説明

ホーム柵装置

【課題】 駆動装置および制御機器の保守点検を容易に行うことができ、さらに、制御機器の動作状態の確認や設定の変更作業を容易に行うことのできるホーム柵装置を提供する。
【解決手段】 駅のプラットホーム上に設置されるホーム柵本体2と、ホーム柵本体2の内部に設置されホーム柵本体2の両端部から進退動作される一対の扉体3,4と、ホーム柵本体2の内部に設置され駆動モータ32および制御系機器を搭載する駆動系設置板31と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホーム柵装置に係り、特に、駆動装置や制御機器の保守点検を容易に行うことができるとともに、制御機器の動作状態の確認や設定の変更作業を容易に行うことを可能としたホーム柵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、駅のプラットホームにおいては、通過列車の風圧により乗客が線路側に転落する等の不測の事故を防止するために、列車の乗降ドアと連動して開閉動作されるホーム柵装置が設置されている。
【0003】
このような従来のホーム柵装置としては、例えば、戸袋の線路側の側壁および線路と反対側の側壁のうちのいずれか一方の側壁と戸袋内に後退した扉体との間に形成される空間部に、扉体の側面を片持ち支持して扉体を進退自在に案内するレール部材と、扉体を進退移動させる駆動装置と、駆動装置を制御する電気制御機器とを上下方向に並べて設けるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3850549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、モータなどの駆動装置を本体の上部に設置するとともに、駆動制御機器を本体の下方に設置するものであり、電源ユニットも下方の駆動制御機器と離れた位置に設置されているため、駆動装置、駆動制御機器および電源ユニットを保守点検する場合には、作業箇所が離れることとなり、作業効率が悪くなってしまうという問題を有している。また、駆動制御機器の動作状態の確認や設定変更などを行う場合には、本体の側板を開けて駆動制御機器を露出させた状態で行う必要があり、作業が面倒であり、操作性が悪いという問題を有している。
【0006】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、駆動装置および制御機器の保守点検を容易に行うことができ、さらに、制御機器の動作状態の確認や設定の変更作業を容易に行うことのできるホーム柵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1の発明に係るホーム柵装置は、駅のプラットホーム上に設置されるホーム柵本体と、
前記ホーム柵本体の内部に設置され前記ホーム柵本体の両端部から進退動作される一対の扉体と、
前記ホーム柵本体の内部に設置され駆動モータおよび制御系機器を搭載する駆動系設置板と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記各扉体の前記ホーム柵本体の内部側端部を支持して前記各扉体を進退自在に案内する2つのリニアレールを前記ホーム柵本体の内部上下位置に設け、前記駆動系設置板は、前記各リニアレールの間に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記駆動モータの駆動により駆動プーリを介して動作され、前記扉体を進退動作させる駆動ベルトを設け、前記駆動プーリは、前記駆動系設置板の裏面側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記ホーム柵本体の上部に上部枠体を設置し、この上部枠体の内部に、操作盤パネルが前記上部枠体の内部底面から所定間隙をもって設置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4において、前記上部枠体を傾斜して配置し、前記上部枠体の内部底面の前記操作盤パネルの下方部分に立ち上げ部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、ホーム柵本体の内部に設置された駆動系設置板に、駆動モータおよび制御系機器を搭載するようにしているので、駆動モータおよび制御系機器を集中して設置させることができ、駆動系設置板に設置された各機器を容易に保守点検することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、各扉体を進退自在に案内する2つのリニアレールの間に、駆動系設置板を配置するようにしているので、ある程度高さのある位置に駆動系設置板を配置することができ、保守点検作業を行う場合に、低い位置にかがみ込む必要がなく、作業をしやすくすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、駆動モータの駆動により動作される駆動プーリを、駆動系設置板の裏面側に配置するようにしているので、駆動モータや制御機器の保守点検などを行う場合に、駆動プーリの回転に巻き込まれてしまうことを確実に防止することができ、安全性を著しく高めることができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、ホーム柵本体の上部に上部枠体を設置し、この上部枠体の内部に操作盤パネルを設置するようにしているので、制御機器の動作確認や設定変更作業などの操作性を著しく高めることができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、上部枠体を傾斜して配置するとともに、上部枠体の内部底面の操作盤パネルの下方部分に立ち上げ部を形成するようにしているので、上部枠体の内部に雨滴などが進入した場合であっても、操作盤パネルの下方に雨滴などが進入することを確実に防止することかできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す扉体が開いた状態の内部正面図である。
【図3】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す扉が閉じた状態の内部正面図である。
【図4】本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明に係るホーム柵装置の実施形態による傾き調整機構部分の縦断面拡大図である。
【図6】本発明に係るホーム柵装置の実施形態による傾き調整機構部分の拡大正面図である。
【図7】本発明に係るホーム柵装置の実施形態によるローラ支持体部分の拡大斜視図である。
【図8】本発明に係るホーム柵装置の実施形態による操作盤パネル部分の縦断面図である。
【図9】本発明に係るホーム柵装置の実施形態による操作盤パネル部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るホーム柵装置の実施形態を示す正面図である。ホーム柵装置1は、列車に乗客が乗降するためのプラットホームの床面の線路側に設けられるものであり、ホーム柵装置1は、プラットホームに沿うように形成された箱型のホーム柵本体2と、列車がプラットホームの定位置に停車したときに、列車の乗降ドアと連動してホーム柵本体2の両側から開閉動作される右側扉体3および左側扉体4とを備えている。
【0020】
図2から図4は、本発明に係るホーム柵装置1のホーム柵本体2の詳細を示すそれぞれ扉体が開いた状態の内部正面図、扉が閉じた状態の内部正面図および縦断面図である。図2から図4に示すように、ホーム柵本体2の内部には、ホーム柵本体2の両端部分には、ほぼ垂直方向に延在する縦フレーム5がそれぞれ設けられている。ホーム柵本体2の内部であって縦フレーム5の上部および下部には、長手方向に沿って延在する上部横フレーム6および下部横フレーム7が設けられており、ホーム柵本体2の内部には、戸袋8として機能する空間が形成されるようになっている。また、戸袋8には、図2おいて、右側に位置する右側扉体3および左側に位置する左側扉体4がそれぞれ収容されており、各右側扉体3および左側扉体4は、ホーム柵本体2の両端面に形成された扉用開口(図示せず)からそれぞれ進退動作できるように構成されている。
【0021】
また、上部横フレーム6の上面には、右側扉体3を進退移動させるための上部リニアレール10が上部横フレーム6の図2において右端から中央部分を超えて延在するように取付けられており、下部横フレーム7の下面には、左側扉体4を進退移動させるための下部リニアレール11が下部横フレーム7の図2において左端から中央部分を超えて延在するように取付けられている。これら上部リニアレール10および下部リニアレール11の両側部には、長手方向に沿って延在する係合溝12が形成されており、本実施形態においては、上部リニアレール10の図2において左端部分と、下部リニアレール11の図2において右端部分とは、上下方向において一部が重なり合うように配置されている。
【0022】
また、下部横フレーム7の上面には、右側扉体3の下方を支持して案内するための下部ガイドレール13が下部横フレーム7の図2において右端から中央部分を超えて延在するように取付けられており、この下部ガイドレール13は、断面形状コ字状を有し、開口部分が上方に指向されるように取付けられている。また、上部横フレーム6の下面には、延在し左側扉体4の上方を支持して案内するための上部ガイドレール14が上部横フレーム6の図2において左端から中央部分を超えて延在するように取付けられており、この上部ガイドレール14は、断面形状コ字状を有し、開口部分が下方に指向されるように取付けられている。そして、本実施形態においては、下部ガイドレール13の図2において左端部分と、上部リニアレール10の図2において右端部分とは、上下方向において一部が重なり合うように配置されている。
【0023】
また、図2から図6に示すように、右側扉体3の上部後端には、右側扉体3の上部リニアレール10側面に位置する板状の扉支持部材15が取付けられており、扉支持部材15の上端縁後方には、調整用ブロック16が上部リニアレール10側に突出するように一体に取付けられている。また、扉支持部材15には、傾き調整部材17が取付けられており、この傾き調整部材17は、扉支持部材15に接する平面部18と、この平面部18の両端部からほぼ直交する方向に延在する一対の側面部19と、平面部18の上端縁に形成され調整用ブロック16に対応する位置に形成された上面部20とから構成されている。また、傾き調整部材17の上面部20には、調整用ブロック16を貫通する調整用ボルト21の下端が螺合されており、さらに、傾き調整部材17は、その長手方向のほぼ中央位置を支点22として揺動自在に取付けられている。傾き調整部材17には、ブロック固定部材23が支持軸24を介して取付けられており、ブロック固定部材23の下面には、上部リニアレール10に係合され上部リニアレール10に沿って移動自在とされたスライドブロック25が取付けられている。そして、扉支持部材15、調整用ブロック16、調整用ボルト21、傾き調整部材17およびブロック固定部材23により、傾き調整機構26が構成されている。
【0024】
本実施形態においては、傾き調整部材17の上面部20に調整用ボルト21を螺入または螺出させて、調整用ブロック16と傾き調整部材17の上面部20との間隔を調整することにより、傾き調整部材17に対する扉支持部材15すなわち右側扉体3の傾きを調整することができるものである。
【0025】
また、左側扉体4の下部後端には、前述の右側扉体3と同様に、扉支持部材15、調整用ブロック16、調整用ボルト21、傾き調整部材17およびブロック固定部材23により構成される傾き調整機構26が取付けられている。この場合、スライドブロック25は、下部リニアレール11の下方から係合されて移動できるように構成されており、また、調整用ボルト21は、調整用ブロック16の下方から上方に向かって螺合されており、調整用ボルト21の上端部は、調整用ブロック16の下面に当接されている。すなわち、この左側扉体4の傾き調整機構26は、右側扉体3の傾き調整機構26と上下逆となるように取付けられるものである。そして、右側扉体3は、その重力により、図2において、支点22を中心として時計回りに回転しようとする力が加わるため、調整用ボルト21を調整用ブロック16に螺合させて反時計方向への力を加えることにより、右側扉体3を支持する必要がある。これに対して、左側扉体4は、その重力により、図2において、支点22を中心として反時計方向に回転しようとする力が加わるため、調整用ボルト21は、調整用ブロック16の下面に当接させることにより、左側扉体4を支持することができるものである。その他の構成は、右側扉体3の傾き調整機構26と同様である。
【0026】
図7に示すように、右側扉体3の下部後端には、ローラ支持体27が取付けられている。ローラ支持体27の両端部分には、下部ガイドレール13の一方の内側側面に当接するように配置されたガイドローラ28,28が回転自在に取付けられており、ローラ支持体27の中央部分には、ローラ支持体27に形成された長穴29を介して配置された調整用ガイドローラ30が回転自在に取付けられている。そして、ガイドローラ28を下部ガイドレール13の一方の内側側面に当接させた状態で、調整用ガイドローラ30を長穴29を介して移動させることにより、調整用ガイドローラ30を下部ガイドレール13の他方の内側側面に当接させることができるように構成されている。このようにガイドローラ28をガイドレールの一方の内側側面に当接させるとともに、調整用ガイドローラ30を下部ガイドレール13の他方の内側側面に当接させることにより、右側扉体3の厚さ方向へのがたを防止して、右側扉体3を安定して案内することができるものである。
【0027】
また、左側扉体4の上部後端には、前述の場合と同様に、両端部分に2つのガイドローラ28が回転自在に取り付けられているとともに、中央部分に調整用ガイドローラ30が回転自在に取り付けられているローラ支持体27が取付けられている。そして、右側扉体3の場合と同様に、ガイドローラ28をガイドレールの一方の内側側面に当接させた状態で、調整用ガイドローラ30を長穴29を介して移動させて調整用ガイドローラ30を上部ガイドレール14の他方の内側側面に当接させることにより、左側扉体4の厚さ方向へのがたを防止して、左側扉体4を安定して案内することができるものである。
【0028】
また、図2に示すように、上部横フレーム6と下部横フレーム7との間には、駆動系設置板31が取付けられており、駆動系設置板31のほぼ中央部分表面側には、2つの駆動モータ32,32が設置されており、これら各駆動モータ32には、各駆動モータ32により回転駆動され駆動系設置板31の裏面側(扉体側)に位置する駆動プーリ33がそれぞれ接続されている。本体の両端部分に位置する縦フレーム5には、それぞれ従動プーリ34が取付けられており、駆動プーリ33と従動プーリ34との間には、駆動ベルト35が掛け渡されている。駆動ベルト35の中途部には、右側扉体3および左側扉体4の後端部分にそれぞれ固着された連結部材36が取付けられている。
【0029】
本実施形態においては、右側扉体3を駆動するための駆動モータ32は、図2において左側に設置されているとともに、左側扉体4を駆動するための駆動モータ32は、図2において右側に設置されており、このような駆動モータ32の配置により、各駆動モータ32に接続された駆動プーリ33に掛け渡される駆動ベルト35は、上下方向において一部が重なり合うように構成されている。そして、駆動モータ32を駆動して駆動プーリ33を回転駆動させることにより、連結部材36を介して右側扉体3および左側扉体4を進退動作させるように構成されている。
【0030】
また、駆動系設置板31には、各駆動モータ32を駆動制御するモータドライバ37がそれぞれ設置されており、駆動系設置板31には、受電部38を介して送られる動作信号に基づいて各モータドライバ37に駆動モータ32の駆動制御信号を出力する制御基板39が設置されている。さらに、駆動系設置板31には、各駆動モータ32に電源を供給する電源40が設置されている。なお、これらモータドライバ37、受電部38、制御基板39および電源40が、本発明の制御機器に相当する。
【0031】
なお、本実施形態においては、ホーム柵本体2のプラットホーム側には、駆動系設置板31部分を保守点検するための図示しない開閉蓋が設けられている。そして、本実施形態においては、駆動系設置板31に駆動モータ32および制御基板39などの制御機器を集中して設置するようにしているので、開閉蓋を開くことにより、駆動系設置板31に搭載されている駆動モータ32や制御基板39などの制御機器の保守点検などを容易に行うことができるものである。
【0032】
また、図8および図9に示すように、本実施形態においては、ホーム柵本体2の上面には、上面がプラットホーム側に指向するように傾斜して形成された上部枠体41が設けられており、この上部枠体41の内部底面上には、スペーサ42を介して操作盤パネル43が上部枠体41の内部底面に対して所定の間隙を有するように設置されている。操作盤パネル43には、電源状態、状態表示、閉センサ、支障物センサなど表示を行う表示部44が形成されるとともに、各種操作を行う操作部(図示せず)が設けられている。
【0033】
また、上部枠体41の内部底面の操作盤パネル43の周辺位置に対応する位置には、開口45が形成されており、この開口45の周縁部には、この周縁部を上方に立ち上げてなる立ち上げ部46が形成されている。上部枠体41の上面には、カバー部材47が開閉自在に取付けられており、カバー部材47を閉じた状態で、カバー部材47により操作盤パネル43を被覆するとともに、カバー部材47を開いた状態で、操作盤パネル43の操作部の操作を行うことができるように構成されている。
【0034】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0035】
本実施形態においては、まず、調整用ボルト21を螺入または螺出させて、調整用ブロック16と傾き調整部材17の上面部20との間隔を調整することにより、傾き調整部材17に対する扉支持部材15の傾きを調整し、右側扉体3および左側扉体4の傾きを調整する。また、ガイドローラ28を下部ガイドレール13または上部ガイドレール14の一方の内側側面に当接させた状態で、調整用ガイドローラ30を長穴29を介して移動させることにより、調整用ガイドローラ30を下部ガイドレール13または上部ガイドレール14の他方の内側側面に当接させることにより、右側扉体3および左側扉体4の厚さ方向へのがたを無くしておく。
【0036】
この状態で、列車がプラットホームに停車し、受電部38に動作信号が入力されると、制御基板39により、各駆動モータ32のモータドライバ37に駆動制御信号が出力され、各駆動モータ32が回転駆動される。これにより、各駆動プーリ33を介して駆動ベルト35が動作され、これに伴って、右側扉体3および左側扉体4がホーム柵本体2の内部に引き込まれるように動作される。また、駆動モータ32を逆方向に回転駆動させることにより、駆動プーリ33を介して駆動ベルト35を逆方向に動作させ、これにより、右側扉体3および左側扉体4が上部リニアレール10および下部リニアレール11に案内されてホーム柵本体2から突出動作され、扉が閉じられる。
【0037】
また、保守点検を行う場合には、ホーム柵本体2の開閉蓋を開くことにより、駆動系設置板31の各種機器を容易に保守点検することが可能となる。このとき、駆動系設置板31の裏面側に駆動プーリを配置するようにしているので、開閉蓋を開いて駆動系設置板31の保守点検などを行う場合に、駆動プーリの回転に巻き込まれてしまうことを確実に防止することができるものである。
【0038】
また、操作盤パネル43の操作を行う場合は、カバー部材47を開いて操作盤パネル43を露出させることにより、操作部を操作するものである。このとき、カバー部材47により、操作盤パネル43を保護することができるが、カバー部材47と上部枠体41のとの隙間から、上部枠体41の内部に雨滴などが進入した場合には、上部枠体41の内部底面に沿って雨滴が流れることになるが、立ち上げ部46を形成するようにしているので、操作盤パネル43の下方に雨滴などが進入することがない。
【0039】
以上述べたように、本実施形態においては、駆動モータ32や制御基板39などの制御機器を駆動系設置板31に集中して設置するようにしているので、駆動系設置板31に設置された駆動モータ32や制御機器を容易に保守点検することができる。また、駆動系設置板31の裏面側に駆動プーリ33を配置するようにしているので、駆動モータ32や制御機器の保守点検などを行う場合に、駆動プーリ33の回転に巻き込まれてしまうことを確実に防止することができ、安全性を著しく高めることができる。さらに、右側扉体3および左側扉体4を進退自在に案内する上部リニアレール10および下部リニアレール11の間に、駆動系設置板31を配置するようにしているので、ある程度高さのある位置に駆動系設置板31を配置することができ、保守点検作業を行う場合に、低い位置にかがみ込む必要がなく、作業をしやすくすることができる。
【0040】
また、操作盤パネル43をホーム柵本体2の上部に配置するようにしているので、操作性を著しく高めることができる。さらに、上部枠体41を傾斜して配置し、操作盤パネル43を上部枠体41の内部底面から離隔して配置するとともに、操作盤パネル43の下方周囲に立ち上げ部46を形成するようにしているので、カバー部材47と上部枠体41のとの隙間から、上部枠体41の内部に雨滴などが進入した場合であっても、操作盤パネル43の下方に雨滴などが進入することを確実に防止することかできる。
【0041】
さらに、本実施形態においては、上部リニアレール10および下部リニアレール11が上下方向において一部が重なり合うように配置するようにしているので、右側扉体3および左側扉体4のそれぞれ後端面が近接する状態で、ホーム柵本体2の内部に収納することが可能となる。その結果、ホーム柵本体2の幅寸法を小さく形成することができ、その分扉の開口幅を大きく形成することができる。また、下部ガイドレール13、上部ガイドレール14および駆動ベルト35も、上下方向において一部が重なり合うように配置されているので、ホーム柵本体2の内部に、右側扉体3および左側扉体4のそれぞれ後端面が近接する状態で収容された場合でも、下部ガイドレール13および上部ガイドレール14による案内、駆動ベルト35による動作をそれぞれ適正に行うことができる。
【0042】
また、ホーム柵本体2の内部に、右側扉体3および左側扉体4のそれぞれ後端面が近接する状態で収容された場合に、スライドブロック25、ガイドローラ28のローラ支持体27をそれぞれ左側扉体4および右側扉体3の一側に位置させるようにしているので、スライドブロック25およびローラ支持体27の長さ寸法を大きく確保することができ、スライドブロック25およびローラ支持体27の強度を大きくすることなく、大きい荷重に対応することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においては、右側扉体3および左側扉体4の上方および下方を上部リニアレール10、下部リニアレール11、下部ガイドレール13および上部ガイドレール14で案内支持するようにしているので、高さ方向の支持長さを大きく確保することができ、右側扉体3および左側扉体4の揺れを防止して安定して案内することができる。
【0044】
さらに、右側扉体3および左側扉体4にそれぞれモジュール化した傾き調整機構26、ローラ支持体27を取付けることにより、右側扉体3および左側扉体4を進退自在に支持するようにしているので、右側扉体3および左側扉体4の形状を単純化することができ、製造コストの低減を図ることかできるとともに、右側扉体3および左側扉体4の形状のバリエーションの自由度を高めることができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ホーム柵装置
2 ホーム柵本体
3 右側扉体
4 左側扉体
5 縦フレーム
6 上部横フレーム
7 下部横フレーム
10 上部リニアレール
11 下部リニアレール
13 下部ガイドレール
14 上部ガイドレール
15 扉支持部材
16 調整用ブロック
17 傾き調整部材
21 調整用ボルト
22 支点
23 ブロック固定部材
25 スライドブロック
26 傾き調整機構
27 ローラ支持体
28 ガイドローラ
30 調整用ガイドローラ
31 駆動系設置板
32 駆動モータ
33 駆動プーリ
34 従動プーリ
35 駆動ベルト
36 連結部材
37 モータドライバ
38 受電部
39 制御基板
40 電源
41 上部枠体
42 スペーサ
43 操作盤パネル
46 立ち上げ部
47 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のプラットホーム上に設置されるホーム柵本体と、
前記ホーム柵本体の内部に設置され前記ホーム柵本体の両端部から進退動作される一対の扉体と、
前記ホーム柵本体の内部に設置され駆動モータおよび制御系機器を搭載する駆動系設置板と、
を備えていることを特徴とするホーム柵装置。
【請求項2】
前記各扉体の前記ホーム柵本体の内部側端部を支持して前記各扉体を進退自在に案内する2つのリニアレールを前記ホーム柵本体の内部上下位置に設け、前記駆動系設置板は、前記各リニアレールの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のホーム柵装置。
【請求項3】
前記駆動モータの駆動により駆動プーリを介して動作され、前記扉体を進退動作させる駆動ベルトを設け、前記駆動プーリは、前記駆動系設置板の裏面側に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホーム柵装置。
【請求項4】
ホーム柵本体の上部に上部枠体を設置し、この上部枠体の内部に、操作盤パネルが前記上部枠体の内部底面から所定間隙をもって設置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のホーム柵装置。
【請求項5】
前記上部枠体を傾斜して配置し、前記上部枠体の内部底面の前記操作盤パネルの下方部分に立ち上げ部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のホーム柵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−178355(P2011−178355A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47297(P2010−47297)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】