説明

光増幅媒体ファイバのエッチング方法、および光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法

【課題】長手方向に延在して形成された空孔を有する光増幅媒体ファイバのエッチング方法の提供。
【解決手段】希土類元素が添加されたコアと、該コアの外周上に設けられた内側クラッドと、該内側クラッドの外周上に形成された空孔層と、該空孔層の外周上に設けられた外側クラッドと、外側クラッドの外周上に設けられた被覆を有し、空孔層は、長手方向に延在して形成された空孔と、内側クラッドの外周と外側クラッドの内周とを連結する連結部とから構成された光増幅媒体ファイバ10のエッチング方法であって、被覆の長手方向の一部を除去して被覆除去部17を形成したのち、光増幅媒体ファイバ10の両端から空孔内に空気を圧送して内圧をかけた状態で、被覆除去部17をエッチング液34中に浸漬し、光増幅媒体ファイバ10の外側クラッドの長手方向の一部を除去して内側クラッドが露出されてなる内側クラッド露出部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報通信、レーザ医療、レーザ加工などの分野で利用される光増幅媒体ファイバのエッチング方法、および光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光増幅媒体ファイバの一種として、図12に示すように、希土類元素が添加されたコア101の外周に内側クラッド102が設けられ、この内側クラッド102の外周に、空孔層103を介して外側クラッド104が設けられ、さらにその上に被覆105が設けられたものがある。空孔層103は、空孔106と、内側クラッド102と外側クラッド104とを連結する連結部107とが、円周方向に交互に形成されることにより構成されている(非特許文献1)。
【0003】
このような空孔ファイバ構造を有する光増幅媒体ファイバ110は、内側クラッド102と空孔層103との屈折率差が大きいため、該光増幅媒体ファイバ110の端面から開口数の大きな励起光を入射することが可能であり、大出力の光ファイバレーザを構成することができる利点がある。この種の光増幅媒体ファイバ110を光励起する場合、該光ファイバ110の側方から励起光を入射しようとすると、空孔層103により励起光が散乱されてしまい、入射効率が悪いので、一般に光増幅媒体ファイバ110の端面から入射するようにしている。
【0004】
図13は、従来の光増幅媒体ファイバの光励起方法の一例を示す概略図である。この光励起方法は、レーザダイオード126(励起光源)から出力される励起光124の光線を集光レンズ127により光増幅媒体ファイバ110の端面111に集光させることにより、励起光124を光増幅媒体ファイバ110の内側クラッド102から入射させ、光増幅媒体ファイバ110のコア101に添加された希土類元素を励起させるものである。
【0005】
図14は、従来の光ファイバ増幅器の第1例を示す概略構成図である。この光ファイバ増幅器140Aにおいては、信号光入射用光ファイバ141の端面142から出力された信号光143は、集光レンズ144により集光され、光フィルタ145を通過して光増幅媒体ファイバ110の端面111に入射される。また、励起光124は集光レンズ127により集光され、光フィルタ145に反射されて、光増幅媒体ファイバ110の端面111に入射される。光増幅媒体ファイバ110内で、信号光は、励起光124の吸収により励起された希土類元素により増幅され、光増幅媒体ファイバ110の反対側の端面112から出力信号光146として出力される。
【0006】
図15は、従来の光ファイバ増幅器の第2例を示す概略構成図である。この光ファイバ増幅器140Bは、光増幅媒体ファイバ110に入射される励起光124の強度を高くするため、複数のレーザダイオード(励起光源)126,126,…を用いている。そして、これらの励起光源126,126,…から出力される励起光124を、石英ガラスなどから構成された光合波素子128により合波し、集光レンズ127および光フィルタ145を介して、光増幅媒体ファイバ110の端面111に入射させる構成となっている。これにより、この光ファイバ増幅器140Bは、1個の励起光源を用いる場合よりも高い増幅率を得ることができる。
【0007】
図16は、従来の光ファイバ増幅器の第3例を示す概略構成図である。この光ファイバ増幅器140Cは、複数の光増幅媒体ファイバ110a,110b,110cを、集光レンズ144および、励起光124と信号光143,147とを合波する光フィルタ145を介して直列に結合させた構成となっている。すなわち、信号光入射用光ファイバ141の端面142から出力された信号光143は、順次、第1,第2,第3の光増幅媒体ファイバ110a,110b,110cに入射されてそこで増幅される。それぞれの光増幅媒体ファイバ110a,110b,110cの間では、信号光は空間ビーム147となって空間を伝播し、励起光と合波されて次の光増幅媒体ファイバ110b,110cに入射される。これにより、高強度の出力信号光146を得ることができる。
【0008】
図17は、従来の光増幅媒体ファイバの光励起方法の他の例を示す概略図である。この方法で用いられる光増幅媒体ファイバ210は、コア201と、該コア201の外周上に設けられ、石英ガラスなどからなる内側クラッド202と、該内側クラッド202の外周上に形成された外側クラッド203とを有するダブルクラッド型の光ファイバである。外側クラッド203は、内側クラッド202よりも屈折率が若干低い(例えば内側クラッド202の屈折率が1.45に対して外側クラッド203の屈折率は1.42)樹脂被覆であり、この屈折率差により、内側クラッド202内の導波が可能になっている。
【0009】
この光励起方法では、光増幅媒体ファイバ210の外側クラッド203が、長手方向の一部において除去されており、さらに、この被覆除去部211において露出された内側クラッド202の外周の一部が研磨されて平面状の研磨部212となっている。励起光入射用光ファイバ220の端面223は斜めに切断されて、前記研磨部212に接合されている。さらにこの接合部213と研磨部212とを保護するための保護樹脂層214が設けられている。
【0010】
この光励起方法によれば、励起光入射用光ファイバ220を伝播する励起光224は、接合部213から光増幅媒体ファイバ210に入射されることにより、光増幅媒体ファイバ210の光励起がなされる。
【非特許文献1】J.K.サフ(Sahu)ら、”Jacketed air clad cladding pumped ytterbium−doped fiber laser with wide tuning range”、エレクトロニクス・レターズ誌(Electronics Letters)、(イギリス)、2001年、第37巻、p.1116−1117
【特許文献1】米国特許第6370297号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の空孔ファイバ構造の光増幅媒体ファイバ110を用いた光ファイバ増幅器140A〜140Cの場合、信号光143,147および励起光124は空間ビームとして光増幅媒体ファイバ110に入射させる必要があったため、集光レンズ144や光フィルタ145などの光学系が必要となり、しかも、信号光入射用光ファイバ141と励起光源126とを同時に調心する必要がある。このため、光線の光学軸などの調整などに非常に繁雑な作業が要求される。また、光学軸を調整した後でも、振動や衝撃などの機械的外乱や、温度変化などの他の外乱によって光学軸がずれてしまい、所望の増幅特性が得られなくなってしまうなどの問題がある。
【0012】
また、ダブルクラッド型の光増幅媒体ファイバ210を用いた場合、内側クラッド202と外側クラッド203との屈折率の差が小さいため、励起光入射用光ファイバ220から入射された励起光224の内、入射角θが小さい成分のみが光増幅媒体ファイバ210を伝播することができる。入射角θが大きい成分は内側クラッド202から外側クラッド203を経て光ファイバ210外に漏洩し、光損失となってしまう。すなわち、励起光224の光増幅媒体ファイバ210への入射効率が低く、光損失が大きいという問題がある。
【0013】
従って、本発明の課題は、光増幅媒体ファイバに高い効率で励起光を入射することができ、優れた増幅特性が得られる光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法、およびこの励起光入射構造の製造に適する光増幅媒体ファイバのエッチング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、希土類元素が添加されたコアと、該コアの外周上に設けられた内側クラッドと、該内側クラッドの外周上に形成された空孔層と、該空孔層の外周上に設けられた外側クラッドと、前記外側クラッドの外周上に設けられた被覆を有し、前記空孔層は、長手方向に延在して形成された空孔と、前記内側クラッドの外周と前記外側クラッドの内周とを連結する連結部とから構成された光増幅媒体ファイバのエッチング方法であって、前記被覆の長手方向の一部を除去して被覆除去部を形成したのち、光増幅媒体ファイバの両端から前記空孔内に空気を圧送して内圧をかけた状態で、上記被覆除去部をエッチング液中に浸漬し、光増幅媒体ファイバの外側クラッドの長手方向の一部を除去して内側クラッドが露出されてなる内側クラッド露出部を形成することを特徴とする光増幅媒体ファイバのエッチング方法を提供する。
前記光増幅媒体ファイバは、内側クラッドが多角形状の断面を有するとともに、前記外側クラッドが円環状の断面を有し、前記連結部は、前記内側クラッドの外周面の稜線が前記外側クラッドの内面に接合されてなることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、希土類元素が添加されたコアと、該コアの外周上に設けられた内側クラッドと、該内側クラッドの外周上に形成された空孔層と、該空孔層の外周上に設けられた外側クラッドと、前記外側クラッドの外周上に設けられた被覆を有し、前記空孔層は、長手方向に延在して形成された空孔と、前記内側クラッドの外周と前記外側クラッドの内周とを連結する連結部とから構成された光増幅媒体ファイバに励起光を入射するための光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法であって、前記光増幅媒体ファイバの長手方向の一部に、請求項1または2に記載のエッチング方法によって外側クラッドの長手方向の一部が除去されてなる内側クラッド露出部を形成したのち、この内側クラッド露出部に露出された内側クラッドの外周に、励起光入射用光ファイバの端面を接合することを特徴とする光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法を提供する。
【0016】
前記励起光入射用光ファイバの端面は、該励起光入射用光ファイバの光学軸に対して斜めに形成し、この端面を、前記光増幅媒体ファイバに対して入射角にて斜めに励起光を入射できるように接合することが好ましい。
前記内側クラッド露出部を、前記光増幅媒体ファイバの長手方向にわたる複数箇所に形成し、前記複数の内側クラッド露出部のそれぞれに、異なる励起光入射用光ファイバの端面を接合することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光増幅媒体ファイバのエッチング方法によれば、外側クラッドが除去されて空孔の開口がエッチング液にさらされたときに、毛細管現象によるエッチング液の空孔への侵入を防止することができる。
【0018】
本発明の光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法によって製造した励起光入射構造によれば、光増幅媒体ファイバと励起光入射用光ファイバとの接続状態を確実に維持することができ、機械的外乱や温度変化等のその他の外乱によって、光学的軸ずれを起こすこともない。励起光入射用光ファイバが光増幅媒体ファイバに直接接合されるので、集光レンズが不要となり、部品点数を少なくしてコストを削減することができる上、信号光が空間中を伝播することによる損失を避けることができる。しかも、空孔層の存在のため、励起光の入射角の上限が従来よりも大きくなり、励起光入射用光ファイバから光増幅媒体ファイバへの励起光の入射効率を高くすることができる。
【0019】
さらに、内側クラッド露出部を前記光増幅媒体ファイバの長手方向にわたる複数箇所に形成し、前記複数の内側クラッド露出部のそれぞれに、異なる励起光入射用光ファイバの端面を接合した場合には、光増幅媒体ファイバの長さが、励起光の減衰する長さより長い場合でも、励起光を光増幅媒体ファイバの全長に亘って供給することができる。従って、複数の励起光源からの励起光を効率よく光増幅媒体ファイバに供給することができ、一層高い効率で光増幅媒体ファイバを励起することができる。また、信号光を途中で空間ビームとして取り出す必要がないので、信号光の損失を低減することができる。また、光合波素子が不要であるので、部品点数を少なくしてコストを削減できる上、励起光を励起光源から光増幅媒体ファイバに低損失にて入射させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
【0021】
図1は、本発明の光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造(以下、単に「励起光入射構造」ということがある)の一実施の形態を示す概略構成図である。また、図2は、図1に示す励起光入射構造に用いられている光増幅媒体ファイバを示す断面図である。
【0022】
図2に示すように、本実施の形態の励起光入射構造で用いられる光増幅媒体ファイバ10は、希土類元素が添加されたコア1と、該コア1の外周上に設けられた内側クラッド2と、該内側クラッド2の外周上に形成された空孔層3と、該空孔層3の外周上に設けられた外側クラッド4と、該外側クラッド4の外周に設けられた被覆5とを有する。内側クラッド2と外側クラッド4との間には、略弓形の断面形状を有する空孔6と、内側クラッド2の外周と外側クラッド4の内周とを連結する連結部7とが、円周方向に4箇所、交互に形成されており、これらにより空孔層3が構成されている。空孔6は、光増幅媒体ファイバ10の長手方向に延在して形成されている。
ここでは内側クラッド2は略四角形状の断面を有するとともに、外側クラッド4が円環状の断面を有している。そして、連結部7は、内側クラッド2の外周面2aの稜線が、外側クラッド4の内面4aに接合されてなる。
なお、内側クラッド2の断面の形状は、特にこれに四角形状と限定されるものではない。励起光入射用光ファイバ20との接合を容易にするためには、内側クラッド2の空孔66に臨む外周面2aとして平面部があることが好ましく、例えば、三角形、五角形、六角形などの多角形状の断面を有する内側クラッド2とすることも可能である。しかし、励起光入射用光ファイバ20との接合が十分に行われるものである限り、内側クラッド2の外周面2aが曲面であってもよい。
【0023】
コア1は、石英系ガラスに希土類元素が添加された希土類元素添加ガラスから構成することが可能である。希土類元素としては、従来、光増幅媒体ファイバに用いられている元素であれば良く、例えば、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ホルミウム(Ho)、サマリウム(Sm)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)などがある。
内側クラッド2や外側クラッド4は、例えば石英や、石英にゲルマニウムやフッ素などの公知のドーパントを添加した石英系ガラスから構成することができる。希土類元素は、例えば、質量比で、100〜2000ppm程度添加することができる。また、コア1のみならず、内側クラッド2のうちのコア1に近接する部分にも、希土類元素を添加することもできる。この他、光増幅媒体ファイバ10の材料としては、公知の石英ガラス系光ファイバやフッ化物系光ファイバ等に用いられる材料を採用することが可能である。
【0024】
図3は、上記光増幅媒体ファイバ10の製造に用いられる母材の一例を示す断面図である。また、図4は、図3に示す母材を製造する工程を説明する概略図である。
図3に示す母材60は、光増幅媒体ファイバ10のコア1、内側クラッド2、空孔層3、外側クラッド4に対応して、それぞれコア部61、内側クラッド部62、空孔層63、外側クラッド部64を有する。また、図4に示す母材製造装置70は、少なくとも、ガラス管64を把持するチャック72を備えた一対のガラス旋盤71,71と、ガラス管64を加熱するバーナ73とを備えている。
【0025】
この母材60は、例えば、図4に示すようにして製造することができる。
まず、母材60の外側クラッド部となるガラス管64内に、コア部61および内側クラッド部62となる四角柱状のガラス棒68を挿入する。このガラス棒68としては、例えば、コア部61となる中心部に、光増幅のための希土類元素および屈折率上昇のためのゲルマニウムとが添加された円柱状の石英ガラス棒をもとにして、その外周を切削および研磨して角柱状に加工したものを用いることができる。
次いで、ガラス棒68が挿入されたガラス管64の両端を、ガラス旋盤71のチャック72により把持させる。さらに、ガラス旋盤71によりガラス管64を中心軸回りに回転させながら、ガラス管64の外方に配置したバーナ73の火炎73aによりガラス管64を加熱する。加熱の際、バーナ73は、ガラス管64の長手方向(図4の左右方向)にトラバースさせる。外側のガラス管64が酸水素火炎73aにより加熱されて軟化するにつれ、該ガラス管64の内径および外径が縮み、ガラス管64(外側クラッド部)の内面64aがガラス棒68の側面(内側クラッド部の外周面)の稜線68aに付着して一体化する。
このようにして、ガラス管64とガラス棒68とが付着した箇所が連結部67となり、ガラス管64の内面64aと、ガラス管64の内面に付着しなかったガラス棒68の外周面62aとの間が空孔66となって、空孔層63を有する母材60を得ることができる。
空孔層63を有する母材60は、通常の光ファイバの線引きに用いられる線引き装置を用いて加熱して線引きし、光ファイバ10の径まで縮径される。線引き時に、紡糸された光ファイバを樹脂で被覆して樹脂被覆5が設けられる。以上のようにして、図2に示すような光増幅媒体ファイバ10を得ることができる。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態の励起光入射構造13において、光増幅媒体ファイバ10は、長手方向の一部において、被覆5および外側クラッド4が除去されており、この内側クラッド露出部14には内側クラッド2が露出されている。内側クラッド露出部14の両側には、空孔層3および外側クラッド4が残されている。そして、露出された内側クラッド2の外周15の一部である接合部16には、励起光入射用光ファイバ20の端面23が接合されている。
内側クラッド露出部14において、連結部7およびその近傍の外側クラッド4の部分は、励起光入射用光ファイバ20との接合と、励起光24の入射に悪影響を与えない限り、それぞれ、内側クラッド露出部14に部分的に残留していてもよく、また、内側クラッド露出部14から完全に除去されていてもよい。
また、特に図示しないが、本励起光入射構造13は、内側クラッド露出部14や接合部16を保護するため、スポンジやゴムなどの柔軟な保護材を密着させて接着したり、プラスチックや金属などからなるハウジングや筐体などにより覆いを設けたりすることもできる。この場合、励起光入射構造13の機械的安定性および耐久性を向上することができる。
【0027】
ここで、励起光入射用光ファイバ20とは、励起光源(例えばレーザダイオードなど)から出力された励起光を伝播して、光増幅媒体ファイバ10に入射させるための光ファイバである。励起光入射用光ファイバ20としては、例えば、裸光ファイバ21の外周に樹脂被覆22が設けられた通常の石英系シングルモード光ファイバ心線などが使用できる。樹脂被覆22用の樹脂としては、アクリル系樹脂などの紫外線硬化樹脂などが例示される。
励起光入射用光ファイバ20の端面23は、該光ファイバ20の光学軸に対して斜めに形成されており、光増幅媒体ファイバ10に対して入射角θにて斜めに励起光を入射できるようになっている。
【0028】
次に、この励起光入射構造の製造方法の一例を説明する。
図5は、光増幅媒体ファイバ10に内側クラッド露出部14を形成した状態の一例を示す斜視図であり、図6は、光増幅媒体ファイバ10に内側クラッド露出部14を形成するためのエッチング装置の一例を示す概略構成図である。
図6に示すエッチング装置30は、フッ化水素水溶液などのエッチング液34が収容されている水槽33と、2個の空気ポンプ31,31とを備えている。
水槽33には、エッチング液34に侵されない材質のものが用いられる。エッチング液34が例えばフッ化水素水溶液の場合は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが好ましい。
特に図示しないが、水槽33には、エッチング液34の温度を一定に保つための温度調整器を設けることができる。
【0029】
図6に示すエッチング装置30を用いて、光増幅媒体ファイバ10に内側クラッド露出部14を形成するには、まず、内側クラッド露出部14となる部分の被覆5を除去して被覆除去部17を形成したのち、光増幅媒体ファイバ10の両端にそれぞれ連結チューブ32を介して空気ポンプ31を接続し、光増幅媒体ファイバ10の空孔6内に空気を圧送して内圧をかける。この状態で、上記被覆除去部17をエッチング液34中に浸漬する。これにより、光増幅媒体ファイバ10の外側クラッド4がエッチングされて除去され、内側クラッド露出部14が形成される。この際、空孔6には内圧が掛けられているので、外側クラッドが除去されて空孔6の開口がエッチング液34にさらされたときに、毛細管現象によるエッチング液34の空孔6への侵入が防止される。
【0030】
内側クラッド露出部14に励起光入射用光ファイバ20の端面23を接合する方法としては、例えば、励起光入射用光ファイバ20の端面23側の被覆5を除去して裸光ファイバ21を露出させ、該端面23を斜めに切断してから内側クラッド露出部14に融着接続する方法がある。また、融着接続に代えて、接着剤を用いた接着によってもよい。励起光入射用光ファイバ20は、励起光24(図1参照)が光増幅媒体ファイバ10の内側クラッド2に入射して、空孔層3により導波されるように接合する。ここで、内側クラッド2が角柱状である場合、内側クラッド2が励起光入射用光ファイバ20の端面23と接合される接合部16が平面となるので、内側クラッド露出部14に励起光入射用光ファイバ20を接合する作業が簡単になり、また、接合強度も容易に確保される。
【0031】
次に、本実施の形態の励起光入射構造13を用いて光増幅媒体ファイバ10の光励起を行う方法を説明する。
図1に示すように、励起光入射用光ファイバ20の光増幅媒体ファイバ10に接合された側の端面23と反対側の端面(図示略)にレーザダイオードなどの励起光源(図示略)を接続し、該励起光源から出力される励起光24を励起光入射用光ファイバ20に伝播させて励起光入射用光ファイバ20の端面23から出射させる。これにより、励起光24は、光増幅媒体ファイバ10の内側クラッド2に入射される。
内側クラッド2の外周には空孔層3が存在するため、内側クラッド2と空孔層3との屈折率差は、図17に示す従来の場合と比較して十分に大きい。従って、内側クラッド2を伝播可能な励起光24の入射角θの上限が従来よりも大きくなり、より多くの成分を内側クラッド2に伝播させることが可能になる。従って、励起光入射用光ファイバ20から光増幅媒体ファイバ10への励起光の入射効率を高くすることができる。
【0032】
また、図13に示す光励起方法と比較して、本実施の形態の光励起方法によれば、励起光入射用光ファイバ20と光増幅媒体ファイバ10とが直接接合されているため、光損失が少ない。集光レンズが不要となるので、部品点数を少なくしてコストを削減することができる。また、振動や衝撃などの機械的外乱や、温度変化などの他の外乱により、光学軸がずれにくく、所望の特性を確実に維持することができる。
【0033】
図7は、本発明の光ファイバ増幅器(以下、単に「光ファイバ増幅器」ということがある)の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
この光ファイバ増幅器40Aは、光増幅媒体ファイバ10の長手方向の一部に形成された内側クラッド露出部14の外周15と、励起光入射用光ファイバ20の裸光ファイバ21の一方の端面23とが接合されてなる、上述のような励起光入射構造13を有している。
励起光入射用光ファイバ20の前記一方の端面23と反対側の他方の端面25には、励起光源26が接続されている。
【0034】
さらに光増幅媒体ファイバ10の入力端11には、信号光入射用光ファイバ41の端面42が融着接続されており、融着接続部44となっている。
光増幅媒体ファイバ10と信号光入射用光ファイバ41の融着接続は、例えば信号光を信号光入射用光ファイバ41に伝播させた状態で、該信号光が光増幅媒体ファイバ10のコア1に入力されるようにこれらの光ファイバ10,41を調心し、調心された状態を保ちながらこれらの光ファイバ10,41の端面11,42を加熱して融着させることにより行うことができる。
【0035】
このような光ファイバ増幅器40Aによれば、励起光源26から励起光入射構造13を経由して光増幅媒体ファイバ10に入射された励起光により光増幅媒体ファイバ10のコア1に添加されている希土類元素を励起し、さらに励起された希土類元素により、信号光入射用光ファイバ41から光増幅媒体ファイバ10に入力された信号光を増幅して、光増幅媒体ファイバ10の他端(出力端)12から増幅された出力信号光43を得ることができる。
すなわち、光ファイバ増幅器40Aの製造には、光ファイバの調心は、信号光入射用光ファイバ41についてのみと行えばよく、製造時の労力を著しく省くことができる。また、一旦融着接続してしまえば、信号光入射用光ファイバ41も励起光入射用光ファイバ20も、光増幅媒体ファイバ10との接続状態を確実に維持することができ、機械的外乱や温度変化等のその他の外乱によって、光学的軸ずれを起こすこともない。しかも、上述したように、空孔層3の存在のため、励起光入射用光ファイバ20から光増幅媒体ファイバ10への励起光の入射効率が高くすることができる。従って、増幅特性および信頼性の高い光ファイバ増幅器となる。
【0036】
図8は、本発明の第2の実施の形態の光ファイバ増幅器を示す概略構成図である。この光ファイバ増幅器40Bにおいては、増幅率を大きく取るために光増幅媒体ファイバ10の長さを長くしてある。励起光入射用光ファイバ20から入射される励起光は、光増幅媒体ファイバ10を伝播するに従って減衰していくので、光増幅媒体ファイバ10の長手方向に、励起光の減衰が著しくならない程度の間隔をとって、複数の励起光入射構造13,13(ここでは2箇所)が設けられている。個々の励起光入射構造13の構成は上述の第1実施の形態の光ファイバ増幅器と同様であり、励起光源26は励起光入射構造13ごとに配設されている。
【0037】
本実施の形態の光ファイバ増幅器40Bによれば、光増幅媒体ファイバ10の長さが、励起光の減衰する長さより長い場合でも、励起光を光増幅媒体ファイバ10の全長に亘って供給することができる。従って、複数の励起光源26からの励起光を効率よく光増幅媒体ファイバ10に供給することができ、増幅率の大きい光ファイバ増幅器を構成することができる。
また、励起光が複数箇所から分散されて入力されるので、励起光の吸収等に伴う発熱も分散され、光増幅媒体ファイバ10が局所的に過熱することを避けることができる。
【0038】
本実施の形態の光ファイバ増幅器40Bを図15,図16に示すような従来の光ファイバ増幅器140B,140Cと比較すると、本実施の形態のもの40Bでは、信号光を途中で空間ビームとして取り出す必要がなく、信号光の損失を低減することができる。また、励起光を合波するための光合波素子が不要であるので、部品点数を削減できる上、励起光を励起光源26から光増幅媒体ファイバ10に、低損失にて入射させることができるという利点もある。
【0039】
次に本発明の光ファイバレーザについて説明する。
図9は本発明の第1の実施の形態光ファイバレーザを示す概略構成図である。この光ファイバレーザ50Aは、光増幅媒体ファイバ10に形成された内側クラッド露出部14と、励起光入射用光ファイバ20の裸光ファイバ21の一方の端面23とが接合されてなる、上述のような励起光入射構造13を有している。
励起光入射用光ファイバ20の前記一方の端面23と反対側の他方の端面25には、励起光源26が接続されている。
【0040】
さらに光増幅媒体ファイバ10の一方の端面11には、全反射ミラー51が配設されている。また、端面11の反対側である他方の端面12には、光の一部を透過する出力ミラー52が配設されている。全反射ミラー51および出力ミラー52は、例えば接着剤により、光増幅媒体ファイバ10の端面11,12に固定されている。これらのミラー51,52としては、周知のレーザ発信器などに用いられているミラーのうち、励起光および光増幅媒体ファイバ10から放出される光の波長に適したものを適宜選択して用いることができる。
【0041】
図9では、励起光入射構造13は、全反射ミラー51側の端面11の近くに形成されており、励起光入射用光ファイバ20は、出力ミラー52側に向いた方向(図9の右向き)に接合されている。しかし、本発明の光ファイバレーザは、特にこれに限定されるものではなく、逆に、励起光入射構造13を出力ミラー52側の端面12の近くに形成し、励起光入射用光ファイバ20を全反射ミラー51側に向いた方向(図9の左向き)に接合してもよい。
【0042】
このような光ファイバレーザ50Aによれば、励起光入射用光ファイバ20から光増幅媒体ファイバ10に入射された励起光は、光増幅媒体ファイバ10のコア1の希土類元素を励起する。励起された希土類元素は、エネルギー準位に応じた所定の波長の光を自然放出するが、この自然放出された光は、全反射ミラー51と出力ミラー52との間で繰り返し反射しながら光増幅媒体ファイバ10内を伝播して繰り返し増幅されるので、レーザ発振が生じる。このようにして発振されたレーザ光の一部が出力ミラー52から出力されることにより、レーザ光53の出力を得ることができる。
このように、高い結合効率で励起光を光増幅媒体ファイバ10に入射することができる上記励起光入射構造13を用いることにより、比較的簡単な構成で、高効率な光ファイバレーザを構成することができる。
【0043】
図10は、本発明の光ファイバレーザの第2の実施の形態を示す概略構成図である。この光ファイバレーザ50Bは、上記第1の実施の形態の光ファイバレーザ50Aと同様に、一方の端面11に全反射ミラー51を、かつ他方の端面12に出力ミラー52を有する光増幅媒体ファイバ10を備えている。
この光増幅媒体ファイバ10の長さは、高強度のレーザ光を得るために比較的長くしてある。励起光入射用光ファイバ20から入射される励起光は、光増幅媒体ファイバ10を伝播するに従って減衰していくので、光増幅媒体ファイバ10の長手方向に、励起光の減衰が著しくならない程度の間隔をとって、複数の励起光入射構造13,13が設けられている。
個々の励起光入射構造13の構成は上述の励起光入射構造と同様であり、励起光源26は励起光入射構造13ごとに設けられている。
【0044】
本実施の形態の光ファイバレーザ50Bによれば、光増幅媒体ファイバ10の長さが、該光増幅媒体ファイバ10中で励起光が減衰する長さより長い場合でも、励起光を光増幅媒体ファイバ10の全長に亘って供給することができる。従って、高強度のレーザ光53を得ることができる。
【0045】
図11は、本発明の光ファイバレーザの第3の実施の形態を示す概略構成図である。この光ファイバレーザ50Cは、上記第1の実施の形態の光ファイバレーザ50Aと同様に、一方の端面11に全反射ミラー51を、かつ他方の端面12に出力ミラー52を有する光増幅媒体ファイバ10を備えている。
この光増幅媒体ファイバ10は、長手方向の中間部に、内側クラッド露出部14が形成されている。光増幅媒体ファイバ10は、光励起に十分な長さを内側クラッド露出部14の両側に有している。
【0046】
内側クラッド露出部14には、2本の励起光入射用光ファイバ20,20が接合されており、それぞれ出力ミラー52側および全反射ミラー51側に向いた方向に接合されている。励起光入射用光ファイバ20の光増幅媒体ファイバ10に接合された端面23と反対側の端面25には、それぞれ励起光源26が結合されている。
【0047】
本実施の形態の光ファイバレーザ50Cによれば、1箇所の内側クラッド露出部14に2本の励起光入射用光ファイバ20を接合することができるので、内側クラッド露出部より出力ミラー52側にある光増幅媒体ファイバ10の部分と、内側クラッド露出部より全反射ミラー51側にある光増幅媒体ファイバ10の部分との両方を励起することができるので、高強度のレーザ光53を得ることができる。
【0048】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1本の光増幅媒体ファイバに励起光入射構造を設ける個数、ならびに1個の励起光入射構造に励起光入射用光ファイバを接合する本数は、1以上であれば特に限定されることはなく、2以上の複数でもよい。
また、本発明に使用される、クラッドに空孔層を有する光増幅媒体ファイバとしては、図2に示した構造のものに限定されることはなく、図12に示すような光増幅媒体ファイバでもよい。空孔の断面形状や空孔の個数は特に限定されないが、エッチングなどにより、外側クラッドを除去したときに、内側クラッドの外周が容易に露出されるように、内側クラッドと外側クラッドとの連結部の幅(断面の周方向の寸法)が比較的小さいものがよい。
【0049】
また、光増幅媒体ファイバは、クラッドの半径方向に空孔層を2層以上(例えば内側と外側)有するものでもよい。この場合、内側クラッド露出部において、クラッドはいずれかの空孔層までが除去されることになる。そして外側クラッドとは、当該空孔層の外側に位置し、内側クラッド露出部において、除去される部分のクラッドであり、内側クラッドとは、当該空孔層の内側に位置し、内側クラッド露出部において、外周が露出される部分のクラッドである。つまり、内側クラッド露出部においてクラッドの除去の境界となる空孔層のほかに、内側クラッドと外側クラッドとの一方または両方に、他の空孔層が設けられていてもよい。
また、光増幅媒体ファイバが樹脂被覆を有する場合、外部からの外力や衝撃などに対して、光ファイバの保護になり、損傷を抑制できるので好ましい。しかし、外部からの損傷を防げるような環境下で使用される場合には、被覆は必ずしも必要ない。被覆を設けず、外側クラッドが露出されている場合、内側クラッド露出部を形成する際に、被覆を除去する工程が省略できるという利点がある。
【0050】
以下、実施例により、本発明を説明する。
[光増幅媒体ファイバの製造]
コア部の直径が2mm、クラッド部の外径が40mmの石英系ガラスからなる丸棒を用意した。このガラス棒のコア部は、1500ppm(質量比)のエルビウムと約10モル%のゲルマニウムとが添加された石英ガラスであり、クラッド部は、石英ガラスである。
この丸棒を切削および研磨により加工して、断面が正方形であり、該正方形の一辺の長さが約25mmであるガラス棒を作製した。
【0051】
得られた角柱状のガラス棒を、外径44mm、肉厚4mmの石英管に挿入し、図4に示す母材製造装置70を用いてガラス棒と石英管とを一体化させることにより、図3に示すような断面を有する母材60を作製した。
得られた母材60を通常の光ファイバの線引きに用いられる線引き装置により線引きして、クラッド径が300μmとなるように紡糸し、紫外線硬化樹脂をコーティングし、さらに紫外線を照射して樹脂被覆を形成することにより、本発明の光増幅媒体光ファイバを製造することができた。
得られた光増幅媒体光ファイバは、図2に示すような断面を有し、空孔層が良好に形成されたものであった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す励起光入射構造に用いられている光増幅媒体ファイバを示す断面図である。
【図3】図2に示す光増幅媒体ファイバの製造に用いられる母材の一例を示す断面図である。
【図4】図3に示す母材を製造する製造装置の一例を説明する概略図である。
【図5】図2に示す光増幅媒体ファイバに内側クラッド露出部を形成した状態の一例を示す斜視図である。
【図6】図2に示す光増幅媒体ファイバに内側クラッド露出部を形成する装置の一例を示す概略構成図である。
【図7】第1の実施の形態の光ファイバ増幅器を示す概略構成図である。
【図8】第2の実施の形態の光ファイバ増幅器を示す概略構成図である。
【図9】第1の実施の形態の光ファイバレーザを示す概略構成図である。
【図10】第2の実施の形態の光ファイバレーザを示す概略構成図である。
【図11】第3の実施の形態の光ファイバレーザを示す概略構成図である。
【図12】光増幅媒体ファイバの一例を示す断面図である。
【図13】従来の光増幅媒体ファイバの光励起方法の一例を示す概略図である。
【図14】従来の光ファイバ増幅器の第1例を示す概略構成図である。
【図15】従来の光ファイバ増幅器の第2例を示す概略構成図である。
【図16】従来の光ファイバ増幅器の第3例を示す概略構成図である。
【図17】従来の光増幅媒体ファイバの光励起方法の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0053】
1…コア、2…内側クラッド、3…空孔層、4…外側クラッド、5…被覆、6…空孔、7…連結部、10…光増幅媒体ファイバ、13…励起光入射構造、14…内側クラッド露出部、15…露出された内側クラッドの外周、17…被覆除去部、20…励起光入射用光ファイバ、23…励起光入射用光ファイバの端面、24…励起光、34…エッチング液、40A,40B…光ファイバ増幅器、50A〜50C…光ファイバレーザ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素が添加されたコアと、該コアの外周上に設けられた内側クラッドと、該内側クラッドの外周上に形成された空孔層と、該空孔層の外周上に設けられた外側クラッドと、前記外側クラッドの外周上に設けられた被覆を有し、前記空孔層は、長手方向に延在して形成された空孔と、前記内側クラッドの外周と前記外側クラッドの内周とを連結する連結部とから構成された光増幅媒体ファイバのエッチング方法であって、
前記被覆の長手方向の一部を除去して被覆除去部を形成したのち、光増幅媒体ファイバの両端から前記空孔内に空気を圧送して内圧をかけた状態で、上記被覆除去部をエッチング液中に浸漬し、光増幅媒体ファイバの外側クラッドの長手方向の一部を除去して内側クラッドが露出されてなる内側クラッド露出部を形成することを特徴とする光増幅媒体ファイバのエッチング方法。
【請求項2】
前記光増幅媒体ファイバは、内側クラッドが多角形状の断面を有するとともに、前記外側クラッドが円環状の断面を有し、前記連結部は、前記内側クラッドの外周面の稜線が前記外側クラッドの内面に接合されてなることを特徴とする請求項1に記載の光増幅媒体ファイバのエッチング方法。
【請求項3】
希土類元素が添加されたコアと、該コアの外周上に設けられた内側クラッドと、該内側クラッドの外周上に形成された空孔層と、該空孔層の外周上に設けられた外側クラッドと、前記外側クラッドの外周上に設けられた被覆を有し、前記空孔層は、長手方向に延在して形成された空孔と、前記内側クラッドの外周と前記外側クラッドの内周とを連結する連結部とから構成された光増幅媒体ファイバに励起光を入射するための光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法であって、
前記光増幅媒体ファイバの長手方向の一部に、請求項1または2に記載のエッチング方法によって外側クラッドの長手方向の一部が除去されてなる内側クラッド露出部を形成したのち、この内側クラッド露出部に露出された内側クラッドの外周に、励起光入射用光ファイバの端面を接合することを特徴とする光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法。
【請求項4】
前記励起光入射用光ファイバの端面は、該励起光入射用光ファイバの光学軸に対して斜めに形成し、この端面を、前記光増幅媒体ファイバに対して入射角にて斜めに励起光を入射できるように接合することを特徴とする請求項3に記載の光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法。
【請求項5】
前記内側クラッド露出部を、前記光増幅媒体ファイバの長手方向にわたる複数箇所に形成し、前記複数の内側クラッド露出部のそれぞれに、異なる励起光入射用光ファイバの端面を接合することを特徴とする請求項3または4に記載の光増幅媒体ファイバへの励起光入射構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−88543(P2009−88543A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298455(P2008−298455)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【分割の表示】特願2003−151260(P2003−151260)の分割
【原出願日】平成15年5月28日(2003.5.28)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】