光変調装置、光変調装置の制御方法および光送信器
【課題】低周波信号の周波数管理が容易になる光送信器を提供すること。
【解決手段】光送信器は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を生成するランダム信号生成部と、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧を決定する復調部と、を含み、前記各光変調部に対するランダム信号は互いに異なる。
【解決手段】光送信器は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を生成するランダム信号生成部と、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧を決定する復調部と、を含み、前記各光変調部に対するランダム信号は互いに異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッハツェンダ型変調器を用いた光変調装置、光変調装置の制御方法および光送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信需要の増大に伴い、ネットワークの大容量化が必要不可欠となっている。ネットワークの大容量化を実現するには波長(周波数)軸方向に信号を多重化する高密度波長多重(DWDM)技術が広く用いられており、今までは、1チャネルあたりの伝送レートを10 Gb/sとしたDWDM光伝送技術が主流となっている。従来のDWDM光伝送システムはノード間を単純に結ぶポイント・ツウ・ポイントシステムに主に採用され、長距離基幹伝送系における中継器や伝送路ファイバといった設備を共用化することで情報量1ビットあたりの単価を削減し、経済化を実現してきた。今後はIPトラヒックを中心とした需要に対応するために、送信光源をチューナブルレーザにし、各ノードにおいて波長チャネルを自由に分岐挿入できるROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)の実現が求められている。チューナブルレーザを搭載した光トランスポンダにはマッハツェンダ型(以下MZ型と記す)変調器、特に波長依存性の少ないニオブ酸リチウム(LiNbO3:以下LNと記す)を基板材料として用いたMZ型変調器が採用されることが多い。
【0003】
これまでネットワークの大容量化には波長(周波数)軸方向に多重化する高密度波長多重(DWDM)技術やビットレートを高速化して時間軸方向に多重化する時分割多重(TDM)技術が用いられてきた。従来の光通信ネットワークではビットレートが10Gb/sであるものが普及しているが、ビットレートを40Gb/sとするための研究開発が広く進められている。しかしながら、ビットレートを40Gb/sにすることで従来の10Gb/sのビットレートでは影響が軽微であった偏波モード分散(PMD:Polarization-Mode-Dispersion)が伝送距離制限の一要因となる。近年PMD耐力を備えた、差動四相位相シフトキーイング(DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying)を用いた変調方式についても検討が盛んに行われている。
【0004】
図13はDQPSK方式に用いる光変調器(以下ではDQPSK用光変調器と記す)100の一般的な構成である。DQPSK用光変調器100は、I用光変調部101と、Q用光変調部102と、I用光変調部101からの出力光とQ用光変調部102の出力光とで位相が直交関係になるように制御する位相シフト部103と、を含んでおり、I用光変調部101もしくはQ用光変調部102を経た外部出力光の一部は、フォト・ディテクタ(PD:Photo Detector)104によって受光され光電変換される。I用光変調部101およびQ用光変調部102のそれぞれは、MZ型光変調器である。MZ型光変調器はその基板材料であるニオブ酸リチウムの物性によって、電圧が印加される時間や温度に伴って所定の光出力を得るための最適な入力電圧が変動するドリフト特性を有している。そこで、駆動信号の他にMZ型光変調器の動作点に対応するバイアス電圧をかけるようにし、その最適な動作点がドリフト特性によって変動してもそれに追従してバイアス電圧(動作点)を変化させるようなフィードバックを行うABC(Automatic Bias Control)回路を設けている。このような光変調器のABC制御方法に関して、特許文献1や2には低周波信号をバイアス電圧に重畳して出力光のその低周波成分を取出すことにより動作点を制御する方法が記載されている。また特許文献3には、複数の光変調部を有する光変調器に関して、各光変調部に異なる周波数の低周波信号をバイアス電圧に重畳してバイアスを補正する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49−42365号公報
【特許文献2】特開平3−251815号公報
【特許文献3】特開2004−318052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低周波信号を用いてMZ型変調器からなる光変調部のABC制御を行う場合、低周波信号検出の精度を高めるために、例えば低周波信号の周波数を、他の光変調部に重畳する低周波信号の周波数と異なる周波数であって互いに整数倍となることが無い周波数に設定することが必要である。このため、周波数管理が複雑化していた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、低周波信号の周波数管理が容易になる光送信器、光変調装置、光変調装置の変調方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下
の通りである。
【0009】
本発明にかかる光送信器は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大にする前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、を含み、前記各光変調部に対するランダム信号は互いに異なる、ことを特徴とする。
【0010】
また本発明の一態様では、前記ランダム信号生成部は疑似乱数に基づいて前記ランダム信号を生成してもよい。
【0011】
また本発明の一態様では、前記ランダム信号は2値の疑似乱数系列であってもよい。
【0012】
また本発明の一態様では、前記ランダム信号をBPSK変調して前記ランダム性を有する信号を生成するBPSK信号生成部をさらに含み、前記復調部は前記光の出力強度を示す信号を遅延検波した信号と前記ランダム信号とに基づいて前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示してもよい。
【0013】
また本発明の一態様では、前記光変調器は二つの光変調部を含み、前記二つの光変調部に対する前記ランダム性を有する信号の搬送波の位相は互いに90度異なってもよい。
【0014】
また本発明の一態様では、前記合波部で合波された光の出力強度と前記ランダム信号とに基づいて、少なくとも一つの前記変調部に対する前記ランダム性を有する信号の振幅を調整する振幅調整部をさらに含んでもよい。
【0015】
また本発明の一態様では、前記バイアス制御部は、前記各光変調部に対する前記ランダム信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力し、前記復調部は、前記光の出力強度を示す信号と前記ランダム信号とを同期検波した信号に基づいて、前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示してもよい。
【0016】
本発明にかかる光変調装置は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、を含み、前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、ことを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる光変調装置のバイアス制御方法は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調装置の制御方法であって、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するステップと、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するステップと、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を指示するステップと、を含み、前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の光変調部を有する光変調器のABC制御において、低周波信号として光変調部と同数の周波数を準備する必要がなくなり、周波数管理を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図2A】I用変調部が最適駆動している状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図2B】I用変調部が最適駆動している状態のI用変調部の光出力信号を示す図である。
【図2C】Q用変調部が最適駆動している状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図2D】Q用変調部が最適駆動している状態のQ用変調部の光出力信号を示す図である。
【図2E】I用変調部およびQ用変調部が最適動作している状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図3A】I用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図3B】I用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のI用変調部の光出力信号を示す図である。
【図3C】I用変調部の動作点が最適動作点からずれ、Q用変調部が最適動作している状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図4A】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図4B】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のQ用変調部の光出力信号を示す図である。
【図4C】I用変調部が最適動作し、Q用変調部の動作点が最適動作点からずれている状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図5A】I用変調部が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図5B】I用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のI用変調部の光出力信号を示す図である。
【図5C】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図5D】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のQ用変調部の光出力信号を示す図である。
【図5E】I用変調部およびQ用変調部の動作点が最適動作点からずれた状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図7】ランダム信号とBPSK信号との例を示す図である。
【図8A】光変調部が最適動作している状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図8B】光変調部が最適動作している状態の出力光の出力強度を示す図である。
【図9】第2の実施形態においてI用変調部及びQ用変調部が最適動作している場合のBPSK信号および光出力強度を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図11】I用変調部およびQ用変調部の電圧対光出力特性に差異がある場合の光出力を示す図である。
【図12】同期検波の場合におけるPSK方式とASK方式との信号対雑音比に対する符号誤り率を示す図である。
【図13】DQPSK方式における光変調器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。光送信器は、所望の発振波長で連続発光するレーザダイオード(LD)1、LD1からのCW(Continuous Wave)光を変調するためのDQPSK用光変調器2、DQPSKのI成分(In-phase component)の駆動信号を供給するI用駆動信号発生回路6、DQPSKのQ成分(Quadrature component)の駆動信号を供給するQ用駆動信号発生回路7、そしてDQPSK用光変調器2からの光信号の一部を取り出すための光分岐部8、光分岐部8から取り出された光信号の一部を光電変換し、帯域制限することによって低周波信号を電気信号に変換する光電変換回路31と、低周波信号発生器32と、I用ランダム信号発生回路33と、Q用ランダム信号発生回路36と、I用復調回路34と、Q用復調回路37と、I用バイアス制御回路35と、Q用バイアス制御回路38とを含んでいる。DQPSK用光変調器2は、出力光信号であるDQPSK信号のI成分を制御するためのI用変調部21と、DQPSK信号のQ成分を制御するためのQ用変調部22と、I成分とQ成分の位相を90度ずらすための位相シフト部23と、I用変調部21を経た光と、Q用変調部22および位相シフト部23を経た光とを合波する合波部24とを有している。I用変調部21およびQ用変調部22のそれぞれは、MZ型光変調器である。以下ではこれらのそれぞれを光変調部と記す。I用駆動信号発生回路6は、I用変調部21へ振幅が2Vπの駆動信号を与え、Q用駆動信号発生回路7は、Q用変調部22へ振幅が2Vπの駆動信号を与える。なお、この光送信器においては、I用ランダム信号発生回路33、I用復調回路34、およびI用バイアス制御回路35、はI用変調部21に対応して設けられており、Q用ランダム信号発生回路36、Q用復調回路37、およびQ用バイアス制御回路38、はQ用変調部22に対応して設けられている。以下では、I用ランダム信号発生回路33およびQ用ランダム信号発生回路36を指す場合はランダム信号発生回路と呼び、I用復調回路34およびQ用復調回路37を指す場合は復調回路と呼び、I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38を指す場合はバイアス制御回路と呼ぶ。
【0021】
I用ランダム信号発生回路33およびQ用ランダム信号発生回路36は、低周波信号発生器32からの低周波信号をクロック信号として用い、その低周波信号の周期ごとに電位がランダムに変化するランダム信号(ランダムパタン)をそれぞれの光変調部に対して発生する。I用ランダム信号発生回路33が発生するランダム信号はI用変調部21に対するランダム信号(I用ランダム信号)であり、Q用ランダム信号発生回路36が発生するランダム信号はQ用変調部22に対するランダム信号(Q用ランダム信号)である。I用変調部21に対するランダム信号とQ用変調部22に対するランダム信号とは互いに異なり、ランダム信号どうしは直交の関係、言い換えれば無相関あるいは相関が十分に低い関係をもつ。I用バイアス制御回路35は、I用変調部21に対するバイアス電圧にI用ランダム信号を重畳させた信号電圧をI用変調部21のバイアス端子へ出力する。同様にQ用バイアス制御回路38は、Q用変調部22に対するバイアス電圧にQ用ランダム信号を重畳させた信号電圧をQ用変調部22のバイアス端子に出力する。それにより、バイアス電圧が適切に制御されていれば、I用変調部21およびQ用変調部22のそれぞれにより変調され出力される光の出力強度が最大となり、さらに重畳されたランダム信号によってその出力強度が駆動信号の変化と比べて十分にゆっくりと変化する。
【0022】
I用復調回路34は、光電変換回路31からの信号をI用ランダム信号を用いて同期検波し復調する。Q用復調回路37は、光電変換回路31からの信号をQ用ランダム信号を用いて同期検波し復調する。I用復調回路34およびQ用復調回路37のそれぞれが復調により出力する信号は、対応する光変調部の光出力強度を最大とするバイアス電圧からのずれを示している。I用バイアス制御回路35は、I用復調回路34によって復調(再生)された信号に基づいて、I用変調部21のバイアス電圧が最適、つまり光出力強度を最大にするように制御する。またQ用バイアス制御回路38は、Q用復調回路37によって復調(再生)された信号に基づいて、Q用変調部22のバイアスが最適になるように制御する。
【0023】
次に本実施形態に係る光送信器の制御方法についてより具体的に説明する。DQPSK方式の信号出力は、I用変調部21及びQ用変調部22を最も消光する動作電圧と最も発光する動作電圧間の振幅(Vπ)の2倍の振幅(2Vπ)で駆動し、かつそれらの変調部の動作点が最も消光する点(最適動作点)になるようなバイアス電圧に設定することで実現される。図2A〜図2Dは最適動作点で光変調部が動作している場合の駆動信号と光強度の関係を示した図である。図2AはI用変調部21の光出力特性と入力信号との関係を示す図であり、図2BはI用変調部21の光出力信号を示す図であり、図2CはQ用変調部22の光出力特性と入力信号との関係を示すであり、図2DはQ用変調部22の光出力信号を示す図である。
【0024】
図2Aの上側にはI用変調部21の入力信号と光出力強度との関係を示す特性曲線のグラフがあり、図2Cの上側にはQ用変調部22の入力信号と光出力強度との関係を示す特性曲線のグラフがある。なお、これらの特性曲線のグラフでは、縦軸が光出力強度であるため、光出力強度最小の点を境に位相が180度異なる。電圧が特性曲線の右側の山の範囲にある際に出力される光は、電圧が特性曲線の左側の山の範囲にある際に出力される光と位相が180度異なっている。図2Aの下側にはI用変調部21への入力信号のグラフがあり、図2Cの下側にはQ用変調部22への入力信号のグラフがある。縦軸が時間であり横軸は電位である。グラフは下に向かうにつれ時間が進む。横軸は特性曲線のグラフと共用している。ここで、光変調部の入力信号は、そのバイアス端子に入力されるバイアス電圧およびランダム信号と、駆動信号とを重ねたものである。図2Aおよび図2Cで示されるグラフでは、入力信号からランダム信号の成分を取り除いた信号(駆動信号とバイアス電圧を重畳した信号)は、左右の破線を最大/最小電位となる振幅で電位変化している。中央のこの振幅の中心となる中央の破線が光変調部の動作点である。ここで、駆動信号の変化が低周波信号に比べて十分に速いため、グラフではその最大電圧どうし、また最小電圧どうしをつないだ線を示している。入力信号にはさらにランダム信号が重畳されているため、このグラフにおいて実線で示される入力信号は、左右の破線に対してずれが生じている。この場合は、バイアス電圧は既に動作点が光出力強度最小の点になる最適な電圧になっている。図2Bは図2Aの下側に示す入力信号によるI用光変調部からの光の出力強度を示し、図2Dは図2Cの下側に示す入力信号によるQ用光変調部からの光の出力強度を示す。これらの図は縦軸が出力強度、横軸が時間である。入力信号におけるランダム信号の成分の増減に応じて、光出力強度も増減する。なお以下でも説明するが、ランダム信号の増減に対する光出力強度の増減の比率は、動作点が光出力強度最小の点(最適点)からのずれによって変化する。
【0025】
図2Eはこの場合の各種信号の時間推移を示す図である。本図に示されている信号は上から、光電変換回路31の出力、I用ランダム信号、Q用ランダム信号、I用復調回路34の出力、Q用復調回路37の出力、I用バイアス制御回路35の出力およびQ用バイアス制御回路38の出力である。本実施形態ではランダム信号は2値の疑似乱数に基づく疑似ランダム信号、具体的には7つのシフトレジスタと1つの排他的論理和で構成される回路により生成される擬似ランダム信号である。Q用ランダム信号はI用ランダム信号に対し1ビットの遅れを生じさせている。I用変調部21およびQ用変調部22のバイアス端子に入力される電圧はランダム信号に応じて変化しているため、I用変調部21とQ用変調部22との出力にはそれに応じた光強度の変化が発生する。従ってそれらの光が合波された光の出力強度を示す光電変換回路出力にはそれぞれの変調部で生じた変化量の合計が現れる。なおここでは光分岐部8により光変調器2の出力光(合波部24で合波された光)を分岐し、分岐した光を光電変換回路31にて光電変換しているが、光変調器2内部に配置されたPDによって光変調器2内部に漏れた光を検出する方法や、光変調器2内部に設けられた光分岐部8の出力を光変調器2内部に配置されたPDにて検出するなどの方法をとってもよい。I用復調回路34は光電変換回路31の出力に対しI用ランダム信号発生回路33のランダム信号を乗算した結果をI用復調回路出力として出力する。Q用復調回路37も同様に光電変換回路31の出力に対しQ用ランダム信号発生回路36のランダム信号を乗算した結果をQ用復調回路出力として出力する。これらの乗算をするためには例えばミキサが使用される。I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38では対応する復調回路からの出力を平均化する。I用ランダム信号とQ用ランダム信号との間が無相関あるいは十分に低い相関であれば、各ランダム信号と光出力強度との乗算結果を時間平均することで異なるランダム信号による光出力強度の変化はキャンセルされ、目的の変調部における光出力強度の変化が検出できる。図2EではI用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38の出力のバイアス電圧成分はどちらも0となる。これはI用変調部21およびQ用変調部22のそれぞれが最適動作点で駆動していることに対応している。
【0026】
次にI用変調部21の動作点にドリフトが生じた場合について図3Aから図3Cを用いて説明する。図3AはI用変調部21の光出力特性と入力信号との関係を示す図であり、図3BはI用変調部21の光出力信号を示す図である。図3Aの上側に示すように動作点が最適点から図中右方向にずれているため、入力信号のランダム信号の成分の増減によって図2Bに示す場合より大きな光出力強度の増減があらわれている(図3B参照)。Q用変調部22については、図2Cや図2Dを用いて説明した場合と同じである。図3Cはこの場合の各種信号の時間推移を示す図である。I用変調部21の動作点が最適動作点からずれて光出力信号が最適動作の場合と比べ変化したため、この場合は図2Eに示される場合とは異なりI用バイアス制御回路35の出力は0とはならない。一方Q用バイアス制御38の出力は図2Eで示す場合と同様に0となる。なおこの結果からもわかるように、I用変調部21の状態によらず制御が可能である。
【0027】
次にQ用変調部22の動作点にドリフトが生じた場合について図4A〜図4Cを用いて説明する。図4AはQ用変調部22の光出力特性と入力信号との関係を示すであり、図4BはQ用変調部22の光出力信号を示す図である。図4Aに示すように動作点が最適点から図中右方向にずれているため、入力信号のランダム信号成分の増減によって図2Dに示す場合より大きな光出力強度の増減があらわれている(図4B参照)。I用変調部21については最適動作点で動作しているため、その入力信号や出力信号は図2Aや図2Bを用いて説明した場合と同じである。図4Cは上記条件の際の各種信号の時間推移を示す図である。Q用変調部22の動作点が最適動作点からずれているため、図4Cの通りQ用バイアス制御回路38の出力は0とはならない。一方I用バイアス制御回路35の出力は図2Eで説明された場合と同様に0である。この結果からもわかるようにQ用変調部22の状態によらず制御が可能である。
【0028】
次にI用変調部21及びQ用変調部22のそれぞれの動作点にドリフトが生じた場合について図5A〜図5Eを用いて説明する。図5AはI用変調部21の光出力特性と入力信号との関係を示す図であり、図5BはI用変調部21の光出力信号を示す図であり、図5CはQ用変調部22の光出力特性と入力信号との関係を示すであり、図5DはQ用変調部22の光出力信号を示す図である。I用変調部21において、図5Aに示すように動作点が最適点から図中左方向にずれているため、動作点が最適点から右方向にずれる場合(図3B)と比べてランダム信号の増減の向きによる増減の向きが反対となる光出力強度の変化があらわれている(図5B参照)。また、Q用変調部22では図5Cに示すように動作点が最適点から図中右方向にずれているため、ランダム信号に応じた光出力強度の向きは図4B等で説明した場合と同じである(図5D参照)。
【0029】
図5Eは上記条件の際の各種信号の時間推移を示す図である。I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38のそれぞれの出力は0にはならず、最適動作点からのずれに応じた値を出力する。I用バイアス制御回路35の出力について図3Cと図5Eとを比べると、最適点からのずれの方向に応じてI用バイアス制御回路35の出力の符号が反転していることがわかる。よって、この方法を用いれば、バイアス点からのずれ方向を検出することができるので、動作点を最適動作点に制御できる。
【0030】
なお本実施形態ではNRZ(Non-Return to Zero:非ゼロ復帰)−DQPSK方式の光送信機における変調器のバイアス制御について説明したが、このバイアス制御方法をRZ(Return to Zero:ゼロ復帰)−DQPSK方式や直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)方式やQPSK方式の光送信器に適用してもよい。また、LD1を含まず、外部から入力される光を変調する光変調装置に用いてもよい。
【0031】
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、各光変調部の入力信号にランダム信号を直接重畳させず、代わりにBPSK変調した信号を重畳させている点に特徴がある。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお説明において同じ要素については同じ符号を用い、説明が必要な相違が無い場合その説明は省略する。
【0032】
図6は本発明の第2の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。第1の実施形態における構成との違いは、I用BPSK信号発生回路41およびQ用BPSK信号発生回路43が付加されている点、および、I用復調回路34およびQ用復調回路37に代えて、I用BPSK復調回路42およびQ用BPSK復調回路44が設けられている点である。
【0033】
I用BPSK信号発生回路41はI用ランダム信号と低周波信号に基づきI用BPSK信号(BPSKパタン)を発生する。Q用BPSK信号発生回路43は前記I用BPSK信号と直交し、かつ位相がI用BPSK信号とは90度異なるQ用BPSK信号を発生する。
【0034】
I用BPSK信号発生回路41およびQ用BPSK信号発生回路43は低周波信号発生器32からの低周波信号を逓倍する機能を有しており、低周波信号を逓倍した信号を搬送波とし各ランダム信号をBPSK変調し、それぞれI用BPSK信号とQ用BPSK信号を発生する。なお、低周波信号を逓倍した信号は正弦波であり、本実施形態では、例えばその周波数は低周波信号の4倍である。
【0035】
図7は生成するランダム信号とBPSK信号の例を示している。図7のグラフは縦方向が電圧を示し、横方向は時間を示す。図7は上からI用ランダム信号、I用BPSK信号、Q用ランダム信号、Q用BPSK信号の順に波形を示している。I用ランダム信号およびQ用ランダム信号どうしが無相関あるいは十分に小さい相関とするために、それぞれのランダム信号には第1の実施形態と同様に2値の疑似乱数系列である擬似ランダム信号を用いている。またランダム信号どうしは互いに異なる。さらにI用BPSK信号およびQ用BPSK信号の搬送波の位相は互いに90度異なる。搬送波の位相を制御するため例えば遅延器等を用いる。I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38ではI用BPSK信号発生回路やQ用BPSK信号発生回路で生成されたBPSK信号を用いて、各光変調部のバイアス電圧にその光変調部に対するBPSK信号を重畳する。その重畳された信号をそれぞれ対応する光変調部のバイアス端子に入力する。
【0036】
I用BPSK復調回路42は光電変換回路31からの信号をI用ランダム信号を用いて復調する。Q用BPSK復調回路44は光電変換回路31からの信号をQ用ランダム信号を用いて復調する。具体的には、各光変調部に対応するBPSK復調回路は光電変換回路31からの信号に遅延干渉計等を用いて遅延検波した後、遅延検波の結果得られた信号とその変調部に対応するランダム信号と乗算した結果を出力する。乗算方法として第1の実施形態と同様に、例えばミキサを用いればよい。それぞれのランダム信号の相関が十分に小さければ、第1の実施形態と同様の理由で、それぞれの変調部の動作点の最適点からのずれを検出可能である。それにより、それぞれの変調部の動作点を最適な点となるよう動作させることが可能となる。
【0037】
図8Aは光変調部が最適動作している場合の光出力特性と入力信号との関係を示し、図8Bは光変調部が最適動作している状態の出力光の出力強度を示す。バイアス電圧により定まる動作点が光変調部の最適点である場合の光出力強度の変化についてみると、BPSK信号の電圧が最低のタイミングおよび最高のタイミングでは、光出力強度は最低となり、BPSK信号の電圧が振幅の中心にあるタイミングに光出力強度は最高となる。BPSK信号の電圧が最高もしくは最低のタイミングでは、駆動信号が0を示す時も1を示す時も、その入力信号に対応する特性曲線上の位置が光出力強度最高の点から最もずれる。一方、BPSK信号の電圧が振幅の中心にある場合は、光出力強度が最高となるからである。これは図8Bに示すように、各光変調部から出力される光の出力強度がBPSK信号の搬送波周波数(f0)の2倍の周波数(2f0)で変化することを示す。図9はI用変調部21およびQ用変調部22が最適条件で動作している場合のBPSK信号および光出力強度を示す。前述のとおり、I用BPSK信号とQ用BPSK信号とで搬送波の位相が90度異なっているため、周波数が2倍となるI用変調部21の光出力およびQ用変調部22の光出力どうしの位相は180度異なる。I用変調部21とQ用変調部22の出力光の絶対値が等しい場合は、特性曲線による波形のひずみの影響を考慮しなければ振幅が等しく逆位相となるため互いに相殺し、光変調器出力におけるBPSK信号、言い換えればABC制御を目的とした低周波成分を抑制する効果がある。これにより、伝送特性劣化の一要因を抑制することが出来る。また図12に示すとおりBPSK信号はOOK信号と比較し信号対雑音比に対する誤り率が低くなるため、検出に必要な光変調器出力内のBPSK信号成分の振幅を小さくすることが出来るため、重畳信号の振幅を小さくすることが可能であり、最適動作時以外の条件に於いても伝送特性劣化要因を抑制することが出来る。また、光変調器を複数接続する構成においては、ランダム信号を互いに異ならせるだけで動作するため、各検出回路の複雑化が回避できる。
【0038】
[第3の実施形態]
第3の実施形態においては、第2の実施形態と同じくBPSK変調を用い、かつI用変調部21とQ用変調部22の出力光の絶対値が異なる場合においても最大の効果を得るためのものである。以下では主に第2の実施形態との相違点を説明する。なお説明において同じ要素については同じ符号を用い、特に違いが無い場合その説明は省略する。
【0039】
図10は本発明の第3の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。I用BPSK信号振幅制御回路45が付加されている点が第2の実施形態と異なっている。I用BPSK信号振幅制御回路45はI用BPSK復調回路42の出力及びQ用BPSK復調回路44の出力に基づいて、I用BPSK信号発生回路から出力され、I用バイアス制御回路35へ入力されるI用BPSK信号の振幅を調整する機能を有する。
【0040】
図11は、I用変調部21およびQ用変調部22の電圧対光出力特性に差異がある場合の光出力を示す。第2の実施形態で説明した通り、I用変調部21及びQ用変調部22の動作点がそれぞれ最適となる点で動作している場合、各光変調部からの光出力変動が逆位相となっているが、図11に示すようにそれぞれの変調部の電圧対光強度特性に差異が存在する場合は相殺されず、いくらかの振幅で光出力強度の変化が現れてしまう。I用BPSK信号振幅制御回路45は、I用BPSK復調回路42の出力及びQ用BPSK復調回路44の出力がゼロの場合(最適動作点で動作している場合)、光電変換回路31の出力のピークを検出し、ピークが検出される場合はそれに応じてI用BPSK信号の振幅を制御する。これにより、I用変調部21及びQ用変調部22の制御状態が最適な場合に各光変調部からの光出力は強度が等しく位相が180度異なった状態となり、残存する光強度の変調成分を相殺することができる。結果、このような場合でも、伝送特性劣化の一要因を抑制するなど第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、振幅の制御はI用BPSK信号のみには限られず、Q用BPSK信号の振幅を制御してもよいし、それら両方の振幅を制御してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザダイオード、2 DQPSK用光変調器、6 I用駆動信号発生回路、7 Q用駆動信号発生回路、8 光分岐部、21 I用変調部、22 Q用変調部、23 位相シフト部、24 合波部、31 光電変換回路、32 低周波信号発生器、33 I用ランダム信号発生回路、34 I用復調回路、35 I用バイアス制御回路、36 Q用ランダム信号発生回路、37 Q用復調回路、38 Q用バイアス制御回路、41 I用BPSK信号発生回路、42 I用BPSK復調回路、43 Q用BPSK信号発生回路、44 Q用BPSK復調回路、45 I用BPSK信号振幅制御回路、100 DQPSK用光変調器、101 I用光変調部、102 Q用光変調部、103 位相シフト部、104 フォトディテクタ。
【技術分野】
【0001】
本発明はマッハツェンダ型変調器を用いた光変調装置、光変調装置の制御方法および光送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信需要の増大に伴い、ネットワークの大容量化が必要不可欠となっている。ネットワークの大容量化を実現するには波長(周波数)軸方向に信号を多重化する高密度波長多重(DWDM)技術が広く用いられており、今までは、1チャネルあたりの伝送レートを10 Gb/sとしたDWDM光伝送技術が主流となっている。従来のDWDM光伝送システムはノード間を単純に結ぶポイント・ツウ・ポイントシステムに主に採用され、長距離基幹伝送系における中継器や伝送路ファイバといった設備を共用化することで情報量1ビットあたりの単価を削減し、経済化を実現してきた。今後はIPトラヒックを中心とした需要に対応するために、送信光源をチューナブルレーザにし、各ノードにおいて波長チャネルを自由に分岐挿入できるROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)の実現が求められている。チューナブルレーザを搭載した光トランスポンダにはマッハツェンダ型(以下MZ型と記す)変調器、特に波長依存性の少ないニオブ酸リチウム(LiNbO3:以下LNと記す)を基板材料として用いたMZ型変調器が採用されることが多い。
【0003】
これまでネットワークの大容量化には波長(周波数)軸方向に多重化する高密度波長多重(DWDM)技術やビットレートを高速化して時間軸方向に多重化する時分割多重(TDM)技術が用いられてきた。従来の光通信ネットワークではビットレートが10Gb/sであるものが普及しているが、ビットレートを40Gb/sとするための研究開発が広く進められている。しかしながら、ビットレートを40Gb/sにすることで従来の10Gb/sのビットレートでは影響が軽微であった偏波モード分散(PMD:Polarization-Mode-Dispersion)が伝送距離制限の一要因となる。近年PMD耐力を備えた、差動四相位相シフトキーイング(DQPSK:Differential Quadrature Phase Shift Keying)を用いた変調方式についても検討が盛んに行われている。
【0004】
図13はDQPSK方式に用いる光変調器(以下ではDQPSK用光変調器と記す)100の一般的な構成である。DQPSK用光変調器100は、I用光変調部101と、Q用光変調部102と、I用光変調部101からの出力光とQ用光変調部102の出力光とで位相が直交関係になるように制御する位相シフト部103と、を含んでおり、I用光変調部101もしくはQ用光変調部102を経た外部出力光の一部は、フォト・ディテクタ(PD:Photo Detector)104によって受光され光電変換される。I用光変調部101およびQ用光変調部102のそれぞれは、MZ型光変調器である。MZ型光変調器はその基板材料であるニオブ酸リチウムの物性によって、電圧が印加される時間や温度に伴って所定の光出力を得るための最適な入力電圧が変動するドリフト特性を有している。そこで、駆動信号の他にMZ型光変調器の動作点に対応するバイアス電圧をかけるようにし、その最適な動作点がドリフト特性によって変動してもそれに追従してバイアス電圧(動作点)を変化させるようなフィードバックを行うABC(Automatic Bias Control)回路を設けている。このような光変調器のABC制御方法に関して、特許文献1や2には低周波信号をバイアス電圧に重畳して出力光のその低周波成分を取出すことにより動作点を制御する方法が記載されている。また特許文献3には、複数の光変調部を有する光変調器に関して、各光変調部に異なる周波数の低周波信号をバイアス電圧に重畳してバイアスを補正する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49−42365号公報
【特許文献2】特開平3−251815号公報
【特許文献3】特開2004−318052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低周波信号を用いてMZ型変調器からなる光変調部のABC制御を行う場合、低周波信号検出の精度を高めるために、例えば低周波信号の周波数を、他の光変調部に重畳する低周波信号の周波数と異なる周波数であって互いに整数倍となることが無い周波数に設定することが必要である。このため、周波数管理が複雑化していた。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、低周波信号の周波数管理が容易になる光送信器、光変調装置、光変調装置の変調方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下
の通りである。
【0009】
本発明にかかる光送信器は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大にする前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、を含み、前記各光変調部に対するランダム信号は互いに異なる、ことを特徴とする。
【0010】
また本発明の一態様では、前記ランダム信号生成部は疑似乱数に基づいて前記ランダム信号を生成してもよい。
【0011】
また本発明の一態様では、前記ランダム信号は2値の疑似乱数系列であってもよい。
【0012】
また本発明の一態様では、前記ランダム信号をBPSK変調して前記ランダム性を有する信号を生成するBPSK信号生成部をさらに含み、前記復調部は前記光の出力強度を示す信号を遅延検波した信号と前記ランダム信号とに基づいて前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示してもよい。
【0013】
また本発明の一態様では、前記光変調器は二つの光変調部を含み、前記二つの光変調部に対する前記ランダム性を有する信号の搬送波の位相は互いに90度異なってもよい。
【0014】
また本発明の一態様では、前記合波部で合波された光の出力強度と前記ランダム信号とに基づいて、少なくとも一つの前記変調部に対する前記ランダム性を有する信号の振幅を調整する振幅調整部をさらに含んでもよい。
【0015】
また本発明の一態様では、前記バイアス制御部は、前記各光変調部に対する前記ランダム信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力し、前記復調部は、前記光の出力強度を示す信号と前記ランダム信号とを同期検波した信号に基づいて、前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示してもよい。
【0016】
本発明にかかる光変調装置は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、を含み、前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、ことを特徴とする。
【0017】
本発明にかかる光変調装置のバイアス制御方法は、マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調装置の制御方法であって、前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するステップと、前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するステップと、前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を指示するステップと、を含み、前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の光変調部を有する光変調器のABC制御において、低周波信号として光変調部と同数の周波数を準備する必要がなくなり、周波数管理を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図2A】I用変調部が最適駆動している状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図2B】I用変調部が最適駆動している状態のI用変調部の光出力信号を示す図である。
【図2C】Q用変調部が最適駆動している状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図2D】Q用変調部が最適駆動している状態のQ用変調部の光出力信号を示す図である。
【図2E】I用変調部およびQ用変調部が最適動作している状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図3A】I用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図3B】I用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のI用変調部の光出力信号を示す図である。
【図3C】I用変調部の動作点が最適動作点からずれ、Q用変調部が最適動作している状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図4A】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図4B】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のQ用変調部の光出力信号を示す図である。
【図4C】I用変調部が最適動作し、Q用変調部の動作点が最適動作点からずれている状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図5A】I用変調部が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図5B】I用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のI用変調部の光出力信号を示す図である。
【図5C】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図5D】Q用変調部の動作点が最適動作点よりずれた状態のQ用変調部の光出力信号を示す図である。
【図5E】I用変調部およびQ用変調部の動作点が最適動作点からずれた状態の信号の時間推移を示す波形図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図7】ランダム信号とBPSK信号との例を示す図である。
【図8A】光変調部が最適動作している状態の光出力特性と入力信号との関係を示す図である。
【図8B】光変調部が最適動作している状態の出力光の出力強度を示す図である。
【図9】第2の実施形態においてI用変調部及びQ用変調部が最適動作している場合のBPSK信号および光出力強度を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。
【図11】I用変調部およびQ用変調部の電圧対光出力特性に差異がある場合の光出力を示す図である。
【図12】同期検波の場合におけるPSK方式とASK方式との信号対雑音比に対する符号誤り率を示す図である。
【図13】DQPSK方式における光変調器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。光送信器は、所望の発振波長で連続発光するレーザダイオード(LD)1、LD1からのCW(Continuous Wave)光を変調するためのDQPSK用光変調器2、DQPSKのI成分(In-phase component)の駆動信号を供給するI用駆動信号発生回路6、DQPSKのQ成分(Quadrature component)の駆動信号を供給するQ用駆動信号発生回路7、そしてDQPSK用光変調器2からの光信号の一部を取り出すための光分岐部8、光分岐部8から取り出された光信号の一部を光電変換し、帯域制限することによって低周波信号を電気信号に変換する光電変換回路31と、低周波信号発生器32と、I用ランダム信号発生回路33と、Q用ランダム信号発生回路36と、I用復調回路34と、Q用復調回路37と、I用バイアス制御回路35と、Q用バイアス制御回路38とを含んでいる。DQPSK用光変調器2は、出力光信号であるDQPSK信号のI成分を制御するためのI用変調部21と、DQPSK信号のQ成分を制御するためのQ用変調部22と、I成分とQ成分の位相を90度ずらすための位相シフト部23と、I用変調部21を経た光と、Q用変調部22および位相シフト部23を経た光とを合波する合波部24とを有している。I用変調部21およびQ用変調部22のそれぞれは、MZ型光変調器である。以下ではこれらのそれぞれを光変調部と記す。I用駆動信号発生回路6は、I用変調部21へ振幅が2Vπの駆動信号を与え、Q用駆動信号発生回路7は、Q用変調部22へ振幅が2Vπの駆動信号を与える。なお、この光送信器においては、I用ランダム信号発生回路33、I用復調回路34、およびI用バイアス制御回路35、はI用変調部21に対応して設けられており、Q用ランダム信号発生回路36、Q用復調回路37、およびQ用バイアス制御回路38、はQ用変調部22に対応して設けられている。以下では、I用ランダム信号発生回路33およびQ用ランダム信号発生回路36を指す場合はランダム信号発生回路と呼び、I用復調回路34およびQ用復調回路37を指す場合は復調回路と呼び、I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38を指す場合はバイアス制御回路と呼ぶ。
【0021】
I用ランダム信号発生回路33およびQ用ランダム信号発生回路36は、低周波信号発生器32からの低周波信号をクロック信号として用い、その低周波信号の周期ごとに電位がランダムに変化するランダム信号(ランダムパタン)をそれぞれの光変調部に対して発生する。I用ランダム信号発生回路33が発生するランダム信号はI用変調部21に対するランダム信号(I用ランダム信号)であり、Q用ランダム信号発生回路36が発生するランダム信号はQ用変調部22に対するランダム信号(Q用ランダム信号)である。I用変調部21に対するランダム信号とQ用変調部22に対するランダム信号とは互いに異なり、ランダム信号どうしは直交の関係、言い換えれば無相関あるいは相関が十分に低い関係をもつ。I用バイアス制御回路35は、I用変調部21に対するバイアス電圧にI用ランダム信号を重畳させた信号電圧をI用変調部21のバイアス端子へ出力する。同様にQ用バイアス制御回路38は、Q用変調部22に対するバイアス電圧にQ用ランダム信号を重畳させた信号電圧をQ用変調部22のバイアス端子に出力する。それにより、バイアス電圧が適切に制御されていれば、I用変調部21およびQ用変調部22のそれぞれにより変調され出力される光の出力強度が最大となり、さらに重畳されたランダム信号によってその出力強度が駆動信号の変化と比べて十分にゆっくりと変化する。
【0022】
I用復調回路34は、光電変換回路31からの信号をI用ランダム信号を用いて同期検波し復調する。Q用復調回路37は、光電変換回路31からの信号をQ用ランダム信号を用いて同期検波し復調する。I用復調回路34およびQ用復調回路37のそれぞれが復調により出力する信号は、対応する光変調部の光出力強度を最大とするバイアス電圧からのずれを示している。I用バイアス制御回路35は、I用復調回路34によって復調(再生)された信号に基づいて、I用変調部21のバイアス電圧が最適、つまり光出力強度を最大にするように制御する。またQ用バイアス制御回路38は、Q用復調回路37によって復調(再生)された信号に基づいて、Q用変調部22のバイアスが最適になるように制御する。
【0023】
次に本実施形態に係る光送信器の制御方法についてより具体的に説明する。DQPSK方式の信号出力は、I用変調部21及びQ用変調部22を最も消光する動作電圧と最も発光する動作電圧間の振幅(Vπ)の2倍の振幅(2Vπ)で駆動し、かつそれらの変調部の動作点が最も消光する点(最適動作点)になるようなバイアス電圧に設定することで実現される。図2A〜図2Dは最適動作点で光変調部が動作している場合の駆動信号と光強度の関係を示した図である。図2AはI用変調部21の光出力特性と入力信号との関係を示す図であり、図2BはI用変調部21の光出力信号を示す図であり、図2CはQ用変調部22の光出力特性と入力信号との関係を示すであり、図2DはQ用変調部22の光出力信号を示す図である。
【0024】
図2Aの上側にはI用変調部21の入力信号と光出力強度との関係を示す特性曲線のグラフがあり、図2Cの上側にはQ用変調部22の入力信号と光出力強度との関係を示す特性曲線のグラフがある。なお、これらの特性曲線のグラフでは、縦軸が光出力強度であるため、光出力強度最小の点を境に位相が180度異なる。電圧が特性曲線の右側の山の範囲にある際に出力される光は、電圧が特性曲線の左側の山の範囲にある際に出力される光と位相が180度異なっている。図2Aの下側にはI用変調部21への入力信号のグラフがあり、図2Cの下側にはQ用変調部22への入力信号のグラフがある。縦軸が時間であり横軸は電位である。グラフは下に向かうにつれ時間が進む。横軸は特性曲線のグラフと共用している。ここで、光変調部の入力信号は、そのバイアス端子に入力されるバイアス電圧およびランダム信号と、駆動信号とを重ねたものである。図2Aおよび図2Cで示されるグラフでは、入力信号からランダム信号の成分を取り除いた信号(駆動信号とバイアス電圧を重畳した信号)は、左右の破線を最大/最小電位となる振幅で電位変化している。中央のこの振幅の中心となる中央の破線が光変調部の動作点である。ここで、駆動信号の変化が低周波信号に比べて十分に速いため、グラフではその最大電圧どうし、また最小電圧どうしをつないだ線を示している。入力信号にはさらにランダム信号が重畳されているため、このグラフにおいて実線で示される入力信号は、左右の破線に対してずれが生じている。この場合は、バイアス電圧は既に動作点が光出力強度最小の点になる最適な電圧になっている。図2Bは図2Aの下側に示す入力信号によるI用光変調部からの光の出力強度を示し、図2Dは図2Cの下側に示す入力信号によるQ用光変調部からの光の出力強度を示す。これらの図は縦軸が出力強度、横軸が時間である。入力信号におけるランダム信号の成分の増減に応じて、光出力強度も増減する。なお以下でも説明するが、ランダム信号の増減に対する光出力強度の増減の比率は、動作点が光出力強度最小の点(最適点)からのずれによって変化する。
【0025】
図2Eはこの場合の各種信号の時間推移を示す図である。本図に示されている信号は上から、光電変換回路31の出力、I用ランダム信号、Q用ランダム信号、I用復調回路34の出力、Q用復調回路37の出力、I用バイアス制御回路35の出力およびQ用バイアス制御回路38の出力である。本実施形態ではランダム信号は2値の疑似乱数に基づく疑似ランダム信号、具体的には7つのシフトレジスタと1つの排他的論理和で構成される回路により生成される擬似ランダム信号である。Q用ランダム信号はI用ランダム信号に対し1ビットの遅れを生じさせている。I用変調部21およびQ用変調部22のバイアス端子に入力される電圧はランダム信号に応じて変化しているため、I用変調部21とQ用変調部22との出力にはそれに応じた光強度の変化が発生する。従ってそれらの光が合波された光の出力強度を示す光電変換回路出力にはそれぞれの変調部で生じた変化量の合計が現れる。なおここでは光分岐部8により光変調器2の出力光(合波部24で合波された光)を分岐し、分岐した光を光電変換回路31にて光電変換しているが、光変調器2内部に配置されたPDによって光変調器2内部に漏れた光を検出する方法や、光変調器2内部に設けられた光分岐部8の出力を光変調器2内部に配置されたPDにて検出するなどの方法をとってもよい。I用復調回路34は光電変換回路31の出力に対しI用ランダム信号発生回路33のランダム信号を乗算した結果をI用復調回路出力として出力する。Q用復調回路37も同様に光電変換回路31の出力に対しQ用ランダム信号発生回路36のランダム信号を乗算した結果をQ用復調回路出力として出力する。これらの乗算をするためには例えばミキサが使用される。I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38では対応する復調回路からの出力を平均化する。I用ランダム信号とQ用ランダム信号との間が無相関あるいは十分に低い相関であれば、各ランダム信号と光出力強度との乗算結果を時間平均することで異なるランダム信号による光出力強度の変化はキャンセルされ、目的の変調部における光出力強度の変化が検出できる。図2EではI用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38の出力のバイアス電圧成分はどちらも0となる。これはI用変調部21およびQ用変調部22のそれぞれが最適動作点で駆動していることに対応している。
【0026】
次にI用変調部21の動作点にドリフトが生じた場合について図3Aから図3Cを用いて説明する。図3AはI用変調部21の光出力特性と入力信号との関係を示す図であり、図3BはI用変調部21の光出力信号を示す図である。図3Aの上側に示すように動作点が最適点から図中右方向にずれているため、入力信号のランダム信号の成分の増減によって図2Bに示す場合より大きな光出力強度の増減があらわれている(図3B参照)。Q用変調部22については、図2Cや図2Dを用いて説明した場合と同じである。図3Cはこの場合の各種信号の時間推移を示す図である。I用変調部21の動作点が最適動作点からずれて光出力信号が最適動作の場合と比べ変化したため、この場合は図2Eに示される場合とは異なりI用バイアス制御回路35の出力は0とはならない。一方Q用バイアス制御38の出力は図2Eで示す場合と同様に0となる。なおこの結果からもわかるように、I用変調部21の状態によらず制御が可能である。
【0027】
次にQ用変調部22の動作点にドリフトが生じた場合について図4A〜図4Cを用いて説明する。図4AはQ用変調部22の光出力特性と入力信号との関係を示すであり、図4BはQ用変調部22の光出力信号を示す図である。図4Aに示すように動作点が最適点から図中右方向にずれているため、入力信号のランダム信号成分の増減によって図2Dに示す場合より大きな光出力強度の増減があらわれている(図4B参照)。I用変調部21については最適動作点で動作しているため、その入力信号や出力信号は図2Aや図2Bを用いて説明した場合と同じである。図4Cは上記条件の際の各種信号の時間推移を示す図である。Q用変調部22の動作点が最適動作点からずれているため、図4Cの通りQ用バイアス制御回路38の出力は0とはならない。一方I用バイアス制御回路35の出力は図2Eで説明された場合と同様に0である。この結果からもわかるようにQ用変調部22の状態によらず制御が可能である。
【0028】
次にI用変調部21及びQ用変調部22のそれぞれの動作点にドリフトが生じた場合について図5A〜図5Eを用いて説明する。図5AはI用変調部21の光出力特性と入力信号との関係を示す図であり、図5BはI用変調部21の光出力信号を示す図であり、図5CはQ用変調部22の光出力特性と入力信号との関係を示すであり、図5DはQ用変調部22の光出力信号を示す図である。I用変調部21において、図5Aに示すように動作点が最適点から図中左方向にずれているため、動作点が最適点から右方向にずれる場合(図3B)と比べてランダム信号の増減の向きによる増減の向きが反対となる光出力強度の変化があらわれている(図5B参照)。また、Q用変調部22では図5Cに示すように動作点が最適点から図中右方向にずれているため、ランダム信号に応じた光出力強度の向きは図4B等で説明した場合と同じである(図5D参照)。
【0029】
図5Eは上記条件の際の各種信号の時間推移を示す図である。I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38のそれぞれの出力は0にはならず、最適動作点からのずれに応じた値を出力する。I用バイアス制御回路35の出力について図3Cと図5Eとを比べると、最適点からのずれの方向に応じてI用バイアス制御回路35の出力の符号が反転していることがわかる。よって、この方法を用いれば、バイアス点からのずれ方向を検出することができるので、動作点を最適動作点に制御できる。
【0030】
なお本実施形態ではNRZ(Non-Return to Zero:非ゼロ復帰)−DQPSK方式の光送信機における変調器のバイアス制御について説明したが、このバイアス制御方法をRZ(Return to Zero:ゼロ復帰)−DQPSK方式や直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)方式やQPSK方式の光送信器に適用してもよい。また、LD1を含まず、外部から入力される光を変調する光変調装置に用いてもよい。
【0031】
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、各光変調部の入力信号にランダム信号を直接重畳させず、代わりにBPSK変調した信号を重畳させている点に特徴がある。以下では、主に第1の実施形態との相違点について説明する。なお説明において同じ要素については同じ符号を用い、説明が必要な相違が無い場合その説明は省略する。
【0032】
図6は本発明の第2の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。第1の実施形態における構成との違いは、I用BPSK信号発生回路41およびQ用BPSK信号発生回路43が付加されている点、および、I用復調回路34およびQ用復調回路37に代えて、I用BPSK復調回路42およびQ用BPSK復調回路44が設けられている点である。
【0033】
I用BPSK信号発生回路41はI用ランダム信号と低周波信号に基づきI用BPSK信号(BPSKパタン)を発生する。Q用BPSK信号発生回路43は前記I用BPSK信号と直交し、かつ位相がI用BPSK信号とは90度異なるQ用BPSK信号を発生する。
【0034】
I用BPSK信号発生回路41およびQ用BPSK信号発生回路43は低周波信号発生器32からの低周波信号を逓倍する機能を有しており、低周波信号を逓倍した信号を搬送波とし各ランダム信号をBPSK変調し、それぞれI用BPSK信号とQ用BPSK信号を発生する。なお、低周波信号を逓倍した信号は正弦波であり、本実施形態では、例えばその周波数は低周波信号の4倍である。
【0035】
図7は生成するランダム信号とBPSK信号の例を示している。図7のグラフは縦方向が電圧を示し、横方向は時間を示す。図7は上からI用ランダム信号、I用BPSK信号、Q用ランダム信号、Q用BPSK信号の順に波形を示している。I用ランダム信号およびQ用ランダム信号どうしが無相関あるいは十分に小さい相関とするために、それぞれのランダム信号には第1の実施形態と同様に2値の疑似乱数系列である擬似ランダム信号を用いている。またランダム信号どうしは互いに異なる。さらにI用BPSK信号およびQ用BPSK信号の搬送波の位相は互いに90度異なる。搬送波の位相を制御するため例えば遅延器等を用いる。I用バイアス制御回路35およびQ用バイアス制御回路38ではI用BPSK信号発生回路やQ用BPSK信号発生回路で生成されたBPSK信号を用いて、各光変調部のバイアス電圧にその光変調部に対するBPSK信号を重畳する。その重畳された信号をそれぞれ対応する光変調部のバイアス端子に入力する。
【0036】
I用BPSK復調回路42は光電変換回路31からの信号をI用ランダム信号を用いて復調する。Q用BPSK復調回路44は光電変換回路31からの信号をQ用ランダム信号を用いて復調する。具体的には、各光変調部に対応するBPSK復調回路は光電変換回路31からの信号に遅延干渉計等を用いて遅延検波した後、遅延検波の結果得られた信号とその変調部に対応するランダム信号と乗算した結果を出力する。乗算方法として第1の実施形態と同様に、例えばミキサを用いればよい。それぞれのランダム信号の相関が十分に小さければ、第1の実施形態と同様の理由で、それぞれの変調部の動作点の最適点からのずれを検出可能である。それにより、それぞれの変調部の動作点を最適な点となるよう動作させることが可能となる。
【0037】
図8Aは光変調部が最適動作している場合の光出力特性と入力信号との関係を示し、図8Bは光変調部が最適動作している状態の出力光の出力強度を示す。バイアス電圧により定まる動作点が光変調部の最適点である場合の光出力強度の変化についてみると、BPSK信号の電圧が最低のタイミングおよび最高のタイミングでは、光出力強度は最低となり、BPSK信号の電圧が振幅の中心にあるタイミングに光出力強度は最高となる。BPSK信号の電圧が最高もしくは最低のタイミングでは、駆動信号が0を示す時も1を示す時も、その入力信号に対応する特性曲線上の位置が光出力強度最高の点から最もずれる。一方、BPSK信号の電圧が振幅の中心にある場合は、光出力強度が最高となるからである。これは図8Bに示すように、各光変調部から出力される光の出力強度がBPSK信号の搬送波周波数(f0)の2倍の周波数(2f0)で変化することを示す。図9はI用変調部21およびQ用変調部22が最適条件で動作している場合のBPSK信号および光出力強度を示す。前述のとおり、I用BPSK信号とQ用BPSK信号とで搬送波の位相が90度異なっているため、周波数が2倍となるI用変調部21の光出力およびQ用変調部22の光出力どうしの位相は180度異なる。I用変調部21とQ用変調部22の出力光の絶対値が等しい場合は、特性曲線による波形のひずみの影響を考慮しなければ振幅が等しく逆位相となるため互いに相殺し、光変調器出力におけるBPSK信号、言い換えればABC制御を目的とした低周波成分を抑制する効果がある。これにより、伝送特性劣化の一要因を抑制することが出来る。また図12に示すとおりBPSK信号はOOK信号と比較し信号対雑音比に対する誤り率が低くなるため、検出に必要な光変調器出力内のBPSK信号成分の振幅を小さくすることが出来るため、重畳信号の振幅を小さくすることが可能であり、最適動作時以外の条件に於いても伝送特性劣化要因を抑制することが出来る。また、光変調器を複数接続する構成においては、ランダム信号を互いに異ならせるだけで動作するため、各検出回路の複雑化が回避できる。
【0038】
[第3の実施形態]
第3の実施形態においては、第2の実施形態と同じくBPSK変調を用い、かつI用変調部21とQ用変調部22の出力光の絶対値が異なる場合においても最大の効果を得るためのものである。以下では主に第2の実施形態との相違点を説明する。なお説明において同じ要素については同じ符号を用い、特に違いが無い場合その説明は省略する。
【0039】
図10は本発明の第3の実施形態に係る光送信器の構成を示す図である。I用BPSK信号振幅制御回路45が付加されている点が第2の実施形態と異なっている。I用BPSK信号振幅制御回路45はI用BPSK復調回路42の出力及びQ用BPSK復調回路44の出力に基づいて、I用BPSK信号発生回路から出力され、I用バイアス制御回路35へ入力されるI用BPSK信号の振幅を調整する機能を有する。
【0040】
図11は、I用変調部21およびQ用変調部22の電圧対光出力特性に差異がある場合の光出力を示す。第2の実施形態で説明した通り、I用変調部21及びQ用変調部22の動作点がそれぞれ最適となる点で動作している場合、各光変調部からの光出力変動が逆位相となっているが、図11に示すようにそれぞれの変調部の電圧対光強度特性に差異が存在する場合は相殺されず、いくらかの振幅で光出力強度の変化が現れてしまう。I用BPSK信号振幅制御回路45は、I用BPSK復調回路42の出力及びQ用BPSK復調回路44の出力がゼロの場合(最適動作点で動作している場合)、光電変換回路31の出力のピークを検出し、ピークが検出される場合はそれに応じてI用BPSK信号の振幅を制御する。これにより、I用変調部21及びQ用変調部22の制御状態が最適な場合に各光変調部からの光出力は強度が等しく位相が180度異なった状態となり、残存する光強度の変調成分を相殺することができる。結果、このような場合でも、伝送特性劣化の一要因を抑制するなど第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、振幅の制御はI用BPSK信号のみには限られず、Q用BPSK信号の振幅を制御してもよいし、それら両方の振幅を制御してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 レーザダイオード、2 DQPSK用光変調器、6 I用駆動信号発生回路、7 Q用駆動信号発生回路、8 光分岐部、21 I用変調部、22 Q用変調部、23 位相シフト部、24 合波部、31 光電変換回路、32 低周波信号発生器、33 I用ランダム信号発生回路、34 I用復調回路、35 I用バイアス制御回路、36 Q用ランダム信号発生回路、37 Q用復調回路、38 Q用バイアス制御回路、41 I用BPSK信号発生回路、42 I用BPSK復調回路、43 Q用BPSK信号発生回路、44 Q用BPSK復調回路、45 I用BPSK信号振幅制御回路、100 DQPSK用光変調器、101 I用光変調部、102 Q用光変調部、103 位相シフト部、104 フォトディテクタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、
前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、
前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、
前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大にする前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、
を含み、
前記各光変調部に対するランダム信号は互いに異なる、
ことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記ランダム信号発生部は疑似乱数に基づいて前記ランダム信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記ランダム信号は2値の疑似乱数系列である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項4】
前記ランダム信号をBPSK変調して前記ランダム性を有する信号を生成するBPSK信号生成部をさらに含み、
前記復調部は前記光の出力強度を示す信号を遅延検波した信号と前記ランダム信号とに基づいて前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の光送信器。
【請求項5】
前記光変調器は二つの光変調部を含み、
前記二つの光変調部に対する前記ランダム性を有する信号の搬送波の位相は互いに90度異なる、
ことを特徴とする請求項4に記載の光送信器。
【請求項6】
前記合波部で合波された光の出力強度と前記ランダム信号とに基づいて、少なくとも一つの前記変調部に対する前記ランダム性を有する信号の振幅を調整する振幅調整部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の光送信器。
【請求項7】
前記バイアス制御部は、前記各光変調部に対する前記ランダム信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力し、
前記復調部は、前記光の出力強度を示す信号と前記ランダム信号とを同期検波した信号に基づいて、前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信器。
【請求項8】
マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、
前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、
前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、
前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、
を含み、
前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項9】
マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調装置の制御方法であって、
前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するステップと、
前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するステップと、
前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を指示するステップと、
を含み、
前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、
ことを特徴とする光変調装置の制御方法。
【請求項1】
マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、
前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、
前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、
前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大にする前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、
を含み、
前記各光変調部に対するランダム信号は互いに異なる、
ことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記ランダム信号発生部は疑似乱数に基づいて前記ランダム信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記ランダム信号は2値の疑似乱数系列である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の光送信器。
【請求項4】
前記ランダム信号をBPSK変調して前記ランダム性を有する信号を生成するBPSK信号生成部をさらに含み、
前記復調部は前記光の出力強度を示す信号を遅延検波した信号と前記ランダム信号とに基づいて前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する、
ことを特徴とする請求項3に記載の光送信器。
【請求項5】
前記光変調器は二つの光変調部を含み、
前記二つの光変調部に対する前記ランダム性を有する信号の搬送波の位相は互いに90度異なる、
ことを特徴とする請求項4に記載の光送信器。
【請求項6】
前記合波部で合波された光の出力強度と前記ランダム信号とに基づいて、少なくとも一つの前記変調部に対する前記ランダム性を有する信号の振幅を調整する振幅調整部をさらに含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の光送信器。
【請求項7】
前記バイアス制御部は、前記各光変調部に対する前記ランダム信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力し、
前記復調部は、前記光の出力強度を示す信号と前記ランダム信号とを同期検波した信号に基づいて、前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信器。
【請求項8】
マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調器と、
前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するランダム信号発生部と、
前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するバイアス制御部と、
前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を前記バイアス制御部に指示する復調部と、
を含み、
前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、
ことを特徴とする光変調装置。
【請求項9】
マッハツェンダ型変調器からなる複数の光変調部と前記複数の光変調部から出力される光を合波する合波部とを含む光変調装置の制御方法であって、
前記各光変調部に対するランダム信号であって電位がランダムに変化するランダム信号を発生するステップと、
前記ランダム信号に基づいて、前記各光変調部に対するランダム性を有する信号を該光変調部に対するバイアス電圧に重畳した電圧を該光変調部に向け出力するステップと、
前記合波部で合波された光の出力強度と前記各光変調部に対する前記ランダム信号とに基づいて、該光変調部の光出力強度を最大に近づける前記バイアス電圧の生成を指示するステップと、
を含み、
前記各光変調部に対する前記ランダム信号は互いに異なる、
ことを特徴とする光変調装置の制御方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−268191(P2010−268191A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117507(P2009−117507)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】
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