説明

ロック装置

【課題】利用者がICカードを使用した際の良好なレスポンスを確保すると共に消費電力を削減し、また、ICカードとロック装置との間で送受信される通信信号の発信間隔を時間帯ごとに手動で設定する手間をなくす。
【解決手段】パッシブ型非接触ICカード2に電力を与えると共にICカード2のカード情報を搬送するキャリアとなるカード通信信号を発信し、カード通信信号を受信したICカード2から送信されたカード情報を受信し、このカード情報を用いてICカード2の正否判断を行い、ICカード2が正しいICカードである場合には電気錠3を解錠動作させるロック装置1において、ロック装置1の動作回数を記録し、時間帯ごとのロック装置1の1日当たりの平均動作回数を算出し、平均動作回数に基づいてカード通信信号の発信間隔を時間帯ごとに自動的に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばICカード、RFID(Radio Frequency Identification)カード等を用いて電気錠を制御するロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード、RFIDカード等を用いて電気錠を制御するロック装置は、例えばホテル等の施設において利用されている。
【0003】
また、下記の特許文献1には、建物に設けられた扉を解錠するためのカードキーシステムであって、ユーザを識別するための識別情報が記載されたカードキーと、前記建物に設けられ、前記カードキーが所定通信範囲内に入ると非接触式の通信により前記カードキーから識別情報を取り出してユーザを識別する読取装置と、前記建物に設けられ、前記読取装置でユーザを識別できた場合にのみ扉の施錠解錠を切り換える施錠装置とを備えたカードキーシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−68483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カードリーダによりICカードから識別情報を読み取り、この読み取った識別情報を用いて当該ICカードが正しいICカードであるか否かを判断し、当該ICカードが正しいICカードである場合に電気錠を施錠動作または解錠動作させるロック装置において、カードリーダは、ICカードと通信を行うのに必要な通信信号を周期的に発信している。この通信信号は、例えばICカードがパッシブ型非接触ICカード(パッシブ型非接触RFID)である場合には、ICカードにおいて電磁誘導による電力の生成を可能にすると共にICカードからカードリーダへ識別情報を搬送するキャリアとして機能する信号である。
【0006】
カードリーダは上記通信信号を一定の間隔、例えば0.5秒間隔で常時発信している。これにより、ICカードがカードリーダに接近または接触した場合には、概ね0.5秒以内にICカードからカードリーダへ識別情報が送信され、続いて、この識別情報を用いたICカードの正否判断が直ちに行われ、判断の結果に応じて電気錠の施錠動作または解錠動作が即座に行われる。このように、上記通信信号の発信間隔を例えば0.5秒間隔に設定することにより、ロック装置のレスポンスを良くすることができ、利用者にとっての操作性を向上させることができる。
【0007】
しかしながら、上記通信信号を例えば0.5秒といった短い間隔で常時発信しているため、ロック装置の消費電力が大きく、ロック装置が電池駆動である場合には、電池の寿命が短くなるという問題がある。一方、上記通信信号の発信間隔を長くすれば、ロック装置の消費電力を削減することができるが、この場合、ロック装置のレスポンスが悪くなり、利用者にとっての操作性が低下してしまう。
【0008】
この問題を解決するために、例えば扉の開け閉めが頻繁に起こり、これに伴ってロック装置が動作する頻度が高い時間帯には上記通信信号の発信間隔を短くしてロック装置のレスポンスを良くし、一方、ロック装置が動作する頻度が低い時間帯には上記通信信号の発信間隔を長くしてロック装置の消費電力を削減する方法が考えられる。
【0009】
しかしながら、このような方法を採用した場合、例えばロック装置の管理者がロック装置の動作頻度の高い時間帯や低い時間帯を調査し、この調査結果に基づき、時間帯ごとに上記通信信号の発信間隔を手動で設定しなければならず、設定作業に手間がかかるという新たな問題が生じる。
【0010】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、利用者がICカード等の携帯型鍵機能装置を使用した際の良好なレスポンスを確保すると共に消費電力を削減することができるロック装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第2の課題は、携帯型鍵機能装置とロック装置との間で送受信される上記通信信号の発信間隔を時間帯ごとに手動で設定する手間をなくすことができるロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1のロック装置は、電気錠の動作を制御するロック装置であって、鍵として機能する携帯可能な装置である携帯型鍵機能装置に対し、通信信号を発信する通信信号発信手段と、前記通信信号の発信間隔を設定する発信間隔設定手段と、前記通信信号発信手段により発信された通信信号を受信した前記携帯型鍵機能装置から送信される第1の識別情報を受信する識別情報受信手段と、前記第1の識別情報と同一のまたは対応関係にある第2の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記識別情報受信手段により受信された第1の識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された第2の識別情報とが同一であるかまたは対応関係にあるか否かを判断する識別情報判断手段と、前記識別情報判断手段による判断の結果、前記識別情報受信手段により受信された第1の識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された第2の識別情報とが同一でありまたは対応関係にあるときには前記電気錠を解錠動作させる電気錠制御手段とを備え、前記発信間隔設定手段は、当該ロック装置の動作頻度を複数の時間帯ごとに認識し、前記認識した動作頻度が基準値以上であるか否かを前記複数の時間帯ごとに判断し、前記認識した動作頻度が前記基準値以上でないときには前記通信信号の発信間隔を比較的長く設定する一方で前記認識した動作頻度が前記基準値以上であるときには前記通信信号の発信間隔を比較的短く設定する処理を前記複数の時間帯ごとに行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の第1のロック装置によれば、ロック装置の動作頻度が低いときには通信信号の発信間隔を比較的長くすることでロック装置における電力の消費を削減することができる一方、ロック装置の動作頻度が高いときには通信信号の発信間隔を比較的短くすることでロック装置のレスポンスを良くすることができる。特に、発信間隔設定手段により時間帯ごとのロック装置の動作頻度を認識して通信信号の発信間隔を時間帯ごとに自動的に設定することにより、通信信号の発信間隔を手動で設定する手間をなくすことができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第2のロック装置は、本発明の第1のロック装置において、前記基準値は第1の基準値および当該第1の基準値よりも大きい第2の基準値を含み、前記発信間隔設定手段は、前記認識した動作頻度が第1の基準値以上でないときには前記通信信号の発信間隔を第1の発信間隔に設定し、前記認識した動作頻度が第1の基準値以上でありかつ第2の基準値以上でないときには前記通信信号の発信間隔を第2の発信間隔に設定し、前記認識した動作頻度が第2の基準値以上であるときには前記通信信号の発信間隔を第3の発信間隔に設定する処理を前記複数の時間帯ごとに行い、前記第2の発信間隔は前記第1の発信間隔よりも短く、前記第3の発信間隔は前記第2の発信間隔よりも短いことを特徴とする。
【0015】
本発明の第2のロック装置によれば、時間帯ごとのロック装置の動作頻度の高低に基づいて3通りの通信信号の発信間隔を選択的に設定することができる。これにより、ロック装置の動作頻度に応じて通信信号の発信間隔をきめ細かく設定することができ、ロック装置におけるレスポンスの向上と消費電力の削減とを効果的に実現することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第3のロック装置は、本発明の第1または第2のロック装置において、前記各時間帯における前記動作頻度は、複数の日からなる算定期間中の同一時間帯における当該ロック装置の動作回数を前記算定期間の日数で割ることにより得られる値であることを特徴とする。
【0017】
本発明の第3のロック装置によれば、同一時間帯におけるロック装置の動作回数の1日当たりの平均値に基づいて通信信号の発信間隔を設定することができる。これにより、ロック装置の動作頻度を正確に反映した通信信号の発信間隔の設定を行うことができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の第4のロック装置は、本発明の第1ないし第3のいずれかのロック装置において、前記携帯型鍵機能装置はパッシブ型非接触ICカードであることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4のロック装置によれば、ICカードに電力を供給すると共にICカードからロック装置へカード情報を送信するキャリア(搬送波)として機能する通信信号の発信間隔を時間帯ごとに変更することにより、ロック装置におけるレスポンスの向上と消費電力の削減とを同時に実現することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の第5のロック装置は、本発明の第1ないし第4のいずれかのロック装置において、外殻を形成する筐体と、前記筐体内に収容された電池とを備え、前記電池から供給される電力により動作することを特徴とする。
【0021】
本発明の第5のロック装置によれば、ロック装置の電池の寿命を延ばすことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、利用者がICカード等の携帯型鍵機能装置を使用した際の良好なレスポンスを確保すると共に消費電力を削減することができる。また、携帯型鍵機能装置とロック装置との間で送受信される通信信号の発信間隔を時間帯ごとに手動で設定する手間をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態によるロック装置の外観を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態によるロック装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態によるロック装置におけるカード通信信号の発信間隔設定テーブルを示す説明図である。
【図4】ロック装置の動作頻度を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態によるロック装置における発信間隔設定テーブルの作成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態によるロック装置における処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態によるロック装置における発信間隔設定テーブル作成処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(ロック装置・ICカード)
図1はICカードおよび本発明の実施形態によるロック装置の外観を示し、図2はこれらの電気的構成を示している。
【0026】
図1において、本発明の実施形態によるロック装置1は、ICカード2から送信されたカード情報(第1の識別情報)を受信し、この受信したカード情報を用いてICカード2が正しいICカードであるか否かを判断し、ICカード2が正しいICカードである場合には、電気錠3を解錠動作させる装置である。本実施形態において、ロック装置1はホテルの部屋のセキュリティ管理に適用されている。ロック装置1は、例えばホテルの部屋の扉4に取り付けられ、当該扉4に取り付けられた電気錠3を制御し、当該扉4の解錠を行う。なお、扉4の電気錠3にはオートロック方式が採用されており、扉4を閉めたとき、電気錠3が自動的に施錠動作するようになっている。
【0027】
ロック装置1の外殻を形成する筐体5の外面側には、扉4を解錠する際に利用者がICカード2を接近させるカードリーダパネル6が設けられている。さらに、筐体5の外面側には、解錠された扉4を開け閉めする際に利用者が操作するハンドル7が配置されている。
【0028】
ICカード2は、それをロック装置1に対して使用して電気錠3を動作させる点で、鍵として機能する。また、ICカード2は、利用者が例えば衣服のポケットに入れ、または小さな鞄に収容して手軽に携帯することができる。このような点から、ICカード2は携帯型鍵機能装置の一形態である。
【0029】
具体的には、ICカード2はパッシブ型非接触ICカードである。ICカード2は、ロック装置1から発信されるカード通信信号により電磁誘導を生じさせて電力を得て、この電力によりカード情報をロック装置1に送信する。ICカード2とロック装置1との間の通信には、パッシブ型非接触RFIDの通信方式を適用することができる。カード通信信号には、ICカード2に電力を与えるための信号と、カード情報をICカード2からロック装置1に搬送するためのキャリアとなる信号が含まれている。ICカード2がロック装置1のカードリーダパネル6に接近し、ICカード2とカードリーダパネル6との間の距離が例えば15mm以下となったときに、ICカード2はカード通信信号を受信して電力を得てカード情報の送信を行うことが可能になる。
【0030】
ICカード2は、図2に示すように、アンテナを含む通信回路11、不揮発性の書換可能な記憶素子13、および制御回路12を備えている。制御回路12は、通信回路11および記憶素子13とそれぞれ接続され、記憶制御および通信制御等を行う。
【0031】
記憶素子13にはカード情報が記憶されている。カード情報には、ホテルコード、部屋コード、チェックイン日時情報、チェックアウト日時情報等が含まれている。ホテルコードはロック装置1が用いられているホテルを識別するためのコードである。部屋コードはロック装置1が取り付けられた部屋を識別するためのコードである。チェックイン日時情報は、当該ICカード2の利用者がホテルにチェックインした日時(年月日時分秒)を示す情報である。チェックアウト日時情報は、当該ICカード2の利用者がホテルをチェックアウトする日時(年月日時分秒)を示す情報である。
【0032】
ICカード2は、例えば利用者(宿泊客)がホテルにチェックインしたときに、カード発行機等により発行され、利用者に手渡される。ICカード2の発行時に、上述したカード情報がカード発行機によりICカード2の記憶素子13に記憶される。ICカード2を手渡された利用者は、チェックアウトするまでの間、当該ICカード2をロック装置1に対して使用し(具体的には当該ICカード2をロック装置1のカードリーダパネル6にかざし)、当該ロック装置1により電気錠3を動作させ、利用が許可された部屋の扉4の解錠を行うことができる。
【0033】
ロック装置1は、図2に示すように、アンテナおよび通信回路を含む通信部21と、半導体記憶素子を有する記憶部22と、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算処理部23と、通信部21、記憶部22、演算処理部23および電気錠3にこれらを動作させるための電力を供給する電池24とを備えている。記憶部22には、後述する登録情報、発信間隔設定テーブル31、基準値R1、基準値R2、制御プログラム等が記憶されている。通信部21、記憶部22、演算処理部23および電池24は筐体5内に収容されている。また、通信部21のアンテナは、筐体5内においてカードリーダパネル6と対応する位置に配置されている。
【0034】
演算処理部23は、通信制御部25、カード判断部26、登録処理部27、電気錠制御部28およびテーブル作成部29を備えている。通信制御部25はカード通信信号の発信およびカード情報の受信を制御する。通信制御部25による制御に従い、通信部21のアンテナから、カード通信信号が後述する各時間帯内において周期的に発信される。カード判断部26は、ICカードから読み取られたカード情報と、記憶部22に記憶された登録情報(第2の識別情報)とを比較することにより、使用されたICカード2が正しいICカードであるか否かを判断する。登録処理部27は、ICカード2が初めて使用されたとき、当該ICカード2のカード情報を登録情報として記憶部22に記憶する。電気錠制御部28はカード判断部26の判断結果に基づいて電気錠3を制御する。テーブル作成部29は後述する発信間隔設定テーブル31を作成する。通信制御部25、カード判断部26、登録処理部27、電気錠制御部28およびテーブル作成部29は、演算処理部23が、記憶部22に記憶された制御プログラムを読み取り、これを実行することにより実現される。通信制御部25、カード判断部26、登録処理部27、電気錠制御部28およびテーブル作成部29の具体的な処理内容については後述する。
【0035】
なお、記憶部22が識別情報記憶手段の具体例であり、通信制御部25が通信信号発生手段、識別情報受信手段の具体例であり、カード判断部26が識別情報判断手段の具体例であり、電気錠制御部28が電気錠制御手段の具体例である。また、通信制御部25、テーブル作成部29および記憶部22が発信間隔設定手段の具体例である。
【0036】
(発信間隔の設定・変更)
図3はロック装置1の記憶部22に記憶された発信間隔設定テーブルの一例を示している。ロック装置1は、予め設定された時間帯ごとのロック装置1の動作頻度を自動的に学習し、この動作頻度に基づいてカード通信信号の発信間隔を自動的に設定・変更する機能を備えている。図3に示す発信間隔設定テーブル31はこの機能を実現するために用いられるものである。
【0037】
具体的に説明すると、ロック装置1には5つの時間帯が予め設定されている。5つの時間帯は、例えば次に示す5通りの時間範囲で1日を分割することにより形成されている。
【0038】
(a)0時0分0秒〜6時59分59秒
(b)7時0分0秒〜11時59分59秒
(c)12時0分0秒〜17時59分59秒
(d)18時0分0秒〜22時59分59秒
(e)23時0分0秒〜23時59分59秒
0時0分0秒〜6時59分59秒は深夜から早朝にかけての時間帯であり、一般に利用者のチェックインもチェックアウトもほとんどない時間帯である。7時0分0秒〜11時59分59秒は一般に利用者がホテルにチェックアウトする時間帯である。12時0分0秒〜17時59分59秒は一般に利用者のチェックインもチェックアウトも少ないものの、係員がハウスキーピング作業を行う時間帯である。18時0分0秒〜22時59分59秒は一般に利用者がホテルにチェックインする時間帯である。23時0分0秒〜23時59分59秒は深夜の時間帯であり、一般に利用者のチェックインもチェックアウトもほとんどない時間帯である。
【0039】
ホテルの各部屋の利用状況やロック装置の利用状況の分析等から、次のことが判明している。すなわち、利用者がチェックインする時間帯とチェックアウトする時間帯は、ロック装置が動作する頻度が比較的高い。また、深夜および早朝の時間帯は、ロック装置が動作する頻度が比較的低い。また、ハウスキーピング作業が行われる時間帯は、ロック装置が動作する頻度がチェックイン・チェックアウトの時間帯よりも低いものの、深夜・早朝の時間帯よりも高い。上記時間帯の時間範囲は例えばこのような分析結果を考慮して設定されている。
【0040】
ロック装置1のテーブル作成部29は、これら5つの時間帯ごとに、ロック装置1の動作回数、例えば電気錠3を解錠動作させた回数を計数する。テーブル作成部29は、ロック装置1の動作回数の計数を、例えば当該ロック装置1を扉4に取り付けてその使用を開始してから常時継続的に行う。また、テーブル作成部29は、当該ロック装置1の使用を開始してから現在に至るまでの各日における、上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数を記憶部22に記憶する。
【0041】
さらに、テーブル作成部29は、1日に1回、例えば0時が到来したときに、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数を算出する。ロック装置1の平均動作回数とは、複数の日からなる算定期間中の同一時間帯におけるロック装置1の動作回数を上記算定期間の日数で割ることにより得られる値であり、上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数の1日当たりの平均値である。ロック装置1は、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数を、上記時間帯ごとのロック装置1の動作頻度を示す値として用いている。
【0042】
テーブル作成部29は、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数を例えば次のように算出する。すなわち、上記算定期間は、例えば0時の時点において、当該ロック装置1の使用を開始した日から昨日までの期間である(この期間は毎日1ずつ増加していく)。テーブル作成部29は、0時が到来したとき、1つの時間帯において、当該ロック装置1の使用を開始した日から昨日まで各日における動作回数を積算し、その結果得られた値を、当該ロック装置1の使用を開始した日から昨日までの日数で割るといった演算処理を、上記各時間帯について行う。これにより、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数が得られる。
【0043】
さらに、テーブル作成部29は、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数を、記憶部22に予め記憶された基準値と比較し、その比較結果に応じ、上記時間帯ごとに、カード通信信号の発信間隔を指定する。
【0044】
具体的に説明すると、上記基準値には、基準値R1、R2の2つがある。これら基準値R1、R2は例えば次のように予め設定されている。
【0045】
基準値R1:10回
基準値R2:20回
また、上記カード通信信号の発信間隔には、発信間隔P1、P2、P3の3通りがある。これら発信間隔P1、P2、P3は例えば次のように予め設定されている。
【0046】
発信間隔P1:3秒
発信間隔P2:2秒
発信間隔P3:1秒
テーブル作成部29は、1つの時間帯において、ロック装置1の平均動作回数が基準値R1以上でないときには、当該時間帯におけるカード通信信号の発信間隔として発信間隔P1を指定する。また、1つの時間帯において、ロック装置1の平均動作回数が基準値R1以上であり、かつ基準値R2以上でないときには、当該時間帯におけるカード通信信号の発信間隔として発信間隔P2を指定する。また、1つの時間帯において、ロック装置1の平均動作回数が基準値R2以上であるときには、当該時間帯におけるカード通信信号の発信間隔として発信間隔P3を指定する。テーブル作成部29はこのような発信間隔の指定を各時間帯について行う。
【0047】
そして、テーブル作成部29は、図3に示すように、上記時間帯ごとに指定された発信間隔を記録した発信間隔設定テーブル31を作成し、これを記憶部22に記憶する。
【0048】
テーブル作成部29は、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数の算出、上記時間帯ごとの発信間隔の指定、および発信間隔設定テーブル31の作成・記憶を、毎日0時が到来したときに一気に行う。そして、その直後からその1日が終わるまでの間、ロック装置1の通信制御部25が、記憶部22に記憶された当該発信間隔設定テーブル31に基づいて、時間帯が変わる度に、カード通信信号の発信間隔を実際に設定・変更する。
【0049】
ここで、図4および図5を参照しながら、発信間隔設定テーブル31の作成について数値例をあげて説明する。ロック装置1を扉4に取り付けて使用を開始した日を「第1日」、その翌日を「第2日」、さらにその翌日を「第3日」とすると、図4は、第1日、第2日、第3日の各日における上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数の数値例を示している。
【0050】
図5中の上段は第2日の0時において、図4中の第1日における上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数の数値例に基づき算出された上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数、および当該平均動作回数に基づいて指定された発信間隔を示している。この場合、上記算定期間は1日である。それゆえ、図5上段の上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数は、図4中の第1日における上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数と等しい。
【0051】
図5中の中段は第3日の0時において、図4中の第1日および第2日における上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数の数値例に基づき算出された上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数、および当該平均動作回数に基づいて指定された発信間隔を示している。この場合、上記算定期間は2日である。それゆえ、図5中段の上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数は、図4中の各時間帯において、第1日におけるロック装置1の動作回数と第2日におけるロック装置1の動作回数とを合計して2で割った値(小数点以下は四捨五入)に等しい。
【0052】
図5中の下段は第3日の翌日、つまり第4日の0時において、図4中の第1日、第2日および第3日における上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数の数値例に基づき算出された上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数、および当該平均動作回数に基づいて指定された発信間隔を示している。この場合、上記算定期間は3日である。それゆえ、図5下段の上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数は、図4中の各時間帯において、第1日におけるロック装置1の動作回数と第2日におけるロック装置1の動作回数と第3日におけるロック装置1の動作回数とを合計して3で割った値(小数点以下は四捨五入)に等しい。
【0053】
上述したように、ホテルの各部屋の利用状況やロック装置の利用状況の分析等から、次のことが判明している。すなわち、利用者がチェックアウトする時間帯(7時0分0秒〜11時59分59秒)とチェックインする時間帯(18時0分0秒〜22時59分59秒)は、ロック装置1の動作頻度が比較的高い。また、深夜および早朝の時間帯(0時0分0秒〜6時59分59秒、23時0分0秒〜23時59分59秒)は、ロック装置1の動作頻度が比較的低い。また、ハウスキーピング作業を行う時間帯(12時0分0秒〜17時59分59秒)は、ロック装置1の動作頻度がチェックイン・チェックアウトの時間帯よりも低いものの、深夜・早朝の時間帯よりも高い。
【0054】
この分析結果が示すロック装置1の動作頻度と、図5上段に示す第2日の0時に算出されたロック装置1の平均動作回数とを照らし合わせると、ロック装置1の平均動作回数は、上記分析結果が示すロック装置1の動作頻度をあまり正確に表していないことがわかる。一方、上記分析結果が示すロック装置1の動作頻度と、図5下段に示す第4日の0時に算出されたロック装置1の平均動作回数とを照らし合わせると、ロック装置1の平均動作回数は、上記分析結果が示すロック装置1の動作頻度を正確に表していることがわかる。すなわち、上記時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数を算出する際の算定期間が長くなると、テーブル作成部29により算出されたロック装置1の平均動作回数が、ロック装置1の動作頻度を正確に表すようになることが図5から読み取ることができる。
【0055】
(ロック装置による処理)
図6は、ロック装置1により実行される処理の内容を示し、図7は、図6中のステップS2においてロック装置1により実行される発信間隔設定テーブル作成処理の内容を示している。
【0056】
図6において、ロック装置1は、演算処理部23を構成するマイクロプロセッサに内蔵された時計により現在時刻を認識することができる。また、ロック装置1には、1日に1回、発信間隔設定テーブル31を作成する時刻が予め設定されており、例えばそれは0時である。毎日、0時が到来したことを認識すると(ステップS1:YES)、ロック装置1のテーブル作成部29は、発信間隔設定テーブル作成処理を実行する(ステップS2)。
【0057】
ここで、発信間隔設定テーブル作成処理の内容について具体的に説明する。図7に示すように、発信間隔設定テーブル作成処理とは、発信間隔設定テーブル31を作成する処理である。発信間隔設定テーブル作成処理において、テーブル作成部29は、まず、当該処理中に上述した5つの時間帯を選択するための変数Zを0に初期化する(ステップS21)。
【0058】
変数Zが0であるとき、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数を算出する(ステップS22)。具体的には、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯について、ロック装置1の使用が開始されてから昨日までの各日におけるロック装置1の動作回数を積算し、その結果得られた値を、ロック装置1の使用を開始した日から昨日までの日数で割る。
【0059】
続いて、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が基準値R1以上であるか否かを判断する(ステップS23)。0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が基準値R1以上でないときには(ステップS23:NO)、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるカード通信信号の発信間隔として発信間隔P1を指定する(ステップS24)。
【0060】
一方、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が基準値R1以上であるときには(ステップS23:YES)、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が基準値R2以上であるか否かを判断する(ステップS25)。0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が基準値R2以上でないときには(ステップS25:NO)、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるカード通信信号の発信間隔として発信間隔P2を指定する(ステップS26)。
【0061】
他方、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が基準値R2以上であるときには(ステップS25:YES)、テーブル作成部29は、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯におけるカード通信信号の発信間隔として発信間隔P3を指定する(ステップS27)。
【0062】
続いて、テーブル作成部29は、時間帯を示す変数Zを1増加させる(ステップS28)。続いて、テーブル作成部29は、変数Zが5に達するまで(ステップS29:NO)、ステップS22からステップS29までの処理を繰り返し実行する。
【0063】
これにより、変数Zが1になったときには、7時0分0秒〜11時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が算出され、この平均動作回数に基づいて、7時0分0秒〜11時59分59秒におけるカード通信信号の発信間隔が指定される。続いて変数Zが2になったときには、12時0分0秒〜17時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が算出され、この平均動作回数に基づいて、12時0分0秒〜17時59分59秒におけるカード通信信号の発信間隔が指定される。続いて変数Zが3になったときには、18時0分0秒〜22時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が算出され、この平均動作回数に基づいて、18時0分0秒〜22時59分59秒におけるカード通信信号の発信間隔が指定される。続いて変数Zが4になったときには、23時0分0秒〜23時59分59秒の時間帯におけるロック装置1の平均動作回数が算出され、この平均動作回数に基づいて、23時0分0秒〜23時59分59秒におけるカード通信信号の発信間隔が指定される。
【0064】
そして、変数Zが5に達したとき(ステップS29:YES)、テーブル作成部29は、ステップS22ないしステップS29までの処理が繰り返し実行されることによりそれぞれ指定されたカード通信信号の発信間隔、すなわち、0時0分0秒〜6時59分59秒の時間帯における発信間隔、7時0分0秒〜11時59分59秒の時間帯における発信間隔、12時0分0秒〜17時59分59秒の時間帯における発信間隔、18時0分0秒〜22時59分59秒の時間帯における発信間隔、および23時0分0秒〜23時59分59秒の時間帯における発信間隔を記録した発信間隔設定テーブル31(図3参照)を記憶部22に記憶する(ステップS30)。なお、昨日作成した発信間隔設定テーブル31が記憶部22に記憶されている場合には、昨日作成した発信間隔設定テーブル31が本日作成した発信間隔設定テーブル31に置き換えられる。
【0065】
図7に示す発信間隔設定テーブル作成処理が完了した後、ロック装置1における処理は図6中のステップS3に移行する。ステップS3では、ロック装置1の通信制御部25が、現在の時刻と上記5つの時間帯とを比較し、現在の時刻が属する時間帯を認識し、時間の経過により時間帯が変わったか否かを判断する。そして、時間帯が変わったときには(ステップS3:YES)、通信制御部25は、ステップS2の発信間隔設定テーブル作成処理において作成された本日の発信間隔設定テーブル31を参照し、現在の時刻が属する時間帯におけるカード通信信号の発信間隔を設定する(ステップS4)。
【0066】
続いて、通信制御部25は、現在設定されているカード通信信号の発信間隔で、カード通信信号を発信する(ステップS5)。例えば、現在設定されているカード通信信号の発信間隔が発信間隔P1(3秒)である場合、通信制御部25はステップS5において3秒待機した後、カード通信信号を発信する。
【0067】
続いて、通信制御部25は、所定の時間内(例えば0.5秒程度の短い時間内)にカード情報を受信したか否かを判断する(ステップS6)。ロック装置1からカード通信信号が発信されたときにICカード2がロック装置1のカードリーダパネル6に接近していない場合には、上記所定の時間内にICカード2からのカード情報は受信されない(ステップS6:NO)。この場合、処理は直ちにステップS1に戻る。一方、ロック装置1からカード通信信号が発信されたときにICカード2がロック装置1のカードリーダパネル6に接近している場合には、上記所定の時間内にICカード2からのカード情報が受信される(ステップS6:YES)。この場合、処理はステップS7に移行する。
【0068】
ステップS7では、ロック装置1のカード判断部26が、現在使用されたICカード2の正否を判断する。すなわち、カード判断部26は、ステップS6で受信されたカード情報と、記憶部22に現在記憶されている登録情報とを比較し、両者が一致するか否かを判断する。両者が一致したときには(ステップS7:YES)、現在使用されたICカード2は現在ロック装置1に登録されている正しいICカードである。この場合には、ロック装置1の電気錠制御部28が、電気錠3を解錠動作させるための制御信号を電気錠3に出力する。これにより、電気錠3が解錠動作し、扉4が解錠される。
【0069】
一方、ステップS7において、ステップS6で受信されたカード情報と、記憶部22に現在記憶されている登録情報とが一致しないときには(ステップS7:NO)、ロック装置1の登録処理部27が、現在使用されたICカード2をロック装置1への登録を許可すべきか否かを判断する(ステップS8)。この判断は、ステップS6で受信されたカード情報中に含まれるホテルコード、部屋コード等が予め設定された所定のコードであるか否か、および当該カード情報中に含まれるチェックイン日時情報、チェックアウト日時情報等が所定の条件を充たすか否かをチェックすることにより行われる。そして、現在使用されたICカード2をロック装置1への登録を許可すべきと判断された場合には(ステップS8:YES)、登録処理部27は、ステップS6で受信されたカード情報を登録情報として記憶部22に記憶することにより、現在使用されたICカード2を登録する(ステップS9)。さらに、ICカード2が登録された直後、電気錠3が解錠動作する。一方、現在使用されたICカード2をロック装置1への登録を許可すべきでないと判断された場合(ステップS8:NO)、処理は直ちにステップS1に戻る。
【0070】
電気錠3が解錠動作した直後、ロック装置1の動作回数の計数が行われる(ステップS11)。具体的には、テーブル作成部29が、ロック装置1の動作回数を示す計数値Cを1増加させる。計数値Cは、1日(本日)における、上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数を計数する変数である。計数値Cは、時間帯が変わったときに0に初期化され、電気錠3が解錠動作した直後(ステップS11)において1増加する。また、時間帯が変わったとき、計数値Cが0に初期化される前に、その時点において当該計数値Cが示す値が、時間帯の変わる直前の時間帯におけるロック装置1の動作回数を示す値として記憶部22の所定の領域に記憶される。このようにして、1日(本日)における上記時間帯ごとのロック装置1の動作回数が記憶部22に記録されていく。上述した発信間隔設定テーブル作成処理では、このようにして記録された動作回数を用いて平均動作回数の計算が行われる。
【0071】
以上、説明した通り、本発明の実施形態によるロック装置1によれば、例えば利用者がチェックインまたはチェックアウトする時間帯など実際にロック装置1の動作頻度が高い時間帯においてカード通信信号の発信間隔を比較的短くすることができ、かつ、例えば深夜から早朝にかけての時間帯など実際にロック装置1の動作頻度が低い時間帯においてカード通信信号の発信間隔を比較的長くすることができる。
【0072】
ICカード2はカード通信信号を受信し、これに応じてカード情報を送信し、ロック装置1は、ICカード2から送信されたカード情報を受信し、これに応じて電気錠3の解錠動作を制御するので、カード通信信号の発信間隔が短くなれば、利用者がICカード2をロック装置1のカードリーダパネル6にかざしてから電気錠3が解錠動作するまでの時間間隔が短くなり、ロック装置1のレスポンスが良くなる。一方、カード通信信号を発信する度にロック装置1において電力が消費されるため、カード通信信号の発信間隔が長くなれば、ロック装置1における電力の消費が削減され、ロック装置1の電池24の寿命が延びる。したがって、本発明の実施形態によるロック装置1によれば、ロック装置1を使用する利用者にとってロック装置1のレスポンスを良くすることができると共に、ロック装置1における電力の消費を削減して電池24の寿命を延ばすことができる。
【0073】
特に、本発明の実施形態によるロック装置1によれば、複数の時間帯ごとのロック装置1の動作頻度を自動的に学習し、この動作頻度に基づいてカード通信信号の発信間隔を自動的に設定・変更するので、例えばロック装置1の管理者がロック装置1の動作頻度の高い時間帯や低い時間帯を調査する必要も、この調査結果に基づいて時間帯ごとにカード通信信号の発信間隔を手動で設定する必要もない。すなわち、カード通信信号の発信間隔の設定作業の手間をなくすことができる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、3通りのカード通信信号の発信間隔P1、P2、P3を選択して指定する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。カード通信信号の発信間隔を2通りにしてもよいし、4通り以上としてもよい。また、上述した実施形態では、5つの時間帯を設定する場合を例にあげたが、時間帯の個数や、各時間帯の時間範囲は適宜変更することができる。
【0075】
また、複数の時間帯ごとのロック装置1の動作頻度の学習を、例えば休日(土曜日、日曜日、祝日等)と平日(上記休日以外の日)とで異ならせてもよい。例えば、休日には、過去の休日における時間帯ごとの平均動作回数に基づいて時間帯ごとのカード通信信号の発信間隔を指定することで休日用の発信間隔設定テーブルを作成し、平日には、過去の平日における時間帯ごとの平均動作回数に基づいて時間帯ごとのカード通信信号の発信間隔を指定することで平日用の発信間隔設定テーブルを作成する。これにより、休日および平日のそれぞれにおけるカード通信信号の発信間隔の時間帯ごとの設定・変更を適切に行うことが可能になる。この構成は、休日における時間帯ごとのロック装置1の動作頻度と平日における時間帯ごとのロック装置1の動作頻度とが大幅に異なる場合に特に有効である。また、例えば、月曜日には、過去の月曜日における時間帯ごとの平均動作回数に基づいて時間帯ごとのカード通信信号の発信間隔を指定することで月曜日用の発信間隔設定テーブルを作成し、火曜日には、過去の火曜日における時間帯ごとの平均動作回数に基づいて時間帯ごとのカード通信信号の発信間隔を指定することで火曜日用の発信間隔設定テーブルを作成するといったように発信間隔設定テーブルを曜日別に作成してもよい。これにより、7つの曜日のそれぞれにおけるカード通信信号の発信間隔の時間帯ごとの設定・変更を適切に行うことが可能になる。
【0076】
また、上述した実施形態では、時間帯ごとのロック装置1の平均動作回数を算出するための算出期間を、ロック装置1の使用が開始されてから昨日までの期間としたが、本発明はこれに限らない。この算出期間を例えば3日間、5日間、1週間、1ヶ月、1年などとしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、カード情報と登録情報との一致をもってICカード2が正しいICカードであると判断する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、ICカード2から受け取る情報と、ロック装置1の記憶部22に記憶された情報とが予め定められた対応関係にある場合に、当該ICカードが正しいICカードであると判断してもよい。
【0078】
また、上述した実施形態では、非接触型のICカード2を用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、接触型のICカードを用いる場合にも適用することができる。また、ICカード2と同様に、鍵として機能し、かつ手軽に携帯することができる携帯型鍵機能装置として、携帯電話機やスマートホン等も考えられる。本発明のロック装置において、ICカード2に代えて携帯電話機やスマートホン等を用いる構成としてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、電池24で駆動するロック装置1を例にあげたが、本発明はこれに限らず、商用電源(AC電源)で駆動するロック装置にも適用することができる。
【0080】
また、上述した実施形態では、オートロック方式が採用されている都合上、ロック装置1により電気錠3の解錠動作のみを制御する場合を例にあげたが、本発明は電気錠の施錠動作を制御する場合や、施錠動作および解錠動作の双方を制御する場合にも適用することができる。また、本発明のロック装置は、ホテルの部屋の管理以外にも種々の物の管理に適用することができる。
【0081】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うロック装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 ロック装置
2 ICカード(携帯型鍵機能装置)
3 電気錠
4 扉
5 筐体
6 カードリーダパネル
7 ハンドル
11 通信回路
12 制御回路
13 記憶素子
21 通信部
22 記憶部(識別情報記憶手段)
23 演算処理部
24 電池
25 通信制御部(通信信号発信手段、発信間隔設定手段、識別情報受信手段)
26 カード判断部(識別情報判断手段)
27 登録処理部
28 電気錠制御部(電気錠制御手段)
29 テーブル作成部(発信間隔設定手段)
31 発信間隔設定テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠の動作を制御するロック装置であって、
鍵として機能する携帯可能な装置である携帯型鍵機能装置に対し、通信信号を発信する通信信号発信手段と、
前記通信信号の発信間隔を設定する発信間隔設定手段と、
前記通信信号発信手段により発信された通信信号を受信した前記携帯型鍵機能装置から送信される第1の識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記第1の識別情報と同一のまたは対応関係にある第2の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報受信手段により受信された第1の識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された第2の識別情報とが同一であるかまたは対応関係にあるか否かを判断する識別情報判断手段と、
前記識別情報判断手段による判断の結果、前記識別情報受信手段により受信された第1の識別情報と前記識別情報記憶手段に記憶された第2の識別情報とが同一でありまたは対応関係にあるときには前記電気錠を解錠動作させる電気錠制御手段とを備え、
前記発信間隔設定手段は、当該ロック装置の動作頻度を前記複数の時間帯ごとに認識し、前記認識した動作頻度が基準値以上であるか否かを前記複数の時間帯ごとに判断し、前記認識した動作頻度が前記基準値以上でないときには前記通信信号の発信間隔を比較的長く設定する一方で前記認識した動作頻度が前記基準値以上であるときには前記通信信号の発信間隔を比較的短く設定する処理を前記複数の時間帯ごとに行うことを特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記基準値は第1の基準値および当該第1の基準値よりも大きい第2の基準値を含み、
前記発信間隔設定手段は、前記認識した動作頻度が第1の基準値以上でないときには前記通信信号の発信間隔を第1の発信間隔に設定し、前記認識した動作頻度が第1の基準値以上でありかつ第2の基準値以上でないときには前記通信信号の発信間隔を第2の発信間隔に設定し、前記認識した動作頻度が第2の基準値以上であるときには前記通信信号の発信間隔を第3の発信間隔に設定する処理を前記複数の時間帯ごとに行い、
前記第2の発信間隔は前記第1の発信間隔よりも短く、前記第3の発信間隔は前記第2の発信間隔よりも短いことを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記各時間帯における前記動作頻度は、複数の日からなる算定期間中の同一時間帯における当該ロック装置の動作回数を前記算定期間の日数で割ることにより得られる値であることを特徴とする請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記携帯型鍵機能装置はパッシブ型非接触ICカードであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のロック装置。
【請求項5】
外殻を形成する筐体と、前記筐体内に収容された電池とを備え、前記電池から供給される電力により動作することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44087(P2013−44087A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180124(P2011−180124)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【Fターム(参考)】