とさずに、光量分布の略均一化された光束断面を形成することができる。
【0084】
次に、前記光量分布補正光学系として使用する1対の組合せレンズの具体的なレンズデータの1例を示す。この例では、前記光照射手段がレーザアレイ光源である場合のように、出射光束の断面での光量分布がガウス分布である場合のレンズデータを示す。なお、シングルモード光ファイバの入射端に1個の半導体レーザを接続した場合には、光ファイバからの射出光束の光量分布がガウス分布になる。本発明のパターン形成方法では、このような場合の適用も可能である。また、マルチモード光ファイバのコア径を小さくしてシングルモード光ファイバの構成に近付ける等により光軸に近い中心部の光量が周辺部の光量よりも大きい場合にも適用可能である。
下記表1に基本レンズデータを示す。
【0085】
【表1】

【0086】
表1から分かるように、1対の組合せレンズは、回転対称の2つの非球面レンズから構成されている。光入射側に配置された第1のレンズの光入射側の面を第1面、光出射側の面を第2面とすると、第1面は非球面形状である。また、光出射側に配置された第2のレンズの光入射側の面を第3面、光出射側の面を第4面とすると、第4面が非球面形状である。
【0087】
表1において、面番号Siはi番目(i=1〜4)の面の番号を示し、曲率半径riはi番目の面の曲率半径を示し、面間隔diはi番目の面とi+1番目の面との光軸上の面間隔を示す。面間隔di値の単位はミリメートル(mm)である。屈折率Niはi番目の面を備えた光学要素の波長405nmに対する屈折率の値を示す。
下記表2に、第1面及び第4面の非球面データを示す。
【0088】
【表2】

【0089】
上記の非球面データは、非球面形状を表す下記式(A)における係数で表される。
【0090】
【数2】

【0091】
上記式(A)において各係数を以下の通り定義する。
Z:光軸から高さρの位置にある非球面上の点から、非球面の頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)
ρ:光軸からの距離(mm)
K:円錐係数
C:近軸曲率(1/r、r:近軸曲率半径)
ai:第i次(i=3〜10)の非球面係数
表2に示した数値において、記号“E”は、その次に続く数値が10を底とした“べき指数″であることを示し、その10を底とした指数関数で表される数値が“E”の前の数値に乗算されることを示す。例えば、「1.0E−02」であれば、「1.0×10−2」であることを示す。
【0092】
図26は、前記表1及び表2に示す1対の組合せレンズによって得られる照明光の光量分布を示している。横軸は光軸からの座標を示し、縦軸は光量比(%)を示す。なお、比較のために、図25に、補正を行わなかった場合の照明光の光量分布(ガウス分布)を示す。図25及び図26から分かるように、光量分布補正光学系で補正を行うことにより、補正を行わなかった場合と比べて、略均一化された光量分布が得られている。これにより、光の利用効率を落とさずに、均一なレーザ光でムラなく露光を行うことができる。
【0093】
−光照射手段−
前記光照射手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(超)高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、複写機用などの蛍光管、LED、半導体レーザ等の公知光源、又は2以上の光を合成して照射可能な手段が挙げられ、これらの中でも2以上の光を合成して照射可能な手段が好ましい。
前記光照射手段から照射される光としては、例えば、支持体を介して光照射を行う場合には、該支持体を透過し、かつ用いられる光重合開始剤や増感剤を活性化する電磁波、紫外から可視光線、電子線、X線、レーザ光などが挙げられ、これらの中でもレーザ光が好ましく、2以上の光を合成したレーザ(以下、「合波レーザ」と称することがある)がより好ましい。また支持体を剥離してから光照射を行う場合でも、同様の光を用いることができる。
【0094】
前記紫外から可視光線の波長としては、例えば、300〜1500nmが好ましく、320〜800nmがより好ましく、330nm〜650nmが特に好ましい。
前記レーザ光の波長としては、例えば、200〜1500nmが好ましく、300〜800nmがより好ましく、330nm〜500nmが更に好ましく、400nm〜450nmが特に好ましい。
【0095】
前記合波レーザを照射可能な手段としては、例えば、複数のレーザと、マルチモード光ファイバと、該複数のレーザからそれぞれ照射したレーザビームを集光して前記マルチモード光ファイバに結合させる集合光学系とを有する手段が好ましい。
【0096】
以下、前記合波レーザを照射可能な手段(ファイバアレイ光源)について図を参照しながら説明する。
【0097】
ファイバアレイ光源66は図27aに示すように、複数(例えば、14個)のレーザモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合されている。図27bに詳しく示すように、マルチモード光ファイバ31の光ファイバ30と反対側の端部は副走査方向と直交する主走査方向に沿って7個並べられ、それが2列に配列されてレーザ出射部68が構成されている。
【0098】
マルチモード光ファイバ31の端部で構成されるレーザ出射部68は、図27bに示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、マルチモード光ファイバ31の光出射端面には、その保護のために、ガラス等の透明な保護板が配置されるのが望ましい。マルチモード光ファイバ31の光出射端面は、光密度が高いため集塵し易く劣化し易いが、上述のような保護板を配置することにより、端面への塵埃の付着を防止し、また劣化を遅らせることができる。
【0099】
この例では、クラッド径が小さい光ファイバ31の出射端を隙間無く1列に配列するために、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30の間にマルチモード光ファイバ30を積み重ね、積み重ねられたマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の出射端が、クラッド径が大きい部分で隣接する2本のマルチモード光ファイバ30に結合された光ファイバ31の2つの出射端の間に挟まれるように配列されている。
【0100】
このような光ファイバは、例えば、図28に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザ光出射側の先端部分に、長さ1〜30cmのクラッド径が小さい光ファイバ31を同軸的に結合することにより得ることができる。2本の光ファイバは、光ファイバ31の入射端面が、マルチモード光ファイバ30の出射端面に、両光ファイバの中心軸が一致するように融着されて結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
【0101】
また、長さが短くクラッド径が大きい光ファイバにクラッド径が小さい光ファイバを融着させた短尺光ファイバを、フェルールや光コネクタ等を介してマルチモード光ファイバ30の出射端に結合してもよい。コネクタ等を用いて着脱可能に結合することで、クラッド径が小さい光ファイバが破損した場合等に先端部分の交換が容易になり、露光ヘッドのメンテナンスに要するコストを低減できる。なお、以下では、光ファイバ31を、マルチモード光ファイバ30の出射端部と称する場合がある。
【0102】
マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、及び複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業株式会社製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。本実施の形態では、マルチモード光ファイバ30及び光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=25μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=25μm、NA=0.2である。
【0103】
一般に、赤外領域のレーザ光では、光ファイバのクラッド径を小さくすると伝搬損失が増加する。このため、レーザ光の波長帯域に応じて好適なクラッド径が決定されている。しかしながら、波長が短いほど伝搬損失は少なくなり、GaN系半導体レーザから出射された波長405nmのレーザ光では、クラッドの厚み{(クラッド径−コア径)/2}を800nmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の1/2程度、通信用の1.5μmの波長帯域の赤外光を伝搬させる場合の約1/4にしても、伝搬損失は殆ど増加しない。従って、クラッド径を60μmと小さくすることができる。
【0104】
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバアレイ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
【0105】
レーザモジュール64は、図29に示す合波レーザ光源(ファイバアレイ光源)によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば、7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,及びLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16,及び17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30と、から構成されている。なお、半導体レーザの個数は7個には限定されない。例えば、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のマルチモード光ファイバには、20個もの半導体レーザ光を入射することが可能であり、露光ヘッドの必要光量を実現して、且つ光ファイバ本数をより減らすことができる。
【0106】
GaN系半導体レーザLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザを用いてもよい。
【0107】
前記合波レーザ光源は、図30及び図31に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、パッケージ40とパッケージ蓋41とにより形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザ光源が気密封止されている。
【0108】
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
【0109】
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、コリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
【0110】
なお、図31においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザのうちGaN系半導体レーザLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
【0111】
図32は、前記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図32の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
【0112】
一方、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザビームB1〜B7を発するレーザが用いられている。これらGaN系半導体レーザLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
【0113】
したがって、各発光点から発せられたレーザビームB1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザビームB1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
【0114】
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
【0115】
また、DMDを照明する光照射手段に、合波レーザ光源の光ファイバの出射端部をアレイ状に配列した高輝度のファイバアレイ光源を用いているので、高出力で且つ深い焦点深度を備えたパターン形成装置を実現することができる。更に、各ファイバアレイ光源の出力が大きくなることで、所望の出力を得るために必要なファイバアレイ光源数が少なくなり、パターン形成装置の低コスト化が図られる。
【0116】
また、光ファイバの出射端のクラッド径を入射端のクラッド径よりも小さくしているので、発光部径がより小さくなり、ファイバアレイ光源の高輝度化が図られる。これにより、より深い焦点深度を備えたパターン形成装置を実現することができる。例えば、ビーム径1μm以下、解像度0.1μm以下の超高解像度露光の場合にも、深い焦点深度を得ることができ、高速且つ高精細な露光が可能となる。したがって、高解像度が必要とされる薄膜トランジスタ(TFT)の露光工程に好適である。
【0117】
また、前記光照射手段としては、前記合波レーザ光源を複数備えたファイバアレイ光源に限定されず、例えば、1個の発光点を有する単一の半導体レーザから入射されたレーザ光を出射する1本の光ファイバを備えたファイバ光源をアレイ化したファイバアレイ光源を用いることができる。
【0118】
また、複数の発光点を備えた光照射手段としては、例えば、図33に示すように、ヒートブロック100上に、複数(例えば、7個)のチップ状の半導体レーザLD1〜LD7を配列したレーザアレイを用いることができる。また、図34(A)に示す、複数(例えば、5個)の発光点110aが所定方向に配列されたチップ状のマルチキャビティレーザ110が知られている。マルチキャビティレーザ110は、チップ状の半導体レーザを配列する場合と比べ、発光点を位置精度良く配列できるので、各発光点から出射されるレーザビームを合波し易い。但し、発光点が多くなるとレーザ製造時にマルチキャビティレーザ110に撓みが発生し易くなるため、発光点110aの個数は5個以下とするのが好ましい。
【0119】
前記光照射手段としては、このマルチキャビティレーザ110や、図34(B)に示すように、ヒートブロック100上に、複数のマルチキヤビティレーザ110が各チップの発光点110aの配列方向と同じ方向に配列されたマルチキャビティレーザアレイを、レーザ光源として用いることができる。
【0120】
また、合波レーザ光源は、複数のチップ状の半導体レーザから出射されたレーザ光を合波するものには限定されない。例えば、図21に示すように、複数(例えば、3個)の発光点110aを有するチップ状のマルチキャビティレーザ110を備えた合波レーザ光源を用いることができる。この合波レーザ光源は、マルチキャビティレーザ110と、1本のマルチモード光ファイバ130と、集光レンズ120と、を備えて構成されている。マルチキャビティレーザ110は、例えば、発振波長が405nmのGaN系レーザダイオードで構成することができる。
【0121】
前記構成では、マルチキャビティレーザ110の複数の発光点110aの各々から出射したレーザビームBの各々は、集光レンズ120によって集光され、マルチモード光ファイバ130のコア130aに入射する。コア130aに入射したレーザ光は、光ファイバ内を伝搬し、1本に合波されて出射する。
【0122】
マルチキャビティレーザ110の複数の発光点110aを、上記マルチモード光ファイバ130のコア径と略等しい幅内に並設すると共に、集光レンズ120として、マルチモード光ファイバ130のコア径と略等しい焦点距離の凸レンズや、マルチキャビティレーザ110からの出射ビームをその活性層に垂直な面内のみでコリメートするロッドレンズを用いることにより、レーザビームBのマルチモード光ファイバ130への結合効率を上げることができる。
【0123】
また、図35に示すように、複数(例えば、3個)の発光点を備えたマルチキャビティレーザ110を用い、ヒートブロック111上に複数(例えば、9個)のマルチキャビティレーザ110が互いに等間隔で配列されたレーザアレイ140を備えた合波レーザ光源を用いることができる。複数のマルチキヤビティレーザ110は、各チップの発光点110aの配列方向と同じ方向に配列されて固定されている。
【0124】
この合波レーザ光源は、レーザアレイ140と、各マルチキヤピティレーザ110に対応させて配置した複数のレンズアレイ114と、レーザアレイ140と複数のレンズアレイ114との間に配置された1本のロッドレンズ113と、1本のマルチモード光ファイバ130と、集光レンズ120と、を備えて構成されている。レンズアレイ114は、マルチキヤピティレーザ110の発光点に対応した複数のマイクロレンズを備えている。
【0125】
上記の構成では、複数のマルチキヤビティレーザ110の複数の発光点10aの各々から出射したレーザビームBの各々は、ロッドレンズ113により所定方向に集光された後、レンズアレイ114の各マイクロレンズにより平行光化される。平行光化されたレーザビームLは、集光レンズ120によって集光され、マルチモード光フアイバ130のコア130aに入射する。コア130aに入射したレーザ光は、光フアイバ内を伝搬し、1本に合波されて出射する。
【0126】
更に他の合波レーザ光源の例を示す。この合波レーザ光源は、図36(A)及び(B)に示すように、略矩形状のヒートブロック180上に光軸方向の断面がL字状のヒートブロック182が搭載され、2つのヒートブロック間に収納空間が形成されている。L字状のヒートブロック182の上面には、複数の発光点(例えば、5個)がアレイ状に配列された複数(例えば、2個)のマルチキャビティレーザ110が、各チップの発光点110aの配列方向と同じ方向に等間隔で配列されて固定されている。
【0127】
略矩形状のヒートブロック180には凹部が形成されており、ヒートブロック180の空間側上面には、複数の発光点(例えば、5個)がアレイ状に配列された複数(例えば、2個)のマルチキャビティレーザ110が、その発光点がヒートブロック182の上面に配置されたレーザチップの発光点と同じ鉛直面上に位置するように配置されている。
【0128】
マルチキャビティレーザ110のレーザ光出射側には、各チップの発光点110aに対応してコリメートレンズが配列されたコリメートレンズアレイ184が配置されている。コリメートレンズアレイ184は、各コリメートレンズの長さ方向とレーザビームの拡がり角が大きい方向(速軸方向)とが一致し、各コリメートレンズの幅方向が拡がり角が小さい方向(遅軸方向)と一致するように配置されている。このように、コリメートレンズをアレイ化して一体化することで、レーザ光の空間利用効率が向上し合波レーザ光源の高出力化が図られると共に、部品点数が減少し低コスト化することができる。
【0129】
また、コリメートレンズアレイ184のレーザ光出射側には、1本のマルチモード光ファイバ130と、このマルチモード光ファイバ130の入射端にレーザビームを集光して結合する集光レンズ120と、が配置されている。
【0130】
前記構成では、レーザブロック180、182上に配置された複数のマルチキヤビティレーザ110の複数の発光点10aの各々から出射したレーザビームBの各々は、コリメートレンズアレイ184により平行光化され、集光レンズ120によって集光されて、マルチモード光フアイバ130のコア130aに入射する。コア130aに入射したレーザ光は、光フアイバ内を伝搬し、1本に合波されて出射する。
【0131】
前記合波レーザ光源は、上記の通り、マルチキャビティレーザの多段配置とコリメートレンズのアレイ化とにより、特に高出力化を図ることができる。この合波レーザ光源を用いることにより、より高輝度なファイバアレイ光源やバンドルファイバ光源を構成することができるので、本発明のパターン形成装置のレーザ光源を構成するファイバ光源として特に好適である。
【0132】
なお、前記各合波レーザ光源をケーシング内に収納し、マルチモード光ファイバ130の出射端部をそのケーシングから引き出したレーザモジュールを構成することができる。
【0133】
また、合波レーザ光源のマルチモード光ファイバの出射端に、コア径がマルチモード光ファイバと同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバより小さい他の光ファイバを結合してファイバアレイ光源の高輝度化を図る例について説明したが、例えば、クラッド径が125μm、80μm、60μm等のマルチモード光ファイバを、出射端に他の光ファイバを結合せずに使用してもよい。
【0134】
ここで、本発明の前記パターン形成方法について更に説明する。
スキャナ162の各露光ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザ光源を構成するGaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々から発散光状態で出射したレーザビームB1,B2,B3,B4,B5,B6,及びB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザビームB1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面に収束する。
【0135】
本例では、コリメータレンズ11〜17及び集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。即ち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザビームB1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザビームBに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
【0136】
各レーザモジュールにおいて、レーザビームB1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各出力が30mWの場合には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザビームBを得ることができる。従って、6本の光ファイバ31がアレイ状に配列されたレーザ出射部68での出力は約1W(=180mW×6)である。
【0137】
ファイバアレイ光源66のレーザ出射部68には、この通り高輝度の発光点が主走査方向に沿って一列に配列されている。単一の半導体レーザからのレーザ光を1本の光ファイバに結合させる従来のファイバ光源は低出力であるため、多数列配列しなければ所望の出力を得ることができなかったが、前記合波レーザ光源は高出力であるため、少数列、例えば1列でも所望の出力を得ることができる。
【0138】
例えば、半導体レーザと光ファイバを1対1で結合させた従来のファイバ光源では、通常、半導体レーザとしては出力30mW(ミリワット)程度のレーザが使用され、光ファイバとしてはコア径50μm、クラッド径125μm、NA(開口数)0.2のマルチモード光ファイバが使用されているので、約1W(ワット)の出力を得ようとすれば、マルチモード光ファイバを48本(8×6)束ねなければならず、発光領域の面積は0.62mm(0.675mm×0.925mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は1.6×10(W/m)、光ファイバ1本当りの輝度は3.2×10(W/m)である。
【0139】
これに対し、前記光照射手段が合波レーザを照射可能な手段である場合には、マルチモード光ファイバ6本で約1Wの出力を得ることができ、レーザ出射部68での発光領域の面積は0.0081mm(0.325mm×0.025mm)であるから、レーザ出射部68での輝度は123×10(W/m)となり、従来に比べ約80倍の高輝度化を図ることができる。また、光ファイバ1本当りの輝度は90×10(W/m)であり、従来に比べ約28倍の高輝度化を図ることができる。
【0140】
ここで、図37(A)及び(B)を参照して、従来の露光ヘッドと本実施の形態の露光ヘッドとの焦点深度の違いについて説明する。従来の露光ヘッドのバンドル状ファイバ光源の発光領域の副走査方向の径は0.675mmであり、露光ヘッドのファイバアレイ光源の発光領域の副走査方向の径は0.025mmである。図37(A)に示すように、従来の露光ヘッドでは、光照射手段(バンドル状ファイバ光源)1の発光領域が大きいので、DMD3へ入射する光束の角度が大きくなり、結果として走査面5へ入射する光束の角度が大きくなる。このため、集光方向(ピント方向のずれ)に対してビーム径が太りやすい。
【0141】
一方、図37(B)に示すように、本発明のパターン形成装置における露光ヘッドでは、ファイバアレイ光源66の発光領域の副走査方向の径が小さいので、レンズ系67を通過してDMD50へ入射する光束の角度が小さくなり、結果として走査面56へ入射する光束の角度が小さくなる。即ち、焦点深度が深くなる。この例では、発光領域の副走査方向の径は従来の約30倍になっており、略回折限界に相当する焦点深度を得ることができる。従って、微小スポットの露光に好適である。この焦点深度への効果は、露光ヘッドの必要光量が大きいほど顕著であり、有効である。この例では、露光面に投影された1描素サイズは10μm×10μmである。なお、DMDは反射型の空間光変調素子であるが、図37(A)及び(B)は、光学的な関係を説明するために展開図とした。
【0142】
露光パターンに応じたパターン情報が、DMD50に接続された図示しないコントローラに入力され、コントローラ内のフレームメモリに一旦記憶される。このパターン情報は、画像を構成する各描素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0143】
パターン形成材料150を表面に吸着したステージ152は、図示しない駆動装置により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられた検知センサ164によりパターン形成材料150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶されたパターン情報が複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出されたパターン情報に基づいて各露光ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて露光ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。
【0144】
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザ光が照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58によりパターン形成材料150の被露光面56上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が描素毎にオンオフされて、パターン形成材料150がDMD50の使用描素数と略同数の描素単位(露光エリア168)で露光される。また、パターン形成材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、パターン形成材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
【0145】
[積層体]
前記露光の対象としては、感光層を有する前記パターン形成材料である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、基体上に前記感光層を塗布などによって設けた積層体、又は支持体上に前記感光層を有するパターン形成材料を転写、ラミネートなどにより形成してなる積層体に対して行われることが好ましい。
【0146】
<感光層>
前記感光層としてはアルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤、及び架橋剤とを含む以外には特に制限はなく、公知の材料から適宜選択することができる。また適宜選択したその他の成分を含んでもよい。
【0147】
<アルカリ可溶性樹脂>
アルカリ可溶性樹脂としては特に限定されず、ネガ化学増幅型レジストで開示された公知のフェノールノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、ビニルフェノール由来の構造単位を有する共重合体、及びポリビニルフェノール樹脂を一部保護又は修飾することで得られる樹脂等、フェノール骨格を有するポリマー、カルボキシル基を有するポリマーが利用できる。
化学増幅型ネガレジストにおいては、活性光線、放射線、又は電子線などの照射により発生した酸触媒の作用により、架橋剤とアルカリ可溶性樹脂が反応し架橋構造を形成してアルカリ現像液に不溶する。
フェノール骨格を有するポリマーとしては例えば下記構造式で示される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。
【0148】
【化1】

【0149】
式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していても良い、アルキル基又はハロアルキル基を表す。Rは水素原子、置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、あるいはアシル基を表す。R、Rは同じでも異なっていても良く、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、もしくはアリール基を表す。
【0150】
Aは単結合、置換基を有しても良い、2価のアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、もしくはアリーレン基、又は−O−、−SO−、−O−CO−R−、−CO−O−R−、−CO−N(R)−R−を表す。R、R、Rは同じでも異なっていても良く、単結合、置換基を有しても良い、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、もしくはアリーレン基の単独、又はこれらの基とエーテル構造、エステル構造、アミド構造、ウレタン構造もしくはウレイド構造の群より選択される少なくとも1種が一緒になって形成した2価の基を表す。Rは同じでも異なっていても良く、水素原子、置換基を有していても良い、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。nは1〜3の整数を表す。また複数のR、又はRとRもしくはRが結合して環を形成しても良い。より好ましくは上記一般式(a)で表される繰り返し構造単位を含有するフェノール樹脂を挙げることができる。
【0151】
またR〜R、Rのアルキル基としては、例えば炭素数1〜8個のアルキル基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基を好ましく挙げることができる。R〜R、Rのシクロアルキル基は単環型でも良く、多環型でも良い。単環型としては炭素数3〜8個の例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を好ましく挙げることができる。多環型としては例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基等を好ましく挙げることができる。R、Rのアルケニル基としては、例えば炭素数2〜8個のアルケニル基であって、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基を好ましく挙げることができる。
【0152】
〜R、Rのアリール基としては、例えば炭素数6〜15個のアリール基であって、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等を好ましく挙げることができる。R〜R、Rのアラルキル基としては、例えば炭素数7〜12個のアラルキル基であって、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等を好ましく挙げることができる。
【0153】
のハロアルキル基としては、例えば炭素数1〜4個のハロアルキル基であって、具体的にはクロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、クロロブチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基等を好ましく挙げることができる。
【0154】
のアシル基としては、例えば炭素数1〜8個のアシル基であって、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等を好ましく挙げることができる。
【0155】
A、R、R、Rのアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していても良い、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基等の炭素数1〜8個のものが挙げられる。A、R、R、Rのアルケニレン基としては、好ましくは置換基を有していても良い、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基等の炭素数2〜6個のものが挙げられる。
【0156】
A、R、R、Rのシクロアルキレン基としては、好ましくは置換基を有していても良い、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等の炭素数5〜8個のものが挙げられる。A、R、R、Rのアリーレン基としては、好ましくはフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等の炭素数6〜12個のものが挙げられる。
【0157】
これらの基に置換される置換基としては、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものや、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、チオエーテル基、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、アシロキシ基(アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。特にアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の活性水素を有するものが好ましい。
【0158】
また、複数のR、又はRとRもしくはRが結合して形成した環としては、ベンゾフラン環、ベンゾジオキソノール環、ベンゾピラン環等の酸素原子を含有する4〜7員環が挙げられる。
またこれらの樹脂は、一般式(a)で表される繰り返し構造単位のみからなる樹脂であっても良いが、他の重合性モノマーを共重合させても良い。
【0159】
使用することができる共重合モノマーとしては、以下に示すものが含まれる。例えば、上記以外のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などから選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。
【0160】
具体的には、例えばアクリル酸エステル類、例えばアルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜10のものが好ましい)アクリレート(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸t−オクチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、など)アリールアクリレート(例えばフェニルアクリレートなど);
【0161】
メタクリル酸エステル類、例えば、アルキル(アルキル基の炭素原子数は1〜10のものが好ましい)メタクリレート(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなど)、アリールメタクリレート(例えば、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなど);
【0162】
アクリルアミド類、例えば、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、ベンジル基などがある。)、N−アリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基などがある。)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある。)、N,N−ジアリールアクリルアミド(アリール基としては、例えばフェニル基などがある。)、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど;
【0163】
メタクリルアミド類、例えば、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、炭素原子数1〜10のもの、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、ヒドロキシエチル基、シクロヘキシル基などがある。)、N−アリールメタクリルアミド(アリール基としては、フェニル基などがある。)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基などがある。)、N,N−ジアリールメタクリルアミド(アリール基としては、フェニル基などがある。)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなど;
アリル化合物、例えば、アリルエステル類(例えば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど;
【0164】
ビニルエーテル類、例えば、アルキルビニルエーテル(例えば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど)、ビニルアリールエーテル(例えばビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなど);
【0165】
ビニルエステル類、例えば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サルチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニルなど;
【0166】
スチレン類、例えば、スチレン、アルキルスチレン(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなど)、アルコキシスチレン(例えば、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレンなど)、ハロゲンスチレン(例えば、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレンなど)、カルボキシスチレン;
【0167】
クロトン酸エステル類、例えば、クロトン酸アルキル(例えば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル、グリセリンモノクロトネートなど);イタコン酸ジアルキル類(例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど);マレイン酸あるいはフマール酸のジアルキルエステル類(例えば、ジメチルマレエート、ジブチルフマレートなど)、無水マレイン酸、マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等がある。その他、一般的には共重合可能である付加重合性不飽和化合物であればよい。
【0168】
この中で、カルボキシスチレン、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド等のようなカルボキシル基を有するモノマー、マレイミド等、アルカリ溶解性を向上させるモノマーが共重合成分として好ましい。本発明における樹脂中の他の重合性モノマーの含有量としては、全繰り返し単位に対して、50モル%以下が好ましく、より好ましくは30モル%以下である。
【0169】
以下に一般式(a)で表される繰り返し構造単位を有する樹脂の具体例を示すが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0170】
【化2】

【0171】
【化3】

【0172】
【化4】

【0173】
【化5】

【0174】
【化6】

【0175】
【化7】

【0176】
【化8】

【0177】
【化9】

【0178】
【化10】

【0179】
【化11】

【0180】
またカルボキシル基を有するポリマーも利用できる。このような樹脂は例えば、カルボキシル基を有するビニル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド酸樹脂、変性エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの中でも、塗布溶媒への溶解性、アルカリ現像液への溶解性、合成適性、膜物性の調整の容易さ等の観点からカルボキシル基を有するビニル共重合体が好ましい。
【0181】
前記カルボキシル基を有するビニル共重合体は、少なくとも(1)カルボキシル基を有するビニルモノマー、及び(2)これらと共重合可能なモノマーとの共重合により得ることができる。
【0182】
前記カルボキシル基を有するビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有する単量体(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)と環状無水物(例えば、無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物)との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、共重合性やコスト、溶解性などの観点から(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の無水物を有するモノマーを用いてもよい。
【0183】
前記その他の共重合可能なモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記のアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類、クロトン酸エステル類などが挙げられる。
【0184】
アルカリ可溶性樹脂の好ましい分子量は重量平均で1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜50,000の範囲で使用される。
【0185】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂は、単独でも使用できるが、二種以上を併用することもできる。
【0186】
アルカリ可溶性樹脂の添加量は組成物の全固形分に対し、30〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは50〜80重量%の範囲で使用される。
【0187】
<架橋剤>
架橋剤としては特に限定されず、ネガ化学増幅型レジストで開示された公知の化合物が利用できる。架橋剤は酸、例えば放射線の照射により生じた酸の存在下で、アルカリ可溶性樹脂を架橋し得る化合物である。このような架橋剤としては、例えばアルカリ可溶性樹脂との架橋反応性を有する1種以上の置換基(以下、「架橋性置換基」という。)を有する化合物を挙げることができる。
【0188】
このような架橋性置換基の具体例としては、例えば
(i)ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アセトキシアルキル基等のヒドロキシアルキル基またはその誘導体;
(ii)ホルミル基、カルボキシアルキル基等のカルボニル基またはその誘導体;
(iii)ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチロールアミノメチル基、モルホリノメチル基等の含窒素基含有置換基;
(iv)グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基等のグリシジル基含有置換基;
(v)ベンジルオキシメチル基、ベンゾイロキシメチル基等のアリルオキシアルキル基、アラルキルオキシアルキル基等の芳香族誘導体;
(vi)ビニル基、イソプロペニル基等の重合性多重結合含有置換基等を挙げることができる。これらの中でも架橋剤の架橋性置換基としては、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基等が好ましく、特にアルコキシメチル基が好ましい。
【0189】
前記架橋性置換基を有する架橋剤としては、例えば
(i)メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有ウレア化合物、メチロール基含有グリコールウリル化合物、メチロール基含有フェノール化合物等のメチロール基含有化合物;
(ii)アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有ウレア化合物、アルコキシアルキル基含有グリコールウリル化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物等のアルコキシアルキル基含有化合物;
(iii)カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有ウレア化合物、カルボキシメチル基含有グリコールウリル化合物、カルボキシメチル基含有フェノール化合物等のカルボキシメチル基含有化合物;
(iv)ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物等のエポキシ化合物等を挙げることができる。
【0190】
架橋剤としては、さらに、アルカリ可溶性樹脂中の酸性官能基に前記架橋性置換基を導入し、架橋剤としての性質を付与した樹脂を使用することができる。その場合の架橋性置換基の導入率は、アルカリ可溶性樹脂中の全酸性官能基に対して、通常、5〜60モル%、好ましくは10〜50モル%、さらに好ましくは15〜40モル%に調節される。架橋性置換基の導入率が5モル%未満では、十分な架橋反応を生起させることが困難となり、また60モル%を超えると、アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解性の低下を招いて、現像性が悪化する傾向がある。
【0191】
これらの中でもアルコキシメチル化ウレア化合物またはその樹脂、またはアルコキシメチル化グリコールウリル化合物またはその樹脂が好ましい。特に好ましい架橋剤としては、上記式(2)〜(4)で示される化合物及びアルコキシメチル化メラミン化合物を挙げることができる。
【0192】
【化12】

【0193】
[化12]中の(1)〜(3)におけるR5bは、各々独立に、水素原子、アルキル基(炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)又はアシル基(好ましくは炭素数2〜6、更に好ましくは炭素数2〜4、例えばアセチル基、プロピオニル基)を表す。式(1)におけるR6b〜R9bは、各々独立に、水素原子、水酸基、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)又はアルコキシル基(好ましくは炭素数1〜5、更に好ましくは炭素数1〜3、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基)を表す。Xは、単結合、メチレン基又は酸素原子を表す。Xは単結合又はメチレン基が好ましい。尚、これらの基は、更にメチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0194】
式(1)〜(3)で表される化合物及びアルコキシメチル化メラミン化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0195】
【化13】

【0196】
【化14】

【0197】
前記架橋剤は、例えば尿素化合物やグリコールウリル化合物とホルマリンを縮合反応させてメチロール基を導入した後、さらにメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出する化合物またはその樹脂を回収することで得られる。また前記架橋剤は、CYMEL(商品名、三井サイアナミッド製)、ニカラッド(三和ケミカル製)のような市販品としても入手することができる。
【0198】
また、分子内にベンゼン環を1〜6個有するフェノール誘導体であり、ヒドロキシメチル基および/又はアルコキシメチル基を分子内全体で2個以上有し、それを少なくともいずれかのベンゼン環に結合している化合物を挙げることができる。
【0199】
ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0200】
【化15】

【0201】
【化16】

【0202】
【化17】

【0203】
【化18】

【0204】
【化19】

【0205】
【化20】

【0206】
([化15]〜[化20]の式中、L〜Lは、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。)ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL〜Lが水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。具体的には、特開平6−282067号公報、特開平7−64285号公報等に記載されている方法にて合成することができる。
【0207】
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。具体的には、欧州特許EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
【0208】
このようにして合成されたヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0209】
架橋剤は、全組成物の固形分中、3〜70重量%、好ましくは5〜50重量%の添加量で用いられる。架橋剤の添加量が3重量%未満であると残膜率が低下し、また、70重量%を越えると解像力が低下し、更に保存時の安定性の点で余り好ましくない。
【0210】
上記のN−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物と、ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0211】
<光酸発生剤>
光酸発生剤としては特に限定されず、露光により酸を発生する感放射線性酸発生剤からなる。光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、ジスルフォニルメタン化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物及びオキシムスルホネート化合物等を挙げることができる。
【0212】
オニウム塩:オニウム塩化合物としては、例えば下記式(1)のスルホニウム塩、(2)のヨードニウム塩、およびホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等を挙げることができる。
【0213】
【化21】

【0214】
【化22】

【0215】
[化21]及び[化22]において、R〜R15は同一または異なって、水素原子、直鎖状、分岐状あるいは環状のアルキル基、直鎖状、分岐状あるいは環状のアルコキシ基、ヒドロキシル基またはハロゲン原子を示し、Xはアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基またはハロゲン置換アリール基を示す。オニウム塩化合物の具体例としては、
a.スルホニウム塩:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム−n−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2−トルフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム−1−ナフタレンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−2,4−ジメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−2,4−ジメチルフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−2,4−ジメチルフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−2,4−ジメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−2,4−ジメチルフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−2,4,6−トリメチルフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−t−ブチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブチルフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブチルフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブチルフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブチルフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−フルオロフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−フルオロフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−フルオロフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−フルオロフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−4−フルオロフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−4−メトキシフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニル−4−t−ブトキシフェニルスルホニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−フルオロフェニル)−4−メトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メトキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−メトキシフェニル)フェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−メトキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム−10−カンファースルホネート等を挙げることができる。
【0216】
b.ヨードニウム塩ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)−p−トルエンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−2,4ジフルオロベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウム−2,4−ジフルオロベンゼンスルホネート、ビス(3,4−ジメチルフェニル)ヨードニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウム−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム−2,4ジフルオロベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−ニトロフェニル・フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロフェニル・フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−ニトロフェニル・フェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−ニトロフェニル・フェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、4−ニトロフェニル・フェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、4−ニトロフェニル・フェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(3−ニトロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(3−ニトロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(3−ニトロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(3−ニトロフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(3−ニトロフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、4−メトキシフェニル・フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニル・フェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メトキシフェニル・フェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メトキシフェニル・フェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、4−メトキシフェニル・フェニルヨードニウムベンゼンスルホネート、4−メトキシフェニル・フェニルヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−クロロフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム−10−カンファースルホネート。
【0217】
スルホンイミド化合物:スルホンイミド化合物としては、例えば、下記一般式[化23]で表される化合物を挙げることができる。
【0218】
【化23】

【0219】
[化23]において、Vはアルキレン基、アリーレン基、アルコキシレン基等の2価の基を示し、R16はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
【0220】
スルホンイミド化合物の具体例としては、例えばN−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2ートリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド等を挙げることができる。
【0221】
ジアゾメタン化合物:ジアゾメタン化合物としては、例えば、下記一般式[化24]で表される化合物を挙げることができる。
【0222】
【化24】

【0223】
[化24]において、R17およびR18は相互に独立にアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基、ハロゲン置換アリール基等の1価の基を示す。
【0224】
ジアゾメタン化合物の具体例としては、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル・p−トルエンスルホニルジアゾメタン、ビス(4−t−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−クロロベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル・p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル・1,1−ジメチルエチルスルホニルジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(3,3−ジメチル−1,5−ジオキサスピロ[5.5]ドデカン−8−スルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン−7−スルホニル)ジアゾメタン等を挙げることができる。
【0225】
ジスルフォニルメタン化合物:ジスルフォニルメタン化合物としては、例えば、下記一般式[化25]で表される化合物を挙げることができる。
【0226】
【化25】

【0227】
[化25]において、R19およびR20は相互に独立に1価の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示し、XおよびYは相互に独立にアリール基、水素原子、1価の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素基またはヘテロ原子を有する1価の他の有機基を示すか(但しXおよびYの少なくとも一方がアリール基である)あるいはXとYが相互に連結して少なくとも1個の不飽和結合を有する炭素単環構造または炭素多環構造を形成しているか、あるいはXとYが相互に連結して下記一般式[化26]で表される化合物が挙げられる。
【0228】
【化26】

【0229】
[化26]中、X’およびY’は相互に独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示すか、あるいはそれらが結合している炭素原子と一緒になって炭素単環構造を形成しており、mは2〜10の整数である。で表される基を形成している。
【0230】
ハロゲン含有化合物ハロゲン化合物としては、例えばハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物などが好ましく用いられる。ハロゲン含有化合物の具体例としては、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、α,α,α−トリブロモメチルフェニルスルホン、トリブロモネオペンチルアルコール、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオール、ペンタエリトリトールテトラブロマイド、2−(ブロモメチル)−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヘキサブロモヘキサン、ヘキサブロモヘプタン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモ−o−クレゾール、テトラブロモビスフェノールAビスヒドロキシエチルエーテル、2,4−ジブロモ−2,4−ジメチル−3−ペンタノンなどの臭素化合物、ペンタエリトリトールテトラクロライド、フェニル−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどの(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタンなどの塩素化合物、ヘキサヨードヘキサン、p−ジヨードベンゼンなどのヨウ素化合物などが挙げられる。
【0231】
スルホン化合物スルホン化合物としては、例えばβ−ケトスルホン、β−スルホニルスルホン、これらのα−ジアゾ化合物などを挙げることができる。スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、4−トリスフェナシルスルホンなどを挙げることができる。
【0232】
スルホン酸エステル化合物スルホン酸エステル化合物としては、例えばアルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなどを挙げることができる。
【0233】
スルホン酸エステル化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、ピロガノールトリストリフレート、ピロガノールメタンスルホン酸トリエステル、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、α−メチロールベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾインオクタンスルホン酸エステル、α−メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホン酸エステル、α−メチロールベンゾインドデシルスルホン酸エステルなどを挙げることができる。
【0234】
オキシムスルホネート化合物オキシムスルホネート化合物としては、例えば、下記一般式[化27]で表される化合物を挙げることができる。
【0235】
【化27】

【0236】
[化27]において、R21およびR22は互いに独立に置換していてもよい直鎖、分岐または環状アルキル基、置換していてもよいアリール基、置換していてもよいヘテロアリール基、置換していてもよいアラルキル基を示す。
【0237】
オキシムスルホネート化合物の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリル等を挙げることができる。
【0238】
本発明における前記光酸発生剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0239】
前記光酸発生剤のなかでも、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、ジスルフォニルメタン化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、オキシムスルホネート化合物が好ましい。
前記光酸発生剤の使用量は、アルカリ可溶性樹脂100重量部当り、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。光酸発生剤の配合量が0.1重量部未満では、解像度が低下し、20重量部を越えるとパターン形状が低下する。
【0240】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、有機塩基性化合物、染料、溶媒、界面活性剤、可塑剤、発色剤、着色剤などが挙げられ、更に基体表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、顔料、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、表面張力調整剤、連鎖移動剤等)を併用してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするパターン形成材料の安定性、写真性、焼きだし性、膜物性等の性質を調整することができる。
【0241】
−有機塩基性化合物−
有機塩基性化合物としては、特に制限はなく、種々のものが使用できるが、中でも、フェノールよりも塩基性の強い化合物が好ましく、含窒素塩基性化合物がさらに好ましい。
具体的な有機塩基性化合物としては、下記式(A)〜(E)の構造を挙げることができる。
【0242】
【化28】

【0243】
ここで、R250、R251及びR252は、同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜6個のアルキル基、炭素数1〜6個のアミノアルキル基、炭素数1〜6個のヒドロキシアルキル基又は炭素数6〜20個の置換もしくは非置換のアリール基を表し、ここで、R251とR252は、互いに結合して環を形成してもよい。R253、R254、R255及びR256は、同一でも異なってもよく、炭素数1〜6個のアルキル基を表す。
【0244】
更に好ましい化合物は、一分子中に異なる化学的環境の窒素原子を2個以上有する含窒素塩基性化合物であり、特に好ましくは、置換もしくは未置換のアミノ基と窒素原子を含む環構造の両方を含む化合物もしくはアルキルアミノ基を有する化合物である。
【0245】
好ましい具体例としては、置換もしくは未置換のグアニジン、置換もしくは未置換のアミノピリジン、置換もしくは未置換のアミノアルキルピリジン、置換もしくは未置換のアミノピロリジン、置換もしくは未置換のインダゾール、イミダゾール、置換もしくは未置換のピラゾール、置換もしくは未置換のピラジン、置換もしくは未置換のピリミジン、置換もしくは未置換のプリン、置換もしくは未置換のイミダゾリン、置換もしくは未置換のピラゾリン、置換もしくは未置換のピペラジン、置換もしくは未置換のアミノモルフォリン、置換もしくは未置換のアミノアルキルモルフォリン等が挙げられる。好ましい置換基は、アミノ基、アミノアルキル基、アルキルアミノ基、アミノアリール基、アリールアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシロキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ニトロ基、水酸基、シアノ基である。
【0246】
特に好ましい化合物として、グアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2−ジエチルアミノピリジン、2−(アミノメチル)ピリジン、2−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−4−メチルピリジン、2−アミノ−5−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジン、3−アミノエチルピリジン、4−アミノエチルピリジン、3−アミノピロリジン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2−イミノピペリジン、1−(2−アミノエチル)ピロリジン、ピラゾール、3−アミノ−5−メチルピラゾール、5−アミノ−3−メチル−1−p−トリルピラゾール、ピラジン、2−(アミノメチル)−5−メチルピラジン、ピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、N−アミノモルフォリン、N−(2−アミノエチル)モルフォリンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0247】
これらの有機塩基性化合物は、単独であるいは2種以上一緒に用いられる。有機塩基性化合物の使用量は、感放射線性レジスト組成物の全組成物の固形分に対し、通常、0.001〜10重量%であり、0.01〜5重量%が好ましい。0.001重量%未満では上記塩基性化合物の添加の効果が得られない。一方、10重量%を超えると感度の低下や非露光部の現像性が悪化する傾向がある。
【0248】
−染料−
本発明の感光性組成物には必要に応じて、染料を含有させることができる。
染料好適な染料としては油性染料及び塩基性染料がある。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS,オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業株式会社製)、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、ローダミンB(CI45170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等を挙げることができる。
【0249】
−溶媒−
本発明の感光性組成物は、上記各成分を溶解する溶媒に溶かして塗布する。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等が好ましく、これらの溶媒を単独あるいは混合して使用する。特に好ましい溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテルの混合溶媒である。
【0250】
−界面活性剤−
本発明の感光性組成物には、好ましくはフッ素系及び/又はシリコン含有界面活性剤を含有することができる。本発明のネガ型レジスト組成物には、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤及びフッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。本発明のネガ型レジスト組成物が上記成分とともに上記界面活性剤とを含有することにより、パターンの線幅が一層細い時に特に有効であり、現像欠陥が一層改良される。これらの界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号、特開昭61−226746号、特開昭61−226745号、特開昭62−170950号、特開昭63−34540号、特開平7−230165号、特開平8−62834号、特開平9−54432号、特開平9−5988号記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0251】
上記界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分を基準として、通常0.001重量%〜2重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0252】
上記の他に使用することのできる界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらの他の界面活性剤の配合量は、本発明の組成物中の固形分100重量部当たり、通常、2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
【0253】
−可塑剤−
前記可塑剤は、前記感光層の膜物性(可撓性)をコントロールするために添加してもよい。
前記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジフェニルフタレート、ジアリルフタレート、オクチルカプリールフタレート等のフタル酸エステル類;トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジアセテート、ジメチルグリコースフタレート、エチルフタリールエチルグリコレート、メチルフタリールエチルグリコレート、ブチルフタリールブチルグリコレート、トリエチレングリコールジカブリル酸エステル等のグリコールエステル類;トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;4−トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−n−ブチルアセトアミド等のアミド類;ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセパケート、ジオクチルセパケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルマレエート等の脂肪族二塩基酸エステル類;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、グリセリントリアセチルエステル、ラウリン酸ブチル、4,5−ジエポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジオクチル等、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。
【0254】
前記可塑剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜40質量%がより好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。
【0255】
−発色剤−
前記発色剤は、露光後の前記感光層に可視像を与える(焼きだし機能)ために添加してもよい。
前記発色剤としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン(ロイコクリスタルバイオレット)、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ジブチルアミノフェニル)−〔4−(2−シアノエチル)メチルアミノフェニル〕メタン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−2−キノリルメタン、トリス(4−ジプロピルアミノフェニル)メタン等のアミノトリアリールメタン類;3,6−ビス(ジメチルアミノ)−9−フェニルキサンチン、3−アミノ−6−ジメチルアミノ−2−メチル−9−(2−クロロフェニル)キサンチン等のアミノキサンチン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(2−エトキシカルボニルフェニル)チオキサンテン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)チオキサンテン等のアミノチオキサンテン類;3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9,10−ジヒドロ−9−フェニルアクリジン、3,6−ビス(ベンジルアミノ)−9,10−ジビドロ−9−メチルアクリジン等のアミノ−9,10−ジヒドロアクリジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)フェノキサジン等のアミノフェノキサジン類;3,7−ビス(エチルアミノ)フェノチアゾン等のアミノフェノチアジン類;3,7−ビス(ジエチルアミノ)−5−ヘキシル−5,10−ジヒドロフェナジン等のアミノジヒドロフェナジン類;ビス(4−ジメチルアミノフェニル)アニリノメタン等のアミノフェニルメタン類;4−アミノ−4’−ジメチルアミノジフェニルアミン、4−アミノ−α,β−ジシアノヒドロケイ皮酸メチルエステル等のアミノヒドロケイ皮酸類;1−(2−ナフチル)−2−フェニルヒドラジン等のヒドラジン類;1,4−ビス(エチルアミノ)−2,3−ジヒドロアントラキノン類のアミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン類;N,N−ジエチル−4−フェネチルアニリン等のフェネチルアニリン類;10−アセチル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン等の塩基性NHを含むロイコ色素のアシル誘導体;トリス(4−ジエチルアミノ−2−トリル)エトキシカルボニルメンタン等の酸化しうる水素を有していないが、発色化合物に酸化しうるロイコ様化合物;ロイコインジゴイド色素;米国特許3,042,515号及び同第3,042,517号に記載されているような発色形に酸化しうるような有機アミン類(例、4,4’−エチレンジアミン、ジフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4,4’−メチレンジアミントリフェニルアミン、N−ビニルカルバゾール)が挙げられ、これらの中でも、ロイコクリスタルバイオレット等のトリアリールメタン系化合物が好ましい。
【0256】
更に、前記発色剤は、前記ロイコ体を発色させるためなどの目的で、ハロゲン化合物と組み合わせることが一般に知られている。
前記ハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例えば、四臭化炭素、ヨードホルム、臭化エチレン、臭化メチレン、臭化アミル、臭化イソアミル、ヨウ化アミル、臭化イソブチレン、ヨウ化ブチル、臭化ジフェニルメチル、ヘキサクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2−ジブロモ−1,1,2−トリクロロエタン、1,2,3トリブロモプロバン、1−ブロモ−4−クロロブタン、1,2,3,4−テトラブロモブタン、テトラクロロシクロプロペン、ヘキサクロロシクロペンタジエン、ジブロモシキロヘキサン、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(4−クロロフェニル)エタンなど);ハロゲン化アルコール化合物(例えば、2,2,2−トリクロロエタノール、トリブロモエタノール、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,1,1−トリクロロ−2−プロパノール、ジ(ヨードヘキサメチレン)アミノイソプロパノール、トリブロモ−t−ブチルアルコール、2,2,3−トリクロロブタン−1,4−ジオールなど);ハロゲン化カルボニル化合物(例えば1,1−ジクロロアセトン、1,3−ジクロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、ヘキサブロモアセトン、1,1,3,3−テトラクロロアセトン、1,1,1−トリクロロアセトン、3,4−ジブロモ−2−ブタノン、1,4−ジクロロ−2−ブタノン−ジブロモシクロヘキサノン等);ハロゲン化エーテル化合物(例えば2−ブロモエチルメチルエーテル、2−ブロモエチルエチルエーテル、ジ(2−ブロモエチル)エーテル、1,2−ジクロロエチルエチルエーテル等);ハロゲン化エステル化合物(例えば、酢酸ブロモエチル、トリクロロ酢酸エチル、トリクロロ酢酸トリクロロエチル、2,3−ジブロモプロピルアクリレートのホモポリマー及び共重合体、ジブロモプロピオン酸トリクロロエチル、α,β−ジグロロアクリル酸エチル等);ハロゲン化アミド化合物(例えば、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、ジクロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリブロモアセトアミド、トリクロロエチルトリクロロアセトアミド、2−ブロモイソプロピオンアミド、2,2,2−トリクロロプロピオンアミド、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドなど);硫黄やリンを有する化合物(例えば、トリブロモメチルフェニルスルホン、4−ニトロフェニルトリブロモメチルスルホン、4−クロルフェニルトリブロモメチルスルホン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート等)、2,4−ビス(トリクロロメチル)6−フェニルトリアゾールなどが挙げられる。有機ハロゲン化合物では、同一炭素原子に結合した2個以上のハロゲン原子を持つハロゲン化合物が好ましく、1個の炭素原子に3個のハロゲン原子を持つハロゲン化合物がより好ましい。前記有機ハロゲン化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トリブロモメチルフェニルスルホン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フェニルトリアゾールが好ましい。
【0257】
前記発色剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。また、前記ハロゲン化合物の含有量としては、前記感光層の全成分に対し0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜1質量%がより好ましい。
【0258】
−密着促進剤−
各層間の密着性、又はパターン形成材料と基体との密着性を向上させるために、各層に公知のいわゆる密着促進剤を用いることができる。
【0259】
前記密着促進剤としては、例えば、特開平5−11439号公報、特開平5−341532号公報、及び特開平6−43638号公報等に記載の密着促進剤が好適挙げられる。具体的には、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、3−モルホリノメチル−5−フェニル−オキサジアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアジアゾール−2−チオン、及び2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0260】
前記密着促進剤の含有量としては、前記感光層の全成分に対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%が特に好ましい。
【0261】
前記感光層は、例えば、J.コーサー著「ライトセンシテイブシステムズ」第5章に記載されているような有機硫黄化合物、過酸化物、レドックス系化合物、アゾ又はジアゾ化合物、光還元性色素、有機ハロゲン化合物などを含んでいてもよい。
【0262】
前記有機硫黄化合物としては、例えば、ジ−n−ブチルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、2−メルカプロベンズチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、チオフェノール、エチルトリクロロメタンスルフェネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0263】
前記過酸化物としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイドを挙げることができる。
【0264】
前記レドックス化合物は、過酸化物と還元剤の組合せからなるものであり、第一鉄イオンと過硫酸イオン、第二鉄イオンと過酸化物などを挙げることができる。
【0265】
前記アゾ及びジアゾ化合物としては、例えば、α,α’−アゾビスイリブチロニトリル、2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、4−アミノジフェニルアミンのジアゾニウム類が挙げられる。
【0266】
前記光還元性色素としては、例えば、ローズベンガル、エリスロシン、エオシン、アクリフラビン、リポフラビン、チオニンが挙げられる。
【0267】
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、2〜30μmが特に好ましい。
【0268】
[感光層形成工程]
本発明において、感光層の形成方法は、感光性樹脂組成物溶液を基板上に直接塗布する方法を用いてもよいし、予め前記支持体上に塗布や感光層を設けたパターン形成材料を作製し、該パターン形成材料を基板上に積層することによって、基板上に感光層を設けてもよい。
前記感光性樹脂組成物溶液は、上述の各種材料を、水又は前記溶剤に溶解、乳化又は分散させて調製する。
基板上に直接感光層を形成する場合には、前記感光性樹脂組成物溶液を前記基板上に塗布し、乾燥させることにより行う。
また、予め前記支持体と前記感光層の積層体からなる前記パターン形成材料を製造する場合には、前記感光性樹脂組成物溶液を前記支持体上に塗布し、乾燥させて、得られた支持体と感光層の積層体であるパターン形成材料を、基板にラミネートすることにより行う。
前記感光性樹脂組成物溶液の前記基板上又は前記支持体上への塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記基板と前記感光層からなる積層体及び前記パターン形成材料の前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜130℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0269】
<<支持体及び保護フィルム>>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるものが好ましく、更に表面の平滑性が良好であることがより好ましい。
【0270】
前記支持体は、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0271】
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2〜150μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、8〜50μmが特に好ましい。
【0272】
前記支持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、長尺状が好ましい。前記長尺状の支持体の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20000mの長さのものが挙げられる。
【0273】
前記パターン形成材料は、前記感光層上に保護フィルムを形成してもよい。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜50μmがより好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0274】
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数としては、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
【0275】
前記パターン形成材料は、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されることが好ましい。前記長尺状のパターン形成材料の長さとしては、特に制限はなく、例えば、10m〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100m〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られることが好ましい。また、前記ロール状のパターン形成材料をシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーター(特に防湿性のもの、乾燥剤入りのもの)を設置することが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いる事が好ましい。
【0276】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(特に50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。また、前記感光層、前記支持体、前記保護フィルムの他に、剥離層、接着層、光吸収層、表面保護層などの層を有してもよい。
【0277】
<基体>
前記基体としては、特に制限はなく、公知の材料の中から表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を有するものまで適宜選択することができるが、板状の基体(基板)が好ましく、具体的には、公知のプリント配線板形成用基板(例えば、銅張積層板)、ガラス板(例えば、ソーダガラス板等)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
【0278】
前記基体は、該基体上に前記パターン形成材料における感光層が重なるようにして積層してなる積層体を形成して用いることができる。即ち、前記積層体におけるパターン形成材料の前記感光層に対して露光することにより、露光した領域を硬化させ、後述する現像工程によりパターンを形成することができる。
【0279】
前記パターン形成材料は、例えば、プリント配線板、カラーフィルタや柱材、リブ材、スペーサー、隔壁などのディスプレイ用部材、ホログラム、マイクロマシン、プルーフなどのパターン形成用として広く用いることができ、特に本発明のパターン形成方法及びパターン形成装置に好適に用いることができる。
【0280】
[その他工程]
前記その他の工程としては、特に制限はなく、公知のパターン形成における工程の中から適宜選択することが挙げられるが、例えば、現像工程、エッチング工程、メッキ工程などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記現像工程は、前記露光工程により前記パターン形成材料における感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、未効果領域を除去することにより現像し、パターンを形成する工程である。
【0281】
前記未硬化領域の除去方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、現像液を用いて除去する方法などが挙げられる。
【0282】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ水溶液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
【0283】
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができるが、例えば、約25℃〜40℃が好ましい。
【0284】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0285】
前記エッチング工程としては、公知のエッチング処理方法の中から適宜選択した方法により行うことができる。
前記エッチング処理に用いられるエッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
前記エッチング工程によりエッチング処理した後に前記パターンを除去することにより、前記基体の表面に永久パターンを形成することができる。
前記永久パターンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、配線パターンなどが好適に挙げられる。
【0286】
前記メッキ工程としては、公知のメッキ処理の中から適宜選択した適宜選択した方法により行うことができる。
前記メッキ処理としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイスローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなど処理が挙げられる。
前記メッキ工程によりメッキ処理した後に前記パターンを除去することにより、また更に必要に応じて不要部をエッチング処理等で除去することにより、前記基体の表面に永久パターンを形成することができる。
【0287】
本発明のパターン形成方法は、パターン形成材料上に結像させる像の歪みを抑制することにより、永久パターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であるため、高精細な露光が必要とされる各種パターンの形成などに好適に使用することができ、特に高精細な配線パターンの形成に好適に使用することができる。
【0288】
〔プリント配線板の製造方法〕
本発明のパターン形成方法は、例えば、プリント配線板の製造、特にスルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造に好適に用いることができる。以下、本発明のパターン形成方法を利用したプリント配線板の製造方法について説明する。
【0289】
特に、スルーホール又はビアホールなどのホール部を有するプリント配線板の製造方法としては、(1)前記基体としてホール部を有するプリント配線板形成用基板上に、前記パターン形成材料を、その感光層が前記基体側となる位置関係にて積層して積層体形成し、(2)前記積層体の前記基体とは反対の側から、配線パターン形成領域及びホール部形成領域に光照射行い感光層を硬化させ、(3)前記積層体から前記パターン形成材料における支持体を除去し、(4)前記積層体における感光層を現像して、該積層体中の未硬化部分を除去することによりパターンを形成することができる。
【0290】
なお、前記(3)における前記支持体の除去は、前記(2)と前記(4)との間で行う代わりに、前記(1)と前記(2)との間で行ってもよい。
【0291】
その後、プリント配線板を得るには、前記形成したパターンを用いて、前記プリント配線板形成用基板をエッチング処理又はメッキ処理する方法(例えば、公知のサブトラクティブ法又はアディティブ法(例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法))により処理すればよい。これらの中でも、工業的に有利なテンティングでプリント配線板を形成するためには、前記サブトラクティブ法が好ましい。前記処理後プリント配線板形成用基板に残存する硬化樹脂は剥離させ、また、前記セミアディティブ法の場合は、剥離後さらに銅薄膜部をエッチングすることにより、所望のプリント配線板を製造することができる。また、多層プリント配線板も、前記プリント配線板の製造法と同様に製造が可能である。
【0292】
次に、前記パターン形成材料を用いたスルーホールを有するプリント配線板の製造方法について、更に説明する。
【0293】
まずスルーホールを有し、表面が金属メッキ層で覆われたプリント配線板形成用基板を用意する。前記プリント配線板形成用基板としては、例えば、銅張積層基板及びガラス−エポキシなどの絶縁基材に銅メッキ層を形成した基板、又はこれらの基板に層間絶縁膜を積層し、銅メッキ層を形成した基板(積層基板)を用いることができる。
【0294】
次に、前記パターン形成材料上に保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離して、前記パターン形成材料における感光層が前記プリント配線板形成用基板の表面に接するようにして加圧ローラを用いて圧着する(積層工程)。これにより、前記プリント配線板形成用基板と前記積層体とをこの順に有する積層体が得られる。
前記パターン形成材料の積層温度としては、特に制限はなく、例えば、室温(15〜30℃)、又は加熱下(30〜180℃)が挙げられ、これらの中でも、加温下(60〜140℃)が好ましい。
前記圧着ロールのロール圧としては、特に制限はなく、例えば、0.1〜1MPaが好ましい。
前記圧着の速度としては、特に制限はなく、1〜3m/分が好ましい。
また、前記プリント配線板形成用基板を予備加熱しておいてもよく、また、減圧下で積層してもよい。
【0295】
前記積層体の形成は、前記プリント配線板形成用基板上に前記パターン形成材料を積層してもよく、また、前記パターン形成材料製造用の感光性樹脂組成物溶液を前記プリント配線板形成用基板の表面に直接塗布し、乾燥させることにより前記プリント配線板形成用基板上に感光層を積層してもよい。
【0296】
次に、前記積層体の基体とは反対側の面から、光を照射して感光層を硬化させる。なおこの際、必要に応じて(例えば、支持体の光透過性が不十分な場合など)支持体を剥離してから露光を行ってもよい。
【0297】
この時点で、前記支持体を未だ剥離していない場合には、前記積層体から該支持体を剥がす(支持体剥離工程)。
【0298】
次に、前記プリント配線板形成用基板上の感光層の未硬化領域を、適当な現像液にて溶解除去して、配線パターン形成用の硬化層とスルーホールの金属層保護用硬化層のパターンを形成し、前記プリント配線板形成用基板の表面に金属層を露出させる(現像工程)。
【0299】
また、現像後に必要に応じて後加熱処理や後露光処理によって、硬化部の硬化反応を更に促進させる処理をおこなってもよい。現像は上記のようなウエット現像法であってもよく、ドライ現像法であってもよい。
【0300】
次いで、前記プリント配線板形成用基板の表面に露出した金属層をエッチング液で溶解除去する(エッチング工程)。スルーホールの開口部は、硬化樹脂組成物(テント膜)で覆われているので、エッチング液がスルーホール内に入り込んでスルーホール内の金属メッキを腐食することなく、スルーホールの金属メッキは所定の形状で残ることになる。これより、前記プリント配線板形成用基板に配線パターンが形成される。
【0301】
前記エッチング液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記金属層が銅で形成されている場合には、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素系エッチング液などが挙げられ、これらの中でも、エッチングファクターの点から塩化第二鉄溶液が好ましい。
【0302】
次に、強アルカリ水溶液などにて前記硬化層を剥離片として、前記プリント配線板形成用基板から除去する(硬化物除去工程)。
前記強アルカリ水溶液における塩基成分としては、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記強アルカリ水溶液のpHとしては、例えば、約12〜14が好ましく、約13〜14がより好ましい。
前記強アルカリ水溶液としては、特に制限はなく、例えば、1〜10質量%の水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などが挙げられる。
【0303】
また、プリント配線板は、多層構成のプリント配線板であってもよい。
なお、前記パターン形成材料は上記のエッチングプロセスのみでなく、メッキプロセスに使用してもよい。前記メッキ法としては、例えば、硫酸銅メッキ、ピロリン酸銅メッキ等の銅メッキ、ハイスローはんだメッキ等のはんだメッキ、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)メッキ、スルファミン酸ニッケル等のニッケルメッキ、ハード金メッキ、ソフト金メッキ等の金メッキなどが挙げられる。
【実施例】
【0304】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0305】
(実施例1)
−感光層の形成−
前記基体として、表面を研磨、水洗、乾燥した銅張積層板(銅厚み12μm)の表面に、下記の組成からなる感光性樹脂組成物溶液を塗布し乾燥させて、15μm厚の感光層が形成された積層体を得た。
【0306】
[感光性樹脂組成物溶液の組成]
・ポリ(m−ヒドロキシスチレン) 16.0質量部
・下記〔化29〕に示す化合物 2.8質量部
・UVI6990(ユニオンカーバイド社製 スルホニウム塩系化合物)
2.0質量部
・2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン 1.5質量部
・トリブロモメチルフェニルスルホン 0.15質量部
・マラカイトグリーンシュウ酸塩 0.02質量部
・ロイコクリスタルバイオレット 0.26質量部
・メチルエチルケトン 57.27質量部
・1−メトキシ−2−プロパノール 20.0質量部
【0307】
【化29】

【0308】
前記製造した前記積層体について、解像度、露光速度の評価を行った。結果を表3に示した。
【0309】
<解像度>
(1)最短現像時間の測定方法
前記銅張積層板上の前記感光層を110℃で3分間の加熱を行い、その後、全面に30℃の3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液をスプレーし、銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間とした。
この結果、前記最短現像時間は、60秒であった。
【0310】
(2)感度の測定
前記調製した積層体におけるパターン形成材料の感光層に対し、以下に説明するパターン形成装置を用いて、光エネルギー量の異なる光を照射して露光し、前記感光層の一部の領域を硬化させた。110℃にて3分間加熱した後、銅張積層板上の感光層の全面に、30℃の3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を前記(1)で求めた最短現像時間の2倍の時間スプレーし、未硬化の領域を溶解除去して、残った硬化領域の厚みを測定した。次いで、光の照射量と、硬化層の厚さとの関係をプロットして感度曲線を得る。こうして得た感度曲線から硬化領域の厚さが15μmとなった時の光エネルギー量を、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量とした。
この結果、感度は40mJ/cmであった。
【0311】
<<パターン形成装置>>
前記光照射手段として図27〜32に示す合波レーザ光源と、前記光変調手段として図4に示す主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が、副走査方向に768組配列された内、1024個×256列のみを駆動するように制御したDMD50と、図13に示した一方の面がトーリック面であるマイクロレンズ474をアレイ状に配列したマイクロレンズアレイ472及び該マイクロレンズアレイを通した光を前記感光層に結像する光学系480、482とを有するパターン形成装置を用いた。
【0312】
また、前記マイクロレンズにおけるトーリック面は以下に説明するものを用いた。
まず、DMD50の前記描素部としてのマイクロレンズ474の出射面における歪みを補正するため、該出射面の歪みを測定した。結果を図14に示した。図14においては、反射面の同じ高さ位置を等高線で結んで示してあり、等高線のピッチは5nmである。なお同図に示すx方向及びy方向は、マイクロミラー62の2つ対角線方向であり、マイクロミラー62はy方向に延びる回転軸を中心として回転する。また、図15の(A)及び(B)にはそれぞれ、上記x方向、y方向に沿ったマイクロミラー62の反射面の高さ位置変位を示した。
【0313】
図14及び図15に示した通り、マイクロミラー62の反射面には歪みが存在し、そして特にミラー中央部に注目してみると、1つの対角線方向(y方向)の歪みが、別の対角線方向(x方向)の歪みよりも大きくなっていることが判った。このため、このままではマイクロレンズアレイ55のマイクロレンズ55aで集光されたレーザ光Bの集光位置における形状が歪んでしまうことが判った。
【0314】
図16の(A)及び(B)には、マイクロレンズアレイ55全体の正面形状及び側面形状をそれぞれ詳しく示した。これらの図には、マイクロレンズアレイ55の各部の寸法も記入してあり、それらの単位はmmである。先に図4を参照して説明したようにDMD50の1024個×256列のマイクロミラー62が駆動されるものであり、それに対応させてマイクロレンズアレイ55は、横方向に1024個並んだマイクロレンズ55aの列を縦方向に256列並設して構成されている。なお、同図(A)では、マイクロレンズアレイ55の並び順を横方向についてはjで、縦方向についてはkで示している。
【0315】
また、図17の(A)及び(B)には、マイクロレンズアレイ55における1つのマイクロレンズ55aの正面形状及び側面形状をそれぞれ示した。なお、同図(A)には、マイクロレンズ55aの等高線を併せて示してある。各マイクロレンズ55aの光出射側の端面は、マイクロミラー62の反射面の歪みによる収差を補正する非球面形状とされている。より具体的には、マイクロレンズ55aはトーリックレンズとされており、前記x方向に光学的に対応する方向の曲率半径Rx=−0.125mm、前記y方向に対応する方向の曲率半径Ry=−0.1mmである。
【0316】
したがって、前記x方向及びy方向に平行な断面内におけるレーザ光Bの集光状態は、概略、それぞれ図18の(A)及び(B)に示す通りとなる。つまり、x方向に平行な断面内とy方向に平行な断面内とを比較すると、後者の断面内の方がマイクロレンズ55aの曲率半径がより小であって、焦点距離がより短くなっていることが判る。
【0317】
なお、マイクロレンズ55aを前記形状とした場合の、該マイクロレンズ55aの集光位置(焦点位置)近傍におけるビーム径を計算機によってシミュレーションした結果を図19a、b、c、及びdに示す。また比較のために、マイクロレンズ55aが曲率半径Rx=Ry=−0.1mmの球面形状である場合について、同様のシミュレーションを行った結果を図20a、b、c及びdに示す。なお、各図におけるzの値は、マイクロレンズ55aのピント方向の評価位置を、マイクロレンズ55aのビーム出射面からの距離で示している。
【0318】
また、前記シミュレーションに用いたマイクロレンズ55aの面形状は、下記計算式で計算される。
【数3】

【0319】
但し、前記計算式において、Cxは、x方向の曲率(=1/Rx)を意味し、Cyは、y方向の曲率(=1/Ry)を意味し、Xは、x方向に関するレンズ光軸Oからの距離を意味し、Yは、y方向に関するレンズ光軸Oからの距離を意味する。
【0320】
図19a〜dと図20a〜dとを比較すると明らかなように、マイクロレンズ55aを、y方向に平行な断面内の焦点距離がx方向に平行な断面内の焦点距離よりも小さいトーリックレンズとしたことにより、その集光位置近傍におけるビーム形状の歪みが抑制される。この結果、歪みの無い、より高精細なパターンを感光層150に露光可能となる。また、図20a〜dに示す本実施形態の方が、ビーム径の小さい領域がより広い、すなわち焦点深度がより大であることが判る。
【0321】
また、マイクロレンズアレイ55の集光位置近傍に配置されたアパーチャアレイ59は、その各アパーチャ59aに、それと対応するマイクロレンズ55aを経た光のみが入射するように配置されたものである。すなわち、このアパーチャアレイ59が設けられていることにより、各アパーチャ59aに、それと対応しない隣接のマイクロレンズ55aからの光が入射することが防止され、消光比が高められる。
【0322】
(3)解像度の測定
前記(1)の最短現像時間の評価方法と同じ方法及び条件で前記積層体を作成し、前記パターン形成装置を用いて、ライン/スペース=1/1でライン幅10μm〜70μmまで5μm刻みで各線幅の露光を行う。この際の露光量は、前記(2)で測定した前記パターン形成材料の感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量である。これを(2)と同様にして未硬化領域を溶解除去する。この様にして得られた硬化樹脂パターン付き銅張積層板の表面を光学顕微鏡で観察し、硬化樹脂パターンのラインにツマリ、ヨレ等の異常のない最小のライン幅を測定し、これを解像度とした。該解像度は数値が小さいほど良好である。
【0323】
<露光速度>
前記パターン形成装置を用いて、露光光と前記感光層とを相対的に移動させる速度を変更し、一般的な配線パターンが形成される速度を求めた。なお、この設定速度が速い方が効率的なパターン形成が可能となる。
【0324】
(比較例1)
実施例1におけるパターン形成装置において、マイクロレンズアレイを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして解像度、露光速度の評価を行った。結果を表3に示した。
なお、最短現像時間は15秒であり、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は500mJ/cmであった。また、解像度は50μmであり、露光速度は1mm/secであった。
【0325】
(比較例2)
実施例1におけるパターン形成装置において、マイクロレンズアレイを用いなかったこと、及び、DMDの制御を全てのマイクロミラー(1024個×768列)を駆動させるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして解像度、露光速度の評価を行った。結果を表3に示した。
なお、最短現像時間は15秒であり、感光層を硬化させるために必要な光エネルギー量は500mJ/cmであった。また、解像度は50μmであり、露光速度は0.7mm/secであった。
【0326】
【表3】

表3の結果より、比較例1及び2の配線パターンと比較して、実施例1の配線パターンは高精細であることが判った。また、比較例1及び2と比較して、実施例1では露光速度が速く、効率的に配線パターンの形成ができることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0327】
本発明のパターン形成方法は、感光層上に結像させる像の歪みを抑制することにより、フォトポリマー系感材として一般的なカチオン重合性化合物を含む感光層を用いて形成させるパターンを高精細に、かつ、効率よく形成可能であるため、高精細な露光が必要とされる各種パターンの形成などに好適に使用することができ、特にフォトポリマー系感材を用いて形成させる高精細なパターンの形成に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0328】
【図1】図1は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図の一例である。
【図2】図2(A)及び(B)は、DMDの動作を説明するための説明図の一例である。
【図3】図3(A)及び(B)は、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、露光ビームの配置及び走査線を比較して示した平面図の一例である。
【図4】図4(A)及び(B)は、DMDの使用領域の例を示す図の一例である。
【図5】図5は、スキャナによる1回の走査でパターン形成材料を露光する露光方式を説明するための平面図の一例である。
【図6】図6(A)及び(B)は、スキャナによる複数回の走査でパターン形成材料を露光する露光方式を説明するための平面図の一例である。
【図7】図7は、パターン形成装置の一例の外観を示す概略斜視図の一例である。
【図8】図8は、パターン形成装置のスキャナの構成を示す概略斜視図の一例である。
【図9】図9(A)は、パターン形成材料に形成される露光済み領域を示す平面図の一例であり、図3(B)は、各露光ヘッドによる露光エリアの配列を示す図の一例である。
【図10】図10は、光変調手段を含む露光ヘッドの概略構成を示す斜視図の一例である。
【図11】図11(A)は、図10に示す露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った副走査方向の断面図の一例であり、図11(B)は、(A)の側面図の一例である。
【図12】図12は、パターン情報に基づいて、DMDの制御をするコントローラの一例である。
【図13】図13(A)は、結合光学系の異なる他の露光ヘッドの構成を示す光軸に沿った断面図の一例であり、図13(B)は、マイクロレンズアレイ等を使用しない場合に被露光面に投影される光像を示す平面図の一例であり、図13(C)は、マイクロレンズアレイ等を使用した場合に被露光面に投影される光像を示す平面図の一例である。
【図14】図14は、DMDを構成するマイクロミラーの反射面の歪みを等高線で示す図の一例である。
【図15】図15は、前記マイクロミラーの反射面の歪みを、該ミラーの2つの対角線方向について示すグラフの一例である。
【図16】図16は、パターン形成装置に用いられたマイクロレンズアレイの正面図(A)と側面図(B)の一例である。
【図17】図17は、マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの正面図(A)と側面図(B)の一例である。
【図18】図18は、マイクロレンズによる集光状態を1つの断面内(A)と別の断面内(B)について示す概略図の一例である。
【図19a】図19aは、マイクロレンズの集光位置近傍におけるビーム径をシミュレーションした結果を示す図の一例である。
【図19b】図19bは、図19aと同様のシミュレーション結果を、別の位置について示す図の一例である。
【図19c】図19cは、図19aと同様のシミュレーション結果を、別の位置について示す図の一例である。
【図19d】図19dは、図19aと同様のシミュレーション結果を、別の位置について示す図の一例である。
【図20a】図20aは、従来のパターン形成方法において、マイクロレンズの集光位置近傍におけるビーム径をシミュレーションした結果を示す図の一例である。
【図20b】図20bは、図20aと同様のシミュレーション結果を、別の位置について示す図の一例である。
【図20c】図20cは、図20aと同様のシミュレーション結果を、別の位置について示す図の一例である。
【図20d】図20dは、図20aと同様のシミュレーション結果を、別の位置について示す図の一例である。
【図21】図21は、合波レーザ光源の他の構成を示す平面図の一例である。
【図22】図22は、マイクロレンズアレイを構成するマイクロレンズの正面図(A)の一例と側面図(B)の一例である。
【図23】図23は、図22のマイクロレンズによる集光状態を1つの断面内(A)の一例と別の断面内(B)について示す概略図の一例である。
【図24】図24は、光量分布補正光学系による補正の概念についての説明図の一例である。
【図25】図25は、光照射手段がガウス分布で且つ光量分布の補正を行わない場合の光量分布を示すグラフの一例である。
【図26】図26は、光量分布補正光学系による補正後の光量分布を示すグラフの一例である。
【図27a】図27a(A)は、ファイバアレイ光源の構成を示す斜視図であり、図27a(B)は、(A)の部分拡大図の一例であり、図27a(C)及び(D)は、レーザ出射部における発光点の配列を示す平面図の一例である。
【図27b】図27bは、ファイバアレイ光源のレーザ出射部における発光点の配列を示す正面図の一例である。
【図28】図28は、マルチモード光ファイバの構成を示す図の一例である。
【図29】図29は、合波レーザ光源の構成を示す平面図の一例である。
【図30】図30は、レーザモジュールの構成を示す平面図の一例である。
【図31】図31は、図30に示すレーザモジュールの構成を示す側面図の一例である。
【図32】図32は、図30に示すレーザモジュールの構成を示す部分側面図である。
【図33】図33は、レーザアレイの構成を示す斜視図の一例である。
【図34】図34(A)は、マルチキャビティレーザの構成を示す斜視図の一例であり、図34(B)は、(A)に示すマルチキャビティレーザをアレイ状に配列したマルチキャビティレーザアレイの斜視図の一例である。
【図35】図35は、合波レーザ光源の他の構成を示す平面図の一例である。
【図36】図36(A)は、合波レーザ光源の他の構成を示す平面図の一例であり、図36(B)は、(A)の光軸に沿った断面図の一例である。
【図37】図37(A)及び(B)は、従来の露光装置における焦点深度と本発明のパターン形成方法(パターン形成装置)による焦点深度との相違を示す光軸に沿った断面図の一例である。
【符号の説明】
【0329】
LD1〜LD7 GaN系半導体レーザ
10 ヒートブロック
11〜17 コリメータレンズ
20 集光レンズ
30〜31 マルチモード光ファイバ
44 コリメータレンズホルダー
45 集光レンズホルダー
46 ファイバホルダー
50 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
52 レンズ系
53 反射光像(露光ビーム)
54 第2結像光学系のレンズ
55 マイクロレンズアレイ
55a マイクロレンズ
56 被露光面(走査面)
57 第2結像光学系のレンズ
58 第2結像光学系のレンズ
59 アパーチャアレイ
64 レーザモジュール
66 ファイバアレイ光源
67 レンズ系
68 レーザ出射部
69 ミラー
70 プリズム
71 集光レンズ
72 ロッドインテグレータ
73 組合せレンズ
74 結像レンズ
100 ヒートブロック
110 マルチキャピティレーザ
111 ヒートブロック
113 ロッドレンズ
120 集光レンズ
130 マルチモード光ファイバ
130a コア
140 レーザアレイ
144 光照射手段
150 パターン形成材料
152 ステージ
155a マイクロレンズ
156 設置台
158 ガイド
160 ゲート
162 スキャナ
164 センサ
166 露光ヘッド
168 露光エリア
170 露光済み領域
180 ヒートブロック
184 コリメートレンズアレイ
302 コントローラ
304 ステージ駆動装置
454 レンズ系
468 露光エリア
472 マイクロレンズアレイ
474 マイクロレンズ
476 アパーチャアレイ
478 アパーチャ
480 レンズ系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂と、光酸発生剤と、及び架橋剤と、を含む感光層に対し、
光照射手段からの光を受光し出射する描素部をn個有する光変調手段により、前記光照射手段からの光を変調させた後、前記描素部における出射面の歪みによる収差を補正可能な非球面を有するマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイを通して露光を行うことを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
非球面が、トーリック面である請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
架橋剤が、酸の存在下で、アルカリ可溶性樹脂を架橋する化合物である請求項1から2のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項4】
架橋剤がヒドロキシアルキル基またはその誘導体、カルボニル基またはその誘導体、含窒素基含有置換基、グリシジル基含有置換基、芳香族基またはその誘導体、重合性多重結合含有置換基から選ばれる基を有する請求項1から3のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項5】
架橋剤がヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基から選ばれる基を有する請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項6】
光酸発生剤が、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物、ジスルフォニルメタン化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、オキシムスルホネート化合物から選択される少なくとも1種を含む請求項1から5のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項7】
アルカリ可溶性樹脂が、フェノール性水酸基、カルボキシル基の少なくとも何れかを有する請求項1から6のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項8】
感光層の厚みが0.1〜100μmである請求項1から7のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項9】
支持体上に請求項1から8に記載の感光層を有するパターン形成材料を用いる請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
基体上にパターン形成材料を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層し、露光する請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
光変調手段が、n個の描素部の中から連続的に配置された任意のn個未満の前記描素部をパターン情報に応じて制御可能である請求項1から10のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項12】
光変調手段が、空間光変調素子である請求項1から11のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項13】
空間光変調素子が、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
露光が、アパーチャアレイを通して行われる請求項1から13のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項15】
露光が行われた後、感光層の現像を行う請求項1から14のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項16】
現像が行われた後、永久パターンの形成を行う請求項1から15のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項17】
支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である請求項1から16のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項18】
支持体が、長尺状である請求項1から17のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項19】
パターン形成材料が、長尺状であり、ロール状に巻かれてなる請求項1から18のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項20】
パターン形成材料における感光層上に保護フィルムを形成する請求項1から19のいずれかに記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図21】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図4】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図19c】
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【図19d】
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【図20a】
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【図20b】
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【図20c】
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【図20d】
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【図22】
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【図23】
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【図27b】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−106083(P2006−106083A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288744(P2004−288744)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】