説明

フローティングキャリパ型ディスクブレーキ

【課題】キャリパ5aをサポート2aに対し支持するガイドピン8aとガイド孔39との間で、スティックが生じる事を防止できる構造を低コストで得る。
【解決手段】上記ガイド孔39内にコイルスプリング40を配置し、このコイルスプリング40内に上記ガイドピン8aを挿通する。このガイドピン8aの外周面はこのコイルスプリング40のコイル部43の内周面と係合する為、これら両周面の接触部分を少なくできる。又、これら両周面の相対変位時に上記コイルスプリング40が弾性変形して、引っ掛かりを防止する。この結果、スティックが生じる事を防止できる。又、上記ガイド孔39の内周面の加工が容易になる。更に、上記両周面同士の間で錆等が生じても、固着力の増大を抑えられる為、上記ガイド孔39の開口部を覆うブーツを省略できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の制動を行う為のフローティングキャリパ型ディスクブレーキの改良に関する。特に、本発明は、キャリパをサポートに対し支持するガイドピンとガイド孔との摺動部で引っ掛かりが生じる、所謂スティックを防止できる構造を低コストで得る事を意図したものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の制動を行う為のディスクブレーキとして従来から、サポートに対しキャリパを案内ピン(ガイドピン)により変位自在に支持したフローティングキャリパ型のものが、特許文献1〜5に記載される等により、従来から広く知られ、実際に広く使用されている。図8は、この様なフローティングキャリパ型ディスクブレーキのうち、特許文献1に記載されたものを示している。このフローティングキャリパ型のディスクブレーキは、ロータ1と、サポート2と、インナ側、アウタ側両パッド3、4と、キャリパ5とを備える。
【0003】
このうちのロータ1は、車輪と共に車輪支持用転がり軸受ユニットのハブに結合固定された状態で、この車輪と共に回転する。又、上記サポート2は、上記ロータ1よりもインナ側(車両への組み付け状態でこの車両の幅方向中央側、本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ、図8の上側)で、車体(ナックル等の懸架装置、図示せず)に固定される。又、上記インナ側、アウタ側両パッド3、4は、上記ロータ1のインナ側とアウタ側(車両への組み付け状態でこの車両の幅方向外側、本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ、図8の下側)とに配置された状態で上記サポート2に、上記ロータ1の軸方向の変位を可能に支持されている。
【0004】
更に、上記キャリパ5は、アウタ側端部にこのロータ1の径方向内方(「径方向」とは、特に断らない限り、ロータの径方向を言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)に折れ曲がったキャリパ爪6を、インナ側端部にピストンを嵌装したシリンダ部7を、それぞれ設けている。そして、上記キャリパ爪6の内側面を上記アウタ側パッド4のアウタ側面に、上記ピストンの先端面を上記インナ側パッド3のインナ側面に、それぞれ対向させた状態で、上記ロータ1の軸方向(「軸方向」とは、特に断らない限り、ロータの軸方向を言う。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)の変位を可能にして、上記サポート2に支持している。この為に図示の例では、上記キャリパ5にそれぞれの基端部を支持固定した一対のガイドピン8、8を、上記サポート2に設けた一対のガイド孔9、9に挿入している。又、これら両ガイド孔9、9の開口部をブーツ45、45によりそれぞれ覆っている。そして、これら両ガイド孔9、9内に泥水等の異物が浸入する事を防止している。
【0005】
制動を行う場合には、上記シリンダ部7内に圧油を送り込み、上記ピストンにより上記インナ側パッド3(のライニング)を、上記ロータ1のインナ側面に、図8の上から下に押し付ける。すると、この押し付け力の反作用として上記キャリパ5が、上記両ガイドピン8、8と上記両ガイド孔9、9との摺動に基づいて、図8の上方に変位し、上記キャリパ爪6がアウタ側パッド4(のライニング)を、上記ロータ1の外側面に押し付ける。この結果、このロータ1が内外両側面側から強く挟持されて、制動が行われる。
【0006】
上述した図8に示した構造を含めて、特許文献1〜5に記載された様な、サポートに対してキャリパをガイドピンにより変位可能に支持している構造では、サポートを一体型の鋳造品(一般的には鋳鉄製)とする場合が多い。この様な鋳造品のサポートは、強度及び剛性が高い代わりに、製造が面倒で、コスト並びに重量が嵩む。一方、特許文献6に記載された構造の様に、サポートをサポート板と1対のアンカブロックとにより構成する構造もあるが、この構造の場合、ガイドピンを使用していない。これに対して、特願2008−78640には、上記特許文献6に記載した構造の様に、サポートをサポート板と1対のアンカブロックとにより構成した構造で、ガイドピンを使用した構造が記載されている。
【0007】
何れにしても、ガイドピンとガイド孔との摺動によりキャリパを変位可能に支持する構造の場合、従来は、このガイドピンをこのガイド孔の軸方向及び円周方向全体に亙って接触或は近接させていた為、摺動抵抗が大きく、この摺動部が引っ掛かる、所謂スティックが生じる可能性があった。従来、この様なスティックを防止する為に、例えば、ガイド孔の内周面の表面性状を良好にしていた。このガイド孔は機械加工により仕上げられるが、この様に表面性状を良好にする為には、加工コストが増大する事が避けられない。しかも、表面性状を良好にしただけでは、必ずしもスティックの発生を十分に防止できるとは限らない。
【0008】
又、従来構造の場合、上記摺動部に異物が入らない様に、ガイド孔の開口部をブーツにより覆っているが、このブーツを設ける分、やはり製造コストが高くなる。仮に、このブーツを省略した場合には、上記ガイド孔内に異物が入り込む事により、上記摺動部に錆等が固着し、ガイドピンの外周面に対しこのガイド孔が円滑に摺動しにくくなる。
【0009】
【特許文献1】特開2006−207722号公報
【特許文献2】特表2008−501897号公報
【特許文献3】特許第2779027号公報
【特許文献4】特許第2735616号公報
【特許文献5】特開2008−111496号公報
【特許文献6】特開2006−57718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、キャリパをサポートに対し支持するガイドピンとガイド孔との間でスティックが生じる事を十分に防止できる構造を、低コストで得るべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、前述した従来から知られているフローティングキャリパ型ディスクブレーキと同様に、ロータと、サポートと、インナ側、アウタ側両パッドと、キャリパとを備える。
このうちのロータは、車輪と共に回転する。
又、上記サポートは、上記ロータよりもインナ側で車体に固定される。
又、上記両パッドは、このロータのインナ側とアウタ側とに配置された状態で上記サポートに、軸方向に変位可能に支持されている。
又、上記キャリパは、アウタ側端部に径方向内方に折れ曲がったキャリパ爪を、インナ側端部にピストンを嵌装したシリンダ部を、それぞれ設けている。そして、このキャリパ爪の内側面を上記アウタ側パッドのアウタ側面に、上記ピストンの先端面を上記インナ側パッドのインナ側面に、それぞれ対向させた状態で、上記ロータの軸方向に変位可能にして、上記サポートに支持されている。
更に、このサポートの一部に上記ロータの中心軸と平行に固定されたガイドピンを、上記キャリパの一部にこのロータの中心軸と平行に形成されたガイド孔内に挿通する事により、上記キャリパを上記サポートに対し、上記ロータの軸方向変位可能に支持している。
【0012】
特に、本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキに於いては、上記ガイド孔の内側にコイルスプリングを配置している。そして、上記ガイドピンをこのコイルスプリング内に挿通し、このガイドピンの外周面の一部とコイルスプリングの内周とを係合させている。
【0013】
上述の様な本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、上記コイルスプリングの両端部に、このコイルスプリングの径方向外方に突出する係止部を設ける。そして、これら両係止部をガイド孔の両端開口部周囲の一部に、それぞれ係止する。これにより、上記コイルスプリングがこのガイド孔の軸方向に脱落する事を防止する。
【0014】
又、より好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、上記ガイド孔の円周方向一部に、このガイド孔の内外を連通する切り欠きを設ける。
【発明の効果】
【0015】
上述の様に構成する本発明のフローティングキャリパ型ディスクブレーキによれば、ガイドピンとガイド孔との間で引っ掛かりが生じる、所謂スティックの発生を防止できる。即ち、このガイドピンの外周面をコイルスプリングの内周面と係合させている為、これら両周面の接触面積を小さくでき、摺動抵抗を低減できる。又、これら両周面の相対変位時に、スティックが生じる傾向となっても、上記コイルスプリングが弾性変形する事により、上記両周面同士の引っ掛かりを解消する。この結果、上記スティックの発生を、効果的に防止できる。
【0016】
又、本発明の場合、上記両周面の摺動抵抗を低減する為にコイルスプリングを設けているだけである。この為、例えば、ガイド孔の内周面の表面性状を良好にして摺動抵抗を小さくする場合よりも、このガイド孔の内周面の加工を容易に行え、言い換えれば、このガイド孔の仕上げ加工を精度良く行う必要がなく、低コスト化を図れる。
【0017】
又、本発明の場合、ガイド孔の開口部を覆うブーツを省略でき、この面からも低コスト化を図れる。即ち、上記両周面の接触部分は、軸方向に関し螺旋状に連続している(スパイラル接触している)為、この接触部分に存在する両周面同士の間の微小な隙間が、同一円や同一軸線となる事はない。言い換えれば、この微小な隙間が両周面の単一円周上で全周に亙って連続したり、軸方向に長く連続する事がない。この結果、この隙間部分に錆等が生じて上記両周面同士の接触部分が固着する傾向になっても、この錆等が全周に亙って連続したり、軸方向に長く連続する事がなく、この固着力の増大を防止できる。又、上記両周面が固着しても、これら両周面の相対変位に伴いコイルスプリングが弾性変形し、上記錆等が剥がれ易くなる。従って、上述の様に錆等が生じても、制動及び制動解除の動作を行う際に、上記ガイドピンと上記ガイド孔との相対変位が阻害されにくくなり、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの機能を確保できる為、上記ブーツを省略できて、より十分な低コスト化を図れる。
【0018】
又、請求項2に記載した発明によれば、制動及び制動解除の動作に伴い、ガイドピンに対しガイド孔が変位した場合にも、コイルスプリングがこのガイドピンに引き摺られ、このガイド孔から脱落する事を防止できる。又、この脱落防止構造は、上記コイルスプリングの両端部に設けた係止部を上記ガイド孔の開口部周囲に係止するだけであり、容易に得られる。
【0019】
更に、請求項3に記載した発明によれば、ガイド孔の円周方向一部に、このガイド孔の内外を連通する切り欠きを設けている為、このガイド孔内に異物が浸入しても、この異物がこのガイド孔内に異物が堆積する事を防止でき、ガイドピンとガイド孔或は他の部材との摺動部で錆等による固着を生じにくくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜7は、本発明の実施の形態の1例を示している。本例のフローティングキャリパ型ディスクブレーキは、車輪と共に回転するロータ1(ロータ1に関しては前述の図8参照)と、サポート2aと、インナ側、アウタ側両パッド3a、4aと、キャリパ5aとを備える。このうちのサポート2aは、1枚のサポート板10と2個のアンカブロック11、11とを、ボルト12、13により結合固定して成る。
【0021】
上記サポート板10は、鋼板等の、十分な強度及び剛性を有する金属板(素材)に、プレスによる打ち抜き加工及び周縁部の性状を整える為の機械加工(削り加工)を施す事により造られたもので、全体の形状が大略コ字形とされている。即ち、上記サポート板10のうち、上記ロータ1の径方向に関して外半部で同じく回転方向(「回転方向」とは、特に断らない限り、ロータの回転方向を言う。本明細書全体で同じ。)に関して中央部に、上記インナ側パッド3aを保持する為の保持切り欠き14を形成している。そして、上記ロータ1の回転方向に関してこの保持切り欠き14を両側から挟む部分を、それぞれインナ側アンカ部15、15としている。又、上記サポート板10のロータ1の径方向に関して内端部で同じく回転方向に関して両端部に、それぞれ円形の取付孔16、16を形成している。使用状態で上記サポート板10は、これら両取付孔16、16を挿通したボルトにより、上記ロータ1よりもインナ側で、図示しない車体(ナックル等の懸架装置の構成部材)に結合固定される。
【0022】
又、上記両アンカブロック11、11は、アルミニウム合金等の軽合金を一体押し出し成形した後、必要な機械加工を施す事により、或いは鋼材製の素材に鍛造加工を施した後、必要な機械加工を施す事により形成している。上記両アンカブロック11、11のうち、上記ロータ1の径方向に関して外側面は、上記両インナ側アンカ部15、15の先端縁の形状に合わせて(同じとして)いる。同じく径方向に関して内側面は、上記ロータ1の外周縁とほぼ同心の部分円筒面状とし、このロータ1の回転方向中央部に、アンカ用係止溝17を、径方向外方に凹入する状態で形成している。更に、上記両インナ側アンカ部15、15のうちで、上記ロータ1の回転方向に関して上記アンカ用係止溝17を両側から挟む位置に、挿通孔18(図7)とねじ孔19とを、それぞれ上記両アンカブロック11、11を、上記ロータ1の軸方向に貫通する状態で形成している。
【0023】
上述の様な両アンカブロック11、11は、それぞれ前記各ボルト12、13により、上記両インナ側アンカ部15、15の先端縁のアウタ側面側に結合固定している。このうちのボルト12は、上記サポート板10の上記ロータ1の回転方向両端部側に形成した通孔をインナ側から挿通し、上記アンカブロック11に形成したねじ孔19に螺合し、更に締め付けている。又、上記ボルト13は、このアンカブロック11の挿通孔18、及び、上記サポート板10のこの挿通孔18と整合する位置に形成した通孔をアウタ側から挿通し、ガイドピン8aの基端面に開口したねじ孔20(図7)に螺合し、更に締め付けている。この構成により、上記両アンカブロック11、11を、上記サポート板10に対し結合固定すると共に、上記両ガイドピン8a、8aを、このサポート板10の上記両インナ側アンカ部15、15の先端縁のインナ側面側に、ロータ1の中心軸と平行に結合固定している。
【0024】
この様にサポート板10に対し結合固定した上記両アンカブロック11、11の互いに対向する側面のうち、径方向外端部乃至中間部は、互いに平行な平面21としている。又、上記互いに対向する側面のうちの径方向内端部に突条部22を、上記両アンカブロック11、11の軸方向全長に亙り形成している。そして、この突条部22の径方向外側面を、前記アウタ側パッド4aを構成する、次述するプレッシャプレート23bの両端部を軸方向の変位を可能に係合させる為の、ガイド段部24としている。尚、フローティングキャリパ型ディスクブレーキを組み立てた状態で、上記両アンカブロック11、11は、それぞれの全体が、上記ロータ1の外周縁よりも径方向外方に存在する。
【0025】
上述の様なサポート2aには、それぞれがプレッシャプレート23a、23bとライニング25a、25bとから成る、上記インナ側、アウタ側両パッド3a、4aを、軸方向の変位を可能に支持している。何れのパッド3a、4aに就いても、上記プレッシャプレート23a、23bと上記ライニング25a、25bとは、凹凸係合に基づき、面方向のずれを確実に防止した状態で、接着固定している。上記両パッド3a、4aのうち、インナ側パッド3aを構成するプレッシャプレート23aは、回転方向両端部の径方向内寄り部分に、それぞれインナ側係合凸部26、26を形成している。そして、これら両インナ側係合凸部26、26を、前記保持切り欠き14の内面のうちで円周方向両端部に形成したインナ側係合凹部27、27に、それぞれインナ側パッドクリップ28、28を介して、軸方向の変位を可能に支持している。
【0026】
尚、上記インナ側パッドクリップ28、28は、ステンレスのばね鋼板等の、耐蝕性を有する弾性金属板を曲げ形成して成る(設計的に定まる具体的形状を除き、基本的に)周知のものである。この様なインナ側パッドクリップ28、28は、上記保持切り欠き14の内面の円周方向両端部に、上記インナ側係合凹部27、27を覆う状態で、軸方向の変位を抑えた状態で装着している。そして、上記サポート板10と上記プレッシャプレート23aとの係合部のがたつきを防止すると共に、この係合部が錆び付く事を防止する。
【0027】
一方、上記アウタ側パッド4aを構成するプレッシャプレート23bに関しては、回転方向両端部に、先端部が径方向外方に向いた第一の係合凸部29、29を形成している。又、上記プレッシャプレート23bの径方向外端縁(外周縁)の回転方向両端寄り部分に、それぞれの先端部が回転方向端部に向いた、第二の係合凸部30、30を形成している。そして、上記プレッシャプレート23bの回転方向両端部毎に、第一、第二の両係合凸部29、30同士の間部分を、上記両アンカブロック11、11の一部を係合させる為の、係合切り欠き31、31としている。
【0028】
又、上記プレッシャプレート23bの裏面(アウタ側面、ライニング25bを添着した面と反対側の面)のうち、後述する二股のキャリパ爪6aの先端部内面(インナ側面)と対向する部分に、それぞれ突片32、32を形成している。これら各突片32、32は、例えば、上記ライニング25bと凹凸係合させる部分(表面側の凹部)と共に、上記プレッシャプレート23bを厚さ方向にプレス加工を施す事により形成する。但し、加工方法は自由である。
【0029】
そして、上記両係合切り欠き31、31の内側に、上記両アンカブロック11、11の一部で、前記アンカ用係止溝17と上記ガイド段部24との間部分を、それぞれアウタ側パッドクリップ33、33を介して、軸方向の変位を可能に支持している。即ち、上記第一の係合凸部29、29の先端部を上記両アンカ用係止溝17、17に、上記両アウタ側パッドクリップ33、33を介して係合させている。又、上記第二の係合凸部30、30の先端部を上記ガイド段部24、24に、上記両アウタ側パッドクリップ33、33を介して係合させている。これら両アウタ側パッドクリップ33、33に就いても、耐蝕性を有する弾性金属板を曲げ形成して成る(設計的に定まる具体的形状を除き、基本的に)周知のものである。
【0030】
この様なアウタ側パッドクリップ33、33は、上記両アンカブロック11、11の径方向内側面乃至互いに対向する面のうち、アウタ側半部を覆う状態で、軸方向の変位を抑えた状態で装着している。そして、上記両アンカブロック11、11と上記プレッシャプレート23bとの錆び付きを防止する。
上述の構成により、上記インナ側、アウタ側両パッド3a、4aを、上記ロータ1のインナ側とアウタ側とに配置した状態で上記サポート2aに、このロータ1の軸方向の変位を可能に支持している。
【0031】
又、上記キャリパ5aは、アウタ側端部に径方向内方に折れ曲がった、二股のキャリパ爪6aを、インナ側端部にピストン34(図7参照)を、軸方向の変位を可能として油密に嵌装したシリンダ部35を、それぞれ設けている。上記キャリパ爪6aの先端寄り部分2個所位置で、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの組立時に上記突片32、32と整合する部分には、当該部分を軸方向に貫通する状態で、円形の係止孔36、36(図4)を形成している。
【0032】
又、上記キャリパ5aのうち、インナ側寄り部分の回転方向両端部から、それぞれガイド腕37、37を、回転方向両側に突出させている。そして、これら両ガイド腕37、37の先端部に設けた、軸方向に向いた(中心軸の方向がロータ1の軸方向に一致する)ガイド筒部38、38のガイド孔39、39内に、前記ガイドピン8a、8aの中間部をそれぞれ挿通している。特に、本例の場合、上記両ガイド孔39、39の内側に、それぞれ、ステンレス鋼、燐青銅等の、弾性及び耐食性を有する線材を螺旋状に形成して成るコイルスプリング40、40を配置している。この為に、これら両コイルスプリング40、40のコイル部43の外径を、上記両ガイド孔39、39の内径と略等しくしている。
【0033】
そして、上記両ガイドピン8a、8aの中間部を、それぞれ、上記両ガイド孔39、39内に配置した上記両コイルスプリング40、40内に挿通し、上記両ガイドピン8a、8aの中間部外周面とこれら両コイルスプリング40、40(のコイル部43)の内周面とを係合させている。尚、これら両コイルスプリング40、40として、表面の摩擦係数が低く、弾性を有する、ポリアセタール(POM)等の高機能樹脂製のものを使用しても良い。
【0034】
又、上記両ガイド筒部38、38の円周方向一部で、ロータ1の径方向内方部分に、上記両ガイド孔39、39の内周面と、これら両ガイド筒部38、38の外周面とを連通する切り欠き41を、軸方向全体に亙って形成している。従って、上記両ガイド筒部38、38は、円周方向一部で連続していない欠円筒状である。尚、上記切り欠き41は、フローティングキャリパ型ディスクブレーキを車両に組み込んだ状態で、この車両の上下方向に関し下方となる位置に形成する事が好ましい。
【0035】
又、上記両ガイド筒部38、38の軸方向両端面で、上記両ガイド孔39、39の両端開口部周囲の一部に、係止凹溝42、42を、それぞれ上記両ガイド筒部38、38の径方向に亙って形成している。図示の例の場合、上記各係止凹溝42、42は、上記ロータ1の径方向外方部分に(上記両ガイド孔39、39の中心軸に関し、上記切り欠き41とほぼ対称となる位置に)形成している。尚、上記各係止凹溝42、42の形成位置は、上記切り欠き41と干渉しなければ、上記両ガイド筒部38、38の円周方向の何れの位置でも良いが、次述する様に、上記各係止凹溝42、42に係止する上記両コイルスプリング40、40の両係止部44、44が、仮にこれら各係止凹溝42、42から外れても、上記切り欠き41までずれにくくする為、この切り欠き41から離れた部分に形成する事が好ましい。
【0036】
又、上記両コイルスプリング40、40は、コイル部43の両端部に上記両係止部44、44を、これら両コイルスプリング40、40の径方向外方に突出する状態で設けている。これら両コイルスプリング40、40を上記両ガイド孔39、39内にそれぞれ配置する際には、上記両係止部44、44を上記ロータ1の径方向内方に向けた状態で、上記両コイルスプリング40、40を軸方向から上記両ガイド孔39、39内に挿入する。この際、上記両係止部44、44のうちの一方の係止部44を、上記両ガイド筒部38、38の円周方向一部に設けた切り欠き41内を通過させる。
【0037】
そして、上記両コイルスプリング40、40を所定の位置に配置し、上記両係止部44、44が上記両ガイド孔39、39の軸方向外側に配置されるまで、上記両コイルスプリング40、40を軸方向に弾性的に伸ばす。この状態で、上記両コイルスプリング40、40を、上記両係止部44、44が上記各係止凹溝42、42に整合するまで回転させ、上記両コイルスプリング40、40を弾性的に伸ばしていた力を解除する。この結果、上記両係止部44、44が、上記各係止凹溝42、42内にそれぞれ係止されると共に、これら両係止部44、44が上記両ガイド筒部38、38を弾性的に挟持する。そして、上記両コイルスプリング40、40が、上記両ガイド孔39、39内にがたつきなく、これら両ガイド孔39、39の軸方向に脱落する事を防止された状態で組み付けられる。又、上記両コイルスプリング40、40の上記両ガイド孔39、39に対する回転が防止される。
【0038】
又、本例の場合、上記両コイルスプリング40、40のコイル部43の内径は、上記両ガイド孔39、39内に組み付けた状態で、前記両ガイドピン8a、8aの中間部外周面の外径と略等しくしている。従って、上記コイル部43内にガイドピン8aの中間部を配置した状態では、このコイル部43の内周面とこのガイドピン8aの中間部外周面とが、接触又は近接する。そして、この接触又は近接している部分が、ガイド孔39の軸方向に関し、螺旋状に連続している。尚、本例の場合、前述の図8に示した従来構造の様に、ガイド孔39、39の開口部を覆うブーツ45を設けていない。
【0039】
本例の場合、この様に、ガイドピン8a、8aをガイド孔39、39内に配置したコイルスプリング40、40内に挿入する事により、これら両ガイドピン8a、8aに対し、これら両コイルスプリング40、40及び上記両ガイド孔39、39を介して、キャリパ5aを軸方向の変位可能に支持している。上記両ガイドピン8a、8aは、前述した様に、ボルト13、13によりサポート2aに固定されている。従って、上記キャリパ5aは、このサポート2aに対し軸方向の変位可能に支持される。尚、上記両ガイドピン8a、8aの基端部に設けた折り曲げ係合部46を、サポート板10の周方向両端部外周面に係合させる事により、上記両ガイドピン8a、8aの径方向に関する位置決め及び回り止めを図っている。
【0040】
又、本例の場合、キャリパ5aを上記サポート2aに組み付けた状態では、キャリパ爪6aの内側面をアウタ側パッド4aのアウタ側面に、ピストン34の先端面をインナ側パッド3aのインナ側面に、それぞれ対向(当接又は近接対向)させている。又、この状態で、キャリパ爪6aの先端部2個所位置に形成した係止孔36、36のインナ側開口部分に、上記アウタ側パッド3aのアウタ側面に形成した突片32、32を、ほぼがたつきなく内嵌している。
【0041】
又、上記サポート2aと上記キャリパ5aのアウタ側端部との間にキャリパスプリング47を設けて、このキャリパ5aのアウタ側端部に、径方向内方に向いた弾力を付与している。上記キャリパスプリング47は、ステンレスのばね鋼等の、耐蝕性を有する弾性金属板を曲げ形成する事により造られたもので、回転方向に長く、回転方向両端部を厚さ方向に曲げ形成した基部48と、この基部48の回転方向両端部からインナ側に延出された一対の押圧部49、49と、この基部48の中間部からインナ側に突出した一対の係止突片50、50とを備える。これら両係止突片50、50は、前記キャリパ爪6aに形成した両係止孔36、36の一部に係合する。又、上記両押圧部49、49は、上記サポート2aのアンカブロック11、11の径方向内側面に弾性的に当接する。これにより、上記キャリパ5aのアウタ側端部に、径方向内方に向いた弾力が付与される。
【0042】
上述の様に構成する本例の場合、制動時には、キャリパ5aのシリンダ部35内に設けたシリンダ空間内に圧油を送り込み、ピストン34によりインナ側パッド3aをロータ1のインナ側面に押し付ける。この押圧の反作用として、上記キャリパ5aが、両ガイド筒部38、38を上記両ガイドピン8a、8aに対し変位させつつ、軸方向内方に変位する。本例の場合、上記キャリパ5aは、上記両ガイド筒38、38のガイド孔39、39内に配置した両コイルスプリング40、40を介して、上記両ガイドピン8a、8aに支持されている。又、図6に示す様に、上記ガイド孔39は、ガイドピン8aの外周面に対し、軸方向に離隔した複数個所で上記コイルスプリング40を介して支持されている。この為、上記キャリパ5aは、上記ガイドピン8aに沿って、このガイドピン8aの中心軸に対し殆ど傾斜する事なく変位する。そして、上記キャリパ爪6aによりアウタ側パッド4aを、上記ロータ1のアウタ側面に押し付ける。この結果、このロータ1が、インナ側、アウタ側両パッド3a、4aのライニング25a、25bにより軸方向両側から強く挟持された状態となり、制動が行われる。
【0043】
制動時に上記ロータ1の軸方向両側面と上記両ライニング25a、25bとの摩擦に伴って上記両パッド3a、4aに加わった回転方向の力(ブレーキトルク)は、前記サポート2aにより支承する。このうち、インナ側パッド3aに加わったブレーキトルクは、前記両インナ側アンカ部15、15のうち、回転方向前側(図3で、ロータ1が反時計方向に回転する場合、同図の左側)のインナ側アンカ部15が支承する。
【0044】
これに対して、上記アウタ側パッド4aに加わったブレーキトルクは、先ず、回転方向後側(図4で、ロータ1が時計方向に回転する場合、同図の左側)のアンカブロック11が支承する。即ち、上記アウタ側パッド4aを構成するプレッシャプレート23bの回転方向両端部に設けた一対の第一の係合凸部29、29のうち、回転方向後側の第一の係合凸部29と回転方向後側のアンカブロック11に形成したアンカ側係止溝17との(引きアンカ方向の)係合により、この回転方向後側のアンカブロック11が、上記ブレーキトルクを支承する。
【0045】
急制動時等、上記アウタ側パッド4aに加わるブレーキトルクが大きくなると、このアウタ側パッド4aを構成するプレッシャプレート23bの回転方向前端縁が、回転方向前側のアンカブロック11に(押しアンカ方向に)突き当たる。この状態では、上記回転方向後側のアンカブロック11に加えて、回転方向前側のアンカブロック11も、上記ブレーキトルクを支承する。
【0046】
上述の様に構成する本例のフローティングキャリパ型ディスクブレーキによれば、キャリパ5aをサポート2aに対し支持するガイドピン8a、8aと、ガイド孔39、39との間で、スティックが生じる事を防止できる。即ち、上記両ガイドピン8a、8aの外周面を、上記両ガイド孔39、39内に配置した両コイルスプリング40、40の内周面に係合させている為、上記両ガイドピン8a、8aの外周面を上記両ガイド孔39、39の内周面に直接係合させる場合と比べて、これら両周面同士が接触する部分を少なくできる。この結果、これら両周面の摺動抵抗を低減できる。
【0047】
又、仮に、これら両周面の相対変位時に、スティックが生じる傾向となっても、上記両コイルスプリング40、40が弾性変形する事により、上記両周面同士の引っ掛かりを解消する。言い換えれば、コイルスプリング40のコイル部43のうち、スティックが生じる傾向となった部分が軸方向に逃げる様に弾性変形し、スティックの発生を防止する。上記コイルスプリング40のうちで弾性変形した部分は、上記両ガイドピン8a、8aと上記両ガイド孔39、39との軸方向変位に伴う、微妙な力のアンバランス等により、弾性的に復元する。何れにしても、本例の場合には、上記両ガイド孔39、39と上記両ガイドピン8a、8aとの間に、上記両コイルスプリング40、40を設けている為、上記スティックを防止できる。
【0048】
又、本例の場合、上記両ガイド孔39、39の開口部を覆うブーツを省略でき、低コスト化を図れる。即ち、上記両コイルスプリング40、40の内周面と、上記両ガイドピン8a、8aの外周面とが接触又は近接する部分は、螺旋状に連続している。この為、この部分に存在する両周面同士の間の僅かな隙間が、同一円や同一軸線となる事はない。言い換えれば、この隙間が両周面の全周に亙って連続したり、軸方向に長く連続する事がない。
【0049】
この結果、上記隙間部分に錆等が生じて上記両周面同士の接触部分が固着する事になっても、この錆等が全周に亙って連続したり、軸方向に長く連続する事がなく、固着力の増大を防止できる。例えば、上記摺動部の全周に亙って錆等が固着した場合に比べ、円周方向に関し一部でも錆等が固着していなければ、両ガイドピン8a、8aに対し両ガイド孔39、39及び両コイルスプリング40、40が軸方向に変位する際に、固着していない部分を起点として、上記錆等が上記両周面のうちの何れかの周面から剥がれ易くなる。又、上記両ガイドピン8a、8aと上記両コイルスプリング40、40とを係合させている為、錆等による固着が生じても、これら両ガイドピン8a、8aと両コイルスプリング40、40との相対変位に伴い、これら両コイルスプリング40、40に撓み等の弾性変形が生じ、上記錆等がより剥がれ易くなる。
【0050】
何れにしても、本例の場合には、上述の様に錆等が生じても、制動及び制動解除の動作を行う際に、上記両ガイドピン8a、8aと上記両ガイド孔39、39及び両コイルスプリング40、40との相対変位が阻害されにくくなり、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの機能を確保できる為、前記ブーツ45を省略でき、低コスト化を図れる。
【0051】
上述の様に本例の場合、両ガイド孔39、39内に両コイルスプリング40、40を配置するだけで、両ガイドピン8a、8aとこれら両コイルスプリング40、40との摺動部でスティックが生じる事を防止できるだけでなく、上記両ガイド孔39、39の開口部を覆うブーツを省略できる構造を得られる。又、これら両ガイド孔39、39の内周面の加工を容易に行える為、言い換えれば、これら両ガイド孔39、39の仕上げ加工を精度良く行う必要がない為、低コスト化を図れる。
【0052】
又、本例の場合、上記両コイルスプリング40、40の両端部に設けた係止部44、44を、両ガイド筒部38、38の両端部に形成した係止凹溝42、42内に係止するだけで、上記両コイルスプリング40、40が両ガイド孔39、39内から脱落する事を防止できる。即ち、制動及び制動解除の動作に伴い、上記両ガイドピン8a、8aに対し上記両ガイド孔39、39が変位した場合に、上記両係止部44、44と上記両係止凹溝42、42との係止部のうちの何れかの係止部により、上記両コイルスプリング40、40が上記両ガイド孔39、39から抜け出る方向に変位するのを防止する。この為、上記両コイルスプリング40、40が上記両ガイドピン8a、8aに引き摺られ、上記両ガイド孔39、39から脱落する事を防止できる。この為、この様な脱落防止構造を容易に得られる。
【0053】
更に、本例の場合、上記両ガイド孔39、39の円周方向一部に切り欠き41を設けている為、これら両ガイド孔39、39内に泥水等の異物が浸入しても、この異物が上記切り欠き41から排出される。特に、フローティングキャリパ型ディスクブレーキを車両に組み込んだ状態で、上記切り欠き41をこの車両の上下方向下側に存在させれば、上記異物の排出をより効率良く行える。この結果、この異物が上記両ガイド孔39、39内に堆積する事を防止でき、上記両ガイドピン8a、8aとこれら両ガイド孔39、39内に配置した両コイルスプリング40、40との摺動部で錆等による固着を生じにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態の1例を、ロータを除く全部品を組み立てて、径方向外方から見た状態で示す斜視図。
【図2】同じく、径方向外方から見た正投影図。
【図3】同じく、インナ側から見た正投影図。
【図4】同じく、アウタ側から見た正投影図。
【図5】同じく、図4の右方から見た正投影図。
【図6】同じく、一部を切断して図5と同方向から見た正投影図。
【図7】同じく、図1と同方向から見た分解斜視図。
【図8】従来構造の1例を、一部を切断して径方向外側から見た正投影図。
【符号の説明】
【0055】
1 ロータ
2、2a サポート
3、3a インナ側パッド
4、4a アウタ側パッド
5、5a キャリパ
6、6a キャリパ爪
7 シリンダ部
8、8a ガイドピン
9 ガイド孔
10 サポート板
11 アンカブロック
12 ボルト
13 ボルト
14 保持切り欠き
15 インナ側アンカ部
16 取付孔
17 アンカ用係止溝
18 挿通孔
19 ねじ孔
20 ねじ孔
21 平面
22 突条部
23a、23b プレッシャプレート
24 ガイド段部
25a、25b ライニング
26 インナ側係合凸部
27 インナ側係合凹部
28 インナ側パッドクリップ
29 第一の係合凸部
30 第二の係合凸部
31 係合切り欠き
32 突片
33 アウタ側パッドクリップ
34 ピストン
35 シリンダ部
36 係止孔
37 ガイド腕
38 ガイド筒部
39 ガイド孔
40 コイルスプリング
41 切り欠き
42 係止凹溝
43 コイル部
44 係止部
45 ブーツ
46 折り曲げ係合部
47 キャリパスプリング
48 基部
49 押圧部
50 係止突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転するロータと、このロータよりもインナ側で車体に固定されるサポートと、このロータのインナ側とアウタ側とに配置された状態でこのサポートに、このロータの軸方向に変位可能に支持された、インナ側、アウタ側両パッドと、アウタ側端部にこのロータの径方向内方に折れ曲がったキャリパ爪を、インナ側端部にピストンを嵌装したシリンダ部を、それぞれ設け、このキャリパ爪の内側面を上記アウタ側パッドのアウタ側面に、上記ピストンの先端面を上記インナ側パッドのインナ側面に、それぞれ対向させた状態で、上記ロータの軸方向に変位可能にして上記サポートに支持されたキャリパとを備え、このサポートの一部に上記ロータの中心軸と平行に固定されたガイドピンを、上記キャリパの一部にこのロータの中心軸と平行に形成されたガイド孔内に挿通する事により、上記キャリパを上記サポートに対し、上記ロータの軸方向変位可能に支持しているフローティングキャリパ型ディスクブレーキに於いて、
上記ガイド孔の内側にコイルスプリングを配置しており、上記ガイドピンをこのコイルスプリング内に挿通し、このガイドピンの外周面の一部とこのコイルスプリングの内周とを係合させた事を特徴とするフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。
【請求項2】
上記コイルスプリングの両端部にこのコイルスプリングの径方向外方に突出する係止部を設け、これら両係止部をガイド孔の両端開口部周囲の一部にそれぞれ係止する事により、上記コイルスプリングがこのガイド孔の軸方向に脱落する事を防止した、請求項1に記載したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。
【請求項3】
上記ガイド孔の円周方向一部に、このガイド孔の内外を連通する切り欠きを設けた、請求項1又は請求項2に記載したフローティングキャリパ型ディスクブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−121705(P2010−121705A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295808(P2008−295808)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】