説明

ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法

【課題】(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルと、前記(a)以外の熱可塑性樹脂とを二軸押出機に供給して加熱溶融混練するプロセスにおいて、スクリュー短径部分に滞留し、残留する、半溶融状態又は溶融状態のポリフェニレンエーテル固着物の発生を抑制する。
【解決手段】(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルと、前記(a)以外の熱可塑性樹脂とを、二軸押出機に供給して加熱溶融混練するプロセスにおいて、溶融した前記(a)以外の熱可塑性樹脂の搬送領域に、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを、二軸押出機のサイドから強制サイドフィーダーを用いて供給し、当該供給する部分の押出機のスクリュー構成を特定し、かつ、当該押出機のバレル設定温度を特定し、前記(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルがパウダー状の固体状態で、前記溶融状態にある(a)以外の熱可塑性樹脂と混合するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ポリフェニレンエーテルは、アルキルフェノール化合物を酸化重合して得られ、その形状はパウダー状態である。
また、ポリフェニレンエーテルは耐熱性が高く、各種熱可塑性樹脂とポリマーアロイ化することが可能で、各種熱可塑性樹脂の耐熱性を向上させることが知られている。
一方において、ポリフェニレンエーテルの耐熱性が高いために、各種熱可塑性樹脂とポリマーアロイ化させるための加工温度は必然的に高くなる。
通常、ポリフェニレンエーテル単体が溶融加工可能な温度は270〜320℃であるため、ポリフェニレンエーテルは溶融加工時の熱によって変色や高分子量化が起こり、更には、溶融加工機器内部の滞留部で熱劣化が進行すると黒点異物や炭化物が樹脂組成物中に生成するため成形品の機械的物性低下の欠陥点となる可能性がある。このため、溶融加工時にフィルター類を用いてこれらの黒点異物を除去する方法が取られている。
上述したような溶融加工方法の多くは、押出機を用いる方法で実施されているが、溶融粘度が高いポリフェニレンエーテルを含んだ樹脂組成物を溶融状態でフィルターを通すことにより、場合によってはシェア発熱が起こり、更に樹脂温度が上昇し、樹脂成分の劣化(分解や架橋)が進行し、機械的物性低下といった副次的な問題を誘引している。
【0003】
下記特許文献1には、マトリックスがポリプロピレン系樹脂、分散相がポリフェニレンエーテル系樹脂からなる樹脂組成物であって、未溶融物、未反応物及び熱劣化物の発生を減少させ、機械的強度に優れた樹脂組成物が提案されており、特定量官能化された官能化ポリプロピレン系樹脂と官能化ポリフェニレンエーテル系樹脂とを用いて溶融混練することにより、黒点の少ない樹脂組成物が得られることが記載されている。
【0004】
同様に、下記特許文献2には、異物が低減化した官能化ポリフェニレンエーテル、及びその組成物が提案されている。具体的には、官能化ポリフェニレンエーテルを従来技術のポリフェニレンエーテルが加工可能な高温下で官能化化合物と反応させると熱劣化により変色や異物が発生するため、官能化化合物との反応をポリフェニレンエーテルの融点以下の温度で行うことにより、官能化ポリフェニレンエーテルを得、この官能化ポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂を含んだ樹脂組成物が提案されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び衝撃改良材からなる樹脂組成物中の黒点を抑制するため、溶融されたポリアミド中にポリフェニレンエーテルを添加し溶融混練する方法が提案されている。
また、押出機による加熱溶融混練する際に発生する炭化物、ゲル化物等の異物を低減化する方法として、特許文献4には、熱可塑性樹脂と他の熱可塑性樹脂、添加剤等を押出機で混練し、成形材料を製造する際に、押出機に熱可塑性樹脂を供給後、樹脂が溶融する手前のゾーンに窒素ガスを押出機に供給する方法が提案されている。
【0006】
さらに、下記特許文献5には、同方向回転二軸押出機で樹脂組成物を製造する際の樹脂組成物の熱劣化を軽減化させるために、使用するスクリューフライトデザイン及びニーディングディスクデザインにおいてバレルに接する先端部の厚さが薄いパーツと厚いパーツを組み合わせた提案がされている。
【0007】
さらにまた、下記特許文献6には、粉体状熱可塑性樹脂を、二軸押出機を用いて溶融混練してゲル化物、炭化物等の異物が少ないペレットを得るために、熱可塑性樹脂をそのガラス転移温度(Tg)未満あるいは融点(Tm)未満の温度で予熱した押出機の搬送領域で、固体状態で脱気することを特徴とする製造方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−302873号公報
【特許文献2】特開2001−335646号公報
【特許文献3】特開2004−143242号公報
【特許文献4】特開平6−206216号公報
【特許文献5】特開平8−258110号公報
【特許文献6】特開2002−292626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ポリフェニレンエーテルは、通常パウダー状で得られるため、必然的に嵩密度が小さい。
また、押出機のスクリューエレメントのスクリューフライトによる粉体搬送能力は低いため、特に粉体搬送領域(樹脂成分が未溶融の領域)と溶融領域(樹脂成分が溶融する領域)との境目の領域において、パウダー状ポリフェニレンエーテルがスクリューの短径部分(スクリューの溝、溝の壁部分)に半溶融状態で巻き付いた残留物となって滞留し、この残留物が熱劣化進行とともに黒点異物や炭化物の発生要因の一つとなる。
【0010】
上記の先行文献に示されている技術は、押出機による樹脂組成物を得る際の、加熱溶融加工時に発生するゲル化物、黒点異物、炭化物等の異物を抑制するため、種々の工夫・改良がなされているものの、パウダー状ポリフェニレンエーテル特有の問題である(1)パウダー形状のため粉体搬送能力が低くなってしまうこと、(2)溶融加工温度が、目的とする樹脂組成物が劣化しやすい高い温度であること、の2つ因子が連係したポリマー劣化メカニズムを克服する押出加工技術については、未だ十分な検討及び改善がなされているとは言えない。
【0011】
そこで本発明においては、上記事情に鑑み、パウダー状ポリフェニレンエーテルと、当該パウダー状ポリフェニレンエーテル以外の熱可塑性樹脂とを、二軸押出機で加熱溶融混練するプロセスにおいて、(1)パウダー形状のため粉体搬送能力が低くなってしまうこと、(2)溶融加工温度が、目的とする樹脂組成物が劣化しやすい高い温度であること、の2つの因子が連係することにより生成する熱劣化物(黒点異物や炭化物)の前駆体と成り得る、スクリュー短径部分(スクリューの溝、溝の壁部分)に半溶融状態、溶融状態で巻き付く残留物の発生を抑制できる、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
樹脂組成物中に存在する、ポリフェニレンエーテルに起因した黒点異物や炭化物等の異物発生原因は、二軸押出機による溶融加工時に、パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点(240〜260℃)以上で融けたポリフェニレンエーテルが、スクリュー短径部分に半溶融物又は溶解物(ポリフェニレンエーテルの融解物と粉状物の混合物)となって固着し、未搬送状態で残留したものが熱劣化し、これが黒点異物や炭化物等の異物となることであると考え、パウダー状のポリフェニレンエーテルと他の熱可塑性樹脂とを溶融混練して樹脂組成物を製造する際、前記半溶融物又は溶解物がスクリュー短径部分に固着しない事象を示す製造方法を追求した。
【0013】
特に、パウダー状ポリフェニレンエーテルに起因した(1)パウダー形状のため搬送能力が低いこと、(2)溶融加工温度が、目的とする樹脂組成物が劣化しやすい高い温度であること、の2つの因子に着眼し、粉体移送能力の向上及び熱可塑性樹脂の加工温度が及ぼすパウダー状ポリフェニレンエーテルの融点への影響について鋭意検討した。
【0014】
その結果、二軸押出機の押出プロセスにおいて、溶融した他の熱可塑性樹脂の搬送領域に、パウダー状ポリフェニレンエーテルを、二軸押出機のサイドから強制サイドフィーダーを用いて供給し、供給する部分の押出機のスクリュー構成を特定し、かつ、当該スクリュー構成を有する押出機のバレル設定温度を特定して、パウダー状ポリフェニレンエーテルが融点以下のパウダー状の固体状態で、溶融した他の熱可塑性樹脂と混合するようにすることにより、スクリュー短径部分に滞留あるいは残留する半溶融状態又は溶融状態のポリフェニレンエーテル固着物の発生を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は下記の通りである。
【0015】
〔1〕
(a)パウダー状ポリフェニレンエーテル:1〜99質量%、
(b)前記(a)以外の熱可塑性樹脂:99〜1質量%
を含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法であって、
前記(a)成分及び前記(b)成分を、二軸押出機を用いて混練する工程を有し、
前記二軸押出機が、それぞれ第一〜第三供給口を具備する下記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の押出領域を有しているポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
(領域1)
前記(b)成分全量又は前記(b)成分の一部を、前記二軸押出機の第一供給口より供給する領域であり、
固体状態の前記(b)成分をスクリューで搬送する(I:固体搬送工程−1)と、
前記(b)成分を溶融混練する(II:溶融混合工程)と、
前記(b)成分を溶融状態で搬送する(III:溶融物搬送工程)と、
の、3つの工程を実行する部分を有しており、
前記スクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
及び、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、
の、6種のエレメントを組み合わせた構成となされており、
前記エレメントの組み合わせは、(A)のみの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)の組み合わせ構成のいずれか1種であり、
前記二軸押出機の押出機バレル設定温度が、前記(b)熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
(領域2)
前記(領域1)の(III)溶融物搬送工程を行う部分に連続した領域であり、
前記(b)成分の溶融搬送下に、前記(a)成分全量又は前記(a)成分の一部、及び前記(b)成分の一部又は残量を、第二供給口として設けた二軸押出機のサイドから強制サイドフィーダー1を用いて供給する(領域2)の(I)固体搬送工程−2と、
供給した前記(a)成分と前記(b)成分とを溶融混練する(領域2)の(II)溶融混合工程と、
前記(a)成分と前記(b)成分とが、溶融状態で搬送される(領域2)の(III)溶融物搬送工程と、
の、3つの工程を行う部分を有しており、
前記強制サイドフィーダー1を用いて、前記(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルが供給され、
当該(a)成分と、前記(領域1)から溶融搬送された前記(b)成分とが合流する部分の、前記(I)固体搬送工程−2の二軸押出機のスクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリュー、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の正ニーディングディスク、
及び、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスクの4種のスクリューエレメント、
からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のスクリューエレメントの組み合わせで構成され、
前記(I)固体搬送工程−2を行う部分の、押出機バレル設定温度が、前記(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下であり、
前記(I)固体搬送工程−2において供給された(a)成分と、前記(領域1)の(III)溶融物搬送工程から供給されてくる溶融物の(b)成分は、前記(領域2)の(II)溶融混合工程、(III)溶融物搬送工程へ送られるようになされており、
前記(II)溶融混合工程、(III)溶融物搬送工程は、それぞれ、前記(a)成分及び前記(b)成分を溶融混練する工程、(領域3)へ溶融搬送する工程であり、
前記(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程において用いるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、
(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
の9種のエレメントを組み合わせた構成となされており、
前記エレメントの組み合わせは、(A)だけの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)、及びこれらの組み合わせに(G)、(H)、(I)のエレメントを任意に組み合わせた構成のいずれか1種であり、
前記(II)溶融混合工程及び前記(III)溶融物搬送工程の、押出機バレル設定温度が、前記(b)熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
(領域3)
前記(領域2)の(III)溶融物搬送工程を行う部分に連続した領域であり、
前記(b)成分、前記(a)成分の溶融搬送下に、前記(a)成分の残量及び/又は前記(b)成分の残量を、第三供給口として設けた二軸押出機のサイドから強制サイドフィーダー2を用いて供給する(領域3)の(I)固体搬送工程−3と、
当該(領域3)の(I)固体搬送工程−3において分割供給した前記(a)成分及び/又は前記(b)成分と、前記(領域2)から搬送された(a)成分+(b)成分の溶融混練物をさらに溶融混練する(領域3)の(II)溶融混合工程と、
さらに、前記(a)成分と前記(b)成分が溶融状態で搬送される(領域3)の(III)溶融物搬送工程と、
の、3つの工程を行う部分を有しており、
前記強制サイドフィーダー2を用いて前記(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテル及び/又は前記(b)成分が供給され、当該供給された成分と、前記(領域2)の溶融搬送された樹脂とが合流する部分で行われる(領域3)の(I)固体搬送工程−3において用いられる二軸押出機のスクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリュー、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の正ニーディングディスク、
及び、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
の、4種のスクリューエレメントからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のスクリューエレメントの組み合わせで構成され、
前記(領域3)の(I)固体搬送工程−3の押出機バレル設定温度が、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下であり、
前記(I)固体搬送工程−3において、分割供給された成分と、前記(領域2)の(III)溶融物搬送工程から供給されてくる前記(b)成分+前記(a)成分の溶融物は、前記(領域3)の(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程へ送られるようになされており、
前記(領域3)の(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程は、それぞれ、
前記(a)成分と前記(b)成分の最終溶融混練工程、二軸押出機の末端出口へ溶融搬送する工程であるものとし、
前記(領域3)の(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程において用いられるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有する「ミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
の9種のエレメントを組み合わせた構成となされており、
前記エレメントの組み合わせは、(A)だけの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)、およびこれらの組み合わせに(G)、(H)、(I)のエレメントを任意に組み合わせた構成のいずれか1種であり、
前記(II)溶融混合工程、及び前記(III)溶融物搬送工程の押出機バレル設定温度が、前記(b)熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
【0016】
〔2〕
(a)パウダー状ポリフェニレンエーテル:1〜99質量%、
(b)前記(a)以外の熱可塑性樹脂:99〜1質量%、
を含み、
前記(a)成分+前記(b)成分の合計100質量部に対して、
(c)添加剤:0.1〜70質量部を、さらに含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法であって、
前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、二軸押出機を用いて混練する工程を有し、
前記二軸押出機が、それぞれ第一〜第三供給口を具備する下記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の押出領域を有し、
前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の、少なくとも一つの領域に、前記(c)成分を供給する前記〔1〕に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0017】
〔3〕
前記(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルが、嵩比重0.2〜0.8、又は平均粒子径が1〜2000μmの粒子である前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0018】
〔4〕
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン、水添ブロック共重合体、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、及び液晶ポリエステルからなる群より選ばれる、一種又は二種以上の熱可塑性樹脂である前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0019】
〔5〕
前記(c)成分の添加剤が、前記(a)成分と(b)成分とを相互に混和化可能な混和剤、フィラー、安定剤、離型剤、加工助剤、難燃剤、ドリップ防止剤、造核剤、UV遮断剤、染料、顔料、酸化防止剤、可塑剤、及び帯電防止剤からなる群より選ばれる一種又は二種以上の添加剤である前記〔2〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0020】
〔6〕
前記二軸押出機の(領域2)及び/又は(領域3)に、前記(c)成分である液状の添加剤を供給する工程を有し、
当該液状の(c)成分を供給する方法が、前記(領域2)の(II)溶融混合工程又は(III)溶融物搬送工程及び/又は前記(領域3)の(II)溶融混合工程又は(III)溶融物搬送工程を行う部分のバレルに、液添ノズルを取り付け、液状の(c)成分を液添ポンプで圧入する方法であり、
前記(c)成分を圧入する部分の前記二軸押出機のスクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
のエレメントを用いており、前記スクリューは、前記(A)、(G)、(H)、及び(I)のエレメントの、単独又は複数の組み合わせからなるスクリュー構成である前記〔2〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0021】
〔7〕
前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)及び(領域3)の、全領域の二軸押出機のバレルにベント口が設けられた構成とし、当該ベント口を閉じた状態とする前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0022】
〔8〕
前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)及び(領域3)の少なくとも1つの領域の二軸押出機のバレルにベント口が設けられた構成であるものとし、当該ベント口から真空ポンプを用いて1〜700Torrに減圧して、揮発成分を脱気する前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0023】
〔9〕
前記二軸押出機の(領域2)及び(領域3)に、強制サイドフィーダーを用いて、前記(a)成分及び/又は粉体状の(c)成分を供給する工程を有し、
前記(a)成分及び/又は粉体状の(c)成分を供給する方法が、前記強制サイドフィーダーと接続したバレルの上蓋の上流側にガス抜き用の開口孔を設け、かつ当該ガス抜き用の開口孔からガス抜きを行いながら、供給する方法である前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0024】
〔10〕
前記二軸押出機の(領域1)の第一供給口にはホッパーが連結されており、当該ホッパーには重量式フィーダーが連結されており、前記ホッパーは、当該ホッパー上部に排気管を設置した気密性ホッパーであるものとし、窒素ガスを、前記ホッパーの下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を0.3体積%未満とする、前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0025】
〔11〕
前記二軸押出機の(領域2)の強制サイドフィーダー1にはホッパーが連結されており、当該ホッパーには重量式フィーダーが連結されており、前記ホッパーは、当該ホッパー上部に排気管を設置した気密性ホッパーであるものとし、窒素ガスを、前記ホッパーの下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を0.3体積%未満とする、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0026】
〔12〕
前記二軸押出機の(領域3)の強制サイドフィーダー2には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、前記ホッパーは、当該ホッパー上部に排気管を設置した気密性ホッパーであるものし、窒素ガスを、前記ホッパーの下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を0.3体積%未満とする、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0027】
〔13〕
前記二軸押出機は、前記(領域1)の第一供給口に供給する前記(b)成分をストックするストックタンクを有し、
前記第一供給口には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、当該重量式フィーダーは、前記ストックタンクと連結されており、
前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0028】
〔14〕
前記二軸押出機は、前記(領域2)の第二供給口に供給する前記(a)成分、(b)成分をストックするストックタンクを有し、
前記第二供給口には、強制サイドフィーダー1が連結されており、
当該強制サイドフィーダー1には、ホッパーが連結されており、
当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
当該重量式フィーダーには、前記ストックタンクが連結されており、
前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0029】
〔15〕
前記二軸押出機は、前記(領域3)の第三供給口に供給する前記(a)成分、(b)成分をストックするストックタンクを有し、
前記第三供給口には、強制サイドフィーダー2が連結されており、
当該強制サイドフィーダー2には、ホッパーが連結されており、
当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
当該重量式フィーダーには、前記ストックタンクが連結されており、
前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0030】
〔16〕
前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の少なくともいずれかの領域に供給する前記(c)成分をストックするストックタンクを有し、
前記(領域1)の第一供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、
前記(領域2)の第二供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、
前記(領域3)の第三供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、
前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)において、前記ストックタンクが、それぞれの重量式フィーダーと連結されており、
前記ストックタンクと重量式フィーダーとの間、及び前記(c)成分を供給する領域における前記重量式フィーダーとホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする前記〔2〕乃至〔15〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0031】
〔17〕
前記二軸押出機が、噛み合い型同方向回転二軸押出機である前記〔1〕乃至〔16〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0032】
〔18〕
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂である前記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0033】
〔19〕
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂と水添ブロック共重合体の組み合わせである前記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0034】
〔20〕
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンと水添ブロック共重合体との組み合わせである前記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0035】
〔21〕
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリアミドである前記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【0036】
〔22〕
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィドである前記〔1〕乃至〔17〕のいずれか一に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0037】
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法によれば、二軸押出機のスクリュー短径部分に、半溶融状態又は溶融状態のポリフェニレンエーテル固着物が滞留したり残留したりすることを効果的に抑制できる。
また、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法によれば、黒点異物の極めて少ないポリフェニレンエーテル樹脂組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)(a)〜(I)(a) 本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法で用いる二軸押出機のスクリューのエレメントの概略側面図を示す。(A)(b)〜(I)(b) 本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法で用いる二軸押出機のスクリューのエレメントの概略断面図を示す。
【図2】本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法の押出プロセス・フロー図である。
【図3】(a)、(b) 本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法において用いる二軸押出機のスクリューの構成と、スクリューの各部分によって行われる工程の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
【0040】
〔ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においては、
(a)パウダー状のポリフェニレンエーテル:1〜99質量%、
(b)前記(a)以外の熱可塑性樹脂:99〜1質量%
を含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造する。
前記(a)及び(b)を、二軸押出機を用いて混練する工程を有しており、当該二軸押出機は、後述する(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の押出領域を有している。
【0041】
また、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においては、前記(a)成分+前記(b)成分の合計100質量部に対して、さらに(c)添加剤:0.1〜70質量部を含むものであることが好ましい。
前記(c)成分は、(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の、少なくとも一つの領域に供給する。
【0042】
(原料)
先ず、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法に用いる原料について説明する。
<(a)成分:パウダー状ポリフェニレンエーテル>
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法は、原料として、パウダー状ポリフェニレンエーテルを用いる。
(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルは、下記式(1)の結合単位で示される繰返し単位からなり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定したポリスチレン換算した数平均分子量が1000以上であることが好ましく、より好ましくは1500〜50000、さらに好ましくは1500〜30000の範囲にあるホモ重合体及び/又は共重合体のポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記する。)である。
【0043】
【化1】

【0044】
前記式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、水素、ハロゲン、炭素数1〜7までの第一級又は第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基及び少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0045】
前記(a)成分の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
【0046】
前記(a)成分であるポリフェニレンエーテルは、公知の方法により製造でき、特に限定されるものではない。例えば、米国特許第3306874号記載のHayによる第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6−キシレノールを酸化重合することにより容易に製造できる。その他にも米国特許第3306875号、同第3257357号、同第3257358号、特公昭52−17880号、特開昭50−51197号、同63−152628号等に記載された方法で容易に製造できる。
これらの製造方法により得られるPPEは、通常パウダー状ポリフェニレンエーテルとして流通しており、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においても、このパウダー状のポリフェニレンエーテルを用いる。
【0047】
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法において用いる(a)成分:パウダー状ポリフェニレンエーテルは、嵩比重0.2〜0.8、又は平均粒子径1〜2000μmの粒子であることが好ましい。
嵩密度は、ゆるみ見掛け密度として測定されるものであり、例えば、パウダテスタ(ホソカワミクロン社製)を用いてパウダー状ポリフェニレンエーテルを100cc容積の金属容器に自然落下させた状態の充填密度として測定できる。
また、平均粒子径は、ISO 3310に準拠して目開きが異なる各種金属製網篩いを用いて篩い分けして算出することができる。
【0048】
さらに、(a)成分:パウダー状ポリフェニレンエーテルは、通常、融点を持つ結晶性ポリフェニレンエーテルである。
結晶性ポリフェニレンエーテルに関しては、Journal of Polymer Science,Part A−2 (6)1141−1148頁(1968年)、European Polymer Journal (9) 293−300頁(1973年)、Polymer (19)81−84頁(1978年)に記載されている。
(a)成分:パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)を用いた測定で求めることができ、20℃/minで昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのトップピーク温度が融点として定義される。ピークトップ温度が複数ある場合は、そのうちの最高温度を融点として定義する。
(a)成分:パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点は、240℃〜260℃であることが好ましい。
【0049】
<(b):上記(a)以外の熱可塑性樹脂>
(b)成分:上記(a)パウダー状ポリフェニレンエーテル以外の熱可塑性樹脂は、結晶性、非晶性に限定されず、一種又は二種以上の異なる熱可塑性樹脂の組み合わせであってもよい。
なお、(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルの溶融加工時の熱劣化を考慮し、(b)成分:(a)以外の熱可塑性樹脂は、溶融加工温度が300℃以下の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
(b)成分としては、例えば、ポリオレフィン、水添ブロック共重合体、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリエステル等が挙げられる。
【0050】
(b)成分のポリオレフィンとしては、アイソタクチックポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテン−1、高密度ポリエチレン、超高分子量高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、密度0.90未満の超低密度ポリエチレンや、エチレン、プロピレン、他のα−オレフィンの中から選ばれる2種以上の化合物の共重合体、例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン共重合体、プロピレン/エチレン(ランダム、ブロック)共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。これらのポリオレフィンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらポリオレフィンのうち、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレンブロック共重合体、プロピレン/エチレンランダム共重合体及びポリエチレンが好ましい。
これらのポリオレフィンは、通常、エラストマー状及び樹脂状の性状を有するものである。
【0051】
また、これらのポリオレフィンには、ポリオレフィンに各種官能基を付加した官能基含有ポリオレフィンも含まれる。官能基をポリオレフィンに付加する方法としては、カルボキシル基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、エポキシ基(グリシジル基)含有不飽和化合物等の官能基含有不飽和化合物をポリオレフィンと反応させる方法が挙げられる。
このポリオレフィンに官能基を付加させるこれらの官能基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボン酸化合物や、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸等の酸無水物化合物や、グリシジルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、ビニルグリシジルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、グリシジルイタコネート等のグリシジル化合物が挙げられる。
上記各種官能基含有不飽和化合物の中において、無水マレイン酸がより好ましい。
【0052】
ポリオレフィンと、上記官能基含有不飽和化合物との反応は、通常、加熱溶融(150〜300℃)した状態のポリオレフィンと、上記官能基含有不飽和化合物とを反応させる方法や、有機溶媒を用いて溶液状態又はスラリー状態としたポリオレフィンを、室温(23℃)〜200℃で、上記官能基含有不飽和化合物を反応させる方法等が挙げられる。
上述した反応において、ラジカル開始剤を使用してもよい。
また、上記官能基含有不飽和化合物と共重合可能な、他のエチレン性不飽和化合物、例えばスチレン等が共存していてもよい。
なお、ポリオレフィンの官能化変性反応に使用する上記官能基含有不飽和化合物の使用量、ラジカル開始剤の使用量、及び反応温度は、官能基含有不飽和化合物の付加量に応じて任意に選択することができる。
通常、官能基含有ポリオレフィンは、官能基含有不飽和化合物が0.05〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.2〜10質量%付加(又は共重合)したものである。
官能基含有ポリオレフィン中の官能基の量は、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)、プロトンNMR等によって知ることができる。
【0053】
(b)成分の水添ブロック共重合体としては、その前駆体がビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを各々のモノマー単位でブロック共重合し、ビニル芳香族化合物を主体とする(ビニル芳香族化合物の含有量が少なくとも70%以上有する)重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする(共役ジエン化合物の含有量が少なくとも70%以上有する)重合体ブロックBとからなるブロック共重合体の構造で示されるものが挙げられる。
前記ブロック共重合体中においては、ランダム共重合部分のビニル芳香族化合物は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。
また、ブロック共重合体中には、ビニル芳香族化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。
さらに、ブロック共重合体には、ビニル芳香族化合物含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
【0054】
(b)成分の水添ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体とは、一般に下記構造を有するブロック共重合体が例示される。
(A−B)n、A−(B−A)n−B、B−(A−B)n+1、[(A−B)km+1−Z、[(A−B)k−A]m+1−Z、[(B−A)km+1−Z、[(B−A)k−B]m+1−Z
上記式において、Zはカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物の開始剤の残基を示す。
n、k、mは1以上の整数であり、一般的には1〜5である。
【0055】
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体に用いるビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特にスチレンが好ましい。
前記ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物のブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有量は、通常、1〜95質量%であり、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは5〜70質量%である。
前記ブロック共重合体における共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、これらの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、ブタジエン、イソプレン及びこれらの組み合わせが好ましい。
【0056】
また、このビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体における共役ジエン化合物の重合形式であるミクロ構造は任意に選択できる。
例えば、ブタジエンにおいては、1,2−ビニル結合が2〜85%、好ましくは10〜85%、さらに好ましくは35〜85%である。
また、イソプレンにおいては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量が2〜85%、好ましくは3〜75%、さらに好ましくは3〜60%である。1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合は、該共役ジエン化合物重合体ブロック中に均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。
また、前記共役ジエン化合物重合体は、1,2−ビニル結合含量又は1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量が異なる重合体部分、例えば1,2−ビニル結合含量又は1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量が30%未満の重合体ブロック部分と30%以上の重合体ブロック部分が存在してもよく、さらにこれらのビニル結合量が異なる共役ジエン化合物の重合体ブロック部分が複数個共存していてもよい。
【0057】
(b)成分の水添ブロック共重合体の前駆体である、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算の分子量)は、通常、1000〜1000000、好ましくは10000〜500000、更に好ましくは20000〜300000である。
上記前駆体であるビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体は、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物、ビニル芳香族化合物をアニオン重合して得られる。
【0058】
炭化水素溶媒としては、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素使用できる。例えば、プロパン、イソブタン、n−ヘキサン、イソオクタン、シクローペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられ、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼンがより好ましい。これらの溶媒は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
【0059】
また、重合に使用する重合開始剤である有機リチウム化合物としては、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のモノ有機リチウム化合物や、ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,2−ジリチオ−1,2−ジフェニルメタン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物が使用できる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
これらの有機リチウム化合物の使用量は、目的とするビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の数平均分子量に応じ、単分散ポリマー(重量平均分子量/数平均分子量=1)を前提とした計算で適宜選択できる。
【0060】
(b)成分の水添ブロック共重合体の前駆体であるビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を構成する共役ジエン化合物の重合形式であるミクロ構造の1,2−ビニル結合量、3,4−ビニル結合量の増加調整、あるいはビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物共重合体鎖中のランダム性を調整するために、通常、エーテル類、第3級アミン類、アルカリ金属アルコキシド等の極性化合物を使用することができる。
極性化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、エチレングリコール・ジメチルエーテル、エチレングリコール・ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコール・n−ブチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコール・ジ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコール・ジメチルエーテル、トリエチレングリコール・ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシメチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシベンゼン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、カリウム−tert−アミルオキシド、カリウム−tert−ブチルオキシド等が挙げられる。これらの化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
かかる極性化合物の使用量は、有機リチウム化合物1モルに対して0モル以上、好ましくは0〜300モルである。
【0061】
上述したような水添ブロック共重合体の前駆体であるビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を、炭化水素溶媒中で、水素添加触媒及び水素ガスを添加し、水素添加反応を行うことにより、重合体中に存在する共役ジエン化合物に由来するオレフィン性不飽和結合が90%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは5%以下まで低減化された水添ブロック共重合体を得ることができる。
かかる水添反応は、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体に存在する共役ジエン化合物に由来するオレフィン性不飽和結合を低減化できるものであれば、その製法に制限は無く、いかなる製造方法であってもよい。
水添反応する方法として、例えば、英国特許第1020720号、米国特許第3333024号および同第4501857号に記載された方法が挙げられる。
【0062】
(b)成分のスチレン系樹脂としては、例えば、アタクチックポリスチレン、ゴム補強されたポリスチレン(HIPS)、スチレン含有量が少なくとも50重量%以上含有するスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS)、及びそのゴム補強されたAS樹脂、シンジオタクチックポリスチレンが挙げられる。
【0063】
(b)成分のポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6/6,6、ポリアミド6/6,12、ポリアミドMXD(m−キシリレンジアミン)/6、ポリアミド6,I、ポリアミド6/6,T、ポリアミド6/6,I、ポリアミド6,6/6,T、ポリアミド6,6/6,I、ポリアミド6/6,T/6,I、ポリアミド6,6/6,T/6,I、ポリアミド6/12/6,T、ポリアミド6,6/12/6,T、ポリアミド6/12/6,I、ポリアミド6,6/12/6,I等の中から300℃以下で溶融加工可能なポリアミドが挙げられる。
【0064】
(b)成分のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0065】
(b)成分のポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記する)としては、下記一般式(2)で示されるアリーレンスルフィドの繰返し単位を通常50モル%、好ましくは70モル%、より好ましくは90モル%以上を含む重合体が挙げられる。
[−Ar−S−] ・・・(2)
前記式(2)中、Arはアリーレン基を示し、アリーレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基が好ましい。)、p,p’−ジフェニレンスルホン基、p,p’−ビフェニレン基、p,p’−ジフェニレンカルボニル基、ナフチレン基等が挙げられる。
【0066】
なお、PPSは、構成単位であるアリーレン基が1種であるホモポリマーであってもよく、加工性や耐熱性の観点から、2種以上の異なるアリーレン基を混合して用いて得られるコポリマーであってもよい。
通常、p−フェニレンスルフィドの繰り返し単位を有するPPSは、リニア型ポリフェニレンスルフィドと呼ばれており、このリニア型ポリフェニレンスルフィドを用いて酸素の存在下でPPSの融点以下の温度で加熱処理し酸化架橋を促進してポリマー分子量、粘度を適度に高めたPPSは架橋型ポリフェニレンスルフィドと呼ばれる。リニア型、架橋型いずれも単独で使用することができ、さらにはリニア型PPSと架橋型PPSを併用してもよい。
【0067】
前記PPSの製造方法は、通常、ハロゲン置換芳香族化合物、例えばp−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは硫化水素ナトリウムと水酸化ナトリウムまたは硫化水素と水酸化ナトリウムあるいはナトリウムアミノアルカノエートの存在下で重合させる方法、p−クロルチオフェノールの自己縮合等が挙げられる。特に、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当である。
上記製造方法は、公知の方法であり、例えば、米国特許第2513188号明細書、特公昭44−27671号公報、特公昭45−3368号公報、特公昭52−12240号公報、特開昭61−225217号、米国特許第3274165号明細書、さらに特公昭46−27255号公報、ベルギー特許第29437号明細書、特開平5−222196号公報等に記載されている。
【0068】
(b)成分の液晶ポリエステルとしては、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルで、公知のものが使用できる。
例えば、p−ヒドロキシ安息香酸及びポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸及び4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ならびにテレフタル酸を主構成単位とするサーモトロピック液晶ポリエステルであり300℃以下で溶融加工可能な液晶ポリエステルが挙げられる。
【0069】
<(c)添加剤>
(c)成分:添加剤としては、非相溶な(a)成分と(b)成分を相互に混和化可能な混和剤、フィラー、安定剤、離型剤、加工助剤、難燃剤、ドリップ防止剤、造核剤、UV遮断剤、染料、顔料、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤等が挙げられ、これらの添加剤は当技術分野で公知の物を使用できる。
【0070】
(c)成分である非相溶な(a)成分と(b)成分とを相互に混和化可能な混和剤としては、(a)成分と(b)成分を溶融混練した際に、いずれかの成分を安定に乳化分散可能な成分として位置づけられる。
例えば、ポリアミド中にポリフェニレンエーテルを分散させることが可能な混和剤である無水マレイン酸が付加したポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド中又ポリエステル中にポリフェニレンエーテルを分散させることが可能な混和剤であるスチレン/ビニルオキサゾリン化合物共重合体やスチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
このように、混和剤としては、それ自体が(a)成分又は(b)成分と相溶性が良いものであるか、あるいはそれ自体が(a)成分又は(b)成分の有する官能基と反応可能な官能基を持つものが使用でき、低分子化合物〜高分子化合物まで幅広く選択できる。
【0071】
(c)成分であるフィラーは、樹脂組成物に対して数多くの機能を与える成分である。
例えば、剛性の付与、耐熱性の付与、熱伝導性の付与、導電性の付与、成形収縮率の改善、線膨張率の改善等があり、これらの目的に応じて選択できる。
例えば、無機塩、ガラス繊維(ガラス長繊維、チョップドストランドガラス繊維)、セルロース、ガラスフレーク、ガラスビーズ、カーボン長繊維、チョップドストランドカーボン繊維、ウィスカー、マイカ、クレイ、タルク、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびその繊維、シリカ、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、フライアッシュ(石炭灰)、チタン酸カリウム、ワラステナイト、熱伝導性物質(グラファイト、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化ベリリウム、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、硝酸アルミニウム、硫酸バリウムなど)、導電性金属繊維、導電性金属フレーク、導電性を示すカーボンブラック、導電性を示すカーボンファイバー、及びカーボンナノチューブからなる群の中から選ばれる少なくとも1種を選択して用いることができる。
これらのフィラーは、さらにシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、脂肪族カルボン酸、脂肪族金属塩等の表面処理剤で処理した物や、インターカレーション法によりアンモニウム塩等による有機化処理した物や、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂をバインダーとして処理した物であってもよい。
【0072】
(c)成分の難燃剤としては、有機リン酸エステル系化合物、ホスフィン酸金属塩、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、メラミン系難燃剤、トリアジン系難燃剤、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、フッ素系ポリマーからなる群の中から選ばれる少なくとも1種を選択して用いることができる。
【0073】
(c)成分の安定剤、酸化防止剤としては、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4−ビフェニレン−ジフォスフォナイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、チオエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−O−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−O−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N,N‘−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナモイル)ヒドラジン、オキサミドビス−[エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、イソフタル酸ビス(2−フェノキシプロピオニルヒドラジド)、N−ホルミル−N’−サリシロイルヒドラジン、オキザリル−ビス−ベンジリデン−ヒドラジド等が挙げられる。
【0074】
(c)成分の離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、高級アルコール脂肪酸エステル(ステアリルステアレート等)、高級脂肪酸エステル系離型剤(ソルビタン脂肪酸エステル、モンタン酸エステルワックス等)、高級脂肪酸金属塩系離型剤(ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0075】
(c)成分の加工助剤としては、例えば、高級アルコール脂肪酸エステル(ステアリルステアレートなど)、脂肪酸アミド系加工助剤、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸カルシウム塩等が挙げられる。
【0076】
(c)成分のドリップ防止剤としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にアクリル酸エステル変性したポリマー等が挙げられる。
【0077】
(c)成分の造核剤としては、例えば、リン酸2,2−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム、ソルビトール系結晶核剤、タルク、シリカ、グラファイト、窒化ホウ素等の無機微粒子、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物等が挙げられる。
【0078】
(c)成分のUV遮断剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の無機紫外線吸収剤や、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物およびヒンダードアミン化合物等の有機紫外線吸収剤等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5 ’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等が挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−n−ドデシロキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、及び2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
サリシレート化合物としては、例えばフェニルサリシレート、及び4−tert−ブチルフェニルサリシレート等が挙げられる。
シアノアクリレート化合物としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、及び2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
オギザニリド化合物としては、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリニックアシッドビスアリニド等が挙げられる
マロン酸エステル化合物としては、例えば、2−(アルキリデン)マロン酸エステル類、特に、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類等が挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ}]、N,N'−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンと2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合物、1,2,3,4−テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)−ブタンテトラカルボキシレート、1,4−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)−2,3−ブタンジオン、トリス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)トリメリテート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル−n−オクトエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジルステアレート、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペピリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)セバケート、及び2−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ペピリジル)等が挙げられる。
【0079】
(c)成分の可塑剤としては、例えば、高級脂肪酸エステル化合物、リン酸エステル系化合物、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等が挙げられる。
【0080】
(c)成分の帯電防止剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ジグリセリン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、N−メチルステアリルジチオカルバミン酸亜鉛等が挙げられる。
【0081】
(c)成分の染料及び顔料としては、例えば、アゾ系染料・顔料、アゾ系含金染料・顔料、ナフトールアゾ系染料・顔料、アゾレーキ系染料・顔料、アゾメチン系染料・顔料、アントラキノン系染料・顔料、キナクリドン系染料・顔料、ジオキサジン系染料・顔料、ジケトピロロピロール系染料・顔料、アントピリドン系染料・顔料、イソインドリノン系染料・顔料、インダンスロン系染料・顔料、ペリノン系染料・顔料、ペリレン系染料・顔料、インジゴ系染料・顔料、チオインジゴ系染料・顔料、キノリン系染料・顔料、ベンズイミダゾロン系染料・顔料、及びトリフェニルメタン系染料・顔料からなる群から選ばれる1又は2以上の有機染顔料が挙げられる。これらの着色剤が呈する色は、黄色、赤色、青色、緑色、黒色等である。
また、無機顔料としては、例えば酸化チタン、チタンイエロー、黄鉛、群青、コバルトブルー、クロムグリーン、ベンガラ、カーボンブラック等が挙げられる。
【0082】
(ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の製造方法によって得られるポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、上述した(a)成分+(b)成分、又は(a)成分+(b)成分+(c)成分の、構成成分からなるものであり、(a)成分/(b)成分=1〜99質量%/99〜1質量%の割合で構成され、(c)成分は(a)成分+(b)成分の合計100質量部に対して0.1〜70質量部の割合で含有されているものとする。
これらの成分(a)〜(c)を、後述する二軸押出機、より好ましくは噛み合い型同方向回転二軸押出機を用い、この押出機を構成する(領域1:図2中符号12)、(領域2:図2中符号13)、(領域3:図2中符号14)のうちの任意の部分に投入し、溶融混練を行い、押出加工を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を得る。
【0083】
従来公知のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造技術においては、二軸押出機の設定温度は、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度が約210℃と高いため、300℃以上となされている。
しかしながら、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においては、(a)成分として、パウダー状のポリフェニレンエーテル樹脂を用いているため、ペレット形状の樹脂と比べ、固体搬送能力が著しく低くなる。
具体的には、樹脂加工工程を、(I)固体搬送工程−1→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程→(IV)ストランド化工程の四段階に分けたとき、特に、(I)固体搬送工程−1→(II)溶融混合工程に至る途中の工程、すなわちパウダー状ポリフェニレンエーテルが粉体状態から、押出機バレルからの伝熱により、溶融状態に移行する途中の領域で、溶融したポリフェニレンエーテルとパウダー状ポリフェニレンエーテルが共存し、この共存物が、スクリュー短径部分(スクリューの溝、溝の壁部分)に固着した半溶融物を形成しやすい。
この半溶融物のポリフェニレンエーテルは、スクリュー短径部分に溶融物として巻き付いた状態で存在し、搬送されずにスクリューに残留しやすい。そしてこの状態が長く続くと、押出機のバレルからの伝熱やスクリュー軸の伝熱により、半溶融物のポリフェニレンエーテルは熱劣化が進行し、劣化による黒点異物や炭化物等の異物の前駆体生成物となり得る。
【0084】
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法は、これらの異物の前駆体生成物と成り得る、溶融したポリフェニレンエーテルとパウダー状ポリフェニレンエーテルとが共存状態でスクリュー短径部分に残留物として滞留している半溶融物の発生を低減化するものである。
【0085】
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においては、二軸押出機を用いて原料の溶融混練を行う。
二軸押出機は、略筒状のバレル内に、所定のスクリューを具備している。
【0086】
図1(A)〜(I)に、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法において用いる二軸押出機の、スクリューの要部の概略側面図(図1(A)(a)〜図1(I)(a))及び概略断面図(図1(A)(b)〜図1(I)(b))を示す。
図2に、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法の押出プロセス・フロー図を示す。
図3(a)、(b)に、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法において用いる二軸押出機のスクリューの構成と、かかるスクリューの各部分によって行われる工程の説明図を示す。
【0087】
二軸押出機は、図2に示すように、原料の流れ方向に対し、上流側に第一供給口1、これより下流に第二供給口2を有し、さらに第二供給口より下流に第三供給口3が設けられている。
また、これら各供給口の間、もしくは第三供給口3と押出機出口との間に、揮発分を脱気するため真空ベント口(図示せず)が設けられている。
図2に示すように、第一供給口1と第二供給口2の手前の間を(領域1:符号12)とし、第二供給口2と第三供給口3の手前の間を(領域2:符号13)とし、第三供給口3と押出機出口の間を(領域3:符号14)とする。
真空ベント口は、(領域1:符号12)、(領域2:符号13)、(領域3:符号14)の少なくとも一つの領域に設けられているものとする。
【0088】
(領域1:符号12)は、第一供給口1から、(b)成分:(a)成分以外の熱可塑性樹脂の全量、又は、当該(b)成分の一部を供給される領域である。
また、(領域1:符号12)は、(b)成分が、(I)固体搬送工程−1→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程の、各機能で示される工程が実行される加工部分を有しており、必要に応じて、(I)固体搬送工程−1→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程で示すような、溶融混合工程と溶融搬送工程とを細かく分割して実行するようにしてもよい。
【0089】
(領域1:符号12)のバレル設定温度は、(b)成分:(a)成分以外の熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
(領域1)のバレル設定温度を300℃以下とすることにより、樹脂成分の熱劣化を防止できる。
【0090】
本明細書において、(領域1:符号12)、(領域2:符号13)、(領域3:符号14)を構成するスクリューについて、下記の(A)〜(I)の記号は、図1(A)〜(I)に示すスクリューエレメントに相当している。
また、図3(a)、(b)は、それぞれスクリューの具体的な構成例を示しており、図3(a)、(b)中の(A)〜(I)の記号も、図1(A)〜(I)に示すスクリューエレメントに相当している。
【0091】
また、本明細書において、スクリューの所定の部分で行われる工程については、図3(a)、(b)に示すように、スクリューをC2〜C12の部位に分けたとき、(固体搬送工程−1:符号15−1)、(固体搬送工程−2:符号15−2)、(固体搬送工程−3:符号15−3)、(溶融混合工程:符号16)、(溶融物搬送工程:符号17)が、それぞれ、スクリューのC2〜C12の部位において行われているものとすることができる。
なお、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法は、図3(a)、(b)に示す例に限定されるものではない。
【0092】
(領域1:符号12)のスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、
の6種のエレメントを組み合わせて構成されるものとする。
(領域1:符号12)のスクリューは、(A)のみの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)の組み合わせ構成の、いずれか1種の組み合わせで構成されるものとする。
【0093】
上記(領域1:符号12)から、後述する(領域2:符号13)へ、(b)成分は溶融状態で搬送される。
【0094】
(領域2:符号13)は、上流側の(領域1:符号12)で、連続的に溶融混練された(b)成分:(a)成分以外の熱可塑性樹脂の溶融搬送物に対して、第二供給口2から、強制サイドフィーダー1:符号5を用いて、(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテル全量又は当該(a)成分の一部、及び(b)成分の一部又は残量を分割供給する。
(領域2:符号13)は、(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルが、(I)固体搬送工程−2→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程の各加工機能で示される工程を実行する領域である。
必要に応じて(I)固体搬送工程−2→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程→(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程で示すような、溶融混合工程と溶融搬送工程とを、細かくこれらの工程を分割して、実行してもよい。
【0095】
特に、供給する(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルと、上流側(領域1:符号12)で行われた(III)溶融物搬送工程から搬送されてきた溶融した(b)成分とが合流する部分において行われる工程は、(領域2)の(I)固体搬送工程−2と呼び、溶融状態の(b)成分に固体状態の(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを、溶融せずに固体状態で速やかにミキシングする工程である。
【0096】
なお、この(領域2:符号13)の、(I)固体搬送工程−2において、第二供給口2から、強制サイドフィーダー1(符号5)を用いて、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを供給する場合、パウダー状ポリフェニレンエーテルの嵩比重が小さいため、多くのガスも同伴して押出機に供給されてしまい、固体搬送能力が低下する。
固体搬送能力の低下を防止するためには、強制サイドフィーダー1(符号5)を接続した部位の押出機バレルの上蓋の上流側にガス抜き用の開口孔(図3中の符号18)を設け、当該開口孔から、ガス抜きを行うことが好ましい。
【0097】
(領域2:符号13)で行われる(I)固体搬送工程−2:符号15−2の、押出機のバレル設定温度は、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下とする。
この設定温度は、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを固体状態で、上流の(領域1:符号12)から搬送された溶融状態の(b)成分と、速やかにミキシングし、(a)ポリフェニレンエーテルが溶融状態でスクリュー短径部分に付着することを阻止する上で重要な温度設定となる。
好ましい設定温度は260℃以下であり、より好ましくは240℃以下である。
かかる設定温度が、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以上である場合は、(領域2:符号13)において行われる(I)固体搬送工程−2:符号15−2において、スクリュー短径部分に、半溶融状態のポリフェニレンエーテルの残留物が多く付着してしまう。
また、この設定温度の下限温度は、上流の(領域1:符号13)から搬送された溶融状態の(b)成分が、ここで供給する固体状態の(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルによって冷却されて二軸押出機がトルクオーバーとならずに押出加工が可能な温度に設定する必要があり、供する(b)成分の種類によって設定下限温度を選択する必要がある。
【0098】
(領域2:符号13)の(I)固体搬送工程−2:符号15−2を実行する部位におけるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリュー、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の正ニーディングディスク、
及び
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスクの4種のスクリューエレメント、
からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のスクリューエレメントの組み合わせで構成される。
【0099】
特に、(D)正ニーディングディスクからなるスクリュー構成は、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを供給する部分において行われる(I)固体搬送工程−2:符号15−2において、スクリュー残留物が皆無状態となり、(領域2:符号13)の(I)固体搬送工程−2:符号15−2を実行するために、最も好ましいスクリュー構成である。
このように、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルは、(領域2:符号13)の(I)固体搬送工程−2:符号15−2において、固体状態で、(領域1:符号12)から溶融搬送された樹脂とミキシングされた後に、連続して次の(領域2:符号13)において、(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17の加工処理工程を行う。
【0100】
この(領域2:符号13)において行われる(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17における、押出機のバレル設定温度は、(b)成分である(a)以外の熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下とする。
300℃以下のバレル設定温度とすることにより、樹脂成分の熱劣化を防止でき、(I)固体搬送工程−2:符号15−2のスクリュー短径部分に、半溶融状態のポリフェニレンエーテル残留物が付着することを防止できる。
【0101】
(領域2:符号13)において行われる(II)溶融混合工程→(III)溶融物搬送工程で使用されるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
の9種のエレメントからなる群より選ばれる構成とし、(A)だけの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)、及びこれらの組み合わせに(G)、(H)、(I)のエレメントを任意に組み合わせた構成の、いずれか1種であるものとする。
【0102】
前記(領域2:符号13)を経たのち、後述する(領域3:符号14)へ、組成物が溶融状態で搬送される。
【0103】
(領域3:符号14)は、上流側の(領域2:符号13)で、連続的に溶融混練された(b)成分及び(a)成分の溶融搬送物に対して、図2に示すように、第三供給口3から、強制サイドフィーダー2:符号6を用いて、(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルの残量、及び/又は(b)成分の残量を分割供給する領域である。
【0104】
(領域3:符号14)においては、上記供給成分に対し、図3に示すように、(I)固体搬送工程−3:符号15−3→(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17の各加工機能で示される加工を実行するものとし、必要に応じて、(I)固体搬送工程−3:符号15−3→(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17→(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17で示すように、溶融混合工程と溶融搬送工程とを細かく分割して行ってもよい。
【0105】
この(領域3:符号14)で供給される樹脂成分と、上流側(領域2:符号13)の(III)溶融物搬送工程:符号17から搬送されてきた溶融した樹脂成分とが合流する部分は、(領域3:符号14)の(I)固体搬送工程−3:符号15−3と呼び、溶融状態の樹脂成分に固体状態の供給成分を速やかにミキシングする工程である。
【0106】
なお、この(領域3:符号14)における(I)固体搬送工程−3に、図2に示すように、第三供給口3から強制サイドフィーダー2(符号6)を用いて、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを供給する場合、パウダー状ポリフェニレンエーテルの嵩比重が小さいため、多くのガスも同伴して押出機に供給するため固体搬送能力が低下する。
これを防止するために、強制サイドフィーダー2(符号6)を接続した部位の押出機バレルの上蓋の上流側にガス抜き用の開口孔(図3中の符号19)を設け、当該開口孔から、ガス抜きを行うことが好ましい。
【0107】
そして、(領域3:符号14)の(I)固体搬送工程−3を行う押出機のバレル設定温度は、供給成分として、(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルを含む場合は、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下に設定する。
この設定温度は、パウダー状ポリフェニレンエーテルを固体状態で上流の(領域2:符号13)から搬送された溶融状態の樹脂成分と速やかにミキシングし、パウダー状ポリフェニレンエーテルが溶融状態でスクリュー短径部分に付着することを阻止する上で重要な温度設定となる。好ましいくは260℃以下、より好ましくは240℃以下である。
かかる設定温度とすることにより、(領域3:符号14)の(I)固体搬送工程−3のスクリュー短径部分に、半溶融状態のポリフェニレンエーテルの残留物が多く付着することを効果的に防止できる。
【0108】
また、この設定温度の下限温度は、上流の(領域2:符号13)から搬送された溶融状態の樹脂成分の樹脂が、ここで供給する固体状態の(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルによって冷却されて二軸押出機がトルクオーバーとならずに押出加工が可能な温度に設定する必要があり、上流で供した(b)成分の種類によって設定下限温度を選択する必要がある。
【0109】
そして、(領域3:符号14)において行われる(I)固体搬送工程−3の部位におけるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリュー、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の正ニーディングディスク、
及び、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスクの4種のスクリューエレメント、
からなる群より選ばれる、少なくとも1種以上のスクリューエレメントの組み合わせで構成される。
特に、(D)正ニーディングディスクからなるスクリュー構成は、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルを供給する部分のスクリュー残留物が皆無状態となり、最も好ましいスクリュー構成である。
【0110】
上述したように、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルについては、(領域3:符号14)において行われる(I)固体搬送工程−3:符号15−3において固体状態で(領域2:符号13)から溶融搬送された樹脂とミキシングされた後に、連続して、(領域3:符号14)の(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17の各加工工程が行われる。
この(領域3:符号14)の(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17を行う部位における押出機のバレル設定温度は、(b)成分である(a)以外の熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下とする。
バレル設定温度を300℃以下とすることにより、樹脂成分の熱劣化を効果的に防止でき、(I)固体搬送工程−3:符号15−3を実行する部位におけるスクリュー短径部分に半溶融状態のポリフェニレンエーテル残留物が多く付着する傾向を効果的に防止できる。
【0111】
(領域3:符号14)において行われる(II)溶融混合工程:符号16→(III)溶融物搬送工程:符号17を実行する部位におけるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
からなる9種のエレメントを組み合わせて構成されるものとし、(A)だけの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)、及びこれらの組み合わせに(G)、(H)、(I)のエレメントを任意に組み合わせた構成のいずれか1種で構成される。
【0112】
この(領域3:符号14)において行われる(III)溶融物搬送工程:符号17で、樹脂組成物の全ての成分が溶融混練され、押出機出口に設置されたダイスを通り、押出機から排出される。
【0113】
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においては、(c)成分:添加剤を、上述した(領域1:符号12)、(領域2:符号13)、(領域3:符号14)の各供給口から、(a)成分、(b)成分と一緒に供給することができる。さらには、(領域3:符号14)の第三供給口3から単独で供給することもできる。
【0114】
なお、この(c)成分を供給する場合、押出機のスクリュー構成及びバレル設定温度は、上述した(領域1:符号12)、(領域2:符号13)、及び(領域3:符号14)において記載された条件の下で実施される。
【0115】
なお、パウダー状の(c)成分:添加剤を(領域2:符号13)、(領域3:符号14)のそれぞれの、(I)固体搬送工程−2:符号15−2、(I)固体搬送工程−3:符号15−3において、強制サイドフィーダーを用いて供給する場合、パウダー状の(c)成分の添加剤が、多くのガスも同伴して押出機に供給するため固体搬送能力が低下する。
これを防止するために、強制サイドフィーダーを接続した部位の押出機バレルの上蓋の上流側にガス抜き用の開口孔(符号18、符号19)を設け、当該開口孔から、ガス抜きを行うことが好ましい。
【0116】
そして、(c)成分を液体状態で添加する場合は、その供給口は、(領域2:符号13)の、(II)溶融混合工程:符号16又は(III)溶融物搬送工程:符号17及び/又は(領域3:符号14)の(II)溶融混合工程:符号16又は(III)溶融物搬送工程:符号17のバレルに液添ノズルを取り付け、液状の(c)成分を、プランジャーポンプ、ギアポンプ等の液添ポンプで圧入することにより供給することができる。
【0117】
(c)成分を圧入する部分における二軸押出機のスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
のエレメントを用いることとし、これらエレメント種は単独で用いてもよく複数の組み合わせからなるスクリュー構成としてもよい。
【0118】
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法において用いる二軸押出機としては、噛み合い型同方向回転二軸押出機を用いることが好ましい。
【0119】
また、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法においては、二軸押出機の(領域1:符号12)、(領域2:符号13)、及び(領域3:符号14)の、全ての領域のバレルに設置されたベント口を閉じた状態で、溶融混練を行うこともできる。
これにより、押出時の樹脂のベントアップが防止でき、ベントアップによるベントポート内部での樹脂の滞留による熱劣化の防止も期待できる。
特に、ベントアップしやすい樹脂組成物を製造する際は、ベント口を閉塞した状態で、溶融混練を行う製法を採用することが好ましい。
【0120】
なお、押出加工時に揮散物質を発生しやすいポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造する際は、二軸押出機の(領域1:符号12)、(領域2:符号13)、及び(領域3:符号14)の少なくとも1つの領域のバレルにベント口を設けて、当該ベント口から真空ポンプを用いて1〜700Torrに減圧して揮発分を脱気した状態で製造することが好ましい。
【0121】
また、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を製造する方法において、原材料〜組成物ペレット製造までを一貫して考慮すると、二軸押出機に原材料が投入される前の工程管理も重要である。
酸素を同伴した原料樹脂が高温下で溶融混練されることにより酸化劣化が促進され、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物中に、酸化劣化物が混入したり、スクリュー短径部分へ樹脂の劣化物が固着したりするおそれがある。
特に、原料樹脂の一つであるパウダー状ポリフェニレンエーテルは粉状であり、その嵩比重が小さく、比表面積が大きいため、抱き込む酸素量も多く、高温状態の押出機に供給することにより酸化劣化が著しく進行することが予測される。
このため、製造時の供給原材料の保管状態や供給状態における酸素濃度管理が重要となる。すなわち、原料ストックタンク〜原料供給口に至るまでにおいて、全ての原材料の酸素濃度を管理することが好ましい。
【0122】
具体的には、各原材料は、ストックタンク→配管→リフィルタンクを保有した重量式フィーダー→配管→供給ホッパー→二軸押出機の順で、二軸押出機に供給されるため、これらの個々の工程ラインの酸素濃度を0.3体積%未満に保持することが好ましい。
この酸素濃度を維持するため不活性ガスを気密性を高めた個々の工程ラインに導入する必要があり、通常、窒素ガスを導入して酸素濃度0.3体積%未満に維持することが好ましい。
【0123】
二軸押出機の(領域1:符号12)の第一供給口1に通ずる原材料供給ラインは、ストックタンク8内部、ストックタンク8下の配管内部、重量式フィーダーのリフィルタンク内部、及び重量式フィーダー7〜ホッパー間の気密性を高めた供給経路であり、窒素ガスを、ホッパー下部に設けられている供給管から連続的に導入し、連結している前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を制御することが好ましい。
具体的には、経路に設置した酸素濃度計(例えば、新コスモス電機(株)製 デジタル酸素濃度計XO−326ALA)で測定し酸素濃度を0.3体積%未満に制御することが好ましい。
なお、ホッパーは、気密性ホッパーであることが好ましい。
【0124】
二軸押出機の(領域2:符号13)の第二供給口2に通ずる原材料供給ラインは、強制サイドフィーダー1にホッパーが連結された構成を有し、全体としてストックタンク8内部、ストックタンク8下の配管内部、重量式フィーダーのリフィルタンク内部、及び重量式フィーダー7〜ホッパー間の気密性を高めた供給経路である。窒素ガスをホッパー下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を制御することが好ましい。
具体的には、経路に設置した前記酸素濃度計で測定し、酸素濃度を0.3体積%未満に制御することが好ましい。
なお、ホッパーは、気密性ホッパーであることが好ましい。
【0125】
同様に、二軸押出機の(領域3:符号14)の第三供給口3に通ずる原材料供給ラインは、強制サイドフィーダー2にホッパーが連結された構成を有し、全体としてストックタンク8内部、ストックタンク8下の配管内部、重量式フィーダーのリフィルタンク内部、および重量式フィーダー7〜ホッパー間の気密性を高めた供給経路である。窒素ガスをホッパー下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を制御することが好ましい。
具体的には、経路に設置した前記酸素濃度計で測定し、酸素濃度を0.3体積%未満に制御することが好ましい。
なお、ホッパーは、気密性ホッパーであることが好ましい。
【0126】
前記(領域1)において、図2に示すように、第一供給口1に供給する前記(b)成分をストックするストックタンク8を有し、前記第一供給口1には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダー7が連結されており、当該重量式フィーダー7は、前記ストックタンクと連結されている構成である場合、前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とすることが好ましい。
【0127】
前記(領域2)において、図2に示すように、第二供給口2に供給する前記(a)成分、(b)成分をストックするストックタンク8を有し、前記第二供給口2には、強制サイドフィーダー1が連結されており、強制サイドフィーダー1には、ホッパーが連結されており、ホッパーには重量式フィーダー7が連結されており、重量式フィーダー7には、前記ストックタンク8が連結されており構成を有している場合、前記ストックタンク8と前記重量式フィーダー7との間、及び前記重量式フィーダー7と前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とすることが好ましい。
【0128】
前記(領域3)において、図2に示すように、第三供給口3に供給する前記(a)成分、(b)成分をストックするストックタンク8を有し、前記第三供給口3には、強制サイドフィーダー2が連結されており、当該強制サイドフィーダー2には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダー7が連結されており、当該重量式フィーダー7には、前記ストックタンク8が連結されている構成を有する場合、前記ストックタンク8と前記重量式フィーダー7との間、及び前記重量式フィーダー7と前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とすることが好ましい。
【0129】
また、前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の少なくともいずれかの領域に、(c)成分を供給する場合において、前記所定の領域に供給する当該(c)成分をストックするストックタンク8を有し、前記(領域1)の第一供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、前記(領域2)の第二供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、前記(領域3)の第三供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されている構成とする場合、前記ストックタンクと重量式フィーダーとの間、及び前記(c)成分を供給する領域における前記重量式フィーダーとホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とすることが好ましい。
【0130】
なお、これら全ての原材料供給経路は、酸素濃度を0.3体積%未満とするため気密性が高められており、原材料を落下して供給する経路の空間部分は原材料自体の体積により排除されるガスが発生するため、ガス抜き用の排気管を設けることが好ましい。
このため、連続的に供給する窒素ガスにより気密性を高めた原材料供給経路が圧力が高くならないようにガス抜き用の排気管を設置する。
具体的には、ストックタンク8から原材料が落下する重量式フィーダー7のリフィルタンク内部の空間の上部、重量式フィーダー7から原材料が落下するホッパーの空間の上部にガス抜き用の排気管を設置することが好ましい。
かかる酸素濃度を0.3体積%未満とすることにより、得られたポリフェニレンエーテル樹脂組成物の黒点異物の総数を低減化できる傾向にある。
【0131】
〔本実施形態の方法により得られたポリフェニレンエーテル樹脂組成物の特性〕
上述した本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法は、パウダー状ポリフェニレンエーテルを使用したポリフェニレンエーテル樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造する際に、二軸押出機のスクリュー残留物を、劇的に低減化する効果をもたらし、さらにはこの方法で得られたポリフェニレンエーテル樹脂組成物に含まれる黒点異物や炭化物等を低減化する効果をもたらす。
【0132】
二軸押出機のスクリュー残留物の確認する方法としては、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物を二軸押出機で3時間製造した後に、押出機から二軸スクリューを抜き出し、供給したパウダー状ポリフェニレンエーテルの一部が半溶融状態、溶融状態でスクリュー短径部分に巻き付いているか否かを目視で確認する方法が採用でき、これにより残留物の有無を判断することができる。
【0133】
スクリュー残留物がある場合、その残留物を削り取り、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて測定し、その吸収スペクトルから、パウダー状のポリフェニレンエーテルが形状を変えたものであることが確認できる。
また、供給したパウダー状ポリフェニレンエーテルが、パウダー状でスクリュー短径部分に残留している場合は、そのパウダーの下に半溶融したポリフェニレンエーテルが存在する場合もある。
なお、パウダー状ポリフェニレンエーテルの下がスクリュー素地の金属である場合は、そのパウダー状ポリフェニレンエーテルは、スクリュー残留物ではないとして位置づけられる。
スクリュー残留物とは、供給されたパウダー状ポリフェニレンエーテルが形状を変えて半溶融もしくは溶融状態でスクリュー短径部分に巻き付いた状態で残留したポリフェニレンエーテルであることを指す。
【0134】
そしてさらに、本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法により得られたポリフェニレンエーテル樹脂組成物の黒点異物の確認方法としては、例えば、製造した樹脂ペレットを300℃以下で熱プレスし、直径19cm、厚み1mmの円盤(円盤の寸法誤差としては、直径19cm±0.2cmの範囲、厚み1mm±0.3mmの範囲が許容される)を3枚作製し、この円盤の各表裏の合計6面(1700cm2相当)をスポットサイズゲージ付きのレンズを用いたルーペ(例えば、東海産業社製PEAK SCALE LUPE 20倍)を用いて黒点異物を観察して測定する方法が挙げられる。
ここで黒点異物とは、熱プレス成形した円盤に存在する明らかに黒色として痕跡があるものの他に、円盤ベース色とは異なる色相を呈する痕跡も含み、例えば、茶色、黄色、白色等の樹脂組成物のベースと異なる色相部分も黒点異物としてカウントする。
ただし、着色剤や他の添加剤または樹脂組成物の一成分等が明らかに分散不良の場合は黒点異物としてカウントしない。
黒点異物はその直径の範囲に応じてカウントし、直径0.1mm未満の異物数、0.1mm以上0.5mm未満の異物数、直径0.5mm以上の異物数に分類して集計し、全ての個数を合計したものを異物数(α)として表す。
なお、黒点異物は円状、楕円状、ひも状と様々な形状を示す場合があるが、この黒点異物の大きさを測定する場合、その形状が占有する最大直径の長さを測定しカウントする。
本実施形態の製造方法で得られるポリフェニレンエーテル樹脂組成物の異物数(α)は通常、0.1mm以上の異物数が低減化されている傾向にある。
【0135】
〔本実施形態の方法により得られたポリフェニレンエーテル樹脂組成物の成形体〕
本実施形態の製造方法により得られるポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、従来公知の種々の方法、例えば、圧縮成形、射出成形、押出成形、多層押出成形、異形押出成形、中空成形により、各種部品の成形体に成形できる。
樹脂組成物中の黒点異物が低減化されているため、シート、フィルムや薄フィルム用途に好適である。
シート、フィルムの厚みは特に制限はないが、3〜800μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。
【0136】
(用途)
これらの厚みを有するシート、フィルム用途としては、一般的なシート・フィルム、延伸シート・フィルム、延伸開孔フィルム、プリント基板用フィルム、プリント基板周辺部品、半導体パッケージ、データ系磁気テープ、APS写真フィルム、フィルムコンデンサー、モーターやトランス等の絶縁材料、スピーカー振動板、自動車用シートセンサー、ワイヤーケーブルの絶縁テープ、TABテープ、発電機スロットライナ層間絶縁材料、トナーアジテーター、リチウムイオン電池の絶縁ワッシャー、リチウムイオン電池のセパレータ、車載用リチウムイオン電池のセパレータ等が挙げられる。
【0137】
シート、フィルム用途以外の用途としては、例えば、二次電池電槽、自動車機構部品、自動車外装品、自動車内装品が挙げられる。
自動車機構部品としては、例えば、エアコンハウジング、ヒーターハウジング、ダクト類、燃料タンクプロテクター、コネクターハウジング、フューエルフィルターハウジング、フューエルフィルターキャップ、クーリングファン、ファンシュラウド、タイミングベルトカバー、オイルタンク、オイルタンクキャップ、ラジエタータンク、アンダーカバー等が挙げられる。
自動車外装品としては、例えば、バンパー及びバンパービーム、低バンパースチッフナー(Low Bumper Stiffener)、サイドスポイラー、フロントグリル、リアガーニッシュ、ドアアウターハンドル、ピラーカバー類、ドアミラーボディ、マットガード、スプラッシュボード、カウルパネル、ホイールキャップ、各種クリップ、各種ファスナー、ランプハウジング等が挙げられる。
自動車内装品としては、例えば、インストルメントパネル、ドアトリムパネル、コンソールボックス、ピラートリム類、デフグリル、メーター関係部品(バイザー・ケース類)、カバー類、ルームミラーボデイー、シートバッグ、ヘッドレストガイド、シートヒンジカバー、シートベルト関係、トランクルームカバー・ボックス、ステアリングホイール、ホーンカバー、シフトレバー、シフトレバーノブ、ペダル類等が挙げられる。
【0138】
さらには、金属導体又は光ファイバーに被覆して得られる電線・ケーブル、固体メタノール電池用燃料ケース、燃料電池配水管、水冷用タンク、ボイラー外装ケース、インクジェットプリンターのインク周辺部品・部材、シャーシ、水配管、継ぎ手等の各種成形体として利用できる。
【実施例】
【0139】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0140】
<原料>
先ず、後述する実施例及び比較例において作製する樹脂組成物の原料を示す。
〔(a)成分:パウダー状ポリフェニレンエーテル〕
(a−1)
トルエン溶媒下で2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、測定温度30℃)が0.51、融点259℃、嵩密度が0.53のパウダー状ポリフェニレンエーテル
(a−2)
トルエン溶媒下で2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、測定温度30℃)が0.34、融点257℃、嵩密度が0.48のパウダー状ポリフェニレンエーテル
【0141】
〔(b)成分:他の熱可塑性樹脂〕
(b−1):ポリスチレン
PSJ社製ポリスチレンG9504(ISO1133準拠の200℃、5kgの荷重で測定したメルトフローレイトが1.5g/10min)
(b−2):ハイインパクトポリスチレン
PSJ社製ハイインパクトポリスチレンH9152(ISO1133準拠の200℃、5kgの荷重で測定したメルトフローレイトが5.5g/10min)
(b−3):ホモ−ポリプロピレン
日本ポリプロ社製ノバテックPP EA9BT(JIS−K7210準拠の230℃、2.16Kgの荷重で測定したメルトフローレイトが0.45)
(b−4):ホモ−ポリプロピレン
日本ポリプロ社製ノバテックPP MA4AHB(JIS−K7210準拠の230℃、2.16Kgの荷重で測定したメルトフローレイトが5.9)
【0142】
(b−5):水添ブロック共重合体
ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造(A−B−A)を有し、結合スチレン量42%、ポリマー全体の数平均分子量95,000、分子量分布1.03、ポリスチレン部(A)の数平均分子量19,900、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が78%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%を合成した。
具体的には、以下の手順で合成した。
窒素ガスで置換した攪拌機付きリアクターのシクロヘキサン溶剤中で、n−ブチルリチウムを、重合開始剤、ブタジエンの1,2−ビニル結合量調整剤としてテトラヒドロフランを添加し、使用する全スチレンの半分をリアクターに供給して、ポリスチレンブロックを重合した。
その後、全ブタジエンをリアクターに供給し、ポリスチレンブロック鎖のリビングアニオン基を基点にブタジエンを重合し、ポリスチレン−ポリブタジエンのブロック構造を持つ重合体を合成した。
さらに、残りの半分のスチレンをリアクターに供給し、末端がポリブタジエン鎖のリビングアニオン基を基点にさらにスチレンを重合し、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンの構造を示すブロック共重合体を重合した。
重合終了後、米国特許第4501857号に記載された方法にて、水素添加反応をポリブタジエン部分のエチレン性不飽和結合量が1%未満になるまで定量的に継続して実施し、水添ブロック共重合体を得た。
この水添反応後のポリマー溶液に、熱劣化安定剤として2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールをポリマー100gに対して0.3部添加し、溶剤であるシクロヘキサンを加熱除去し、ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有する水添ブロック共重合体成分を得た。
【0143】
(b−6):水添ブロック共重合体
ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエンの構造(A−B−A−B)を有し、結合スチレン量55%、ポリマー全体の数平均分子量99,000、分子量分布1.04、ポリスチレン部(A)の数平均分子量27,100、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が80%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%を合成した。
なお、水添反応する前のブロック共重合体は、結合スチレン量、ポリマー全体の数平均分子量、及びポリブタジエン部の1,2−ビニル結合量を上記とし、2つのポリスチレン鎖に挟まれたポリブタジエン/ポリマー末端のポリブタジエン=3/1(重量比)となるようにブタジエンを2分割して供給して重合したこと以外は、前記(b−5)と同様の方法により、(b−6)を合成した。
【0144】
(b−7):ポリフェニレンスルフィド
DIC社製 T−2G (300℃測定溶融粘度 55Pa・s)
【0145】
〔(c)成分:添加剤〕
(c−1):スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体
スチレンとグリシジルメタクリレートをラジカル共重合し、グリシジルメタク
リレートを5重量%含有するスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(重量平均分子量110,000)を合成した。
(c−2):液状難燃剤の芳香族系縮合リン酸エステル
大八化学工業社製 CR741
【0146】
<評価方法>
次に、後述する実施例及び比較例において作製した樹脂組成物の評価方法を示す。
〔(1) 製造後のスクリュー残留物の評価〕
二軸押出機で3時間、樹脂組成物の押出を行い、押出終了後に押出機内部の樹脂全てを排出した後に、即座にスクリューを押出機から抜き出し、パウダー状ポリフェニレンエーテルが実際に供給された領域の、(I)固体搬送工程、(II)溶融混合工程、(III)溶融物搬送工程を行った部分におけるスクリュー構成を目視で観察した。
観察結果を以下の基準で評価した。
A:パウダー状ポリフェニレンエーテルが全く付着せずにスクリュー短径部分が金属素地状態。
B:パウダー状ポリフェニレンエーテルが付着しているが、パウダーを取り除くとスクリュー短径部分が金属素地の状態。
C:半溶融状態(パウダー状ポリフェニレンエーテルが付着しており、パウダーを取り除くとスクリュー短径部分に溶融したポリフェニレンエーテルが巻き付いた状態。)
D:溶融状態(スクリュー短径部分に明らかに溶融したポリフェニレンエーテルが巻き付
いた状態。)
A及びBの評価であれば、スクリュー残留物が十分に低減化されたものと判断した。
【0147】
〔(2) 製造したペレットの黒点異物の評価〕
製造したペレット状の樹脂組成物を用いて熱プレスし、直径19cm、厚み1mmの円盤を3枚得た。
その各々の円盤の各表裏の計6面(1700cm2相当)で黒点異物を計測した。
異物数(α)は、スポットサイズゲージ付きのレンズを用いたルーペ(東海産業社製PEAK SCALE LUPE 20倍)を用いて、異物の直径の範囲に応じてカウントし、直径0.1mm未満の異物数、0.1mm以上0.5mm未満の異物数、直径0.5mm以上の異物数に分類して集計し、全ての個数を合計した異物数(α)、及び0.1mm以上の異物数を測定した。
異物数は0.1mm以上の個数が少なく、更に上記基準で測定した全ての個数が少ないほど良好であるものと判断した。
【0148】
<樹脂組成物>
〔実施例1〜10〕、〔参考例〕、〔比較例1〜6〕
下記表1〜表5に示した(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を用いた。
二軸押出機(ZSK−40MC;L/D=48、COPERION社製、ドイツ国)を用いて、図2に示す押出プロセス・フロー図に基づき、樹脂組成物を製造した。
下記表1〜表5に示すように、(a)成分〜(c)成分供給ラインの酸素濃度管理を行い、押出機の第一供給口の組成、第二供給口及び第三供給口の組成を制御し、図3に示す構成のSCREW−1及びSCREW−2の押出機スクリューを用い、表1〜表5に示すように各領域1〜3、各工程を実施する部分の設定温度を制御し、スクリュー回転数300rpmで、3時間、押出しを行い、樹脂組成物ペレットを得た。
【0149】
【表1】

【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
【表5】

【0154】
上記表1〜表5に示すように、実施例1〜10の樹脂組成物は、いずれもスクリュー残留物が十分に低減化されており、樹脂組成物の異物数も少なく、極めて品質の良いポリフェニレンエーテル樹脂組成物が得られた。
【0155】
一方、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2とを比較することにより、パウダー状ポリフェニレンエーテルを二軸押出機のサイドの第二供給口から供給する際、供給先の固体搬送工程−2のバレル設定温度を、パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下に設定した条件での製法はスクリュー残留物が無いが、パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以上に設定した製法では、固体搬送工程−2のスクリュー短径部分に溶融したポリフェニレンエーテルが巻き付いた状態で残留していたことが分かった。
また、製造ペレットに存在する黒点異物も、供給先の固体搬送工程−2のバレル設定温度をパウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下に設定した条件の方が黒点異物が低減化され、スクリュー残留物が多い製法は、製造ペレット中の黒点異物が多くなる傾向を示したことが分かった。
【0156】
また、実施例5と参考例とを比較することにより、パウダー状ポリフェニレンエーテルを、二軸押出機のサイドの第二供給口及び第三供給口から、パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下に設定した固体搬送工程−2、固体搬送工程−3に供給した場合、スクリュー短径部分へ溶融したポリフェニレンエーテルの巻き付き・残留は見られないが、パウダー状ポリフェニレンエーテル供給口の酸素濃度が0.3体積%以上であると、製造されたペレットの黒点異物総数が増加する傾向があった。
【0157】
また、実施例6と比較例3、実施例7と比較例4、実施例8と比較例5、実施例9と比較例7を、それぞれ比較することにより、パウダー状ポリフェニレンエーテルを二軸押出機の第一供給口から供給する方法と二軸押出機のサイドの第二供給口から供給する方法を同一製造条件で比較した場合には、パウダー状ポリフェニレンエーテルを第一供給口から供給する方法においては、固体搬送工程−1の最下流部で溶融混合工程に近い部分に、多量のスクリュー残留物である溶融したポリフェニレンエーテルがスクリュー短径部分に巻きついた状態で残留していたことが分かった。
この方法で得た製造ペレット中の黒点異物は非常に多く、大きな黒点異物が多く存在していた。
一方、パウダー状ポリフェニレンエーテルを、二軸押出機のサイドの第二供給口から供給し、供給先の固体搬送工程−2のバレル設定温度をパウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下に設定した条件で製造した樹脂組成物は、スクリュー残留物が無く、製造ペレット中の黒点異物も少ない傾向を示した。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明の製造方法は、スクリュー残留物が低減化された不純物濃度が極めて低い、ポリフェニレン樹脂組成物の製造技術として、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0159】
1 第一供給口
2 第二供給口
3 第三供給口
4 溶融混合工程実施部
5 強制サイドフィーダー1
6 強制サイドフィーダー2
7 リフィルタンク付き重量式フィーダー
8 ストックタンク
9 液体添加口
10 窒素ガス供給口
11 排気管
12 領域1
13 領域2
14 領域3
15−1 固体搬送工程−1
15−2 固体搬送工程−2
15−3 固体搬送工程−3
16 溶融混合工程
17 溶融物搬送工程
18 バレル上蓋の上流側に設けられたガス抜き用開口孔
19 バレル上蓋の上流側に設けられたガス抜き用開口孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)パウダー状ポリフェニレンエーテル:1〜99質量%、
(b)前記(a)以外の熱可塑性樹脂:99〜1質量%
を含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法であって、
前記(a)成分及び前記(b)成分を、二軸押出機を用いて混練する工程を有し、
前記二軸押出機が、それぞれ第一〜第三供給口を具備する下記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の押出領域を有しているポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
(領域1)
前記(b)成分全量又は前記(b)成分の一部を、前記二軸押出機の第一供給口より供給する領域であり、
固体状態の前記(b)成分をスクリューで搬送する(I:固体搬送工程−1)と、
前記(b)成分を溶融混練する(II:溶融混合工程)と、
前記(b)成分を溶融状態で搬送する(III:溶融物搬送工程)と、
の、3つの工程を実行する部分を有しており、
前記スクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
及び、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、
の、6種のエレメントを組み合わせた構成となされており、
前記エレメントの組み合わせは、(A)のみの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)の組み合わせ構成のいずれか1種であり、
前記二軸押出機の押出機バレル設定温度が、前記(b)熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
(領域2)
前記(領域1)の(III)溶融物搬送工程を行う部分に連続した領域であり、
前記(b)成分の溶融搬送下に、前記(a)成分全量又は前記(a)成分の一部、及び前記(b)成分の一部又は残量を、第二供給口として設けた二軸押出機のサイドから強制サイドフィーダー1を用いて供給する(領域2)の(I)固体搬送工程−2と、
供給した前記(a)成分と前記(b)成分とを溶融混練する(領域2)の(II)溶融混合工程と、
前記(a)成分と前記(b)成分とが、溶融状態で搬送される(領域2)の(III)溶融物搬送工程と、
の、3つの工程を行う部分を有しており、
前記強制サイドフィーダー1を用いて、前記(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテルが供給され、
当該(a)成分と、前記(領域1)から溶融搬送された前記(b)成分とが合流する部分の、前記(I)固体搬送工程−2の二軸押出機のスクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリュー、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の正ニーディングディスク、
及び、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスクの4種のスクリューエレメント、
からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のスクリューエレメントの組み合わせで構成され、
前記(I)固体搬送工程−2を行う部分の、押出機バレル設定温度が、前記(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下であり、
前記(I)固体搬送工程−2において供給された(a)成分と、前記(領域1)の(III)溶融物搬送工程から供給されてくる溶融物の(b)成分は、前記(領域2)の(II)溶融混合工程、(III)溶融物搬送工程へ送られるようになされており、
前記(II)溶融混合工程、(III)溶融物搬送工程は、それぞれ、前記(a)成分及び前記(b)成分を溶融混練する工程、(領域3)へ溶融搬送する工程であり、
前記(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程において用いるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、
(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
の9種のエレメントを組み合わせた構成となされており、
前記エレメントの組み合わせは、(A)だけの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)、及びこれらの組み合わせに(G)、(H)、(I)のエレメントを任意に組み合わせた構成のいずれか1種であり、
前記(II)溶融混合工程及び前記(III)溶融物搬送工程の、押出機バレル設定温度が、前記(b)熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
(領域3)
前記(領域2)の(III)溶融物搬送工程を行う部分に連続した領域であり、
前記(b)成分、前記(a)成分の溶融搬送下に、前記(a)成分の残量及び/又は前記(b)成分の残量を、第三供給口として設けた二軸押出機のサイドから強制サイドフィーダー2を用いて供給する(領域3)の(I)固体搬送工程−3と、
当該(領域3)の(I)固体搬送工程−3において分割供給した前記(a)成分及び/又は前記(b)成分と、前記(領域2)から搬送された(a)成分+(b)成分の溶融混練物をさらに溶融混練する(領域3)の(II)溶融混合工程と、
さらに、前記(a)成分と前記(b)成分が溶融状態で搬送される(領域3)の(III)溶融物搬送工程と、
の、3つの工程を行う部分を有しており、
前記強制サイドフィーダー2を用いて前記(a)成分のパウダー状ポリフェニレンエーテル及び/又は前記(b)成分が供給され、当該供給された成分と、前記(領域2)の溶融搬送された樹脂とが合流する部分で行われる(領域3)の(I)固体搬送工程−3において用いられる二軸押出機のスクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリュー、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の正ニーディングディスク、
及び、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
の、4種のスクリューエレメントからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のスクリューエレメントの組み合わせで構成され、
前記(領域3)の(I)固体搬送工程−3の押出機バレル設定温度が、(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルの融点以下であり、
前記(I)固体搬送工程−3において、分割供給された成分と、前記(領域2)の(III)溶融物搬送工程から供給されてくる前記(b)成分+前記(a)成分の溶融物は、前記(領域3)の(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程へ送られるようになされており、
前記(領域3)の(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程は、それぞれ、
前記(a)成分と前記(b)成分の最終溶融混練工程、二軸押出機の末端出口へ溶融搬送する工程であるものとし、
前記(領域3)の(II)溶融混合工程、前記(III)溶融物搬送工程において用いられるスクリューは、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(B)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメント、
(C)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0、フライト角度αが100〜120度の1フライトスクリューエレメント、
(D)ねじれ角度が12.5〜75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の2フライト正ニーディングディスク、
(E)ねじれ角度が80〜100度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜1.0、フライト先端部の幅Lbニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0のニーディングディスク、
(F)ねじれ角度がマイナス12.5〜マイナス75度でニーディングディスク長さLaとニーディングディスク径Dの比La/Dが0.3〜2.0、フライト先端部の幅Lbとニーディングディスク径Dの比Lb/Dが0.05〜1.0の逆ニーディングディスク、(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
の9種のエレメントを組み合わせた構成となされており、
前記エレメントの組み合わせは、(A)だけの構成、(A)+(C)の組み合わせ構成、(A)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の組み合わせ構成、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)+(F)、およびこれらの組み合わせに(G)、(H)、(I)のエレメントを任意に組み合わせた構成のいずれか1種であり、
前記(II)溶融混合工程、及び前記(III)溶融物搬送工程の押出機バレル設定温度が、前記(b)熱可塑性樹脂が溶融加工可能な300℃以下である。
【請求項2】
(a)パウダー状ポリフェニレンエーテル:1〜99質量%、
(b)前記(a)以外の熱可塑性樹脂:99〜1質量%、
を含み、
前記(a)成分+前記(b)成分の合計100質量部に対して、
(c)添加剤:0.1〜70質量部を、さらに含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法であって、
前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を、二軸押出機を用いて混練する工程を有し、
前記二軸押出機が、それぞれ第一〜第三供給口を具備する下記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の押出領域を有し、
前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の、少なくとも一つの領域に、前記(c)成分を供給する請求項1に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記(a)パウダー状ポリフェニレンエーテルが、嵩比重0.2〜0.8、又は平均粒子径が1〜2000μmの粒子である請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、
ポリオレフィン、水添ブロック共重合体、スチレン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、及び液晶ポリエステルからなる群より選ばれる、一種又は二種以上の熱可塑性樹脂である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
前記(c)成分の添加剤が、
前記(a)成分と(b)成分とを相互に混和化可能な混和剤、フィラー、安定剤、離型剤、加工助剤、難燃剤、ドリップ防止剤、造核剤、UV遮断剤、染料、顔料、酸化防止剤、可塑剤、及び帯電防止剤からなる群より選ばれる一種又は二種以上の添加剤である請求項2乃至4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
前記二軸押出機の(領域2)及び/又は(領域3)に、
前記(c)成分である液状の添加剤を供給する工程を有し、
当該液状の(c)成分を供給する方法が、前記(領域2)の(II)溶融混合工程又は(III)溶融物搬送工程及び/又は前記(領域3)の(II)溶融混合工程又は(III)溶融物搬送工程を行う部分のバレルに、液添ノズルを取り付け、液状の(c)成分を液添ポンプで圧入する方法であり、
前記(c)成分を圧入する部分の前記二軸押出機のスクリューが、
(A)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューエレメント、
(G)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の正ネジスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
(H)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.2〜0.8で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜1.5の逆ネジスクリューエレメントであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
及び、
(I)スクリューピッチ長さP1とスクリュー径Dの比P1/Dが0.3〜2.0で、スクリューエレメント長さLとスクリュー径Dの比L/Dが0.3〜3.0の1フライトスクリューであり、スクリューフライト部がスクリューピッチP1間に2〜10個の切り欠き部を有するミキシングスクリュー、
のエレメントを用いており、前記スクリューは、前記(A)、(G)、(H)、及び(I)のエレメントの、単独又は複数の組み合わせからなるスクリュー構成である請求項2乃至5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の、全ての領域の二軸押出機のバレルにベント口が設けられた構成とし、
当該ベント口を閉じた状態とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の少なくとも1つの領域の二軸押出機のバレルにベント口が設けられた構成であるものとし、
当該ベント口から真空ポンプを用いて1〜700Torrに減圧して、揮発成分を脱気する請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
前記二軸押出機の(領域2)及び(領域3)に、強制サイドフィーダーを用いて、前記(a)成分及び/又は粉体状の(c)成分を供給する工程を有し、
前記(a)成分及び/又は粉体状の(c)成分を供給する方法が、前記強制サイドフィーダーと接続したバレルの上蓋の上流側にガス抜き用の開口孔を設け、かつ当該ガス抜き用の開口孔からガス抜きを行いながら供給する方法である請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項10】
前記二軸押出機の(領域1)の第一供給口には、ホッパーが連結されており、
当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
前記ホッパーは、当該ホッパー上部に排気管を設置した気密性ホッパーであるものとし、
窒素ガスを、前記ホッパーの下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を0.3体積%未満とする、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項11】
前記二軸押出機の(領域2)の強制サイドフィーダー1には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
前記ホッパーは、当該ホッパー上部に排気管を設置した気密性ホッパーであるものとし、
窒素ガスを、前記ホッパーの下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を0.3体積%未満とする、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
前記二軸押出機の(領域3)の強制サイドフィーダー2には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
前記ホッパーは、当該ホッパー上部に排気管を設置した気密性ホッパーであるものし、
窒素ガスを、前記ホッパーの下部に設けられている供給管から連続的に導入し、前記重量式フィーダーとホッパーとの間の酸素濃度を0.3体積%未満とする、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
前記二軸押出機は、前記(領域1)の第一供給口に供給する前記(b)成分をストックするストックタンクを有し、
前記第一供給口には、ホッパーが連結されており、当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、当該重量式フィーダーは、前記ストックタンクと連結されており、
前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
前記二軸押出機は、前記(領域2)の第二供給口に供給する前記(a)成分、(b)成分をストックするストックタンクを有し、
前記第二供給口には、強制サイドフィーダー1が連結されており、
当該強制サイドフィーダー1には、ホッパーが連結されており、
当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
当該重量式フィーダーには、前記ストックタンクが連結されており、
前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項15】
前記二軸押出機は、前記(領域3)の第三供給口に供給する前記(a)成分、(b)成分をストックするストックタンクを有し、
前記第三供給口には、強制サイドフィーダー2が連結されており、
当該強制サイドフィーダー2には、ホッパーが連結されており、
当該ホッパーには、重量式フィーダーが連結されており、
当該重量式フィーダーには、前記ストックタンクが連結されており、
前記ストックタンクと前記重量式フィーダーとの間、及び前記重量式フィーダーと前記ホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項16】
前記二軸押出機は、前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)の少なくともいずれかの領域に供給する前記(c)成分をストックするストックタンクを有し、
前記(領域1)の第一供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、
前記(領域2)の第二供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、
前記(領域3)の第三供給口には、ホッパーと重量式フィーダーとが、順次連結されており、
前記(領域1)、(領域2)、及び(領域3)において、前記ストックタンクが、それぞれの重量式フィーダーと連結されており、
前記ストックタンクと重量式フィーダーとの間、及び前記(c)成分を供給する領域における前記重量式フィーダーとホッパーとの間の供給経路に窒素ガスを供給し、前記供給経路の酸素濃度を0.3体積%未満とする請求項2乃至15のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項17】
前記二軸押出機が、噛み合い型同方向回転二軸押出機である請求項1乃至16のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項18】
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂である請求項1乃至17のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項19】
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂と水添ブロック共重合体の組み合わせである請求項1乃至17のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項20】
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィンと水添ブロック共重合体との組み合わせである請求項1乃至17のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項21】
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリアミドである請求項1乃至17のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。
【請求項22】
前記(b):(a)以外の熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンスルフィドである請求項1乃至17のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−255652(P2011−255652A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134471(P2010−134471)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】