説明

リソグラフィ装置及び方法

【課題】リソグラフィ用ビームを用いて、表面層に同心円状の溝を形成する方法であって、これにより上記のタイプの機械的緩みまたは遊びによって与えられる影響を減少させる方法の実現
【解決手段】リソグラフィ用ビーム2を照射することにより、軸5の周りに回転可能である本質的に平らな基板3の表面層4に所定の程度まで露光された材料の溝6を形成する方法は、リソグラフィ用ビーム2および軸5が、その軸周りの基板3の回転中に、溝6の部分がリソグラフィ用ビーム2による2回以上の照射を受け、溝6が前記2回以上の照射の合計として形成されるように互いに相対的に制御される。さらに、この方法による装置、および、このような装置を制御する命令を具備したコンピュータプログラムプロダクトが説明される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ用ビームを照射することにより、本質的に平らな回転可能である基板の表面層に所定の程度まで露光された材料の溝を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学、磁気、光磁気、またはホログラフィック記憶媒体のような回転可能な記憶媒体を製造するとき、表面に高精度で溝を製作する必要がある。この溝は、1から100ナノメートルのオーダーの幅を有する。
【0003】
この目的のため知られている方法は、基板がリソグラフィ用ビーム、例えば、イオンビームまたは電子ビームのような粒子ビームで照射されるリソグラフィと称される。このようなビームは、断面が非常に小さくなり得る。このようなリソグラフィ用ビームが基板の表面に衝突するとき、照射点が形成され、照射点の面積は基本的にリソグラフィ用ビームの断面と一致する。
【0004】
このタイプのリソグラフィは、インプリントリソグラフィのためのスタンパのレリーフパターンを製作するため使用され、この点については、例えば、参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第01/42858号パンフレットおよび国際公開公報第01/69317号パンフレットに詳細に記載されている。
【0005】
このテクノロジーは、表面に高記憶容量のための構造が設けられる新世代ハードディスクの製造において関心が持たれ始めている。記憶容量を増大するため、磁化される区域のサイズを縮小することが望ましい。しかし、ある区域内のデータの記憶が隣接区域内のデータを変化させる程度まである区域が隣接区域による影響を受けることがない範囲で、この区域の縮小を進めることができる程度には制限がある。
【0006】
これに対処する一つの方法は、分離された磁化可能な区域を各層に予め定めることである。例えば、このような磁化可能な区域は、以下で「溝」と呼ばれる同心円状の環の形でもよく、溝は回転可能なディスクの表面全体に分布する。
このような溝が実現されるべき基板のインプリントリソグラフィのためのレリーフパターンを製作するとき、目的とする製品と同じフォーマットのスタンパを準備し、このスタンパが多数の同心円状の溝を有し、各溝の径方向の変動はできる限り小さくすることが望ましい。
【0007】
このような同心円状の溝の製作に関連した問題には、使用される機器に現れ、特に制御不能であり、取り扱うことが難しい機械的な緩みまたは遊びが原因となって、リソグラフィ用ビームにより製作された溝に公差のばらつきが生じることが含まれる。この問題は、特に、非常に小さい構造が、かなり広い表面に高精度で製作されることに関連して生じる。このような構造を製作するためには、例えば、光波長またはX線波長の場合に、電磁波放射は、通常、同一の小さい寸法に集中させることができないので、好ましくは、電子ビームまたはイオンビームのような粒子ビームが使用される。
【0008】
米国特許第5,621,216号明細書は、電子ビームリソグラフィのためのX線マスクを製造するとき、スポット境界での位置誤差を取り扱う方法を開示する。これは、電子ビームレジストが複数回の照射中に部分的に露光され、これにより、平均的な露光が達成されることによって行われる。米国特許第5,621,216号明細書で提案されているテクノロジーは、しかし、電子ビームが非常に小さい区域でしか制御できないので、小さい表面を照射する場合に限り適する。
【0009】
したがって、リソグラフィ用ビームを用いて、表面層に同心円状の溝を形成する方法であって、これにより上記のタイプの機械的緩みまたは遊びによって与えられる影響を減少させる方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、上記の問題が完全または部分的に解決されたリソグラフィ方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、請求項1記載の方法および請求項13記載の装置によって完全または部分的に達成される。本発明の実施形態は、従属請求項および以下の説明から明らかである。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ用ビームを照射することにより、軸の周りに回転可能である、本質的(実質的)に平らな基板の表面層に所定の程度まで露光された材料の溝を形成する方法が提供される。この方法は、リソグラフィ用ビームおよび軸が、その軸周りの基板の回転中に、溝の部分がリソグラフィ用ビームによる2回以上の照射を受け、溝が前記2回以上の照射の合計として形成されるように互いに相対的に制御されることを特徴とする。
【0013】
溝が露光される所定の程度は、その後に続く表面層の処理、例えば、表面層がレジストの形式であるときの表面層の現像を可能にさせるために十分である。本質的に平らとは、基板がリソグラフィ用ビームによるリソグラフィプロセスの対象とするために十分に平らであることを意味する。集光ビームの場合、基板の平坦さとビームの深度は相互に適合する。
【0014】
前記所定の程度の露光量に本質的に対応する前記2回以上の照射の合計により、各照射がある程度だけ寄与するのではなく最終的な溝に寄与するので、機械的緩みまたは遊びに対する感度は減少する。かくして、個別の照射の変動が最終的な溝に与える影響は減少する。
【0015】
この方法によれば、リソグラフィ用ビームおよび軸は、基板が軸の周りに数回転させられる間に、本質的(必然的)に相互に一定間隔で保たれる。リソグラフィ用ビームおよび軸は、軸と同心円状である複数の溝を形成するため互いに相対的に制御され、各溝が溝から軸までの径方向距離とは無関係に本質的に前記所定の程度の露光量まで露光される。このようにして、同じ程度に露光した複数の溝を設けることができる。これは、様々な方法で行われる。
【0016】
第1の形態によれば、溝に当てられる照射の回数は、溝から軸までの径方向距離に依存する。これによる一つの効果は、照射が行われるときに容易に回転数を変えることができることである。第2の形態によれば、リソグラフィ用ビームの強度は、溝から軸までの径方向距離に依存するように制御してもよい。これにより、照射がより正確になるが、リソグラフィ用ビームの強度が制御できなければならない。第3の形態によれば、基板が回転する角速度は、溝から軸までの径方向距離に依存する。これは、より正確な照射を生じ、リソグラフィ用ビームの強度が制御できない場合に使用可能である。
【0017】
さらに、溝は、露光された材料の連続的な溝を形成するため、リソグラフィ用ビームにより連続的に照射されるか、または接線方向に完全若しくは部分的に分離した露光された材料の複数の部分からなる溝を形成するため、リソグラフィ用ビームにより断続的に照射される。
【0018】
さらに別の形態として、リソグラフィ用ビームおよび基板は、軸からの径方向距離が変化する本質的(実質的)に螺旋状の溝を形成するため、互いに相対的に制御される。また、この場合、リソグラフィ用ビームおよび基板は、複数の溝、または本質的に同程度に露光された溝部分を形成する目的のため、上記されたように互いに相対的に制御される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、コンピュータプログラムプロダクトは、実行中に装置を制御する命令を含み、リソグラフィ用ビームは、軸周りに回転可能である実質的に平らな基板の表面層に、所定の程度まで露光された材料の溝を形成する。このコンピュータプログラムの命令は、リソグラフィ用ビームおよび軸が、その軸周りの基板の回転中に、溝の部分がリソグラフィ用ビームによる2回以上の照射を受け、溝が前記2回以上の照射の合計として形成されるように、互いに相対的に制御されることを保証することを特徴とする。
【0020】
コンピュータプログラムプロダクトは、リソグラフィ装置を制御し、実行中に本発明による方法を実行するソフトウェアおよび制御命令の少なくとも一方が格納された、目的に適合した記憶媒体でもよい。このような記憶媒体の例には、ディスケット、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスクなどが含まれる。命令は、インターネットのようなコンピュータネットワークを介して配信することも考えられる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、リソグラフィのための装置は、リソグラフィ用ビームを発生する放射源と、本質的に平らな基板が上で回転できるように基板を支持する回転手段と、リソグラフィ用ビームおよび基板を相対的に移動させる位置決め手段と、前記リソグラフィ用ビーム、回転手段および位置決め手段を制御する制御手段と、を含む。この装置は、前記制御手段が、回転手段上の基板の回転中に、リソグラフィ用ビームおよび回転手段を互いに相対的に制御し、その結果、溝の部分がリソグラフィ用ビームによる2回以上の照射を受け、溝が前記2回以上の照射の合計として形成されることを特徴とする。
【0022】
本発明による装置では、前記放射源は、粒子源、好ましくはイオン源または電子源である。或いは、X線源または光源のような電磁波源を使用してもよいが、このタイプの発生源からの放射線は、通常、粒子放射線と全く同じようにはうまく集光できない。ここで光源とは、例えば、表面層の上に再現される点光源、または光が表面層に集光されるレーザーを意味する。しかし、本発明がその主要な適用例としている粒子源によって実現できる解像度に達していない。
【0023】
回転手段は、基板が十分な精度かつ十分な速度で回転軸の周りに回転できるように、上に配置される装置でもよい。位置決め手段は、リソグラフィ用ビームを基板と相対的に移動させる装置でもよい。例えば、放射源または基板が変位させられ、またはビームが、例えば偏向によって従来技術の方式で制御される。制御手段は、例えば位置決め手段へ信号を発生し、任意的に回転手段および放射線源の少なくとも一方へ信号を発生する従来型の数値制御システムである。
【0024】
勿論、上記の種々の特徴は、同じ実施形態で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が実施される第1のシステムの斜視略図である。
【図2】本発明により実現可能である基板のより詳細な平面図である。
【図3】本発明による基板の第1の形態の略平面図である。
【図4】本発明による基板の第2の形態の略平面図である。
【図5】本発明による基板の第3の形態の略平面図である。
【図6】本発明による基板の第4の形態の略平面図である。
【図7】本発明を実施するため使用できるリソグラフィ装置の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態は、限定されない実施形態を用いて添付図面を参照して詳細に説明される。
【0027】
図1を参照すると、光学若しくは磁気記憶媒体のような回転可能な媒体、またはこのような記憶媒体を製作するためのテンプレート/スタンパの表面層に、本質的に円形の溝を形成するシステムが示されている。図1に示されたシステムでは、本質的に平らな基板3は、軸5の周りで回転自在に配置される。基板3に配置された表面層4は、本質的に平らであり、すなわち、層3に溝6を製作する目的のため、リソグラフィ用ビーム2を用いるリソグラフィプロセスの対象とするために十分に平らである。リソグラフィ用ビーム2は、放射線源1から放射され、電子ビームまたはイオンビームである。リソグラフィに適した、その他のタイプの粒子ビームも考えられる。或いは、電磁波放射線源、例えば、X線源または光源は、このタイプの発生源からの放射線は、通常、粒子放射線と全く同じ程度にうまく集光できないとしても使用できる。ここで光源は、例えば、表面層の上に再現される点光源、または光が表面層に集光されるレーザーを意味する。表面層4は、ポジレジストまたはネガレジストのようなリソグラフィに適した材料で作ることができる。また、表面3は、複数の完全若しくは部分的に重なり合う表面層を設け、そのうちの一つの表面層がリソグラフィ用ビーム2による影響を受けるような特性を有するようにしてもよい。このように、外側の層がリソグラフィ用ビームを通過させ、リソグラフィ用ビームが影響を受ける性質を備えた層によって吸収されるならば、本発明により処理できるのは最も外側の表面層だけに限られない。典型的に、リソグラフィ用ビーム2は、基板の表面層に小さいスポットだけで衝突し、そのスポットの断面は本質的にリソグラフィ用ビーム2の断面に一致する。
【0028】
放射線源1および基板3は、基板の表面層4に入射するリソグラフィ用ビームが基板の表面層4の中で少なくとも一方向に変位させられるように配置される。これは、例えば、表面層4に入射したリソグラフィ用ビームが、回転可能な基板3上で径方向に移動されるように放射線源または基板を変位させることによって行われる。このリソグラフィ用ビームの変位は、適当な従来技術の方式で、例えば、放射線源1の実際の移動によって、基板3の実際の変位によって、またはそれらの組み合わせによって実行可能である。基板3は、高精度回転軸受(図示せず)のような姿勢に適した回転軸受を用いて軸5から吊り下げ、駆動機構(図示せず)を設けてもよい。
【0029】
図1のシステムは、基板の表面層4が一つのスポットにおいてリソグラフィ用ビーム2によって照射され、同時に基板が軸5の周りに回転させられるような態様で機能する。リソグラフィ用ビーム2が回転の中心から一定距離に保たれるならば、回転軸に関して同心円状である露光された材料の溝6が基板の表面4に形成される。
【0030】
リソグラフィでは、表面層4は、パターンが現像されるように所定の程度まで露光されなければならない。現像は、表面層がポジレジストおよびネガレジストのどちらで構成されているかに応じて、表面層の露光部分または非露光部分を溶解することにより行われる。次に、ある種の後処理、例えば、さらなる層の堆積またはエッチングが行われる。任意的に、堆積は現像前に実行してもよく、これにより、中空構造が得られる。所定の程度の露光量は、本発明によれば、表面層4の希望の後処理を行えるような程度である。
【0031】
上述のように、溝6は表面層4により形成され、表面層4で溝が設けられるべき場所はリソグラフィ用ビーム2が繰り返し照射され、各照射は希望の溝を形成するために必要な所定の露光量より少ない露光量を与える。図1に示された実施形態では、この繰り返しの照射は、基板3を軸5の周りで複数回に亘って回転させ、同時に、リソグラフィ用ビーム2を回転中心から所定の距離に保つことにより実現される。かくして、例えば、機械的な吊り下げおよび回転機構(図示せず)に伴う緩みまたは遊びによって加えられる影響を減少させることができる。
【0032】
一例として、リソグラフィ用ビーム2を固定位置に保持して、1回の照射ではなく、10回の照射を実行するように、すなわち、基板を10回転させるように選択可能である。所定の露光量がQであるならば、領域をQ/10である露光量で10回照射することが可能である。したがって、各照射の変動は、変動合計に10%しか寄与せず、照射の「平均的領域」は所定の程度の露光量に対応した本質的に完全な露光を得る。さらなる一例によれば、露光量Q/100で100回照射することが選択され、各照射の変動は変動合計に対して1%寄与する。その他の照射回数を選択してもよく、リソグラフィ用ビームの強度を照射の系列内で変えてもよいことは明らかであろう。
【0033】
回転可能な基板3の外側の溝で内側の溝と同程度の露光量を実現する観点から、次に、ある種の制御戦略を説明する。
【0034】
第1の制御戦略によれば、溝が照射される回数は溝の半径に依存する。
【0035】
第2の制御戦略によれば、リソグラフィ用ビームの強度は溝の半径に依存するように制御される。
【0036】
第3の制御戦略によれば、リソグラフィ用ビームおよび表面層が互いに相対的に制御される角速度は軸5に対する溝の径方向距離に依存する。
【0037】
これらの3つの制御戦略は、アプリケーションごとに最適制御を実現するため組み合わせてもよい。
【0038】
図2は、本発明により実現され得る基板のより詳細な平面図である。図2は、露光された材料からなる溝6を具体的に表し、溝は3通りの状況でリソグラフィ用ビーム2を基板3と相対的に移動させることにより形成されているので、3つの溝10、11および12が形成される。明らかに分かるように、3つの溝10、11および12のそれぞれは、望ましい溝13から逸れる。この逸れは、例えば、回転軸受の遊び、または周囲の静電気、磁場または電場によるリソグラフィ用ビームへの妨害の結果である。しかし、図2から明らかであるように、各照射の逸れによる寄与分は、1回の照射だけが行われた場合よりも小さいので、溝6は3つの溝10、11および12の合計の形で実現され、この合計は望ましい溝13をより良く近似する。
【0039】
図3は、本発明による基板の第1の形態の略平面図である。この形態では、基板3の回転軸に関して同心円状である複数の連続的な溝6が、上述の方法のうちの一つに従って基板の表面層4に形成される。
【0040】
図4は、本発明による基板の第2の形態の略平面図である。この形態では、基板(3)の回転軸に関して同心円状である複数の不連続的な溝6が、上述の方法のうちの一つに従って基板の表面層4に形成される。溝6は、接線方向に分離した完全または部分的に露光された材料の複数の部分により構成される。これらの不連続的な溝は、断続的に照射されることによって、すなわち、リソグラフィ用ビーム2をパルスの形で表面層に衝突させることによって形成される。これは、実際のリソグラフィ用ビームをパルス状にすること、または一定のリソグラフィ用ビームを放射バルブに通すことによって行われる。
【0041】
図5は、本発明による基板の第3の形態の略平面図である。この形態では、螺旋状の連続的な溝6が、上述の方法のうちの一つに従って基板の表面層4に形成される。この螺旋状の溝は、図1に示されるように、基板の表面層4にリソグラフィ用ビームを繰り返し照射し、同時に、リソグラフィ用ビームを基板3に相対的に径方向へ変位させることにより形成される。或いは、この溝は、図4に示されるように偏向によって形成してもよい。複数の螺旋状の溝が、基板の表面層に形成可能であることが分かるであろう。
【0042】
図6は、本発明による基板の第4の形態の略平面図である。この形態では、螺旋状の不連続的な溝6が、上述の方法のうちの一つに従って基板の表面層4に形成される。これらの溝は、接線方向に完全または部分的に分離した露光された材料の複数の部分により構成される。
【0043】
図7は、リソグラフィ装置の略断面図であり、この装置を用いて本発明を実施することが可能である。
【0044】
この装置は、望ましいタイプの放射線源1、例えばイオン源または電子源のような粒子放射線源と、目的に適したリソグラフィ用ビーム2を生成するために必要なコンポーネントと、を含む。或いは、X線源または光源のような電磁波源を使用してもよいが、このタイプの発生源からの放射線は、通常、粒子放射線と全く同じようにはうまく集光できない。ここで光源とは、例えば、表面層の上に再現される点光源、または、光が表面層に集光されるレーザーを意味する。
【0045】
さらに、この装置は、リソグラフィ用ビーム2で照射するための表面層4を具備した基板3を回転自在に支持する手段5を有する。回転手段5は、基板を最小限の緩みまたは遊びおよびよく制御された速度で回転させることができるように配置されるべきである。一実施形態によれば、回転手段は回転可能な本体を有し、その本体の上に基板が配置され、基板は取扱中にその本体の上に任意的に固定される。回転手段5は、目的に適した転がり軸受と、回転手段5の回転を駆動する駆動機構とを具備してもよい。
【0046】
さらに、この装置は、放射線源1を基板3と相対的に位置決めする位置決め手段7を含む。位置決め手段7は、様々な方法で構成することができる。例えば、図7に示されるように、位置決め手段は、基板の径方向に変位可能である台車7により構成され、放射線源1は固定式に配置され、基板3は放射線源と相対的に変位させられる。或いは、放射線源が変位可能または回転可能であり、基板を支持する回転手段5が固定式に配置されてもよい。さらなる代替案として、リソグラフィ用ビームは、磁場または電場(図示せず)のような適当な場を用いて偏向できるようにしてもよい。上記の多種多様な位置決め手段の組み合わせも、実施可能である。
【0047】
さらに、この装置は、目的に適した制御ユニットでもよい制御手段14を含む。例えば、適切な制御ループ(図示せず)に接続されたマイクロコンピュータ(図示せず)は、放射線源1、回転手段5および位置決め手段7のうちの一つ以上を制御するため使用される。
【0048】
制御手段は、上記の方法に従って装置を制御する命令が与えられる。
【0049】
本発明の方法は、また、リソグラフィ装置を制御するコンピュータプログラムプロダクトを用いて実施してもよい。このようなコンピュータプログラムプロダクトは、命令を格納し、この命令を用いて、リソグラフィ装置は上記の方法のうちの一つに従って制御される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的又は磁気的記憶媒体、もしくはこのような記憶媒体を形成するためのテンプレートの製造方法であって、
レジスト材料の表面層を備える実質的に平らな基板を、軸の周りに回転可能であるようにサスペンドするステップと、
前記表面層にビームで露光するための粒子ビーム源を配置するステップと、
前記粒子ビームで所定の程度まで露光することにより前記表面層に1−100nmオーダーの幅を有する溝を形成するように、前記基板を回転させるステップと、
前記基板が前記軸の周りを数回転する間前記粒子ビームと前記軸とは必然的に相互に一定間隔で保たれ、且つ、前記溝の少なくともある部分が前記粒子ビームの2回以上の露光を受けることによって、前記軸と同心円状であり前記2回以上の露光の合計により形成される円形溝が形成されるように、前記軸の周りを前記基板が回転中、前記粒子ビームと前記軸との互いの相対的な位置を制御するステップであって、前記2回以上の露光の合計は前記所定の程度の露光に対応するものであるようなステップと、
を備え、
前記軸と同心円状である複数の溝を形成するために、前記粒子ビームと前記軸とは互いに相対的に制御され、各溝は、前記溝から前記軸までの径方向距離とは無関係に本質的に前記所定の程度の露光にまで露光され、且つ、
前記粒子ビームは、前記溝から前記軸までの径方向距離に依存するように制御された強度を有する、方法。
【請求項2】
前記溝を露光する露光の回数が前記溝から前記軸までの径方向距離に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溝から前記軸までの径方向距離に依存する角速度で前記基板を回転させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記軸からの径方向距離が変化する実質的に螺旋状の溝を形成するため、前記粒子ビームと前記基板とを互いに相対的に制御する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溝が複数の溝部分として形成され、各溝部分が前記溝部分から前記軸までの径方向距離とは無関係に、本質的に前記所定の程度の露光まで露光される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記溝部分を露光する露光の回数が前記溝部分から前記軸までの径方向距離に依存する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子ビームは、前記溝部分から前記軸までの径方向距離に依存するように制御された強度を有する、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記溝部分から前記軸までの径方向距離に依存する角速度で前記基板を回転させる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
露光された材料の連続的な溝を形成するため、前記溝は前記粒子ビームによる連続的な露光を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
接線方向に全部または部分的に分離した露光された材料の複数の部分により構成された溝を形成するため、前記溝は前記粒子ビームによる断続的な露光を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板を前記表面層に垂直である回転軸の周りに回転させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記粒子ビームはイオンビーム又は電子ビームである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1−100nmオーダーの幅の円形溝を有する光学的又は磁気的記憶媒体、もしくはこのような記憶媒体を形成するためのテンプレートの製造する製造装置であり、
粒子ビームを発生する粒子放射線源と、
回転手段の上で実質的に平らな基板を軸の周りに回転自在に支持する前記回転手段と、
前記粒子ビームと前記基板を相対的に移動させる位置決め手段と、
前記粒子ビームと前記回転手段と前記軸と前記位置決め手段とを相対的に制御する制御手段と、
を備え、
前記回転手段の上で前記基板が回転している間、前記粒子ビームと前記軸とが本質的に相互に一定間隔で保たれ、前記溝は前記軸と同心円状に保たれ、且つ、前記溝の少なくとも部分が前記粒子ビームの2回以上の露光を受けるように、前記制御手段は前記粒子ビームと前記回転手段とを相対的に制御し、前記溝は、所定の程度の露光に対応する前記2回以上の露光の合計により形成され、
前記軸と同心円状である複数の溝を形成するために、前記粒子ビームと前記軸とは互いに相対的に制御され、各溝は、前記溝から前記軸までの径方向距離とは無関係に本質的に前記所定の程度の露光にまで露光され、且つ、
前記粒子ビームは、前記溝から前記軸までの径方向距離に依存するように制御された強度を有する、装置。
【請求項14】
前記粒子放射線源が、イオン源または電子源である、請求項13に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−95754(P2011−95754A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246532(P2010−246532)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【分割の表示】特願2004−500121(P2004−500121)の分割
【原出願日】平成15年4月24日(2003.4.24)
【出願人】(500414888)オブデュキャット、アクチボラグ (12)
【氏名又は名称原語表記】OBDUCAT AB
【Fターム(参考)】