説明

分離桝装置

【課題】排水主管と排水主管に接続される排水中の夾雑物を分離する分離桝本体を狭小な敷地内でも容易に設置することができる。
【解決手段】蓋体にて開閉自在に覆う掃除口33を有している有底筒状の分離桝本体31には、側部に第1の流入口34と、第1の流入口34に連通する第1の流出口36と、排水主管の上流側を接続する第2の流入口37と、この第2の流入口37に連通し排水主管の下流側を接続する第2の流出口38とをそれぞれ形成する。第1の流入口34と第1の流出口36とは分離桝本体31内にて連通する。分離桝本体31内に第1の流入口34から分離桝本体31に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体40を設けるとともに、第1の流出口36に封水体43を接続する。第2の流入口37と第2の流出口38とは分離桝本体31内を貫通した連通部39によって分離桝本体31内と隔離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水設備からの排水中に混入されている夾雑物が排水主管に流出しないように、排水主管に建物などからの排水管を流れる排水に混入している夾雑物を捕集する分離桝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、図19に示すように、建物1に設置されている台所の流し台などの各排水設備からの排水管2を排水主管3に接続されている合流桝装置4に接続する前に、この排水管2を、建物1外の敷地5に設置されている分離桝装置6の分離桝本体7の流入口8にエルボ継手9を介して接続し、この分離桝本体7内にて流し台から流出する夾雑物を捕集し、夾雑物を取り除かれた排水がこの分離桝本体7の流出口10にエルボ継手11を介して接続した合流桝装置4の合流流入口12から合流桝装置4内に流入し、合流桝装置4の流出口13から排水主管3に流出するようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そして、この従来の分離桝装置6を建物1の敷地5に設置するには、建物1に沿って敷地5内に埋設される排水主管3が建物1から少なくとも分離桝装置6の外径寸法L1の間隔をおいて建物1から離れた位置に埋設する必要があった。
【特許文献1】特開2000−84304号公報(図1及び図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、狭小な敷地内では、排水主管に接続される排水中の夾雑物を分離する分離桝装置を設置するために、排水主管を建物などから分離桝装置の外径寸法の間隔をおいて設置することが困難であった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、排水主管を建物などから分離桝装置の外径寸法の間隔をあけないで設置することができ、排水主管に接続される排水中の夾雑物を分離する分離桝本体を狭小な敷地内でも容易に設置することができる分離桝装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明の分離桝装置は、蓋体にて開閉自在に覆われる掃除口を上部に開口した有底筒状の分離桝本体を備え、この離桝本体の側部には、第1の流入口と、この第1の流入口に連通する第1の流出口と、排水主管の上流側を接続する第2の流入口と、この第2の流入口に連通し排水主管の下流側を接続する第2の流出口とをそれぞれ形成し、前記第1の流入口と第1の流出口とは前記分離桝本体内にて連通し、この分離桝本体内に前記第1の流入口からこの分離桝本体に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体を設けるとともに、前記第1の流出口に接続した封水体を設け、前記第2の流入口と第2の流出口とは、前記分離桝本体内を貫通した連通部によって連通するとともにこの分離桝本体の第1の流入口及び第1の流出口と連通する内部とは隔離したものである。
【0007】
そして、排水設備に接続されている排水管を建物の敷地内に設置した分離桝本体の第1の流入口に接続し、分離桝本体の第1の流出口に排水主管に接続した合流桝装置の合流用流入口を接続し、また、分離桝本体の第2の流入口に排水主管の上流側を接続し、分離桝本体の第2の流出口に排水主管の下流側を接続することにより、排水主管を分離桝本体の外径寸法内に設置でき、排水設備から混入した夾雑物を分離桝本体に設けた捕集体にて捕集し、排水主管に夾雑物が流出することを阻止する。また、分離桝本体の第1の流出口に接続した封水体により、油脂分が排水主管に流出することを防ぎ、排水主管側からの臭気が排水管から建物側に漏れることを阻止する。
【0008】
請求項2に係る発明の分離桝装置は、蓋体にて開閉自在に覆われる掃除口を上部に開口した有底筒状の分離桝本体を備え、この分離桝本体の側部には、流入口と、この流入口に連通する流出口とを形成し、この流入口と流出口とは前記分離桝本体内にて連通し、この分離桝本体に、前記流入口からこの分離桝本体に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体を設けるとともに、前記流出口に接続した封水体を設け、前記分離桝本体の掃除口の下方に位置してこの分離桝本体の側部に排水主管を配設する空間部を形成したものである。
【0009】
そして、建物外の敷地に沿って埋設する排水主管を分離桝本体の側部に形成した空間部に配設するように分離桝装置を設置し、排水設備に接続されている排水管を分離桝本体の流入口に接続し、分離桝本体の流出口を排水主管に接続した合流桝装置の合流用流入口に接続し、排水設備から混入した夾雑物を分離桝本体に設けた捕集体にて捕集し、排水主管に夾雑物が流出することを阻止する。また、分離桝本体の流出口に接続した封水体により、排水主管に油脂分の流出を防止するとともに排水主管を流れる排水の臭気が排水管から建物側に漏れることを阻止する。
【0010】
請求項3に係る発明の分離桝装置は、請求項2記載の分離桝装置において、分離桝本体に形成した流出口の下端部の位置を流入口の下端部の位置より低い位置とし、捕集体は、上面を開口するとともに周側面の上部に前記分離桝本体の流入口の内端側に連通する流入孔を形成しかつ下部に夾雑物捕集用の通液部を形成し、前記分離桝本体の流入口の内端側に前記捕集体の流入孔を連通させた状態で、この捕集体の上面開口縁が前記分離桝本体に形成した流入口の下端部の位置より上方に位置するとともに、前記捕集体に形成した夾雑物捕集用の通液部の上端部の位置が前記分離桝本体に形成した流出口の下端部の位置より低い位置としたものである。
【0011】
そして、排水中に混入していた油脂分は、捕集体の上面開口縁が分離桝本体に形成した流入口の下端部の位置より上方に位置するので、流入口からこの流入口の内端側に連通させた捕集体の流入孔から捕集体内に流入し、捕集体の上面開口縁から排水が分離桝本体の内部に流入することがない。また、このとき、捕集体に形成した夾雑物捕集用の通液部の上端部位置が分離桝本体に形成した流出口の下端部の位置より低い位置にあるので、捕集体の夾雑物捕集用の通液部は常に水面下に位置し、排水中に混入していた油脂分は水との比重差より浮上し、油脂分は捕集体から分離桝本体の内部に流出することがなく、捕集体の内側に滞留し、捕集体の上面開口部から容易にすくい上げることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の分離桝装置は、分離桝本体の外径内に位置させて排水主管を配設でき、狭小な敷地でも容易に排水管の排水中に混入した夾雑物を除去するとともに排水主管からの臭気が排水管から建物内に漏れることを防止できる分離桝装置を設置できる。
【0013】
また、油脂分が排水主管に流出することを確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の分離桝装置の一実施の形態を図1ないし図7に基づいて説明する。
【0015】
分離桝装置の配管系は図7に示すように、敷地20内に建造された建物21内における台所の流し台などの排水設備に接続した排水管22を建物21の外側に導出し、この排水管22の下流端に一端側を接続したエルボ継手23の他端側に分離桝装置24を接続し、この分離桝装置24を平行合流桝装置25の合流用流入口26に接続する。また、この合流桝装置25の流入口27に上流側の排水主管28を分離桝装置24を介して接続するとともに流出口29に下流側の排水主管30を接続する。
【0016】
そして、排水設備からの排水は排水管22を流動し、排水は分離桝装置24内にて夾雑物が分離され、夾雑物が分離された排水はさらに分離桝装置24から合流桝装置25の合流用流入口26に流入し、合流桝装置25から下流側の排水主管30に合流して敷地20内から公道下に埋設された図示しない下水本管に排出されるようになっている。
【0017】
そして、建物21の外側に導出した排水管22が接続される分離桝装置24は、図1ないし図6に示すように、分離桝本体31と蓋体32(図7に示す)とを備え、この分離桝本体31は上部に開口した掃除口33を開口した有底筒状に塩化ビニル樹脂等の合成樹脂にて成形され、前記蓋体32は合成樹脂または鋳鉄などにて成形され、前記分離桝本体31の掃除口33に着脱自在に嵌着されてこの掃除口33を開閉自在に覆うようになっている。
【0018】
また、前記分離桝本体31は、側部に筒状の第1の流入口34とこの第1の流入口34にこの分離桝本体31の内部35にて連通する筒状の第1の流出口36とが、分離桝本体31の同一高さ位置に同一内径及び外径でかつこの分離桝本体31の中心位置より一側に偏倚した位置に直線位置に突出形成され、この第1の流入口34の中心軸線と第1の流出口36の中心軸線とは同一直線の軸心P1上に位置している。
【0019】
さらに、この分離桝本体31には前記上流側の排水主管28を接続する筒状の第2の流入口37と、この第2の流入口37に連通しかつ下流側の排水主管30を合流桝装置25を介して接続する筒状の第2の流出口38とがこの分離桝本体31の中心位置より第1の流入口34及び第1の流出口36と反対側に偏倚した位置で直線位置に突出形成されている。
【0020】
そして、この第2の流入口37と第2の流出口38とは、同一内径及び外径で前記分離桝本体31内を貫通した円筒状の連通部39によって、この分離桝本体31第1の流入口34及び第1の流出口36とに連通する内部35と隔離して直線状に連通され、この第2の流入口37の中心軸線と第2の流出口38の中心軸線及び連通部39の中心軸線とは同一直線の軸心P2上に位置している。
【0021】
また、前記第1の流入口34の中心軸線と第1の流出口36の中心軸線を結ぶ直線上の軸心P1と、第2の流入口37の中心軸線と第2の流出口38の中心軸線及び連通部39の中心軸線を結ぶ同一直線上の軸心P2とは平行で、この軸心P1と軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25の合流用流入口26の中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されている。
【0022】
この分離桝本体31内には、前記第1の流入口34からこの分離桝本体31内に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体40をこの分離桝本体31の内底部に設けた支持台41上に挿脱自在に嵌合載置して、この捕集体40の側面に開口した流入孔40aに前記第1の流入口34の内端部側を挿入するなどの手段によりこの捕集体40を支持し、この第1の流入口34を捕集体40内に連通させる。この捕集体40の上部にはこの捕集体40を取出すための把持体42が設けられている。そして、この捕集体40は台所の流し台などの排水設備からの排水中に含まれた夾雑物を分離捕集できるように、例えば、多数のろ過孔を全周面に形成するとともに上面を開口した有底筒状の容器、または網状材にて上面を開口した有底筒状の容器にて形成する。
【0023】
また、この分離桝本体31内にて、前記第1の流出口36に封水体43を接続する。この封水体43は、図6に示すように、合成樹脂にて略逆L字状に形成され、水平方向に開口した上端口44が前記分離桝本体31の第1の流出口36に内端側から嵌合接続され、下端口45は分離桝本体31の内底面に向かって下向きに開口されている。そして、この封水体43は分離桝本体31内に設けた支持台46に支持されている。
【0024】
さらに、この封水体43の上面には封水体掃除口47が開口され、この封水体掃除口47には開閉蓋48が開閉自在に設けられている。
【0025】
さらに、前記分離桝本体31の内部35の下部は掃除前の状態で油脂分は水との比重差により分離して油脂分を浮上させる貯溜室部に形成され、前記封水体43の下端口45から第1の流出口36に油脂分が流出されないようになっている。なお、この貯溜室部は、掃除後の状態で所定量の水を常時貯溜し、排水主管28,30からの臭気を遮断するようになっている。
【0026】
また、前記蓋体32は、前記分離桝本体31の掃除口33の外周側に形成されている略円筒状の蓋受け枠部49に着脱自在に装着されている。
【0027】
次に、上記実施の形態の作用を説明する。
【0028】
建物21の敷地20内に設置した分離桝本体31の第2の流入口37に上流側の排水主管28を接続し、第2の流出口38に平行合流桝装置25の流入口27を接続し、この平行合流桝装置25の流出口29に下流側の排水主管30を接続する。
【0029】
また、排水設備に接続されている排水管22はエルボ継手23を介して分離桝本体31の第1の流入口34に接続し、分離桝本体31の第1の流出口36は、排水主管28,30に接続した合流桝装置25の合流用流入口26に接続する。
【0030】
また、前記第1の流入口34の中心軸線と第1の流出口36の中心軸線を結ぶ同一直線上の軸心P1と第2の流入口37の中心軸線と第2の流出口38の中心軸線及び連通部39の中心軸線を結ぶ同一直線上の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25の合流用流入口26の中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは、同一寸法に形成されているので、エルボ継手23を介して排水設備に接続されている排水管22を第1の流入口34に接続した分離桝本体31の第1の流出口36は、排水主管28,30に接続されている合流桝装置25の合流用流入口26に接続することができる。
【0031】
この状態で、第2の流入口37と第2の流出口38に接続した排水主管28,30を接続する連通部39が実質的に排水主管となり、分離桝本体31の外径寸法内に排水主管を実質的に設置できる。
【0032】
建物の排水設備から油脂分、夾雑物を含む雑排水が排水管22を経て分離桝本体31の第1の流入口34から流入すると、夾雑物は捕集体40にて雑排水から分離されて、この捕集体40の内部に溜められる。また、油脂分は排水より軽く排水の上方に浮上するので、油脂分は第1の流出口36から流出することなく、貯溜室部となる分離桝本体31の内部35の上部に浮上して貯溜される。
【0033】
また、排水は封水体43の下端口45から上端口44を経て第1の流出口36から排水として流出されて、合流桝装置25の合流用流入口26から合流桝装置25内を経て流出口29から下流側の排水主管30に流出される。
【0034】
なお、分離桝装置24の掃除に際しては、蓋体32を蓋受け枠部49から取り外すことにより掃除口33を開口状態とし、柄杓により分離桝本体31の内部35に浮上している油脂分をすくい上げる。
【0035】
また、把持体42を把持して捕集体40を分離桝本体31から取り出し、捕集体40に捕集された夾雑物を取り出して廃棄する。
【0036】
さらに、封水体43の開閉蓋48を取り外して上面の封水体掃除口47を開口し、この封水体掃除口47からブラシなどで封水体43の内部を掃除する。
【0037】
なお、この実施の形態では、前記分離桝本体31は、第1の流入口34と第1の流出口36とが、分離桝本体31の同一高さ位置に同一内径及び外径でかつ直線位置に突出形成され、この第1の流入口34の中心軸線と第1の流出口36の中心軸線とは同一直線の軸心P1上に位置し、さらに、第2の流入口37と、第2の流出口38とが直線位置に突出形成され、この第2の流入口37と第2の流出口38とは、同一内径及び外径で前記分離桝本体31内を貫通した円筒状の連通部39によってこの分離桝本体31の内部35と隔離して直線状に連通されているので、第1の流入口34を第1の流出口とするとともに第1の流出口36を第1の流入口とし、また、第2の流入口37を第2の流出口とするとともに第2の流出口38を第2の流入口として使用すれば、分離桝本体31を左右逆方向の分離桝装置として使用することができる。
【0038】
また、前記分離桝本体31に形成した第2の流入口37と第2の流出口38とを連通させる連通部39の上面側に図示しない開口部を形成し、常時はこの連通部39の開口部を図示しない開閉部材で密閉してもよい。この場合、掃除時に開閉部材を開いて連通部39や排水主管28の清掃を容易にすることができる。
【0039】
さらに、前記連通部39の開口部を開閉する開閉部材は分離桝本体31の掃除口33を開閉する蓋体32に一体的に設け、蓋体32の開閉に応じて開閉部材が連通部39の開口部を開閉するようにすることもでき、この蓋体32に連通部39の開口部を開閉する開閉部材に一体的に設けることにより、連通部39の開口部を開閉する開閉部材を分離桝本体31内に落下させたり、紛失するおそれがなく、また、連通部39の開口部を開閉する開閉部材の閉じ忘れをするおそれもないので、臭気の漏洩も防止できる。なお、連通部39の開口部を開閉する開閉部材は、蓋体32と一体成形でもよく、または、連通部39の開口部を開閉する開閉部材を取り外し自在或いは固定的に蓋体32に設けることもできる。
【0040】
次に、本発明の他の実施の形態を図8ないし図11に基づいて説明する。
【0041】
本発明の分離桝装置の上記図1ないし図7に示す一実施の形態と略同一の構成部分については、同一符号を付して説明する。
【0042】
分離桝装置の配管系は前記図7に示す配管系と同一で、図8に示すように、敷地20内に建造された建物21内における台所の流し台などの排水設備に接続した排水管22を建物21の外側に導出し、この排水管22の下流端にエルボ継手23を介して分離桝装置24を接続し、この分離桝装置24を平行合流桝装置25の合流用流入口26に接続する。また、この合流桝装置25の流入口27に上流側の排水主管28を接続するとともに流出口29に下流側の排水主管30を接続する。
【0043】
そして、排水設備からの排水は排水管22を流動し、排水は分離桝装置24内にて夾雑物が分離され、排水はさらに分離桝装置24から合流桝装置25の合流用流入口26に流入し、合流桝装置25から下流側の排水主管30に流出して敷地20内から公道下に埋設された図示しない下水本管に排出されるようになっている。
【0044】
さらに、建物21の外側に導出した排水管22が接続される分離桝装置24は、図8ないし図11に示すように、分離桝本体31Aと蓋体32とを備え、この分離桝本体31Aは上部に開口した掃除口33を有する有底筒状に塩化ビニル樹脂等の合成樹脂にて成形され、また、前記蓋体32は合成樹脂または鋳鉄などにて成形され、前記分離桝本体31Aの掃除口33に着脱自在に嵌着されてこの掃除口33を開閉自在に覆うようになっている。
【0045】
また、前記分離桝本体31Aは、前記図1に示す第1の流入口34と第1の流出口36に相当する側部に筒状の流入口34Aとこの流入口34Aにこの分離桝本体31Aの内部35にて連通する筒状の流出口36Aとが、分離桝本体31Aの同一高さ位置に同一内径及び外径でかつこの分離桝本体31Aの中心位置より一側に偏倚した位置の直線位置に突出形成され、この流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線とは同一直線の軸心P1上に位置している。
【0046】
さらに、この分離桝本体31Aには、この分離桝本体31Aの中心位置より流入口34A及び流出口36Aと反対側に偏倚してこの分離桝本体31Aの掃除口33の下方位置に前記上流側の排水主管28を配設する空間部51が形成されている。この空間部51には分離桝本体31Aの流入口34Aと流出口36Aとを結ぶ仮想円筒部と平行状にこの分離桝本体31Aの側面に形成され、この空間部51を形成する分離桝本体31Aの側面は排水主管28を当接する凹弧状位置決め面50に形成されている。
【0047】
そして、前記上流側の排水主管28は、前記分離桝本体31Aの空間部51の位置決め面50に当接してこの分離桝本体31Aの内部35と隔離して直線状に配設され、この分離桝本体31Aの位置決め面50に当接した上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2は前記流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ軸心P1と平行となり、また、前記流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ直線上の軸心P1と、排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25の合流用流入口26の中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されている。
【0048】
この分離桝本体31A内には、前記図1ないし図7に示す実施の形態と同一構成の捕集体40と封水体43とが設けられている。この捕集体40と封水体43とは、前記図1ないし図7に示す実施の形態と同一構成部分は同一符号で示して説明する。
【0049】
前記分離桝本体31Aの流入口34Aからこの分離桝本体31A内に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する有底筒状の捕集体40をこの分離桝本体31Aの支持台41上に挿脱自在に嵌合載置して、この捕集体40の流入孔に前記流入口34Aの内端部を挿入することによりこの捕集体40を支持する。この捕集体40の上部にはこの捕集体40を取り出すための把持体42が設けられ、この捕集体40は台所の流し台などの排水設備からの排水中に含まれた夾雑物を分離捕集できるように、例えば、上面を開口し多数のろ過孔を全周面に形成した容器、または網状材にて形成した容器にて形成する。
【0050】
また、この分離桝本体31A内にて、前記流出口36Aに接続した封水体43は、合成樹脂にて略逆L字状に形成され、水平方向に開口した上端口が前記分離桝本体31Aの流出口36Aに内端側から嵌合接続され、下端口は分離桝本体31Aの内底面に向かって下向きに開口され、この封水体43は分離桝本体31A内に設けた支持台46に支持されている。この封水体43の上面には封水体掃除口47が開口され、この封水体掃除口47には開閉蓋48が開閉自在に設けられている。
【0051】
さらに、前記分離桝本体31Aの内部35の下部は掃除前の状態で油脂分と水とを比重差により分離させて油脂分を封水体43の下端口位置より上方に浮上させる貯溜室部に形成され、前記封水体43の下端口から流出口36Aに油脂分が流出されないようになっている。なお、この貯溜室部は、掃除後の状態で所定量の水を常時貯溜することにより、排水主管28,30からの臭気を遮断するようになっている。
【0052】
また、前記蓋体32は、前記分離桝本体31Aの掃除口33の外周側に形成されている略円筒状の蓋受け枠部49に着脱自在に装着されている。
【0053】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0054】
建物21外の敷地に沿って埋設する上流側の排水主管28を分離桝本体31Aの側部に形成した空間部51に形成した位置決め面50に当接させて分離桝装置24を設置し、この上流側の排水主管28を平行合流桝装置25の流入口27に接続し、この平行合流桝装置25の流出口29に下流側の排水主管30を接続する。
【0055】
また、排水設備に接続されている排水管22を分離桝本体31Aの流入口34Aにエルボ継手23を介して接続し、分離桝本体31Aの流出口36Aを排水主管28,30に接続した合流桝装置25の合流用流入口26に接続する。
【0056】
また、前記分離桝本体31Aの流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ同一直線上の軸心P1と、空間部51の位置決め面50に当接して配設される上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25の合流用流入口26の中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されているので、排水管22をエルボ継手23を介して流入口34Aに接続した分離桝本体31Aの流出口36Aは、排水主管28,30に接続されている合流桝装置25の合流用流入口26に接続することができる。
【0057】
この状態で排水主管28は分離桝本体31Aの外径寸法内に設置することができる。
【0058】
そして、この実施の形態でも前記図1ないし図7に示す実施の形態と同様に、建物の排水設備から油脂分、夾雑物を含む雑排水が分離桝本体31Aの流入口34Aから流入すると、夾雑物は捕集体40にて分離されて、この捕集体40の内部に溜められる。また、油脂分は排水との比重差で水より軽く排水の上方に浮上して、流出口36Aから流出することなく、貯溜室部となる分離桝本体31Aの内部35の上部に貯溜され、柄杓により分離桝本体31Aの内部35に浮上している油脂分をすくい上げることができる。
【0059】
また、排水は封水体43の下端口から上端口を経て流出口36Aから排水として流出されて、合流桝装置25の合流用流入口26から合流桝装置25内を経て流出口29から下流側の排水主管30に流出される。
【0060】
さらに、封水体43の開閉蓋48を取り外して上面の封水体掃除口47を開口し、この封水体掃除口47から封水体43の内部を掃除することもできる。
【0061】
そして、この実施の形態の構成では、図1ないし図7に示す実施の形態の構成に比して、排水主管28,30は分離桝本体31Aに直接接続することなく、排水の配管系の施工が容易となり、また、分離桝本体31Aの構成も簡単にできる。
【0062】
なお、この実施の形態では、前記分離桝本体31Aは、流入口34Aと流出口36Aとが、分離桝本体31Aの同一高さ位置に同一内径及び外径でかつ直線位置に突出形成され、この流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線とは同一直線の軸心P1上に位置しているので、流入口34Aを流出口とするとともに流出口36Aを流入口として使用すれば、分離桝本体31Aを左右逆方向の分離桝装置に使用することができる。
【0063】
この場合も、排水主管28は、前記分離桝本体31Aの空間部51の位置決め面50に当接して配設し、この分離桝本体31Aの位置決め面50に当接した上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2は前記流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ軸心P1と平行となり、また、前記流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ直線上の軸心P1と、排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25の合流用流入口26の中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されているので、既存の平行合流桝装置25を用いることもできる。
【0064】
なお、排水主管28,30とを接続する既存の合流桝装置25を用いない場合は、排水主管28は、必ずしも前記分離桝本体31Aの空間部51の位置決め面50に当接して配設する必要はない。
【0065】
また、前記分離桝本体31Aの空間部51に配設した排水主管28の一部は分離桝本体31A
の外径より外方に多少突出してもよい。
【0066】
さらに、他の実施の形態を図12ないし図14に基づいて説明する。
【0067】
分離桝装置24及びその配管系は前記図8に示す配管系と同一で、図12に示すように、建物内の排水設備に接続した排水管の下流端を建物の外側の敷地内に導出して、この排水管の下流端にエルボ継手23を介して分離桝装置24を接続し、この分離桝装置24を合流桝装置25Bの合流用流入口26Bにエルボ継手54を介して接続する。また、この合流桝装置25Bの流入口27に上流側の排水主管28を接続するとともに流出口29に下流側の排水主管を接続する。
【0068】
そして、排水設備からの排水は排水管を流動し、排水は分離桝装置24内にて夾雑物が分離され、排水はさらに分離桝装置24から合流桝装置25Bの合流用流入口26Bに流入し、合流桝装置25Bから下流側の排水主管に流出して下水本管に排出されるようになっている。
【0069】
次に、分離桝装置24には、この分離桝本体31Aの上部に開口した掃除口33に嵩上げ枠60が嵌合され、この嵩上げ枠60の上部に開口した上面掃除口33Bに蓋体(図示せず)が着脱自在に嵌着されてこの掃除口33を開閉自在に覆うようになっている。
【0070】
また、前記分離桝本体31Aは、側部に筒状の流入口34Aとこの流入口34Aにこの分離桝本体31Aの内部35にて連通する筒状の流出口36Aとが、分離桝本体31Aの同一高さ位置に同一内径及び外径でかつこの分離桝本体31Aの中心位置より一側に偏倚した位置の直線位置に突出形成され、この流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線とは同一直線の軸心P1上に位置している。
【0071】
さらに、この分離桝本体31Aには、この分離桝本体31Aの中心位置より流入口34A及び流出口36Aと反対側に偏倚してこの分離桝本体31Aの掃除口33の下方位置に前記上流側の排水主管28を配設する空間部51が分離桝本体31Aの下底部まで形成されている。この空間部51には分離桝本体31Aの流入口34Aと流出口36Aとを結ぶ仮想円筒部と平行状にこの分離桝本体31Aの側面に形成され、この空間部51を形成する分離桝本体31Aの側面は排水主管28を当接する凹弧状位置決め面50に形成されている。
【0072】
また、前記図8ないし図11に示す実施の形態では、分離桝本体31Aの流入口34Aとこの流入口34Aにこの分離桝本体31Aの内部35にて連通する筒状の流出口36Aとが、分離桝本体31Aの同一高さ位置で、かつ、排水主管28と同一高さ位置に埋設された構成となっているが、この実施の形態では、排水主管28は分離桝本体31Aの凹弧状位置決め面50に当接することなく、この凹弧状位置決め面50より下方で、流入口34Aと流出口36Aとの高さ位置より排水主管28は深い埋設位置に配設している。
【0073】
そして、前記上流側の排水主管28は、前記分離桝本体31Aの空間部51の位置決め面50の下方でこの分離桝本体31Aの内部35と隔離して直線状に配設され、上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2は前記流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ軸心P1と平行となり、また、前記流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ直線上の軸心P1と、排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25Bの合流用流入口26Bの中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されている。
【0074】
また、この分離桝本体31A内には、前記図1ないし図7に示す実施の形態と同一構成の捕集体40と封水体43とが設けられている。
【0075】
前記分離桝本体31Aの流入口34Aからこの分離桝本体31A内に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体40をこの分離桝本体31Aの支持台41上に挿脱自在に嵌合載置して、この捕集体40の流入孔に前記流入口34Aの内端部を挿入することによりこの捕集体40を支持する。この捕集体40の上部にはこの捕集体40の取出し用の把持体42が設けられ、この捕集体40は排水設備からの排水中に含まれた夾雑物を分離捕集できるように形成した容器にて形成する。
【0076】
また、この分離桝本体31A内にて、前記流出口36Aに接続した封水体43は、水平方向に開口した上端口が前記分離桝本体31Aの流出口36Aに内端側から嵌合接続され、下端口は分離桝本体31Aの内底面に向かって下向きに開口され、この封水体43は分離桝本体31A内に設けた支持台46に支持されている。この封水体43の上面には封水体掃除口47が開口され、この封水体掃除口47には開閉蓋48が開閉自在に設けられている。
【0077】
さらに、前記分離桝本体31Aの内部35の下部は掃除前の状態で油脂分と水とを比重差により分離させて油脂分を封水体43の下端口位置より上方に浮上させる貯溜室部に形成され、前記封水体43の下端口から流出口36Aに油脂分が流出されないようになっている。なお、この貯溜室部は、掃除後の状態で所定量の水を常時貯溜することにより、排水主管28,30からの臭気を遮断するようになっている。
【0078】
なお、前記分離桝本体31Aの掃除口33の上部に嵌合された略円筒状の嵩上げ枠60は、分離桝本体31Aの外周に形成されている略円筒状の蓋受け枠部49に嵌合する下端開口部と、着脱自在に開閉する蓋体が装着される蓋受け枠部49Bを上端開口部の周縁に形成した上面掃除口33Bとを備えている。
【0079】
次に、図12および図13に示すとおり、上流側の排水主管28を接続する流入口27、下流側の排水主管を接続する流出口29及び分離桝本体31Aの流出口36Aをエルボ継手54を介して接続する合流用流入口26Bとを有する合流桝装置25Bは、塩化ビニル樹脂にて成形された合流桝本体52と分岐体53とにて構成されている。
【0080】
この合流桝本体52は一方端面に流入口27を、他方端面に流出口29をそれぞれ開口し、流入口27と流出口29とは平面からみて直線状に連通するとともに流出口29側が流入口27側より低くなるように上下方向に段差を有するインバート部56を有し、さらに、このインバート部56の上方には、地表面に開口する立ち上がり管55を接続する掃除口57が形成されている。
【0081】
さらに、この合流桝本体52には、前記流入口27と流出口29とを結ぶ軸線に対して流入口27に向かって軸線を45°の角度をもって側方に向けて延出した分岐体被接続口58が分岐開口され、分岐体被接続口58の開口面は前記流入口27と流出口29とを結ぶ軸線と平行面になっている。
【0082】
この合流桝本体52の分岐体被接続口58に回動可能にかつ液密に接続される前記分岐体53の一端部には、この分岐体53の軸線方向に対し45°の角度方向に向けた接続口が開口され、この分岐体53の他端部には前記合流用流入口26Bに形成されている。
【0083】
そして、前記合流桝本体52の流入口27と流出口29とを結ぶ軸線に対して軸線を45°の角度で側方に向けて延出して流入口27と流出口29とを結ぶ軸線と平行面とした分岐体被接続口58の開口面は、水平方向を長径とする楕円形状となり、また、前記分岐体53の軸線方向に対して45°の角度をもつ接続口も開口面が水平方向を長径とする楕円形となるが、この分岐体被接続口58と分岐体53の接続口との互いに対向する開口部の形状は垂直方向に拡径した略真円形状とする。
【0084】
また、前記合流桝本体52は、流入口27と流出口29とを直線状に連通するインバート部56の排水勾配は1/100以上となるように傾斜されている。
【0085】
この実施の形態の他の構成は、前記図8ないし図11に示す実施の形態の構成と同一である。
【0086】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0087】
建物の敷地に沿って埋設する上流側の排水主管28を分離桝本体31Aの側部に形成した空間部51に位置させて分離桝装置24を設置し、この上流側の排水主管28を合流桝装置25Bの流入口27に接続し、この合流桝装置25Bの流出口29に下流側の排水主管を接続する。
【0088】
また、排水設備に接続されている排水管を分離桝本体31Aの流入口34Aにエルボ継手23を介して接続し、分離桝本体31Aの流出口36Aをエルボ継手54を介して合流桝装置25Bの分岐体53に形成されている合流用流入口26Bに接続する。
【0089】
また、前記分離桝本体31Aの流入口34Aの中心軸線と流出口36Aの中心軸線を結ぶ同一直線上の軸心P1と、空間部51の位置決め面50に当接して配設される上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25Bの合流用流入口26Bの中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されているので、排水管をエルボ継手23を介して流入口34Aに接続した分離桝本体31Aの流出口36Aは、排水主管28に接続されている合流桝装置25Bの合流用流入口26Bに接続することができる。
【0090】
この状態で排水主管28は分離桝本体31Aの外径寸法内に設置することが好ましいが、排水主管28の一部が分離桝本体31Aの外径寸法より突出した位置でも差し支えない。
【0091】
そして、この実施の形態でも、夾雑物は捕集体40にて分離されて、この捕集体40の内部に溜められる。また、油脂分は排水より軽く排水の上方に浮上して、流出口36Aから流出することなく、貯溜室部となる分離桝本体31Aの内部35の上部に貯溜される。
【0092】
また、排水は封水体43の下端口から上端口を経て流出口36Aから排水として流出されて、合流桝装置25Bの合流用流入口26Bから合流桝装置25B内を経て流出口29から下流側の排水主管に流出される。
【0093】
そして、この実施の形態では、排水主管28に対して分離桝装置24から接続される勾配を調整でき、排水主管28を流れる排水がインバート部56から分離桝装置24に逆流することがなく、また、排水主管28と分離桝装置24側との落差に関係なく任意の勾配に調整でき、分離桝装置24側からの合流排水は分岐被接続口で絞られることなく、円滑に排水される。
【0094】
さらに、他の作用は、前記図8ないし図11に示す実施の形態と同一である。
【0095】
なお、この実施の形態では、合流桝本体52のインバート部56は流入口27側より流出口29側が低くなるように上下方向に段差を形成した構成としたが、流入口27側と流出口29側とをほぼ同一面とすることもできる。
【0096】
さらに、他の実施の形態を図15ないし図18に基づいて説明する。
【0097】
この実施の形態は、前記図12ないし図14に示す実施の形態に於いて、分離桝装置24の分離桝本体31Cは、流出口36Cの下端部61の位置を流入口34Cの下端部62の位置より低い位置とした構成である。
【0098】
また、捕集体40Cは、上面を開口するとともに周側面の上部に前記分離桝本体31Cの流入口34Cの内端側に連通する流入孔40aを形成しかつ下部に夾雑物捕集用の通液部63を形成する。そして、この分離桝本体31Cの流入口34Cの内端側に前記捕集体40Cの流入孔40aを連通させた状態で、この捕集体40Cの上面開口縁64が前記分離桝本体31Cに形成した流入口34Cの下端部62の位置より上方に位置するとともに、前記捕集体40Cに形成した夾雑物捕集用の通液部63の上端部63bの位置が前記分離桝本体31Cに形成した流出口36Cの下端部61の位置より低い位置とした構成である。
【0099】
この捕集体40Cは上面の開口縁64の一部には流入口40aを形成した連通支持部65が上方に向かって延出され、この連通支持部65に形成した流入口40aに前記分離桝本体31Cの流入口34Cの内端側が嵌挿されて捕集体40Cの内部は流入口34Cに連通されるとともにこの捕集体40Cは分離桝本体31C内に支持される。
【0100】
また、この捕集体40Cの通液部63は、例えば捕集体40Cの周側面に穿設した複数の上下方向の切り溝63aにて形成し、この各切り溝63aの上端部が通液部63の上端部63bとなる。
【0101】
そして、分離桝装置24及びその配管系は前記図12に示す配管系と同一で、図16に示すように、建物内の排水設備に接続した排水管の下流端を建物の外側の敷地内に導出して、この排水管の下流端にエルボ継手23を介して分離桝装置24を接続し、この分離桝装置24を合流桝装置25Bの合流用流入口26Bにエルボ継手54を介して接続する。また、この合流桝装置25Bの流入口27に上流側の排水主管28を接続するとともに流出口29に下流側の排水主管を接続する。
【0102】
そして、排水設備からの排水は排水管を流動し、排水は分離桝装置24内の捕集体40Cにて夾雑物が分離され、排水はさらに分離桝装置24から合流桝装置25Bの合流用流入口26Bに流入し、合流桝装置25Bから下流側の排水主管に流出して下水本管に排出されるようになっている。
【0103】
次に、分離桝装置24には、この分離桝本体31Cの上部に開口した掃除口33の周囲に形成されている蓋受け枠部49に蓋体(図示せず)が着脱自在に嵌着されてこの掃除口33を開閉自在に覆うようになっている。
【0104】
また、前記分離桝本体31Cの流入口34Cとこの流入口34Cにこの分離桝本体31Cの内部35にて連通する筒状の流出口36Cは、この分離桝本体31Cの側部に筒状に形成され、この流入口34Cと流出口36Cとが、同一内径及び外径でかつこの分離桝本体31Cの中心位置より一側に偏倚した位置の直線位置に突出形成され、この流入口34Cの中心軸線と流出口36Cの中心軸線とは平面視同一直線の軸心P1上に位置している。
【0105】
さらに、この分離桝本体31Cには、この分離桝本体31Cの中心位置より流入口34C及び流出口36Cと反対側に偏倚してこの分離桝本体31Cの掃除口33の下方位置に前記上流側の排水主管28を配設する空間部51が分離桝本体31Cの下底部まで形成されている。この空間部51には分離桝本体31Cの流入口34Cの上面と同一水平線上に位置してこの分離桝本体31Cの側面に形成され、この空間部51を形成する分離桝本体31Cの上側面は凹弧状面に形成され、この凹弧状面より下方で、流出口36Cの高さ位置より排水主管28は深い埋設位置に配設している。
【0106】
そして、前記上流側の排水主管28は、前記分離桝本体31Cの空間部51の下方でこの分離桝本体31Cの内部35と隔離して直線状に配設され、上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2は前記流入口34Cの中心軸線と流出口36Cの中心軸線を結ぶ軸心P1と平行となり、また、前記流入口34Cの中心軸線と流出口36Cの中心軸線を結ぶ直線上の軸心P1と、排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25Bの合流用流入口26Bの中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されている。
【0107】
また、この分離桝本体31C内には、前記図1ないし図7に示す実施の形態と同一構成の封水体43が設けられている。
【0108】
前記分離桝本体31Cの流入口34Cからこの分離桝本体31C内に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体40Cをこの分離桝本体31Cの図示しない支持台上に挿脱自在に嵌合載置して、この捕集体40Cの流入孔に前記流入口34Cの内端部を挿入することによりこの捕集体40Cを支持する。この捕集体40Cの上部にはこの捕集体40Cの取出し用の把持体42が設けられ、この捕集体40Cは排水設備からの排水中に含まれた夾雑物を分離捕集できるように形成した容器にて形成する。
【0109】
また、この分離桝本体31C内にて、前記流出口36Cに接続した封水体43は、水平方向に開口した上端口が前記分離桝本体31Cの流出口36Cに内端側から嵌合接続され、下端口は分離桝本体31Cの内底面に向かって下向きに開口され、この封水体43は分離桝本体31C内に設けた図示しない支持台に支持されている。この封水体43の上面には封水体掃除口47が開口され、この封水体掃除口47には開閉蓋48が開閉自在に設けられている。
【0110】
さらに、前記分離桝本体31Cの内部35は、掃除後の状態で所定量の水を常時貯溜することにより、排水主管からの臭気を遮断するようになっている。
【0111】
次に、図16に示すとおり図12および図13に示す構成と同一構成で、上流側の排水主管28を接続する流入口27、下流側の排水主管を接続する流出口29及び分離桝本体31Cの流出口36Cをエルボ継手54を介して接続する合流用流入口26Bとを有する合流桝装置25Bは、塩化ビニル樹脂にて成形された合流桝本体52と分岐体53とにて構成されている。
【0112】
この合流桝本体52は一方端面に流入口27を、他方端面に流出口29をそれぞれ開口し、流入口27と流出口29とは平面からみて直線状に連通するとともに流出口29側が流入口27側より低くなるように上下方向に段差を有するインバート部56を有し、さらに、このインバート部56の上方には、地表面に開口する図示しない立ち上がり管を接続する掃除口57が形成されている。
【0113】
さらに、この合流桝本体52には、前記流入口27と流出口29とを結ぶ軸線に対して流入口27に向かって軸線を45°の角度をもって側方に向けて延出した分岐体被接続口58が分岐開口され、分岐体被接続口58の開口面は前記流入口27と流出口29とを結ぶ軸線と平行面になっている。
【0114】
この合流桝本体52の分岐体被接続口58に回動可能にかつ液密に接続される前記分岐体53の一端部には、この分岐体53の軸線方向に対し45°の角度方向に向けた接続口が開口され、この分岐体53の他端部には前記合流用流入口26Bに形成されている。
【0115】
そして、前記合流桝本体52の流入口27と流出口29とを結ぶ軸線に対して軸線を45°の角度で側方に向けて延出して流入口27と流出口29とを結ぶ軸線と平行面とした分岐体被接続口58の開口面は、水平方向を長径とする楕円形状となり、また、前記分岐体53の軸線方向に対して45°の角度をもつ接続口も開口面が水平方向を長径とする楕円形となるが、この分岐体被接続口58と分岐体53の接続口との互いに対向する開口部の形状は垂直方向に拡径した略真円形状とする。
【0116】
また、前記合流桝本体52は、流入口27と流出口29とを直線状に連通するインバート部56の排水勾配は1/100以上となるように傾斜されている。
【0117】
この実施の形態の他の構成は、前記図12ないし図14に示す実施の形態の構成と同一である。
【0118】
次に、この実施の形態の作用を説明する。
【0119】
建物の敷地に沿って埋設する上流側の排水主管28を分離桝本体31Cの側部に形成した空間部51に位置させて分離桝装置24を設置し、この上流側の排水主管28を合流桝装置25Bの流入口27に接続し、この合流桝装置25Bの流出口29に下流側の排水主管を接続する。
【0120】
また、排水設備に接続されている排水管を分離桝本体31Cの流入口34Cにエルボ継手23を介して接続し、分離桝本体31Cの流出口36Cをエルボ継手54を介して合流桝装置25Bの分岐体53に形成されている合流用流入口26Bに接続する。
【0121】
また、前記分離桝本体31Cの流入口34Cの中心軸線と流出口36Cの中心軸線を結ぶ同一直線上の軸心P1と、空間部51に配設される上流側の排水主管28の中心軸線の軸心P2との間の距離L1と、前記合流桝装置25Bの合流用流入口26Bの中心軸心P3と流入口27の中心軸心P4との間の距離L2とは同一寸法に形成されているので、排水管をエルボ継手23を介して流入口34Cに接続した分離桝本体31Cの流出口36Cは、排水主管28に接続されている合流桝装置25Bの合流用流入口26Bに接続することができる。
【0122】
この状態で排水主管28は分離桝本体31Cの外径寸法内に設置することが好ましいが、排水主管28の一部が分離桝本体31Cの外径寸法より突出した位置でも差し支えない。
【0123】
また、排水は封水体43の下端口から上端口を経て流出口36Cから排水として流出されて、合流桝装置25Bの合流用流入口26Bから合流桝装置25B内を経て流出口29から下流側の排水主管に流出される。
【0124】
そして、この実施の形態では、排水主管28に対して分離桝装置24から接続される勾配を調整でき、排水主管28を流れる排水がインバート部56から分離桝装置24に逆流することがなく、また、排水主管28と分離桝装置24側との落差に関係なく任意の勾配に調整でき、分離桝装置24側からの合流排水は分岐被接続口で絞られることなく、円滑に排水される。
【0125】
そして、この実施の形態では、排水中に混入していた油脂分は、捕集体40Cの上面開口縁64が分離桝本体31Cに形成した流入口34Cの下端部の位置より上方に位置するので、流入口34Cからこの流入口34Cの内端側に連通させた捕集体40Cの流入孔40aから捕集体40C内に流入し、捕集体40Cの上面開口縁64から排水が分離桝本体31Cの内部に流入することがない。
【0126】
また、このとき、捕集体40Cに形成した夾雑物捕集用の通液部63の上端部63bの位置が分離桝本体31Cに形成した流出口36Cの下端部の位置より低い位置にあるので、捕集体40Cの夾雑物捕集用の通液部63は常に水面下に位置し、排水中に混入していた油脂分は水との比重差より浮上し、油脂分は捕集体40Cから分離桝本体31Cの内部に流出することがなく、捕集体40Cの内側に滞留し、捕集体40Cの上面開口部から容易にすくい上げることができる。
【0127】
さらに、他の作用は、前記図12ないし図14に示す実施の形態と同一である。
【0128】
なお、この実施の形態では、合流桝本体52のインバート部56は流入口27側より流出口29側が低くなるように上下方向に段差を形成した構成としたが、流入口27側と流出口29側とをほぼ同一面とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す分離桝装置の分離桝本体から蓋体を取り外した状態の平面図である。
【図2】同上分離桝装置の分離桝本体の底面図である。
【図3】同上分離桝本体の右側面図である。
【図4】同上分離桝本体の正面図である。
【図5】同上分離桝本体の背面図である。
【図6】同上分離桝本体の縦断正面図である。
【図7】同上分離桝装置を用いた配管系の平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態を示す分離桝装置を用いた配管系の平面図である。
【図9】同上分離桝装置の分離桝本体から蓋体を取り外した状態の右側面図である。
【図10】同上分離桝本体の平面図である。
【図11】同上分離桝装置の分離桝本体の正面図である。
【図12】さらに本発明の他の実施の形態を示す分離桝装置の平面図である。
【図13】同上分離桝装置の排水管を接続するエルボ継手を外した状態の正面図である。
【図14】同上分離桝本体の右側面図である。
【図15】本発明の他の実施の形態を示す分離桝装置の縦断正面図である。
【図16】同上分離桝装置を用いた面を用いた配管系の平面図である。
【図17】同上分離桝装置の右側面図である。
【図18】同上分離桝装置の蓋体を外した状態の平面図である。
【図19】従来の分離桝装置を用いた配管系の平面図である。
【符号の説明】
【0130】
24 分離桝装置
28,30 排水主管
31 分離桝本体
32 蓋体
33 掃除口
34 第1の流入口
34A,34C 流入口
36 第1の流出口
36A,36C 流出口
37 第2の流入口
38 第2の流出口
39 連通部
40,40C 捕集体
40a 流入孔
43 封水体
51 空間部
61 流出口36Cの下端部
62 流入口34Cの下端部
63 通液部
63b 通液部63の上端部
64 捕集体40Cの上面開口縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体にて開閉自在に覆われる掃除口を上部に開口した有底筒状の分離桝本体を備え、
この分離桝本体の側部には、第1の流入口と、この第1の流入口に連通する第1の流出口と、排水主管の上流側を接続する第2の流入口と、この第2の流入口に連通し排水主管の下流側を接続する第2の流出口とをそれぞれ形成し、
前記第1の流入口と第1の流出口とは前記分離桝本体内にて連通し、
この分離桝本体内に前記第1の流入口からこの分離桝本体に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体を設けるとともに、前記第1の流出口に接続した封水体を設け、
前記第2の流入口と第2の流出口とは、前記分離桝本体内を貫通した連通部によって連通するとともにこの分離桝本体の第1の流入口及び第1の流出口と連通する内部とは隔離した
ことを特徴とした分離桝装置。
【請求項2】
蓋体にて開閉自在に覆われる掃除口を上部に開口した有底筒状の分離桝本体を備え、
この分離桝本体の側部には、流入口と、この流入口に連通する流出口とを形成し、
この流入口と流出口とは前記分離桝本体内にて連通し、
この分離桝本体に、前記流入口からこの分離桝本体に流入する排水に混入した夾雑物を捕集する捕集体を設けるとともに、前記流出口に接続した封水体を設け、
前記分離桝本体の掃除口の下方に位置してこの分離桝本体の側部に排水主管を配設する空間部を形成した
ことを特徴とする分離桝装置。
【請求項3】
分離桝本体に形成した流出口の下端部の位置を流入口の下端部の位置より低い位置とし、
捕集体は、上面を開口するとともに周側面の上部に前記分離桝本体の流入口の内端側に連通する流入孔を形成しかつ下部に夾雑物捕集用の通液部を形成し、
前記分離桝本体の流入口の内端側に前記捕集体の流入孔を連通させた状態で、この捕集体の上面開口縁が前記分離桝本体に形成した流入口の下端部の位置より上方に位置するとともに、前記捕集体に形成した夾雑物捕集用の通液部の上端部の位置が前記分離桝本体に形成した流出口の下端部の位置より低い位置としたことを特徴とする請求項2記載の分離桝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−248563(P2008−248563A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91021(P2007−91021)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000201582)前澤化成工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】