説明

作業車の走行伝動構造

【課題】 作業車の走行伝動構造において、ミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができるように構成する。
【解決手段】 エンジン3を機体の前部に横向きに備えて、エンジン3の後側にミッションケース7を備え、入力軸を横向きに突出させて、エンジン3の出力軸と入力軸とに亘って伝動ベルト11を巻回する。ミッションケース7の内部に複数の伝動軸を機体前後方向に配置して並設し、複数の伝動軸の間で変速装置を構成する。入力軸に伝達された動力がベベルギヤ機構を介して、複数の伝動軸に伝達され、変速装置から走行装置に伝達されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農用トラクタや乗用型草刈り機、乗用型田植機、建設車両等の作業車における走行伝動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車の一例である乗用型草刈り機では、例えば特許文献1に開示されているように、エンジンを機体の前部に備え、エンジンの後側にミッションケースを備えた場合、エンジンの後部に後向きに出力軸が突出し、ミッションケースの前部に入力軸が前向きに突出しており、エンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とに亘って機体前後方向の伝動軸が接続されているものがある。ミッションケースの内部においても、複数の伝動軸が機体前後方向に配置されており、複数の伝動軸の間で走行用の変速装置が構成されることが多くある。これにより、エンジンの動力がミッションケースの入力軸及び走行用の変速装置から、走行装置(前輪及び後輪や、クローラ等)に伝達される。
【0003】
【特許文献1】USPatent6821225B2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ミッションケースの内部において複数の伝動軸が機体前後方向に配置される場合、機体前後方向に配置される複数の伝動軸が、さらに機体前後方向に並ぶように配置されると、ミッションケースが機体前後方向に長いものになってしまうので、機体の全長を抑えると言う面で改善の余地がある。
本発明は作業車の走行伝動構造において、ミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は作業車の走行伝動構造において次のように構成することにある。
出力軸が横向きに突出するようにエンジンを機体の前部に横向きに備えて、エンジンの後側にミッションケースを備える。入力軸を横向きに突出させて、エンジンの出力軸と入力軸とに亘って伝動ベルトを巻回する。ミッションケースの内部に複数の伝動軸を機体前後方向に配置し、複数の伝動軸を互いに並設して、複数の伝動軸の間で走行用の変速装置を構成する。入力軸に伝達された動力がベベルギヤ機構を介して、複数の伝動軸に伝達され、走行用の変速装置から走行装置に伝達されるように構成する。
【0006】
(作用)
ミッションケースの内部において複数の伝動軸を機体前後方向に配置する場合、機体前後方向に配置される複数の伝動軸を、さらに機体前後方向に並ぶように配置するのではなく、本発明の第1特徴によると、複数の伝動軸を互いに並設することにより(複数の伝動軸を互いに横側又は下側又は上側に並ぶように(重なり合うように)配置することにより)、ミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができる。
【0007】
特許文献1のように、エンジンの後部に後向きに出力軸を突出させ、ミッションケースの前部に入力軸を前向きに突出させて、エンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とに亘って機体前後方向の伝動軸を接続する場合、エンジンの出力軸が配置される機体前後方向の空間、ミッションケースの入力軸が配置される機体前後方向の空間、及び伝動軸が配置される機体前後方向の空間が必要になるので、エンジンとミッションケースとの間に比較的大きな機体前後方向の空間が必要になることがある。
【0008】
本発明の第1特徴によると、出力軸が横向きに突出するようにエンジンを機体の前部に横向きに備えて、エンジンの後側にミッションケースを備えており、入力軸を横向きに突出させて、エンジンの出力軸とミッションケースの入力軸とに亘って伝動ベルトを巻回している。
これにより、本発明の第1特徴によると、エンジンの出力軸が配置される機体前後方向の空間、及び入力軸が配置される機体前後方向の空間が不要になるので(エンジンの出力軸及び入力軸が横向きに備えられていることによる)、エンジンとミッションケースとの間に比較的大きな機体前後方向の空間が必要ではなくなって、エンジンとミッションケースとを接近させることができる。
【0009】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、作業車の走行伝動構造において、ミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができる点、及びエンジンとミッションケースとを接近させることができる点により、エンジンの前部からミッションケースの後部までの長さを抑えることができるようになって、機体の前後方向の長さを抑えて機体の全体のコンパクト化を図ることができた。
【0010】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の作業車の走行伝動構造において次のように構成することにある。
入力軸をミッションケースの前部に備え、入力軸とベベルギヤ機構との間にクラッチを備える。
【0011】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、クラッチを伝動状態及び遮断状態に操作することにより、走行用の変速装置への動力を伝動状態及び遮断状態とすることができる。この場合、入力軸とベベルギヤ機構との間にクラッチを備えているので、クラッチが入力軸に沿って横向きにミッションケースの前部にコンパクトに配置されるようになる。
【0012】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、走行用の変速装置への動力を伝動状態及び遮断状態とすることができるクラッチを、ミッションケースの前部にコンパクトに配置することができるようになって、機体の前後方向の長さを抑えて機体の全体のコンパクト化を図ることができた。
【0013】
[III]
(構成)
本発明の第3特徴は作業車の走行伝動構造において次のように構成することにある。
エンジンを機体の前部に備えて、エンジンの後側にミッションケースを備え、エンジンの動力をミッションケースに伝達する伝動機構を備える。ミッションケースの内部に複数の伝動軸を機体前後方向に配置し、複数の伝動軸を互いに並設して、複数の伝動軸の間で走行用の変速装置を構成する。走行用の変速装置を操作するシフト軸を機体前後方向に配置し複数の伝動軸に並設して、シフト軸をミッションケースの前部から機体前側に向けて突出させる。
【0014】
(作用)
ミッションケースの内部において複数の伝動軸を機体前後方向に配置する場合、機体前後方向に配置される複数の伝動軸を、さらに機体前後方向に並ぶように配置するのではなく、本発明の第3特徴によると、複数の伝動軸を互いに並設することにより(複数の伝動軸を互いに横側又は下側又は上側に並ぶように(重なり合うように)配置することにより)、ミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができる。
【0015】
本発明の第3特徴によると、走行用の変速装置を操作するシフト軸をミッションケースに備える場合、シフト軸を機体前後方向に配置し複数の伝動軸に並設して(シフト軸を複数の伝動軸の横側又は下側又は上側に並ぶように(重なり合うように)配置することにより)、前述の複数の伝動軸の場合と同様にミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができる。
【0016】
走行用の変速装置を操作する為の人為操作具(例えば変速レバーや変速ペダル)を、ミッションケースの前側に配置する場合、本発明の第3特徴によると、シフト軸をミッションケースの前部から機体前側に向けて突出させているので、ミッションケースの前側に配置された人為操作具とシフト軸とが互いに比較的近いものとなって、ミッションケースの前側に配置された人為操作具とシフト軸とを機械的に無理なく連係することができる。
【0017】
(発明の効果)
本発明の第3特徴によると、作業車の走行伝動構造において、ミッションケースの機体前後方向の長さを抑えることができる点により、エンジンの前部からミッションケースの後部までの長さを抑えることができるようになって、機体の前後方向の長さを抑えて機体の全体のコンパクト化を図ることができた。
【0018】
本発明の第3特徴によると、走行用の変速装置を操作する為の人為操作具(例えば変速レバーや変速ペダル)を、ミッションケースの前側に配置する場合、ミッションケースの前側に配置された人為操作具とシフト軸とを、機械的に無理なく連係することができるようになって、人為操作具とシフト軸とを連係する連係機構の構造の簡素化及びコンパクト化の面で有利なものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[1]
図1,2,3,4は作業車の一例である農用トラクタを示しており、平板の縦壁状の右及び左の機体フレーム1、右及び左の機体フレーム1の前部に連結された平板の縦壁状の右及び左の前フレーム2により、機体が構成されている。右及び左の機体フレーム1の中間部1a(図7参照)が平面視でクランク状に折り曲げられており、右及び左の機体フレーム1の機体前側の間隔よりも、右及び左の機体フレーム1の機体後側の間隔が大きなものとなっている。
【0020】
図1,2,3,4に示すように、右及び左の前フレーム2の上部にエンジン3が連結され、右及び左の前フレーム2の下部に前車軸ケース4が支持されて、右及び左の前輪5(走行装置に相当)が前車軸ケース4に支持されている。右及び左の機体フレーム1に入力ケース6、ミッションケース7及び後車軸ケース8が連結されており、右及び左の後輪9(走行装置に相当)が後車軸ケース8に支持されている。
【0021】
図3,4,5,7に示すように、エンジン3は空冷ディーゼル型式であり、エンジン3の出力軸3aが機体左側の横向きに突出するように、エンジン3が横向きに右及び左の前フレーム2の上部に連結されて、エンジン3の出力軸3aに出力プーリー3bが固定されている。右及び左の機体フレーム1に亘ってミッションケース7が連結されており、ミッションケース7の前部でミッションケース7の上下中間部に入力ケース6が横向き連結され、図18に示すように、入力ケース6の機体左側部が左の機体フレーム1に連結されている。入力ケース6から機体左側の横向きに入力軸10が突出して左の機体フレーム1から機体左側に出ており、入力軸10に入力プーリー10aが固定されている。
【0022】
図3,4,5に示すように、エンジン3の出力プーリー3bと入力軸10の入力プーリー10aとに亘って、伝動ベルト11(伝動機構に相当)が巻回されており、伝動ベルト11に対するテンションプーリー12が左の機体フレーム1に備えられている。図1及び図2に示すように、カバー13によりエンジン3の出力プーリー3b、入力軸10の入力プーリー10a、伝動ベルト11及びテンションプーリー12が覆われている。
【0023】
[2]
次に、入力ケース6について説明する。
図8に示すように、入力ケース6の内部の左右に亘って入力軸10がベアリング14により回転自在に支持されており、入力ケース6の機体右側の端部にポンプ15が連結されて、ポンプ15の入力軸15aと入力軸10とが連結されている。ミッションケース7の内部に機体前後方向に配置される伝動軸16が入力ケース6の内部に入り込み、ベベルギヤ16a(ベベルギヤ機構に相当)が伝動軸16に備えられており、伝動軸10に相対回転自在に外嵌されたベベルギヤ17(ベベルギヤ機構に相当)が、伝動軸16のベベルギヤ16aに咬合している。
【0024】
図8に示すように、伝動軸10とベベルギヤ17との間に、湿式多板型式のクラッチ18が構成されている。クラッチ18は、伝動軸10に固定された円筒状の第1伝動部材18a、伝動軸10に相対回転自在且つスライド自在に外嵌された円筒状の第2伝動部材18b、第1及び第2伝動部材18a,18bの間に配置された摩擦板18c、第1及び第2伝動部材18a,18bを離間側(伝動状態側)に付勢するバネ18d、第1円筒部材18aとバネ18dとの間のスラストベアリング18e等を備えて構成されており、クラッチ18がバネ18dにより伝動状態に付勢されている。
【0025】
図8に示すように、伝動軸10に備えられたストッパー10bにより、ベベルギヤ17の位置が決められているのに対して、クラッチ18の第2円筒部材18bが後述するように伝動軸10に沿ってスライド操作される。ベベルギヤ17とクラッチ18の第2円筒部材18bとに亘って円筒状の連結部材19が接続されており、連結部材19により、ベベルギヤ17に対するクラッチ18の第2円筒部材18bのスライドが許容されながら、ベベルギヤ17とクラッチ18の第2円筒部材18bとが一体回転する。
【0026】
図8に示すように、操作軸20が入力ケース6に回転自在に支持され、操作部材21が操作軸20に相対回転自在且つスライド自在に外嵌されて、操作部材21がベアリング22を介してクラッチ18の第2円筒部材18bに接当しており、操作軸20に固定されたピン20aが操作部材21のV字状のカム部21aに入り込んでいる。図5及び図18に示すように、右及び左の機体フレーム1の下部に亘って横フレーム23が連結されて、横フレーム23に固定されたボス部23aに、操作軸99が横軸芯P1周りに回転自在に支持されており、左の機体フレーム1の機体左側において、クラッチペダル24が操作軸99が相対回転自在に外嵌されている。クラッチペダル24に固定されたアーム24aと、操作軸20に固定されたアーム20bとに亘って連結ロッド25が接続されており、クラッチペダル24を上方に付勢するバネ(図示せず)がクラッチペダル24に接続されている。
【0027】
図5及び図8に示す状態は、クラッチペダル24を踏み操作していない状態であり、クラッチ18のバネ18dによりクラッチ18が伝動状態に操作された状態である。この状態で、エンジン3の動力が伝動ベルト11を介して入力軸10に伝達され、エンジン3の動力によりポンプ15が駆動されており、エンジン3の動力がクラッチ18(第1及び第2円筒部材18a,18b、摩擦板18c)、連結部材19及びベベルギヤ17を介して伝動軸16に伝達されている。
【0028】
図5及び図8に示す状態から、クラッチペダル24を下方に踏み操作すると、クラッチペダル24により操作軸20が回転操作されて、操作軸20のピン20aにより操作部材21が図8の紙面下方にスライド操作される。これにより、操作部材21によりクラッチ18の第2円筒部材18bが図8の紙面下方にスライド操作され、クラッチ18の摩擦板18cへの押圧が消えて、クラッチ18が遮断状態となる。
【0029】
図8に示すように、リング状のブレーキ板27が入力ケース6の内部に回転不能且つスライド自在に取り付けられ、ブレーキ板27を受け止めるリング状の皿バネ28が備えられている。これにより、前述のように操作部材21によりクラッチ18の第2円筒部材18bが図8の紙面下方にスライド操作され、クラッチ18が遮断状態に操作されると、クラッチ18の第2円筒部材18bの端部がブレーキ板27に押圧されて、クラッチ18の第2円筒部材18bに制動が掛かるのであり、連結部材19及びベベルギヤ17を介して伝動軸16に制動が掛かる。このように、クラッチ18が遮断状態に操作されても、エンジン3の動力は入力軸10に伝達されており、ポンプ15が駆動されている。
【0030】
[3]
次に、ミッションケース7及びミッションケース7から後車軸ケース8への伝動系について説明する。
図9に示すように、半割り状の同じ一対のケース部7aが連結されてミッションケース7が構成されており、伝動軸16等の位置において必要な部分に機械加工を施すことによって、伝動軸16等が支持されるように構成されている。この場合、図4,5,9に示すように、ミッションケース7(ケース部7a)の合わせ面7bが機体左右方向に向いており、右及び左の機体フレーム1の間にミッションケース7が配置され、ボルト29によりミッションケース7が右及び左の機体フレーム1に連結されている。
【0031】
図9及び図11に示すように、ミッションケース7の内部に伝動軸16,30,31及びPTO伝動軸32が、機体前後方向(図9の紙面左右方向)に互いに平行に配置されており、ミッションケース7の正面視で伝動軸16,30,31及びPTO伝動軸32が図11に示すように配置されている。図12に示すように、後車軸ケース8の機体左右中央の前部に、機体前側に突出する前ケース部8aが一体的に備えられており、ミッションケース7の後部における伝動軸16,31の部分に、後車軸ケース8の前ケース部8aが連結されている。図9及び図12に示すように、伝動軸31と同芯状に配置された後輪出力軸33が、後車軸ケース8の前ケース部8aの内部に配置され、伝動軸16と同芯状で相対回転自在に外嵌された伝動軸34が、後車軸ケース8の前ケース部8aの内部に配置されている。
【0032】
図9に示すように、伝動ギヤ35,36が伝動軸16に固定され、後進ギヤ37が伝動軸16に相対回転自在に外嵌されており、円筒軸38がPTO伝動軸32に相対回転自在に外嵌され、円筒軸38に固定された伝動ギヤ39が伝動ギヤ35に咬合している。これにより、前項[2]に記載のように、エンジン3の動力が図8に示す入力軸10及びクラッチ18、伝動軸16及び伝動ギヤ35,39を介して円筒軸38に伝達されている。
【0033】
図9に示すように、1速ギヤ41、2速ギヤ42及び3速ギヤ43が伝動軸30に固定され、後進ギヤ37が2速ギヤ42に咬合しており、第1シフトギヤ44及び第2シフトギヤ45が、スプライン構造により円筒軸38に一体回転自在且つスライド自在に外嵌されて、円筒軸38及び伝動軸30の間で走行用の主変速装置40(走行用の変速装置に相当)が構成されている。
【0034】
これにより、図9に示すように、第1シフトギヤ44を1速ギヤ41に咬合する前進1速位置F1、及び後進ギヤ37に咬合する後進位置Rにスライド操作し、第2シフトギヤ45を2速ギヤ42に咬合する前進2速位置F2、及び3速ギヤ43に咬合する前進3速位置F3にスライド操作することによって、円筒軸38の動力が前進3段及び後進1段に変速されて伝動軸30に伝達される。
【0035】
図9に示すように、伝動ギヤ46が伝動軸30に固定され、低速ギヤ47及び高速ギヤ48が伝動軸31に相対回転自在に外嵌されて、低速ギヤ47及び高速ギヤ48が伝動ギヤ46及び1速ギヤ41に咬合しており、シフト部材49がスプライン構造により伝動軸31に一体回転自在且つスライド自在に外嵌されて、伝動軸30,31の間で走行用の副変速装置50(走行用の変速装置に相当)が構成されている。
これにより、シフト部材49を低速ギヤ47に咬合する低速位置L、及び高速ギヤ48に咬合する高速位置Hにスライド操作することによって、伝動軸30の動力が高低2段に変速されて伝動軸31に伝達される。
【0036】
図9及び図12に示すように、伝動ギヤ51が伝動軸31に固定され、伝動ギヤ52が伝動軸34に固定されて、伝動ギヤ51,52が咬合しており、伝動ギヤ53,54が伝動軸34に固定されている。標準ギヤ55及び減速ギヤ56が後輪出力軸33に相対回転自在に外嵌され、標準ギヤ55及び減速ギヤ56が伝動ギヤ53,54に咬合しており、シフト部材57がスプライン構造により後輪出力軸33に一体回転自在且つスライド自在に外嵌されて、伝動軸34及び後輪出力軸31の間で走行用の後輪減速装置58が構成されている。
【0037】
これにより、図9及び図12に示すように、伝動軸31の動力が伝動ギヤ51,52を介して伝動軸34に伝達されており、後輪減速装置58を介して後輪2に伝達される。シフト部材57を標準ギヤ55に咬合する標準位置M、及び減速ギヤ56に咬合する後輪減速位置MLにスライド操作することによって、前輪1の周速度及び後輪2の周速度が略同じ速度で駆動される標準状態、及び前輪1の周速度よりも後輪2の周速度が低速になる後輪減速状態が得られる。
【0038】
[4]
次に、後車軸ケース8及び後車軸ケース8の伝動系について説明する。
図6及び図13に示すように、後車軸ケース8の機体左右中央の前部に機体前側に突出する前ケース部8aが一体的に備えられており、後輪9を支持する後輪支持ケース59が後車軸ケース8の機体右側及び左側の端部に連結されて、後輪支持ケース59が側面視(図6参照)で斜め後方下方に延出されている。後車軸ケース8の前ケース部8aがミッションケース7の後部に連結され、図6及び図7に示すように、右及び左の機体フレーム1に亘って連結された横フレーム60に後輪支持ケース59が連結されている。
【0039】
図13及び図14に示すように、後輪デフ機構62が後車軸ケース8の内部に配置されて、後輪デフ機構62のケースに固定されたベベルギヤ62aに、後輪出力軸33のベベルギヤ33aが咬合しており(図9及び図12参照)、後輪デフ機構62から伝動軸63が後輪支持ケース59の内部に亘って配置されている。シフト部材64がスプライン構造により伝動軸63に一体回転自在且つスライド自在に外嵌され、シフト部材64をスライド操作する操作軸65が後車軸ケース8に回転自在に支持されて、シフト部材64を後輪デフ機構62のケースに咬合させることにより、後輪デフ機構62をデフロック状態に操作することができる。
【0040】
図13及び図14に示すように、伝動軸63と後輪支持ケース59の内部との間に、摩擦多板式の右及び左のサイドブレーキ66が備えられている。右及び左のサイドブレーキ66はバネ(図示せず)により解除状態に付勢されており、右及び左のサイドブレーキ66の摩擦板66aを押圧して制動状態に操作する操作部材67が伝動軸63に外嵌され、操作部材67をスライド操作する操作軸68が後輪支持ケース59に回転自在に支持されている。
【0041】
図13及び図14に示すように、後輪9が連結された車軸69が後輪支持ケース59に回転自在に支持され、伝動軸63と車軸69との間に伝動軸70が配置されており、伝動軸63に固定された伝動ギヤ71が、伝動軸70に固定された伝動ギヤ72に咬合し、伝動軸70に固定された伝動ギヤ73が、車軸69に固定された伝動ギヤ74に咬合している。
これにより、前項[3]に記載のように、後輪出力軸33の動力が後輪デフ機構62、伝動軸63,70及び車軸69を介して後輪9に伝達される。
【0042】
[5]
次に、前車軸ケース4及び前車軸ケース4の伝動系について説明する。
図15及び図16に示すように、支持ケース75が前車軸ケース4の機体右側及び左側の端部に連結されて、図4及び図5に示すように、右及び左の前フレーム2に連結されたブラケット76に、前車軸ケース4が機体の前後軸芯P2周りにローリング自在に支持されており、入力軸77が前車軸ケース4の前後軸芯P2の位置に支持されブラケット76から機体後側に出ている。図9及び図18に示すように、前輪出力軸78が伝動軸31と同芯状で相対回転自在に外嵌され、前輪出力軸78がミッションケース7の前部の下部(入力ケース6の下側)から機体前側に向いて突出しており、図4及び図5に示すように、入力軸77と前輪出力軸78とに亘って伝動軸79が連結されている。
【0043】
図9に示すように、伝動ギヤ80が伝動軸31に固定され、伝動ギヤ81が前輪出力軸78に固定されており、伝動ギヤ82が伝動軸30に相対回転自在に外嵌され、伝動ギヤ80,82が咬合し、伝動ギヤ81,82が咬合している。これにより、伝動軸31の動力が伝動ギヤ80,82,81、前輪出力軸78及び伝動軸79を介して入力軸77に伝達される。
【0044】
図15及び図16に示すように、前輪デフ機構83が前車軸ケース4の内部に配置されて、前輪デフ機構83のケースに固定されたベベルギヤ83aに、入力軸77に固定されたベベルギヤ77aが咬合しており、前輪デフ機構83から伝動軸84が支持ケース75の内部に亘って配置されている。伝動軸85が支持ケース75の内部に斜め下向きに回転自在に支持されて、伝動軸84に固定されたベベルギヤ84aと、伝動軸85に固定されたベベルギヤ85aとが咬合しており、前輪支持ケース86が伝動軸86の縦軸芯P3周りに揺動自在に支持されている。前輪5が連結された車軸87が前輪支持ケース86に回転自在に支持され、伝動軸85に固定されたベベルギヤ85bと、車軸87に固定されたベベルギヤ87aとが咬合している。
【0045】
これにより、入力軸77の動力が前輪デフ機構83、伝動軸84,85及び車軸87を介して前輪5に伝達される。
この場合、前輪支持ケース86は通常は図31に示すように、前輪支持ケース86の上部86aが比較的長いものに形成されており、図16に示す構成(標準仕様)において前輪支持ケース86を使用する状態では、図31に示す前輪支持ケース86の上部86aを切除する。
【0046】
[6]
次に、PTO伝動軸32及びPTO伝動軸32の伝動系について説明する。
図9に示すように、伝動ギヤ88がPTO伝動軸32に相対回転自在に外嵌されて、伝動ギヤ36,88が咬合しており、シフト部材89がスプライン構造によりPTO伝動軸32に一体回転自在且つスライド自在に外嵌されて、伝動軸16及びPTO伝動軸32の間でPTO変速装置90が構成されている。
これにより、シフト部材89を円筒軸38に咬合する低速位置L、及び伝動ギヤ88に咬合する高速位置Hにスライド操作することによって、伝動軸16の動力が高低2段に変速されてPTO伝動軸32に伝達される。
【0047】
図9及び図18に示すように、PTO伝動軸32がミッションケース7の前部の上部(入力ケース6の上側)から機体前側に向いて突出し、ミッションケース7の後部の上部から機体後側に向いて突出している。図7及び図12に示すように、後車軸ケース8の機体左右中央の後部に後ケース部8bが一体的に形成されて、伝動軸91が後車軸ケース8の後ケース部8bから機体前側に向けて突出して後車軸ケース8の上側に位置しており、PTO伝動軸32の後部と伝動軸91とが連結部材92を介して連結されている。後PTO軸93が後車軸ケース8の機体左右中央の後部に回転自在に支持され、後PTO軸93が後車軸ケース8から機体後側に向けて突出しており、後車軸ケース8の後ケース部8bの内部において、伝動軸91に固定された伝動ギヤ94と、後PTO軸93に固定された伝動ギヤ95とが咬合している。
【0048】
図3及び図4に示すように、右及び左の前フレーム2の前部に円筒状のボス部96が固定され、前PTO軸97がボス部96に回転自在に支持されており、PTO伝動軸32の前部と前PTO軸97とに亘って伝動軸98が連結されている。
これにより、PTO伝動軸32の動力が、伝動軸91及び伝動ギヤ94,95を介して後PTO伝動軸93に伝達され、伝動軸98を介して前PTO軸97に伝達される。
【0049】
[7]
次に、操縦ハンドル103の操作系について説明する。
図3,4,5,17に示すように、右及び左の機体フレーム1の前部の下部にステアリングギヤボックス104が連結され、ステアリングギヤボックス104の下部の縦軸芯P4周りに揺動自在にピットマンアーム105が支持されており、前輪支持ケース86(図15及び図16参照)とピットマンアーム105とに亘ってタイロッド106が接続されている。
【0050】
図3,5,18に示すように、右及び左の機体フレーム1の前部の上部に正面視アーチ状の支持フレーム107が連結され、支持フレーム107の上部の後部に固定された支持部材108に、操縦ハンドル103及び操縦ハンドル103の操作軸103aが回転自在に支持されている。操縦ハンドル103の操作軸103aとステアリングギヤボックス104の入力軸104a(図17参照)とが、ステアリング軸109及び自在継手110を介して接続されている。
【0051】
図3及び図6に示すように、後輪減速装置58において、シフト部材578図9及び図12参照)をスライド操作する操作アーム111が、後車軸ケース8の前ケース部8aの外部に備えられており、操作アーム111(シフト部材57)を標準位置Mに付勢するバネ112が備えられている。図3,6,17に示すように、右及び左の前フレーム2の下部の縦軸芯P5周りに操作アーム113が揺動自在に支持され、ピットマンアーム105に形成されたカム孔105aに操作アーム113の端部のローラー113aが挿入されており、操作アーム113に固定されたアーム部113bと操作アーム111とに亘って、ワイヤ114及び融通用のバネ115が接続されている。
【0052】
これにより、操縦ハンドル103を回転操作すると、ステアリングギヤボックス104によりピットマンアーム105が縦軸芯P4周りに揺動操作されて、前輪1が左右に操向操作される。この場合に、ピットマンアーム105(前輪5)が直進位置及び直進位置から右及び左の設定角度の範囲で揺動操作(操向操作)されている状態では、操作アーム113は揺動操作されず、操作アーム111(シフト部材57)は標準位置Mに保持されており、前輪1の周速度及び後輪2の周速度が略同じ速度で駆動される標準状態となっている。
【0053】
ピットマンアーム105(前輪5)が右及び左の設定角度を越えて右及び左に揺動操作(操向操作)されると、ピットマンアーム105のカム孔105aにより操作アーム113が揺動操作され、ワイヤ114が引き操作されて、操作アーム111(シフト部材57)が後輪減速位置MLに操作される。これにより、前輪1の周速度よりも後輪2の周速度が低速になる後輪減速状態が得られて、地面を荒らさない滑らかな旋回が行われる。
【0054】
[8]
次に、走行用の主変速装置40の操作系について説明する。
図10及び図11に示すように、走行用の主変速装置40を操作する第1及び第2シフト軸101,102が、ミッションケース7の内部に機体前後方向に配置されて(機体前後方向にスライド自在)、円筒軸38及びPTO伝動軸32に沿って並設されており、図18に示すように、第1及び第2シフト軸101,102がミッションケース7の前部の上部(入力ケース6の上側)から機体前側に向いて突出している。第1シフト軸101の機体前側の端部に受け部101aが固定され、第1シフト軸101に2本のシフトフォーク101bが固定されて、第1シフト軸101のシフトフォーク101bが第1シフトギヤ44に係合している。第2シフト軸102の機体前側の端部に受け部102aが固定されて、第2シフト軸102に固定されたシフトフォーク102bが第2シフトギヤ45に係合している。
【0055】
図18,19(イ),20に示すように、操作軸116が支持フレーム107の縦軸芯P6周りに回転自在に支持され、操作軸116の上部に固定されたブラケット116aの横軸芯P7周りに、主変速レバー117が上下に揺動自在に支持されている。操作軸116の下部に固定されたブラケット116bの横軸芯P8周りに、操作アーム118が上下に揺動自在に支持され、操作アーム118の中央の開口部118aに操作軸116が挿入されている。操作軸116に固定されたピン116cと操作アーム118とに亘ってバネ119が接続されて、操作アーム118が上方に付勢されており、主変速レバー117と操作アーム118とに亘って連係ロッド120が接続されている。
【0056】
図1,2,21に示すように、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体左側の少し機体後側の位置に、主変速レバー117が備えられた状態となって、主変速レバー117が機体斜め左後方外方に向くような状態となっている。支持フレーム107を覆うカバー121において、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体左側の少し機体後側の位置に、主変速レバー117を案内するレバーガイド122が、機体斜め左後方外方に向くように備えられている。レバーガイド122は横H字状の案内孔によって構成されており、図10及び図21に示す状態は主変速レバー117を中立位置Nに操作している状態であり、第1及び第2シフト軸101,102が中立位置Nに位置している状態である。
【0057】
図10,19(イ),21に示すように、主変速レバー117を前進1速位置F1に操作すると、操作アーム118が上方に操作されて第1シフト軸101の受け部101aに係合し、第1シフト軸101が前進1速位置F1にスライド操作される(第1シフトギヤ44が1速ギヤ41に咬合する前進1速位置F1にスライド操作される)。主変速レバー117を後進位置Rに操作すると、操作アーム118が上方に操作されて第1シフト軸101の受け部101aに係合し、第1シフト軸101が後進位置Rにスライド操作される(第1シフトギヤ44が後進ギヤ37に咬合する後進位置Rにスライド操作される)。
【0058】
図10,19(ロ),21に示すように、主変速レバー117を前進2速位置F2に操作すると、操作アーム118が下方に操作されて第2シフト軸102の受け部102aに係合し、第2シフト軸102が前進2速位置F2にスライド操作される(第2シフトギヤ45が2速ギヤ42に咬合する前進2速位置F2にスライド操作される)。主変速レバー117を前進3速位置F3に操作すると、操作アーム118が下方に操作されて第2シフト軸102の受け部102aに係合し、第2シフト軸102が前進3速位置F3にスライド操作される(第2シフトギヤ45が3速ギヤ43に咬合する前進3速位置F3にスライド操作される)。
【0059】
図10に示すように、第1及び第2シフト軸101,102にリング状の溝部101c,102cが形成され、ミッションケース7に2個のボール123が図10の紙面上下方向に移動自在に配置されており、第1及び第2シフト軸101,102が中立位置Nに位置していると、ボール123が第1及び第2シフト軸101,102の溝部101c,102cに対向するように構成されている。
【0060】
これにより、図10に示すように、第1及び第2シフト軸101,102が中立位置Nに位置している状態で、第1シフト軸101が前進1速位置F1又は後進位置Rにスライド操作されると、ボール123が第2シフト軸102の溝部102cに入り込んで、第2シフト軸102が中立位置Nに保持される。逆に第1及び第2シフト軸101,102が中立位置Nに位置している状態で、第2シフト軸102が前進2速位置F2又は前進3速位置F3にスライド操作されると、ボール123が第1シフト軸101の溝部101cに入り込んで、第1シフト軸101が中立位置Nに保持される。
【0061】
[9]
次に、走行用の副変速装置50の操作系について説明する。
図9,11,18に示すように、走行用の副変速装置50を操作するシフト軸100がミッションケース7の内部に機体前後方向に配置され(機体前後方向にスライド自在)、伝動軸31に沿って並設されており、シフト軸100がミッションケース7の前部の下部(入力ケース6の下側)から機体前側に向いて突出している。シフト軸100にシフトフォーク100aが固定されて、シフト軸100のシフトフォーク100aがシフト部材49に係合している。
【0062】
図18に示すように、操作軸124が支持フレーム107の横軸芯P9周りに回転自在に支持され、操作軸124に副変速レバー125が固定されている。ボス部126が操作軸99に相対回転自在に外嵌されて、ボス部126に固定されたアーム126aがシフト軸100の機体前側の端部に接続されており、操作軸124に固定されたアーム124aとボス部126に固定されたアーム126bとに亘って、連係ロッド127が接続されている。
【0063】
図1,2,21に示すように、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体左側の少し機体後側の位置に、副変速レバー125が備えられた状態となって、主変速レバー117及びレバーガイド122の下側に副変速レバー125が位置しており、副変速レバー125が機体後方に向くような状態となっている。副変速レバー125を案内するレバーガイド128がレバーガイド122の下側に備えられ、レバーガイド128は機体上下方向の案内孔によって構成されている。
【0064】
図9,18,21に示すように、副変速レバー125を低速位置Lに操作すると、シフト軸100が低速位置Lにスライド操作され、シフト部材49が低速ギヤ47に咬合する低速位置Lにスライド操作される。副変速レバー125を高速位置Hに操作すると、シフト軸100が高速位置Hにスライド操作され、シフト部材49が高速ギヤ48に咬合する高速位置Hにスライド操作される。図9に示すように、ミッションケース7にボールデテント機構129が備えられており、ボールデテント機構129によってシフト軸100が低速位置L及び高速位置Hに保持される。
【0065】
[10]
次に、PTO変速装置90の操作系について説明する。
図10及び図11に示すように、PTO変速装置90を操作するシフト軸130が、ミッションケース7の内部に機体前後方向に配置されて(機体前後方向にスライド自在)、円筒軸38及びPTO伝動軸32に沿って並設されており、図18に示すように、シフト軸130がミッションケース7の前部の上部(入力ケース6の上側)から機体前側に向いて突出している。シフト軸130にシフトフォーク130aが固定されて、シフト軸130のシフトフォーク130aがシフト部材89に係合している。操作軸131が支持フレーム107の縦軸芯P10周りに回転自在に支持され、操作軸131の上部にPTO変速レバー132が固定されており、操作軸131の下部に固定されたアーム131aが、シフト軸130の機体前側の端部に接続されている。
【0066】
図2及び図21に示すように、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体右側の少し機体後側の位置に、PTO変速レバー132が備えられた状態となって、PTO変速レバー132が機体斜め右後方外方に向くような状態となっている。カバー121において、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体右側の少し機体後側の位置に、PTO変速レバー132を案内するレバーガイド133が、機体斜め左後方外方に向くように備えられている。レバーガイド133は機体左右方向の案内孔によって構成されており、図10及び図21に示す状態はPTO変速レバー132を中立位置Nに操作している状態であり、シフト軸130が中立位置Nに位置している状態である。
【0067】
図1,2,21に示すように、カバー121において、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体右側の位置に、エンジン3用のハンドアクセルレバー134が前後に操作自在に備えられており、レバーガイド133の下側に、エンジン3の始動及び停止を行うキースイッチ135が備えられている。
【0068】
図10及び図21に示すように、PTO変速レバー132を低速位置Lに操作すると、シフト軸130が低速位置Lにスライド操作されて、シフト部材89が円筒軸38に咬合する低速位置Lにスライド操作される。PTO変速レバー132を高速位置Hに操作すると、シフト軸130が高速位置Hにスライド操作されて、シフト部材89が伝動ギヤ88に構造する高速位置Hにスライド操作される。図10に示すように、ミッションケース7にボールデテント機構136が備えられており、ボールデテント機構136によってシフト軸100が中立位置N、低速位置L及び高速位置Hに保持される。
【0069】
図21に示すように、キースイッチ135によりエンジン3の始動を行う場合、主変速レバー117及びPTO変速レバー132が中立位置Nに操作されている状態でのみ、キースイッチ135によるエンジン3の始動が可能となっている。この場合、PTO変速レバー132が中立位置Nに操作されていることを検出する構造として、図18及び図22に示すように、操作軸131の中間部にアーム131bが固定され、支持部材108にリミットスイッチ137が固定されて、操作軸131のアーム131bと、リミットスイッチ137の操作部137aとに亘ってバネ138が接続されている。
【0070】
これにより、図22に示すように、PTO変速レバー132が中立位置Nに操作されていると、操作軸131のアーム131bとバネ138とが略直線状に並んで、リミットスイッチ137の操作部137aが切り位置に操作されている。PTO変速レバー132が低速位置L又は高速位置Hに操作されると、操作軸131のアーム131bとバネ138とが「く」字状に曲がり、操作軸131のアーム131bによりバネ138が引き操作されて、リミットスイッチ137の操作部137aが入り位置に操作される。以上のようにして、リミットスイッチ137の操作部137aが切り位置及び入り位置により、PTO変速レバー132が中立位置Nに操作されていることを検出する。
【0071】
[11]
次に、右及び左のサイドブレーキ66の操作系について説明する。
図7,13,18に示すように、右の機体フレーム1の機体右側において、右のサイドブレーキペダル139が操作軸99に相対回転自在に外嵌され、右のサイドブレーキペダル139にアーム139aが固定されている。右の機体フレーム1の中間部1aに開口部(図示せず)が形成されており、右のサイドブレーキ66を制動状態に操作する操作軸68に固定されたアーム68aと、右のサイドブレーキペダル139のアーム139aとに亘って、連係ロッド141が接続されており、連係ロッド141が右の機体フレーム1の開口部を通して配置されている。
【0072】
図7,13,18に示すように、右の機体フレーム1の機体右側において、左のサイドブレーキペダル140が操作軸99に固定され、操作軸99の機体左側の端部にアーム99aが固定されている。左の機体フレーム1の中間部1aに開口部(図示せず)が形成されており、左のサイドブレーキ66を制動状態に操作する操作軸68に固定されたアーム68aと、操作軸99のアーム99aとに亘って、連係ロッド142が接続されており、連係ロッド142が左の機体フレーム1の開口部を通して配置されている。
【0073】
これにより、図7,13,18に示すように、右のサイドブレーキペダル139を踏み操作すると、右のサイドブレーキペダル139のアーム139aにより連係ロッド141が引き操作されて、操作軸68により右のサイドブレーキ66が制動状態に操作される。左のサイドブレーキペダル140を踏み操作すると、左のサイドブレーキペダル140と一緒に操作軸99が横軸芯P1周りに回転操作され、操作軸99のアーム99aにより連係ロッド142が引き操作されて、操作軸68により左のサイドブレーキ66が制動状態に操作される。
【0074】
図7及び図14に示すように、右の機体フレーム1の横軸芯P11周りに、デフロップペダル143が上下に揺動自在に支持され、デフロップペダル143にアーム143aが固定されている。後輪デフ機構62をデフロック状態に操作する操作軸65にアーム65aが固定され、デフロップペダル143のアーム143aと操作軸65のアーム65aとに亘って連係ロッド144が接続されており、デフロックペダル143を上方(デフ作動状態)に付勢するバネ(図示せず)が備えられている。
【0075】
これにより、図7及び図14に示すように、デフロックペダル143を踏み操作していないと、後輪デフ機構62がデフ作動状態となっている。デフロックペダル143を踏み操作すると、デフロップペダル143のアーム143aにより連係ロッド144が引き操作されて、操作軸65により後輪デフ機構62がデフロック状態に操作される。
【0076】
[12]
次に、運転座席146の付近について説明する。
図3,4,6,7に示すように、右及び左の機体フレーム1に亘って横フレーム60,147ga連結されて、後輪支持ケース59が横フレーム60に連結されており、機体の後部に作業装置(図示せず)を連結する為の右及び左の連結部148が、横フレーム60に連結されている。
【0077】
図3,4,6,7に示すように、正面視アーチ状の横フレーム149が右及び左の機体フレーム1に亘って連結されて、横フレーム149の横軸芯P12周りに操作軸150が回転自在に支持されており、右及び左のリフトアーム150aが操作軸150に固定されている。左の機体フレーム1の中間部1aにブラケット151が連結され、単動型の油圧シリンダ152がブラケット151に上下に揺動自在に支持されており、操作軸150に固定されたアーム150bに油圧シリンダ152が接続されている。油圧シリンダ152が機体左右中央から機体左側に偏位して配置され、機体前後方向の機体後側に向いて配置されている。
【0078】
図3,4,6,7に示すように、正面視アーチ状の横フレーム153が左の機体フレーム1と後車軸ケース8とに亘って連結され、横フレーム153の機体右側の端部に制御弁154が連結されており、制御弁154と油圧シリンダ152とに亘って油圧ホース(図示せず)が接続されている。ポンプ15から油圧配管(図示せず)が延出され、油圧配管が右の機体フレーム1とミッションケース7との間でミッションケース7の上側を延出されて制御弁154に接続されており、ポンプ15からの作動油が制御弁154を介して油圧シリンダ152に供給される。
【0079】
図3,4,6,7に示すように、機体の後部に作業装置を連結する場合、作業装置を右及び左の連結部148に連結し、操作軸150の右及び左のリフトアーム150aと作業装置とに亘って、リフトロッド(図示せず)を接続する。油圧シリンダ152を伸長及び収縮駆動することにより、操作軸150の右及び左のリフトアーム150aが上下に揺動駆動されて、作業装置を昇降駆動することができる。
【0080】
図3,4,6,7に示すように、右の機体フレーム1と油圧シリンダ152との間においてバッテリー157が横フレーム60,147に載せられて、横フレーム149,153に亘って連結された押さえ部材158により、バッテリー157が固定されている。横フレーム153に右及び左の支持部153aが固定され、運転座席146に固定された連結部146aが、横フレーム153の右及び左の支持部153aの横軸芯P13周りに上下に揺動自在に連結されている。右及び左のバネ159が、横フレーム149に固定されている。
【0081】
図3及び図6に示す状態は、運転座席146を右及び左のバネ159に載せた通常の使用姿勢であり、横フレーム153の右及び左の支持部153aの横軸芯P13周りに運転座席146を上方に持ち上げることにより、油圧シリンダ152及びバッテリー157の付近が大きく開放されて、この付近のメンテナンス作業が容易に行える。
【0082】
[13]
この農用トラクタでは機体の前部にロータリ式の耕耘装置160を連結することができるように構成されており、次に耕耘装置160について説明する。
図23,24,25に示すように、連結ヒッチ161に右及び左の支持アーム161aが連結され、連結ヒッチ161の右及び左の支持アーム161aにベベルギヤケース162が連結されており、連結ヒッチ161がボルト165により右及び左の前フレーム2に連結されて、ベベルギヤケース162に備えられた入力軸163が連結部材164を介して前PTO軸97に連結されている。
【0083】
図23,24,25に示すように、連結ヒッチ161の右及び左の支持アーム161aにボス部161bが固定されて、アーム状の支持部材166,167に固定されたボス部166a,167aが、連結ヒッチ161のボス部161bに相対回転自在に支持されており、支持部材166,167が連結ヒッチ161の右及び左の支持アーム161aの横軸芯P14周りに上下に揺動自在に支持されている。支持部材166,167に支持パイプ168が連結され、支持パイプ168の間に伝動ケース169が連結されており、耕耘爪170aを備えた耕耘軸170が、伝動ケース169の下部から機体右側及び左側に延出されている。
【0084】
図25及び図26に示すように、出力軸172がベベルギヤケース162に回転自在に支持されており、出力軸172にベベルギヤ173,174が相対回転自在に外嵌され、入力軸163に固定されたベベルギヤ163aがベベルギヤ173,174に咬合している。シフト部材175がスプライン構造により出力軸172に一体回転自在且つスライド自在に外嵌されて、ベベルギヤケース162の縦軸芯P15周りに揺動自在に支持された操作アーム176がシフト部材175が係合し、操作アーム176に固定された操作レバー176aがベベルギヤケース162の外部に備えられており、操作アーム176の操作レバー176aによりシフト部材175をスライド操作することができる。
【0085】
図25及び図26に示すように、出力軸172が支持部材166から突出して、出力軸172の端部にスプロケット17aが固定され、支持部材166及び支持パイプ168に亘って伝動軸177が回転自在に支持されており、伝動軸177の端部にスプロケット177aが固定されている。出力軸172のスプロケット172aと伝動軸177のスプロケット177aとに亘って伝動チェーン178が巻回されており、出力軸172のスプロケット172a、伝動軸177のスプロケット177a及び伝動チェーン178を覆うカバー179が、支持部材166に固定されている。耕耘軸170に接続されたスプロケット180が伝動ケース169の下部に備えられて、伝動軸177に固定されたスプロケット177bとスプロケット180とに亘って、伝動チェーン181が巻回されている。
【0086】
これにより、図25及び図26に示すように、操作アーム176の操作レバー176aを中立位置に操作すると、シフト部材175がベベルギヤ173,174に咬合しないベベルギヤ173,174の中間位置に位置して耕耘軸170が停止する。操作アーム176の操作レバー176aを正転位置に操作すると、シフト部材175がベベルギヤ173に咬合し、前PTO軸97の動力が伝達されて、耕耘軸170が正転駆動(図23の紙面反時計方向)される。操作アーム176の操作レバー176aを逆転位置に操作すると、シフト部材175がベベルギヤ174に咬合し、前PTO軸97の動力が伝達されて、耕耘軸170が逆転駆動(図23の紙面時計方向)される。
【0087】
図22及び図24に示すように、支持部材166,167のボス部166a,167aにアーム166b,167bが固定されており、連結ヒッチ161の右及び左の支持アーム161aと支持部材166,167のアーム166b,167bとに亘って、単動型の油圧シリンダ171が接続されている。以上のようにして、耕耘装置160が構成されている。
【0088】
図23,24,25に示すように、連結ヒッチ161の支持アーム161aに支持アーム161cが固定されて下方に延出されており、連結ヒッチ161の支持アーム161cの横軸芯P16周りに、支持アーム182が上下に揺動自在に支持され、押圧ローラー183が支持アーム182に自由回転自在に支持されている。支持アーム182にボス部182aが固定されており、播種機184が支持アーム182のボス部182aに固定されている。支持部材166,167のボス部166a,167aにアーム166c,167cが固定され、支持アーム182に受け板182bが固定されており、支持部材166,167のアーム166c,167cに接続された連係ロッド185が、支持アーム182の受け板182bの開口に挿入されている。
【0089】
これにより、図23及び図24に示すように、耕耘装置160(耕耘軸170の耕耘爪170a)によって圃場が耕耘されながら、播種機184により圃場に播種が行われるのであり、播種の行われた部分が押圧ローラー183により押圧される。油圧シリンダ171を伸長及び収縮駆動することにより、耕耘装置160(支持部材166,167、支持パイプ168及び伝動ケース169)が横軸芯P14周りに上下に揺動駆動されるのであり、耕耘装置160の機体に対する上下位置を任意に設定及び変更することができる。油圧シリンダ171により耕耘装置160を上限位置付近に上昇駆動すると、支持部材166,167のアーム166c,167cにより下方に操作された連係ロッド185のピン185aが、支持アーム182の受け板182bに接当して、支持アーム182(押圧ローラー183及び播種機184)が横軸芯P16周りに上昇駆動される。
【0090】
[14]
図1〜図22に示す農用トラクタは車高が比較的低い標準仕様であり、この農用トラクタは図27及び図28に示すように車高が比較的高い高床仕様も設定することができる。次に、この高床仕様について説明する。
図29及び図30に示すように高床仕様において、標準仕様の後車軸ケース8の機体右側及び左側の端部に中間ケース186が連結され、中間ケース186に標準仕様の後輪支持ケース59が連結されており、中間ケース186が側面視(図29参照)で斜め後方下方に延出されて、後輪支持ケース59が側面視(図29参照)で下方に延出されている。標準仕様の伝動軸63(図14参照)に代えて、少し長い伝動軸187が後輪デフ機構62から中間ケース186の内部に亘って配置され、中間ケース186と後輪支持ケース59とに亘って伝動軸188が配置されており、伝動軸187に固定されたスプロケット187a、伝動軸188に固定されたスプロケット188aとに亘って伝動チェーン189が巻回されている。
【0091】
図29及び図30に示すように、高床仕様において、標準仕様の後輪デフ機構62、後輪出力軸33、シフト部材64及び操作軸65等(図12及び図14参照)がそのまま使用されている。標準仕様の車軸69、伝動軸70、伝動ギヤ71(伝動軸188に固定される)、伝動ギヤ72,73,74等(図14参照)がそのまま使用されており、図27及び図28に示すように、標準仕様の後輪9(図1参照)よりも大径の後輪190(走行装置に相当)が使用されている。
【0092】
図28及び図31に示すように、高床仕様において、標準仕様の前車軸ケース4の機体右側及び左側の端部に中間ケース191が連結され、中間ケース191に標準仕様の支持ケース75が連結されている。標準仕様の伝動軸84(図16参照)に代えて、少し長い伝動軸192が、前輪デフ機構83から中間ケース191及び支持ケース75の内部に亘って配置されており、標準仕様の前輪デフ機構83、入力軸77及びベベルギヤ84a(伝動軸192に固定される)等(図16参照)がそのまま使用されている。標準仕様の伝動軸85(図16参照)に代えて、少し長い伝動軸193が支持ケース75に支持されており、標準仕様のベベルギヤ85a,85b(伝動軸193に固定される)等(図16参照)がそのまま使用されている。
【0093】
前輪支持ケース86は通常は図31に示すように、前輪支持ケース86の上部86aが比較的長いものに形成されており、高床仕様において、前輪支持ケース86の上部96aを切除せずに、前輪支持ケース86をそのまま使用する。標準仕様の車軸87(図16参照)に代えて、少し短い車軸194が前輪支持ケース86に支持されており、標準仕様のベベルギヤ87a(車軸194に固定される)等(図16参照)がそのまま使用されている。図27及び図28に示すように、標準仕様の前輪5(図1参照)よりも大径の前輪195(走行装置に相当)(後輪190と同径)が使用されている。
【0094】
これにより、図27及び図28に示すように、車高が比較的高い高床仕様が設定されるのであり、高床仕様の前輪1のトレッド及び後輪2のトレッドが同じものに設定され、高床仕様の前輪1のトレッド及び後輪2のトレッドが、標準仕様の前輪1のトレッド及び後輪2のトレッドよりも大きなものに設定される。
【0095】
[発明の実施の第1別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、エンジン3の出力軸3aが機体右側の横向きに突出するように、エンジン3を横向きに右及び左の前フレーム2の上部に連結し、入力ケース6から機体右側の横向きに入力軸10が突出して右の機体フレーム1から機体右側に出るように構成してもよい。このように構成すると、入力ケース6の機体左側の端部にポンプ15が連結される。
【0096】
[発明の実施の第2別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]において、入力ケース6を廃止し、入力軸10、クラッチ18及び操作軸20等を、ミッションケース7の内部に配置するように構成して、ミッションケース7から機体左側(又は機体右側)に入力軸10が突出するように構成してもよい。
【0097】
[発明の実施の第3別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態][発明の実施の第2別形態]において、空冷ディーゼル型式のエンジン3に代えて、水冷ディーゼル型式や、空冷及び水冷ガソリン型式のエンジン3を使用してもよい。
後輪9,190に代えて、クローラ走行装置(図示せず)(走行装置に相当)を備えてもよい(前輪5,195はそのまま使用する)。又、前輪5,195及び後輪9,190に代えて、クローラ走行装置(図示せず)(走行装置に相当)を備えてもよい。
伝動ベルト11に代えて、エンジン3の動力を入力軸10に伝動軸(図示せず)(伝動機構に相当)を介して伝達するように構成してもよい。
【0098】
[発明の実施の第4別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第3別形態]において、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体右側の少し機体後側の位置に、主変速レバー117及びレバーガイド122を備え、主変速レバー117及びレバーガイド122を機体斜め右後方外方に向くように構成し、レバーガイド122の下側に副変速レバー125及びレバーガイド128を備えるように構成してもよい。このように構成すると、操縦ハンドル103の下側で操縦ハンドル103(操作軸103a)の機体左側の少し機体後側の位置に、PTO変速レバー132及びレバーガイド133を備え、PTO変速レバー132及びレバーガイド133を機体斜め左後方外方に向くように構成する。
【0099】
[発明の実施の第5別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態][発明の実施の第1別形態]〜[発明の実施の第4別形態]において、油圧シリンダ152を機体左右中央から機体右側に偏位して配置し、機体前後方向の機体後側に向いて配置してもよい。このように構成すると、左の機体フレーム1と油圧シリンダ152との間にバッテリー157を配置し、左の機体フレーム1の近傍に制御弁154を配置する。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】農用トラクタ(標準仕様)の全体側面図
【図2】農用トラクタ(標準仕様)の全体平面図
【図3】農用トラクタ(標準仕様)の縦断側面図
【図4】農用トラクタ(標準仕様)の横断平面図
【図5】機体の前部の付近の縦断側面図
【図6】機体の後部の付近の縦断側面図
【図7】機体の後部の付近の横断平面図
【図8】入力ケースの横断平面図
【図9】ミッションケースの縦断側面図
【図10】ミッションケースの上部の縦断側面図
【図11】ミッションケースの伝動軸及びPTO伝動軸、シフト軸の配置を示す縦断正面図
【図12】後車軸ケースの前及び後ケース部の付近の縦断側面図
【図13】後車軸ケース及び後輪の背面図
【図14】後車軸ケース及び後輪支持ケースの縦断背面図
【図15】前車軸ケース及び前輪の背面図
【図16】前車軸ケース、支持ケース及び前輪支持ケースの縦断背面図
【図17】ステアリングギヤボックス及びピットマンアームの付近の平面図
【図18】操縦ハンドルの付近の縦断正面図
【図19】操作アーム、第1及び第2シフト軸の動作を示す正面図
【図20】操作アームの付近の横断平面図
【図21】操縦ハンドルの付近の背面図
【図22】PTO変速レバー及びリミットスイッチの動作を示す横断平面図
【図23】耕耘装置の全体側面図
【図24】耕耘装置の縦断側面図
【図25】耕耘装置の横断平面図
【図26】耕耘装置のベベルギヤケースの横断平面図
【図27】農用トラクタ(高床仕様)の全体側面図
【図28】農用トラクタ(高床仕様)の全体平面図
【図29】農用トラクタ(高床仕様)の縦断側面図
【図30】高床仕様の後車軸ケース、中間ケース及び後輪支持ケースの縦断背面図
【図31】高床仕様の前車軸ケース、中間ケース、支持ケース及び前輪支持ケースの縦断背面図
【符号の説明】
【0101】
3 エンジン
3a エンジンの出力軸
5,9,190,195 走行装置
7 ミッションケース
10 入力軸
11 伝動ベルト、伝動機構
16a,17 ベベルギヤ機構
16,30,31 伝動軸
18 クラッチ
40,50 変速装置
100,101,102 シフト軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸が横向きに突出するようにエンジンを機体の前部に横向きに備えて、前記エンジンの後側にミッションケースを備え、
入力軸を横向きに突出させて、前記エンジンの出力軸と入力軸とに亘って伝動ベルトを巻回すると共に、
前記ミッションケースの内部に複数の伝動軸を機体前後方向に配置し、前記複数の伝動軸を互いに並設して、前記複数の伝動軸の間で走行用の変速装置を構成し、
前記入力軸に伝達された動力がベベルギヤ機構を介して、前記複数の伝動軸に伝達され、前記走行用の変速装置から走行装置に伝達されるように構成してある作業車の走行伝動構造。
【請求項2】
前記入力軸をミッションケースの前部に備え、前記入力軸とベベルギヤ機構との間にクラッチを備えてある請求項1に記載の作業車の走行伝動構造。
【請求項3】
エンジンを機体の前部に備えて、前記エンジンの後側にミッションケースを備え、前記エンジンの動力をミッションケースに伝達する伝動機構を備えると共に、
前記ミッションケースの内部に複数の伝動軸を機体前後方向に配置し、前記複数の伝動軸を互いに並設して、前記複数の伝動軸の間で走行用の変速装置を構成し、
前記走行用の変速装置を操作するシフト軸を機体前後方向に配置し複数の伝動軸に並設して、前記シフト軸をミッションケースの前部から機体前側に向けて突出させてある作業車の走行伝動構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−341738(P2006−341738A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169513(P2005−169513)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】